JP6734155B2 - アルカリ電池 - Google Patents

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Description

本発明は、中負荷放電特性が良好であり、過放電時における電池内でのガス発生量が少ないアルカリ電池に関するものである。
亜鉛を負極活物質とするアルカリ電池は、各種電子機器の電源として用いられ、その用途に応じて種々の特性が要求されている。これまでは、主として、デジタルカメラやフラッシュ付きカメラ、携帯テレビ、緊急充電器など、比較的大電流を必要とする用途に向けた開発がすすめられていた
例えば、特許文献1では、正極合剤、正極ペレットまたは正極のうちいずれかの含水率を測定し、その含水率に応じてアルカリ電解液の注入量を定めることによって、電池全体の水分量のばらつきを抑制し、重負荷放電特性に優れるアルカリ電池を製造することが提案されている。
また、特許文献2では、亜鉛合金粉末にAlを100ppm以上含有させ、かつ電池系内の水分量を、正極活物質1gあたり0.250〜0.300g(あるいは、亜鉛合金粉末1gあたり0.6〜0.7g)となるよう調整することにより、電池の放電時における水分の利用効率を高め、重負荷放電特性に優れると共に、過放電時におけるガス発生が抑制された電池とすることが提案されている。
一方、特許文献3では、貯蔵後の放電性能の低下を防ぐために、ゲル化剤であるポリアクリル酸塩の未架橋部分を除去した顆粒状の吸水性ポリマーをゲル状負極に添加することにより、アルカリ電池の貯蔵後の放電性能の低下や製造工程上のトラブルを回避することが提案されている。
特開2013−45619号公報 特開2010−118285号公報 特開平10−50303号公報
しかしながら、最近では、前記のような大電流を必要とする機器に使用されるアルカリ電池の割合が減少し、代わって、LEDライトや健康器具など、必要とされる電流が比較的小さい機器での使用が増加しており、そのため、重負荷用途に最適化された従来の電池設計とは異なり、中負荷での放電特性に優れる電池設計を検討する必要が生じている。
また、電池の信頼性をより一層向上させるため、たとえば過放電時における電池内でのガス発生を抑制することも、引き続き求められている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、アルカリ電池の負極における活物質の利用効率を高めることにより、中負荷放電における特性を向上させると共に、過放電時における電池内でのガス発生を抑制し、信頼性を向上させることを目的とする。
前記目的を達成し得た本発明のアルカリ電池は、亜鉛合金粉末と、顆粒状吸水ポリマーと、アルカリ電解液とを含有する負極、正極およびセパレータを有するアルカリ電池であって、前記亜鉛合金粉末は、Alを0.005〜0.015質量%、Biを0.005〜0.015質量%、Inを0.02〜0.04質量%、およびMgを0.0001〜0.003質量%それぞれ含有し、前記亜鉛合金粉末は、50メッシュのふるい目を通過する粉末の割合が、亜鉛合金粉末全体の98質量%以上であり、かつ200メッシュのふるい目を通過する粉末の割合が、亜鉛合金粉末全体の15質量%以下であり、前記負極内での前記顆粒状吸水ポリマーの含有量が、前記亜鉛合金粉末100質量部に対して、0.75〜1.1質量部であることを特徴とする。
本発明によれば、中負荷放電特性が良好であり、過放電時における電池内でのガス発生量が少ないアルカリ電池を提供することができる。
本発明のアルカリ電池の一例を示す断面図である。 本発明のアルカリ電池の他の例を示す断面図である。
従来のアルカリ電池では、重負荷放電特性を向上させるため、正極の反応効率向上の観点から水分量の検討がなされ、負極については、活物質である亜鉛合金粉末の粒径を小さくし、反応面積を大きくすることにより、目的とする特性が得られるよう対応がなされていた。
一方、本発明者らは、放電が進行するに伴い、負極内の水分が減少して放電反応に寄与しなくなる活物質を生じることが、負極の活物質の利用率を低下させ、中負荷放電特性を低下させる一因となっていることに気づいた。そこで、本発明者らは、中負荷放電特性の改善のために、放電が進行した場合でも、負極内に必要な水分が維持されるよう電池の設計を検討し直した。
しかし、負極内に含有される水分量が増えるよう、電池全体の電解液量を増加させることは、正極あるいは負極の充填量を減少させない限り、電池の漏液発生の可能性を高めることにつながってしまう。
一方、電池内の電解液の総量を増加させずに、正極と負極で電解液の配分を変えて、負極内に含有される水分量を増やす場合は、正極の反応に必要となる水分が不足し、正極の反応効率を低下させて放電容量の減少を招いてしまう。
本発明者らは、前記の問題を生じることなく、負極の活物質の利用率を向上させることのできる電池構成について検討した結果、負極活物質である亜鉛合金粉末において、添加元素の種類およびその含有量を調整し、かつ微粒子および粗粒子の割合を減少させること、および、放電が進行した段階でも負極内に一定の水分が保持され、かつ反応に必要な水分が負極活物質に供給されるよう、電解液の水分を吸収して膨潤する顆粒状吸水ポリマーを、亜鉛合金粉末100質量部に対して、一定の割合で負極内に含有させることにより、ある程度までは前記目的を達成することができることを突き止めた。
すなわち、本発明の負極に用いられる前記亜鉛合金粉末では、Alを0.005〜0.015質量%(50〜150ppm)、Biを0.005〜0.015質量%(50〜150ppm)、Inを0.02〜0.04質量%(200〜400ppm)、およびMgを0.0001〜0.003質量%(1〜30ppm)含有する組成とする。Alは、0.007〜0.013質量%であることが好ましく、Biは、0.007〜0.013質量%であることが好ましく、Inは、0.025〜0.035質量%であることが好ましく、Mgは、0.0003〜0.002質量%であることが好ましい。
前記添加元素は、少なすぎると本発明の効果が不充分となり、多すぎると、偏析の程度が大きくなって、電池の放電特性を低下させたり、ガス発生を促進させたりする原因となる。
なお、亜鉛合金粉末に係る亜鉛合金は、典型的には、前記合金元素以外の部分が、Znおよび不可避不純物であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、Caなど他の合金元素を含有していてもよい。
また、本発明の負極に用いられる前記亜鉛合金粉末では、50メッシュのふるい目を通過する粉末の割合を、亜鉛合金粉末全体の98質量%以上、好ましくは98.5質量%以上、より好ましくは99質量%以上とする。すなわち、実質的に、亜鉛合金粉末のほぼ全量が50メッシュのふるい目を通過するよう、亜鉛合金粉末の粒度を調整する。一方、200メッシュのふるい目を通過する粉末の割合を、15質量%以下、好ましくは12質量%以下、より好ましくは9質量%以下とする。すなわち、50メッシュから200メッシュの間に、ほとんどの亜鉛合金粉末の粒径が存在するよう、粒度分布を調整する。
なお、50メッシュは、ふるいの目開きが300μmに相当し、200メッシュは、ふるいの目開きが75μmに相当する。
これにより、負極内での放電反応が均一に進行しやすくなり、より少ない含有水分量で効率的に放電させることが可能となる。また、個々の亜鉛合金粉末の放電深度のばらつきが少なくなるため、他の粉末よりも放電が進行しにくいためガス発生しやすくなる粉末が生じるのを防ぐこともでき、過放電などの状態での電池内でのガス発生量を抑制することも可能となる。
ここで、水分を吸収して膨潤する顆粒状吸水ポリマーを、負極内に、亜鉛合金粉末100質量部に対して0.75質量部以上、好ましくは0.8質量部以上、より好ましくは0.85質量部以上含有させることにより、放電に必要な電解液(水分)を前記顆粒状吸水ポリマーに保持させることができる。そのため、放電が進行して負極内の流動可能な電解液が減少し、電解液の分布に偏りが生じやすくなった場合でも、前記顆粒状吸水ポリマーに保持された電解液が徐々に負極内に供給されるため、負極全体で亜鉛合金粉末の放電反応を進行させることができ、負極の利用率を向上させて中負荷放電特性を向上させることが可能となる。
ただし、顆粒状吸水ポリマーの含有量が多すぎる場合は、電解液が必要以上に顆粒状吸水ポリマーに保持され、流動可能な電解液が不足して負極の反応抵抗が増加してしまったり、亜鉛合金粉末の充填量が減少したり、後述するゲル状負極合剤の流動性が低下して生産性の悪化を招いたりするため、顆粒状吸水ポリマーの負極内での含有量は、亜鉛合金粉末100質量部に対して1.1質量部以下とし、1.05質量部以下とするのが好ましく、1質量部以下とするのがより好ましい。
なお、前記顆粒状吸水ポリマーの負極内での含有割合は、電解液を吸収する前の乾燥状態での割合を意味する。
また、負極の放電に伴い、反応物である酸化亜鉛が生成してイオンとなって拡散していく過程において、その一部が亜鉛合金の表面に留まり、放電反応を阻害して負極の抵抗を上昇させ、負極の利用率低下の原因となることが知られている。本発明者らは、前記負極構成において、負極の反応生成物を拡散しやすくすることが、中負荷放電特性のより一層の向上のために必要であると考え、負極構成について更なる検討を行った。
その結果、負極に含有されるアルカリ電解液が、水酸化カリウムを33質量%以上、好ま しくは33.5質量%以上の濃度で含有する水溶液である場合には、亜鉛合金の表面への酸化亜鉛の析出による放電特性の低下を抑制することができることを突き止めた。負極に含有されるアルカリ電解液は、放電反応の進行と共に水酸化カリウム濃度が上昇し、また、後述する正極合剤の形成に用いるアルカリ電解液の濃度が負極に含有されるアルカリ電解液の濃度よりも高い場合には、電池の組み立て後に、徐々に濃度が上昇していく。しかし、少なくとも電池の組み立て時には、イオン伝導性を良好なものとするために、負極に含有されるアルカリ電解液中の水酸化カリウムの濃度は、38質量%以下とすることが好ましく、36.5質量%以下とすることがより好ましく、35質量%以下とすることが最も好ましい。
以下、本発明のアルカリ電池の構成を詳細に説明する。
<負極>
本発明のアルカリ電池に係る負極には、前記亜鉛合金粉末と、前記顆粒状吸水ポリマーと、アルカリ電解液とを有するゲル状の負極合剤(ゲル状負極)が使用される。
前記亜鉛合金粉末は、前述したように、粗粒および微粒の割合が少なくなるよう粒度が調整されたものであるが、本発明の効果をより優れたものとするため、その平均粒径は、120μm以上とするのが好ましく、150μm以上とするのがより好ましく、一方、200μm以下とするのが好ましく、185μm以下とするのがより好ましい。
前記顆粒状吸水ポリマーとしては、負極合剤を形成する際にアルカリ電解液を吸収して膨潤し、負極内で反応に必要な水分を保液できるものであれば特に限定はされないが、ポリ(メタ)アクリル酸やその架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸塩やその架橋体などが好ましく用いられる。なお、前記ポリ(メタ)アクリル酸および前記ポリ(メタ)アクリル酸塩には、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸塩以外のモノマー成分が含まれていてもよい。また、ポリ(メタ)アクリル酸塩としては、アルカリ金属塩やアンモニウム塩などが例示され、ナトリウム塩やカリウム塩が好ましく用いられる。
前記吸水ポリマーは、液保持性に優れる顆粒状のものを用いることにより、負極活物質の反応に必要な水分を充分に保持することが可能となる。
なお、前記顆粒状吸水ポリマーの平均粒子径は、負極内で亜鉛合金粉末を保持しやすくするために、50μm以上とすることが好ましく、100μm以上とすることがより好ましく、150μm以上とすることが最も好ましい。一方、放電反応を阻害しないために、700μm以下とすることが好ましく、500μm以下とすることがより好ましく、300μm以下とすることが最も好ましい。
負極に含有させる前記アルカリ電解液としては、特に制限は無く、従来から知られているアルカリ電池やアルカリ蓄電池に使用されている電解液と同様のもの(例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物の水溶液などのアルカリ水溶液)が使用できるが、前述した負極の反応生成物を拡散させやすくする点から、少なくとも水酸化カリウムを含有する水溶液であって、その濃度が33質量%以上である水溶液が用いられる。
また、本発明のアルカリ電池に係る負極には、各種の添加剤をそのまま、あるいは前記アルカリ電解液に溶解させた状態で含有させることも可能である。前記添加剤としては、インジウム化合物や亜鉛化合物などが好ましく用いられる。
負極にインジウム化合物を含有させることにより、亜鉛合金粉末の表面にInが偏析し、亜鉛合金粉末の表面での放電生成物の析出や、亜鉛合金粉末の腐食によるガス発生を抑制する効果が期待できる。前記インジウム化合物としては、例えば、酸化インジウム、水酸化インジウムなどが例示される。前記インジウム化合物の含有量は、亜鉛合金粉末100質量部に対して、0.003〜0.05質量部とすることが好ましい。
また、負極に亜鉛化合物を含有させることにより、亜鉛合金粉末の腐食によるガス発生を抑制する効果が期待できる。前記亜鉛化合物としては、例えば、酸化亜鉛、ケイ酸亜鉛、チタン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛などの化合物を用いることができ、アルカリ電解液に溶解させた状態で含有させることが好ましく、特に、酸化亜鉛が好適に用いられる。
前記亜鉛化合物の含有量は、アルカリ電解液に溶解させて用いる場合には、その濃度が1〜4質量%であることが好ましく、2.5〜3.5質量%であることがより好ましい。
本発明のアルカリ電池に係る負極には、ゲル状にする際の粘度を好適な範囲とするために、アルカリ電解液に可溶である増粘剤を含有させることが好ましい。前記増粘剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類またはその塩などが例示され、架橋分枝型ポリ(メタ)アクリル酸、架橋分枝型ポリ(メタ)アクリル酸塩が好ましく用いられる。前記ポリ(メタ)アクリル酸塩および前記セルロース類の塩としては、アルカリ金属塩やアンモニウム塩などが例示され、ナトリウム塩やカリウム塩が好ましく用いられる。
負極中での前記増粘剤の含有量は、負極合剤の粘度を充分に高めるため、前記亜鉛合金粉末100質量部に対して、0.15質量部以上とするのが好ましく、0.2質量部以上とするのがより好ましく、一方、負極合剤にある程度の流動性を付与するために、0.35質量以下とするのが好ましく、0.3質量部以下とするのがより好ましい。
また、前記顆粒状吸水ポリマーと前記増粘剤の含有量の合計は、前記亜鉛合金粉末100質量部に対して、0.95〜1.35質量部とするのが好ましく、1質量部以上であることがより好ましく、1.05質量部以上であることが最も好ましく、また、1.3質量部以下であることがより好ましく、1.25質量部以下であることが最も好ましい。
前記亜鉛合金粉末、前記顆粒状吸水ポリマー、前記アルカリ電解液、および前記増粘剤などは混合されてゲル状の負極合剤とされ、本発明のアルカリ電池の負極として使用される。なお、前記負極合剤における前記亜鉛合金粉末の含有量は、例えば、60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、また、75質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましい。
<正極>
本発明のアルカリ電池に係る正極は、例えば、正極活物質、および導電助剤、更には成形のためのアルカリ電解液およびバインダを混合して正極合剤とし、この正極合剤をリング状などに加圧成形することにより形成される。
正極活物質としては、二酸化マンガンなどのマンガン酸化物、オキシ水酸化ニッケルなどのニッケル酸化物、酸化銀などの銀酸化物などを用いることができるが、二酸化マンガンが好ましく用いられる。
正極活物質は、反応面積を一定以上とし反応効率を高めるために、そのBET比表面積が、20m2/g以上であることが好ましく、25m2/g以上であることがより好ましい。
一方、負極の特性向上に合わせ、正極側の特性も向上させることが望ましく、正極活物質のBET比表面積を40m2/g以下、好ましくは35m2/g以下とすることにより、正極合剤の成形性を向上させて合剤の密度を高めることが望ましい。これにより、正極活物質の充填量を増加させて正極の容量を大きし、負極の特性向上に対応させることができる。
なお、ここでいう正極活物質のBET比表面積は、多分子層吸着の理論式であるBET式を用いて、表面積を測定、計算したもので、活物質の表面と微細孔の比表面積である。具体的には、窒素吸着法による比表面積測定装置(例えば、Mountech社製 Macsorb HM modele−1201)を用いて、BET比表面積として得た値である。
また、正極活物質の平均粒子径は、反応面積を一定以上とし反応効率を高めるために、45μm以下とすることが好ましく、40μm以下とすることがより好ましい。一方、正極合剤の成形性を向上させて合剤の密度を高めるために、30μm以上とすることが好ましく、33μm以上とすることがより好ましい。
正極に係る導電助剤としては、例えば、黒鉛、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどを用いることができる。正極合剤中の導電助剤量は、導電性向上の観点から、正極活物質100質量部に対して、3質量部以上とすることが好ましく、4.5質量部以上とすることがより好ましく、6質量部以上とすることが最も好ましい。一方、正極の容量確保のためには、正極活物質100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましく、8.5質量部以下とすることがより好ましく、7質量部以下とすることが最も好ましい。
正極に係るバインダとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴムなどを用いることができる。正極合剤中のバインダ量は、例えば、0.1〜1質量%とすることが好ましい。
正極に用いるアルカリ電解液としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物を水に溶解させたアルカリ水溶液や、それに酸化亜鉛などを添加したものなどが用いられるが、電池の放電特性を高める観点からは、水酸化カリウム水溶液がより好ましい。電解液中のアルカリ金属の水酸化物の濃度としては、例えば水酸化カリウムの場合、40〜60質量%であることが好ましく、また、酸化亜鉛を使用する場合、その濃度は、1.0〜4.0質量%であることが好ましい。
なお、本発明において用いられる平均粒子径は、粒度分布計を用いた粒度分布の測定により得られる体積平均粒子径(D50)として表される値である。
<電解液>
正極および負極に使用する以外に電池内に注入するためのアルカリ電解液、例えばセパレータに吸液させるためのアルカリ電解液としては、前記の正極や負極に係る電解液と同様に、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物の水溶液からなるアルカリ水溶液や、それに酸化亜鉛を添加したものなどを用いることができるが、負極に用いられるアルカリ電解液と同様の構成とすることが好ましい。
<セパレータ>
本発明のアルカリ電池に係るセパレータについては特に制限は無く、例えば、ビニロンとレーヨンを主体とする不織布、ビニロン・レーヨン不織布(ビニロン・レーヨン混抄紙)、ポリアミド不織布、ポリオレフィン・レーヨン不織布、ビニロン紙、ビニロン・リンターパルプ紙、ビニロン・マーセル化パルプ紙などを用いることができる。また、親水処理された微孔性ポリオレフィンフィルム(微孔性ポリエチレンフィルムや微孔性ポリプロピレンフィルムなど)とセロファンフィルムとビニロン・レーヨン混抄紙のような吸液層とを積み重ねたものをセパレータとしてもよい。
<電池系内の水分量>
例えば、二酸化マンガンを正極活物質とし、亜鉛を負極活物質とするアルカリ電池の放電反応は、以下の式(1)に従い進行する。
2MnO2 + Zn + H2O → MnOOH + ZnO (1)
前記の式(1)より明らかなように、アルカリ電池においては、放電時に水が消費されるため、放電反応の面からは、電池内に一定以上の水分が存在することが望ましく、本発明のアルカリ電池では、電池系内の水分量を、正極活物質1gあたり、0.23g以上とするのが好ましく、0.245g以上とするのがより好ましい。あるいは、電池系内の水分量を、負極の有する亜鉛合金粉末1gあたり、0.585g以上とするのが好ましく、0.6g以上とするのがより好ましい。
一方、電池内でのガス発生(特に過放電時における電池内でのガス発生)を抑制しやすくするためには、反応に関わらない余分な水分をできるだけ減らすことが望ましく、電池系内の水分量を、正極活物質1gあたり、0.27g以下とするのが好ましく、0.26g以下とするのがより好ましい。あるいは、電池系内の水分量を、負極の有する亜鉛合金粉末1gあたり、0.675g以下とするのが好ましく、0.66g以下とするのがより好ましい。
前記のように電池系内の水分量を調整することにより、中負荷放電特性が良好であり、過放電時における電池内でのガス発生量が少ないアルカリ電池を構成しやすくなる。
<アルカリ電池の構造、およびその他の構成要素>
本発明のアルカリ電池では、その形状などについては特に制限は無いが、例えば、筒形(円筒形や角筒形など)の形状のものが挙げられる。以下、図面を用いて、本発明の電池の構造を説明する。図1は、本発明のアルカリ電池の一例を示す断面図である。図1のアルカリ電池は、金属製(Niメッキを施した鉄、ステンレス鋼など)の外装缶1内に、リング状に成形された正極2(正極合剤成形体)が配置されており、その内側にコップ状のセパレータ3が配置され、アルカリ電解液(図示しない)がセパレータ3の内側から注入されている。更にセパレータ3の内側には亜鉛合金粉末を含む負極4(ゲル状の負極合剤)が充填されている。外装缶1における1bは正極端子である。外装缶1の開口端部1aには、金属製(Niメッキを施した鉄、ステンレス鋼など)の負極端子板7が配されており、樹脂製の封口体6の外周縁部62を介して前記開口端部1aが内側に折り曲げられて封口されている。負極端子板7には、金属製(Snメッキなどを施した真鍮など)の負極集電棒5が、その頭部で溶接されており、負極集電棒5は、封口体6の中央部61に設けられた透孔64を通じて負極4内に挿入されている。また、封口時の負極端子板7の変形を防ぎ、かつ封口体6を内側から支える支持手段として、金属ワッシャ9(円板状の金属板)が配置されている。そして、樹脂製の封口体6には、防爆用の薄肉部63が形成されている。短絡時に電池内においてガスが発生した場合、封口体6の薄肉部63が優先的に開裂し、生じた裂孔からガスが金属ワッシャ9側に移動する。金属ワッシャ9および負極端子板7にはガス抜き孔が設けられており(図示しない)、電池内のガスは、これらのガス抜き孔を通じて電池外に排出される。樹脂製の封口体6を構成する樹脂としては、例えば、ナイロン66などが挙げられる。
図2に、本発明のアルカリ電池の他の例の断面図を示す。図2中、図1と同じ作用を有する要素は同じ符号を付して、重複説明を避ける。図2中、8は、外装缶1と負極端子板7とを絶縁するための絶縁板であり、20は、発電要素を収納している胴部分である。
図1に示すアルカリ電池では、金属ワッシャ9を使用している関係上、封口部分(図1中、10)の占める体積が大きくなってしまう。これに対し、この図2の電池のように金属ワッシャをなくし、封口体6を内側から支える支持手段として負極端子板7を利用することで、封口部分10の占める体積を減少させて発電要素を収容できる胴部分20の体積を大きくすることができ、正極2および負極4の各合剤の充填量を、図1の電池よりも高めることができる。
(実施例1)
<正極合剤の形成>
水分を1.6質量%含有する二酸化マンガン(平均粒子径:36.5μm、BET比表面積:31m2/g)、黒鉛、酸化亜鉛、ポリテトラフルオロエチレン粉末および正極合剤調製用のアルカリ電解液(水酸化カリウムを56質量%、および酸化亜鉛を2.9質量%含有する水溶液)を100:7.7:0.2:0.2:6.9の質量比で、50℃の温度下で混合して正極合剤を調製した。なお、正極合剤が含有する電解液の水酸化カリウム濃度は、二酸化マンガンの含有水分を考慮すると45.4質量%となった。
<負極合剤の形成>
Alを0.01質量%(100ppm)、Biを0.01質量%(100ppm)、Inを0.03質量%(300ppm)、Mgを0.0005質量%(5ppm)の割合で含有する亜鉛合金からなる粉末と、平均粒子径が500μmの顆粒状ポリアクリル酸ナトリウムの架橋体と、ポリアクリル酸および負極合剤調製用のアルカリ電解液(水酸化カリウムを34質量%、および酸化亜鉛を2.9質量%含有する水溶液)を、100:0.91:0.24:48.1の質量比で混合し、ゲル状の負極合剤を調製した。
なお、前記亜鉛合金粉末は、平均粒子径が170μmで、50メッシュのふるい目を通過した粉末の割合が粉末全体の98.7質量%であり、かつ200メッシュのふるい目を通過した粉末の割合が、粉末全体の11質量%であった。
<電池の作製>
外装缶として、表面に無光沢Niメッキを施したキルド鋼板製で、図2に示す形状の単3形アルカリ電池用外装缶1を用意した。この外装缶1は、封口部分10の厚みが0.25mmで、胴部分20の厚みが0.16mmに加工され、また、電池を落下させたときに正極端子1bのへこみを防ぐために、正極端子部分の缶厚は封口部と同じ厚みにしている。この外装缶1を用いて、以下のようにしてアルカリ電池を作製した。
前記正極合剤:11.1gを、前記外装缶1に挿入してボビン状(中空円筒状)に加圧成形し、内径:9.1mm、外径:13.7mm、高さ:13.9mmの3個の正極合剤成形体(密度:3.28g/cm3)が積み重なった状態とした。次に、外装缶1の開口端から高さ方向において3.5mmの位置にグルーブを施し、外装缶1と封口体6との密着性を向上させるために、このグルーブ位置まで外装缶1の内側にピッチを塗布した。
次に、厚みが100μmで目付が30g/m2のアセタール化ビニロンとテンセルからなる不織布を三重に重ねて筒状に巻き、底部になる部分を折り曲げてこの部分を熱融着し、一端が閉じられたコップ状のセパレータ3とした。このセパレータ3を、外装缶1内に挿入された正極1の内側に装填し、セパレータに吸液させるためのアルカリ電解液(水酸化カリウムを34質量%、および酸化亜鉛を2.9質量%含有する水溶液)1.33gをセパレータの内側に注入し、さらに、前記負極合剤:5.74gをセパレータ3の内側に充填して負極4とした。このとき、電池系内の水分量は、正極活物質1gあたり0.256g、負極の有する亜鉛合金粉末1gあたり0.633gであった。
前記発電要素の充填の後、表面がスズメッキされた真鍮製であり、ナイロン66製の封口体6と組み合わされた負極集電棒5を、負極4の中央部に差し込み、外装缶1の開口端部1aの外側からスピニング方式によりかしめることにより、図2に示す単3形アルカリ電池を作製した。ここで、前記負極集電棒5は、打ち抜き・プレス加工により形成された厚みが0.4mmのニッケルメッキ鋼板製の負極端子板7に、あらかじめ溶接により取り付けられたものを用いた。また、外装缶1の開口端と負極端子板7との間には、短絡防止のために絶縁板8を装着した。以上のようにして実施例1の筒形アルカリ電池を作製した。
(実施例2)〜(実施例5)
負極合剤の作製に際し、亜鉛合金粉末100質量部に対する、顆粒状吸水ポリマー(顆粒状ポリアクリル酸ナトリウムの架橋体)および増粘剤(ポリアクリル酸)の割合を、後の表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、アルカリ電池を作製した。
(比較例1)
負極合剤の作製に際し、亜鉛合金粉末100質量部に対する、顆粒状吸水ポリマーの割合を0.61質量部とし、合剤の粘度調整のため増粘剤の割合を0.54質量部とした以外は実施例1と同様にして、アルカリ電池を作製した。
(比較例2)
負極合剤の作製に際し、亜鉛合金粉末100質量部に対する、顆粒状吸水ポリマーの割合を1.21質量部とした以外は実施例1と同様にして、アルカリ電池を作製した。
実施例1〜5および比較例1〜2のアルカリ電池における、負極合剤中の顆粒状吸水ポリマーおよび増粘剤の割合を、表1に示す。
Figure 0006734155
(比較例3)
負極活物質である亜鉛合金粉末を、50メッシュのふるい目を通過した粉末の割合が粉末全体の99質量%であり、かつ200メッシュのふるい目を通過した粉末の割合が、粉末全体の25質量%であるものに変更した以外は実施例1と同様にして、アルカリ電池を作製した。
(比較例4)
負極活物質である亜鉛合金粉末を、50メッシュのふるい目を通過した粉末の割合が粉末全体の95質量%であり、かつ200メッシュのふるい目を通過した粉末の割合が、粉末全体の10.5質量%であるものに変更した以外は実施例1と同様にして、アルカリ電池を作製した。
(比較例5)
負極活物質である亜鉛合金粉末を、Alの含有割合が0.05質量%(500ppm)であるものに変更した以外は実施例1と同様にして、アルカリ電池を作製した。
(比較例6)
負極活物質である亜鉛合金粉末を、Biの含有割合が0.05質量%(500ppm)であるものに変更した以外は実施例1と同様にして、アルカリ電池を作製した。
(比較例7)
負極活物質である亜鉛合金粉末を、Inの含有割合が0.07質量%(700ppm)であるものに変更した以外は実施例1と同様にして、アルカリ電池を作製した。
(比較例8)
負極活物質である亜鉛合金粉末を、Mgの含有割合が0.005質量%(50ppm)であるものに変更した以外は実施例1と同様にして、アルカリ電池を作製した。
<電池の標準容量の測定>
実施例1〜5および比較例1〜8のアルカリ電池に対し、50mAの電流値で電池電圧が0.9Vに低下するまで放電させ、各電池の標準容量を評価した。
<中負荷放電特性の測定>
実施例1〜5および比較例1〜8のアルカリ電池に対し、3.9Ωの放電抵抗を接続し、20℃で1時間放電させ、次いで23時間休止する放電−休止サイクルを繰り返し、電池電圧が0.9Vに低下するまでの総放電時間を測定した。
実施例および比較例の各電池について、それぞれ5個ずつで前記の測定を行い、その平均値から各電池の中負荷放電特性を評価した。
<過放電時のガス発生量の測定>
実施例1〜5および比較例1〜8のアルカリ電池に対し、10Ωの放電抵抗を接続し、20℃で48時間放電させて過放電状態とした。放電終了後に、電池を20℃で120時間保持した後、水中で電池を分解し、水上置換法により電池内のガスを捕集してその体積を測定した。
実施例および比較例の各電池について、それぞれ5個ずつで前記のガス量測定を行い、その平均値を各電池の過放電時のガス発生量とした。
前記の各測定結果について、実施例1のアルカリ電池の値を100としたときの相対値を表2に示す。
Figure 0006734155
表2に示されるように、本発明のアルカリ電池では、負極活物質である亜鉛合金粉末について、その添加元素であるAl、Bi、InおよびMgの含有量を好適な値とし、かつ微粒子および粗粒子の割合を減少させ、電解液の水分を吸収して膨潤する顆粒状吸水ポリマーを、亜鉛合金粉末に対して一定の割合で負極内に含有させることにより、中負荷放電特性が良好であり、過放電時における電池内でのガス発生量が少ないアルカリ電池とすることができた。
1 外装缶
2 正極
3 セパレータ
4 負極
5 負極集電棒
6 樹脂製の封口体
7 負極端子板
8 絶縁板
9 金属ワッシャ
63 防爆用の薄肉部

Claims (6)

  1. 亜鉛合金粉末と、顆粒状吸水ポリマーと、アルカリ電解液とを含有する負極、正極活物質を含有する正極およびセパレータを有するアルカリ電池であって、
    前記亜鉛合金粉末は、Alを0.005〜0.015質量%、Biを0.005〜0.015質量%、Inを0.02〜0.04質量%、およびMgを0.0001〜0.003質量%それぞれ含有し、
    前記亜鉛合金粉末は、50メッシュのふるい目を通過する粉末の割合が、亜鉛合金粉末全体の98質量%以上であり、かつ200メッシュのふるい目を通過する粉末の割合が、亜鉛合金粉末全体の15質量%以下であり、
    前記負極内での前記顆粒状吸水ポリマーの含有量が、前記亜鉛合金粉末100質量部に対して、0.75〜1.1質量部であるアルカリ電池。
  2. 前記負極が、さらに増粘剤を含有し、
    前記増粘剤の含有量が、前記亜鉛合金粉末100質量部に対して、0.15〜0.35質量部である請求項1に記載のアルカリ電池。
  3. 前記負極が、さらに増粘剤を含有し、
    前記顆粒状吸水ポリマーと前記増粘剤の含有量の合計が、前記亜鉛合金粉末100質量部に対して、0.95〜1.35質量部である請求項1または2に記載のアルカリ電池。
  4. 前記亜鉛合金粉末の平均粒子径が、120μm以上200μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載のアルカリ電池。
  5. 前記アルカリ電解液が、水酸化カリウムを33質量%以上38質量%以下の濃度で含有する水溶液である請求項1〜4のいずれかに記載のアルカリ電池。
  6. 前記正極活物質のBET比表面積が、20m 2 /g以上40m 2 /g以下である請求項1〜5のいずれかに記載のアルカリ電池。
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