JP6760367B2 - クロマトグラフ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、液体クロマトグラフ(LC)やガスクロマトグラフ(GC)などのクロマトグラフ装置に関する。ここでいうクロマトグラフ装置は、検出器として質量分析装置を用いた液体クロマトグラフ質量分析装置(LC−MS)やガスクロマトグラフ質量分析装置(GC−MS)を含む。
液体クロマトグラフでは、移動相である溶離液中にインジェクタから液体試料を注入し、溶離液の流れに乗せて液体試料をカラムに送り込む。そして、液体試料に含まれる各種化合物をカラムを通過する間に時間方向に分離し、その分離された各種化合物をカラム出口に設けた検出器によって順次検出する。検出器からの検出信号を受けるデータ処理部では、試料注入時点からの経過時間とカラムから溶出した化合物に対する信号強度との関係を示すクロマトグラムを作成することができる。ガスクロマトグラフでは、移動相としてキャリアガスを用い、一般にカラム入口に設けた試料気化室をインジェクタとして用いる等の構成上の相違はあるものの、基本的に、カラムで時間的に分離した化合物を検出器で順次検出する点は液体クロマトグラフと同じである。
こうしたクロマトグラフ装置においてデータ処理部は、検出器で得られた検出信号、即ちクロマトグラムを構成するクロマトグラムデータを収集するが、そのデータの収集の開始及び終了のタイミングは、時間により指定されるのが一般的である。例えば、液体クロマトグラフでは、インジェクタからの試料注入時点を起点つまり時間ゼロとし、測定開始時間及び測定終了時間をそれぞれ予め分析者が指定することで、データ処理部が実際にクロマトグラムデータを有効なデータとして記憶部に取り込む期間の開始及び終了のタイミングが決定される(例えば特許文献1等参照)。定量したい目的化合物や試料中に含まれているか否かを確認したい目的化合物が予め決まっている場合、分析者は、そうした目的化合物の既知である標準的な保持時間に基づいて測定開始時間及び測定終了時間を指定することができる。
しかしながら、保持時間は移動相の流量や流速、カラムの温度条件などの分離条件によって変動するため、分離条件が適切でないと、分析者が指定した測定終了時間以降に目的化合物がカラムから溶出し、該目的化合物に対応するクロマトグラムデータを取り逃がすことがある。また逆に、分析者が指定した測定終了時間よりもかなり早い時点で目的化合物が溶出し終わった場合には、測定終了時間まで意味のないデータを収集し続けることになる。その結果、無駄な測定時間を費やすことになるとともに、意味のないデータを記憶部に取り込むために記憶部の記憶容量も無駄に費やすことになる。
特開2014−89092号公報(段落[0005])
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、クロマトグラムデータを収集する際に目的化合物に対応するデータの取り逃がしを防止する一方、目的化合物に対応するデータ以外の不要なデータを収集する無駄な時間を極力減らすことで測定効率を上げることができるクロマトグラフ装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明の第1の態様は、試料に含まれる化合物を時間方向に分離するためのカラムと、該カラムに移動相を供給する移動相供給部と、該移動相供給部により前記カラムに供給される移動相中に試料を導入する試料導入部と、前記カラムから溶出する試料中の化合物を検出する検出部と、を具備するクロマトグラフ装置において、
a)測定実行中に前記検出部で得られる検出信号に基づいてクロマトグラムを略リアルタイムで作成するクロマトグラム作成部と、
b)前記クロマトグラム作成部で作成されたクロマトグラム上で所定の条件の下でピークを検出するピーク検出部と、
c)測定実行中に時間経過に伴って前記ピーク検出部で検出されたピークの数を計数し、その計数値が所定値になったとき、そのときに実行中である測定の測定終了条件満たされたと判断する測定終了条件検知部と、
d)前記測定終了条件検知部による測定終了条件が満たされたとの判断の結果を受けて、実行中である測定によるデータの収集を停止する測定終了実行部と、
を備えることを特徴としている。
上記課題を解決するために成された本発明の第2の態様は、試料に含まれる化合物を時間方向に分離するためのカラムと、該カラムに移動相を供給する移動相供給部と、該移動相供給部により前記カラムに供給される移動相中に試料を導入する試料導入部と、前記カラムから溶出する試料中の化合物を検出するものであって所定の波長範囲又は質量電荷比範囲に亘る検出を行う検出部と、を具備するクロマトグラフ装置において、
a)測定実行中に前記検出部で得られる検出信号に基づいて所定の波長範囲又は質量電荷比範囲に亘るスペクトルを略リアルタイムで作成するスペクトル作成部と、
b)基準スペクトルを記憶しておくスペクトル記憶部と、
c)前記スペクトル作成部で作成された実測スペクトルと前記スペクトル記憶部に記憶されている基準スペクトルとの類似性を判定し、その類似性の判定結果により測定終了条件を満たしたと判断する測定終了条件検知部と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係るクロマトグラフ装置は、液体クロマトグラフ装置又はガスクロマトグラフ装置である。また、本発明の第1の態様によるクロマトグラフ装置では、検出部は特に限定されないが、本発明の第2の態様によるクロマトグラフ装置では、検出部は所定の波長範囲又は質量電荷比範囲に亘る検出を行うものである。具体的には、第2の態様によるクロマトグラフ装置における検出部は、所定の波長範囲に亘る検出を略同時に行うフォトダイオードアレイ(PDA)検出器や所定の波長範囲に亘る検出を短時間の波長走査によって行う紫外可視分光光度計、或いは、所定の質量電荷比範囲に亘る検出を略同時に行う質量分析計などである。
本発明の第1の態様のクロマトグラフ装置において、クロマトグラム作成部は、試料に対する測定実行中に検出部から順次得られる検出信号に基づいて、クロマトグラムを略リアルタイムで作成する。上述したように検出部が所定の波長範囲に亘る検出を行うものである場合、クロマトグラム作成部は、指定された波長におけるクロマトグラムと所定の波長範囲全体におけるクロマトグラムのいずれか一方又はその両方を作成するものとすることができる。また検出部が質量電荷比範囲に亘る検出を行うものである場合、クロマトグラム作成部は、指定された質量電荷比におけるクロマトグラムと所定の質量電荷比範囲全体におけるクロマトグラムのいずれか一方又はその両方を作成するものとすることができる。例えば検出部が質量分析計である場合には、指定された質量電荷比におけるマスクロマトグラム(抽出イオンクロマトグラム)と、トータルイオンクロマトグラムとのいずれか一方又はその両方を作成するものとすることができる。
ピーク検出部によりピーク検出する対象として、指定された波長又は指定された質量電荷比におけるクロマトグラムと、所定の波長範囲全体又は所定の質量電荷比範囲全体におけるクロマトグラムとのいずれかを用いるかの選択や、指定された波長又は指定された質量電荷比におけるクロマトグラムを用いる場合におけるその波長や質量電荷比の指定は、分析者(ユーザー)が適宜に行えるようにしておくことが好ましい。
ピーク検出部は、上述したように作成されたクロマトグラム上で所定の条件の下でピークを検出する。ピーク検出条件予め適宜に定めておけばよい。また、一般的なピーク検出手法により検出されるピークの中で例えばそのピークトップの強度やピークの幅が所定の閾値以下のものをここではピークとみなさないとしてもよい。これにより、例えば小さなノイズピークが多い状況の下で、こうしたノイズピークを検出対象のピークから除外することができる。
そして測定終了条件検知部は、ピーク検出部で検出されたピークの数を計数してゆき、その計数値が所定値になったときに測定終了条件を満たしたと判断する。この所定値は測定条件の一つとして予め分析者が指定できるようにしておくことが好ましい。これにより、クロマトグラムに現れるピークの数が所定値に達したときに、つまり一般的には、所定値と同じ数の化合物がカラムから溶出し終えたときに測定終了条件を満たしたと判断することができる。例えば、試料に含まれる目的化合物の数が既知であり、該目的化合物以外の未知の化合物の混入がないような場合には、目的化合物の数に対応したピーク本数を上記所定値として設定しておくことで、ピークの時間方向のずれの有無に拘わらず、全ての目的化合物がカラムから溶出し終えたときに測定終了条件を満たしたと判断することができる。
一方、本発明の第2の態様のクロマトグラフ装置では、例えば分析者は予め目的化合物に対応するスペクトル(吸光スペクトル、マススペクトル)をスペクトル記憶部に基準スペクトルとして記憶させておく。もちろん、多数のスペクトルが収録されたデータベースから分析者が適宜のものを指定し、基準スペクトルとしてスペクトル記憶部に記憶させたり単に基準スペクトルとしてマーキングしたりしてもよい。スペクトル作成部は、試料に対する測定実行中に検出部から順次得られる検出信号に基づいて、所定の波長範囲に亘る吸光スペクトル又は所定の質量電荷比範囲に亘るマススペクトルを略リアルタイムで作成する。そして測定終了条件検知部は、スペクトル作成部で作成された実測スペクトルと基準スペクトルとの類似性を判定し、例えば所定のアルゴリズムに従って求めた類似度が所定の閾値以上であれば測定終了条件を満たしたと判断する。
実測スペクトルと基準スペクトルとの類似性はパターン全体を比較してもよいが、例えばマススペクトルの場合には、強度が所定値以上であるピークの質量電荷比値のみを比較し、その質量電荷比値の共通性が高い場合にスペクトルの類似性が高いと判断してもよい。
また上記第2の態様のクロマトグラフ装置では、測定終了条件検知部は、指定された保持時間範囲中でのみ、実測スペクトルと基準スペクトルとの類似性の判定に基づいて測定終了条件を満たしたか否かを判定する構成としてもよい。
この構成によれば、例えば目的化合物のスペクトルに類似したスペクトルを有する別の化合物が試料に含まれていたり、或いは複数の化合物の重なりによって偶然にスペクトルの形状が目的化合物のスペクトルに類似してしまったりした場合であっても、そうした目的化合物のスペクトルに類似した偽のスペクトルが発生する時間が目的化合物の保持時間から大きくかけ離れていれば、その偽のスペクトルを目的化合物のスペクトルであると誤って判定することを回避することができる。その結果、測定終了条件の判定の正確性を高めることができる。
また本発明に係る第1の態様のクロマトグラフ装置では、前記測定終了実行部は、前記測定終了条件検知部により測定終了条件を満たしたと判断された時点から所定の時間が経過したあとにデータの収集を停止する構成とすることができ、第2の態様のクロマトグラフ装置では、測定終了条件検知部により測定終了条件を満たしたと判断された時点から、所定の時間が経過したあとに測定を終了する指示を行う測定終了実行部をさらに備える構成とすることが好ましい。
なお、この所定の時間は一定に定めておいてもよいが、分析者が自由に設定できるようにしてもよい。
この構成によれば、クロマトグラム上で目的化合物に対応するピークが完全に終了するよりも前に測定終了条件が満たされたと判定された場合でも、該ピークに対応するデータを全て収集したあとに測定を終了することができる。
本発明に係るクロマトグラフ装置によれば、様々な要因によって保持時間のずれが生じる場合であっても、目的化合物に対応するクロマトグラムデータを収集し終える前に測定が終了してしまうことを防止し、目的化合物に対応するクロマトグラムデータを確実に収集することができる。また逆に、全ての目的化合物に対応するクロマトグラムデータを収集し終えたあと、早い時点で測定を終了することができる。それにより、不要なデータを収集する無駄な測定時間を減らすことができ、測定効率を上げることができるとともに移動相の無駄な消費も抑えることができる。また、クロマトグラムデータとして収集されるデータの量も抑えられるので、該データを記憶する記憶装置の容量を節約することができるとともに、データ処理の際のコンピュータ等の負荷も軽減することができる。
本発明に係るクロマトグラフ装置の第1実施例であるLC装置の要部の構成図。 第1実施例のLC装置における特徴的な制御・処理動作を説明するための模式図。 本発明に係るクロマトグラフ装置の第2実施例であるLC装置の要部の構成図。 第2実施例のLC装置における特徴的な制御・処理動作を説明するための模式図。
[第1実施例]
以下、本発明に係るクロマトグラフ装置の第1実施例であるLC装置について、添付図面を参照して説明する。図1は第1実施例のLC装置の要部の構成図である。
このLC装置は、測定部1として、移動相容器10から移動相を吸引して一定流速で送給する送液ポンプ11と、移動相中に一定量の液体試料を注入するインジェクタ12と、液体試料中の各種化合物を時間方向に分離するカラム13と、カラム13を温調するカラムオーブン14と、カラム13の出口から溶出する溶出液中の化合物を検出するPDA検出器15と、PDA検出器15による検出信号をデジタルデータに変換するアナログデジタル変換器(ADC)16と、を備える。PDA検出器15は所定の波長範囲λa〜λbに亘る吸光度を同時に検出可能な検出器である。
データ処理部2は、クロマトグラムデータを収集してデータ記憶部21に格納するデータ収集部20と、収集されたデータに基づいて略リアルタイムでクロマトグラムを作成するクロマトグラム作成部22と、作成されたクロマトグラム上で予め設定されている条件に従ってピークを検出するピーク検出部23と、検出されたピークの個数を計数しその計数値に基づいて測定終了条件が満たされたか否かを判定する測定終了条件検知部24と、測定終了条件が満たされことの検知信号を受けて実際に測定を終了するタイミングを決定する測定終了タイミング決定部25を、機能ブロックとして備える。なお、クロマトグラム作成部22は、指定された特定の波長におけるクロマトグラムと所定の波長範囲λa〜λb全体のクロマトグラムとを共に作成することができる。
分析制御部3は測定を実行するために測定部1の各部及びデータ処理部2の動作を制御するものである。また、中央制御部4はシステム全体の制御と入出力制御を担うものであり、例えばキーボード等の入力部5とモニタである表示部6とが中央制御部4に接続されている。
なお、データ処理部2及び中央制御部4は(場合によっては分析制御部3の一部も)パーソナルコンピュータをハードウエア資源とし、該コンピュータにインストールされた専用の制御・処理ソフトウエアをコンピュータ上で実行することにより、それぞれの機能を発揮させる構成とすることができる。
第1実施例のLC装置における特徴的な制御・処理動作を図2を参照しつつ説明する。図2はこの説明のための模式図である。
分析者は測定に先立ち、測定条件の一つとして、測定開始時間と測定終了条件とを入力部5から指定する。測定開始時間は、従来と同様に、例えばインジェクタ12からの液体試料の注入時点を時間ゼロとしてデータの収集を開始する経過時間である。したがって、例えば測定開始時間をゼロと指定すれば、インジェクタ12から移動相中に液体試料が注入された時点からクロマトグラムデータの収集が開始される。一方、測定終了条件は、ピークを検出するクロマトグラムとして特定の波長におけるクロマトグラム(以下「波長クロマトグラム」という)と測定波長範囲全体のクロマトグラム(以下「全波長クロマトグラム」という)のいずれを用いるかの選択、波長クロマトグラムを用いる場合にはその波長クロマトグラムの波長の値λx、及び、ピーク本数の判定値N、を含む。
分析制御部3の制御の下で、送液ポンプ11は移動相を一定流速でカラム13に送給する。所定のタイミングでインジェクタ12から液体試料が移動相中に注入され、液体試料は移動相の流れに乗ってカラム13に送り込まれる。PDA検出器15は所定の波長範囲に亘る強度信号の同時検出を所定の時間間隔で繰り返し行う。したがって、液体試料に含まれる化合物がカラム13出口から溶出し始めると、PDA検出器15はその化合物の吸光特性に応じた吸光スペクトルが反映された検出信号を出力し始める。データ処理部2においてデータ収集部20は、指定された測定開始時間になるとADC16から送られて来るデータをデータ記憶部21に格納し始める。
クロマトグラム作成部22はデータ記憶部21へのデータの格納開始と同時に、収集されたデータに基づいて略リアルタイムでクロマトグラムの作成を開始する。ここで作成されるクロマトグラムは少なくとも、測定終了条件として選択されたクロマトグラム、つまりは特定波長λxにおける波長クロマトグラム又は全波長クロマトグラムのいずれか又はその両方である。ピーク検出部23はピーク検出に利用するものとして作成されたクロマトグラム上で所定のピーク検出条件に基づいてピークを検出する。ピーク検出条件には、ピーク開始点、ピーク終了点及びピークトップの位置を判定する条件のほかに、例えばピーク強度の下限許容値、ピーク幅の下限許容値などを設定しておき、電磁ノイズのような外乱によるノイズピークをピークとして認識しないようにしてもよい。
全波長クロマトグラムが用いられる場合、カラム13で時間方向に分離された化合物がカラム13出口から溶出して来る毎にクロマトグラム上にはピークが現れる。したがって、試料に多数の化合物が含まれる場合には、図2中に示すように、クロマトグラム上には多数のピークが順次出現する。測定終了条件検知部24はピーク検出部23においてクロマトグラム上で検出されるピークの数を計数する。そして、ピークの計数値が、測定終了条件の一つとして設定されたピーク本数の判定値Nに達したか否かを判定する。
ピーク計数値がピーク本数の判定値Nに達すると、測定終了条件検知部24は測定終了条件が満たされたと判断する。測定終了タイミング決定部25は、測定終了条件が満たされたとの判断結果を受けた時点から所定の時間Tが経過した時点で測定終了指示を分析制御部3へと送る。これを受けた分析制御部3は測定を終了させ、データ収集部20はデータ記憶部21へのデータの格納を停止する。ここで、所定の時間Tは、装置内部で決められた一定時間でもよいし、或いは、測定終了条件の一つとして分析者が自由に設定できるようにしてもよい。いずれにしても時間Tはそれほど長い時間にする必要はなく、せいぜい一つのピークの開始点から終了点までの時間程度とすれば十分である。
目的化合物の吸収波長が既知であってピーク検出に波長クロマトグラムが用いられる場合、吸収波長が同じである(重なる)別の化合物が試料に含まれていない限り、波長クロマトグラムに現れるピークは一つである。したがって、この場合には、ピーク本数の判定値Nを1に設定しておけば、測定終了条件検知部24は目的化合物由来のピークが出現した時点で測定終了条件が満たされたと判断する。これにより、目的化合物がカラム13から溶出し終えたあとすぐに測定を終了することもできる。
なお、上記第1実施例のLC装置はPDA検出器15を備えていたが、PDA検出器15を質量分析装置に置き換えたLC−MS装置でも第1実施例と同様の処理・制御を行うことができる。その場合、質量分析装置で所定の質量電荷比範囲のスキャン測定を繰り返し行うことにより、データ収集部20は所定の質量電荷比範囲に亘るマススペクトルデータを収集することができる。したがって、上記第1実施例の説明における、波長クロマトグラムをマスクロマトグラム(抽出イオンクロマトグラム)、全波長クロマトグラムをトータルイオンクロマトグラム(TIC)に置き換えれば、基本的な処理や制御は全く同じであることは明らかである。
[第2実施例]
次に、本発明に係るクロマトグラフ装置の第2実施例であるLC装置について、図3、図4を参照して説明する。図3は第2実施例のLC装置の要部の構成図であり、図1と同じ構成要素には同じ符号を付してある。図4は第2実施例のLC装置における特徴的な制御・処理動作を説明するための模式図である。
図3に示した第2実施例であるLC装置において、測定部1の構成は第1実施例と全く同じである。第1実施例と異なるのは、データ処理部2において、スペクトル作成部202、基準スペクトル記憶部203、及び測定終了条件検知部24とは異なる処理を実行する測定終了条件検知部204を備える点である。以下、第1実施例のLC装置との相違している点を中心に、第2実施例のLC装置における処理・制御を説明する。
分析者は測定に先立ち、測定条件の一つとして、測定開始時間と目的化合物の標準的な吸光スペクトルとを入力部5から指定する。実用的には、様々な化合物に対応する標準的な吸光スペクトルを予めデータベース化しておき、分析者が指定した化合物に対応する標準的な吸光スペクトルをデータベースから読み出してくるようにするとよい。この指定された目的化合物の吸光スペクトルは基準スペクトルとして基準スペクトル記憶部203に記憶される。
インジェクタ12から液体試料が移動相中に注入され、指定された測定開始時間になると、データ処理部2においてデータ収集部20はADC16から送られて来るデータをデータ記憶部21に格納し始める。スペクトル作成部202はデータ記憶部21へのデータの格納開始と同時に、収集されたデータに基づいて所定波長範囲の吸光スペクトルの作成を開始する。図4に示すように、スペクトル作成部202は新たに収集されたデータに基づく吸光スペクトルを略リアルタイムで繰り返し作成する。
カラム13で時間方向に分離された化合物がカラム13出口から溶出して来ると、該化合物による光の吸収ピークが現れるように吸光スペクトルには変化が生じる。測定終了条件検知部204は、スペクトル作成部202で上述したように順次作成される実測の吸光スペクトルと基準スペクトル記憶部203に記憶されている基準スペクトルとのパターンの類似度を計算する。そして、その類似度が所定の閾値以上であるか否かを判定し、類似度が所定の閾値以上であるときにスペクトルパターンの類似性が高く、実測の吸光スペクトルが目的化合物に対応するものであると判断する。このとき測定終了条件検知部204は測定終了条件が満たされたと判断する。
測定終了タイミング決定部25は、測定終了条件が満たされたとの判断結果を受けた時点から所定の時間Tが経過した時点で測定終了指示を分析制御部3へと送る。これを受けた分析制御部3は測定を終了させ、データ収集部20はデータ記憶部21へのデータの格納を停止する。
以上のようにして、第2実施例のLC装置では、分析者が指定した目的化合物がカラム13出口から溶出し終えたと高い確度で推定できる時点で測定を終了することができる。
ただし、吸光スペクトルのピークはマススペクトルのピークと比べるとブロードであり、異なる化合物の吸光スペクトルのパターンの類似性が高いと誤って判定されるおそれもある。そこで、スペクトルパターンの類似性だけでなく、保持時間の情報も併せて利用することで目的化合物であることの推定の正確性を高めるようにするとよい。
具体的には、測定前に分析者は測定条件の一つとして、目的化合物の吸光スペクトルとともに保持時間範囲(標準的な保持時間を中心に最大の保持時間ずれを考慮した時間範囲)の情報も入力部5から指定する。実用的には、様々な化合物に対応する標準的な吸光スペクトルと保持時間範囲とを予めデータベース化しておき、分析者が指定した化合物に対応する標準的な吸光スペクトルと保持時間範囲とをデータベースから読み出してくるようにするとよい。この指定された目的化合物の吸光スペクトルと保持時間範囲とは共に基準スペクトル記憶部203に記憶される。
そして、測定実行中に、測定終了条件検知部204は測定開始時点つまりはデータ収集開始時点からではなく、指定された保持時間範囲内でのみ、実測の吸光スペクトルと基準スペクトルとのスペクトルパターンの類似性を判定し、測定終了条件を満たすか否かを判断する。この場合、保持時間範囲以外の時間範囲で目的化合物の吸光スペクトルに類似したスペクトルパターンを示す吸光スペクトルが観測されたとしても、そのスペクトルは無視され測定終了条件を満たすとは判断されない。このようにして、測定終了条件を満たすとの誤った判定がなされることを避けることができる。
この第2実施例のLC装置においても第1実施例と同様に、PDA検出器15を質量分析装置に置き換えることができることは明らかである。即ち、LC−MS装置の質量分析装置では所定の質量電荷比範囲のスキャン測定を繰り返し行い、データ収集部20は所定の質量電荷比範囲に亘るマススペクトルデータを収集する。スペクトル作成部202はこのデータに基づきマススペクトルを作成し、測定終了条件検知部204は基準スペクトル記憶部203に記憶されている目的化合物に対応したマススペクトルと実測のマススペクトルとのスペクトルパターンの類似性から測定終了条件を満たしたか否かを判断する。このように、基本的な処理や制御は第1実施例と全く同じである。
なお、マススペクトルでは吸光スペクトルに比べてピーク幅が格段に狭いので、スペクトルパターンを比較するのではなく、ピークの質量電荷比値のみを比較して類似性を判定してもよい。即ち、ピーク強度に関係なく、質量電荷比値が共通するピークの数(割合)のみでマススペクトルの類似性を判定してもよい。もちろん、ピーク強度も利用することで判定の精度を向上できることは言うまでもない。
また、上記説明では、一つの目的化合物に対応する標準的な吸光スペクトル又はマススペクトルと類似する吸光スペクトル又はマススペクトルが観測された場合に、測定終了条件を満たしたと判断していたが、目的化合物は複数であってもよい。即ち、予め指定した複数の目的化合物に対応する標準的な吸光スペクトル又はマススペクトルと類似する吸光スペクトル又はマススペクトルが全て観測された場合に、測定終了条件を満たしたと判断するようにしてもよい。
また、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行うことができる。例えば、上記実施例は本発明をLC−MS装置を含むLC装置に適用した例であるが、本発明はGC−MS装置を含むGC装置にも適用可能であることは明白である。
1…測定部
10…移動相容器
11…送液ポンプ
12…インジェクタ
13…カラム
14…カラムオーブン
15…フォトダイオードアレイ(PDA)検出器
16…アナログデジタル変換器(ADC)
2…データ処理部
20…データ収集部
21…データ記憶部
22…クロマトグラム作成部
23…ピーク検出部
24、204…測定終了条件検知部
25…測定終了タイミング決定部
202…スペクトル作成部
203…基準スペクトル記憶部
3…分析制御部
4…中央制御部
5…入力部
6…表示部

Claims (7)

  1. 試料に含まれる化合物を時間方向に分離するためのカラムと、該カラムに移動相を供給する移動相供給部と、該移動相供給部により前記カラムに供給される移動相中に試料を導入する試料導入部と、前記カラムから溶出する試料中の化合物を検出する検出部と、を具備するクロマトグラフ装置において、
    a)測定実行中に前記検出部で得られる検出信号に基づいてクロマトグラムを略リアルタイムで作成するクロマトグラム作成部と、
    b)前記クロマトグラム作成部で作成されたクロマトグラム上で所定の条件の下でピークを検出するピーク検出部と、
    c)測定実行中に時間経過に伴って前記ピーク検出部で検出されたピークの数を計数し、その計数値が所定値になったとき、そのときに実行中である測定の測定終了条件満たされたと判断する測定終了条件検知部と、
    d)前記測定終了条件検知部による測定終了条件が満たされたとの判断の結果を受けて、実行中である測定によるデータの収集を停止する測定終了実行部と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラフ装置。
  2. 請求項1に記載のクロマトグラフ装置であって、
    前記検出部は所定の波長範囲に亘る検出を行うものであり、
    前記クロマトグラム作成部は指定された波長におけるクロマトグラムと所定の波長範囲全体におけるクロマトグラムとのいずれか一方又はその両方を作成することを特徴とするクロマトグラフ装置。
  3. 請求項1に記載のクロマトグラフ装置であって、
    前記検出部は所定の質量電荷比範囲に亘る検出を行うものであり、
    前記クロマトグラム作成部は指定された質量電荷比におけるクロマトグラムと所定の質量電荷比範囲全体におけるクロマトグラムとのいずれか一方又はその両方を作成することを特徴とするクロマトグラフ装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のクロマトグラフ装置であって、
    前記測定終了実行部は、前記測定終了条件検知部により測定終了条件を満たしたと判断された時点から所定の時間が経過したあとにデータの収集を停止することを特徴とするクロマトグラフ装置。
  5. 試料に含まれる化合物を時間方向に分離するためのカラムと、該カラムに移動相を供給する移動相供給部と、該移動相供給部により前記カラムに供給される移動相中に試料を導入する試料導入部と、前記カラムから溶出する試料中の化合物を検出するものであって所定の波長範囲又は質量電荷比範囲に亘る検出を行う検出部と、を具備するクロマトグラフ装置において、
    a)測定実行中に前記検出部で得られる検出信号に基づいて所定の波長範囲又は質量電荷比範囲に亘るスペクトルを略リアルタイムで作成するスペクトル作成部と、
    b)基準スペクトルを記憶しておくスペクトル記憶部と、
    c)前記スペクトル作成部で作成された実測スペクトルと前記スペクトル記憶部に記憶されている基準スペクトルとの類似性を判定し、その類似性の判定結果により測定終了条件を満たしたと判断する測定終了条件検知部と、
    を備えることを特徴とするクロマトグラフ装置。
  6. 請求項5に記載のクロマトグラフ装置であって、
    前記測定終了条件検知部は、指定された保持時間範囲中でのみ、実測スペクトルと基準スペクトルとの類似性の判定に基づいて測定終了条件を満たしたか否かを判定することを特徴とするクロマトグラフ装置。
  7. 請求項5又は6に記載のクロマトグラフ装置であって、
    前記測定終了条件検知部により測定終了条件を満たしたと判断された時点から、所定の時間が経過したあとに測定を終了する指示を行う測定終了実行部をさらに備えることを特徴とするクロマトグラフ装置。
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