JP6761992B2 - 電極及びその製造方法並びに全固体型リチウムイオン電池 - Google Patents
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Description
このLiイオン電池の分野では、安全装置の簡素化を図れるほか、製造コスト、生産性等に優れる等の理由から、可燃性の有機溶剤を含んだ電解液を固体電解質へと代替する研究が進められている。そして、同時にこの固体電解質の利用に対応した電極の開発が進められている。
また、この方法では、得られる層全体にわたって各成分が一様に分布された構造となるため、任意且つ局所的に所望の成分を配置することができず、そのような活物質層を得ることができないという問題がある。
上記特許文献1及び上記特許文献2には、アノード材料、固体電解質材料、カソード材料等を含んだ懸濁液を利用し、電気泳動によってこれらの材料を導電性基板の表面に堆積させる方法が開示されている。しかしながら、電極内における各成分の局所的な配置に関しては検討がなされていない。
請求項1に記載の電極は、一対の電極間に固体電解質体が配置された構造を有する全固体型リチウムイオン電池に用いられる前記電極であって、
活物質を主成分とする活物質層と、固体電解質を主成分とする固体電解質層と、を備えることを要旨とする。
請求項2に記載の電極は、請求項1に記載の電極において、2層の前記活物質層の層間に、前記固体電解質層が介在された積層構造、及び、2層の前記固体電解質層の層間に前記活物質層が介在された積層構造、のうちの少なくとも一方の積層構造を有することを要旨とする。
請求項3に記載の電極は、請求項1又は2に記載の電極において、前記活物質層に比べて、前記固体電解質層が薄く形成されていることを要旨とする。
請求項4に記載の電極は、請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の電極において、前記活物質層及び前記固体電解質層の両層が、導電助剤を含むことを要旨とする。
請求項5に記載の電極は、請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の電極において、前記固体電解質が、硫化物固体電解質であることを要旨とする。
請求項6に記載の電極は、請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の電極において、正極であることを要旨とする。
前記堆積工程の前記電気泳動において、印加する電圧の信号として、正極側と負極側とで非対称な波形を有する信号を用いることを要旨とする。
請求項8に記載の電極の製造方法は、請求項1に記載の電極の製造方法であって、
前記活物質を含んだ活物質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、前記活物質を堆積し、前記活物質層を形成する第1堆積工程を備え、
前記第1堆積工程の前記電気泳動において、印加する電圧の信号として、正極側と負極側とで非対称な波形を有する信号を用いることを要旨とする。
請求項9に記載の電極の製造方法は、請求項1に記載の電極の製造方法であって、
前記固体電解質及び/又はその前駆体を含んだ固体電解質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、前記固体電解質及び/又はその前駆体を堆積し、前記固体電解質層又はその前駆体層を形成する第2堆積工程を備え、
前記第2堆積工程の前記電気泳動において、印加する電圧の信号として、正極側と負極側とで非対称な波形を有する信号を用いることを要旨とする。
請求項10に記載の電極の製造方法は、7乃至9のうちのいずれかに記載の電極の製造方法において、前記信号は、正極側と負極側とでピークの絶対値が異なる信号であることを要旨とする。
請求項11に記載の電極の製造方法は、7乃至9のうちのいずれかに記載の電極の製造方法において、前記信号は、正極側と負極側とで印加時間が異なる信号であることを要旨とする。
請求項12に記載の電極の製造方法は、請求項5に記載の電極の製造方法であって、
前記活物質を含んだ活物質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、前記活物質を堆積し、前記活物質層を形成する第1堆積工程を備え、
前記活物質含有液は、ジエーテル化合物及び/又はカルボニル化合物を含むことを要旨とする。
請求項13に記載の電極の製造方法は、請求項12に記載の電極の製造方法において、前記第1堆積工程の前工程又は後工程として、
前記固体電解質及び/又はその前駆体を含んだ固体電解質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、前記固体電解質及び/又はその前駆体を堆積し、前記固体電解質層又はその前駆体層を形成する第2堆積工程を備え、
前記固体電解質が、硫化物固体電解質であることを要旨とする。
請求項14に記載の電極の製造方法は、請求項12又は13に記載の電極の製造方法において、前記第1堆積工程の前記電気泳動において、印加する電圧の信号として、正極側と負極側とで非対称な波形を有する信号を用いることを要旨とする。
本発明の電極の製造方法のうち、第1の方法は、粒子を含む液体中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、粒子を堆積する堆積工程を備え、堆積工程の電気泳動において、印加する電圧の信号として、正極側と負極側とで非対称な波形を有する信号を用いる方法である。これにより、電気泳動時に液体中の粒子の動きをより高度に制御することができる。
本発明の電極の製造方法のうち、第2の方法は、活物質を含んだ活物質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、活物質を堆積し、活物質層を形成する第1堆積工程を備え、第1堆積工程の電気泳動において、印加する電圧の信号として、正極側と負極側とで非対称な波形を有する信号を用いる方法である。これにより、電気泳動時に活物質含有液中の活物質の動きをより高度に制御することができる。
本発明の電極の製造方法のうち、第3の方法は、固体電解質及び/又はその前駆体を含んだ固体電解質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、固体電解質及び/又はその前駆体を堆積し、固体電解質層又はその前駆体層を形成する第2堆積工程を備え、第2堆積工程の電気泳動において、印加する電圧の信号として、正極側と負極側とで非対称な波形を有する信号を用いる方法である。これにより、電気泳動時に固体電解質含有液中の固体電解質及び/又はその前駆体の動きをより高度に制御することができる。
本発明の電極の製造方法のうち、第4の方法は、活物質を含んだ活物質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、活物質を堆積し、活物質層を形成する第1堆積工程を備え、活物質含有液は、ジエーテル化合物及び/又はカルボニル化合物を含む方法である。これにより、固体電解質層の表面に活物質層を形成する際に、固体電解質層の浸食を防止し、より確実に活物質層と固体電解質層とを積層することができる。
本発明の全固体型リチウムイオン電池は、本発明の電極を備える。この新規な構成の電極を利用して、全固体型リチウムイオン電池を充放電させることができる。
[1]電極
本発明の電極(2)は、一対の電極(2a、2b)間に固体電解質体(3)が配置された構造を有する全固体型リチウムイオン電池(1)に用いられる電極(2)である。
この電極(2)は、活物質を主成分とする活物質層(21)と、固体電解質を主成分とする固体電解質層(22)と、を備えることを特徴とする(図1参照)。
また、活物質層21と固体電解質層22とを備える電極は、どのようにして得られてもよいものの、後述するように電気泳動を利用して得ることができる。この場合には、導電性を有した表面(導電性表面)を備える基材25の導電性表面251に、活物質層21と固体電解質層22とが積層された構造となる。
また、その場合、活物質層21及び固体電解質層22のうちどちら層が、導電性表面251と接触されてもよいが、活物質層21を導電性表面251と接触させることが好ましい。即ち、基材25の導電性表面251に対して、活物質層21と固体電解質層22とがこの順に積層された構造の電極となる(図1参照)。
即ち、本電極2は、(1)2層の活物質層21の層間に固体電解質層22が介在された積層構造、(2)2層の固体電解質層22の層間に活物質層21が介在された積層構造、のうちの少なくとも一方の積層構造を有することが好ましい。これらの積層構造は、いずれか一方のみを備えてもよいが、両方の積層構造を備えてもよい。両方の積層構造を備える場合とは、即ち、2層以上の活物質層21と、2層以上の固体電解質層22とが交互に積層された積層構造を有する場合が挙げられる。このように、サンドイッチ状の積層構造を有することによって、サンドイッチ状の積層構造を有さない場合と比べて、より優れたLiイオンの伝導性を得ることができる。
活物質層21及び固体電解質層22の各々積層数は特に限定されないが、例えば、各々、1層以上50層以下とすることができる。この積層数は、2層以上25層以下とすることが好ましく、2層以上10層以下とすることがより好ましい。
また、具体的な各々層厚は限定されないが、例えば、活物質層21の厚さD21は0.05μm以上15μm以下とすることができる。この厚さ(D21)は、更に、1μm以上8μm以下が好ましく、4μm以上6μm以下がより好ましい。同様に、例えば、固体電解質層22の厚さD22は0.25μm以上5μm以下とすることができる。この厚さ(D22)は、更に、0.25μm以上1.5μm以下が好ましく、0.25μm以上0.5μm以下がより好ましい。
尚、活物質層21の厚さ(D21)及び固体電解質層22の厚さ(D22)は、電極断面を電子顕微鏡によって10000倍に拡大した画像において測定するものとする。具体的には、各層の異なる5点において計測される実寸法の平均値を厚さD21又は厚さD22とする。
活物質層に含有され得る活物質以外の他成分としては、固体電解質及び導電助剤等が挙げられる。これらの成分が含有させることにより、電極内にLiイオンの伝導パス(固体電解質による)や、電子伝導パス(導電助剤による)を形成することができる。
これらの他成分は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。他成分が含有される場合、活物質層21全体を100質量%とすると、他成分の含有割合は50質量%以下である。この含有割合は、2質量%以上40質量%以下とすることができ、更には5質量%以上30質量%以下とすることができる。
尚、固体電解質及び導電助剤については後述する。
具体的には、LiMO2、Li2MO3、LiM2O4等のリチウム複合酸化物や、これらが混合されたリチウム複合酸化物が挙げられる。但し、上記の「M」は、Co、Ni、Mn及びAlのうちの少なくともCo、Ni及びMnから選択される1種の金属元素である。
また、上述のうち、LiM2O4型のリチウム複酸化物としては、LiCo2O4、LiNi2O4、LiMn2O4、Li(CoxNi2−x)O4{但し、0<x<2である}、Li(CoxMn2−x)O4{但し、0<x<2である}、Li(AlxMn2−x)O4{但し、0<x<2である}、Li(MnxNi2−x)O4{但し、0<x<2である。例えば、Li(Mn1.5Ni0.5)O4など}等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上述のなかでは、LiMO2型のリチウム複酸化物が好ましく、更には、Li(NixMnyCo1−x−y)O2{但し、x>0、y>0、x+y<1である}(以下、単に「NMC」ともいう)が好ましい。
このうち、炭素系材料としては、グラファイト、グラフェン、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、リチウム炭素化合物(LixC6)等が挙げられる。酸化物としては、SiO、SnO、SnO2、TiO2、Nb2O5、WO2、MoO2、Li4Ti5O12等が挙げられる。マグネシウム化合物としては、Mg2Si、Mg2Ge、Mg2Sn等が挙げられる。スズ化合物としては、SbSn、SnS2、CoSn2、Ni3Sn2、Cu6Sn5、Ag3Sn、LaSn3、La3Co2Sn7、V2Sn3FeSn2等が挙げられる。アンチモン化合物としては、SbSn、Ag3Sb、CeSb3、CoSb3、InSb、Ni2MnSb等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
固体電解質層に含有され得る固体電解質以外の他成分としては、活物質及び導電助剤等が挙げられる。これらの他成分は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。他成分が含有される場合、固体電解質層22全体を100質量%とすると、他成分の含有割合は50質量%以下である。この含有割合は、2質量%以上40質量%以下とすることができ、更には5質量%以上30質量%以下とすることができる。
尚、活物質については前述の通りである。また、導電助剤については後述する。
更に、La0.5Li0.5TiO3、La0.51Li0.34TiO2.94、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3、Li7La3Zr2O12、Li5La3Nb2O12、50Li4SiO4・50Li3BO3、Li2.9PO3.3N0.46、Li3.6Si0.6P0.4O4等の非硫化物固体電解質が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
これらのなかでも、更に、Li、P及びSの各元素を含み、PS4結合を含んだ非結晶性の硫化物固体電解質が好ましい。このような硫化物固体電解質としては、Li3PS4、Li4P3S11、Li7P3S11、70Li2S・30P2S5、Li3.25P0.95S4等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
活物質層21に導電助剤が含まれる場合であって、活物質層21の全体を100質量%とした場合、導電助剤の含有割合は0.1質量%以上35質量%以下が好ましく、1質量%以上25質量%以下がより好ましい。
同様に、固体電解質層22に導電助剤が含まれる場合であって、固体電解質層22の全体を100質量%とした場合、導電助剤の含有割合は、0.1質量%以上35質量%以下が好ましく、1質量%以上25質量%以下がより好ましい。
全固体型リチウムイオン電池の電極、特に、前述のような活物質層と固体電解質層とが積層された積層構造を有する電極では、目的成分(活物質や固体電解質等)からなる粒子(以下、単に「目的粒子」という)を、実質、略単層(部分的に複層であるとしても全体として非常に薄い層)で堆積できることが好ましい(具体的には、粒子1個以上3個以下の厚さで堆積できることが好ましく、粒子1個以上2個以下の厚さで堆積できることがより好ましい)。薄く堆積させることにより、電極内の活物質層と固体電解質層とを密に接触させることができ、優れた電極特性が得られると考えられるからである。即ち、同じ厚さの中で積層数をより多くすることができ、それによって活物質と固体電解質との接触面積をより多くすることができる。
しかしながら、直流電圧を用いて電気泳動を行うと、極短時間で目的粒子が堆積され、厚い堆積層が形成されてしまう。即ち、目的粒子が略単層に積層された堆積層ではなく、目的粒子が複数積み重なった堆積層が形成されてしまう。一方で、印加する直流電圧の電流密度を下げることによって、堆積速度を抑制し、膜厚制御をよりし易くすることは可能となるが、得られる堆積層の表面粗さが大きくなってしまう。即ち、直流電圧を用いた電気泳動では、得られる堆積層の膜厚と表面粗さとがトレードオフの関係にあり、膜厚及び表面粗さの両立させた略単層で且つ表面粗さの小さい堆積層を得ることが困難であることが分かった。
そこで、本発明者らは、直流電圧と交流電圧とを併用することを試みた。その結果、堆積速度を実用的な範囲に制御しながら、表面粗さを抑えて、所望の膜厚の堆積層を得ることができることを知見した。
このように、直流電圧と交流電圧との併用により、正極側と負極側とで対称な波形を有する交流信号に対してバイアスが掛かることとなり、結果として、正極側と負極側とで非対称な波形(以下、単に「非対称波形」ともいう)を有する信号(以下、単に「非対称信号」ともいう)が形成される(図2〜図6参照)。このように、非対称信号を有する印加電圧を利用することで、上述のように、堆積速度を実用的な範囲に制御しながら、表面粗さを抑え、所望の膜厚の堆積層を得ることができることが分かった。
(1)粒子を堆積する堆積工程の電気泳動において、印加電圧信号として非対称信号を用いる第1の電極の製造方法。
(2)活物質層を形成する第1堆積工程の電気泳動において、印加電圧信号として非対称信号を用いる第2の電極の製造方法。
(3)固体電解質層を形成する第2堆積工程の電気泳動において、印加電圧信号として非対称信号を用いる第3の電極の製造方法。
本第1の電極の製造方法(以下、単に「第1の製法」ともいう)は、粒子を含む液体中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、前記粒子を堆積する堆積工程を備え、堆積工程の前記電気泳動において、印加する電圧の信号として、正極側と負極側とで非対称な波形を有する信号を用いることを特徴とする。
ここで、上記「基材」は、粒子を堆積させるための導電性表面をするものであり、得られる粒子の堆積層(以下、単に「堆積層」ともいう)に対しては支持体として機能するものである。
導電材の形態も特に限定されず、例えば、板状体、箔状体、網目状体等を適宜用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
即ち例えば、基材としては、前述の導電材からなる板状体をそのまま利用することができる。また、非導電材(樹脂等)からなる板状体の表面に、前述の導電材からなる箔状体を被覆した複合体を全体として基材として利用することができる。
この基材は、全固体型リチウムイオン電池においては、そのまま集電体として利用することができる。
この分散液中の分散質である粒子は、電気泳動によって基材の導電性表面に堆積させることができる粒子である。このような粒子を構成する材料は特に限定されず、電極に配合される各種の成分を電気泳動可能なように粒状化して適宜用いることができる。具体的には、前述した活物質(活物質からなる粒子)、固体電解質(固体電解質からなる粒子)、導電助剤(導電助剤からなる粒子)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
粒子の粒径(最大長さ)は特に限定されないが、通常、7μm以下である。7μmを超える粒径の粒子に対し、非対称信号を有する印加電圧を用いて電気泳動を行ってもよいが、このような大きな粒径の粒子では、非対称信号を用いることの効果が得られ難い。即ち、例えば、直流電圧のみを用いても、比較的容易に単層膜を形成することが可能である。
これに対し、7μm以下(特に4μm以下)の粒径を有する粒子では、粒径が小さくなるに従い、直流電圧のみを用いた電気泳動や、通常の交流電圧(即ち、正極側と負極側とで対称な波形の信号を有する電圧)を用いた電気泳動では、単層膜を形成することが困難になる。その一方で、非対称信号を用いることで、粒子の堆積速度の増大、及び、粒子配置の良好な分散性(粒子同士が積み重ならないこと)が得られるようになる。
このようなことから、粒子含有液の粒子として、粒径7μm以下の粒子を含むことが好ましく、粒径4μm以下であることがより好ましく、粒径1μm以下であることが特に好ましい。粒径はより小さい程、非対称信号を用いることの効果が得られるため、粒径の下限は特に限定されないが、例えば、50nmとすることができる。
このうち、ジエーテル化合物としては、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン、1−エトキシ−2−メトキシエタン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらなかでは、1,2−ジメトキシエタンが特に好ましい。
また、カルボニル化合物としては、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、2−ペンタノン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、アルコール化合物としては、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、飽和脂肪酸エステル化合物としては、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
この非対称信号としては、例えば、図2〜図7に示す信号の形態を挙げることができる。これらの非対称信号は、1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
図3の非対称信号は、正極側ピーク絶対値(V+)と負極側ピーク絶対値(V−)とが異なり、正極側印加時間(T+)と負極側印加時間(T−)とが異なる矩形波によって形成された非対称信号である。この矩形波は、正極側においても負極側においても、一定のピーク絶対値(V+又はV−)が一定時間維持される信号形態を有する。
図4の非対称信号は、正極側ピーク絶対値(V+)と負極側ピーク絶対値(V−)とが異なり、正極側印加時間(T+)と負極側印加時間(T−)とが異なる三角波によって形成された非対称信号である。
図5の非対称信号は、正極側ピーク絶対値(V+)と負極側ピーク絶対値(V−)とが異なり、正極側印加時間(T+)と負極側印加時間(T−)とが異なる放物線によって表される非対称信号である。
図6の非対称信号は、正極側ピーク絶対値(V+)と負極側ピーク絶対値(V−)とが異なり、正極側印加時間(T+)と負極側印加時間(T−)とが異なる矩形波によって形成された非対称信号である。この矩形波は、正極側においても負極側においても、経時的に印加電圧が大きくなるとともに、ピークトップを経て瞬時に逆電場に切り替わる信号形態を有する。
本発明の電極の製造方法では、これらの非対称信号の形態だけでなく、様々な非対称信号を利用できる。
この比(V+/V−)は、特に正極側へ泳動する作用を強くする場合、1<V+/V−≦50がより好ましく、1.01≦V+/V−≦30が更に好ましく、1.3≦V+/V−≦10が特に好ましく、1.5≦V+/V−≦5がとりわけ好ましい。
逆に、特に負極側へ泳動する作用を強くする場合、0.02≦V+/V−<1がより好ましく、0.03≦V+/V−≦0.99が更に好ましく、0.1≦V+/V−≦0.7が特に好ましく、0.2≦V+/V−≦0.5がとりわけ好ましい。
この比(T+/T−)は、特に正極側へ泳動する作用を強くする場合、1<T+/T−≦50がより好ましく、1.01≦T+/T−≦30が更に好ましく、1.3≦T+/T−≦10が特に好ましく、1.5≦T+/T−≦5がとりわけ好ましい。
逆に、特に負極側へ泳動する作用を強くする場合、0.02≦T+/T−<1がより好ましく、0.03≦T+/T−≦0.99が更に好ましく、0.1≦T+/T−≦0.7が特に好ましく、0.2≦T+/T−≦0.5がとりわけ好ましい。
この比{(V+×T+)/(V−×T−)}は、特に正極側へ泳動する作用を強くする場合、1<{(V+×T+)/(V−×T−)}≦50がより好ましく、1.01≦{(V+×T+)/(V−×T−)}≦30が更に好ましく、1.3≦{(V+×T+)/(V−×T−)}≦10が特に好ましく、1.5≦{(V+×T+)/(V−×T−)}≦5がとりわけ好ましい。
逆に、特に負極側へ泳動する作用を強くする場合、0.02≦{(V+×T+)/(V−×T−)}<1がより好ましく、0.03≦{(V+×T+)/(V−×T−)}≦0.99が更に好ましく、0.1≦{(V+×T+)/(V−×T−)}≦0.7が特に好ましく、0.2≦{(V+×T+)/(V−×T−)}≦0.5がとりわけ好ましい。
尚、電気泳動時における電流密度は、限定されないが、10μA/cm2以下(通常、0.1μA/cm2以上)とすることが好ましい。
そして、表面粗さの大きな粒子堆積層を観察すると、粒子同士の積層が認められる。導電性表面の所望領域に粒子が単層で堆積されたモノレイヤーが理想的な粒子堆積層であるところ、表面粗さの大きな粒子堆積層は、導電性表面のうち、ある箇所では粒子の堆積がほとんど認められず、他の箇所では粒子が2層以上に堆積される、というように堆積厚さのバラツキが大きくなった結果、表面粗さが大きくなっている傾向が認められる。
そこで、印加電圧の波形の対称性を崩し、基板側へ泳動する電場の作用を強くした印加電圧を加えると、質量の小さな粒子であっても堆積に至らせることができると考えられる。
そして、基板側へ泳動する電場の作用を強くする時間(例えば、正極側の印加時間)が長くなると、堆積量が過度に大きく(略単層の膜であることを超えて堆積される)なる可能性があるため、基板側へ泳動する電場の作用を強くする時間は、前述のように短時間に抑えることが好ましい。即ち、基板側への泳動作用を強く(ピークの絶対値を大きく)且つ短く(印加時間を短く)することが好ましい。加えて、逆方向への電場は弱く(ピークの絶対値を小さく)長時間(印加時間を長く)作用する波形とすることで、堆積する粒子を適度に分散させることができると考えられる。
具体的には、大径粒子を含んだ第1の粒子含有液と、小径粒子を含んだ第2の粒子含有液と、を利用する場合が挙げられる。即ち、各々の粒子を、異なる粒子含有液に含有させ、各々電気泳動において適した非対称信号を用いて堆積させることができる。とりわけ、第1の粒子含有液中で電気泳動を行い、大径粒子を堆積させた後、第2の粒子含有液中で電気泳動を行い、小径粒子を、大径粒子が堆積され、大径粒子同士に形成された間隙に、小径粒子を充填するように堆積させることができる。
このように、粒径群が異なる粒子を各々異なった粒子含有液に分散させ、粒径の大きな粒子含有液で電気泳動を行った後、次第に粒径の小さな粒子含有液で電気泳動を行うことによって、緻密で表面平滑性に優れた粒子堆積層を形成できる。
印加電圧の周波数は、例えば、5Hz以上13Hz以下とすることができ、6Hz以上13Hz以下が好ましく、7Hz以上12Hz以下がより好ましく、7Hz以上11Hz以下が特に好ましい。この周波数のどのような粒径の粒子に対しても利用できるが、特に、平均粒径0.5μm以上7μm以下(特に0.7μm以上6μm以下)の粒子に対して好適である。
本第2の電極の製造方法(以下、単に「第2の製法」ともいう)は、活物質を含んだ活物質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、活物質を堆積し、活物質層を形成する第1堆積工程を備え、第1堆積工程の電気泳動において、印加する電圧の信号として非対称信号を用いることを特徴とする。
即ち、この第2の製法は、前述の第1の製法における粒子が活物質であり、粒子含有液が活物質含有液であり、堆積工程が第1堆積工程である場合を意味する。
また、上記「活物質含有液」は、分散媒以外の点においては、第1の製法における粒子含有液をそのまま適用できる。活物質含有液の分散媒は、特に限定されないものの、ジエーテル化合物が好ましい。ジエーテル化合物を分散媒とすることにより、粒子として活物質を利用する場合に、固体電解質層22への影響を抑制できる。ジエーテル化合物としては、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1−エトキシ−2−メトキシエタン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらなかでは、1,2−ジメトキシエタンが特に好ましい。
上記「非対称信号」は、第1の製法における非対称信号をそのまま適用できる。
本第3の電極の製造方法(以下、単に「第3の製法」ともいう)は、固体電解質及び/又はその前駆体を含んだ固体電解質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、固体電解質及び/又はその前駆体を堆積し、固体電解質層又はその前駆体層を形成する第2堆積工程を備え、第2堆積工程の電気泳動において、印加する電圧の信号として非対称信号を用いることを特徴とする。
即ち、この第3の製法は、前述の第1の製法における粒子が固体電解質及び/又はその前駆体であり、粒子含有液が固体電解質含有液であり、堆積工程が第2堆積工程である場合を意味する。
また、上記「固体電解質含有液」は、分散媒以外の点においては、第1の製法における粒子含有液をそのまま適用できる。固体電解質含有液の分散媒は、特に限定されないものの、飽和脂肪酸エステル化合物が好ましい。飽和脂肪酸エステル化合物を分散媒とすることにより、粒子として特に固体電解質として、硫化物固体電解質を用いることができる。飽和脂肪酸エステル化合物としては、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらなかでは、プロピオン酸エチルが特に好ましい。
また、「固体電解質の前駆体」とは、分散媒の除去、更には、必要に応じて加熱等の後処理を行うことにより、固体電解質へと変化する粒子である。
上記「非対称信号」は、第1の製法における非対称信号をそのまま適用できる。
本第4の電極の製造方法(以下、単に「第4の製法」ともいう)は、活物質を主成分とする活物質層と、固体電解質を主成分とする固体電解質層と、を備え、固体電解質が硫化物固体電解質である電極の製造方法である。即ち、活物質を含んだ活物質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、活物質を堆積し、活物質層を形成する第1堆積工程を備え、活物質含有液は、ジエーテル化合物及び/又はカルボニル化合物を含むことを特徴とする。
更に、第4の製法では、第1堆積工程の前工程又は後工程として、固体電解質及び/又はその前駆体を含んだ固体電解質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、固体電解質及び/又はその前駆体を堆積し、固体電解質層又はその前駆体層を形成する第2堆積工程を備える。そしてこの時、固体電解質が、硫化物固体電解質である。
また、第4の製法においても、前述と同様に、電気泳動において、非対称信号を用いることができる。
本第4の製法における上記の各々の記載については、既に第1〜第3の製法において、各々説明した通りである。
本発明の全固体型リチウムイオン電池(1)は、本発明に記載の電極(2)を備えることを特徴とする。
即ち、全固体型リチウムイオン電池(1)は、一対の電極(2a、2b)間に固体電解質体(3)が配置された構造を有する。このうち、一対の電極のうちの一方は正極として機能され、他方は負極として機能される。各々の電極については前述の通りである。
更に、固体電解質体(3)は、固体電解質を含むLiイオン伝導体である。その形状、大きさ等は特に限定されず適宜のものとすることができる。また、固体電解質体(3)を構成する固体電解質としては、電極(2)に利用できる固体電解質として前述したものをそのまま利用できる。但し、電極(2)に含まれる固体電解質と、固体電解質体(3)に含まれる固体電解質とは、同じものであることが好ましい。
本発明の全固体型リチウムイオン電池(1)は、上述した以外にも、例えば、セパレータ等、必要に応じて公知の構成を備えることができる。
〈1〉活物質含有液(分散液)の調製
下記の粒状活物質を用い、下記の手順により活物質含有液(分散液)を調製した。
(1)下記の活物質を、ポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム(カチオン性界面活性剤)の5質量%水溶液に投入し、超音波処理を行って分散させた。
(2)上記(1)の分散液を、遠心分離処理し、得られた分離液の上層を除去して下層を回収した。
(3)上記(2)の液体(回収した下層)に、イソプロピルアルコールを投入し、遠心分離処理を行い、得られた分離液の上層を除去して下層を回収する操作を3回繰り繰り返し、液中から水を除去することによって分散媒をイソプロピルアルコールへと置換した。このようにして、活物質を分散質とし、イソプロピルアルコールを分散媒とし、ポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウムを分散剤として、活物質が分散された活物質含有液(分散液、固形分濃度3.0質量%)を得た。
活物質:Li(NixMnyCoz)O2で表されるLi含有複酸化物の粉末、平均粒径5μm
上記〈1〉で得られた活物質含有液を泳動槽に投入し、この活物質含有液内に、5mmの間隔を空けて正電極及び負電極を対向させた。正電極及び負電極には、各々、ITO(酸化インジウムスズ)からなる導電性表面を有する基材(ITO基板)を用いた。
そして、上記の正電極と負電極との間に、周波数が1Hz、3Hz、5Hz、7.5Hz、10Hz、15Hz及び20Hzの7種の交流電圧(対称信号、V+が100V、V−が100V、T+が0.05〜5秒、T−が0.05〜5秒)を各々印加して、電気泳動を1800秒間行った。その後、上記泳動時間を経過した正電極(カソード)を泳動槽から引き上げた後、自然乾燥を行って、ITO基板の導電性表面に形成された活物質層を得た。
下記のレーザー顕微鏡を用い、以下の手順で、上記〈2〉までに得られたITO基板の導電性表面に形成された活物質層の第1層の被覆率と、第2層以上である上層の被覆率と、を測定した。
具体的には、平均粒径5μmの活物質を利用し、別途作成した単層(モノレイヤー)領域を有する積層体において、下記レーザー顕微鏡により、単層領域の堆積厚を実測したところ、堆積厚は3〜5μmの範囲に収まることが分かった。従って、この経験値から、堆積厚が3〜5μmの領域を単層領域(即ち、第1層によって被覆された領域)とし、この領域の面積率を第1層の被覆率として算出した。更に、堆積厚が6μm以上となる領域は粒子が複層に堆積されている領域であることから複層化領域(即ち、第1層上に上層が堆積して被覆された領域)とし、この領域の面積率を上層の被覆率として算出した。この結果を図10にグラフで示した。
尚、上記の堆積厚測定には、レーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製、型式「LEXT OLS4100」)で100倍率撮影して画像を得た後、この画像の高さヒストグラムにおいてみられる二つの最頻値(それぞれ基板表面の高さと堆積粒子の堆積高さの分布)の差を膜厚として利用した。
上記図10から、第1層の被覆率が高くなる周波数領域と、上層の被覆率が高くなる周波数領域と、が存在することが分かる。従って、第1層の被覆率が、上層の被覆率に対してより多くなる周波数領域を選択することができ、それによって、より理想的な単層(モノレイヤー)を形成し易くなる環境を構築できることが分かる。特に、この場合、粒径5μmにおける結果であることから、粒径5μm又はそれと同様の挙動を示す粒径範囲では、10Hzにおいて最も理想的な堆積が得られることが示された。
[2]実施例2(印加電圧とその信号波形の影響)
〈1〉活物質含有液(分散液)の調製
上記[2]実施例2の〈1〉と同様にして、活物質を分散質とし、イソプロピルアルコールを分散媒とし、ポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウムを分散剤として、活物質が分散された活物質含有液(分散液、固形分濃度3.0質量%)を得た。但し、下記の通り、活物質の平均粒径は1μmとなるように調整した。
活物質:Li(NixMnyCoz)O2で表されるLi含有複酸化物の粉末、平均粒径1μm
上記〈1〉で得られた活物質含有液を泳動槽に投入し、この活物質含有液内に、5mmの間隔を空けて正電極及び負電極を対向させた。正電極及び負電極には、各々、ITO(酸化インジウムスズ)からなる導電性表面を有する基材(ITO基板)を用いた。
そして、上記の正電極と負電極との間に、下記表1に示す印加電圧を印加し、下記表1に示す時間(泳動時間)を掛けて電気泳動を行った。尚、この時の印加電圧の詳細を表1に併記した。その後、上記泳動時間を経過した正電極(カソード)を泳動槽から引き上げた後、自然乾燥を行って、ITO基板の導電性表面に形成された活物質層を得た。
尚、前述の通り[1]実施例1の結果を利用し、周波数に10Hzを選択している。
下記のレーザー顕微鏡を用い、以下の手順で、上記〈2〉までに得られたITO基板の導電性表面に形成された活物質層の平均膜厚と、平均表面粗さの測定を行った。その結果を、表1に併記した。
平均膜厚は、レーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製、型式「LEXT OLS4100」)で100倍率撮影して得た画像を利用し、高さヒストグラムにおいてみられる二つの最頻値(それぞれ基板表面の高さと堆積粒子の堆積高さの分布)の差から算出した。
また、平均表面粗さは、80μmのλc輪郭曲線フィルターを適用した上記と同じレーザー顕微鏡像(100倍)から3次元パラメータを算出し、得られた算術平均粗さSaを用いて得た。
実験例1に示すように、直流電圧を10μA/cm2の電流密度で印加すると、30秒の電気泳動によって6.000μmの活物質層が形成されることが分かる。
ここで、平均粒径1μmの活物質を利用し、別途作成した単層(モノレイヤー)領域(図7参照)を有する積層体において、前述のレーザー顕微鏡により、単層領域の堆積厚を実測したところ、堆積厚は0.4〜0.6μmの範囲に収まり、平均堆積厚は約0.5μmとなることが分かった。従って、この経験値から、堆積厚が0.4〜0.6μmの領域は、実質的に単層な領域であるとした。
上記を踏まえると、実験例1の膜厚は6μmであり、目標値の凡そ12倍の厚さとなっているために、極短時間で粒子が多層に堆積されたことが分かる。
これに対し、実験例2〜5において、直流電圧の電流密度を低下させたり、泳動時間を短縮することにより、膜厚の制御を試みた。その結果、実験例3〜5では、平均膜厚が0.422〜0.577μmとなり、目標値に達していることが分かる。しかしながら、平均表面粗さは、実験例1では0.163μmであったのが、実験例3〜5では0.222〜0.284μmとなり、36.2〜74.2%も表面粗さが増加していることが分かる。これは、活物質が単層で堆積された領域も存在すると考えられるものの、活物質が全く堆積されていない領域や、活物質が多層に積層された領域が混在し、凹凸が激しくなったための結果であると考えられる(図8参照)。即ち、直流電圧を用いて膜厚を制御しようとすると、電流密度の制御で目標値に近い膜厚を得ることはできるものの、平滑な活物質層を得ることは困難となることが分かる。
〈1〉固体電解質含有液(分散液)の調製
モル比3:1となるように、下記硫化リチウム粉体と、下記五硫化二リン粉体とを秤量し、メノウ乳鉢で混合した。得られた混合物と、プロピオン酸エチルと、ジルコニアボール(直径4mm)とを、樹脂製容器に投入し、温度24℃、振幅約1cm、及び、約1500回/分の条件で振とうし、接触反応させた。24時間後、樹脂製容器からジルコニアボールを除去して、固体電解質及び/又はその前駆体が分散された分散液(サスペンジョン、固形分濃度11.7質量%)である固体電解質含有液を得た。
硫化リチウム(Li2S)の粉末:株式会社ミツワ化学製、純度99%、平均粒径53μm
五硫化二リン(P2S5)の粉末:Aldrich社製、純度99%、平均粒径100μm
上記〈1〉で得られた固体電解質含有液を泳動槽に投入し、この固体電解質含有液内に、10mmの間隔を空けて正電極及び負電極を対向させた。正電極及び負電極には、各々、ITO(酸化インジウムスズ)からなる導電性表面を有する基材(ITO基板)を用いた。そして、上記の正電極と負電極との間に、電圧100Vで直流電圧を10秒間印加して電気泳動を行った。
その後、上記泳動時間を経過した負電極を泳動槽から引き上げた後、自然乾燥を行って、ITO基板の導電性表面に形成された固体電解質層を得た。
下記の粒状活物質を用い、下記の手順により活物質含有液(分散液)を調製した。
(1)下記の活物質を、ポリエチレンイミンの10質量%水溶液に投入し、超音波処理を行って分散させた。
(2)上記(1)の分散液に、水を加えて遠心分離処理し、得られた分離液の上層を除去して下層を回収する操作を3回繰り返した。
(3)上記(2)の液体(回収した下層)を真空乾燥して粉末(活物質の周囲にポリエチレンイミンが付着した粉末)を得た。
(4)上記(3)で得られた粉末に、1,2−ジメトキシエタンを投入し、超音波処理を行って分散させて、活物質を分散質とし、1,2−ジメトキシエタンを分散媒とし、ポリエチレンイミンを分散剤として、活物質が分散された活物質含有液(分散液、固形分濃度3質量%)を得た。
活物質:Li(NixMnyCoz)O2で表されるLi含有複酸化物の粉末、平均粒径6.2μm
上記〈3〉で得られた活物質含有液を泳動槽に投入し、この活物質含有液内に、10mmの間隔を空けて正電極及び負電極を対向させた。このうち、負電極には、上記〈2〉において固体電解質層が形成されたITO基板を用いた。一方、正電極には、ITO(酸化インジウムスズ)からなる導電性表面を有するITO基板を用いた。そして、上記の正電極と負電極との間に、電圧100Vで直流電圧を45秒間印加して電気泳動を行った。
その後、上記泳動時間を経過した正電極(カソード)を泳動槽から引き上げた後、自然乾燥を行って、ITO基板の導電性表面に形成された固体電解質層と活物質層とが積層された積層体を得た。
上記〈1〉の操作によって新たな固体電解質含有液を得た後、これを泳動槽に投入し、この固体電解質含有液内に、10mmの間隔を空けて正電極及び負電極を対向させた。このうち、負電極には、上記〈4〉において固体電解質層上に活物質層が積層されたITO基板を用いた。一方、正電極には、ITO(酸化インジウムスズ)からなる導電性表面を有するITO基板を用いた。そして、上記の正電極と負電極との間に、電圧100Vで直流電圧を10秒間印加して電気泳動を行った。
その後、上記泳動時間を経過した正電極(カソード)を泳動槽から引き上げた後、自然乾燥を行って、ITO基板の導電性表面に形成された固体電解質層、活物質層及び固体電解質層がこの順に積層された積層体を得た。
上記〈5〉までに得られた正電極(積層体修飾ITO)を積層方向に直線的に割り、その破断面を露出させた。得られた破断面が露出させた試料を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、型式「S−4800」)の試料台にカーボンテープを用いて貼り付けて、上記の破断面を10000倍に拡大して観察した。そして、得られた画像を、図11に示した。
上記の結果、実施例3では、ITO基板(25)と、その導電性表面に、厚さ約700nmで堆積された固体電解質層、厚さ約1μmで堆積された活物質層、厚さ約500nmで堆積された固体電解質層が、この順に積層された電極が得られていることが図11から分かる。
〈1〉活物質含有液(分散液)の調製
下記の粒状活物質を用い、下記の手順により活物質含有液(分散液)を調製した。
(1)下記の活物質を、ポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウム(カチオン性界面活性剤)の10質量%水溶液に投入し、超音波処理を行って分散させた。
(2)上記(1)の分散液に、イオン交換水を加えて遠心分離処理し、得られた分離液の上層を除去して下層を回収した。
(3)上記(2)の液体(回収した下層)に、イソプロピルアルコールを投入し、遠心分離処理を行い、得られた分離液の上層を除去して下層を回収する操作を3回繰り繰り返し、液中から水を除去することによって分散媒をイソプロピルアルコールへと置換した。このようにして、活物質を分散質とし、イソプロピルアルコールを分散媒とし、ポリ塩化ジアリルジメチルアンモニウムを分散剤として、活物質が分散された活物質含有液(分散液、固形分濃度3質量%)を得た。
活物質:Li(NixMnyCoz)O2で表されるLi含有複酸化物の粉末、平均粒径5μm
上記〈1〉で得られた活物質含有液を泳動槽に投入し、この活物質含有液内に、10mmの間隔を空けて正電極及び負電極を対向させた。このうち、正電極にアルミニウム製基板、負電極にアルミニウム製基板(直径10mm)を用いた。そして、上記の正電極と負電極との間に、非対称信号を有する電圧を45秒間印加して、電気泳動を行った。
その後、上記泳動時間を経過した負電極を泳動槽から引き上げた後、自然乾燥を行って、アルミニウム製基板の導電性表面に形成された活物質層が積層された積層体を得た。
また、上記非対称信号として、三角波(90V)からなる対称信号を有する交流電圧と、10Vの直流電圧とを重畳させて得られた非対称信号を用いた。この非対称信号は図2で示される。但し、V+=100V、V−=100V、T+=0.02秒、T−=0.02秒、周波数20Hz)である。
前述の実施例3[3]〈1〉の固体電解質含有液(分散液)の調製と同様にして、固体電解質及び/又はその前駆体が分散された分散液(サスペンジョン、固形分濃度10mg/mL)である固体電解質含有液を得た。
上記〈3〉で得られた固体電解質含有液を泳動槽に投入し、この固体電解質含有液内に、5mmの間隔を空けて正電極及び負電極を対向させた。正電極には、アルミニウム製基板を用い、負極には、上記〈2〉で得られた導電性表面に活物質層が堆積されたアルミニウム製基板を用いた。そして、上記の正電極と負電極との間に、電圧25Vで直流電圧を10秒間印加して電気泳動を行った。
その後、上記泳動時間を経過した負電極を泳動槽から引き上げた後、室温で30分間予備乾燥させた後、170℃の真空環境下で3時間掛けて真空乾燥を行い、アルミニウム製基板(直径10mm)の導電性表面に活物質層と固体電解質層とがこの順に積層された積層体を得た。
80mgのLPS(75Li2S・25P2S5)を加圧成形して得られた、厚さ1000μmの固体電解質体を、上記〈4〉までに得られた積層体(電極)の固体電解質層の表面に圧着した。
上記〈5〉までに得られた積層体(電極と固体電解質体との積層体)の固体電解質体の表面に厚さ100μmのインジウム箔を圧着して、全固体型リチウムイオン電池を得た。
即ち、図12に示すように、実施例4の全固体型リチウムイオン電池1は、アルミニウム製基板からなる基材(集電体)25、その導電性表面に積層された活物質211(活物質粒子)を含んだ活物質層21、この活物質層21の表面に積層された固体電解質221(固体電解質粒子)を含んだ固体電解質層22、を備えた電極2bを有する。更に、電極2bの固体電解質層22の表面に積層された固体電解質体3を有する。更に、固体電解質体3の表面に積層された電極2aを有する。そして、この全固体型リチウムイオン電池1において、電極2bは正極として機能され、電極2aは負極として機能される。
上記〈6〉までに得られた全固体型リチウムイオン電池を収めた治具を、ガラス容器に封入し、ガラス容器内の気体をアルゴンガスに置換して、測定セルを得た。得られた測定セルの充放電の可否を、電気化学測定装置(Solartron社製、型式「SI 1287」)を用いて定電流・定電圧・充電法により観察した。具体的には、3.8 V vs.In−Liまでレート0.01 Cで定電流充電を行い、その後、100時間経過するまで定電圧充電を行った。その直後に1.6 V vs. In−Liの電位までレート0.01 Cで放電を行った。その結果、0.133mAh/g程度の放電容量を得ることができた。これにより、充電及び放電が可能であることが示された。
2、2a、2b:電極、
21;活物質層、211;活物質(活物質粒子)、
22;固体電解質層、221;固体電解質(固体電解質粒子)、
25;基材、251;導電性表面、
3;固体電解質体、
51;基材、52、521、522;粒子。
Claims (14)
- 固体電解質体が配置された構造を有する全固体型リチウムイオン電池に用いられる電極であって、
活物質を主成分とする活物質層と、固体電解質を主成分とする固体電解質層と、を備える積層体からなり、
2層の前記活物質層の層間に、前記固体電解質層が介在された積層構造、及び、2層の前記固体電解質層の層間に前記活物質層が介在された積層構造、のうちの少なくとも一方の積層構造を有し、
前記活物質層に比べて、前記固体電解質層が薄く形成されており、
前記活物質層の厚さは1μm〜15μmであり、
前記固体電解質層の厚さは0.25μm〜5μmであることを特徴とする電極。 - 前記固体電解質層の厚さと、前記活物質層の厚さとの比(固体電解質層/活物質層)が、0.05〜0.7である請求項1に記載の電極。
- 前記活物質層及び前記固体電解質層の両層が、導電助剤を含む請求項1又は2に記載の電極。
- 前記固体電解質が、硫化物固体電解質である請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の電極。
- 正極である請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の電極。
- 全固体型リチウムイオン電池の電極に用いられる積層体の製造方法であって、
前記積層体は、活物質を主成分とする活物質層と、固体電解質を主成分とする固体電解質層とを有し、
前記活物質を含んだ活物質含有液中における電気泳動によって、前記活物質を堆積させて、前記活物質層を形成する活物質層堆積工程と、
前記固体電解質及び/又はその前駆体を含んだ固体電解質含有液中における電気泳動によって、前記固体電解質及び/又はその前駆体を堆積させて、前記固体電解質層又はその前駆体層を形成する固体電解質層堆積工程とを備え、
前記活物質層堆積工程及び前記固体電解質層堆積工程の前記電気泳動において、印加する電圧の信号として、正極側と負極側とで非対称な波形を有する信号を用いることを特徴とする電極の製造方法。 - 請求項1に記載の電極の製造方法であって、
前記活物質を含んだ活物質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、前記活物質を堆積し、前記活物質層を形成する第1堆積工程を備え、
前記第1堆積工程の前記電気泳動において、印加する電圧の信号として、正極側と負極側とで非対称な波形を有する信号を用いることを特徴とする電極の製造方法。 - 請求項1に記載の電極の製造方法であって、
前記固体電解質及び/又はその前駆体を含んだ固体電解質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、前記固体電解質及び/又はその前駆体を堆積し、前記固体電解質層又はその前駆体層を形成する第2堆積工程を備え、
前記第2堆積工程の前記電気泳動において、印加する電圧の信号として、正極側と負極側とで非対称な波形を有する信号を用いることを特徴とする電極の製造方法。 - 前記信号は、正極側と負極側とでピークの絶対値が異なる信号である請求項7又は8に記載の電極の製造方法。
- 前記信号は、正極側と負極側とで印加時間が異なる信号である請求項7又は8に記載の電極の製造方法。
- 請求項4に記載の電極の製造方法であって、
前記活物質を含んだ活物質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、前記活物質を堆積し、前記活物質層を形成する第1堆積工程を備え、
前記活物質含有液は、ジエーテル化合物及び/又はカルボニル化合物を含むことを特徴とする電極の製造方法。 - 前記第1堆積工程の前工程又は後工程として、
前記固体電解質及び/又はその前駆体を含んだ固体電解質含有液中における電気泳動によって、基材の導電性表面に、前記固体電解質及び/又はその前駆体を堆積し、前記固体電解質層又はその前駆体層を形成する第2堆積工程を備え、
前記固体電解質が、硫化物固体電解質である請求項11に記載の電極の製造方法。 - 前記第1堆積工程の前記電気泳動において、印加する電圧の信号として、正極側と負極側とで非対称な波形を有する信号を用いる請求項11又は12に記載の電極の製造方法。
- 請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の電極を備えることを特徴とする全固体型リチウムイオン電池。
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