JP6762089B2 - 非水電解液二次電池用積層セパレータ、非水電解液二次電池用部材および非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池用積層セパレータ、非水電解液二次電池用部材および非水電解液二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解液二次電池用積層セパレータ、非水電解液二次電池用部材および非水電解液二次電池に関する。
リチウム二次電池等の非水電解液二次電池は、現在、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末等の機器に用いる電池として広く使用されている。
リチウム二次電池に代表されるこれら非水電解液二次電池は、エネルギー密度が高く、それ故に、電池の破損或いは電池を用いている機器の破損によって内部短絡又は外部短絡が生じた場合には、大電流が流れて発熱することがある。そのため、非水電解液二次電池には、一定量以上の発熱を防止することによって、高い安全性を確保することが求められている。
非水電解液二次電池の安全性を確保する手段としては、異常な発熱が生じたときに、セパレータによって正極および負極間のイオンの通過を遮断して、更なる発熱を防止するシャットダウン機能を付与する方法が一般的である。つまり、非水電解液二次電池においては、正極と負極との間に配置されるセパレータに、例えば正極および負極間の内部短絡等が原因となって当該電池内に異常な電流が流れたときに、その電流を遮断して過大電流が流れることを阻止(シャットダウン)して更なる発熱を抑制する機能を付与する方法が一般的である。前記セパレータとしては、異常な発熱が生じたときに例えば約80〜180℃で溶融するポリオレフィン系樹脂を主成分とする膜状の多孔質フィルムが一般的に用いられている。
また、多孔質フィルムから構成されたセパレータの機能向上のために、多孔質フィルムの少なくとも一方の面に多孔質膜を積層する技術が知られている。例えば、特許文献1には、電池の内部短絡の防止のために、ポリオレフィン系樹脂からなる微多孔性シートであるセパレータと、無機フィラーと膜結着剤とを含む多孔膜とを積層することが記載されている。そして、当該多孔膜の85°の鏡面光沢度が規定することで、薄く均一で、柔軟性に優れた多孔膜を実現している。
さらに、特許文献2には、ポリエチレン製の微多孔フィルムに、絶縁性微粒子および有機バインダーを含む組成物を塗布したセパレータにおいて、60°の鏡面光沢度を規定することで、短絡防止および信頼性の向上を図っている。
特開2005−294216号公報(2005年10月20日公開) 特開2014−17264号公報(2014年1月30日公開)
ところで近年、セパレータと電極との接着性を改善する目的で、ポリオレフィンを主成分とする多孔質フィルムの少なくとも一面に、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質層を積層させたセパレータの開発が進められている。そして、非水電解液二次電池の低抵抗化が課題となっており、多孔質フィルムとポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質層とを備える非水電解液二次電池用積層セパレータにおいても、レート特性の向上が望まれている。
上記の特許文献1,2は、柔軟性の向上や、短絡防止、信頼性の向上を目的としており、レート特性については考慮されていない。また、特許文献1,2に記載されている多孔質層は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含むものではない。そのため、特許文献1,2に記載の技術では、多孔質フィルムとポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質層とを備えるセパレータにおいて、レート特性を向上することができない。
本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、多孔質フィルムとポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質層とを備える非水電解液二次電池用積層セパレータであって、レート特性に優れる非水電解液二次電池用積層セパレータを提供することにある。
本発明者は、非水電解液二次電池用積層セパレータの多孔質層における60°の鏡面光沢度が、非水電解液二次電池用積層セパレータを用いた非水電解液二次電池のレート特性と関係することに初めて着目し、当該鏡面光沢度を所定範囲内にすることにより、非水電解液二次電池のレート特性を向上させることができることを見出して、本発明を完成するに至った。
本発明に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、前記の問題を解決するためのものであり、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質フィルムと、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質層と、を含む非水電解液二次電池用積層セパレータであって、前記多孔質層表面における60°の鏡面光沢度が3〜26%であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る非水電解液二次電池用積層セパレータにおいて、前記多孔質層が、フィラーを含んでおり、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂および前記フィラーの総量に占める前記フィラーの割合が、1〜30質量%であることが好ましい。
さらに、本発明に係る非水電解液二次電池用積層セパレータにおいて、前記多孔質フィルムの突き刺し強度が2N以上であることが好ましい。
さらに、本発明に係る非水電解液二次電池用積層セパレータにおいて、前記多孔質フィルムの平均孔径は0.14μm以下であることが好ましい。
さらに、本発明に係る非水電解液二次電池用積層セパレータにおいて、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂が、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリクロロエチレン、およびフッ化ビニルからなる群から選択される少なくとも1種類のモノマーと、フッ化ビニリデンとの共重合体、フッ化ビニリデンの単独重合体、またはこれらの重合体の混合物であることが好ましい。
また、本発明に係る非水電解液二次電池用部材は、正極、上記の非水電解液二次電池用積層セパレータ、および負極がこの順で配置されていることを特徴とする。
また、本発明に係る非水電解液二次電池は、上記の非水電解液二次電池用積層セパレータを含むことを特徴とする。
本発明によれば、非水電解液二次電池のレート特性が優れる効果を奏する。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上B以下」を意味する。
〔1.非水電解液二次電池用積層セパレータ〕
本発明に係る非水電解液二次電池用積層セパレータは、非水電解液二次電池において正極と負極との間に配置され、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする膜状の多孔質フィルムと、多孔質フィルムの少なくとも一方の面に積層された、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(PVDF系樹脂)を含む多孔質層とを含む。
〔1−1.多孔質フィルム〕
多孔質フィルムは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質かつ膜状の基材(ポリオレフィン系多孔質基材)であればよく、その内部に連結した細孔を有す構造を有し、一方の面から他方の面に気体や液体が透過可能であるフィルムである。すなわち、本発明における多孔質フィルムは、孔を有するフィルムであって、繊維が折り重なった不織布とは異なるものである。
多孔質フィルムは、電池が発熱したときに溶融して、無孔化することにより、該非水電解液二次電池用積層セパレータにシャットダウン機能を付与するものであり得る。多孔質フィルムは、1つ層からなるものであってもよいし、複数の層から形成されるものであってもよい。
多孔質フィルムの体積基準の空隙率は、電解液の保持量を高めると共に、過大電流が流れることをより低温で確実に阻止(シャットダウン)する機能を得ることができるように、0.2〜0.8(20〜80体積%)であることが好ましく、0.3〜0.75(30〜75体積%)であることがより好ましい。また、多孔質フィルムが有する細孔の平均径(平均細孔径)は、セパレータとして用いたときに、充分なイオン透過性を得ることができ、かつ、正極や負極への粒子の入り込みを防止することができるように、0.14μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましく、また、0.01μm以上であることが好ましい。
上記多孔質フィルムの平均細孔径を制御する方法としては、例えば、孔径を小さくする場合、多孔質フィルムの製膜時に無機フィラー等の開孔剤又は相分離剤の分散状態を均一化させる方法、無機フィラー開孔剤の粒径を微細化する方法、相分離剤を含んだ状態で延伸する方法、及び低い延伸倍率で延伸する方法等の方法が挙げられる。また、上記多孔質フィルムの空隙率を制御する方法としては、例えば、高空隙率の多孔質フィルムを得る場合、ポリオレフィン系樹脂に対する無機フィラー等の開孔剤又は相分離剤の量を多くする方法、相分離剤除去した後に延伸する方法、及び高い延伸倍率で延伸する方法等の方法が挙げられる。
多孔質フィルムの平均細孔径が減少すると、基材内部の細孔へ上記電解液を導入する駆動力になると推定される毛細管力が増大すると考えられる。また、平均細孔径が小さいことで、リチウム金属によるデンドライト(樹枝状晶)の生成を抑制することができる。
また、多孔質フィルムの空隙率が増大すると、上記ポリオレフィン基材における上記電解液が浸透できないポリオレフィンが存在する箇所の体積が減少すると考えられる。
多孔質フィルムの突き刺し強度は、2N以上が好ましく、3N以上がより好ましい。突き刺し強度が小さすぎると、電池組立プロセスの正負極とセパレータとの積層捲回操作や、捲回群の圧締操作、または電池に外部から圧力がかけられた場合等において、正負極活物質粒子によってセパレータが突き破られ、正負極が短絡するおそれがある。また、多孔質フィルムの突き刺し強度は、10N以下が好ましく、8N以下がより好ましい。
多孔質フィルムにおけるポリオレフィン系樹脂成分の割合は、多孔質フィルム全体の50体積%以上であることを必須とし、90体積%以上であることが好ましく、95体積%以上であることがより好ましい。多孔質フィルムのポリオレフィン系樹脂成分には、重量平均分子量が5×10〜15×10の高分子量成分が含まれていることが好ましい。特に多孔質フィルムのポリオレフィン成分として重量平均分子量100万以上のポリオレフィン成分が含まれることにより、多孔質フィルム全体の強度が高くなるため好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどを重合した高分子量の単独重合体又は共重合体を挙げることができる。多孔質フィルムは、これらのポリオレフィンを単独にて含む層、及び/又は、これらのポリオレフィンの2種以上を含む層、であり得る。特に、エチレンを主体とする高分子量のポリエチレンが好ましい。なお、多孔質フィルムは、当該層の機能を損なわない範囲で、ポリオレフィン以外の成分を含むことを妨げない。
多孔質フィルムの透気度は、通常、ガーレ値で30〜500秒/100ccの範囲であり、好ましくは、50〜300秒/100ccの範囲である。多孔質フィルムが、前記範囲の透気度を有すると、セパレータとして用いた際に、十分なイオン透過性を得ることができる。
多孔質フィルムの膜厚は、非水電解液二次電池用積層セパレータの積層数を勘案して適宜決定される。特に多孔質フィルムの片面(又は両面)に多孔質層が形成されるため、4〜40μmが好ましく、7〜30μmがより好ましい。また、多孔質フィルムの目付は、強度、膜厚、ハンドリング性及び重量、さらには、非水電解液二次電池のセパレータとして用いた場合の当該電池の重量エネルギー密度や体積エネルギー密度を高くできる点で、通常、4〜20g/mであり、5〜12g/mが好ましい。
このような多孔質フィルムの製造方法は、公知の手法を用いることができ、特に限定されない。例えば、特開平7−29563号公報に記載されたように、熱可塑性樹脂に孔形成剤を加えてフィルム成形した後、該孔形成剤を適当な溶媒で除去する方法が挙げられる。
具体的には、例えば、多孔質フィルムが、超高分子量ポリエチレン及び重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂から形成されてなる場合には、製造コストの観点から、以下に示すような方法により製造することが好ましい。
(1)超高分子量ポリエチレン100重量部と、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリオレフィン5〜200重量部と、炭酸カルシウム等の無機充填剤100〜400重量部とを混練してポリオレフィン樹脂組成物を得る工程
(2)ポリオレフィン樹脂組成物を用いてシートを成形する工程
(3)工程(2)で得られたシート中から無機充填剤を除去する工程
(4)工程(3)で得られたシートを延伸してA層を得る工程
その他、上述した各特許文献に記載の方法を利用してもよい。
また、多孔質フィルムについては上述した特性を有する市販品を用いてもよい。
〔1−2.多孔質層〕
本発明に係る多孔質層は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(PVDF系樹脂)を含む。多孔質層は、内部に多数の細孔を有し、これら細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった層であり得る。また、本実施形態において、多孔質層は、多孔質フィルムの片面または両面にセパレータの最外層として設けられ、電極と接着し得る層となる。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、多孔質層表面における60°の鏡面光沢度を3〜26%とすることにより、当該多孔質層を含む非水電解液二次電池用積層セパレータを備える非水電解液二次電池のレート特性を高くできることを見出した。ここで、60°の鏡面光沢度は、入射角および受光角が60°である場合の光沢度を示しており、JIS Z8741に規定される測定方法により測定される。多孔質層の鏡面光沢度は、多孔質層の緻密性や均一性などに関係するパラメータである。
鏡面光沢度が3%未満である場合、多孔質層の均一性が低く、イオン透過性にムラが生じる。イオン透過性の低い部分が律速となり、多孔質層全体としての効率的なイオンの輸送を低下させるため、結果としてレート特性が低くなる。そのため、鏡面光沢度を3%以上とすることにより、多孔質層の不均一性に起因したレート特性の低下を抑制し、優れたレート特性を得ることができる。
一方、鏡面光沢度が26%を超える場合、多孔質層の緻密性が高くなりすぎ、充放電によって発生する不溶副生成物や気泡による細孔の目詰まりによりセパレータのイオン透過性が低下することがある。また、多孔質層と電極との界面における電解液が保持される場所が少なくなることで、多孔質層と電極との界面の電解液量が減少するため、大電流条件下での電池作動時に、前記界面でのLiイオンの枯渇が起こりやすくなり、結果としてレート特性が低下することがある。そのため、鏡面光沢度を26%以下とすることにより、セパレータのイオン透過性の低下や、多孔質層と電極との界面における電解液の枯渇に起因したレート特性の低下を抑制し、優れたレート特性を得ることができる。
多孔質層表面の60°の鏡面光沢度の下限値は、好ましくは4%以上であり、より好ましくは5%以上である。つまり、鏡面光沢度は、好ましくは4%以上26%以下であり、より好ましくは5%以上26%以下である。また、鏡面光沢度の上限値は、好ましくは22%以下であり、より好ましくは18%以下である。
多孔質層を構成する樹脂は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含むものであり、直径1μm以下の骨格が三次元網目状に連結した構造を有する樹脂からなるものであることが好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂としては、フッ化ビニリデンの単独重合体(すなわちポリフッ化ビニリデン)、およびフッ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体(ポリフッ化ビニリデン共重合体)等が挙げられる。多孔質層に含まれるポリフッ化ビニリデン系樹脂は、好ましくは、フッ化ビニリデンの単独重合体、フッ化ビニリデン共重合体、またはこれらの重合体の混合物である。フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーとしては、例えば、ヘキサフロロプロピレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリクロロエチレン、およびフッ化ビニル等が挙げられる。すなわち、ポリフッ化ビニリデン共重合体は、好ましくは、ヘキサフロロプロピレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリクロロエチレン、及びフッ化ビニルからなる群から選ばれる少なくとも一種のモノマーと、フッ化ビニリデンとの共重合体である。ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、乳化重合又は懸濁重合で合成し得る。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、その構成単位としてフッ化ビニリデンが85モル%以上含まれていることが好ましい。より好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上含まれていることが好ましい。フッ化ビニリデンが85モル%以上含まれていると、電池製造時の加圧や加熱に耐え得る機械的強度と耐熱性とを確保しやすい。
また、多孔質層は、ヘキサフルオロプロピレンの含有量が異なる2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂(下記の第一の樹脂と第二の樹脂)を含有する態様も好ましい。
・第一の樹脂:ヘキサフルオロプロピレンの含有量が0モル%超1.5モル%以下であるフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、又はフッ化ビニリデン単独重合体(ヘキサフルオロプロピレンの含有量が0モル%)
・第二の樹脂:ヘキサフルオロプロピレンの含有量が1.5モル%超であるフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体
前記2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有する多孔質層は、いずれか一方を含有しない多孔質層に比べて、電極との接着性が向上する。また、前記2種類のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含有する多孔質層は、いずれか一方を含有しない多孔質層に比べて、多孔質フィルムとの接着性が向上し、これら層間の剥離力が向上する。第一の樹脂と第二の樹脂との混合比(質量比、第一の樹脂:第二の樹脂)は、15:85〜85:15が好ましい。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、重量平均分子量が30万〜300万であることが好ましい。重量平均分子量が30万以上であると、多孔層が電極との接着処理に耐え得る力学物性を確保でき、十分な接着性が得られる。一方、重量平均分子量が300万以下であると、塗工成形する際の塗工液の粘度が高くなり過ぎず成形性に優れる。重量平均分子量はより好ましくは30万〜200万の範囲であり、更に好ましくは50万〜150万の範囲である。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂のフィブリル径は、レート特性の観点から、10nm〜1000nmであることが好ましい。
多孔質層は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂以外の他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、スチレン−ブタジエン共重合体;アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のビニルニトリル類の単独重合体又は共重合体;ポリエチレンオキサイドやポリプロピレンオキサイド等のポリエーテル類;などが挙げられる。
さらに、多孔質層は、無機物又は有機物からなるフィラーを含んでいてもよい。フィラーを含有することで、セパレータの滑り性や耐熱性を向上し得る。フィラーとしては、非水電解液に安定であり、且つ、電気化学的に安定な、有機フィラー及び無機フィラーのいずれでもよい。電池の安全性を確保する観点からは、耐熱温度が150℃以上のフィラーが好ましい。
有機フィラーとしては、例えば、架橋ポリアクリル酸、架橋ポリアクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸、架橋ポリメタクリル酸エステル、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリシリコーン、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体架橋物、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物等の架橋高分子微粒子;ポリスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアラミド、ポリアセタール、熱可塑性ポリイミド等の耐熱性高分子微粒子;などが挙げられる。
有機フィラーを構成する樹脂(高分子)は、前記に例示した分子種の混合物、変性体、誘導体、共重合体(ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体)、架橋体であってもよい。
無機フィラーとしては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化クロム、水酸化ジルコニウム、水酸化ニッケル、水酸化ホウ素等の金属水酸化物;アルミナ、ジルコニア等の金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;ケイ酸カルシウム、タルク等の粘土鉱物;などが挙げられる。難燃性付与や除電効果の観点からは、金属水酸化物が好ましい。
各種のフィラーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してよい。
フィラーの体積平均粒子径は、良好な接着性とすべり性の確保及びセパレータの成形性の観点から、0.01μm〜10μmであることが好ましい。その下限値としては0.1μm以上がより好ましく、上限値としては5μm以下がより好ましい。
フィラーの粒子形状は任意であり、球形、楕円形、板状、棒状、不定形のいずれでもよい。電池の短絡防止の観点からは、板状の粒子や、凝集していない一次粒子であることが好ましい。
フィラーは、多孔質層の表面に微細な凹凸を形成することで滑り性を向上させ得るものであるが、フィラーが板状の粒子や凝集していない一次粒子である場合には、フィラーによって多孔質層の表面に形成される凹凸がより微細になり、電極との接着性がより良好である。
多孔質層に含まれるフィラー以外の樹脂成分の総量に占めるポリフッ化ビニリデン系樹脂の割合は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。
多孔質層においては、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及びフィラーの総量に占めるフィラーの割合が、1質量%〜30質量%であることが好ましく、3質量%〜28質量%であることがより好ましい。フィラーの含有割合が1質量%以上であると、多孔質層の表面に微細な凹凸を形成してセパレータの滑り性を向上させる効果が発揮されやすい。この観点では、フィラーの含有割合は3質量%以上がより好ましい。一方、フィラーの含有割合が30質量%以下であると、多孔質層の機械的強度が保たれ、例えば電極とセパレータとを重ねて捲き回して電極体を作製する際に、セパレータに割れなどが発生しにくい。この観点では、フィラーの含有割合は20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。
多孔質層においては、セパレータをスリットした際にスリット端面にケバ立ちや折れ曲がり、スリット屑の混入が発生するのを抑制する観点で、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及びフィラーの総量に占めるフィラーの割合が、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上がより好ましい。
多孔質層の平均膜厚は、電極との接着性と高エネルギー密度を確保する観点から、多孔質フィルムの片面において0.5μm〜10μmであることが好ましく、1μm〜5μmであることがより好ましい。
多孔質層は、イオン透過性の観点から十分に多孔化された構造であることが好ましい。具体的には、空孔率が30%〜60%であることが好ましい。多孔質層は、平均孔径が20nm〜100nmであることが好ましい。
多孔質層の単位面積当たりの目付は、非水電解液二次電池用積層セパレータの強度、膜厚、重量、およびハンドリング性を考慮して適宜決定すればよいものの、当該セパレータを含む非水電解液二次電池の重量エネルギー密度や体積エネルギー密度を高くすることができるように、通常、0.1〜5g/mであることが好ましく、0.5〜3g/mであることがより好ましい。
また、多孔質層の体積目付は、好ましくは0.1〜2.5cm/mである。当該範囲の体積目付を有する多孔質層において、60°の鏡面光沢度を3〜26%とすることにより、より優れたレート特性を実現させることができる。多孔質層の体積目付が0.1cm/m未満の場合、不溶副生成物による細孔の目詰まりや多孔質層と電極との界面における電解液の保持機能が十分ではなく、レート特性が低下することがある。また、多孔質層の体積目付が2.5cm/mを超える場合、多孔質層におけるイオン透過性が低下し、初期から電池特性が低くなる。
多孔質層の動摩擦係数は、0.1〜0.6が好ましく、0.1〜0.4がより好ましく、0.1〜0.3が更に好ましい。動摩擦係数は、JIS K7125に準じた方法により測定される値である。具体的には、本発明における動摩擦係数は、ヘイドン社製のサーフェイスプロパティテスターを用いて測定される値である。
〔2.非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法〕
本発明に係る非水電解液二次電池用積層セパレータを製造する方法としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む塗工液を多孔質フィルム上に塗工して塗工層を形成し、次いで塗工層のポリフッ化ビニリデン系樹脂を固化させることで、多孔質層を多孔質フィルム上に一体的に形成する方法で製造し得る。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質層は、例えば次の湿式塗工法によって形成することができ、このような方法によって形成することで三次元網目構造を有する多孔質層を得ることができる。まず、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶媒に溶解させ、これにフィラーを分散させて塗工液を調製してもよい。この塗工液を多孔質フィルムに塗工し、次いで、適切な凝固液に浸漬することで、相分離を誘発しつつポリフッ化ビニリデン系樹脂を固化させる。この工程を経て、多孔質フィルム上には、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質構造(好ましくは三次元網目構造)の層が形成される。その後、水洗と乾燥を行って、多孔質構造の層から凝固液を除去する。
具体的には、以下の方法を挙げることができる。
(a)ポリフッ化ビニリデン系樹脂が溶媒に溶解した溶液(塗工液)を調製する。
(b)該塗工液を多孔質フィルムに塗工し、塗工膜を形成する。
(c)該塗工膜を、該ポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶解しない溶媒(析出液)への浸漬等の手段で、前記塗工膜からポリフッ化ビニリデン系樹脂を析出させる。
(d)必要に応じて湿潤状態の該ポリフッ化ビニリデン系樹脂が析出した塗工膜を、該ポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶解しない溶媒に、さらに浸漬させ洗浄する。
(e)湿潤状態の該ポリフッ化ビニリデン系樹脂が析出した塗工膜を乾燥する。
(f)析出した塗工層の光沢度を調整する。
塗工液の調製に用いる、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶解する溶媒(以下、「良溶媒」とも称する。)としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド等の極性アミド溶媒が好適に用いられる。
良好な多孔質構造を形成する観点からは、相分離を誘発する相分離剤を良溶媒に混合させることが好ましい。相分離剤としては、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。相分離剤は、塗工に適切な粘度が確保できる範囲で添加することが好ましい。
塗工液に用いられる溶媒としては、良好な多孔質構造を形成する観点から、良溶媒を60質量%以上、相分離剤を5質量%〜40質量%含む混合溶媒が好ましい。塗工液には、良好な多孔質構造を形成する観点から、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が3質量%〜10質量%の濃度で含まれていることが好ましい。
多孔質フィルムへの塗工液の塗工には、マイヤーバー、ダイコーター、リバースロールコーター、グラビアコーターなど従来の塗工方式を適用することができる。
析出液は、塗工液の調製に用いた良溶媒と相分離剤、及び水から構成されるのが一般的である。良溶媒と相分離剤の混合比はポリフッ化ビニリデン系樹脂の溶解に用いた混合溶媒の混合比に合わせるのが生産上好ましい。水の濃度は、多孔質構造の形成及び生産性の観点から、40質量%〜90質量%であることが好ましい。
析出した塗工膜の乾燥には、公知の方法を採用することができる。
析出した塗工層の光沢度の調整方法としては、酸、アルカリ、又は有機溶剤等による薬剤処理、紙やすり等で該塗工層の表面を削る物理処理、コロナ処理、及び、プラズマ処理等の公知の処理方法が挙げられる。中でも薬剤処理が好ましく、薬剤処理に用いられる有機溶剤としては、アセトン等のケトン;N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、及びジメチルホルムアミド等のアミド;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フロロエチレンカーボネート、及びジフロロエチレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びそのフッ素置換体等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、及びγ−バレロラクトン等の環状エステルなどが挙げられる。中でも、ジエチルカーボネートによる処理が好ましい。
なお、析出した塗工層は、光沢度を調整された後に、乾燥されてもよい。
また、本発明のセパレータは、多孔質層を独立したシートとして作製し、この多孔質層を多孔質フィルムに重ねて、熱圧着や接着剤によって複合化する方法によっても製造し得る。多孔質層を独立したシートとして作製する方法としては、ポリフッ化ビニリデン系樹脂及びフィラーを含む塗工液を剥離シート上に塗工し、上述した製造方法を適用して多孔質層を形成し、剥離シートから多孔質層を剥離する方法が挙げられる。
本発明の非水電解液二次電池用積層セパレータの透気度は、ガーレ値で30〜800sec/100mLであることが好ましく、50〜500sec/100mLであることがより好ましい。非水電解液二次電池用積層セパレータが上記透気度を有することにより、充分なイオン透過性を得ることができる。透気度が上記範囲を超える場合には、非水電解液二次電池用積層セパレータの空隙率が高いために積層構造が粗になっていることを意味し、結果として非水電解液二次電池用積層セパレータの強度が低下して、特に高温での形状安定性が不充分になるおそれがある。一方、透気度が上記範囲未満の場合には、セパレータとして用いたときに、充分なイオン透過性を得ることができず、非水電解液二次電池の電池特性を低下させることがある。
〔3.非水電解液二次電池〕
本発明に係る非水電解液二次電池は、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池であって、正極シートと、既述した非水電解液二次電池用積層セパレータと、負極シートとがこの順で積層された積層体(非水電解液二次電池用部材)を備えるものであればよく、その他の構成は特に限定されない。非水電解液二次電池は、負極シートと正極シートとが上述した非水電解液二次電池用積層セパレータを介して対向した構造体に電解液が含浸された電池要素が、外装材内に封入された構造を有する。非水電解液二次電池は、特にはリチウムイオン二次電池に好適である。なお、ドープとは、吸蔵、担持、吸着、又は挿入を意味し、正極等の電極の活物質にリチウムイオンが入る現象を意味する。
正極シートは、正極活物質及びバインダー樹脂を含む活物質層が集電体上に成形された構造としてよい。活物質層は、さらに導電助剤を含んでもよい。
正極活物質としては、例えばリチウム含有遷移金属酸化物等が挙げられ、具体的にはLiCoO、LiNiO、LiMn1/2Ni1/2、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3、LiMn、LiFePO、LiCo1/2Ni1/2、LiAl1/4Ni3/4等が挙げられる。
バインダー樹脂としては、例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂などが挙げられる。
導電助剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末といった炭素材料が挙げられる。
集電体としては、例えば厚さ5μm〜20μmの、アルミ箔、チタン箔、ステンレス箔等が挙げられる。
負極シートは、負極活物質及びバインダー樹脂を含む活物質層が集電体上に成形された構造としてよい。活物質層は、さらに導電助剤を含んでもよい。負極活物質としては、リチウムを電気化学的に吸蔵し得る材料が挙げられ、具体的には、例えば、炭素材料;ケイ素、スズ、アルミニウム等とリチウムとの合金;などが挙げられる。
バインダー樹脂としては、例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂、スチレン−ブタジエンゴムなどが挙げられる。本発明のセパレータは、負極バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴムを用いた場合でも、負極に対し十分な接着性を確保できる。
導電助剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末といった炭素材料が挙げられる。
集電体としては、例えば厚さ5μm〜20μmの、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等が挙げられる。また、前記の負極に代えて、金属リチウム箔を負極として用いてもよい。
電解液は、リチウム塩を非水系溶媒に溶解した溶液である。リチウム塩としては、例えばLiPF、LiBF、LiClO等が挙げられる。
非水系溶媒としては、非水電解液二次電池において一般に用いられる溶媒がすべて含まれる。例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フロロエチレンカーボネート、ジフロロエチレンカーボネート等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、及びそのフッ素置換体等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル;などが挙げられ、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。
電解液としては、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを質量比(環状カーボネート/鎖状カーボネート)20/80〜40/60(より好ましくは30/70)で混合した溶媒に、リチウム塩を0.5M〜1.5M溶解したものが好適である。
外装材としては、金属缶やアルミラミネートフィルム製パック等が挙げられる。電池の形状は角型、円筒型、コイン型等がある。
非水電解液二次電池は、例えば、正極シートと負極シートとの間に上述した非水電解液二次電池用積層セパレータを配置した積層体に、電解液を含浸させて外装材(例えばアルミラミネートフィルム製パック)に収容し、前記外装材の上から前記積層体をプレスすることで製造し得る。このとき、電極と非水電解液二次電池用積層セパレータとの接着性を高めるために、プレスは加熱しながらのプレス(熱プレス)とすることが好ましい。
正極シートと負極シートとの間にセパレータを配置する方式は、正極シート、セパレータ、負極をシートこの順に少なくとも1層ずつ積層する方式(いわゆるスタック方式)でもよく、正極シート、セパレータ、負極シート、セパレータをこの順に重ね、長さ方向に捲き回す方式でもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されない。
<鏡面光沢度の測定>
鏡面光沢度は、光沢計(日本電色工業株式会社製PG−IIM型)を用いて、KB用紙(コクヨ株式会社製、品番;KB−39N)を5枚重ね、その最上に測定する非水電解液二次電池用積層セパレータを載せ、非水電解液二次電池用積層セパレータにおける多孔質層表面の入射角および受光角を60°として測定した。
なお、非水電解液二次電池用積層セパレータ表面に樹脂粉や無機物等の付着物が存在する場合など、必要に応じ鏡面光沢度測定前にセパレータをジエチルカーボネート(DEC)等の有機溶剤および/または水に浸漬し前記付着物等を洗浄除去した後、溶剤や水を乾燥する等の前処理を行ってもよい。
<突き刺し強度の測定>
ハンディー圧縮試験機(カトーテック株式会社製、型番;KES―G5)を用いて、多孔質フィルムを12mmΦのワッシャで固定し、ピンを200mm/minで突き刺したときの最大応力(N)を該フィルムの突き刺し強度とした。ピンは、ピン径1mmΦ、先端0.5Rのものを使用した。
<多孔質層の体積目付の測定>
乾燥状態での多孔質層の目付(1平方メートル当たりの重量)を測定し、当該目付を、25℃でのPVDF系樹脂の比重で除算することにより、乾燥状態での多孔質層の樹脂成分の体積目付(1平方メートル当たりの樹脂体積)を算出した。
<セパレータの作製>
以下のように、実施例1〜6および比較例1,2に係る非水電解液二次電池用積層セパレータを作製した。
(実施例1)
PVDF系樹脂(アルケマ社製;商品名「KYNAR2801」)を、固形分が7質量%となるように、N−メチル−2−ピロリドンに、65℃、30分で撹拌し、溶解させた。得られた溶液を塗工液とし、ポリエチレンの多孔膜(厚さ12μm、空隙率44%、平均孔径0.035μm)上に、ドクターブレード法により、塗工液中のPVDF系樹脂の体積目付が0.56cm/mとなるように塗布した。得られた塗布物である積層体(1−i)を、塗工膜がNMP湿潤状態のままで2−プロパノール中に浸漬し、25℃で5分間静置させ、積層多孔質フィルム(1−ii)を得た。得られた積層多孔質フィルム(1−ii)を浸漬溶媒湿潤状態で、さらに別の2−プロパノール中に浸漬し、25℃で5分間静置させ積層多孔質フィルム(1−iii)を得た。得られた積層多孔質フィルム(1−iii)を65℃で5分間乾燥させて積層多孔質フィルム(1−iv)を得た。得られた積層多孔質フィルム(1−iv)をジエチルカーボネート中に、70℃で1分間静置浸漬した。当該フィルムをジエチルカーボネート中から取り出し、室温で乾燥させて、実施例1の非水電解液二次電池用積層セパレータを得た。実施例1の非水電解液二次電池用積層セパレータのレート特性を表1に示す。
(実施例2)
実施例1で得られた積層多孔質フィルム(1−iv)をジエチルカーボネート中に、70℃で5分間静置浸漬させ、当該フィルムをジエチルカーボネート中から取り出し、室温で乾燥させて、実施例2の非水電解液二次電池用積層セパレータを得た。実施例2の非水電解液二次電池用積層セパレータのレート特性を表1に示す。
(実施例3)
実施例1で得られた積層多孔質フィルム(1−iv)をジエチルカーボネート中に、70℃で15分間静置浸漬させ、当該フィルムをジエチルカーボネート中から取り出し、室温で乾燥させて、実施例3の非水電解液二次電池用積層セパレータを得た。実施例3の非水電解液二次電池用積層セパレータのレート特性を表1に示す。
(実施例4)
実施例1で得られた積層多孔質フィルム(1−iv)をジエチルカーボネート中に、70℃で30分間静置浸漬させ、当該フィルムをジエチルカーボネート中から取り出し、室温で乾燥させて、実施例4の非水電解液二次電池用積層セパレータを得た。実施例4の非水電解液二次電池用積層セパレータのレート特性を表1に示す。
(実施例5)
体積目付が1.58cm/mとなるように塗工液を塗布した以外は実施例3と同様の方法で実施例5の非水電解液二次電池用積層セパレータを得た。実施例5の非水電解液二次電池用積層セパレータのレート特性を表1に示す。
(実施例6)
体積目付が0.11cm/mとなるように塗工液を塗布した以外は実施例3と同様の方法で実施例6の非水電解液二次電池用積層セパレータを得た。実施例6の非水電解液二次電池用積層セパレータのレート特性を表1に示す。
(比較例1)
ジエチルカーボネート中に浸漬しない以外は実施例1と同様の方法によって比較例1の非水電解液二次電池用積層セパレータを得た。比較例1の非水電解液二次電池用積層セパレータのレート特性を表1に示す。
(比較例2)
PVDF系樹脂(アルケマ社製;商品名「KYNAR2801」)を、固形分が7質量%となるように、N−メチル−2−ピロリドンに、65℃、30分で撹拌し、溶解させた。得られた溶液を塗工液とし、ポリエチレンの多孔膜(厚さ12μm、空隙率44%、平均孔径0.035μm)上に、ドクターブレード法により、塗工液中のPVDF系樹脂の体積目付が0.56cm/mとなるように塗布した。得られた塗布物である積層体(8−i)を、85℃で5分間乾燥させて比較例2の非水電解液二次電池用積層セパレータを得た。比較例2の非水電解液二次電池用積層セパレータのレート特性を表1に示す。
<非水電解液二次電池の作製>
次に、上記のようにして作製した実施例1〜6および比較例1,2の非水電解液二次電池用積層セパレータの各々を用いて非水電解液二次電池を以下に従って作製した。
(正極)
LiNi0.5Mn0.3Co0.2/導電材/PVDF(重量比92/5/3)をアルミニウム箔に塗布することにより製造された市販の正極を用いた。上記正極を、正極活物質層が形成された部分の大きさが40mm×35mmであり、かつその外周に幅13mmで正極活物質層が形成されていない部分が残るように、アルミニウム箔を切り取って正極とした。正極活物質層の厚さは58μm、密度は2.50g/cmであった。
(負極)
黒鉛/スチレン−1,3−ブタジエン共重合体/カルボキシメチルセルロースナトリウム(重量比98/1/1)を銅箔に塗布することにより製造された市販の負極を用いた。上記負極を、負極活物質層が形成された部分の大きさが50mm×40mmであり、かつその外周に幅13mmで負極活物質層が形成されていない部分が残るように、銅箔を切り取って負極とした。負極活物質層の厚さは49μm、の密度は1.40g/cmであった。
(組み立て)
ラミネートパウチ内で、上記正極、非水電解液二次電池用積層セパレータ、および負極をこの順で積層(配置)することにより、非水電解液二次電池用部材を得た。このとき、正極の正極活物質層における主面の全部が、負極の負極活物質層における主面の範囲に含まれる(主面に重なる)ように、正極および負極を配置した。
続いて、上記非水電解液二次電池用部材を、アルミニウム層とヒートシール層とが積層されてなる袋に入れ、さらにこの袋に非水電解液を0.25mL入れた。上記非水電解液は、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート濃度1.0モル/リットルのLiPFをエチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびエチレンカーボネートの体積比が50:20:30の混合溶媒に溶解させた25℃の電解液を用いた。そして、袋内を減圧しつつ、当該袋をヒートシールすることにより、非水電解液二次電池を作製した。
<レート試験>
充放電サイクルを経ていない新たな非水電解液二次電池に対して、25℃で電圧範囲;4.1〜2.7V、電流値;0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下も同様)を1サイクルとして、4サイクルの初期充放電を行った。
続いて、55℃で次式
レート特性(%)=(20C放電容量/0.2C放電容量)×100
に従い、レート特性を算出した。
Figure 0006762089
表1に示されるように、鏡面光沢度が26%を超える比較例2に係る非水電解液二次電池用積層セパレータを用いた非水電解液二次電池では、レート特性が43%と顕著に低いことが確認された。これは、鏡面光沢度が26%を超えると、多孔質層の緻密性が高くなりすぎ、電池内部抵抗の増加や、セパレータと電極との界面における電解液の保持機能の低下により、イオン透過性が低下したためであると考えられる。
また、鏡面光沢度が3%未満である比較例1に係る非水電解液二次電池用積層セパレータを用いた非水電解液二次電池でも、レート特性が65%と低いことが確認された。これは、鏡面光沢度が3%未満であると、多孔質層の均一性が低く、イオン透過性にムラが生じたためと考えられる。
これに対し、鏡面光沢度が3〜26%である実施例1〜6に係る非水電解液二次電池用積層セパレータを用いた非水電解液二次電池では、レート特性が70%以上となり、電池特性に優れることが確認された。

Claims (9)

  1. ポリオレフィン系樹脂を主成分とする多孔質フィルムと、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質層(ただしフィラーを含まない)と、からなる非水電解液二次電池用積層セパレータであって、
    前記多孔質層表面における60°の鏡面光沢度が3〜26%であり、
    前記多孔質層の体積目付が0.1〜2.5cm/mであり、
    前記多孔質層の平均膜厚は、前記多孔質フィルムの片面において0.5μm〜10μmであり、
    前記多孔質層は、前記非水電解液二次電池用積層セパレータの最外層であり、
    前記多孔質フィルムの平均孔径が0.01μm以上0.14μm以下であり、
    前記多孔質フィルムの膜厚が4〜40μmであり、
    前記多孔質フィルムの体積基準の空隙率が20〜80体積%である、非水電解液二次電池用積層セパレータ。
  2. 前記多孔質層は空孔率が30%〜60%である、請求項1に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ。
  3. 前記多孔質層に含まれる樹脂成分の総量に占める前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂の割合は、80質量%以上である、請求項1または2に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ。
  4. 前記多孔質層は、前記多孔質フィルムの少なくとも一方の面に積層されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ。
  5. 前記多孔質フィルムの突き刺し強度が2N以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ。
  6. 前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂が、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリクロロエチレン、およびフッ化ビニルからなる群から選択される少なくとも1種類のモノマーと、フッ化ビニリデンとの共重合体、フッ化ビニリデンの単独重合体、またはこれらの重合体の混合物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ。
  7. 正極、請求項1〜のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータ、および負極がこの順で配置されてなる非水電解液二次電池用部材。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータを含む非水電解液二次電池。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池用積層セパレータを製造する方法であって、
    前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂を溶解させた塗工液を前記多孔質フィルムに塗工して塗工膜を形成する工程、
    前記塗工膜から前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂を析出させる工程、および、
    前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂が析出した塗工層の光沢度を調整する工程を含み、
    前記光沢度を、薬剤処理、塗工層の表面を削る物理処理、コロナ処理、又はプラズマ処理により調整する、非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法。
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