JP6762462B2 - 放射線利用によるバイオマス水溶液化生成方法と装置、並びにバイオマス水溶液及びその応用システム - Google Patents

放射線利用によるバイオマス水溶液化生成方法と装置、並びにバイオマス水溶液及びその応用システム Download PDF

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Description

本発明は、放射線利用によるバイオマス水溶液化生成方法とバイオマス水溶液化生成装置、並びにバイオマス水溶液及びその応用システムに関する。
再生エネルギーの植物原料を用いるバイオアルコールは、化石燃料の石油や水素、及び原子力の現行エネルギー技術と比較して、化学的安全性、可搬性や貯蓄性に優れ、枯渇の課題の無い恒久的エネルギー源として最も有望である。現行のガソリン自動車は、有機系アンチノック剤の公害防止が不可避となっており、国際的には25%〜85%のアルコール添加車のFVVへの移行状況にあり、日本の大手自動車メーカーもFFVを開発し、海外での生産体制を確立している。しかし、国内ではアルコール自動車の添加量3%以下とし、FFVの使用も事実上、規制されている。それの背景には、商用的供給量が確保できる廉価なバイオアルコール生産技術の見通しが得られていないことが大きな要因となっている。
FFV燃料等の多量のエネルギー源に必要なバイオアルコールの商用化では、地球温暖化防止の炭酸ガス排出低減の税制的優遇措置を適用しても、化石燃料の現行エネルギー源に対する経済的競争力と、需要に対応した供給力の双方が要求される。現在迄のバイオアルコール生産技術は、熱帯の糖質系のさとうきびや炭水化物の澱粉質のキャッサバ、及び亜熱帯〜亜寒帯のトウモロコシ、米、イモ類等のバイオマスからの発酵醸造法によるアルコール製造、及び炭化水素含有量の多い藻類やセルローズからの熱化学法による化成ガス生成と低温高圧でのアルコール転換法の二つに集約される。前者は、熱エネルギーを必要とせず経済性に優れており、バイオアルコールの商用生産技術の主流となっているが、他の石油等のエネルギー源との十分な経済的競争力を持つものは糖質系だけである。しかし、それの熱帯原料のバイオアルコールの生産費用の大部分は、アルコール製造費が占めている。従って、多くのバイオマス原料を、アルコール転換が容易な単糖質のバイオマス水溶液に転換する技術があれば、アルコール製造工程の効率化と低減化が図れ、廃棄物処理コストの削減にも有効な手段となり、バイオアルコールエネルギー社会の構築に繋がる。それには、従来の酸処理等の化学的&電気化学的手法等の組合せでは改良限界があり、化学的反応効率の高い励起種を容易に形成できる放射線エネルギーの量子化学的作用を用いたバイオマス水溶液化技術が有効な手段となる。
さとうきび原料では、多段の蔗糖精製工程の残渣として糖蜜、さらに廃糖蜜になる程、原料費が非常に安価になるが、アルコール製造を阻害する非水溶性の黒色の暗色物質(DM)の濃度が数十%近く上昇するので、現行の酵母菌を用いる発酵・醸造法のアルコール転換工程の重大な阻害物質となる。それは、アルコール製造工程後の廃液に残留するので、重大な環境汚染物質となることから、金属イオンのキレート化で安定化している暗色物質を分解する多段の廃棄物処理工程が必要となる。一方、澱粉では、アルコール製造工程の前に、酸や酵母菌等を用いた糖化の前処理が必要となり、それに対応して二次廃液処理が必要となるので、バイオアルコール商用製造技術の大きな障壁となっている。
植物原料の改良等に対する放射線利用は、国内では、食料の場合、ジャガイモの発芽防止だけが認可されており、それ以外は、日本の食品衛生上では全て禁止されている。そのために、バイオマスのガンマ線照射効果に関しては、技術的情報が希薄な面がある。しかし、放射線作用では、ジャガイモでは照射による糖度の増大、セルローズ系では照射により酸処理での糖化の迅速化が見出されている。当初、食品衛生上では、放射線利用による放射化が問題とされたが、ガンマ線や電子線の場合、それを生じるのは5MeV以上の高エネルギーの場合であることが判明しており、ガラス固化体のような1MeV程度の低エネルギーガンマー線照射による放射化のリスクは無い。併せて、非食料利用に対する放射線利用は、食品衛生上の規制対象にはならない。過去の放射線利用では、国内に、廉価、高照射線量で、半減期が長く、線源交換頻度が少なくて済む適切なガンマ線源が無く、最も使用されてきたコバルト60線源の輸入も高価で且つ入手困難な状況に至ったことが、ガンマ線源の商用利用の大きな足枷となった。そのために、近年の放射線利用では、吸収線量が小さく小面積で良い照射利用の場合、小規模で放射線管理施設の設置が必要無い、電子線加速器や強力エックス線発生装置の利用技術へと移行しており、ガンマ線源利用が大幅に低減しており、利用技術開発も低迷の一途を辿ってきている。
特許第2574497号公報 特許第3753248号公報 特開2011−130680号公報 特開平10−101704号公報 特開2011−111467号公報
JARI ; アルコール類の自動車燃料としての一般的特徴について(2000) RITE、Honda ; セルローズ系バイオマスからのエタノール製造技術開発(2006) 三菱重工 ; バイオマスガス化メタノール製造システム (2004) 三菱総合研究所 ; バイオマス利活用加速化事業 (2011) 長野晃弘、鈴木昌治; 糖蜜廃液の微生物脱色、衛生工学シンポジウム論文集、2、101(1994) 宮本▲輝▼仁他; エタノール廃液の農地還元が農地土壌環境に及ぼす影響、土壌の物理性 116,19(2010)
再生エネルギーのバイオマスは、環境温暖化防止策や恒久性の高い重要なエネルギー源である。一方、原子力エネルギーには、現行発電炉で利用している核分裂の膨大な熱エネルギーと、使用済み燃料に多量含まれる核分裂生成物核種の崩壊時に発生するガンマ線等の放射線エネルギーの二つがある。しかし、後者は、使用済み燃料30体でも熱量的には約2KWと低いので、現行の発電タービンへの有用性が低く、放射性廃棄物のガラス固化体として地層処分の対象となっている。しかし、それの処分の立地が推進できない状況下にあり、再処理事業が進められず、現行発電炉の再稼働後も使用済み燃料の発電炉サイト内に多量の乾式保管にも限界があるので、原子力エネルギーシステム全体が閉塞する可能性が高い。
核分裂生成物の放射性核種の崩壊時に生じるガンマ線の放射線作用は、他の高エネルギー量子線の中性子線やα線等の粒子線と比較して、吸収線量が大きく、電磁波特有の量子化学的効果により低速電子励起効果が大きいので、水から化学反応性の高い原子状の酸素や水素の一次励起種を生成し易い。それは、軽水炉の炉心材料では、ガンマ線発生源の対向面腐食や水素の発生&爆発の現実的課題に顕在化している重要な事象である。また、Cs等を主体とした核分裂生成物は、核燃料のように核不拡散上の保証措置の制約を受けず、現行のガンマ源利用の主体であるコバルト60と同様の放射線管理施設内で使用できる。当該観点から、バイオアルコールの生産プロセスに、それを用いた放射線作用の量子化学的効果を効率的に利用できる工程を組込めれば、バイオマスと放射線エネルギーの複合技術によるバイオエネルギーの商用化が可能となり、併せて、バイオマス農業と原子力事業が双方のエネルギー基幹技術として補完され、地球温暖化防止としてのエネルギー事業全体の効率的推進が図れる。
バイオアルコールの商用生産技術には、廉価なバイオマス原料の生産性の確保とアルコール製造コストの大幅な削減の双方が不可欠である。現行のアルコール製造工程は、発酵・醸造・半透膜分離の複合法を前提としており、バイオマス原料やアルコール転換等の各工程に対応した最適な酵母菌の高性能技術開発が、突然変異やDNA変換技術等により行われてきた。当該技術は、外部の熱エネルギー収支では熱化学法による化成ガス生成-アルコール転換法よりも優れる。しかし、バイオマス原料の約半分を酵母菌の生命維持や増殖用のエネルギー源として消費してするので、バイオマスからのアルコール転換効率は半分以下と低い。また、それは、炭酸ガス発生を伴うので地球温暖化防止としての有用性も低くなる。また、生化学的反応のためにアルコール転換速度が遅く、広大な工場敷地と設備を必要とし、各種の二次廃棄物も多量に生成するので、それに対応した付加的な廃棄物処理設備が必要となる。
従って、現行の発酵・醸造法による製造コスト低減においても、放射線利用を用いてバイオマス原料の前処理工程により高粘性の多糖体の単糖化処理や非水溶性の暗色物質等の阻害物質を除去して、アルコール転換効率の高いバイオマス水溶液に転換できれば、アルコール生産システムの効率化と廃棄物生成を低減するための効率的手法となる。
放射線分解は多糖類等の高分子有機物の結合連鎖の切断に有効な手段ではあるが、水溶液中に溶質として存在する場合には、水の放射線分解で生成する酸素や水素の励起種が反応種となる。しかし、それの生成収率のG値は、100eVの吸収線量当たり、1以下と低く、暗色物質の分解や糖化処理の効率が低く、実用化されなかった。しかし、高い吸収線量が得られる廉価なガンマ線源と共に、廃糖蜜中の暗色物質や糊状澱粉等の高分子の溶質を効率的に脱色糖蜜や単糖類等に分解できる低速電子励起界面反応の新手法を応用すれば、商用バイオアルコール製造技術の見通しが得られる。
本発明は、バイオマスアルコール製造コストの低減手段として、低廉なガンマ線源を利用した放射線分解により上記の非水溶性で高粘性の多糖類等を水溶性の単糖類等に効率的に転換する手段として、溶質と溶液や材料との界面での低速電子励起界面反応による酸化力の高い一次励起酸素を有効に利用する非表面積の大きい反応機器構造と界面反応速度を高める攪拌効果等を有効に利用して、励起種の生成と溶質の反応効率を大幅に増大させる手法を用いる。それにより、バイオマスを前処理した原液での廃糖蜜中の暗色物質の除去や、糊状化や凝集化した高分子の澱粉の水溶性単糖類への低分子化処理を効率的に行い、アルコール転換が容易なバイオマス水溶液とすることにより、アルコール製造工程の負荷や廃棄物の大幅な低減が図れる。
従来のコバルト60のガンマ線源利用では、半減期が4年程度と短く、高額な線源交換頻度が多いほか、それを生産する研究炉も世界的に減少傾向にあり、入手自体も困難な状況にある。そのために、低照射線量用の線源には、ガンマ線源ではなく電子線等の加速器に移行する状況となっている。本発明のアルコール転換用のバイオマス水溶液化は、数百kGy/h級の高い吸収線量率で処理できる大容量が必要となるので、光子数や照射面積が限定され、連続運転が限定される電子線加速器等の照射試験装置は、当該商用目的には適用できない。併せて、現行のコバルト60ガンマ線源は、金属線源のために、閉じ込めの安全上から、供用時の上限表面温度が200℃程度と低く、発熱量の大きくなる商用照射設備用のガンマ線源には適さない。
そのような放射線源の課題の解決には、使用済み燃料集合体を再処理して核分裂生成物を分離して化学的安定に濃縮させたガラス固化体が最も適している。それは、放射性核種を化学的安定性の高いガラス網の組織に閉じ込めてあり、蒸気圧の高いアルカリ系金属のCsの昇華が問題となる450℃以下の表面温度迄、十分に供用可能である。併せて、主体となる放射能の半減期は、約30年と高く、使用済み燃料集合体の約30体分の核分裂生成物が閉じ込められており、商用照射施設として1約百年近く、交換なしに供用可能である 。日本では、それらの放射性廃棄物を地層処分迄の長期間、中間貯蔵の放射線管理施設内に保管するので、それの施設有効利用により、低廉な迅速なバイオマス水溶液化が商用技術的に可能となる。
放射性物質の商用利用では、放射性核種を長期間安全に閉じ込められる密封容器としての機能が要求される。ガラス固化体は、それ自体の化学的安全性が高く、通常のSUS300系のJIS規格のステンレス鋼製缶に封入されている。しかし、それは地層処分までの30年を想定しているので、本放射線源利用技術のように、約百年近く、大気中で長期間供用するには、多重防護策が必要であり、ガンマ線照射場特有の低速電子励起界面反応による原子状酸素の非常に高い酸化反応に長期間耐えることが要求される。それには、耐食ステンレス合金のオーバーパックが必要であり、強酸化性条件でも混合スピネルの外層とクロム酸化物の内層の二層膜を容易に形成して十分な耐酸化性が保持できる超高純度EHP仕様の25Cr-35Ni系の新合金を適用することで、長期健全性を担保できる。
各種のバイオマスの前処理工程は、従来の製糖法等で技術的に確立されている手法の簡素化で対応でき、技術開発上の課題が少ない。また、水溶液化工程は、バイオマス原液をアルコール製造の効率化が図れる水溶液に転換する技術として、100℃の沸点以下の低温・常圧で行うことができるので、高線量率のガンマ線照射場の吸収線量だけで、数十℃以上の発熱効果が期待できるので、外部の加熱源無しで処理できる大きな利点がある。
併せて、従来の多糖類の分解や糖化に用いている酸処理のような化学薬品添加を必要しないので、迅速処理と簡便な保守管理を適用でき、ガラス固化体の中間保管施設内の限られた容積内に、安全性上の問題もなく設置できる。運転費用は中間保管施設の維持管理費で賄えるので、バイオマス水溶液化の費用を最小限に抑えられる。
放射線分解による暗色物質の分解や澱粉の糖化処理の高効率化には、十分な反応効率が達成できる数十kGy/h級の吸収線量率が得られるように、ガンマ線源の配置を考慮した機器設計を適用する。併せて、低速電子励起界面反応を効率的に行わせる手法として、多糖体の溶質の界面反応や水からの励起種として生成する過酸化水素等を有効に利用するために、攪拌等の機械的手法を有効に取り入れる。
水溶液や気体中では、100eV当たりの吸収線量でのG値により過酸化水素や水素ガス等の励起種の収率が評価されるが、それの値は1以下と非常に低い。しかし、それは、連続的流体の水溶液、励起種の平均自由工程が小さい常圧の気体中では、一次励起種を生じても、緩和効果を直ぐに生じるために、二次励起種の過酸化水素等の濃度が低い状態になっているが、ガス吹込み等の手段を適用すれば、一次励起種から効率的に二次励起種を生成させることができる。
そのために、ガンマ線照射場の異相界面の面積率を大きくして、多量の低速電子を放出させて化学反応性の高い原子状の酸素や水素の一次励起種を効率的に生成させて、それにより高分子有機物の溶質を直接的に分解する手法を適用する。それの反応速度は、上記の気体のバブルの密度や流動条件、及び材料界面の有効面積に依存するので、それらのパラメータの制御により、一次励起種からの酸化剤となる二次励起種の過酸化水素、や還元剤の水素ガスの生成量を増大させることができる。当該機器では、それらの界面反応を最大限に有効利用できるように設計して、バイオマスの高粘性非水溶性の多糖類等の溶質の結合を分断して、低粘性水溶性の脱色糖蜜や単糖類に効率的に転換する。
本発明は、さとうきびや澱粉の植物原料からバイオマス用成分の分離液を調製して、ガンマ線源を利用した低速電子励起界面反応や放射線分解により多量に生成する強力な酸化剤を利用して、バイオマス原液中のアルコール転換工程の阻害や環境汚染物質となる高粘性の非水溶性の阻害物質、及び高分子の多糖類の水溶性低分子化を効率的に行い、アルコール転換が容易な単糖質系のバイオマス水溶液に転換する方法である。当該手法では、1MeV程度のガンマ線源の放射線作用だけなので、従来法のような二次廃棄物を殆ど生じず、限定されたガンマ線照射施設の管理区域内での簡便な工程により、低温で、迅速・効率的に単糖質のバイオマス水溶液の連続生成を可能とする。
本発明は、炭水化物系、糖質系あるいは/及びセルローズ系の非水溶性バイオマス原料について粉砕混合撹拌均質化し、水溶液に溶解して気相/液相/固相からなる異相界面の面積率を増大させたバイオマス調整液を生成し、該バイオマス調整液に、ガンマ線を照射し、ガンマ線照射によって異相界面に生じた低速電子励起による反応で原子状酸素を生成し、該バイオマス調整液中のバイオマスに、前記生成された原子状酸素を直接反応させ、糖化処理されたバイオマス澱粉糖化処理液を生成すること
を特徴とするバイオマス水溶液化方法を提供する。
本発明は、また、炭水化物系、糖質系あるいは/及びセルローズ系の非水溶性バイオマス原料について粉砕混合撹拌均質化し、水溶液に溶解して気相/液相/固相からなる異相界面の面積率を増大させたバイオマス調整液を生成し、該バイオマス調整液に、核燃料から抽出され生成されたCを含む核分裂生成物を閉じ込めたガラス固化体をガンマ線源としてガンマ線を照射し、ガンマ線照射によって異相界面に生じた低速電子励起による反応で原子状酸素を生成し、該バイオマス調整液中のバイオマスに、前記生成された原子状酸素を直接反応させ、糖化処理されたバイオマス澱粉糖化処理液を生成すること
を特徴とするバイオマス水溶液化方法を提供する。
本発明は、また、該バイオマス調整液に、ガンマ線を照射することで、異相界面の面積率を増大させることを特徴とするバイオマス水溶液化方法を提供する。
本発明は、また、ガンマ線を照射して一次励起種の原子状酸素に加えて二次励起種の過酸化水素を生成し、原子状酸素の直接反応で分解処理された低分子化単糖類が再結合する反応を抑制することを特徴とするバイオマス水溶液化方法を提供する。
本発明は、また、前記バイオマス調整液が非水溶性の暗色物質の多糖類を含み、該暗色物質に、前記生成された原子状酸素を直接反応させて、暗色物質を分解させ、暗色物質を分解によって脱色糖蜜化させて、糖化処理したバイオマス澱粉糖化処理液を生成することを特徴とするバイオマス水溶液化方法を提供する。
本発明は、また、上記のバイオマス水溶液化方法を、発酵及び醸造を行うアルコール製造工程に供給してアルコールを製造することを特徴とするバイオマスを原料としたアルコール製造方法を提供する。
本発明は、バイオマス水溶液液が、溶解されたバイオマス澱粉糖化処理物質を有して、糖蜜化したバイオマス澱粉糖化処理物質が、黒色脱色状態を呈することを特徴とするバイオマス水溶液を提供する。
本発明は、筒状に形成された本体と、該本体の外側で周囲に配設された核燃料から抽出され生成されたCを含む核分裂生成物を閉じ込めたガラス固化体で形成されたガンマ線源と、から構成され、
前記本体に、炭水化物系、糖質系あるいは/及びセルローズ系の非水溶性バイオマス原料について混合撹拌均質化されたバイオマスを有して形成された異相界面の面積率を増大させたバイオマス調整液が投入され、該バイオマス調整液に、ガンマ線が照射され、ガンマ線照射によって異相界面に生じた低速電子励起による反応で原子状酸素が生成され、該バイオマス調整液中のバイオマスに、前記生成された原子状酸素が直接反応することで、糖化処理されたバイオマス澱粉糖化処理液が生成され、該バイオマス澱粉糖化処理液が前記本体から導出されること
を特徴とするバイオマス水溶液生成装置を提供する。
本発明は、バイオマス水溶液生成装置が、炭水化物系、糖質系あるいは/及びセルローズ系の非水溶性バイオマス原料について粉砕混合撹拌均質化してバイオマスを生成し、該バイオマスを水溶液に溶解して異相界面の面積率を増大させバイオマス調整液を生成する前処理工程を備えることを特徴とするバイオマスを原料としたアルコール製造システムを提供する。
本発明は、また、上記のバイオマス水溶液生成装置で生成されたバイオマス水溶液を発酵及び醸造を行うアルコール製造工程に供給してアルコールを製造することを特徴とするバイオマスを原料としたアルコール製造システムを提供する。
本発明では、炭水化物系澱粉、糖質系さとうきび等、及びセルローズの多くのバイオマスからの原液の調製と、放射線分解を効率的に利用する簡便な処理システムを用いて、多糖類の分解や単糖化処理を行い、アルコール転換用バイオマス水溶液を効率的に生産することができる。その結果、現行バイオマスアルコール製造システムの課題である植物原料に対応した処理工程の選択や多量のプロセス廃棄物生成・処理の課題を払拭でき、放射性廃棄物の中間保管施設内にコンパクトに設置することにより、低廉・迅速にアルコール転換用バイオマス水溶液を連続生産でき、商用性の高いバイオマスアルコール製造法を構築できる(図1、2、4、6)。
本発明のアルコール転換用バイオマス水溶液製造法により、現行の酵母菌を用いる発酵・醸造のバイオマスアルコール製造法の高効率化が図れるほか、放射線作用による低速電子励起界面反応を用いる新しいバイオマスアルコール製造法では同じ放射性廃棄物の中間保管施設内で原料調整からアルコール生産の一貫工程を構築できるので、石油資源に対して、十分な商用上の競争力を確保することができる。
本発明のバイオマス水溶液化法は、ガラス固化体の持つ量子化学的効果が大きな電磁波のガンマ線を有効に利用することが出来る。この利用によって、多糖質の非水溶性高分子バイオマスを、バイオアルコール製造が容易な単糖類の低分子の水溶液に転換する商用技術を提供出来る。それにより、現行では放射性廃棄物として地層処分対象のガラス固化体を放射能が大きく下がり始める約百年間迄、エネルギー源として有効に利用できることになり、軽水炉や商業再処理の双方の推進により原子力システムの社会的受容性が確保できると共に、バイオマス農業の復興により、全体的な農業振興の促進に繋がる。
放射線作用を用いたバイオマス水溶液化工程を示す図。 放射線利用による非水溶性多糖類の高分子のバイオマス水溶液化システムの模式図例を示す図。 商用バイオマスエネルギーシステム開発に必要な主要項目を示す図。 自動車の高性能化と環境負荷低減策に対応したバイオアルコール利用FFVへの推移を示す図。 現行のバイオマスによる再生エネルギーの商用化の技術的課題を示す図。 放射線利用法と現行発酵蒸留法のアルコール製造技術の違いを示す図。 放射線利用バイオマスアルコール製造システム全体の概念を示す図。 高分子の分解&糖化に必要な酸化剤電位と、単糖類のアルコール化に必要な還元剤電位を示す図。 ガンマ線の低速電子励起界面反応による高分子の酸化分解反応の模式図。 低速電子励起反応と放射線分解反応による励起種の生成効率の違いを示す図。 ガラス固化体の放射能減衰曲線と化学的安定性を示す図。 糖蜜液の希釈度による吸光スペクトル変化と黒色度の暗色物質(DM)想定濃度依存性を示す図。 ガンマ線照射による暗色物質の脱色糖蜜化と炭酸ガス注入や過酸化水素の添加効果を示す図。 廃糖蜜液のガンマ線照射量による黒化度の低下と炭酸ガス注入や過酸化水素の添加効果を示す図。 廃糖蜜液のガンマ線照射条件による吸収スペクトルの変化と蔗糖との光吸収の違いを示す図。 澱粉系バイオマス高分子のガンマ線照射による水溶液化と粘性の低下傾向を示す図。 5%タピオカの照射前後の吸収スペクトルの違いを示す図。 炭水化物系澱粉のガンマ線照射前後の吸収スペクトルの比較を示す図。 ガンマ線照射によるセルローズの微粉砕の前処理とそれの懸濁液の単糖化処理の結果例を示す図。 現行規格ステンレス鋼と25-35Ni系EHP鋼のアノード分極曲線と腐食性状の違いを示す図。 酸化電位による水中酸化物の安定性の違いとクロム酸の蒸気圧の酸素圧依存性を示す図。 ガンマ線照射場酸素中の現行SUS316L鋼と 25Cr-35Ni系EHP鋼の酸化挙動の違いを示す図。
本発明は、ガンマ線源としての高線量照射効果により、異相界面に多量に放出される低速電子による水分子から原子状酸素や過酸化水素等を励起生成させて、それの強力な酸化力により、直接的に炭水化物系の澱粉の芋類等、糖質系のさとうきび等、及び木質系セルローズ等のバイオマスを前処理した原液中の高粘性・非水溶性の多糖類の高分子を、強力な酸化分解作用により単糖類の低分子に転換して、バイオアルコール製造の低廉・迅速化を可能とするバイオマス水溶液の製造方法を提供する。
本発明は、化学的安定化してある低廉な高レベル廃棄物のガラス固化体の強力な放射線エネルギーのバイオアルコール製造への利用技術を提供する。
発明を実施するための形態として、次のような形態が提案される。
提案1.
炭水化物系、糖質系、及びセルローズ系の主要なバイオマスを、簡便迅速にアルコール製造用のバイオマス水溶液に転換する技術であり、バイオマス原料を前処理した調製液を、水溶液化工程に供給し、廉価な高レベル廃棄物のガラス固化体等の強力ガンマ線源の照射場で、バイオマスと溶液側界面の量子化学的な低速電子励起反応で生成する原子状酸素と放射線分解を含む過酸化水素等の強酸化作用を利用して、再結合等の副次反応を抑制する低温で、非水溶性の多糖類の高分子を水溶性の単糖類に低分子化する処理を、外部熱負荷なしに迅速に行うこと
を特徴とするバイオマス水溶液化方法。(図1、図2)。
提案2.
提案1に記載された、ガンマ線照射効果を用いるバイオマス水溶液化方法において、非水溶性の多糖類等の高分子の水溶性の単糖類への低分子化処理は、現行商用技術の糖質系の熱帯植物と共に、日本の亜熱帯〜亜寒帯の澱粉系や木質系セルローズ等の数多くのバイオマスの適用を可能とする手法であり、炭水化物系の澱粉の単糖化処理、糖質系さとうきび中の非水溶性の暗色物質の分解による脱色糖蜜化、及びセルローズの照射効果による微細化と単糖化の2段処理等を含むこと
を特徴とするバイオマス水溶液化方法。
提案3.
提案1に記載されたバイオマス水溶液化方法において、ガンマ線照射場の低速電子励起反応が、炭水化物系、糖質系、及びセルローズの非水溶性の多糖質の高分子の溶質と水分子からの一次励起種の原子状の酸素や二次励起種の過酸化水素による酸化反応であること
を特徴とするバイオマス水溶液化方法。
提案4.
提案1に記載されたバイオマス水溶液化方法において、前記の一次励起種の原子状酸素に加えて、放射線分解を含めて生成する二次励起種の過酸化水素が、前記の高分子の低分子化処理あるいは糖化処理に用いられることを特徴とするバイオマス水溶液化方法。
提案5.
放射線利用では、効率化を図るために、使用済み核燃料集合体から抽出されセシウム等の核分裂生成物を高レベル廃棄物として濃縮して化学的安定に閉じ込めたガラス固化体等を高強度のガンマ線源に用いて、低速電子励起界面反応による多量の原子状酸素の強酸化作用により、多糖類の高分子を単糖類の低分子化に分断させること
を特徴とするバイオマス水溶液化方法。
提案6.
提案5に記載されたバイオマス水溶液工程用のバイオマスの前処理では、スターチや蔗糖等の食料品の煩雑な製造工程が必要性なく、沸騰点以下の低温で微細な非水溶性バイオマスの懸濁した簡便な前処理法によりバイオマス原液を調製するが、温度上昇等で糊状や凝縮状の凝集した澱粉や、食料品自体でも、それらの水潤したバイオマス中の内部界面の低速電子励起反応による原子状酸素の直接反応や放射線分解により、バイオマス原液の選択性無く適用できること
を特徴とするバイオマス水溶液化方法。
提案7.
提案1に記載されたバイオマス水溶液化方法は、従来のさとうきび原料を用いた発酵法等のアルコール製造工程の廃液処理工程として、環境汚染防止上不可欠となっている暗黒色の暗色物質の除去工程に、上記の低速電子励起反応工程を用いて、脱色糖蜜と肥料用の塩基性炭酸塩に分離転換してアルコール製造用水溶液に利用すること
を特徴とするバイオマス水溶液化方法。
提案8.
提案2のバイオアルコールの商用製造技術には、十分なバイオマスの供給量の確保が必要であり、現行の糖質系の熱帯植物の他に、日本等の亜熱帯〜亜寒帯の澱粉系やセルローズ系等の数多くのバイオマスの適用を可能とし、従来の酸や酵母菌等の煩雑な糖化処理を必要とせず、多くの有機物の高分子に統一的に適用できる高酸化力のガンマ線の照射工程を利用すること
を特徴とするバイオマス水溶液化方法。
提案10.
バイオマス水溶液化は、現行の発酵法や放射線利用のバイオアルコール製造の新技術の効率化と保守管理の簡素化を図る前処理技術として、非水溶性成分を除去し、単糖類の低分子の水溶液に変換することにより、アルコール製造工程の阻害物質を無くし、廃棄物生成量を低減して水に無限希釈できる単糖類とする方法であり、それの工程の溶液性状の判定基準には、水溶液としての濁度や粘性と、水に無限希釈する単糖類の蔗糖の吸収スペクトルとの整合性の評価
を特徴とするバイオマス水溶液化方法。
図1は、本発明の実施例の方法に関し、放射線作用を用いたバイオマス水溶液生成の工程を示す図である。図1において、炭水化物の澱粉系、糖質系、及びセルローズの多くのバイオマスの選択性なく、バイオアルコール製造に効率的に適用できるようにするために、各非水溶性高分子の性状に対応した簡便な前処理法によるバイオマスの懸濁した原液を調製し、ガンマ線照射場の溶質と液体等の異相界面の低速電子励起界面反応による原子状酸素や二次励起種の酸化剤により水溶性低分子へ酸化分解して、アルコール製造に最適なバイオマス水溶液を直接的に生産する。
調整されたバイオマス水溶液は、バイオアルコール製造工程発酵法&放射線利用法等へバイオマス水溶液として利用工程で利用される。
また、放射線分解&微粉砕化されたセルローズは、高燃焼用タービン用の微粉砕原料として利用され、アルコール製造自立型プラントに使用される。
図2は、放射線利用による非水溶性多糖類の高分子のバイオマス水溶液化システムの模式図例を示す図である。
図2に、放射線利用による非水溶性多糖類の高分子のバイオマス水溶液生成装置及びバイオマス水溶液からアルコール製造するシステムを示す。
図2において、バイオマス水溶液からバイオマスアルコール製造するシステム100は、バイオマス水溶液生成装置200、バイオマスアルコール製造装置300を備えて構成される。
バイオマス水溶液生成装置200は、バイオマス水溶液処理工程20としてのバイオマス原液調整の前処理工程21及び低速電子励起の原子状酸素による多糖類高分子の低分子化単糖類の水溶液化工程22を含んで構成される。
アルコール製造装置300は、発酵/醸造&放射線利用アルコール製造工場23を含んで構成される。
バイオマス原液調整の前処理工程21は、図に示すように、非水溶性の多糖類あるいは/及び植物原料が準備される。典型的には、澱粉系のキャサバ、馬鈴薯,甘藷糖25、糖質系の廃糖蜜糖26及びセルローズ系の藁&木質等27が準備される。
準備されたこれらのバイオマス原料は、原料受入&貯蔵28、洗浄&磨碎29を経て粉砕され、粉砕されたバイオマス原料は、絞汁&分離30を経て、混合撹拌均質化槽31での混合撹拌均質化がなされる。混合撹拌均質化のための濃度調整32及び原液調整33がなされる。
洗浄&磨碎29を経たバカス等セルローズは事前ガンマ線照射&粉砕化34がなされ、絞汁&分離30に投入され、一部は、燃焼タービン利用/肥料等35がなされる。
このようにして混合撹拌均質化によって投入用のバイオマス原料が生成されるが、これらの工程には限定されない。
低速電子励起の原子状酸素による多糖類高分子の低分子化単糖類の水溶液化工程は、槽1、槽1内に設置された筒状の水溶化槽である本体2、この水溶化槽を保持する保持箱3、この保持層3、すなわち水溶化槽2の外側でその周囲に設けられたガンマ線源5、水溶化槽2の回転装置6、生成された投入用のバイオマスの投入系統7、生成されたバイオマス水溶液の導出系統8、分解ガスの排気捕集系9、残槽10及び残渣排出系11から構成される。本例の場合、本体の筒は、逆三角錐の筒状に、上方部が大きく、下方部が狭められて形成されている。この形状には限定されない。槽1は、照射内配置40とされる。
バイオマス水溶液生成装置200は、具体的には筒状に形成された本体1と、該本体の外側で周囲に配設された核燃料から抽出され生成されたCを含む核分裂生成物を閉じ込めたガラス固化体で形成されたガンマ線源5と、から構成され、澱粉糖化処理と暗色物質分解処理がなされる。その一方の処理であってもよいし、双方の処理が同時になされるようにしてもよい。
本体2に、炭水化物系、糖質系あるいは/及びセルローズ系の非水溶性バイオマス原料について混合撹拌均質化されたバイオマスを有して形成された異相界面の面積率を増大させたバイオマス調整液が投入され、該バイオマス調整液に、ガンマ線が照射されて界面に低速電子励起を生じさせ、該生じた低速電子励起による反応で原子状酸素が生成され、バイオマス調整液中のバイオマスに、前記生成された原子状酸素が直接反応して、糖化処理されたバイオマス澱粉糖化処理液が生成され、該バイオマス澱粉糖化処理液が本体2からバイオマス水溶液の導出系統8へと導出される。
バイオマス水溶液生成装置200は、炭水化物系、糖質系あるいは/及びセルローズ系の非水溶性バイオマス原料について混合撹拌均質化してバイオマスを生成し、バイオマスを水溶液に溶解して異相界面の面積率を増大させバイオマス調整液を生成する前処理工程21を備える。
導出系統8から導出されたバイオマス水溶液は、澱粉糖化液41及び脱色糖蜜液42であり、混合され、あるいは単独で単糖類水溶液43となる。この液は、発酵/醸造&放射線利用アルコール製造工場23へと搬送される。
バイオマス水溶液生成装置200、すなわち低速電子励起の原子状酸素による多糖類高分子の低分子化単糖類の水溶液化工程22で生成されたバイオマス水溶液を発酵及び醸造を行うアルコール製造工程に供給してアルコールを製造することになる。
上記のバイオマス原液の調製工程では、糖質系の廉価な廃糖蜜の非水溶性の暗色物質の浮遊液、澱粉系では微粉状や湿潤した糊状や凝縮物の懸濁液、セルローズでは予めガンマ線照射効果の前処理により照射劣化させた微粉砕片の浮遊液とする。それらのバイオマス水溶液化工程では、ガンマ線照射場の低速電子励起界面反応による酸化分解効率を高めるために、異相界面の面積率を増大させて大きな比表面積を得て、回転による界面反応を促進させ、励起する低速電子の量を増大させ、バイオマス調整液中のバイオマスに、前記生成された原子状酸素を直接反応させて、糖化処理されたバイオマス澱粉糖化処理液を生成する。このような効率化を図った反応機器であるバイオマス水溶液生成装置200を用いて、各アルコール製造工程に対応したバイオマス溶質濃度の水溶液が製造される。
かくして、反応機器であるバイオマス水溶液生成装置200で直接的に大量に生成したバイオマス水溶液からアルコール製造するシステム100が形成される。
バイオマス原液の調製工程では、澱粉では食料用の製品製造工程の煩雑な手法は、逆に高分子の化学的安定性を高めることになり不必要であり、図2のバイオマスの原料特性に対応した簡便手法の適用により原料に近い価格にできるほか、糖質系では蔗糖分離後の残渣の廃液である廃糖蜜を利用して、各バイオマス原液中の非水溶性の多糖類の高分子の特性に対応した単糖類の低分子化処理を適用する。バイオマス原料対応の価格や手法の違いを表1に示す。
Figure 0006762462
図3は、商用バイオマスエネルギーシステム開発に必要な主要項目を示す図である。図3に、バイオアルコール製造利用技術全体の構成を示す。
本発明は、バイオアルコールのエネルギーシステム社会の構築に必要となるバイオマス供給システム整備の重要な要素技術を提供することが出来、バイオアルコール利用のための放射線利用を含めた社会的受容性の確保と需要システム構築に必要となる、広範なバイオマスの植物原料の適用可能な商用規模のバイオアルコール供給システム整備の中核となる技術を提供することが出来る。
ガンマ線の放射線作用には、照射対象の吸収線量に対応した放射線分解と、本発明が適用している低速電子励起界面反応がある。それらは、バイオアルコール製造システムでは、当該電磁波による量子化学的効果を利用するが、バイオマスの多収量化のような突然変異を利用した品質改良では数百Gy級の吸収線量で良いが、バイオマスの水溶液化やバイオマス水溶液のアルコール転換濃縮工程では数千KGyの桁の異なる大きな吸収線量が得られるガンマ線源が必要となる。現在、軽水炉使用済み燃料の再処理により高レベル廃棄物のガラス固化体が約百年間に10万体程生産されるので、当該発明用の廉価なガンマ線源に用いることができる。バイオアルコール製造システム上の放射線利用条件の評価結果を表2に示す。
Figure 0006762462
図4に、バイオアルコール燃料用途での技術的課題上の対応の事例を示す。図4は、自動車の高性能化と環境負荷低減策に対応したバイオアルコール利用FFVへの推移を示す図である。
世界のエネルギーの約半分が原動機用燃料に消費される現状では、地球温暖化防止を含む環境負荷低減や化石資源の有効利用には、バイオマスを用いた再生エネルギーの商用規模の技術開発以外にないが、基盤となるバイオマス農業は各国の保護政策下の一次産業の農業のために簡単に輸入できず、独自の開発が必要である。当面のガソリン燃料中の有機系アンチノック剤の有毒性除去のためには、25%以上のアルコール添加の混合燃料を用いたFFVが必要であり、発明技術は、国内の澱粉等の幅広い原料が利用でき、それを可能にする。
本発明によるバイオアルコールの経済性として、約30体の軽水炉燃料集合体中の核分裂性の放射性核種を凝集したガラス固化体を使用した場合、太陽光発電の可視光のエネルギーの100万倍である1MeV級のガンマ線の高エネルギー電磁波と高密度の光子を放出するので、電磁波からエネルギー輸送効率が低くても、太陽光の面積の100万倍以上に相当する低速電子を発生できる。併せて、太陽光からの電子一個相当の水素生成を想定すると、放射線とバイオマスの複合システムでは、単糖類化したバイオマスから3当量のバイオアルコールを生産できるので、それだけでもエネルギー効率が一桁以上高い、また、太陽光と異なり半導体の劣化交換や日照時間等の制約がなく、ガンマ線源強度が大きく低下する100年近く迄、供用可能であり、エネルギー生産効率に優れる。バイオアルコールのエネルギー効率上の解析評価結果を表3に示す。
Figure 0006762462
図5は、現行のバイオマスによる再生エネルギーの商用化上の技術的課題を示す図である。図5に、従来技術に対する本発明術の優位性の検討結果を示す。
放射線利用のバイオアルコール製造技術は、本発明のバイオマス水溶液化処理により、熱帯の糖質系さとうきびだけでなく、従来のバイオアルコール製造法の醸造法や化成処理法と比較して、亜熱帯〜温帯で多量生産可能な炭水化物系の芋類等の安価な植物原料に対して必要となる煩雑な前処理が必要なくなり、適用可能になり、蒸発処理や熱分解等の外熱源も極小化出来るので、商用バイオアルコール生産性を確保できる。
図6は、放射線利用法と現行発酵蒸留法のアルコール製造技術の違いを示す図である。
図6に、従既技術に対する発明技術のアルコールの製造工程の違いの評価結果を示す。
現行の酵母菌を用いる発酵蒸留法では、澱粉系や廃糖蜜では糖化処理や暗色物質の廃棄物処理の他に、それらの非水溶性の高分子によりアルコール転換反応の阻害や原料の半分を微生物の生体反応に費やし炭酸ガスや二次廃棄物を多量に生成する大きな課題がある。本発明技術は、バイオマス水溶液化により、それらの課題を払拭して、従来の発酵蒸留法に適用してアルコール生産効率が大きく改善できる。更に、新技術の放射線利用法等におけるアルコール転換濃縮法を用いれば、放射線管理区域での一貫工程によるバイオアルコール生産が可能になる。
図6は、またバイオマス水溶液化技術としての製品性能の判断基準を示す。従来の発酵蒸留法では、暗色物質の脱色を改善できないが、本発明はこの問題を解決する。
本発明のバイオマス水溶液化技術では、基本的に光を通さない非水溶性で多糖類の高分子の植物原料を、可溶性の単糖類の低分子に酸化分解する手法であり、それの生成度の評価基準には、廃糖蜜に微量含まれる暗色物質に関しては黒化度と吸収スペクトル、糊化や凝集析出し易い片栗粉、コーンスターチ、タピオカ等の炭水化物系の澱粉に関しては粘性と吸収スペクトルの測定により判定できる。多糖体は、高波長域〜低波長域まで連続的な光吸収域を持っており、放射線処理により、蔗糖等の単糖類特有の吸収域のピークを持つ吸収スペクトルへの変化で判断する。
図7は、バイオマス水溶液を応用して形成したアルコール製造システム全体の概念図を示す。
バイオマス水溶液生成装置が、炭水化物系、糖質系あるいは/及びセルローズ系の非水溶性バイオマス原料について粉砕混合撹拌均質化してバイオマスを生成し、該バイオマスを水溶液に溶解して異相界面の面積率を増大させバイオマス調整液を生成する前処理工程を備えるアルコール製造システムが構成される。
また、このバイオマス水溶液生成装置で生成されたバイオマス水溶液を発酵及び醸造を行うアルコール製造工程に供給してアルコールを製造するバイオマスを原料としたアルコール製造システムが構成される。
本発明によるバイオマス水溶液化技術は、0033のように、バイオマス原液からバイオアルコール製造の全体を、ガンマ線源を利用したバイオアルコール製造システムに構築することで、最大の効率化が図れる。当該システムでは、食料原料以外の廃棄物のセルローズを放射線分解により微細化した燃料と、アルコール製造工程で生成する化成ガスを利用した燃焼タービンによる発電により、製造システム全体で必要となる電源が賄える。
バイオマス水溶液を他のシステムに応用することができる。例えば、図2に記載されたバイオマス水溶液生成装置で生成されたバイオマス水溶液が、濃縮度が調整されて燃料とされ、直接的に燃焼タービンに供給されることを特徴とするバイオマスを原料とした発電システムとして構成することが出来る。
図8は、高分子の分解&糖化に必要な酸化剤電位と、単糖類のアルコール化に必要な還元剤電位を示す図である。
図8により、放射線利用技術の化学反応の有効性を示す。
本発明の非水溶性の多糖類の高分子を水溶性の単糖類の低分子への分解方法は、従来の酸処理等の糖化法と大きく異なり、ガンマ線照射場の低速電子励起界面反応で連続生成する原子状の酸素や二次励起種の過酸化水素の十分に高い酸化力を利用するので、低温でも効率化が図れる。
図9は、ガンマ線の低速電子励起界面反応による非水溶性高分子の酸化分解反応を模式的に示す図である。
図9により、ガンマ線を利用した低速電子励起界面反応の応用技術の構成を示す。
低速電子励起界面反応は、高エネルギー電磁波のガンマ線が固体や液体の高密度の媒体内での各種のエネルギー輸送過程により、異相界面に高密度の低速電子を放出できる原理を利用している。水潤したバイオマス内部の界面、吹き込みガスの気泡界面、固体材料の界面で生成した原子状の励起酸素は直接的に高分子の分解反応に関わるほか、環境側の放射線分解を含めた二次励起種の過酸化水素の酸化剤により、高分子の分解反応が効率的に進行する。
バイオマス調整液に、ガンマ線を照射し、ガンマ線照射によって異相界面に生じた低速電子励起による反応で原子状酸素を生成し、バイオマス調整液中のバイオマスに、生成された原子状酸素を直接反応させ、糖化処理されたバイオマス澱粉糖化処理液を生成する。
バイオマス調整液が非水溶性の暗色物質の多糖類を含み、暗色物質に、記生成された原子状酸素を直接反応させて、暗色物質を分解させ、暗色物質を分解によって脱色糖蜜化させて、糖化処理したバイオマス澱粉糖化処理液を生成する。
図9に示すように、脱色糖蜜と低分子糖が混在したバイオマス水溶液が生成される。
図10は、低速電子反応と放射線分解による励起種生成効率の違いを示す図である。
図10に、水中や水蒸気と、吸着水との効率的な低速電子励起による共鳴励起効果の違いの評価結果を示す。
本発明での低速電子励起界面反応では、低速電子による量子化学的な水分子の励起効果を利用している。従来の放射線分解では、吸収線量が大きい高密度で液体ほど、水素ガスや過酸化水素の二次励起種の生成収率が高いとされてきた。しかし、低速電子による量子化学的効果では、水蒸気、さらには、吸着水分子の場合には共鳴励起反応により、原子状の酸素や水素の生成収率が非常に大きくなる事象が明らかになった。界面に吸着した水分子は、約1eVに非常に鋭い励起ピークを持ち、低速電子励起界面反応による高効率の酸化分解反応効果が得られる。
図11は、ガラス固化体の放射能減衰鏡線と化学的安定性を示す図である。
図11(a)に、ガラス固化体の放射能の減衰を示す。図11(b)に、ガンマ線源としてのガラス固化体の耐熱性を示す。
また、現行のコバルト60では、半減期が約4年と短く、頻繁な線源交換が必要なために商用的成立性が低いが、各種の放射性核種を含むガラス固化体では、放射能の大きく減衰するのが約100年後からであり、その間、商用ガンマ線源として利用出来る。
本発明に用いるガンマ線源は、数千KGyの範囲での照射が必要であり、高レベル廃棄物のガラス固化体が最も適している。放射線利用のバイオアルコール製造システムは、全こが約200℃以下の低温で良いので、表面温度が約200℃となるガラス固化体の適用は外部熱源をほとんど必要とせず非常に効率的である。既存の照射施設には、コバルト60のガンマ線源が用いられているが、金属製のために適用温度が200℃以下とされている。ガラス固化体は、核分裂性各種をガラスの網目状組織に閉じ込めており、400℃迄の温度まで適用可能である。
図12は、糖蜜液の希釈度による吸光スペクトル変化と黒色度の暗色物質(DM)想定濃度依存性を示す図である。
図12に、暗色物質が微量濃度でも環境汚染に関わる高い黒化度を示す評価結果を示す。
現 図13は、ガンマ線照射による暗色物質の脱色糖蜜化と炭酸ガス注入や過酸化水素の添加効果を示す図である。
図13に、ガンマ線照射と炭酸ガス吹込みや過酸化水素注入による暗色物質の分解結果の有効性の評価結果を示す。
商用バイオアルコールの生産には、ブラジルや東南アジアの糖質系のさとうきび又は、それから蔗糖分離後の残渣の糖蜜液や、さらに安価な廃糖蜜液をバイオマスの原料に主として用いている。それには、暗色物質と呼ばれる非水溶性成分が微量含まれており、それが、発酵過程の阻害効果や、希釈しても暗黒度が高ので、環境汚染規制上の廃棄物処理対策が低コスト化の大きな障害になっている。
照射前5%廃糖蜜液は、暗色物質と呼ばれる非水溶性成分に起因して黒色を呈した。本発明の適用(本実施例のガンマ線照射の吸収線量による脱色糖蜜化)によって暗色物質と呼ばれる非水溶性成分の単糖類化によって暗色物質と呼ばれる非水溶性成分を減少させ、脱色糖蜜化が可能になった。本発明のなるガンマ線照射後に更に二次励起で生じた過酸化水素の添加によって透明のバイオマス水溶液とすることができた。本発明になるガンマ線照射後に炭酸ガスを吹き込み添加することで、塩基性炭酸塩を沈殿させ、分離金属元素の再結合防止を図ることができる。図に示すように、照射前5%廃糖蜜液は、本実施例のガンマ線照射後に過酸化水素を吹き込むことで、0.1%、0.5%あるいは1.7%糖蜜液とすることが出来た。1.7%糖蜜液は、照射前5%廃糖蜜液に比べて脱色している。更に、この1.7%糖蜜液は、所定の時間静置後に透明のガンマ線照射1.7%糖蜜液を得ることができた。そして、本実施例になるガンマ線照射後に炭酸ガスを吹き込むことで、塩基性炭酸塩を沈殿させ、分離金属元素の再結合防止を図ることができた。
このように、1.7%以下の糖蜜液であって、脱色糖蜜液が生成される。
また、図9において、1.7%以下の糖蜜液であって、脱色糖蜜と低分子糖が混在したバイオマス水溶液が生成される。
図14は、廃糖蜜液のガンマ線照射量による黒化度の低下と炭酸ガス注入や過酸化水素の添加効果を示す図である。
図14に、暗色物質の分解による黒化度の照射量依存性の評価結果を示す。
本発明は、暗色物質に対しては、アルコール製造工程前の除去や廃液処理法に適用できる。
ガンマ線利用の低速電子励起界面反応の支配因子には、吸収線量と炭酸ガス吹込み効果があり、後者は有効界面積の増大による反応促進効果と、暗色物質を安定化しているキレートからの金属分子を塩基性炭酸塩に固定化して、逆反応を抑制する効果がある。また、高分子の分解が酸化剤によることは、過酸化水素を添加した場合の脱色の促進効果として確認される。
上記の効果は、暗色物質による黒化度RGBのガンマ線の照射量依存性として確認できる。ガンマ線照射だけでは照射後の逆反応により、黒化度の低下傾向が鈍いが、炭酸ガス吹込みにより、数百KGyの範囲で効率的に黒化度を低下できる。過酸化水素添加も有効ではあるが、過剰残留時の安全性やpH低下等の副次課題が生じる。黒化度低下の飽和値は、蔗糖よりは高いが、浮遊物の無い水溶性の脱色糖蜜に至ったことを示している。
図15は、廃糖蜜液のガンマ線照射による吸光スペクトルの変化と蔗糖との光吸光も違いを示す図である。
図15(a)は、照射効果による廃糖蜜の吸収スペクトルの変化傾向の評価結果を示す。図15(b)は、代表的な波長域での吸収スペクトルの違いの評価結果を示す。
廃糖蜜の脱色糖蜜化の判断には、無限大希釈の水溶性の蔗糖との吸収スペクトルの比較が有効な手段である。濃度の低い廃糖蜜液の吸収スペクトルの測定は可能であるが、微量の暗色物質が存在するために、多糖体の高分子特有の分子結合に対応して、長波長側へ大きな吸収帯が伸びている。しかし、ガンマ線照射材は、蔗糖に近い吸収スペクトルに、略収斂しており、照射効果の有効性を確認できる。
廃糖蜜の原液と照射後の吸収スペクトルの違いは、多糖類の高分子の消失傾向で評価でき、暗色物質が非常に微量であっても長波長域に大きな吸収を示すことが明らかである。
図14及び図15に示すように、バイオマス水溶液が、溶解されたバイオマス澱粉糖化処理物質を有して、糖蜜化したバイオマス澱粉糖化処理物質の黒化度が、黒色脱色状態を呈し、バイオマス水溶液の吸光度が、460nm波長で、1Abu以下を呈するバイオマス水溶液が生成される。
このように、バイオマス水溶液が、溶解されたバイオマス澱粉糖化処理物質を有して、糖蜜化したバイオマス澱粉糖化処理物質の黒化度が、黒色脱色状態を呈し、1.7%以下の糖蜜液であって、バイオマス水溶液の吸光度が、460nm波長で、1Abu以下を呈するバイオマス水溶液が生成される。
図16は、澱粉系バイオマス高分子のガンマ線照射による水溶液化粘性の低下傾向を示す図である。
図16に、澱粉系原料のガンマ線照射結果を示す。
炭水化物の澱粉系の場合には、凝集や析出を生じ難い低温工程で生産する芋類からの片栗粉、トウモロコシからのコーンスターチ及びキャッサバからのタピオカ等の食料品に精製したものでも、60℃以上で糊状や凝集析出物となり易い。ガンマ線の強放射線場で約60℃迄温度が上昇することを想定して、5%のバイオマス原液を用いて、ガンマ線照射によるバイオマス水溶液化を確認している。原液状態では、上記のために、粘性自体が測定不可能であるが、数百〜千KGy級のガンマ線照射により、糊状や凝集析出物を全て消失させて、均一な水溶液とすることができる。
図17は、5%タピオカの照射前後の吸収スペクトルの違いを示す図である。
図17に、タピオカの原液とガンマ線照射後の吸収スペクトルの測定結果の比較を示す。
澱粉の原液では、吸収スペクトル自体の測定が困難であるが、希釈した原液とガンマ線照射後の5%タピオカの吸収スペクトルを比較すると、暗色物質の場合と同様に、高分子の原液の長波長側の連続した吸収スペクトルは、ガンマ線照射により、大幅に減少している。
図18は、炭水化物系澱粉のガンマ線照射後の吸収スペクトルの比較を示す図である。
図18に、各澱粉系のガンマ線照射後の吸収スペクトルの結果をタピオカ原液との比較として示す。
片栗粉、コーンスターチ、タピオカ等の5%の原液照射後の吸収スペクトルをタピオカ原液と比較してみると、何れも高分子の長波長域の吸収が大幅に減少して、各々の単糖化による水溶液中の溶質に対応した短波長域の吸収だけになり、図15の脱色糖蜜や蔗糖と類似の吸収スペクトルを示している。
図19は、ガンマ線照射によるセルローズの微粉砕の前処理とそれの懸濁液の単糖化処理の結果例を示す図である。
図19(a)に、照射前後での粉砕片の大きさの違いを示す。図19(b)に、藁の微粉体が懸濁液のガンマ線照射後の溶液の吸収スペクトルを示す。
藁系や木質系のセルローズは、植物原料自体が密度の高い個体なので、澱粉系とは異なる前処理が必要となる。先ず、数百KGy程度のガンマ線照射により固体内の照射効果により結合を切断することができ、機械的に粉砕化し易くなる。
ガンマ線照射後セルローズを表面積/体積比率を大きくする微粉体化加工したものを懸濁させたバイオマス原液を用いて、澱粉の場合と同様に千KGy級のガンマ線照射による低速電子界面反応による酸化分解を行うと、低分子の水溶液として溶出させることが出来る。溶出液は蔗糖の吸収スペクトルと同様に高分子特有の長波長側の吸収が減少して単糖類の単分子化した水溶液となることを示している。
図7に示した放射線利用のバイオアルコール製造システムを考えた場合、セルローズは、微粉砕化しても水潤する澱粉や暗色物質と比較して、低速電子励起界面反応の有効面積が限定されるので、流動燃焼炉のタービンを用いる発電システム用の燃料としても有効であり、全体的なバイオマス原料の供給状況等から、適宜、最適な利用法を選択出来る。水溶液化技術のシステム構成図の図1に示してある。
図20は、現行規格ステンレス鋼と25−35Ni系EHP鋼のアノード分極曲線と腐食性状の違いを示す図である。
図20に、酸化電位の高い硝酸溶液中の電気化学的な腐食電流−腐食電位のアノード曲線の測定結果を示す。
放射線利用のバイオアルコール製造システムでは、高放射線量のガラス固化体、及びバイオマス水溶液化やアルコール転換濃縮の諸工程に使用する伝熱機器自体が、低速電子励起界面反応による高酸化力の厳しい腐食を受ける。それは、通常の電気化学的腐食と異なり、図8に示した原子状酸素ないし過酸化水素の酸化剤の生成速度に依存した腐食機構であり、溶液中では、過不働態に近い高酸化電位の腐食となり、25Cr-35Ni系鋼のようなオーステナイト相安定性と酸化膜の形成能に優れたステンレス鋼が必要となる。
図21は、酸化電位による水中酸化物の安定性の違いとクロム酸化物の蒸気圧の酸素圧依存性を示す図である。
図21に、保護性の高い酸化物の電位場の存在域と、温度に依存したCrの高級酸化物の圧力増大傾向を示す。
ステンレス鋼の耐食性は、金属表面にできる酸化膜の保護性に依存する。酸化電位の高い水環境では、CrがCrO3として溶出し易くなるので、NiとFeからなるスピネル酸化物の外層を生成して、酸化膜成長を抑えるCrを主体とした拡散バリアーの内層酸化膜の二層構造を安定に形成できることが必要となる。しかし、Ni含有量が少なく、外層が形成できない場合は、耐酸化性の役割を担うCrが酸化膜表面から蒸気圧の高い高級酸化物のCrO3酸化物となって高温位なる程逃散し易くなり、酸化膜の保護性が大きく低下する。
図22は、ガンマ線照射場酸素中の現行SUS316L鋼と25Cr−35Ni系EHP鋼の酸化挙動の違いを示す図である。
図22(a)に、ガンマ線照射場の低速電子励起酸素による酸化反応条件でのステンレス鋼間の酸化速度の違いを示す。図22(b)に、軽水炉条件模擬のガンマ線照射場水蒸気中のステンレス鋼間の酸化膜の組成プロファイルの違いを示す。
ガンマ線照射場の酸化試験では、上記の材料間の耐食性の違いが一層明確となる。ガンマ線照射場の酸素中の吸収線量で規格化した酸化膜成長速度は、現行材SUS316L鋼と開発材25Cr-35Ni系EHP鋼の間では、温度の上昇と共に違いが一層明確になる。低温側では、見掛け上25Cr-35Ni系EHP鋼の酸化膜成長の差は見えなるが、SUS316L鋼ではCrの逃散による重量減少を生じている。
それの例として、温度の低い軽水炉の水蒸気中では、SUS316L鋼ではCrが逃散して酸化膜中及び基地金属中のCr濃度が大きく低下し、酸素が金属中に拡散浸透している。200℃級の低温の長期間使用では、酸素が拡散浸透すると、内部酸化物生成や粒界脆化による環境誘起割れのリスクが大きくなる。一方、25Cr-35Ni系EHP鋼は、Crが酸化膜の内層に濃縮しており酸化膜の保護性が担保され、長期健全性を保持できる。
バイオマス水溶液化装置は、高レベル廃棄物のガラス固化体のガンマ線源の半減期から、100年近く線源交換が不要であるので、装置の寿命や安全性を確保するために、低速電子励起反応の高い酸化力環境でも、十分な耐食性を担保できる25Cr-35Ni系EHP鋼を現行のガラス固化体のSUS300系鋼にオーバーパックしてガンマ線源の閉じ込め機能を十分に担保するほか、反応機器材料に適用して100年近い長期間の保守管理費用の極小化が図れる。
1…槽、2…槽1内に設置された筒状の水溶化槽である本体、3…水溶化槽を保持する保持箱、5…保持層、すなわち水溶化槽2の外側でその周囲に設けられたガンマ線源、6…水溶化槽2の回転装置、7…生成された投入用のバイオマスの投入系統、8…生成されたバイオマス水溶液の導出系統、9…分解ガスの排気捕集系、10…残槽、11…残渣排出系、100…バイオマスアルコール製造システム、200…バイオマス水溶液生成装置、300…バイオマスアルコール製造装置300。

Claims (11)

  1. 炭水化物系あるいは糖質系の高分子多糖の非水溶性バイオマス原料が粉砕され、混合撹拌されて均質化されたバイオマス調整液を準備し及びCを含む核分裂生成物を閉じ込めたガラス固化体で形成されたガンマ線源を用い、該バイオマス調整液に、ガンマ線を照射して前記高分子多糖を低分子糖に分解し、低分子糖のバイオマス水溶液を生成すること
    を特徴とするバイオマス水溶液生成方法。
  2. 高分子多糖を含む廃糖蜜液を準備し及びCを含む核分裂生成物を閉じ込めたガラス固化体で形成されたガンマ線源を用い、ガンマ線を当該廃糖蜜液に照射して前記高分子多糖を低分子糖に分解し、低分子糖のバイオマス水溶液を生成すること
    を特徴とするバイオマス水溶液生成方法。
  3. 請求項1又は2に記載されたバイオマス水溶液生成方法において、
    前記バイオマス調整液が非水溶性の暗色物質の多糖を含み、ガンマ線を当該暗色物質に照射し、前記暗色物質を低分子糖に分解して脱色処理し、脱色処理したバイオマス水溶液を生成すること
    を特徴とするバイオマス水溶液生成方法。
  4. 炭水化物系あるいは糖質系の高分子多糖の非水溶性バイオマス原料が粉砕され、混合撹拌されて均質化されたバイオマス調整液が準備され及びCを含む核分裂生成物を閉じ込めたガラス固化体で形成されたガンマ線源が用いられ、前記ガンマ線源からガンマ線が当該バイオマス調整液に照射されて前記高分子多糖が低分子糖に分解され、低分子糖のバイオマス水溶液が生成されること
    を特徴とするバイオマス水溶液生成装置。
  5. 高分子多糖を含む廃糖蜜液が準備され及びCを含む核分裂生成物を閉じ込めたガラス固化体で形成されたガンマ線源が用いられ、前記ガンマ線源からガンマ線が当該廃糖蜜液に照射されて前記高分子多糖が低分子糖に分解され、低分子糖のバイオマス水溶液が生成されること
    を特徴とするバイオマス水溶液生成装置。
  6. 請求項4又は5に記載されたバイオマス水溶液生成装置において、
    前記バイオマス調整液が非水溶性の暗色物質の多糖を含み、ガンマ線が当該暗色物質に照射され、前記暗色物質が低分子糖に分解されて脱色糖蜜化され、当該暗色物質が脱色糖蜜化されたバイオマス水溶液が生成されること
    を特徴とするバイオマス水溶液生成装置。
  7. 炭水化物系あるいは糖質系の高分子多糖の非水溶性バイオマス原料が粉砕され、混合撹拌されて均質化されたバイオマス調整液が準備され及びCを含む核分裂生成物を閉じ込めたガラス固化体で形成されたガンマ線源を用い、当該バイオマス調整液が非水溶性の暗色物質の多糖を含み、当該バイオマス調整液に、ガンマ線を照射して前記暗色物質を低分子糖に分解する分解処理を行うこと
    を特徴とするバイオマス水溶液の脱色処理方法。
  8. 高分子多糖の暗色物質を含む廃糖蜜液及びCを含む核分裂生成物を閉じ込めたガラス固化体で形成されたガンマ線源を用い、当該廃糖蜜液に、ガンマ線を照射して前記高分子多糖の暗色物質を低分子糖に分解する分解処理を行うこと
    を特徴とするバイオマス水溶液の脱色処理方法。
  9. 請求項7又は8に記載されたバイオマス水溶液の脱色方法において、
    前記分解処理されたバイオマス水溶液に炭酸ガス注入あるいは過酸化水素添加処理を行い、バイオマス水溶液に含まれる非水溶性の暗色物質の黒化度が、黒色脱色状態を呈し、1.7%以下の糖蜜液であって、バイオマス水溶液の吸光度が、460nm波長で、1Abu以下を呈すること
    を特徴とするバイオマス水溶液の脱色処理方法。
  10. 炭水化物系あるいは糖質系の高分子多糖の非水溶性バイオマス原料が粉砕され、混合撹拌されて均質化されたバイオマス調整液叉は高分子多糖の廃糖蜜液が準備され、及びCを含む核分裂生成物を閉じ込めたガラス固化体で形成されたガンマ線源が用いられ、当該バイオマス調整液又は廃糖蜜液が非水溶性の暗色物質の多糖類を含み、当該バイオマス調整液又は廃糖蜜液に、ガンマ線が照射されて前記暗色物質が低分子糖に分解される分解処理がなされること
    を特徴とするバイオマス水溶液の脱色処理装置。
  11. 請求項10に記載されたバイオマス水溶液の脱色処理装置において、
    前記分解処理されたバイオマス水溶液に炭酸ガス注入あるいは過酸化水素添加処理がなされ、バイオマス水溶液に含まれる非水溶性の暗色物質の黒化度が、黒色脱色状態を呈し、1.7%以下の糖蜜液であって、バイオマス水溶液の吸光度が、460nm波長で、1Abu以下を呈すること
    を特徴とするバイオマス水溶液の脱色処理装置。
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