JP6787246B2 - 耐熱部材用合金原板、耐熱部材用合金板、およびエンジンの排気系部材用のガスケット - Google Patents

耐熱部材用合金原板、耐熱部材用合金板、およびエンジンの排気系部材用のガスケット Download PDF

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Description

本発明は、耐熱部材用合金原板、耐熱部材用合金板、およびエンジンの排気系部材用のガスケットに関する。
自動車のエンジン等において耐熱部材として用いられるガスケットは、厚さ0.1〜0.3mm程度の金属薄板にビードと呼ばれる段差部が形成されたシール材(パッキン)の一種である。
ガスケットは、エンジンの排気系部材の連結部に挟み込まれた際に、弾性変形したビードの反発力によって連結部からの排気ガスの漏洩をシールする。ガスケットは、高温の排ガスが存在する環境に長時間かつ断続的に晒されるという苛酷な条件で使用されるため、ガスケットの素材には、高温でのビードの耐へたり性が高く、高強度を維持できることが求められる。
自動車エンジンに使われるガスケットの中でも、700℃程度の高温で用いられるターボ用のガスケットの材料は、現状、NiをベースとしてCrやFe、さらには相当量のNbおよびMo、ならびにより少量のAlおよびTi等の合金元素を含有する析出硬化型のインコネル(登録商標)718といった、高価なNi基合金の冷延板が用いられている。
このため、インコネル718やインコネル625等の耐熱Ni基合金よりもNi組成が低く安価であり、かつ高温強度に優れ、耐へたり性が高い代替材料を求めるニーズが高い。
特許文献1には、質量%で、C:0.15%以下、Si:1.0%以下、Mn:0.3%以下、Ni:30〜49%、Cr:10〜18%、Al:1.6〜3.0%を含有し、IVa族とVa族から選ばれる1種または2種以上の元素を合計で1.5〜8.0%含有し、残部はFeおよび不純物である化学組成を有するFe−Ni−Cr基耐熱合金が開示されている。
特許文献2には、質量%で、C:0.02〜0.30%、Si:0.02〜3.5%、Mn:0.02〜2.5%、Ni:10〜50%、Cr:12〜25%、Ti:1.0〜5.0%、Al:0.002〜1.0%を含有し、かつNb:0.1〜3.0%、B:0.001〜0.01%、Mo:0.1〜4.0%から選択された1種以上を含有し、Ti、AlおよびNbの合計含有量が3.0〜7.0%であり、粒界に析出するη相(NiTi)と基地であるγ相結晶粒内に析出するガンマプライムγ’相(Ni(Al,Ti,Nb))の重量比率を0.01〜30.00%とし、600℃での熱間引張強さが800N/mm以上である耐熱ステンレス鋼が開示されている。
特開平7−109539号公報 特開2000−109955号公報
しかし、これらの従来の技術では、インコネル718等のNi基耐熱合金よりもNi含有量が少なく、安価に製造できる利点があるものの、高温強度および耐へたり性の面ではインコネル718等よりも劣っていた。Niの添加量を節約しつつ、高温特性がインコネル718等と比較して遜色のないガスケットおよびその素材が求められている。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、Ni含有量を低減し、ガンマプライムγ’相(Ni(Al,Ti,Nb))の生成元素であるAl,Ti,Nbの含有量を最適化することにより、Ni含有量を低減しても耐熱性の維持および向上を図ることができることを知見した。
すなわち、排気系部材用のガスケットの使用温度である700℃で1〜400時間の時効後の機械的特性が、従来材であるインコネル718と比べて優れているために、排気系部材、特にガスケット用の耐熱合金板として用いることができることを知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。本発明は、以下に列記の通りである。
(1)質量%で、C:0.0020〜0.10%、Si:0.020〜3.0%、Mn:0.020〜2.0%、P:0.050%未満、S:0.010%未満、Cr:12.0%以上25.0%未満、Ni:35.0%超50.0%未満、N:0.0005〜0.020%、Al:3.0%超5.0%以下、Ti:1.5%超3.0%未満、Mo:1.0〜2.5%、Nb:2.25〜4.00%、Cu:0.3%未満を含有し、Ti、NbおよびAlの含有量(質量%)をそれぞれ[Ti]、[Nb]および[Al]としたとき、[Ti]/[Al]≧0.50、[Nb]/[Al]≧0.75の関係を満足し、残部がFeおよび不純物である化学組成を有し、オーステナイト相のみからなる金属組織を呈する耐熱部材用合金原板であって、
700℃で1時間加熱処理した場合に、オーステナイト母相中にNi系金属間化合物が存在する金属組織を呈し、前記Ni系金属間化合物を構成する化学組成全体に対して、前記Ni系金属間化合物に含まれるNi、TiおよびNbの化学組成が、原子%で、それぞれ60%超、3.5%以上および0.8%以上を占めることを特徴とする、耐熱部材用合金原板。
(2)700℃で1時間加熱処理した後、さらに700℃で400時間保持する前後の硬さ低下代が40HV以下である、(1)に記載の耐熱部材用合金原板。
(3)質量%で、Co:3.0%以下、およびW:3.0%未満の1種以上を含有する、(1)または(2)に記載の耐熱部材用合金原板。
(4)質量%で、B:0.01%以下、Ca:0.005%以下、およびMg:0.002%以下の1種以上を含有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の耐熱部材用合金原板。
(5)質量%で、C:0.0020〜0.10%、Si:0.020〜3.0%、Mn:0.020〜2.0%、P:0.050%未満、S:0.010%未満、Cr:12.0%以上25.0%未満、Ni:35.0%超50.0%未満、N:0.0005〜0.020%、Al:3.0%超5.0%以下、Ti:1.5%超3.0%未満、Mo:1.0〜2.5%、Nb:2.25〜4.00%、Cu:0.3%未満を含有し、Ti、NbおよびAlの含有量(質量%)をそれぞれ[Ti]、[Nb]および[Al]としたとき、[Ti]/[Al]≧0.50、[Nb]/[Al]≧0.75の関係を満足し、残部がFeおよび不純物である化学組成を有する耐熱部材用合金板であって、オーステナイト母相中にNi系金属間化合物が存在する金属組織を呈し、前記Ni系金属間化合物を構成する化学組成全体に対して、前記Ni系金属間化合物に含まれるNi、TiおよびNbの化学組成が、原子%で、それぞれ60%超、3.5%以上および0.8%以上を占めることを特徴とする、耐熱部材用合金板。
(6)700℃で400時間保持する前後の硬さ低下代が40HV以下である、(5)に記載の耐熱部材用合金板。
(7)質量%で、Co:3.0%以下、およびW:3.0%未満の1種以上を含有する、(5)または(6)に記載の耐熱部材用合金板。
(8)質量%で、B:0.01%以下、Ca:0.005%以下、およびMg:0.002%以下の1種以上を含有する、(5)〜(7)のいずれかに記載の耐熱部材用合金板。
(9)質量%で、C:0.0020〜0.10%、Si:0.020〜3.0%、Mn:0.020〜2.0%、P:0.050%未満、S:0.010%未満、Cr:12.0%以上25.0%未満、Ni:35.0%超50.0%未満、N:0.0005〜0.020%、Al:3.0%超5.0%以下、Ti:1.5%超3.0%未満、Mo:1.0〜2.5%、Nb:2.25〜4.00%、Cu:0.3%未満を含有し、Ti、NbおよびAlの含有量(質量%)をそれぞれ[Ti]、[Nb]および[Al]としたとき、[Ti]/[Al]≧0.50、[Nb]/[Al]≧0.75の関係を満足し、残部がFeおよび不純物である化学組成を有するエンジンの排気系部材用のガスケットであって、オーステナイト母相中にNi系金属間化合物が存在する金属組織を呈し、前記Ni系金属間化合物を構成する化学組成全体に対して、前記Ni系金属間化合物に含まれるNi、TiおよびNbの化学組成が、原子%で、それぞれ60%超、3.5%以上および0.8%以上を占めることを特徴とする、エンジンの排気系部材用のガスケット。
(10)700℃で400時間保持する前後の硬さ低下代が40HV以下である、(9)に記載のエンジンの排気系部材用のガスケット。
(11)質量%で、Co:3.0%以下、およびW:3.0%未満の1種以上を含有する、(9)または(10)に記載のエンジンの排気系部材用のガスケット。
(12)質量%で、B:0.01%以下、Ca:0.005%以下、およびMg:0.002%以下の1種以上を含有する、(9)〜(11)のいずれかに記載のエンジンの排気系部材用のガスケット。
本発明により、従来のNi基耐熱合金と比べてNi含有量が少なく、かつ耐熱性(高温引張試験の0.2%耐力および耐へたり性)が同等かそれ以上に優れた耐熱部材用合金原板、耐熱部材用合金板、およびエンジンの排気系部材用のガスケットを提供できる。
本発明に係る耐熱部材用合金原板、耐熱部材用合金板、およびエンジンの排気系部材用のガスケットを説明する。以降の説明では、化学組成または濃度に関する「%」は特に断りがない限り「質量%」を意味する。なお、Ni系金属間化合物相中のNi、TiおよびNbの各化学組成に関する「%」は、「原子%」を意味する。
1.本発明に係る耐熱部材用合金原板および耐熱部材用合金板
(1)化学組成
はじめに必須元素を説明する。
(1−1)C:0.0020〜0.10%
Cは、Ti、NbおよびCr等と結びついて炭化物を生成し、その炭化物は強化相として働くが、C含有量が0.10%を超えると、耐熱部材用合金板の加工性の劣化や、Cr炭化物の増加による耐食性の低下が引き起こされる。したがって、C含有量は、0.10%以下であり、耐熱部材用合金板に加工度が高い成形を行う場合には好ましくは0.030%以下であり、さらに好ましくは0.020%以下である。
一方、C含有量を0.0020%未満に低減するには、精錬時のコスト増加および、耐熱部材用合金板の常温強度の低下をもたらす。したがって、C含有量は、0.0020%以上であり、好ましくは0.004%以上である。
(1−2)Si:0.020〜3.0%
Siは、精錬の際に脱酸元素として添加される元素であり、かつ耐熱部材用合金板の耐酸化性を改善させる元素である。Si含有量が0.020%を下回ると、精錬時のコストの増加、および耐熱部材用合金板の耐酸化性の低下をもたらす。したがって、Si含有量は、0.020%以上であり、好ましくは0.03%以上である。
しかし、Si含有量が3.0%を超えると、耐熱部材用合金板を硬質化させ、加工性が劣化する恐れがある。したがって、Si含有量は、3.0%以下であり、耐熱部材用合金板に加工度の高い成形を行う場合には好ましくは1.0%以下である。
(1−3)Mn:0.020〜2.0%
Mnも、Si同様に、精錬の際に脱酸元素として添加される場合がある。しかし、Mn含有量が0.020%を下回ると、精錬時のコスト増加をもたらす。したがって、Mn含有量は、0.020%以上であり、精錬コストの観点より好ましくは0.05%以上であり、さらに好ましくは0.07%以上である。
しかし、Mn含有量が2.0%を超えると、耐熱部材用合金板の高温での耐酸化性の劣化および材質の硬質化を引き起こす。したがって、Mn含有量は、2.0%以下であり、耐熱部材用合金板の耐酸化性および製造の安定性の観点から好ましくは1.5%以下である。
(1−4)P:0.050%未満
Pは、熱間加工性や靭性に対して有害な元素である。Pは、原料となるフェロクロムに不可避的に含有される不純物であるが、0.050%未満の含有は許容される。したがって、P含有量は、0.050%未満であり、耐熱部材用合金板の加工性の改善の観点から好ましくは0.035%以下である。
精錬時に脱Pを行うことは大変困難であり、P含有量を抑制するためにはフェロクロム原料のP濃度が低いことが好ましいが、低Pのフェロクロムは高価であるため、P含有量は、好ましくは0.005%以上であり、さらに好ましくは0.010%以上である。
(1−5)S:0.010%未満
Sは、耐熱部材用合金板の熱間加工性や耐食性に対して有害な元素である。Sは、原料に不可避的に含まれる不純物であり、S含有量が低いほど熱間加工性および耐食性が向上するが、0.010%未満の含有は許容される。したがって、S含有量は、0.010%未満であり、好ましくは0.0030%未満であり、さらに好ましくは0.0010%未満である。
しかし、S含有量を0.0002%未満に低減しようとすると、脱硫負荷が増大し、精錬コストが増大する。したがって、S含有量は、好ましくは0.0002%以上である。
(1−6)Cr:12.0以上25.0%未満
Crは、耐熱部材用合金板の耐酸化性および耐食性の確保のために必須な元素である。Cr含有量が12.0%未満であると、これらの効果が奏されない。したがって、Cr含有量は、12.0%以上であり、耐熱部材用合金板の耐酸化性および耐食性の確保の観点から好ましくは14.0%以上である。
一方、Cr含有量が25.0%以上であると、耐熱部材用合金板の加工性の低下や靭性の劣化をもたらす。したがって、Cr含有量は、25.0%未満であり、耐熱部材用合金板の製造の安定性の観点から好ましくは24.1%以下であり、さらに好ましくは23.5%以下である。
(1−7)Ni:35.0%超50.0%未満
Niは、母相オーステナイトを安定化させると同時に、析出強化相である金属間化合物ガンマプライムγ’(Ni(Al,Ti,Nb))、ガンマダブルプライムγ”(Ni(Nb,Ti))等を生成して耐熱部材用合金板の耐酸化性および耐熱性を確保する上で極めて重要な元素である。Ni含有量は、耐熱部材用合金板の耐熱性を十分に確保するため、35.0%超であり、さらなる耐熱性向上の観点から、好ましくは37.5%以上である。
一方、Ni含有量が50.0%以上であると、合金コストの増加に加えて熱間加工性を低下させる。したがって、Ni含有量は、50.0%未満であり、熱間加工性の観点から好ましくは46.0%以下である。
(1−8)N:0.0005〜0.020%
Nは、窒化物を生成して耐熱部材用合金板の加工性を低下させるおそれがある。したがって、N含有量は、0.020%以下であり、耐熱部材用合金板に求める加工度が厳しい場合には好ましくは0.010%未満である。
一方、N含有量を0.0005%未満に低減するには精錬コストの増加を招く。したがって、N含有量は、0.0005%以下であり、耐熱部材用合金板の製造の安定性の観点から好ましくは0.0010%以上である。
(1−9)Al:3.0%超5.0%以下
Alは、析出強化に寄与するガンマプライムγ’やガンマダブルプライムγ”等のNi系金属間化合物を構成する元素であり、TiやNbに比べて熱間加工性を低下させずに耐熱部材用合金板の耐熱性を向上させる。したがって、Al含有量は、3.0%超であり、好ましくは3.1%以上である。
一方、Al含有量が5.0%を超えると、Ni系金属間化合物中のTi,Nb組成を低下させ、粗大化により過時効を促進するおそれがあり、かつ耐熱部材用合金板の耐高温疲労特性を低下させるσ相の析出が増加する。したがって、Al含有量は、5.0%以下であり、十分な耐熱性確保の観点から好ましくは4.0%未満である。
(1−10)Ti:1.5%超3.0%未満
Tiは、析出強化に寄与するガンマプライムγ′やガンマダブルプライムγ″等のNi系金属間化合物を構成する元素であり、Ni、Al、Nbとともに耐熱部材用合金板の耐熱性を確保する上で重要な元素である。耐熱部材用合金板が700℃での使用に耐え得る耐熱性を確保するために、Ti含有量は、1.5%超であり、好ましくは1.8%以上である。
一方、Ti含有量が3.0%を越えると、熱間加工性の劣化および圧延荷重の増加を招き、かつ耐熱部材用合金板の高温強度に寄与しない金属間化合物相の生成を促進する。したがって、Ti含有量は、3.0%未満であり、耐熱部材用合金板の製造の安定性および高温強度の確保の観点から、好ましくは2.5%未満である。
(1−11)Mo:1.0〜2.5%
Moは、母相オーステナイトの固溶強化元素として、熱間加工性を大きく損なわずに耐熱部材用合金板の耐熱性を大きく向上させる元素である。耐熱部材用合金板が700℃程度の高温での使用に耐え得る耐熱性を確保するため、Mo含有量は、1.0%以上であり、好ましくは1.1%以上である。
一方、Mo含有量が2.5%を越えると、圧延荷重の増加および鋳造割れを引き起こすおそれがある。したがって、Mo含有量は、2.5%以下であり、好ましくは2.0%以下である。
(1−12)Nb:2.25〜4.00%
Nbは、Tiとともに、析出強化に寄与するガンマプライムγ′やガンマダブルプライムγ″等のNi系金属間化合物を構成する元素である。耐熱部材用合金板が700℃での使用に耐え得る耐熱性を確保するために、Nb含有量は、2.25%以上であり、好ましくは2.31%以上である。
一方、Nbは凝固時に樹状晶の粒界の近傍に偏析し易く、粒界部における強度の局所的な増加および析出物の増加により、熱間加工性を低下させる。したがって、Nb含有量は、4.00%以下であり、熱間加工性の観点から好ましくは3.50%以下である。
(1−13)Cu:0.3%未満
Cuは、融点が低く、高濃度で存在すると熱間鍛造および熱間圧延の際に溶融脆化を引き起こし、熱間加工性を低下させる。したがって、Cu含有量は、0.3%未満であり、Cu含有量が低いほど熱間加工性は改善されるため、好ましくは0.10%未満である。
(1−14)[Ti]/[Al]≧0.50、[Nb]/[Al]≧0.75
Ti、NbおよびAlの含有量(質量%)をそれぞれ[Ti]、[Nb]および[Al]としたとき、上記関係を満足する。この理由を説明する。
本発明者らは、上述した課題を解決するため、耐熱部材用合金板の高温強化に有効なガンマプライムγ’やガンマダブルプライムγ”といったNi系金属間化合物相を活用した化学組成を検討し、冷延板を試作した。
その結果、ガンマプライムγ’やガンマダブルプライムγ”等のNi系金属間化合物相の構成元素であるAl、Ti、Nbのガンマプライムγ’内またはガンマダブルプライムγ”内での化学組成によって、Ni含有量を低減するにも拘らず、700℃における0.2%耐力および700℃時効前後の硬さ変化(耐へたり性)により示される耐熱部材用合金板の高温使用性能がインコネル718の高温使用性能と同等以上であることが判明した。
具体的には、耐熱部材用合金板の化学組成をある所定の範囲内とし、かつ析出したNi系金属間化合物相中のNi組成が原子%にて60%超、Ti組成が3.5%以上、Nb組成が0.8%以上である場合に、700℃×400時間時効前後の硬さ低下代が40HV以下となる。
Ni系金属間化合物相中のNi組成、Ti組成およびNb組成をこのようにするには、耐熱部材用合金板の化学組成を、A値:[Ti]/[Al]≧0.50、B値:[Nb]/[Al]≧0.75とし、かつ、耐熱部材用合金板の熱間圧延工程における粗圧延と仕上げ圧延の間に、誘導加熱(IH)装置等を用いて被圧延材全体を再加熱するとともに、最終冷間圧延の冷延率を70%以下とし、さらに冷間圧延後に700℃1時間以上の時効処理を行えばよい。
このため、本発明では、A値:[Ti]/[Al]は、0.50以上であり、好ましくは0.51以上であり、さらに好ましくは0.53以上である。また、B値:[Nb]/[Al]は0.75以上であり、好ましくは0.76以上であり、さらに好ましくは0.77以上である。
次に、必要に応じて含有する任意元素を説明する。
(1−15)Co:3.0%以下、およびW:3.0%未満の1種
Coは、母相オーステナイトへの固溶強化元素として働き、また耐熱部材用合金板の使用温度域で析出強化に寄与するガンマプライムγ′の生成を促進する元素である。しかし、Co含有量が3.0%を超えると合金コストの増加に加え、鋳造割れを招く。したがって、Co含有量は、3.0%以下であり、好ましくは2.5%以下である。Coを含有することによる上述の効果を確実に得るために、Co含有量は、好ましくは0.10%以上である。
Wも、Coと同様に、母相オーステナイトへの固溶強化元素として高温強度を向上させる元素である。しかし、W含有量が3.0%以上であると、合金コストの増加に加え、圧延荷重の増加および鋳造割れを引き起こす。したがって、W含有量は、3.0%未満であり、好ましくは2.0%以下である。Wを含有することによる上述の効果を確実に得るために、W含有量は、好ましくは0.02%以上である。
CoおよびWは、その一種を単独で含有してもよいし、二種を複合して含有してもよい。
(1−16)B:0.01%以下、Ca:0.005%以下、およびMg:0.002%以下の1種以上
B、CaおよびMgは、いずれも、熱間加工性および耐熱部材用合金板の成形性の向上に寄与する元素である。しかし、B、CaおよびMgの含有量が過剰であると、熱間加工性を逆に低下させるばかりか、鋳造割れや鋳造設備における溶湯ノズルのノズル詰まりを引き起こすおそれがある。したがって、B含有量は0.01%以下であり、Ca含有量は0.005%以下であり、Mg含有量は0.002%以下である。B、Ca、Mgを含有することによる上述の効果を確実に得るために、B含有量は好ましくは0.0002%以上であり、Ca含有量は好ましくは0.0002%以上であり、Mg含有量は好ましくは0.0002%以上である。
B、CaおよびMgは、その一種を単独で含有してもよいし、二種以上を複合して含有してもよい。
(1−17)残部
上記以外の残部はFeおよび不純物である。不純物としては、鉱石やスクラップ等の原材料に含まれるものや、製造工程において含まれるものがある。
(2)Ni系金属間化合物相中のNi、Ti、Nbの各化学組成
上述したように、本発明に係る耐熱部材用合金板は、700℃で1時間以上時効処理した後に、オーステナイト母相からNi系金属間化合物が析出する。そしてNi系金属間化合物を構成する化学組成全体に対して、Ni、TiおよびNbの化学組成が、原子%で、それぞれ60%超、3.5%以上および0.8%以上を占め、これにより、700℃×400h時効前後の耐熱部材用合金板断面における硬さ低下代が40HV以下となる。
Ni、Ti、Nb以外のNi系金属間化合物を構成する元素としては、Fe、Cr、Al、Mo、Cu等であり、上述の任意元素(Co、W、B、Ca、Mg)を含有する場合にはこれらの元素も含まれる。 なお、オーステナイト相およびNi系金属間化合物については、透過型電子顕微鏡(TEM)の電子線回折像によって相を同定する。また、Ni系金属間化合物に含まれるNi、TiおよびNbの化学組成については、走査型電子顕微鏡(SEM)に装着されたX線検出器を用いて、各試料に対し観察されるNi系金属間化合物を任意に5つずつ選んで、点分析を行い、その原子%の算術平均値でもって各元素の含有量とする。
(3)700℃で400時間保持する前後の硬さ低下代
700℃で400時間保持する前後の硬さ低下代は、本発明に係る耐熱部材用合金板およびガスケットの高温耐へたり性を示す指標である。ガスケットの一種であるターボガスケットは700℃近傍の高温の排気ガスに長期間曝されるため、そのような環境でもビードのへたりが少ない、十分な高温耐へたり性が求められる。
ガスケットに用いられる合金板は、使用時にNi系金属間化合物の粗大化により硬さの低下が起こり、その硬さの低下がガスケットのへたりを引き起こすため、高温使用時の耐へたり性を示す指標として、700℃で400時間保持前後の硬さの低下代を用いることとする。
保持時間を400時間に限定する理由は、700℃で保持した場合の硬さ低下は、特に200〜300時間経過後に硬さが変化する場合があるためであり、400時間経過後は、変化量が小さくなり時間の経過とともに硬さが徐々に低下する傾向にあるためである。
本発明に係るガスケットおよび耐熱部材用合金板においては、700℃で400時間の時効熱処理した際の硬さ低下代を、ビッカース硬度で40HV以下とする。硬さ低下代が40HV超である場合、ガスケットとしての使用時のへたりが大きく、燃費の低下、異音の発生等の原因となる。
使用時の硬さの低下は、強化を担うNi系金属間化合物の粗大化、及び強化に寄与しない別の金属間化合物へ変化することにより引き起こされる。この時のへたりの速度は、予め高温にて時効熱処理を行なった材料、あるいはガスケットとして一定期間使用後の材料においてもほとんど変化はない。
そのため、600〜800℃の範囲で時効熱処理をすることで排気ガス環境を模擬した材料や、種々の排気ガス環境で使用したガスケットを、それぞれ700℃で400時間保持した前後の硬さ低下代を調査しても、硬さ低下代が40HVを上回ることはない。
このようにへたりの速度の上昇を抑えるためには、γ´等の強化を担うNi系金属間化合物の粗大化の抑制のための組織制御が重要な要素であり、Ni系金属間化合物に含まれるNi、TiおよびNbの化学組成が、大きな影響を及ぼす。
2.本発明に係る耐熱部材用合金原板および耐熱部材用合金板の製造方法
上述した化学組成を有するスラブに、熱間で粗圧延および仕上げ圧延を行って熱延合金板とし、この熱延合金板に焼鈍(溶体化熱処理を含む)および冷間圧延を繰り返し行うことにより本発明に係る耐熱部材用合金原板を製造する。耐熱部材用合金原板の最終的な板厚は、0.1〜0.3mm程度である。
この際に、粗圧延と仕上げ圧延との間で被圧延材を加熱(再加熱)するとともに、最終冷間圧延の冷延率を70%以下とする。耐熱部材用合金原板に時効処理を行うことにより、本発明に係る耐熱部材用合金板が製造される。時効処理は、例えば700℃で1時間以上加熱するとよい。
上述したように、Ni系金属間化合物相中のNi組成を原子%で60%超とし、Ti組成を原子%で3.5%以上とするとともに、Nb組成を原子%で0.8%以上とするために、上述したA値:[Ti]/[Al]≧0.50、B値:[Nb]/[Al]≧0.75とするとともに、熱間圧延工程における粗圧延と仕上げ圧延の間に、誘導加熱(IH)装置等を用いて素材全体を再加熱するとともに、最終冷間圧延の冷延率を70%以下とし、さらに冷間圧延後に700℃1時間以上の時効処理を行う。
粗圧延後の再加熱は、熱間圧延時の温度低下を抑制して耳割れを防ぐとともに、冷間圧延後に析出するNi系金属間化合物相の化学組成に影響を及ぼす。すなわち、再加熱を利用することにより、熱間圧延の仕上げ圧延温度を高温化できる。これにより、熱間圧延後および最終冷間圧延後または最終焼鈍後の金属組織において結晶粒が粗大化するとともに、熱間圧延後の転位密度が減少する。
このような金属組織は転位密度が少ないため、結晶粒界でのNi系金属間化合物相の生成率が上昇する。また、結晶粒界にはTiおよびNbが偏析し、かつ粗粒化により粒界の単位面積当たりのTi,Nb偏析量が増加すると考えられる。このため、よりTi,Nb組成が高いNi系金属間化合物相が結晶粒界から生成する。
このときに結晶粒内から析出するTi,Nb組成が低いNi系金属間化合物相は、一定量までならば析出しても耐熱部材用合金板の耐熱性に影響はないが、析出し過ぎると長時間時効時に過時効により耐熱部材用合金板が軟化する。このため、最終冷延率を70%以下とし、結晶粒内の核生成サイトとなる転位を一定量以下に抑制する。
耐熱部材用合金板の化学組成およびNi系金属間化合物相中のTi、Nb組成が700℃時効前後の硬さ変化に影響を与える理由は明確ではないが、Al含有量を一定量以上とすることによりNi系金属間化合物相の析出量が大幅に増加すること、および、析出したNi系金属間化合物相の中にTi,Nb等の、700℃における母相中の拡散速度が遅い元素が多く固溶することの相乗効果により、Ni系金属間化合物相の成長速度が遅くなり、これにより、700℃時効前後の硬さ変化が小さくなると、推定される。
3.本発明に係るガスケット
本発明に係るガスケットは、上述した本発明に係る耐熱部材用合金原板を素材として、所定のガスケット形状になるよう加工され、エンジンの排気系部材の一部として取り付けられる。エンジンを使用することによって排気系部材が700℃近傍に加熱されるため、加工された耐熱部材用合金原板は、時効処理されて、本発明に係るガスケットとなる。すなわち、本発明に係るガスケットは、上述した化学組成を有し、Ni系金属間化合物相中のNi、TiおよびNbの各組成が、原子%でそれぞれ60%超、3.5%以上および0.8%以上の特徴を有する。
さらに、本発明に係るガスケットは、700℃で400時間保持する前後の断面硬さの硬さ低下代が40HV以下である。
本発明に係るガスケットは、他のガスケットと同様に、いわゆるハーフビードまたはフルビードといったビードが形成されている。本発明に係るガスケットは、エンジンの排気系部材の連結部に挟み込まれた際に、弾性変形したビードの反発力によって連結部からの排気ガスの漏洩をシールする。
ガスケットの素材である耐熱部材用合金原板は、Ni系金属間化合物が析出する前の状態、すなわちオーステナイト単相の金属組織を呈しているため、加工性が良好である。本発明に係る耐熱部材用合金原板は、ガスケットの形状に機械加工を施したり、ビードを形成する際に、割れ等の発生が少なく、ガスケットの製造品質に寄与している。
本発明に係るガスケットは、従来の例えばインコネル718等のNi基耐熱合金製のガスケットと比べて、Ni含有量が少なく、かつ耐熱性(700℃における0.2%耐力および700℃時効前後の硬さ変化(耐へたり性)で示される高温使用性能)が同等かそれ以上に優れている。
本発明を、実施例を参照しながら、より具体的に説明する。
表1,2に示す化学組成(質量%、残部はFeおよび不純物)を有する25kg合金塊を溶製した。表1,2には、上述したA,B値を示す。
Figure 0006787246
Figure 0006787246
この合金塊に熱間鍛造を行って厚さ45mmの合金塊とし、さらに熱間圧延を行って板厚5.0mmの熱延板とした。この際、一部の試料について、実機での粗圧延後の再加熱(IH加熱)を模擬するため、粗圧延後直ちに試料を1100℃の大気炉に装入して30分間加熱し、その後抽出して直ちに仕上圧延を行った。
このようにして得られた熱延板について、1100℃での溶体化処理および冷間圧延を繰り返すことにより、板厚0.2mmの冷延板を製造した。
このようにして得られた冷延板について、700℃における引張試験、冷間圧延ままおよび700℃での400時間時効後の断面の硬さ測定を行った。700℃における引張試験については、JIS G 0567に準拠した試験方法で行った。断面の硬さ測定については、冷延板のL断面(圧延方向に並行な板厚断面)における板厚中央部を対象に、JIS Z 2244に準拠したビッカース硬さ試験を荷重500グラムの条件(HV0.5)で行った。この際、断面硬さ:425HV以上、700℃で400時間保持後の硬さ350HV以上での0.2%耐力:1100MPa以上、かつ時効前後の低下代:40HV以下を全て満足する場合に、耐熱性が良好であると判断した。なお、冷間圧延後の熱処理および700℃時効の熱処理では、昇温速度:3℃/s、冷却:空冷とした。
このようにして製造された冷延板の最終冷延率、熱間での粗圧延後の再加熱条件、700℃1時間時効後におけるNi系金属間化合物相中のNi組成、Ti組成およびNb組成および評価結果を表3〜5に示す。表1〜5における下線は、本発明の範囲外であること、または試験結果が良好でないことを示す。
Figure 0006787246
Figure 0006787246
Figure 0006787246
表3におけるNo.1〜23は本発明で規定する条件を全て満足する本発明例であり、表4,5におけるNo.24〜60は本発明で規定する条件を満足しない比較例である。
No.1〜23は、700℃高温引張試験0.2%耐力:1168〜1373MPa、室温での断面硬さ:406〜531HV0.5、700℃で400時間保持後に室温で測定した断面硬さ:372〜612HV0.5、断面硬さの低下代(耐へたり性):−120〜38HVであり、従来のNi基耐熱合金と比べてNi含有量が35.2〜49.7%と低減されているにも拘らず、耐熱性(高温引張試験の0.2%耐力および耐へたり性)が同等かそれ以上に優れていることが分かる。
これに対し、N0.24〜60は、本発明で規定する化学組成、A,B値を満足せず、または、最終冷延率を満足しないか、再加熱を行わないため、Ni系金属間化合物相中のTi組成:原子%で3.5%未満、Nb組成:原子%で0.8%未満となり、700℃での400時間時効熱処理後の硬さおよび時効前後の硬さ低下代のいずれかが良好ではなかった。具体的に説明する。
No.24,26は、A値が本発明の範囲の下限を下回るためにNi系金属間化合物相中のTi含有量が本発明の範囲の下限を下回り、耐へたり性が低かった。
No.25は、B値が本発明の範囲の下限を下回るためにNi系金属間化合物相中のNb含有量が本発明の範囲の下限を下回り、耐へたり性が低かった。
No.27は、C含有量が本発明の上限を上回るために700℃高温引張試験0.2%耐力が低かった。
No.28は、C含有量が本発明の下限を下回るために700℃高温引張試験0.2%耐力が低かった。
No.29は、Si含有量が本発明の範囲の上限を上回るために耐へたり性が低かった。
No.30は、Si含有量が本発明の範囲の下限を下回るために700℃高温引張試験0.2%耐力が低かった。
No.31は、Mn含有量が本発明の範囲の上限を上回るために耐へたり性が低かった。
No.32は、Mn含有量が本発明の範囲の下限を下回るために700℃高温引張試験0.2%耐力が低かった。
No.33は、P含有量が本発明の範囲の上限を上回るために700℃高温引張試験0.2%耐力が低かった。
No.34は、S含有量が本発明の範囲の上限を上回るために700℃高温引張試験0.2%耐力が低かった。
No.35は、Cr含有量が本発明の範囲の上限を上回るために耐へたり性が低かった。
No.36は、Cr含有量が本発明の範囲の下限を下回るために700℃高温引張試験0.2%耐力が低かった。
No.37は、Ni含有量が本発明の範囲の上限を上回るために700℃高温引張試験0.2%耐力が低かった。
No.38は、Ni含有量が本発明の範囲の下限を下回るために700℃高温引張試験0.2%耐力が低かった。
No.39は、N含有量が本発明の範囲の上限を上回るために耐へたり性が低かった。
No.40は、N含有量が本発明の範囲の下限を下回るために700℃高温引張試験0.2%耐力が低かった。
No.41は、Al含有量が本発明の範囲の上限を上回るために耐へたり性が低かった。
No.42は、Al含有量が本発明の範囲の下限を下回るために700℃高温引張試験0.2%耐力が低かった。
No.43は、Ti含有量が本発明の範囲の上限を上回るために耐へたり性が低かった。
No.44は、Ti含有量が本発明の範囲の下限を下回るためにNi系金属間化合物相中のTi含有量が本発明の範囲の下限を下回り、700℃高温引張試験0.2%耐力および耐へたり性が低かった。
No.45は、Mo含有量が本発明の範囲の上限を上回るために耐へたり性が低かった。
No.46は、Mo含有量が本発明の範囲の下限を下回るために700℃高温引張試験0.2%耐力および耐へたり性が低かった。
No.47は、Nb含有量が本発明の範囲の上限を上回るために耐へたり性が低かった。
No.48は、Nb含有量が本発明の範囲の下限を下回るために700℃高温引張試験0.2%耐力および耐へたり性が低かった。
No.49は、Cu含有量が本発明の範囲の上限を上回るために700℃高温引張試験0.2%耐力および耐へたり性が低かった。
No.50は、Ni,Nb含有量が本発明の範囲の上限を上回るとともにAl,Ti含有量が本発明の範囲の下限を下回るためにNi系金属間化合物相中のTi含有量が本発明の範囲の下限を下回り、700℃高温引張試験0.2%耐力が低かった。
No.51〜56は、粗圧延後の再加熱を行わないために、さらに特に、No.55ではB値が本発明に範囲の下限を下回り、No.56ではNi,Nb含有量が本発明の範囲の上限を上回るとともにAl,Ti含有量が本発明の範囲の下限を下回るために、Ni系金属間化合物相中のTi,Nb含有量が本発明の範囲の下限を下回り、耐へたり性が低かった。
さらに、No.57〜60は、最終冷延率が高すぎるためにNi系金属間化合物相中のTi,Nb含有量が本発明の範囲の下限を下回り、耐へたり性が低かった。

Claims (12)

  1. 質量%で、C:0.0020〜0.10%、Si:0.020〜3.0%、Mn:0.020〜2.0%、P:0.050%未満、S:0.010%未満、Cr:12.0%以上25.0%未満、Ni:35.0%超50.0%未満、N:0.0005〜0.020%、Al:3.0%超5.0%以下、Ti:1.5%超3.0%未満、Mo:1.0〜2.5%、Nb:2.25〜4.00%、Cu:0.3%未満を含有し、Ti、NbおよびAlの含有量(質量%)をそれぞれ[Ti]、[Nb]および[Al]としたとき、[Ti]/[Al]≧0.50、[Nb]/[Al]≧0.75の関係を満足し、残部がFeおよび不純物である化学組成を有し、オーステナイト相のみからなる金属組織を呈する耐熱部材用合金原板であって、
    700℃で1時間加熱処理した場合に、オーステナイト母相中にNi系金属間化合物が存在する金属組織を呈し、前記Ni系金属間化合物を構成する化学組成全体に対して、前記Ni系金属間化合物に含まれるNi、TiおよびNbの化学組成が、原子%で、それぞれ60%超、3.5%以上および0.8%以上を占めることを特徴とする、耐熱部材用合金原板。
  2. 700℃で1時間加熱処理した後、さらに700℃で400時間保持する前後の硬さ低下代が40HV以下である、請求項1に記載の耐熱部材用合金原板。
  3. 質量%で、Co:3.0%以下、およびW:3.0%未満の1種以上を含有する、請求項1または2に記載の耐熱部材用合金原板。
  4. 質量%で、B:0.01%以下、Ca:0.005%以下、およびMg:0.002%以下の1種以上を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の耐熱部材用合金原板。
  5. 質量%で、C:0.0020〜0.10%、Si:0.020〜3.0%、Mn:0.020〜2.0%、P:0.050%未満、S:0.010%未満、Cr:12.0%以上25.0%未満、Ni:35.0%超50.0%未満、N:0.0005〜0.020%、Al:3.0%超5.0%以下、Ti:1.5%超3.0%未満、Mo:1.0〜2.5%、Nb:2.25〜4.00%、Cu:0.3%未満を含有し、Ti、NbおよびAlの含有量(質量%)をそれぞれ[Ti]、[Nb]および[Al]としたとき、[Ti]/[Al]≧0.50、[Nb]/[Al]≧0.75の関係を満足し、残部がFeおよび不純物である化学組成を有する耐熱部材用合金板であって、
    オーステナイト母相中にNi系金属間化合物が存在する金属組織を呈し、
    前記Ni系金属間化合物を構成する化学組成全体に対して、前記Ni系金属間化合物に含まれるNi、TiおよびNbの化学組成が、原子%で、それぞれ60%超、3.5%以上および0.8%以上を占めることを特徴とする、耐熱部材用合金板。
  6. 700℃で400時間保持する前後の硬さ低下代が40HV以下である、請求項5に記載の耐熱部材用合金板。
  7. 質量%で、Co:3.0%以下、およびW:3.0%未満の1種以上を含有する、請求項5または6に記載の耐熱部材用合金板。
  8. 質量%で、B:0.01%以下、Ca:0.005%以下、およびMg:0.002%以下の1種以上を含有する、請求項5〜7のいずれかに記載の耐熱部材用合金板。
  9. 質量%で、C:0.0020〜0.10%、Si:0.020〜3.0%、Mn:0.020〜2.0%、P:0.050%未満、S:0.010%未満、Cr:12.0%以上25.0%未満、Ni:35.0%超50.0%未満、N:0.0005〜0.020%、Al:3.0%超5.0%以下、Ti:1.5%超3.0%未満、Mo:1.0〜2.5%、Nb:2.25〜4.00%、Cu:0.3%未満を含有し、Ti、NbおよびAlの含有量(質量%)をそれぞれ[Ti]、[Nb]および[Al]としたとき、[Ti]/[Al]≧0.50、[Nb]/[Al]≧0.75の関係を満足し、残部がFeおよび不純物である化学組成を有するエンジンの排気系部材用のガスケットであって、
    オーステナイト母相中にNi系金属間化合物が存在する金属組織を呈し、
    前記Ni系金属間化合物を構成する化学組成全体に対して、前記Ni系金属間化合物に含まれるNi、TiおよびNbの化学組成が、原子%で、それぞれ60%超、3.5%以上および0.8%以上を占めることを特徴とする、エンジンの排気系部材用のガスケット。
  10. 700℃で400時間保持する前後の硬さ低下代が40HV以下である、請求項9に記載のエンジンの排気系部材用のガスケット。
  11. 質量%で、Co:3.0%以下、およびW:3.0%未満の1種以上を含有する、請求項9または10に記載のエンジンの排気系部材用のガスケット。
  12. 質量%で、B:0.01%以下、Ca:0.005%以下、およびMg:0.002%以下の1種以上を含有する、請求項9〜11のいずれかに記載のエンジンの排気系部材用のガスケット。

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