JP6789638B2 - 誘導加熱コイル - Google Patents

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Description

本発明は、熱処理を行う板状部材を加熱する誘導加熱コイルに関する。
金属板等の板状部材は、誘導加熱コイルにより加熱して加工や表面処理を行うことがある。誘導加熱コイルの内部に配置された板状部材は、誘導加熱コイルに生じる磁場によって発生する誘導電流によって加熱される。板状部材においては誘導加熱コイルとの距離が近い部位ほど磁束の影響を受け易く誘導電流が高くなる。そのため、誘導加熱コイルとの距離が短い部位と長い部位とが混在する板状部材に対しては均一な加熱を行うことができない。
そこで、特許文献1に記載の誘導加熱装置では、金属板を誘導加熱するコイルとして1次コイルと、1次コイルと金属板との間に配置される2次コイルとを備えている。2次コイルは1次コイルの磁場により誘導電流が発生する。これにより、金属板は1次コイルに加えて2次コイルでも加熱されるようになり、金属板において面方向の温度差が軽減されるため、金属板に対して均一な加熱を行うことができる。
特開2007−122924号公報
特許文献1の技術では、2次コイルの誘導電流は1次コイルの磁場によって発生する電流であるため、1次コイルを流れる電流よりも小さい。このため、金属板に対して2次コリルの加熱効率を高めるには、2次コイルと金属板とを近づけて配置することが好ましい。しかしながら、金属板は通常クランプ等によって保持されるため、2次コイルに対して金属板を近距離の適正位置に保持ことは容易ではない。
また、板厚の薄い金属板の場合には、誘導加熱された金属板が反って歪むことがある。
上記実情に鑑み、板状部材の熱処理に際し、歪みを抑制しつつ均一な加熱が行える誘導加熱コイルが望まれている。
本発明に係る誘導加熱コイルの特徴構成は、板状部材の熱処理を行うための誘導加熱コイルであって、前記板状部材を収容するための空間を内部に有し、通電により磁場を発生するコイルである第1導体と、前記空間内に全体が配置され、前記第1導体への通電より生じる1次磁場により誘導電流が流れる平板状の第2導体と、前記空間内において前記第2導体の一方の面に設けられた、絶縁性を有する複数の間隔保持部材と、を備え、前記板状部材の全体は、前記空間内において、複数の前記間隔保持部材を介して前記第2導体に支持され、前記板状部材は、前記1次磁場により誘導加熱されると共に、前記1次磁場により前記第2導体に生じた前記誘導電流から発生する2次磁場により誘導加熱される点にある。
第1導体と板状部材との間に第2導体が配置されることで、板状部材は第1導体に加えて第2導体によっても誘導加熱されて加熱量が増加する。ここで、第1導体のみで板状部材を加熱する場合には、板状部材と第1導体の各部との距離にばらつきが存在するため、板状部材の部位によって加熱状態が異なる。これに対して、第2導体を加えることで、板状部材に対する第1導体の影響が緩和されるため、板状部材に対して均一な加熱が可能になる。
第2導体には少なくとも何れか一方の面に絶縁性の間隔保持部材を有し、この間隔保持部材を介して板状部材が第2導体に当接して支持される。これにより、板状部材に対し第2導体を適正な間隔で配置することができるので、第2導体による板状部材の加熱効率を高めることができる。さらに、板状部材が第2導体によって支持されることで、板状部材の歪みの発生を抑制することができる。
本発明に係る誘導加熱コイルの他の特徴構成は、複数の前記間隔保持部材の夫々が、球体である点にある。
板状部材は、絶縁性の間隔保持部材を介して第2導体に支持された状態で誘導加熱される。このとき、加熱された板状部材から間隔保持部材に熱伝導が起こり、板状部材の加熱効率が低下することがある。そこで、本構成では、複数の間隔保持部材の夫々球体である。これにより、板状部材と間隔保持部材との接触面積が少なくなり両者間の熱伝導が抑制される。その結果、誘導加熱コイルによる加熱効率の低下を抑制することができ、板状部材に対する均一な加熱状態を維持することができる。
本発明に係る誘導加熱コイルの他の特徴構成は、前記第2導体が2つあって、前記板状部材の両面に夫々対向して配置されており、複数の前記間隔保持部材は、2つの前記第2導体の夫々における前記板状部材に対向する側に設けられている点にある。
板状部材の両面に対して第2導体による誘導加熱を行うことでき、板状部材の両面において均一な加熱が可能になる。また、板状部材の両面に当接する第2導体によって板状部材が挟持されるため、板状部材1の反りをより少なくすることができる。
本発明に係る誘導加熱コイルの他の特徴構成は、前記第1導体が、前記板状部材の平面方向に沿って伸縮変形可能である点にある。
本構成の如く、第1導体が板状部材の平面方向に沿って伸縮変形可能であると、例えば第1導体が収縮状態のときは、第1導体の間隔が狭くなるため板状部材が全体的に加熱され、第1導体が伸長状態のときは、第1導体の間隔が広くなるため板状部材は部位によって加熱温度に高低が生じ易くなる。このように、第1導体が伸縮変形することで、板状部材に対する加熱温度分布を容易に制御することができ、板状部材をより均一に加熱することができる。
本発明に係る誘導加熱コイルの他の特徴構成は、前記第2導体の前記面に垂直な方向を回転軸芯として前記第2導体を回転させる回転装置を更に備える点にある。
第1実施形態の斜視図である。 第1実施形態の側断面図である。 第1実施形態の平面図である。 第2実施形態の側断面図である。 収縮状態の第1導体を示す図である。 伸長状態の第1導体を示す図である。 間隔保持部材の変形例である。 間隔保持部材の変形例である。 間隔保持部材の変形例である。 他の実施形態の斜視図である。 他の実施形態を示す図である。
以下に本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。
〔第1実施形態〕
図1〜図3に示すように、誘導加熱コイル10は、板状部材1を加熱する際に用いられ、第1導体11と第2導体12とを備える。第1導体11は、加熱対象の板状部材1を収容可能な空間を有するコイルであり、誘導加熱電源(不図示)に接続されている。第2導体12は、平板状に形成されており、例えば銅板によって構成されている。
第1導体11の内部には板状部材1が配置され、第1導体11と板状部材1との間に第2導体12が配置される。第2導体12と板状部材1とは、第1導体11の内部に順に配置されるか、事前に重ねられた状態で第1導体11の内部に配置される。
誘導加熱電源から第1導体11に電流が流れると、第1導体11に1次磁場が生じる。
この1次磁場によって板状部材1に誘導電流が流れ、板状部材1が加熱される。このとき、第2導体12にも1次磁場による誘導電流が流れ、これに伴って第2導体12に発生した2次磁場により板状部材1が誘導加熱される。
このように、第1導体11に加えて第2導体12によって板状部材1が誘導加熱されることで、板状部材1において誘導電流の局部的な偏りが是正されて、板状部材1に対する均一な加熱が可能になる。第2導体12は、水冷式であり大電力を用いた加熱処理が可能である。なお、第2導体12の冷却は、冷却効率の面から水冷式が好ましいが、水冷式以外の冷却方式を採用しても良い。
第2導体12には、板状部材1の少なくとも何れか一方の面に当接することで板状部材1を支持する絶縁性の間隔保持部材13が設けられている。間隔保持部材13は、例えばセラミックボール等の球体であり、複数備えられている。間隔保持部材13は第2導体12の一方の面にねじ止めや接着等によって固着されている。間隔保持部材13を構成する球体の夫々には、板状部材1の一方の面に対して点接触する当接部14が備えられている。
第2導体12が絶縁性の間隔保持部材13を介して板状部材1を支持することで、板状部材1に対して第2導体12を適正な間隔で配置することができる。これにより、第2導体12によって板状部材1を確実に誘導加熱することができる。さらに、板状部材1が第2導体12によって支持されることで、板状部材1の歪みの発生を抑制することができる。
板状部材1は、絶縁性の間隔保持部材13を介して第2導体12に支持された状態で誘導加熱される。このとき、加熱された板状部材1から間隔保持部材13に熱伝導が起こり、板状部材1の加熱効率が低下することがある。そのため、本構成では、間隔保持部材13が板状部材1に点接触する当接部14を複数備えている。これにより、板状部材1と間隔保持部材13との接触面積が少なくなり両者間の熱伝導が抑制される。その結果、誘導加熱コイル10による加熱効率の低下を抑制することができ、板状部材1に対する均一な加熱状態を維持することができる。
第2導体12は、回転装置20に載置されている。第2導体12及び板状部材1が回転装置20の軸芯X周りに回転することで、第1導体11と板状部材1との距離のばらつきが是正されるため、板状部材1に対する誘導加熱をより均一にすることができる。
〔第2実施形態〕
本実施形態では、図4に示すように、板状部材1の両面に第2導体12が配置されている。第2導体12には、板状部材1に対向する側に夫々間隔保持部材13が設けられている。これにより、板状部材1は間隔保持部材13を介して両側の第2導体12,12によって挟持される。板状部材1は、上方側に位置する第2導体12の自重を受けて上下両側の第2導体12,12の間に保持される。なお、板状部材1の下方側に位置する第2導体12は回転装置20に支持されている。
本構成により、板状部材1の両面に対して第2導体12による誘導加熱を行うことでき、板状部材1の両面において均一な加熱が可能になる。また、板状部材1の両面に当接する第2導体12によって板状部材1が挟持されるため、板状部材1の反りをより少なくすることができる。
〔第2実施形態の変形例〕
板状部材1を挟持する第2導体12、12は、板状部材1に向けて一方又は双方が押圧付勢されていてもよい。図4では、第2導体12の付勢部材が破線で示されており、バネ等の付勢部材によって板状部材1が押圧される。本構成により、第2導体12による板状部材1の挟持力が高まるため、板状部材1の端部の反りをより効果的に抑制することができる。
〔他の実施形態〕
(1)図5及び図6に示すように、第1導体11は、板状部材1の平面方向に沿って伸縮変形可能に構成されていてもよい。図5及び図6では、第2導体12を省略して第1導体11の伸縮状態を示している。第1導体11には例えば伸縮変形させるための付勢機構や移動機構等が設けられている。
図5は第1導体11のコイルが収縮した状態であり、コイルの間隔が狭いため板状部材1が全体的に加熱される。一方、図6は第1導体11のコイルが伸長した状態であり、コイルの間隔が広くなるため板状部材1は部位によって加熱温度に高低が生じ易い。このように、第1導体11が伸縮変形することで、板状部材1の平面方向における加熱温度分布を容易に制御することができる。これにより、板状部材1に対してその形状や加熱する部位に応じて効率よく誘導加熱することができる。
(2)上記の実施形態では、回転装置20によって第2導体12と板状部材1とを回転させる例を示したが、回転装置20に代えて第2導体12を回転させずに載置する支持体を設けて構成してもよい。
(3)上記の実施形態では、間隔保持部材13を球体にした例を示したが、間隔保持部材13の形状は球体に特定されない。間隔保持部材13は、例えば図7に示すように、当接部14が頂部となる山形形状でもよい。こうすると、板状部材1と接触する当接部14の領域をより小さくすることができる。間隔保持部材13は、図8に示すように、側面視において波形状に形成し、当接部14が板状部材1に線接触するものでもよい。こうすると、板状部材1が間隔保持部材13によって連続的に支持されるため、板状部材1を安定的に保持することができる。
(4)間隔保持部材13は、図9に示すように、当接部14を平坦にして板状部材1と面接触する構成でもよい。こうすると、板状部材1が間隔保持部材13によって支持される面積が増大するため、板状部材1の単位面積当たりの荷重が小さくなる。これにより、板状部材1の表面に圧痕等が付加されるのを防止することができる。その他、間隔保持部材13は、全体が角柱状や円柱状でもよい。
(5)上記実施形態では、板状部材1と第2導体12とを回転装置20に載置した状態で回転させて第1導体11による加熱を均一にする例を示したが、回転装置20に代えて、図10に示すように、板状部材1と第2導体12とを第1導体11の内部に対して搬入及び搬出する搬送装置30を備えてもよい。搬送装置30と、上記実施形態で示した回転装置20とを両方を備えて構成してもよい。
(6)上記実施形態では、誘導加熱コイル10によって板状部材1の全体を加熱する例を示したが、誘導加熱コイル10によって板状部材1の一部を加熱してもよい。
例えば、図11に示すように、板状部材1において加熱部位に第2導体12を対向配置し、非加熱部位には間隔保持部材13を含む第2導体12と同高さのマスク材15を対向配置する。これにより、誘導加熱コイル10によって板状部材1を部分加熱することができる。
(7)ケースの内部に誘導加熱コイル10を収容し、ケースに窒素ガスを封入した密閉状態にして板状部材1を誘導加熱すると好適である。こうすると、ケース中に酸素が存在しないため、誘導加熱される板状部材1の酸化を防止することができる。
(8)上記実施形態では、板状の第2導体12を用いた例を示したが、第2導体12はコイルで形成してもよい。
本発明に係る誘導加熱コイルは、板状部材の熱処理等に広く用いることができる。
1 :板状部材
10 :誘導加熱コイル
11 :第1導体
12 :第2導体
13 :間隔保持部材
14 :当接部
15 :マスク材
20 :回転テーブル

Claims (5)

  1. 板状部材の熱処理を行うための誘導加熱コイルであって、
    前記板状部材を収容するための空間を内部に有し、通電により磁場を発生するコイルである第1導体と、
    前記空間内に全体が配置され、前記第1導体への通電より生じる1次磁場により誘導電流が流れる平板状の第2導体と、
    前記空間内において前記第2導体の一方の面に設けられた、絶縁性を有する複数の間隔保持部材と、を備え、
    前記板状部材の全体は、前記空間内において、複数の前記間隔保持部材を介して前記第2導体に支持され、
    前記板状部材は、前記1次磁場により誘導加熱されると共に、前記1次磁場により前記第2導体に生じた前記誘導電流から発生する2次磁場により誘導加熱される誘導加熱コイル。
  2. 複数の前記間隔保持部材の夫々が、球体である請求項1に記載の誘導加熱コイル。
  3. 前記第2導体が2つあって、前記板状部材の両面に夫々対向して配置されており、
    複数の前記間隔保持部材は、2つの前記第2導体の夫々における前記板状部材に対向する側に設けられている請求項1又は2に記載の誘導加熱コイル。
  4. 前記第1導体が、前記板状部材の平面方向に沿って伸縮変形可能である請求項1〜3の何れか一項に記載の誘導加熱コイル。
  5. 前記第2導体の前記面に垂直な方向を回転軸芯として前記第2導体を回転させる回転装置を更に備える請求項1〜4の何れか一項に記載の誘導加熱コイル。
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