JP6795501B2 - 抗頻拍ペーシング(atp)の最適化システム及び方法 - Google Patents

抗頻拍ペーシング(atp)の最適化システム及び方法 Download PDF

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Description

本発明は、心不整脈の診断及び治療を行う装置及び方法の分野に関連する。
異常に速い心拍数は、頻脈と呼ばれる。上室(心房)で頻脈が発生すると、これは心房頻拍と呼ばれる。下室(心室)で頻脈が発生すると、これは心室頻拍と呼ばれる。心房頻拍の調律は際立って症候的となり得るが、心室頻拍の調律は生命にかかわることがある。
頻脈の調律は、心筋の病組織、又は、壊死組織に起因することが多く、これらは瘢痕を形成していることがある。平常状態では、全ての心筋細胞が電気活動を伝導する。心筋細胞が脱分極するとそのイオン膜電位が変化し、その結果、隣接する心筋細胞を脱分極させ得る。そして、これが繰り返される。したがって、脱分極した細胞は自己伝播機構を呈し、脱分極波面が心筋組織を通って進む。ある状況では、伝播波面は、非伝導組織の周りを旋回することがある。このリ工ントリー導路に沿った細胞に細胞膜電位を再分極するのに充分な時間がある場合、波面は永続的なループに陥ることがあり、心筋組織の電気信号は定点又は中央の瘢痕の周りを旋回する。活動電位は、心臓固有のレートよりも相当に速いレートで非伝導組織の周りで伝播を繰り返す(心筋梗塞前など)。リエントリー回路は、略円形状の組織塊に沿って伝播する伝導波面とみなすことができる。
当初は、この危険な調律は、心筋組織が正常洞調律を回復するように外部ショックによって治療されていた(除細動)。埋め込み装置が複雑化すると、ペーシングで頻脈の停止を試みるペーシング治療法が開発された。これは、抗頻拍ペーシング(ATP)と呼ばれる。ATP手法に失敗すると、装置は、次に、痛みを伴う高電力ショックを与えることがあるが、概して患者には非常に苦痛となる。それに対して、ATPは概ね苦痛を伴わない。
心筋組織が伝播波面の伝導を許すレートには限界がある。組織は、脱分極すると、次の伝播波面を伝導するためには再分極しなければならない。波面が再分極されていない心筋組織に近づくと、組織は波面を伝導できず、電気信号は停止する。再分極しておらず、電気信号を伝導できない組織は不応と呼ばれる。
不整脈回路を停止するためには、波の伝播がリエントリー回路の導路を伝導できないようなタイミングと部位に、ペーシング刺激が与えられる。リエントリー性頻脈よりも速いペーシングを行うと、ペーシング刺激波面は、不整脈回路に進行する。この波面はリエントリー回路の両端からアプローチでき(明確には図4を参照)、これによって、波面がリエントリー回路から出て行く波面(「出口」部と呼ばれる)と衝突する。さらにペーシングすると、ペーシング波面はリエントリー波面の前で元の頻脈に達し、リエントリー回路の早い脱分極を引き起こす。実質的に連続したペーシングによって、出口部に向かって進む波面は、不整脈回路内で1つ前の波面からの波面と(逆方向に)衝突し、「エントレインメント」に達することができる。ペーシング波面は、また、リエントリー性頻脈の入口部に向かっても進行し、不整脈回路の導路を順方向に進行する。ペーシングレートを加速すると、この順方向波面は不整脈回路の一部に達し、再分極して不応になる。この場合に、波面は停止することがあり、不整脈は終了する。よって、抗頻拍ペーシング(ATP)が頻脈の停止に成功する可能性は、リエントリー回路の伝播信号を修正し、伝播信号が永続できないようにし、そして、頻脈が停止するように、リエントリー回路の部位にペーシング刺激波面を到着させる性能と関連する。
頻脈を停止するために、多くの異なるペーシング治療法やアルゴリズムが開発されている。これらアルゴリズムは、心房頻拍と心室頻拍の両方のために開発されている。これらアルゴリズムは、ペースメーカー又は植込み型除細動器(ICD)などの埋め込み装置内にプログラミングされている。これら装置は、頻脈を停止するため、リエントリー性頻脈に係わる全ての細胞をリセットする試みとして高出力の電気ショックを送出することがある。かかるショックは苦痛を伴うことが多く、心筋細胞を傷つけることもある。或いは、装置は抗頻拍ペーシング(ATP)を送出することがあり、ATPでは、ペーシング波面がリエントリー回路の重要な局面に到達することで、頻脈が停止する。ATPは、通常、苦痛を伴わず、そのため、高出力の心臓除細動よりも有利である。
ATPは、頻脈の停止に常に成功する訳ではない。その場合、不整脈を停止して正常洞調律にする試みとして、ATPを同じ又は異なるペーシングアルゴリズムで繰り返す。ATPが不成功だった場合、患者は高電圧のカルディオバージョンが必要となるかもしれない。ATPは、ATPの試みのうち、およそ10〜40%が不成功である。加えて、ATPは、調律をより速いレートに促進したり、又は、調律を悪化させて生命を維持できない無秩序な調律である心室細動を引き起こすことがある。更に、患者の心室頻拍が長引くほど、患者が失神する可能性(卒倒)が高まり、危険である。
そこで、ATPの成功率を向上させ、頻脈性不整脈の時間を短縮し、苦痛を伴うICDショックの必要性を減少させる、改善された方法が求められている。
ATPは、多くの場合、頻脈をエントレインするように機能する。エントレインは、(例えば、ペースメーカーのリードによって)ペーシングされた拍動が頻脈を促進するプロセスである。一以上の刺激が頻脈よりも若干速いレートで提供され、ペーシング波面が頻脈に入って頻脈を促進させるようにする。リエントリー性頻脈の興奮を早める(advance)第1のペーシング刺激が、頻脈をリセットする。次のペーシング刺激は、典型的には、頻脈の興奮をペーシング周期長に早める。心筋組織の性質はより短い周期長に応じて変化することが多いため、頻脈をペーシング周期長に完全に早めるには、幾つかのリセット刺激が必要になることがある。そして、各ペーシングされた拍動は、頻脈をより速いレートに「リセット」する。これをエントレインメントと呼ぶ。組織が再分極するのに充分な時間を与えないように、この速いレートは不整脈回路としては速すぎるレートとするのが理想的である。この場合、波面は停止し、患者は洞調律に回復する。
エントレインメントは、(1)ペーシング波面と頻脈波面との心拍ごとの相互作用、(2)回路が位置する心腔の全ての組織の活性化、及び、(3)頻脈性不整脈が自己終息しない場合のペーシング後の頻脈の持続を含む、リエントリー性不整脈の外部ペーシングへの特定の応答を特定することに関わる。心臓の自己持続型頻脈性不整脈を、周回する電気回路と見なすと、回路の自立動作よりも若干速くペーシングすることで、回路を「エントレイン」することができる。エントレインメント前に回路が自立動作を行っていたペースと比べて、回路中の組織は新しくより速くペーシングされたレートで興奮されるため、これは、回路のリセットとして知られる。回路がより速いレートで伝播し得る場合、このリセットが停止すると、心臓内のペーシングカテーテルの電極は、最後にペーシングされた拍動が波面を作り、不整脈回路に入り、不整脈回路の一部の周辺に伝播し、そして、同じ電極又はカテーテルから出ていくまでに要した時間を計測できる。この時間はペーシング後間隔(PPI)と呼ばれる。ペーシング後間隔は、ペーシング部位からリエントリー回路まで時間の近似指標として長い間使用されてきた。(Stevenson,Khanら 1993)(Waldo 1997)。
右心房埋め込み型除細動器(ICD)による抗頻拍ペーシング(ATP)の送出の効果として、致死的な速い心室頻拍(FVT)を停止するということが、2001年にWathenらによって初めて公開された。この研究で、著者らはATPによって4つのうち3つのエピソードでICDショックを回避できたことを示している。その後数年間、ATPは、ほとんどのVTエピソードの治療で有効な選択肢となった。PainFree Rx II、EMPIRIC、PREPARE、又は、ATPonFastVTを含む大規模な研究によって、この方法の有効性及び安全性が実証された。また、除細動に代えてATPを送出することで、苦痛を伴うICDショックの数を劇的に減少させた。
典型的に、ATPアルゴリズムは、頻脈の種類(心房か心室か)及びレートに依存する。例えば、ほとんどの装置の製造業者が、頻脈のレートに基づいて、心室頻拍(VT)、速い心室頻拍(FVT)、及び、心室細動(VF)を弁別している。頻脈のレートは、一分当りの拍動(BPM)で表されるか、又は、心拍と心拍の間の時間(RR間隔と呼ばれる)で考慮される。この時間は、頻拍周期長(TCL)とも呼ばれ、ミリ秒で与えられることが多い。60,000を心拍数で割ると、ミリ秒(ms)単位の周期長が求められる。例えば、200BPMの頻脈は、300msの頻拍周期長を有する。
ATPは、一定の周期長の連続ペーシング(バーストペーシング)でもよく、又は、各追加ペーシング拍動毎に周期長を短くしてもよい(ランプペーシングと呼ばれることが多い)。ランプ治療は、プログラム可能な数の心拍の減衰駆動からなり、現在の頻拍周期長(TCL)に比例したレートから開始する。
ATPの現在のアルゴリズムは、よく知られており、簡単にアクセスできる。(以下に説明する)一例は、埋め込み装置製造業者のMedtronic社によるものだが、全ての装置製造業者が同様のペーシングアルゴリズムを開発している。
Medtronic社のPainFree Rx II Trialでは、FVTゾーン(188〜250BPM)の第1治療は、2ATPシーケンス(FVT周期長の88%での、8パルス連続バーストペーシング)であった。第1のATPシーケンスが不成功だった場合、第2のシーケンスがFVT周期長の88%から10ms減算して送出された。ATP治療は、最大電圧及びパルス持続時間で送出された。その後のFVT治療のプログラミングは、研究者の裁量に委ねられ、大抵は、ICDショックに関連した。
MartinsらによってEurospace誌(2012)に発表された最近の研究は、Biotronik社、Boston Scientific社、Medtronic社、St Jude Medical社、及び、Sorin Group社などの主要なICD装置製造業者との共同研究であった。この研究では、心室のATPアルゴリズムは以下の通りである。植込み型除細動器が、ショックの送出前に、250〜300ms(200〜240BPM)のFVT周期長(CL)にて10回のATP送出を試みるようプログラミングされた(5バースト、次に、5ランプ、FVT CLの81〜88%で8〜10回の早期刺激、最小ペーシングCL180ms)。合計で1839FVTが対象となり、その内1713はATPで停止(効果無調整1/4 93.1%、調整1/4 81.7%)。更に、20%超の患者が2エピソードより多くのATPを要するATPを経験した。
つまり、頻脈の時間を減少させ、ICDショックを回避するために、現在のATPアルゴリズムは改善の余地がある。
最先端のペースメーカーは、心房の予防的ペーシング及び心房抗頻拍ペーシング(DDDRP)の機能を備え、心房細動の発生とその持続時間を減少させ得る。この装置は、エピソードが心房頻拍に分類され、プログラム可能な「第1の治療までの時間」(大抵は1分)より長く続く場合に、自動的にATP治療を送出する。大抵の場合、それぞれの患者が30回までの停止の試みを受けられるように、ランプは、それぞれ10シーケンスを3セット送出するようプログラミングされている。各セットは、連続した10パルスで開始する。3セットのそれぞれの1つ目のパルスは、基調となる心房頻拍周期長(ATCL)のそれぞれ91%、84%、81%で送出される。各セットにおいて、後続のパルスはペーシング連結間隔を10msずつ減少して送出される。その前の連続のパルスがATの停止に失敗した場合、追加の刺激が次の連続のパルスに加えられる。
バースト+治療は、現在のATCLに比例したレートの、プログラム可能な数の心房パルスの駆動を用い、その後、2回までの早期刺激が続く。バースト+は、各10シーケンスを3セット送出するようにプログラミングされ、各シーケンスは15パルスからなり、2回の早期刺激が続く。ランププログラミングと同様に、各患者は30回までの停止の試みを受けられる。各セットの第1のスキャンは、基調となるATCLの84%で放出される。第1の早期刺激は、基調となるATCLの81%で送出され、第2の早期刺激は間隔を20ms減少して送出される。失敗した場合、連続したATPの連結間隔は各後続のスキャン毎に10msずつ減少する。
両治療法とも、最小ペーシング間隔(MPI)は150msであり、MPIより短いペーシング間隔でプログラミングされたパルスは、MPI値で送出される。2年の経過観察で、心房ATPは、心房頻拍の永続的心房細動への進行を著しく減少させることが最近確認された(61%の相対的リスク減)。
上記方法は、全ての頻脈に対して同様の手法を用いる。これら手法は、様々な数の拍動のバースト又はランプ手法を用いる。このATPの試みが失敗すると、別のバースト又はランプがより短い間隔で(より速いレートで)送出される。私たちは、頻脈を停止する装置の性能を改善するため、新規の発想に基づいて、固有のペーシングアルゴリズムを発明した。
本発明は、例えば、抗頻拍ペーシング(ATP)アルゴリズムの最適化などの心不整脈の予防及び/又は治療のための装置、システム、及び、方法に関する。より詳細には、本発明は、心不整脈を測定し、治療する埋め込み式装置に関する。本出願は、追加電極によるATPの試みのモニタリング、広範囲形態分析、及び/又は、失敗したATPの試みからの復帰間隔の測定によって、装置がエントレインメントのタイミング、リエントリー性頻脈内の遅延量、及び/又は、頻拍停止/促進を推定する例を説明する。これらの変数及び発生は、第1の及び/又は後続のATPの試みを最適化するために使用され得る。更に、その他の好ましい実施形態は、頻拍停止を促進するため、ATPペーシングアルゴリズムの設計に電気的回復特性を統合する方法を説明する。
ある好ましい実施形態では、装置は、タイミング間隔、広範囲形態、及び/又は、複数の電極間の時間差に基づいて、リエントリー性頻脈を特定することがある。装置は、ATPの送出中、現在とその後のATPアルゴリズムを最適化するために、不整脈のエントレインメント及び/又は停止のモニタリングも実施することがある。本明細書のその他の実施形態は、追加電極からの心臓信号の広範囲形態及び/又はタイミング間隔によって、高頻度駆動ペーシングから発生する動的応答を計測することで、例えば、頻脈をエントレインするのに要する早期ペーシング時間の合計(「エントレインメントまでの時間」)、頻脈回路内で発生する伝導遅延(「時間遅延」)、頻脈の変化(頻拍促進など)、頻拍停止、及び、特定のATP手法の以前の成功及び失敗などの、ATPの試みの特定の局面を推定及び記録することがある。以下の文と図面で説明されるように、装置は、心筋組織の電気回復特性を利用することで、これら測定値と発生を用いて頻拍停止の確率を改善することができる。本明細書では、部分的な頻拍促進を最小限に抑える初期ペーシング間隔、及び、「プライミング」ペーシングパルスの送出手法、又は、不整脈回路の重要局面において再分極レートを遅らせるため典型的な抗頻拍ペーシングの試みよりも長い間隔で送出されるパルスの調整の例が解説される。これらの方法によって、ATPの試みの成功率が改善し、患者が危険な頻脈性不整脈を発症している時間が減少し、ICDショックの必要性が減少する。したがって、以下の発想は、装置のATP性能とアルゴリズムをプログラミングし、設計する際に有効である。
本発明のその他の局面と特徴は、添付の図面と併せて以下の説明を考慮することで明らかになるであろう。
概して、本明細書中で開示される例は、頻脈性不整脈のエピソードを停止するよう設計された方法で患者の心臓に電気刺激を送出するために少なくとも1つの電極を用いた、心室頻拍などの頻脈性不整脈の治療に関する。
図1は、本発明が有効に実施され得るように、心臓に専用のリードが挿入されたペースメーカー/植え込み式心臓除細動器(ICD)の模式図を示す。 図2は、図1の植え込み式ペースメーカー/カーディオバーター/除細動器内の回路の機能ブロック図である。 図3は、1つの電極からの高頻度駆動ペーシングと、2つ目の電極から電気脱分極を感知している図式である。図3は、エントレインメントまでの時間を推定するのにどのようにタイミング測定が実施され得るかを実証するのに役立つ。 図4Aと図4Bは、心臓内及び広範囲の形態の一例を示し、広範囲形態分析がエントレインメントまでの時間を推定するのにどのように利用され得るかを図示する。 図5は、心臓内のリエントリー性頻脈回路、及び、好ましい実施形態に従って、電気刺激を感知及び/又は送出する幾つかのペーシング電極の簡易図である。 図6は、連続したペーシング駆動の連結間隔、及び、電気回復曲線としても知られる有効不応期の関係を示す。 図7は、第1のエントレイン刺激において、ペーシングされた周期長と刺激回数が頻脈の促進量に与える影響を説明する図式である。 図8は、心外膜電極からのATPの試みにおいて、エントレインメントまでの時間と回路内の時間遅延を決定するために心臓内測定及び広範囲形態分析を使用した一例を示す。 図9は、以前のATPの試み、復帰周期間隔(別名、ペーシング後間隔)、広範囲形態分析、及び/又は、少なくとも1つの追加電極を利用した、好ましい実施形態に係わるATP治療を適用した例示的プロセスを示すフロー図である。 図10は、以前のATPの試み、復帰周期間隔(別名、ペーシング後間隔)、及び/又は、広範囲形態分析を利用した、本発明の実施形態に係わるATP治療を適用した例示的プロセスを更に示すフロー図である。 図11は、好ましい実施形態に係わる抗頻拍ペーシング(ATP)の図式である。
高頻度駆動ペーシングは、典型的に元の頻脈よりも速いレートで実施されるため、ペーシング周期長は通常、頻拍周期長よりも短い(PCL<TCL)。ペーシング刺激は、元の頻脈から、ペーシングの早期量又は頻拍周期長と高頻度駆動ペーシング周期長との差分だけ「利得」(gain)している(TCL−PCL)。高頻度駆動ペーシングは、ペーシング波面が元の頻脈に達し、促進するまで、元の頻脈より早いタイミングで「利得」し続ける。高頻度駆動ペーシングが不整脈回路に達すると、追加のペーシング刺激が、元の頻脈を継続的にリセットしてPCLにする(エントレインメント)。したがって、ペーシングが元の頻脈の促進/リセットを開始する前までに、高頻度駆動ペーシングが元の頻脈から「利得」した時間の合計は、頻脈を促進するのに要したペーシング刺激の数(n)に基づいて、頻拍周期長とペーシング周期長との差(TCL−PCL)(変数でもよい)から頻拍促進量を減算して、式1で計算できる。
Figure 0006795501
遠位電極が高頻度駆動ペーシング中にTCLをモニタリングし、頻脈エントレインメントのタイミングとリエントリー性頻脈内の伝導遅延とを推定できることがある。頻脈をエントレインするために、高頻度駆動ペーシングが元の頻脈から「利得」する必要がある時間の合計は、ペーシング後間隔から頻拍周期長(PPI−TCL)を減算して近似できる。ペーシング後間隔(PPI)又は復帰間隔(RI)は、エントレインメント操作又は失敗したATPの試みの後に発生する復帰間隔である。この時間は、ペーシング信号が、ペーシング部位からリエントリー回路を回り、ペーシング電極に戻るまでに要する時間である。高頻度駆動ペーシング周期長が速いほど、又は、抗頻拍ペーシング周期長が速いほど、主にリエントリー回路で伝導速度が遅くなるため、復帰周期は長くなる。
エントレインメントを達成するために高頻度駆動ペーシングが克服しなければならない時間の合計量は、数学的に決定できる。代償性休止期の復帰周期は、TCLにペーシング早期量(TCL−PCL)を加算したのと等しい。追加のペーシング刺激で、代償性休止期の復帰周期は、ペーシング刺激毎に延長され続ける(式2)。ペーシングが不整脈回路に達すると、ペーシング波面は、元の頻脈を促進し、復帰周期は代償性休止期から予測されるよりも短くなる。伝導速度には最小の変化しかないと想定すると、第1のエントレイン拍動の復帰周期と全ての追加のペーシング刺激は、PPIで固定される。実際には、より短い周期長の伝導速度の変化後のペーシング後間隔には著しい延長がみられることがある。概して、未修正PPIは、頻拍周期長をペーシング早期の合計量に加算し、頻拍が早まった量を減算することで決定できる(式3)。
代償性休止
Figure 0006795501
エントレインメントにおいて
Figure 0006795501
式3を並び替えることでわかるように、高頻度駆動ペーシングによって利得する時間の合計量はPPI−TCLと等しいはずであり、式4に見られるようにエントレインメント時間とも等しくなる。
Figure 0006795501
そして、速い高頻度駆動ペーシング(詳細は後述)に関連して発生する遅延を調整した後、修正PPI又はPPIcと伝導遅延の量(時間遅延)を決定できる。この測定法を知ることで、式5に示すように、どのような周期長の頻脈であっても到達して促進するのに要するペーシング刺激の回数が決定できる。
Figure 0006795501
次のペーシング刺激は、頻脈をPCLにエントレインさせる。頻脈がエントレインされると、ペーシングされている心腔内(心房又は心室)の全ての電極がペーシング周期長に加速する。したがって、リエントリー性頻脈を出る脱分極した波面を受け取る心筋組織に電極があることで、エントレインメントのタイミングが推定できる。更に、この電極で、リエントリー回路内の遅延量が推定できる。一部の状況では、エントレインメントまでの時間は、遠位電極が最適部位にあっても推定が難しいことがある。このエラーは、元の頻脈を促進する1つ目の刺激が著しい伝導遅延を引き起こすことがあるが、充分に考慮されないために発生することがある。したがって、一部の状況では、2以上の部位から高頻度駆動ペーシングが実施されることがある。この場合、電極Bのエントレインメント時間は式6によって決定でき、2以上の部位におけるエントレインメント中の電極間の時間差が、電極Bのエントレインメント時間の推定に利用される。この式は、高頻度駆動ペーシング周期長が全てのエントレインメントで同様であることを想定している。
Figure 0006795501
PPI−TCLは、エントレインメントが得られるまでのペーシング早期の合計と等しい。更に、PPI−TCLは、エントレインされた頻脈とリエントリー性頻脈との間のペーシング電極及び遠位電極間の時間差とも等しい。(ベースライン間隔に対して)エントレイン後の刺激に依拠する同様の方法がStevensonによって、N+1ルールとして説明されている(Friedman、2001)。更に、伝導組織はより短い周期長又は持続的ペーシングで遅延することがあるため、伝導遅延量は、第1のエントレイン刺激と持続的ペーシングによる安定した伝導時間との時間差によって推定できる。持続的ペーシング又はより短い周期長からのこの時間の延長は、リエントリー回路内の伝導遅延の推定に使用できる。
加えて、広範囲波面形態分析は、いつ頻脈がエントレインされたか、及び、リエントリー回路内の伝導遅延量を決定するのに役立つことがある。これは、エントレインメント中、広範囲形態が、ペーシング形態とリエントリー形態との融合であることによる。広範囲ペーシング形態、ベースラインリエントリー形態、及び、融合形態の違いを使用して、エントレインメントのタイミングとリエントリー回路内の遅延量を推定できる。頻拍周期長よりも短い周期長での持続的ペーシングでは、ペーシング波面と頻脈波面との漸進性融合がある。高頻度駆動ペーシングの結果、ペーシング部位からのペーシングで発生する広範囲形態に特徴的な、安定した広範囲形態が得られた場合、この所見は頻脈がエントレインされたことを特定する。遠位電極分析と同様に、各高頻度駆動ペーシングパルスの早期が、加算されてエントレインメント時間になるまで累積され、エントレインメント時間になると、ペーシングパルスは元の頻脈を促進する。安定した融合形態が獲得されるまで、早期が合計され得る。更に、ベースラインの広範囲ペーシング形態、ベースライン頻脈形態、及び、ペーシング電極からのエントレインされた(及び安定した)頻脈の融合形態を比較することで、エントレインメント時間が推定できる。更に、形態が著しく変化してベースラインのペーシング形態と一致する場合、これは、頻拍停止のエビデンスとなる。更に、1セットのペーシング刺激におけるエントレインメント時間と融合形態とを比較することで、頻脈回路内で発生する時間遅延が推定できる。これらの変数を組み合わせることで、部分的促進を最小にする最適な初期ペーシングアルゴリズムを決定することができ、加えて、これら変数を使用して、頻拍停止を促進するために「プライミング」パルスを最適化できる。
リエントリー性頻脈中の電極間の時間差は、エントレインメントまでの時間を推定するのに使用できる。これは、エントレインメント導路が、頻脈リエントリー性頻脈の特定の局面に関連することがあるためである。電極間の伝導時間は、頻脈より以前に測定できるため、頻脈のリセット/エントレインに要する早期が推定できる。したがって、一部の状況では(非常に速い頻脈など)、心臓細動に進行する前にATPの試みが一回しか送出できない。これらの状況では、電極間の時間差は、頻脈でない場合の伝導時間と組み合わされてもよく、頻脈の部分的促進を最小にする可能性を向上させた一回のATPの試みを送出するのに使用されてもよい。
加えて、頻脈をエントレインする際、ペーシング電極は、緩徐伝導領域のエントレイン部から遠いことがある。入口部がペーシング部位から遠い場合、高頻度駆動ペーシングは入口部に進入する前に心筋にかなり進入することがある。これらの状況では、感知電極及び広範囲ペーシング形態は、リエントリー回路の重要局面内で伝導が遅くなったことを特定するのに役立たないことがある。したがって、また別の実施形態では、ペーシング電極は、頻脈中の電極間の時間間隔を使用して選択される。概して、最後に刺激が届く電極が選択され得る。一方、ペーシングを行う最適なペーシング電極を決定するために、ベースライン伝導時間及び広範囲形態が測定され、頻脈時間間隔及び広範囲形態と比較されてもよい。また別の実施形態では、ATPパルスは両電極から送出できるが、広範囲形態(又は、追加の非ペーシング電極)に基づいて、入口部に最も近い電極が後続のペーシング刺激のために使用できる。
したがって、頻脈エントレインメントのタイミング及びリエントリー回路内の遅延量は、1)失敗したATPの試みまでのペーシング後間隔を測定し、2)当該心腔内の遠位電極からの心臓内信号のタイミングを分析し、及び/又は、3)広範囲形態分析によって、推定できる。以上の知識が、1つ目と後続のATPの試みを最適化するために使用できる。
一定のカテーテル部位でエントレインメント時間と伝導遅延が決定されると、いかなる高頻度駆動ペーシング周期長でも、頻拍促進(及びエントレインメント)のタイミングが決定できる。私たちの研究で、減衰伝導の調整後、エントレインメントのタイミングが数ミリ秒内に推定できることが明らかになった。したがって、1つ目又は以前の失敗したATPの試みからのエントレインメント時間は、後続するATPの試みを最適化するために使用できる。高頻度駆動ペーシングが元の頻脈をいつエントレインするかが正確にわかることによって、頻拍促進又は細動の可能性を最小に抑えるためにペーシング刺激の回数が制限できる。(頻脈エントレイン後、安定した伝導時間の)追加ペーシング刺激は頻脈の停止を遅らせ、電池を消耗させ、より速い頻脈への発展、及び/又は、分離して細動になる危険性を著しく増加させる。
次に(そして、臨床的により重要なことに)、電気回復特性は高頻度駆動ペーシングによって変化する。不整脈回路に達する1つ目のペーシング刺激は、TCLとPCLとの間の一部の時間によって元の頻脈を促進する。これは、ペーシング刺激部位とリエントリー性頻脈との間の距離を含む多くの因子に依存する。不整脈回路に達する1つ目の刺激が頻脈を部分的にPCLまで促進する場合、電気回復曲線は、リエントリー回路の重要な局面が、PCLに促進された際に頻脈に寛容になりがちであることを示す。脱分極レートと再分極時間との関係は、電気回復曲線として知られる。したがって、部分的促進は、速い高頻度駆動ペーシング周期長のATPを、頻脈が寛容するように準備することがある。ATPアルゴリズムは、元の頻脈を促進する1つ目のペーシング刺激が頻脈をPCL(又は、所望の間隔)に完全に促進するように設定できる。元の回路を部分的にのみ促進する早期刺激を送出すると、再分極レートが加速し、頻脈をペーシングで停止することが難しくなる。更に、頻脈の変化(頻拍促進など)又は頻拍停止について頻脈をモニタリングすることで、ATPの試みは刺激を送出して応答を測定することができる。加速パルスが頻脈を停止しない場合、装置は、(例えば、頻拍周期長に基づいて)より長い周期長の一以上の刺激を送出し、その後、より短い周期長のペーシング周期長を送出することができる。また、頻脈の変化又は停止についてモニタリングできる。したがって、装置は、ATPの試みを止めることなく、頻拍停止を促進するためにペーシングとパルス周期長の調整を継続できる。頻拍周期長に近いパルスを送出することで、電気回復特性を活用して頻拍停止が最適化される。
現在のATP手法は、高頻度駆動ペーシングによる頻拍促進の正確な時間を決定することで改善できる。リエントリー回路に達する1つ目の拍動は、元の頻脈を促進する。しかし、1つ目の拍動が元の頻脈を促進するのにかかる時間量は、頻脈を停止するATPの試みの能力に影響を与える。これは、細胞の再分極レート(リエントリー回路までの不応期)が脱分極レートに依存するためである。頻脈を促進する1つ目の刺激波面が、頻拍周期長(TCL)と高頻度駆動ペーシング周期長(PCL)との差よりも少なく、元の頻脈を促進する場合、部分的に促進された頻脈は、頻脈が高頻度駆動ペーシング周期長(PCL)を寛容するように準備してしまう。したがって、頻脈の促進に要する時間量を決定することで、高頻度駆動ペーシングのアルゴリズムはATPの試みの成功率を向上させるように最適化できる。伝導速度は、ペーシング周期長が短いと遅くなり、リエントリー回路の重要局面を「保護する」ように機能するため、心拡張期の間隔が短くなると、再分極レートは伝導速度より影響を受けやすい傾向がある。つまり、非常に遠回りで遅延した伝導時間を有する頻脈でも、早期刺激は、重要な峡部を伝わる伝導時間を延長することがあまりない。したがって、より短いペーシング周期長と関連した著しい伝導速度の低下があっても、「部分的促進」を最小にすることは頻脈の停止を促進する。
例えば、頻脈をエントレインするのに要したペーシングの時間を計測すると(例えば、遠位電極によって計測して、又は、広範囲形態変化によって)、この時間は、不整脈に達するために、あるカテーテルからペーシングが進入しなければならない時間量である。回路をエントレインするのに要する時間量を知ることで、抗頻拍ペーシングアルゴリズムが最適化できる。これは、初期ペーシング拍動の数と、使用するペーシング間隔を決定するのに使用できる。ペーシング間隔は、元の不整脈が入口部に入るのと同時に入口部が活性化されるように調節できる。続く刺激波面は、不整脈回路をより短いペーシング間隔で興奮するように送出されてもよい。ところが、上述したように、この組織は、以前のペーシング間隔によって、できるだけ短いペーシング間隔を受け入れるように最適化できる。この間隔は、頻脈をエントレインするのに要する時間に基づいて、数学的に計算でき、最適化できる。初期エントレイン刺激後のこのペーシング間隔は、頻脈が停止するまで徐々に短くできる。局所捕捉を最適化するために、各種刺激形態及びアルゴリズムも使用できる。
そこで、私たちは、初期高頻度駆動ペーシングアルゴリズムを最適化するために、頻脈エントレインメントのタイミングが使用できることを実証した。加えて、1つ目のATPの試みを改善することは効果的である。エントレインメントが得られると、ペーシング電極からの脱分極波面はリエントリー回路に達することができる。遠位電極及び/又は波面形態分析は、多くの場合、エントレインメントが得られたのはいつか、及び、頻脈が停止されたかを決定することができる。この概念は、添付図によって充分に説明される。
エントレインメントが得られた後、ペーシング電極は、元の頻拍周期長で1つ又は複数の刺激を送出することが出来る。これが発生すると、ペーシング波面は、元の波面がリエントリー回路に進入するのとほとんど同時にリエントリー回路に達する。重要なことは、頻拍周期長に近いペーシングの場合、頻拍周期長が頻脈回路内で再分極レートを決定する。したがって、再分極レートを遅くするためには、ATPの試みはより遅い周期長(元の頻拍周期長など)で刺激を送出すればよい。例えば、ATPの試みは、PCL1で8つの刺激を送出することがある。広範囲の形態及び遠位電極は、頻脈がエントレインされたことを特定する。すると、ATPアルゴリズムは、元の頻拍周期長で一以上の幾つかのペーシング刺激を送出することがある。このより遅いレートによって、組織の再分極レートが遅くなるが、ペーシングによってペーシング電極のリエントリー性頻脈へのアクセスが維持される。次に、ATPアルゴリズムは、頻脈を急速に且つ完全に促進する、より短い周期長の1つ又は幾つかの刺激を送出してもよい。広範囲の形態及び遠位電極によって、頻脈が停止されたかが特定できる。頻脈が停止してない場合、装置は、頻拍周期長で1つ又は幾つかの刺激を送出し、次に、先の試みよりも短い周期長で1つ又は幾つかの刺激を送出することができる。このパターンは、頻脈が停止するまで、次々と周期長を短くして繰り返され得る。この方法では、頻脈の停止には一回のATPの試みのみが必要とされ、いかなるペーシング周期長でも頻脈を停止する性能が向上する。
加えて、前述したように、ペーシング後間隔、広範囲形態分析、及び、高頻度駆動ペーシングに応じた遠位電極からの信号のタイミングの全てが、そのまま或いは他の方法と組み合わせて、頻脈回路内の伝導遅延量を推定するのに使用できる。この伝導遅延は、「プライミング」刺激に加えられ、エントレインメントが得られた後に、頻拍周期長に頻脈遅延の量を加えた1つのペーシング刺激が送出される。プライミング刺激は、リエントリー回路に届くようにペーシング部位へのアクセスを維持しながら、頻脈回路内の再分極の時間を遅くする。プライミング刺激後、頻拍停止の可能性が高い、より短いペーシング周期長の追加ペーシング刺激が送出されてもよい。更に、追加の「プライミング」刺激を送出し、次に、より短い刺激を送出するために、頻拍停止、エントレインメント、及び、リエントリー回路内の伝導遅延を推定してもよい。このように、ATPの試みを最適化するのに高頻度駆動ペーシングからの応答が利用されるという意味において、ATPアルゴリズムは反応性がある。このプロセスは、頻拍停止を促進するために繰り返すこともできる。検知した時間が刺激時間に近い場合に、エントレインメント又は頻拍停止のタイミングを検知することが難しいことがある。多くの電極を有することで(4極左心室頻拍心再同期リードなど)、各種電極は、頻脈の評価(エントレインメント及び停止の両方)に適切なウィンドウがある可能性を向上させ得る。定義された頻脈の停止において、以前のATPの試みにおける成功を記録することで、成功したペーシングアルゴリズムを繰り返すことができる、或いは、不成功の場合は、ペーシング周期長が短くされてもよい。
遠位電極及び広範囲形態は、エントレインメント及び/又は頻拍停止を特定しても、しなくともよい。これらの性能は、電極と元の頻脈との空間的関係、及び、心筋内の伝導特性を含む、頻脈に特異の幾つかの詳細事項に依存する。都合のよいことに、両室ペーシングシステムは、通常、互いに離れた2つの電極を含む。心筋上に互いに離れた2つの電極があることで、これらの電極が頻脈エントレインメントのタイミング、頻拍停止、及び、リエントリー性頻脈内の遅延時間量を決定できる可能性が向上する。
ある好ましい実施形態は、患者が罹患しているかもしれない各種リエントリー性頻脈を特定するため、広範囲形態、頻脈レート、及び電極間のタイミングの差を説明する。各種リエントリー性頻脈を正確に特定することで、以前のATPの失敗及び試みは、後続するATPの試みを最適化するのに使用できる。
また別の実施形態では、心臓内の第2の遠位電極が、ATPの試みをモニタリングするために使用できる。ペーシング中の頻拍周期長における時間変化は、次の刺激されたペーシング周期長を調節するために使用される。エントレインメントが確定されると、ATPアルゴリズムは、ベースライン頻拍周期長に測定された回路内時間遅延の何パーセントかを加算したもの(又は、1つ又は両方の測定に関連した関数)に近い一以上の刺激を送出し、その後、より短いペーシング周期長の一以上の刺激を送出してもよい。長いペーシング周期長は、リエントリー性頻脈を「プライミング」するように機能し、再分極時間を延長して頻拍停止を促進する。持続的ペーシングでは、より短い周期長によって、リエントリー性頻脈内で伝導遅延が引き起こされることがある。早期ペーシングは、当該心腔の心筋が全て同じ間隔を有するようになるまで、伝導減衰領域に徐々に伝播されていく。「プライミング」刺激の送出後、心筋全体に渡って再分極レートが延長される。短い周期長でペーシング周期長を送出することで、特に、リエントリー性頻脈を持続させるのに重要な領域にある、不応の心筋組織に届く可能性が高まる。多くの頻脈で、頻拍停止前にリエントリー性頻脈の重要な局面内で伝導が遅くなる「時間遅延」を経過する。したがって、広範囲形態又はペーシングに関係のない追加電極を注意深くモニタリングすることで、プロセッサは頻脈の重要な局面内で伝導が遅くなるのをモニタリングすることができる。つまり、装置は、頻脈内で発生する時間遅延をモニタリングできる。時間遅延が延長され続ける限り、プロセッサはおおよそ同じペーシング間隔でペーシングパルスを送出し続ける。しかし、時間遅延が特定の間隔内で安定している場合、装置は抗頻拍ペーシングアルゴリズムの次の工程に進むことができる(より短いペーシング周期長を送出する、又は、「プライミング」ペーシングパルスを送出するなど)。頻脈エントレインメント、伝導遅延、及び/又は、頻拍停止を推定し、後続のペーシング周期長を最適化するのに使用する方法を説明する。
図1は、本発明が有効に実施され得るように、心臓に専用のリードが挿入されたペースメーカー/植え込み式心臓除細動器(ICD)の模式図を示す。図1に示される実施形態では、体内に埋め込まれるよう設計された制御部40がある。装置のハウジング42には、患者の心臓90に埋め込まれるよう設計された幾つかのリードが接続している。第1のリード10は、ハウジング42に結合された近位端12と、患者の心臓90、例えば、右心房92に導入される規格の第2端とを含むことがある。第1のリードには遠位端16があってもよく、遠位端16は、電気活動(脱分極)を感知し、プログラムに従って右心房92をペーシングできるセンサ及び/又は電極18に接続する。加えて、第1のリード10の遠位端は、例えば、右心房92又は左心房(図示せず)に遠位端を固定するための、遠位端のねじ頭又はその他の固定具(図示せず)など、一以上の特徴を含むことがある。センサ18から制御部40に信号を通信するように、一以上の導線やその他の伝導体が遠位端から近位端まで延長していることがある。同様に、第2のリード20は、ハウジング42に結合された近位端22と、患者の心臓90、例えば、右心房92や三尖弁95を介して右心室96に導入される規格の第2端とを含むことがある。第2のリード20には遠位端26があり、遠位端26は、電気活動を感知し、又は、右心室96を刺激する電気エネルギーを送出するよう設計された電極及び/又はセンサ28を含むことがある。第1のリード10と同様に、第2のリード20は、例えば、右心室96内の心臓90の壁など患者の心臓90内に遠位端を固定するための、遠位チップ上のねじ頭又はその他の固定具など、ペーシングリードと同様の一以上の特徴を含むことがある。或いは、本明細書の他の実施形態と同様に、第1と第2のリードが、枝分かれした遠位端を持つ1つの装置(図示せず)に提供されてもよい。加えて、リードをハウジング42に結合するための近位端32を持つ第3のリード30があってもよい。第3のリードは、患者の心臓90、例えば、冠静脈洞97又はその他の心臓90の静脈を介して、右心房92に導入される規格の第2端を含むことがある。リードは、電気活動を感知または送出するように設計されたセンサ又は電極34を含むことがある。このセンサ又は電極34は、心房又は心室組織のいずれかに電気活動を感知、及び/又は、送出することがある。加えて、第3のリード30は、心臓90の別の部位の電気活動を感知して送出する追加のセンサ又は電極38に結合された遠位端36を含むことがある。第1のリード10と第2のリード20と同様に、第3のリード30は、例えば、冠静脈洞97の遠位静脈内で、患者の心臓90内に遠位端を固定するための、遠位チップ上のねじ頭又はその他の固定具など、典型的に使用されるペーシングリードと同様の一以上の特徴を含むことがある。第3のリードは、左心室98内で発生する電気活動を感知してペーシングしてもよい。加えて、右心室96又は左心室98内で頻脈が発生している場合、センサ又は電極28、34、又は38は、頻脈を停止するための電気活動を感知及び/又は送出することがある。加えて、右心房94又は左心房(図示せず)内で頻脈が発生すると、センサ又は電極18又は34は、頻脈を停止するために電気活動を感知及び/又は送出することがある。本明細書中では、抗頻拍ペーシング(ATP)治療の送出を説明するために電極18、28、34、又は38が使用されるが、心臓90に電気エネルギーを感知して送出できる電極は幾つでもよい。ATP治療は、心室及び心房頻脈性不整脈の治療に使用されることがある。
図2は、制御部40内にあって、制御部40に接続する構成要素の実施形態の簡易機能ブロック図を示す。構成要素は、患者を治療するためにペーシングアルゴリズムを決定するため、各種構成要素から入力情報を受信する制御プロセッサ52を含む。制御プロセッサは、ペーシング回路53、除細動回路55、メモリ52、及び、テレメトリーインタフェース55に接続する。ペーシング回路53と除細動回路55は、第1のリード10、第2のリード20、及び、第3のリード30に接続し、最終的に電極(例えば、18、28、34、及び38)と接続する。これらの接続によって、電気活動(心筋脱分極など)を感知し、ペーシング刺激を送出し、及び/又は、除細動又はカーディオバージョンショックを送出するための複数の性能が可能になる。電極18、28、34、及び38からペーシング回路53を介して受信した入力に基づいて、制御プロセッサ51は、ATP治療を一以上の電極に提供し、除細動回路55を介して除細動又はカーディオバージョンショックを一以上の電極に提供する、又は、処置を全く行わないことを含む、適切な一連の動作を決定する計算を行う。制御プロセッサ51は、テレメトリーインタフェース96に接続している。テレメトリーインタフェースは、制御プロセッサ51と患者の外部にあるシステムのその他の局面との通信を促進するため、ディスプレイモジュール64に接続した外部プログラマー62と無線でデータの送受信ができる。制御プロセッサ51は、その他の電極にペーシング刺激を送出しながら、一以上の電極からの電気活動を感知し続けることがある。制御プロセッサ51は、選択されたデータをメモリ52に保存し、保存されたデータを必要に応じて取り出してもよい。例えば、制御プロセッサ51は、頻脈性不整脈を停止するための最良の治療法に最適化するために、頻脈と頻脈性不整脈のその他の鍵となる局面を効果的に弁別するよう頻脈性不整脈の鍵となる局面を特定してもよい。
図3は、1つの電極からの高頻度駆動ペーシングと、第2の電極から感知している電気脱分極の図式である。図3は、エントレインメントまでの時間を推定するのにどのようにタイミング測定が実施され得るかを実証するのに役立つ。エントレインメントまでの時間は、頻脈に達して促進するために、高頻度駆動ペーシングが元の頻脈から「利得」しなければならない時間の合計量である。したがって、図3に示されるように、エントレインメントまでの時間は、第2の遠位電極で感知された電気活動のタイミングを測定することで、推定できる。例えば、頻脈性不整脈が心臓内部の2つの電極の間で発生する場合、1つの電極がATPを送出してもよい。送出された電気活動が、元の頻脈に達して促進する脱分極波面を作るとすぐに、第2の電極がこのイベントを測定できる。このイベントでは、例えば、エントレインメントまでの時間は、各ペーシング刺激の早期(TCL−PCL)を加算し、頻拍促進量を減算することで推定できる。したがって、エントレインメントまでの時間は、(TCL−PCL)に頻脈をエントレインするのに要するペーシング刺激の数を掛け、第1のエントレイン刺激の頻拍促進量を減算することで推定できる。ペーシング周期長がより短いために、頻脈に遅延が発生することがある。この遅延は、高頻度駆動ペーシング周期長を遅くすることで推定できる。例えば、ペーシング周期長を延長させて、頻拍周期長に近似させてもよい。エントレインメントまでの時間を推定する別の方法は、ペーシング刺激と感知した脱分極との時間差を合計することによる。また、伝導遅延も考慮されなければならない。
別の方法は、ペーシング電極と感知電極間のペーシング前とエントレインメント(又は、第1のエントレインメント)中の時間差の測定に関連する。この時間差は、N+1差(副島ら、2001)によって説明される時間と類似している。
また別の実施形態では、エントレインメントまでの時間は、失敗したATPの試みの復帰周期から頻拍周期長を減算して推定できる。復帰周期は、回路内の伝導遅延を最小にしながら、エントレインメントまでの時間を決定するように設計された特定のペーシング操作によっても測定できる。例えば、エントレインメントが発生した可能性が高いか、エントレインのエビデンスが得られるまで、ATPペーシングアルゴリズムはいくつかの刺激を送出することがあり、続いて、頻拍周期長に近似した周期長でペーシング刺激を送出する。頻拍周期長に近いペーシングでは、刺激から電気脱分極が感知されるまでの時間遅延(又は、図4に実証される広範囲形態分析)が、エントレインメントまでの時間を測定するのに使用できる。あるいは、ATPを停止してもよく、その結果生じるペーシング後間隔(PPI)又は復帰間隔を測定して、PPIから頻拍周期長を減算して計算することで、エントレインメント時間が推定できる。上述したように、エントレインメントまでの時間は、リエントリー回路の対向端の電極による2つのエントレインメント操作によっても推定できる。なお、図3に実証されるように、第3の刺激は、感知される脱分極を引き起こしていることが、感知電極によって感知されている。感知電極で観察される次の間隔は、PCLと等しい間隔を有する。これは、第1のエントレイン刺激のペーシング刺激に発生したであろう何らかの遅延が、第2のエントレイン刺激でも同様に発生していることを示している。しかし、感知電極で測定された間隔がPCLよりも長かった場合、この遅延はペーシング電極と感知電極と間の伝導経路上での伝導遅延を示唆することがある。この実施形態は、図10でさらに詳細が説明される。図10では、この時間遅延は、頻拍停止を促進するために、ペーシングアルゴリズムの調整に利用されることがある。
図4Aと図4Bは、心臓内及び広範囲の形態の一例を示し、広範囲形態分析がエントレインメントまでの時間を推定するのにどのように利用され得るかを図示する。図4Aは、3つの異なるシナリオで発生する広範囲形態を示す。一列目は、ベースラインでペーシングが行われる際(基調となる頻脈がない場合)の広範囲形態を表す。二列目は、頻脈中に発生する広範囲形態を表す。図4Aでは、電位図で発生している感知された脱分極のタイミングは、広範囲形態に関連して決定できる。三列目では、エントレインされた広範囲形態が示される。図4Bでは、広範囲形態が、波面が重なるように重畳される。各種コンピュータアルゴリズム及びプログラムを実行することで、波面間の相違を最小にするのに要する各種オフセットを決定できる。また別の実施形態では、波面分析によって、ベースラインにペーシングされた形態とベースライン頻脈の波面の合計がエントレインされた頻脈に近似するように、ベースラインにペーシングされた形態とベースライン頻脈の合計が調整されるのに必要なオフセットが決定できる。この場合、ペーシング刺激とペーシング電極で感知された脱分極との間の時間オフセットが、エントレインメントまでの時間を推定するのに使用できる。上述したように、この時間はペーシングアルゴリズムを最適化するのに使用できる。更に、継続したペーシングによって、オフセットが電気伝導の導路内で発生する伝導遅延を示すよう延長されてもよい。
図5は、心臓内のリエントリー性頻脈回路、及び、本発明の実施形態に係わる、電気刺激を感知及び/又は送出する幾つかのペーシング電極の簡易図である。図5は、ATPアルゴリズムを最適化するために2以上の電極を利用する際の、鍵となる概念を実証する。図5では、図5の平面が、脱分極波面を伝播することができる心筋組織を表す。この実施形態では、E1、E2、及びE3の3つの電極があり、それぞれ電気活動を感知及び送出することができる。電極間には、電気活動を伝導しない瘢痕がある。加えて、瘢痕内には、電気活動を伝導できるが、他のより健康な心筋組織よりも遅い緩徐伝導領域がある。この例では、緩徐伝導領域を通過後、瘢痕の周りを進む永続的旋回動作を行い得るリエントリー性頻脈が作成されている。例えば、電極E1などの電極が頻脈のエントレインメントを得たとき、エントレインメントまでの時間は、ペーシング刺激がペーシング部位から出て「入口部」に達するまでにかかる時間(時間 E1)に、電気活動が「出口部」から元の回路を出てペーシング部位(時間 E1)に達するまでにかかる時間を加算し、頻脈回路の出口部から入口部までの間を進むのにかかる時間(時間 E1)を減算したものとおよそ同じである。したがって、電極E1にとってのエントレインメント時間は、およそE1+E1−E1である。変化しないペーシング周期長でのペーシング中、ペーシング部位から作られた波面と頻脈出口部を出るときに作られた波面との融合が発生する。回路形態、伝導速度、その他の変数により、これらの波面は各種部位で衝突する。頻脈が発生する前に、1つの電極から他の電極までの電子信号の伝導にかかる時間が測定できる。例えば、電極E1からのペーシングは、電極E2及びE3によって感知され、刺激とこれらその他の電極による脱分極の感知との間の時間遅延が測定できる。伝導速度は、ペーシング周期長によって変化することがある。これらの時間遅延は各種周期長で記録でき、従って、必ずしも定数ではない。エントレインメントが得られるとき、波面衝突(つまり融合)の部位は、頻拍周期長とペーシング周期長とを含むいくつかの変数に依拠する。エントレインメントが得られたが、刺激を送出した電極からの波面が遠位電極に達する場合、この電極はエントレインメント、又は、回路で発生することがある時間遅延のタイミングを決定できない。そこで、システムは、ペーシング電球(E1)からいずれかの他の電球(EX)までに要するベースライン伝導時間を測定することがある:刺激時間E1−>Ex。加えて、頻脈中に、ペーシングをする電極(E1)といずれかのその他の電極(EX)との間で発生する感知された信号の間の時間遅延は、頻脈性不整脈中に測定できる:リエントリー時間E1−>EX。遠位電極EXがエントレインメントのタイミングを決定する能力(及び、回路の時間遅延)は以下の式7で推定できる。リエントリー時間は、出口部を出てからペーシング電極E1といずれかのその他の電極EXの両方に進むまでの時間差である。
Figure 0006795501
したがって、3以上の電極があると、エントレインメントを感知できる電極を有する可能性が高くなる。更に、電極が式7を充足していても、ペーシングのタイミングと同時に感知した場合、局所信号を感知するタイミングは見過ごされやすい(ブランク)。したがって、追加の電極が、互いに近接していたとしても、エントレインメントのタイミングが決定できる可能性、及び、回路内での時間遅延の推定を向上させ得る。更に、ペーシング入口部が頻脈出口部と近接している場合、エントレインメントまでの時間と潜在的な時間遅延を推定する広範囲の形態分析の能力が限られることがある。エントレインされた頻脈を測定できる一以上の遠位電極があることで、システムはエントレインメント、回路内の時間遅延、及び、頻拍停止を推定できる。これらの構成要素を正確に測定及び/又は推定することで、ATPペーシングアルゴリズムは、頻脈性不整脈が停止するまで、ペーシングを停止する必要がない。別の例では、頻脈性不整脈をより急速に効果的に停止するようにATPアルゴリズムを最適化できる。
また別の実施形態では、いくつかの測定に基づいて、システムは、初期抗頻拍ペーシングアルゴリズムを設計できることがある。例えば、ペーシング電極から少なくとも1つの追加電極までのベースライン伝導時間を記録し、頻脈のエピソード中にこれら2つの電極の時間差を測定することで、エントレインメントまでの時間がこれら測定値の差として推定されてもよい。この方法は、リエントリー回路と、リエントリー回路のペーシング電極に対する関係に関する一定の仮定を要するが、この方法は、頻拍停止を引き起こす可能性が高い急速な初期ATPアルゴリズムを作成する。また別の実施形態では、装置に電極間の伝導時間を定期的に測定させることによって、装置は、虚血のエピソードをモニタリングし、評価してもよい。これは、虚血が伝導時間を変化し得るためである。したがって、心筋梗塞中には、伝導時間が変化することがある。したがって、伝導時間のモニタリングは、虚血の指標として機能することがあり、患者又は世話人に処置を行うよう警告できる。
図6は、連続したペーシング駆動の連結間隔と、電気回復曲線としても知られる有効不応期との関係を示す。図6は、心室の心筋組織に観察される典型的な電気回復曲線を表す。図6では、連続したペーシングが400msと600msの2つの周期長で実施される。連結刺激が各種間隔(x軸)で送出され、続いて、第2の刺激S2が送出される。連結間隔は、心筋を捕捉し損ねた第2の刺激の間隔を予測する(効果的不応期又はERP)。1つの連結間隔が、第2の早期刺激のERPにどれだけ大きく影響するかに留意されたい。例えば、400msで連続したペーシングを送出する場合、230msの1つの刺激は患者の大多数において不応である(伝導しない)。ところが、400msで連続したペーシングを送出し、続いて、260msの連結間隔を与えると、230msの1つの刺激は、本研究のどの患者に対しても不応にはならない。患者の大多数で停止するためには、第2の刺激は40ms超縮められる必要があり、不応に達するためには190ms未満で刺激が与えられなければならない。電気回復曲線は、先の脱分極間隔によって再分極レートの決定にいかに大きく影響を与えるかを示している。
図7は、第1のエントレインされた刺激に関する、ペーシング早期(TCL−PCL)、ペーシング刺激の数、エントレインメントまでの時間、及び、頻拍促進量の関係を示す図式である。図7は、ATPアルゴリズムの設計における電気回復曲線の重要性を実証する。元の頻脈から「利得」するため、ATPは、TCLよりも速いペーシングでなければならない。各ペーシング刺激は、TCLとPCLの差分(「ペーシング早期」)だけ頻脈から「利得」する。ペーシング早期の合計がエントレインメントまでの時間よりも大きい場合、ATP又は高頻度駆動ペーシングは、頻脈を促進し始める。けれども、頻脈を促進する第1の刺激は、TCLとPCLとの間のいかなる量でTCLを短くしてもよい。永続的ペーシングによって、頻脈性不整脈の全体がPCLまで促進するが、頻脈をエントレインする第1の刺激は部分的にのみPCLまで促進する。ATPの目的は、リエントリー回路内で電気不応に達することなので、この部分的促進は、リエントリー回路に関連する組織をより速く再分極するよう準備することがある。数学的モデリング及び実証的検定に基づいて、第1のエントレイン刺激の促進量は、いずれかのPCLで頻脈性不整脈が停止されるか否かに、劇的な影響を及ぼす。エントレインメントまでの時間の知識があることで、頻脈を促進する第1の刺激が頻脈を所望のPCLに促進するように早期が調整できる。この調整によって、第1のエントレイン刺激で発生する部分的促進を最小化でき、頻拍停止の可能性を最適化するのに役立てられる。
図8は、心外膜電極からのATPの試みに基づいて、エントレインメントまでの時間と回路内の時間遅延を決定するために心臓内測定及び広範囲形態分析を使用した一例を示す。この例では、2つの電極がリエントリー性頻脈のおよそ対向端に位置する。ペーシングが開始され、第3の刺激で、信号が遠位電極チャネル上に刺激をもたらしたことを示している。図3に関連して上述したように、この時点で、エントレインメントまでの時間を推定するために各種測定が可能である。更に、広範囲の形態分析では、利得する時間が重畳され、TCL及びPCL間の差によって予想されるよりも促進が少ないこと(図4で前述したように)が示される。それによって、エントレインメント時間が推定できる。更に、図8から読み取れるように、第4の刺激もリエントリー性頻脈をエントレインするが、タイミングを感知する刺激は281msから290msに延長している。広範囲形態では、刺激から広範囲の最小値までも9ms延長している。したがって、ペーシング電極と感知電極との間のどこかに、大抵は緩徐伝導領域に、9msの遅延がある。緩徐伝導領域は、リエントリー性頻脈の重要な局面に存在することが多い。(プログラム可能なことがある)一実施形態では、装置は、(広範囲形態分析又は少なくとも1つの追加電極をエビデンスとして)伝導遅延が高頻度駆動ペーシングから延長し続ける限り、この伝導遅延を感知し、ペーシングを継続し得る。装置は、発生する時間遅延を推定し、記録できる。
図9は、ATP治療を決定する一実施形態のフロー図を示す。ステップ1では、装置は、患者が頻脈を発症していない時に、各種電極までのベースライン伝導時間と一以上の電極からのペーシング形態を評価し、記録する。これらの測定値は、ATP治療が、追加の電極又は広範囲ペーシング形態分析からエントレインメントを決定できるかを決定する際の参考に使用される。
ステップ2では、装置は頻脈をモニタリングするようプログラミングされている。ステップ3では、装置は、患者が現在頻脈性不整脈を発症していることを決定する。頻脈の基準を決定するための基準は上述した。加えて、2つ以上の電極のタイミングの違い、及び、広範囲形態分析と局部活性との間のタイミングの違いを利用することで、頻脈性不整脈を特定し、数学的に説明するのに役立つことがある。加えて、これら特定の測定値は、頻脈性不整脈を特定して弁別するために記録し、使用できる。その後のアルゴリズムにおいて、装置は、1つまたは追加の電極におけるエントレインメントまでの時間を記録でき、特定の頻脈性不整脈に関して特定の電極におけるエントレインメントまでの時間を記録できる。
ステップ4では、装置は、新しく特定された頻脈性不整脈が以前に特定されているかを評価する。上述したように、これは時間差と形態分析とを比較することで決定できる。頻脈が以前に特定されていない場合、ステップ5に進み、頻拍周期長と電極間のタイミングの差に基づいて初期ATPアルゴリズムが決定される。例えば、エントレインメントを決定する性能は、感知された局部活性と電極間のペーシング時間遅延との間の時間差に関連する。装置は、どの電極がリエントリー回路の対向端に位置する可能性が最も高い電極かを決定できる。加えて、装置は、最後の(又は、最初の)局部活性から、又は、ベースラインタイミングの差に関連して、ATPを送出するようにプログラミングされてもよい。
元の頻脈が以前に特定されていた場合、ステップ4からステップ6に移行する。ステップ6では、第1のATPペーシングアルゴリズムを決定するために、以前に成功した及び不成功だったATPの試みが装置に取り込まれる。加えて、前述したように、この特定の頻脈に関する記録されたエントレインメントまでの時間は、元のリエントリー回路を促進する第1のペーシング刺激が、TCLと選択されたPCLとの間の差によってリエントリー回路を充分に促進するように、ペーシング早期を調整するために使用できる。このようにして、部分的促進は最小に抑えられる。事前の試みが第1の加速刺激で停止に失敗していた場合、頻脈を促進する第1の刺激は短くされてもよい。加えて、頻脈性不整脈の促進/停止を試みる第1の刺激が補足できなかった場合、局部の補足を促進するためにペーシング早期が調整されてもよい。ペーシング早期の調整は、より短いペーシング周期長を受け入れるように局部心筋を「プライミング」する方法として、ペーシング早期を徐々に増加させることでなされる。
ATPペーシングアルゴリズムに係わらず、ステップ5とステップ6は両方ともステップ7に移行し、プログラミングされたATPを送出する。遠位電極、広範囲分析、及び、誘発電位からの時間遅延は、局部捕捉の決定に使用できる。加えて、ペーシング刺激が心筋を捕捉したかを決定するために、復帰周期が使用できる。加えて、心筋を捕捉しなかった刺激は正確に特定でき、ATPペーシング手法を調整するのに使用できる。
図10は、更に、装置がステップ7でATPを送出すると起こり得る実施形態のフロー図を示す。ステップ8では、装置は、電極によって測定された、刺激のタイミングから局部捕捉までの広範囲形態分析と時間測定をモニタリング及び/又は実施する。エントレインメントが起こるまで、刺激波面時間が電極に直接到達しない限り、これらの測定時間はペーシングの早期分延長される。上述のように、この時間測定は、患者が頻脈性不整脈を発症する前に記録される。したがって、装置は、測定された早期信号が信号伝播から直接発生したか、元の頻脈のエントレインされた波面から発生したかを決定できる。ステップ9では、ATPの試み中、装置は、頻拍停止、頻脈性不整脈の著しい変化、又は、頻拍促進のエビデンスを継続的に評価する。これらの状況のいずれかに一致した場合、ステップ10のように装置は調律のペーシングと再評価を停止することがある。頻脈性不整脈の停止、変化、又は、促進は、広範囲形態分析、及び/又は、各種電極からの感知された信号のレート及び関係によってモニタリングされ得る。
ステップ11では、ATPが停止されると、装置は、復帰周期長を測定し、患者がまだ頻脈性不整脈を発症しているかを決定し、最後に実施されたペーシング手法が頻脈性不整脈の停止に成功したか、不成功であったかを仕分けする。不成功の場合、装置は、より強力になるようにペーシング周期長(PCL)を短くしたり、又は、装置にプログラミングされている設定によりペーシング部位を変える。
ステップ8に戻り、装置は、ステップ12のようにATPの試みが頻脈性不整脈のエントレインメントに成功したことのエビデンスを取得することがある。この時点で、装置は、特定された頻脈性不整脈のエントレインメントまでの時間を推定し、この頻脈性不整脈が再び特定された場合に、この測定を使用して治療の送出を試みる。一実施形態では、装置はステップ13に進み、装置が時間遅延の延長を測定する限り、装置はペーシング刺激を送出し続ける。時間遅延は、刺激の感知信号までの延長によって推定される(第2電極又は広範囲形態分析のいずれかによって)。装置が有意であると特定する延長の量はプログラミングで設定でき、調整可能である。しかし、多くの場合、一定の周期長の持続的ペーシングによって、不整脈回路の重要な局面が徐々に遅延し、最終的に頻脈が停止する。伝導時間が式7を充足している間、装置は広範囲形態又は遠位電極によって、不整脈回路を順方向に伝導しない第1の刺激を検知でき、この時点で装置はステップ9に遷移してもよい。
時間遅延が最小限であったり、又は、プログラミングで決定された時間量よりも少ないと、一実施形態では、装置は、ステップ14のように、TCLに測定された時間遅延量を加算した一以上の刺激を送出することがある。別の実施形態では、装置は、このプライミング刺激をTCL及び/又は時間遅延によって決定された間隔で送出することがあるが、必ずしもTCL又はTCLに時間遅延を加算した合計でなくともよい。このプライミング刺激は、ペーシング電極による不整脈回路へのアクセスを維持しながら、リエントリー回路の重要な局面に観察される間隔を延長する。一以上のプライミング刺激の送出後、装置は、より短いペーシング周期長のペーシング刺激を送出してもよく、これによって、頻脈を停止する可能性を向上させる。この間隔は、事前のペーシング刺激と同じペーシング周期長(PCL)であってもよく、又は、プログラム可能な機能又はアルゴリズム機能に基づいて調整されてもよい。
頻脈性不整脈がこの刺激で停止しない場合、装置は、ステップ13に再度遷移し、PCLでペーシングを継続してもよい。又は、装置は、ステップ15に移行し、装置はプライミング刺激後にPCLを短くしてもよい。あるいは、装置は、追加のプライミング刺激を送出したり、ペーシング部位を変更したり、又は、全てのペーシングを停止させることがある。この決定木は、TCLや以前の試みに基づいて調節できる。つまり、TCLが短いと、装置はより積極的にPCLを急速に短くすることがある。あるいは、頻脈性不整脈が頻拍促進又は細動を生じやすい場合、装置はPCLをよりゆっくりと短くしてもよい。ステップS13、S14、及びS15は、装置がその他の電極又は広範囲形態分析からの測定応答に基づいてATPを調節しながら、ATPを送出するように、並行して稼動する。更に、装置は、頻拍停止を示す信号中の変化を感知するか(ステップ9に移行)、又は、停止を特定する能力を失うことがあり、その場合、システムはステップ10に移行する。
ステップ10では、電極間のタイミングの関係が式7を充足しない、又は、広範囲形態分析が、ペーシング形態(漸進的融合)が基調となる頻脈が無い状態で分離されたペーシングの形態に一致することを示している。これは、頻脈形態がペーシング電極からのペーシング形態に類似しているか、又は、エントレインされた頻脈の入口部以と出口部位が接近している場合に、起こることがある。この状況では、装置は、頻脈がいつ停止又は促進したかを明確には判定できない。したがって、装置は、心臓とその調律を評価するために、ATPの送出を時々停止しなければならない。これらの状況では、装置はステップ16に移行してもよく、ATPはプロトコルによって駆動される。加えて、装置は、エントレインメントを得るのに充分なペーシング刺激を送出することができる。
一実施形態では、装置はTCLに近い一以上の刺激を送出し(「プライミング刺激」)、続いて、より短い周期長で一以上の刺激を送出することがある。あるいは、装置は、単純にATPを停止し(ステップ17に移行)、復帰周期(ペーシング後間隔)を測定してもよい。この間隔は、1)頻脈がエントレインメントされたことを確定し、2)エントレインメントまでの時間を決定するのに使用され得る。頻脈性不整脈をペーシングで停止するために頻脈に3回以上の試みを要する場合、結果の復帰周期長が測定され、いずれかの時間遅延がより短い周期長に関連付けられてもよい。一実施形態では、ペーシング中にエントレインメントが確定できない場合でも、時間遅延を利用したプライミング刺激は、頻拍停止を促進するために送出され得る。繰り返すが、エントレインメントまでの時間を使用して、第1の加速ペーシング刺激の部分的促進を最小に抑える初期ペーシング刺激を調整できる。
ATPを送出し、復帰間隔を測定した後で、装置はステップ2に戻り、頻脈性不整脈を評価してもよい。装置は、以前のATP手法が成功か不成功かを特定でき、この情報をATPアルゴリズムの指標として使用できる。
図11は、本発明の一実施形態に係わる抗頻拍ペーシング治療の送出に関する図式である。ペーシングチャネル電極によって感知された脱分極又は信号は、S1及びS2と表記される。遠位チャネル電極は、脱分極又は信号を感知している時に線で示される。ATPパルスは、第1のペーシング刺激はATP1、最後のペーシング刺激はATP9と表記される。第1と第2の感知信号間の時間間隔は、頻拍周期長(TCL)である。TCL、電極間のタイミング差、及び、広範囲形態(図示せず)が頻脈を特定するために使用できる(「頻脈識別子」)。感知信号は、頻脈の制御プロセッサに警告することができ、ATPペーシング手法を決定する。装置はATPパルスを送出し始める。この頻脈に関してエントレインメントまでの時間が以前に記録されている場合、装置は、合計した早期がエントレインメントまでの時間と等しくなるように初期ペーシング早期を調整することがある。そして、後続するペーシング刺激は、ペーシング刺激のペーシング早期(TCL−PCL)によって不整脈回路を完全に促進している。
図11では、第3のペーシング刺激が、遠位チャネル上に感知信号を引き起こしている。この時間が以前に記録された電極間の伝導時間よりも短いと想定すると、これは、頻脈がエントレインされたことを示唆し、頻脈がペーシング刺激によって早められていることをプロセッサに伝えることがある。エントレインメントまでの時間を推定するために、ペーシング早期は頻脈が早められるまで合計され得る。あるいは、第1のエントレインされた刺激とベースライン頻脈との間の、刺激から遠位チャネル上の感知信号の時間差は、エントレインメントまでの時間を推定するのに使用できる。図式では、4つ目のペーシング刺激で完全にエントレインメントされるが(ペーシング周期長に早められる)、遠位チャネル上で刺激から感知時間までに時間の延長がある。この延長は、心筋内での伝導遅延に起因し、時間遅延の推定に使用できる(TD1)。5つ目のATPペーシング刺激は、安定した時間遅延を示す。したがって、一実施形態では、装置は、TCLにTD1を加算した(又は、TCLの一部の割合にTD1を加算した)間隔で刺激を送出することで、「プライミング」刺激を送出する。また別の実施形態では、装置は、元の頻拍周期長又は頻拍周期長と実質的に同様の周期長で一以上のペーシング刺激を送出してもよい。
他の実施形態では、この「プライミング」刺激は、TCL、あるいは、TCL付近の一以上のペーシング刺激を送出することができる。そして、装置は、より短い間隔でペーシング刺激を送出する。この例では、頻脈は停止せず(ATP7からの信号が感知される)、伝導遅延は測定されない(間隔がPCLと等しい)。装置が伝導遅延を測定した場合には、装置は、同じPCLでATP治療を送出し続けてもよい。現在の実施形態では、装置は第2の「プライミング」刺激を送出し、続いて、より短い周期長のPCLを送出する(PCL2)。この例では、遠位チャネルの感知信号としては信号が感知されない(重要と思われる遅延量はプログラミングできる)ため、頻脈が停止したことを特定でき、ペーシングは調律を評価するために停止する。
測定された時間遅延は、伝導変化、又は、例えば、ペーシング電極付近などの不整脈回路以外の場所で回路が変化したことによって起こることがある。このシナリオでは、TCLにTD1を加算したプライミング刺激を送出すると、不整脈回路のエントレインメントの喪失がおこる。刺激と遠位チャネル上の感知信号との間の時間間隔は特定に使用でき、これを補正するために、ATPペーシングアルゴリズムが調整できる。図11では、信号の感知は、ATP刺激と同時に起こることがある。これが発生すると、混信によってこの信号の測定が妨げられることがある。したがって、上述したように、2つ以上の感知チャネルからの感知は、ATP治療中に頻脈性不整脈をモニタリングするのに役立つことがある。したがって、頻脈性不整脈のエントレインメント、伝導遅延、及び変化(停止又は促進など)を評価するために、複数の感知電極が組み合わされて(そして、広範囲形態分析と組み合わせて)使用され得る。したがって、一実施形態では、一部位からの感知で発生することがある感知問題(ブランク)を避けるため、2つ以上の電極を有するカテーテルが、2つ以上の部位から心筋脱分極を感知する。
本発明から各種改変や代替形式が容易に作成されるが、それらの特定の例を図面に示し、本明細書に詳細に記載した。しかしながら、本発明は開示された特定の形式や方法に制限されず、それとは対象的に、本発明は添付請求項の範囲内にある全ての改変、同等物、及び代替物を網羅する。

Claims (6)

  1. 患者の心臓の頻脈イベントを停止するための治療を送出するシステムであって、
    前記患者の体内に埋め込まれるよう構成され、プロセッサを備えたペーシング装置と、
    前記プロセッサに結合され、前記患者の体内に埋め込まれる規格の複数の電極と、を含み、前記電極が、一以上のペーシング電極と一以上のモニタリング電極とを含んでおり、
    前記プロセッサは、
    前記心臓からの心臓信号を感知し、前記感知された心臓信号に応じて、頻脈イベントを検知し、
    頻拍停止を促すために一以上のペーシングパルスを前記心臓に送出し、
    前記一以上のペーシングパルスの送出中に心臓信号をモニタリングし、
    プロセッサによって、ペーシングパルスが前記頻脈を早めなかった、ペーシングパルスに応じて頻脈を早める/エントレインメント、リエントリー回路内での頻拍停止/ブロック、一以上のペーシング周期長より速い頻拍促進、又は、頻脈が早まった又は停止の確定的でないエビデンス、のうち少なくとも1つを特定するために、前記ペーシングパルスの送出中に心臓信号をモニタリングし、及び、
    前記モニタリングされた心臓信号に応じて、前記ペーシングパルスの送出を調節するように構成され、
    前記プロセッサは、リエントリー性頻脈のモニタリングを補助するために、リエントリー性頻脈を発症していない時の前記一以上のペーシング電極から前記一以上のモニタリング電極までの一以上の伝導間隔、及び/又は、リエントリー性頻脈を発症していない時の広範囲ペーシング形態を記録するよう更に構成され
    前記プロセッサは、ペーシングパルスによって前記頻脈がいつ早まった又はエントレインされたかを推定し、前記一以上のペーシング周期長と実質的に同様の周期長でペーシングパルスを送出し続け、前記一以上のペーシング電極と前記少なくとも1つの感知電極との間の間隔変化を測定することで、又は、広範囲形態分析を使用して、前記リエントリー回路内外の伝導遅延に対応する前記時間遅延を測定するよう更に構成された、システム。
  2. 前記プロセッサは、前記一以上のペーシング電極以外の一以上の電極、広範囲形態分析、又は、前記一以上のペーシング電極とは異なる一以上の電極を使用した心臓信号のモニタリングと広範囲形態分析との両方の組み合わせを用いて、心臓信号をモニタリングするよう更に構成された、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記プロセッサは、2つの連続するパルスの間、前記測定された時間遅延の量が特定された閾値内で変化しなくなるまで、前記同じ又は同様のペーシング周期長でペーシングパルスを送出し続けるよう更に構成された、請求項1または2に記載のシステム。
  4. 前記プロセッサは、前記ペーシングパルスの送出が、前記一以上のペーシング電極を介して前記頻脈を早める/エントレインするのに使用される前記一以上のペーシング周期長より長い一以上のプライミングパルス間隔の一以上のプライミングパルスを送出することと、その後、前記一以上のプライミングペーシングパルス間隔よりも短い一以上の加速パルス間隔を持つ少なくとも1つの加速パルスを、前記一以上の電極を介して、前記心臓に送出することとを含むように調節するよう更に構成される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
  5. 前記プロセッサは、前記測定された時間遅延及び前記頻拍周期長によって、前記プライミングパルスの周期長を少なくとも部分的に決定するよう更に構成される、請求項4に記載のシステム。
  6. 前記プロセッサが前記頻脈の停止を特定せず、頻拍停止を特定する能力を失っていない場合、前記プロセッサは、より長いパルス間隔を持つ少なくとも1つのプライミングパルスの送出と、より短いパルス間隔の少なくとも1つの加速パルスの送出を交互に継続するよう更に構成され、前記測定された時間遅延の量が、連続する加速ペーシングパルスの間特定の閾値内で変化しないように、各反復の度に少なくとも1つの加速パルス間隔が短縮される、請求項5に記載のシステム。
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