JP6801879B2 - フラックス用揺変剤並びにこれを含むフラックス及びソルダペースト - Google Patents

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Description

本発明は、電子部品のハンダ付けに用いられるフラックスやソルダペーストに混合されそれらの熱だれを抑制する揺変剤、並びにこれを含むフラックス及びソルダペーストに関する。
プリント基板と集積回路、抵抗、及びコンデンサのような電子部品とのハンダ付けの工業的手法として、フロー方式とリフロー方式とが知られている。フロー方式は、プリント基板の貫通孔に、電子部品のリードピンを挿し込み、プリント基板の下面を溶融したハンダに浸すことによってハンダ付けする手法である。一方、リフロー方式は、樹脂成分、溶剤成分、活性剤、揺変剤、及び添加剤を含むフラックスと、ハンダ粉末とが混合されたソルダペーストを、プリント基板上に印刷し、その上に電子部品を載せてから、熱を加えてハンダを溶融することによってハンダ付けする手法である。電子部品の小型化・高密度実装化に伴って、リードピンを有しない電子部品を用いた表面実装技術が採用されるようになったため、ハンダ付けにはリフロー方式が主に採用されている。
リフロー方式において、ソルダペーストをプリント基板に印刷した後、リフロー炉内でプリヒートと呼ばれる予備加熱が行われる。このプリヒートは、通常150〜170℃で行われる。プリヒートによって、溶剤成分を気化させたり、フラックスの活性を促進したりする。プリヒートの後、メインヒートと呼ばれる本加熱が210〜260℃で行われる。プリヒートによって、メインヒートでプリント基板や電子部品へ加わる熱衝撃が緩和される。
プリヒートにおいては、印刷されたソルダペーストが軟化し、プリント基板上の電子部品の下やそれの周囲に流れる現象、所謂熱だれを生じることがある。熱だれは、メインヒートにおいてハンダボールやハンダブリッジを誘発するため、ハンダ付け不良の原因となっている。この熱だれを抑制するのに、加熱だれ抑制成分であるワックス状生成物を、揺変剤として含んでいるフラックスと、ハンダ粉末とを混和したソルダペースト(クリームハンダ)が、特許文献1に記載されている。このワックス状生成物は、高級脂肪族モノカルボン酸、多塩基酸、及びジアミンを脱水反応することによって得られる。
鉛を含むハンダは、人体に有害であり自然環境を汚染するため、鉛を含まないハンダを含んでいる鉛フリーソルダペーストが、多く採用されている。特許文献2に、加熱だれ抑制成分であるポリアミドを含む添加剤が添加されたフラックスを用いて調製された鉛フリーソルダペーストが、開示されている。この加熱だれ抑制成分は、炭素数14以上の多塩基酸とジアミンとの縮合反応によって得られた生成物である。またフラックスの溶媒としてエチレンビスステアリルアマイドを用いている。鉛フリーソルダペーストのプリヒートは、例えば190℃という高温条件で行われる。そのため鉛フリーソルダペーストは、より一層熱だれを生じ易い。
加熱だれ抑制成分は、常温で粉末状や小塊状をなしているため、これをフラックスに均一に分散させるのに、高温で長時間加熱処理し、これを溶融させながら混合する必要がある。この高温かつ長時間の加熱処理の所為で、加熱だれ抑制成分が劣化したり、フラックスに含まれる樹脂成分が分解・変質し、フラックスが着色したりする熱ダメージを生じる。一方、この熱ダメージを回避するのに、加熱処理の時間を短縮したり、温度を下げたりすると、加熱だれ抑制成分の分散不良を生じてしまう。
特開平7−75894号公報 特開2011−136365号公報
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、加熱だれ抑制成分を、均一にかつ速やかに分散させることにより、フラックスやソルダペーストに添加したときフラックス樹脂や加熱だれ抑制成分の熱ダメージを生じさせず、またフラックスやソルダペーストの熱だれを引き起こさない揺変剤、並びにこれを含むフラックス及びソルダペーストを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた、本発明のフラックス用揺変剤は、飽和脂肪族モノカルボン酸類、ヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸類、及び多塩基酸類の少なくとも何れかの酸類と、ジアミン類及びテトラアミン類の少なくとも何れかのアミン類との縮合物であり、粉体状をなしているアマイドワックスの粉砕物と、分子量を最大で10000とする樹脂と、沸点を少なくとも180℃とする分散媒とが、混合されて含まれており、前記アマイドワックスの粉砕物が前記樹脂で被覆されていて、前記樹脂及び前記分散媒に分散しているものである。
フラックス用揺変剤は、前記アマイドワックスの粉砕物が、炭素数12〜22の前記飽和脂肪族モノカルボン酸類及び/又は炭素数12〜22の前記ヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸類をモル比で合計aモル(1≦a≦3)と、炭素数2〜12の前記多塩基酸類をモル比でbモル(0<b≦5)と、炭素数2〜14の前記ジアミン類及び/又は炭素数2〜14の前記テトラアミン類をモル比で合計cモル(1≦c≦6)とする前記縮合物であり、1〜40質量%の前記アマイドワックスと、20〜60質量%の前記樹脂と、20〜60質量%の前記分散媒とが、含まれていることが好ましい。また、揺変剤の特性を損なわない限り、揺変剤は、前記アマイドワックスに、前記多塩基酸類を含まないで縮合された別なアマイドワックス(b=0)が含まれていてもよい。
フラックス用揺変剤は、例えば前記樹脂がロジン系樹脂であり、前記分散媒がグリコールエーテル類であるものが挙げられる。
本発明のフラックスは、上記のフラックス用揺変剤、フラックス樹脂、及び溶剤が、含まれており、前記フラックス用揺変剤が前記フラックス樹脂及び前記溶剤に分散しているものである。
本発明のソルダペーストは、上記のフラックス、及びハンダが、含まれているものである。
本発明のフラックス用揺変剤の製造方法は、飽和脂肪族モノカルボン酸類、ヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸類、及び多塩基酸類の少なくとも何れかの酸類と、ジアミン類及びテトラアミン類の少なくとも何れかのアミン類とを縮合させてアマイドワックスを合成する工程と、前記アマイドワックスを粉体状になるように粉砕して粉砕物にする工程と、前記アマイドワックス、分子量を最大で10000とする樹脂、及び沸点を少なくとも180℃とする分散媒を、混合して前記アマイドワックスの前記粉砕物を前記樹脂で被覆しつつ前記樹脂及び前記分散媒に分散させる工程とを、有する。
本発明のフラックス用揺変剤(以下、単に揺変剤という)は、加熱だれ抑制成分であるアマイドワックスが、樹脂と分散媒とに、均一に分散されているものであるので、フラックスやソルダペーストにこの揺変剤を添加する際の加熱処理時間を短縮できる。さらに、加熱処理時間の短縮によって、フラックス樹脂等の熱ダメージを抑制することができる。
本発明のフラックス及びソルダペーストは、上記の揺変剤を含んでいるので、リフロー炉内でのプリヒートによって熱だれを生じない。
本発明の揺変剤の製造方法によれば、少ない工程で速やかにかつ簡便に、アマイドワックスを揺変剤に分散させることができる。
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの形態に限定されるものではない。
本発明の揺変剤は、アマイドワックスと、樹脂と、分散媒とが、混合されて含まれているものである。
アマイドワックスは、(a)飽和脂肪族モノカルボン酸類及びヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸類、並びに(b)多塩基酸類の少なくとも何れかの酸類と、(c)ジアミン類及びテトラアミン類の少なくとも何れかのアミン類とが、(a):(b):(c)=1〜3:0〜5:1〜6のモル比で、脱水縮合した縮合物である。このアマイドワックスは、加熱だれ抑制成分である。
飽和脂肪族モノカルボン酸類は、炭素数12〜22のものであることが好ましい。具体的に、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられる。またヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸類は、炭素数12〜22のものであることが好ましい。具体的に、12−ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸が挙げられる。これらの飽和脂肪族モノカルボン酸類及びヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸類は単独で使用してもよく、複数を使用してもよい。
多塩基酸類は、炭素数2〜12の二塩基酸以上のカルボン酸であることが好ましく、ジカルボン酸であることがより好ましい。このようなジカルボン酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、及び1,12−ドデカンジカルボン酸のような脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸;1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、及びシクロヘキシルコハク酸のような脂環式ジカルボン酸が挙げられる。これらの多塩基酸類は単独で使用してもよく、複数を使用してもよい。
ジアミン類は、炭素数2〜14のものであることが好ましい。具体的に、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、トリレンジアミン、パラキシレンジアミン、フェニレンジアミン、イソホロンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4−ジアミノジフェニルメタンが挙げられる。またテトラアミン類は、炭素数2〜14のものであることが好ましい。具体的に、ブタン−1,1,4,4−テトラアミン、ピリミジン−2,4,5,6−テトラアミンが挙げられる。これらのジアミン類及びテトラアミン類は単独で使用してもよく、複数を使用してもよい。
ジアミン類及びテトラアミン類の量は、飽和脂肪族モノカルボン酸又はヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸のモル数と、多塩基酸類のモル数とに従って、カルボキシ基の総数とアミノ基の総数とが当量となるように、調整される。例えば、脂肪族モノカルボン酸2モルに対して、多塩基酸類である脂肪族ジカルボン酸nモル(n=0〜5)である場合、ジアミン類を(n+1)モルとすると、酸とアミンとが当量となる。
このアマイドワックスは、異なる分子量を有する複数の化合物の混合物として得られる。アマイドワックスは、下記化学式(I)
A−C−(B−C)−A ・・・(I)
(式(I)中、Aは飽和脂肪族モノカルボン酸及び/又はヒドロキシ基含有飽和脂肪族モノカルボン酸の脱水酸基残基、Bは多塩基酸の脱水酸基残基、Cはジアミン及び/又はテトラアミンの脱水素残基、mは0≦m≦5である)で示されるものであることが、好ましい。なおアマイドワックスは、単一の化合物であってもよく、混合物であってもよい。
揺変剤に含まれる樹脂の分子量は、10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましく、3000以下であることがより一層好ましい。10000以下の分子量を有する樹脂を用いることにより、揺変剤を調製する際の加熱時に、適度に軟化して粉体状又は小塊状のアマイドワックスが樹脂によって均一に被覆される。それにより、アマイドワックスを揺変剤中に均一に分散させることができる。一方、樹脂の分子量が10000を超えると、樹脂の粘度が高くなり過ぎ、アマイドワックスの表面が部分的にしか樹脂に被覆されないため、揺変剤中に均一に分散し難くなる。なお、ここでいう分子量とは、重量平均分子量をいう。このような分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によって測定され、ポリスチレン換算で求められるものである。
揺変剤をハンダ付けに用いることの観点から、このような樹脂としてロジン系樹脂が好ましい。ロジン系樹脂は、170〜174℃の融点を有しているので、150〜190℃で行われるプリヒートで活性化し、ハンダ付けすべき金属表面の酸化膜を除去することができる。またロジン系樹脂は常温で不活性なので、ハンダ付け後の洗浄を要しない。ロジン系樹脂として、具体的にガムロジン、トールロジン、ウッドロジン、及びこれらの誘導体が挙げられる。これらの誘導体としては、重合ロジン、アクリル化ロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、ホルミル化ロジン、ロジンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、及びロジン変性アルキド樹脂等が挙げられる。
ロジン系樹脂として具体的に、ガムロジン、トールロジン、ウッドロジン、及びこれらの誘導体が挙げられる。これらの誘導体としては、重合ロジン、アクリル化ロジン、水素添加ロジン、不均化ロジン、ホルミル化ロジン、ロジンエステル、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、及びロジン変性アルキド樹脂が挙げられる。
分子量10000以下の樹脂として、ロジン系樹脂の他、テルペン系樹脂、石油系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、及びエステル系樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、混合されていてもよい。
テルペン樹脂として、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、及び水添テルペンフェノール樹脂が挙げられる。
石油系樹脂としては、脂肪族又は芳香族石油樹脂、水添石油樹脂、変性石油樹脂、脂環族石油樹脂、及びクマロン・インデン石油樹脂が挙げられる。
アクリル系樹脂として、重合性不飽和基を有するモノマー、例えば(メタ)アクリル酸、及びそのエステル、クロトン酸、イタコン酸、(無水)マレイン酸、及びそのエステル、並びに(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、塩化ビニル、及び酢酸ビニルを、過酸化物等の触媒の存在下、塊状重合法、液状重合法、懸濁重合法、又は乳化重合法でラジカル重合により重合されたものが挙げられる。
エポキシ系樹脂として、ポリエポキシド、芳香族系ポリエポキシ化合物、多価フェノールのグリシジルエーテル体、多価フェノールのグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミン、脂環族系ポリエポキシ化合物、脂肪族系ポリエポキシ化合物、及び多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体が挙げられる。
エステル系樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮合反応により形成されたものである。多価カルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、アゼライン酸、ドデカジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。また、多価アルコールとして、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカンジオール、2−エチル−ブチル−1−プロパンジオール、及びビスフェノールAが挙げられる。
分散媒の沸点は、180℃以上であることが好ましく、220℃以上であることがより好ましく、260℃以上であることがより一層好ましい。分散媒の沸点が180℃以上であることにより、揺変剤を調製する際の加熱温度で揮発しないため、樹脂に被覆されたアマイドワックスが分散媒中に偏在することなく分散する。その結果、揺変剤中にアマイドワックスを均一に分散させることができる。しかも、プリント基板用のソルダペーストに含まれている共晶ハンダの融点(約180℃)以上の沸点を有していることにより、ハンダ付け時の温度で、分散媒が即座に揮発せず、この揺変剤を含むソルダペースト中にアマイドワックスを均一に分散させることができる。
一方沸点が180℃未満であると、プリヒートやハンダ付け時の加熱によって分散媒が容易に揮発してしまい、アマイドワックスがソルダペースト中に均一に分散され難くなってしまう。
沸点が180℃以上の分散媒として、モノオール及び/又はポリオールが好ましい。具体的に、メチルジグリコール(沸点194℃)、メチルトリグリコール(同248℃)、メチルポリグリコール(同295℃)、エチレングリコール(同197℃)、ジエチレングリコール(同244℃)、トリエチレングリコール(同287℃)、プロピレングリコール(同188℃)、ジプロピレングリコール(同232℃)、イソプロピルジグリコール(同207℃)、ブチルジグリコール(同255℃)、ブチルトリグリコール(同271℃)、イソブチルジグリコール(同220℃)、ヘキシルグリコール(同208℃)、ヘキシルジグリコール(同260℃)、ヘキシレングリコール(同197℃)、1,3−ブタンジオール(同208℃)、1,5−ペンタンジオール(同242℃)、1−フェノキシ−2−プロパノール(同243℃)、2−エチルヘキシルグリコール(同229℃)、2−エチルヘキシルジグリコール(同272℃)、フェニルグリコール(同245℃)、フェニルジグリコール(同283℃)、ベンジルグリコール(同256℃)、ベンジルジグリコール(同302℃)、メチルプロピレンジグリコール(同187℃)、メチルプロピレントリグリコール(同242℃)、プロピルプロピレンジグリコール(同212℃)、ブチルプロピレンジグリコール(同212℃)、ブチルプロピレントリグリコール(同274℃)、フェニルプロピレングリコール(同243℃)、ジメチルトリグリコール(同216℃)、ジエチルジグリコール(同189℃)、ジブチルジグリコール(同255℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(同194℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(同248℃)、プロピレングリコールフェニルエーテル(同243℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(同247℃)、テトラエチレングリコール(同328℃)、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(同244℃)、α−テルピネオール(同217℃)が挙げられる。
本発明の揺変剤は、アマイドワックスと樹脂と分散媒とが予め混合されて含まれているものであるので、揺変剤をフラックスに加える際、アマイドワックスが速やかにかつスムーズに分散する。それによりフラックスを調製する加熱時間を短縮することができる。その結果、揺変剤やフラックスに含まれる樹脂組成物が分解したり変質したりする熱ダメージを生じない。
本発明の揺変剤は、例えば次のようにして調製される。
炭素数12〜22の飽和脂肪族モノカルボン酸及び/又は炭素数12〜22のヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸をモル比で合計1〜3モル当量、好ましくは2〜3モル当量と、多塩基酸類である炭素数2〜12の脂肪族ジカルボン酸をモル比で1〜5モル当量、好ましくは2〜3モル当量と、ジアミン類である炭素数2〜14の脂肪族ジアミン及び/又はテトラアミン類である炭素数2〜14の脂肪族テトラアミンをモル比で合計1〜6モル当量、好ましくは3〜4モル当量とを、無溶媒で、160〜300℃に加熱しながら2〜10時間、脱水縮合反応させる。それによって、飽和脂肪族モノカルボン酸及び/又はヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸と、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジアミン及び/又は脂肪族テトラアミンとが脱水縮合して生成した脱水縮合物であるアマイドワックスが得られる。このアマイドワックスを粉砕機に投入し、平均粒子径20μm以下の粉体状又は小塊状になるように粉砕する。
次に、アマイドワックスの1〜40質量%、好ましくは10〜30質量%と、10000以下の分子量を有する樹脂の20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%と、180℃以上の沸点を有する分散媒の20〜60質量%、好ましくは30〜50質量%とを、混合する。揺変剤を含むフラックスがハンダ付けに用いられる場合、樹脂としてロジン系樹脂が好ましい。また分散媒としてグリコールエーテル類が好ましい。この混合物を90〜110℃に加熱することにより、アマイドワックスと樹脂とを軟化させる。この温度を保ちつつ1〜2時間加熱分散し、冷却することにより揺変剤を得る。得られる揺変剤は淡黄色〜褐色を呈した粘稠性を有するペースト状である。
揺変剤の本来の物性を損なわない限り、上記した化合物以外に、芳香族モノカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアミン類、及び/又は芳香族テトラアミン類が、揺変剤に含まれていてもよい。またアマイドワックスの脱水縮合物は、一種類でもよく、複数種類の混合物あってもよい。さらに揺変剤の特性を損なわない限り、高沸点溶剤が揺変剤に含まれていてもよい。
また、アマイドワックスの熱安定性を高めるのに、アマイドワックス合成時に酸化防止剤を加えることも効果的である。この酸化防止剤は、アマイドワックス成分との相溶性が良くなければならない。その理由として、酸化防止剤は、アマイドワックス成分の熱安定性を高めるもので、分離してはその目的を達成しない。酸化防止剤としてはフェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤が挙げられる。
より具体的な酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤として、ブチル化ヒドロキシトルエン、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−β−(4'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、トコフェロール、2,4,ビス(オクチルチオメチル)−6−t−メチルフェノール、2,4−ビス[(ドデシルチオ)メチル]−6−メチルフェノール、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−メチレンビス(2,6一ジ−t−ブチルフェノール)、4,4'−ブチリデンビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、1,1−ビス(2'−メチル−4'−ヒドロキシ−5'−t−ブチル−フェニル)ブタン、4,4'−チオビス(6−t−ブチル−m−クレゾール)、4,4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォン酸モノエチルエステルカルシウム塩、ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、トリエチレングリコールビス−3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、2,2'−オキサミドビス〔エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2'−5エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、N,N'−1,3−プロパンジイルビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン)、2−t−ブチル−6-(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メチレン−3−(3',5)ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート〕メタン、2,2'−メチレンビス〔6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール〕、ビス〔3,3−ビス(4'−ヒドロキシ−3'−t−ブチルフェニル)ブタン酸〕グリコールエステル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス〔2−(1,1−ジメチルエチル)−6−〔〔3−(1,1−ジメチルエチル)−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル〕メチル〕−4−メチルフェニル〕エステル、N,N'−ビス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル}ヒドラジン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4'−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、1,3,5−トリス(3',5−ジ−t−ブチル−4'−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−{4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ}フェノール、1,3,5−トリス(2−プロペニル)1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2−〔4,6−ジ(2,4−キシリル)−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−5−オクチルオキシフェノール、2,2−メチレンビス(4−メチル6−ノニルフェノール)と2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−ノニル−5−メチルベンジル)−P−クレゾールとの混合物、4−メチルフェノールとイソブチレンとジシクロペンタジエンとの反応生成物、及び2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートが挙げられる。
フォスファイト系酸化防止剤として、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリス(ミックスド,モノ及びジノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルフォスファイト)、4,4'−イソプロピリデンジフェノールアルキル(C12〜C15)フォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシルフォスファイト)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルフォスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタンとジフェニルフォスファイトとの混合物、4,4'−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニルフォスファイト)、トリス(シクロヘキシルフェニル)フォスファイト、2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)フォスファイト、トリス−[2−(2,4,8,10−テトラブチル−5,7−ジオキサ−6−ホスホ−ジベンゾ−{a,c}シクロヘプテン−6−イル−オキシ)エチル]アミン、ビス−[2−メチル−4,6−ビス−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]エチルフォスファイト、3,9−ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノキシ}−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、(三塩化リンとビフェニール)のフリーデルクラフツ付加物と4,6−ジ−t−ブチル−m−クレゾ−ルとの縮合により合成されるビフェニールを有する4,6−ジ−t−ブチル−m−クレジルホスホナイト縮合物、3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン、2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−エチルヘキシロキシ)−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、及びカルベトキシメチルジエチルフオスフォネートが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤として、3,3'−チオジプロピオン酸ジラウリル、3,3'−チオジプロピオン酸ジミリスチル、3,3'−チオジプロピオン酸ジステアリル、ジオクタデシルジサルファイドが挙げられる。
アマイドワックス等との相溶性に優れる酸化防止剤として、フォスファイト系酸化防止剤が好ましく、なかでも、トリス(ミックスド,モノ及びジノニルフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、3,9−ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノキシ}−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロポキシ−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、及び/又は3,9−ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカンがより好ましい。
これらの酸化防止剤は、アマイドワックスの合成後に一度で添加してもよく、それの合成前後に分けて添加してもよい。一度に添加する場合、99.98〜95質量%のアマイドワックスに、0.02〜5質量%の酸化防止剤を添加して混合することができる。分けて添加する場合、アマイドワックスの合成前に、例えば多塩基酸類及びジアミン類に、0.01〜1質量%の酸化防止剤を添加してアマイドワックスを合成し、得られたアマイドワックスに0.01〜4.99質量%の酸化防止剤を添加することが好ましい。分けて添加する場合であっても一度に添加する場合と同様に、アマイドワックスの99.98〜95質量%に相溶している酸化防止剤が、総量で0.02〜5質量%であることが好ましい。
本発明のフラックスは、上記の揺変剤と、フラックス樹脂と、溶剤とを、少なくとも含んでいる。このフラックス樹脂として、揺変剤に含まれる樹脂として挙げた上記の樹脂が挙げられる。また上記の樹脂に代えて、又は加えて、ε−カプロラクタム、γ−ラクタム、及びδ−ラクタムのような環状アミドが重合又は共重合したポリアミドを挙げることができる。ポリアミドが含まれていることにより、フラックスの耐熱性が向上する。
フラックスに含まれる溶剤として、揺変剤に含まれる分散媒として挙げた上記のモノオール及び/又はポリオールが挙げられる。フラックス樹脂及び溶剤は、揺変剤に含まれる樹脂及び分散媒と、夫々同種であるものが好ましい。それによって、揺変剤とフラックスとの相溶性が良好となるので、揺変剤に含まれるアマイドワックスが、フラックス中に均一に、かつ速やかに分散する。
揺変剤の含有量は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることがより一層好ましい。揺変剤が5質量%未満であると、アマイドワックスの量が不足し、ソルダペーストの熱だれを抑止することができない。一方揺変剤が50質量%を超えると、アマイドワックスの含有量が過多となる。そのため、フラックス調製時に加熱溶融させた後の冷却によって、アマイドワックスが小塊状に析出してしまい、フラックス中への均一な分散が妨げられてしまう。
また、フラックス樹脂の含有量は、25〜65質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましく、35〜55質量%であることがより一層好ましい。さらに溶剤は、20〜50質量%であることが好ましく、20〜45質量%であることがより好ましく、25〜45質量%であることがより一層好ましい。
フラックスに、活性剤が含まれていてもよい。それにより、銅のようなハンダ付けすべき金属の表面を覆っている酸化膜が速やかに除去されるので、ソルダペーストに含まれるハンダと金属の表面との濡れ性が向上し、確実にハンダ付けすることができる。その結果、ハンダブリッジやハンダボールのようなハンダ付け不良を防止することができる。活性剤として、例えば、ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミン臭化水素酸塩、及びモノエタノールアミン臭化水素酸塩のような有機アミンのハロゲン化水素酸塩;マロン酸、コハク酸、マレイン酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、及びセバシン酸のような有機酸、特にジカルボン酸;クエン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸、及び1,2−ヒドロキシオレイン酸のようなヒドロキシ脂肪酸;テトラブロモメタン、1,1,2,2−テトラブロモブタン、1,2−ジブロモ−2−ブテン、2,3−ジボロモ−1−プロパノール、1,2−ジボロモ−2,3−ブタンジオール、トランス−2,3−ジボロモ−2−ブテン−1,4−ジオール、2,2−ビス(ブロモメチル)−1,3−プロパンジオールのような有機ハロゲン化物が挙げられる。
活性剤の含有量は、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。0.1質量%未満であると、十分な効果が得られない。5質量%を超えると、ハンダ付けの後に洗浄を要するばかりか、洗浄によっても除去しきれなかった活性剤の所為で、ハンダや金属表面が腐食して電気的接合が寸断されてしまう。
フラックスは、揺変剤と、フラックス樹脂と、溶剤と、必要に応じて活性剤とを、混合し、80〜120℃に加熱しながら1〜3時間、撹拌することにより、調製することができる。加熱温度及び撹拌時間は、フラックスに含まれる各成分の比や、揺変剤の平均粒子径のような条件によって適宜設定される。得られるフラックスは、淡黄色〜褐色のペースト状である。
フラックスは、後述するように、ハンダ粉末が混合されることによって、ソルダペーストを調製するのに使用される。また、糸ハンダの中心軸に沿って埋め込まれたり、ハンダ付けすべき金属表面に塗布や印刷によって付されたりして使用される。
本発明のソルダペーストは、上記のフラックスと、ハンダとを含んでいるものである。それにより、加熱だれ抑制成分であるアマイドワックスを含んだ揺変剤を、ソルダペーストに分散させることができる。
ハンダは、1〜20μmの平均粒子径を有するハンダ粉末であることが好ましい。ハンダ粉末として、共晶ハンダのようなSn−Pb系ハンダ粉末;Sn−Cu系、Sn−Ag系、Sn−Zn系、及びSn−Ag−Cu系のような鉛フリーハンダ粉末を挙げることができる。本発明のソルダペーストは、加熱だれ抑制成分であるアマイドワックスが均一に分散されているので、高温条件のプリヒートを要する鉛フリーハンダ粉末を含んでいても、熱だれを生じない。
本発明のソルダペーストは、上記のフラックスにハンダ粉末を投入し、撹拌、混合することにより調製される。ソルダペースト中、ハンダ粉末は65〜95質量%であることが好ましく、80〜95質量%であることがより好ましい。ハンダ粉末が65質量%未満であると、ソルダペースト中のハンダ粉末の含有量が過少となり、基板上の限られた面積内で確りとハンダ付けすることができない。一方、95質量%を超えると、ハンダ粉末の含有量が過多となるので、ペーストが形成されず、取扱いが困難となってしまう。
ソルダペーストは、リフロー方式によるハンダ付けに好適に使用される。ソルダペーストは、プリント基板に配置された金属配線上のハンダ付けすべき位置に、印刷によって付される。印刷は、スクリーン印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、及び/又はフレキソ印刷によって行うことができる。
ソルダペースト上に、金属配線に電気的接続される電子部品が、載置される。このプリント基板が、リフロー炉内に投入される。Sn−Pb系ハンダ粉末を含むソルダペーストの場合、リフロー炉内で、150〜170℃で60〜120秒のプリヒートが行われた後、180〜185℃で30〜50秒のメインヒートが行われる。一方、鉛フリーハンダ粉末を含むソルダペーストの場合、プリヒート及びメインヒートは夫々、170〜190℃で60〜120秒、及び210〜260℃で30〜50秒である。それにより、ハンダ粉末が溶融し、金属配線と電子部品とが、通電可能に電気的接合される。その後冷却され、必要に応じて洗浄が行われる。
ソルダペーストの使用方法としてリフロー方式を挙げたが、ハンダ槽内で溶融させたソルダペーストに、プリント基板の一方の面を浸すことによりハンダ付けを行うフロー方式に使用してもよく、ヘラですくい取ってハンダ付けすべき箇所に塗り、電子部品を載置した後、ハンダごてで、ソルダペーストを溶融させてハンダ付けを行う手付けに使用してもよい。
本発明の揺変剤は、導電性塗料及び導電性接着剤のように金属粉末を多く含む導電性ペーストに混合されて使用されてもよい。導電性ペーストは、金、銀、銅、白金、及びパラジウムのような0.01〜10μmの平均粒子径を有する金属粉末が、ペースト樹脂と、溶媒とに分散されているものである。導電性ペーストは、樹脂フィルムのような対象物に塗布され、例えば150〜200℃の高温で焼結されることにより対象物を導電性物質でコーティングすることができる。それにより、例えば、フレキシブルプリント配線板や、フィルムアンテナを製造する。本発明の揺変剤によれば、高温の焼結であっても、導電性ペーストの熱だれを引き起こさない。
(揺変剤の調製)
本発明を適用する揺変剤を調製した調製例1〜4及びこの揺変剤を含む実施例1〜4のフラックス、並びに本発明を適用外の揺変剤を調製した比較調製例1〜5及びこの揺変剤を含む比較例1〜5のフラックスを、夫々示す。
(調製例1)アマイドワックスと樹脂と分散媒とを含有した揺変剤の調製
攪拌機、温度計、分水器を備えた反応装置に、(a)ヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸である12−ヒドロキシステアリン酸1000.0質量部と、(b)脂肪族ジカルボン酸であるセバシン酸1010.0質量部とを加え、80〜100℃に加温して12−ヒドロキシステアリン酸を溶解させた。そこへ、(c)ジアミンであるヘキサメチレンジアミン780.5質量部を加え、窒素雰囲気下、210〜220℃で3〜5時間、脱水しながら縮合反応を行ってアミド化させ、酸価3.2、アミン価2.4のアマイドワックスを得た(モル比で(a):(b):(c)=2モル:2.7モル:3.3モル)。得られたアマイドワックスを、粉砕機に投入して平均粒子径20μm以下に粉砕した。次に、このアマイドワックスの20質量%、ロジン系樹脂であるパインクリスタルKE−604(荒川化学工業株式会社製、分子量350)の40質量%、及びヘキシルジグリコールの40質量%を混合し、90〜110℃に加熱しながら1〜2時間加熱分散し、その後冷却した。それにより調製例1の揺変剤を得た。
(調製例2)アマイドワックスと樹脂と分散媒とを含有した揺変剤の調製
調製例1のヘキサメチレンジアミンに代えて、(c)メタキシレンジアミン915.1質量部を用いたこと以外は、調製例1と同様にして、酸価4.2、アミン価3.6のアマイドワックスを得た(モル比で(a):(b):(c)=2モル:2.7モル:3.3モル)。得られたアマイドワックスを、粉砕機に投入して平均粒子径20μm以下に粉砕した。次に、このアマイドワックスの20質量%、ロジン系樹脂であるパインクリスタルKE−604(荒川化学工業株式会社製)の40質量%、及びヘキシルジグリコールの40質量%を混合し、90〜110℃に加熱しながら1〜2時間加熱分散し、その後冷却した。それにより調製例2の揺変剤を得た。
(調製例3)アマイドワックスと樹脂と分散媒とを含有した揺変剤の調製
調製例1のヘキサメチレンジアミンに代えて、(c)1,12−ドデカンジアミン1345.7質量部を用いたこと以外は、調製例1と同様にして、酸価4.2、アミン価3.6のアマイドワックスを得た(モル比で(a):(b):(c)=2モル:2.7モル:3.3モル)。得られたアマイドワックスを、粉砕機に投入して平均粒子径20μm以下に粉砕した。次に、このアマイドワックスの20質量%、ロジン系樹脂であるパインクリスタルKR−85(荒川化学工業株式会社製、分子量300)の40質量%、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの40質量%を混合し、90〜110℃に加熱しながら1〜2時間加熱分散し、その後冷却した。それにより調製例3の揺変剤を得た。
(調製例4)アマイドワックスと樹脂と分散媒とを含有した揺変剤の調製
攪拌器、温度計、分水器を備えた反応装置に、(a)脂肪族モノカルボン酸であるステアリン酸568.0質量部と、(b)脂肪族ジカルボン酸であるアジピン酸438.0質量部とを加え、80〜100℃に加温してステアリン酸を溶融させた。そこへ、(c)ジアミンであるヘキサメチレンジアミン464.0質量部を加え、窒素雰囲気下、240〜280℃で3〜5時間、脱水しながら縮合反応を行ってアミド化させ、酸価8.8、アミン価7.8のアマイドワックスを得た(モル比で(a):(b):(c)=2モル:2.7モル:3.3モル)。得られたアマイドワックスを、粉砕機に投入して平均粒子径20μm以下に粉砕した。次に、このアマイドワックスの20質量%、ロジン系樹脂であるパインクリスタルKR−85(荒川化学工業株式会社製)の40質量%、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートの40質量%を混合し、90〜110℃に加熱しながら1〜2時間加熱分散し、その後冷却した。それにより調製例4の揺変剤を得た。
(比較調製例1)アマイドワックスのみからなる揺変剤の調製
攪拌機、温度計、分水器を備えた反応装置に、ヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸である12−ヒドロキシステアリン酸1000.0質量部と、脂肪族ジカルボン酸であるセバシン酸1010.0質量部とを加え、80〜100℃に加温して12−ヒドロキシステアリン酸を溶解させた。そこへ、ジアミンであるヘキサメチレンジアミン780.5質量部を加え、窒素雰囲気下、210〜220℃で3〜5時間、脱水しながら縮合反応を行ってアミド化させ、酸価3.6、アミン価2.8のアマイドワックスを得た。得られたアマイドワックスを、粉砕機に投入して平均粒子径20μm以下に粉砕し、アマイドワックスのみからなる比較調製成例1の揺変剤を得た。
(比較調製例2)アマイドワックスのみからなる揺変剤の調製
調製例1のヘキサメチレンジアミンに代えてメタキシレンジアミン915.1質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、酸価4.8、アミン価4.4のアマイドワックスを得た。得られたアマイドワックスを、粉砕機に投入して平均粒子径20μm以下に粉砕し、アマイドワックスのみからなる比較調製例2の揺変剤を得た。
(比較調製例3)アマイドワックスのみからなる揺変剤の調製
調製例1のヘキサメチレンジアミンに代えて1,12−ドデカンジアミン1345.7質量部を用いたこと以外は、調製例1と同様にして、酸価4.6、アミン価4.1のアマイドワックスを得た。得られたアマイドワックスを、粉砕機に投入して平均粒子径20μm以下に粉砕し、アマイドワックスのみからなる比較調製例3の揺変剤を得た。
(比較調製例4)アマイドワックスのみからなる揺変剤の調製
攪拌器、温度計、分水器を備えた反応装置に、脂肪族モノカルボン酸であるステアリン酸568.0質量部と、脂肪族ジカルボン酸であるアジピン酸438.0質量部とを加え、80〜100℃に加温してステアリン酸を溶融させた。そこへ、ジアミンであるヘキサメチレンジアミン464.0質量部を加え、窒素雰囲気下、240〜280℃で3〜5時間、脱水しながら縮合反応を行ってアミド化させ、酸価8.2、アミン価7.4のアマイドワックスを得た。得られたアマイドワックスを、粉砕機に投入して平均粒子径20μm以下に粉砕し、アマイドワックスのみからなる比較調製例4の揺変剤を得た。
(比較調製例5)アマイドワックスと高分子量アクリル樹脂と低沸点分散媒とを含有した揺変剤の調製
調製例1と同様にして、酸価3.6、アミン価2.6のアマイドワックスを得た。得られたアマイドワックスを、粉砕機に投入して平均粒子径20μm以下に粉砕した。次に、このアマイドワックスの20質量%、高分子量のアクリル樹脂としてDEGALAN LP 63/11(Evonic Industries社製、分子量30000)の40質量%、低沸点の分散媒であるメチルイソブチルケトン(沸点117℃)の40質量%を混合し、90〜110℃に加熱しながら1〜2時間加熱分散し、その後冷却することにより比較調製例5の揺変剤を得た。
(フラックスの調製)
フラックス樹脂、活性剤、溶剤、並びに調製例1〜4及び比較調製例1〜5で得られた揺変剤を表1の割合で配合して混合し、80〜120℃で1〜3時間、加熱溶融した。その後取り出して放置することにより常温(25℃)に冷却し、実施例1〜4、及び比較例1〜5のフラックスを得た。
Figure 0006801879
(分散性評価)
実施例1〜4及び比較例1〜5のフラックスに含まれるアマイドワックスの分散性を目視によって確認した。調製したフラックスをガラス板に塗布し、ダマが確認されなかったものを〇、ダマが確認されたものを×とした。
(色味評価)
実施例1〜4及び比較例1〜5のフラックスの色味を目視によって確認した。フラックス中の樹脂成分の熱ダメージを示す判断として、無色〜淡黄色のものを〇、黄色〜褐色のものを×とした。
分散性評価、及び色味評価の結果を表2に示す。
Figure 0006801879
表2から明らかなように、本発明を適用する調製例1〜4の揺変剤を含む実施例1〜4のフラックスは、本発明を適用外の比較調製例1〜4のアマイドワックスのみからなる揺変剤を含む比較例1〜4のフラックスに比較して、アマイドワックスのダマが確認されなかったことから、分散性に優れていた。また、フラックスの着色がほとんど見られなかった。比較調製例5の揺変剤が、高分子量の樹脂及び低沸点の分散媒を含んでいる所為で、比較例5のフラックスは、分散性が低く、着色していることが確認された。
上記実施例によれば、本発明の揺変剤はアマイドワックスの分散性を高めることができるので、この揺変剤を加えてフラックスを調製する際、加熱処理時間を極めて短縮することができ、フラックスの着色を生じないことが、示された。
(ソルダペーストの調製)
実施例1のフラックスの11質量%と、鉛フリーハンダ合金粉末(Sn96.5%−Ag3.0%−Cu0.5%;三井金属鉱業株式会社製)の89質量%とを、ペースト混練機(ソルダソフナー)にて混練し、ソルダペーストを調製した。これと同様にして、実施例2〜4のフラックスを含むソルダペーストを調製した。このソルダペーストを、ハンダ付けに用いた。
本発明の揺変剤は、アマイドワックスの分散性に優れているので、揺変剤添加時の加熱処理時間を短くすることができ、フラックス、ソルダペースト、及び糸ハンダの調製や使用に、好適である。
本発明のフラックスは、ハンダ粉末と混合することにより、ソルダペーストを調製するのに用いられる。
本発明のソルダペーストは、特にフロー方式によるハンダ付けに好適に用いられる。
本発明の揺変剤の製造方法は、フラックスやソルダペーストに添加する揺変剤を製造するのに用いられる。

Claims (6)

  1. 飽和脂肪族モノカルボン酸類、ヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸類、及び多塩基酸類の少なくとも何れかの酸類と、ジアミン類及びテトラアミン類の少なくとも何れかのアミン類との縮合物であり、粉体状をなしているアマイドワックスの粉砕物と、
    分子量を最大で10000とする樹脂と、
    沸点を少なくとも180℃とする分散媒とが、
    混合されて含まれており、
    前記アマイドワックスの粉砕物が前記樹脂で被覆されていて、前記樹脂及び前記分散媒に分散していることを特徴とするフラックス用揺変剤。
  2. 前記アマイドワックスの粉砕物が、炭素数12〜22の前記飽和脂肪族モノカルボン酸類及び/又は炭素数12〜22の前記ヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸類をモル比で合計aモル(1≦a≦3)と、炭素数2〜12の前記多塩基酸類をモル比でbモル(0<b≦5)と、炭素数2〜14の前記ジアミン類及び/又は炭素数2〜14の前記テトラアミン類をモル比で合計cモル(1≦c≦6)とする前記縮合物であり、
    1〜40質量%の前記アマイドワックスと、20〜60質量%の前記樹脂と、20〜60質量%の前記分散媒とが、含まれていることを特徴とする請求項1のフラックス用揺変剤。
  3. 前記樹脂がロジン系樹脂であり、前記分散媒がグリコールエーテル類であることを特徴とする請求項1に記載のフラックス用揺変剤。
  4. 請求項1に記載のフラックス用揺変剤、フラックス樹脂、及び溶剤が、含まれており、前記フラックス用揺変剤が前記フラックス樹脂及び前記溶剤に分散していることを特徴とするフラックス。
  5. 請求項4に記載のフラックス、及びハンダが、含まれていることを特徴とするソルダペースト。
  6. 飽和脂肪族モノカルボン酸類、ヒドロキシ基含有脂肪族モノカルボン酸類、及び多塩基酸類の少なくとも何れかの酸類と、ジアミン類及びテトラアミン類の少なくとも何れかのアミン類とを縮合させてアマイドワックスを合成する工程と、
    前記アマイドワックスを粉体状になるように粉砕して粉砕物にする工程と、
    前記アマイドワックス、分子量を最大で10000とする樹脂、及び沸点を少なくとも180℃とする分散媒を、混合して前記アマイドワックスの前記粉砕物を前記樹脂で被覆しつつ前記樹脂及び前記分散媒に分散させる工程とを、
    有することを特徴とするフラックス用揺変剤の製造方法。
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