以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明に係る運転支援装置を、車両に搭載された運転支援システムに適用した場合を例にして説明する。
図1は、運転支援システム1のブロック構成を示す図である。本実施形態の運転支援システム1は、運転支援装置100と車載装置200を備える。本発明の運転支援装置100の実施の形態は限定されず、車両に搭載して車載装置200と一体として構成してもよいし、車載装置200と情報の授受が可能な可搬の端末装置として独立して構成してもよい。端末装置は、スマートフォン、PDAなどの機器を含む。運転支援システム1、運転支援装置100、車載装置200、及びこれらが備える各装置は、CPUなどの演算処理装置を備え、演算処理を実行するコンピュータである。
まず、車載装置200について説明する。本実施形態の車載装置200は協働して、運転支援装置100が立案した運転計画に従い、自車両の運転行動を制御する。
本実施形態の車載装置200は、車両コントローラ210、ナビゲーション装置220、障害物検出装置230、車線逸脱防止装置240、及び出力装置250を備える。車載装置200を構成する各装置は、相互に情報の授受を行うためにCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。車載装置200は、車載LANを介して運転支援装置100と情報の授受を行うことができる。本実施形態の車両コントローラ210は、検出装置260、駆動装置270、操舵装置280と連携して動作する。
検出装置260は、舵角センサ261、車速センサ262、姿勢センサ263を有する。舵角センサ261は、舵転舵、操舵量、操舵速度、操舵加速度などの情報を検出する。車速センサ262は、車両の速度及び/又は加速度を検出する。本実施形態の姿勢センサ263は、ジャイロセンサを含む。姿勢センサ263は、車両の位置、車両のピッチ角、車両のヨー角車両のロール角などを検出する。これらの検出値から、車両の姿勢の変化量を取得できる。検出装置260は、検出結果を車両コントローラ210又は運転支援装置100へ出力する。
本実施形態の車両コントローラ210は、エンジンコントロールユニット(Engine Control Unit, ECU)などの車載コンピュータであり、車両の運転を電子的に制御する。本実施形態の車両としては、電動モータを駆動源として備える電気自動車、内燃機関を駆動源として備えるエンジン自動車、電動モータ及び内燃機関の両方を駆動源として備えるハイブリッド自動車を例示できる。なお、電動モータを駆動源とする電気自動車やハイブリッド自動車には、二次電池を電動モータの電源とするタイプや燃料電池を電動モータの電源とするタイプのものも含まれる。
本実施形態の駆動装置270は、自車両V1の駆動機構を備える。駆動機構には、上述した駆動源である電動モータ及び/又は内燃機関、これら駆動源からの出力を駆動輪に伝達するドライブシャフトや自動変速機を含む動力伝達装置、及び車輪を制動する制動装置271などが含まれる。駆動装置270は、アクセル操作及びブレーキ操作による入力信号、車両コントローラ210又は運転支援装置100から取得した制御信号に基づいてこれら駆動機構の各制御信号を生成し、車両の加減速を含む運転制御を実行する。駆動装置270に制御情報を送出することにより、車両の加減速を含む運転制御を自動的に行うことができる。なお、ハイブリッド自動車の場合には、車両の運転状態(走行状態)に応じた電動モータと内燃機関とのそれぞれに出力するトルク配分も駆動装置270に送出される。
本実施形態の操舵装置280は、ステアリングアクチュエータを備える。ステアリングアクチュエータは、ステアリングのコラムシャフトに取り付けられるモータ等を含む。操舵装置280は、車両コントローラ210から取得した制御信号、舵角センサ261から取得したステアリング操作量に基づいて車両の移動方向の変更制御を実行する。車両コントローラ210は、操舵量を含む制御情報を操舵装置280に送出することにより、移動方向の変更制御を実行する。また、運転支援装置100は、車両の各輪の制動量をコントロールすることにより車両の移動方向の変更制御を実行してもよい。この場合、車両コントローラ210は、各輪の制動量を含む制御情報を制動装置271へ送出することにより、車両の移動方向の変更制御を実行する。なお、駆動装置270の制御、操舵装置280の制御は、完全に自動で行われてもよいし、ドライバの駆動操作(進行操作)を支援する態様で行われてもよい。駆動装置270の制御及び操舵装置280の制御は、ドライバの介入操作により中断/中止させることができる。車両コントローラ210は、所定の運転計画に従って自車両の運転を制御する。
本実施形態の車載装置200は、ナビゲーション装置220を備える。本実施形態のナビゲーション装置220は、自車両の現在位置から目的地までの経路を算出する。経路の算出手法は、ダイキストラ法やA*などのグラフ探索理論に基づく出願時に知られた手法を用いることができる。算出した経路は、自車両の運転支援に用いるために、車両コントローラ210へ送出される。算出した経路は、経路案内情報として後述する出力装置250を介して出力される。ナビゲーション装置220は、位置検出装置221を備える。本実施形態の位置検出装置221は、グローバル・ポジショニング・システム(Global Positioning System, GPS)を備え、走行中の車両の走行位置(緯度・経度)を検出する。
ナビゲーション装置220は、アクセス可能な地図情報222を備える。地図情報222は、道路情報223と、交通規則情報224を含む。地図情報222(道路情報223、交通規則情報224)は、ナビゲーション装置220が読み込むことができればよく、車載装置200とは別体として構成してもよいし、通信手段を介して読み込みが可能なサーバに格納してもよい。本実施形態の地図情報222は、いわゆる電子地図であり、緯度経度と地図情報が対応づけられた情報である。地図情報222は、各地点に対応づけられた道路情報223を有する。
本実施形態の道路情報223は、ノードと、ノード間を接続するリンクにより定義される。リンクは車線レベルで識別される。本実施形態の道路情報223は、各道路リンクの識別情報ごとに、交差点の位置、交差点の進入方向、交差点の種別その他の交差点に関する情報を対応づけて記憶する。また、道路情報223は、各道路リンクの識別情報ごとに、道路種別、道路幅、道路形状、直進の可否、進行の優先関係、追い越しの可否(隣接レーンへの進入の可否)その他の道路に関する情報を対応づけて記憶する。
ナビゲーション装置220は、位置検出装置221により検出された自車両の現在位置に基づいて、自車両が走行する経路を演算する。本実施形態のナビゲーション装置220は、後述する道路情報223を参照して、自車両が走行する経路として道路リンクを特定する。本実施形態の経路は、自車両が、将来通過する一つ又は複数の地点の特定情報(座標情報)を含む。
本実施形態の交通規則情報224は、経路上における一時停止、駐車/停車禁止、徐行、制限速度などの車両が走行時に遵守すべき交通に関する規則である。各規則は、地点(緯度、経度)ごと、リンクごとに定義される。交通規則情報224には、道路側に設けられた装置から取得する交通信号の情報を含めてもよい。
本実施形態の車載装置200は、障害物検出装置230を備える。本実施形態の障害物検出装置230は、自車両の周囲の状況を検出する。自車両の障害物検出装置230は、自車両の周囲に存在する障害物を含む障害物の存在及びその存在位置を検出する。特に限定されないが、本実施形態の障害物検出装置230はカメラ231を含む。本実施形態のカメラ231は、例えばCCD等の撮像素子を備える撮像装置である。カメラ231は、赤外線カメラ、ステレオカメラでもよい。カメラ231は自車両の所定の位置に設置され、自車両の周囲の障害物を撮像する。自車両の周囲は、自車両の前方、後方、前方側方、後方側方を含む。障害物は、歩行者、二輪車、四輪車などの他車両などの移動物体を含む。
障害物検出装置230は、画像データを解析し、その解析結果に基づいて障害物の種別を識別してもよい。障害物は、他車両を含む。障害物検出装置230は、パターンマッチング技術などを用いて、画像データに含まれる障害物が、車両、歩行者などの移動物体であるか、標識などの静止物であるか否かを識別する。障害物検出装置230は、取得した画像データを処理し、障害物と自車両との位置関係を取得する。障害物検出装置230は、自車両から障害物までの距離・到達時間を算出する。
なお、本実施形態の障害物検出装置230は、レーダー装置232を用いてもよい。レーダー装置232としては、ミリ波レーダー、レーザーレーダー、超音波レーダーなどの出願時に知られた方式のものを用いることができる。障害物検出装置230は、レーダー装置232の受信信号に基づいて障害物の存否、障害物の位置、障害物までの距離を検出する。障害物検出装置230は、レーザーレーダーで取得した点群情報のクラスタリング結果に基づいて、障害物の存否、障害物の位置、障害物までの距離を検出する。
他車両と自車両とが車車間通信をすることが可能であれば、障害物検出装置230は、他車両の車速センサが検出した他車両の車速、移動方向、加速度などの状態情報を障害物情報として取得してもよい。もちろん、障害物検出装置230は、高度道路交通システムの外部装置から他車両の位置、移動方向、速度、加速度を含む状態情報を取得することもできる。
本実施形態の車載装置200は、車線逸脱防止装置240を備える。車線逸脱防止装置240は、カメラ241、道路情報242を備える。カメラ241は、障害物検出装置のカメラ231を共用してもよい。道路情報242は、ナビゲーション装置の道路情報223を共用してもよい。車線逸脱防止装置240は、カメラ241の撮像画像から自車両が走行する経路及び車線を検出する。車線逸脱防止装置240は、経路の車線のレーンマーカの位置と自車両の位置とが所定の関係を維持するように、自車両の動きを制御する車線逸脱防止機能(レーンキープサポート機能)を備える。本実施形態の運転支援装置100は車線の中央を自車両が走行するように、自車両の動きを制御する。
本実施形態の車載装置200は、出力装置250を備える。出力装置250は、ディスプレイ251、スピーカ252を備える。本実施形態の出力装置250は、運転支援に関する各種の情報をユーザ又は周囲の車両の乗員に向けて出力する。本実施形態において、出力装置250は、運転支援の内容、その運転支援に基づく運転制御に関する情報を出力する。障害物との接触を回避するための経路変更、減速、加速、操舵が実行されることをディスプレイ251、スピーカ252を介して、自車両の乗員に予め知らせる。また、これらの運転支援に関する情報を車室外ランプ、車室内ランプを介して、自車両の乗員又は他車両の乗員に予め知らせてもよい。また、本実施形態の出力装置250は、通信装置を介して、高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems:ITS)などの外部装置に運転支援に関する各種の情報を出力してもよい。
運転支援装置100について説明する。
本実施形態の運転支援装置100は、運転支援プロセッサ10と、出力装置20と、通信装置30とを備える。出力装置20は、決定した運転支援の内容を、車載装置200に送出する。また、出力装置20は、先述した車載装置200の出力装置250と同様の機能を有する。車載装置200のディスプレイ251、スピーカ252を、運転支援装置100の出力装置20として用いることができる。通信装置30は、運転支援システム1の外部との通信、又は運転支援システム1を構成する各装置との通信を実行する。各運転支援システム1に含まれる装置は、有線又は無線の通信回線を介して互いに情報の授受が可能である。
運転支援装置100は、その制御装置として機能する運転支援プロセッサ10を備える。運転支援プロセッサ10は、車線変更の運転行動を実行するに先立って、先行する他車両と自車両との関係に基づいて、自車両の車速を制御する予備行動を実行する。
具体的に、運転支援プロセッサ10は、自車両の周囲の事象に関する情報を取得する。事象に関する情報は、自車両の状態情報と、他車両などの障害物の状態情報とを含む。事象には、自車両が走行する第1車線に沿う隣接車線、その隣の車線などの自車両が車線変更する可能性のある第2車線を走行する他車両の状態情報を含む。状態情報は、自車両及び/又は他車両の位置、移動方向、速度、加速度を含む。自車両の状態情報は、車載装置200から取得する。他車両の状態情報は、他車両が備える車載装置200の検出装置260(又はこれに類する検出装置)により検出される。歩行者の状態情報は、歩行者が携帯するスマートフォンのGPS機能、速度/加速度検出機能により検出される。他車両、歩行者などの障害物の状態情報は、通信装置30を介して取得する。
事象に関する情報は、自車両が走行する経路に関する情報を含む。事象に関する情報は、自車両が走行する経路、特に走行中の車線について、遭遇する交差点、分岐地点、合流地点を含む。事象に関する情報は、走行中の経路沿いに存在するパーキングエリア、サービスエリアなどの施設に関する情報を含む。これらの事象に関する情報は、ナビゲーション装置220から取得する。
運転支援プロセッサ10は、自車両の車速を制御する予備行動のための第1制御指令を生成し、その後、車線変更の実行条件を充足する場合には、自車両を第1車線から第2車線に移動させる車線変更行動のための第2制御指令を生成するプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、運転支援装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。運転支援プロセッサ10は、運転支援処理を実行させるプログラムが記憶された記憶媒体を備える。
運転支援プロセッサ10は、経路の第1車線を走行する自車両の周囲の事象(障害物を含む)を、予め設定された車線変更の実行条件に基づいて評価し、車線変更の実行条件を充足する場合には、自車両を第1車線から第2車線に移動させる車線変更行動の計画を立案し、実行させる機能を備える。
運転支援プロセッサ10は、自車両V1の誘導経路を走行するために車線変更が必要である場合、乗員が指示した場合に、車線変更行動の計画を立案する。
運転支援プロセッサ10は、必要に応じたタイミングにおいて、車線変更の実行条件の充足/非充足を判断する。運転支援プロセッサ10は、少なくとも、(1)車線変更の運転計画を立案する第1タイミング(以下、計画タイミングともいう。以下同じ)、(2)立案された車線変更を実行する(開始する)第2タイミング(以下、実行タイミングともいう。以下同じ)、(3)第2車線への車線変更が完了する第3タイミング(以下、完了タイミングともいう。以下同じ)において、車線変更の実行条件の充足/非充足を判断する。
第1タイミングにおいて、運転支援プロセッサ10は、車線変更の運転行動の実行の可否を判断する。運転支援プロセッサ10は、第1タイミングにおいて取得した、自車両の位置・進行方向・車速、事象(他車両)の位置・進行方向・車速に基づいて、第1タイミングから第3タイミングに至るまでの自車両と他車両との経時的な位置関係を予測する。運転支援プロセッサ10は、第1タイミング(計画タイミング)から第2タイミング(実行タイミング)を経て第3タイミング(完了タイミング)に至るまでのすべての時間において、予測された自車両と他車両との位置関係が車線変更の実行条件を充足するか否かを判断する。運転支援プロセッサ10は、車線変更の実行条件を充足すると判断した場合には、車線変更の運転計画を「立案」する。運転計画には、計画を実行する第2タイミングを含ませることができる。なお、第2タイミングは、第1タイミングの所定時間後と定義してもよい。
第2タイミングにおいて、運転支援プロセッサ10は、車線変更の運転行動の実行の可否を判断する。計画された車線変更の運転行動を実際に実行することの可否を判断する。運転支援プロセッサ10は、第2タイミングにおいて取得した、自車両の位置・進行方向・車速、事象(他車両)の位置・進行方向・車速に基づいて、第2タイミングから第3タイミングに至る自車両と他車両との経時的な位置関係を予測する。運転支援プロセッサ10は、第2タイミング(実行タイミング)から第3タイミング(完了タイミング)に至るまでのすべての時間において、予測された自車両と他車両との位置関係が車線変更の実行条件を充足するか否かを判断する。運転支援プロセッサ10は、車線変更の実行条件を充足すると判断した場合には、車線変更の運転計画を「実行」する。
図2Aの(a)乃至(c)に基づいて、車線変更の実行条件の充足/非充足の判断の一例を説明する。運転支援プロセッサ10は、自車両の車速、自車両の周囲(前方、側方、後方を含む。以下同じ。)の他車両の車速(状態情報)を取得し、自車両が周囲の他車両と所定距離未満に接近すると予測される場合には、車線変更の実行条件は充足しないと判断し、車線変更を禁止する。言い換えると、自車両が現在走行中の第1車線L1から他の第2車線L2に車線変更(移動)した場合に、自車両が周囲の他車両と所定距離以上に離隔した状態が確保できると予測された場合には、車線変更を立案又は実行する。なお、本実施形態において、第1車線L1と第2車線L2は異なる車線であればよく、隣り合う車線に限定されない。
図2A(a)に示す状態は、第1車線L1を走行する自車両V1と、第2車線L2を走行する他車両V2との、進行方向に沿う位置が同じである(Y軸方向の位置が共通する)。つまり、自車両V1と他車両V2が並走している。自車両V1が第2車線L2に移動した場合には、他車両V2と所定距離以内に接近する可能性が高く、車線変更の実行条件は充足しない。このため、自車両V1を、第2車線L2に車線変更させる運転計画は立案されず(第1タイミング)、立案されたとしても実行されない。
図2A(b)に示す状態は、第2車線L2を走行する他車両V2が、第1車線L1を走行する自車両V1の進行方向(Y軸方向)の前方を走行している。自車両V1が第2車線L2に車線変更するためには、所定車速以上の車速(他車両V2を追い越せる車速)で走行しなければならず、また第2車線に移動した場合には、自車両V1は他車両V2と所定距離以内に接近する可能性が高い。このため、自車両V1を、第2車線L2に車線変更させる運転計画は立案されず(第1タイミング)、立案されたとしても実行されない。
図2A(c)に示す状態は、第2車線L2を走行する他車両V2が、第1車線L1を走行する自車両V1の進行方向(Y軸方向)の後方を走行している。自車両V1が第2車線に移動した場合には、自車両V1は、後続の他車両V2と所定距離以内に接近する蓋然性が高い。自車両V1が第2車線に移動した場合には、他車両V2の車速を上回る高速で移動する場合を除き、後続の他車両V2に減速を強いることになる。このため、自車両V1を、第2車線L2に車線変更させる運転計画は立案されず(第1タイミング)、立案されたとしても実行されない。
逆に、図2(a)〜図2(c)のような状態にならず、自車両V1が第2車線に移動する場合に、第1タイミングから第3タイミングに至るすべての時間において、自車両V1と他車両V2との間隔が十分に取れるのであれば、その判断タイミングにおける車線変更の実行条件は充足する。予め設定された車線変更の実行条件を充足する場合には、自車両V1の車線変更は許可される。この場合、他車両V2の車速、車線幅、自車両V1の車速を考慮する。もちろん、第2車線を走行する別の他車両(他車両V2の前後を走行する車両)、第1車線を走行する別の他車両(自車両V1の前後を走行する車両)との位置関係についても検討する。
仮に、運転行動の計画タイミングである第1タイミングにおいて、自車両V1の車線変更が許可されたとする。しかし、第1タイミングにおいて車線変更の実行条件を充足すると判断(予測)されたとしても、第2タイミングにおいて車線変更の実行条件を充足しないと判断された場合には、車線変更の運転計画は実行されず、車線変更の運転計画は失敗となる。
図3Aは、車線変更が成功しない場面を示す図である。図3A(a)に示すように、第1タイミングにおいて、自車両V1と他車両V2,V3と並走していたとしても、他車両V2,V3の車速が相対的に低く、自車両V1と他車両V2,V3の相対速度(絶対値)が大きい場合、また、他車両V2,V3が減速している場合には、車線変更の実行条件が充足すると予測される。運転支援プロセッサ10は、第2タイミング(実行タイミング)を設定し、第2タイミングにおいて、自車両V1を第1車線L1から第2車線L2へ移動させる計画を立案する。
運転支援プロセッサ10は、第2タイミングの直前に、車線変更の実行の可否を確認する。確認のタイミングにおいて、他車両V2,V3の車速が第1タイミングよりも高く変化した場合(第1タイミングにおける減速から転じて、他車両V2,V3が加速している場合)には、図3A(b)に示すように、並走の状態が継続されていることになるので、車線変更の実行条件が非充足であると判断される。第1タイミングにおいて立案された運転計画が、第2タイミングの直前の判断に基づいて実行不可と判断された場合には、第2タイミングにおける車線変更の運転計画は実行されない。確認後、第2タイミングにおいて開始する予定であった車線変更のための加速及び操舵の運転計画は実行されない。このように、車線変更の実行条件の充足/非充足の判断をしてから、速度・操舵制御を行うという処理では、他車両V2,V3の挙動の変化によっては、立案した車線変更の運転計画が実行できない(失敗する)ことがある。
図3B(a)のように、ナビゲーション装置220が指定する誘導経路RT1に従い自車両V1を走行させる運転計画が立案されたとする。ナビゲーション装置220が指定する誘導経路RT1に従って自車両V1を走行させるためには、自車両V1を第1車線L1から第2車線L2に移動させる必要がある。しかし、図3Aにおいて説明した車線変更の運転計画が失敗する場面が、図3Bに示すような経路変更を要する場面で起きると、自車両V1はナビゲーション装置220が指定する誘導経路RT1に従うことができない。このように、目的地に至る誘導経路を走行するために必要な車線変更の運転計画が実行できない(失敗する)と、自車両V1を目的地に導くことができない。
このように、立案した車線変更の運転計画の失敗は運転支援システム1そのものの評価に影響を与えるので、運転計画の成功率を向上させることは重要な課題である。
本実施形態の運転支援プロセッサ10は、車線変更行動の運転計画が立案される第1タイミングよりも前の「予備タイミング」において、取得された自車両V1の周囲の事象のうち、第1車線とは異なる第2車線を走行する他車両V2と自車両V1との関係に基づいて、自車両V1の車速を制御する「予備行動」を実行する。運転支援プロセッサ10は、「予備タイミング」において、「予備行動」のための第1制御指令を生成して、自車両V1の車両コントローラ210に送出する。
本実施形態の「予備行動」は、車線変更行動の運転計画の立案及び/又は運転計画の実行の確認のために、車線変更の実行条件の充足/非充足の判断をする前に、自車両の車速を制御する運転行動である。車線変更の実行条件の充足/非充足の判断をする前の「予備タイミング」に、自車両V1の車速を制御する「予備行動」を事前に実行しておくことにより、他車両V1,V2との相対速度の絶対値、他車両V1,V2との距離を事前に拡大しておくことができる。言い換えると、運転支援プロセッサ10は、車線変更の実行条件の充足/非充足の判断をする前に、自車両V1の車速制限によって、自車両V1の側方(隣接する車線)に空スペース(他車両が存在しないスペース)を生成する。この「予備行動」によって、「予備タイミング」から「実行タイミング」に至るまでの時間において、車線変更の実行条件の充足/非充足の判断に変更が生じる(判断が覆る)可能性を低減できる。この結果、車線変更行動の運転計画の成功率を向上させることができる。
本実施形態の運転支援プロセッサ10は、自車両V1の車速を制御する「予備行動」のための第1制御指令を生成する「予備タイミング」を判断する。
「予備タイミング」は、車線変更の実行条件が充足するか否かを判断する第2タイミング(実行タイミング)の前に設定される。「予備タイミング」は、車線変更の実行条件が充足するか否かを判断する第1タイミング(計画タイミング)の前に設定されてもよい。「予備行動」は、所定周期で実行することもできるが、本実施形態では、車線変更の運転計画の成功率を向上させるという観点及び無駄な車速制御を行わないという観点から、車速制御を行う(予備行動を行う)ための効果的なタイミングを「予備タイミング」として選択(抽出)する。
運転支援プロセッサ10は、自車両V1が第1車線から別の第2車線に移動する可能性を評価し、車線変更の可能性が高いタイミングを「予備タイミング」として抽出する。
具体的に、運転支援プロセッサ10は、自車両V1が走行する経路に関する情報を含む地図情報222を取得し、自車両V1が走行する経路に関する事象に基づいて、自車両V1が第1車線から別の第2車線に移動する可能性を判断する。運転支援プロセッサ10は、自車両V1が走行する経路に関する事象の情報を、ナビゲーション装置220を介して取得する。ナビゲーション装置220は、地図情報222からこれらの情報を取得する。地図情報222は、道路情報223、交通規則情報224を含む。自車両V1が第1車線から別の第2車線に移動する可能性は、第1車線、第2車線に関する地図情報222に基づいて判断される。ナビゲーション装置220は、指定された目的地、走行履歴から判断された目的地に基づいて自車両V1の走行経路を判断する。また、ナビゲーション装置220は、道路情報223、自車両V1の現在位置に基づいて、走行経路において自車両V1が走行する第1車線を判断する。
運転支援プロセッサ10は、自車両V1の現在位置が属する第1車線に併設された第2車線の自車両V1の進行方向側に交差点、分岐地点、合流地点、パーキングエリアなどの施設が存在する場合には、自車両V1が第1車線から別の第2車線に移動する可能性は高いと判断する。このような場合において、自車両V1が第1車線から第2車線に移動し、交差点で右左折をする、分岐地点で本線から離脱する、合流地点で本線に進入する、パーキングエリアなどを利用する可能性が相対的に高いと判断できるからである。なお、第1車線と第2車線は、敷設された方向が共通していればよく、隣り合う車線に限定されない。地図情報222に基づいて、交差点で右左折をする、分岐地点で本線から離脱する、合流地点で本線に進入する、パーキングエリアなどを利用する可能性が相対的に高いと判断された場合には、自車両V1の車速を制御する予備行動のための第1制御指令を生成する「予備タイミング」を判断する。
運転支援プロセッサ10は、第2車線に移動する可能性が第1閾値以上であると判断された場合には、「予備タイミング」であると判断し、予備行動のための第1制御指令を生成する。第2車線に移動する可能性は、自車両V1の現在位置が属する第1車線に併設された第2車線の自車両V1の進行方向側に交差点、分岐地点、合流地点、パーキングエリアなどの施設が存在することに応じて可能性の評価値を付し、自車両V1の現在位置から交差点、分岐地点、合流地点、パーキングエリアなどの施設までの距離が短いほど高い可能性の評価値を付する。第2車線に移動する可能性の評価値が、予め設定された第1閾値以上であると判断された地点が検出された場合には、その地点と自車両V1の現在位置との距離が所定値未満となると予測されるタイミングを「予備タイミング」として判断する。
運転支援プロセッサ10は、ナビゲーション装置220から取得した自車両V1の走行履歴から導かれる車線変更の運転行動の履歴に基づいて、自車両V1の車線変更の可能性を評価してもよい。通勤・通学のための走行履歴と、今回の走行履歴が一致する可能性が高い場合には、通勤・通学の経路における車線変更の運転行動が、今回の走行においても実行される可能性が高いと判断できる。
第2車線に移動する可能性の評価値に基づいて、予備タイミングを判断することにより、地図情報222などの静的な情報(状況に応じて変化しない情報)から車線変更の可能性を判断するので、客観的な予備タイミングを適切に判断できる。
運転支援プロセッサ10は、車線変更行動の運転計画を立案する第1タイミングに先立ち、「予備タイミング」において自車両V1の車速を制御する予備行動のための第1制御指令を生成する。運転支援プロセッサ10は、「予備タイミング」において取得した事象から求めた、第1車線を走行する自車両V1と第2車線を走行する他車両V2との関係に基づいて、所定時間後における自車両V1と他車両V2との相対距離が所定値未満である場合には、車速を制御する予備行動を実行させる。このとき、相対距離だけではなく相対速度を考慮してもよい。
図4A(a)に示すように、自車両V1の車速を維持すると、車線変更の実行条件を充足しない状態となる場合があるが、図4A(b)に示すように、自車両V1の車速を維持しても、車線変更の実行条件を充足する場合がある。運転支援プロセッサ10は、「予備タイミング」から所定時間後における自車両V1と他車両V2との相対距離が所定値未満である場合には、自車両V1の車速を加速又は減速する。一例ではあるが、図4Aに示すように、相対距離が所定値未満である状態が「予備タイミング」から所定時間後まで継続する場合には、自車両V1の車速を加速又は減速する。「予備タイミング」において、自車両V1の車速を変更することにより、他車両V2との相対速度を変化させ、結果として相対距離を変更させる。これにより、自車両V1と他車両V2との相対距離が所定値未満である状態を解消し、予備タイミングの後の第1タイミング(車線変更の運転計画立案のタイミング)及び第2タイミング(車線変更の実行タイミング)において、自車両V1及び事象との関係が車線変更の実行条件を充足しやすくすることができる。つまり、自車両V1の側方に空スペースを形成する(他車両V2が存在しないエリアを作る)ことができる。この結果、車線変更の運転計画の成功率を向上させること、運転計画の失敗を防止することができる。
運転支援プロセッサ10は、速度を加速又は減速させた場合の自車両V1と他車両V2との関係をシミュレーションする。運転支援プロセッサ10は、加速した場合に自車両V1と他車両V2との相対距離が所定値以上となるタイミングAと、減速した場合に自車両V1と他車両V2との相対距離が所定値以上となるタイミングBとを比較し、早いタイミングを導いたのが加速又は減速のいずれのシミュレーションであるかを判断する。運転支援プロセッサ10は、相対距離が所定値以上となるタイミングが早くなるように、加速又は減速を選択する。これにより、早いタイミングにおいて、効果的に自車両V1と他車両V2との相対距離が所定値未満である状態を解消できる。つまり、車線変更の実行条件を充足されやすい状況を迅速に整えることができる。
運転支援プロセッサ10は、自車両V1が第1車線から第2車線に移動する可能性が高いほど、第1制御指令における自車両V1の車速の加減速の幅を大きく設定する。自車両V1の車線変更の可能性が高い場合には車線変更の際の加減速の幅を大きく設定するので、自車両V1を迅速に移動させることができる。
なお、加速した場合に自車両V1と他車両V2との相対距離が所定値以上となるタイミングAと、減速した場合に自車両V1と他車両V2との相対距離が所定値以上となるタイミングBとの差が所定値未満、つまり、加速しても減速しても自車両V1と他車両V2との相対距離が所定値以上となるまでに要する時間が変わらない場合には、減速制御を選択する。また、タイミングA、タイミングBの算出、これらの差の算出が不能となった場合には、減速制御を選択する。状況を変化させるために要する時間を短縮するメリットよりも、加減速のいずれが好ましいかを判断するために要する処理コストを低減するメリットを優先させる。これにより、加減速の判断を迅速かつ適切に行うことができる。
運転支援プロセッサ10は、さらに、加減速をしない場合に自車両V1と他車両V2との相対距離が所定値以上となるタイミングCを算出する。上記タイミングAまでの時間、タイミングBまでの時間と、タイミングCまでの時間との差が所定値未満である場合には、加減速の制御を実行しない。例えば、遠方から相対速度の高い他車両V2が接近する場面においては、他車両V2は短時間で自車両V1を追い越して走り去る。このような場合には、タイミングCまでの時間はタイミングA、タイミングBまでの時間よりも短い。このような場面においては、加減速の制御を実行しない。状況を変化させるために要する時間を短縮するメリットよりも、現在の交通流を維持するメリットを優先させる。これにより、加減速の制御処理を実行するか否かの判断を迅速かつ適切に行うことができる。
また、第2車線L2を複数の他車両V1,V2,V3が走行している場合には、これらをグループ化し、図5に破線で示すように、一つの他車両(車群)V´として扱う。この場合、車群である他車両V´の速度は、他車両V1,V2,V3の車速の最大値、中央値、平均値、又は先頭の他車両V1の車速を車群V´の速度とみなす。車群である他車両V´との距離は、他車両V1,V2,V3との距離の最小値(最も接近している他車両との距離を車群V´の速度とみなす。
運転支援プロセッサ10は、車速制御を加速又は減速のいずれにするかを決定した後、具体的な加減速の速度を算出する。車両の挙動を安定させる観点から、この加減速前後の速度の変化量は、所定の上限値未満となるようにする。自車両V1と他車両V2との相対距離の関係を迅速に変化させる観点から、この加減速前後の速度の変化量は、所定の下限値以上となるようにしてもよい。
車線変更行動の運転計画を実行する前に自車両V1の車速を制御することにより、予め車線変更の実行条件が充足されやすいように自車両V1と他車両V2との関係を調節できる。これにより、第2タイミングにおいて実行される可能性(成功率)を向上させることができる。
また、車線変更行動の運転計画を立案する前に自車両V1の車速を制御することにより、運転計画立案前から、自車両V1と他車両V2との関係を調節できる。事前に、車線変更の実行条件が充足されやすいように自車両V1と他車両V2との関係を調節するので、第1タイミングにおいて車線変更の運転計画が立案されやすく、第2タイミングにおいて車線編子の運転計画が実行される可能性(成功率)を向上させることができる。
運転支援プロセッサ10は、予備行動として自車両V1の車速を制御した後の第2タイミングにおいて、第2制御指令を生成する。第2制御指令は、自車両V1を第1車線から第2車線に移動させる車線変更行動の運転計画の立案指令である。第2制御指令は、自車両V1を第1車線から第2車線に移動させる車線変更行動の運転計画を実行させる実行指令であってもよい。運転支援プロセッサ10は、他車両V2を含む事象と自車両V1との関係が、予め設定された車線変更の実行条件を充足する場合には、自車両V1を第1車線から第2車線に移動させる車線変更行動のための運転計画の立案指令又は運転計画を実行させる実行指令である第2制御指令を生成して、自車両V1のコントローラに送出する。
運転支援プロセッサ10は、第1車線から別の第2車線に移動する可能性が第1閾値よりも高い第2閾値以上であると判断された場合には、車線変更行動のための第2制御指令を生成する。前述したとおり、車両V1が第1車線から別の第2車線に移動する可能性は、第1車線、第2車線に関する地図情報222に基づいて判断される。第1車線から別の第2車線に移動する可能性が第1閾値よりも高い場合には、自車両V1の車速を制御する予備行動のための第1制御指令を生成して自車両V1の速度制御を実行し、さらに、第1車線から別の第2車線に移動する可能性がさらに高まり、第2閾値(>第1閾値)よりも高い場合には、自車両V1を第1車線から第2車線に移動させる車線変更行動のための第2制御指令を生成して自車両V1の車線変更のための速度制御を実行する。
第1車線から別の第2車線に移動する可能性を判断基準とし、第1段階目の可能性が確認された場合には第1制御指令を生成して自車両V1の速度制御を実行し、その後、第2段階目の可能性が確認された場合には第2制御指令を生成して車線変更行動を立案・実行するので、状況に応じた車線変更の準備(予備行動)及び実行できる。
運転支援プロセッサ10は、自車両V1の乗員から車線変更行動の要求があった場合には、車線変更行動のための第2制御指令を生成する。乗員からの車線変更の要求に対しては迅速に対応することにより、乗員の希望に沿う運転を実行できる。
図5のフローチャートに基づいて、本実施形態の運転支援の制御処理について説明する。
ステップS1において、運転支援プロセッサ10は、事象に関する情報を取得する。運転支援プロセッサ10は、自車両V1の検出装置260が検出した状態情報を取得する。状態情報は、自車両V1の移動方向、自車両V1の操舵量、操舵方向、車速、加速度、及び姿勢の情報のうち一つ以上を含む。移動方向は、ナビゲーション装置220から取得してもよい。
同ステップS1において、運転支援プロセッサ10は、ナビゲーション装置220から自車両V1の走行経路(第1車線及び第2車線を含む)に関する情報を事象に関する情報として取得する。ナビゲーション装置220は、地図情報222からこれらの情報を取得する。
同ステップS1において、運転支援プロセッサ10は、障害物検出装置230が検出した障害物についての障害物情報を事象に関する情報として取得する。障害物情報は、障害物の存在位置、障害物が移動物体であるか静止物体であるかの情報、障害物が車両であるか歩行者であるかの情報、障害物の移動方向、移動速度、及び加速度のうち一つ以上を含む。運転支援プロセッサ10は、外部装置を介して又は直接的に、通信装置30を用いて、他車両の検出装置(検出装置260に相当する装置)の検出結果(移動方向、操舵量、操舵方向、車速、加速度、及び姿勢の情報)、他車両の識別情報を取得してもよい。
ステップS2において、運転支援プロセッサ10は、自車両V1が走行する経路に関する事象に基づいて、自車両V1が第1車線から第2車線に移動する可能性を判断する。この第2車線に移動する可能性が第1閾値以上であると判断された場合には、ステップS3に進む。
ステップS3において、運転支援プロセッサ10は、自車両V1の車速を制御する予備行動のための第1制御指令を生成する。本処理については、後述する図7のフローに従う。
ステップS4において、運転支援プロセッサ10は、第1制御指令を車両コントローラ210に送出する。車両コントローラ210は、第1制御指令を実行する。
ステップS5において、運転支援プロセッサ10は、車線変更のタイミングであるか否かを判断する。車線変更のタイミングは、車線変更の実行条件の充足/非充足により判断してもよいし、誘導経路において必要な右左折・分岐・合流の地点が所定距離以内となったか否により判断してもよい。
ステップS5において、運転支援プロセッサ10は、自車両V1を第1車線から第2車線に移動させる車線変更行動のための第2制御指令を生成し、第2制御指令を車両コントローラ210に送出する。
ステップS6において、車両コントローラ210は、第2制御指令を実行する。
図7に基づいて、ステップS3の第1制御指令の生成処理について説明する。
ステップS11において、運転支援プロセッサ10は、車線変更の実行が想定される地点を仮設定する。地点は、所定距離ごと/所定時間ごとに仮に設定してもよい。本実施形態では、この第1制御指令の生成を検討する地点を、車線変更の可能性の評価値が第1閾値以上であるか否かに基づいて判断してもよい。
ステップS12において、運転支援プロセッサ10は、ステップS1において取得した事象に関する情報を用いて、自車両V1を加速又は減速した場合に他車両V2との相対距離をシミュレーションする。
ステップS13において、運転支援プロセッサ10は、減速又は加速した場合に、他車両V2と自車両V1との関係が、予め設定された車線変更の実行条件を充足するまでの時間を算出する。自車両V1を加減速した場合に、車線変更の実行条件を充足するまでの時間が所定の閾値未満であるか否かを判断する。車線変更の実行条件を充足するまでの時間が長く、所定の閾値以上である場合には、ステップS18に進み、予備行動は行わないと判断し第1制御指令は生成しない。この場合、車速を変更しない旨の第1制御指令を生成して車両コントローラ210に送出してもよい。
ステップS14において、運転支援プロセッサ10は、車線変更の実行条件を充足するまでの時間が短く、所定の閾値未満である場合には、ステップS15に進む。ステップS14において、運転支援プロセッサ10は、加速した方が車線変更の実行条件を充足するまでの時間が短いか、減速した方が車線変更の実行条件を充足するまでの時間が短いかを判断する。加速した方が車線変更の実行条件を充足するまでの時間が短い場合には、ステップS16に進み、予備行動として加速により自車両V1の車速を制御する。他方、減速した方が車線変更の実行条件を充足するまでの時間が短い場合には、ステップS17に進み、予備行動として減速により自車両V1の車速を制御する。加速又は減速を判断した後は、ステップS19に進む。
ステップS19において、運転支援プロセッサ10は、第2車線に移動する可能性が高いほど、第1制御指令における自車両V1の車速の加減速の幅を大きくする。つまり、車速の変化量の上限を大きく設定する。
ステップS20において、運転支援プロセッサ10は、自車両V1の車速を制御する予備行動のための第1制御指令を生成して、自車両V1の車両コントローラ210に送出する。その後、図6のステップS4に進み、その後の処理を実行する。
本発明の実施形態の運転支援装置100及び本装置において実行される運転支援方法は、以上のように動作するので、以下の効果を奏する。
[1]本実施形態の運転支援方法は、経路の第1車線を走行する自車両V1と、第2車線を走行する他車両V2との関係に基づいて、自車両V1の車速を制御する予備行動のための第1制御指令を生成し、予め設定された車線変更の実行条件を充足する場合には、自車両V1を第1車線から第2車線に移動させる車線変更行動のための第2制御指令を生成する。車線変更行動の運転計画を立案する前に自車両V1の車速を制御することにより、予め車線変更の実行条件が充足されやすいように自車両V1と他車両V2との関係を調節し、自車両V1の側方に他車両V2が存在しないようにすることができる。これにより、第1タイミングにおいて立案された車線変更の運転計画が、第2タイミングにおいて実行される可能性(成功率)を向上させることができる。
「予備タイミング」において、自車両V1の車速を変更することにより、他車両V2との相対距離を変更させることにより、自車両V1の側方を空ける(他車両が存在しない状態)にすることができる。これにより、自車両V1と他車両V2との相対距離が所定値未満となる状態を解消し、後の第1タイミング(車線変更の運転計画立案のタイミング)及び第2タイミング(車線変更の実行タイミング)において、自車両V1が車線変更の実行条件を充足しやすくすることができる。この結果、車線変更の運転計画実行の成功率を向上させることができる。
[2]本実施形態の運転支援方法は、地図情報222から得た自車両V1が走行する経路に関する事象に基づいて、自車両V1が第1車線から第2車線に移動する可能性を判断し、第2車線に移動する可能性が第1閾値以上であると判断された場合には、予備行動のための第1制御指令を生成する。本発明によれば、第2車線に移動する可能性の評価値に基づいて、予備タイミングを判断することにより、地図情報222などの静的な情報(状況に応じて変化しない情報)から車線変更の可能性を判断するので、客観的な予備タイミングを適切に判断できる。
[3]本実施形態の運転支援方法は、第2車線に移動する可能性が高いほど、第1制御指令における自車両V1の車速の加減速の幅を大きく設定する。本方法によれば、自車両V1の車線変更の可能性が高い場合には車線変更の際の加減速の幅を大きく設定するので、自車両V1を迅速に移動させることができる。
[4]本実施形態の運転支援方法は、第2車線に移動する可能性が第1閾値よりも高い第2閾値以上であると判断された場合には、車線変更行動のための第2制御指令を生成する。本方法によれば、第1車線から別の第2車線に移動する可能性を判断基準とし、第1段階の可能性を満たす場合には第1制御指令を生成して自車両V1の速度制御を実行し、その後、第2段階の可能性を満たす場合には第2制御指令を生成して車線変更行動を立案・実行するので、状況に応じた車線変更の準備(予備行動)及び実行できる。
[5]本実施形態の運転支援方法は、自車両V1の乗員から車線変更行動の要求があった場合には、車線変更行動のための第2制御指令を生成する。本方法によれば、乗員からの車線変更の要求に対しては迅速に対応することにより、乗員の希望に沿う運転を実行できる。
[6]本実施形態の運転支援装置100は、上述した運転支援方法と同様の作用効果を奏する。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。