JP6811560B2 - 両連続構造を有する外相中に油中水型エマルションが分散されてなる多相エマルション及びその製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、トラネキサム酸エステル又はその塩は、水及び油に対する溶解度が低いために製剤中で凝集物を形成しやすく、製剤中に安定な状態で分散させることが難しいといった課題がある。
上記の課題に対し、出願人は、トラネキサム酸エステル塩、所定の両親媒性物質、油剤及び水等を混合することによって、水相及び油相がそれぞれ、三次元的に連続した両連続構造を有する組成物が得られ、該組成物中にトラネキサム酸エステル塩を安定な状態で分散させることができることを見出した。さらに、この組成物中に油剤を添加することによって、両連続構造を有する外相中に油相が分散された、極めて安定な乳液またはクリーム状のエマルションが得られることを見出した(特開2016−056151号公報(特許文献4))。この発明によれば、トラネキサム酸エステル塩を安定な状態で分散させることができ、皮膚に塗布した時にトラネキサム酸エステル塩が皮膚へ浸透しやすくなり、トラネキサム酸エステル塩の美白効果を高めることが期待される。出願人はさらに、エマルションに添加する油剤の量を増加させるに従って、エマルションの安定性が向上し、トラネキサム酸エステル塩の相転移温度を下げることができることを見出した。トラネキサム酸エステル塩の相転移温度が、皮膚の表面温度(約32℃)を下回ると、エマルションを皮膚に塗布した時にトラネキサム酸エステル塩が、エマルション中に液体状態で存在することができることから、皮膚への浸透性が向上することが示唆され、トラネキサム酸エステル塩の美白効果をさらに高めることが期待される。
しかし、トラネキサム酸エステル塩の相転移温度を十分に下げようとすると、油剤の添加量が増えていき、油性感が増していくというトレードオフの関係にあった。
外相が、
A)トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩;
B)炭素数12〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコール、及び、炭素数8〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコールとグリセリンとのモノ又はジエーテルであるアルキルグリセリルエーテルの組み合わせから選ばれる両親媒性物質;
C)油剤;及び
D)水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物
を含み、
分散相である油中水型エマルションが、
E)親油型ノニオン性界面活性剤
F)油剤;及び
G)水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物
を含み、多相エマルションの全質量に対して、外相を構成する成分の含有量の合計が55〜95質量%であり、分散相を構成する成分の含有量の合計が5〜45質量%であり、分散相である油中水型エマルションにおける内相の比率が60質量%以上である、多相エマルション。
[2]トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩におけるトラネキサム酸エステルが、下記式(1):
で示される、[1]記載の多相エマルション。
[3]成分Aのトラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩がトラネキサム酸セチルエステル塩酸塩を含む、[1]または[2]記載の多相エマルション。
[4]成分Bの両親媒性物質が、セチルアルコールと、キミルアルコール及びバチルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種との組み合わせである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の多相エマルション。
[5]多相エマルションの全質量に対して、成分Aの含有量が0.5〜10質量%であり、成分Bの含有量が0.5〜10質量%であり、成分Cの含有量が1〜25質量%であり、且つ、成分A、B及びCの合計含有量が5〜50質量%である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の多相エマルション。
[6]成分Eの親油型ノニオン性界面活性剤が、炭素鎖長6〜22を有するモノアルキルグリセリルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル;ポリエーテル変性シリコーン;及びポリグリセリン変性シリコーンから選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の多相エマルション。
[7]外相が、任意成分として、pH調整剤をさらに含むものである、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の多相エマルション。
[8]pH調整剤が、ルイス塩基から選ばれるものである、[7]記載の多相エマルション。
[9][1]〜[8]のいずれか一項に記載の多相エマルションの製造方法であって、
A)トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩;
B)炭素数12〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコール、及び、炭素数8〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコールとグリセリンとのモノ又はジエーテルであるアルキルグリセリルエーテルの組み合わせから選ばれる両親媒性物質;及び
C)油剤
を含む油相を調製する工程と、
前記油相を
D)水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物
を含む水相に添加して両連続構造を有する外相を形成する工程と、
前記外相中に
E)親油型ノニオン性界面活性剤
F)油剤;及び
G)水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物
を含む油中水型エマルションを添加して分散相を形成する工程を含む、方法。
[10][1]〜[8]のいずれか一項に記載の多相エマルションを含む外用組成物。
[11]しみ又は色素沈着を薄くするために皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白するための[1]〜[8]のいずれか1項に記載の多相エマルションの化粧料としての使用。
[12][1]〜[8]のいずれか一項に記載の多相エマルションを皮膚に局所適用することを含む、皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白するための化粧方法。
本発明の好ましい態様によれば、トラネキサム酸エステル塩をエマルション中に安定な状態で分散させることができ、さらには油性感を抑えながら、トラネキサム酸エステル塩の相転移温度を下げることができるので、皮膚に塗布した時にトラネキサム酸エステル塩が皮膚へ浸透しやすくなり、それによってトラネキサム酸エステル塩の美白効果が高まるものと期待される。
外相が、
A)トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩;
B)炭素数12〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコール、及び、炭素数8〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコールとグリセリンとのモノ又はジエーテルであるアルキルグリセリルエーテルの組み合わせから選ばれる両親媒性物質;
C)油剤;及び
D)水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物
を含み、
分散相である油中水型エマルションが
E)親油型ノニオン性界面活性剤
F)油剤;及び
G)水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物
を含み、多相エマルションの全質量に対して、外相を構成する成分の含有量の合計が55〜95質量%であり、分散相を構成する成分の含有量の合計が5〜45質量%であり、分散相である油中水型エマルションにおける内相の比率が60質量%以上であることを特徴としている。
外相が両連続構造を有していることは、例えば、cryo−集束イオンビーム走査型電子顕微鏡(cryo−FIB−SEM)を用いて外相の組成物の凍結断面観察を行うことにより確認することができる。また、エネルギー分散型X線分析(EDX)を用いて任意元素の分布状態をマッピングすることにより確認することもできる。
本発明に用いるトラネキサム酸エステル塩におけるトラネキサム酸エステルは、下記式(1)で示されるものが好ましい。
炭化水素基は、非環式であってもよいし、環式であってもよい。炭化水素基が非環式の場合には、直鎖でもよいし、分岐鎖でもよい。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルジエニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキルアルキル基などが含まれる。これらの中でも、アルキル基が好ましい。炭素数は8〜20が好ましく、特に12〜18が好ましい。
トラネキサム酸エステル塩は1種単独で用いても、2種以上用いてもよい。
本発明に用いる両親媒性物質は、炭素数12〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコール、及び、炭素数8〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコールとグリセリンとのモノ又はジエーテルであるアルキルグリセリルエーテルの組み合わせから選ばれる。本発明においては、炭素数12〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコール、及び、炭素数8〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコールとグリセリンとのモノ又はジエーテルであるアルキルグリセリルエーテルを組み合わせて用いることにより、外相が両連続構造を形成することができる。
具体的には、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等が好ましく用いられる。これらの中でも、直鎖の飽和アルコールが好ましく、ラウリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール及びオレイルアルコールがより好ましく、セチルアルコール、セトステアリルアルコール及びステアリルアルコールがさらに好ましく、セチルアルコールが特に好ましい。
アルキルグリセリルエーテルとしては、グリセリルモノステアリルエーテル(バチルアルコール)、グリセリルモノセチルエーテル(キミルアルコール)、モノオレイルグリセリルエ一テル(セラキルアルコール)、モノベヘニルグリセリルエーテル、モノ2−エチルヘキシルグリセリルエーテル、モノイソステアリルグリセリルエーテル、モノカプリルグリセリルエーテル、モノイソデシルグリセリルエーテル、モノイソステアリルジグリセリルエ−テル、グリセリンモノ2−エチルヘキシルエ−テル等が挙げられる。
これらの中でも、モノステアリルグリセリルエーテル(バチルアルコール)、グリセリルモノセチルエーテル(キミルアルコール)、モノオレイルグリセリルエ一テル(セラキルアルコール)が好ましい。
本発明に用いる油剤は、水に不溶性又は難溶性で、且つ、油に溶解しやすい性質を有する物質であれば特に制限されない。本発明において成分Cとして用いる油剤としては、外用組成物に汎用されている低粘性の液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油、合成エステル油、シリコーン油、シリコーンエラストマーなどが好ましく挙げられる。
固体油脂(室温(25℃)において固体状態の油脂)としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
本発明の多相エマルションにおいては、成分Dとして、水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物を用いる。
水溶性有機溶媒は、特に制限されなく、外用組成物において汎用されているものを好ましく使用することができる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール(好ましくは炭素数1〜5のアルコール);エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は、1種単独で用いても、2種以上用いてもよい。
本発明に用いる親油型ノニオン性界面活性剤(成分E)としては、外用組成物に一般的に用いられているものを使用することができる。具体的には、炭素鎖長6〜22、好ましくは炭素鎖長12〜22を有する、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルまたはモノアルキルグリセリルエーテル;ポリエーテル変性シリコーン;及びポリグリセリン変性シリコーン等が挙げられる。これらの中でも、炭素鎖長6〜22、好ましくは炭素鎖長12〜22を有するモノアルキルグリセリルエーテル;ポリエーテル変性シリコーン;及びポリグリセリン変性シリコーンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、ジラウリン酸スクロース、ポリラウリン酸スクロース、ポリパルミチン酸スクロース、ジステアリン酸スクロース、トリステアリン酸スクロース、ポリステアリン酸スクロース、ポリオレイン酸スクロース、ペンタエルカ酸スクロース、ヘキサエルカ酸スクロース、トリベヘン酸スクロース等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノオレイン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、ペンタオレイン酸ヘキサグリセリル、ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル、ペンタヒドロキシステアリン酸デカグリセリル、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル、ペンタオレイン酸デカグリセリル、ヘプタオレイン酸デカグリセリル、ポリリシノレイン酸デカグリセリル等が挙げられる。
モノアルキルグリセリルエーテルとしては、例えば、キミルアルコール(グリセリンモノセチルエーテル)、セラキルアルコール(グリセリンモノオレイルエーテル)、バチルアルコール(グリセリンモノステアリルエーテル)、オレイルグリセリルエーテル、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
油剤(成分F)としては、水に不溶性又は難溶性で、且つ、油に溶解しやすい性質を有する物質であれば特に制限されない。本発明において成分Fとして用いる油剤としては、外用組成物に汎用されている低粘性の液体油脂、固体油脂、ロウ類、炭化水素油、合成エステル油、シリコーン油、シリコーンエラストマーなどが好ましく挙げられる。具体例としては、油剤(成分C)として例示したものと同じものが挙げられる。
具体的には、メトキシケイヒ酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、ホモサレート、オクチルサリシレート、オキシベンゾン、4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、オクチルトリアゾン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸−2’−エチルヘキシルエステル、ポリシリコーン−15、ドロメトリゾールポリシロキサン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸及びパーフルオロポリメチルイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
これらの油剤は、1種単独で用いても、2種以上用いてもよい。
水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物(成分G)としては、成分Dとして例示したものと同じものが挙げられる。
水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合物(成分G)の含有量は、多相エマルションの全質量に対して、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、また、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。中でも、1〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。
また、分散相である油中水型エマルションの配合量は、多相エマルションの全質量に対して、合計で5〜45質量%であり、7質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、また、40質量%以下が好ましく、35質量%以下がより好ましく、25質量%以下がさらに好ましい。中でも、7〜40質量%が好ましく、10〜35質量%がより好ましく、15〜25質量%がさらに好ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、本発明の多相エマルションは、皮膚に塗布した時に摩擦によって分散相である油中水型エマルション中の水性成分(成分G)が表面付近に移動することによりみずみずしい使用感を与えることができる。
ルイス塩基としては、例えば、含窒素塩基性化合物またはその塩類、カルボン酸類、アルコール類等を挙げることができる。中でも、含窒素塩基性化合物を用いることが好ましい。
含窒素塩基性化合物としては、具体的には、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリi−プロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリn−ヘキシルアミン、トリエタノールアミン、トリフェニルアミン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、ジフェニルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ピロリジン、ピペリジン等のアミン化合物;
イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、チアベンダゾール等のイミダゾール化合物;
ピリジン、2−メチルピリジン、4−エチルピリジン、2−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド(ナイアシンアミド)、キノリン、アクリジン等のピリジン化合物;
プリン、1,3,5−トリアジン、トリフェニル−1,3,5−トリアジン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ウラゾール等の他の含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
ルイス塩基は、1種単独で用いても、2種以上用いてもよい。
なお、ルイス塩基以外のpH調整剤、例えば、水酸化ナトリウムやアルギニンに代表されるイオン性塩基であっても、低濃度であれば水酸化物イオンの影響を受けにくく、トラネキサム酸エステル塩が結晶として析出することなく、任意のpH値にまで上昇させることができる。
pH調製剤の使用量は、本発明の多相エマルションのpHを所望の領域にする量であればよく、pH調製剤の種類によって適宜決定すればよい。
中でも、トラネキサム酸エステル塩と相溶性が良いノニオン性又はカチオン性の水溶性高分子からなる群から選ばれる水溶性高分子が好ましい。とりわけ、ローカストビーンガム、グァーガム、タラガム、タマリンドガム及びヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロイルエステルからなる群から選ばれる水溶性高分子が好ましい。さらに好ましくは、非イオン性会合型増粘剤が挙げられる。非イオン性会合型増粘剤は、感触に影響を与えることのない少量の添加により、両連続構造を維持するだけの十分な増粘効果を与えることができる。具体例としては、ジステアリン酸PEG−150、ジステアリン酸PEG−250などのポリオキシエチレンジステアレートや(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマーなどの疎水変性ポリエーテルウレタン等が挙げられる。
酢酸トコフェロール、ソルビン酸トコフェロール、その他のトコフェロールのエステルなどのトコフェロール及びその誘導体;ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)及びブチルヒドロキシアニソール(BHA);没食子酸エステル;リン酸;クエン酸;マレイン酸;マロン酸;スクシン酸;フマル酸;ケファリン;ヘキサメタリン酸塩;フィチン酸;エチレンジアミンテトラ酢酸:及びアイリッシュモス(Chondrus crispus)、ロディオラ属(Rhodiola)、高度好熱菌、マテ茶葉、オーク材、カユ・ラペ樹皮(kayu rapet bark)、サクラ葉、イランイラン葉(ylang ylang leaves)などの植物エキスが挙げられる。
有機日焼け防止剤としては、ブチルメトキシジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン誘導体(HOFFMANN LA ROCHEより「Parsol 1789」の名称で市販されているものなど);メトキシケイヒ酸オクチルなどのケイヒ酸誘導体(HOFFMANN LA ROCHEより「Parsol MCX」の名称で市販されているものなど);サリチル酸塩;パラアミノ安息香酸;β,β’−ジフェニルアクリレート誘導体;ベンゾフェノン誘導体;テレフタリリデンジカンファースルホン酸などのベンジリデンカンファー誘導体;フェニルベンジイミダゾール誘導体;トリアジン誘導体;フェニルベンゾトリアゾール誘導体;アントラニル酸誘導体などが挙げられる。これらは被覆又はカプセル化されていてもよい。
無機日焼け防止剤としては、顔料あるいは金属酸化物を任意に被覆してなるナノ顔料などが挙げられる。ナノ顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムなどが挙げられる。これらの化合物はいずれもUV光防御剤としてよく知られている。
これらの任意成分の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲であれば特に制限されない。
A)トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩;
B)炭素数12〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコール、及び、炭素数8〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコールとグリセリンとのモノ又はジエーテルであるアルキルグリセリルエーテルの組み合わせから選ばれる両親媒性物質;及び
C)油剤
を含む油相を調製する工程と、
前記油相を
D)水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物
を含む水相に添加して両連続構造を有する外相を形成する工程と、
前記外相中に
E)親油型ノニオン性界面活性剤
F)油剤
G)水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物
を含む油中水型エマルションを添加して分散相を形成する工程を含む方法によって製造することができる。以下、各工程について説明する。
油相は、加熱して完全に溶解しておくことが好ましい。加熱温度は65〜95℃の範囲が好ましく、75〜90℃の範囲がより好ましく、80〜85℃の範囲が特に好ましい。
上記のとおり、本発明の方法によれば、特殊な装置を用いることなく、通常の攪拌操作により両連続構造を有する外相を形成することができる。
なお、油相及び水相にはそれぞれ、組成物の安定性を阻害しないことを条件としてあらかじめ油溶性または水溶性の任意成分が添加されていてもよい。
分散相を構成する各成分の好ましい配合量については、既に説明したとおりであり、分散相を構成する成分の含有量の合計は、多相エマルションの全質量に対して、5〜45質量%であり、10〜35質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の多相エマルションを化粧料(特に乳液及びクリームなど)などの外用組成物として用いることにより、皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白して、しみ又は色素沈着を薄くすることができるといった効果を得ることができる。
エマルションの調製と物性評価
表1に示す組成でエマルションを次のとおり調製した。なお、攪拌は、攪拌棒を用いて手で攪拌した。
1)成分A、B及びCを含む油相に、成分Dのうち、ジプロピレングリコール(3質量%)及び精製水(3質量%)を混合し、85±5℃に加温し、攪拌しながら、これらの成分を完全に溶解した。
2)次に、残りの成分Dを含む水相を85±5℃に加温し、十分に攪拌しながら、上記1)で得られた混合物を徐々に加え、均一化した。
3)その後、上記2)で得られた混合物を攪拌しながら25±5℃以下まで自然冷却し、透明から半透明な外観を有する液体状態の組成物を得た。
4)次に、成分E及びFを室温(25±5℃)で混合し、攪拌しながら、これらの成分を完全に溶解した。
5)続いて、成分Gを十分に攪拌しながら、上記4)で得られた混合物を徐々に加え、均一化し、乳白色な外観を有するゲル状態の組成物を得た。
6)次に、上記3)で得られた組成物に、室温(25±5℃)に保持した上記5)で得られた組成物を、十分な攪拌を加えながら添加してエマルションを得た。得られたエマルションについて、下記のとおり物性を評価した。結果を表1に示す。
得られた多相エマルションは、cryo−集束イオンビーム走査型電子顕微鏡(cryo−FIB−SEM)(FEI社製、型式[HeliosNanoLab 650])を用いて凍結断面観察を行うことにより確認することができる。具体的には、得られた多相エマルションを液体窒素により瞬間凍結させた後、FIB−SEM装置内に導入し、FIB処理により切断面を得てcryo−SEM観察を行う。また、同時にエネルギー分散型X線分析(EDX)を用い任意元素の分布状態をマッピングすることにより、より詳細なエマルション状態を確認することができる。
[2]静・動摩擦係数
静・動摩擦測定は、装置(Trinity Lab社製、Tribo master TL201Ts)を用いて、滑り幅30mm、滑り速度10mms−1、垂直荷重3.061Nの条件にて測定した。各サンプルは5回繰り返し測定を行った。
[3]相転移温度(℃)
X線回折(XRD)測定を実施し、2θ=22°近傍のピークをα-ゲルの指標とし、そのピークが消失した温度を、同時に測定している示差走査熱量(DSC)測定法(装置:リガク社製、型式[多目的X線回折装置 SmartLab-XRD-DSC]、昇温速度2℃/分)による熱分析により相転移温度(℃)として求めた。
[4]官能評価(みずみずしさ)
得られたエマルションについてエキスパート評価者15名により官能評価を行った。評価基準は以下のとおりとし、平均4以上を「A」、3以上4未満を「B」、3未満を「C」とした。
1:感じない
2:ほとんど感じない
3:どちらでもない
4:やや感じる
5:感じる
[5]安定性
200mLの透明ガラス製管瓶に得られたエマルションを満注し、室温(25±5℃)及び40℃の条件下でそれぞれ3ヶ月間静置し、外観を目視にて評価した。室温及び40℃の条件下でいずれも3ヶ月間初期の状態を維持している場合を「A」とし、室温または40℃の条件下のいずれかで3ヶ月以内に分離した場合を「B」とし、室温及び40℃の条件下でいずれも数日以内分離した場合を「C」として評価した。
表2に示す組成でエマルションを次のとおり調製した。なお、攪拌は、攪拌棒を用いて手で攪拌した。
1)成分A及びDを混合し、85±5℃に加温し、攪拌しながら、これらの成分を完全に溶解した。
2)次に、成分B、C、E及びFを混合し、85±5℃に加温し、十分に攪拌しながら、上記1)で得られた混合物を徐々に加え、均一化した。
3)その後、上記2)で得られた混合物を攪拌しながら25±5℃以下まで自然冷却し、乳白色な外観を有するエマルション組成物を得た。得られたエマルションについて、実施例と同様の方法で物性を評価した。結果を表2に示す
表2に示す組成でエマルションを次のとおり調製した。なお、攪拌は、攪拌棒を用いて手で攪拌した。
1)成分A、B及びCを含む油相に、成分Dのうち、ジプロピレングリコール(3質量%)、精製水(3質量%)を混合し、85±5℃に加温し、攪拌しながら、これらの成分を完全に溶解した。
2)次に、残りの成分Dを含む水相を85±5℃に加温し、十分に攪拌しながら、上記1)で得られた混合物を徐々に加え、均一化した。
3)その後、上記2)で得られた混合物を攪拌しながら25±5℃以下まで自然冷却し、透明から半透明な外観を有する液体状態の組成物を得た。
4)次に、上記3)で得られた組成物に、室温(25±5℃)に保持した成分E及びFを表2に記載した量比で混合し、十分な攪拌を加えながら添加してエマルションを得た。得られたエマルションについて、実施例と同様の方法で物性を評価した。結果を表2に示す。
表2に示す組成を用いたことを除いて、実施例と同様の方法でエマルションを調製し、その物性を評価した。結果を表2に示す。
Claims (12)
- 両連続構造を有する外相中に油中水型エマルションが分散されてなる多相エマルションであって、
外相が、
A)トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩;
B)炭素数12〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコール、及び、炭素数8〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコールとグリセリンとのモノ又はジエーテルであるアルキルグリセリルエーテルの組み合わせから選ばれる両親媒性物質;
C)油剤;及び
D)水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物
を含み、
分散相である油中水型エマルションが、
E)親油型ノニオン性界面活性剤
F)油剤;及び
G)水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物
を含み、多相エマルションの全質量に対して、外相を構成する成分の含有量の合計が55〜95質量%であり、分散相を構成する成分の含有量の合計が5〜45質量%であり、分散相である油中水型エマルションにおける内相の比率が60質量%以上である、多相エマルション。 - トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩におけるトラネキサム酸エステルが、下記式(1):
[式中、Rは、水酸基及びアミノ基から選ばれる置換基で置換されていてもよい炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖を有する飽和又は不飽和の炭化水素基を表す。]
で示される、請求項1記載の多相エマルション。 - 成分Aのトラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩がトラネキサム酸セチルエステル塩酸塩を含む、請求項1または2記載の多相エマルション。
- 成分Bの両親媒性物質が、セチルアルコールと、キミルアルコール及びバチルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種との組み合わせである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の多相エマルション。
- 多相エマルションの全質量に対して、成分Aの含有量が0.5〜10質量%であり、成分Bの含有量が0.5〜10質量%であり、成分Cの含有量が1〜25質量%であり、且つ、成分A、B及びCの合計含有量が5〜45質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の多相エマルション。
- 成分Eの親油型ノニオン性界面活性剤が、炭素鎖長6〜22を有するモノアルキルグリセリルエーテル;ポリエーテル変性シリコーン;及びポリグリセリン変性シリコーンから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の多相エマルション。
- 外相が、pH調整剤をさらに含むものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の多相エマルション。
- pH調整剤が、ルイス塩基から選ばれるものである、請求項7記載の多相エマルション。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の多相エマルションの製造方法であって、
A)トラネキサム酸エステルの生理学的に許容される塩;
B)炭素数12〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコール、及び、炭素数8〜22を有する直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のアルコールとグリセリンとのモノ又はジエーテルであるアルキルグリセリルエーテルの組み合わせから選ばれる両親媒性物質;及び
C)油剤
を含む油相を調製する工程と、
前記油相を
D)水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物
を含む水相に添加して両連続構造を有する外相を形成する工程と、
前記外相中に
E)親油型ノニオン性界面活性剤
F)油剤;及び
G)水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合物
を含む油中水型エマルションを添加して分散相を形成する工程を含む、方法。 - 請求項1〜8のいずれか一項に記載の多相エマルションを含む外用組成物。
- しみ又は色素沈着を薄くするために皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白するための請求項1〜8のいずれか1項に記載の多相エマルションの化粧料としての使用。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の多相エマルションを皮膚に局所適用することを含む、皮膚を色素沈着抑制及び/又は美白するための化粧方法。
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