JP6820582B2 - コーティング方法 - Google Patents

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Description

本明細書によって開示される技術は、コーティング方法に関する。
スマートフォンやタブレット端末などのタッチパネル搭載機器では、取扱時に指やタッチパネル用ペンで操作を行うため、表面に傷が付かないよう保護する必要がある。このため、タッチパネルの最表面にはカバーシートが配置されている。カバーシートとして、ガラスや樹脂からなる基材の表面に、コーティングによってハードコート層が形成された部材が用いられている(特許文献1参照)。
特開2016−18063号公報
ところで、近年、意匠性の向上等を目的として、タッチパネルの周縁部に湾曲面を有する機器が開発されている。このような機器に用いられるカバーシートを製造する場合には、湾曲部を有する基材にコーティング層を形成することとなる。
被塗面に平坦ではない部分を有する基材にコーティング層を形成する方法として、静電塗装が考えられる。静電塗装は、被塗物をアース極とし、塗装装置側の電極を陰極とし、これらの間に高電圧を加えることにより静電界(電気力線)を形成させるとともに、塗料粒子をマイナスに帯電させ、静電気力によって被塗物に塗料を効率良く塗着させる方法である。静電塗装では、塗料が電気力線に沿って移動するため、基材において噴霧ノズルに正対する面だけではなく、側面や背面にも塗料が回り込んで付着するという利点がある。
ここで、静電塗装の被塗物は、アース極となるため、導電性を有することが必要である。非導電性の被塗物に静電塗装を実施する場合、一般に、導電性プライマーを下塗りして被塗面に導電性を付与するなどの対応がとられる。しかし、被塗物の用途によっては、導電性プライマーの使用が許されない場合があり、上記したタッチパネル用のカバーシートもその一例である。このような、非導電性であり、かつ、被塗面に平坦ではない部分を有する被塗物に対して、導電性プライマーを用いることなく、均一にコーティング層を形成する技術は、十分に確立されているとは言えず、改善の余地がある。
本明細書によって開示されるコーティング方法は、非導電性材料により構成された基材にコーティング層を形成するためのコーティング方法であって、前記基材が、前記コーティング層が形成されるコーティング面を有し、前記コーティング面が非平坦な部分を有しており、導電性材料により構成され、接地された支持部材を、前記基材において前記コーティング面とは反対側の支持面に密着するように配する基材配置工程と、帯電されたコーティング剤を、静電塗装法によって前記コーティング面に塗布して前記コーティング層を形成する成膜工程とを含む。
また、本明細書によって開示されるタッチセンサ用カバーシートの製造方法は、非導電性材料により構成されたシート状の基材にコーティング層を形成してカバーシートを製造する方法であって、前記基材の表裏両面のうち一面が、前記コーティング層が形成されるコーティング面となっており、前記コーティング面が非平坦な部分を有しており、導電性材料により構成され、接地された支持部材を、前記基材において前記コーティング面とは反対側の支持面に密着するように配する基材配置工程と、帯電されたコーティング剤を、静電塗装法によって前記コーティング面に塗布して前記コーティング層を形成する成膜工程とを含む。
上記の構成によれば、成膜対象物である基材は、非導電性の部材であるため、導電性材料からなる支持部材を基材の支持面に密着させ、接地することによりアース極としている。これにより、塗装装置側の陰極と支持部材との間に静電界(電気力線)を形成させ、静電塗装を行うことができる。基材において噴霧ノズルに正対する面だけではなく、側面や背面にもコーティング剤が回り込んで付着する、という静電塗装の利点を生かし、非平坦な部分を含むコーティング面の全体に、品質の良いコーティング層を形成することができる。
本明細書によって開示される技術によれば、非導電性の基材に対し、非平坦な部分を含むコーティング面の全体に、品質の良いコーティング層を形成することができる。
実施形態において、基材を支持部材にセットした様子を示す斜視図 実施形態において、基材を支持部材にセットした様子を示す正面図 実施形態の基材の正面図 実施形態のカバーシートの部分拡大正面図 実施形態の塗装装置の構成を示す概略図 実施形態の支持部材の正面図 実施形態において、基材にコーティング液が噴霧される様子を示す概略正面図 実施形態において、基材にコーティング液が噴霧される様子を示す概略平面図 試験例2において、基材にコーティング液が噴霧される様子を示す概略正面図 試験例3において、基材にコーティング液が噴霧される様子を示す概略正面図 試験例3において、基材にコーティング液が噴霧される様子を示す概略平面図
[実施形態]
実施形態を、図1〜図8を参照しつつ説明する。
本実施形態では、合成樹脂製の基材2にコーティングを行って、スマートフォンやタブレット端末などのタッチパネル搭載機器に用いられるカバーシート1を製造する方法を例にとり説明する。
本実施形態の基材2は、ポリカーボネートなどの合成樹脂からなり、図1および図3に示すように、平板な長方形の板状の平坦部3と、平坦部3の一対の長辺のそれぞれから、平坦部3に対して略垂直に延びる一対の側壁部4、4とを有し、全体として浅いU字溝状に構成されている。平坦部3と一対の側壁部4、4のそれぞれとで構成される角部5、5は丸められて、なだらかに湾曲している。一対の側壁部4のそれぞれは、平坦部3の一対の長辺のそれぞれの全長にわたって延びている。
基材2の外側面(凸面)が、コーティング層6が形成されるコーティング面2Fcである。コーティング面2Fcは、図4に示すように、平坦部3の外側面である平坦面2Fc1と、湾曲する2つの角部5、5のそれぞれの外側面である湾曲面2Fc2(非平坦な部分に該当)と、2つの側壁部4、4のそれぞれにおいて、角部5よりも先端側の部分の外側面である立面2Fc3(非平坦な部分に該当)とを有している。
本実施形態の塗装装置10は、静電塗装法によって基材2の表面にコーティング層6を形成するための装置であって、図5に示すように、成膜室11の内部に設置された噴霧ノズル12およびステージ13と、ステージ13上に載置されて基材2を支持する支持部材21と、噴霧ノズル12に接続された液供給部14および電圧印加部17を備えている。
ステージ13は、成膜室11の内部に水平に設置された厚板状の部材である。
噴霧ノズル12は、静電塗装によるコーティング剤25の噴霧に用いられるノズルであり、成膜室11の内部に、噴霧口をステージに向けて設置されている。噴霧ノズル12は、図示しない走査装置によって、水平方向(XY方向)に走査されるようになっている。噴霧ノズル12は、内部に、内部電極(図示せず)を備えている。
液供給部14は、内部に液状のコーティング剤25が貯留された貯留容器15と、この貯留容器15と噴霧ノズル12とを接続する送液管16とを備えている。液供給部14の内部のコーティング剤25は、図示しない送液装置(ポンプ等)によって、設定された流量で噴霧ノズル12に送液される。
電圧印加部17は、噴霧ノズル12の内部電極に所定の電圧を印加する装置である。噴霧ノズル12に送液されたコーティング剤25は、内部電極と接触することで帯電し、噴霧ノズル12の先端から噴霧される。
支持部材21は、図6に示すように、支持本体22と、この支持本体22に接続されたアース線24とを備えている。支持本体22は、金属などの導電性の材料からなり、図1に示すように、基材2の内部に嵌まり込む形状を有している。
具体的には、支持本体22は、厚みのある板状の部材であって、図1、図3および図6に示すように、幅Wsは、基材2の幅Wb(2つの側壁部4、4間の距離)と等しく、長さLsは、基材2の長さLb(平坦部3の2つの短辺(側壁部4、4が配されていない2つの端縁)間の距離)と等しく、高さHsは、基材2の高さHb(平坦部3を延長した延長面Feと、側壁部4の延出端4Eとの距離)よりも高くなっている。図6に示すように、支持本体22の上面と、この上面に対して垂直に延び、互いに向かい合う一対の側面のそれぞれとによって構成される角部23、23は、面取りされて、基材2の角部5、5の湾曲形状と整合する湾曲形状となっている。支持本体22の上面と、2つの角部5、5と、一対の側面のうち上面に近い一部が、基材2の支持面2Fsに当接する当接面22Fとなっている。
基材2が支持本体22に支持された状態では、図1および図2に示すように、当接面22F側の約半分が、基材2の内側に丁度嵌まり込み、当接面22Fの全体が、基材2においてコーティング面2Fcと反対側の面(支持面2Fs)の全体に密着している。支持本体22において、下面(ステージ13と当接する面)側の約半分は、基材2の2つの側壁部4、4の延出端4E、4Eから平坦部3と反対側に(図2の下側に)はみ出すようになっている。一方、支持本体22の一対の側面は、基材2の一対の側壁部4、4に揃うように配置され、外方(図2の側方)にはみ出す部分がないようにされている。また、支持本体22の他の一対の側面は、平坦部3の一対の短辺に揃うように配置され、外方(図1の左下方および右上方)にはみ出す部分がないようにされている。
支持本体22にはアース線24が接続されており、このアース線24によって支持本体22が接地されている。
次に、上記の構成の塗装装置10を用いて、基材2にコーティング層6を形成してカバーシート1を製造する手順について説明する。
まず、ステージ13上に支持本体22を、当接面22Fを上側に向けて(噴霧ノズル12に対向するようにして)載置し、アース線24によって接地する。次に、支持本体22上に基材2を載置する(基材配置工程)。基材2が支持本体22に支持された状態では、当接面22Fが、基材2の支持面2Fsに密着し、支持本体22における当接面22F側の約半分が、基材2の内側に嵌まり込む。また、当接面22Fとは反対側(ステージ13側)の残り半分が、基材2から、噴霧ノズル12とは反対側にはみ出している。
基材2をセットしたら、図7および図8に示すように、基材2に対する噴霧ノズル12の位置を少しずつずらしながら噴霧ノズル12を複数回往復走査し、コーティング剤25を基材2に噴霧する。走査経路の例を図8に矢印付きの2点鎖線で示している。噴霧後の基材2を必要に応じて乾燥、硬化などの工程に供し、コーティング層6を形成する(成膜工程)。
ここで、本実施形態の成膜対象物である基材2は、非導電性の部材であるため、導電性材料からなる支持本体22を基材2の内側面(支持面2Fs)に密着させ、接地することによりアース極としている。これにより、噴霧ノズル12の内部電極(陰極)と支持本体22(アース極)との間に静電界(電気力線)を形成させる。帯電され、噴霧ノズル12から噴出されたコーティング剤25の液滴は、電気力線に沿って移動し、コーティング面2Fcにおいて噴霧ノズル12に正対する平らな部分(平坦面2Fc1)だけではなく、非平坦な部分(湾曲面2Fc2や立面2Fc3)にも回り込んで塗着する。これにより、コーティング面2Fcの全体に、充分な厚みを有するコーティング層6を形成することができる。
また、支持本体22における当接面22Fとは反対側の半分が、基材2から、噴霧ノズル12とは反対側にはみ出すようにしている。このような構成によって、側壁部4、4の延出端4E、4Eの近傍(平坦部3から遠い部分)にも電気力線が十分に回り込み、コーティング剤25の液滴が届くようにしている。これにより、コーティング面2Fcの全体に、品質の良いコーティング層6を形成することができる。
[試験例]
以下、試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本試験例では、上記実施形態で説明した塗装装置10と同様の構成の塗装装置を使用し、静電塗装によって、上記実施形態で説明した基材2と同様の形状の基材にアンダーコート層を形成し、このアンダーコート層の上にトップコート層を形成した。
<使用機器等>
塗装装置として、旭サナック社製精密コーティング装置(PCS3747)を用いた。噴霧ノズルとして、旭サナック社製回転霧化式静電スプレーガン(ESA100)を使用した。送液装置として、旭サナック社製ギアポンプ(GPN050:アンダーコート成膜時)、または旭サナック社製シリンジポンプ(YSP201:トップコート成膜時)を使用した。電圧印加部として、旭サナック社製静電コントローラ(BPS210)を用いた。支持部材としては、上記実施形態の支持部材と同様の形状に加工されたアルミニウム製の部材を用いた。支持部材の幅は68mm、長さは167mm、高さは10mmとした。
<使用材料等>
基材としては、上記実施形態の基材2と同様の形状に加工された、厚さ0.5mmのポリカーボネート製の基板を使用した。基材の幅は68mm、長さは167mm、高さは5.5mmとした。
アンダーコートおよびトップコート用のコーティング剤としては、いずれも、紫外線硬化性樹脂を用い、PMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)で希釈して使用した。
<試験例1>
基材のコーティング面の一部をマスキングテープによりマスキングした。塗装装置のステージ上に支持本体を載置してこの基材をセットし、支持本体を接地した。この基材の表面に、アンダーコート用の塗布液を塗布した後、恒温炉で乾燥し、UV硬化させてアンダーコート層を形成した。次いで、この基材を再度支持本体にセットし、トップコート用の塗布液を塗布した後、恒温炉で乾燥し、UV硬化させてトップコート層を形成した。
膜厚は、マイクロメータを用いて測定した基材のマスキング部と塗膜形成部の厚さの差より算出した。また目視にて塗膜の仕上がり状態を観察した。
平坦面については、膜厚および仕上がり状態が良好であることを確認した。湾曲面および立面についても、充分な膜厚のコーティング層が形成されていることを確認した。
<試験例2>
上記試験例1で、立面(側壁部の延出端の近傍)において、部分的にコーティング層が厚膜化する現象(溜まり)が観察されたため、さらなる改善のため、試験例2を行った。
図9に示すように、ステージ13と支持部材21との間に、嵩上げ部材26を配置し、上記試験例1と同様の手順でアンダーコート層およびトップコート層を形成した。嵩上げ部材は、合成樹脂製であって、幅68mm、長さ167mm、高さ10mmの直方体状の部材である。
厚膜化の改善は充分ではなかった。
<試験例3>
厚膜化の改善のため、さらに、試験例3を行った。
図10および図11に示すように、ステージ13上に、嵩上げ部材26と、この嵩上げ部材26上に載置された支持本体22と、支持本体22にセットされた基材2との組の複数を、隙間を空けて並列した。このとき、隣り合う基材2、2の側壁部4、4が互いに対向するようにした。上記試験例1と同様の手順でアンダーコート層およびトップコート層を形成した。なお、隣り合う基材2、2の側壁部4、4間の間隔を、アンダーコート層形成時には11mm、トップコート形成時には22mmに設定した。
形成されたコーティング層(アンダーコート層+トップコート層)の膜厚は、基材2の平坦部3上では41μm、角部5上では41μm、側壁部4上では23μmとなっており、概ね目標とする膜厚に近い膜厚が得られ、厚膜化の改善が確認できた。厚膜化は、コーティング剤の液滴のステージからの跳ね返りや、側壁部の延出端に静電気が過度に集中することにより引き起こされると考えられる。嵩上げ部材の使用、および、複数の基材を互いに近接して配置することにより、これらを緩和できたことが、厚膜化の改善につながったと考えられる。
なお、本試験例の方法では、並列された複数の基材のうち、最も外側に配置された基材において、外側(隣接する基材とは反対側)の側壁部4については、隣接する基材がないために、厚膜化の改善効果が得られない。このため、最も外側には、ダミーの基材を配置することが好ましい。
また、嵩上げ部材の高さは10mm〜30mmが好ましく、隣り合う基材間の距離(互いに対向する側壁部間の距離)は10mm〜30mmが好ましい。
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、基材2が合成樹脂製であったが、合成樹脂に限らず、基材が非導電性である場合に、本明細書によって開示される技術を好適に適用できる。
(2)上記実施形態では、基材2が平坦部3と一対の側壁部4とを有し、角部5、5が湾曲形状となっていたが、基材2の形状は上記実施形態の限りではなく、例えば、平坦部3の4辺からそれぞれ延びる4つの側壁部を有する基材、あるいは、平坦部3に凹凸形状を有している基材に対しても、本明細書によって開示される技術を好適に適用できる。
1…カバーシート
2…基材
2Fc…コーティング面
2Fs…支持面
6…コーティング層
21…支持部材

Claims (5)

  1. 非導電性材料により構成された基材にコーティング層を形成するためのコーティング方法であって、
    前記基材が、平板な平坦部と、前記平坦部の一対の辺のそれぞれから延びる一対の側壁部とを備え、前記基材の外側面が前記コーティング層が形成されるコーティング面となっており、前記コーティング面が非平坦な部分を有しており、
    導電性材料により構成され、接地された支持本体を備える支持部材において、前記支持本体を、前記基材において前記コーティング面とは反対側の支持面に密着するように配する基材配置工程と、
    帯電されたコーティング剤を、静電塗装法によって前記コーティング面に塗布して前記コーティング層を形成する成膜工程とを含み、
    前記支持本体が、前記基材の内部に嵌まり込む部分と、前記側壁部の延出端から前記平坦部と反対側にはみ出す部分とを有する、コーティング方法。
  2. 前記基材に前記コーティング層を形成して製造される部材がタッチパネル搭載機器用のカバーシートである、請求項1に記載のコーティング方法。
  3. 前記成膜工程において、前記支持本体と、前記支持本体にセットされた前記基材との組の複数を、隣り合う前記基材の前記側壁部が互いに対向するようにして隙間を空けて並列し、前記隣り合う基材間の距離を10mm以上30mm以下とした状態で前記コーティング剤の塗布を行う、請求項1または請求項2に記載のコーティング方法。
  4. 前記成膜工程において、嵩上げ部材と、前記嵩上げ部材上に載置された前記支持本体と、前記支持本体にセットされた前記基材との組の複数を隙間を空けて並列する、請求項3に記載のコーティング方法。
  5. 並列された複数の前記基材の最も外側にダミーの基材を配置する、請求項3または請求項4に記載のコーティング方法。
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