JP6828737B2 - シラン変性炭化水素樹脂およびタイヤ用エラストマー組成物 - Google Patents
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Description
以下、本発明のシラン変性炭化水素樹脂およびタイヤ用エラストマー組成物について詳細に説明する。
本発明のシラン変性炭化水素樹脂は、1,3−ペンタジエン単量体単位20質量%〜70質量%、炭素数4〜6の脂環式モノオレフィン単量体単位10質量%〜35質量%、炭素数4〜8の非環式モノオレフィン単量体単位3質量%〜30質量%、脂環式ジオレフィン単量体単位0質量%〜10質量%、及び芳香族モノオレフィン単量体単位0質量%〜40質量%を含む炭化水素樹脂100質量部を、下記式(1)で表される有機シラン化合物0.1質量部〜10質量部で変性して得られたものであり、重量平均分子量(Mw)が1000〜8000の範囲内であり、Z平均分子量(Mz)が2000〜25000の範囲内であり、重量平均分子量に対するZ平均分子量の比(Mz/Mw)が1.0〜4.5の範囲内であり、軟化点温度が80℃〜110℃の範囲内であることを特徴とするものである。
ここで、上記シラン変性炭化水素を用いることで、加工性に優れ、かつ、転がり抵抗及びウェットグリップ性能のバランスに優れたタイヤ用エラストマー組成物を得ることができる理由については明確ではないが、以下のように推察される。
すなわち、上記所定の単量体単位および割合の炭化水素樹脂を用い、さらに、上記所定の特性を有するものであることにより、本発明のシラン変性炭化水素樹脂は、重量平均分子量(Mw)及びガラス転移温度が適度に低いものとすることができる。
このため、本発明のシラン変性炭化水素樹脂は、エラストマー等と混合してエラストマー組成物を形成する際に、エラストマーとの相溶性に優れたものとなり、例えば、得られたエラストマー組成物について、その架橋物の60℃での損失係数tanδを低く、また0℃での損失係数tanδを適度に高くすることができる。
その結果、このようなエラストマー組成物を用いてタイヤを製造した場合には、転がり抵抗及びウェットグリップ性能のバランスに優れたタイヤ等を形成可能となるのである。
また、上記シラン変性炭化水素樹脂がエラストマーとの相溶性に優れることにより、例えば、エラストマーとの均一な混合等が容易となることから、加工特性に優れたものとすることができる。
さらに、上記シラン変性炭化水素樹脂は、所定量の有機シラン化合物で変性され、所定量のシラン変性部位を含むことにより、例えば、シリカの分散性を高めることでシリカの見かけの表面積を高めエラストマーとシリカの結合を促進させ60℃での損失係数tanδを低くすることができ、転がり抵抗に優れたタイヤを製造可能なエラストマー組成物を得ることが可能となる。
このように、上記所定の単量体単位を所定の割合で含む炭化水素樹脂を、所定量の有機シラン化合物で変性したシラン変性炭化水素樹脂は、加工性に優れ、かつ、転がり抵抗及びウェットグリップ性能のバランスに優れたタイヤ用エラストマー組成物を与えることができるのである。
以下、有機シラン化合物で変性する前の炭化水素樹脂(以下、単に、変性前樹脂と称する場合がある。)、これを変性する有機シラン化合物およびシラン変性炭化水素樹脂(以下、単に変性樹脂と称する場合がある。)について詳細に説明する。
上記炭化水素樹脂は、有機シラン化合物により変性される前の原料樹脂であり、1,3−ペンタジエン単量体単位20質量%〜70質量%、炭素数4〜6の脂環式モノオレフィン単量体単位10質量%〜35質量%、炭素数4〜8の非環式モノオレフィン単量体単位3質量%〜30質量%、脂環式ジオレフィン単量体単位0質量%〜10質量%、及び芳香族モノオレフィン単量体単位0質量%〜40質量%を含むものである。
なお、上記単量体単位の含有割合は、変性樹脂においても同様であり、当該含有割合の好適範囲も変性前樹脂と同様である。
なお、1,3−ペンタジエンにおけるシス/トランス異性体比は任意の比でよく、特に
限定されない。
炭素数4〜6の脂環式モノオレフィン単量体単位の変性前樹脂中の含有量としては、10質量%〜35質量%の範囲内であればよく、13質量%〜34質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも16質量%〜32質量%の範囲内であることが好ましく、特に、19質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、本発明のシラン変性炭化水素樹脂は、加工性に優れ、かつ、転がり抵抗及びウェットグリップ性能のバランスに優れたタイヤ用エラストマー組成物を与えることができるからである。
なお、炭素数4〜6の脂環式モノオレフィンにおいて、これに該当する各化合物の割合は任意の割合でよく、特に限定されないが、少なくともシクロペンテンが含まれることが好ましく、炭素数4〜6の脂環式モノオレフィン中にシクロペンテンの占める割合が50質量%以上であることがより好ましい。
炭素数4〜8の非環式モノオレフィン単量体単位の変性前樹脂中の含有量としては、3質量%〜30質量%の範囲内であればよく、3質量%〜25質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも3質量%〜22質量%の範囲内であることが好ましく、特に、3質量%〜20質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、本発明のシラン変性炭化水素樹脂は、加工性に優れ、かつ、転がり抵抗及びウェットグリップ性能のバランスに優れたタイヤ用エラストマー組成物を与えることができるからである。
なお、炭素数4〜8の非環式モノオレフィンにおいて、これに該当する各化合物(異性体を含む)の割合は任意の割合でよく、特に限定されないが、少なくとも2−メチル−2−ブテン、イソブチレン及びジイソブチレンからなる群から選択される少なくとも一種が含まれることが好ましく、炭素数4〜8の非環式モノオレフィン中に2−メチル−2−ブテン、イソブチレン及びジイソブチレンの合計量が占める割合が50質量%以上であることがより好ましい。
脂環式ジオレフィンは、その分子構造中にエチレン性不飽和結合を2つ以上と非芳香族性の環構造とを有する炭化水素化合物である。脂環式ジオレフィンの具体例としては、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンなどのシクロペンタジエンの多量体、メチルシクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエンの多量体を挙げることができる。
脂環式ジオレフィン単量体単位の変性前樹脂中の含有量としては、0質量%〜10質量%の範囲内であればよく、0質量%〜7質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0質量%〜5質量%の範囲内であることが好ましく、特に、0質量%〜3質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、本発明のシラン変性炭化水素樹脂は、加工性に優れ、かつ、転がり抵抗及びウェットグリップ性能のバランスに優れたタイヤ用エラストマー組成物を与えることができるからである。
芳香族モノオレフィンは、その分子構造中にエチレン性不飽和結合1つを有する芳香族化合物である。芳香族モノオレフィンの具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、クマロンなどが挙げられる。
芳香族モノオレフィン単量体単位の変性前樹脂中の含有量としては、0質量%〜40質量%の範囲内であればよく、0質量%〜35質量%の範囲内であることが好ましく、なかでも0質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、特に、0質量%〜28質量%の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、本発明のシラン変性炭化水素樹脂は、加工性に優れ、かつ、転がり抵抗及びウェットグリップ性能のバランスに優れたタイヤ用エラストマー組成物を与えることができるからである。
このようなその他の単量体単位を構成するために用いられるその他の単量体は、前述した単量体以外で1,3−ペンタジエンなどと付加共重合され得る付加重合性を有する化合物であれば、特に限定されない。上記その他の単量体には、例えば、1,3−ブタジエン、1,2−ブタジエン、イソプレン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ペンタジエンなどの1,3−ペンタジエン以外の炭素数4〜6の不飽和炭化水素;シクロヘプテンなどの炭素数7以上の脂環式モノオレフィン;エチレン、プロピレン、ノネンなどの炭素数4〜8以外の非環式モノオレフィン等が包含される。
但し、変性前樹脂中の上記その他の単量体単位の変性前樹脂中の含有量としては、上記所定の特性を有する変性炭化水素樹脂を得ることができるものであればよく、具体的には、通常、0質量%〜30質量%の範囲内であり、0質量%〜25質量%の範囲内であることが好ましく、0質量%〜20質量%の範囲内であることがより好ましい。本発明のシラン変性炭化水素樹脂は、加工性に優れ、かつ、転がり抵抗及びウェットグリップ性能のバランスに優れたタイヤ用エラストマー組成物を与えることができるからである。
ハロゲン化アルミニウム(A)の使用量は、特に限定されないが、重合性成分(単量体混合物A)100質量部に対し、好ましくは0.05質量部〜10質量部の範囲内、より好ましくは0.1質量部〜5質量部の範囲内である。
3級炭素原子にハロゲン原子が結合したハロゲン化炭化水素(B1)の具体例としては、t−ブチルクロライド、t−ブチルブロマイド、2−クロロ−2−メチルブタン、トリフェニルメチルクロライドを挙げることができる。これらのなかでも、活性と取り扱いやすさとのバランスに優れる点で、t−ブチルクロライドが特に好適に用いられる。
炭素−炭素不飽和結合に隣接する炭素原子にハロゲン原子が結合したハロゲン化炭化水素(B2)における不飽和結合としては、炭素−炭素二重結合および炭素−炭素三重結合が挙げられ、芳香族環などにおける炭素−炭素共役二重結合も含むものである。このような化合物の具体例としては、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、(1−クロロエチル)ベンゼン、アリルクロライド、3−クロロ−1−プロピン、3−クロロ−1−ブテン、3−クロロ−1−ブチン、ケイ皮クロライドが挙げられる。これらのなかでも、活性と取り扱いやすさとのバランスに優れる点で、ベンジルクロライドが好適に用いられる。なお、ハロゲン化炭化水素(B)は、1種類で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ハロゲン化炭化水素(B)の使用量は、ハロゲン化アルミニウム(A)に対するモル比で、好ましくは0.05〜50の範囲内、より好ましくは0.1〜10の範囲内である。
混合物aの調製方法は特に限定されず、それぞれ純粋な化合物を混合して目的の混合物aを得てもよいし、例えばナフサ分解物の留分などに由来する、目的の単量体を含む混合物を用いて、目的の混合物aを得てもよい。例えば、混合物aに1,3−ペンタジエンなどを配合するためには、イソプレンおよびシクロペンタジエン(その多量体を含む)を抽出した後のC5留分を好適に用いることができる。
混合物aと混合物Mと共に、ハロゲン化炭化水素(B)をさらに混合することが好ましい。これら3者の投入順序は特に制限されない。
上記有機シラン化合物は、下記式(1)で表されるものである。
なお、R1は、20個までの炭素原子、好ましくは10個までの炭素原子、特に1〜5個の炭素原子の、アルキル基、アルコキシアルキル基、アリール基、アラルキル基もしくはシクロアルキル基であることが好ましい。
本発明においては、なかでもシリカの分散性の観点から上記Xが、アルコキシアルキル基であることが好ましい。本発明のシラン変性炭化水素樹脂は、ウェットグリップ性能に優れたタイヤ用エラストマー組成物を与えることができるからである。
このような有機官能基Fとしては、pが0である場合、例えば、アミノ基、アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(通常、20個までの炭素原子)、ハロ基、メルカプト基、ヒドロシリル基、カルボキシ基、アシル基(通常、20個までの炭素原子)、ビニル基、アリル基、スチリル基、ウレイド基、エポキシ基、イソシアナト基、ヒドラジノ基、グリシドキシ基、およびアクリロキシ基から選択される基とすることができる。
式(1)中の有機官能基Fは、pが1である場合、例えば、2個〜20個の硫黄原子の2価のポリスルフィド基とすることができる。
本発明においては、なかでも、有機官能基Fが、ビニル基、メルカプト基、ポリスルフィド基、アミノ基であることが好ましい。上記有機官能基Fは、変性前樹脂のシラン変性が容易だからである。
本発明においては、なかでも、有機シラン化合物が、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド等であることが好ましい。上記シラン化合物は変性前樹脂との反応性に優れるからである。
このようなシラン変性方法としては、適宜公知の方法を用いることができる。
具体的には、上記シラン変性反応としては、変性前樹脂と、有機シラン化合物および過酸化物開始剤と、混合することで、過酸化物開始剤により変性前樹脂にフリーラジカルを生成し、これを、有機シラン化合物が有する有機官能基Fと反応させる方法、活性末端を有する変性前樹脂に対して、有機シラン化合物を混合する方法等を用いることができる。
なお、このようなシラン変性反応では、有機官能基Fがポリスルフィド基である場合には、例えば、ポリスルフィド部分が開裂し、その開裂箇所の末端の硫黄原子が変性前樹脂に結合するものとすることができる。
上記のフリーラジカルを用いたシラン変性方法での反応条件としては、変性前樹脂に所望量の有機シラン化合物を結合させることができるものであればよく、変性前樹脂の種類、有機シラン化合物の種類等に応じて適宜設定することができ、例えば、反応温度0℃〜200℃で反応時間5分〜20時間とすることができる。
また、上記シラン変性方法は、例えば、有機溶剤中で行うこともできる。
このような有機溶剤としては、上記「1.炭化水素樹脂」の項に記載の変性前樹脂の重合反応に使用可能な溶媒と同様とすることができる。上記シラン変性方法は、例えば、変性前樹脂の重合で用いた溶媒中でシラン変性を行う方法であってもよい。
なお、このような無機過酸化物、有機過酸化物等については、例えば、特開2004−285230号公報等に記載のものを使用できる。
上記過酸化物開始剤の使用量は、変性前樹脂に所望量の有機シラン化合物を結合させることができるものであればよく、有機シラン化合物の添加量等に応じて適宜設定されるものである。
上記シランカップリング剤については、例えば、ビニル基と、有機シラン化合物が有する有機官能基Fと結合可能な反応用官能基と、を有する2官能シランカップリング剤等を用いることができる。
上記反応用官能基については、有機シラン化合物の有機官能基Fに応じて適宜設定することができる。
例えば、有機官能基Fがアミノ基等である場合には、上記反応用官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、ウレイド基、グリシドキシ基、ハロ基、スルホン酸基等を用いることができる。また、有機官能基Fが反応用官能基の例として挙げたこれらのヒドロキシ基等である場合には、反応用官能基としてアミノ基等を用いることもできる。
なお、このようなビニル基および反応用官能基を有する2官能シランカップリング剤については、公知のシランカップリング剤から適宜選択することができる。
また、このような有機シラン化合物および変性前樹脂の間のスペーサとして用いるシランカップリング剤の配合量は、本発明の効果の発現が阻害されない範囲で適宜設定すればよい。
シランカップリング剤が結合した変性前樹脂と有機シラン化合物とを結合する方法としては、例えば、シランカップリング剤が結合した変性前樹脂と有機シラン化合物とを混合し、加熱処理する方法を挙げることができる。
上記加熱処理条件としては、例えば、温度50℃〜300℃の範囲内で5分〜20時間行うものとすることができる。
上記加熱処理では、必要に応じて希釈剤、ゲル化防止剤および反応促進剤などを存在せしめてもよい。
このような希釈剤としては、上記「1.炭化水素樹脂」の項に記載の変性前樹脂の重合反応に使用可能な溶媒と同様とすることができる。上記加熱処理は、例えば、変性前樹脂の重合で用いた溶媒中で行う方法であってもよい。
上記酸性基については、酸性基を有する単量体を含む重合性成分(単量体混合物A)を用いることで変性前樹脂に導入された酸性基を用いてもよく、変性前樹脂を酸変性することで導入された酸性基を用いてもよい。
ここで、変性前樹脂を酸変性する方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、酸性基としてカルボキシル基を導入する場合には、変性前樹脂および不飽和カルボン酸を混合し、加熱処理する方法を挙げることができる。
カルボキシル基導入に用いられる不飽和カルボン酸の例としては、マレイン酸等の共役ジエンと炭素数8以下のα,β−不飽和ジカルボン酸とのディールス・アルダー付加物が挙げられる。
また、このような変性前樹脂を酸変性するために導入される不飽和カルボン酸等の酸変性剤の配合量は、本発明の効果の発現が阻害されない範囲で適宜設定すればよい。
上記酸変性反応の反応条件としては、例えば、温度50℃〜300℃の範囲内で5分〜20時間行うものとすることができる。
上記酸変性反応は、必要に応じて希釈剤、ゲル化防止剤および反応促進剤などを存在せしめてもよい。
また、酸性基と有機シラン化合物とを結合する反応としては、変性前樹脂または酸変性後の変性前樹脂と有機シラン化合物とを混合し、加熱処理する方法を挙げることができる。加熱処理する方法については、例えば、上述のシランカップリング剤が結合した変性前樹脂と有機シラン化合物とを結合する加熱処理方法と同様とすることができる。
上記シラン変性炭化水素樹脂の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜8,000の範囲内であれば特に限定されるものではないが、なかでも、1,200〜6,000の範囲内であることが好ましく、特に、1,400〜4,500の範囲内であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)が上述の範囲内であることにより、シラン変性炭化水素樹脂はエラストマーとの相溶性に優れたものとすることができるからである。また、その結果、シラン変性炭化水素樹脂は、エラストマー組成物の架橋物について、60℃での損失係数tanδを低くすることが容易であり、転がり抵抗に優れたものとすることができるからである。
また、重量平均分子量(Mw)が上述の範囲内であることにより、シラン変性炭化水素樹脂は、0℃での損失係数tanδを高くすることが容易であり、転がり抵抗に優れたものとすることができるからである。
重量平均分子量およびZ平均分子量の測定は、より具体的には、測定装置として、東ソー社製「HLC−8320GPC」を使用し、カラムは東ソー社製「TSKgel SuperMultiporeHZ」を3本連結したものを用い、テトラヒドロフランを溶媒として、40℃、1.0mL/minの流量で測定できる。
また、軟化点が上述の範囲内であることにより、シラン変性炭化水素樹脂は、0℃での損失係数tanδを高くすることが容易であり、ウェットグリップ性能に優れたものとすることができるからである。
なお、本発明における軟化点は、例えば、変性炭化水素樹脂についてJIS K 6863に従い測定する値である。
このようなことから、ガラス転移温度が上述の範囲内であることにより、加工性に優れ、かつ、転がり抵抗及びウェットグリップ性能のバランスに優れたタイヤ用エラストマー組成物を与えることができる。
なお、本発明におけるガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)にて、昇温速度10℃/分の条件で測定することができる。また、測定器としては、例えば、Pyris1 DSC(パーキンエルマー社製)を用いることができる。
本発明において、上記シラン変性炭化水素樹脂は、上述のように、加工性に優れ、かつ、転がり抵抗及びウェットグリップ性能のバランスに優れたタイヤ用エラストマー組成物を与えることができるものである。
したがって、上記シラン変性炭化水素樹脂は、その特性を活かして、例えば、タイヤ用エラストマー組成物においてエラストマーと共に混合して用いられる炭化水素樹脂として好適に用いることができる。
なお、上記有機シラン化合物で変性する方法、すなわち、シラン変性方法等については、上記「2.有機シラン化合物」の項に記載した内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
次に、本発明のタイヤ用エラストマー組成物について説明する。
本発明のタイヤ用エラストマー組成物は、少なくとも1種のエラストマーと、少なくとも1種のフィラーと、上述のシラン変性炭化水素樹脂と、を含むことを特徴とするものである。
以下、本発明のタイヤ用エラストマー組成物の各成分について詳細に説明する。
上記シラン変性炭化水素樹脂の含有量としては、加工性に優れ、かつ、転がり抵抗及びウェットグリップ性能のバランスに優れたタイヤ用エラストマー組成物を得ることができるものであればよい。
上記含有量は、例えば、エラストマー100質量部に対する割合で、0.1質量部〜50質量部の範囲内とすることができ、なかでも1質量部〜30質量部の範囲内であることが好ましく、特に、1.5質量部〜20質量部の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、タイヤ用エラストマー組成物は、加工性に優れ、かつ、転がり抵抗及びウェットグリップ性能のバランスに優れたものとなるからである。
上記エラストマーとしては、タイヤ用エラストマー組成物に使用される公知のエラストマーを使用できる。
このようなエラストマーとしては、例えば、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリブタジエンゴム(高シス−BR、低シスBRであってもよい。また、1,2−ポリブタジエン重合体からなる結晶繊維を含むポリブタジエンゴムであってもよい)、スチレン−イソプレン共重合ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合ゴムなど等を挙げることができる。
なお、上記エラストマーは、少なくとも1種を含むものであればよく、1種類のみを含むものであってもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記フィラーとしては、タイヤ用エラストマー組成物に一般的に使用されるものを用いることができ、例えば、カーボンブラック、クレー、珪藻土、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、金属酸化物、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム、各種の金属粉、木粉、ガラス粉、セラミックス粉などの他、ガラスバルーン、シリカバルーンなどの無機中空フィラー;ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン共重合体などからなる有機中空フィラー等を挙げることができる。
これらのフィラーのうち、例えば、シリカ、カーボンブラック等については、特開2016−30795号公報に記載のものを用いることができる。
本発明においては、なかでも、上記フィラーが、シリカであることが好ましい。フィラーがシリカであることにより、タイヤ用エラストマー組成物は、ウェットグリップ性に優れたものとなるからである。
また、フィラーは、少なくとも1種を含むものであればよく、1種類のみを含むものであってもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
上記含有量は、例えば、エラストマー100質量部に対する割合で、30質量部〜250質量部の範囲内とすることができ、なかでも30質量部〜200質量部の範囲内であることが好ましく、特に、40質量部〜150質量部の範囲内であることが好ましく、なかでも特に、50質量部〜130質量部の範囲内であることが好ましい。上記含有量が上述の範囲内であることにより、タイヤ用エラストマー組成物は、加工性およびウェットグリップ性に優れたものとなるからである。
本発明のタイヤ用エラストマー組成物は、エラストマー、フィラーおよびシラン変性炭化水素樹脂を有するものであるが、必要に応じて、その他の成分を含むものであってもよい。
上記その他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、架橋剤、架橋促進剤、架橋活性化剤、老化防止剤、活性剤、プロセス油、可塑剤、滑剤、粘着付与剤などの配合剤をそれぞれ必要量配合できる。
なお、このようなその他の成分およびその含有量としては、例えば、特開2016−30795号公報に記載の内容と同様とすることができる。
試料となるシラン変性炭化水素樹脂について、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析し、標準ポリスチレン換算値の重量平均分子量(Mw)およびZ平均分子量(Mz)を求め、分子量分布はMz/Mwの比で示した。なお、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー分析は、測定装置として、東ソー社製「HLC−8320GPC」を使用し、カラムは東ソー社製「TSKgel SuperMultiporeHZ」を3本連結したものを用い、テトラヒドロフランを溶媒として、40℃、1.0mL/minの流量で測定した。
試料となるシラン変性炭化水素樹脂について、JIS K 6863に従い測定した。
試料となるエラストマー組成物について、JIS K 6300−1:2001に従い、以下の条件で測定した。
・試験温度:100℃
・ロータの種類:L形
・使用試験機:(株)島津製作所製島津ムーニービスコメーターSMV−300J
試料となるエラストマー架橋物の試験片について、JIS K 6251:2010に従い、以下の条件で引張強さ(tensile stress(MPa))および伸び(elongation(%))を測定した。
・試験片作製方法:プレス加硫によりシート作製後、打抜き加工
・試験片形状:ダンベル状3号形
・試験片採取方向:列理に対し平行方向
・試験片数:3
・測定温度:23℃
・試験速度:500mm/min
・使用試験機:ALPHA TECHNOLOGIES社製TENSOMETER 10k
・試験機容量:ロードセル式 1kN
試料となるエラストマー架橋物の試験片について、JIS K 7244−4に従い、以下の測定条件で、動的歪み0.5%、10Hzの条件で、0℃および60℃での損失正接tanδを測定した。この特性については、基準サンプル(後述の比較例1)を100とする指数で示した。
なお、0℃での損失正接tanδが高いほど、ウェットグリップ性能に優れ、60℃での損失正接tanδが低いほど、転がり抵抗に優れる。
測定項目:動的貯蔵弾性率E’
:動的損失弾性率E’’
:損失正接tanδ
・試料調製方法:シートより打抜き加工
・試験片形状:長さ50mm×幅2mm×厚さ2mm
・試験片数:1
・クランプ間距離:20mm
重合反応器にシクロペンタン47.3部及びシクロペンテン28.3部の混合物を重合反応器に仕込み、70℃に昇温した後、塩化アルミニウム0.75部を添加した(混合物M1)。
引き続き、1,3−ペンタジエン63.6部、イソブチレン6.2部、ジシクロペンタジエン0.1部、C4−C6不飽和炭化水素0.3部、及びC4−C6飽和炭化水素5.7部からなる混合物a1を、60分間に亘り温度(70℃)を維持して、前記混合物M1を含む重合反応器に連続的に添加しながら重合を行った。その後、水酸化ナトリウム水溶液を重合反応器に添加して、重合反応を停止した。なお、重合反応時の重合反応器中の成分の種類及び量を表1にまとめて示した。重合停止により生成した沈殿物をろ過により除去した後、得られた重合体溶液を蒸留釜に仕込み、窒素雰囲気下で加熱し、重合溶媒と未反応単量体を除去した。次いで、240℃以上で、飽和水蒸気を吹き込みながら、低分子量のオリゴマー成分を留去した。
なお、表1中の有機シラン化合物(部)/変性前樹脂(100部)の値は、酸変性に用いた無水マレイン酸を変性前樹脂の原料の一部として計算したものであり、表1に記載の変性前樹脂を構成する単量体混合物と無水マレイン酸との合計100部当たりの有機シラン化合物添加量(部)を示すものである。
重合反応器に添加する成分の種類及び量、並びに重合温度を下記表1に示すとおりにそれぞれ変更したこと以外は実施例1と同様にして炭化水素樹脂を得た。なお、ジイソブチレンおよび芳香族モノオレフィンは、1,3−ペンタジエン等と共に混合し、重合に供した。
さらに、溶融状態の上記樹脂100部に対して、酸化防止剤としてペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製、商品名:イルガノックス1010)0.2部を添加し、有機シラン化合物として、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド3.0部を添加し、230℃で1時間付加反応させた。その後、蒸留釜から溶融樹脂を取り出し、室温まで放冷して、実施例2のシラン変性炭化水素樹脂を得た。得られた実施例2のシラン変性炭化水素樹脂については、重量平均分子量、Z平均分子量、分子量分布、及び軟化点を測定した。これらの測定結果は、下記表1にまとめて示した。
なお、表1中の有機シラン化合物(部)/変性前樹脂(100部)の値は、表1に記載の変性前樹脂の原料となる単量体混合物100部当たりの有機シラン化合物添加量(部)を示すものである。
重合反応器に添加する成分の種類及び量、並びに重合温度を下記表1に示すとおりにそれぞれ変更したこと以外は、実施例1または2と同様にして、実施例3〜4及び比較例1〜4のシラン変性炭化水素樹脂をそれぞれ得た。具体的には、実施例3および比較例3は実施例1と同様に変性前樹脂を酸変性した後、シラン変性炭化水素樹脂を得た。また、実施例4および比較例4は、実施例2と同様に変性前樹脂に直接有機シラン化合物を結合してシラン変性炭化水素樹脂を製造した。さらに、比較例1および比較例2は、それぞれ有機シラン化合物によりシラン変性を行わずに未変性炭化水素樹脂を得た。
なお、実施例1または2に記載のないジイソブチレン、芳香族モノオレフィン及びトルエンは、1,3−ペンタジエン等と共に混合し、重合に供した。
バンバリー型ミキサー中で、溶液重合スチレン-ブタジエンゴム(S−SBR)100部を30秒素練りし、次いでシリカ(ローディア社製、商品名「Zeosil1115MP」)53.0部、シランカップリング剤:ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド(デグッサ社製、商品名「Si69」)7.0部および実施例1で得たシラン変性炭化水素樹脂5部を添加して、90秒混練後、シリカ(ローディア社製、商品名「Zeosil1115MP」)32.0部、酸化亜鉛3.0部、ステアリン酸2.0部および老化防止剤:N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(大内新興社製、商品名「ノクラック6C」)2.0部を添加し、更に90秒間混練し、次いで、プロセスオイル(新日本石油社製、商品名「アロマックス T−DAE」)25部を投入した。
その後、90℃を開始温度として混練し、145℃〜155℃で60秒間以上混練(一次練り)した後、ミキサーから混練物を排出させた。
得られた実施例2〜4及び比較例1〜4のシラン変性炭化水素樹脂についても、それぞれ、同様にして、エラストマー組成物およびエラストマー架橋物を作製し、エラストマー組成物のムーニー粘度、エラストマー架橋物の引張強さ(MPa)、伸び(%)および損失正接tanδを測定した。結果を表1に示す。
なお、一次練り、二次練りおよび加硫剤混練りの混練条件は、以下に示す条件とした。
・試験機:(株)東洋精機製作所製ラボプラストミル バンバリー型ミキサーB−600
・充填率:70〜75vol%
・ローター回転数:50rpm
・試験開始設定温度:90℃
・試験機:池田機械工業(株)製電気加熱式高温ロール機
・ロールサイズ:6φ×16
・前ロール回転数:24rpm
・前後ロール回転比:1:1.22
・ロール温度:50℃±5℃
・切り返し回数:左右2回ずつ
・丸め通し幅:ロール間隔約0.8mm
・丸め通し回数:5回
すなわち、表1から、転がり抵抗およびウェットグリップ性能の両者に優れるものは、所定の重量平均分子量、Z平均分子量、重量平均分子量に対するZ平均分子量の比、軟化点温度等の特性を有するもの、特に例えば、重量平均分子量および軟化点温度が所定の範囲内であるシラン変性炭化水素樹脂であることが確認できた。
このように、上記所定の単量体単位を所定の割合で含む炭化水素樹脂を、所定量の有機シラン化合物で変性され、かつ、重量平均分子量および軟化点温度等が所定の範囲内であるシラン変性炭化水素樹脂であることで、ガラス転移温度の上昇を抑制することができ、加工性に優れ、かつ、転がり抵抗及びウェットグリップ性能のバランスに優れたタイヤ用エラストマー組成物を得ることができることが確認できた。
Claims (4)
- 1,3−ペンタジエン単量体単位20質量%〜70質量%、
炭素数4〜6の脂環式モノオレフィン単量体単位10質量%〜35質量%、
炭素数4〜8の非環式モノオレフィン単量体単位3質量%〜30質量%、
脂環式ジオレフィン単量体単位0質量%〜10質量%、及び
芳香族モノオレフィン単量体単位0質量%〜40質量%を含む炭化水素樹脂100質量部を、下記式(1)で表される有機シラン化合物0.1質量部〜10質量部で変性して得られたものであり、
重量平均分子量(Mw)が1000〜8000の範囲内であり、
Z平均分子量(Mz)が2000〜25000の範囲内であり、
重量平均分子量に対するZ平均分子量の比(Mz/Mw)が1.0〜4.5の範囲内であり、
軟化点温度が80℃〜110℃の範囲内であることを特徴とするシラン変性炭化水素樹脂。
X3Si−R−F−[R−Si−X3]p (1)
(式(1)中、各Xは、独立に、ヒドロキシ基またはR 1 −O−(式中、R 1 は、20個までの炭素原子の、アルキル基、アルコキシアルキル基、アリール基、アラルキル基もしくはシクロアルキル基である)であり、各Rは、独立に、1〜20個の炭素原子の2価の置換もしくは無置換の炭化水素基であり、Fは、1価または多価の有機官能基であり、Fが1価である場合、pは0であり、Fが多価である場合、pは少なくとも1である。) - Rが、アルキレン基であり、
pが0または1であり、
pが0である場合、Fが、アミノ基、アミド基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロ基、メルカプト基、ヒドロシリル基、カルボキシ基、アシル基、ビニル基、アリル基、スチリル基、ウレイド基、エポキシ基、イソシアナト基、ヒドラジノ基、グリシドキシ基、およびアクリロキシ基から選択され、
pが1である場合、Fが2〜20個の硫黄原子の2価のポリスルフィド基であることを特徴とする請求項1に記載のシラン変性炭化水素樹脂。 - 少なくとも1種のエラストマーと、少なくとも1種のフィラーと、請求項1または請求項2に記載のシラン変性炭化水素樹脂と、を含むことを特徴とするタイヤ用エラストマー組成物。
- 前記フィラーがシリカであることを特徴とする請求項3に記載のタイヤ用エラストマー組成物。
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