以下、本発明の車両整備用リフトを具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態においてキャリッジ3が上限位置、スイングアーム30が収納位置にある時の車両整備用リフト1を斜め後方から示す斜視図、図2は同じく斜め前方から示す斜視図、図3はスイングアーム30を回動させた状態を斜め後方から示す斜視図、図4はキャリッジ3が下限位置にある時の斜視図、図5はキャリッジ3が上限位置にある時の側面図、図6はキャリッジ3が下限位置にある時の側面図である。
本実施形態の車両整備用リフト1は、図1等に示すように、ベース2,2と、キャリッジ3,3と、昇降装置10,10とを備えて構成される。これらベース2,2と、キャリッジ3,3と、昇降装置10,10とは、いずれも対称構造であるので、以下共通する部分はいずれか一方のみについて説明する。
ベース2は、両サイドに沿ってレール部2a,2aを有した矩形枠に形成され、後端側に蓋状の固定ピットカバー2cを上面に有する蓋付きボックス2bを備えており、床面Fに凹設されたピットP内に、固定ピットカバー2c上面が床面Fに一致するように収容設置される。また、蓋付きボックス2bは、長尺リンク14の基端部14aの移動に伴って、固定ピットカバー2cの下側と前方との間をスライド可動する可動ピットカバー2dを備えている。尚、図1では、蓋付きボックス2bの内部を図示するため、固定ピットカバー2c、可動ピットカバー2dの図示を省略している。
キャリッジ3は、昇降装置10によって昇降される平板状の被昇降体である。キャリッジ3の長手方向において中央部を挟む両側には、一対のスイングアーム30,30における半円状端面を有する基端部が軸支部30a,30aにより水平回動自在に軸支されている。キャリッジ3は、平面視で長方形状から幅方向内側を一対のスイングアーム30,30の外形の一部に沿って切り欠いた略T字状を呈し、幅方向の大きさが昇降装置10と同等であり且つ幅方向領域内に一対のスイングアーム30,30を収納している。スイングアーム30は、延長アーム30bを摺動操作することによって伸縮させて任意長さに調整可能であり、先端には車両受け具31を備えている。また、キャリッジ3には、各スイングアーム30の回動動作をロックするスイングアームロック機構100,100及びその解除を行うスイングアームロック解除機構200,200が設けられている。スイングアームロック機構100及びスイングアームロック解除機構200の構成については後述する。
昇降装置10は、短尺リンクと、短尺リンクよりも長尺の長尺リンクとを交差してなる所謂λ状のリンク機構を上下に伸縮させてキャリッジ3を昇降させる装置である。昇降装置10は、より詳細には、短尺リンク12と、長尺リンク14と、昇降リンク16と、支持ロッド18と、シリンダ20とを備えて構成される。
短尺リンク12は、所謂λ状のリンク機構において短尺リンクに相当するリンク部材である。短尺リンク12は、その基端部12aがベース2の前端部に軸支部11により軸支されている。短尺リンク12は、長尺リンク14と先端部12bで交差され、先端部12bが長尺リンク14の中間部において軸支部13により軸支されている。短尺リンク12は、基端部12aから先端部12bに向かって直線状に延び、長尺リンク14と交差する先端部12b近傍において上方側へ屈曲している。また、短尺リンク12は、左右一対のリンク板12pと前後一対の補強板12qとからなる4枚の板状部材によりロ字状に囲まれた箱形に形成されており、これにより剛性の向上が図られている。
長尺リンク14は、所謂λ状のリンク機構において長尺リンクに相当するリンク部材であって、短尺リンク12よりも長尺に構成されている。長尺リンク14は、左右一対のリンク板からなり、リフトアップ時に上端となる先端部14bが昇降リンク16の先端部に軸支部15により軸支され、短尺リンク12と中間部でλ状に交差し、短尺リンク12の先端部12bに軸支部13により軸支されている。また、長尺リンク14は、基端部14aにガイドローラ14gが回動自在に取り付けられており、そのガイドローラ14gがベース2のレール部2a,2aを転動するようになっている。レール部2aは、中央部が下方に向かって湾曲する補正カーブ形状に形成されている。長尺リンク14の基端部14aが補正カーブ形状のレール部2aに沿って昇降することにより、キャリッジ3は昇降動作において傾斜することなく水平姿勢を保つことができる。
昇降リンク16は、キャリッジ3を上面にて固定し水平に支持する部材であり、幅方向の大きさはキャリッジ3と同等以下となっている。昇降リンク16は、前方側の基端部が支持ロッド18の一端に軸支部17により軸支され、キャリッジ3を上面にて支持する後方側の先端部が長尺リンク14の先端部14bに軸支部15により軸支されている。
支持ロッド18は、棒状部材であって、一端部が昇降リンク16の基端部に軸支部17により軸支され、他端部が短尺リンク12における長尺リンク14との軸支部13よりも基端部12a寄りの部位に軸支部18aにより軸支されている。
シリンダ20は、片ロッドの油圧シリンダであって、有底円筒状のシリンダチューブ22と、シリンダチューブ22に対して油圧により往復運動可能に設けられたピストンロッド24とを備えて構成される。シリンダ20は、シリンダチューブ22の底部側である一端が短尺リンク12における長尺リンク14との軸支部13よりも基端部12a寄りの部位に軸支部20aにより軸支され、ピストンロッド24のロッドエンド側である他端が長尺リンク14の基端部14aに軸支されている。シリンダ20と長尺リンク14との相互間には、シリンダ20の両側に設けられたラック19aと、ラック19aを係止する係止部材19bとを備えた落下防止機構19が設けられている。落下防止機構19により、万が一シリンダ20の油圧低下を起こしても安全が確保される。また、シリンダ20を覆うようにシリンダカバー21が設けられ、昇降装置10の昇降動作に伴って蓋付きボックス2bを出入りするようになっている。
次に、スイングアームロック機構100及びスイングアームロック解除機構200の構成について、図7乃至図9を主に参照しつつ説明する。図7はスイングアームロック解除状態におけるスイングアームロック機構100及びスイングアームロック解除機構200を示す平面図、図8はスイングアームロック状態におけるスイングアームロック機構100及びスイングアームロック解除機構200を示す平面図、図9はキャリッジ3が下限位置にある時のスイングアームロック解除機構200を示す側面図である。スイングアームロック機構100は、スイングアーム30の回動を阻止する機構であって、スイングアーム30の軸支部30aにおいてスイングアーム30とキャリッジ3との相互間に装備されている。スイングアームロック機構100は、軸支部30aと同軸で、スイングアーム30に固着されたロックギヤ102と、キャリッジ3に設けられてロックギヤ102と噛合するロック片104とを備えて構成されている。
ロックギヤ102は、スイングアーム30の回動角度をカバーする円弧形状を呈している。ロック片104は、先端にロックギヤ102の歯と噛み合う歯を有しており、キャリッジ3に固定されたガイドブロック106により、軸支部30aに向けて左右方向(キャリッジ3幅方向)へ進退自在にガイドされている。
スイングアームロック解除機構200は、スイングアーム30をロック状態と解除状態とで切り換える機構であって、キャリッジ3に設けられたロック片変位機構210と、短尺リンク12に設けられたガイド部材250とを備えて構成される。
ロック片変位機構210は、キャリッジ3に設けられてロック片104をロック姿勢と解除姿勢との間で変位させるための機構である。ロック片変位機構210は、連結片212と、解除ロッド214と、ロッドガイド216と、バネ218と、自動解除リンク220とを備えて構成される。
連結片212は、ロック片104と解除ロッド214とを連結する部材であって、一端がロック片104の基端に回動自在に軸支され、他端が解除ロッド214の基端に回動自在に軸支されている。
手動解除レバー213は、作業者が手で把持して操作することによりスイングアーム30をロック状態から解除状態へ手動で切り換えるためのレバーであって、連結片212の側面に取り付けられている。手動解除レバー213は、その先端が軸支部30aから離隔する第1位置に位置するロック状態において(図8参照)、軸支部30aに近接する第2位置へ手動で回動させることにより(図7参照)、連結片212を介してロック片104をロックギヤ102から離脱させて解除状態へ切り換えることができる。
解除ロッド214は、ロッドガイド216内で前後方向(キャリッジ3長手方向)に摺動自在に収納されると共に、バネ218の付勢力により先端側が自動解除リンク220に対して圧接される棒状部材である。解除ロッド214は、基端が連結片212の他端に回動自在に軸支され、先端にはガイドローラ214aが回転自在に軸支されている。ガイドローラ214aは、自動解除リンク220のカム部222へ圧接され、キャリッジ3の昇降に伴ってロックカム面222a及び解除カム面222bを転動する。
ロッドガイド216は、前後方向(キャリッジ3長手方向)に配置される筒状部材であって、内部に解除ロッド214を摺動自在に収納している。バネ218は、ロッドガイド216の内部に配置されている。解除ロッド214は、バネ218を介して自動解除リンク220に向かって付勢されることにより、先端のガイドローラ214aがカム部212へ圧接されると共に、連結片212を介してロック片104をロック姿勢と解除姿勢との間で変位させる。
自動解除リンク220は、キャリッジ3の側面に回転軸220aによって回転自在に軸支され、キャリッジ3の高さに応じてガイド部材250に対して接触状態が変化するリンク部材である。自動解除リンク220は、カム部222と、腕部224とを備えている。
カム部222は、回動軸220a周りに設けられて解除ロッド214によって圧接される部分である。カム部222は、解除ロッド214を介してロック片104をロック姿勢に保持するための小径のロックカム面222a,222aと、ロックカム面222a,222aに連続し且つより大径に設けられてロック片104を解除姿勢に保持する解除カム面222b,222bとを備えている。二つのロックカム面222a,222aは、回動軸220aを挟んで対角上に形成され、回動軸220aよりも前方側のロックカム面222aは前方側のロック片変位機構210の一部として機能し、後方側のロックカム面222aは後方側のロック片変位機構210の一部として機能している。同様に、二つの解除カム面222b,222bも回動軸220aを挟んで対角上に形成されている。
腕部224は、カム部222からへ字形に延びる腕状部分である。腕部224は、先端にガイドローラ224aが回転自在に設けられている。ガイドローラ224aは、昇降装置10により昇降されるキャリッジ3の高さに応じて、短尺リンク12に設けられたガイド部材250に対して離間したり、接触したりする。
ガイド部材250は、短尺リンク12の基端部12a及び長尺リンク14との軸支部13の中間において、昇降装置10の昇降動作に伴う自動解除リンク220の移動軌跡と交差する位置に配置されている。ガイド部材250は、キャリッジ3が下限位置から所定高さH1以下に位置する場合に自動解除リンク220(具体的にはガイドローラ224a)に接触するように構成される。ここで、所定高さH1は、例えば、150mm程度に設定される。ガイド部材250は、矩形板状の本体部252と、本体部252前面において左右方向(キャリッジ3幅方向)に張り出す第1ガイド面254と、本体部252上面において左右方向(キャリッジ3幅方向)に張り出す第2ガイド面256とを備えている。
第1ガイド面254は、キャリッジ30が所定高さH1よりも下方の他の所定高さH2未満に位置する場合に自動解除リンク220に接触するガイド面である。第1ガイド面254は、短尺リンク12長手方向に直交する方向へ延びる平板状に形成されている。尚、他の所定高さH2は、例えば、120mm程度に設定される。
第2ガイド面256は、第1ガイド面254に連続して形成され、キャリッジ30が他の所定高さH2以上且つ所定高さH1以下に位置する場合に接触するガイド面である。第2ガイド面256は、短尺リンク12長手方向に対して第1ガイド面254に対して所定角度傾斜する平板状のテーパ面となっている。
次に、車両整備用リフト1における昇降装置10の昇降動作について説明する。シリンダ20を最長まで伸長させると、図4、図6に示すように、キャリッジ3が下限位置に下降したリフトダウン状態となる。この時、昇降装置10が完全にピットP内に収容され、ピットPの上面はキャリッジ3及びスイングアーム30,30で覆われ床面Fと略同一面となっている。
リフトダウン状態からシリンダ20を収縮させていくと、ガイドローラ14gがレール部2a,2aに沿って前端側へ転動する。これにより、長尺リンク14が、図5,6において、軸支部13を中心に時計回りに回動し、軸支部13より下側における短尺リンク12との開きが小さくなると共に長尺リンク14の先端部14bが上昇し、これに伴って昇降リンク16上面に固定されたキャリッジ3が上昇していく。この時、ガイドローラ14gは、補正カーブを有するレール部2a,2aに沿って移動するため、キャリッジ3は水平状態を保ったまま上昇する。
シリンダ20が最短の長さまで収縮すると、図1,図3,図5に示すように、キャリッジ3が床面Fから上限まで上昇したリフトアップ状態となり、このときガイドローラ14aはレール部2a,2aの前端まで移動している。この状態において、短尺リンク12と長尺リンク14とは、軸支部13よりも下側の開きが最小となっている。
次に、昇降装置10の昇降動作に伴うスイングアームロック機構100及びスイングアームロック解除機構200の動作について、図7乃至図13を参照しつつ説明する。図9はキャリッジ3が下限位置にある時のスイングアームロック解除機構200を示す側面図、図10はキャリッジ3が下限位置から40mm上昇した時の側面図、図11はキャリッジ3が下限位置から100mm上昇した時の側面図、図12はキャリッジ3が下限位置から120mm上昇した時の側面図、図13はキャリッジ3が下限位置から150mm上昇した時の側面図である。
キャリッジ3が下限位置にある時、図9に示すように、短尺リンク12は水平姿勢となっている。この状態で、短尺リンク12の長手方向に対して直交方向に延びる第1ガイド面254は垂直に近い姿勢となっている。自動解除リンク220は、腕部224先端のガイドローラ224aが第1ガイド面254の下端に接触している。また、カム部222の解除カム面222bが、解除ロッド214先端のガイドローラ214aに接触している。このため、大径の解除カム面222bによって押圧された解除ロッド214は、バネ218の付勢力に抗して前後方向に自動解除リンク220の回動軸220aから最も遠くに位置している。この時、ロック片104は、解除ロッド214の基端に接続された連結片212によって引っ張られてロックギヤ102から完全に離脱した完全解除姿勢となっており、スイングアーム30のロックが完全に解除された状態となっている。
キャリッジ3が下限位置から40mmの高さまで上昇した時(図10参照)、自動解除リンク220は、腕部224先端のガイドローラ224aが第1ガイド面254の上下方向中間に接触している。この時、ロック片104は連結片212によって引っ張られてロックギヤ102から完全に離脱した完全解除姿勢となっており、スイングアーム30のロックが完全に解除された状態が保持される。
続いて、キャリッジ3がさらに下限位置から100mmの高さまで上昇した時(図11参照)、自動解除リンク220は、腕部224先端のガイドローラ224aが第1ガイド面254の上部に接触している。この時、ロック片104は連結片212によって引っ張られてロックギヤ102から完全に離脱し、スイングアーム30のロックが完全に解除された状態が保持される。この状態において、作業者は、スイングアーム30を回動させたり、延長アーム30bを伸縮させたりする等して車両受け具31を車両下部の所定位置にセットする作業を行う。
続いて、キャリッジ3がさらに下限位置から120mmの高さまで上昇した時(図12参照)、自動解除リンク220は、腕部224先端のガイドローラ224aが第1ガイド面254の上端に接触している。この時、ロック片104は連結片212によって引っ張られてロックギヤ102から完全に離脱し、スイングアーム30のロックが完全に解除された状態が保持される。車両は、下部の所定位置にセットされたスイングアーム30の車両受け具31によって支持されて上昇を開始する。
続いて、キャリッジ3がさらに上昇すると、自動解除リンク220は、腕部224先端のガイドローラ224aが第1ガイド面254に接触する状態から第2ガイド面256へ接触する状態へと遷移する。キャリッジ3の上昇に伴って、ガイドローラ224aは第2ガイド面256を転動し、自動解除リンク220は図12において反時計回りに回動していく。これにより、カム部222は、解除ロッド214先端のガイドローラ214aとの接触位置が、大径の解除カム面222bから小径のロックカム面222aへ移行していく。このため、解除ロッド214は、バネ218の付勢力によって前後方向に自動解除リンク220の回動軸220aへ近づく方向へ摺動移動する。これにより、解除ロッド214の基端に接続された連結片212によってロック片104はロックギヤ102側へ押圧されて徐々に噛合していく。
キャリッジ3が下限から150mm上昇した位置にある時(図13参照)、ガイドローラ224aは第2ガイド面256の後端に接触している。また、カム部222は、解除ロッド214先端のガイドローラ214aと小径のロックカム面222aにおいて接触している。解除ロッド214は、バネ218の付勢力によって自動解除リンク220の回動軸220aへ最も近接する状態となっている。このため、解除ロッド214の基端に接続された連結片212によってロック片104はロックギヤ102側へ押圧されて噛合し、スイングアーム30がロックされた状態となる。
キャリッジ3が下限位置から150mmよりも高く上昇すると、自動解除リンク220は、腕部224先端のガイドローラ224aが第2ガイド面256から離間する。自動解除リンク220は、図13に示す姿勢が維持され、解除ロッド214はバネ218の付勢力によって自動解除リンク220の回動軸220aへ最も近接して位置し、ロック片104は連結片212によってロックギヤ102側へ押圧されて噛合しているため、スイングアーム30がロックされた状態が保持される。
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態の車両整備用リフト1は、回動可能に連結された複数のリンクからなるリンク機構を上下に伸縮させて昇降動作を行う昇降装置10と、昇降装置10によって昇降されるキャリッジ3と、先端に車両受け具31を備えると共にキャリッジ3に対して水平回動自在に軸支されたスイングアーム30と、を備え、キャリッジ3上でスイングアーム30の軸支部30aと同軸に設けられるロックギヤ102、及びロックギヤ102に噛合したロック姿勢とロックギヤ102から離脱した解除姿勢との間で変位可能となるようにキャリッジ3に設けられるロック片104を有して構成されるスイングアームロック機構100と、キャリッジ3に設けられて被作用部としての自動解除リンク220への作用によってロック片104をロック姿勢と解除姿勢との間で変位させるロック片変位機構210、及び短尺リンク12において昇降装置10による昇降動作に伴って自動解除リンク220との接触状態が変化するように配置されたガイド部材250を有して構成されるスイングアームロック解除機構200と、を備え、ロック片変位機構210は、昇降装置10の昇降動作によって昇降されるキャリッジ3の高さに応じて、自動解除リンク220とガイド部材250との協働によりロック片104をロック姿勢と解除姿勢との間で変位させる。
この構成によれば、自動解除リンク220を有するロック変位機構210がキャリッジ3に設けられると共に、ガイド部材250が短尺リンク12において昇降装置10の昇降動作に伴って自動解除リンク220との接触状態が変化するように配置されているので、ロック片変位機構210は、昇降装置10の昇降動作によって昇降されるキャリッジ3の高さに応じて、自動解除リンク220とガイド部材250との接触状態が変化することに伴ってこれらの協働によりロック片104をロック姿勢と解除姿勢との間で変位させることができる。よって、複数のリンクからなるリンク機構を上下に伸縮させて昇降動作を行う昇降装置10を備えた車両整備用リフト1において、整備作業の障害とならない簡単な構成でスイングアーム3のロック状態と解除状態とを自動的に切り替えることができるという効果を奏する。また、リンク機構を利用した昇降装置10による昇降動作を利用してスイングアームロック解除機構200を動作させるので、スイングアームロック解除機構200を駆動するための駆動部を別個に設ける必要が無いという効果を奏する。また、リンク機構を構成する複数のリンクの一つである短尺リンク12にガイド部材250を設けたので、ガイド部材250設置用の支柱等を別個に設ける必要が無く、車両のドア等と干渉して整備作業の障害になることを防止できるという効果を奏する。
また、ロック片変位機構210は、ロック片104に連結される連結部材としての連結片212及び解除ロッド214を備え、解除ロッド214は、自動解除リンク220に向かって付勢されるように構成され、自動解除リンク220は、キャリッジ3に回動自在に軸支されるリンク部材であって、その回動軸周りに設けられて連結部材によって圧接されるカム部222と、カム部222から腕状に延設、すなわちカム部222に腕状に連設されて昇降装置10による昇降動作に伴ってガイド部材250との接触状態が変化する腕部224とを備え、自動解除リンク220は、昇降装置10による昇降動作に伴って腕部224とガイド部材250との接触状態が変化することによって回動され、カム部222に圧接する解除ロッド214は連結片212を介してロック片104をロック姿勢と解除姿勢との間で変位させる。
この構成によれば、自動解除リンク220は、昇降装置10による昇降動作に伴って腕部224とガイド部材250との接触状態が変化することによって回動され、カム部222に圧接する解除ロッド214及び連結片212を介してロック片104をロック姿勢と解除姿勢との間で変位させることにより、スイングアーム30のロック状態と解除状態とを自動的に切り替えることができると共に、切り換え動作にメリハリを設けることができるという効果を奏する。
また、ガイド部材250は、キャリッジ3が所定高さH1以下に位置する場合に自動解除リンク220に接触するように構成され、ロック片変位機構210は、自動解除リンク220がガイド部材250に接触することによってロック片104を解除姿勢とし、自動解除リンク220がガイド部材250から離間することによってロック片104をロック姿勢とする。
この構成によれば、キャリッジ3が所定高さH1以下で昇降する間、自動解除リンク220がガイド部材250に接触することによって、ロック片104が解除姿勢に確実に保持される。一方、キャリッジ3が所定高さH1よりも上方で昇降する間、自動解除リンク220がガイド部材250から離隔することによって、ロック片104がロック姿勢に確実に保持される。
また、ガイド部材250は、キャリッジ3が所定高さH1よりも下方の他の所定高さH2未満に位置する場合に自動解除リンク220に接触する第1ガイド面254と、第1ガイド面254に対してテーパ状に傾斜して設けられ且つキャリッジ3が他の所定高さH2以上且つ所定高さH1以下に位置する場合に自動解除リンク220に接触する第2ガイド面256とを備え、ロック片変位機構210は、自動解除リンク220が第1ガイド面254に接触する間、ロック片104をロックギヤ102から完全に離脱した完全解除姿勢に保持し、一方、自動解除リンク220が第2ガイド面256に接触する間、ロック片104を完全解除姿勢とロック姿勢との移行姿勢に保持する。
この構成によれば、キャリッジ3が所定高さH1よりも下方の他の所定高さH2未満に位置する間、自動解除リンク220が第1ガイド面254に接触することによって、ロック片104をロックギヤ102から完全に離脱した完全解除姿勢に保持することができる。一方、キャリッジ3が他の所定高さH2以上且つ所定高さH1以下に位置する間、自動解除リンク220がテーパ状の第2ガイド面256に接触することによって、ロック片104を完全解除姿勢とロック姿勢との移行姿勢に保持するので、ロック片104を完全解除姿勢とロック姿勢との間で徐々に変位させて円滑な切り替えを実現することができる。
また、ロック片変位機構210は、ロック片104をロック姿勢から解除姿勢へ手動により変位させる手動解除レバー213を備える。
この構成によれば、作業者は、手動解除レバー213を手動で操作することにより、任意のタイミングでロック片104をロック姿勢から解除姿勢へ変位させることができるという効果を奏する。
また、昇降装置10は、短尺リンク12と、短尺リンク12よりも長尺の長尺リンク14とを交差してなるλ状リンク機構を有するものであって、ガイド部材250は、短尺リンク12に配置されている。
この構成によれば、ガイド部材250がλ状リンク機構の短尺リンクに配置されることにより、スイングアームロック解除機構200を駆動するための駆動部を別途設ける必要がなく、更に車両のドア等と干渉して整備作業の障害になることも防止できるという効果を奏する。
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変更を施すことが可能である。上記実施形態では、昇降装置10としてλ状リンク機構を採用した例を示したが、これには限られない。昇降装置10は、複数のリンクからなるリンク機構を上下に伸縮させて昇降動作を行う装置であればよく、例えば、X状リンク機構を採用する構成としてもよく、X状リンク機構を上下二段に重ねて構成したパンタグラフ式リンク機構を採用する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、ロック片変位機構210の被作用部として自動解除リンク220を設けた例を示したが、これには限られない。例えば、図14,15に示すように、ロック片変位機構210において自動解除リンク220を廃止する構成としてよい。図14は変形例においてキャリッジ3が下限位置にある時のスイングアームロック解除機構200を示す側面図、図15はキャリッジ3が下限位置から150mm上昇した時のスイングアームロック解除機構200を示す側面図である。変形例では、自動解除リンク220を廃止すると共に、ガイド部材250に代えて、矢尻形状のガイド部材260を短尺リンク12上に設けている。ガイド部材260は、板状の本体262と、本体262上部両側に設けられたリフトダウン時に垂直となる第1ガイド面264と、上面の中心を挟む両側にテーパ面を有する三角形状の第2ガイド面266とを備えている。ガイド部材260は、短尺リンク12の基端部12a及び長尺リンク14との軸支部13の中間において、昇降装置10の昇降動作に伴うガイドローラ214a,214aの移動軌跡と交差する位置に配置されている。ガイド部材260は、昇降装置10の昇降動作に伴って一対の解除ロッド214間の隙間を上下方向に進退することにより、ガイドローラ214aを介して解除ロッド214を前後に駆動する。
本変形例によれば、ガイド部材260は、キャリッジ3が所定高さ(H1)以下に位置する場合に被作用部としてのガイドローラ214aに接触するように構成されている。そして、ロック片変位機構210は、ガイドローラ214aが第1ガイド面262に接触することによってロック片104を完全解除姿勢とし、ガイドローラ214aが第2ガイド面264に接触する間は完全解除姿勢とロック姿勢との移行姿勢に保持し、ガイド部材260から離間することによってロック片104をロック姿勢とする。本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、上記実施形態では、自動解除リンク220がガイド部材250の第2ガイド面256に接触する時のキャリッジ3の高さを120mm以上150mm以下とし、第1ガイド面254に接触する時のキャリッジの高さを120mm未満としたが、これらは仕様に応じて適宜変更して実施可能である。
また、上記実施形態では、キャリッジ3にスイングアームを設けたスイングアーム専用の車両整備用リフトに本発明を適用した例を示したが、これには限られない。例えば、車両を載置するプレートと、そのプレートにブラケットを介して取り付けられたスイングアームとを備えたプレート式とアーム式とを兼用する車両用整備リフトに本発明を適用してもよい。この場合、プレート及びブラケットが、本発明の被昇降体に相当するものである。