本発明の農業用フィルムは、少なくともA層及び流滴層を有する農業用フィルムであって、(1)上記農業用フィルムの流滴層側の表面は、JIS B0601:2013に準拠して測定した算術平均粗さRaが0.1〜3.0μmであり、(2)上記流滴層は、親水性無機フィラーを含有することを特徴とする。
上記農業用フィルムは、流滴層側の表面が、JIS B0601:2013に準拠して測定した算術平均粗さRaが0.1〜3.0μmであるので、ヘイズ値が高く、夏場に直達光線のハウス等の内部への透過が抑制されるので、葉焼けが抑制される。また、上記農業用フィルムは、流滴層側の表面の算術平均粗さRaが上述の範囲であることと、流滴層が親水性無機フィラーを含有することとがあいまって、当該算術平均粗さRaを示す面がハウス等の内側になるように展張することで、冬場の結露時に農業用フィルムの表面の凹凸に水が充填されて平滑となり、ヘイズ値が低くなる。このため、上記農業用フィルムは冬場の結露時に光線透過量が多くなり、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線が十分に透過する。以上より、本発明の農業用フィルムは、夏場の乾燥時に光線透過量が抑制され、且つ、冬場の結露時に光線透過量が多くなり、これらの特性を両立することができる。
以下、本発明の農業用フィルムについて詳細に説明する。
本発明の農業用フィルムの層構成は、少なくともA層及び流滴層を有していれば特に限定されない。図1及び2に、本発明の農業用フィルムの層構成を示す。図1及び2は、本発明の農業用フィルムの層構成の一例を示す断面図である。図1及び2において、本発明の農業用フィルム1は、A層3の片面に流滴層2が形成されており、農業用フィルム1の表面に流滴層2が形成されている。
本発明の農業用フィルムは、図1のようにA層及び流滴層のみを有する層構成であってもよい。また、好適な層構成としては、図2のように、少なくとも流滴層、A層、B層及びC層をこの順に有する層構成が挙げられる。以下、この好適な層構成を例に挙げて各層について説明する。なお、本発明の農業用フィルムにおいて、流滴層側の表面が上記算術平均粗さRaを示していればよく、当該算術平均粗さRaを示す面がハウス等への展張時にハウス等の内面となる面である。
本発明の農業用フィルムは、流滴層側の表面の、JIS B0601:2013に準拠して測定した算術平均粗さRaが0.1〜3.0μmである。Raが0.1μm未満であると、夏場の直達光線を低減することができず、3.0μmを超えると、冬場の結露時にヘイズ値が十分に低下せず光線透過量が少なくなり、太陽光が弱い冬場に太陽光線を十分に透過できない。上記Raは0.3〜2.0μmが好ましく、0.5〜1.0μmがより好ましい。
(流滴層)
流滴層は、A層上(B層が形成される側とは反対側)に形成され、本発明の農業用フィルムがハウス等に展張される際に、ハウス等の内側に位置する層である。
流滴層は、親水性無機フィラーを含有する。親水性無機フィラーとしては、冬場の結露時に農業用フィルムの表面の凹凸に水を充填して平滑とし、ヘイズ値を低下させることができれば特に限定されず、シリカ、酸化チタン、二酸化チタン、タルク等が挙げられる。これらの中でも、冬場の結露時により一層ヘイズ値を低下させることができる点で、シリカが好ましい。
上記シリカとしては、コロイダルシリカ、粉末状シリカが挙げられる。これらの中でも、冬場の結露時により一層ヘイズ値を低下させることができる点で、コロイダルシリカが好ましい。
コロイダルシリカは、シリカ粒子が液体に分散してコロイドを形成した状態のものである。コロイダルシリカに含まれるシリカ粒子の平均一次粒子径は特に限定されず、1〜100nmが好ましく、4〜100nmがより好ましく、20〜80nmが更に好ましく、40〜60nmが特に好ましい。
流滴層に用いられるコロイダルシリカとしては、球状のシリカ粒子の一次粒子が液体に分散してコロイドを形成しているコロイダルシリカ、シリカ粒子の一次粒子が環状に結合した二次粒子を含むネックレス状コロイダルシリカ、シリカ粒子の一次粒子が数個ないし十数個鎖状に結合した二次粒子を含み、環状構造を有しない二次粒子を含む鎖状コロイダルシリカ等のいずれの形態のコロイダルシリカを用いてもよい。これらの中でも、球状のシリカ粒子の一次粒子が液体に分散してコロイドを形成しているコロイダルシリカをより好適に用いることができる。
上記シリカ粒子の一次粒子が液体に分散してコロイドを形成しているコロイダルシリカの市販品としては、日産化学工業株式会社製コロイダルシリカ 商品名:「ST―XS」(平均粒子径4〜6nm)、「ST−S」(平均粒子径8〜11nm)、「ST−30」(平均粒子径10〜15nm)、「ST−50」(平均粒子径20〜25nm)、「ST−20L」(平均粒子径40〜50nm)、「ST−XL」(平均粒子径40〜60nm)等が挙げられる。また、上記ネックレス状コロイダルシリカの市販品としては、日産化学工業株式会社製ネックレス状コロイダルシリカ 商品名:「ST−PS−S」、「ST−PS−M」、「ST−PS−SO」、「ST−PS−MO」、「ST−PS−S−AK」が挙げられる。
流滴層中の上記親水性無機フィラーの含有量は、後述するバインダー樹脂を100質量部として、100〜300質量部が好ましく、150〜250質量部がより好ましい。親水性無機フィラーの含有量を上記範囲とすることにより、冬場の結露時に、より一層ヘイズ値を低下させることができる。
流滴層中の上記親水性無機フィラーの含有量は、後述する流滴層を形成するための防曇性組成物を100質量%として2.0〜12.0質量%が好ましく、3.0〜8.0質量%がより好ましい。親水性無機フィラーの含有量を上記範囲とすることにより、冬場の結露時に、より一層ヘイズ値を低下させることができる。
上記流滴層は、バインダー樹脂を含有することが好ましい。バインダー樹脂は、親水性バインダー樹脂、疎水性バインダー樹脂のいずれであってもよい。
上記親水性バインダー樹脂としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、酢酸ビニル系水溶性樹脂、ポリエチレンオキサイド、セルロースアシレート、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルブチラール、ポリエーテルエステルアミド、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどの変性セルロース、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリビニルアセタール、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド、ポリアクリロイルモルホリン、ポリヒドロキシアクリルアクリレート、ポリアクリル酸、ポリエーテル系材料等が挙げられる。
上記疎水性バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられるが、特にアクリル系樹脂が好適に用いられる。
上記アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル系単量体」は、アクリル系単量体又はメタアクリル系単量体を意味し、他の(メタ)と記載された部分についても同様である。
上記(メタ)アクリル系単量体としては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の官能基含有(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの単量体は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
上記(メタ)アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体としては、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;ビニルピリジン、ビニルアルコール、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン、酢酸ビニル、1−ビニルイミダゾール等のビニル単量体;モノメチルイタコネート、モノエチルイタコネート等のイタコン酸エステル;モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノプロピルフマレート、モノブチルフマレート等のフマル酸エステル;及びモノメチルマレート、モノエチルマレート、モノプロピルマレート、モノブチルマレート等のマレイン酸エステルが挙げられる。これらの単量体は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
上記ウレタン系樹脂としては、例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタン樹脂を用いることができる。これらのウレタン系樹脂は、水性組成物、又はエマルジョンの形態で用いてもよい。
上記ウレタン系樹脂としては、A層との密着性、耐水性及び表面強度(耐傷性)に優れる点でポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタン樹脂のエマルジョンが好ましく、シラノール基を有するポリカーボネート系のアニオン性ポリウレタン樹脂のエマルジョンがより好ましい。これらのウレタン系樹脂は、1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。
流滴層中の上記バインダー樹脂の含有量は、後述する流滴層を形成するための防曇性組成物を100質量%として0.5〜5質量%が好ましく、1〜3質量%がより好ましい。バインダー樹脂の含有量を上記範囲とすることにより、冬場の結露時に、より一層ヘイズ値を低下させることができ、且つ、本発明の農業用フィルムの表面により一層優れた耐傷性を付与することができる。
上記流滴層において、親水性無機フィラーの質量(Mf)と、バインダー樹脂の質量(Mb)との質量比(Mf/Mb)は、1.50〜3.50が好ましく、1.50〜3.00がより好ましく、1.60〜2.50が更に好ましい。Mf/Mbを上記範囲とすることにより、流滴層が、より一層優れた透明性及び耐水性を示すことができる。
上記流滴層の厚みは、0.1〜2.0μmが好ましく、0.3〜1.5μmがより好ましく、0.5〜1.0μmが更に好ましい。流滴層の厚みが上記範囲であることにより、より一層優れた流滴性を示すことができる。
流滴層は、当該流滴層を形成するための防曇性組成物を、流滴層を形成する面上に塗布し、乾燥させることにより形成される。防曇性組成物としては、上記親水性無機フィラーを含有していれば特に限定されず、例えば、上記親水性無機フィラー、上記バインダー樹脂、界面活性剤及び分散媒を含有する防曇性組成物が挙げられる。以下、防曇性組成物の成分のうち、上記親水性無機フィラー及び上記バインダー樹脂以外の成分について説明する。
上記防曇性組成物は、界面活性剤を含有していてもよい。上記界面活性剤としては、公知の種々の非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等を始めとする、多価アルコールと高級脂肪酸類とから成る多価アルコール部分エステル系のもの、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、防曇性組成物に高いレベリング性を付与でき、防曇性組成物を用いて形成した流滴層に高い流滴性を付与できることから、非イオン性界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤が好ましく、シリコーン系界面活性剤がより好ましい。これらは1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を併用して使用してもよいが、併用する場合は、非イオン性界面活性剤又はシリコーン系界面活性剤を少なくとも含むことが好ましい。
上記シリコーン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、ビニル基含有シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキル・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アルコキシシラン、反応性シロキサンオリゴマー、及びこれらの構造を持つシリコーンエラストマー等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、防曇性組成物に高いレベリング性を付与でき、防曇性組成物を用いて形成した流滴層に高い防曇性を付与できる点で、ポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましい。
上記非イオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノミリステート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノベヘネート、ソルビタンとアルキレングリコールの縮合物と脂肪酸とのエステル等のソルビタン系界面活性剤;グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノラウレート、ジグリセリンモノパルミテート、グリセリンジパルミテート、グリセリンジステアレート、ジグリセリンモノパルミテート・モノステアレート、トリグリセリンモノステアレート、トリグリセリンジステアレートあるいはこれらのアルキレンオキシド付加物等のグリセリン系界面活性剤;ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル等のポリエチレングリコール系界面活性剤;トリメチロールプロパンモノステアレートなどのトリメチロールプロパン系界面活性剤;ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート等のペンタエリスリトール系界面活性剤;アルキルフェノールのアルキレンオキシド付加物;ソルビタン/グリセリンの縮合物と脂肪酸とのエステル;ソルビタン/アルキレングリコールの縮合物と脂肪酸とのエステル;ジグリセリンジオレートナトリウムラウリルサルフェート;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム;セチルトリメチルアンモニウムクロライド;ドデシルアミン塩酸塩;ラウリン酸ラウリルアミドエチルリン酸塩;トリエチルセチルアンモニウムイオダイド;オレイルアミノジエチルアミン塩酸塩;ドデシルピリジニウム塩等やそれらの異性体;アセチレンジアルコール及びそのアルキレンオキシド付加物等を含むものが挙げられる。これらの中でも、表面張力を特に低下させることができる点で、アセチレンジアルコール及びそのアルキレンオキシド付加物が好ましい。
上記防曇性組成物において、上記界面活性剤の含有量(2種類以上併用する場合は、合計量)は、上記親水性無機フィラーと上記バインダー樹脂との合計100質量部に対して、1.0〜15.0質量部が好ましく、1.2〜5.0質量部がより好ましく、1.5〜3.5質量部が更に好ましい。界面活性剤の含有量を上述の範囲とすることで、上記防曇性組成物により形成された流滴層が優れたレベリング性を示すことができる。
上記親水性無機フィラー、バインダー樹脂及び界面活性剤は、通常市販されている製品そのもの、又は、水等の分散媒に分散された製品、通常市販されている粉末等を水等の分散媒に分散させたもののいずれを用いてもよい。
上記防曇性組成物は、分散媒を含有していてもよい。すなわち、上記防曇性組成物は、上記コロイダルシリカ、並びに、必要に応じて上記バインダー樹脂、上記界面活性剤及び後述する他の成分が、分散媒中に分散された防曇性組成物であってもよい。分散媒としては、水、水を含む水混合性溶媒等が挙げられ、具体的には、水道水、脱イオン水、純水等の水;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類;ベンジルアルコール等の環式アルコール類;セロソルブアセテート類;ケトン類等が挙げられる。これらの分散媒は、水単独で用いるか、又は、水とそれ以外の溶媒を混合して用いることが望ましい。
本発明の防曇性組成物は、上記コロイダルシリカ及びバインダー樹脂を含有していれば、更に、必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、熱安定剤、帯電防止剤等の他の成分を通常の量で配合することができる。
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、フェニルサリシレート系等の紫外線吸収剤が挙げられる。中でも、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤及び/又はベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好適に用いられる。
光安定剤としては、防曇性組成物に通常配合される種々の化合物を使用することができる。具体的には、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)アジペート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート等のヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−エチルフェノール)、ジラウリルチオジプロピオネート等が挙げられる。
滑剤ないし熱安定剤としては、例えばポリエチレンワックス、流動パラフィン、ビスアマイド、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、脂肪族アルコール、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジマレート、有機リン酸金属塩、有機ホスファイト化合物、フェノール類、β−ジケトン化合物等が挙げられる。
上記他の成分は、それぞれ1種または2種以上を組合せて使用することができる。上記他の成分のそれぞれの配合量は、流滴層の性能を低下させない範囲とすることが好ましく、通常は、親水性無機フィラーの固形分、バインダー樹脂の固形分、界面活性剤、及び分散媒の合計を100質量部として、合計10質量部以下の範囲で選択することができる。
(A層)
A層は、その上側(B層が形成される側とは反対側)に上記流滴層が形成される層である。
A層は、JIS B0601:2013に準拠して測定した表面の算術平均粗さRaが0.1〜3.0μmであることが好ましい。A層のRaが上記範囲であることにより、A層の表面形状に追従するように上記流滴層を形成すれば、流滴層の表面のRaが上記範囲となり、本発明の農業用フィルムの流滴層側の表面のRaを0.1〜3.0μmに容易に調整することができる。上記A層のRaは0.3〜2.0μmが好ましく、0.5〜1.0μmがより好ましい。
A層は、ポリオレフィン系樹脂を含有していてもよい。ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、エチレンまたはα−オレフィンの単独重合体、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレンまたはα−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、エチレンまたはα−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体等を用いることができ、例えば、高密度、低密度又は直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体がより好ましい。ポリオレフィン系樹脂として上記樹脂を用いることで、農業用フィルムがより一層優れた透明性、耐候性を示すことができ、農業用フィルムを低価格とすることができる。
また、本発明において、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一成分としてメタロセン触媒で共重合して得られるエチレン−α−オレフィン共重合樹脂を使用することができる。これは、通常、メタロセンポリエチレンといわれているものであり、エチレンとブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテンなどのα−オレフィンとの共重合体である。
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合、当該エチレン−α−オレフィン共重合体のJIS−K7210により測定されるメルトフローレート(MFR)は、0.01〜50g/10分が好ましく、0.1〜40g/10分がより好ましく、0.2〜30g/10分が更に好ましく、0.3〜20g/10分が特に好ましい。該MFRを上述の範囲に設定することにより、A層の表面の算術平均粗さRaを調整し易くなり、本発明の農業用フィルムの流滴層側の表面のRaを0.1〜3.0μmに容易に調整することができる。また、該MFRを上述の範囲に設定することにより、成形時(製膜時)のフィルムの蛇行及び成形機への負荷を減らすことができるため成形性を高めることができる。
上記エチレン−α−オレフィン共重合体のJIS K7112により測定される密度は、0.880〜0.930g/cm3が好ましく、0.890〜0.920g/cm3がより好ましい。該密度を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムの透明性を確保し易くなるとともに、表面のべたつきを減らしてブロッキングを抑制し易くなる。
上記エチレン−α−オレフィン共重合体のゲルパーミュレーションクロマトグラフィー(GPC)によって求められる分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は0.5〜3.5が好ましく、1.0〜3.0がより好ましい。該分子量分布を好ましい範囲に設定することにより、成形時(製膜時)のフィルムの蛇行を減らして成形性を高めることができるとともに、農業用フィルムの機械的強度を確保し易くなる。
ポリオレフィン系樹脂として直鎖状低密度ポリエチレンを用いる場合、当該直鎖状低密度ポリエチレンのJIS−K7210により測定されるメルトフローレート(MFR)は、0.01〜50g/10分が好ましく、0.1〜40g/10分がより好ましく、0.2〜30g/10分が更に好ましく、0.3〜20g/10分が特に好ましく、1.0〜2.5g/10分が最も好ましい。該MFRを上述の範囲に設定することにより、A層の表面の算術平均粗さRaを調整し易くなり、本発明の農業用フィルムの流滴層側の表面のRaを0.1〜3.0μmに容易に調整することができる。また、該MFRを上述の範囲に設定することにより、成形時(製膜時)のフィルムの蛇行及び成形機への負荷を減らすことができるため成形性を高めることができる。
上記直鎖状低密度ポリエチレンのJIS K7112により測定される密度は、0.880〜0.930g/cm3が好ましく、0.890〜0.925g/cm3がより好ましい。該密度を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムの透明性が確保し易いとともに、表面のべたつきを減らしてブロッキングを抑制し易くなる。
ポリオレフィン系樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体を用いる場合、当該酢酸ビニル共重合体のJIS−K7210により測定されるメルトフローレート(MFR)は、0.01〜50g/10分が好ましく、0.1〜40g/10分がより好ましく、0.2〜30g/10分が更に好ましく、0.3〜20g/10分が特に好ましく、0.5〜15g/10分が最も好ましい。該MFRを上述の範囲に設定することにより、A層の表面の算術平均粗さRaを調整し易くなり、本発明の農業用フィルムの流滴層側の表面のRaを0.1〜3.0μmに容易に調整することができる。また、該MFRを上述の範囲に設定することにより、成形時(製膜時)のフィルムの蛇行及び成形機への負荷を減らすことができるため成形性を高めることができる。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体のJIS K7112により測定される密度は、0.910〜0.940g/cm3が好ましく、0.920〜0.935g/cm3がより好ましい。該密度を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムの透明性が確保し易いとともに、表面のべたつきを減らしてブロッキングを抑制し易くなる。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量が1〜50質量%の範囲が好ましく、1〜30質量%の範囲がより好ましく、2〜20質量%の範囲が更に好ましく、3〜15質量%の範囲が特に好ましい。該酢酸ビニル含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムの硬さを好適化することができるため、ハウスへの展張時にシワや弛みの発生を効果的に抑制することができる。また、夏季の高温下でも農業用フィルムの弛みを抑制することができるため、弛みによるバタツキやハウス構造体との擦れ等による破れを抑制し易くなる。
上記ポリオレフィン系樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
A層は、JIS−K7210により測定されるメルトフローレートが異なる2種以上のポリオレフィン系樹脂を含有することが好ましい。当該構成とすることにより、A層の表面の算術平均粗さRaを調整し易くなり、上記A層の表面形状に追従するように流滴層を形成すれば、流滴層の表面のRaが上記範囲となり、本発明の農業用フィルムの流滴層側の表面のRaを0.1〜3.0μmに容易に調整することができる。
A層が、JIS−K7210により測定されるメルトフローレートが異なる2種以上のポリオレフィン系樹脂を含有する場合、上記ポリオレフィン系樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合体及び直鎖状低密度ポリエチレンから選択される少なくとも1種であることがより好ましい。当該構成とすることにより、A層の表面の算術平均粗さRaを調整し易くなり、上記A層の表面形状に追従するように流滴層を形成すれば、流滴層の表面のRaが上記範囲となり、本発明の農業用フィルムの流滴層側の表面のRaを0.1〜3.0μmに容易に調整することができる。
上記ポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレンである場合、当該直鎖状低密度ポリエチレンは、JIS−K7210により測定されるメルトフローレートが1.7g/10分以上の直鎖状低密度ポリエチレン(i)と、メルトフローレートが1.7g/10分未満の直鎖状低密度ポリエチレン(ii)とを含むことが好ましい。当該構成とすることにより、A層の表面の算術平均粗さRaを調整し易くなり、上記A層の表面形状に追従するように流滴層を形成すれば、流滴層の表面のRaが上記範囲となり、本発明の農業用フィルムの流滴層側の表面のRaを0.1〜3.0μmに容易に調整することができる。
上記直鎖状低密度ポリエチレン(i)のメルトフローレートの上限は特に限定されず、50g/10分が好ましく、40g/10分がより好ましく、30g/10分が更に好ましく、20g/10分が特に好ましい。また、上記直鎖状低密度ポリエチレン(ii)のメルトフローレートの下限は特に限定されず、0.01g/10分が好ましく、0.5g/10分がより好ましく、1.0g/10分が更に好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂がエチレン−酢酸ビニル共重合体である場合、当該エチレン−酢酸ビニル共重合体は、JIS−K7210により測定されるメルトフローレートが5.0g/10分以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(i)と、メルトフローレートが5.0g/10分未満のエチレン−酢酸ビニル共重合体(ii)とを含むことが好ましい。当該構成とすることにより、A層の表面の算術平均粗さRaを調整し易くなり、上記A層の表面形状に追従するように流滴層を形成すれば、流滴層の表面のRaが上記範囲となり、本発明の農業用フィルムの流滴層側の表面のRaを0.1〜3.0μmに容易に調整することができる。
上記エチレン−酢酸ビニル共重合体(i)のメルトフローレートの上限は特に限定されず、50g/10分が好ましく、40g/10分がより好ましく、30g/10分が更に好ましく、20g/10分が特に好ましい。また、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体(ii)のメルトフローレートの下限は特に限定されず、0.01g/10分が好ましく、0.5g/10分がより好ましく、1.0g/10分が更に好ましい。
A層中のポリオレフィン系樹脂の含有量は、90〜100質量%が好ましく、95〜99質量%がより好ましい。A層中のポリオレフィン系樹脂の含有量を上記範囲とすることにより、本発明の農業用フィルムの冬場の結露時の光線透過量がより一層多くなり、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線がより一層透過する。
A層は、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。紫外線吸収剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤が挙げられる。
上記紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
紫外線吸収剤の含有量は、A層に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムが紫外線抑制効果をより一層発揮できるとともに紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。
A層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい(なお、当該ヒンダードアミン系光安定剤はA層だけでなく、A層、B層及びC層の少なくとも1層に含めることができ、特にA層、B層及びC層の全層に含めることが好ましい。)。なお、前記有機基はそれ自体で反応性の少ない、例えばメチル基などを意味し、前記有機の官能基はそれ自体で反応性を有する官能基を意味する。
このようなヒンダードアミン系光安定剤としては、いわゆるNR型ヒンダードアミン系光安定剤や、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。なお、NR型ヒンダードアミン系光安定剤とは、ヒンダードアミン系光安定剤のうち、ピペリジン環の窒素原子に炭素原子が直接結合しているものをいい、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤とは、ヒンダードアミン系光安定剤のうち、ピペリジン環の窒素原子に、酸素原子を介して炭素原子が結合しているものをいう。
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記式(1)で表されるピペリジン環構造を、分子中に1又は2以上有するNR型ヒンダードアミンが挙げられる。
ここで、式(1)中、R1は、ピペリジン環窒素原子に炭素原子が直接結合している有機基、又は有機の官能基である。
上記ピペリジン環窒素原子に炭素原子が直接結合している有機基又は有機の官能基としては、例えば、ピペリジン環窒素原子に炭素原子が直接結合している、炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチル基又はメチレン基を含む官能基又は化合物が挙げられる。炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチル基又はメチレン基を含む化合物としては、例えばアルキル基が挙げられ、オリゴマーやポリマーも含む。
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、例えば、下記式(2)〜(10)で表されるものが挙げられる。
ここで、式(10)中、nは重合度(繰り返し単位の数)を示す自然数である。
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、上記式(10)で表されるものを用いることが好ましい。
上記式(10)で表されるNR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 622」等が挙げられる。
上記NR型ヒンダードアミン系光安定剤の分子量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。該分子量は好ましい範囲に設定することにより、NR型ヒンダードアミン系光安定剤のブリードアウトを抑制し易くなる。なお、上記分子量の上限は特に限定されないが、5000程度である。
上記NOR型ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記式(11)で表されるピペリジン環構造を、分子中に1又は2以上有するNOR型ヒンダードアミンが挙げられる。
ここで、式(11)中、R2は有機基、又は有機の官能基である。
上記有機基、又は有機の官能基としては、例えば、炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチル基又はメチレン基を含む官能基又は化合物を表す。炭素数が1以上で且つ少なくとも1以上のメチル基又はメチレン基を含む化合物は、オリゴマーやポリマーも含む。具体的には、R2としては、例えば、プロピル基等のアルキル基が挙げられる。
上記NOR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、例えば、下記式(12)で表されるものが挙げられる。
上記式(12)で表されるNOR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 123」等が挙げられる。また、他のNOR型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN NOR 371」、株式会社ADEKA製 商品名「LA−81」、クラリアントジャパン社製 商品名「Hostavin NOW」が挙げられる。
上記NOR型ヒンダードアミン系光安定剤の分子量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。該分子量は好ましい範囲に設定することにより、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤のブリードアウトを抑制し易くなる。なお、上記分子量の上限は特に限定されないが、5000程度である。
A層は、更に、ピペリジン環の窒素原子に直接水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤(いわゆるNH型ヒンダードアミン系光安定剤)を含んでいてもよい(なお、当該ヒンダードアミン系光安定剤はA層だけでなく、A層、B層及びC層の少なくとも1層に含めることができ、特にA層、B層及びC層の全層に含めることが好ましい。)。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用フィルムがより耐候性に優れる。
NH型ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。例えば、下記式(13)で表されるピペリジン環構造を、分子中に1又は2以上有するNH型ヒンダードアミンが挙げられる。
上記NH型ヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、例えば、下記式(14)〜(17)で表されるものが挙げられる。
式(14)中、R3は、tert−オクチル基であり、nは重合度を示す自然数である。
上記NH型ヒンダードアミン系光安定剤としては、上記式(14)で表されるものを用いることが好ましい。
上記式(14)で表されるNH型ヒンダードアミン系光安定剤の市販品としては、例えば、BASF社製 商品名「CHIMASSORB 944」等が挙げられる。
上記NH型ヒンダードアミン系光安定剤の分子量は、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましい。該分子量は好ましい範囲に設定することにより、NH型ヒンダードアミン系光安定剤のブリードアウトを抑制し易くなる。なお、上記分子量の上限は特に限定されないが、5000程度である。
上記ヒンダードアミン系光安定剤は、NR型ヒンダードアミン系光安定剤及びNH型ヒンダードアミン系光安定剤を含むことが好ましい。このようなヒンダードアミン系光安定剤を用いることで、本発明の農業用フィルムが初期紫外線劣化抑制効果に優れ、且つ、紫外線劣化抑制効果の長期持続性に優れる。NR型ヒンダードアミン系光安定剤及びNH型ヒンダードアミン系光安定剤を含むヒンダードアミン系光安定剤(NR−NH混合型ヒンダードアミン系光安定剤)としては、例えば、BASF社製 商品名「TINUVIN 622」とBASF社製 商品名「CHIMASSORB 944」との混合物であるBASF社製 商品名「TINUVIN 783」などが挙げられる。
A層が上記ヒンダードアミン系光安定剤を含有する場合の含有量は、A層に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜3質量部が好ましく、0.2〜2質量部がより好ましく、0.3〜1質量部が更に好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムがより一層良好な耐候性を示すことができる。
A層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
A層は、無機保温剤等の無機粒子を含有していてもよいが、無機粒子を含有しないことが好ましい。A層が無機粒子を含有しないことにより、本発明の農業用フィルムの冬場の結露時の光線透過量がより一層多くなり、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線がより一層透過する。
A層の厚みは、5〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましく、15〜30μmが更に好ましい。A層の厚みが上記範囲であることにより、成形時(製膜時)のフィルムの蛇行をより一層抑制することができ、成形性をより一層向上させることができる。
(B層)
本発明の農業用フィルムは、A層の流滴層が形成される側とは反対側に、B層を有していてもよい。B層は、ポリオレフィン系樹脂を含む単層又は複数の層からなり、少なくとも1層に無機保温剤を含むことが好ましい。
B層に含まれるポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、上記A層に使用できるポリオレフィン系樹脂と同一のものを用いることができる。B層に含まれるポリオレフィン系樹脂は、農業用フィルムがより一層柔軟になり、展張作業がより一層し易くなる点で、エチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
B層は、上記ポリオレフィン系樹脂を含む単層又は複数の層からなる。B層の層数は特に限定されないが、1〜3層であることが好ましく、1層であることがより好ましい。
本発明の農業用フィルムのB層を構成する少なくとも1層には、無機保温剤を含有していてもよい。
上記無機保温剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、ハイドロタルサイト類、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物、リチウムアルミニウム系複合水酸化物、その他複合水酸化物(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B族元素、珪素以上の4B族元素から選ばれる少なくとも2種以上の元素を有する水酸化物)等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。中でも、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物を用いることが好ましい。上記無機保温剤を含有することで、得られる農業用フィルムの保温性が向上し、フィルム成形時の押出変動を改善することができる。ここで、押出変動とは、例えば、防曇剤(例えば高級脂肪酸エステル類)等を練り込んだフィルムを押出成膜する場合に低融点の防曇剤が多く練り込まれていると押出機内でスリップしてしまい樹脂組成物が押し出しにくくなるような現象をいう。
B層中の無機保温剤の含有量は、B層に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1〜20質量部であることが好ましく、5〜15質量部であることがより好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムに良好な保温性を付与し易いことに加えて、押出成形による製膜時の押出変動改善効果が十分に得られ易い。
B層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用フィルムが、より一層耐候性に優れる。
B層に含まれるピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に使用できるものと同一のものを用いることができる。
B層は、更にピペリジン環の窒素原子に水素原子が直接結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用フィルムが、より一層耐候性に優れる。
B層に含まれるピペリジン環の窒素原子に水素原子が直接結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に使用できるものと同一のものを用いることができる。
B層が複数の層からなる場合、ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤は、上記ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤と同一の層に含まれていてもよいし、異なる層に含まれていてもよい。同一層内でヒンダードアミン系光安定剤の濃度が高くなることに起因する押出効果により生じる、ヒンダードアミン系光安定剤のブリードアウトを抑制することができる点から、上記ピペリジン環の窒素原子に水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤とは異なる層に含まれることが好ましい。
B層は、前述の通り、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤及び/又はピペリジン環の窒素原子に水素原子が直接結合したヒンダードアミン系光安定剤を含有していてもよい。それらの種類及び含有量については、A層における説明と基本的に同じである。B層に含まれるヒンダードアミン光安定剤の含有量については、B層が複数の層からなる場合であっても当該B層(B層全体)に含まれるポリオレフィン系樹脂100質量部に対する質量部を意味する。
B層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
B層の厚みは、40〜120μmが好ましく、50〜110μmがより好ましく、60〜100μmが更に好ましい。B層の厚みが上記範囲であることにより、本発明の農業用フィルムに適度なコシを付与することができ、より一層良好な取扱い性及び施工性が得られ易くなる。
(C層)
本発明の農業用フィルムは、B層の面のうち、A層が積層される側の面とは反対側の面に、C層を有していてもよい。C層は、ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。
C層に含まれるポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、上記A層に使用できるポリオレフィン系樹脂と同一のものを用いることができる。
C層は、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用フィルムが、より耐候性に優れる。
C層に含まれるピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に使用できるものと同一のものを用いることができる。
C層は、更にピペリジン環の窒素原子に直接水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤を含んでいてもよい。当該ヒンダードアミン系光安定剤を含むことにより、本発明の農業用フィルムが、より耐候性に優れる。C層に含まれるピペリジン環の窒素原子に直接水素原子が結合したヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、上記A層に使用できるものと同一のものを用いることができる。
C層は、前述の通り、本発明の効果を損なわない範囲であれば、ピペリジン環の窒素原子に直接又は酸素原子を介して有機基又は有機の官能基が結合したヒンダードアミン系光安定剤及び/又はピペリジン環の窒素原子に水素原子が直接結合したヒンダードアミン系光安定剤を含有していてもよい。それらの種類及び含有量については、A層における説明と同じである。
C層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、無機保温剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、防霧剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。
上記無機保温剤としては、特に限定されないが、例えば、タルク、ハイドロタルサイト類、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物、リチウムアルミニウム系複合水酸化物、その他複合水酸化物(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B族元素、珪素以上の4B族元素から選ばれる少なくとも2種以上の元素を有する水酸化物)等が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上併用してもよい。中でも、マグネシウムアルミニウム系複合水酸化物を用いることが好ましい。無機保温剤を含有することで、得られる農業用フィルムの保温性が向上するとともに、フィルム成形時の押出変動を改善することができる。樹脂組成物に無機保温剤が含まれていると押出変動が抑制される効果が得られる。
C層の厚みは、5〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましく、15〜30μmが更に好ましい。C層の厚みが上記範囲であることにより、本発明の農業用フィルムの強度をより一層向上させることができる。
本発明の農業用フィルムが無機保温剤を含有する場合、当該無機保温剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、3〜8質量部であることがより好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムに良好な保温性を付与し易いことに加えて、押出成形による製膜時の押出変動改善効果が十分に得られ易い。
本発明の農業用フィルムが上記ヒンダードアミン系光安定剤を含有する場合、当該ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜5質量部がより好ましく、0.3〜3質量部が更に好ましい。該含有量を好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムの良好な耐候性を確保できることに加えて、光安定剤の含有量が適切な範囲であることで農業用フィルムに含まれる紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。
本発明の農業用フィルムは、乾燥時のヘイズ値(Hzd)が10〜50%であることが好ましく、20〜45%であることがより好ましく、25〜40%であることが更に好ましい。乾燥時のヘイズ値が上記範囲であることにより、夏場の乾燥時に光線透過量をより一層抑制することができ、栽培物の葉焼けをより一層抑制することができる。
なお、本明細書において、上記乾燥時のヘイズ値は、本発明の農業用フィルムの流滴層側の表面から、JIS K7136に準拠して、[プラスチック−透明材料のヘーズの求め方]に従ってヘイズメーターを使用して測定した値である。
本発明の農業用フィルムは、結露時のヘイズ値(Hzw)が20%未満であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。乾燥時のヘイズ値が上記範囲であることにより、冬場の結露時に光線透過量がより一層多くなり、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線がより一層透過する。また、上記結露時のヘイズ値の下限は特に限定されず、1%が好ましく、5%がより好ましく、10%が更に好ましい。
なお、本明細書において、上記結露時のヘイズ値の測定方法は、以下の通りである。すなわち、結露時を想定して、本発明の農業用フィルムの流滴層側の表面から流動パラフィンを滴下し、ガラス板を被せて結露時のヘイズ値の測定用試料を調製する。測定用試料のガラス板の方向から、JIS K7136に準拠して、[プラスチック−透明材料のヘーズの求め方]に従って測定用試料のヘイズ値をヘイズメーターを使用して測定する。
本発明の農業用フィルムは、乾燥時のヘイズ値(Hzd)と結露時のヘイズ値(Hzw)との差(Hzd−Hzw)が10%以上であることが好ましく、15%以上であることがより好ましく、20%以上であることが更に好ましい。乾燥時のヘイズ値と結露時のヘイズ値との差が上記範囲であることにより、夏場の乾燥時に光線透過量が抑制されており、栽培物の葉焼けを抑制することができ、且つ、冬場の結露時に光線透過量が多く、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線が十分に透過するので、農業用作物の栽培に好適に用いることができるという本発明の効果をより一層効率よく発揮することができる。また、乾燥時のヘイズ値と結露時のヘイズ値との差が10%以上であると、結露時の直達光率をより一層十分に確保することができ、農業用トンネル、農業用ハウスの外への光の散乱をより一層抑制することができ、農業用トンネル、農業用ハウスの内部の保温性をより一層向上させることができる。乾燥時のヘイズ値と結露時のヘイズ値との差の上限は特に限定されず、50%が好ましく、45%がより好ましく、40%が更に好ましく、30%が特に好ましい。
本発明の農業用フィルムの厚みは特に限定されないが、30〜300μmが好ましく、40〜200μmがより好ましく、50〜150μmが更に好ましい。該厚みを好ましい範囲に設定することにより、農業用フィルムが適度なコシを有し、良好な取扱い性と施工性が得られ易くなる。
上記A層、B層、及びC層の厚み比は、A層:B層:C層=1:1:1〜1:6:1であることが好ましく、1:2:1〜1:4:1がより好ましい。
本発明の農業用フィルムは、各層の間に接着剤層等の他の層を有していてもよいが、冬場の結露時に光線透過量を確保することができる点で、他の層を有しない層構成であることが好ましい。また、本発明の農業用フィルムは、流滴層の、A層が積層される面とは反対側の面に、表面保護層等の他の層を有していてもよいが、冬場の結露時に光線透過量が多く、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線が十分に透過するとの効果をより一層発揮し易い点で、最表面に流滴層を有する層構成であることが好ましい。
本発明は、また、上記農業用フィルムを有する農業用ハウス、農業用カーテン又は農業用トンネルでもある。上記農業用フィルムを、流滴層側の表面を内側にして農業用ハウス、農業用カーテン又は農業用トンネルに展張することで、夏場の乾燥時に光線透過量が抑制され、栽培物の葉焼けを抑制することができ、且つ、冬場の結露時に光線透過量が多く、太陽光が弱い冬場であっても太陽光線が十分に透過するので、本発明の農業用ハウス、農業用カーテン又は農業用トンネルは、農業用作物の栽培に好適である。
以下、本発明の実施例について説明する。本発明は、下記の実施例に限定されない。
実施例及び比較例
3層押出機のそれぞれの押出機内に、A層、B層、及びC層の各層が表1に記載の配合となるようにポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、光安定剤及びマグネシウムアルミニウム系複合水酸化物を投入し、溶融混練した。
なお、表1で用いられる各原料は、表2に示すものを用いた。
A層、B層、及びC層の各層の厚さがA層:B層:C層=1:3:1(厚み比20:60:20)になるようインフレーション法で3層を共押出しし、厚さ150μmの積層体を得た。
流滴層が表1に示す配合となるように、溶媒である水に、バインダー樹脂及び親水性無機フィラーを添加し、防曇性組成物を調製した。防曇性組成物の配合は、親水性無機フィラー4質量%、バインダー樹脂2質量%、溶媒94質量%であった。上記のようにして調製した積層体のA層上に、防曇性組成物を塗布して70℃で1分間乾燥させて、厚さ1.0μmの流滴層を形成し、農業用フィルムを製造した。
得られた実施例及び比較例の農業用フィルムについて、以下の評価を行った。
<農業用フィルムの表面の算術平均粗さRa>
JIS B0601:2013に準拠した測定方法により農業用フィルムの流滴層側の表面の算術平均粗さRaを測定した。
<乾燥時のヘイズ値(Hzd)>
農業用フィルムの流滴層側の表面から、JIS K7136に準拠して、[プラスチック−透明材料のヘーズの求め方]に従って乾燥時の農業用フィルムのヘイズ値をヘイズメーターを使用して測定した。
<結露時のヘイズ値(Hzw)>
結露時を想定して、農業用フィルムの流滴層側の表面から流動パラフィンを滴下し、ガラス板を被せて結露時のヘイズ値の測定用試料を調製した。測定用試料のガラス板の方向から、JIS K7136に準拠して、[プラスチック−透明材料のヘーズの求め方]に従って測定用試料のヘイズ値をヘイズメーターを使用して測定した。
<乾燥時のヘイズ値と結露時のヘイズ値との差(Hzd−Hzw)>
上記方法により測定された乾燥時のヘイズ値と結露時のヘイズ値との差を、下記式に基づいて算出した。
(Hzd−Hzw)(%)=[乾燥時のヘイズ値(Hzd)(%)−結露時のヘイズ値(Hzw)(%)]
<葉焼け防止性>
稲の葉に、白熱灯照射ランプを用い、120W、12時間、稲と白熱灯との距離50cmの条件で白熱灯を照射した。白熱灯照射後の葉の状態を目視により観察し、下記評価基準に従って評価した。なお、△評価以上であれば、実使用において問題ないと評価される。
○:葉焼けが全く、又は、殆ど見られない。
△:葉焼けがやや見られるが、問題のない程度である。
×:葉焼けが強く発生している。
<トンネル内部、カーテン内部、又はハウス内部視認性>
結露時のトンネル内部、カーテン内部、又はハウス内部の視認性を想定して、視認性を評価した。具体的には、結露時の農業用フィルムの視認性を目視により観察し、下記評価基準に従って評価した。なお、△評価以上であれば、実使用において問題ないと評価される。
○:内部の栽培作物がはっきりと視認できる。
△:内部の栽培作物の輪郭がややぼやけるが、視認できる。
×:内部の栽培作物がぼやけて視認できない。
<トンネル内部、カーテン内部、又はハウス内部保温性>
分光放射計(英弘精機株式会社製:型番MS−720)から50cm離れた位置に120Wの白熱灯を設置した。分光放射計と白熱灯との間に、分光放射計から20cmの位置に農業用フィルムを設置し、波長1050nmでの光の放射量(強度)A1を測定した。また、フィルムを設置しない場合の波長1050nmでの光の放射量(強度)A0を測定した。下記式に従って放射量比率を算出し、下記評価基準に従って評価した。
(放射量比率)(%)=[A1/A0]×100
なお、△評価以上であれば、実使用において問題ないと評価される。
○:放射量比率が95%以上である。
△:放射量比率が90%以上95%未満である。
×:放射量比率が90%未満である。
結果を表1に示す。
なお、表2において、MFRは、JIS K−7210に準拠して温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定された値である。