6 (F)本技術の実施例の詳細な説明
本技術を更に詳しく説明する前に、本技術が本明細書中に記載される様々であってもよい特定の実施例に限定されないことが理解されるべきである。また、この開示の中で使用される用語は、本明細書中で論じられる特定の実施例を説明するという目的のためにすぎず、限定しようとするものでないことも理解されるべきである。
6.1 処置システム
1つの形態において、本技術は、呼吸器疾患を処置するための機器を備える。機器は、図1aに示されるように、患者インタフェース3000に通じる空気回路4170を介して空気などの加圧呼吸ガスを患者1000へ供給するためのフロージェネレータまたはブロワを備えてもよい。
6.2 治療
1つの形態において、本技術は、患者1000の気道の入口に陽圧を印加するステップを備える呼吸器疾患を処置するための方法を備える。
6.2.1 OSAのための鼻CPAP
1つの形態において、本技術は、鼻連続陽性気道圧を患者に印加することによって患者の閉塞性睡眠時無呼吸を処置する方法を備える。
6.3 患者インタフェース3000
図166を参照すると、本技術の1つの態様に係る非侵襲的な患者インタフェース3000は、以下の機能的態様、すなわち、シール形成構造体3100(例えば図4参照)、プレナムチャンバ3200、位置決め安定化構造体3300、および、空気回路4170の短チューブ4180への接続のための接続ポート3600を備える。幾つかの形態では、機能的態様が1つ以上の物理的な構成要素によって与えられてもよい。幾つかの形態では、1つの物理的構成要素が1つ以上の機能的態様を与えてもよい。使用時、シール形成構造体3100は、陽圧の空気の気道への供給を容易にするために患者1000の気道への入口を取り囲むように配置される。
6.3.1 シール形成構造体3100
本技術の1つの形態において、シール形成構造体3100は、シール形成表面を与えるとともに、クッション機能を更に与えてもよい。
本技術に係るシール形成構造体3100は、シリコーンなどの柔軟な、可撓性のある、弾性材料から構成されてもよい。シール形成構造体3100は、PAP装置からの空気を患者の鼻孔へ送出するためのシール経路の一部を形成してもよい。
図9を参照すると、本技術の1つの形態では、シール形成構造体3100がシールフランジ3110と支持フランジ3120とを備えてもよい。シールフランジ3110は、約1mm未満、例えば約0.25mm〜約0.45mmの厚さを有する比較的薄い部材を備えてもよい。支持フランジ3120がシールフランジ3110よりも相対的に厚くてもよい。支持フランジ3120は、スプリング状要素であり或いはスプリング状要素を含み、使用時にシールフランジ3110を座屈しないように支持するべく機能する。使用時、シールフランジ3110は、該シールフランジを顔面、例えば患者の鼻孔との緊密なシール係合状態へと付勢するべくシールフランジの下面に作用するプレナムチャンバ3200内のシステム圧力に容易に応答し得る。プレナムチャンバ3200は、シリコーンなどの軟質材料から形成される。
6.3.1.1 鼻枕
本技術の1つの形態において、非侵襲的な患者インタフェース3000のシール形成構造体3100は、一対の鼻パフまたは一対の鼻枕3130を備え、それぞれの鼻パフまたは鼻枕は、例えば患者の鼻孔の外周領域に当て付いてシールを形成することによって患者の鼻のそれぞれの鼻孔とシールを形成するように構成されて配置される。
本技術の一態様に係る鼻枕3130(図9)は、その少なくとも一部が患者の鼻の下面で、例えば円錐台部分でシールを形成する円錐台3140と、柄部3150と、円錐台3140の下面にあって円錐台を柄部3150に接続する上側可撓性領域3142とを含む。また、本技術の鼻枕3130が接続される構造体は、柄部3150の基部に隣接する下側可撓性領域3152を含む。上側可撓性領域3142および下側可撓性領域3152は、円錐台3140と鼻枕3130が接続される構造体との相対動作−変位および傾動の両方−に順応するユニバーサルジョイント構造を促進するように協調して作用し得る。1つの例において、円錐台3140は、それが接続される柄部3150と同軸であってもよい。他の例では、円錐台3140と柄部3150とが同軸でなくてもよい(例えば、オフセットする)。鼻枕3130は、後述するように、それらがプレナムチャンバ3200の壁を越えて側方に延出するように寸法付けられ及び/又は形成されてもよい。
本技術の1つの形態において、各柄部3150は、鼻枕3130が使用中に柄部3150の圧縮及び/又は曲げに起因して前方へ揺れ動かないように可変剛性を備えてもよい。例えば、使用時に患者の顔面から離れた柄部3150の側は、患者の顔面に近い柄部3150の領域より硬くてもよい。言い換えると、柄部3150の圧縮または曲げが予め決められた方向でなされなければ、柄部3150の両側の異なる材料剛性がより大きな抵抗を与える。これは、枕3130が前方へ揺れ動かないようにすることによって枕3130を鼻孔に押し付けることさえも可能にする。そのような構成は、鼻枕3130の前方への揺動をもたらす柄部3150の座屈に抵抗することに役立ち得る。また、可変剛性は、柄部3150が所望の方向で座屈するようにその周囲で揺動が促進される脆弱ポイントを与えるために使用されてもよい。言い換えると、鼻枕3130の圧縮を達成することさえできる。この構成は、鼻枕3130の上端でシール力を局在化できるようにしてもよい。また、この構成は、鼻枕3130の任意の撓みを緩やかにできるようにしてもよい。鼻枕3130は、患者の顔面に押し付けられる際に、プレナムチャンバ3200に抗して圧縮するように形成されてもよく、その際には、鼻枕3130をプレナムチャンバよりも横方向に幅広くできるため、プレナムチャンバ3200の一部が枕3130を越えて延在しない。他の例において、鼻枕3130は、圧縮される際に、それらの外周がプレナムチャンバ3200の外周と略同一面内にあるように形成され及び/又は寸法付けられてもよい。技術の更なる例において、柄部3150は、円錐台3140の基部で最も薄くてもよい。
一例では、枕3130を患者の気道への入口と係合させるために、枕3130が鼻孔への入口に配置される。位置決め安定化構造体3300が調節されると、張力が枕3130を鼻孔内へ引き込み始める。鼻孔内への枕3130の持続的挿入により、柄部3150は、枕3130の基部をプレナムチャンバ3200の上面へと移動させるトランポリン3131によって潰れる。鼻枕3130の柄部3150は、プレナムチャンバ3200に接続されてもよく、また、薄肉部または厚さ減少部を備えてもよい。薄肉部は、枕3130が容易に跳ねることができる或いはトランポリン作用を成し得るようにし、したがって、患者1000の鼻翼角度に合うように枕3130がより容易に順応できるようにする。トランポリン3131は、枕3130の底部または患者1000の鼻中隔及び/又は上唇から離れるように傾けられてもよい。これは、患者インタフェース装置3000の快適さ及び安定性を向上させる。
また、共通に寸法付けられた接続領域およびプレナム接続領域を有するプレナムチャンバと共に様々なサイズの鼻枕3130が使用されてもよいことも想定される。これは、患者をその患者の特定の生体構造、例えば鼻孔のサイズおよび方向に最も良く適合するように寸法付けられたプレナムチャンバ3200および枕3130と適合させることができるようにするという利点を有する。
本技術の1つの形態において、シール形成構造体3100は、患者の鼻の鼻柱領域で少なくとも部分的にシールを形成する。
6.3.2 鼻クレードル
使用時に鼻枕3130の小部分が患者の鼻孔に入ってもよいが、別の形態のシール形成構造体3100は、使用時に、実質的に鼻の外側にある。図34に示される本技術の1つの形態では、患者インタフェース3000のシール形成構造体3100は、鼻孔内に入ることなく両方の鼻孔を取り囲むシールを患者の気道に対して形成するように構成されて配置される。シール形成構造体3100は、単一のオリフィス、例えば鼻クレードルを用いて両方の鼻孔を扱ってもよい。図34において、描かれた例に係るシール形成構造体3100は、その外周にわたって配置される鼻フランジ3101を含む。また、この図は、フレーム3310に対するプレナムチャンバ3200およびシール形成構造体3100の取り付けも示す。
6.3.2.1 鼻クレードルのための鼻クッション
図223〜図232は、鼻クレードルクッションの形態を成すシール形成構造体3100を有する典型的な患者インタフェースシステム3000の幾つかの図を示す。図233a〜図233hは、患者1000に着用された鼻クレードルクッションの形態を成すシール形成構造体3100を有する典型的な患者インタフェースシステム3000の幾つかの図を示す。シール形成構造体3100は、患者の鼻の下部の周囲で、特に鼻翼および鼻頂部の周囲でシールしてもよい。このシール形成構造体3100は、少なくとも部分的に、以下で更に詳しく論じられるガスチャンバ3104を規定してもよい。治療中、呼吸用ガスが、患者インタフェース3000からガスチャンバ3104を通じて鼻へ向けて患者に与えられてよい。患者インタフェース3000が患者に着用されるときにシール形成構造体3100が少なくとも部分的に患者の顔面と共にガスチャンバ3104を規定してもよく、該ガスチャンバ3104を通じて呼吸用ガスが陽圧で患者に与えられてもよいことが理解されるべきである。例えば、鼻クレードルの形態を成すシール形成構造体3100は、鼻梁よりも下側(例えば、鼻の骨と軟骨との間の移行領域)でシールしてもよく、あるいは、患者の鼻頂部、鼻の側面、及び/又は、上唇で或いはこれらの下側でシールしてもよい。本技術の他の例によれば、鼻クレードルクッションの形態を成すシール形成構造体3100は、鼻下周囲にわたってシールするように構造化されてもよい。言い換えると、シールは、患者の鼻の下面と共に形成されてもよい。また、鼻クレードルクッションが鼻枕とは異なることも理解されるべきである。これは、鼻クレードルクッションが単一のオリフィスによって両方の鼻孔を扱うことができるとともに患者の鼻孔に入らないように構造化され得るからである。シール形成構造体3100が単一壁クッションであってもよく、または、シール形成構造体3100が二重壁クッションであってもよく、例えば、シール形成構造体がアンダークッションを含んでもよい。あるいは、患者の鼻の周囲に確実な空気圧シールを形成するために、アンダークッションが省かれるとともに、シール形成構造体3100の開口の周囲でロールエッジが使用されてもよい。
シール形成構造体3100の両側に突出端部3114を見ることができる。各突出端部3114は、患者1000に着用されるときに患者のそれぞれの鼻翼と鼻唇溝との間の隙間内でシールするべく患者インタフェース3000から延在するように形成されてもよい。顔の表面形態を描く図2cは、鼻翼および鼻唇溝の位置を示す。突出端部3114は、この領域でシールするように部分的に膨出し及び/又は変形してもよい。本技術の一例によれば、ガスチャンバ3104への開口よりも下側にあるシール形成構造体3100の凹状下部3212が上唇に対してシールしてもよい。凹状下部3212は、その領域でシールを形成するために患者の上唇の一部にほぼ適合するように湾曲されてもよい。凹状下部3212の形状を例えば図245cにおいて見ることができ、この場所でシール形成構造体3100は突出端部3114から内側に湾曲する。殆どの患者の上唇は凸状であるため、凹状下部3212は、効果的なシールを形成するように患者の顔のこの部位に容易に適合し得る。ガスチャンバ3104への開口よりも下側にある患者の上唇に対してシールし得るシール形成構造体3100の後部は、患者の気道への加圧ガスの流入のための連続した経路を確保するべく使用時に患者の鼻孔を覆わないように形成されて寸法付けられてもよい。本技術の他の例によれば、シール形成構造体3100は、患者の上唇に対してシールするシール形成構造体の後下方領域で、例えば材料の厚さを減らすことによって軟化されてもよい。
図233a〜図233hは、典型的な患者インタフェース3000が患者1000、特に鼻に対してどのようにシールし得るのかを示す。シール形成構造体3100が患者の鼻を挟むように形状が凹状を成してもよいことが理解されるべきである。陥凹部3116が患者の鼻の頂部を受けてもよく、また、突出端部3114が鼻翼および鼻唇溝の領域でシールしてもよい。突出端部3114は、鼻翼が鼻唇溝付近の患者の顔面とつながる領域で患者の顔面および鼻に対してシールしてもよい。(図2c、2d、2f参照)殆どの患者において、この領域は形状が凹状であり、したがって、突出端部3114は、この領域内へと延在してこの領域内でシールするようになっている。突出端部支持部分3208が、突出端部3114の領域で鼻クッション3112を支持して、この領域でシールを維持するのに役立ってもよいとともに、アンダークッションのように機能してもよい。別の例において、シール形成構造体3100は、突出端部支持部分3208を含まずに、ガスチャンバ3104への開口の周囲にわたってロールエッジを含んでもよい。更なる別の例では、シール形成構造体3100にロールエッジまたは突出端部支持部分3208が設けられなくてもよい。
図223〜図232は、陥凹部3116がシール形成構造体3100に含まれてもよいことも示す。この陥凹部3116は、患者によって着用されるときに患者の鼻の頂部を受けるために鼻ガスチャンバ3104内へ延在する内方成形部分を備えてもよい。陥凹部3116は、シール形成構造体3100の形状が患者の鼻に更に良好に適合できるようにすることによって治療中に患者の鼻の頂部の周囲および頂部の下側でシールを高めてもよい。シール形成構造体3100は、該シール形成構造体への開口で陥凹部3116付近に、シール形成構造体が患者の鼻の頂部に更に良好に適合できるとともに患者の鼻の頂部の周囲でシールできるようにする張り出し部を含んでもよい。
シール形成構造体3100は、患者1000の鼻の一部、特に鼻頂部を取り囲んでもよい。ガスチャンバ3104は、シール形成構造体3100と患者の顔面とによって形成されてもよい。
本技術の一例に係る患者インタフェース3000は、従来の鼻フェースマスクよりもかなりのパーセンテージ分だけ目立たない顔面上の表面積占有領域を有する。一部の患者にとって、それは閉所恐怖症も殆ど感じない。また、障害物が少ない特定の領域は重要である。これは、ベッドパートナーがマスクを見るときに該マスクがあまり医用に見えず顔面を「開放する」ことから、これらの領域がベッドパートナーに対してかなり有益な心理的影響を与えることが分かっているからである。患者の観点から、典型的な患者インタフェース3000は、患者の視界の中にない或いは患者の視界からかなり減らされる。これは、シール形成構造体3100が鼻梁よりも下側でシールするからである。これにより、患者は、患者インタフェース3000を着用した後、眠りにつく前に本を読むとき或いはテレビを観るときに眼鏡を着用できる。鼻梁よりも下側でシールすることにより、皮膚が薄く圧力に敏感であるとともに血流阻害に起因する皮膚損傷の機会が高い領域で、炎症を回避することができる。他の利点は、鼻梁よりも上側の患者間の人体測定学的変動を考慮する必要がなく、また、マスク適合範囲のための焦点を上唇領域の周囲の人体測定学的変動へと向けることができるという点かもしれない。また、一部の他のフルフェースマスクとは異なり、患者インタフェース3000は、圧点軽減を行うために必要とされるかもしれない前頭支持体を要さない場合がある。これは、前頭支持体が圧点および皮膚損傷の根源になるという問題も回避できる。このタイプのシール形成構造体3100は、鼻枕を快適であると感じない呼吸治療患者のための代替物をそれが与えるという点においても有益かもしれない。
解剖学的に、図2hおよび図2iは、鼻梁を規定すると理解されてもよい鼻骨と軟骨との間の移行領域の位置に関する表示のために参照されてもよい。このように、典型的なシール形成構造体3100は、鼻のより柔らかい組織、例えば脂肪組織または軟骨と接触した状態で患者の鼻の外周にわたってシールしてもよい。これらの軟組織で鼻と共にシールを形成することにより、さもなければ更に硬質の鼻構造、すなわち、骨の周囲/骨上にわたってシールが形成される場合に起こるであろう患者の皮膚の炎症を回避できる場合がある。言い換えると、鼻梁よりも下側でシールすることにより、患者の不快感を最小限に抑えることができる。また、鼻のこの領域の周囲にシール形成構造体3100のシールを位置付けることにより、効果的なシールを形成することができる。これは、鼻組織およびシール形成構造体3100がシールを形成するために互いに適合できるからである。シール形成構造体3100は主に鼻に適合できる。
前述したシール機能部は、患者1000の顔面に当て付く突出端部3114の部位である。具体的には、突出端部3114は、鼻唇溝と鼻翼との間の領域でシールするシール形成構造体3100の延在部であってもよい。これらの解剖学的特徴は図2cにおいて見ることができる。患者の個々の顔面構造に応じて、この領域は陥凹部に相当し得る。そのため、患者の鼻の周囲で適切なシールを形成するためにシール形成構造体3100からの延在が必要かもしれない。突出端部3114は、好適には、この機能を果たすことができる。
典型的な患者インタフェース3000の他のシール機能部は、シール形成構造体3100が患者により着用されるときに患者1000の鼻の頂部を受けるための陥凹部3116である。具体的には、図233a〜図233hに示されるように、陥凹部3116が位置される領域で、患者1000の鼻の頂部を破線で見ることができる。シール形成構造体3100は、鼻の下面で鼻の外周に対してシールするように形成されてもよい。言い換えると、鼻に対してシール形成構造体3100により形成されるシールは、鼻の下方外周部に対するものとして特徴付けられてもよい。したがって、シール形成構造体3100のシール面が全体として鼻を受けるために凹状であってもよく或いはポケットを形成してもよく、また、シール形成構造体のシール面が鼻の頂部を受けるための陥凹部3116を更に含んでもよいことが理解され得る。
シール形成構造体3100は、患者1000の鼻の頂部に対してシールしてもよい。ガスチャンバ3104は、呼吸用ガスが鼻孔を介して患者の気道に入るためのシールされた経路を与えるために、少なくとも部分的に、シール形成構造体3100と、プレナムチャンバ3200と、患者の鼻とによって規定されてもよい。
一例において、本技術に係るシール形成構造体3100は、シリコーンなどの柔軟な可撓性のある弾性材料から構成される。本技術の他の例において、シール形成構造体3100、例えばシール形成構造体3100およびその張り出し部3206は発泡体から形成されてもよい。シール形成構造体3100は、本技術の更なる例によれば、発泡体、ゲル、及び/又は、低デュロメータシリコーンを含む他の材料から形成されてもよい。
図245a、図245d、および図245g〜図245kは突出端部支持部分3208の例を示す。突出端部支持部分3208は、シール形成構造体3100のそれぞれの突出端部3114と関連付けられてもよい。突出端部支持部分3208は、シール形成構造体3100とプレナムチャンバ3200とによって少なくとも部分的に規定されるガスチャンバ3104内へ延在すると理解されてもよい。そのような形態は、突出端部支持部分3208が患者の顔面に対してシールするべく突出端部3114のための十分な支持を行うことができるようにしてもよい。
突出端部支持部分3208はシール形成構造体3100の両側に見ることができる。突出端部支持部分3208は、シール形成構造体3100の突出端部3114の下側に位置されてもよい。突出端部支持部分3208は、シール形成構造体3100の突出端部3114を支持するために含まれてもよい。
図234a〜図239に示されるように、突出端部3114は、シール形成構造体3100の両側に含まれてもよい。ガスチャンバ3104および該ガスチャンバへの開口も見ることができる。図237a〜図237dに示されるように、鼻ガスチャンバ3104への開口は、一般に、そのそれぞれの短辺3104.2および長辺3104.1,3104.3で湾曲されてもよい長方形形状、菱形形状、または、台形形状を有してもよい。開口の湾曲された短辺3104.2は、患者の鼻に当て付いて配置されると、鼻のそれぞれの鼻翼付近にあってもよい。また、この例でも、開口の遠位長辺3104.1は、鼻の頂部付近で患者の上唇に対して遠位端側にあってもよく、一方、近位長辺3104.3は、患者の上唇に対して近位端側にあってもよい。鼻の頂部を受けるように形成される陥凹部3116も示される。
図234a〜図234cは、シール形成構造体3100が陥凹部3116からガスチャンバ3104への開口の遠位長辺3104.1に近づくにつれて僅かに上方へ湾曲し得ることを示す。陥凹部3116付近にあるシール形成構造体3100の前上部は、シール形成構造体3100が中央におけるよりもその両側で高いように、僅かな窪み或いは凹状領域をその中心に含む。また、この図は、患者の鼻がシール形成構造体3100に対してどのように位置され得るのかを示すために鼻の外形も破線で示す。シール形成構造体3100における頂部3118は、鼻孔の前方をシールする役目を果たす。頂部は、更に後方に位置してもよいが、鼻孔に対してシールするべくバルーン効果を生み出すために徐々に大きく移行してもよい。遠位長辺3104.1は、シール形成構造体3100からめくり上げられてもよく、また、鼻と接触することによって鼻頂部でシールを高めてもよく、また、鼻を挟むことによって圧縮空気圧シールをもたらしてもよい。鼻の頂部を受けるように形成される陥凹部3116も示される。
図235a〜図235cは、シール形成構造体3100の両側にある突出端部3114も示す。シール形成構造体3100の外形は、陥凹部3116からガスチャンバ3104への遠位辺3104.1開口に近づくにつれて下方に傾斜してもよい。シール形成構造体3100のこの例は、陥凹部付近の前領域に窪みを欠く。言い換えると、この例は、シール形成構造体3100が、陥凹部3116からガスチャンバ3104への開口の遠位辺3104.1までの領域で、図234a〜図234cに示される例と比べて更に円形/更に丸みを帯びてもよいことを示す。
図236a〜図236cは、ガスチャンバ3104への開口の形状が図234a〜図234cおよび図235a〜図235cに示される例よりもバルーン状で丸みを帯びていてもよいことを示す。シール形成構造体3100は、該シール形成構造体3100の上面から滑らかに湾曲する側壁とは対照的に、直線状の側壁を有してもよい。直線状の側壁は、所定の上縁を有してもよく、また、シール形成構造体3100の安定性および強度を高めてもよい。
他の例において、シール形成構造体3100は、陥凹部3116付近の前領域に窪みを欠いてもよい。典型的な鼻クッション3112の直線状の側壁が含まれてもよい。
また、図234a〜図234c、図235a〜図235c、および、図236a〜図236cでは典型的なシール形成構造体3100がほぼ変形されていない状態で示されることも理解されるべきである。一部の図は、破線で示される鼻の形状との適合に起因して小量の変形を示す場合がある。したがって、シール形成構造体3100は、変形されないときに図示のような凹形状を有してもよい。
また、図238a〜図238cに示されるように厚さが変化する断面をシール形成構造体3100が有してもよいことも理解されるべきである。したがって、ガスチャンバ3104への開口付近のシール形成構造体3100の領域は、シール形成構造体3100がプレナムチャンバ3200に取り付く領域より薄くてもよい。好適には、これは、大きな量の接触が患者の鼻となされる部位にクッション材料の更に薄い、したがって更に順応性のある領域を設けることによって、より大きな快適さを患者に与えてもよい。
領域3112.1はガスチャンバ3104への開口付近にあってもよく、また、領域3112.3はプレナムチャンバ3200との接続部付近にあってもよい。領域3112.2は、鼻クッション3112の上側外周付近で最も高い領域であってもよい。
シール形成構造体3100においては領域3112.1から領域3112.3まで滑らかに変化する厚さが与えられる。また、厚さxが厚さzより薄くてもよい。領域3112.2が領域3112.1,3112.3よりも急激に厚くなってもよい。また、厚さxが厚さzより薄くてもよく、また、厚さyがxおよびzより厚くてもよい。領域3112.2が領域3112.1,3112.3よりも急激に厚くなってもよい。また、厚さzが厚さxより薄くてもよく、また、厚さyがxおよびzより厚くてもよい。
図239は、本技術に係る他の典型的なシール形成構造体3100を示し、ガスチャンバ3104への開口および突出端部3114は、シール形成構造体3100の方向の理解を可能にするように示される。シール形成構造体3100の厚さが変化し得る場所をより良く示すために、様々な厚さの領域が異なってハッチングされる。領域3113は、鼻の頂部に容易に適合できるように最も薄くてもよい。領域3113は、本技術の一例によれば、約0.35mmの厚さを有してもよい。領域3115は、より大きな支持をシール形成構造体3100に与えるために更に厚くてもよい。領域3115は、本技術の一例によれば、約0.5mmの厚さを有してもよい。領域3117は、最大の支持、変形に対する抵抗を与えるとともに、患者の鼻翼で効果的なシールを確保するために、他の領域より厚くてもよい。領域3117は、本技術の一例によれば、約1mmの厚さを有してもよい。
シール形成構造体3100の下端角部は、該下端角部における変形を防止する或いは最小限に抑えるためにシール形成構造体3100の他の領域と比べて剛性が高くてもよい。シール形成構造体3100の下端角部でより高いレベルの剛性を有することにより、特にチューブトルクを受けるときにシール形成構造体3100のこれらの位置でシールに支障を来す可能性が低くなる。
図245a〜図245kは本技術の更なる例を描く。これらの図において、シール形成構造体3100、プレナムチャンバ3200、および、保持構造体3242は、フレーム3310(これらの図には示されない)から取り外されて示される。これらの図は、突出端部3114を患者の鼻と係合されるときに支持するためにシール形成構造体3100およびプレナムチャンバ3200から内側に延在する突出端部支持部分3208を示す。突出端部支持部分3208は、患者インタフェース3000の内部へと延在する中空突出部の形態を成してもよい。図245dにおいて分かるように、突出端部支持部分3208は、シール形成構造体3100およびプレナムチャンバ3200の側部に形成されるポケットと見なされてもよい。突出端部支持部分3208は、シール形成構造体3100およびプレナムチャンバ3200と一体に形成されてもよい。別の例において、突出端部支持部分3208は、中空でなくてもよく、むしろ、シール形成構造体3100およびプレナムチャンバ3200と一体に形成される中実の延在部であってもよい。
また、突出端部支持部分3208がシール形成構造体3100およびプレナムチャンバ3200よりも硬質の材料から構成される更なる支持構造体を含んでもよいことも想定される。本技術の1つの例によれば、患者インタフェース3000が患者の鼻とシール状態で係合されないときに突出端部支持部分3208の側部がシール形成構造体3100およびプレナムチャンバ3200から離間されてもよいことが理解されるべきである。患者が患者インタフェース3000を着用すると、シール形成構造体3100およびプレナムチャンバ3200が変形されてもよく、また、突出端部3114が突出端部支持部分に押し付けられてもよく、それにより、突出端部の潰れを防止するとともに、突出端部を患者に対して支持する。例えば、突出端部支持部分3208は、鼻翼と顔面との間の接合部での患者の顔面とのシール係合に起因して突出端部が変形されるにつれてそれぞれの突出端部3114を支持してもよい。
また、突出端部支持部分3208は、該突出端部支持部分がガスチャンバ3104内へ延在するにつれて突出端部支持部分の断面積が減少するような外形を有してもよい。図245gおよび図245i〜図245kに示されるようにガスチャンバ3104内へ延在する突出端部支持部分3208の端部は平坦であってもよく、あるいは、代わりに、突出端部支持部分の先が細くなってもよい。突出端部支持部分3208を形成する壁は、ガスチャンバ3104へ向かって厚さが増大しあるいは減少してもよい。また、突出端部支持部分3208が湾曲される外形を有してもよいことが想定される。例えば、突出端部支持部分3208は、シール形成構造体3100が弛緩状態にあるときに突出端部と直接に接触しない状態で、それらのそれぞれの突出端部3114の外形をほぼ辿るように湾曲される外形を有してもよい。図245gおよび図245i〜図245kにおいて分かるように、例えば、突出端部支持部分3208は、それぞれの突出端部3114から離れるように且つ保持構造体3242へ向かって概ね湾曲される外形を有してもよい。
図245f〜図245hは、シール形成構造体3100が厚肉部分3204を含んでもよいことを示す。これらの厚肉部分3204は、シール形成構造体が患者の鼻および顔面とシール係合状態にあるときにシール形成構造体3100に対して更なる支持を与えてもよい。厚肉部分3204は、シール形成構造体が患者の顔面と係合するときに厚肉部分が患者の鼻唇溝付近にあるような位置でシール形成構造体3100の両側に配置されてもよい。厚肉部分3204は、シール力に起因するシール形成構造体3100の潰れを防止することによって患者の鼻の鼻翼の周囲でシールするのに役立ってもよい。厚肉部分3204がシール形成構造体3100と一体に形成されてもよい。また、厚肉部分3204は、シール形成構造体が患者の鼻および顔面と係合するときに厚肉部分3204が少なくとも部分的にそれぞれの突出端部支持部分3208に押し付けられ得るようにシール形成構造体3100に位置されてもよい。厚肉部分3204は、シール形成構造体3100の残りの部分の厚さよりも大きい一定の厚さを全体にわたって有してもよい。あるいは、厚肉部分3204は、その範囲全体にわたって変化し得る厚さを有してもよい。
図245a、図245c〜図245f、図245h、図245iおよび図245kは、シール形成構造体3100が患者の鼻頂部に対してシールするための張り出し部3206を含んでもよいことも示す。張り出し部3206は、シール形成構造体3100の残りの部分に対して減少された厚さを有してもよく、また、張り出し部は、患者の鼻の前部、例えば鼻の頂部の周囲にシールを形成するように位置されて構造化されてもよい。張り出し部3206がかなりの距離にわたって延在してもよく、例えば、図245dの側面図において張り出し部を見ることができる。
図245a、図245b、図245d〜図245f、図245h、図245iおよび図245kは、順応領域3122を含んでもよいシール形成構造体3100の例を示す。順応領域3122は、シール形成構造体3100の他の部分と比べて相対的に柔軟であり、可撓性があり、及び/又は、順応性がある。順応領域3122の相対的な可撓性は、それが鼻の頂部および鼻中隔の領域で患者に対する不快感を軽減するのに役立ち得るという点において有利な場合がある。順応領域3122は、シール形成構造体3100の他の部分と比べて相対的に薄くてもよく、したがって、鼻の頂部に当て付いて包み込む及び/又は鼻の頂部と接触することによって鼻の頂部で効果的なシールを維持するべく機械的なバネのように機能してもよい。例えば図245dにおいて分かるように、順応領域3122は、シール形成構造体がプレナムチャンバ3200へと移行する上頂部でシール形成構造体3100に位置されてもよい。順応領域3122は、陥凹部よりも上側のシール形成構造体3100に位置されてもよい。また、順応領域3122が陥凹部3116に一体化してもよい。例えば図245eにおいて分かるように、順応領域3122は、シール形成構造体のほぼ中心に水平方向で位置されてもよい。シール形成構造体3100は、本技術の一例によれば約0.35mmの厚さを順応領域3122で有してもよく、また、シール形成構造体の最も薄い領域のうちの1つであってもよい。
また、図245a〜図245kにおける図は、切り欠き3295および舌部3211を有する保持構造体3242も示す。また、これらの図はシールリップ3250を示す。
また、シール形成構造体3100は、鼻の適切な挿入深さを患者に示すためにシール形成構造体上にパッド印刷される視覚的指標を含んでもよい。例えば、視覚的指標は、患者の鼻がシール形成構造体3100に対して位置合わせすべき場所を患者に示すために鼻の外形を含んでもよい。そのような視覚的指標は、患者が鼻をシール形成構造体内へ深く挿入しすぎることにより次善のシールをもたらさないように鼻をシール形成構造体3100内に配置すべき場所を患者に知らせてもよい。
6.3.3 プレナムチャンバ3200
本技術の1つの形態の一態様に係るプレナムチャンバ3200は、2つの鼻孔間での空気の流れとPAP装置4000から短チューブ4180を介した空気の供給とを可能にするように機能する。短チューブ4180は、一般に、PAP装置4000に接続される長チューブ(更なるガス送出チューブ)4178および接続ポート3600を介してフレーム3310に接続する空気回路4170の一部である。このようにすると、プレナムチャンバ3200は、呼吸サイクルの吸気部分の最中には吸気マニホールドとして、及び/又は、呼吸サイクルの呼気部分の最中には排気マニホールドとして、交互に機能し得る。
プレナムチャンバ3200はエラストマー材料から構成されてもよい。
プレナムチャンバ3200は、本技術の1つの形態の他の態様によれば、シール形成構造体3100と位置決め安定化構造体3300との間にクッション機能を与える。
プレナムチャンバ3200の1つの形態では、同じ物理的な構成要素によって入口/出口マニホールド機能およびクッション機能が果たされるが、本技術の別の形態では、これらの機能が2つ以上の構成要素によって形成される。
シール形成構造体3100およびプレナムチャンバ3200は、単一の一体の構成要素として形成され、例えば成形されてもよい。
プレナムチャンバ3200は前壁3210と後壁3220とを備える。
後壁3220は後面3222を備える(図8参照)。本技術の1つの形態において、シール形成構造体3100は、図18および図19において分かるように、使用時に後面3222が患者の鼻中隔及び/又は上唇から離間されるように後壁3220に対して構成されて配置される。1つの形態では、例えばシール形成構造体3100が鼻枕3130を含むときに、これは、図8に示されるように後面3222によって、後面3222が鼻枕3130の最後部3130.1の前方にあるように後壁3220を配置することによって達成される。また、この構成は、鼻中隔及び/又は上唇が患者インタフェース3000との接触から解放されるため、シール力を患者1000の鼻孔に集中させることもできる。
プレナムチャンバ3200は、シール形成構造体3100との接続部を形成する屈曲領域3230(図9)も備える。屈曲領域3230は、前壁3210及び/又は後壁3220とは別個の領域であってもよい。あるいは、それぞれの前壁3210および後壁3220の一部または全部が屈曲領域3230の一部を形成してもよい。シール形成構造体3100がそれぞれの左右の鼻枕3130を備える本技術の1つの形態では、対応するそれぞれの左屈曲領域3232と右屈曲領域3234(図4)とが存在する。屈曲領域3230,3232,3234は、患者インタフェース3000の使用時に直面される力、例えばチューブ抵抗力に応じて、または、患者の頭部の動きに応じて、例えば患者インタフェース3000をベッドの枕に押し付けることに応じて曲がる及び/又は屈曲するように構成されて配置される。屈曲領域3230、左屈曲領域3232、及び/又は、右屈曲領域3234は、例えば約35〜約45の範囲内のA型圧入硬度を有するシリコーンゴムから構成されてもよい。しかしながら、更に幅広い範囲は、それに応じて同様のレベルの力を得るべく壁3210,3220の厚さが調節されれば可能である。
図4、図7、図8、図10、および図11において見られ得る本技術の他の態様では、プレナムチャンバ3200がサドル領域または分離領域3236を有する。図4において分かるように、屈曲領域3230は、左屈曲領域3232と右屈曲領域3234との間に位置されてもよい分離領域3236を備えてもよい。分離領域3236は、形状が凹状であってもよく、前壁3210から後壁3220にまで及んでもよい。前述したように分離領域3236を有するプレナムチャンバ3200を形成することにより、屈曲領域の一方における動きが他方の屈曲領域に実質的に影響を与えないように左屈曲領域3232を右屈曲領域3234から分離できてもよい。言い換えると、左屈曲領域3232の変形及び/又は座屈が右屈曲領域3234に支障を来すことがなく、逆もまた同様である。好適には、これにより、支障を来さない屈曲領域と関連する鼻枕3130は、他方の屈曲領域が支障を来すにもかかわらず、患者の対応する鼻孔上の適所にとどまることができる。分離領域3236は、柄部3150間で凹状を成すことにより、鼻中隔との接触を回避できる。また、分離領域3236は、この領域で所望の大きさの可撓性を可能にするべくプレナムチャンバ3200の最も薄い領域であってもよい。あるいは、分離領域3236は、プレナムチャンバ3200の最も厚い領域であってもよい。サドル領域3236に深い曲率を与えることにより、鼻中隔及び/又は上唇接触を最小にしてまたは回避して、患者の快適さを向上させることができる。サドル領域3236は、U形状またはV形状であってもよく、また、その頂点で約70°〜約120°の鼻唇角を有する。サドル領域3236は、患者の鼻中隔付近のクリアランスのために、深さが約0.5mm〜約2.5mmであってもよい。
後壁3220は、患者インタフェース3000の使用時に、図18および図19の場合のように、患者の上側の唇または上唇と隣り合って配置されてもよい。
1つの形態では、プレナムチャンバ3200がシールリップ3250(図6)を更に備えてもよい。シールリップ3250は、可撓性のある弾性材料、例えば約30〜約50の範囲内のA型硬度を有するシリコーンゴムから構成されてもよく、それにより、比較的柔軟な構成要素を形成する。図5、図6、および図8に示されるように、シールリップ3250は、プレナムチャンバ3200の内面または内周に位置され或いは内面または内周の一部として形成されてもよく、あるいは、プレナムチャンバ3200の内周領域全体に位置されてもよい。しかしながら、シールリップ3250がプレナムチャンバ3200の外面または外周にわたって或いはプレナムチャンバ3200の外周領域全体にわたって配置されてもよいことも想定される。シールリップ3250は、以下で更に詳しく説明されるように、プレナムチャンバ3200とフレーム3310との間に空気圧シールを形成してもよい。シールリップ3250およびプレナムチャンバ3200が一体部品を成してもよい。他の患者インタフェース装置は、プレナムチャンバをフレームに係合させると同時に空気圧シールをもたらすべくプレナムチャンバを圧縮するためのシリコーンなどの弾性変形可能な材料から形成される圧縮シールを使用して、プレナムチャンバとフレームとの間に空気圧シールを形成する。一方、本技術の1つの例は、プレナムチャンバ3200が最初にフレーム3310に固定されるときにフレーム3310に当て付いて撓むシールリップ3250からの干渉によって空気圧シールを形成する。呼吸障害を処置するためにプレナムチャンバ3200内の圧力が大気圧を上回って増大されると、より大きな力によってシールリップ3250がフレーム3310に押し付けられるため、空気圧シールが強化されてシール力を高める。これらの他の患者インタフェース装置のクッション/プレナムチャンバ内の空気圧は、クッションとフレームとの間のシール力に影響を及ぼさない。また、これらの他の患者インタフェース装置は、フレームと係合するための側壁とシールリップとを伴うクッションを有し、側壁およびシールリップは、それらが指圧に容易に順応するため軟質であり、硬質ではないとともに、僅かな労力で弾性的に伸ばすことができ或いは曲げることができる。特に、鼻クッションのサイズおよびアスペクト比が比較的大きいため、これがクッションの軟質性に寄与する。フレーム係合のための側壁は、非常に軟質であるため、非常に僅かな指力でクッションの両側を一緒につまんで互いに接触させることができる。フレーム係合のための側壁の変形のこの容易さは、これらの他の患者インタフェースにおいては、手に関節炎を伴う患者がクッションをフレームに素早く接続する困難さの主な根源となる場合がある。また、十分な剛性を有する前述したプレナムチャンバ3200の特徴を形成することにより、シール形成構造体により形成されるシールの安定性を向上させることができる場合があることも理解されるべきである。また、プレナムチャンバがプレナム接続領域3240からシール形成構造体3100へ向かって次第に薄くなるようにプレナムチャンバ3200の厚さを変えることができてもよい。本技術の1つの例において、プレナムチャンバ3200は、プレナム接続領域3240またはその近傍で約2−3mm厚であってもよく、プレナム接続領域3240とシール形成構造体3100との間のポイントで1mm厚であってもよく、および、シール形成構造体3100またはその近傍で0.75mm厚であってもよい。これらの特徴を有するプレナムチャンバ3200の形成が射出成形製造によって達成されてもよい。プレナムチャンバ3200の厚さにおけるこの漸進的な減少は、柄部3150および患者の鼻により近いシリコーン材料のより大きな変形能を可能にして、快適さを高めるとともに、シール破壊の可能性を減少させる。
一部の鼻枕患者インタフェースは、(i)プレナムチャンバ、(ii)ヘッドギア接続、および、(iii)シール形成構造体の組み付け順序を有する。一方、本技術の患者インタフェース3000の1つの例は、(i)ヘッドギア接続、(ii)プレナムチャンバ、および、(iii)シール形成構造体の組み付け順序を有する。配置におけるこの違いは、シール力に支障を来す場合があるプレナムチャンバ3200およびシール形成構造体3000の変形をヘッドギア張力が引き起こさないことを意味する。
6.3.4 フレーム3310
図4、図10、図75、図76、および図166に示されるように、フレーム3310は中心ハブとして機能し、この中心ハブには、短チューブ4180、プレナムチャンバ3200、および、位置決め安定化構造体3300が取り外し可能な態様で或いはより恒久的な態様で接続される。
また、図31〜図33は、ストラップ3301を有する位置決め安定化構造体3300に対して可撓性ジョイント3305を介して接続されるフレーム3310の様々な図を示す。これらの図は、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造体3100を伴わないフレーム3310を示す。接続ポート3600およびベント3400は、いずれも以下で更に詳しく説明されるが、フレーム3310上に配置されてもよい。
技術の1つの例では、フレーム3310がポリプロピレンから形成されてもよい。
技術の他の例では、フレーム3310が1つのサイズで形成されてもよいが、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造体3100は、本明細書中に記載される共通に寸法付けられた接続機能部によって単一のフレームに取り付けることができる複数のサイズで形成されてもよい。
技術の一例において、フレーム3310は、それが成形された後に屈曲を伴わずに金型から除去され得るように逃げ溝を何ら伴うことなく成形されてもよい。
6.3.5 プレナムチャンバとフレームとの間の接続
本技術の1つの形態において、プレナムチャンバ3200は、例えば洗浄を容易にするため、または、異なって寸法付けられたシール形成構造体3100のために交換するべく、フレーム3310に対して取り外し可能に取り付けることができる。これにより、プレナムチャンバ3200をフレーム3310および短チューブ4180よりも頻繁に洗って洗浄できるようにしてもよい。また、それにより、プレナムチャンバ3200をストラップ3301とは別個に洗って洗浄できるようにしてもよい。別の形態では、プレナムチャンバ3200をフレーム3310から容易に取り外すことができない。
プレナムチャンバ3200はプレナム接続領域3240(図6)を備えてもよい。プレナム接続領域3240の保持構造体3242は、対応するフレーム接続領域3312(図10)の形状及び/又は形態に対して相補的な形状及び/又は形態を有する。プレナムチャンバ3200の保持構造体3242は、プレナムチャンバ3200の他の部分よりも硬質であり、フレーム3310と同じ材料、例えばポリプロピレンまたはRilsan(登録商標)などのポリアミドから形成されてもよい。他の実施形態では、プレナム接続領域3240がナイロンから形成されてもよく、また、フレーム3310がポリプロピレンから形成されてもよい。ナイロン、ポリアミド、および、ポリプロピレンは、軟質材料ではなく、指圧に容易に順応しない。したがって、プレナム接続領域およびフレームが互いに係合されると、可聴クリック音および硬質−硬質間接続が存在する。図20〜図24には、保持構造体3242の形状が放物柱または双曲柱に似た形状を成して描かれる。保持構造体3242は、それがフレーム3310と係合するとき及びフレーム3310から離脱するときにその一般的形状を維持するために、伸長不可能であり、伸び縮みしない。保持構造体3242の形状は、僅かな程度の屈曲を許容するが、保持構造体3242の両側が指圧によって一緒につままれる場合に互いに触れることができる程度まで屈曲を許容しない。言い換えると、保持構造体3242の両側は、通常の治療状況下では生じない患者1000により意図された大きな締め付け力によってのみ互いに接触し得る。図示の例において、保持構造体3242の上縁および下縁は、同じ大きさの締め付け力を使用すると、保持構造体3242の側縁よりも互いに接近して/互いに容易に挟圧され得る。図18において分かるように、フレーム3310および保持構造体3242の湾曲は、患者の上唇の自然な湾曲に追従するようになっており、ヘッドギア張力による接触圧が患者の上唇にわたって均一に広げられるように患者の上唇の任意の特定のポイントに接触圧が集中することを回避できる。これは、長期にわたる接触圧の集中によって引き起こされる皮膚損傷を最小限に抑える或いは排除することができる。湾曲における他の利点は、プレナムチャンバ3200のための材料が平坦なフレームと比べて少なくて済むという点である。平坦なフレームは、プレナムチャンバ3200が患者の上唇に適合するようにプレナムチャンバ3200の側縁においてより多くの材料をもたらす。より少ない材料は、患者インタフェース3000における全体の重量軽減をもたらす。また、湾曲は、患者の顔面からの患者インタフェース3000の前方向の任意の突出も最小限に抑え、それにより、患者インタフェース3000の目立たなさを向上させる。また、保持構造体3242は、成形後、技術の一例によれば、プレナムチャンバ3200に(例えば接着剤を使用して)接着されてもよい。他の例では、保持構造体3242とプレナムチャンバ3200との間で一体の化学結合(分子付着)が利用されてもよい。
技術の一例において、保持構造体3242は、それが成形された後に屈曲することなく金型から除去され得るように逃げ溝を何ら伴うことなく成形されてもよい。保持構造体3242は、フレーム3310と接触する前側に連続的な外周縁を有する。この連続的な外周縁は、それが硬質−硬質間態様でフレーム3310と接触して係合するように露出される。これは、大部分の軟質−硬質間接続とは対照的であり、軟質−硬質間接続では、一部の従来のマスクにおいて、取り外し可能な硬質の保持構造体の大部分を覆ってこれと重なり合うシール形成構造体の前唇部が存在する。前唇部は、LSRから形成されており、保持構造体を一緒に保持するように保持構造体を覆って包む。しかしながら、そのような従来のマスクでは、取り外し可能なクリップを覆って前唇部を包むことが困難であって煩わしく、また、クリップを誤って配置する可能性があり、その結果、シール形成構造体をフレームに接続できなくなる。
保持構造体3242の1つの目的は、フレーム3310と係合するときにプレナムチャンバ3200を位置合わせすることである。これは、フレーム3310のフレーム接続領域3312と干渉部3314との間に規定される空間内でプレナムチャンバ3200の保持構造体3242の形状が(場合により様々な深さで)保持されるからである(図29)。
保持構造体3242の他の目的は、プレナムチャンバ3200をフレーム3310に対して、これらの2つの部品間の相対的な横方向垂直相対動作を防止することによって保持することである。プレナム接続領域3240は少なくとも1つの保持機能部3244を備えてもよく、また、少なくとも1つの相補的なフレーム接続領域3312が存在してもよい。プレナム接続領域3240が1つ以上の保持機能部3244を備えてもよい(図10)。プレナムチャンバ3200とフレーム3310との間の相対的な横方向垂直動作を防止することに加えて、保持機能部3244の他の目的は、これらの2つの部品間の相対的な長手方向動作を防止することである。プレナムチャンバ3200の残りの部分は、保持構造体3242およびプレナム接続領域3240よりも可撓性がある材料を備えてもよい。
1つの形態において、プレナム接続領域3240は、硬質材料または半硬質材料、例えば高デュロメータシリコーンまたはTPE、プラスチック、ナイロン、耐温度性材料、ポリプロピレン、及び/又は、ポリカーボネートから構成される。プレナム接続領域3240は、プレナムチャンバ3200の他の部分とは異なる材料から構成されてもよい。例えば、プレナム接続領域3240は、プレナムチャンバ3200の接続部3202(図10)と取り外し不能に接続される、一体的に結合される、あるいは、機械的に連結される別個の構成要素であってもよい。図6を参照すると、プレナムチャンバ3200の接続部3202は、プレナム接続領域3240の保持構造体3242とほぼ同じ厚さを有してもよい。プレナム接続領域3240は、チャネル部3211.1、例えばフレーム3310のチャネル部により嵌合状態で受けられるように構成されて配置される舌部3211を含んでもよい。このようにすると、チャネル部3211.1が舌部3211のための嵌め合い機能部を形成することができ、逆もまた同様である。また、舌部3211およびチャネル部3211.1は、この領域でシール表面積を最大にするように寸法付けられてもよい。
6.3.5.1.1 プレナムチャンバの取り付け及びフレームからの取り外し
プレナムチャンバ3200は、フレーム3310に対して取り付け固定されてもよいが、フレーム3310に対して取り外し可能に取り付けられてもよい。図12は、プレナムチャンバ3200をフレーム3310に対する接続位置で示す。プレナム接続領域3240は、この例では、接続領域3240の両側、例えば後側および前側に位置される2つの保持機能部3244のみを含む。図12および図13は、両方の鉤状部3246を貫く断面を示し、一方、図17は、鉤状部3246が存在せず、それにより、例えばチャネルまたは溝3211.1を形成する、他の断面を示す。弾性鉤状部3246は、(偶発的な外れを防止するための)高い保持力を与えるとともに比較的容易い意図的な取り外しも可能にするある種のスナップ式圧縮嵌合部材である。図17において、プレナム接続領域3240およびフレーム3310は、舌−溝状態様で互いに簡単に嵌合する。フレーム3310および保持構造体3242は、保持機能部3244がフレームと係合する前に舌部3211とチャネル部3211.1とが係合するように形成されてもよい。これは、接続のために保持機能部3244を位置合わせするのに役立ち得る。
各保持機能部3244は、前面3246.1および後面3246.2を有する鉤状部3246(図6および図13)の形態を成してもよい。前面3246.1は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とが互いとの係合状態へと移動されるにつれてフレーム3310のフレーム接続領域3312の引き込み面3312.1と係合するようになっている。保持機能部3244が所定位置へと押し込まれると、該保持機能部が変形する。また、フレーム3310のフレーム接続領域3312の上側領域および下側領域並びに干渉領域3314も僅かに変形してもよい。また、保持構造体3242も特に保持機能部3244付近で僅かに変形してもよい(例えば、図27および図28の破線参照)。図195〜図198を参照すると、フレーム3310のフレーム接続領域3312および干渉部3314の変形は、許容される変形量に関して、および、変形が起こるようになっている区域に関しても、リブ3294の使用によって制御される。本技術の1つの例では、干渉部3314の周囲で離間されて該干渉部に当て付く6つのリブ3294が存在する。リブ3294の間隔および位置は、干渉部3314の変形の区域を、保持機能部3244に近い区域だけに制限する。リブ3294は、プレナムチャンバ3200がフレーム3310と係合されるときにプレナム接続領域3240とフレーム接続領域3312との間のより強固な係合をこれらの接触点でもたらすためにプレナム接続領域3240の内面に当接して該内面に抗して変形してもよい。図199〜図202を参照すると、プレナムチャンバ3200のプレナム接続領域3240は、リブ3294と対応するための切り欠き3295を有する。切り欠き3295は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310との組み付け中にリブ3294に当て付くプレナム接続領域3240の摩擦を最小限に抑えるための面取りである。鉤状部3246が十分な量で押し込まれる時点で、鉤状部は、鉤状部3246が図13に示される保持位置をとるように径方向外側へ向けてスナップ係合する。スナップ作用は、安心感を与えるクリック音などの可聴音をユーザにもたらし、それにより、適切な接続が確立されたというフィードバックをユーザまたは患者に与える。保持位置では、図13に示されるように、鉤状部3246の後面3246.2がフレーム接続領域3312の保持面3312.2と係合する。この安心感を与えるクリック音は、技術の1つの例では、十分な剛性のプレナム接続領域3240を形成することによって容易にされてもよく、その剛性はプレナム接続領域3240の近傍で最も大きい。この剛性は、オーバーモールド製造によって達成されてもよい。
図13において分かるように、鉤状部3246およびフレーム接続領域3312の表面は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310との間のスライド接続を容易にするために特定の態様で傾けられる。例えば、先に述べられたように、前面3246.1および引き込み面3312.1は、これらの表面が比較的容易に互いにスライド係合できるように互いに対応する角度を伴って形成されてもよい。同様に、後面3246.2および保持面3312.2は、接続された時点で、フレーム3310およびプレナムチャンバ3200を保持するのに役立つように互いに対して傾けられてもよい。後面3246.2と保持面3312.2との間の角度は、例えば鼻枕3130の軸線にほぼ沿って印加される引張力が鉤状部3246を内側に屈曲させることによりプレナムチャンバ3200をフレーム3310から解放するのに十分であるように選択される。この引張力は、患者1000が最初に例えばプレナムチャンバ3200を前後方向で締め込むことによって鉤状部3246を径方向内側に撓ませることを要しない。むしろ、関連する角度に起因して、鉤状部3246の径方向の撓みは、印加される軸方向の引張力の結果としてのみ生じる。本技術の1つの例では、プレナム接続領域3240が撓まされ、また、フレーム3310からのプレナムチャンバ3200の分解は、プレナムチャンバ3200をつまんでプレナムチャンバ3200をフレーム3310から引き離すことによって行われる。
図13において分かるように、プレナムチャンバ3200は、プレナム接続領域3240を介してフレーム3310に取り付けられ、また、保持機能部3244は、鉤状部3246によってフレーム接続領域3312と係合される。この図にも示されるように、フレーム接続領域3312の保持面3312.2と鉤状部3246の後面3246.2とが係合されて互いに同一平面内にある。患者がプレナムチャンバ3200をフレーム3310から取り外すために、患者は、後面3246.2に抗する保持面3312.2の抵抗に打ち勝つのに十分な力を伴ってプレナムチャンバ3200をフレーム3310に対して引張らなければならない。本技術の1つの例において、プレナムチャンバ3200を挟圧すると、プレナムチャンバ3200をフレーム3310から取り外すために必要とされる軸方向引張力が減少する。この抵抗は、これらの表面3312.2,3246.2が互いに係合する角度を変えることによって所望のレベルに「合わせられ」得る或いは選択的に調節され得る。これらの表面3312.2,3246.2がプレナムチャンバ3200をフレーム3310から取り外すために患者1000により加えられる力の方向に対して垂直に近ければ近いほど、取り外しをもたらすために必要とされる力が大きくなる。この角度は、後面3246.2が公称垂直軸線3246.4(フレーム3310に対するプレナムチャンバ3200の軸方向の引張方向に対応する)に対して傾けられるβとして図14に示される。βが増大されるにつれて、プレナムチャンバ3200をフレーム3310から取り外すために必要とされる力が増大する。また、βが増大するにつれて、取り外しが患者1000にとってより急激と感じられる。1つの例では、約75°の角度βが、患者にとって快適な取り外し感触を生み出すことが分かってきた。更なる例において、βは、取り外しに対する理想的な抵抗レベルをもたらすために、30°から110°まで、または、40°から90°まで、または、65°から85°までさまざまであってもよい。これは、偶発的な外れの可能性を最小限に抑えるように、また、患者1000による意図的な取り外しのみを許容するように選択されてきた。
公称垂直軸線3246.4と前面3246.1との間の角度である角度αも、患者1000がプレナムチャンバ3200をフレーム3310に取り付けるときに特定のレベルの力を必要とするように同様に「合わせられ」得る或いは選択的に調節され得る。角度αが増大されるにつれて、保持機能部3244をフレーム接続領域3312と係合させるために必要とされる力が増大するとともに、これらの構成要素3244,3312を係合させる患者にとっての取り付け感触もより急激となる。言い換えると、保持機能部3244の前面3246.1がフレーム接続領域3312の引き込み面3312.1に沿ってスライドする際、ユーザは、角度αが減少するにつれて、より滑らかな係合感触を受けることができる。1つの例では、約30°の角度αが、患者1000にとって快適な取り外し感触を生み出すことが分かってきた。更なる例において、角度αは、取り外しに対する理想的な抵抗レベルをもたらすために、50°から70°まで、または、15°から60°までさまざまであってもよい。
また、プレナムチャンバ3200とフレーム接続領域3312との係合および離脱の感触および力を互いに無関係に合わせる或いは選択的に調節することができるため、角度αおよびβは、取り外しに対する抵抗レベルとは異なる取り付けに対する抵抗レベルを患者に感じさせるように選択されてもよい。技術の1つの例において、角度αおよびβは、角度βが角度αよりも大きいように選択されてもよく、それにより、患者は、取り外し抵抗よりも小さいプレナムチャンバ3200とフレーム3310との取り付け抵抗を感じる。言い換えると、プレナムチャンバ3200をフレーム3310から取り外すことの方がそれらを接続することよりも困難であると患者が感じ得る。
図4において分かるように、技術の1つの例は一対の保持機能部3244,3245を含む。また、この図に示されるように、典型的な保持機能部3244,3245は異なって寸法付けられる。特に、この図は、プレナム接続領域3240の前部に配置される保持機能部3245がプレナム接続領域3240の後部に配置される保持機能部3244よりも幅狭いことを示す。保持機能部3244を異なって寸法付けることにより、患者1000は、1つの方向でのみプレナムチャンバ3200をフレーム3310に取り付けることができる。そのような構成が図10に示される。これは、取り付け中の患者のフラストレーションを回避し、不正確な取り付けによって起こり得る患者インタフェース3000の損傷を最小限に抑えるとともに、患者の気道に対して適切なシールを与えるべくシール形成構造体3100が正しい方向となるようにして、患者1000の鼻中隔及び/又は上唇との接触を減らす或いは回避することによって快適さを与える。
図10には、2つのフレーム接続領域3312,3313が対応する保持機能部3244,3245と係合して示される。ここに描かれる例は、幅狭い方の前保持機能部3245が幅狭い方の前フレーム接続領域3313に対応するように寸法付けられることを示す。また、幅広い方の後保持機能部3244は、対応して寸法付けられた後フレーム接続領域3312と係合される。1つの保持機能部が対応する一意的に寸法付けられたフレーム接続領域と係合するように一意的に寸法付けられるこのような構成は、患者がプレナムチャンバ3200を1つの方向でのみフレーム3310に取り付けることができるという利点を有する。取り付け方向を制限することにより、患者1000は、患者インタフェース3000を不適切に組み付けることが防止されるとともに、不適切に組み付けられた患者インタフェース3000に起因して次善の治療を受けることが防止される。技術のこの特定の例に関して記載された構成は、構成要素が適切に位置合わせされる場合にのみ患者1000が患者インタフェース3000を完全に組み付けることができるため、視力問題に起因して構成要素を正確に係合させる仕方を見ることが困難な場合がある患者1000、または、暗い部屋、例えば就寝前のベッドルームで患者インタフェース3000を組み付けているかもしれない患者1000にとって有利である。
前述したように、鉤状部3246における前面3246.1および後面3246.2の角度は、患者インタフェース3000の組み付け及び分解に対する最適な大きさの抵抗を与えるのに重要である。また、組み付け時に構成要素の適切な方向付けが確保されるようにそれぞれの保持機能部3244,3245およびフレーム接続領域3312,3313を対応させて寸法付ける利点についても前述した。保持機能部3244,3245およびフレーム接続領域3312,3313を適切に寸法付けることは、プレナムチャンバ3200をフレーム3310の方へと案内するのに役立ち得る。言い換えると、フレーム接続領域3312,3313および保持機能部3244,3245は、フレーム接続領域の外周および保持機能部3244の外周が保持機能部3244をフレーム接続領域3312へと方向付けて位置合わせするのに役立つように互いに緊密に適合して寸法付けられてもよい。これは、疾病(例えば関節炎)に起因して機敏さが制限される患者、または、就寝前の暗いベッドルーム内であろうが或いは限られた視力に起因していようが視認性が低下される状態で患者インタフェース3000を組み付ける患者にとって有益となり得る。また、保持機能部3244,3245およびフレーム接続領域3312,3313を互いに緊密に適合して寸法付けることにより、これは、プレナムチャンバ3200とフレーム3310との間のシールがこれらの2つの構成要素間の強固な接続を容易にすることによって維持されるようにする役目を果たす。また、保持機能部3244,3245とフレーム接続領域3312,3313との間の緊密な適合は、フレーム3310に対するプレナムチャンバ3200の同等の位置合わせを容易にするのに役立ち得る。本技術の1つの例では、保持機能部3244,3245とフレーム接続領域3312,3313との間に0.3mm〜2mmの差が組み入れられ得る。
また、前述した及び後述するフレーム3310とプレナムチャンバ3200との間の接続が他のタイプのマスクと共に使用されてもよいことも理解されるべきである。そのような特徴は、鼻マスクまたはフルフェースマスクにも同様に適用できてもよい。コンパクトな鼻マスクまたはコンパクトなフルフェースマスクなどの鼻梁下をシールするマスクは、本明細書中に記載される接続機能部を組み込んでもよい。また、前頭支持体を欠くマスクは、これらの接続機能部を含んでもよい。また、鼻枕3130または鼻クレードル/鼻フランジ3101を有するマスクなどの鼻尖部下をシールするマスクを含む本技術の例がこれらの接続機能部を使用してもよいことも想定される。
6.3.5.1.2 プレナムチャンバおよびフレームの取り付け及び取り外しシーケンス
図25〜図29は、プレナムチャンバ3200の接続部3202およびフレーム3310のフレーム接続領域3312の一連の断面図を示す。これらの順次的な図は、フレーム3310に対するプレナムチャンバ3200の取り付けのプロセスを示す。これらの図は1つのフレーム接続領域3312に対する1つの保持機能部3244の取り付けのみを示すが、図10において分かるように及び前述したように、複数の保持機能部3244および複数のフレーム接続領域3312が存在してもよいことが理解されるべきである。したがって、プレナムチャンバ3200およびフレーム3310の取り付けシーケンス中に、プレナムチャンバ3200とフレーム3310との完全な取り付けを達成するために、図示の取り付けシーケンスの複数の事例が行われてもよい。
図25は、プレナムチャンバ3200の接続部3202およびフレーム3310のフレーム接続領域3312の断面図を示し、この場合、接続部3202およびフレーム接続領域3312は互いの近傍に位置するが接触しない。矢印は、接続部3202とフレーム接続領域3312とが結合しようとしていることを示す。言うまでもなく、これらの図に関しては、簡単にするため、プレナムチャンバ3200およびフレーム3310の更なる部分が含まれていない。したがって、例えば図13において分かるように、フレーム接続領域3312および該フレーム接続領域3312の干渉部3314がいずれもフレーム3310の一部であることも理解されるべきである。また、フレーム接続部3312および該フレーム接続部3312の干渉部3314が取り付けシーケンスにわたって互いに対して移動することが理解されるべきである。図25に戻ると、この図は、シールリップ3250が変形されないとともに、保持機能部3244が変形されないことを示す。これは、これらの構成要素3250,3244のいずれもフレーム3310と接触しないからである。
図26は、フレーム3310のフレーム接続領域3312と接触し始めている保持機能部3244の鉤状部3246を示す。具体的には、この図は、フレーム接続領域3312の引き込み面3312.1と接触する鉤状部3246の前面3246.1を示す。この図において、保持機能部3244およびフレーム接続領域3312は、保持機能部3244が撓まされないように互いに接触しているにすぎない。また、シールリップ3250は、それがフレーム接続領域3312の干渉部3314と未だ接触していないため、撓まされてしまっていない。前述したように、前面3246.1の角度αは、プレナムチャンバ3200とフレーム接続領域3312との係合に対してユーザが感じる抵抗に影響を及ぼし始める。これは、前面3246.1が引き込み面3312.1と摩擦接触状態で係合し始めるからである。
図27は、保持機能部3244がフレーム接続領域3312との接触によって撓まされるように取り付けシーケンスに更に沿うプレナムチャンバ3200およびフレーム3310を示す。この図において分かるように、フレーム接続領域3312およびフレーム接続領域3312の干渉部3314は接続部3202に更に近づいている。また、この図に示されるように、鉤状部3246の前面3246.1は、保持面3312.2に更に近い引き込み面3312.1の部分と接触する。言い換えると、鉤状部3246は、フレーム接続領域3312との取り付けへと更に近づいてしまっているとともに図26に示される位置に対して移動してしまって見える。前述したように、プレナムチャンバ3200の接続部3202およびプレナム接続領域3240は、患者1000により生み出される締め付け力によって撓まされてもよい。また、図27は、保持機能部3244がフレーム接続領域3312との接触によって撓まされてしまっていることも示し、破線は、非変形状態の保持機能部3244の輪郭を示す。また、図27は、シールリップ3250がフレーム接続領域3312の干渉部3314と未だ接触せず、したがって、シールリップ3250が変形されていないことも示す。この図に示されないが、これらの部分3312,3244が互いに押し進められる力に起因してフレーム接続領域3312が保持機能部3244から離れるように撓み得ることも理解されるべきである。
図28では、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とがほぼ取り付けられて、保持機能部3244がフレーム接続領域3312とほぼ完全に係合される。この図では、保持機能部3244が依然として変形されるが、鉤状部3246はフレーム接続領域3312の異なる部分と接触する。具体的には、このとき、鉤状部3246の後面3246.2がフレーム接続領域3312の保持面3312.2と接触する。また、後面3246.2と保持面3312.2とが互いに接触する角度に起因して、保持機能部3244およびフレーム接続領域3312は、撓まされた保持機能部3244のその非変形状態へと戻ろうとする固有の傾向によって係合状態へと付勢され得、それにより、事実上、特定の挿入距離に達した後にこれらの部分が互いに引き寄せられる。また、図28は、非変形状態の保持機能部3244の輪郭を破線によって示す。また、この図では、シールリップ3250がフレーム接続領域3312の干渉部3314と接触していることも分かる。取り付けシーケンスのこの時点では、シールリップ3250とフレーム接続領域3312の干渉部3314との接触によってシールが形成され始めてもよい。シールリップ3250は、フレーム接続領域3312の干渉部3314に当て付く接触によって僅かに撓まされてもよい。
図29は、保持機能部3244の鉤状部3246とフレーム接続領域3312との係合によって完全に取り付けられるプレナムチャンバ3200およびフレーム3310を示す。この図では、保持面3312.2が後面3246.2に比較的ぴったりとくっついていてもよい。また、保持機能部3244は、フレーム接続領域3312との接触によってもはや撓まされ得ない。保持機能部3244の図28に示されるようなその撓んだ或いは変形された状態から非変形状態への戻りは、鉤状部3246および保持機能部3244が図28に示される位置から図29に示される位置へと移動するにつれて可聴クリック音を発生させてもよい。この安心感を与える可聴クリック音は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とが完全に係合されるというフィードバックをクリック音が患者1000に与えるという点において有益となり得る。係合の完了時にこのフィードバックを患者1000に与えることにより、患者1000は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とがしっかりと取り付けられて患者1000が就寝して治療を受けている間に分離しないという確信をもって患者インタフェース3000を使用できてもよい。
また、所望のレベルのシール接触は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とが図29に示されるように取り付けられるときに達成されてもよい。シールリップ3250は、フレーム接続領域3312の干渉部3314に当て付いて撓まされているのが分かる。図示のように撓まされることにより、シールリップ3250は、シールリップ3250のその非変形状態に戻ろうとする傾向に起因して十分な力でフレーム接続領域3312の干渉部3314にそれ自体が押し付けられてもよく、それにより、所望のシールがこれらの構成要素間にもたらされる。更に、治療が施されるときにプレナムチャンバ3200内の空気圧が増大するにつれて、シールリップ3250は、フレーム接続領域3312の干渉部3314へ向けて強制的に撓ませられ、それにより、この領域でシール力を増大させる。プレナムチャンバ3200がフレーム3310と係合されるときに保持構造体3242とフレーム接続領域3312との間に圧縮シールが形成される場合であっても、係合時に、シールリップ3250とフレーム接続領域3312の部3314との間には、内部の空気圧が増大するにつれて強くなる圧力作動シールも形成される。特定の例では、圧縮シールが気密ではなく、それにより、望ましくない漏れが生じることが想定され得る。
また、圧縮シールを形成するために構成要素の非常に大きな圧縮量が必要とされる場合には、これにより、フレーム3310に対するプレナムチャンバ3200の容易な取り付け及び取り外しが妨げられる場合があり、その結果、場合により、その操作を行うために片手では済まず、あるいは、かなりの量の労力を必要とする。したがって、本技術の1つの例において、圧縮シールは、主に、シールよりはむしろ保持の目的のために機能し、また、圧力作動シールは、主に、気密シールを形成して維持する目的のために機能する。そのようなシール作用がプレナムチャンバ3200とフレーム3310との間の接合部の周囲にわたって生じていてもよいことが理解されるべきである。例えば、図17は、保持機能部3244とは別個の領域でフレーム接続領域3312に当て付く同様に撓まされた状態のシールリップ3250を示す。また、図5においては、例えば、シールリップ3250がプレナムチャンバ3200の外周にわたって延在することが分かる。シールリップ3250をプレナムチャンバ3200とフレーム3310との間の接合部の周囲にわたって内側で延在させることにより、この領域の全体にわたって所望のレベルのシールを得ることができ、それにより、加圧ガスの望ましくない漏れが防止される。
また、言うまでもなく、シールリップ3250は、フレーム接続部3312の干渉部3314に対して、これらの部分を分離するように付勢している力を伴って押し付いていてもよい。しかしながら、鉤状部3246の後面3246.2とフレーム接続領域3312の保持面3312.2との構造的な係合に起因する摩擦力は、シールリップ3250が非変形状態に戻ってプレナムチャンバ3200をフレーム3310から分離しようとする傾向の力に抵抗するのに十分でなければならない。
プレナムチャンバ3200とフレーム3310との取り外しに関しては、このプロセスが前述したプロセスとはほぼ逆の順序であることが理解されなければならない。言い換えると、ユーザは、これらの構成要素を反対方向に引くことによってプレナムチャンバ3200をフレーム3310から分離してもよく、また、図29の図が分離プロセスの始まりであってもよく、また、図25は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とが完全に分離される図を表してもよい。プレナムチャンバ3200をプレナム接続領域3240付近で締め付けて或いはプレナム接続領域3240を締め付けてフレーム3310から引き離すことは、フレーム3310からのプレナムチャンバ3200の取り外しに役立ち得る。また、患者1000が、任意の場所で、例えば鼻枕3130または柄部3150でプレナムチャンバ3200をそれを握る目的で締め付けて単にそれをフレーム3310から引き離してもよいことも想定される。引張りつつひねる動作も、プレナムチャンバ3200をフレーム3310から離脱させることに役立ち得る。
6.3.5.1.3 硬質−硬質間接続
プレナム接続領域3240およびフレーム3310は、図25〜図29に示されるように組み付けられて取り付けられてもよい。前述したように、プレナム接続領域3240及び/又は保持構造体3242は、半硬質材料、例えば高デュロメータシリコーン(プレナムチャンバ3200よりも高いデュロメータ)/TPE、プラスチック、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、及び/又は、ポリカーボネートから構成されてもよい。プレナム接続領域3240は、連続したリングまたは楕円形の2つのC形状クリップ、1つのC形状クリップ、または、単一の連続する断片の形態を成すがプレナムチャンバ3200の一部のみを取り囲んで構成され得る。クリップは、スプリングクリップとして機能してもよく、また、C断面または二重C断面の形態を成してもよい。スプリングクリップのバネ力は、プレナム接続領域3240がフレーム3310のフレーム接続領域3312,3313または干渉部3314に抗して伸長される弾力性によって与えられてもよい。他の例では、クリップ形態が必要でなくてもよく、また、保持機能部3242,3244のみが、接続領域3312,3313と係合するためにプレナム接続領域3240及び/又は保持構造体3242を伴わずにプレナムチャンバ3200に取り外し不能に直接に接続される。また、フレーム3310がプレナム接続領域3240と同じ或いは同様の半硬質材料から構成されることを本技術の1つの例が含んでもよいことも想定される。半硬質材料のフレーム3310およびプレナム接続領域3240を製造することにより、「硬質−硬質間」接続または結合インタフェースが形成されてもよい。この「硬質−硬質間」接続は、プレナム接続領域3240およびフレーム接続領域3312の構造的特徴と併せて、患者インタフェース3000を組み付けるときにプレナムチャンバ3200とフレーム3310との間の接続の確信的感触を(例えば、可聴スナップ嵌合または安心感を与えるクリック音を与えることによって)患者1000に与えてもよい。プレナムチャンバ3200とフレーム3310との間の確実な嵌合は、患者1000が患者インタフェース3000を介して最適な治療を受けるようにするのに役立つため、確実な嵌合が達成されたという確信を患者1000に与える構造は有益である。本明細書中に記載される硬質−硬質間接続は、それがシール形成構造体3100により形成されるシールに対して安定性を加えることができるという点においても有益となり得る。これは、プレナムチャンバおよびフレームのいずれか一方または両方が軟質材料から形成され、それにより、特に暗い部屋において関節炎の手でプレナムチャンバとフレームとを容易に適切に係合させることを難しくする、硬質−軟質間接続または軟質−軟質間接続とは対照的である。
保持機能部3242,3244がプレナムチャンバ3200に設けられるように説明されるとともに、接続領域3312,3313がフレーム3310に設けられるが、その場所をフレーム上の保持機能部およびプレナムチャンバ上の接続領域に交換することも想定し得る。また、一方の部分には、他方の部分にある接続領域および保持機能部と対応する保持機能部と接続領域との組み合わせが存在してもよい。
6.3.6 プレナムチャンバを形成する方法
プレナムチャンバ3200を製造するためのプロセスは、第1の金型内でプレナム接続領域3240を成形して、成形されたプレナム接続領域3240を第1の金型から除去するとともに、プレナム接続領域3240を第2の金型内へ挿入して、第2の金型内で接続部3202を備えるプレナムチャンバ3200の一部を成形するステップを備えてもよい。プレナム接続領域3240は、接続部3202に対して化学的に結合され及び/又は機械的に連結されてもよい。
1つの形態において、シールリップ3250は、プレナムチャンバ3200とフレーム3310とが互いに組み付けられるときにフレーム接続領域3312の干渉部3314と干渉する(図13)ように構成されて配置される。使用時、シールリップ3250は、フレーム接続領域3212の干渉部3314と組み付けられるときに静止位置(図6)から離れるように弾性的に屈曲させられるとともに、少なくとも部分的には弾性材料である結果として干渉部3314に押し付いて(図12)、シールリップ3250と干渉部3314との間での空気の漏れに抵抗する或いは漏れを防止する。シールリップ3250がプレナムチャンバ3200に設けられるように説明してきたが、シールリップがフレーム3310に設けられてもよい。1つのシールリップを説明してきたが、2つ以上のシールリップが設けらてもよいことが想定し得る。その場合、少なくとも1つのシールリップがプレナムチャンバ3200に設けられ、また、少なくとも1つのシールリップがフレーム3310に設けられる。
6.3.7 位置決め安定化構造体3300
本技術の1つの形態では、多くの構造的特徴が位置決め安定化構造体3300の一部、例えばヘッドギアアセンブリ(単にヘッドギアと称される場合がある)を形成することに留意されたい。本技術の別の形態では、これらの特徴のうちの1つ以上がフレーム3310に位置される。例えば、屈曲ジョイント3305の全体または一部がヘッドギアまたはフレーム3310に位置されてもよい。また、延在部3350は、それがリジダイザアーム3302と一体に形成されることを除き、屈曲ジョイント3305と同じ機能を果たしてもよい。
本技術の患者インタフェース3000のシール形成構造体3100は、使用時に、位置決め安定化構造体3300によってシール位置に保持されてもよい(図75、図76、および図166)。1つの形態において、位置決め安定化構造体3300はヘッドギアを備える。言うまでもなく、位置決め安定化構造体3300は、技術の1つの形態では、ヘッドギアと称されてもよい。
ヘッドギアは、ヘッドギアコネクタを介して、位置決め安定化構造体3300などの患者インタフェースの一部に取り外し可能に接続できてもよい。
6.3.7.1 ストラップ
位置決め安定化構造体3300は、少なくとも1つのストラップ3301(例えば、図65参照)と、少なくとも1つのリジダイザアーム3302(例えば、図67参照)とを備えてもよい。ストラップ3301は、弾性材料から形成されてもよく、また、弾性特性を有してもよい。言い換えると、ストラップ3301は、例えば患者により加えられる伸長力によって弾性的に伸長されてもよく、また、伸長力の解放時に中立状態のその当初の長さに戻る或いは収縮する。ストラップ3301は、エラスタン、TPE、シリコーン等の任意のエラストマー材料から形成されてもよく或いは任意のエラストマー材料を備えてもよい。ストラップ3301の材料は、前述した材料のうちのいずれかと他の材料との組み合わせに相当してもよい。ストラップ3301は、単層または多層のストラップであってもよい。ストラップ3301、特に使用中に患者1000と接触するサイドストラップ部3315,3316は、織られ、編まれ、編組され、成形され、押し出され、或いはさもなければ、形成されてもよい。ストラップ3301は、織り材料などの布材料を備えてもよく或いは布材料から形成されてもよい。そのような材料は、一方では、合成繊維または天然繊維を備えてもよく、それにより、触覚特性などの望ましい有益な表面特性および皮膚快適性を与える。他方では、ストラップ3301の材料は、望ましいエラストマー特性を与えるためのエラストマー材料を含んでもよい。サイドストラップ部3315,3316およびバックストラップ部3317を含むストラップ3301全体が全て伸長可能であってもよい。これにより、ストラップ3301の全長を伸ばすことができ、それにより、快適な力移動プロファイルをもたらす。使用時にストラップ3301を伸長させるために、ストラップ3301の長さが患者の平均小頭囲未満であってもよい。例えば、ストラップ3301の長さは、1つの例では590mm未満であってもよく、他の例では500mm未満であってもよい。しかしながら、性別固有であってもよい患者の頭囲に応じて、異なる長さのストラップ3301が患者に与えられてもよい。例えば、小サイズのストラップは、長さが490mmであってもよく、また、大サイズのストラップが540mmであってもよい。幾つかの状況において、このことは、ストラップ3301の長さが大きな距離にわたって伸長される(すなわち、大きい頭囲のための小サイズストラップ)必要がないことを意味する。大きな距離にわたる伸長は、そのような患者にとって不必要に高いヘッドギア張力をもたらすととともに、小サイズストラップ3301が長い長さへと伸長されるにつれてあまりスムーズでない力移動プロファイルをもたらす。
本技術の別の例によれば、ストラップ3301は、弾力性がなくてもよく、あるいは、十分に伸長できなくてもよい。リジダイザアーム3302が含まれてもよく或いは含まれなくてもよい。これらの別の例によれば、位置決め安定化構造体3300のストラップ3301の長さは、ラダーロッククリップ、バックル、または、フックループ材料を用いて調節できてもよい。ストラップ3301は、プラスチックまたは布などの実質的に弾力性がない材料から形成されてもよい。弾力性がないストラップ3301の使用は、シール形成構造体3100が鼻クレードルクッションであってチューブトルクが患者インタフェース3000によって受けられるときにシール安定性を更に容易に維持できるという点において有益な場合がある。
ストラップ3301は、特定の区域では、例えばフレーム3310から患者の頬骨に近い位置に至るまで、挿入されたリジダイザアーム3302によって硬くされる。ストラップ3301は中空リボンの形態を成してもよい。ストラップ3301は、それがリジダイザアーム3302上へと滑らされてフレーム3310に近いリジダイザアーム3302の一端に固定されるときにリジダイザアーム3302上にわたって通されると見なされてもよい。
1つの例において、サイドストラップ部3315,3316とバックストラップ部3317とを含むストラップ3301は、布材料を縦編みすることによって形成される。ストラップ3301は、単一の一体品としてコンピュータ制御により編まれる3D編地である。糸および縫い目の変化は、ストラップ3301の弾力性および強度並びに耐久性を特定の場所で調節するためにストラップ3301に沿う様々な位置で生じてもよい。例えば、開口、挿入ポイントまたはボタン穴3303,3304、および、バックストラップ部3317a,3317bのための分岐点3324の場所では、繰り返しの長期にわたる使用中にストラップ3301が伸長されるときに高い応力を受けるこれらの場所でストラップ3301の補強を行ってストラップ3301の不具合/破損を防止するために、更なる糸が編まれてもよい。ストラップ3301の編組方法(すなわち、縦編み)および弾性布材料(例えば、エラスタン)は共に、ストラップ3301を水中で洗浄して乾燥した後のストラップ3301の弾性回復に寄与する。言い換えると、ストラップ3301を定期的に洗浄することによって長期にわたる使用後にストラップ3301の弾力性を維持することができ、したがって、ストラップの耐用年数が延ばされる。
図65〜図73において、ストラップ3301は、フレーム3310に直接に或いは可撓性ジョイント3305を介して取り付けられるための2つのポケット状端部3311,3313を有する単一の連続的なストラップであるように示される。しかしながら、ストラップ3301が例えば縫い合わせ或いは超音波溶着によって互いに直接に接続される或いは接続されてもよい複数の個々のストラップを備えてもよいことが分かる。図65において、ストラップ3301および位置決め安定化構造体3300は、調節手段または変化手段を何ら伴うことなく示される。しかしながら、そのような調節は、ストラップ3301よりも硬質な患者インタフェース3000または他の接続要素、例えば可撓性ジョイント3305に対してストラップ3301が固定される場所を変えることによって行われてもよい。図72を参照すると、これに加えて或いは代えて、調節は、(例えば図71〜図73に示されるように)ラダーロッククリップ3305.1上にわたるスライドなどの機構をバックストラップ部3317またはサイドストラップ部3315,3316に加えることによって、或いはさもなければ、ストラップ3301および位置決め安定化構造体3300の伸縮長さをそれぞれ調節することによって可能にされ得る。図65に示される例において、ストラップ3301は、楕円形状または円形状を示す図68〜図70のそれぞれの概略図、あるいは、観察者の方に面する(目に見える)外面を実線として示すとともに観察者から離れて面する(目に見えない)内壁を破線で示す円形状または楕円形状のそれぞれのマーク3321a〜3321d,3323a〜3323eから解釈され得るような、および、図66に係る断面図によって解釈され得るような管状形態を有する。しかしながら、位置決め安定化構造体3300は、平坦な或いはシート状の形状、単層、多層または積層構造などの任意の他の形状をとってもよいことが分かる。ストラップ3301は、紙面と略平行な軸線であると理解されてもよい長手方向軸線を有してもよく、この長手方向軸線に沿ってストラップ3301が延在する(例えば図65の破線参照)。
ストラップ3301は、耐久性を向上させて破壊点を最小にする或いは防止するために補強縫い合わせを有してもよい。例えば、ボタン穴3303,3304におけストラップ3301の領域およびストラップが分岐点3324で2つのバックストラップ部3317a,3317bへと分岐する位置にあるストラップ3301の領域も、伸長時に高い応力に晒される。材料の傾向は、分割領域3326で互いから離れるように分かれることであり、したがって、これらの領域における補強縫い合わせは、この懸案事項を扱う1つの方法である。一例において、中心縫い目は、ストラップ3301の中心長手方向軸に沿って延在し、補強縫い合わせとして機能する。また、ストラップ3301の遠位端縁およびボタン穴3303,3304の開口は、これらの領域で任意の遊離繊維を融着してストラップ3301を強化するべく超音波溶着されてもよい。好適には、これは、長期使用および繰り返し洗浄の後のストラップ3301の繊維のほつれも防止する。ポケット状端部3311、遠位端縁、および、ボタン穴3303を補強して強化するための他の技術が想定され、該技術は、テープなどの更なる材料を含んでもよい。テープは、ブランド情報およびロゴ情報を含んでもよい。
図123〜図125は、上側バックストラップ部3317aと下側バックストラップ部3317bとの間の分割領域3326の益々詳細な図を示す。上側バックストラップ部3317aおよび下側バックストラップ部3317bの縁部が編みプロセスの結果として完全に平滑ではないと理解されるべきであり、また、これらの図が欠陥を見ることができるように大きな倍率をもって縁部を示すことが更に理解されるべきである。肉眼では、上側バックストラップ部3317aおよび下側バックストラップ部3317bの縁部の凹凸を、そのように容易に見ることはできず、また、一般に、患者1000が接触によって認識することはできない。更に、これらの図では、バックストラップ部3317a,3317bの性状を示すために点描が使用され、一方、分割領域3326に材料が存在しないことから分割領域3326が空白で示される。
図126〜図131は、上側バックストラップ部3317aと下側バックストラップ部3317bとがサイドストラップ部3315,3316から分かれる場所に存在する分岐点3324の様々な詳細図を示す。また、これらの図には、分岐点3324またはその付近に更なる縫い合わせ或いは溶着を含んでもよい補強部3325も見える。補強部3325は、上側バックストラップ部3317aおよび下側バックストラップ部3317bの繰り返される分離による応力に起因してサイドストラップ部3315,3316が割れる及び/又は裂けることを防止するのに役立つことができる。言い換えると、補強部3325は、分岐点3324付近の応力集中の場所で更なる強度を与えることができる。また、これらの図には、上側バックストラップ部3317aおよび下側バックストラップ部3317bが様々な分離角度θで示される。これらの図は、上側バックストラップ部3317aおよび下側バックストラップ部3317bが大きな角度θで互いから広げられるときに補強部3325が分岐点3324で更なる強度を与えることを示しているのが分かる。
図176〜図181を参照すると、本技術の1つの例において、ストラップ3301の端部は、材料がストラップ3301の端部で折り重ねられて成る補強部3327を有する。これは、溶着端部3311.1,3313.1(図81参照)に加えて、この領域で更なる補強を与える。補強部3327の材料は、ストラップ3301とは異なる材料であってもよい。補強部3327は、患者1000がこの領域を起点としてストラップ3301をその長手方向軸線に沿って引き裂く或いは破る可能性を回避する或いは軽減することができる。補強部3327は、いかにしてストラップ3301をリジダイザアーム3302上で滑らせるべきか或いはストラップ3301をリジダイザアーム3302から取り外すべきかに関する視覚的および触覚的な表示を患者1000に与えるのに役立つ。これは、補強部がボタン穴3303,3304の位置を特定するのに役立ち得るからである。補強部3327の角部3328は、該角部3328がリジダイザアーム3302の遠位端の自由端部3302.1の丸みを帯びた角部(図50、図52、図55、図57、図58、図60参照)にほぼ適合するようにカットされて丸みがつけられてしまっている。これは、審美的により感じの良いリジダイザアーム3302との止まり嵌めをもたらす。丸みを帯びた角部3328は、それらが代わりに鋭利な角部であった場合に生じ得る顔面の引っかき傷を避けるための柔軟な縁部を与える。
6.3.7.2 リジダイザアーム
図67はリジダイザアーム3302の一例を示す。図示のように、リジダイザアーム3302は三日月形状または半円形状を成してもよい。リジダイザアーム3302は、ほぼ細長い平坦な形態を有してもよい。言い換えると、リジダイザアーム3302は、厚さ(紙面へと向かう方向)よりも長さおよび幅(紙面内の上下方向)がかなり大きい。リジダイザアーム3302は、3つの全ての軸(X、Y、およびZ)で曲率を有する三次元形状を有する。レジスタアーム3302の厚さは略均一であってもよいが、その高さはその全長にわたって変化する。リジダイザアーム3302の形状および寸法の目的は、目立たないままであるように患者の頬に密に適合して、患者の顔面および頬に馴染ませることである。リジダイザアーム3302の端部3319a,3319bは、リジダイザアーム3302の残りの部分に対して丸み付けられ及び/又は僅かに傾けられてもよい。リジダイザアーム3302は図67の紙面によって示されるように平坦であってもよいが、リジダイザアーム3302は、特に患者の頬または頭部側領域の形状などの患者の顔面の形状との位置合わせの向上を可能にするために、図67の紙面へと向かう方向でも所望の空間的形態を有してもよいことが分かる(例えば、図71および図72参照)。リジダイザアーム3302は、紙面と略平行な軸線であると理解されてもよい長手方向軸線を有してもよく、この長手方向軸線に沿ってリジダイザアーム3302が延在する(図67の破線参照)。
リジダイザアーム3302は、ストラップ3301よりも硬質であるとともに、マスクフレーム3310ほど硬質ではない。特に、リジダイザアーム3302及び/又はストラップ3301は、組み合わせた状態で、リジダイザアーム3302がストラップ3301に対して形状を与えるとともに少なくとも1つの方向で或いは少なくとも1つの軸線で又は少なくとも1つの軸線の周りで剛性度の向上を与えるようになっている。また、リジダイザアーム3302は、ストラップ3301のための伸長方向または伸長経路を案内する或いは規定する。言い換えると、患者は、ストラップ3301をリジダイザアーム3302の長手方向軸線と略平行な方向で伸長させる。ストラップ3301の他の方向での伸長は、マスクフレーム3310に対するリジダイザアーム3302の回転をもたらし、これは望ましくない。リジダイザアーム3302の剛性は、リジダイザアーム3302をその自然の回転されないねじれない非変形状態へと付勢する。ある程度まで、これにより、位置決め安定化構造体3300を自動調節ヘッドギアにすることができる。自動調節機能は、ヘッドギアストラップの材料長さを手作業で短くした或いは長くした後に調節された長さを覚えておくことを回避する。これは、一般的には、顔面の両側のヘッドギアストラップを1つずつ短く或いは長くしなければならないため、厄介なプロセスであった。自動調節機能は、良好なシール力を維持するためにそのような高レベルのヘッドギア張力が必要とされないときに患者がヘッドギアを過度に締め付けることができること排除し得る。図示の例では、ストラップ3301が管状またはスリーブ状の形態を有する。言い換えると、ストラップ3301は、ボタン穴3303を介してストラップ3301内に滑り込まされるリジダイザアーム3302の挿入を受けるために中空である。他の例において、リジダイザアーム3302は、少なくとも1つの位置で、例えばリジダイザアーム3302とストラップ3301との間に一体的な化学結合(分子付着)を形成するためにリジダイザアームがオーバーモールドされる或いは接着されるアンカーポイントで、ストラップ3301に対して取り外し不能に接続されてもよい。
ストラップ3301は、サイドストラップ部3315,3316と、サイドストラップ部3315,3316間に位置されるバックストラップ部3317とを備える。図4〜図8および図166に示されるように、サイドストラップ部3315,3316は、着用されているときに患者の頭部の両側面に沿って延在するようになっており、一方、バックストラップ部3317は、患者の頭部の背面に沿って延在するようになっている。バックストラップ部3317は、特に安定性を与えるために、平行に配置される2つ、3つ、あるいは、それ以上のストラップから構成されてもよい。より小さいバックストラップ部3317a,3317bは長さが等しいように示されてきたが、一方のバックストラップ部が他方のバックストラップ部よりも長いことが想定される。バックストラップ部3317における小さいバックストラップ部3317a,3317bの数が多くなればなるほど、与えられるスプリング効果が大きくなる。言い換えると、ストラップ3301が製造されるときに同じサイズの小さいバックストラップ部3317a,3317bの数が増大するにつれて、バックストラップ部3317a,3317bによって互いに引き寄せられるべきサイドストラップ3315,3316に対してより大きな張力が及ぼされる。図示の例では、ストラップ3301のサイドストラップ部3315,3316が2つのバックストラップ部3317a,3317bへと分岐する。1つの例において、各バックストラップ部3317a,3317bは、ストラップ3301の各サイドストラップ部3315,3316と比べて半分の量のエラスタン材料を有する。1つの例において、位置決め安定化構造体3300は、ボタン穴3303,3304を介したストラップ3301とリジダイザアーム3302との間の取り外し可能な接続によってマスクフレーム3310に接続され、リジダイザアーム3302は、機械的連結によってマスクフレーム3310に対して取り外し不能に接続される。他の例では、TPEから形成される可撓性ジョイント3305がリジダイザアーム3302およびマスクフレーム3310に対して取り外し不能に接続してもよい。可撓性ジョイント3305は、取り外し不能な接続のためにマスクフレーム3310とオーバーモールドされ、また、可撓性ジョイント3305は、機械的連結によってリジダイザアーム3302に取り外し不能に接続される。他の例において、可撓性ジョイント3305は、リジダイザアーム3302と同じ材料、例えばHytrel(登録商標)から形成されてもよいとともに、リジダイザアーム3302と一体であり、また、可撓性ジョイント3305は、機械的連結によってマスクフレーム3310に取り外し不能に接続される。ストラップ3301は、ボタン穴3303,3304を介してリジダイザアーム3302と取り外し可能に接続される。
リジダイザアーム3302に対するストラップ3301の係合は、マスクフレーム3310付近の1つの位置で行われてもよい。このタイプの係合は、ストラップ3301の最大範囲の動き、すなわち、伸長を可能にする。この係合は、ストラップ3301の洗浄を容易にするためにストラップ3301をリジダイザアーム3302から、ひいてはマスクフレーム3310から完全に取り外すことができるようにするべく解除できる。この係合はストラップ3301のためのアンカーポイントとして機能し、それにより、ストラップ3301が伸長されるときに、伸長力がアンカーポイントから離れるように外側に方向付けられる。図48〜図60を参照すると、アンカーポイントに位置するストラップ3301の端部は、少なくともリジダイザアーム3302の遠位端縁及び/又はリジダイザアーム3302から延在する突出端部3306によって保持される。
当業者であれば分かるように、本明細書中で言及されるリジダイザアーム3302は、ストラップ3301よりも硬質であってもよく、また、リジダイザアームがストラップ3301に対して形状を与えることができるようにする。リジダイザアーム3302は、少なくとも1つの軸線で或いは軸線の周りでより硬質であってもよく、また、少なくとも1つの軸線に沿って伸長され得るストラップ3301とは対照的に拡張できない。他の例において、リジダイザアーム3302は、その長手方向軸線と略平行な方向で拡張できる/伸長できる。エラストマーは一般に伸長できるが、一部の熱可塑性ポリエステルエラストマー、例えばデュポン(登録商標)により製造されるHytrel(登録商標)5556は、伸長しないが、可撓性がある。例えば、リジダイザアーム3302は、リジダイザアーム3302が圧縮位置と完全伸長位置との間で移動できるようにするハサミリンク構造体または伸縮式構造体を有してもよい。拡張できるリジダイザアーム3302は、リジダイザアーム3302の長さを適切に調節できるように、長顔を有する患者1000においてより良好に適合し得る。あるいは、リジダイザアーム3302がヨーク及び/又は補強材と称されてもよい。ヨークは、位置決め安定化構造体3300のストラップ3301を支持するようになっている硬質要素であると理解されてもよい。リジダイザアーム3302は、顔に着用される際に位置決め安定化構造体3300のストラップ3301に形状を与える硬質要素であると理解されてもよい。
6.3.7.3 別のリジダイザアーム
図223〜図232は、前述した典型的な患者インタフェースシステム3000を示す。図233a〜図233hは、患者に着用されたそのような典型的患者インタフェースシステム3000を示す。図240〜図244は、ストラップと共に含まれるリジダイザアーム3302の特徴を示すためにストラップ3301を伴わない典型的な患者インタフェースシステムの更なる図を示す。これらの図に示される患者インタフェースシステム3000は、シール形成構造体3100によって患者の鼻に対する効果的なシールを確保するためにリジダイザアーム3302を含んでもよい。図223〜図239に関連して前述したシール形成構造体3100がこれらの図面に示されるリジダイザアーム3302と共に典型的な患者インタフェース3000に含まれてもよいことが理解されるべきである。
リジダイザアーム3302は、ねじれを最小限に抑えるように形成されてもよく、また、本明細書中の他の場所で説明されるリジダイザアーム3302よりも剛性が高くてもよい。剛性が高いリジダイザアーム3302は、鼻クレードルクッションの形態を成すシール形成構造体3100と共に含むと有益な場合がある。これは、剛性が高いリジダイザアームがこのタイプのシール形成構造体と共に効果的なシールを確保できるからである。シール形成構造体3100として鼻枕を有する例において、鼻枕は、鼻孔内へ延在することによって鼻枕自体を鼻孔に対して位置決めして保持するのに役立ち得る。シール形成構造体3100が鼻クレードルクッションである例では、そのような保持機能が容易に達成されない場合がある。したがって、シール形成構造体3100として鼻クレードルクッションを有する患者インタフェースシステム3000にリジダイザアーム3302を設けて、シール形成構造体が患者の鼻に対する効果的なシールを維持できるようにしてもよい。本技術の一例によれば、延在部3370,3371が、患者の矢状面(図2f参照)と平行な平面内でリジダイザアーム3302の動きを防止するように構成されてもよく、及び/又は、延在部は、患者のフランクフォート水平面(図2e参照)と平行な平面内でリジダイザアームが屈曲できるようにするべく構成されてもよい。言い換えると、リジダイザアーム3302は、様々な顔幅に適応させるべく、マスクフレーム3310に対する垂直移動と比べて容易に患者の顔面に対して外側および内側に屈曲できる。1つの例において、リジダイザアーム3302は、特にチューブトルクが矢状面内で受けられるときに患者インタフェース3000の安定性を高めるために、患者の顔面に対して外側および内側に屈曲することだけが許容され、任意の他の方向に移動できなくてもよい或いは任意の他の方向の移動に対して高い抵抗を有してもよい。
図240〜図244に示される例によれば、典型的なリジダイザアーム3302は、延在部3370,3371の一部上にわたってフレーム3310をオーバーモールドすることにより容易にされる機械的な連結によってマスクフレーム3310に接続されてもよい。リジダイザアーム3302は、該リジダイザアーム3302と延在部3370,3371とを接続するためにジョイント3374を含んでもよい。リジダイザアーム3302は、ジョイント3374および延在部3370,3371と1つの材料から一体に形成されてもよい。これらの例のリジダイザアームのために選択される材料は、本明細書中の他の場所で論じられる他の例のリジダイザアームのために使用される材料と同様であってもよい。同様に、フレーム3310は、本明細書中に開示される他の例と共に使用される同じ材料から形成されてもよい。このように、延在部3370,3371をフレーム3310に結合するためには、それぞれの材料を互いに結合できない場合があるため、オーバーモールド接続が必要な場合がある。リジダイザアーム3302およびフレームのそれぞれの材料、並びに、オーバーモールド接続については、以下で更に詳しく説明する。
延在部3370,3371は、シール形成構造体3100として鼻クレードルクッションを使用する例では、鼻枕を有する例で使用される延在部3350よりも垂直方向で幅広くされてもよい。より大きな延在部3370,3371の付加的な体積は、前述したねじれに対する抵抗を与えることができ、このことは、鼻クレードルクッションを用いる場合に有益となり得る。これは、いずれの例においてもリジダイザアーム3302のために同じ材料が使用されるが、剛性の望ましい増大をもたらすために、鼻クレードルクッションの例では、より多くの材料が必要だからである。本技術の一例によれば、延在部3370,3371は、所望の剛性と捩じれに対する抵抗とを得るために、リジダイザアーム3302の本体3333の最も幅広い本体部分における幅にほぼ等しい幅を垂直方向で有してもよい。本技術の他の例によれば、延在部3370,3371は、所望の剛性と捩じれに対する抵抗とを得るために、リジダイザアーム3302の本体3333よりも垂直方向で幅広くてもよい。あるいは、延在部3370,3371に補強リブが形成されてもよく、ねじれに対する抵抗が更に大きい幾何学的形状を伴って延在部が形成されてもよく、及び/又は、剛性が更に高い材料からリジダイザアーム3302が形成されてもよい。
また、シール形成構造体3100のために鼻クレードルクッションを使用する例のリジダイザアーム3302には、図223〜図233hに示されるように、鼻枕を使用する例と同様な形態でストラップ3315,3316が取り付けられてもよいことが理解されるべきである。この構成については、本明細書中の他の場所で更に詳しく説明する。
これらの図面に示される右側延在部3370は、治療のために患者インタフェースを着用するときに患者インタフェース3000を適切に方向付けるための視覚的および触覚的な参照を患者に与えるべく延在部から隆起されてもよい証印3372も含む。
図246a〜図246gは、典型的な患者インタフェース3000の幾つかの図を示す。これらの図は、位置決め安定化構造体3300のストラップ3301を伴わず且つ短チューブ4180を伴わない患者インタフェース3000を示す。
図246e〜図246gは、突出端部支持部分3208が見える患者インタフェース3000の図を示す。
リジダイザアーム3302は、シール形成構造体3100内への鼻の適切な挿入深さに関する患者のための視覚的指標として使用されてもよい。例えば、リジダイザアーム3302の長さは、シール形成構造体が鼻に対して最適に位置されることにより効果的なシールを形成するように耳に対する患者インタフェース3000の適切な位置の表示となり得る。
6.3.7.4 ストラップとリジダイザアームとの取り付け
図65に示されるストラップ3301のサイドストラップ部3315,3316はそれぞれ2つのボタン穴3303,3304を含む。ボタン穴3303,3304は、ストラップ3301の外面、すなわち、着用されているときに患者1000から離れて面する表面に位置されてもよく、また、リジダイザアーム3302を管状またはスリーブ状のストラップ3301の内部へ挿入するため或いはリジダイザアームをストラップから取り外すためにリジダイザアーム3302を受けるようになっている。あるいは、ボタン穴3303,3304がストラップ3301の内面に位置されてもよい。ボタン穴3303,3304は、使用中のストラップ3301からのリジダイザアーム3302の偶発的な外れ或いは分離を依然として防止しつつ位置決め安定化構造体3300を組み付けるべくリジダイザアーム3302をそのようなボタン穴3303を通じて挿入できる及び/又は取り外すことができるように方向付けられ及び/又は形成されてもよい。図65に示されるように、これは、例えばストラップ3301と並行に或いはストラップ3301に対して横方向に向けられてもよいボタン穴と同様のスリット状形態を有するボタン穴3303を設けることによって達成されてもよい。あるいは、ボタン穴3303は、必要に応じて、ストラップ3301を横切って方向付けられてもよい。言い換えると、ボタン穴3303,3304の細長い延在部は、ストラップ3301およびリジダイザアーム3302の両方の長手方向軸線と略同軸に延在してもよい。これは、特にストラップ3301の弾力性に起因して、管状またはスリーブ状のストラップまたはストラップ3301の一部分内へのリジダイザアーム3302の容易な挿入を可能にすると同時に、リジダイザアームの偶発的な外れを防止する。ストラップ3301の遠位端とボタン穴3303との間のストラップ3301の端部は、リジダイザアーム3302の縁部を覆って包み、アンカーポイントとして機能する。リジダイザアーム3302のこの縁部またはアンカーポイントが捕捉部材であってもよい。ストラップ3301のこの端部がポケット状端部3311と称されてもよい。これは、患者インタフェース3000を着用している或いは脱いでいる状態でストラップ3301が伸長されて調節されるときに、挿入されたリジダイザアーム3302からストラップ3301が滑り落ちることを防止する。
図185および図186を参照すると、リジダイザアーム3302は、ストラップ3301の第1のボタン穴3303内へ挿入されてもよい。別言すれば、ストラップ3301がボタン穴3303を介してリジダイザアーム3302上にわたって滑らされてもよい。リジダイザアーム3302の遠位端の自由端部3302.1は、最初に、ボタン穴3303を介してストラップ3301内に挿入される。リジダイザアーム3302は、ストラップ3301の端部がリジダイザアーム3302の縁部に強固に固定し得るように、リジダイザアーム3302の大部分または略全体がストラップ3301内へ挿入されるまでストラップ3301内へと更に押し込まれる。ボタン穴3303付近のストラップ3301の一部の材料は、突出部3309(図38参照)の外面3319の真下に位置するように調節される。図6〜図8において分かるように、リジダイザアーム3302は、ストラップ3301内に挿入された時点で、ストラップ3301の内側で遊動するほぼ規制されない状態のままにされてもよい。最も重要なこととして、ボタン穴3303は取り付けポイントよりも上側になければならない。これは、ストラップ3301をリジダイザアーム3302に固定するためにストラップ3301の端部がリジダイザアーム3302の突出端部3306に対して捕捉されるとともに、ストラップ3301が伸長されるときにストラップ3301の端部が突出端部3306に抗して引っ張るからである。一般に、リジダイザアーム3302とストラップ3301との間の取り付けポイントの位置は、例えばストラップ3301のボタン穴3303,3304を使用する取り付けのタイプよりも重要である。図182〜図184を参照すると、リジダイザアーム3302とストラップ3301との間の取り付けのタイプは、ストラップ3301の個別の洗浄を可能にするためにリジダイザアーム3302からのストラップ3301の容易な取り外しを促してもよい。言い換えると、ストラップ3301のための洗浄クリーニング措置は、マスクフレーム3310とは異なる時間であってもよい。患者1000は、リジダイザアーム3302からストラップ3301を外すためにボタン穴3303の周囲でストラップ3301を僅かに伸長させる。ストラップ3301の遠位端が外された後、ストラップ3301は、ボタン穴3303を介してリジダイザアーム3302から完全に引き離されてもよい。
これに加えて或いは代えて、リジダイザアーム3302がストラップ3301に取着される。取着は、挿入後にボタン穴3303付近にあるリジダイザアーム3302の第2の端部を位置決め安定化構造体3300のストラップ3301に取り付ける或いは取着することによって行われてもよい。固定は、明細書本文の序文の部分で論じられたように、局所的であってもよい。ここで、リジダイザアーム3302とストラップ3301との間の接続は、ストラップ3301の長さに沿って分配されず、ボタン穴3303と隣り合う領域で局部的に行われる。あるいは、そのような接続は、ボタン穴3304と隣り合う領域でもたらされてもよい。取着は、裁縫、溶着、接着、熱かしめ、クランプ、ボタン掛け、端部上にわたってカバーをスナップ留めすること、あるいは、リジダイザアーム3302をストラップ3301内に押し込んでストラップおよびリジダイザアーム3302の両方をストラップおよびリジダイザアームのそれぞれの端部の両方を保持する外部クリップなどの外部構成要素に対して固定することにより外部部品にスナップ留めすること、によって行われてもよい。あるいは、ストラップ3301がリジダイザ3302に対して化学的に結合されてもよい。また、クリップは、ストラップ3301の端部をマスクフレーム3310のそれぞれの端部に取り付けるために使用されてもよい。したがって、クリップがマスクフレーム3310自体の一部であってもよい。
本技術を用いると、ストラップ3301がリジダイザアーム3302の形状を成すように配置される状態で、ストラップをその全長にほぼ沿って伸長させることも依然として可能である。したがって、リジダイザアーム3302は、位置決め安定化構造体3300の圧力を顔面の所要部分へと方向付ける所要の形状を与え、一方、弾性の位置決め安定化構造体3300は、その全体の作動長さを維持するとともに、リジダイザアーム3302上にわたって自由に伸長できる。加えて、リジダイザアーム3302は前頭面内でチューブトルクを切り離してもよい。また、特に、リジダイザアーム3302の鋭い屈曲部3307は、矢状面内で任意のチューブトルクを扱って切り離すのに役立ってもよい。同時に、位置決め安定化構造体3300のストラップ3301は、リジダイザアーム3302を覆ってもよく、また、軟らかい感じ及び高い快適さを与える。
鋭い屈曲部3307は、安定性を患者インタフェース3000に与える。患者1000が横向きになって寝ている場合には、寝具類上の顔の側面に当て付くリジダイザアーム3302が内側に押圧される。鋭い屈曲部3307は、前頭面内でこの動作を切り離して、シール力に支障を来すことを防止する。鋭い屈曲部3307は、その下面(患者の顔面と対向する)と比べてその上面(患者の顔面から離れて面する)でよりきつい曲がりを有する。鋭い屈曲部3307の下面は、鋭い屈曲部3307の上面よりも大きい半径を有し(へたっている)、それにより、下面が平滑化され、患者1000につく顔マーキングが回避され或いは最小限に抑えられる。これは、患者の鼻中隔及び/又は上唇で何らかの接触(チューブ重量またはチューブトルクによって引き起こされる鼻垂下による)がある場合に接触圧が殆ど集中されないからである。2つの鋭い屈曲部3307間の距離は約50mmである。
図65〜図70に示される特定の例に関して図示されて論じられているが、ストラップ3301、または、ストラップのサイドストラップ部3315,3316のそれぞれには1つのボタン穴3303,3304だけが設けられてもよいことが分かる。しかしながら、2つ以上のボタン穴が設けられてもよい。これに代えて或いは加えて、ストラップ3301は、管状またはスリーブ状でなくてもよく、平坦な単層形態または積層形態を有してもよい。ここで、リジダイザアーム3302は、ストラップ3301の外面(例えば、使用時に患者から離れて面する表面)に設けられる1つ以上のループ、スリーブ状部分、または、ポケットを含む保持手段を備えることによってストラップ3301に対して位置決めされてもよい。
これに加えて或いは代えて、本明細書中に記載される異なる接続機構の組み合わせが設けられてもよい。例えば、リジダイザアーム3302は、例えばマーク3321b,3323bの領域で、ストラップ3301の外面に設けられるループまたはスリーブ状の要素を備えることにより、ストラップ3301に隣接して保持されつつ、前述したように、例えばストラップ3301のポケット状端部3311,3313と隣り合う単一のポイントで或いは局所領域でストラップ3301に固定されてもよい。言い換えると、リジダイザアーム3302は、ストラップ3301に対する更なる案内要素として機能しつつ、それを1つの局所的なポイントまたは領域のみで固定することによってストラップ3301に接続されてもよい。そのような案内要素機能は、図66に示されるストラップ3301の形状に基づいてリジダイザアーム3302が入り込んで延在する或いは通過して延在するストラップ3301のループまたはシース状の部分或いは通路或いはポケットにより与えられてもよい。ストラップ3301は、管状であってもよいが、必ずしも円筒状ではない。これは、ストラップ3301にとって可能な最も長い伸長経路を可能にする。あるいは、リジダイザアーム3302は、ストラップ3301の長さに沿って分布される1つ以上のポケット(例えば、リジダイザアームを中央のどこかで支持するかなりの長さのシースの端部が開放した単一のポケット、または、それぞれがリジダイザアームの対応する端部を支持する一対のポケット)内または複数のループ内に取り付けられないで配置されてもよい。そのような案内要素機能は、一端で取り付けられるか否かにかかわらず、ストラップ3301に対するリジダイザアーム3302のほぼ自由な動作または遊動を可能にする。そのような形態は、前述した形態と同じ利点および利益を可能にする。また、技術の一例によれば、リジダイザアーム3302は、ストラップ3301と同じ方向で伸長または屈曲しない。むしろ、リジダイザアーム3302は、その長手方向軸線と略垂直な面内で伸長または屈曲してもよい。
図示されて論じられた例では、リジダイザアーム3302がストラップ3301の端部を越えて延在しない。しかしながら、別の態様によれば、リジダイザアーム3302は、ストラップ3301を越えて延在しつつ、それぞれのポケット状端部3311,3313と隣り合うポイントまたは領域でストラップ3301に例えば固定されてもよい。そのような形態では、リジダイザアーム3302は、形状、幾何学的形態、及び/又は、剛性をストラップ3301に与えてもよく、同時に、患者インタフェース3000と接続するための可撓性ジョイント3305などの構造的手段を備えてもよい。これにより、リジダイザアーム3302は、リジダイザアーム3302としての機能、および、ストラップ3301および位置決め安定化構造体3300をそれぞれフレーム3310、プレナムチャンバ3200、または、シール形成構造体3100に接続するためのコネクタとしての機能の両方を果たすことができる。
図113〜図122は、ポケット状端部3311,3313とリジダイザアーム3302との間の接続の詳細図を示す。図113および図114は、リジダイザアーム3302のそれぞれの突出端部3306の周囲のポケット状端部3311,3313を示す。これらの図において、突出端部3306は、それらがポケット状端部3311,3313により覆われるため、見えない。リジダイザアーム3302の延在部3350(以下で更に説明する)の直線部分3351が、延在部3350の外面3355上に証印3358を伴って示される。証印3358は、患者1000が暗い環境内にいるときの使用中に装置3000を方向付けるのに役立つべく、パッド印刷された隆起した表面またはエンボス加工部であってもよい。延在部3350の直線部分3351は、それぞれのポケット状端部3311,3313のボタン穴3303から外側に延在して見えてもよい。直線部分3351は、図47〜図60に示されるように、リジダイザアーム3302の一部であり、また、リジダイザアーム3302は、ストラップ3301とマスクフレーム3310との間の接続を容易にする。図114は図113と同様の図を示すが、直線部分3351の外面3355が証印を伴わない。図113が1つのリジダイザアーム3302とそれぞれのポケット状端部3311との間の接続を描き、一方、図114が他のリジダイザアーム3302と他のそれぞれのポケット状端部3313との間の接続を描くことが理解されるべきである。1つの外面3355上にだけ証印3358を配置することにより、患者1000は、暗い環境内での嵌め付けに役立つように装置3000の方向を決定するべく触覚を使用できる。図114は、ボタン穴3303を通じて見えるフランジ3359も示す。
図115は、図114と同様の特徴を示すが、フランジ3359とポケット状端部3313との間の関係をより良く示すための更なる詳細図である。また、図116は、図113と同様の特徴を示すが、証印3358とポケット状端部3313のボタン穴3303とをより良く示すための更なる詳細図である。
図117は、ポケット状端部3313のボタン穴3303をより良く例示するための図114の更なる詳細図を示す。図118は、ポケット状端部3313のボタン穴3303をより良く例示するための図113の更なる詳細図を示す。
図119〜図122は、図113〜図118に示される特徴と同様の特徴を示すが、これらの図において、フランジ3359は、その形態をより良く示すためにボタン穴3303から引き抜かれる。図119〜図122は、ポケット状端部3311のボタン穴3303から延在する外面3355上に証印3358を含むリジダイザアーム3302を示す。図122は、図119の更に詳しい図を示していると理解されるべきである。図120および図121は、証印を含まなくてもよい他のリジダイザアーム3302を示す。図121は、図120の更に詳しい図を示していると理解されるべきである。
図262Aおよび図262Bは、ストラップ3301が該ストラップをリジダイザアーム3302に取り付けるための弾性チューブ3301.1を含む本技術の他の例を示す。この例によれば、ストラップ3301は、該ストラップの端部に固定される弾性チューブ3301.1を含んでもよい。図262Aは、リジダイザアーム3302から取り外されたストラップ3301および弾性チューブ3301.1を示し、また、簡単にするため、リジダイザアームの一部が示されない。ストラップ3301をリジダイザアーム3302に取り付けるために、患者は、弾性チューブがリジダイザアーム上の隆起ストッパ3302.6に達するまで、弾性チューブ3301.1をリジダイザアームの長さに沿ってスライドさせる。図262Aおよび図262Bに示されないが、所定長のリジダイザアーム3302が隆起ストッパ3302.6のポイントに至るまでストラップ3301の内側に受け入れられることが理解されるべきである。隆起ストッパ3302.6は、患者がストラップ3301をリジダイザアーム3302の長さに沿って押し込みすぎることを防止するとともに、ストラップが意図される伸張可能長さを保持するべくストラップが所望の位置でリジダイザアームに取り付けられるようにしてもよい。弾性チューブ3301.1の形状、サイズ、および、材料は、弾性チューブが隆起ストッパ3302.6に達するときに摩擦に起因する十分な保持力が弾性チューブとリジダイザアーム3302との間で生み出されるように選択されてもよい。言い換えると、弾性チューブ3301.1とリジダイザアーム3302との間の摩擦力は、患者が患者インタフェース3000を着用するときにストラップ3301における張力がリジダイザアーム上に弾性チューブを保持する摩擦力よりも小さく、それにより、弾性チューブがリジダイザアームから引き離されることを防止するように、十分に高くなければならない。弾性チューブ3301.1は、ストラップ3301がリジダイザアーム上に保持されるようにするためにリジダイザアーム3302の材料との比較的高い静止摩擦係数を有する材料から形成されてもよい。また、弾性チューブ3301.1の材料は、弾性チューブがリジダイザアーム3302を隆起ストッパ3302.6へ向けて滑り降ろされる際に弾性チューブが変形できるように伸長可能でなければならない。
図263は、フックループ接続を用いてリジダイザアーム上にストラップ3301を保持するためにリジダイザアーム3302にタブ3470が形成されてもよい本技術の他の例を示す。タブ3470は、リジダイザアーム3302に固定されてもよく及び/又はリジダイザアーム3302と一体に形成されてもよく、また、タブがフック材料3471を含んでもよい。したがって、ストラップ3301の外面の少なくとも一部は、フックループ接続でタブ3470と係合するために、少なくともその外面の一部上でループ材料から形成されてもよい。ストラップ3301をリジダイザアーム3302に取り付けるために、患者は、ストラップをリジダイザアームの長さに沿ってスライドさせてタブ3470を持ち上げることにより、ストラップをタブ下でスライドさせるとともに、タブを解放してストラップのループ材料部分がストラップ上のフック材料3471と係合するようにしてもよい。タブ3470のサイズは、患者により着用されるときにストラップの張力に抵抗する十分に高い保持力を生み出すべくフック材料の十分な面積がストラップ3301と係合するように選択されるべきである。この例において、全体のストラップ3301は、ストラップを製造するコストを節約するために、その外面上にループ材料を有するように製造されてもよい。したがって、そのような例において、ループ材料は、患者の皮膚の炎症を回避するために十分に柔軟でなければならない。また、タブ3470がフック材料ではなくループ材料を含んでもよく、その場合に、ストラップ3301がタブのループ材料に付着するためのフック材料の部分を有してもよいことが理解されるべきである。また、ストラップ3301を取り付けるべくタブをリジダイザアーム3302から引き離すことができ、その後、解放時に、フックループ接続を維持するべく十分な力をもってタブがストラップと係合できるように、タブ3470が弾性材料から形成されてもよいことが理解されるべきである。
図264Aおよび図264Bは、ストラップ3301がリジダイザアーム3302上の切り欠き3302.2と係合するためにロック3301.2を含んでもよい本技術の他の例を示す。本技術のこの例によれば、ロック3301.2がストラップ3301の端部に位置されてもよく、また、ロック3301.2をリジダイザアーム3302の対応する切り欠き3302.2との係合状態へと付勢するために、ストラップがこの端部に弾性材料を含んでもよい。この例では、患者インタフェース3000が患者により着用されるときにストラップの張力に抵抗するのに十分な力を伴ってロック3301.2がリジダイザアーム3302の対応する切り欠き3302.2内に保持されるようにするために、ストラップ3301がその端部で十分に弾力性を有さなければならない。図264Aおよび図264Bは、リジダイザアーム3302の上縁にある1つの切り欠き3302.2とリジダイザアームの下縁にある1つの切り欠きとがストラップ3301にある対応するロック3301.2と協働する本技術の例を示すが、十分な保持力が維持される限り、任意の数及び/又は位置の対応するロックおよび切り欠きが使用されてもよいことが理解されるべきである。
図265は、ストラップ3301が該ストラップの端部3301.5またはその付近に所定長のループ材料3301.3と一片のフック材料3301.4とを含む本技術の一例を示す。本技術のこの例に係るリジダイザアーム3302は、第1のスロット3302.7と第2のスロット3302.8とを含む。ストラップ3301をリジダイザアーム3302に取り付けるために、ストラップは、最初に第1のスロット3302.7に通された後、第2のスロット3302.8を通じてループ状に戻される。ストラップ3301をリジダイザアーム3302に固定するために、ストラップの端部3301.5のフック材料3301.4がループ材料3301.3と結合される。本技術のこの例は、フック材料3301.4がループ材料3301.3に付着される場所に基づいて、ストラップ3301の伸長可能な長さを幾らか調節できるようにしてもよい。また、フック材料3301.4およびループ材料3301.3の位置が置き換え可能であってもよいことが理解されるべきである。
図262A〜図265に示される例は、リジダイザアーム3302から取り外すことができるとともに患者と接触するためにストラップの両側を使用できるように反転させることができるストラップ3301を含む。これは、ストラップの一方側の表面が擦り減らされるときにストラップ3301を完全に使用済みにしなくてもよいという点において有利な場合がある。むしろ、患者は、ストラップの耐用年数を延ばすことができるようにストラップ3301を単に反転させてもよい。
また、位置決め安定化構造体3300のストラップ3301が着脱可能である前述した例のいずれかにおいて、ストラップの着脱可能性は、患者インタフェース3000の全体のライフサイクルにとって有益な場合がある。例えば、ストラップ3301は、ストラップの期限切れが患者インタフェース3000全体の交換を要しないようにフレーム3310と短チューブ4180とのアセンブリよりも短い耐用年数を有してもよい。言い換えると、ストラップ3301は期限切れとなった時点で交換することができ、また、新しいストラップを期限切れになっていない患者インタフェース3000の残りの部分と共に使用できる。
6.3.7.4.1 取り外し不能な取り付け代替案
図266〜図270は、ストラップ3301をリジダイザアーム3302に対して取り外し不能に取り付けることができる、すなわち、患者がストラップをリジダイザから取り外すことができない、本技術の別の例を示す。リジダイザアーム3302に対するストラップ3301の取り外し不能な取り付けは、患者がストラップをリジダイザアーム上にわたって通す必要がないとともにストラップがリジダイザアームから外れる可能性もないという点において有益な場合がある。
図266は、ストラップ3301が取り付けポイント3304でリジダイザアーム3302に取り外し不能に固定される本技術の一例を示す。この例によれば、取り付けポイント3304は、リジダイザアーム3302に対するストラップ3301の超音波溶着によって形成されてもよい。使用時に患者から離れた方向を向くリジダイザアーム3302の表面上に2つの取り付けポイント3304が示されるが、リジダイザアーム3302に対するストラップ3301の望ましい伸張可能長さが維持される限り、取り付けポイント3304の数、サイズ、形状、及び/又は、位置が変えられてもよいことが理解されるべきである。
図267は、図266に示される例に類似する本技術の一例を示す。しかしながら、図267に示される例は、超音波溶着ではなく熱かしめによって形成される取り付けポイント3304を含む。また、リジダイザアーム3302に対するストラップ3301の望ましい伸張可能長さが維持される限り、取り付けポイント3304のサイズ、形状、数、及び/又は、位置が変えられてもよいことが理解されるべきである。
図268は、図266に示される例と類似する本技術の更なる例を示す。しかしながら、図268に示される例は、縫い合わせによって形成される取り付けポイント3304を含む。また、リジダイザアーム3302に対するストラップ3301の望ましい伸張可能長さが維持される限り、取り付けポイント3304のサイズ、形状、数、及び/又は、位置が変えられてもよいことが理解されるべきである。
図269は、取り付けポイント3304がヒンジ構成でリジダイザアーム3302に固定されてストラップ3301をリジダイザアームに取り外し不能に固定する本技術の他の例を示す。例えば、取り付けポイント3304は、取り外し不能な取り付けを形成するようにストラップ3301の織物を穿孔してもよい。
図270は、リジダイザアーム3302に対するストラップ3301の取り外し不能な取り付けが取り付けポイント3304で鉤状部を使用する本技術の他の例を示す。取り付けポイント3304の鉤状部は、リジダイザアーム3302と一体に形成されてよいとともに、ストラップ3301が最初にリジダイザアーム上へとスライドされるときにストラップの比較的柔軟な織物が鉤状部によって把持されて取り外し不能に取り付けられるように方向付けられてもよい。言い換えると、取り付けポイント3304の鉤状部は、患者インタフェース3000が患者により着用されるときにストラップ3301の張力とは反対の方向に向くように方向付けられてもよい。
6.3.7.5 リジダイザアームに対するストラップの伸長
図68に示される例において分かるように、2つのリジダイザアーム3302が位置決め安定化構造体3300のストラップ3301のサイドストラップ部3315,3316内に挿入され、リジダイザアーム3302は、取り囲んでいるストラップ3301によって所定位置に保持され、同時に、ストラップ3301のスリーブ状形態は、ストラップ3301の少なくとも一部がリジダイザアーム3302に対して伸長できる或いは移動できるようにする。好ましくは、この伸長可能部が実質的部分である。これは、アンカーポイントでのみストラップ3301がリジダイザアーム3302に固定されるからである。幾つかの例において、リジダイザアーム3302の動きの制限は、一般に、図69の場合のようにリジダイザアーム3302の端部のうちの一方3319aまたは3319bがストラップ3301のそれぞれのポケット状端部3311へと移動して当接するときに課される。例えば、位置決め安定化構造体3300が患者の頭部上になく、ストラップ3301が緩んでいるときには、挿入されたリジダイザアーム3302がバックストラップ部3317a,3317bへ向けて極端に移動すると、その端部3319bがこれらのバックストラップ部3317a,3317b のうちの一方の開放端に入る場合がある。バックストラップ部3317a,3317bの幅がリジダイザアーム3302の幅よりも小さいため、リジダイザアーム3302の端部3319bがそれぞれのバックストラップ部3317a,3317b と当接し、それにより、リジダイザアームのこの方向での更なる移動が制限される。
先の節で説明されたリジダイザアーム3302に対するストラップ3301の取り付けは、位置決め安定化構造体3300が受け入れることができる頭部のサイズにも影響を及ぼす場合がある。言い換えると、より長い長さのストラップ3301をリジダイザアーム3302に沿って設けることにより、位置決め安定化構造体3300の全体の伸長可能長さを増大させることができてもよく、それにより、ストラップ3301の伸縮性を高める必要なく、周長がかなり大きい頭部を受け入れることができてもよい。また、ストラップ3301が接続される場所をリジダイザアーム3302の長さに沿って変えることができてもよい。これにより、ストラップ3301の伸縮性を変える必要なく、かなり大きな頭部サイズ範囲および頭部周長範囲を受け入れることができる。
ストラップ3301の長さは約400mm〜700mmである。ストラップ3301の長さが約490mmであってもよい。ストラップ3301は、大部分の頭部サイズにとって快適なレベルのヘッドギア張力を与えることができる。ストラップには性別固有の長さ或いはサイズが2つあってもよく、男性母集団のための一方は、女性バージョンよりも長い。好ましくは、それぞれの性別ごとにストラップ3301の2つのサイズ/長さが存在してもよい。快適なレベルのヘッドギア張力は、約2ニュートン〜約5ニュートンである。快適なレベルのヘッドギア張力は、約2.2ニュートン〜約4.7ニュートンである。頭部の周長が小さい患者1000に関してストラップ3301が490mmから526mmまで伸長されると、インストロン試験機を使用して測定されるヘッドギア張力は2ニュートンである。頭部の周長が大きい患者に関してストラップ3301が490mmから662mmまで伸長されると、インストロン試験機を使用して測定されるヘッドギア張力は4.4ニュートンである。測定のため、ストラップ3301のボタン穴3303,3304がクランプ固定具に取り付けられる。100ニュートンロードセルを有する引張試験機が使用される。ストラップ3301は、伸ばされて、1分間にわたって所定の伸長ポイント(例えば、90.5mm、73mm、および、108mm)で保持され、それぞれの伸長ポイントごとに力の値(ニュートン単位)が記録される。そのような測定は、患者の顔または髪の毛に対するストラップ3301の材料の任意の摩擦を考慮しない。
2つのバックストラップ部3317a,3317b間に規定される分割領域3326の長さは約180mm〜約220mmである。分割領域3326の長さが200mmであってもよい。分割領域3326の長さが十分に長くない場合、2つのバックストラップ部3317a,3317bは、患者の頭部の背面を包囲することができず、したがって、治療中にそれらの位置を維持することができず、ヘッドギア張力が患者の好みに依然として合っていないままである。分割領域3326の長さが長すぎる場合には、2つのバックストラップ部3317a,3317bがユーザの耳の手前で分かれて不快となる。これは、バックストラップ部が耳よりも上側/耳の周囲ではなく耳上を横切って通り、それにより、2つのバックストラップ部3317a,3317bにおける互いに対する最大角度範囲が減少されるからである。
ストラップ3301の中立の伸長されていない状態において、2つのバックストラップ部3317a,3317bは、互いから約0°〜約10°の角度θを成す。患者インタフェース3000を着用した後、2つのバックストラップ部3317a,3317bは、角度θが最大で約180°となり得るように互いから分けられてもよい。これは180°の最大角度範囲を可能にし、それにより、2つのバックストラップ部3317a,3317bを漸進的に広げて離すことでヘッドギア張力の大きな減少範囲が与えられる。角度範囲は、10°のデフォルト角度〜120°の最大角度まで狭められてもよい。患者は、片手または両手を使用して、自分の頭部の背面上で2つのバックストラップ部3317a,3317bを今現在作用する張力下で離れるように或いは近づくように移動させてもよい。2つのバックストラップ部3317a,3317bを互いから更に離れるように移動させることにより、分割領域3326が広がり、それにより、ヘッドギア張力が2.5〜5ニュートンの非分割範囲から減少される。ヘッドギア張力は、ロードセルにより測定されるように、約30%から、1つの例によれば約50%まで、あるいは、他の例では約40%まで、減少されてもよい。言い換えると、頭部の周長が小さい患者の場合、ヘッドギア張力は、2つのバックストラップ部3317a,3317b間の距離間隔を広げることによって2ニュートンから1.2ニュートンまで減少されてもよい。頭部の周長が大きい患者の場合、ヘッドギア張力は、2つのバックストラップ部3317a,3317b間の距離間隔を広げることによって4.4ニュートンから2.64ニュートンまで減少されてもよい。
したがって、リジダイザアーム3302は、ストラップ3301の長さに沿ってほぼ無制限に移動できるようにされてもよく、ストラップ3301に取り付けられてもよく、あるいは、ストラップの端部のうちの1つと隣り合ってもよい。
論じられた形態は、図70に示されるように、ストラップ3301、したがって位置決め安定化構造体3300が長さを伸長して拡張できるようにする。そのような伸びは、リジダイザアーム3302と接触しない或いはリジダイザアーム3302と平行でないストラップ3301の部分に限定されず、ストラップ3301の伸び、特に弾性的な伸びは、リジダイザアーム3302の領域でも達成される。これは、図68および図70におけるリジダイザアーム3302の長さ(ストラップ3301が伸長されるが同じままである)と、リジダイザアーム3002の長さに対するストラップ3301の長さを視覚化するマーク3321a〜3321d,3323a〜3323eとの比較から容易に導き出され得る。非伸長状態の図68ではリジダイザアーム3302がマーク3321a〜3321c、および3323a〜3323dのそれぞれに沿って延在することは、図68と図70との比較によって容易に導き出せる。それとは反対に、図70に係る伸長状態では、リジダイザアーム3302がマーク3321a〜3321b、および3323a〜3323cに沿ってのみ延在する。そこから、リジダイザアーム3302がストラップ3301内に収容される領域でもその領域に沿ってストラップ3301が伸長されることが明らかになる。しかしながら、ストラップ3301の伸長中においては、リジダイザアーム3302は伸長されないままである。
言うまでもなく、位置決め安定化構造体3300が1つ以上のリジダイザアーム3302を備えてもよい。先の議論は、リジダイザアーム3302とストラップ3301との関係に焦点を合わせているが、図68〜図70に示される例が2つのリジダイザアーム3302を備え、ストラップ3301のそれぞれの各サイドストラップ部3315,3316内に1つのリジダイザアームが設けられることが留意されなければならない。したがって、先のコメントは、最終的には1つのリジダイザアーム3302に言及するが、マスクフレーム3310に接続される2つ以上のリジダイザアーム3302にも同様に適用される。
前述したようにストラップ3301がリジダイザアーム3302に対して伸長できるようにする1つの場合により有利な属性は、任意のストラップまたは他の接続機能部を取り外す必要なく患者インタフェース3000が位置決め安定化構造体3300と共に患者1000によって着脱されてもよいということであってもよい。これは、患者が患者インタフェース3000を取り付ける或いは取り外すために様々な構成要素の接続または切り離しを見ることができる必要がないという点において、睡眠前または睡眠後に暗いベッドルーム内で装置3000を使用している患者1000に役立ち得る。むしろ、患者1000は、患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を単に身に着ける或いは脱ぐだけで済み、また、着用する場合には、シール形成構造体3100を位置決めすることも必要な場合がある。しかしながら、これは全て感触によって達成することができ、見る必要はない。
しかしながら、位置決め安定化構造体3300からのプレナムチャンバ3200またはシール形成構造体3100の取り外しを可能にすることは、依然として有利であり続ける場合がある。例えば、プレナムチャンバ3200またはシール形成構造体3100を洗浄するためには、位置決め安定化構造体3300を濡らさないままプレナムチャンバまたはシール形成構造体を洗浄することが望ましい場合がある。これは、そのような目的のためにこれらの構成要素が取り外しできるようにすることによって容易にされ得る。
6.3.7.6 リジダイザアームおよびマスクフレーム
図47〜図60は、本技術の更なる例に係るリジダイザアーム3302およびマスクフレーム3310を示す。
図47〜図49および図54は、本技術の一例に係るリジダイザアーム3302およびマスクフレーム3310並びにそれらの間の接続の断面図を示す。リジダイザアーム3302の鋭い屈曲部3307の近傍で、延在部3350がジョイント3356によって接続される。また、鋭い屈曲部3307の近傍には、位置決め安定化構造体3300のサイドストラップ部3316のポケット状端部を保持してもよいリジダイザアーム3302の突出端部3306もある。これらの図において、マスクフレーム3310は、延在部3350の封入可能部分3354およびフック3353の周囲に形成されるのが分かる。マスクフレーム3310には、該マスクフレーム3310が封入可能部分3354を取り囲む場所の近傍に開口3335が形成されてもよい。開口3335はオーバーモールドプロセスの結果として形成されてもよく、このオーバーモールドプロセスによって、マスクフレーム3310が形成されてリジダイザアーム3302の封入可能部分3354の周囲に固定される。この例に係るリジダイザアーム3302はHytrel(登録商標)から形成されてもよく、また、マスクフレーム3310がポリプロピレン(PP)から形成されてもよい。Hytrel(登録商標)は、リジダイザアーム3302を形成するために望ましい。これは、この材料がクリープに耐性を示すからである。これらの材料を一体的に結合できないため、この例では、確実な接続を形成するために、マスクフレーム3310がリジダイザアーム3302にオーバーモールドされてもよい。また、この例では、延在部3350およびリジダイザアーム3302が一体に成形されてもよいことが留意されるべきである。マスクフレーム3310は、リジダイザアーム3302に対して遠位端の自由端部3302.1の反対側に位置されるそれぞれの延在部3350で接続されてもよい。延在部3350は、フック3353に結合される屈曲部3352に結合される直線部分3351を備えてもよい。フック3353および屈曲部3352の一部が封入可能部分3354を形成してもよい。
延在部3350をリジダイザアーム3302に接続するジョイント3356が可撓性の目標ポイントを与えてもよく、また、所望の方向および所望の度合いで屈曲を可能にするようにジョイントが成形されて形成されてもよいことが理解されるべきである。したがって、患者インタフェース3000が着用されてリジダイザアーム3302が位置決め安定化構造体3300のストラップからの張力によって応力を受けると、リジダイザアーム3302がジョイント3356で屈曲し、それにより、リジダイザアームは、患者の顔に対して所望の位置にマスクフレーム3310を保持するのに役立ちつつ、顔骨組み形状を保持することができる。
図50および図51は、本技術の一例に係る、マスクフレーム3310に接続されるリジダイザアーム3302の斜視図および詳細斜視図をそれぞれ示す。図51は、マスクフレームをリジダイザアーム3302の端部に固定するためにマスクフレーム3310によってオーバーモールドされた封入可能部分3354を破線で更に示す。図47〜図49の場合と同様に、リジダイザアーム3302のフック3353およびマスクフレーム3310を完全に貫通する通路を形成する開口3335を見ることができる。
図52および図53は、本技術の一例に係る、リジダイザアーム3302に接続されるマスクフレーム3310の平面図および詳細平面図をそれぞれ示す。図52において、寸法Lは、図示の方向におけるリジダイザアーム3302の長さを示す。好ましくは、リジダイザアーム3302の公称長さLは114mmである。これらの図は、ジョイント3356が突出端部3306と鋭い屈曲部3307との間で延在部3350をリジダイザアーム3302に対してどのように接続し得るのかを特にうまく示す。
図55〜図57は、本技術の一例に係る、リジダイザアーム3302およびマスクフレーム3310の側面図、正面図、および、斜視図をそれぞれ示す。図55において、寸法Hは、図示の方向におけるリジダイザアーム3302の高さを示す。好ましくは、リジダイザアーム3302の公称高さHは33mmである。リジダイザアーム3302および延在部3350は、一体品として形成された後、リジダイザアーム3302の延在部3350の封入可能部分3354に対してマスクフレーム3310をオーバーモールドすることによってマスクフレーム3310に接続されてもよい。延在部3350は、リジダイザアーム3302に対する垂直回転または回動態様で曲がることによって鼻垂下を受け入れる。延在部3350は、リジダイザアーム3302の残りの部分よりも小さい高さを有するとともに少ない材料を有し、また、鋭い屈曲部3307によってリジダイザアーム3302の残りの部分から切り離されるため、延在部3350の曲げは、リジダイザアーム3302の残りの部分が曲がり始める前に局在化されて起こる。これは、シール力に支障を来す可能性を減らす。
図58および図59は、本技術の一例に係る、リジダイザ3302およびマスクフレーム3310の部分分解図および詳細な部分分解図をそれぞれ示す。延在部3350のフック3353および封入可能部分3354がマスクフレーム3310から分離されているのが分かる。これらの図ではフック3353および封入可能部分3354の形状を見ることができ、また、マスクフレーム3310がオーバーモールドされるときにこれらの部分がマスクフレーム3310とのより強い機械的連結を確保するように形成されることが理解されるべきである。具体的には、これらの図は、マスクフレーム3310に対する保持のための表面を与えるために封入可能部分3354がフック3353でフレア状の端部を伴って形成されてもよいことを示す。本技術の他の例において、封入可能部分3354は、マスクフレーム3310のオーバーモールド中にリジダイザアーム3302を金型内で保持するための開口を含んでもよい。マスクフレーム3310がリジダイザの周囲にオーバーモールドされる際にリジダイザアーム3302を安定させるために、この開口を通じて金型が挿入されてもよい。これは、マスクフレーム3310との決して理想的ではない機械的連結が形成されるようにオーバーモールドの圧力によってリジダイザアーム3302が成形プロセス中に移動する場合があるため、有益となり得る。
図60は、本技術の一例に係るリジダイザアーム3302の斜視図を示す。この図は、マスクフレーム3310との取り外し不能な接続の前のリジダイザアーム3302を示す。今しがた論じられたように、リジダイザアーム3302は、機械的な連結によるマスクフレーム3310に対する接続を可能にするためにフック3353および封入可能部分3354を含んでもよい。これは、リジダイザアーム3302をフレーム3310に対して取り外し不能に接続する。リジダイザアーム3302とフレーム3310とが互いに取り外し不能に接続されるとは、着脱可能な部分が殆どなく、洗浄する際の患者インタフェース3000の組み付け/分解中に部品をなくしてしまう可能性が低いことを意味する。
6.3.7.6.1 フレームとリジダイザアームとの間の安定性向上
本技術の特定の例によれば、患者インタフェース3000の安定性を高める態様でフレーム3310とリジダイザアーム3302とを結合することが望ましい場合がある。
図260Aは、リジダイザアーム3302がフレーム3310に成形される本技術の一例を示す。フレーム3310とリジダイザアーム3302とが一体に形成されてもよい。この例は、フレーム3310とリジダイザアーム3302との間の接合部で所望の大きさの曲げ強度を与えるために他の例において設けられる延在部3350を含まない。むしろ、リジダイザアーム3302をフレーム3310に結合するために延在アーム3302.3が成形される。成形プロセスの一環として、不必要な材料を除去するために延在アーム3302.3間に空隙3302.4が形成されてもよい。上側および下側の延在アーム3302.3を広げて離間させることにより、延在アームがフレームに結合する場所の慣性モーメントを図260Aに示される軸線X−X周りで増大させることができることが理解されるべきである。X−X周りのこのジョイントの慣性モーメントに関する式は、I=bh3/12へと簡略化されてもよい。したがって、hの増大、すなわち、上側および下側の延在アーム3302.3間の空間の増大は、b、すなわち、延在アームの厚さの増大と比べて、X−X周りの慣性モーメントIの大きな増大をもたらす。また、リジダイザアームの幾何学的形態を最適化することにより、リジダイザアーム3302及び/又は延在アーム3302.3を更に薄くすることができる。
図260Bは、リジダイザアーム3302がロッド3302.5によってフレーム3310に結合されてもよい本技術の他の例を示す。ロッド3302.5は、金属、または、同程度の剛性を有する他の同様の材料であってもよい。また、この例のリジダイザアーム3302は、ナイロンなどの比較的硬質な材料から形成されてもよい。
図261Aは、リジダイザアーム3302および延在部3350の安定性を高めることが望ましい場合がある本技術の他の例を示す。剛性を高めるために一対のリジダイザアームリブ3460がリジダイザアーム3302の鋭い屈曲部3307に設けられてもよい。剛性を高めるために、一対の延在部リブ3461が延在部の屈曲部3352に設けられてもよい。鋭い屈曲部3307および屈曲部3352は、患者インタフェース3000が患者により着用されるときに望ましくない撓みを起こし易い場合がある。したがって、これらのリブは、リジダイザアーム3302及び/又は延在部3350の過度な屈曲を防止し得る。
図261Bは、延在部3350の安定性を高めることが望ましい場合がある本技術の他の例を示す。この例では、延在部3350の一部に沿って長手方向で長手方向リブ3462が設けられる。長手方向リブ3462は、屈曲部3352を通過して直線部分3351へと延在してもよい。長手方向リブ3462は、過度な曲げを防止するために延在部3350の剛性を高めることができる。
6.3.7.7 患者が身に着ける位置決め安定化構造体
図71〜図73は本技術の一例を示す。ここで、位置決め安定化構造体3300は、サイドストラップ部3315,3316とバックストラップ部3317とを有するストラップ3301を備え、バックストラップ部3317は、患者の頭部の背面に沿って平行に延在する2つのバックストラップ部3317a,3317bを備える。位置決め安定化構造体3300は、それぞれがスリーブ状または管状のストラップ3301のそれぞれのサイドストラップ部3315,3316内に収容される2つのリジダイザアーム(図示せず)を備える。リジダイザアーム3302は、所定の形状または所望の形状及び/又は剛性を、ストラップ3301に対して、したがって位置決め安定化構造体3300に対して与える。例えば、ストラップ3301のサイドストラップ部3315,3316は、対応して形成されたリジダイザアーム3302を設けることによって達成される、患者の顔面の周囲の所望の輪郭に従うための特定の曲率を有する(図52、図54、図58、および図60の参照数字3323の曲率を参照)。図示の例において、位置決め安定化構造体3300は、空気などの呼吸用ガス、ひいては加圧された呼吸用ガスを患者の気道へ与えるために、フレーム3310、プレナムチャンバ3200、または、シール形成構造体3100に接続される。図示の例において、そのような呼吸用ガスは、患者インタフェース3000に接続されるホースまたはチューブ4180を介して与えられる。チューブ4180は、加圧された呼吸用ガスを供給するためのブロワまたは人工呼吸器などの呼吸用ガス源に対してその他端(図示せず)が接続されてもよい。患者インタフェース3000は、患者インタフェース3000に対して構造的完全性を与えるため及び/又は位置決め安定化構造体3300に接続するためにフレーム部またはフレーム3310を備えてもよい。位置決め安定化構造体3300は、ストラップ3301及び/又はリジダイザアーム3302に設けられる別個のコネクタ手段(図示せず)を介してフレーム3310、プレナムチャンバ3200、または、シール形成構造体3100に接続されてもよい。
図74〜図77は、図71〜図73に示される特徴と同様の特徴を示すが、図74〜図76および図77に示される例は、位置決め安定化構造体3300とマスクフレーム3310との間の異なる接続を描く。サイドストラップ部3315,3316の各端部には、図65および図81に示されるようなポケット状端部3311,3313が存在する。これらのポケット状端部3311,3313は、例えば図47〜図60に示されるそれぞれのリジダイザアームの突出端部3306によってリジダイザアーム3302(これらの図では、リジダイザアームがサイドストラップ部3315,3316内にあるため見えない)上に保持される。図74〜図77では見えないが、この例において、図81に描かれる溶着端部3311.1,3313.1は、該溶着端部が突出端部3306に対して保持され得るようにポケット状端部3311,3313を閉じるのに役立つことが理解されるべきである。リジダイザアーム3302は、その後、例えば図47〜図60に関連して説明されるように、オーバーモールドによってマスクフレーム3310に対して取り外し不能に機械的に固定される。
6.3.7.7.1 患者インタフェースに対するリジダイザアームの取り付け
本技術の更なる例によれば、リジダイザアーム3302が着脱可能であってもよい。リジダイザアームを患者インタフェース3000から取り外すことができるようにすることにより、リジダイザアーム3302は輸送中および保管中に歪みを殆ど受けない。リジダイザアーム3302が着脱できると、それぞれの個々の構成要素を適切に支持する態様で患者インタフェース3000を更にコンパクトに包装することができる。また、リジダイザアーム3302を分離可能にすることにより、リジダイザアームを洗浄ために分離できる。幾つかの例では、延在部3350がフレーム3310から取り外されてもよいことが理解されるべきである。他の例では、リジダイザアーム3302が延在部3350から取り外されてもよく、その場合、延在部がフレーム3310に対して取り外し不能に取り付けられてもよい。着脱可能なリジダイザアーム3302の更なる利点は、構成要素が効果的に固定されたという安心感を与える患者への表示である可聴クリック音をもたらすように取り付け機構を形成できるという点であってもよい。そのような可聴クリック音は、例えばリジダイザアーム3302とフレーム3310との間の硬質−硬質間接続によって容易にされてもよい。硬質−硬質間接続は、細かい運動神経能力に苦しむ患者にとって有益となり得る。これは、硬質−硬質間接続により、患者が患者インタフェース3000を更に容易に組み付けることができるとともに、自分が組み付けたことを患者が確信できるからである。また、着脱可能なリジダイザアーム3302は、部品の互換性に起因して患者が患者インタフェース3000をカスタマイズできるという点において患者にとって有益となり得る。例えば、患者インタフェース3000は、異なる湾曲プロファイル、形状、長さ、及び/又は、剛性を有する多くのリジダイザアーム3302のセットと共に販売されてもよく、その中から、患者は、顔の幾何学的形態および快適さに基づいて、最も適したセットを選択してもよい。これは、より良い適合および更に大きな快適さを与えることができ、それにより、患者の治療遵守を高めることができる。また、リジダイザアーム3302のセットは、患者に対して審美的に様々な選択肢が与えられるように異なる色で提供されてもよい。
図248Aおよび図248Bは、延在部3350で患者インタフェース3000から取り外されるとともに患者インタフェース3000に取り付けられるリジダイザアーム3302の一例を示す。リジダイザアーム3302の突出端部3306には、ロック翼部3381を伴う突出部3380が設けられてもよく、該突出部3380はシャフト(図示せず)によって支持されてもよい。延在部3350の直線部分3351には、切り欠き3383を有する開口3382が設けられてもよい。延在部3350の直線部分3351にはストッパ3384が設けられてもよい。開口3382および切り欠き3383は、突出部3380および翼部3381に対応して寸法付けられて形成されてもよい。リジダイザアーム3302を延在部3350に組み付けるために、突出部3380および翼部3381は、対応する開口3382および切り欠き3383を貫通して延在された後、翼部がそれぞれのストッパ3384と当接するまで回転される。したがって、シャフトの長さは、取り付けられた時点でリジダイザアーム3302と延在部3350との間の遊びを最小限に抑えるべく延在部3350の直線部分3351の幅よりも僅かに大きくなるように寸法付けられるべきである。リジダイザアーム3302が一方向の回転のみによって固定されてもよいことが理解されるべきである。これは、例えば図248Bに示されるようにリジダイザアーム3302が時計回り方向の回転によって固定されるように開口3382のそれぞれの側にストッパ3384を位置させることによって達成されてもよい。また、リジダイザアーム3302の組み付けミスを防止するため、すなわち、右側リジダイザアームが左側延在部に取り付けられて逆もまた同様である場合となるのを防止するために、対応する突出部−翼部と開口−切り欠きとの組が異なって寸法付けられてもよいことが理解されるべきである。したがって、患者は、確実に、右側リジダイザアーム3302を右側延在部3350に取り付けるとともに左側リジダイザアームを左側延在部に取り付けることしかできない。
図249Aおよび図249Bは、リジダイザアーム3302が着脱自在であってもよい本技術の他の例を示す。この例において、延在部3350には、該延在部から延在する一対のピン3385が設けられてもよい。ピン3385はそれぞれシャフト上に頭部を備えてもよく、シャフトは延在部3350に固定される。各ピン3385の頭部は、リジダイザアーム3302の突出端部3306に形成されるソケット3386に対する取り付けを可能にするために、各ピンのシャフトより直径が大きくてもよい。ソケット3386は、ピン3385の頭部がそれぞれのソケットを通過できるように突出端部3306の材料の撓みを可能にするべくスリットを含んでもよい。したがって、ピン3385のシャフトの長さは、リジダイザアーム3302が取り付けられた時点で遊びを最小限に抑えるべく突出端部3306の幅よりも僅かに大きくなるように寸法付けられるべきである。また、ピン3385および対応するソケット3386は、リジダイザアーム3302の組み付けミスを防止するために異なって離間され或いは寸法付けられてもよい。例えば、右側のリジダイザアーム3302および延在部3350のピン3385および対応するソケット3386の間隔及び/又は位置決めは、患者が左側リジダイザアームを右側延在部に取り付けることができないとともに逆もまた同様であるように、左側とは異なってもよい。他の例において、左側のリジダイザアーム3302および延在部3350のピン3385およびソケット3386は、患者が左側リジダイザアームを右側延在部に取り付けることができないとともに逆もまた同様であるように、右側のリジダイザアームおよび延在部のピンおよびソケットとは異なって寸法付けられてもよい。
図250A〜図250Cは、本技術に係る着脱可能なリジダイザアーム3302の他の例を示す。この例において、リジダイザアーム3302は、該リジダイザアームを延在部3350に固定するためにアーム3394を有する突出部3393を含む。アーム3394および突出部3393は、リジダイザアーム3302上のシャフト3395から延在してもよく、また、アーム、突出部、および、シャフトは、リジダイザアーム3302と一体に形成されてもよい。したがって、延在部3350にはスロット3392が設けられ、取り付け中にアーム3394および突出部3393がスロット3392に通される。また、延在部3350には、シャフト3395およびアーム3394をそれぞれ受けるためにシャフト受け部3390およびアーム受け部3391も形成される。リジダイザアーム3302を延在部3350に取り付けるために、シャフト3395、突出部3393、および、アーム3394がスロット3392に通されるとともに、シャフトおよび突出部がシャフト受け部3390およびアーム受け部3391とそれぞれ係合する状態へと引き込まれる。アームがアーム受け部に係合されるときに確実な摩擦嵌合が生じるようにするために、アーム受け部3391は、シャフト3395およびアーム3394よりも幅が狭くてもよい。リジダイザアーム3302を延在部3350から取り外すために、患者は、リジダイザアーム3302を取り付け方向とは反対の方向にスライドさせる。また、分解を防止するために、突出部3393の直径がシャフト受け部3390の直径より大きくてもよいことが理解されるべきである。組み付けミスを防止するために、右側リジダイザアーム3302のアーム3394および突出部3393は、右側延在部3350のアーム受け部3391およびシャフト受け部3390のみに嵌入するように寸法付けられ及び/又は形成されてもよく、また、左側リジダイザアームのアームおよび突出部は、左側延在部のアーム受け部およびシャフト受け部のみに嵌入するように寸法付けられ及び/又は形成されてもよい。
図251Aおよび図251Bは、着脱可能であってもよいリジダイザアーム3302の他の例を示す。この例によれば、延在部3350がリジダイザアーム3302と一体に形成されてもよい。延在部3350は、フレーム3310上の受け部3388に取り付くフレア状端部3387を含んでもよい。フレア状端部3387は、延在部3350およびリジダイザアーム3302を取り付けるために受け部3388内のスロット3389に滑り込まされてもよく、また、その係合が圧入を成してもよい。受け部3388は、フレームに取り付けられるフレーム3310とは別個の構成要素であってもよく、あるいは、受け部がフレームと一体に形成されてもよい。組み付けミスを防止するために、右側のフレア状端部3387およびスロット3389は、左側のフレア状端部およびスロットとは異なって寸法付けられ及び/又は形成されてもよい。
図252A〜図252Cは、着脱可能であってもよいリジダイザアーム3302の他の例を示す。この例によれば、延在部3350がリジダイザアーム3302と一体に形成されてもよい。延在部3350は、受け部3310.1とのスナップ式係合を行うように形成されてもよい。受け部3310.1は、フレームに取り付けられるフレーム3310とは別個の構成要素であってもよく、あるいは、受け部がフレームと一体に形成されてもよい。受け部3310.1は、リジダイザアーム3302の取り付けのための延在部3350を受けるべくポケット3310.2および凹部3310.3を含んでもよい。延在部3350は、スナップ式係合を容易にする屈曲部3396を含む。延在部3350が弾性材料から形成されてもよく、また、延在部は、該延在部が受け部3310.1内に配置されるときに延在部が屈曲部3396の角度の減少によって圧縮されるように寸法付けられてもよい。延在部3350のこの圧縮は、屈曲部3396がポケット3310.2内に押し込まれるときに突出部3397を凹部3310.3内に押し込む。離脱を容易にするためにタブ3398が設けられてもよい。患者は、タブ3398を押圧して屈曲部3396を更に圧縮することにより、突出部3397を凹部3310.3から解放して、リジダイザアーム3302を取り外すことができる。また、組み付けミスを防止するために、右側の延在部3350および対応する受け部3310.1は、左側の延在部および対応する受け部とは異なって寸法付けられ及び/又は形成されてもよい。
図253A〜図253Cは、着脱可能であってもよいリジダイザアーム3302の他の例を示す。この例によれば、延在部3350がリジダイザアーム3302と一体に形成されてもよい。延在部3350は、受け部3310.1とのスナップ式係合を行うように形成されてもよい。この例において、延在部3350は、摩擦嵌合を用いて受け部3310.1により保持されてもよい。受け部3310.1は、フレームに取り付けられるフレーム3310とは別個の構成要素であってもよく、あるいは、受け部がフレームと一体に形成されてもよい。この例では、延在部3350の端部3350.1付近に支柱3399が設けられてもよい。延在部3350を取り付けるために、支柱3399が受け部3310.1のポケット3310.2内に挿入される。支柱3399は、ポケット3310.2の相補的に形成された窪み3310.4と係合するために断面形状が円形であってもよい。正方形、長方形、三角形、楕円などの円形以外の支柱3399の断面形状も同様に想定される。この例では、これらのそれぞれの表面が湾曲される場合があるため、延在部3350の端部3350.1を受けるべくポケット3310.2内に端受け部3310.5が設けられてもよい。端受け部3310.5と延在部3350の端部3350.1との係合は、支柱3399の長手方向軸線周りの延在部3350およびリジダイザアーム3302の望ましくない回転を防止できる。したがって、これは、リジダイザアーム3302の動きが、リジダイザアーム3302および延在部3350の変形可能性によってもたらされる撓みのみに起因し、延在部と受け部3310.1との間の係合の遊びに起因しないようにすることができる。そのため、組み付けミスを防止するために、右側の延在部3350および対応する受け部3310.1は、左側の延在部および受け部とは異なって寸法付けられ及び/又は形成されてもよい。
図254Aおよび図254Bは、着脱可能であってもよいリジダイザアーム3302の他の例を示す。この例は、リジダイザアーム3302と共に形成される延在部3350を含まなくてもよい。むしろ、リジダイザアーム3302には、第1の屈曲部3340、第1の直線部分3341、第2の屈曲部3342、第2の直線部分3343、および、第2の直線部分3343の端部に形成されるロック端部3344が形成されてもよい。フレーム3310の両側にはスロット3345が設けられてもよく、各リジダイザアーム3302がフレームに取り付くためにスロット3345に通される。各スロット3345は、それぞれのリジダイザアーム3302がスロットを通過できるようにするべく寸法付けられて形成されてもよいが、リジダイザアームがスロットを通じて引き抜かれることを防止するために、各スロットはそれぞれのロック端部より小さくてもよい。組み付けミスを防止するために、右側のリジダイザアーム3302および対応するスロット3345は、左側のリジダイザアームおよびスロットとは異なって形成されて及び/又は寸法付けられてもよい。また、第1の直線部分3341および第2の直線部分3343として先に言及されたリジダイザアーム3302の部分が直線である必要はなく、また、望ましい形状/外形を与えるために必要に応じてこれらの部分が代わりに湾曲されてもよいことが理解されるべきである。また、リジダイザアーム3302は、リジダイザアームをスロットに通すことができる限り、望み通りに他の湾曲部及び/又は屈曲部を有してもよい。
図255Aおよび図255Bは、着脱可能であってもよいリジダイザアーム3302の他の例を示す。この例によれば、延在部3350がリジダイザアーム3302と一体に形成されてもよい。この例は、頭部がシャフトによって延在部3350に支持されるピン3385を含む。ピン3385の頭部は、シャフトよりも直径が大きくてもよい。それぞれのピン3385とのスナップ式係合のためにフレーム3310の両側にソケット3386が一体に形成されてもよい。組み付けミスを防止するために、右側のリジダイザアーム3302のピン3385および対応するソケット3386は、左側のピンおよびソケットとは異なって寸法付けられ及び/又は形成されてもよい。
図256A〜図256Cは、着脱可能であってもよいリジダイザアーム3302の他の例を示す。この例によれば、延在部3350がリジダイザアーム3302と一体に形成されてもよい。受け部3410および第1の磁石3412がフレーム3310に設けられてもよい。リジダイザアーム3302をフレーム3310に固定するために第2の磁石3413が延在部3350に設けられてもよい。したがって、第1の磁石3412および第2の磁石3413のそれぞれの磁極は、第1の磁石と第2の磁石とが互いに引き付けられるように配向されてもよい。受け部3410と係合して、延在部が受け部で適切に位置決めされるようにするために、延在部3350には第2の磁石3413付近にポスト3411が設けられてもよい。また、組み付けミスを防止するために、右側のポスト3411および受け部3410が左側のポストおよび受け部とは異なって形成され及び/又は寸法付けられてもよいことが理解されるべきである。組み付けミスを防止するために、右側の第1の磁石3412および第2の磁石3413の磁極が左側の第1の磁石および第2の磁石の磁極とは反対に配向されてもよく、それにより、それぞれの左右の磁石が係合されるときにのみ磁石の引き付けが起こり、患者が左側のリジダイザアーム3302を右側の受け部3410内に配置しようとする場合或いはその逆を行おうとする場合に、磁石の反発が係合を防止する。
図257Aおよび図257Bは、着脱可能であってもよいリジダイザアーム3302の他の例を示す。フレーム3310は第1のL形状部分3420を両側に含んでもよく、また、第2のL形状部分3423が各リジダイザアーム3302に形成されてもよい。フレーム3310をリジダイザアーム3302に取り付けるために、L形状部分を反対の垂直方向で互いの方へ移動させることによって、第1のL形状部分3420が第2のL形状部分3423との係合状態に至らされる。第1のL形状部分3420および第2のL形状部分3423は、その後、互いに対して回転されて所定位置で固定される。第2の重ね合わせ部3424が第1の陥凹部3421と係合してもよく、また、第1の重ね合わせ部3422が第2の陥凹部3425と係合してもよい。ペグ3426が第1の陥凹部3421および第2の陥凹部3425に設けられてもよい。第1のL形状部分3420と第2のL形状部分3423とを固定するために、各ペグ3426が第1の重ね合わせ部3422および第2の重ね合わせ部3424に設けられる穴3427と係合してもよい。これらの例における穴3427は、それらが第1の重ね合わせ部3422および第2の重ね合わせ部3424を完全に貫通して延在しないことを示すために破線で示されるが、別の例によれば、穴が完全に貫通して延在できることが理解されるべきである。また、確実な接続を確保するためにそれぞれのペグ3426と穴3427との間の係合が圧入または摩擦嵌合を含んでもよいことが理解されるべきである。更なる別の例では、ペグ3426がシャフトの端部に鉤状部を備えてもよく、また、係合時に各ペグの鉤状部がそれぞれの穴内にロックするように、それぞれの対応する穴3427が第1の重ね合わせ部3422および第2の重ね合わせ部3424を完全に貫通して延在してもよい。また、別の例では、ペグ3426を第1の重ね合わせ部3422および第2の重ね合わせ部3424に設けることができるとともに、穴3427を第1の陥凹部3421および第2の陥凹部3425に設けることができることが理解されるべきである。
図258Aおよび図258Bは、着脱可能であってもよいリジダイザアーム3302の他の例を示す。この例によれば、延在部3350がリジダイザアーム3302と一体に形成されてもよい。ボス3430がフレーム3310の両側に形成されてもよく、また、ボスを受けるためにキャビティ3431が各延在部3350の端部に形成されてもよい。ボス3430およびキャビティ3431は、確実な摩擦嵌合を形成するべく形成されて寸法付けられてもよい。また、別の例では、ボス3430が延在部3350に形成されてもよく、また、キャビティ3431がフレーム3310に設けられてもよいことが理解されるべきである。また、組み付けミスを防止するために、右側のボス3430およびキャビティ3431は、左側のボスおよびキャビティとは異なって形成され及び/又は寸法付けられてもよい。
図259A〜図259Cは、着脱可能であってもよいリジダイザアーム3302の他の例を示す。ポスト3452および一対のスロット3453が延在部3350に設けられてもよい。リジダイザアーム3302にはポスト3452を受けるために穴3451が設けられてもよく、また、それぞれのスロット3453と係合するために一対の突起3450がリジダイザアーム3302に設けられてもよい。リジダイザアーム3302を延在部3350に取り付けるために、最初に突起3450が延在部の対応するスロット3453に通され、その後、延在部からのリジダイザアームの分離を防止するためにポスト3452が穴3451と係合する。突起3450の屈曲形状は、該突起を開口3453に通される際に固定するのに役立ち得る。また、ポスト3452は、該ポストが穴3451と強固に係合するようにするために、ポストのシャフトに対して拡大される頭部を含んでもよい。他の例では、突起がスロットと係合するとともにポストが穴と係合するように相補的な構成要素が位置される限り、ポスト3452およびスロット3453を延在部3350に設ける必要がなく、また、穴3451および突起3450をリジダイザアーム3302に設ける必要がないことが理解されるべきである。また、相補的な数が与えられる限り、複数のポスト3452および複数の穴3451が設けられてもよい。また、相補的な数が与えられる限り、2つよりも多い或いは少ない対応する突起3450およびスロット3453が設けられてもよい。更に、組み付けミスを防止するために、突起3450およびスロット3453の数、並びに、ポスト3452および穴3451の数は、左側の延在部3350およびリジダイザアーム3302と右側の延在部3350およびリジダイザアーム3302との間で異なってもよいことが理解されるべきである。あるいは、組み付けミスを防止するために、突起3450およびスロット3453のサイズ及び/又は形状、並びに、ポスト3452および穴3451のサイズ及び/又は形状は、左側の延在部3350およびリジダイザアーム3302と右側の延在部3350およびリジダイザアーム3302との間で異なってもよい。
6.3.7.8 位置決め安定化構造体の分割されたバックストラップ
1つの態様によれば、ストラップ3301および位置決め安定化構造体3300の構造は有益である。特に、2つの弾性ストラップまたはバックストラップ部3317a,3317bを背部に設けると、頭部を包囲できるとともに、これらのストラップを適切に位置決めすることによって、例えばストラップを広げることによって張力ベクトルを調節できる。また、2つのバックストラップ部3317a,3317bを設けると、より良好な支持および安定性も得られ、また、頭部の背面の特に敏感な領域を避けて可撓性を高めることができる。バックストラップ部3317a,3317bは、位置および係合を維持するために頭蓋冠で頭部を包囲するようになっている。1つの例では、患者の特定の頭部形状とバックストラップ部3317a,3317bの分割の大きさとに応じて、上側バックストラップ部3317aが頭頂骨付近に位置されるようになっているとともに、下側バックストラップ部3317bが後頭骨または僧帽筋の上繊維の近傍(すなわち、頸部の上頸または背頸部の近傍)に位置されるようになっている。下側バックストラップ部3317bは、外後頭隆起上またはそれよりも下側の位置で患者の頭部と係合するように構成されてもよい。材料長さ調節(短くする或いは長くする)を必要とする従来のマスクのヘッドギアとは異なり、位置決め安定化構造体3300によって与えられる張力は、2つのバックストラップ部3317a,3317b間の相対角度を開く或いは閉じるだけで調節できる。患者インタフェース3000が着用されるときには、ヘッドギア張力を減らすため、2つのバックストラップ部3317a,3317bが頭部の背面上で更に離間される。ヘッドギア張力を高めるためには、2つのバックストラップ部3317a,3317bが互いに近づけられる。この調節態様は、ヘッドギア張力の予め設定された漸進的調節のみを可能にする切り欠き付きストラップ、所望のヘッドギア張力が得られるまで締め付け及び締め付け解除の幾つかの試みを必要とするVelcro(登録商標)(連続したループ織物)ストラップ、あるいは、締め付けのためにストラップをバックルに通して引っ張る動作に起因してヘッドギア張力を減少させることよりも増大させることの方が容易な、ストラップをバックルに通してループ状にすること、よりも有利である。また、患者1000は、ヘッドギア張力を誤る或いはヘッドギア張力を変えることを躊躇する。
頭部の背面にある2つの小さい方のストラップ、すなわち、バックストラップ部3317a,3317bは、長さが等しくてもよく、また、材料の弾力性による場合を除いて、あるいは、位置決め安定化構造体3300のサイドストラップ部3315,3316での全長を短くすることによって両方のバックストラップ部の締め付けを等しく高めることによる場合を除いて、調節不可能である。例えば、ストラップ3301を異なる程度まで重ね合わせ、それにより、位置決め安定化構造体3300の全長を変えることができるようにするスライド機構(図示せず)が設けられてもよい。無関係に調節できるストラップ長により、2つのバックストラップ部3317a,3317bは、必然的にそれら自体を頭冠に中心付けることができる。2つのバックストラップ部3317a,3317bは対称的であってもよく或いは非対称的であってもよい。言い換えると、上側バックストラップ部3317aは必然的に頭頂に定着してもよく、一方、下側バックストラップ部3317bは必然的に後頭葉付近またはそれよりも下側の頭部の背面に定着してもよい。これは、他方のストラップが緩みすぎていることを補償するために一方のストラップを手で過剰に締め付け、それにより、位置決め安定化構造体3300の誤った嵌め合いをもたらす可能性を減らすことができる。更に、これは、不快をもたらすだけでなく、治療コンプライアンスに悪影響も及ぼす場合がある。両方のバックストラップ部3317a,3317bを合わせた幅は、サイドストラップ部3315の幅にほぼ等しくてもよい。これは、審美的に感じが良いとともに、患者インタフェース3000を着用する際にバックストラップ部3317a,3317bを調節するための視覚的指標を患者に与える。2つのバックストラップ部3317a,3317bを説明してきたが、それより多い数も想定でき、それによれば、ヘッドギア張力の異なる調節度合いを与えることができる。ストラップ3301が中立状態にあって伸長されないときには、患者インタフェース3000を着用する際にバックストラップ部3317a,3317bを調節するように患者に促す或いは示唆するための隙間が2つのバックストラップ間に存在するように、2つのバックストラップ部3317a,3317bが部分的に離間される。これは、ヘッドギア張力を調節するための直観を高めるとともに、ヘッドギア張力をどのように調節できるのかを視覚的に示唆するが、従来のマスクでは時としてこれを欠く。
前述したように、ストラップ3301を1つの連続した部品にせず、2つ以上のジョイントを設けて、3つ、4つ、あるいは、それ以上の別個のストラップから位置決め安定化構造体3300を形成することができる。これは、組み付けを複雑にし得るが、製造プロセスを簡略化できる。ジョイントは、サイドストラップ部3315,3316と2つのバックストラップ部3317a,3317bとの間の分岐点3324に配置されてもよく、あるいは、背面に集中されてもよい。ジョイントは、縫い付けられ、溶着され、接着され、あるいは、オーバーモールドされてもよく、また、頭部上での動きを減らすのに役立つように高摩擦材料を組み込むことができる。高摩擦材料は、ストラップ3301,3317a,3317bと患者の皮膚または髪の毛との間の相対的な表面摩擦を高めて患者の頭部上におけるストラップ3301,3317a,3317bの位置を維持するために、パッド印刷、シリコーン印刷を含んでもよい。高摩擦材料は、バックストラップ部3317a,3317bの患者接触面にだけ存在してもよい。これは、患者の顔面に対するサイドストラップ部3315,3316の位置を維持するという機能の一部または大部分をリジダイザアーム3302が果たし得るからである。
高摩擦材料は、患者の顔または髪の毛に対してストラップが滑ることを減らすべく、バックおよびサイドストラップ部3315,3316,3317a,3317bの内面に加えられてもよい。アームまたはサイドストラップ部3315,3316に関して、このことは、位置決め安定化構造体3300が頬上にとどまることを助け、また、バックストラップ部3317では、それにより、位置決め安定化構造体3300が頭部の背面を横切ってスライドすることを阻止できる。そのような材料は、表面上に印刷され、流し込まれ、または、成形されてもよく、あるいは、前述したようにジョイント、裁縫または溶着のプロセスに組み込まれてもよい。ストラップ滑りを減らすための他の方法は、弾性糸が布材料から突出するようにすることである。
リジダイザアーム3302は、図65に示されるようにマスクフレーム3310付近に位置されるボタン穴3303,3304から挿入される代わりに、随意的に、位置決め安定化構造体3300が分岐する分岐点3324付近に位置される開口3308から挿入され得る。リジダイザアーム3302が挿入された時点で、材料の弾力性は、小さいバックストラップ部3317a,3317bのうちの一方(上側または下側)の開口の内側にリジダイザアーム3302を戻して引っ掛けるために使用され得る。これは、リジダイザアーム3302が移動することを防止し、したがって、リジダイザアームを所定位置に固定することができる。さもなければ、リジダイザアーム3302をストラップ3301内に捕捉するために、ボタン穴3303,3304を縫う、成形する、或いはさもなければ、恒久的に閉じることができる。
背部にある分割領域3326は、安定性のために、2つ、3つ、または、それ以上のストラップを含んでもよい。前述したような位置決め安定化構造体3300がフルフェースマスク(鼻および口を覆う)または鼻マスクと共に使用されてもよい。2つ以上のストラップ(サイドストラップと同じ幅であってもよい)を背部に有してもよい従来のマスクの他の位置決め安定化構造体、この場合、下側バックストラップは、一般に、外後頭隆起上またはそれよりも低い位置で患者の頭部に当て付いて係合する。そのようなバックストラップは、伸長できず或いは弾力性がないが、長さ調節できてもよく、また、バックストラップは、単一のサイドストラップとの収束ポイントで皺が寄る或いはねじれることを避けるべくデフォルト角度へ戻るように付勢されてもよい。例えば、デフォルト角度は、患者の頭部を包囲して頭部と係合するために2つのバックストラップ間の分割において45°であってもよく、また、バックストラップの互いに対する旋回は、患者インタフェースを所定位置に固定して患者の顔面に抗する張力をシール形成構造体に与えるべく患者インタフェースを着脱するためである。2つのバックストラップは、45°の角度に戻るように付勢され、したがって、患者インタフェースの安定性のために患者の頭部の背面を包囲する機能を果たすにすぎず、45°の角度からそれる任意の角度を維持することができない。
本技術の使用により、リジダイザアーム3302を設けて使用すると、ストラップ3301の伸長可能長さに影響を及ぼすことができる。これにより、位置決め安定化構造体3300が大きな範囲の頭部サイズに適合し得る。これは、事実上、「1サイズ最適合」位置決め安定化構造体3300であり得、このことは、患者が以前に位置決め安定化構造体3300を試着した或いは使用したことがない場合であっても、袋から取り出した位置決め安定化構造体3300が患者に適合する可能性が高いことを意味する。本技術は、患者インタフェース3000の容易な着脱を可能にする位置決め安定化構造体3300を提供し得る。特に、このことは、幾つかの他の位置決め安定化構造体とは異なり、マスク3000が脱がれるときに張力設定が変化する必要がなく及び/又は張力設定が失われないことを意味し得る。リジダイザアーム3302は、快適さ及び視認性のために眼および耳の周囲にクリアランスが存在するようにする所望の形状を規定してもよい。ストラップ3301の布は、汗から表面熱および凝縮物をもたらして保持するシリコーン、発泡体、または、プラスチックを伴わずに、皮膚が自然に呼吸して汗をかくことができるようにしてもよい。
ストラップ3301の背部に2つの弾性ストラップ3317a,3317bを設けると、ストラップを広げてストラップの位置を独立に変えることにより、患者の頭部を包囲できるとともに、印加される力の分配を調節することができる。頭部の背面にある2つの小さい方のバックストラップ部3317a,3317bは、長さが等しくてもよく、また、材料の弾力性による場合を除いて、あるいは、位置決め安定化構造体3300のストラップで全長を短くすることによって両方のバックストラップ部の締め付けを等しく高めることによる場合を除いて、調節不可能であってもよい。
6.3.7.9 可撓性ジョイント3305
図19、図71〜73、図75、図76、および図166は、プレナムチャンバ3200と関連付けられるフレーム3310に対する位置決め安定化構造体3300の接続も示す。特に、リジダイザアーム3302とフレーム3310とのジョイント3305は、可撓性があってもよく、及び/又は、弾性的に変形可能であってもよい。したがって、患者1000により着用される際には、シール形成構造体3100が様々な鼻唇角(例えば、図2eに示される)を受け入れることができてもよい。そのため、このジョイント3305の可撓性により、フレーム3310、プレナムチャンバ3200、および、他の関連する構成要素がリジダイザアーム3302に対して多くの軸線周りで動けることが理解されるべきである。本技術の1つの形態において、フレーム3310およびプレナムチャンバ3200は、可撓性ジョイント3305を介して、リジダイザアーム3302のそれぞれの端部間に規定される1つの軸線の周りで回転できてもよい。そのような構成により、幅広い範囲の想定し得る鼻唇角にわたってシール形成構造体3100を患者1000の鼻下領域に当て付けて角度付けることができてもよい。
図18、図19、図75、図76、および図166において分かるように、シール形成構造体3100は、患者1000の鼻下面に当て付いて、1つの例では鼻孔などの患者の気道に当て付いて保持される。シール形成構造体3100の適切な位置は、最小の保持力をもって加圧ガスの漏れが最小限に抑えられるように患者の鼻孔に対する円錐台3140の効果的なシールを得るのに重大な因子である。円錐台3140がシール形成構造体3100の柄部3150から軸方向に延在し得るため、最適なシールを得るためには、患者の鼻に対する患者インタフェース3000の方向においてある程度の自由度を許容することが有益となり得る。そのような自由度は、共通の患者インタフェースによって受け入れられる必要があるかもしれない様々な鼻唇角(図2e参照)を患者が有する場合があるため、有益となり得る。この自由度は、典型的な患者インタフェース3000では、可撓性ジョイント3305を設けることによって達成されてもよい。本技術の一例において、可撓性ジョイント3305は、フレーム3310とリジダイザアーム3302との間に位置されてもよい。そのような典型的な配置において、フレーム3310は、位置決め安定化構造体3300のリジダイザアーム3302による可撓性ジョイント3305での屈曲を容易にする材料から構成されてもよい。別の構成では、患者の鼻下面に対するシール形成構造体3100の適切な位置決めを可能にするために、リジダイザアーム3302が延在部3350を介して屈曲してもよい。また、屈曲が両方の部分で部分的に起こる場合があることも想定される。任意の想定される構成おいて、望ましい結果は、様々な鼻唇角を受け入れることができるように患者の鼻下面に対して患者インタフェース3000が回転できることである。可撓性ジョイント3305により与えられるこの自由度により、トランポリン3131は、患者の鼻孔または鼻に抗する快適な力を与える際に、より効果的となり得る。可撓性ジョイント3305がなければ、トランポリン3131は、様々な鼻翼角度を受け入れて安定性を維持するのにあまり効果的でなくなる。これは、位置決め安定化構造体3300からの張力がシール形成構造体3100を患者の気道に当て付くシール位置に保持するときに柄部3150およびプレナムチャンバ3200が既に部分的に或いは完全に潰れた状態にあるからである。
この可撓性ジョイント3305は、ジョイント3305における可撓性を可能にするのに十分な弾性率を有する材料からフレーム3310及び/又はリジダイザアーム3302を形成することによって与えられてもよい。これに加えて或いは代えて、フレーム3310及び/又はリジダイザアーム3302は、この領域で可撓性を可能にするように構造的に形成されてもよい。言い換えると、フレーム3310及び/又はリジダイザアーム3302は、ジョイント3305の領域で必要量の可撓性を可能にするように形成されてもよい。これは、これらの構造体の一部を該構造体の剛性が屈曲を可能にするべく減少されるように除去することによって達成されてもよい。
本技術のこの態様の更なる想定し得る利点は、それがリジダイザアーム3302およびフレーム3310と関連付けられる曲げモーメントを減少させるという点かもしれない。図19、図71〜図73、図75に示されるように、リジダイザアーム3302は、患者の顔面の輪郭に適合するように形成されてもよい。また、シール形成構造体3100が患者の鼻孔と係合するときに、位置決め安定化構造体3300により鼻に対して保持されるシール形成構造体3100、プレナムチャンバ3200、および、フレーム3310の間の比較的限られた大きさの可撓性に起因して、鼻孔がフレーム3310の変位を引き起こす場合がある。フレーム3310とリジダイザアーム3302との間に可撓性ジョイント3305を設けることにより、関連する力の一部がジョイントの屈曲へと放散され得るため、患者インタフェース3000が患者によって着用されるときのこれらの構造体と関連付けられる曲げモーメントが減少され得る。これは、患者インタフェース3000が摩耗および裂けを減少させるべく使用中にあまり力を受けないため、有益となり得る。また、これらの力を可撓性ジョイント3305の曲げへと放散することにより、リジダイザアーム3302及び/又はフレーム3310の曲げを減少させることができる。これは、リジダイザアーム3302が患者の顔面に適合するように形成される場合には、リジダイザアームを曲げることにより適合性が低下する場合があり、それにより、患者に不快をもたらすため、有益となり得る。同じことがフレーム3310の曲げにも当てはまる場合があり、また、フレーム3310の曲げは、シール形成構造体3100を患者の鼻から移動させる場合もある。
前述した構成では、リジダイザアーム3302を補強することが有益となる場合があることも理解すべきである。十分に剛性が高い材料からリジダイザアーム3302を形成することにより、及び/又は、リジダイザアーム3302をそれらが十分に剛性を持つように形作ることにより、可撓性ジョイント3305によってシール形成構造体3100が患者の鼻から移動できないようにすることも想定し得る。言い換えると、適切な適合および効果的なシールは、シール形成構造体が患者の鼻と係合して効果的なシールを与えることができるようにシール形成構造体3100の十分な移動を許容しつつ患者の顔面に対する所望の度合いの適合性を維持する十分に剛性があるリジダイザアーム3302によって達成されてもよい。リジダイザアーム3302は、23℃で180MPaの曲げ弾性率と180MPa(26)の引張係数とを有するHytrel(登録商標)から形成されてもよい。また、本技術の1つの態様では、フレーム3310とリジダイザアーム3302との間の可撓性ジョイント3305およびシール形成構造体3100でのみ弾性変形が行われるように患者インタフェース3000が構造化されてもよいことが理解されるべきである。
可撓性ジョイント3305を伴わない前述した本技術の例では、リジダイザアーム3302の延在部3350が前述したような可撓性ジョイント3305と同様の機能を果たす。
6.3.7.10 位置決め安定化構造体の張力ベクトル
前述したように、典型的な位置決め安定化構造体3300は、好適には、シール形成構造体3100と関連付けられる圧縮ベクトルが患者の鼻または鼻孔と適切に位置合わせされるようにヘッドギアの張力ベクトルを患者の頭部に対して位置付けてもよい。図72、図73、図75、および図76に示されるように、使用時にシール形成構造体3100を患者1000の鼻に押し付ける力の典型的な方向および大きさを示すためにベクトルVが描かれる。典型的な位置決め安定化構造体3300をシール形成構造体3100に対して動作可能に取り付けることにより、患者1000により着用される際の位置決め安定化構造体3300の張力は、ベクトルVの方向および大きさを有する力をもって患者インタフェース3000を患者1000の鼻または鼻孔に押し付けるのに十分となり得る。ベクトルの概念は以下のように説明されてもよい。患者1000の鼻孔の周囲にシールを適切に及び/又は効果的に形成するため、本技術のこの例で描かれる鼻枕3130を使用するときには、シール形成構造体3100のそれぞれの柄部3150の長手方向軸線と略同軸の方向でシール形成構造体3100が患者の鼻孔に押し付けられなければならない。力の大きさも、シール形成構造体3100が鼻孔の周囲でシールできるようにするのに十分でなければならないが、不快感または比較的柔軟なシール形成構造体3100の変形を引き起こすほど大きくてはならない。したがって、ベクトルVとして描かれる大きさ及び方向の力がシール形成構造体3100に与えられなければならない。しかしながら、患者の鼻の側面に沿って眼を横切って或いは耳を横切ってストラップ3301がまとわれることは理想的ではない。これは、患者1000にとって不快で混乱を生じさせる場合がある。二点力ベクトル制御により、ストラップ3301は、マスク3000を徐々に安定させることができるとともに、鼻枕3130を所定位置へと引っ張って患者の気道との空気圧シールを形成することができる。
必要な方向および大きさのシール力を患者の顔面の特定の領域から移動させながら与える必要があるというこの課題を克服するために、前述したリジダイザアーム3302及び/又はフレーム3310が設けられてもよい。リジダイザアーム3302及び/又はフレーム3310は、ストラップ3301を患者の眼から離れるように方向付けることができるようにしつつ、張力を位置決め安定化構造体3300からシール形成構造体3100へと伝えるための媒介として作用してもよい。言い換えると、位置決め安定化構造体3300は、伸張状態にあることにより、それぞれのリジダイザアーム3302及び/又はフレーム3310の一端部で力を生み出すことができ、また、リジダイザアーム3302及び/又はフレーム3310は、十分に剛性があるため、同等の方向および大きさを有するこの力を、シール形成構造体3100が位置されるその両端に伝える。したがって、シール形成構造体3100を患者の鼻に押し付けて効果的なシールを形成することができる。別言すれば、リジダイザアーム3302及び/又はフレーム3310は、適切な方向および大きさのシール力を維持し続けながら位置決め安定化構造体3300をシール形成構造体3100から構造的に切り離す役目を果たす。
前述したように、特定の例では、位置決め安定化構造体3300のストラップ3301がリジダイザアーム3302を取り囲んでもよい。ストラップ3301およびリジダイザアーム3302のこのシース状の配置を維持しつつ先の段落で説明された力分離を容易にするために、リジダイザアーム3302は、その少なくとも一部に沿って滑らかな面を備えてもよい。リジダイザアーム3302に沿って滑らかな面を設けることにより、位置決め安定化構造体3300のストラップ3301は、比較的自由な及び/又は低い摩擦態様でリジダイザアーム3302に沿って伸長する及び/又は圧縮することができる。言い換えると、ストラップ3301は、それがリジダイザアーム3302に固定されるポケット状端部3311を除き、リジダイザアーム3302上にわたって遊動する。また、リジダイザアーム3302に沿う位置決め安定化構造体3300の摩擦を減らすことにより、シール形成構造体3100の空気圧シールの損失または破壊及び/又は不快な嵌め合いをもたらす場合がある外部からの望ましくない力を避けることができる。
多層の積層ストラップを有する従来のマスクの幾つかの位置決め安定化構造体では、異なる度合いの可撓性を与える異なる材料から形成される層が互いに恒久的に重ね合わされる。従来のマスクの他の位置決め安定化構造体は、多層ストラップを互いに取り外し不能に接続するために縫い合わせ或いは接着剤を使用する。一方、本技術の位置決め安定化構造体3300は、リジダイザアーム3302と解放可能に係合できるストラップ3301を有する。これは、ストラップ3301をリジダイザアーム3302およびフレーム3310とは別個に洗浄できるようにする。解放可能な係合は、ストラップ3301のポケット状端部3311を使用して、面積が小さい局所的な領域(フレーム3310付近のリジダイザアーム3302の縁部)でもたらされ、それにより、フレーム3310との接続ポイントからのストラップ3301のほぼ全長の伸長が可能になる。従来のマスクの他の位置決め安定化構造体は、1つ以上のヘッドギアストラップの長さを調節(通常は長さを短くすることによって調節)して患者の顔面上の患者インタフェース3000のヘッドギア張力を調節するために調節バックルまたはVelcro(登録商標)を使用する場合がある。一方、本技術の位置決め安定化構造体3300は、ヘッドギア張力を調節するために長さ調節を必要とせず、また、特に暗い部屋の中でヘッドギア張力を調節するために調節バックルまたはVelcro(登録商標)を適切に用いることができる良好な運動神経能力を欠く場合がある関節炎の手をもつ患者にとって特に有益である。
6.3.7.11 ストラップの製造
位置決め安定化構造体3300は、成形する(例えば、任意のかなりの量の材料を切り取る必要なく、さもなければ「フルファッショニング」として知られる形状に一体形成される)ように製造され、それにより、廃棄材料を殆どもたらさない或いは全くもたらさない。あるいは、位置決め安定化構造体3300は、それぞれが(例えば、編むことによって)別々に成形するように製造された後に互いに取り付けられる複数のセグメントへと分けられてもよい。図132は、少なくとも2つの領域(クラウン部または後部210およびストラップ220)を有する単一の一体の縫い目がない構造体を明示し、この場合、少なくとも2つの領域が接合部(該接合部は、ストラップ220と後部210との間の接続部である)から延在し、ストラップ220が異なる角度方向で後部210へと延在する。後部210およびストラップ220は連続的なプロセスで形成される(すなわち、構成要素を形成する材料および構成要素の形状が単一のステップで形成される)−これは、材料のシートが形成された後にカットされて形作られるプロセス(これは単一のステップと見なされない)とは異なる。また、図132は、縫い合わせステップまたは更なる形成ステップを必要とすることなく、ストラップ220が後部210へ向けて異なる角度または異なる方向で枝を出す或いは延在することも示す。
位置決め安定化構造体3300などの編まれた構成要素は、更なる縫い合わせプロセス或いは結合プロセスが実質的にない一体の編み要素として構成されるときに「一体型編み構造」から形成されると規定される。
図133に示されるように、ストラップ220は、その後にカットされる連続片として(例えば、縦編み、丸編み、または、3D編組によって)形成されてもよい。これは、この手続きが製造効率を更に高めることができるからである。
様々な位置決め安定化構造体部分を連続態様で編むことは、隣り合う部分を縫い付ける、融着する、接着する、或いはさもなければ、取り付けるために必要とされる更なる製造ステップが無い或いは殆ど無いため、有益となり得る。結果として、製造プロセスのステップを減らすことができ、廃棄材料の量が減少され、位置決め安定化構造体3300の隣り合う部分同士の間に縫い目がほぼ無いとともに、目立つ接合部や縫い目を伴うことなく織物から形成される位置決め安定化構造体3300が患者にとって更に快適となり得る。
6.3.7.11.1 技術
廃棄材料を殆ど伴わずに或いは全く伴わずに位置決め安定化3300を製造して成形するために本技術にしたがって多くの技術を使用できる。該技術は、単一の一体的な縫い目がない構造体である位置決め安定化構造体をもたらすことができる。単一の一体的な縫い目がない構造体をもたらすことができる技術としては、インタールーピング(編むなど)、交絡、及び/又は、インターウィニング(編組、結節、および、クローシェ編みを含む)を含む糸の機械的な操作が挙げられる。3D印刷の別の技術は、一体の縫い目がない構造体を有する位置決め安定化構造体を形成することもできる。
本技術に係る製造技術は、以下の特徴、すなわち、(1)廃棄物を殆ど或いは全くもたらさない、(2)患者にとって快適な位置決め安定化構造体をもたらす、(3)快適な位置決め安定化構造体をもたらす、(4)呼吸できる位置決め安定化構造体をもたらす、(5)顔マーキングを最小限に抑えることがきる位置決め安定化構造体をもたらす、及び/又は、(6)軽量な位置決め安定化構造体をもたらす、のうちの1つ以上を有してもよい。
6.3.7.11.1.1 インタールーピング−編み
本技術の一例によれば、位置決め安定化構造体3300は、編みなどのインタールーピング(例えば、編み織物を形成するように糸または撚糸を織り混ぜる)によって形成されてもよい。位置決め安定化構造体3300が横編み或いは丸編みによって形成されてもよいが、他の形態の編みも想定し得る。横編み及び丸編みは、それらが一体の縫い目がない構造を伴う位置決め安定化構造体3300を形成できるため、有益となり得る。横編み或いは縦編みを形成するために横編み機または丸編み機が利用されてもよい。1または複数の位置決め安定化構造体構成要素を製造するために、丸編み及び縦糸−または横糸−横編みを含む様々な編みプロセスが利用されてもよい。横編みは、(1)付加的なクッションまたは嵩を与えるために例えば位置決め安定化構造体ストラップ内に浮遊糸を位置させることができること、及び/又は、(2)位置決め安定化構造体ストラップの上面または下面のいずれかに糸の付加的なループを含み、したがって、例えば柔軟なテリー織り布材料の効果をもたらす、または、フックテープファスナと係合するための切れ目のないループ織物を形成することができること、及び/又は、(3)単一の統合された位置決め安定化構造体構成内に両面仕上げの編み構造に隣接して3D寸法のスペーサ織物構造を編むことができること、を含むがこれらに限定されない幾つかの利点を有してもよい。
位置決め安定化構造体3300は、異なる物理的特性を伴う様々な部分を有する単一の一体構造体をもたらすためにインタールーピングプロセスによって機械的に操作される複数の糸から主に形成されてもよい。
図134は、横編み織物64のウェール、すなわち、1本の糸のループが他の糸のループに交わる方向を示す。コース85、すなわち、単一の糸からのループの方向が図135に示される。図136および図137は、基本的な閉ループ縦編み90を示す。図138は、ウェールがコースと略平行に延在する状態で、糸が垂直方向にジグザグ態様で編まれて他の縦糸を捕捉する、縦編みトリコットジャージ織物構造の一例を示す。
図136〜図139を参照すると、縦編み90,90−1は、互いに平行に延在するウェールおよびコースを備え、一方、横編み100では、ウェールがコースに対して垂直に延在する。本技術の位置決め安定化構造体3300は、縦編み或いは横編みのいずれかによって形成されてもよい。縦編み、例えばトリコット、ラッセル、または、ロックニットは、一般に、連続稼働に対してより耐久性があり、機械加工が容易であるとともに、複数の糸を使用することができる(複数の色または糸タイプの使用を可能にする)。横編み100は単一の糸を用いて形成できるが、複数の糸の使用も想定し得る。本技術の位置決め安定化構造体3300は、縦編み或いは横編みから構成されてもよい。
編み織物は、織布と比べて異なる伸縮特性を有し得る。編み織物は、一般に、(布を形成する糸に応じて)一方向にしか伸長できない織布よりも可撓性があり、したがって、患者にとってより快適な嵌め合いをもたらすことができる。編み布は、織物が二方向伸長を成すように構成されてもよい−すなわち、第1の方向に向けられた第1の糸は、第2の方向に向けれらた第2の糸よりも低い可撓性を有する。この構成は、位置決め安定化構造体3300のストラップに沿って望ましい場合があり、その場合には、ストラップがそれらの長さに沿って伸長できるがそれらの幅を横切って伸長できず、あるいは、その逆も同様である。あるいは、編み布は4方向伸長を成してもよい。すなわち、第1の方向および第2の方向の糸はいずれも、ストラップに対する適用が縦方向および横方向の両方での伸長を可能にするように可撓性がある。
図142の例は、グレインまたはコース1250を有するストラップ1200を示しており、また、グレインまたはコースの方向が伸長にどのように影響を及ぼすのかを例示する。編み織物は、コースの方向でより容易に伸長する傾向がある。したがって、位置決め安定化構造体3300を特定の方向で伸長するとともに他の方向の伸長に対してより抵抗するように形成できる。例えば、ストラップ1200は、その幅方向Aで(患者の顔面から頭部の背面へ向けて)伸長する傾向があり、ストラップの長さに沿う伸長が制限されてもよい。この形態は、嵌め合い範囲を増大させつつ、位置決め安定化構造体3300の安定性を長さ方向で高めることができる。ストラップ1200は、ストラップ1200が患者の顔面とのシールを高める態様でマスクアセンブリを患者の顔面上にうまく保持できるようにするために、特定の方向で伸長するとともに他の方向の伸長に抵抗するように構成されてもよい。
図140および図141を参照すると、編みストラップ1105は、上部1102と、後部1104と、下部1106とを含む。下部1106は、上部1102および後部1104を形成するために接合部で分岐し或いは枝を出してもよい。上部1102の角度方向は、後部1104と比べて異なってもよい。例えば、上部1102は、後部1104に対して約30−110°で延在してもよく、あるいは、後部1104に対して約90°または垂直に延在してもよい。編み方向、または、編みのグレインまたはコース1150は、特定の領域で織物の形状または伸長を調節するように変えられてもよい。例えば、グレインまたはコース1150は、患者の眼を塞ぐのを避けるべく頬領域でストラップを曲げるように構成されてもよい。また、図141に示されるように、グレインまたはコース1150は、矢印Bにより示されるように、曲がって分かれ、それにより、上部1102および後部1104を形成してもよい。上部1102および後部1104のそのような形態は、ストラップを患者の頭部上の所定位置に安定させ、したがって、編みストラップ1105が患者の顔面とのシールを高める態様でマスクアセンブリを患者の顔面上にうまく保持できるようにしてもよい。
編みストラップ1105は、患者インタフェース3000(例えば、鼻マスク)を患者の顔面上に支持してもよい。ストラップ1105を患者インタフェース3000に取り付けるためにコネクタ1120が使用されてもよく、また、空気回路4170が患者インタフェース3000を介して患者の気道へ呼吸用ガスを送出してもよい。図示の例において、患者インタフェース3000は、患者の鼻の下側に位置されて、患者の鼻の外面に対してシールする。
本技術の位置決め安定化構造体3300は、ポケット、トンネル、層、及び/又は、リブを更に備えてもよい。そのような位置決め安定化構造体3300は、丸編み或いは横編みによって一体に形成されてもよい。ポケットまたはトンネルは、編み布よりも高い剛性または硬度を有する材料によって補強されてもよく、それにより、位置決め安定化構造体3300が硬化される。位置決め安定化構造体3300の硬化は、マスクをユーザの顔面上の所定位置でより良好に安定させることができる。位置決め安定化構造体3300を硬化させるために使用される材料としては、プラスチック、例えばナイロン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、または、剛性がより高い布、例えば編組ロープを挙げることができる。位置決め安定化構造体3300の硬化部は、患者の頭部の骨領域、例えば頬、後頭部、または、頭頂部に位置されてもよい。補強構造体は、編みプロセス中に挿入されてもよく、例えば、編みプロセス中または編みプロセス後に、より高剛性の或いはより平坦な糸または硬質高分子要素が編み構造体中に挿入されてもよい。撚糸または硬質構成要素は、ねじれに耐えるとともに、例えば治療のための位置決め安定化構造体ストラップの締め付けに起因する応力を支えるように機能し、あるいは、マスクをより良く安定させるように機能し、あるいは、位置決め安定化構造体片をマスクインタフェースに取り付けるための結合材または締結材として作用するのに役立つ。
あるいは、ポケットまたはトンネルは、快適さを加えるためにクッション性があってもよい。例えば、ポケットまたはトンネルには、発泡体、ゲル、浮遊糸、ループ状糸、または、他のクッション材料が充填されてもよい。
位置決め安定化構造体3300は、横編み或いは丸編みによって形成されてもよく、この場合、位置決め安定化構造体3300は織端を有する。すなわち、位置決め安定化構造体3300は、位置決め安定化構造体3300を構成するために使用される糸の端部が位置決め安定化構造体構成要素の縁部に実質的に存在しないような仕上げ形態を有するべく形成されてもよい。位置決め安定化構造体構成要素を仕上げ形状に成形するという利点は、糸がカットされておらず、したがって、糸がほどける可能性が低く、また、仕上げステップを殆ど必要としない可能性があるという点である。仕上げ縁部を形成することにより、位置決め安定化構造体3300の完全性が維持され或いは更には強化され、また、(1)位置決め安定化構造体構成要素のほどけることを防止するために、及び/又は、(2)(例えば、織物−発泡体−織物積層体材料に「柔軟な縁部」を超音波切断してシールする際に)目立つが柔軟な縁部を形成するために、及び/又は、(3)位置決め安定化構造体3300の審美特性および耐久特性を高めるために、後処理ステップが殆ど或いは全く必要とされない。
本技術の位置決め安定化構造体3300は、規則的な或いは不規則なピケニットにより形成されてもよい。ピケニットは、第1の糸を正しい側(位置決め安定化構造体3300が着用された時点で見える患者と接触しない側)で方向付けるとともに、第2の糸を誤った側(位置決め安定化構造体3300が着用された時点で見えない患者と接触する側)で方向付ける。すなわち、正しい側で露出される糸は、誤った側で露出される糸とは異なってもよい。例えば、正しい側の糸が感じの良い外観を有してもよく、また、誤った側の糸が患者の皮膚と接触するのに良い手触りを有してもよい。これに代えて或いは加えて、正しい側の糸が第1の水分ウィッキング特性を有してもよく、また、誤った側が第2の水分ウィッキング特性を有してもよい。例えば、正しい側の糸は、第1の水分ウィッキング特性を有する高い割合のマイクロファイバを有してもよく、また、誤った側は、第2の水分ウィッキング特性を有する高い割合の非マイクロファイバを有してもよい。
位置決め安定化構造体3300は、簡単にするために、材料および特性が均一であってもよい一体の編み構造体として形成されてもよいが、縫い目のない態様で結合される異なる物理特性を有する様々な部分を含む一体の構造体として形成されてもよい。様々な部分は、例えば、異なる度合いの強度、耐摩耗性、摩耗抵抗、可撓性、高い耐久性、より高い或いはより低い吸湿性(水分吸収性)、水分ウィッキング能、親水性、通気性または空気透過性、液体透過性、伸長性または伸長耐性、圧縮性、クッション能力、支持、剛性、回復、嵌め合い、および、形状を示してもよいが、これらに限定されない。様々な部分は、4方向伸長、または、双方向伸長、仕立てレベルの伸長耐性、または、非伸長など、指向性伸長の変化を示すように構成されてもよい。これは、例えばそれに限定されないが、特定の糸または編み構造タイプを選択することによって達成されてもよい。
一体の縫い目のない構造体としての位置決め安定化構造体3300は、均一の特性を伴って、あるいは、様々な特性を有する2つ以上の部分から、一体に形成されてもよい。2つ以上の位置決め安定化構造体部分は、異なるねじれ、デニール、繊維組成などの2つ以上の異なる糸を使用することによって、したがって、異なる物理特性を位置決め安定化構造体3300に与えることによって異なってもよい。2つ以上の位置決め安定化構造体部分は、2つ以上の様々なニットステッチタイプを使用することによって、したがって、固有の物理特性を2つの部分に与えることによって異なってもよい。
1つの領域は、伸縮性を高めるために例えばエラスタンまたはPBT(ポリブチレンテレフタレートポリエステル)を組み込んでもよいのに対し、他の領域は、耐久性を高めるために例えばナイロンまたはポリエステルを組み込んでもよい。同様に、位置決め安定化構造体3300の1つの領域は1デニールの糸を組み込んでもよいが、他の領域は、クッション性、厚さ、または、嵩をカスタマイズするために、更に高い或いは低いデニール、捲縮、または、性状を有する糸を含んでもよい。
位置決め安定化構造体構成内の2つ以上の部分は、例えば縫い目がない態様で第1の部分を第2の部分に結合するタックステッチまたは他のニットステッチを使用することによって接続されてもよい。これは、第1の部分を編んだ後に、第1の編み部分と第2の編み部分との間のタックステッチを編み、その後、第2の部分を編むことによって達成される。タックステッチは、特に細管丸編み機を使用するときに、ウェール間の部分を縫い目なく接続するために利用される。
位置決め安定化構造体片は、縫い目を伴うことなく仕上げられてもよい。位置決め安定化構造体片が染色していない糸を用いて形成される場合、これは、水溶性繊維を含む糸を用いた編みプロセスを仕上げることによって達成されてもよい。水溶性繊維は、染色プロセスにおいて織物が縮むことができるようにするとともに、きちんと仕上げられた縁部をもたらし、それにより、縁部に付加的な縫い目を形成する必要性を排除する。
製造効率を高めるために、編み機は、ストラップまたは頭頂部構成要素などの一連の結合された位置決め安定化構造体構成要素を形成するために利用されてもよい。すなわち、編み機は、複数の位置決め安定化構造体片を含む単一の構成要素を形成してもよい。位置決め安定化構造体セグメントのそれぞれは、ほぼ同一の形状およびサイズを有してもよい。あるいは、位置決め安定化構造体片のそれぞれは、更には、順次にプログラミングされてもよい異なる形状およびサイズを有してもよい。また、様々な位置決め安定化構造体部分、例えばストラップを切断作業を要することなく分離できるようにするために、編み解放領域(例えば、溶ける糸、緩く編まれる糸、より細かいデニールの糸、または、簡単に裂けるプレースホルダ糸から成ってもよいが、これらに限定されない)が一連の位置決め安定化構造体構成要素に編み込まれてもよい。
6.3.7.11.1.1.1 可変糸番手
他の例において、糸番手は、快適さ、嵌め合い、及び/又は、性能を高めるために織物にわたって変化してもよい。例えば、糸番手は、より大きな剛性を必要とする領域(例えば、頬領域、後頭部)で高くてもよい。しかしながら、より低い剛性が望まれる領域(例えば、ストラップに沿う領域)では、糸番手が低くてもよく、それにより、材料がより容易に屈曲できる。
糸番手、したがって剛性は、糸のタイプ、ステッチのタイプ(例えば、十字ステッチは剛性が高い)、および、ステッチ間の距離によって決定されてもよい。
6.3.7.11.1.1.2 糸
糸は、本技術の位置決め安定化構造体3300を形成するために利用されてもよい。糸は、合成であってもよく、ねじられ或いはテクスチャード加工されてもよく、また、ナイロン、ポリエステル、アクリル、レーヨン、または、ポリプロピレンから形成できるが、これらに限定されない。糸は、従来の短繊維糸、マイクロファイバ糸、または、これらの両方の組み合わせであってもよい。糸は、伸長特性および回復特性を与えるために、デュポン社が提供しているLYCRA商標をもつ繊維などのエラスタン繊維または長繊維を組み込んでもよい。糸は、合成材料、あるいは、綿、ウール、または、竹などの天然繊維、あるいは、シルクなどの天然長繊維から形成されてもよい。
位置決め安定化構造体の任意の構成要素を構成するために使用される糸は、単繊維、または、複数の単長繊維、すなわち、多繊維糸から形成されてもよい。
糸は、それぞれが異なる材料から形成される別個の長繊維を含んでもよい。また、糸は、異なる材料から形成されるシース−コア形態または2つの半体を有する長繊維を伴う複合糸など、それぞれが2つ以上の異なる材料から形成される長繊維を含んでもよい。異なる度合いのねじれ或いは捲縮、および、異なるデニールは、位置決め安定化構造体3300の特性に影響を及ぼし得る。
位置決め安定化構造体構成要素2900を構成するために使用される材料は再利用可能または生分解可能であってもよく、例えば、糸は、再利用可能な或いは生分解可能な繊維または長繊維を含んでもよい。
頭部の背面または襟首に位置される位置決め安定化構造体3300の部位など、大きな摩耗に晒される位置決め安定化構造体3300の部位(例えば、患者の枕と接触している部位または領域であるが、これに限定されない)は、場合により密に形成されてもよく、したがって、重量がより重くなって、拡張しにくくなる場合がある。逆に、この部位は、汗による最大の水分蓄積量に晒される場合があり、したがって、特注の開口パターンを伴う薄いが強力な網状構造から成る必要があるかもしれない。この場合には、耐摩耗性が糸特性にのみ固有のものでなければならないかもしれない。
6.3.7.11.1.2 3D印刷
他の例において、位置決め安定化構造体3300は、3Dプリンタを使用して形作るように製造されてもよい。図143に示されるように、3Dプリンタは、複数の接続リンク2802を印刷するために使用されてもよく、それにより、可撓性の3D印刷布2804が形成される。図144を参照すると、リジダイザアーム3302を含むように位置決め安定化構造体片2900が形成されてもよい。リジダイザアーム3302は穴2922を含み、布2804とリジダイザアーム3302とを一体化するべく布2804が印刷される際に布2804のリンクがこれらの穴2922を通過してもよい。リジダイザアーム3302は、任意の適した材料(例えば、ナイロン12などの高分子、または、金属粉末からの焼結固体、あるいは、添加物製造プロセスとして使用され得る任意の他の材料)から形成され得る。添加物製造(「3D印刷」プロセス)技術が向上するにつれて、リジダイザアーム3302などの硬質構成要素を随意的に封入して布を3D印刷するための材料選択が更に広くなることが想定される。構造は、材料に固有のものとなり得る、あるいは、形状、形態、または、構造体に基づき得る。
また、図145に示されるように、3D印刷ストラップ2924が雄および雌のクリップ2912,2914の穴2912(1),2914(1)に組み込まれてもよい。
6.3.7.11.2 ストラップの成形および仕上げ
図79および図80は、製造の中間ステップにおけるストラップ3301の図を示す。図示の典型的なストラップ3301は、幾つかの例では前述した方法およびプロセスによって製造される編み材料から所定長さにカットされてしまっていないストラップの未加工長さである。例えば、ストラップ3301の最も左側の端部に一対のボタン穴3303を見ることができるが、仕上げられた時点ではその端部に穴だけがある。これは、図81に示されるストラップを製造するためにこれらの穴間で未加工のストラップがカットされてしまうからである。また、図79に示される未加工長さのストラップ3301を形成する編みプロセスは、ストラップの長さに沿って複数の分割領域3326を形成する。しかしながら、図81に示される仕上がったストラップ3301は1つの分割領域3326のみを含む。この場合も先と同様に、これは、仕上げ中に、図79に示される最も右側のボタン穴3303間でストラップ3301がカットされ、そこに示される未加工長さのストラップ3301が複数のストラップへと分離されるからである。
本技術の1つの例によれば、ストラップ3301は、織物に鎖を形成するために複数のバーを有する縦糸ラベリングマシンを使用して形成されてもよい。他の例によれば、ストラップ3301は、2つのサイドストラップ部3315,3316と2つのバックストラップ部3317a,3317bとを中心で結合するための6つのバーを有するComezマシンによって形成されてもよい。更に多いバーをComezマシンに付加することにより、より多くの編み方向に対応してもよい。また、編みプロセスは、分岐点3324で異なる織り方を用いてストラップ3301を形成することを含んでもよい。ストラップ3301の材料が1740番手を含んでもよい。ストラップ3301を編むためのパターンタイプの順序は以下のようになっていてもよい。すなわち、通常、その後にボタン穴、その後に通常、その後に分割、その後に通常、その後にボタン穴、および、その後に通常である。その後、製造されるそれぞれのストラップ3301ごとに、後続のストラップ3301が前進して再びこの同じ順序により編まれる。
本技術の1つの例では、ストラップ3301を編むために使用される糸が二重螺旋状に巻回されてもよい。
見込まれる破壊ポイントに更なる強度を付加するため、ストラップ3301には、これらのポイントに付加的なステッチを形成してもよい。見込まれる破壊ポイントとしては、ボタン穴3303,3304および分岐点3324を挙げることができる。また、更なる補強のために、ストラップ3301の中央に沿って更なる糸が編まれてもよい。
図80は、線80−80を貫いてとられた図79のサイドストラップ部3316の断面図を示す。分岐点3324は、サイドストラップ部3316の分割領域3326と、上側バックストラップ部3317aと下側バックストラップ部3317bとの間の分割とを示しているのが分かる。
また、図79は、ストラップ3301の様々な特徴における寸法L1〜L6も示す。L1は、1つのストラップ3301のボタン穴3303と隣り合うストラップのボタン穴3303との間の距離を示す。技術の1つの例では、L1が約515mmであってもよい。L2は、同じストラップ3301のボタン穴3303間の距離を示し、この値は、1つの例によれば、約500mmであってもよい。L3は、技術の1つの例では約200mmであってもよい分割領域3326の長さを示す。L4は、隣り合うストラップ3301の隣り合うボタン穴3303間の距離を示してもよく、1つの例では約15mmであってもよい。L5は、ボタン穴3303の幅を示してもよく、1つの例では約5mmであってもよい。L6は、ストラップ3301の幅を示してもよく、1つの例では約15mmであってもよい。
図81〜図83は、本技術の一例に係る仕上がったストラップ3301の図を示す。図81において分かるように、ストラップ3301のそれぞれの端部には、たった1つの分割領域3326と、たった1つのボタン穴3303とが存在する。したがって、このストラップ3301が技術の一例にしたがって図79に示されるストラップ3301からカットされて仕上げられてしまっていることが理解されるべきである。また、図81には、例えば会社ロゴまたは他のアートワークの形態を成してストラップ3301上に形成されてもよいストラップロゴ3357が示される。ストラップロゴ3357はパッド印刷または超音波溶着によって形成されてもよい。ストラップロゴ3357が超音波溶着によって形成される場合、これは、理想的な嵌め合い及びストラップ張力を確保するべく患者1000によってバックストラップ部3317a,3317bを広げることを促すために、バックストラップ部3317a,3317bを分岐点3324で広げるのに役立ち得る。
また、図81は溶着端部3311.1,3313.1も示す。前述したように、サイドストラップ部3316は中空または管状の形状に編み込まれてもよい。したがって、端部は、例えば開放端部に沿う裂けを防止する溶着によって閉じられない場合には、開放している。溶着端部3311.1,3313.1は、ストラップ3301の遊離した繊維をシールするために超音波溶着によって形成されてもよい。超音波溶着は、ストラップ3301を構成する織物の伸縮性を低下させる場合があるが、端部でのほつれを減少させるとともに、高応力ポイントで強度を付加するのに役立ち得る。溶着端部3311.1,3313.1はそれぞれのポケット状端部3311,3313付近にあるため、溶着端部は、ストラップ3301がリジダイザアーム3302に対してそれらのそれぞれの突出端部3306で保持されるための強度を与える。言うまでもなく、ポケット状端部3311,3313およびそれらのそれぞれの溶着端部3311.1,3313.1は、技術の1つの例によれば、リジダイザアーム3302に対して保持する及び/又は固定するためのストラップ3301の主要部である。ストラップ3301は、長期の使用後に弾力性を失う場合があるが、ストラップ3301を洗浄して乾燥させることにより、この弾力性の少なくとも一部または全部を回復させることができることが理解されるべきである。
Pilario(商標)マスク用のFisher & Paykel(商標)によって提供されるStretchWise(商標)ヘッドギアは、ヘッドギアストラップの硬質プラスチックフック状端部とマスクフレーム上に位置される硬質プラスチック垂直バーとの間に硬質の取り外し可能な回動接続部を有する。一方、本技術の1つの例のストラップ3301は、該ストラップ3301とマスクフレーム3310との間に硬質の取り外し可能な接続部を有さず、これにより、硬質構成要素の繰り返しの係脱後のフック状端部のクリープおよび破壊などの問題が回避される。StretchWise(商標)ヘッドギアの硬質のフック状端部を実質的に変形させてそれを硬質バーに対して係脱させるためにはかなりの大きさの力が必要とされる。一方、本技術のリジダイザアーム3302は、そのようなかなりの力を伴うことなく、ストラップ3301のボタン穴3303内に挿入されて、ストラップ3301のポケット状端部内に保持される。これは、ストラップ3301をマスクフレーム3310に接続するため或いはストラップ3301をマスクフレーム3310から取り外すためにリジダイザアーム3302またはストラップ3301のいずれかの塑性変形が必要とされないからである。StretchWise(商標)ヘッドギアの他の欠陥は、ヘッドギアストラップを洗浄した後にヘッドギアストラップの弾力性がほぼ当初のレベルの弾力性まで回復しないことである。言い換えると、StretchWise(商標)ヘッドギアは経時的に緩くなる。
図80に類似する図82は、図81の線83−83を貫いてとられたストラップ3301の断面図を示す。分割領域3326の開始を示す分岐点3324を見ることができる。また、この図では、ストラップロゴ3357がサイドストラップ部3316から隆起されるのが分かる。
図83は、ストラップ3301の詳細図を示し、特にストラップロゴ3357を示す。また、分岐点3324を分割領域3326のはじめに見ることができる。
図81は、典型的なストラップ3301の特徴を表す更なる寸法も示す。L7は、溶着端部3311.1,3313.1におけるストラップ3301の仕上げ端部間の距離を示してもよく、1つの例では約5mmであってもよい。L8は、溶着端部3311.1,3313.1の幅を示してもよく、1つの例では約1mmであってもよい。
6.3.7.12 患者インタフェースおよび位置決め安定化構造体の着用
典型的な患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300は、本技術の様々な例にしたがって簡単であるが調節可能な態様で着用されてもよい。以下で更に詳しく説明されるように、図84〜図112は、着用者(すなわち患者)1000が患者インタフェース3000と位置決め安定化構造体3300とを着用して調節する様々な手順を描く。
図84〜図88は、患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を着用する患者1000の一連の斜視図を示す。図84において、患者1000は、患者インタフェース3000を保持してシール形成構造体3100を鼻に当て付けて配置することにより、患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を着用し始める。その後、図85は、位置決め安定化構造体3300を着用し始めている患者1000を示す。患者1000は、分割領域3326付近でストラップ3301を一方の手で引っ張りつつ、他方の手で患者インタフェース3000を保持して、頭部を乗り越えるようにストラップ3301を伸長させる。その後、図86は、一方の手で分割領域3326を依然として保持するとともに他方の手で患者インタフェース3000を保持しつつ、ストラップ3301を頭部の背面へ向けて更に引張っている患者1000を示す。このステップの完了時、患者インタフェース3000を患者1000の鼻に当て付けて保持するために、ストラップ3301は、適切な引張りシール力が位置決め安定化構造体3300に配されるように、頭頂部付近および後頭葉付近または後頭葉よりも上側で頭部の背面に位置されなければならない。その後、図87は、リジダイザアーム(これらの図では見えない)を頬骨の下側に位置させるとともに鼻に対するシール形成構造体3100の嵌め合いを調節して完全なシールを確保するために位置決め安定化構造体3300を調節する患者1000を示す。リジダイザアーム3302を頬骨の下側に位置させることにより、位置決め安定化構造体3300は、患者1000の顔面上をずり上がって患者の視線内に入ることが防止され得る。その後、図88は、患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を身に着けて治療に備える患者1000を示す。
図89〜図93は、患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を着用している患者1000の一連の側面図を示す。図89は、一方の手で患者インタフェース3000を保持してそれを鼻へ向けて引き上げつつ他方の手で位置決め安定化構造体3300のストラップ3301を保持する患者1000を示す。この時点では、ストラップ3301が著しく伸長されなくてもよい。図90は、一方の手で患者インタフェース3000、特にシール形成構造体3100を鼻に当て付けて位置させるとともに他方の手で位置決め安定化構造体3300のストラップ3301を引っ張ってそれを頭部を乗り越えるように伸長させる患者1000を示す。分割領域3326での分離もストラップ3301の引張りに起因して同様にうまくいくのが分かる。図91は、依然としてシール形成構造体3100および患者インタフェース3000を鼻に当て付けて保持しつつ位置決め安定化構造体3300のストラップ3301を頭部の背面へ向けて更に引っ張る患者1000を示す。この時点で、患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を着用する最初のステップは、ストラップ3301が患者1000の頭部の背面に当て付いて位置されるようにほぼ完全でなければならない。その後、図92は、頬骨に対するリジダイザアーム3302の適切なシールおよび適切な位置を確保するためにシール形成構造体3100および患者インタフェース3000を鼻に対して調節する患者1000を示す。その後、図93は、患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を身に着けて治療に備える患者1000を示す。
図94〜図98は、患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を着用する患者1000の一連の正面図を示す。図94は、患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を着用し始めている患者1000を示す。一方の手で患者インタフェース3000を保持するとともに他方の手で位置決め安定化構造体3300のストラップ3301を保持して、患者1000は、患者インタフェースおよび位置決め安定化構造体を顔面へ向けて引き上げる。図95は、位置決め安定化構造体3300を一方の手で持ってストラップ3301を僅かに伸長させた患者1000を示す。また、図95は、シール形成構造体3100を鼻に当て付けて配置するために鼻の近傍において他方の手で保持される患者インタフェース3000も示す。図96は、位置決め安定化構造体3300のストラップ3301を伸長させて頭部を乗り越えるように引っ張るとともに頭部の背面に対してストラップ3301を位置決めしつつ、シール形成構造体3100および患者インタフェース3000を鼻に当て付けて保持してしまっている患者1000を示す。図97は、その後、位置決め安定化構造体3300が患者の視線内へとずり上がらないように且つシール形成構造体3100によって鼻孔に対するシールを維持できるように、頬骨下でシールするべくリジダイザアーム3302を快適な位置に位置決めすることによって位置決め安定化構造体3300および患者インタフェース3000を調節する患者1000を示す。その後、図98は、患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を身に着けて治療に備える患者1000を示す。
図99〜図104は、患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を着用する患者1000の一連の斜視図を示す。図99は、一方の手でストラップ3301を保持するとともに他方の手で患者インタフェース3000を保持しつつストラップ3301を伸長させることによって患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を着用し始める患者1000を示す。その後、図100は、患者インタフェース3000を顔面へ向けて引き上げるとともに頭部の背面上でストラップ3301を引っ張ることによって患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を頭部上に配置する患者1000を示す。その後、図101は、一方の手でシール形成構造体3100を鼻孔に当て付けて配置しつつストラップ3301を頭部の背面付近で伸長状態に保持する患者1000を示す。その後、図102は、ストラップの引張りシール力を解放し始めることによってストラップ3301を頭部の背面に位置決めする患者1000を示す。図102において、患者1000は、引張りシール力がストラップ3301から解放される際に適切なシールが保持されるようにするために、依然として患者インタフェース3000を鼻に当て付けて保持している。図103は、適切な嵌め合い及びシールを確保するとともに頬骨下にリジダイザアームを位置決めするために患者インタフェース3000を鼻孔に対して調節する患者1000を示す。その後、図104は、患者インタフェース3000および位置決め安定化構造体3300を身に着けて治療に備える患者1000を示す。
図105〜図107は、シール形成構造体3100による適切なシールを確保するために患者インタフェース3000を鼻孔に対して調節する患者1000の斜視図を示す。図105から図107まで、患者1000は、シール形成構造体3100を用いた鼻に対するシールを完了するために患者インタフェース3000を更に下方へと鼻に対して徐々に傾けているのが分かる。これらの図は、一方の手で患者インタフェース3000を調節する患者1000を示すが、2つの手で患者インタフェース3000を位置決めして調節できることが理解されるべきである。
図108〜図112は、頭部の背面に対して位置決め安定化構造体3300を調節する患者1000の一連の背面図を示す。図108は、頭部の背面に当接している位置決め安定化構造体3300を示す。ストラップ3301は、この位置では、その最大の大きさの引張りシール力を有する。その後、図109は、一方の手で上側バックストラップ部3317aを握り且つ他方の手で下側バックストラップ部3317bを握るとともにこれらのバックストラップ部3317a,3317bを分割領域3326で引き離している患者1000を示す。これらのバックストラップ部3317a,3317bを引き離すことによって位置決め安定化構造体3300における引張りシール力が図108に示される位置から減少していることが理解されるべきである。これは、バックストラップ部3317a,3317bが鼻孔に対して一定の位置に静止している患者インタフェース3000へと近づくようになるからである。バックストラップ部3317a,3317bを患者インタフェース3000へと近づけることによって、ストラップ3301の伸長長さが減少され、それにより、ストラップの引張りシール力が減少される。図110は図109に類似するが、この図では、患者1000が上側バックストラップ部3317aおよび下側バックストラップ部3317bを更に引き離してしまっている。バックストラップ部3317a,3317bの広がりに起因して位置決め安定化構造体3300における引張りシール力が更に減少してしまっていることが理解されるべきである。図111は、上側バックストラップ部3317aおよび下側バックストラップ部3317bを広げ離している患者1000の更なる図を示す。引張りシール力は、図110に示される位置から再び減少される。また、この時点で、患者1000は、所望レベルの引張りシール力に合わせた位置決め安定化構造体3300の調節をほぼ完了してしまっている。上側バックストラップ部3317aが頭頂付近に位置されてもよく、また、下側バックストラップ部3317bが後頭葉付近またはそれよりも下側に位置されてもよい。その後、図112は、位置決め安定化構造体3300が所望レベルの引張りシール力に完全に調節された患者1000を示す。この場合も先と同様に、上側バックストラップ部3317aが頭頂付近に位置されてもよく、また、下側バックストラップ部3317bが後頭葉付近またはそれよりも下側に位置されてもよい。更に、上側バックストラップ部3317aと下側バックストラップ部3317bとが引き離されるにつれて位置決め安定化構造体3300における引張りシール力が減少するため、それにしたがってθが増大することも理解されるべきである。これらの図に示されないが、図108では、θが約0°であってもよく、また、θは、調節シーケンスによって増大する。θが図112における約180°の最大値まで増大してしまった場合には、位置決め安定化構造体3300における引張りシール力が図108における引張りシール力の約40%であってもよい。本技術の他の例では、例えば、リジダイザアーム3302が分岐点3324まで延在してバックストラップ部3317a,3317b内へと僅かに延在する上側アームおよび下側アームの両方に分かれる場合には、上側バックストラップ部3317aと下側バックストラップ部3317bとの分岐の最初のポイントで角度θを所定値に維持することができてもよい。このことは、バックストラップ部3317a,3317bを分けてヘッドギア張力を調節するように患者1000に促すことができる。また、それは、例えば外部シームテープまたはプラスチッククリップを使用して、サイドストラップ部3315,3316がバックストラップ部3317a,3317bと合流するY形状部分で分岐点3324を補強する。そのようなプラスチッククリップは、該クリップ上にブランド情報およびロゴ情報をパッド印刷することにより、ブランド設定の機会を与えることができる。
本技術の1つの形態では、位置決め安定化構造体3300がフレーム3310との2つの接続ポイントを有し、そのため、2つのリジダイザアーム3302と、分割領域3326を伴う単一の中空ストラップ3301とが存在する。このタイプの患者インタフェース3000に伴う1つの問題は、何れのバックストラップ部3317a,3317bがより多く引っ張るかに応じて分割領域3326がずり上がる或いはずり下がることである。この問題に対処するため、患者の頭部の背面と接触する分割領域3326は、両方向(上下方向)の引張りにおいて均一な分布を有する。したがって、ずり上がり又はずり下がりの問題が軽減される。
位置決め安定化構造体3300は、少なくとも1つのストラップ3301(例えば図166参照)と、少なくとも1つの硬質要素またはリジダイザアーム3302(例えば図19参照)とを備えてもよい。ストラップは、弾性材料から形成されてもよく、また、弾性特性を有してもよい。言い換えると、ストラップ3301は、例えば伸長力によって弾性的に伸長されてもよく、また、伸長力の解放時には、その当初の長さに戻る或いは収縮する。ストラップ3301は、エラスタン、TPE、シリコーンなどの任意のエラストマー材料から形成されてもよく或いは該エラストマー材料を備えてもよい。また、ストラップ材料は、前記材料のいずれかと他の材料との組み合わせに相当してもよい。ストラップ3301は、単層ストラップであってもよく、あるいは、多層ストラップであってもよい。ストラップ3301の側、特に、使用中に患者と接触する側は、織られ、編まれ、編組され、成形され、押し出され、あるいは、整形されてもよい。これは、ストラップ3301がそれぞれの特性を呈する材料の層から形成され或いはそのような層を備えることによって達成されてもよい。ストラップ3301は、織り材料などの布材料を備えてもよく或いはそのような布材料から形成される。そのような材料は、一方では、触覚特性などの望ましい有益な表面特性を与えるために、人工の或いは天然の繊維を備えてもよい。他方では、ストラップ材料は、所望のエラストマー特性を与えるためにエラストマー材料を含んでもよい。
図65〜図145において、ストラップ3301は、シール形成構造体3100に対して直接に或いはフレーム3310を介して取り付けられるための1つの個々のストラップであるとして示される。しかしながら、ストラップ3301が互いに接続される或いは接続されてもよい複数の個々のストラップを備えてもよいことが分かる。しかしながら、ストラップが患者インタフェースまたはコネクタなどの他の硬質要素に対して固定される場所を変えることによって調節が行われてもよい。これに加えて或いは代えて、調節は、(例えば図75、図76、および図166に示されるように)ラダーロッククリップ上にわたるスライドなどの機構をバックストラップまたはサイドストラップに加えることによって、或いはさもなければ、ストラップ3301および位置決め安定化構造体3300の弾性長さをそれぞれ調節することによって可能にされ得る。
6.3.7.13 リジダイザアーム3302
図19および図166において分かるように、本技術の一例は、患者インタフェース3000を患者1000に対して保持するために補強ヘッドギアを備えてもよい。この例を描く図面に示されるように、位置決め安定化構造体3300は少なくとも1つのリジダイザアーム3302を含んでもよい。
技術のこの例において、患者インタフェース3000のシール形成構造体3100は、リジダイザアーム3302の支持によって患者1000の鼻の下面の所望の位置に保持される。位置決め安定化構造体3300は、患者インタフェースがシール形成構造体3100を除いて患者1000と接触しないように患者インタフェース3000を位置決めしてもよい。
特定の従来技術例において、患者インタフェースは、患者の上唇に少なくとも部分的に当接するようになっていてもよく、そうすることで、米国特許第7,900,635号に記載されるように、患者の上唇の前面は、患者インタフェースを所望の位置に保持するための支持の指標を与える。しかしながら、この例では、図18および図19において分かるように、患者インタフェース3000が患者1000の上唇に当接しないことが望ましい。特に、図19は、プレナムチャンバ3200の後壁3220が隙間または間隔Sだけ患者1000の鼻中隔及び/又は上唇から離間されて示されることを示す。この配置は、長期の着用中にプレナムチャンバ3200の後壁3220との接触および摩擦によって患者1000の鼻中隔及び/又は上唇が炎症または損傷することを防止するという利点を有する。鼻中隔及び/又は上唇の特定の場所に圧力が集中するのを避けることにより、皮膚損傷および痛みの原因が生じることを防止できる。
患者の鼻中隔及び/又は上唇がプレナムチャンバ3200の後壁3220から離間されるこの特定の例の配置は、図19および図166において分かるように、リジダイザアーム3302によって達成される。図19に示されるように、位置決め安定化構造体3300のリジダイザアーム3302は、鼻唇溝(図2c参照)のほぼ上側で患者1000の頬に当て付いて支持されてもよい。位置決め安定化構造体3300のリジダイザアーム3302には、患者の頬骨まで患者の対応する頬領域の湾曲に近づけるために、湾曲プロファイル3323に所定の湾曲が形成されてもよい。リジダイザアーム3302は、フレーム3310との接続点からリジダイザアーム3302の遠位端の自由端部3302.1まで、頬領域のかなりの部分を横切って延在してもよい。フレーム3310との接続点からリジダイザアーム3302の遠位端の自由端部3302.1までの間の距離は約120mmである。リジダイザアーム3302は、患者の顔面から離れるように鼻翼と略平行に、所定の角度で、例えばほぼ直角に延在してもよい。言い換えると、リジダイザアーム3302の主要部分3333の内面、特に湾曲プロファイル3323の内面は、患者の頬領域のかなりの部分と接触して該部分を横切って延在する。この接触は、患者の顔面に対する患者インタフェース3000の半固定状態での位置決め及びロックをもたらす。この接触は、患者の顔面に対するリジダイザアーム3302の任意の垂直移動を最小限に抑える。また、少なくとも鋭い屈曲部3307付近の湾曲プロファイル3323の領域は、患者の頬骨または頬との接触を維持するようになっている。患者1000が自分の顔面の一方側をベッド枕に当て付けた状態で横たわるときに、ベッド枕上のリジダイザアーム3302及び/又は延在部3350または可撓性ジョイント3305の一部に対して及ぼされる力は、最小限に抑えられ、あるいは、他のリジダイザアームに伝わることが防止される。これは、そのリジダイザアーム3302の鋭い屈曲部3307および延在部3350が、そのような力を、患者の気道とのシールに影響を及ぼす前に大部分吸収するからである。言い換えると、湾曲プロファイル3323の領域が患者の頬と接触するとともに、延在部3350または可撓性ジョイント3305によるこの力の何らかの吸収が存在するため、位置決め安定化構造体3300に作用する横方向の力が少なくとも部分的に切り離される。
また、リジダイザアーム3302が患者インタフェース3000の分離をサポートしてもよく、それにより、鼻中隔及び/又は上唇に対する患者インタフェース3000の望ましくない接触を引き起こさない位置で患者インタフェース3000を保持する位置決め安定化構造体3300の張力により、患者インタフェース3000を患者の鼻の下面の望ましい位置に位置決めすることができる。更に、リジダイザアーム3302は、後壁3220が患者の鼻中隔及び/又は上唇から間隔Sだけ距離を隔てるように寸法付けられてもよい。また、位置決め安定化構造体3300の張力は、鼻に押し付くように患者1000の顔面へ向けて内側に対抗することなく、リジダイザアーム3302の幅および広さの全体にわたって主に患者の頬に伝えられる。この典型的な配置は有益である。これは、保持力を放散するために比較的大きな顔面領域である頬の組織を使用することにより、その軟骨性に起因してより敏感となり得る患者の鼻及び/又は上唇を使用する場合と比べて、より大きな快適さを患者に与えることができるからである。また、この典型的な配置は、患者の鼻の下面で患者の気道に対してシールを形成するのに十分な大きさの力を伴ってシール形成構造体3100を保持できるようにする一方で、保持力が患者1000に不快感を引き起こすレベルまで増大できないようにする。
リジダイザアーム3302とプレナムチャンバ3200との間の接触を回避することが望ましい場合がある。したがって、プレナムチャンバ3200は、リジダイザアーム3302との接触を回避するべく十分に幅広く形成されてもよい。
6.3.7.14 リジダイザアームに対するヘッドギアストラップの伸長
図166に示される例では、2つのリジダイザアーム3302が位置決め安定化構造体3300のストラップ3301の左右のサイドストラップ部3315,3316内に挿入され、リジダイザアーム3302が周囲のストラップ3301によって所定位置に保持されると同時に、ストラップ3301のスリーブ状形態によってストラップの少なくとも一部がリジダイザに対して伸長する或いは移動することができる。リジダイザアーム3302は、それがストラップ3301内に収容されるため、この図では見ることができない。
先の節で説明されたリジダイザアーム3302に対するストラップ3301の取り付けは、位置決め安定化構造体3300が受け入れることができる頭部のサイズにも影響を及ぼし得る。言い換えると、リジダイザアーム3302に沿ってより大きな長さのストラップ3301を設けることにより、位置決め安定化構造体3300の全体の伸長可能長さを増大させることができてもよく、それにより、ストラップの伸縮性を高める必要なく、より一層大きな頭部を受け入れることができてもよい。更に、ストラップ3301が接続される場所をリジダイザアーム3302の長さに沿って変えることができてもよい。これにより、なしでなお一層大きな範囲の頭部サイズを受け入れることができる。
したがって、リジダイザアーム3302は、スリーブの長さに沿ってほぼ制限なく移動することが許容されてもよく、スリーブ3301に取り付けられてもよく、あるいは、スリーブの端部のうちの一方と隣り合ってもよい。
6.3.7.15 位置決め安定化構造体の分割されたバックストラップ
1つの態様によれば、ストラップ3301および位置決め安定化構造体3300の構造は有益である。特に、図166が描くように、2つの弾性ストラップまたはストラップ部3317a,3317bを背部に設けると、これらのストラップを適切に位置決めすることにより、例えば広げることによって、頭部を包囲して張力ベクトルを調節することができる。また、2つのバックストラップ部3317a,3317bを設けると、頭部の背面の特に敏感な領域を避けて、より良好な支持および安定性も得られ、また、可撓性を高めることができる。
頭部の背面にある2つの小さいストラップまたはストラップ部3317a,3317bは、長さが等しくてもよく、また、材料の弾力性による場合を除いて、あるいは、位置決め安定化構造体のアームでの全長を短くすることによって両方のストラップ部の締め付けを等しく高めることによる場合を除いて、調節不可能である。例えば、ストラップを異なる程度まで重ね合わせることができるようにし、それにより、位置決め安定化構造体3300の全長を変えるスライド機構(図示せず)が設けられてもよい。
前述したように、ストラップ3301を1つの連続した部品にせず、2つ以上のジョイントを設けて、3つ、4つ、あるいは、それ以上の別個のストラップから位置決め安定化構造体3300を形成することができる。これは、組み付けを複雑にし得るが、製造プロセスを簡略化できる。ジョイントは、サイドストラップ部3315,3316と2つのバックストラップ部3317a,3317bとの間の分岐またはY接合部に配置されてもよく、あるいは、背部に集中されてもよい。ジョイントは、縫い付けられ、溶着され、接着され、あるいは、オーバーモールドされてもよく、また、頭部上での移動を減らすのに役立つように高摩擦材料を組み込むことができる。
本技術の1つの例では、ストラップ3301の1つ以上の糸が接着剤または糊から成ってもよい。ストラップ3301がこの糸を用いて製造された後、接着糸または糊糸の領域或いはその付近の領域でストラップ3301を補強するべく、ストラップ3301に熱が加えられ、それにより、接着糸または糊糸が溶かされる。
高摩擦材料は、ストラップの滑りを減らすべく、バックストラップ部およびサイドストラップ部3315,3316,3317a,3317bの内面に加えられてもよい。アームまたはサイドストラップ部3315,3316に関して、このことは、位置決め安定化構造体3300が頬上にとどまることを助け、また、バックストラップ部3317では、それにより、位置決め安定化構造体3300が頭部の背面を横切ってスライドすることを阻止できる。そのような材料は、表面上に印刷され、流し込まれ、または、成形されてもよく、あるいは、前述したようにジョイント、裁縫または溶着のプロセスに組み込まれてもよい。
患者の頭部の背面にある分割領域3326は、安定性のために、2つ、3つ、または、それ以上のストラップ3317a,3317bを含んでもよい。前述したような位置決め安定化構造体3300がフルフェースマスク(鼻および口のための1つ以上のシール)または鼻マスクと共に使用されてもよい。
バックストラップ部3317a,3317bが完全に離れるように分けられること或いは所定距離を超えて分けられることを防止するためにバックストラップ部3317a,3317b間で許容される最大距離を制限できる或いは制約できることが想定し得る。分割領域3326を横切る結合ストラップまたは分割領域3326を横切る網をバックストラップ部3317a,3317bに接続して、所定距離を超えて離れるように分かれることができるバックストラップ部の能力を制限してもよい。
6.3.7.16 マスクフレームとリジダイザアームとの間の接続
図35〜図64を参照して以下で更に詳しく説明されるべき本技術の例によれば、患者インタフェース3000は、マスクフレーム3310とリジダイザアーム3302とを含んでもよい。以下の説明から明らかなように、リジダイザアーム3302は、位置決め安定化構造体3300のストラップ3301を患者の眼および視線から離れるように方向付けつつ、患者の気道に対するシール形成構造体3100の効果的なシールを確保するために、位置決め安定化構造体3300の1または複数のストラップ3301により生み出される張力のベクトルを所望の方向に向けるように機能してもよい。したがって、シール力の有効な方向を促すようにリジダイザアーム3302およびマスクフレーム3310が形成されて接続されなければならないことも理解されるべきである。患者の顔面および頭部の様々な形状およびサイズを受け入れるためにリジダイザアーム3302がマスクフレーム3310に対して屈曲できるようにすることが有益な場合がある。患者の快適さを高めるために、リジダイザアーム3302とマスクフレーム3310との間の屈曲の方向および度合いが特に制御されてもよい。可撓性ジョイント3305がこれを達成してもよく、あるいは、リジダイザアーム3302がマスクフレーム3310に直接に接続されてもよい。
6.3.7.16.1 リジダイザアームとマスクフレームとを接続するための可撓性ジョイント
図35〜図38を参照すると、患者インタフェース3000は、一般に、マスクフレーム3310と、リジダイザアーム3302と、可撓性ジョイント3305とを備えて設けられる。保持構造体3242が取り外し可能にマスクフレーム3310と着脱できてもよい。保持構造体3242は、シール形成構造体3100をマスクフレーム3310上に保持してもよい。リジダイザアーム3302は、熱硬化性物質または熱可塑性物質から形成されてもよい。例えば、デュポン(商標)によって製造されるHytrel(登録商標)5556は、優れた耐クリープ性を有するとともにリジダイザアーム3302のための材料として使用されてもよい熱可塑性高分子エラストマーである。リジダイザアーム3302は、呼吸療法を施すべく患者の顔面上の所定位置にマスクフレーム3310を位置決めして保持するための位置決め安定化構造体3300の一部であってもよい。1つの例において、位置決め安定化構造体3300は、その遠位端に2つのリジダイザアーム3302を有する。各リジダイザアーム3302は、マスクフレーム3310の両側に取り外し不能に接続されてもよい。
弾性織物ストラップ3301は、例えば参照によりその全体が本願に組み入れられる2012年7月27日に出願された米国仮出願第61/676,456号に開示されるような位置決め安定化構造体3300を形成するために、各リジダイザアーム3302上にわたって滑らされてもよい。弾性織物ストラップ3301は、患者1000の頭部の周囲で延在してもよく、また、自動調節を行うために分岐されてもよい。また、リジダイザアーム3302は、弾性織物ストラップ3301のポケット状端部を保持する突出端部3306を含んでもよい。一例において、リジダイザアーム3302は、ポケット状端部付近のボタン穴に挿通されて、中空の弾性織物ストラップ3301内へと挿入される。患者インタフェース3000が着用される際に弾性織物ストラップ3301が伸長されると、弾性織物ストラップ3301のヘッドギア張力ベクトルおよび伸長の方向は、リジダイザアーム3302の形状および外形によって案内される。突出端部3306は、マスクフレーム3310付近のリジダイザアーム3302の基部の固定アンカーであり、弾性織物ストラップ3301の伸長のための始点を与える。突出端部3306は、マスクフレーム3310およびリジダイザアーム3302とは別個に弾性織物ストラップ3301の洗浄を容易にするために、弾性織物ストラップ3301をリジダイザアーム3302に対して接続および取り外しできるようにする。また、リジダイザアーム3302は、弾性織物ストラップ3301を眼から離したまま耳よりも上側に保つことにより、顔面を枠で囲み、それにより、患者は患者インタフェース3000を邪魔にならないと感じるようになる。リジダイザアーム3302は、一般に、所定の厚さの平坦なアームであってもよい。リジダイザアーム3302の厚さは、その長さに沿って変化してもよく、遠位端の自由端部3302.1で約1mmであってもよく、また、可撓性ジョイント3305との接続ポイント付近のリジダイザアーム3302の遠位端部まで湾曲プロファイル3323に沿って厚さが1.5mmまで徐々に増大する。遠位端の自由端部3302.1はリジダイザアーム3302の他の領域に対して少ない材料を有するため、リジダイザアーム3302の他の領域が屈曲し始める前に最初に遠位端の自由端部3302.1またはその付近でリジダイザアーム3302の任意の屈曲が起こる傾向がある。屈曲の順序は快適さを高めるようになっている。これは、遠位端の自由端部3302.1が顔面の特に敏感な領域となり得る患者の耳、頬骨、および、こめかみに近く、また、曲げおよび変形に対する順応および低い抵抗が必要とされ得るからである。鋭い屈曲部3307は、可撓性ジョイント3305との接続ポイント付近のリジダイザアーム3302の遠位端部に設けられてもよい。鋭い屈曲部3307は、ほぼ90°以下の角度であってもよい。また、鋭い屈曲部3307は、リジダイザアーム3302をマスクフレーム3310に対して所定位置に固定するために剛性の増大をもたらしてもよい。鋭い屈曲部3307は、長手方向の伸長を妨げ或いは最小限に抑えてもよい。また、鋭い屈曲部3307は、リジダイザアーム3302の圧縮を受け入れてもよい。前頭面内で力がリジダイザアーム3302の側面に加えられる場合には、鋭い屈曲部3307またはその付近で屈曲の大部分が起こり得る。
可撓性ジョイント3305は、リジダイザアーム3302とマスクフレーム3310との間に設けられてもよい。可撓性ジョイント3305は、高い弾性特性を与える熱可塑性エラストマー(TPE)から形成されてもよい。例えば、Dynaflex(商標)TPE化合物またはMedalist(登録商標)MD115が使用されてもよい。マスクフレーム3310はポリプロピレン(PP)材料から形成されてもよい。PPは、良好な耐疲労性を有する熱可塑性高分子である。可撓性ジョイント3305の利点は、それによりリジダイザアーム3302とマスクフレーム3310とを互いに取り外し不能に接続できるという点であってもよい。Hytrel(登録商標)およびPPは、共有結合または水素結合を形成することによって互いに一体に結合され得ない。一体結合は、化学結合を含むが、付加的な接着物質の使用を伴わない。一例において、リジダイザアーム3302には、該リジダイザアーム3302の遠位端部から外側に延出する突出部3309が設けられる。図38を参照すると、突出部3309の内面3318はリジダイザアーム3302の表面であり、該表面から突出部3309が延在する。突出部3309の外側露出面3319は内面3318と反対側である(図38参照)。突出部3309は、突出部3309の中心領域に空隙3320を有してもよい。空隙3320は、上面3321から突出部3309を貫通して突出部3309の下面3322へと略垂直に延在してもよく、また、その外周にわたって突出部3309により取り囲まれてもよい。外面3319は、突出部3309を越えて延在する略平坦面であってもよい。上から見ると、突出部3309は、中心領域に空隙3320が見える略T形状の断面を有してもよい。突出部3309は、突出端部3306に代えて或いは加えて弾性織物ストラップを保持する役目を果たしてもよい。
可撓性ジョイント3305の他の利点は、それがリジダイザアーム3302よりも相対的に可撓性が高いという点であってもよい。この可撓性は、TPE材料と可撓性ジョイント3305の構造的特徴との組み合わせによって与えられてもよい。構造的には、可撓性ジョイント3305は、所定の度合いの屈曲を可能にするための所定の厚さを有してもよく、また、可撓性ジョイント3305の曲率の大きさは、屈曲度合いに寄与するように選択されてもよい。可撓性ジョイント3305は、マスクフレーム3310に対してその長手方向軸線を中心に径方向に屈曲することができてもよいが、他の方向の屈曲に対して抵抗力があってもよい。この可撓性は、患者インタフェース3000に自動調節機能を与えてもよく、また、顔の輪郭、鼻傾斜、または、睡眠姿勢に対するずれを補償してもよい。この屈曲は、大部分の患者の人体測定学的範囲を受け入れてもよい。この位置では、リジダイザアーム3302自体内の可撓性と比べてより大きな可撓性が必要とされる場合がある。また、屈曲は特定の方向に制限されるため、マスクフレーム3310の安定性を高めることができるとともに、位置決め安定化構造体3300の弾性織物が調節を必要とする場合にはマスクフレーム3310の位置を鼻および口に対してほぼ維持することができる。
可撓性ジョイント3305がマスクフレーム3310にオーバーモールドされてもよい。PPとTPEとを互いに一体に結合することができる。言い換えると、可撓性ジョイント3305とマスクフレーム3310との間の融着結合または化学結合(分子付着)が想定し得る。これは、可撓性ジョイント3305とマスクフレーム3310との間の取り外し不能な接続を形成してもよい。可撓性ジョイント3305は、リジダイザアーム3302の突出部3309にオーバーモールドされてもよい。TPEとHytrel(登録商標)とを互いに一体に結合することができない。しかしながら、本技術の一例に係るオーバーモールド中には、可撓性ジョイント3305のためのTPE材料が突出部3309の空隙3320内へ流れ込むとともに突出部3309の周囲で流れる。TPE材料は、突出部3309の前後面および上下面3321,3322を取り囲む。その結果、機械的連結を与えて、可撓性ジョイント3305とリジダイザアーム3302との間に取り外し不能な接続を形成することができる。突出部3309の外面3319は、可撓性ジョイント3305の外面と同一平面上にあってもよい。これは視覚的に見て美しい。
図42〜図46を参照すると、他の例では、リジダイザアーム3302の遠位端部に延在部3350があってもよい。延在部3350は、リジダイザアーム3302の外面からステム3361を介して突出してもよい。延在部3350は、上から見たときにL形状を成してもよい。延在部3350は、該延在部3350の第1の部分3363を第2の部分3364から分離する約90°の鋭い屈曲部3307を有してもよい。第1の部分3363は、遠位端部でリジダイザアーム3302の外面と平行な平面内で方向付けられてもよい。第1の部分3363の端部3363Aが湾曲状の角部を有してもよい。第2の部分3364は、第1の部分3363よりも小さい高さ及び厚さを有してもよい。したがって、第2の部分3364の上縁および下縁は、第1の部分3363の上縁および下縁から後退されてもよい。また、リジダイザアーム3302は、弾性織物ストラップ3301のポケット状端部3311を保持する突出端部3306を含んでもよい。ステム3361は、突出端部3306に代えて或いは加えて弾性織物ストラップを保持する役目を果たしてもよい。
第2の部分3364が第1の突出部3365と第2の突出部3366とを有してもよい。突出部3365,3366は、リジダイザアーム3302から外側方向で横に延在してもよい。第1の突出部3365に隣接して第1のスロット3367があるとともに、第2の突出部3366に隣接して第2のスロット3368がある。スロット3367,3368はそれぞれ、第2の部分3364の厚さを貫通する空隙を形成してもよく、また、突出部3365,3366とほぼ同じ高さを有してもよい。
TPEから形成される可撓性ジョイント3305は、リジダイザアーム3302の延在部3350の第2の部分3364にオーバーモールドされてもよい。オーバーモールド中、TPE材料がスロット3367,3368を通じて流れて突出部3365,3366を取り囲んでもよい。第2の部分3364の大部分が可撓性ジョイント3305のTPE材料によって取り囲まれてもよい。これは、可撓性ジョイント3305をリジダイザアーム3302に取り外し不能に接続できるようにする機械的連結を与えてもよい。第2の部分3364は第1の部分3363よりも小さい高さ及び厚さを有してもよいため、第2の部分3364にオーバーモールドされるTPE材料は第1の部分3363を越えて過度に突出しなくてもよい。また、可撓性ジョイント3305は、該可撓性ジョイント3305およびリジダイザアーム3302をマスクフレーム3310に接続するためにマスクフレーム3310にオーバーモールドされてもよい。
先に説明された例と同様に、リジダイザアーム3302に対して相対的に大きい可撓性が可撓性ジョイント3305によって与えられてもよい。この位置での屈曲および屈曲方向の制御は、大部分の患者の人体測定学的範囲に対応することができ、また、使用時に患者インタフェース3000の安定性を維持する。
6.3.7.16.2 リジダイザアームとマスクフレームとの間の直接的な接続
図39〜図41を参照すると、他の例では、TPEから形成される可撓性ジョイント3305が必要とされなくてもよい。延在部3350が使用されてもよい。リジダイザアーム3302は、湾曲プロファイル3323と鋭い屈曲部3307とを備える本体または主要部分3333を有してもよい。リジダイザアーム3302は、弾性織物ストラップのポケット状端部を保持する突出端部3306を含んでもよい。湾曲プロファイル3323は、その長手方向軸線の大部分に沿って、患者の顔面の輪郭に厳密に従うべく鈍角に対応するように形成されてもよい。リジダイザアーム3302の遠位端部には、鋭い屈曲部3307の後に延在部3350が設けられてもよい。延在部3350は、前頭面内でリジダイザアーム3302から外側に突出してもよい。延在部3350がリジダイザアーム3302から突出するポイントで凹部3329(図40、図50、図57、図58参照)がリジダイザアーム3302の表面に形成されてもよい。延在部3350の高さは、リジダイザアーム3302の主要部分3333の高さより低くてもよい。これにより、リジダイザアーム3302に対する延在部3350のための材料の相対的な減少に起因して、リジダイザアーム3302の主要部分3333と比べて大きな可撓性を延在部3350において可能にし得る。延在部3350を含むリジダイザアーム3302はHytrel(登録商標)から形成されてもよい。Hytrel(登録商標)は、23℃で180MPaの曲げ弾性率と180MPa(26)の引張係数とをリジダイザアーム3302に与える。延在部3350の封入可能部分3354は、マスクフレーム3310の縁部でマスクフレーム3310のPP材料によってオーバーモールドされてもよい。これはオーバーモールド中に金型内で行われ、マスクフレーム3310のPP材料は、機械的連結によりリジダイザアーム3302をマスクフレーム3310と取り外し不能に接続するために、封入可能部分3354の内面、外面、上面、および、下面を取り囲んでもよい。マスクフレーム3310のPP材料による延在部3350の封入可能部分3354の封入は、リジダイザアーム3302とマスクフレーム3310との間の一体結合を伴うことなく機械的な保持を与える。
リジダイザアーム3302とマスクフレーム3310との間の接続は、屈曲部3352またはその付近におけるヒンジ接続である。言い換えると、リジダイザアーム3302は、マスクフレーム3310に対して回動できる。回動点の位置は、様々な鼻垂下に対応するとともに空気回路4170により引き起こされるモーメントアームおよびチューブ抵抗を最小限に抑えるために、鼻枕および患者1000の鼻孔と一直線を成して可能な限り前方にある。前頭面内でのマスクフレーム3310に対するリジダイザアーム3302の屈曲および回転動作は、過度の力を伴わずに、好ましくは2つのリジダイザアーム3302間での患者の頬の締め付けを最小限に抑える或いは排除するために必要とされる1または2ニュートン未満の力で、様々な頭部幅を受け入れるためである。2つの屈曲部3352間の距離は約62mmである。2つの屈曲部3352間のこの間隔は、患者の鼻の鼻頂部および側面の付近でリジダイザアーム3302の突出端部3306および延在部3350または可撓性ジョイント3305が患者の鼻と接触することを回避する。患者の顔面のこれらの領域は特に敏感であるため、これらの領域における接触の回避は、快適さを向上させることができる。
患者インタフェース3000が着用される際に、リジダイザアーム3302は、様々な頭部幅を受け入れるために外側へ広げられてもよい。マスクフレーム3310に対するリジダイザアーム3302の回動は、リジダイザアーム3302のその長手方向軸線に沿う屈曲と同様に起こる。
6.3.7.16.3 本技術の更なる特徴および例
他の例において、リジダイザアーム3302は、マスクフレーム3310よりも相対的に弾性的に可撓性があってもよい。リジダイザアーム3302は、水平方向にのみ、すなわち、フランクフォート水平面および横断面と平行な平面内で、可撓性があるように形成されてもよい。また、リジダイザアーム3302は、垂直方向で、すなわち、フランクフォート水平面に対して垂直な平面内で可撓性がなくてもよい。言い換えると、リジダイザアーム3302は、フランクフォート水平面および横断面と平行な平面内でより可撓性があり、任意の他の平面内で可撓性が殆どない(好ましくは、可撓性がない)。更に、リジダイザアーム3302の材料は、伸長可能または拡張可能でなくてもよい。リジダイザアーム3302がその端部で伸長される場合、リジダイザアーム3302の湾曲プロファイルは平坦になる。これらの特徴は、それ単独で或いは形状および寸法と組み合わせて、リジダイザアーム3302が患者の耳を横切ってずり上がる或いは上方に屈曲する又は患者の耳に抗してずり下がる或いは下方に屈曲することなく、屈曲できる及び/又は患者1000の顔面を枠で囲むことができるようにしてもよい。また、これにより、弾性織物ストラップ3301は、上耳底付近で患者の耳よりも上側を行き来できる。
図35〜図38に示される例において、会社ロゴなどの証印は、機械的連結の位置を隠すべく突出部3309の外面3319上に設けられてもよい。図39〜図41に示される例において、証印は、延在部3350の外面3355上に設けられてもよい。証印は、患者インタフェース3000を着用するとき、患者インタフェースが上下逆さまに着用されるのを防止するために、患者インタフェース3000の正しい方向を患者が決定するのを視覚的に支援してもよい。証印が隆起面/エンボス面でもある場合、これは、特に患者が暗い環境で患者インタフェース3000を着用している場合に、患者1000に触覚フィードバックを与えることができる。
更なる例では、表面処理後、リジダイザアーム3302をマスクフレーム3310に対して取り外し不能に接続するために、または、リジダイザアームを可撓性ジョイント3305に取り外し不能に接続するために、接着促進剤が使用されてもよい。この例では、機械的連結が不要である。
他の例において、リジダイザアーム3302は、PP材料から形成されるマスクフレーム3310と一体結合され得る材料から形成される。リジダイザアーム3302は、繊維強化複合PP材料、例えばPropex Incによって製造されるCurv(登録商標)から形成されてもよい。Curv(登録商標)は、Hytrel(登録商標)と同様のレベルの弾力的な可撓性を有する。Curv(登録商標)は、シート形態を成して設けられるとともに、リジダイザアーム3302の所望の形状へとレーザカットすることを要する。リジダイザアーム3302にとって望ましい厚さを得るために、リジダイザアーム3302の厚さを特定の領域で調節するべくシートの圧縮または層化が行われてもよい。Curv(登録商標)はマスクフレーム3310と同じ材料から形成されるため、リジダイザアーム3302がマスクフレーム3310にオーバーモールドされるときに一体結合が可能である。
患者インタフェース3000は、例えば参照によりその全体が本願に組み入れられる2013年5月14日に出願された米国仮出願第61/823,192号に開示される鼻クレードルを含んでもよい。鼻枕は、マスクフレーム3310と解放可能に係合できてもよい。リジダイザアーム3302がマスクフレーム3310に対して取り外し不能に接続された後、位置決め安定化構造体3300の弾性織物ストラップがリジダイザアーム3302上にわたって滑らされてリジダイザアーム3302に固定されてもよい。
T形状突出部3309について説明してきたが、リジダイザアーム3302を(1つの例では可撓性ジョイントを介して)マスクフレーム3310に対して機械的に取り外し不能に接続するために、マッシュルーム形状突出部を含む他の形状および形態が可能であることが想定される。空隙3320について説明してきたが、可撓性ジョイント3305またはマスクフレーム3310をリジダイザアーム3302に保持するために、突出部3309が空隙を有さなくてもよく、むしろ、凹部またはスロットを有してもよいことが想定される。
説明された接続配置を逆にして、リジダイザアーム3302ではなくマスクフレーム3310または可撓性ジョイント3305から延在する突出部を設けることができると想定される。そのような例では、リジダイザアーム3302が可撓性ジョイント3305またはマスクフレーム3310にオーバーモールドされる。
可撓性ジョイント3305をマスクフレーム3310に対して一体結合を伴わずに取り外し不能に接続できることが想定される。例えば、可撓性ジョイント3305をマスクフレーム3310に取り外し不能に接続するために機械的連結が設けられてもよい。
リジダイザアーム3302、可撓性ジョイント3305、および、マスクフレーム3310を互いに取り外し不能に接続するように説明してきたが、例えば機械的なクリップ(スナップ嵌合)アセンブリを使用してこれらの一部または全部を互いから解放可能に取り外しできてもよいことが想定される。
6.3.7.17 リジダイザアームの形状
図61〜図64は、二次元および三次元でプロットされた本技術の一例に係るリジダイザアーム3302を示す。図61〜図63は、マス目上にプロットされた本技術の一例に係るリジダイザアーム3302の3つの二次元図を示す。図61はX−Y平面を示し、図62はX−Z平面を示し、図63はY−Z平面を示す。これらの図には、方向目的のために原点も示される。これらのそれぞれには番号が付された座標も示され、これらの座標は、これらの平面内でリジダイザアーム3302の湾曲を規定してもよい。
以下の表は、これらの図に示されるリジダイザアーム3302の外形の座標を一覧表示している。各座標には4つの図のそれぞれにわたって一貫して番号が付けられることが理解されるべきである。
図64は、図61〜図63に描かれたリジダイザアーム3302の更なる図を三次元で示す。方向に役立つように、X、Y、Z軸が示されるとともに、原点も示される。
リジダイザアーム3302の湾曲の形状は、患者の頬に厳密に従うようになっている。弾性織物ストラップ1200がリジダイザアーム3302を覆っている状態で、使用中に患者の頬と接触するリジダイザアーム3302の相対位置は、リジダイザアームが患者の顔面上を滑らないようになっている。例えば、リジダイザアーム3302が患者の頬骨よりも僅かに下側に位置してもよく、それにより、リジダイザアーム3302が上方にスライドすることが防止される。また、滑りを防止して、最終的にシール力に支障を来すことを最小限に抑えるために、リジダイザアーム3302の内側面の大部分または全てと患者の顔面との間の接触が摩擦を増大させてもよい。リジダイザアーム3302の湾曲プロファイル3323の形状は、人体測定学的範囲の大部分にわたって眼と耳との間で位置決め安定化構造体3300を方向付ける。この方向は、患者1000および患者のベッドパートナー1100の観点からすればそれが審美的で且つ目立たないため、有益である。上側から見ると、リジダイザアーム3302の湾曲プロファイル3323は、側方から見た際にリジダイザアーム3302よりも大きい半径を有する。
6.3.7.18 リジダイザアームの可撓性
図52および図55を参照して前述したように、リジダイザアーム3302は、リジダイザアーム3302に沿う特定の位置で特定の方向に、より大きな可撓性がある。リジダイザアーム3302の曲げ剛性が比較される。比較目的で、リジダイザアーム3302の可撓性が、前頭面内の外側横方向および矢状面内の垂直下方向で、レスメドリミテッドによる幾つかの従来のマスクの硬化されたヘッドギアと対照して測定される。
この比較は、マスクフレームに接続されるときに硬化ヘッドギア構成要素の上遠位端を5mmの距離だけ移動させるために必要な力(ニュートン)の差を示す。硬化ヘッドギア構成要素の上遠位端を測定位置として選択するのは、この位置が敏感な顔面領域と接触するからであり、また、特定のタイプの可撓性がシール安定性を損なうことなく快適さを与えるからである。前頭面内の外側横方向で可撓性の方向(横外側)を測定することは、図52に破線で示されるように顔幅が大きい患者を受け入れることができるリジダイザアーム3302の能力を測定しようとしている。リジダイザアーム3302の弾力的可撓性は、患者インタフェース3000がより幅広い範囲の顔面形状により正確に適合できるようにする。例えば、より幅広い平坦な顔(いわゆるパンダ形状)をもつ患者と同じ患者インタフェース3000は、細いやせこけた顔(いわゆるワニ形状)をもつ患者で使用され得る。矢状面内の垂直下方向で可撓性の方向(垂直下)を測定することは、図55に破線で示されるように治療中に空気回路4170により及ぼされるチューブトルクを扱うことができるリジダイザアーム3302の能力を測定しようとしている。いずれの測定値も50Nロードセルを有するInstron機を使用して取得される。
垂直下方向を測定するために、各マスクは、プレートに固定されて、プレートと同じ高さに位置するとともに、通常は患者の顔面上にある角度で硬化ヘッドギア構成要素を有する。このプレートは、Instron機のために使用される大きな円形のベースプレートに締結される。硬化ヘッドギア構成要素は、ねじれ及び滑りを防止するために冶具内に保持され、また、この冶具は、それが硬化ヘッドギア構成要素の上遠位端と接触するように手動で下降される。Instron機は、この高さ位置でゼロに合わせられる。次に、5mmの圧縮伸長が50mm/分の速度で加えられて、測定値が記録される。
外側横方向を測定するために、スペーサおよび90°エルボーが第1のプレートに固定される。各マスクは、第2のプレートに固定されて、該プレートと同じ高さに位置するとともに、通常は患者の顔面上にある角度で硬化ヘッドギア構成要素を有する。第1のプレートが第2のプレートに対して垂直に保持されるように第2のプレートを第1のプレート上の90°エルボーと固定するべくスプリングクランプが使用される。大きな突起がそれを硬化ヘッドギア構成要素の上遠位端に位置決めするために使用される。Instron機は、この高さ位置でゼロに合わせられる。次に、5mmの圧縮伸長が50mm/分の速度で加えられて、測定値が記録される。
測定値は、フレーム3310に接続されるリジダイザアーム3302がかなりの倍数分だけ両方向により大きな可撓性を有することを示す。大きな顔幅を受け入れるために、リジダイザアーム3302は、この方向で2番目に可撓性が大きいマスク(ResMed Mirage Swift LT)よりも1.8倍大きい可撓性を有する。チューブトルクを受け入れるために、フレーム3310に接続されるリジダイザアーム3302、リジダイザアーム3302は、この方向で2番目に可撓性が大きいマスク(ResMed Pixi)よりも8.39倍大きい可撓性を有する。より大きな可撓性を有することにより、リジダイザアーム3302は、これらの方向で移動されるとき、より大きな快適さを患者1000に与えるとともに、チューブトルクにより引き起こされるシール破壊の可能性が殆どなく、したがって、使用頻度および治療継続時間に関して患者の治療遵守を向上させる。
リジダイザアーム3302の異なる方向での相対的な可撓性も重要な考慮事項である。垂直下方向の可撓性が非常に高い(すなわち、横外側方向に等しい)場合には、シールが不安定になる場合がある。1つの例において、リジダイザアーム3302は、垂直下方向よりも横外側方向で可撓性がより高い。リジダイザアーム3302は、垂直下方向よりも横外側方向で可撓性が9〜10倍高い。好ましくは、リジダイザアーム3302は、垂直下方向よりも横外側方向で可撓性が約9.23倍高い。また、チューブトルクは、短チューブ4180を有する他のマスク構成要素と併せて扱われてもよく(例えば、これにより、チューブを更に軽量化にする、体の線に更にぴったり合うようにする、または、更に可撓性を高くする)、あるいは、スイベルコネクタ、ボールソケットジョイント、または、ガセット、あるいは、プリーツ付き部分の使用と併せて扱われてもよい。しかしながら、多様な顔幅が主にリジダイザアーム3302の可撓性によって扱われ、そのため、リジダイザアーム3302は、垂直下方向と比べて横外側方向でより大きな可撓性を有する必要がある。
従来のマスクの幾つかの硬化ヘッドギア構成要素は、フレームよりも硬質である。一般に、これらの剛性が高いヘッドギア構成要素は、ヘッドギアを手動調節してそれを患者の頭部に嵌め付けるためにネジ付きのアームとボルトとを使用する。可撓性フレームは、マスクの快適さを向上させて、良好なシールをもたらし、不慮の漏れを最小限に抑えるとともに、ヘッドギアストラップが治療のための低圧レベルにとって締め付けすぎる危険を最小にするが、可撓性フレームがシール形成構造体と解放可能に着脱できる必要があった場合には何らかの困難が生じる。シール形成構造体は、それらが患者の気道に対してシールを形成するように弾性的に可撓性がある。シール形成構造体およびフレームの両方が同様の可撓性を有する(すなわち、非常に可撓性がある或いは軟質である)場合、患者1000、特に暗い部屋にいて手に関節炎を伴う患者がこれらの2つの部品を互いに係合させることは困難である。
従来のマスクの幾つかの硬化ヘッドギア構成要素は、フレームから取り外しできる。一般に、これは、いすれも硬質で剛性が高い構成要素であるリジダイザアームとマスクフレームとの間のスナップ嵌合またはクリップ接続によってなされる。リジダイザアームとフレームとの間のこのタイプの硬質−硬質間接続は、接続ポイントで低い可撓性をもたらし得る。このことは、このポイントで屈曲するためにより大きな力が必要とされ、それにより、顔幅が大きい患者に不快感を引き起こすことを意味する。これは、リジダイザアームが外側に強制的に曲げられるときに締め付け力を受ける場合があるからである。これらのリジダイザヘッドギア構成要素の一部は、フレームとの解放可能な接続のためにリジダイザアームの遠位端に硬質クリップを有する。硬質クリップはヘッドギアストラップに取り外し不能に接続され、そのため、ヘッドギアが洗浄機内で洗浄される際に洗浄機チューブまたは他の洗濯物を損傷させる場合がある。また、これらの硬化ヘッドギア構成要素の一部は、幅広フレームを有する患者インタフェースを必要とする傾向があり、このことは、ヘッドギアストラップが他からより大きく距離を隔てたフレーム位置から始まることを意味する。幅広フレームは一体形成される横方向アームを有してもよく、これらの横方向アームは、それらが同じ材料から形成されるため、フレームの一部と見なされる。幅広フレームは、より目立つとともに審美的に望ましくないと患者1000および患者のベッドパートナー1110によって見なされる場合がある。これは、それらの幅広フレームが顔面上でより大きな占有領域を占めるからである。一方、本技術の1つの例において、リジダイザアーム3302は、フレーム3310よりも可撓性があるがストラップ1200よりも可撓性が低い材料から形成される。言い換えると、ストラップ1200は、それが弾性織物から形成されるため、位置決め安定化構造体3300の最も可撓性がある構成要素である。位置決め安定化構造体3300の2番目に可撓性が大きい構成要素は、1つの例ではHytrel(登録商標)から形成されるリジダイザアーム3302である。最も硬質な或いは最も剛性が高い構成要素は、容易に或いは全く屈曲しない、伸長しない、または、曲がらないようになっていないフレーム3310である。これは、シール形成構造体3100が弾性変形によって患者の気道とのシールを形成するようになっているからである。個々の構成要素の可撓性の違いは、特定の場所で屈曲の大きさを制御できるとともに、特定の力が加えられるとき、すなわち、チューブトルクが作用するとき或いは大きな顔幅を受け入れるときに特定の構成要素が屈曲し始める順序も決定できる。また、個々の構成要素の可撓性の違いは、力が特定の態様または順序でシール形成構造体3100のシールに支障を来し始め得る前に、これらの力を切り離してもよい。これらの因子は、快適さ、安定性、および、良好なシールの形成という患者インタフェース3000のための要件を同時に扱うことを狙っている。リジダイザアーム3302の他の利点は、異なるサイズのシール形成構造体3100または異なるサイズのヘッドギアストラップ3301を有する患者インタフェース3000のために同じサイズのリジダイザアーム3302を使用できるという点である。リジダイザアーム3302が内側に屈曲されると、リジダイザアームは、鼻枕3130と接触してシールを取り除く前に先ず患者の鼻の側面と接触する虞がある。このとき、リジダイザアーム3302の内側移動範囲は患者の鼻によって制限され、したがって、そのような方向での移動によるシール力の乱れが最小限に抑えられる或いは排除される。
6.3.8 ベント3400
1つの形態において、患者インタフェース3000は、呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)の流出を可能にするように構成されて配置されるベント3400を含んでもよい。
本技術に係るベント3400の1つの形態は、複数の非常に小さい穴、すなわち、多穴ベントを備える。2つ以上の多穴ベントがフレーム3310に設けられてもよい。これらのベントは、空気回路4170のための接続ポート3600の両側に位置されてもよい。これらの穴は、布材料の繊維間の隙間であってもよい。あるいは、これらの穴は、紫外線スペクトル域内で動作するレーザドリルを使用して半透性材料の基体に形成されるマイクロ穴(1ミクロン以下)であってもよい。レーザで開けられたマイクロ穴は、直線壁状またはテーパ/トランペット形状であってもよい。マイクロ穴を形成する他の方法は、基体の領域をマスキングオフした後に化学エッチャントを使用することによる。約20〜約80個の穴、または、約32〜約42個の穴、または、約36〜約38個の穴が存在してもよい。1つの例では、この形態のベント3400がインサート成形される場合、ベント3400の厚さを貫く穴の方向は、垂直ではなく斜めとなるように変えられてもよい。これは、患者1000がベッドパートナー1100と対向している場合にベッドパートナー1100の顔へと直接に吹き込む呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)を回避できる。1つの例において、穴の最終的な数は、当初の多くの数の穴から幾つかの穴を塞ぐことによって決定されてもよい。例えば、40個の穴が存在して、2個の穴が(充填によって)塞がれ、それにより、穴の最終的な数が38個となるようにしてもよい。塞がれるべき穴の量および位置の両方に関して穴を選択的に塞ぐことができる能力は、気流速度および空気拡散パターンの制御を向上させる。
図146〜図152を参照すると、患者インタフェース3000が鼻枕マスクであり、また、好ましくは、2つのベント3400が、マスクフレーム3310のプレナムチャンバ3200内に位置され、あるいは、具体的には、マスクフレーム3310のクッションクリップ(クッションと予め組み付けられてもよい)に位置される。接続ポート3600または短チューブ4180が2つのベント3400間に位置される。図153および図154を参照すると、呼吸器疾患の処置のための患者インタフェース3000を製造するための方法が与えられる。処理のために多孔質布が受けられる(51)。方法は、布からベント部72,73をカットする(57)ことを含む。布は、空気が通過するための曲がりくねった空気経路を規定する交絡構造体を形成するべく繊維を交絡させることによって形成される。布は、所定の大きさの気孔率を有する。ベント部は金型内に保持される(59)。保持されたベントは、マスクフレーム3310に取り外し不能に接続される(60)。ベント部およびマスクフレーム3310はいずれもプラスチック材料から形成されてもよい。これは、患者インタフェース3000が呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)を流出させるためのベント3400を形成する。
ベント部72,73を布65からカットするために任意のタイプの切断器具67、例えばレーザまたは機械的なカッタが使用されてもよい。複数のベント部を布65から同時にカットすることができ、また、好ましくは、2つのベント部を同時に形成するために2つのベント部がカットされる。布65のほぼ同じ領域から2つがカットされる場合には、2つのベント部の気流速度および材料特性が時としてほぼ同様であってもよい。これは、供給されてしまった欠陥材料を決定してその位置を突き止めるのに役立つとともに、必要に応じて機器が気流速度を調節するための較正の量を減らす。かしめパンチ68による熱かしめが必要とされる他の例では、熱かしめの前にベント部72,73をカットするのではなく、熱かしめの後にベント部72,73を布65からカットすることができる。そのようなシナリオでは、カッタ67による最初の切断を排除できる。
本技術の1つの例において、交絡繊維の材料は、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、および、好ましくはポリプロピレンを含んでもよい熱硬化性物質または熱可塑性物質である。特定の例において、布65は、SEFAR材料Tetex Mono 05-1010-K 080織りポリプロピレン材料であってもよい。熱硬化性物質が使用されてもよい。布は、一般に、切断ステップの前にロールまたはリボン65の形態を成して用意される。布65の織り方は好ましくは繻子織である。しかしながら、平織、逆平畳織、および、斜文織を含む他の織り方が想定される。また、布65は、織る代わりに編まれてもよい(例えば、縦編み)。繊維の編み/織りによって布65を貫いて形成される空隙または穴は、必ずしも均一な寸法を有さない。これは、布の織りにおいて繊維の位置決め、間隔、および、圧縮の間に何らかの変化があるからである。空隙は、好ましくは、穴を貫いて直線状ではなく、むしろ、布65の厚さにわたって隣り合う繊維間に曲がりくねった空気流路を規定する。曲がりくねった空気流路は、空気経路に沿って異なる圧力領域(高圧または低圧)を有してもよい。曲がりくねった空気流路は、空気流をかなり拡散し、それにより、雑音を減少させる。空隙が穴を貫通して直線状であった場合には、布65の繊維が網状格子またはマトリクスの形態を成して配置されてもよい。好適には、ベント3400から抜け出る空気流は、直線状ではなく、層流を回避し、また、乱流を伴う幅広い柱状噴流が発生される。
患者インタフェース3000は、鼻マスク、フルフェースマスク、または、鼻枕を含む。患者インタフェース3000のマスクフレーム3310は、少なくとも1つのベント3400、好ましくは2つのベント3400を有する。2つのベント3400が存在する場合には、左側ベントがマスクフレーム3310の前面の左側に位置されるとともに、右側ベントがマスクフレーム3310の前面の右側に位置される。左右のベント3400は、PAP装置4000に動作可能に接続される短チューブ4180を受けるための開口または接続ポート3600によって離間される。あるいは、マスクフレーム3310の中心に位置される単一の連続するベント3400を想定することができ、短チューブ4180はマスクフレーム3310の側面に接続される。単一の連続するベントは、2つのベント3400の組み合わされた表面積に等しい表面積を有してもよい。
2つ以上のベント3400がマスクフレーム3310に設けられる1つの例において、全てのベント3400を通じた全体または平均の気流速度は、異なる気流速度を伴うベント部を選択することによって望ましい気流速度を得るために使用される。例えば、低い気流速度を伴う第1のベント部が、高い気流速度を伴う第2のベント部と共に使用されてもよい。このとき、組み合わされる2つのベント部は、望ましい気流速度である平均気流速度を与えてもよい。
ベント部は、レーザ切断、超音波切断、または、機械的切断、あるいは、熱切断(高温アンビルを使用する)によって布からカットされ或いは除去される。レーザ切断、超音波切断、および、熱切断は、それらがベント3400の外周縁のほつれた端部を伴う遊離繊維を排除するためにベント3400の外周縁を切断して融着するためである。レーザ切断のためにレーザカッタ69を使用できる。また、レーザ切断、超音波切断、および、熱切断は、その後のオーバーモールドに役立つ。これは、該切断が、ベントの外周縁を平坦化するとともに、不均一な縁部と比べてオーバーモールドすることを更に容易にするからである。その結果、ベント3400とマスクフレーム3310との間の結合位置で気泡の捕捉が避けら、それにより、ベント3400が一体化されて成るマスクフレーム3310が視覚的に非常に魅力的で構造的に信頼できるものとなる。
取り外し不能な接続は、オーバーモールド、二色成形、または、ツーショット(2K)射出成形を使用する分子付着によって得ることができる。これは、一体結合をもたらすとともに、ベント部の材料とマスクフレーム3310の材料とが共有結合または水素結合を形成することによって相互作用するときに強化される。一部の金型は、新たなプラスチック層が最初の部品の周囲に生じることができるようにするべく、既に成形された部品を再び挿入できるようにする。これはオーバーモールドと称される。オーバーモールドプロセスは、1つの凝集構成要素を形成するために2つの材料の使用を伴う。2つのタイプのオーバーモールド、すなわち、インサート成形および「ツーショット(2K)」成形が存在する。
ツーショット成形およびマルチショット成形は、単一の成形サイクル内で「オーバーモールド」するようになっており、2つ以上の射出ユニットを有する専用の射出成形機で処理されなければならない。このプロセスは、実際には、2回行われる射出成形プロセスである。高レベルの分子付着が得られる。前述した患者インタフェース3000を製造するための方法は、布のベント部をマスクフレーム3310にオーバーモールドすることによって行われてもよい。ベント部が金型70内に保持されて、成形機71がベント部をマスクフレーム3310にオーバーモールドする。布65およびマスクフレーム3310は好ましくは同じプラスチック材料から形成されるため、オーバーモールドは、構造的に強力で恒久的な結合である布のベント部とマスクフレーム3310との間の材料の融合を果たす。最終的な組み付けられた患者インタフェース3000では、ベント3400とマスクフレーム3310とが2つの別個の部品であることを人の肉眼によって殆ど検知できない。
ベント3400は、約16mm〜約21mm、好ましくは18.2〜18.6mmの最大断面幅、約19mm〜約25mm、好ましくは21.6mm〜22mmの最大断面高さ、および、約0.36mm〜約0.495mm、好ましくは0.40〜0.45mmの厚さを有する。したがって、2つのベント3400の表面積は約800mm2である。ベント3400の多孔質領域の表面積は、約201.6mm2〜約278.6mm2、好ましくは240mm2であってもよい。したがって、2つのベント3400の場合、多孔質領域の表面積は約480mm2〜500mm2である。マスクフレーム3310の前面は約1800mm2の表面積を有する。ベント3400の表面積は、マスクフレーム3310の前面の表面積の少なくとも35%を占める。好ましくは、2つのベント3400は、マスクフレーム3310の前面の40%〜60%を占める。好ましくは、2つのベント3400は、マスクフレーム3310の前面の45%〜55%を占める。より好ましくは、2つのベント3400は、マスクフレーム3310の前面の約50%を占める。ベント3400の交絡繊維は、マスクフレーム3310の前面のかなりの領域を形成するようになっている半硬質織り構造をもたらす。ベント3400は、重力下でそれ自体の重量を支えることができる十分な剛性を有し、また、チューブトルクが存在するときにそれ自体折り重ならず、軟質でない。ほつれた織物から成るベントを有する一部の従来のマスクは、患者の呼吸サイクル(吸気および呼気)中にそれらの形状、幾何学的形態、および、外形を維持することができず、したがって、治療中にベントがそれ自体折り重なる。そのような従来のベントがそれ自体折り重なると、ベントの多孔質領域が無作為態様で所定割合だけ減少される。これは、折り重なり部分がこれらの折り重なり部分でベントを部分的に或いは完全に塞ぐ場合があるからである。これは、呼気(吐き出された二酸化炭素を含む)の不十分な流出をもたらす。これに対し、本技術のベント3400は、それ自体折り重ならず、したがって、患者1000の呼吸サイクル中にベント3400の多孔質領域が呼気における略一定の流出速度を維持できるようにし、それにより、治療中に呼気(吐き出された二酸化炭素を含む)の適切な流出がもたらされる。
1つの例では、布65のベント部の気流速度が最初に気流計器66によって測定される(52)。測定された気流速度と所望の気流速度との間に差があるかどうかに関して決定がなされる(53)。ベント部を通じた気流速度が所定の範囲を超える(56)場合には、ベント部の気孔率の大きさが選択的に減少される(54)。望ましい所定の範囲は、20cmH2O圧で約42〜約59リットル/分であり、好ましくは20cmH2O圧で約47〜約55リットル/分である。例えば、SEFAR材料 Tetex Mono 05-1010-K 080織りポリプロピレン材料を通じた気流速度は、20cmH2O圧で約37〜約64リットル、好ましくは20cmH2O圧で約42〜約58リットルであってもよい。布の長さにわたる変化は、布リボンの長さにわたって正弦波的であってもよい。最初に布製造業者から受けられるときの布の異なる領域は、製造プロセスに起因するが均一な熱および力の分配を伴わないカレンダ加工に限定されない製造プロセスに起因して、異なる気流速度を示す場合がある。ベント部の気孔率が減少されてしまった後、それが現時点で所定範囲内にあることを確かめる検証のために、気流速度が再び測定される(55)。空隙の開口の平均直径は、好ましくは0.1mm未満であり、好ましくはベント3400の表面積の約1%〜10%の総開口面積(多孔質領域)を与える。例えば、総開口面積(多孔質領域)は、ベントの表面積が240mm2である場合には、22mm2であってもよい。
望ましい気流速度が布65に存在する場合には、随意的に、所望のベント部の外周縁領域の穴が塞がれる(56A)。ベント部の外周縁領域はマスクフレーム3310にオーバーモールドされる。外周縁領域に存在した穴が塞がれてしまっているため、オーバーモールド後にベント部の気流速度は大きく異ならないはずである。
幾つかの例では、ベント部が布からカットされた後に気流速度が測定されてもよく(58)、また、ベントは、マスクフレームにオーバーモールドされた後に測定されてもよい(61)。これにより、特定の製造ステップ後に、気流速度を知ることができるとともに、気流速度が望ましい所定の範囲内にあると決定することができる。これにより、部品が望ましい所定の範囲内にないことが分かると直ぐに部品が廃棄されるような無駄を防止できる。
ベント部の気孔率は、熱かしめ、圧縮による塑性変形、超音波溶着、封止材(例えばホットメルト接着剤)の塗布、および薄膜の塗布を含む幾つかの方法によって減らすことができる。好ましくは、高い精度、布における穴の閉塞の高い確実性、製造速度、熱かしめ後の良好な視覚的訴求、および、付加材料が必要とされないことに起因して気孔率を減らすために、かしめパンチ68による熱かしめが使用される。プラスチック材料を加熱する際には、過剰な材料がベントの形状のための特定の物理的寸法を取り囲むことによりもたらされる何らかの材料収縮が起こる。ベント部の気孔率は、ベント部の穴を部分的に塞ぐことによって或いは完全に塞ぐことによって減少される。かしめパンチ68は、熱かしめを行うために様々なサイズの幾つかの熱溶着ヘッドを使用してもよい。熱溶着ヘッドのサイズは、ベントの気流速度に応じて選択され、この場合、気流速度が非常に高ければ、より大きなサイズが使用される。
切断ステップおよび気孔率減少ステップの順序が置き換えられてもよい。言い換えると、気孔率減少が最初に布65に関して行われてもよく、その後、ベント部が布65からカットされる。そのようなシナリオでは、カッタ67による切断を排除できる。
ベント部の任意の部位または領域が気孔率を減少させるべく選択されてもよい。好ましくは、ベント部のほぼ連続的な外周縁領域の気孔率が減少される。この領域は、ベント部がマスクフレームにオーバーモールドされる場所と隣り合う或いは該場所にあるため、良好な視覚的訴求を与える。ベント部の外周縁領域と残りの領域との間の任意の視覚的な違いは、この場所で人の目をあまり引かないかもしれない。これは、その場所がベント3400を受けるためのマスクフレーム3310の所定の縁部であるように見える場合があるからである。あるいは、気孔率減少のための部位は、視覚的影響を高めてブランド認知を向上させるために、ベント3400の中心領域79でキャラクタ/文字またはロゴの形態を成してもよい。その形態は、特定の使用期間後にベント3400を置き換えるために、患者1000のための交換指標として使用されてもよい。
ベント部の領域の気孔率を減少した後、気流速度が現時点において20cmH2O圧で約47〜53リットル/分の望ましい所定の範囲内にあることを確かめるために、気流計器66によってベント部の気流速度が再び測定される。気流速度が現時点において望ましい所定の範囲内になければ、ベント部が再び熱かしめを受けてもよく、あるいは、ベント部が廃棄される。このように、欠陥のあるベント部だけを廃棄できると、オーバーモールドされた欠陥ベントを伴うマスクフレームを廃棄しなければならないことを回避することによって無駄を最小限に抑える。鼻枕における更なる例においては、それにより、空気送出チューブがオーバーモールドされて成るマスクフレームを廃棄することが回避される。
図156および図158は、熱かしめ前の布65の一部分を示す。布65の上縁に沿う垂直に向けられた繊維80(縦糸)のほつれた端部81が見える。空隙83の開口が、垂直に向けられた繊維80と水平に向けられた繊維82(横糸)との間に規定される。一部の空隙83が他の空隙よりも多孔性があると見なされる。これは、それらの空隙が、より大きな開口を有し、したがって、その開口を通じてより多くの気流を許容して、呼気流出の増大を可能にするからである。
図157および図159は、熱かしめ後の布65の一部分を示す。熱かしめの前に既に存在した空隙83は、該空隙を通過する気流を減少させる或いは防止するために塞がれてしまっている。図157は、単なる例示目的のための図式描写にすぎないが、顕微鏡写真は、熱によって引き起こされる材料変形および繊維の溶融と熱かしめプロセスの圧縮とに起因して熱かしめ後の布の個々の繊維を視覚的に検出できないことを明らかにする可能性が高い。図159に描かれる側断面図は、熱によって引き起こされる材料変形および繊維の溶融と熱かしめプロセスの圧縮とに起因して熱かしめ後の布65の個々の繊維を視覚的に検出できないことを示す。したがって、熱かしめ後のベント部のこの領域は、ベント部全体の全気流速度を選択的に調節するために、空気を実質的に透過できないようになる。
図155を参照すると、布65の一部分は、左右のベントを意図して熱かしめされた2つのベント部72,73を有する。熱かしめ前のベント部の輪郭を示す概念的な左側ベント部84も描かれる。ベント部72,73は、半円の形状を成し、あるいは、D形状である。各ベント部72,73は、マスクフレーム3310のベント開口の形状にほぼ適合する。ベント部72,73は、最初は、オーバーモールドに役立つとともに熱かしめ及びオーバーモールドのその後のステップによる熱に起因して予期される塑性収縮を考慮に入れるべくベント開口よりも僅かに大きく形成される。好ましくは、各ベント部72,73の外周縁は、連続的に湾曲され、または、直線を伴わない弓形を成す。鋭角を伴う2つの角部74,75は、ベント部の長い方の辺76の遠位端である。長い方の辺76は、約19mm〜約24mm、好ましくは21.6mm〜22mmの範囲の長さを有する。長い方の辺76の反対側には、鈍角を伴うベント部の第3の角部77がある。ベント部のほぼ連続的な外周縁領域78が、この領域で布材料65の気孔率を減少させるべく熱かしめされる。外周縁領域78が位置合わせ機能部/ピンを有してもよい。熱かしめされるべき外周縁領域78における幅は、ベント全体にわたって望ましい気流速度を得るために減少されるべき気孔率の大きさに基づいて選択される。外周縁領域78内に位置される中心領域79は、熱かしめが適用されておらず、また、気孔率は当初の布65のままである。
ベント3400を通過する呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)によって引き起こされる音は、患者1000が自分の鼻から息を吐いて呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)がベント3400を通じて流出するときに呼気が特に鼻枕における布/交絡繊維を通過するにつれて大きくなる空気拡散に起因して、最小限に抑えられる。呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)の拡散は、ベント方向および睡眠姿勢に応じてベッドパートナー1100または患者1000への直接的な或いは集中的な空気流を回避する。図167〜図175を参照すると、本技術の1つの例において、ベント3400は、レスメドリミテッドによるSWIFT FX(商標)鼻枕マスクの多穴ベントよりもかなり拡散される。図175を参照すると、約100mmのベントに近い距離で、本技術のベント3400からの呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)の空気速度は、SWIFT FX(商標)鼻枕マスクよりも約5倍小さい。言い換えると、患者1000および患者のベッドパートナー1100は、多穴ベントと比べて、ベント3400からの呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)を感じる虞が殆どない。このことは、患者1000および患者のベッドパートナー1100の快適さを高める。平均空気速度は、直線でない曲線を有し、閉ざされた部屋で指向性熱線風速計を使用して測定された。空気速度は、ベント3400を通過する呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)を人が感じることができるかどうかに関する重要な因子である。図167〜図175で測定されなかった人により感じられるものに影響を及ぼし得る他の因子としては、室温、人の毛嚢密度、および、人の皮膚の感性が挙げられる。ベントから更に離れた距離では、両方のベントからの呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)の空気速度は、ゼロに近づき、周囲の環境状態から区別できない。しかしながら、本技術のベント3400からの呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)の空気速度は、多穴ベントよりもベント3400に近い距離で、ゼロのこの限界に達する。SWIFT FX(商標)鼻枕マスクで使用されてきた特定の多穴ベントが比較されたが、雑音レベルおよび空気拡散に関しては、本技術のベント3400が大部分の多穴ベントと比べて優れていることが想定される。
患者インタフェース3000からの呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)の流出のためのベント3400を製造するための他の方法も提供される。ベント部は、0.45mm未満の厚さと空気流を拡散させるための所定の大きさの気孔率とを有する半透性材料からカットされる。半透性材料が特に大きな幅を有する大きなシート、リボン、または、ロールの形態で与えられる場合には切断が行われる。ベント部は、ベント3400を形成するために患者インタフェースのマスクフレーム3310に対して分子付着される。所定の大きさの気孔率は、20cmH2O圧の呼吸ガスで約47〜53リットル/分の気流速度が患者インタフェースから得られるようになっている。また、所定の大きさの気孔率は、3dbAの不確かさを伴って25dbA以下であるA特性音響パワーレベルと1メートルの距離で3dbAの不確かさを伴って17dbA以下であるA特性音圧とが発生されるようになっている。好ましくは、A特性音響パワーレベルdbA(不確かさ)が約22.1(3)dbAであり、また、A特性音圧dbA(不確かさ)が約14.1(3)dbAであり、これらは、1mで10cmH2O圧、ISO 17510-2:2007を使用して測定された。言い換えると、本技術のベント3400は、関連技術の説明の冒頭で説明した従来のマスクの雑音の表に記載されるような従来のマスクの多穴ベントよりも静かである。患者1000および患者のベッドパートナー1100は、多穴ベントと比べて、ベント3400を通過する呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)により引き起こされる音を聞く虞が殆どない。熱かしめ或いは穴を塞ぐ他の既に説明した技術は、望ましい気流速度が得られるまで必要に応じてベント部の気流速度を具体的に調節するために使用されてもよい。
ベント部72は、該ベント部72を成形機71内でマスクフレーム3310にオーバーモールドできるようにするべく金型70内に保持される。半透性材料は、厚さが約0.45mm未満である限り、布であってもよく或いは布でなくてもよい。薄いベントは、コンパクトで目立たない患者インタフェース3000を提供できるようにする1つの特徴である。また、マスクフレーム3310に成形される薄いベントは視覚的訴求を有する。これは、これらの2つの部分間の融合が縫い目のない同一平面のように見えるとともに、薄いベントがマスクフレーム3310に対して内側または外側に過度に突出する必要がないからである。また、薄いベントは、必要とされる材料が少ないため軽量であり、そのため、患者インタフェース3000の全体の重量が減少する。例えば、布材料65は、約200〜250グラム/m2の重さがあってもよい。布材料65は、約217〜約234グラム/m2の重さがあってもよい。より小さい直径の繊維は、同じ気流速度を得るために、より薄い布材料をもたらすことができ、また、これは、より軽量なベント3400をもたらす。
患者インタフェース3000のベント3400は、洗浄が簡単であり、再使用できる。ベント3400を洗浄するために低刺激性の洗浄溶液または石鹸水を使用できる。洗浄のために熱水を使用してベント3400に流通させることもできる。ベント3400をマスクフレーム3310から分解することなく手洗いして濯ぐことができる。これは、ベントがマスクフレーム3310に対して取り外し不能に接続される、例えばオーバーモールドされるからである。患者インタフェース3000のための取り外しできる部品が少ないと、個々の部品を紛失する可能性が避けられるとともに、多くの部品を互いから取り外して再び組み付ける必要がないことにより洗浄時間が減少する。ベント3400がプラスチック繊維を交絡させることによって形成される場合、ベント3400の耐久性は、他のあまり耐久性がない材料、例えば織物またはGORE-TEX(商標)から形成されるベントとは異なり、繰り返しの洗浄後であっても維持される。本技術のベント3400とは異なり、GORE-TEX(商標)は不織布材料であり、その空隙は、使用中に、空隙内に捕捉される大気粒状物質により非常に急速に塞がり、それにより、最終的にベントの著しい閉塞がもたらされる。ベントの閉塞は、患者による呼気(吐き出される二酸化炭素CO2を含む)の不適切な流出を引き起こし、それにより、血中のCO2レベルの増大がもたらされ、最終的にCO2再呼吸に起因する低酸素症がもたらされる。また、GORE-TEX(商標)の空隙は肉眼では見えず、そのため、患者は、粘膜、塵埃、ごみ、および、汚れにより引き起こされる閉塞を視覚的に決定することができない。GORE-TEX(商標)材料を水で洗浄してもこの問題は軽減されない。これは、GORE-TEX(商標)の目的が水をはじくことだからである。本技術のベント3400とは異なり、GORE-TEX(商標)は、それが紙に類似しており、容易に裂けるとともに、ブラシや指により洗浄しようとすると容易に破損し易いため、頑丈な材料ではない。これは、GORE-TEX(商標)をそれがその紙のような脆弱性に起因して洗浄プロセスにより取り返しのつかないほど損傷されるために洗浄して再使用できない更なる理由である。ベントのための焼結円筒ブロックなどの焼結材料は、焼結材料の細孔が使用後に詰まってそれらを再使用のために適切に洗浄できないとともに閉塞の目視検査を肉眼で認識できないという点において、GORE-TEX(商標)と同様な欠陥を伴う。非プラスチック材料から形成されるベントは、本発明のベント3400ほど容易に製造されない。これは、それらのベントが更なる製造ステップを必要とする場合がある或いはそれらのベントをオーバーモールドなどの一体結合によりマスクフレームに取り外し不能に接続できないからである。ベントとマスクフレームとの間の一体結合がなければ、耐久性および信頼性が低下する場合があり、及び/又は、視覚的審美性があまり良くない。
1つの例において、ベント3400は、呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)の適切な流出を可能にするべくベント3400を通じた一貫した連続的な空気流を有する。ベント3400は、高速で製造できるとともに、高速で組み立てられるため、幾つかの従来技術のベント製造方法と比べて低い生産コストをもたらす。これは、その比較的簡単な幾何学的形状、ベント3400がマスクフレーム3310に取り外し不能に取り付けられるための処理ステップの少なさ、および、気流速度の調節が求められる場合に必要とされる機器のタイプおよび処理ステップの量の少なさに起因し得る。また、ベント3400が交絡プラスチック繊維により形成される布である場合には、ベントが織物外観を有し、これは、多穴ベントまたは焼結ブロックベントと比べて患者1000および患者のベッドパートナー1100にとって審美的に感じが良い。
ベント3400を製造するための他の例について説明する。プラスチック繊維は、紡いだ単長繊維であり、幅が狭い製織機で交絡構造体へと織られ或いは編まれる。交絡構造体は、大きな幅を有するロールではなく、幅が狭いリボンの形態を成してもよい。あるいは、プラスチック繊維は、単長繊維よりも緊密な巻き及び単長繊維よりも曲がりくねった経路を与え得る多長繊維であってもよい。これは、熱切断が回避されるため、布65の透過性のより高い制御を可能にする。他の利点は、気流速度を制御して補正するための前述した例の熱かしめステップを回避できる或いはかしめパンチ68のための熱溶着ヘッドの数を減らすことができるという点である。したがって、ベント3400の布65を望ましい所定の範囲内で製造することができ、また、取り外し不能な取り付けのためにマスクフレーム3310にオーバーモールドする目的でベント3400の外周縁領域を閉塞するためだけに熱かしめが使用される。
製造中にベント3400の気流速度の任意の意図されない変化を更に制限することができてもよい。前述した例において、ロールまたはリボン65には、平坦シートを形成するためにロールまたはリボン65が高温および高圧でローラ下に通される仕上げプロセスであるカレンダリング加工が施されてもよい。しかしながら、他の例において、ロールまたはリボン65は、最初にカレンダリング加工されなくてもよく、代わりに最初に、ベント3400の高さとほぼ同様の幅を有する幅狭いリボンへとカットされる。幅狭いリボンのそれぞれは、熱および圧力がリボンに対して均一に加えられるようにするために、リボンの幅とほぼ同様の幅をもつ接触面を有する加熱ローラを使用してこれらのリボンを平坦にするべくカレンダリング加工される。したがって、不均一なカレンダリングにより引き起こされるベント3400の気流速度の任意の意図されない変化を回避できる。
他の例において、布65は、望ましい所定の範囲内の気流速度を得るために、所定の圧力および所定レベルの熱を用いて均一にカレンダリングされてもよい。したがって、空隙を塞ぐことによって気流速度を調節するための前述した熱かしめステップが回避されてもよい。
他の例において、布65は、カレンダリングおよび空隙閉塞を省いてもよい。布65は、幅狭いリボンまたはストリップの状態へと交絡構造体に編まれ或いは織られてもよい。その後、布65は、前述した切断/溶融技術を使用してベント部72,73の形状へと切断される。ベント部72,73は、その後、フレーム3310または患者インタフェース3000の空気圧経路内の他の構成要素に取り外し不能に接続される。
ベント3400を交絡プラスチック繊維から形成されるとして説明してきたが、生体適合性があり且つベント3400の形状、幾何学的形態、プロファイルが患者1000の呼吸サイクル中に変化するのを防止するために同様の曲げ剛性を有する、プラスチックとは別の繊維のための材料が使用されてもよいことが想定される。例えば、薄い金属ワイヤまたは糸が使用されてもよい。ベントの金属骨格または糸骨格を補強して、ベント3400の形状、幾何学的形態、プロファイルが患者1000の呼吸サイクル中に変化するのを防止するべく曲げ剛性を与えるために、添加物が噴射されてもよい。ベント3400は、織り繊維または編み繊維を含む交絡構造体の形態を有すると説明される。
6.3.8.1 ベント3400の位置
本技術の1つの形態において、ベント3400は、フレーム3310の一部分上に位置され或いはフレーム3310の一部分として形成される。具体的には、図75および図76に描かれる本技術の例では、一対のベント3400がフレーム3310の前面の両側に配置されてもよい。1つの例では、マスクフレーム3310の前面が湾曲され、したがって、ベント3400は、矢状面に対して垂直な方向に面しておらず、むしろ、矢状面と前頭面との間の垂直軸線と対向している。このようにしてマスクフレーム3310にベント3400を位置させると、ベント3400からの空気の流れが真っ直ぐな中心ではなく側面へと向かい、それにより、患者1000が直接にベッドパートナーと対向している場合にベッドパートナー1100への空気の直接的な流れが回避される。患者インタフェース3000の中心の前方領域は、ベント軸線に沿う領域、すなわち、ベント3400の表在する前面に対して垂直な方向に沿う領域と比べて、ベント3400からの平均空気速度が低い。
ベント3400をフレーム3310に取り外し不能に接続されるとして説明してきたが、ベント3400を患者インタフェース3000の空気圧領域内の他のある場所に、例えばシール形成構造体3100またはその付近に、または、カフ/アダプタ4190(図1bおよび図1c参照)上に位置させて、呼気(吐き出される二酸化炭素を含む)の流出を可能にしてもよいことが想定される。ベント3400は、患者インタフェース3000の空気圧領域内の他の空気圧構成要素に、例えばチューブトルクを切り離すために患者インタフェース3000がエルボーを有する場合にはエルボーに、取り外し不能に接続されてもよい。
ベント3400の孔径特性は、アメリカ試験・材料標準規格協会(ASTM)の方法F316に記載される泡立ち点検査法を使用して推定されてもよい。泡立ち点試験は高感度視覚技術である。布材料65は、約60〜約100psig(psig:1平方インチゲージ当たり)の泡立ち点圧力を有してもよい。好ましくは、布材料65の泡立ち点圧力は、約80psigの泡立ち点圧力を有する。
本技術の1つの例において、ベント3400は、患者インタフェース3000のための取り外し可能なベントキャップとして設けられてもよい。ベントキャップは、ベントオリフィスと取り外し可能に係合するためにベントフレームを有する。ベントオリフィスは、マスクフレーム、エルボー、または、クッション部材/プレナムチャンバ3200に位置されてもよい。ベント3400の布材料65はベントフレームに取り外し不能に接続される。ベント3400は、呼気の流出のための多孔質領域を有する。布65は交絡繊維の形態を成す。呼気のための曲がりくねった空気経路が交絡繊維間の空間によって規定される。布は、患者1000の呼吸サイクル中にベントの形状、幾何学的形態、および、プロファイルが実質的に変化されないとともに多孔質領域が呼気のためのほぼ一定の流出速度を維持するように構造化される。
ベント3400が交絡構造体として説明されてきたが、ベント3400がシールされない多孔質プラスチックマトリクスの形態を成す繊維強化高分子などの不織構造を有することができてもよい。第1の層としての不織構造体が第2の層としての織構造体に結合されることによりベント3400のための二層構造が可能である。
6.3.9 接続ポート3600
接続ポート3600は、図166に示されるように、空気回路4170の短チューブ4180に対する患者インタフェース3000の接続を可能にする。本技術の1つの例において、短チューブ4180は、接続ポート3600によって患者インタフェース3000に直接に接続されてもよい。短チューブ4180は、フレームを短チューブ4180にインサート成形することにより接続ポート3600でフレーム3310に接続されてもよい。接続ポート3600は、患者インタフェース3000に位置されてもよく、また、ガス送出チューブ4180に対する固定接続部または可動接続部のいずれかを備えてもよい。
接続ポート3600は、フレームが接続ポートを一体で含むべく成形されるようにフレーム3310の一部であってもよい。また、接続ポート3600は、その外周の限られた1または複数の部分でフレーム3310に接続されてもよい。これは、接続ポート3600とフレーム3310との間に開放領域をもたらしてもよく、また、これらの開放領域が本明細書中に記載されるベント3400を含んでもよい。図10、図15、および図18に示されるように、接続ポート3600は、チューブをマスクから角度を成して方向付けるべくフレーム3310に対して角度を成して形成されてもよい。また、接続ポート3600は、フレーム3310に対して任意の角度で且つ任意の方向に傾けられてもよい。図示の例において、接続ポート3600は、一般に処置中にチューブ4180が下方へ向けられる患者の大部分に応じるべくフレーム3310に対して下方に傾けられる。これは、チューブ4180のルーピングを最小限に抑えるとともに、処置中に患者インタフェース3000のシールおよび安定性を向上させることができる。また、接続ポート3600をフレーム3310とは別個に形成してこれらの構成要素を接続ポート3600がスイベル接続を使用してフレーム3310に対して回転できるように接続することができてもよい。そのような例は、シール力に支障を来す短チューブ4180のチューブトルクを向上減少させることができ、あるいは、短チューブ4180が患者の頭部の上の方にチューブを上にした位置で設定される場合に快適さ及びシールを向上させることができる。
図18は、フレーム3310に対して下向きの角度を成して形成される接続ポート3600に対する短チューブの接続によって患者インタフェース3000に対して下方に傾けられた短チューブ4180を示す。この配置は、短チューブ4180が患者から長い距離を隔てて離れるように外方にループすることを防止してもつれを回避することができる。
また、空気回路4170を患者インタフェース3000に接続するためにエルボーが使用されない技術の例では、患者インタフェース3000へのガスの流入がより均一に分配され得ることが理解されるべきである。エルボーの鋭い屈曲部は、エルボーの一方側で高密度の流線を引き起こし得る。これにより、流れが密にされる噴流が生じる場合があり、また、これにより、患者インタフェース3000、特に鼻枕3130への次善の流れがもたらされる場合がある。また、前述したベント3400が噴流の減少に寄与し得ることも理解されるべきである。従来のマスクにおけるエルボーの使用は、空気回路4170とフレーム3310との間の少なくとも相対的な回転動作を許容することによってチューブトルクを切り離すためであったが、本技術の1つの形態は、従来のエルボーが関与するチューブトルクを切り離すことができる特に軟質な短チューブ4180を有する。
6.3.10 前頭支持体
本技術の1つの形態において、患者インタフェース3000は前頭支持体を含まない。1つの形態において、患者インタフェース3000は、前頭支持体が必要とされない十分な安定性を与え、それにより、あまり目立たないとともに、眼および鼻骨が開放される。
1つの別の形態では、患者インタフェース3000が前頭支持体を含む。
6.3.11 窒息防止
本技術の1つの形態では、患者インタフェース3000が窒息防止弁(AAV)を含んでもよい。本技術の更なる例では、フルフェースマスクが使用されるときに、AAVが分離構造体4190(図1b参照)、空気回路4170(図1a〜図1c参照)、または、患者インタフェース3000と共に含まれてもよい。
6.3.12 ポート
本技術の1つの形態において、患者インタフェース3000は、プレナムチャンバ3200内の容積にアクセスできるようにする1つ以上の酸素補給ポート4185を含んでもよい。1つの形態において、これは、臨床医が補給酸素を供給できるようにする。1つの形態において、これは、圧力などのプレナムチャンバ3200内の特性ガスの直接的な測定を可能にする。
6.4 分離構造体4190
1つの形態において、患者インタフェース3000は、少なくとも1つの分離構造体、例えば、図1bおよび図1cに示されるような回転可能なカフまたはアダプタ4190、あるいは、ボールソケットを含む。図1bおよび図1cを参照すると、チューブ抵抗力の分離は、少なくとも部分的に短チューブ4180によって行われる。このようにすると、短チューブ4180は、少なくとも部分的に分離構造体4190として機能する。
図1bおよび図1cを参照すると、少なくとも1つの態様では短チューブ4180と異なってもよい更なるガス送出チューブ4178の第3の端部への接続を容易にするために、短チューブ4180の端部に回転可能なカフまたはアダプタ4190がある。回転可能なカフ4190は、短チューブ4180および更なるガス送出チューブ4178がそれぞれの端部で互いに対して回転できるようにする。更なるガス送出チューブ4178は、短チューブ4180と同様の特徴を組み込んでもよいが、より大きな内径(例えば18mm−22mm)を有してもよい。チューブに与えられるこの更なる自由度は、空気回路4170のねじれ、したがって空気回路4170のもつれを軽減することによってチューブ抵抗力を減少させるのに役立ち得る。更なるガス送出チューブ4178の他端はPAP装置4000に接続されてもよい。
6.4.1 短チューブ4180
本技術の1つの形態では、図166に示されるように、短チューブ4180が、接続ポートでフレーム3310に接続されて、空気回路4170の一部を形成する。
短チューブ4180は、本技術の一態様に係るガス送出チューブであり、PAP装置4000と患者インタフェース3000との間で空気流または呼吸用ガスの流れを可能にするように構成されて配置される。
ガス送出チューブは、使用している間にチューブが受ける力に相当するチューブ抵抗力に晒される。これは、送出チューブが使用中に患者の上または他の表面(例えば、ベッド、寝室用小卓、病院ベッド、テーブル、床など)上に横たわるからである。短チューブ4180は呼吸用ガスを患者1000へ供給するために患者インタフェース3000に接続されるため、これらのチューブ抵抗力は、患者インタフェース3000と患者1000との間の接続に影響を及ぼし得る。例えば、引張りやねじれのチューブ抵抗力により、患者インタフェース3000が患者の顔面から移動し、それにより、患者インタフェース3000からの呼吸用ガスの漏れが引き起こされる場合がある。したがって、チューブ抵抗力を減少させることが望ましい。これは、短チューブ4180の重量を減少させて、(例えば、チューブ4180をよりきつく湾曲させることができるようにチューブの曲げ半径を減少させることによって)短チューブの可撓性を向上させるとともに、短チューブ4180のための少なくとも1つの自由度を加えることによって達成されてもよい。また、そのようなチューブ抵抗力の減少は、例えば患者が自分の腕をチューブ4180の上に置く可能性があるとき或いは屈曲位置へとねじられるときにチューブが閉塞力に抵抗できるようにチューブ4180の強度を大きく低下させることなく達成されなければならない。
図160〜図162は、3つの異なる状態の典型的の短チューブ4180の3つの側面図を示す。図160は、中立状態または通常状態の短チューブ4180を示す。中立状態において、短チューブ4180はいかなる外力にも晒されない。すなわち、短チューブは伸長されず或いは圧縮されない。短チューブ1480は、螺旋コイル4174の隣り合うコイル間で間隔が隔てられる材料のウェブ4172から構成されてもよい。短チューブ4180の螺旋コイル4174はWCの幅を有してもよい。材料のウェブ4172は、隣り合うコイル間の距離WFに跨ってもよい。また、図160に示されるように、材料のウェブ4172は、折り曲げ部の頂点または山4182が隣り合うコイル間から径方向外側へ延在するように折り曲げられてもよい。材料のウェブ4172の折り曲げ部に起因して、材料のウェブ4172を構成する材料の幅が隣り合うコイル間の幅WFよりも幅広くてよいことが理解されるべきである。また、材料のウェブ4172は、所定の折り曲げ線4186に沿って折り曲げられてもよい。
また、図160に示されるように、隣り合うコイル間の距離WFは、短チューブ4180が中立状態にあるときに、螺旋コイルの幅WCに等しくてもよく、あるいは、ほぼ等しくてもよい。そのような配置では、チューブ4180の最大曲げ半径R(図163に示される)が減少されて、可撓性が向上される。これは、隣り合うコイル間の距離に跨るように従来技術のチューブにおけるよりも多くの量の材料が使用されなければならないからである。一例として、距離WFがコイルの幅WCに等しいと、より多くの量の材料がその距離に跨り、また、コイルが折り曲げられるため、材料のウェブ4172を備えるべく更に一層多くの材料が設けられなければならない。この原理は、図163に関連して更に詳しく説明される。折り曲げ部の形状は、チューブの全体の可撓性にとって重要である。ウェブの折り曲げ部の半径を大きくすればするほど、より可撓性の高いチューブがもたらされる。非常に鋭い折り目は、チューブの可撓性を低下させる。複数の熱消毒サイクルの後、折り曲げ部が弛緩し始め、チューブの可撓性が低くなる。折り曲げ部が弛緩されると、折り曲げ部直径がコイル直径に対して減少され、そのため、折り曲げ部の山が下降されることが観察される。
また、図160では、材料のウェブ4172の折り曲げ部が短チューブ4180から径方向外側に延在するだけでなく、材料のウェブ4172の折り曲げ部が螺旋コイル4174の隣り合うコイル間の中心に位置されるのが分かる。また、図160は、材料のウェブ4172の傾きが螺旋コイル4174の隣り合うコイルから折り曲げ部の頂点または山4182へ向かってどのように増大し得るのかも示す。言い換えると、材料のウェブ4172は、所定の折り曲げ線4186から離れるにつれて平坦になり、また、材料のウェブ4172は、折り曲げ部の頂点または山4182の付近で急勾配となって先が尖る。
また、図160では、以下で更に詳しく説明するように、螺旋コイル4174の外側部分または外面4184が幅広い角度にわたって丸みを帯びた湾曲形状を有することが分かる。言い換えると、螺旋コイル4174は、楕円形の外周の一部分の形状を有してもよい。丸みを帯びた外面または形状4184を螺旋コイル4174に与えることにより、より柔軟で且つより滑らかな触感が患者1000に与えられてもよい。また、この丸みを帯びた外面4184は、使用している間に寝具類、患者の衣類、ベッドルームまたは病院の家具などの表面に引っかかる短チューブ4180の傾向を減らすこともできる。図160において分かるように、短チューブ4180の長手方向軸線に対して垂直に測定される複数の螺旋コイルのうちの1つの直径であるコイル直径DCを見ることができる。
図160において見られ得る他の特徴において、短チューブ4180は、その中立状態で、折り曲げ部の頂点または山4182が螺旋コイル4174の外面4184とほぼ同じ高さ或いは同じ高さであるようにガス送出チューブから径方向外側に立ち上がる材料のウェブ4172の折り曲げ部を有する。また、材料のウェブ4172の折り曲げ部は、折り曲げ部の両側の頂点4182間に、短チューブ4180の長手方向軸線に対して垂直に測定される折り曲げ部直径DFを規定する。言い換えると、短チューブ4180がその中立状態にあるとき、ガス送出チューブの長手方向軸線を横切ってその折り曲げ部のそれぞれの頂点4182に跨る材料のウェブ4172の直径は、長手方向軸線を横切るそれぞれの外面4184に跨る螺旋コイル4174の直径に等しくてもよい。また、短チューブ4180が中立状態で真っ直ぐに配置されれば、単一の円筒が折り曲げ部の頂点または山4182と螺旋コイル4174の外面4184とに対して同一平面内で外接され得ると言うこともできる。また、短チューブ4180が中立状態にあるときに折り曲げ部直径DFがコイル直径DCに等しい或いはほぼ等しいと言ってもよい。
そのような構成は、螺旋コイル4174の丸みを帯びた外形状4184と併せて、触感の向上をもたらすことができ、それにより、患者にとってより滑らかで且つより柔軟な感触を生み出す。また、短チューブ4180の引っかる傾向の減少は、折り曲げ部の頂点または山4182と螺旋コイル4174の外面4184とを同じ高さまで立ち上がらせることによって促進させることができる。これは、外面に引っかかるように著しく突出する単一表面が存在しないからである。
本技術の他の例において、材料のウェブ4172は、螺旋コイル4174の隣り合うコイル間で複数回折り曲げられてもよい。これは、それぞれの隣り合うコイル間にある付加的な材料の量に起因して、短チューブ4180の付加的な可撓性を更なる伸縮性と共に可能にする。また、本技術の他の例では、材料のウェブ4172が螺旋コイル4174の隣り合うコイル間で折り曲げられる短チューブ4180の長さに沿う特定の領域または部分と、材料のウェブが折り曲げられないガス送出チューブの他の領域とが存在してもよい。そのような構成は、ガス送出チューブの長さに沿って可撓性および伸縮性の度合いを変えることができるようにしてもよい。例えば、患者インタフェース3000およびPAP装置4000の近傍の位置で剛性の増大または減少を伴う短チューブ4180の部分を設けることができてもよい。1つの例において、患者インタフェース3000およびPAP装置4000の近傍の短チューブ4180の部分は、これらの領域でチューブの剛性を高めてこれらの領域でキンクが減少されるようにするために、チューブの単位長さ当たりの折り曲げ部の数が少なくてもよい。材料のウェブ4172の一部分を折り曲げない他の理由は、製造理由のためであってもよい。例えば、カフのオーバーモールドが行われるようになっている遠位端ではウェブ4172に折り曲げ部を有さない。これにより、ウェブがカフと接合する場所でウェブ4172に脆弱スポットを形成する傾向を減少させることができる。これは、これらの位置で折り曲げられたウェブが弱い締め付け状態で捕捉される可能性があるからである。
図161は、典型的な短チューブ4180の他の側面図を示す。この図では、短チューブ4180が圧縮状態または収縮状態にある。この状態において、短チューブ4180の長さは、それが図160に示される中立状態にあるときのその長さよりも短い。例えば、短チューブ4180は、中立状態におけるよりも最大で50%短い長さまで圧縮されてもよい。短チューブ4180がその圧縮状態まで圧縮されると、材料のウェブ4172は、その折り曲げ部が更に急勾配になって螺旋コイル4174の隣り合うコイル間の距離WFが減少するように圧縮される。圧縮状態において、隣り合うコイル間の距離WFは、螺旋コイルの幅WCよりも小さくなるように減少してもよい。また、材料のウェブ4172の折り曲げ部の頂点または山4182は、頂点または山が螺旋コイル4174の外面4184よりも上側に立ち上がるように更に径方向外側に押し進められてもよい。言い換えると、材料のウェブ4172の丈が更に高くなってもよい。この作用は、隣り合うコイル間の材料の量と、材料のウェブ4172の折り曲げ部の角度および厚さTWとによって制御されてもよい。また、螺旋コイルの幅WCが短チューブ4180の圧縮中に減少しなくてもよい一方で、他のバネには普通にあることだが、螺旋コイル4174の隣り合うコイル同士が近づけられてもよいことも理解されるべきである。また、図161においては、短チューブ4180が圧縮状態にあるときに、材料のウェブ4172の折り曲げ部の頂点または山4182における角度(すなわち、所定の折り曲げ線の両側にある材料のウェブのそれぞれの部分間の角度)が減少されて、先と同様に、材料のウェブの丈が更に高くなってもよいことが分かる。
図162は、短チューブ4180のそれがその拡張状態または伸長状態にあるときの更なる側面図を示す。この状態において、短チューブ4180は、図160に示される中立状態におけるよりも長い長さを有し得る。例えば、短チューブ4180は、中立状態にあるときのその長さの最大200%まで伸長されてもよい。また、この図では、螺旋コイル4174の隣り合うコイル間の距離WFが増大して、材料のウェブ4172の折り曲げ部が更に平坦になることが分かる。また、隣り合うコイル間の距離WFは、螺旋コイルの幅WCよりも大きい幅まで増大し得る。更に、図162において分かるように、材料のウェブ4172の折り曲げ部の頂点または山4182は、頂点または山が螺旋コイル4174の外面4184の高さよりも下側まで下がるように径方向内側に押し進められ得る。この場合も先と同様、これは、隣り合うコイル間の材料の量と折り曲げ部の角度とによって制御されてもよい。また、螺旋コイルの幅WCが短チューブ4180の伸長中に増大しなくてもよい一方で、他のバネには普通にあることだが、螺旋コイル4174の隣り合うコイルが引き離されてもよいことも理解されるべきである。また、図162においては、短チューブ4180が伸長状態にあるときに、材料のウェブの折り曲げ部の頂点または山における角度(すなわち、所定の折り曲げ線の両側にある材料のウェブのそれぞれの部分間の角度)が増大されて、先と同様に、材料のウェブ4172が更に平坦になってもよいことが分かる。
図163は、2つの端部間で湾曲された典型的な短チューブ4180を示す。図163に示されるように湾曲されると、螺旋コイル4174の隣り合うコイル間の材料のウェブ4172が湾曲部の外側4179で伸長され得るとともに、屈曲部の内部4176の材料のウェブが圧縮され得る。このように湾曲されると、屈曲部半径Rの限界をより良く理解できる。1つの例において、チューブは、13mm直径を有する円筒体上にわたってまとわれると、それ自体の重量下で44mmの屈曲部半径Rを有してもよい(すなわち、付加的な重量が加えられない状態)。材料のウェブ4172を構成する材料の量が多ければ多いほど、想定し得る屈曲部半径Rは小さくなる。これは、図163において分かるように、隣り合うコイル間の最大可能距離WFまでだけ湾曲部の外側4179を伸ばすことができるからである。屈曲部の外部4179において、短チューブ4180は、隣り合うコイル間に設けられる材料のウェブ4172の幅に至るまでしかその外部4179で屈曲して伸びることができない。したがって、隣り合うコイル間の材料のウェブ4172のために更に多くの材料が設けられれば、屈曲部の外部4179が更に伸長されるように短チューブ4180を屈曲できるとともに、最大屈曲部半径Rが減少されるため、可撓性が向上される。
また、屈曲部の湾曲内部4176の内側における隣り合うコイル間の距離WFは、螺旋コイル4174の隣り合うコイルがほぼ接触しているポイントまで減少されるのが分かる。したがって、屈曲部の内部4176にある材料のウェブ4172によって屈曲部半径Rも制限される。図164において分かるように、材料のウェブ4172は、屈曲部の内部4176では、螺旋コイル4174の隣り合うコイル間で圧縮される。そのため、材料のウェブ4172が厚くなればなるほど、最大屈曲部半径Rが大きくなる。これは、隣り合うコイル間の材料の量が多ければ多いほど、コイル同士が屈曲部の内部4176で互いに近づきにくくなるからである。
したがって、短チューブ4180の屈曲部半径Rを最適化するためには、屈曲部の外部4179が伸長して所望の屈曲部半径を満たすことができるようにするべく十分な幅の材料のウェブ4172が設けられなければならないが、螺旋コイル4174の隣り合うコイルが屈曲部の内部4176で近づいて所望の屈曲部半径を達成できるようにするべく十分な厚さの材料のウェブも設けられなければならない。
図164は、図163に示されるようにとられた典型的な短チューブ4180の断面図を示す。短チューブ4180のこの断面図は、隣り合うコイル間の距離WFが螺旋コイルの幅WCに等しいようにガス送出チューブをその中立状態で示す。また、短チューブ4180は、約18mmである内径DIを有してもよい。短チューブ4180は、3.2mm〜4.7mm、あるいは、好ましくは4.5mm〜4.7mmのピッチPを有してもよい。また、この図は、螺旋コイル4174が材料のウェブ4172の厚さTWよりも大きい厚さTCを有してもよいことも示す。螺旋コイル4174が材料のウェブ4172よりも厚いと、螺旋コイルが構造的強度を与えることができるとともに、これが短チューブ4180にバネ作用を与える。また、この図では、材料のウェブ4172が略均一の及び/又は連続する厚さを有してもよいことが分かる。
図164は、材料のウェブ4172の少なくとも一部が所定の折り曲げ線4186の周りで非対称であってもよいことも示す。例えば、材料のウェブ4172は、所定の折り曲げ線4186の一方側で螺旋コイル4174に隣接する瘤部4181を含んでもよく、また、他方側には、他方側の螺旋コイルに隣接して傾斜部4183が含まれてもよい。また、折り曲げ部の頂点または山4182に対する材料のウェブ4172の傾斜は、瘤部4181の側よりも傾斜部4183の側で急であってもよい。勾配の険しさが異なるため、短チューブ4180が中立状態にあるときに、傾斜部4183の側の螺旋コイルの縁部と所定の折り曲げ線4186との間の幅WFSは、瘤部4181の側の螺旋コイルの縁部と所定の折り曲げ線との間の幅WFFよりも小さくてよい。したがって、伸長されると、材料のウェブ4172は、WFSがWFFよりも増大するように伸長され得る。これは、より多くの量の材料がその領域に含まれるからである。言い換えると、短チューブ4180は、第1の方向で(例えば、傾斜部4183から瘤部4181へと)特定の量だけ伸ばされてもよく、また、第1の方向と反対の第2の方向で(例えば、瘤部から傾斜部へと)異なる量だけ伸ばされてもよい。そのような構成は、患者インタフェース3000が短チューブ4180の一端に取り付けられるとともにPAP装置4000が他端に取り付けられる場合に有益となり得る。これは、患者1000が、患者インタフェース3000を着用しながら移動する場合があり、したがって、患者1000の方向でより大きな量の伸縮性を必要とする場合があるからである。チューブ4180の非対称な形状は、一般に、チューブ4180がどのように形成されたかの結果である。しかしながら、もう一つの方法として、材料のウェブ4172が所定の折り曲げ線4186の周りで略対称な形状を有することも想定し得る。
図164において分かるように、瘤部の幅WHおよび傾斜部の幅WSが異なってもよい。したがって、材料のウェブ4172は、瘤部4181を横切るよりも大きな範囲にわたって傾斜部4183を横切って隣り合うコイルへ向けて屈曲されてもよい。言い換えると、WSにおける大きな隙間に起因して、小さい隙間を有するWHにおけるよりも大きな大きさの可撓性(すなわち、より小さい屈曲部半径)がこの特定の領域に存在してもよい。また、WHにおける小さい隙間に起因して、この部分は、材料のウェブ4172がWHにおいてWSにおけるよりも既にコイル4174に近づいているため、WSにおけるよりも少ない度合いまで圧縮できてもよい。
図164に示される他の特徴は、螺旋コイル4174が一般にウェブ4172よりも良いと感じる場合、特にウェブの折り曲げ部が非常に鋭利である場合には、表面積(例えば、短チューブ4180の最も外側の表面積)が材料のウェブ4172よりも大きな割合で螺旋コイル4174の外面4184によって占められ得ることである。これにより、患者にとってより良い触感を与えることができる。これは、図164において分かるように、螺旋コイル4174の外面4184が、丸みを帯びており、したがって、材料のウェブ4172の折り曲げ部の頂点または山4182よりも滑らかだからである。
また、図164において分かるように、材料のウェブ4172および螺旋コイル4174は、短チューブ4180の内面が滑らかで連続するように一体に結合されてもよい。滑らかで連続する内面を形成するために材料のウェブ4172の隣り合う側が互いに接合されてもよく、あるいは、材料のウェブ4172が螺旋コイル4174の隣り合うコイルの隣り合う側に結合されてもよいことが理解されるべきである。このようにして、内面が滑らかで連続するように短チューブ4180を形成することにより、呼吸用ガスのよりスムーズな流れがガス送出チューブを通じてもたらされてもよい。一般に、テープ締め付けを防止するために、折り曲げ部は、短チューブ4180の両端にカフをオーバーモールドした後に形成される。
また、材料の任意の適した組み合わせが材料のウェブ4172および螺旋コイル4174を構成してもよいことも理解されるべきである。それぞれの各構成要素4172,4174の材料は、同じであってもよく、あるいは、少なくとも1つの局面で異なってもよい。本技術の1つの例において、材料のウェブ4172および螺旋コイル4174は、熱可塑性エラストマー(TPE)または熱可塑性ポリウレタン(TPU)から形成されてもよい。ウェブ4172およびコイル4174はいずれも、ウェブ4172とコイル4174との間に一体的な化学結合(分子付着)をもたらすのに有利な同じプラスチック材料(または、同じプラスチック材料の異なる混合)から形成されてもよい。材料選択は多くの因子によって制約される。可撓性を与えることができるようにするウェブ4172用の材料の機械的特性は、決定的な因子である。熱消毒に耐えることができる能力がもう1つの重要な因子である。べとついて粘着性がないことが他の因子である。また、短チューブ4180は、患者の手足が短チューブ4180の上に位置する場合に起こり得るチューブ4180の外周面に対する外力の印加の際に閉塞を回避してフープ応力に耐えなければならない。これは、短チューブ4180に最小の内径を与えて、螺旋コイル4174の螺旋ピッチおよび構造的剛性を定めることによって対処される。
また、材料の選択は、短チューブ4180のバネ剛性(P=kx、ここで、Pは負荷であり、kは剛性であり、xは撓みである)にも影響を及ぼし得る。バネの剛性kが大きくなればなるほど、一定の負荷下での撓みが小さくなる。バネ率は、測定単位当たりのバネ(任意のバネ)を撓ませるために必要な重量の大きさである。例えば、異なる弾性率および異なる曲げ剛性を有する材料は、所望のバネ剛性をもたらすために、材料のウェブ4172および螺旋コイル4174のそれぞれのために使用されてもよい。同様に、バネ剛性は、材料のウェブ4172および螺旋コイル4174の両方において同じ弾性率を有する材料を使用することによって選択されてもよい。また、図164に関連して説明した螺旋コイル4174のピッチは、ガス送出チューブ4180のバネ剛性にも影響を及ぼし得る。1つの例において、バネ剛性は約0.03N/mmであってもよい。
図165は、屈曲状態または湾曲状態の典型的な短チューブ4180の他の図を示す。この図においても図163と同様に、短チューブ4180が半径Rにわたって湾曲される。しかしながら、この図では、チューブ4180が重力に起因して一端で張力を受けるときにどのように曲がることができるのかを明らかにするために、短チューブ4180が平坦な高い表面(例えばテーブル)の縁上に垂らしてかけられて見える。テーブルの角を越えて垂れ下がる短チューブ4180の部分の重量は、チューブ4180の伸長と、テーブルの縁付近のチューブ4180の領域での曲げとを引き起こし得る。この図は、図163に示される曲げ特性と同様の曲げ特性を描く。具体的には、材料のウェブ4172は、WFが湾曲の内側よりも外側で大きくなるように、屈曲部領域の外側4179で伸長されるとともに、屈曲部の内部4176で圧縮される。
図166は、患者インタフェース3000に対して直接に取り付けられる典型的な短チューブ4180を示す。従来のマスクでは、ガス送出チューブが旋回エルボーを介してマスクに取り付けられる。従来技術のアセンブリは、ガス送出チューブを患者インタフェースとのその接合部で旋回エルボーによって変向させることにより、チューブ抵抗力を減少させようとしている。しかしながら、旋回エルボーを含ませることにより重量および部品が増大し、それにより、チューブ抵抗力の減少が抑制され得る。したがって、本技術によれば、短チューブ4180がマスクフレーム3310に直接に接続されてもよい。図166は、短チューブ4180がマスクフレーム3310に対する接続部から下方に傾けられてもよいことを更に示し、これは、チューブ抵抗力の減少にも寄与し得る。下向き角度は、部分的には接続ポート3600によって円滑にされてもよい。
再び図1bおよび図1cを参照すると、本技術に係る短チューブ4180は、第1の端部に患者インタフェース3000を接続して見える。この接続は、図166に関連して前述した固定接続であってもよい。この例では、カフがチューブ4180の第1の端部にオーバーモールドされ、その後、チューブ4180の第1の端部が患者インタフェース3000に形成される対応する接続ポート3600にオーバーモールドされる。この例は、チューブ4180とマスクフレーム3310との間にエルボーが存在しないという意味でエルボーレスである。他の例では、スイベルエルボーをチューブ4180とマスクフレーム3310との間に位置させて、スイベルエルボーおよびチューブ4180がマスクフレーム3310に対して自由に回転できるようにすることができる。様々な異なる患者インタフェースが短チューブ4180に接続されてもよいことを示すために、これらの図に示される患者インタフェース3000が破線で示されることが理解されるべきである。短チューブ4180の第2の端部は、短チューブ4180とは異なってもよい更なるガス送出チューブ4178の第3の端部に対する接続を容易にするための回転可能なカフ、スイベルカフ、または、アダプタ4190である。回転可能なカフは、短チューブ4180および更なるガス送出チューブ4178がそれぞれの端部で互いに対して回転できるようにする。更なるガス送出チューブ4178は、短チューブ4180と同様の特徴を組み込んでもよいが、更に大きな内径(例えば、18mm〜22mm)を有してもよい。チューブ4178,4180に対して与えられるこの更なる自由度は、短チューブ4180のねじれを軽減して、短チューが受ける任意のチューブ抵抗力を切り離し、したがって、キンクを切り離すことによって、チューブ抵抗力を減少させるのに役立ち得る。更なるガス送出チューブ4178の第4の端部はPAP装置4000に接続されてもよい。スナップ式に取り付けられる二部品スイベルがカフにインモールド成形で組み付けられる。あるいは、スナップ式の一部品スイベルも想定し得る。
図203〜図222を参照すると、本技術のチューブ4180が、螺旋コイルを有する従来の短チューブと比較される。比較は、本技術のチューブ4180の曲げ剛性または軟質性が優れていることを示す。これは、チューブ4180が伸長されるときに該チューブがより低いグラム重量(gf)を有するからである。チューブの下端は、短チューブを伸長するために印加される力の方向に対して垂直である角度からチューブの長手方向軸線が始まるように固定位置に保持される。言い換えると、短チューブの下端は、それが最初に水平面に対して平行で接するように保持される(図203、図208、図213、図218参照)。短チューブの上端は、短チューブの保持された下端の真上でInstron機により保持される。Instron機は、0mmから30mmまで、60mmまで、90mmまで、および、120mmまで、一連のステップで30mmの距離ずつ短チューブを垂直上向きに伸長させる。また、Instron機は、短チューブのバネ剛性に対応してもよい力をニュートン単位でそれぞれの距離ごとに測定する。短チューブが伸長されるそれぞれの距離ごとに短チューブの固定された下端でグラム重量を測定するために、トルクゲージおよび力ゲージ(Torque Gauge RM No. MTSD05997およびMecmesin Force Gauge RM No, MFGX05996)が使用される。チューブは異なる重量および長さを有するため、初期位置で、Instron機、トルクゲージ、および、力ゲージがゼロに合わされる。このようにして測定機器をゼロに合わせることにより、測定値が各チューブの重量および長さとは無関係になる。それぞれの距離ごとに短チューブの角度を大まかに示すために、背景には1cmのマス目も配置される。比較は以下を示す。
上記比較は、本技術の短チューブ4180だけが30mmと60mmとの間の伸長でチューブトルクを受け始める一方で、従来のチューブが30mm伸長によってチューブトルクを既に受けることを示す。測定された全ての距離で、従来のチューブは、それらが本技術のチューブ4180と比べて軟質性が低いととともに高い曲げ剛性を有することを示すかなり高いグラム重量を有する。したがって、チューブ4180においては、従来のチューブと比べてチューブトルクの結果としてのシール破壊が生じる可能性が殆どない。また、チューブ1480の軟質性は、チューブトルクを扱うために一般に使用されるスイベルエルボーまたはボールソケットエルボーを必要とすることなくチューブをフレーム3310に直接に接続できるようにする。これは付加的な部品を排除し、それにより、患者インタフェース3000における全体の重量の減少がもたらされる。チューブ4180が患者1000によって感じられることが殆どなく、また、何らかのチューブ抵抗がシール形成構造体3100を患者の顔面から引き離すように作用する前にチューブがより大きな動作自由度を患者1000に与えるため、快適さが向上される。
前述したように、短チューブ4180が患者インタフェース3000に対して移動されるにつれて、短チューブがチューブ抵抗力をもたらす場合がある。チューブ抵抗力は、ここでは、力及び/又はモーメントを含んでもよいが、別段に述べられなければ、チューブ抵抗力という用語が力及び/又はモーメントを包含することが理解され得る。
そのようなチューブ抵抗力の原因のうちの1つが短チューブ4180の曲げであるかもしれない。例えば、患者1000が自分の身体をPAP装置4000から背ける際に短チューブ4180で生み出される曲げは、患者インタフェース3000でチューブ抵抗力をもたらす場合があり、それにより、随意的に、シールに支障を来し、及び/又は、不快感を患者にもたらす。
チューブ抵抗力の作用を実証するために、患者インタフェース3000と短チューブ4180とを備えるシステムの簡単な描写が考えられてもよい。このシステムでは、患者インタフェースが患者1000に配置されて、ヘッドギアが患者インタフェースから切り離されることが想定されてもよい。このケースでは、何らかのチューブ抵抗力に患者インタフェース3000が反応せざるを得ない。この場合、例えば何らかのモーメントが偶力として患者1000に作用する場合があり、及び/又は、何らかの力が等しい相反する反力によって患者1000に作用する場合がある。
結果として患者インタフェース3000に生じるチューブ抵抗力は、短チューブ4180の構造に関連付けられてもよい。より具体的には、短チューブ4180が曲げられると、短チューブ4180の曲げ剛性が患者インタフェース3000でもたらされるチューブ抵抗力に影響を及ぼし得る。
一般的には、一定の断面をもつ円筒状の管状物体が固定端で固定されて自由端で荷重を受ける(すなわち、片持ち)と、結果として固定端に生じる力およびモーメントは、d=Pl3/3EI(重力を無視する)として表すことができる。ここで、dは撓みであり、Pは垂直力であり、lはチューブの長さであり、Eは材料の弾性率であり、Iはその断面の断面二次モーメントである。ここでは、結果として固定端で生じる反作用は、逆向きのPの垂直力、および、lPのモーメントとなる。
これを患者インタフェース3000と短チューブ4180とを備えるシステムに適用すると、近位端における反作用は、チューブ抵抗力の一部を形成してもよいPの垂直力およびlPのモーメントとなる。先の式がP=3dEI/l3へと書き換えられてもよい。このとき、所定の撓みd(すなわち、患者1000により与えられる動作における撓み)およびチューブ長さlに関しては、EIが増大されるにつれてチューブ抵抗力が増大され、あるいは、EIが減少されるにつれてチューブ抵抗が減少されることになる。
断面が一定の円形チューブに関して、Iは、方程式I=π(do 4−di 4)/64を使用して計算されてもよい。したがって、一例として、15mmの所定の内径(di)に関して、外径(do)の19mmから18mmへの減少は、チューブ抵抗力を約32%減少させる。同様に、使用される材料の弾性率の減少は、チューブ抵抗力の減少をもたらすが、この場合の関係は直線的となり得る。
したがって、本技術における短チューブ4180は断面が一定の円形でなくてもよいが、短チューブ4180の全体の曲げ剛性は、材料のウェブ4172および螺旋コイル4174などの短チューブ4180の様々な部分の幾何学的形態および材料特性の結果となり得る。
短チューブ4180の曲げ剛性の減少は、短チューブ4180の構造的完全性の低下をもたらす場合がある。すなわち、一例として、短チューブ4180の外径を減少させることによって材料のウェブ4172の厚さが変えられた場合には、曲げ剛性、したがってチューブ抵抗力が減少され得るが、これは、短チューブ4180のより脆弱な構造をもたらすとともに、通常の使用中に短チューブ4180の閉塞を引き起こす場合がある。
したがって、本技術の利点は、閉塞を回避して耐久性をもつべく適切な強度を維持しつつ曲げ剛性を低下させるように作用する短チューブ4180の幾何学的形態と材料との組み合わせである。
チューブ4180は、チューブ4180の軸方向の圧縮および伸長によって生じ得る厄介な雑音/静止摩擦力を伴わず、実質的に静かである。雑音を減らす或いは排除するための1つの例は、螺旋コイル4174のコイル同士が互いに固着しないようにするために添加剤を加えることであってもよい。患者インタフェースのための従来のチューブは、寝ようとするときにそれが断続的な雑音であることから患者1000および患者のベッドパートナー1100を不快にさせ得るこの種の雑音に見舞われることで知られてきた。チューブ4180は、重力下でチューブ4180の重量により引き起こされるチューブ抵抗力を最小にするために軽量となるように意図される。本技術の1つの例では、中立状態において、チューブ4180の長さが端部カフを含めて約285mm〜305mmであってもよく、また、重量が約18.7グラム〜19.1グラムであってもよい。したがって、端部カフを伴うチューブ4180の重量は約62.6g/m〜65.6g/mであってもよい。チューブ4180とチューブ4180の端部にオーバーモールドされる端部カフとの間で空気漏れは存在しない。端部カフのうちの一方は、短チューブ4180と長チューブ4178との間の360°の相対回転を可能にするためのスイベルカフ4190であってもよく、一方、他方の端部カフは、旋回しないフレームカフである。スイベルカフ4190は、患者1000の人差し指によってチューブ4180を長チューブ4178に接続されるチューブアダプタ4190から離脱させることができる感触のある外周縁を与える隆起部を有してもよい。隆起部は、長チューブ4178に対する係脱の繰り返し後のスイベル端部カフ4190および短チューブ4180の耐久性を高めるために、より大きな力に耐えることができる。
単一の螺旋コイル4174について説明してきたが、より多くの螺旋コイルがチューブ4180に設けられてもよいことが想定される。複数の螺旋コイルをチューブ4180に設けると、マルチスタート(ダブルスタート、トリプルスタートなど)、言い換えると、多条が可能となる。これは、チューブ4180の軟質度を高めてチューブ抵抗力を減少させるが強力な構造を有することによりキンクおよび閉塞も防止する或いはそれに抵抗するために、各螺旋コイルを異なる材料から形成できる或いは各螺旋コイルが異なる寸法を有することができるようにし得る。
6.4.1.1.1 マスクシステム
マスク構成要素のうちの1つ以上は、シール破壊の可能性を最小限に抑えるためにチューブトルクを切り離すように共に構成されて配置されてもよい。短チューブ4180は、その高い軟質さと伸長できる能力とに起因して、チューブトルクを切り離すことができる。短チューブ4180が分離できることよりもチューブトルクが大きい場合には、位置決め安定化構造体3300もチューブトルクを切り離す。リジダイザアーム3302は、チューブトルクを切り離すために矢状面内で屈曲する。また、プレナムチャンバ3200及び/又はシール形成構造体3100のクッション機能は幾らかの大きさのチューブトルクを切り離す。これらの特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせは、チューブトルクを切り離すことができる能力を高める。これらの特徴の全ての組み合わせは、より大きなチューブトルクを切り離すことができる能力を更に高める。
マスク構成要素のうちの1つ以上は、患者1000にとっての快適さを高めるべく共に構成されて配置されてもよい。短チューブ4180は軽量であり、また、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造体3100も軽量であり、したがって、位置決め安定化構造体3300により与えられるヘッドギア張力は、良好なシールをもたらすために不快に高くならないで済む。エルボーが短チューブ4180をフレーム3310に接続する必要性を減らすと、患者インタフェース3000の全体の重量も減少し、それにより、位置決め安定化構造体3300により必要とされるヘッドギア張力のレベルが下がる。また、患者インタフェース3000が軽量であるときの患者1000による認識は、それが「そこに殆どない」というものであり、それにより、患者インタフェース3000を着用しているように感じず、不安神経症や閉所恐怖症を殆どもたらさない。リジダイザアーム3302の形状および可撓性は患者1000に快適さを与える。これは、リジダイザアームが頬骨下に位置するとともに、一部の患者1000にとっては敏感な顔面領域となり得る患者の耳の周囲でリジダイザアームがヘッドギアストラップ3301を方向付けるからである。ストラップ3301は、織布から形成されるとともに、患者の皮膚に良好に当て付く感じがある。これは、プラスチックヘッドギアストラップと比べてストラップ3301が表面熱と汗からの凝縮物とを保持しないからである。また、織布から形成されるストラップ3301はプラスチック材料よりも密度が低く、これは、重量および嵩の減少につながる。ストラップ3301の分割領域3326は、患者1000が自分にとって快適であると感じるレベルまでヘッドギア張力を調節できるようにする。これらの特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせは、患者1000にとっての快適さを高める。これらの特徴の全ての組み合わせは、患者1000にとっての快適さを大きく高める。
マスク構成要素のうちの1つ以上は、患者1000との最適なシールの機会を増やすように共に構成されて配置されてもよい。これは、より良い治療コンプライアンスをもたらすとともに、平均的な毎日の使用を更に36分だけ増大させる。前述したようなチューブトルクの切り離しの向上と患者1000にとっての高い快適さとの組み合わせによって最適なシールを得ることができる。
マスク構成要素のうちの1つ以上は、特に初めての患者1000において、より良好な治療コンプライアンスをもたらす患者インタフェース3000の視覚的訴求を高めるように共に構成されて配置されてもよい。患者インタフェース3000は、低いプロファイルを有するとともに、患者の顔面上に小さい占有領域を有する。これは、フレーム3310があまり幅広くないとともに顔の幾何学的形態に対応して湾曲されるからである。また、分割領域3326とリジダイザアーム3323の湾曲プロファイルの滑らかな連続する表面とを伴う一体型のストラップ3301は、目障りではなく、嵩張って或いは複雑に見えないとともに、患者の顔面の大きな表面領域を覆わない。これらの特徴の2つ以上の任意の組み合わせは、患者インタフェース3000の視覚的訴求を向上させる。これらの特徴の全ての組み合わせは、患者インタフェース3000の視覚的訴求を大きく高める。
マスク構成要素のうちの1つ以上は、患者インタフェース3000の組み付け及び分解を向上させるように共に構成されて配置されてもよい。患者インタフェース3000は、フレーム3310から取り外しできるシール形成構造体3100およびストラップ3301である2つの構成要素が存在するため、患者1000に対して簡素さを与える。また、取り外しできる構成要素が少ないことは、患者インタフェース3000を洗浄する必要があるときに患者インタフェース3000を組み立てる及び分解することが容易であることも意味する。フレーム3310、プレナムチャンバ3200/シール形成構造体3100、および、ストラップ3301は、個別に異なるスケジュールで洗浄されてもよく、例えば、プレナムチャンバ3200/シール形成構造体3100がストラップ3301よりも頻繁に洗浄されてもよい。構成要素の形状および構造は、患者インタフェース3000を直観的態様で組み付ける及び分解する方法を患者1000に対して視覚的および触覚的に示唆する。例えば、係合が正しいときに可聴クリック音を発生させるプレナムチャンバ3200とフレーム3310との間の嵌め合い関係は、患者1000に直観的である。また、フレーム3310、プレナムチャンバ3200、および、位置決め安定化構造体3300に視覚的および触覚的な指標を設けることは、患者1000がマスク構成要素の誤った組み付け/分解または誤った方向付け/位置ずれを回避するための更なるガイドを付加する。これらの特徴の一部は、暗い環境の中にいる手に関節炎を伴う患者1000にとって特に有益である。例えば、可聴クリック音が聞かれてもよく、あるいは、マスク構成要素の形状の手触り及び感触、並びに、触覚指標も、微光状態において有用である。また、単にストラップ3301を伸長させるだけで患者インタフェース3000を着用する或いは患者の顔から取り外すことは、複雑な係合/離脱手続きを回避する。これらの特徴のうちの2つ以上の任意の組み合わせは、患者インタフェース3000の簡素化を向上させる。これらの特徴の全ての組み合わせは、患者インタフェース3000の簡素化を大きく高める。
本技術の1つの例において、フレームアセンブリは、フレーム3310、短チューブ4180、ベント3400、および、リジダイザアーム3302のサブアセンブリを含む。フレームアセンブリのサブアセンブリは互いに取り外し不能に接続され、例えば、フレーム3310と短チューブ4180とが互いに取り外し不能に接続され、フレーム3310とリジダイザアーム3302とが互いに取り外し不能に接続され、および、フレーム3310とベント3400とが互いに取り外し不能に接続される。クッションアセンブリがフレームアセンブリと取り外し可能に係合できる。クッションアセンブリは、シール形成構造体3100、プレナムチャンバ3200、保持構造体3242、および、プレナム接続領域3240を含む。ストラップ3301は、フレームアセンブリと、特にリジダイザアーム3302と取り外し可能に係合できる。
織物から形成されるストラップ3301について説明してきたが、ストラップの少なくとも遠位端がシリコーンまたはプラスチック材料から形成されてもよいことが想定される。シリコーンストラップは、取り外し不能な接続のためにプレナムチャンバ3200へのオーバーモールドを可能にする。
6.4.1.1.2 マスクシステムの不正確な組み付け及び分解の防止
図187〜図190を参照すると、患者インタフェース3000には、マスク構成要素と互いに係合する際の誤った方向付けを防止し或いは最小限に抑えるために、視覚的指標および触覚的指標が設けられる。また、これらの指標は、マスク構成要素を互いから離脱させる際に患者1000に直観も与える。図187および図188において、リジダイザアーム3302の延在部3350の外面3355上には、パッド印刷3290が設けられる。単語が右上側に向けられる方向性を患者1000に示唆するようにマスク名およびブランドロゴがパッド印刷される。これらの印刷は視覚的表示を患者1000に与える。図189では、隆起した/エンボス加工された文字列3291がフレーム3310の上縁近傍に存在する。この文字列は、フレーム3310が上に向けられるか或いは下に向けられるかどうかについての視覚的および触覚的な指標を患者1000に与えるとともに、ストラップ3301をリジダイザアーム3302に取り付けるときの光量が少ない状態において特に役立つ。また、凹状の文字列3292がリジダイザアーム3302の外面上に存在する。この文字列は、リジダイザアーム3302の方向性の視覚的および触覚的な指標を患者1000に与えるとともに、ストラップ3301をリジダイザアーム3302に取り付ける際に役立つ。プレナムチャンバ3200の一方側にパッド印刷3293が存在してもよい。パッド印刷3293は、左枕3130および右枕3130と、シール形成構造体3100のサイズ(小、中、大)とを表示してもよい。例えば、患者1000がプレナムチャンバ3200上のパッド印刷3293を見ると、患者は、自分がプレナムチャンバ3200の上面と対向していることに気付く。これらの全ての視覚的および触覚的な指標は、誤った方向付けと不適切な組み付け及び分解とを避けるために、患者1000が患者インタフェース3000の側および表面を特定するのを助ける。これは、患者インタフェース3000に対する不慮の損傷を避けることができるとともに、組み付け及び分解と関連付けられる任意のユーザフラストレーションも緩和する。
6.5 PAP装置4000
本技術の1つの態様に係るPAP装置4000は、機械的な空気圧式の構成要素4100と電気的構成要素4200とを備えるとともに、1つ以上のアルゴリズム4300を実行するようにプログラミングされる。PAP装置は外部ハウジング4010を有してもよく、外部ハウジング4010は、2つの部分を成して、すなわち、外部ハウジング4010の上部4012と、外部ハウジング4010の下部4014とを成して形成される。別の形態では、外部ハウジング4010が1つ以上のパネル4015を含んでもよい。PAP装置4000は、PAP装置4000の1つ以上の内部構成要素を支持する筐体4016を備えてもよい。1つの形態では、空気圧ブロック4020が筐体4016によって支持され或いは筐体4016の一部として形成される。PAP装置4000がハンドル4018を含んでもよい。
PAP装置4000の空気圧経路は、入口空気フィルタ4112と、入口マフラと、陽圧の空気を供給できる制御可能な圧力装置(例えば、制御可能なブロワ4142)と、出口マフラとを備えてもよい。1つ以上の圧力センサおよび流量センサが空気圧経路中に含まれてもよい。
空気圧ブロック4020は、外部ハウジング4010内に位置される空気圧経路の一部を構成してもよい。
PAP装置4000は、電源4210と、1つ以上の入力装置4220とを有してもよい。電気部品4200が単一の印刷回路基板アセンブリ(PCBA)4202上に装着されてもよい。別の形態では、PAP装置4000が複数のPCBA4202を含んでもよい。
6.5.1 PAP装置の機械的な空気圧式の構成要素4100
6.5.1.1 空気フィルタ4110
本技術の1つの形態に係るPAP装置4000は、1つの空気フィルタ4110または複数の空気フィルタ4110を含んでもよい。
1つの形態では、入口空気フィルタ4112が制御可能なブロワ4142の上流側の空気圧経路の冒頭に位置される。図3c参照。
1つの形態では、出口空気フィルタ4114、例えば抗菌フィルタが空気圧ブロック4020の出口と患者インタフェース3000との間に位置される。図3c参照。
6.5.1.2 圧力装置4140
本技術の一形態では、陽圧の空気の流れを生み出すための圧力装置が制御可能なブロワ4142である。例えば、ブロワ4142は、1つ以上のインペラが渦巻きを成して収容されるブラシレスDCモータを含んでもよい。ブロワ4142は、約4cmH2O〜約20cmH2Oの範囲内、または、他の形態では最大で約30cmH2Oの陽圧の例えば約120リットル/分の所定量の空気を送出することができてもよい。
6.6 加湿器5000
6.6.1 加湿器概要
本技術の1つの形態では、図3bに示されるように、水リザーバと加熱プレートとを備えてもよい加湿器5000が設けられる。
6.7 用語解説
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態では、以下の定義のうちの1つ以上が適用される場合がある。本技術の他の形態では、別の定義が適用される場合がある。
6.7.1 総則
空気:本技術の特定の形態では、患者へ供給される空気が大気であってもよく、また、本技術の他の形態では、大気に酸素が補給されてもよい。
持続的気道陽圧(CPAP):CPAP処置は、大気に対して持続的にプラスで且つ好ましくは患者の呼吸サイクルにわたってほぼ一定の圧力で所定量の空気または呼吸用ガスを気道への入口に印加することを意味するべく解釈される。幾つかの形態において、気道への入口における圧力は、単一の呼吸サイクル内で数センチメートルの水だけ変化し、例えば吸気中において高く、呼気中において低い。幾つかの形態において、気道への入口における圧力は、呼気中においては僅かに高く、吸気中においては僅かに低い。幾つかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間で変化し、例えば、部分上気道閉塞の兆候の検出に応じて増大され、また、部分上気道閉塞の兆候がない場合には減少される。
6.7.2 PAP装置の態様
空気回路:使用時に所定量の空気または呼吸用ガスをPAP装置と患者インタフェースとの間で送出するように構成されて配置される導管またはチューブ。特に、空気回路は、空気圧ブロックの出口および患者インタフェースと流体接続してもよい。空気回路が空気送出チューブと称されてもよい。ある場合には、吸気および呼気のための回路の別個の肢が存在してもよい。他の場合には、単一の肢が使用される。
APAP:自動気道陽圧。SDB事象の兆候の存在または不存在に応じて最小限界と最大限界との間で連続的に調節できる気道陽圧。
ブロワまたはフロージェネレータ:周囲圧力を上回る圧力の空気流を送出する装置。
コントローラ:入力に基づいて出力を調節する装置または装置の一部。例えば、コントローラの1つの形態は、装置への入力を構成する制御下の変数−制御変数−を有する。装置の出力は、制御変数の現在の値の関数、および、変数のための設定点である。サーボ換気装置は、入力としての換気、設定点としての目標換気量、および、出力としての圧力サポートレベルを有するコントローラを含んでもよい。他の形態の入力は、酸素飽和度(SaO2)、二酸化炭素の分圧(PCO2)、動作、プレチスモグラフからの信号、および、ピーク流量のうちの1つ以上であってもよい。コントローラの設定点は、固定、可変、または、学習のうちの1つ以上であってもよい。例えば、換気装置における設定点は、患者の測定された換気量の長期平均値であってもよい。他の換気装置は、時間に伴って変化する換気量設定点を有してもよい。圧力コントローラは、特定の圧力の空気を送出するためにブロワまたはポンプを制御するように構成されてもよい。
治療:本文脈における治療は、陽圧療法、酸素療法、二酸化炭素療法、死腔の制御、および、薬剤の投与のうちの1つ以上であってもよい。
モータ:電気エネルギーを部材の回転動作へと変換するための装置。本文脈において、回転部材は、回転軸に沿って移動する空気に対して圧力増大を与えるために固定軸を中心に所定位置で回転するインペラである。
気道陽圧(PAP)装置:陽圧の所定量の空気を気道へ供給するための装置。
トランスデューサ:1つの形態のエネルギーまたは信号を他の形態のエネルギーまたは信号へと変換するための装置。トランスデューサは、機械エネルギー(動作など)を電気信号へ変換するためのセンサまたは検出器であってもよい。トランスデューサの例としては、圧力センサ、流量センサ、二酸化炭素(CO2)センサ、酸素(O2)センサ、エフォートセンサ、動作センサ、ノイズセンサ、プレチスモグラフ、および、カメラが挙げられる。
6.7.3 呼吸サイクルの態様
無呼吸:好ましくは、無呼吸は、所定の持続時間、例えば10秒にわたって流量が所定の閾値を下回って降下するときに起こると言われる。閉塞性無呼吸は、患者努力にもかかわらず気道の何らかの閉塞が空気の流れを許容しないときに起こると言われる。中枢性無呼吸は、呼吸努力の減少または呼吸努力の欠如に起因する無呼吸が検出されるときに起こると言われる。
デューティサイクル:総呼吸時間Ttotに対する吸気時間Tiの割合。
努力(呼吸):好ましくは、呼吸努力は、呼吸しようとする自発的に呼吸する人によって行われる作業であると言われる。
呼吸サイクルの呼気部分:呼気流の開始から吸気流の開始までの期間。
流量限界:好ましくは、流量限界は、患者による努力の増大が対応する流量の増大を引き起こさない患者の呼吸における事象の状態であると解釈される。呼吸サイクルの吸気部分中に流量限界が起こる場合、それは、吸気流量限界と説明されてもよい。呼吸サイクルの呼気部分中に流量限界が起こる場合、それは、呼気流量限界と説明されてもよい。
呼吸低下:好ましくは、呼吸低下は、流れの中断ではなく、流量の減少であると解釈される。1つの形態において、呼吸低下は、所定の持続時間にわたって閾値を下回る流量の減少があるときに起こると言われてもよい。成人における1つの形態では、以下のうちのいずれかを来すと、呼吸低下と見なされる。
(i)少なくとも10秒にわたって呼吸する患者における30%減少+関連する4%脱飽和、または、
(ii)少なくとも3%の関連する脱飽和または覚醒を伴う、少なくとも10秒にわたって呼吸する患者における減少(しかし、50%未満)。
呼吸サイクルの吸気部分:好ましくは、吸気流の開始から呼気流の開始までの期間が呼吸サイクルの吸気部分であると解釈される。
開通性(気道):気道が開放している度合い、または、気道が開放する範囲。開通気道は開放している。気道開通性は、例えば開通している1の値および閉塞しているゼロ(0)の値を用いて定量化されてもよい。
呼気終末陽圧(PEEP):呼気の終わりに存在する肺内の大気圧を上回る圧力。
ピーク流量(Qpeak):呼吸流波形の吸気部分中の流量の最大値。
呼吸流量、気流量、患者気流量、呼吸気流量(Qr):これらの同義語は、通常はリットル/分の単位で表される患者が直面する実際の呼吸流量である「真の呼吸流量」または「真の呼吸気流量」とは対照的に、PAP装置の呼吸気流量の推定値を示すものと理解されてもよい。
1回換気量(Vt):余分な努力が加えられないときの通常の呼吸中に吸い込まれる或いは吐き出される空気の量。
(吸気)時間(Ti):呼吸流波形の吸気部分の持続時間。
(呼気)時間(Te):呼吸流波形の呼気部分の持続時間。
(総)時間(Ttot):1つの呼吸流波形の吸気部分の開始と後続の呼吸流波形の吸気部分の開始との間の総持続時間。
典型的な最近の換気量:何らかの所定のタイムスケールにわたる最近の値がその周囲に集まる傾向がある換気量の値、すなわち、換気量の最近の値の中心的傾向の指標。
上気道閉塞(UAO):一部上気道閉塞および完全上気道閉塞の両方を含む。これは、上気道にわたる圧力差が増大するにつれて流量のレベルが僅かだけ増大する或いは更には減少してもよい流量限界の状態(スターリング抵抗挙動)と関連付けられてもよい。
換気量(Vent):吸気流量および呼気流量の両方を含む、患者の呼吸器系によって交換されるガスの単位時間当たりの総量の指標。1分当たりの量として表される際、この量は、しばしば、「分時換気量」と称される。分時換気量は、時として、単に、1分当たりの量であると理解されるボリュームとして与えられる。
6.7.4 PAP装置パラメータ
流量:単位時間当たりに送出される空気の瞬時の量(または質量)。流量および換気量は単位時間当たり同じ大きさの量または質量を有するが、流量は、かなり短い時間にわたって測定される。流量は、患者の呼吸サイクルの吸気部分においては名目上プラスであってもよく、そのため、患者の呼吸サイクルの呼気部分においてはマイナスであってもよい。ある場合には、流量への言及は、スカラー量、すなわち、大きさのみを有する量への言及となる。他の場合には、流量への言及は、ベクトル量、すなわち、大きさ及び方向の両方を有する量への言及となる。流量には記号Qが与えられる。総流量Qtは、PAP装置から出る空気の流量である。ベント流量Qvは、吐き出されたガスの流出を可能にするためのベントから出る空気の流量である。漏れ流量Qlは、患者インタフェースシステムからの意図しない漏れの流量である。呼吸流量Qrは、患者の呼吸器系内へ受けられる空気の流量である。
漏れ:好ましくは、漏れという用語は、周囲環境への空気の流れであると解釈される。漏れは、例えば吐き出されるCO2の流出を可能にするために意図的であってもよい。漏れは、例えばマスクと患者の顔面との間の不完全なシールの結果として意図的でなくてもよい。
圧力:単位面積当たりの力。圧力は、cmH2O、g−f/cm2、ヘクトパスカルを含む一連の単位で測定されてもよい。1cmH2Oは、1g−f/cm2に等しいとともに、約0.98ヘクトパスカルである。この明細書中では、別段に述べられなければ、圧力がcmH2Oの単位で与えられる。OSAの鼻CPAP処置に関して、処置圧力への言及は、約4−20cmH2Oの範囲内の圧力、または、約4−30cmH2Oへの言及である。患者インタフェース内の圧力には記号Pmが与えられる。
音響パワー:音波によって伝えられる単位時間当たりのエネルギー。音響パワーは、音圧の平方と波面の面積との積に比例する。音響パワーは、通常、デシベルSWLの単位、すなわち、通常は10−12ワットとして解釈される、基準パワーに対するデシベルの単位で与えられる。
音圧:媒体を通じて進む音波の結果としての所定の時刻での周囲圧力からの局所的な偏り。音圧は、通常、デシベルSPLの単位、すなわち、人の聴力の閾値と見なされる、通常は20×10−6パスカル(Pa)として解釈される、基準パワーに対するデシベルの単位で与えられる。
6.7.5 顔面の生体構造
鼻翼(ala):各鼻孔の外側の外壁または「翼」(複数形:alar)。
鼻翼最外点(alare):鼻翼の最も外側にある点。
鼻翼湾曲(または鼻翼頂部)点:頬との鼻翼の結合により形成される折れ目で見出される各鼻翼の湾曲ベースラインにおける最も後側の点。
耳介(auricula)または耳介(pinna):耳の視認できる全体の外側部分。
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨前頭突起、および、前頭骨の鼻部を備える。
(鼻)軟骨骨格:鼻の軟骨骨格は、鼻中隔、外側軟骨、大鼻翼軟骨、小鼻翼軟骨を備える。
鼻柱:鼻孔を分離するとともに鼻尖点から上唇まで延在する皮膚片。
鼻柱角度:鼻孔開口の中点を通って引かれるラインと鼻棘を横切りつつフランクフォート水平面に対して垂直に引かれるラインとの間の角度。
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下点から左耳珠点まで延在するライン。耳珠点は、耳介の耳毛よりも上側の切痕における最深点である。
眉間:軟組織上に位置される、額の正中矢状面内の最隆起点。
側鼻軟骨:軟骨の略三角形プレート。その上縁は鼻骨および上顎骨前頭突起に取り付けられ、また、その下縁は大鼻翼軟骨に接続される。
大鼻翼軟骨:側鼻軟骨の下側に位置する軟骨のプレート。大鼻翼軟骨は、鼻孔の前部の周囲で湾曲される。その後端は、鼻翼の3つ或いは4つの小軟骨を含む頑丈な線維膜によって上顎骨前頭突起に接続される。
鼻孔(鼻の穴):鼻腔への入口を形成する略楕円形の開口。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris(nostril))である。鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
鼻唇溝(Naso-labial sulcus)または鼻唇溝(Naso-labial fold):頬を上唇から分離する、鼻の両側から口の角まで延在する皮膚の襞または溝。
鼻唇角:鼻棘を横切る状態での鼻柱と上唇との間の角度。
下耳底:顔面の皮膚に対する耳介の取り付け最下点。
上耳底:顔面の皮膚に対する耳介の取り付け最上点。
鼻尖:頭部の一部の残りの側面図で特定され得る鼻の最突出点または頂点。
人中:鼻中隔の下縁から上唇領域の唇の上端まで延在する正中溝。
ポゴニオン:軟組織上に位置される、顎の最前中点。
稜部(鼻堤):鼻稜部は、鼻根から鼻尖点まで延在する鼻の正中突起。
矢状面:身体を右半分と左半分とに分ける前(正面)から後(背面)まで通り過ぎる垂直面。
鼻根:軟組織上に位置される、前頭鼻骨縫合の領域上に横たわる最凹点。
中隔軟骨(鼻中隔軟骨):鼻中隔軟骨は、中隔の一部を形成するとともに、鼻腔の前部を分ける。
鼻翼最下点:鼻翼基部が上(上側)唇の皮膚と結合する鼻翼基部の下縁。
鼻棘点:軟組織上に位置される、鼻柱が正中矢状面内で上唇と合流する点。
スプラメンターレ:下唇中点と軟組織ポゴニオンとの間の下唇の中線における最凹点。
6.7.6 頭蓋骨の構造
前頭骨:前頭骨は、額として知られる領域に対応する、大垂直部、すなわち、前頭鱗を含む。
下顎:下顎は下側の顎を形成する。オトガイ隆起は、頤を形成する顎の骨隆起である。
上顎:上顎は、上側の顎を形成するとともに、下顎よりも上側および眼窩よりも下側に位置される。上顎骨前頭突起は、鼻の側面によって上方へ突出するとともに、鼻の側面境界の一部を形成する。
鼻骨:鼻骨は、異なる個体でサイズおよび形状が異なる2つの小さい楕円形の骨である。鼻骨は、顔面の中央部および上部に並んで配置されるとともに、それらの接合によって鼻の「梁」を形成する。
ナジオン:前頭骨と2つの鼻骨との交わりであり、眼と鼻梁の上部とのちょうど間にある陥凹領域である。
後頭骨:後頭骨は頭蓋の後下部に位置される。後頭骨は、楕円開口、すなわち、大後頭孔を含み、この大後頭孔を通じて頭蓋腔が脊柱管と連通する。大後頭孔の背後の湾曲板が後頭鱗である。
眼窩:眼球を収容するための頭蓋骨の腔。
頭骨頭頂部:頭骨頭頂部は、互いに接合されるときに頭蓋の天盤および側面を形成する骨である。
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨の基部および側部に位置されるとともに、こめかみとして知られる顔面の部分を支持する。
頬骨:顔面は、顔面の上部および側部に位置されて頬の隆起を形成する2つの頬骨を含む。
6.7.7 呼吸器系の構造
横隔膜:胸郭の底部を横切って延在する筋層。横隔膜は、心臓、肺、肋骨を収容する胸腔を腹腔から分離する。横隔膜が収縮すると、胸腔の容積が増大して、空気が肺内へ引き込まれる。
喉頭:喉頭または発声器は、声帯を収容するとともに、咽頭の下部(下咽頭)を気管と接続する。
肺:人の呼吸器。肺の伝導領域は、気管、気管支、細気管支、および、終末細気管支を含む。呼吸器領域は、呼吸細気管支、肺胞管、および、肺胞を含む。
鼻腔:鼻腔(nasal cavity)(または鼻腔(nasal fossa))は、顔面の中央の鼻の上後にある大きい空気充填空間である。鼻腔は、鼻中隔と呼ばれる垂直ひれによって2つに分けられる。鼻腔の両側には、鼻甲介(conchae)(単数形「concha」)または鼻甲介(turbinate)と呼ばれる3つの水平な延出部がある。鼻腔の前方には、背部が後鼻孔を介して鼻咽頭へと一体化する鼻がある。
咽頭:鼻腔の真下(下方)に位置されるとともに食道および喉頭の上に位置される咽喉の一部。喉頭は、通常、3つの部分、すなわち、鼻咽頭(上咽頭)(咽頭の鼻部分)と、中咽頭(oropharynx)(中咽頭(mesopharynx))(咽頭の口腔部分)と、咽喉頭(下咽頭)とに分けられる。
6.7.8 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。この明細書において、シリコーンへの言及は、液状シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)への言及である。市販のLSRの1つの形態は、Dow Corningにより製造されるSILASTIC(この商標の下で販売される一連の製品に含まれる)である。LSRの他の製造業者はWackerである。正反対のことが別段に明示されなければ、LSRの好ましい形態は、ASTM D2240を使用して測定される約35〜約45の範囲内のショアA(またはタイプA)圧入硬度を有する。
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの一般的に透明な熱可塑性高分子。
6.7.9 患者インタフェースの態様
窒息防止弁(AAV):フェイルセーフ態様で大気へ開放することによって患者による過剰なCO2再呼吸の危険を減らすマスクシステムの構成要素またはサブアセンブリ。
エルボー:所定の角度にわたって方向を変えるべく空気流の軸線を方向付ける導管。1つの形態では、角度が約90°であってもよい。他の形態では、角度が90°未満であってもよい。導管が略円形断面を有してもよい。他の形態では、導管が楕円または長方形の断面を有してもよい。
フレーム:フレームは、位置決め安定化構造体との2つ以上の接続点間の張力負荷を支持するマスク構造体を意味するように解釈される。マスクフレームは、マスクにおける気密でない負荷支持構造体であってもよい。しかしながら、マスクフレームの幾つかの形態が気密であってもよい。
位置決め安定化構造体:位置決め安定化構造体は、頭部上で用いるようになっている位置決め安定化構造体の一形態を意味するように解釈される。好ましくは、位置決め安定化構造体は、呼吸療法を与えるために患者インタフェースを患者の顔面上の所定位置に位置決めして保持するように構成される1つ以上の支柱、紐、補強材の集合体を備える。幾つかの紐は、発泡体と織物との積層複合体などの柔軟な可撓性の弾性材料から形成される。
膜:膜は、例えばシール部及び/又は顔面接触部との関連で、好ましくは曲げ耐性を実質的に有さないが伸長耐性を有する一般的に薄い要素を意味するように解釈される。
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、所定容積の空間を封入する壁を有する患者インタフェースの部分を意味するように解釈され、前記容積は、使用時に大気圧を上回って加圧される空気を内部に有する。外殻がマスクプレナムチャンバの壁の一部を形成してもよい。1つの形態では、患者の顔面の領域がプレナムチャンバの壁のうちの1つを形成する。
シール:名詞形(「シール」)は、2つの表面の界面を通じた空気の流れに意図的に抵抗する構造体または障壁を意味するように解釈される。動詞形(「シールする」)は、空気の流れに抵抗することを意味するように解釈される。
外殻:好ましくは、外殻は、曲げ剛性、引張剛性、および、圧縮剛性を有する湾曲構造体、例えばマスクの湾曲構造壁を形成するマスクの一部を意味するように解釈される。好ましくは、外殻は、その全体の寸法と比べて比較的薄い。幾つかの形態では、外殻が面取りされてもよい。好ましくは、そのような壁が気密であるが、幾つかの形態では、それらの壁が気密でなくてもよい。
補強材:補強材は、他の構成要素の曲げ抵抗を少なくとも1つの方向で高めるようになっている構造的な構成要素を意味するように解釈される。
支柱:支柱は、他の構成要素の圧縮抵抗を少なくとも1つの方向で高めるようになっている構造的な構成要素であるように解釈される。
スイベル:(名詞)好ましくは低トルク下で、好ましくは独立に、共通の軸の周りで回転するように構成される構成要素のサブアセンブリ。1つの形態において、スイベルは、少なくとも360°の角度にわたって回転するように構成されてもよい。他の形態において、スイベルは、360°未満の角度にわたって回転するように構成されてもよい。構成要素のサブアセンブリは、空気送出導管との関連で使用されるときには、好ましくは、円筒状の導管の適合された対を備える。好ましくは、使用時にスイベルからの空気流の漏れが殆どない或いは全くない。
紐:紐は、張力に抵抗するようになっている構造的な構成要素であると解釈される。
ベント:(名詞)吐き出された二酸化炭素(CO2)の流出および酸素(O2)の供給を可能にするための、マスクの内部からの空気の意図的な制御された割合の漏れを許容する構造体、または、外気への導管。
6.7.10 患者インタフェースに関して使用される用語
(表面の)曲率:1つの方向で上方に曲がるとともに異なる方向で下方に曲がるサドル形状を有する表面の領域は、マイナスの曲率を有すると言われる。2つの主方向で同じように曲がるドーム形状を有する表面の領域は、プラスの曲率を有すると言われる。平坦な表面は、ゼロ曲率を有するように解釈される。
軟質:以下の特徴の組み合わせである材料、構造体、または、複合体の品質。
・指圧に容易に順応する。
・それ自体の重量を支持させられるときにその形状を保つことができない。
・硬質ではない。
・僅かな労力で弾性的に伸長され得る或いは曲げられ得る。
軟質であるという品質が関連する方向を有してもよく、したがって、特定の材料、構造体、または、複合体は、第1の方向で軟質であってもよいが、第2の方向で、例えば第1の方向と垂直な第2の方向で高剛性または硬質であってもよい。
弾性:1秒などの比較的短い時間内で、ほぼ弾力的に変形できるとともに、荷重除去時にエネルギーのほぼ全てを解放できる。
硬質:指圧に応じて、及び/又は、患者インタフェースを患者の気道への入口とのシール関係に設定して維持するときに一般に直面される張力または負荷に応じて、容易に変形しない。
半硬質:気道陽圧治療中に一般に印加される機械的な力の作用下で実質的に歪まないように十分に硬質であることを意味する。
6.8 他の所見
この特許文献の開示の一部は、著作権保護を受ける題材を含む。著作権所有者は、特許文献または特許開示のうちのいずれかによる複製に何ら異存はない。これは、複製が、特許商標局の特許ファイルまたは記録に現れるが、そのほかの点では全ての著作権を何であれ留保するからである。
文脈が別段に明確に指示する場合を除き、値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限と下限との間にある下限の単位の1/10までのそれぞれの値、および、任意の他の述べられた値またはその述べられた範囲内にある値は、本技術内に含まれることが理解される。これらの介在範囲の該介在範囲内に独立に含まれてもよい上限および下限も、述べられた範囲内の任意の特に排除された限界値の制約下で本技術内に含まれる。述べられた範囲がその限界値の一方または両方を含む場合、それらの含まれた限界値のいずれか一方または両方を排除する範囲も本技術内に含まれる。また、1または複数の値が本技術の一部として実施されるように本明細書中で述べられる場合には、別段に述べられなければ、そのような値が近似されてもよいことが理解され、また、そのような値は、任意の適した有効数字まで利用されてもよい。ただし、実用的な技術的実施がそれを許容する或いは必要とする場合に限る。また、任意の全ての述べられた値は、述べられた値から10−20%増変可能であってもよいことが理解されるべきである。
別段に規定されなければ、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、この技術が属する技術分野における当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書中に記載される方法および材料と同様または等価な任意の方法および材料を本技術の実施または試験で使用することもできるが、本明細書中には、限られた数の典型的な方法および材料が記載される。
特定の材料が一構成要素を構成するために使用されるのが好ましいと見なされる場合、同様の特性を有する自明な別の材料が代替物として使用されてもよい。また、反対のことが明示されなければ、本明細書中に記載される任意の全ての構成要素は、一緒に或いは個別に製造され得る、したがって製造されてもよいと理解される。
本明細書中で及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および、「その(the)」は、文脈が別段に明確に指示しなければ、それらの複数の等価物を含むことが留意されなければならない。
本明細書中で言及される全ての刊行物は、それらの刊行物の主題である方法及び/又は材料を開示して説明するべく、参照により本願に組み入れられる。本明細書中で論じられる刊行物は、本出願の出願日前のそれらの開示のためだけに与えられているにすぎない。本明細書中の何れも、本技術が従来の発明に基づきそのような刊行物に先行する権利を有さないという自白として解釈されるべきでない。また、与えられる刊行物の日付は、実際の公開日とは異なる場合があり、公開日は独立に確認される必要があるかもしれない。
また、開示内容を解釈する際、全ての用語は、文脈と一致する最も広い妥当な態様で解釈されるべきである。特に、「備える」および「備えている」という用語は、非排他的態様で要素、構成要素、または、ステップに言及しているとして解釈されるべきであり、言及された要素、構成要素、または、ステップが存在し、または、利用され、あるいは、明確に言及されない他の要素、構成要素、または、ステップと組み合わされてもよいことを示唆している。
詳細な説明で使用される主題の表題は、読者の参照を容易にするためだけに含まれており、開示または特許請求の範囲の全体にわたって見出される主題を限定するために使用されるべきでない。主題の表題は、1または複数の特許請求項の範囲を限定的に解釈して使用されるべきでない。
本明細書中の技術を特定の実施形態に関連して説明してきたが、言うまでもなく、これらの実施例は、技術の原理および用途の単なる例示にすぎない。ある場合には、専門用語および記号は、技術を実施するために必要とされない特定の詳細を示唆する場合がある。例えば、「第1」および「第2」という用語が使用される場合があるが、別段に明記されなければ、それらの用語は、任意の順序を示すように意図されず、別個の要素間を区別するために利用される場合がある。また、方法論におけるプロセスステップが所定の順序で説明され或いは図示される場合があるが、そのような順序付けは必要とされない。当業者であれば分かるように、そのような順序付けが変更されてもよく、及び/又は、その態様が同時に或いは更には同期して行われてもよい。
したがって、本技術の思想および範囲から逸脱することなく、例示された実施形態に対して多数の変更が成されてもよく、また、他の構成が考え出されてもよいことが理解されるべきである。