JP6837795B2 - 親水性材料、加熱機器 - Google Patents

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本発明は、加熱機器及び家電内外装材の表面を被覆する親水性材料に関し、特に高温環境下においても表面に付着した汚れの除去性を長期間に亘り持続させる上で好適な親水性材料並びにこれを用いた加熱機器に関するものである。
近年において、例えばSiO2を含むガラス材で表面を形成したガスコンロが普及している。このガスコンロは、見た目のデザインが良く、清掃性や耐久性に優れているという利点がある。この表面を形成するガラス材は、Si−O−Xで表される化学結合を有しており、ここでXは原子、原子団、分子、分子団の何れかであり、酸素原子Oと化学結合をするものである。例えば、Xが水素原子Hである場合、そのガラス材は、−Si−OHとなり、OHは水を吸着しやすい性質を発揮するため、いわゆる親水性を示す。
このため、このようなガラス材により形成されたガスコンロは、仮にその表面に油分等の汚れが付着した場合においても、OH基による親水性に基づいて油除去性を発現させることができる。具体的には、ガラス材の表面と油汚れの界面において水が入り込み、油汚れを浮かせることができる。その浮かせた油汚れは水に流されるか、又は拭き取りによって簡単に除去することが可能となる。
しかしながら、このOH基による親水原理を用いたガラス性被覆材がコンロの表面に使用された場合、コンロからの高熱が繰り返し加わる温度環境下で、親水性そのものが低下してしまうこととなる。
従来においてアルカリ金属を含有する親水性被膜をステンレス鋼表面に設けることにより、油汚れの付着を防止し、付着した油汚れの除去性を向上させることが可能な技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。しかしながら、これらの開示技術は、上述したコンロの表面のような100℃以上もの高温が繰り返し負荷される温度環境下で使用されることを想定した技術ではない。このため、これら特許文献1、2の開示技術は、繰り返し加わる高温の影響を受けて、親水性が低下してしまうことにつき、特段考慮した技術ではない。また高温環境下において白い斑点が生じる白化等の外観不良についても特段考慮した技術ではない。
特許第4012939号公報 特許第4131534号公報
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、コンロ等を始めとした加熱機器の表面を形成する親水性材料において、 100℃以上もの高温が繰り返し負荷される温度環境下で使用した場合において、親水性を低下させることなく表面に付着した汚れの除去性を長期間に亘り持続させることができ、しかも白化等の外観不良の発生も防止することが可能な親水性材料並びにこれが用いられる 加熱機器を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために、親水性を発揮させることが可能なSiに加えて、Kを添加することにより、加熱部による加熱に伴う高熱が親水性材料に繰り返し負荷される温度環境下においても、親水性を長期間に亘り発揮させることが可能な親水性材料並びにこれが用いられる 加熱機器を発明した。
第1発明に係る親水性材料は、加熱機器を構成する高熱が繰り返し加わる温度環境下で用いられる基材の表層に形成された親水性材料において、Siと、Kとを含有し、0.12≦(上記Kの含有量のK2O質量換算値の合計)/(上記Siの含有量のSiO2質量換算値の合計)≦0.18であり、その膜厚は、1〜2μmであることを特徴とする。
発明に係る加熱機器は、台上に設置された加熱部を備え、第1発明親水性材料が上記台の天板に被覆されていることを特徴とする。
発明に係る加熱機器は、筐体内に加熱部を備え、第1発明親水性材料が上記筐体内又は筐体内の基材に被覆されていることを特徴とする。
上述した構成からなる本発明によれば、Siと、Kとを含有し、かつその質量%で、(上記KのK2O質量換算値)/(上記SiのSiO2質量換算値)が最適な範囲になるように設定している。その中でSiを含有させることにより、親水性を発揮させることで、表面に油分等の汚れが付着した場合においても、OH基による親水性に基づいて油除去性を発現させることができ、また油汚れを水により浮かせることで拭き取り容易性を向上させることができる。これに加えてKを含有させることにより、空気中の水分子を親水性材料の表面に引き付け、親水性を発現させることが可能となる。このKにより、加熱部による加熱に伴う高熱が親水性材料に繰り返し負荷される温度環境下においても、Kによって発現する親水性に基づいて油除去性を発現することができ、また油汚れを水により浮かせることで拭き取り容易性を向上させることができる。
本発明を適用した親水性材料が用いられるガスコンロを示す図である。 天板に被覆された親水性材料の断面構成を示す図である。
以下、本発明を適用した親水性材料について、図面を参照しながら詳細に説明をする。
本発明を適用した親水性材料は、例えば図1に示すようなガスコンロ1の天板11aを被覆するための材料として使用される。このガスコンロ1は、台11上に設けられた加熱部12 と、台11の天板11aに被覆されている親水性材料13とを備えている。
加熱部12は、1又は2以上のコンロバーナ21と、コンロバーナ21毎に設けられた五徳22とを備えている。五徳22は、コンロバーナ21の周囲から中心に向けて延長される爪の如き形状で構成される場合が多く、やかんや鍋等の加熱用容器が載置される。コンロバーナ21は供給されてくる燃料ガスにより火を点火させ、五徳22上に載置された加熱調理容器を所望の温度で加熱し続ける。この加熱部12は、天板11aに埋め込まれるように設置されたいわゆるビルトインコンロとされている場合を例に取り説明をするが、これに限定されるものではなく、天板11aの上に独立して設けられた据置型で構成されていてもよい。このような加熱部12の近傍に施された親水性材料13は、加熱部12から100℃以上の温度で繰り返し加熱される環境下に置かれることとなる。
図2は、天板11aに被覆された親水性材料13の断面構成を示している。この天板11aは、基材31と、この基材31の表面を覆うように被膜され積層された親水性材料13とを有している。
基材31は、例えばステンレス鋼 ガラスで構成されている。以下の実施の形態においては、この基材31をステンレス鋼 ガラスにより構成する場合を例にとり説明をする。但し、この基材31の材質は特に限定されるものではなく、ステンレス鋼 ガラス以外のステンレス鋼等 金属材料、ガラス、 琺瑯、合成セラミックス等の無機材料あるいはまた樹脂材料を好適に用いることができる。但し、基材31は、加熱処理に耐える耐熱性を有する材料で構成されることが望ましい。この基材31は、上述したビルトインコンロで構成される場合には、加熱部12を埋め込むことができる形状に整形されることとなる。
親水性材料13 は、Siと、Kとを含有する材料で構成されている。この親水性材料13は、Siを含有する材料として脱水縮合したシリコンテトラエトキシドや、SiO2(ポリシラザン、シロキサン、ケイ酸塩)等である。特にこのSiを含有する材料としてケイ酸を含む場合には、オルトケイ酸およびその縮合酸等で構成されていてもよいし、SiO2の水和物等で構成されていてもよい。またKを含有する材料としては、K2O、水酸化カリウム、カリウム酸化物、カリウム塩等である。
Siは、ガラス性材料であり、透明感等が付与されて被塗物の美観を向上させる効果がある。このSiは、OH基との結合(Si−OH)により、親水性を発現させることができ、油除去性を向上させ、拭き取り容易性が得られる。例えばSiO2を含有させることにより、Si−O−Xで表される化学結合を有することとなる。ここでXは原子、原子団、分子、分子団の何れかであり、酸素原子Oと化学結合をするものである。例えば、Xが水素原子Hである場合、−Si−OHとなり、OHは水を吸着しやすい性質を発揮するため、いわゆる親水性を発揮させることが可能となる。このようなSiを含有させた親水性材料13により被覆された天板11aは、仮にその表面に油分等の汚れが付着した場合においても、OH基による親水性に基づいて油除去性を発現させることができ、また油汚れを水により浮かせることで拭き取り容易性を向上させることができる。
Kにより、加熱部12による加熱に伴う高熱が親水性材料13に繰り返し負荷される温度環境下においても、Kによって発現する親水性に基づいて油除去性を発現することができ、また油汚れを水により浮かせることで拭き取り容易性を向上させることができる。
上述したSiとKをそれぞれ含有させることによる所期の効果を発現させるためには、このSiとKの含有比率を最適な範囲に調整する必要がある。親水性材料13に含まれるSiとKの含有比率は、親水性材料13の全質量に対する質量%で、(KのK2O質量換算値)/(SiのSiO2質量換算値)≧0.12の範囲となるように調整される。ここでいうSiのSiO2質量換算値とは、この親水性材料13中のSiを含む全ての物質におけるSiの含有量をSiO2の含有量に換算した値の合計値である。同様にKのK2O質量換算値とは、この親水性材料13中のKを含む全ての物質におけるKの含有量をK2Oの含有量に換算した値の合計値である。何れも親水性材料13の全質量に対する質量%で表示する。
この(KのK2O質量換算値)/(SiのSiO2質量換算値)が0.12未満である場合には、Kの含有量がSiの含有量よりも少なすぎるため、繰り返し高温環境下に曝された場合には疎水化を効果的に防ぐことができず、親水性が低下し、ひいては油除去性が低下してしまう。
なお、本発明によればコーティング材全質量に対する質量%で、(KのK2O質量換算値)/(SiのSiO2質量換算値)≦0.18とされていることが望ましい。この(KのK2O質量換算値)/(SiのSiO2質量換算値)が0.18を超えてしまうと、Siに対する比率でKが過剰になってしまうため、湿熱処理後の外観において白化が生じてしまうため、外観が悪化してしまうこととなる。但し、この(KのK2O質量換算値)/(SiのSiO2質量換算値)≦0.18とされていることは必須ではなく、これを逸脱するものであっても本発明には含まれる。
このため、(KのK2O質量換算値)/(SiのSiO2質量換算値)は上述した範囲とされていることが望ましい。なお、SiとKとの含有比率を介して最適な数値範囲を限定した理由としては、疎水化を防止できるか否か、また白化が生じるか否かは、あくまでSiに対するKの比率に支配されるためである。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば親水性材料13は、基材31の表面を覆うように被膜され積層されている場合に限定されるものではなく、親水性材料13そのものを基材31の如く構成するようにしてもよい。即ち、上述した成分からなる親水性材料13自体により、天板11aを構成するようにしてもよい。かかる場合において、少なくとも表面を構成する表層については、Si、Kを含有する上述
の成分で構成されている必要がある。
また、親水性材料13は、上述したガスコンロ 1の天板部以外に、排熱カバー、魚焼きグリルの内壁や扉、また意匠パネルなどの用途がある。また、加熱機器に適用される場合に限定されるものではなく、加熱可能な機器であればいかなるものに適用されるものであってもよい。この加熱機器の例としては、 実験用オーブン、高温加熱炉、マグネチックスターラー等を始めとした実験機器や、コンビニエンスストア等に設置されるホットスナックの保温器やホット飲料の缶ウォーマー等の保温器等、また炊飯器や電気ポット等があり、何れも筐体内に加熱部を有しているものに適用される。上述した親水性材料13が、この筐体内において被覆されているか、又は筐体内にある基材31に被覆されている。
以下、本発明を適用した表面処理金属部材の効果を確認するために行った実験的検証について詳細に説明をする。
この実施例1における実験的検証においては、先ず表1に示すように複数種のサンプルを作成し、油除去性持続時間、耐湿熱性の2項目について検証を行った。
サンプルは、比較例1〜5と本発明例1〜4からなる。何れも(KのK2O質量換算値)/(SiのSiO2質量換算値)を0〜0.24の範囲において異ならせて作製した。比較例1は、親水性材料13においてKを含有させず、Siのみを含有させる例である。本発明例1〜4は、何れも本発明において規定した(KのK2O質量換算値)/(SiのSiO2質量換算値)≧0.12、(KのK2O質量換算値)/(SiのSiO2質量換算値)≦0.18の範囲内に含まれている。
Figure 0006837795
各サンプルは、表1に示すSi、Kの配合に調整し、基材31とするステンレス鋼の表面全体に塗工した。Siを含む材料としては、SiO2を、またKを含む材料はKOHを使用した。吹き付けた膜厚は約1〜2μmであった。塗工後は自然乾燥させた後、200〜300℃程度での焼成を行うことで、基材31の上層に各サンプルを被覆させた。
油除去性については、300℃に設定した高温電気炉内において各サンプルに加熱負荷を与え、任意の時間でサンプルの最表面にサラダ油を塗布し、湿らせた布で拭き取りを行った。このとき、5回以内の拭き取りでサラダ油の除去が困難になるまでの時間を測定した。表1においては、拭き取れなくなる時間(以下、持続時間という。)が200時間以上であれば“◎”、持続時間が150時間以上200時間未満であれば“○”、持続時間が100時間以上150時間未満であれば“△”、持続時間が100時間未満であれば“×”を記号として記入している。
湿熱処理は、焼成を行った試験体の最表面に沸騰水を垂らし、その上に沸騰水が入った鍋を載置する。その後、鍋を取り除き、外観を目視にて評価した。その結果、外観異常がない場合は“○”、外観観察の結果、視認角度に応じて白化が確認できる場合は“△”、明らかに白化が確認できる場合は“×”としている。
各サンプルについて、上記試験を行った結果、先ず比較例1は、本発明例1〜4と比較して油除去性が極めて低かった。即ち、比較例1のようなKを含有しないサンプルは、繰り返し高温環境下に曝された場合には、親水性の低下を効果的に防ぐことができず、ひいては油除去性が低下してしまうことが示されていた。
また比較例2〜4は、何れもKのSiに対する相対的な含有量が低いため、親水性を効果的に発現させることができず、油除去性が低かった。これに対して、本発明例1〜4は、KのSiに対する相対的な含有量が高いため、親水性を効果的に発現させることができ、油除去性が高かった。特に本発明例2−4は、(KのK2O質量換算値)/(SiのSiO2質量換算値)が0.13以上であり、油除去性が優れていた。比較例5は、湿熱処理の試験の結果、白化の度合いが高く外観が特に悪化していた。
1 ガスコンロ
11 台
11a 天板
12 加熱部
13 親水性材料
21 コンロバーナ
22 五徳
31 基材

Claims (3)

  1. 加熱機器を構成する高熱が繰り返し加わる温度環境下で用いられる基材の表層に形成された親水性材料において、Siと、Kとを含有し、
    0.12≦(上記Kの含有量のK2O質量換算値の合計)/(上記Siの含有量のSiO2質量換算値の合計)≦0.18であり、
    その膜厚は、1〜2μmであることを特徴とする親水性材料。
  2. 台上に設置された加熱部を備え、請求項記載の親水性材料が上記台の天板に被覆されていることを特徴とする加熱機器。
  3. 筐体内に加熱部を備え、請求項記載の親水性材料が上記筐体内又は筐体内の基材に被覆されていることを特徴とする加熱機器。
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