JP6839960B2 - 支承のモニタリングシステム及びモニタリング方法 - Google Patents

支承のモニタリングシステム及びモニタリング方法 Download PDF

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Description

本発明は、支承のモニタリングシステム及びモニタリング方法に関し、特に、構造物を支持する支承の状態をモニタリングする支承のモニタリングシステム及びモニタリング方法に関する。
例えば、河川や道路上には、交通路を連絡するための構造物である橋梁が架けられている。通常、橋梁は、交通路を形成する上部構造(主桁、床版等)と、上部構造を支持する下部構造(橋台、橋脚等)と、を備えており、上部構造は下部構造に支承を介して支持される。支承には、温度変化や荷重による上部構造物の変形に追随して変位するように構成されているものも存在している。
例えば、支承の下部と橋台との間にローラを介在させたローラ支承は、温度変化によって橋梁が伸縮した場合に、その伸縮に応じてスライドすることにより、上部構造における引張応力や圧縮応力の発生を抑制することができる。
また、支承の上沓と下沓とを回転可能にピン結合させたピン支承は、荷重により上部構造が撓んだ場合に、その撓みに応じてピンを中心に支承の上沓が回転することにより、上部構造における曲げ応力の発生を防止することができる。
ところで、橋梁等の構造物は、通常、長期間に亘って使用されるものであり、その間に上述した支承の機能に不具合が発生すると、上部構造に過剰な応力が生じ、コンクリート床版のひび割れ等の損傷を引き起こすおそれがある。したがって、支承が適切に機能しているか否かを検査することは、極めて重要である。
従来から、支承の状態を検査する方法として、目視検査や打音検査等が行われているが、支承は高所に設置されていることが多く、また、人による官能検査であるため、安全かつ定量的に検査できる方法が希求されている。
そこで、カバーで密閉された支承の変位方向に沿って棒状体を装着し、この棒状体の一部をカバーの外に突出させておき、棒状体のカバーからの突出量を目視又は実測により検知する方法が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、棒状体の突出量から、支承を固定するボルトやナットのゆるみを検知することができる。
また、支承近傍の橋梁に発生する列車通過時の振動をレーザドップラー速度計等の非接触センサを用いて計測することにより、支承の状態を定量的に評価する方法も既に提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、支承の状態を橋梁の振動に基づいて定量的に把握することが可能である。
特開2003−105717号公報 特開2014−173313号公報
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、支承に用いられるボルトやナットのゆるみを検知することができるものの、支承のスライド機能や回転機能の不具合を検知することはできない。また、この方法では、棒状体の突出量を作業員がその都度計測しなければならず、計測作業に時間及び労力を要し、長期間に亘る支承のモニタリングには不向きである。
また、特許文献2に記載された方法では、列車通過時の橋梁の振動を計測して支承の状態を間接的に評価しており、支承の状態を直接検出して評価するものではない。したがって、評価結果が必ずしも支承の不具合を示しているとは限らない。また、この方法では、レーザドップラー速度計等の非接触センサを用いる必要があり、かかる非接触センサを橋脚等に固定したまま長期間放置することは、非接触センサの汚染、故障、盗難等の観点から好ましくない。
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、支承の状態を長期間に亘り安定してモニタリングすることができる、支承のモニタリングシステム及びモニタリング方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、構造物を支持する支承の状態をモニタリングするシステムであって、
前記支承又は前記支承の近傍の前記構造物の歪を検出する歪検出器と、前記歪検出器により検出された前記歪に係る情報を取得する歪情報取得部と、を備え、前記支承は、ピン支承によるスライド機能とローラ支承による回転機能とを有するピンローラ支承であり、前記ピンローラ支承は、フランジを介して前記構造物に固定される上沓を備え、前記歪検出器は、前記上沓のスライド方向の内側部、前記上沓のスライド方向の外側部、前記フランジのスライド方向の内側近傍の前記構造物のうち少なくとも一箇所に配置され、前記歪に係る情報に基づいて前記支承のスライド機能及び回転機能の状態をモニタリングする、ことを特徴とする支承のモニタリングシステムが提供される。
また、本発明によれば、構造物を支持する支承の状態をモニタリングするシステムであって、前記支承又は前記支承の近傍の前記構造物の歪を検出する歪検出器と、前記歪検出器により検出された前記歪に係る情報を取得する歪情報取得部と、を備え、前記支承は、スライド機能及び回転機能を有する線支承であり、前記線支承は、前記構造物に固定される上沓を備え、前記歪検出器は、前記上沓のスライド方向の内側近傍の前記構造物に配置され、前記歪に係る情報に基づいて前記支承のスライド機能及び回転機能の状態をモニタリングする、ことを特徴とする支承のモニタリングシステムが提供される。
前記歪検出器は、前記支承又は前記支承の近傍の前記構造物に配置されて前記歪を検出する光ファイバセンサであってもよい。
また、本発明によれば、構造物を支持する支承の状態をモニタリングする方法において、前記支承は構造物に固定される上沓を備え、前記上沓のスライド方向の内側部、前記上沓のスライド方向の外側部、前記フランジのスライド方向の内側近傍の前記構造物のうち少なくとも一箇所に歪検出器を配置し、前記歪検出器により検出された前記歪に係る情報を取得し、前記歪に係る情報に基づいて前記支承のスライド機能及び回転機能の状態をモニタリングする、ことを特徴とする支承のモニタリング方法が提供される。
上述した本発明に係る支承のモニタリングシステム及びモニタリング方法によれば、支承又は支承の近傍の構造物に歪検出器を配置し、当該部位に発生する歪を検出することにより、支承の状態を長期間に亘り安定してモニタリングすることができる。したがって、例えば、橋梁等の構造物における不具合の発生を事前に回避することが可能となる。
橋梁の模式図であり、(A)は二点支持の場合、(B)は三点支持の場合、を示している。 図1に示した支承の部分拡大図であり、(A)はピンローラ支承の場合、(B)は線支承の場合、を示している。 本発明の一実施形態に係るモニタリングシステムのブロック図である。 ピンローラ支承の応力解析結果の説明図であり、(A)はソリッドモデルの応力解析結果、(B)は上沓における応力解析結果、を示している。 ピンローラ支承の応力解析結果の説明図であり、(A)はソリッドモデルの応力解析結果、(B)は上部フランジにおける応力解析結果、を示している。 ピンローラ支承の応力解析結果の説明図であり、(A)は主桁のソリッドモデルの応力解析結果、(B)は主桁における応力解析結果、を示している。 線支承の応力解析の結果説明図であり、(A)は主桁のソリッドモデルの応力解析結果、(B)は主桁における応力解析結果、を示している。
以下、本発明の一実施形態について図1(A)〜図7(B)を用いて説明する。ここで、図1は、橋梁の模式図であり、(A)は二点支持の場合、(B)は三点支持の場合、を示している。図2は、図1に示した支承の部分拡大図であり、(A)はピンローラ支承の場合、(B)は線支承の場合、を示している。図3は、本発明の一実施形態に係るモニタリングシステムのブロック図である。
本発明の一実施形態に係る支承1のモニタリングシステムは、図1(A)〜図3に示したように、構造物2を支持する支承1の状態をモニタリングするシステムであって、支承1又は支承1の近傍の構造物2の歪を検出する歪検出器3と、歪検出器3により検出された歪に係る情報を取得する歪情報取得部4と、を備え、歪に係る情報に基づいて支承1の状態をモニタリングするように構成されている。
構造物2は、例えば、橋梁である。図1(A)及び図1(B)は橋梁を模式的に図示したものである。橋梁は、一般に、図1(A)に示したように、橋軸方向に沿って長尺な主桁21及び主桁21の上面に設置されるコンクリート製の床版22と、上部構造(主桁21及び床版22)を支持する一対の橋台23と、を有している。また、図1(B)に示したように、一対の橋台23の間に橋脚24が配置される場合もある。
橋台23及び橋脚24の上には支承1が設置されており、上部構造(主桁21及び床版22)は支承1によって支持される。主桁21は温度変化によって伸縮したり、床版22上を走行する車両の重量によって撓んだりすることから、全ての支承1が主桁21に固定されている場合には、上部構造に引張応力や圧縮応力及び曲げモーメントが生じる可能性がある。
そこで、主桁21をスライド可能かつ回転可能に支持する機能性の支承1を用いることが多い。例えば、図1(A)に示した橋梁では、図の右側の支承1に機能性の支承1を用い、図1(B)に示した橋梁では、橋台23に配置された支承1に機能性の支承1を用いている。かかる機能性の支承1には、例えば、図2(A)に示したピンローラ支承11と、図2(B)に示した線支承12とがある。
ピンローラ支承11は、図2(A)に示したように、三角柱形状の上沓111及び下沓112をピン113により結合したピン支承と、複数のローラ114からなるローラ支承とを組み合わせたものである。上沓111は、上部に配置されたフランジ115を介して主桁21に固定される。また、下沓112は、下部に配置されたフランジ116及びローラ114を介して橋台23に支持される。
ピンローラ支承11は、例えば、主桁21が温度変化の影響を受けて伸縮した場合、その伸縮に応じてローラ114上をスライドすることにより、上部構造物における引張応力や圧縮応力の発生を抑制する。また、荷重により主桁21が撓んだ場合、その撓みに応じてピン113を中心として上沓111が回転することにより、上部構造物における曲げモーメントの発生を抑制する。
線支承12は、図2(B)に示したように、主桁21に固定される板状の上沓121と、上沓121が載置されて線接触する円柱部122を有する下沓123とから構成されている。下沓123は、フランジ124を介して橋台23に固定される。
線支承12は、主桁21が伸縮した場合には、下沓123の円柱部122の上を上沓121がスライドし、主桁21が撓んだ場合には、円柱部122と上沓121の接線を中心として上沓121が回転することとなる。かかる動作により、上部構造物における応力及びモーメントの発生が抑制される。
ところで、ピンローラ支承11や線支承12は、風雨や振動等に長期間晒されていると、錆や劣化により上述した機能が低下し、上部構造物に不適切な応力やモーメントが発生する可能性がある。そこで、本実施形態では、ピンローラ支承11や線支承12又はこれらの支承1の近傍の構造物2に歪検出器3を配置して歪をモニタリングするように構成している。
支承1がピンローラ支承11の場合、歪検出器3は、例えば、上沓111の橋軸方向(スライド方向)の内側部P、上沓111の橋軸方向(スライド方向)の外側部Q、フランジ115の橋軸方向(スライド方向)の内側近傍の主桁21の下部フランジRのうち少なくとも一箇所に配置される。なお、図2(A)では、説明の便宜上、内側部P、外側部Q及び下部フランジRの三箇所の全てに歪検出器3を配置した状態を図示している。
支承1が線支承12の場合、歪検出器3は、例えば、上沓121の橋軸方向(スライド方向)の内側近傍の主桁21の下部フランジSに配置される。
また、本実施形態に係る支承1のモニタリングシステムは、図3に示したように、支承1又は構造物2に配置される歪検出器3と、歪検出器3により検出された歪に係る情報を取得する歪情報取得部4と、歪情報取得部4により取得された情報を解析する情報処理部5と、を備えている。
歪検出器3は、例えば、光ファイバの内部に屈折率が周期的に変化するブラッグ格子を形成した光ファイバセンサ(FBGセンサ)である。ブラッグ格子は、光ファイバが伸縮して格子間隔が変化した際、その間隔に応じた特定の波長の光のみを反射する。したがって、光ファイバセンサからの光の波長を計測することにより、支承1又は支承1の近傍に発生した歪を安定して検出することができる。
歪検出器3として光ファイバセンサを採用することにより、長期間に亘る使用に耐え得ることができ、温度補正も容易に行うことができる。なお、歪検出器3は、光ファイバセンサに限定されるものではなく、歪ゲージ等の他の検出器であってもよい。
歪情報取得部4は、バッテリ等の電源41により駆動される。なお、電源41は、商用電源であってもよい。歪情報取得部4は、所定の波長の光を出力する光源42を有している。光源42から出力された光は、サーキュレータ43を介して歪検出器3に導入される。一方、歪検出器3のブラッグ格子により反射された光は、サーキュレータ43を介して光電変換部44に導入され、波長に応じた電気信号に変換される。
電気信号としての歪情報は、送受信部45により無線通信等によって情報処理部5に送信される。なお、歪情報取得部4は、支承1に装着された歪検出器3との接続作業を容易にするため、例えば、測定対象物である構造物2の近傍に配置することが好ましい。
情報処理部5は、例えば、パーソナルコンピュータ(いわゆるパソコン)により構成することができる。情報処理部5は、歪情報取得部4と通信ができる範囲であれば、どのような場所に配置してもよい。なお、歪情報取得部4と情報処理部5との間の送受信は、無線通信に限られるものではなく、配線が容易な場合には有線通信であってもよい。
次に、支承1の状態を的確にモニタリングすることができる歪検出器3の配置場所について、支承1に所定の拘束条件を課し、温度条件を変えて応力解析を行った検証結果を図4(A)〜図7(B)に基づいて説明する。なお、各図(A)に示したコンター図において、正の値(色の薄い方)が引張応力を示し、負の値(色の濃い方)が圧縮応力を示している。
支承1の拘束条件については、スライド機能及び回転機能がともに正常である場合をCase1、スライド機能が拘束され回転機能が正常である場合をCase2、スライド機能が正常で回転機能が拘束されている場合をCase3、スライド機能及び回転機能がともに拘束されている場合をCase4、とした。ここで、機能が正常な場合を○、機能を拘束した場合を×で表現すれば、表1のように表示される。
また、温度条件については、Case1〜4に対して、支承1のスライド機能又は回転機能を拘束した時点から、床版22のみを10℃上昇させた場合をTとし、構造物2の床版22及び主桁21の温度を20℃上昇させた場合を温度条件Tとした。
図4は、ピンローラ支承の応力解析結果の説明図であり、(A)はソリッドモデルの応力解析結果、(B)は上沓における応力解析結果、を示している。歪検出器3の配置場所は、図4(A)に示したように、上沓111の橋軸方向(スライド方向)の内側部P及び上沓111の橋軸方向(スライド方向)の外側部Qである。なお、上沓111が複数のリブ(斜材)を備えている場合には、どのリブ(斜材)に歪検出器3を配置してもよいし、複数のリブ(斜材)にそれぞれ歪検出器3を配置するようにしてもよい。
例えば、足場に近いリブ(斜材)に歪検出器3を配置した場合には、作業者の負担を軽減することができる。また、複数のリブ(斜材)に歪検出器3を配置した場合には、冗長的に支承1をモニタリングすることができ、支承1の機能低下をより迅速かつ正確に把握することができる。
図4(B)に示した応力解析結果は、表2に示した条件に基づいて解析したものである。すなわち、歪検出器3の配置場所(内側部P,外側部Q)のそれぞれについて、拘束条件Case1〜4を課して、異なる温度条件T,Tのもとで応力解析を行ったものである。
図4(B)に示したように、Case1では、いずれの温度条件であっても内側部P及び外側部Qに応力がほとんど発生していない。また、Case2では、構造物2の温度が高い場合に大きな応力が発生している。また、Case3では、温度が低い場合に比較的小さな応力が発生している。また、Case4では、構造物2の温度が高い場合にCase2と同程度の大きな応力が発生している。また、構造物2の温度が低い場合であっても、Case3と同程度の大きな応力が発生している。
かかる応力解析結果によれば、支承1のスライド機能を拘束した場合かつ構造物2の温度が高い場合に、内側部P及び外側部Qに大きな応力が発生していることがわかる。すなわち、支承1の内側部P又は外側部Qの何れか一方又は両方に発生する歪をモニタリングすることにより、支承1のスライド機能が低下しているか否かを容易に判定することができる。
また、支承1の回転機能を拘束した場合かつ構造物2の温度が低い場合に、内側部P及び外側部Qに一定の応力が発生していることがわかる。すなわち、構造物2の温度が低い場合において、内側部P又は外側部Qの何れか一方又は両方に所定の閾値以上の応力が発生した場合には、支承1の回転機能が低下していると判定することができる。なお、閾値は、図4(B)によれば、例えば、±20MPaに設定することができる。
図5は、ピンローラ支承の応力解析結果の説明図であり、(A)はソリッドモデルの応力解析結果、(B)は上部フランジにおける応力解析結果、を示している。歪検出器3の配置場所は、図5(A)に示したように、フランジ115の側面部である。ここでは、側面部のうち内側部を側面内側部Fとし、中央部を側面中央部Fとしている。
図5(B)に示した応力解析結果は、表3に示した条件に基づいて解析したものである。すなわち、歪検出器3の配置場所(側面内側部F,側面中央部F)のそれぞれについて、拘束条件Case1〜4を課して、異なる温度条件T,Tのもとで応力解析を行ったものである。
図5(B)に示したように、Case1及びCase3では、いずれの温度条件であっても側面内側部F及び側面中央部Fに応力がほとんど発生していない。また、Case2では、構造物2の温度が高い場合に比較的小さな応力が発生している。また、Case4では、構造物2の温度が高い場合にCase2と同程度の比較的小さな応力が発生している。
かかる応力解析結果によれば、歪検出器3をフランジ115に配置した場合には、上沓111に配置した場合と比較して、計測される応力の数値が低く応答性に乏しいことから、フランジ115は、歪のモニタリングに適していないことが推察される。なお、かかる推察は、フランジ115に歪検出器3を配置することを排除するものではない。
図6は、ピンローラ支承の応力解析結果の説明図であり、(A)は主桁のソリッドモデルの応力解析結果、(B)は主桁における応力解析結果、を示している。歪検出器3の配置場所は、図6(A)に示したように、フランジ115の橋軸方向(スライド方向)の内側近傍の主桁21の下部フランジRである。ここでは、下部フランジRの下面部をRとし、下部フランジRの上面部をRとしている。
図6(B)に示した応力解析結果は、表4に示した条件に基づいて解析したものである。すなわち、歪検出器3の配置場所(下面部R,上面部R)のそれぞれについて、拘束条件Case1〜4を課して、異なる温度条件T,Tのもとで応力解析を行ったものである。
図6(B)に示したように、Case1及びCase3では、いずれの温度条件であっても下面部R及び上面部Rに応力がほとんど発生していない。また、Case2では、構造物2の温度が高い場合に大きな応力が発生している。このとき、応力は、上面部Rよりも下面部Rの方が大きな数値を示している。また、Case4では、構造物2の温度が高い場合にCase2と同程度の大きな応力が発生している。
かかる応力解析結果によれば、支承1のスライド機能を拘束した場合かつ構造物2の温度が高い場合に、下面部R及び上面部Rに大きな応力が発生していることがわかる。すなわち、構造物2(例えば、主桁21の下部フランジR)の下面部R又は上面部Rに発生する歪をモニタリングすることにより、支承1のスライド機能が低下しているか否かを容易に判定することができる。また、応答性を考慮すれば、歪検出器3は、上面部Rよりも下面部Rに配置することが好ましく、さらに、支承1により近い部分に配置することが好ましい。
図7は、線支承の応力解析の結果説明図であり、(A)は主桁のソリッドモデルの応力解析結果、(B)は主桁における応力解析結果、を示している。歪検出器3の配置場所は、図7(A)に示したように、上沓121の橋軸方向(スライド方向)の内側近傍の主桁21の下部フランジSである。ここでは、下部フランジSの下面部をSとし、下部フランジSの上面部をSとしている。
図7(B)に示した応力解析結果は、表5に示した条件に基づいて解析したものである。すなわち、歪検出器3の配置場所(下面部S,上面部S)のそれぞれについて、拘束条件Case1〜4を課して、異なる温度条件T,Tのもとで応力解析を行ったものである。
図7(B)に示したように、Case1及びCase3では、いずれの温度条件であっても下面部S及び上面部Sに応力がほとんど発生していない。また、Case2では、構造物2の温度が高い場合に大きな応力が発生している。このとき、応力は、上面部Sよりも下面部Sの方が大きな数値を示している。また、Case4では、構造物2の温度が高い場合にCase2と同程度の大きな応力が発生している。
かかる応力解析結果によれば、支承1が線支承の場合であっても、支承1のスライド機能を拘束した場合かつ構造物2の温度が高い場合に、下面部S及び上面部Sに大きな応力が発生していることがわかる。
すなわち、支承1が線支承の場合には、構造物2(例えば、主桁21の下部フランジS)の下面部S又は上面部Sに発生する歪をモニタリングすることにより、支承1のスライド機能が低下しているか否かを容易に判定することができる。また、応答性を考慮すれば、歪検出器3は、上面部Sよりも下面部Sに配置することが好ましく、さらに、支承1により近い部分に配置することが好ましい。
上述した本実施形態に係る支承1のモニタリングシステム及びモニタリング方法によれば、支承1又は支承1の近傍の構造物2に歪検出器3を配置し、当該部位に発生する歪を検出することにより、支承1の状態を長期間に亘り安定してモニタリングすることができる。したがって、例えば、橋梁等の構造物2における不具合の発生を事前に回避することが可能となる。
本発明は、上述した実施形態に限定されず、例えば、構造物2に使用されている機能性の支承1の全てに歪検出器3を配置してモニタリングしてもよいし、任意に選択した支承1に歪検出器3を配置してモニタリングしてもよい等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
1 支承
2 構造物
3 歪検出器
4 歪情報取得部
5 情報処理部
11 ピンローラ支承
12 線支承
21 主桁
22 床版
23 橋台
24 橋脚
41 電源
42 光源
43 サーキュレータ
44 光電変換部
45 送受信部
111 上沓
112 下沓
113 ピン
114 ローラ
115,116 フランジ
121 上沓
122 円柱部
123 下沓
124 フランジ



Claims (4)

  1. 構造物を支持する支承の状態をモニタリングするシステムであって、
    前記支承又は前記支承の近傍の前記構造物の歪を検出する歪検出器と、
    前記歪検出器により検出された前記歪に係る情報を取得する歪情報取得部と、を備え、
    前記支承は、ピン支承によるスライド機能とローラ支承による回転機能とを有するピンローラ支承であり、
    前記ピンローラ支承は、フランジを介して前記構造物に固定される上沓を備え、
    前記歪検出器は、前記上沓のスライド方向の内側部、前記上沓のスライド方向の外側部、前記フランジのスライド方向の内側近傍の前記構造物のうち少なくとも一箇所に配置され、
    前記歪に係る情報に基づいて前記支承のスライド機能及び回転機能の状態をモニタリングする、
    ことを特徴とする支承のモニタリングシステム。
  2. 構造物を支持する支承の状態をモニタリングするシステムであって、
    前記支承又は前記支承の近傍の前記構造物の歪を検出する歪検出器と、
    前記歪検出器により検出された前記歪に係る情報を取得する歪情報取得部と、を備え、
    前記支承は、スライド機能及び回転機能を有する線支承であり、
    前記線支承は、前記構造物に固定される上沓を備え、
    前記歪検出器は、前記上沓のスライド方向の内側近傍の前記構造物に配置され、
    前記歪に係る情報に基づいて前記支承のスライド機能及び回転機能の状態をモニタリングする、
    ことを特徴とする支承のモニタリングシステム。
  3. 前記歪検出器は、前記支承又は前記支承の近傍の前記構造物に配置されて前記歪を検出する光ファイバセンサである、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の支承のモニタリングシステム。
  4. 構造物を支持する支承の状態をモニタリングする方法において、
    前記支承は構造物に固定される上沓を備え、
    前記上沓のスライド方向の内側部、前記上沓のスライド方向の外側部、前記フランジのスライド方向の内側近傍の前記構造物のうち少なくとも一箇所に歪検出器を配置し、
    前記歪検出器により検出された前記歪に係る情報を取得し、
    前記歪に係る情報に基づいて前記支承のスライド機能及び回転機能の状態をモニタリングする、
    ことを特徴とする支承のモニタリング方法。
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