JP6840734B2 - アイウェア用光学フィルム、並びにこれを用いた光学積層体およびアイウェア - Google Patents

アイウェア用光学フィルム、並びにこれを用いた光学積層体およびアイウェア Download PDF

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Description

本発明は、主にアイウェア(サングラス、ゴーグル、ヘルメット用バイザーなど)に利用される光学フィルム、並びにこれを用いた光学積層体およびアイウェアに関する。
水面、路面、雪面等からの反射光による眩しさの低減のために、アイウェア(サングラスやゴーグル、バイザー等)が用いられている。例えば、サングラスにおいては、レンズ部を色素等で着色し、該色素により反射光を吸収させる。これによりサングラス装着者の目に入射する光量が低減し、眩しさを低減することができる。一方、一般に、水面、雪面での反射光は偏光になる性質があるため、これらの反射光に対しては偏光サングラスが特に有効である。偏光サングラスは、偏光になった反射光に対して、その偏光方向の光を効果的に吸収(カット)するように設計されているため、眩しさを低減し、視認性を向上することができる。
偏光サングラスに使用される光学フィルムは、通常、ポリカーボネート等のプラスチック素材の支持体で偏光素子が挟持された構成をなしている。そして、このような構成の光学フィルムを所望の形状に加工し、フレームにはめ込むことで偏光サングラスを作製することができる。偏光素子は、二色性染料、多ヨウ素―ポリビニルアルコール(PVA)錯体といったいわゆる二色性色素がPVA等の高分子と共に一軸配向されたフィルムであり、用いる色素の色によって、様々な色の直線偏光素子を得ることができる。通常のサングラスは、可視光域全体に偏光性を付与するために、ほとんどがグレー系の色に着色されている。
偏光サングラスにおけるデザイン性の付与、あるいは視認性の更なる向上のために、レンズ表面に多層膜を蒸着させる場合がある。多層膜を付与することにより、偏光サングラスを装着していない他者からは、レンズ表面での反射光が青、緑、赤のメタリックな色調で視認可能であり、装着者からは、特定の偏光が反射されるため、眩しさの低減とともにレンズを介した景色の視認性がさらに向上する。このように多層膜を付与することは、装着者の視認性の観点からは有益である。一方で、皮脂などがレンズ表面の多層膜に付着すると、皮脂の汚れが取れにくいといった取り扱い上の問題点がある。また、海などの水分、潮風に曝される場所では、多層膜が剥がれやすく、多層膜の付着性に欠けるといった問題点もある。さらに、アイウェア用の球面レンズに多層膜を蒸着する際、平坦部位と曲面部位に均一に蒸着することが困難であるといった製造上の問題点もある。
このような問題点に対し、多層膜を支持体の内側、すなわち偏光素子と支持体との間に設ける方法が考えられる。しかしながら、多層膜は、各層間での屈折率差により反射性能を発現しているため、多層膜が偏光素子と支持体との間に設けられると、多層膜が外側の空気界面と同等の反射性能を得ることは困難である。また、多層膜は無機物質からなるため、有機物である偏光素子との接着も困難である。
特許文献1には、多層膜を用いることなく、有機物でメタリックな色調の反射光を付与する方法として、コレステリック液晶層と、顔料または染料を含む調光層とを有する光学積層体が開示されている。コレステリック液晶は、液晶分子が螺旋配向をした状態であり、螺旋ピッチの長さによって、特定の波長帯域において、液晶分子の螺旋の向きと同じ向きの円偏光成分を選択的に反射する機能を有する。特許文献1には、このようなコレステリック液晶を配向固定化したコレステリック液晶層と、調光層とを有する光学積層体は、鮮やかな色調を呈し、装飾性に優れることが開示されている。
特開2001−180200号公報
コレステリック液晶は、特定の波長帯域の円偏光成分を選択的に反射する円偏光選択反射特性を示す。すなわち、コレステリック液晶層において、透過光は円偏光のみとなる。そのため、特許文献1に記載されているようなコレステリック液晶層を従来の偏光サングラスの偏光素子に組み合わせた場合には、偏光素子が十分に円偏光の透過光を吸収できず、偏光素子からの漏れ光が増加してしまう。その結果、偏光サングラスとしての本来の機能が低下し、防眩効果が低下してしまうという問題があった。
また、コレステリック液晶と高性能な偏光素子はいずれも高価なものであり、できるだけ低コストで偏光サングラスとしての防眩効果を発揮できることが望まれる。
本発明は、直線偏光素子を用いずに、防眩性が高く、かつ、メタリックな色調の反射光を示すアイウェアをより低いコストで実現可能なアイウェア用光学フィルム、並びにこれを用いた光学積層体およびアイウェアを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、1層以上の光反射層と、光制御層とが積層され、光反射層が、可視光領域における円偏光を反射するコレステリック液晶層を含み、光制御層がともに1/4波長板である光学フィルムをアイウェアに適用することにより、高い防眩性およびメタリックな色調の反射光を示す偏光サングラス等のアウェアを、直線偏光素子を用いずに得られることを新規に見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨構成は、以下の通りである。
(1)光制御層および1層以上の光反射層が、観察者を基準として外側からこの順で積層され、光反射層が、可視光領域における左円偏光または右円偏光を反射するコレステリック液晶層を含み、かつ光制御層が1/4波長板であることを特徴とするアイウェア用光学フィルム。
(2)2以上の光反射層が積層され、かつ、積層された2層以上の光反射層がいずれも同じ向きの円偏光を反射する(1)に記載のアイウェア用光学フィルム。
(3)光制御層の遅相軸の配置方向が、光制御層に入射するs偏光が、光反射層により反射される円偏光と同じ向きの円偏光に変換される方向である(1)または(2)に記載のアイウェア用光学フィルム。
(4)第1の支持体と、第2の支持体と、第1の支持体および第2の支持体との間に配置された(1)から(3)までのいずれか1つに記載のアイウェア用光学フィルムとを備える光学積層体。
(5)第1の支持体および第2の支持体が、プラスチック素材を用いて形成された基材である(4)に記載の光学積層体。
(6)(1)から(4)までのいずれか1つに記載の光学フィルム、または(4)もしくは(5)に記載の光学積層体を備えるアイウェア。
(7)白内障手術後用の保護メガネである(6)に記載のアイウェア。
本発明は、直線偏光素子を用いずに、防眩性が高く、かつ、メタリックな色調の反射光を示すアイウェアをより低いコストで実現可能なアイウェア用光学フィルム、並びにこれを用いた光学積層体およびアイウェアを提供することができる。
また、本発明に係る光学フィルムまたは光学積層体を備えるアイウェアは、医療用メガネなどにも適用することができ、例えば、光反射層の中心反射波長が500nm以下である本発明に係る光学フィルムは、白内障術後の眩しさを低減するための保護メガネなどに適用することが可能である。
図1は、本発明に係る光学フィルムの代表的な実施形態を示す側面断面図である。 図2は、本発明に係る光学積層体の代表的な実施形態を示す側面断面図である。 図3は、実施例1および比較例1に使用した光反射層の透過率のスペクトルデータを示す。 図4は、実施例2および比較例2に使用した光反射層の透過率のスペクトルデータを示す。 図5は、実施例3および比較例3に使用した光反射層の透過率のスペクトルデータを示す。 図6は、反射色がブルーである実施例1、比較例1の光学フィルムの透過率のスペクトルデータを示す。 図7は、反射色がグリーンである実施例2、比較例2の光学フィルムの透過率のスペクトルデータを示す。 図8は、反射色がオレンジである実施例3、比較例3の光学フィルムの透過率のスペクトルデータを示す。 図9は、反射色がシルバーである実施例4、比較例4の光学フィルムの透過率のスペクトルデータを示す。 図10は、実施例1の光学フィルムと比較例5の光学レンズにおける自然光透過率および偏光透過率のスペクトルデータを示す。
以下、本発明に従う実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、下記の実施形態は、本発明のいくつかの代表的な実施形態を例示したにすぎず、本発明の範囲において、種々の変更を加えることができる。
<光学フィルム>
本発明に係るアイウェア用光学フィルムは、可視光領域における左円偏光または右円偏光を反射するコレステリック液晶層を含む1層以上の光反射層と、光制御層として1/4波長板とを有する。具体的には、本発明に係るアイウェア用光学フィルムは、光制御層および光反射層が、観察者を基準として外側からこの順に積層されている。すなわち、アイウェア用光学フィルムを表側から見た際に、光制御層(1/4波長板)/1層以上の光反射層の順に積層されている。ここで、アイウェアの観察者(または装着者)を基準として外側とは、光学フィルムをアイウェアに適用したときに、光学フィルムに光が入射する側であって、光学フィルムの「表側」を意味し、一方、観察者側は光学フィルムの「裏側」を意味する。図1は、本発明に係るにアイウェア用光学フィルムの一実施形態を示す。図1に示される光学フィルム6は、光制御層2および光反射層1の順で接着剤または粘着剤からなる接着層5を介して積層されている。図1では、光学フィルム6を構成する各層が接着層5を介して積層されているが、光制御層2および光反射層1は互いに直接積層されていてもよい。図1に示される光学フィルム6をアイウェアに適用した場合、光反射層1が光学フィルム6の裏側に、光制御層2が光学フィルム6の表側に配置される。
(光反射層)
本発明に使用される光反射層は、可視光領域における左円偏光または右円偏光を反射するコレステリック液晶層を含む。円偏光は、大きく2種類に分けられ、右回りの円偏光を右円偏光、左回りの円偏光を左円偏光と呼ぶ。円偏光には偏光軸がないために、光反射層が反射する円偏光が右円偏光か左円偏光のいずれかを選択するだけで、容易かつ安定した高い反射率を得ることができる。また、本発明に係るアイウェア用光学フィルムが光反射層を2層以上含む場合、2層以上の光反射層はいずれも同じ向きの円偏光を反射する特性を有することが好ましい。例えば、光反射層として、左円偏光を反射するコレステリック液晶層を3層積層する場合、3つのコレステリック液晶層は、いずれも左円偏光を反射する特性を示す。光反射層の積層数は、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜5層であり、より好ましくは1〜3層である。光反射層を複数層設けることにより、様々な反射色を示す光学フィルムを得ることができるが、製造工程数およびコスト等の観点から光反射層の積層数は1〜5層の範囲であることが好ましい。各光反射層の厚さは、0.2〜5μmであることが好ましく、0.8〜4μmであることがより好ましい。各光反射層の厚さが0.2μm未満の場合、得られる光反射フィルムの反射率が低下するおそれがある。一方、光反射層の厚さが5μmより大きい場合には、光反射層を構成するコレステリック液晶の配向不良が生じ、これにより得られる光反射フィルムのヘーズ値が上昇するおそれがある。
光反射層を3層以上積層させた光反射フィルムのヘーズ値は1.0%以下が好ましく、0.8%以下がより好ましい。ヘーズ値が1.0%より大きいと、光反射フィルムの不透明性が大きく、透明性が重要である光学部材への使用に適さない。
コレステリック液晶層は、キラリティをもつネマチック液晶、ネマチック液晶にカイラル剤を添加した組成物を用いて形成される。カイラル剤の種類、量により、螺旋の向き、反射波長を任意に設計できるため、ネマチック液晶にカイラル剤を添加してコレステリック液晶を得る方法が好ましい。本発明で使用されるネマチック液晶は、いわゆる電界で操作する液晶とは異なり、螺旋配向状態を固定化して使用されるため、重合性基を有するネマチック液晶モノマーを用いることが好ましい。
重合性基を有するネマチック液晶モノマーは、分子内に重合性基を有し、ある温度範囲または濃度範囲で液晶性を示す化合物である。重合性基としては、例えば(メタ)アクリロイル基、ビニル基、カルコニル基、シンナモイル基およびエポキシ基などが挙げられる。また、重合性液晶が液晶性を示すためには分子内にメソゲン基があることが好ましく、メソゲン基とは、例えば、ビフェニル基、ターフェニル基、(ポリ)安息香酸フェニルエステル基、(ポリ)エーテル基、ベンジリデンアニリン基、またはアセナフトキノキサリン基等のロッド状、板状の置換基、あるいはトリフェニレン基、フタロシアニン基、またはアザクラウン基等の円盤状の置換基、すなわち、液晶相挙動を誘導する能力を有する基を意味する。ロッド状または板状の置換基を有する液晶化合物はカラミティック液晶として当該技術分野で既知である。このような重合性基を有するネマチック液晶モノマーは、例えば、特開2003−315556号公報および特開2004−29824号公報に記載の重合性液晶、Paliocolor(登録商標)シリーズ(BASF社製)、例えば、Paliocolor LC242、Paliocolor LC1057およびRMMシリーズ(Merck社製)等の重合性液晶が挙げられる。これら重合性基を有するネマチック液晶モノマーは、単独で使用しても、または複数混合して使用してもよい。
カイラル剤としては、上記重合性基を有するネマチック液晶モノマーを右巻きまたは左巻き螺旋配向させることができ、重合性基を有するネマチック液晶モノマーと同様に重合性基を有する化合物が好ましい。そのようなカイラル剤としては。例えば、Paliocolor LC756(BASF社製)、特開2002−179668号公報、特開2007−271808号公報等に記載の光学活性なビナフチル構造を有する化合物、特開2003−306491号公報、2003−313292号公報等に記載の光学活性なイソソルビド構造を有する化合物などが挙げられる。このカイラル剤の種類により、反射する円偏光の向きが決まり、さらには、ネマチック液晶に対するカイラル剤の添加量に応じて、光反射層の反射波長を変えることができる。例えば、カイラル剤の添加量を多くするほど、短波長側の波長を反射する光反射層を得ることができる。カイラル剤の添加量は、カイラル剤の種類と反射させる波長によっても異なるが、通常光に対する光反射層の中心反射波長を、所望の波長領域に調整するため、重合性基を有するネマチック液晶モノマー100重量部に対し、0.5重量部〜30重量部が好ましく、より好ましくは1重量部〜20重量部である。
さらに、重合性基を有するネマチック液晶モノマーと反応可能な液晶性を有しない重合性化合物を添加することも可能である。そのような化合物としては、例えば、紫外線硬化型樹脂等が挙げられる。紫外線硬化型樹脂としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと1,6−ヘキサメチレン−ジ−イソシアネートとの反応生成物、イソシアヌル環を有するトリイソシアネートとペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとの反応生成物、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートとイソホロン−ジ−イソシアネートとの反応生成物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスルトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタアクリロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールトリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、トリグリセロール−ジ−(メタ)アクリレート、プロピレングリコール−ジ−グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、ポリプロピレングリコール−ジ−(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコール−ジ−(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ジ−(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール−ジ−(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール−ジ−(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール−ジ−(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール−ジ−グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、1,6−ヘキサンジオール−ジ−(メタ)アクリレート、グリセロール−ジ−(メタ)アクリレート、エチレングリコール−ジ−グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、ジエチレングリコール−ジ−グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(メタアクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビスフェノールA−ジ−グリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、ブチルグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレートおよびブタンジオールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独で使用してもあるいは複数混合してもよい。これら液晶性を有しない紫外線硬化型樹脂は、ネマチック液晶モノマーを含む組成物が液晶性を失わない程度に添加すればよく、好ましくは、重合性基を有するネマチック液晶モノマー100重量部に対して0.1〜20重量部、より好ましくは1.0〜10重量部程度である。
上述した重合性基を有するネマチック液晶モノマー、他の重合性化合物が紫外線硬化型である場合、該組成物を紫外線により硬化させるために、光重合開始剤が添加される。光重合開始剤としては例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1(BASF社製イルガキュアー907)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製イルガキュアー184)、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(BASF社製イルガキュアー2959)、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(Merck社製ダロキュアー953)、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(Merck社製ダロキュアー1116)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(BASF社製イルガキュアー1173)、ジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(BASF社製イルガキュアー651)等のベンゾイン系化合物;ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン(日本化薬社製カヤキュアーMBP)等のベンゾフェノン系化合物;ならびに、チオキサントン、2−クロルチオキサントン(日本化薬社製カヤキュアーCTX)、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン(日本化薬社製カヤキュアーRTX)、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロオチオキサントン(日本化薬社製カヤキュアーCTX)、2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬社製カヤキュアーDETX)、または2,4−ジイソプロピルチオキサントン(日本化薬社製カヤキュアーDITX)等のチオキサントン系化合物等が挙げられる。好ましくは、例えば、Irgacure TPO、Irgacure TPO−L、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure 1300、Irgacure 184、Irgacure 369、Irgacure 379、Irgacure 819、Irgacure 127、Irgacure 907およびIrgacure 1173(いずれもBASF社製)が挙げられ、特に好ましくはIrgacure TPO、Irgacure TPO−L、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure 1300およびIrgacure 907が挙げられる。これらの光重合開始剤は、1種類または複数を任意の割合で混合して使用することができる。好ましくは、300nm以上の波長に吸収帯域をもつ光重合開始剤を少なくとも1種以上用いる。
光重合開始剤としてベンゾフェノン系化合物またはチオキサントン系化合物を用いる場合には、光重合反応を促進させるために、助剤を併用することも可能である。そのような助剤としては例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、n−ブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジエチルアミノエチルメタアクリレート、ミヒラーケトン、4,4’―ジエチルアミノフェノン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチルおよび4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等のアミン系化合物が挙げられる。
上述した光重合開始剤および助剤の添加量は、本発明で用いられる組成物の液晶性に影響を与えない範囲で使用することができ、その量は、当該組成物中の紫外線で硬化する化合物100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上10重量部以下である、より好ましくは2重量部以上8重量部以下である。また、助剤は光重合開始剤に対して、0.5倍から2倍量であることが好ましい。
次に、上記コレステリック液晶を用いて、本発明に使用される光反射層を作製する方法を説明する。このような方法としては、例えば、重合性基を有するネマチック液晶モノマーに、所望とする波長を反射するように右巻きまたは左巻き螺旋配向となるカイラル剤を必要量添加する。次にこれらを溶剤に溶解し、光重合開始剤を添加する。このような溶剤は、使用する液晶モノマーやカイラル剤等を溶解できれば、特に限定されるものではないが、例えば、シクロペンタノン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、シクロペンタノンおよびトルエン等が好ましい。その後、この溶液をトリアセチルセルロース(TAC)フィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のプラスチックフィルム上に厚みができるだけ均一になるように塗布し、加熱にて溶剤を除去させながら、プラスチックフィルム上でコレステリック液晶となって所望の螺旋ピッチで配向するような温度条件、好ましくは40〜150℃で一定時間放置させる。このとき、プラスチックフィルム表面を塗布前にラビングまたは延伸等の配向処理をしておくことで、コレステリック液晶の配向をより均一にすることができ、フィルムとしてのヘーズ値を低減することが可能となる。次いでこの配向状態を保持したまま、高圧水銀灯等で紫外線を照射し、コレステリック液晶の配向を固定化させることにより、本発明で使用される光反射層を構成するコレステリック液晶層が得られる。ここで、右巻き螺旋配向となるカイラル剤を選択した場合、光反射層は右円偏光を選択的に反射する光反射層Rが得られ、一方、左巻き螺旋配向となるカイラル剤を選択した場合、光反射層は、左円偏光を選択的に反射する光反射層Lが得られる。この特定の円偏光を選択的に反射する現象を選択反射といい、選択反射している波長帯域を選択反射領域という。
光反射層は、反射帯域を有するため、光反射層の反射波長は、該反射帯域の中心値である中心反射波長を用いて表現される。中心反射波長とは、光反射層の反射帯域の中心波長を意味し、その値は、分光測定において、例えば、反射帯域で透過率が75%となる短波長側と長波長側の波長間の中間の値である。例として、ある光反射層を分光測定した場合に、反射帯域における透過率が75%となる短波長側の波長が500nm、長波長側の波長が600nmであるような場合、この光反射層の中心反射波長は、550nmである。中心反射波長の算出において基準とする透過率は任意であり、波形形状、反射帯域の最低透過率等により適宜選択されるが、必ずしも左右対称の波形ではなく、また反射帯域の前後に干渉帯がある場合もあるため、最低透過率値+5〜30%の透過率を基準とすることもできる。本発明に係る光学フィルムをサングラスに応用した場合、反射光がメタリックな色調を呈するように、使用される光反射層の中心反射波長は可視光領域にあり、好ましくは、中心反射波長は400〜800nmの範囲であり、より好ましくは410〜780nmの範囲であり、さらに好ましくは430〜700nmの範囲である。光反射層が左円偏光または右円偏光を反射する可視光領域における中心反射波長は、求める色調に応じて適宜選択される。例えば、中心反射波長が450nmの場合、光学フィルムの反射光はメタリックな青色を呈し、550nmの場合はメタリックな緑色、650nmの場合はメタリックな赤色を呈する。
光反射層は、光反射層Rまたは光反射層Lのいずれであってもよい。光反射層が複数層設けられる場合、各光反射層は、光反射層Rまたは光反射層Lのいずれであってもよいが、すべて同じ向きの円偏光を反射する光反射層、すなわち、全ての光反射層が、光反射層Rまたは光反射層Lのいずれかであることが好ましい。光反射層Rと光反射層Lの双方の光反射層が使用されると、本発明に係る光学フィルムをアイウェアに適用した場合に、光制御層で同方向の偏光変換ができない、すなわち第2の光制御層にてs偏光とp偏光のいずれも含む直線偏光に変換されるため、防眩効果を低下させる恐れがあり、偏光サングラスとしての機能を低下させてしまう。一方、光反射層Rと光反射層Lの双方が設けられる場合であっても、各光反射層における選択反射領域の中心反射波長同士のずれの間隔が20nm以内であれば、第2の光制御層にてs偏光とp偏光いずれも含む直線偏光に変換された場合でも、防眩効果の低下は最小限に抑制でき、偏光サングラスとして使用することができる。そのため、このような場合には、光反射層Rと光反射層Lの双方の光反射層を設けることが可能である。
2層以上の光反射層を用いる場合の例としては、中心反射波長が550nmである光反射層Rと、中心反射波長が650nmである光反射層Rとを組み合わせて積層することにより、550nm付近の右円偏光と650nm付近の右円偏光をともに反射することができ、また、金色の反射光を得ることができる。このような各光反射層が有する中心反射波長の組み合わせには特に制限はなく、所望とする組み合わせに応じて、複雑かつ多様な反射色を得ることができる。
複数の光反射層を設ける場合、各光反射層を積層する手段は、特に制限はなく、各光反射層を、直接積層することができるが、粘着剤、接着剤を用いて積層することが好ましい。粘着剤としては、アクリル系またはゴム系の粘着剤が挙げられるが、接着性、保持力等を調整しやすいアクリル系粘着剤が好ましい。また、接着剤としては、紫外線硬化型樹脂組成物または熱硬化型樹脂組成物が挙げられる。紫外線硬化型樹脂の場合は、アクリロイル基またはエポキシ基を有するモノマーを2種以上混合した組成物を光重合開始剤の存在下で、紫外線を照射することにより硬化させて、各光反射層を接着させることができる。熱硬化型樹脂組成物の場合は、エポキシ基を有するモノマーを2種以上混合した組成物を酸触媒の存在下で加熱することにより硬化させて、各光反射層を接着させることができる。あるいは、アミノ基、カルボキシル基、水酸基を有する2種以上のモノマーまたはポリマーを含む組成物をイソシアネート基またはメラミンを有する化合物の存在下で加熱することにより硬化させて、各光反射層を接着させることができる。
(光制御層)
本発明に係るアイウェア用光学フィルムには、光制御層として、1/4波長板と呼ばれる位相差素子が使用される。光制御層は、光学フィルムの表側に位置するように配置される。光制御層に使用される1/4波長板は、円偏光を直線偏光に変換する機能をもつ位相差素子であり、例えば、ポリカーボネートやシクロオレフィンポリマーからなるフィルムを位相差が波長の1/4となるように一軸延伸したり、あるいは、水平配向する重合性液晶を位相差が波長の1/4となるような厚さで配向させたりすることによって得ることができる。この1/4波長板は単独で用いてもよいし、波長分散による位相差のずれが大きい場合には、広帯域1/4波長板と呼ばれる位相差素子を用いてもよい。広帯域1/4波長板とは、位相差の波長依存性が低減した位相差素子であり、例えば、同じ波長分散をもつ1/2波長板と1/4波長板とをそれぞれの遅相軸の成す角が60゜となるように積層した位相差素子、位相差の波長依存性を低減したポリカーボネート系位相差素子(帝人社製:ピュアエースWR−S、カネカ社製:R−フィルム、RDフィルム)等が挙げられる。
水面や路面、雪面等からの反射光はs偏光と呼ばれる横方向の直線偏光の成分が多く含まれることで知られている。光学フィルムの表側に設けられている光制御層は、s偏光が入射されると、s偏光を左円偏光または右円偏光に変換する。光制御層によりs偏光から変換された円偏光が光反射層により有効に反射されるようにするため、光制御層の遅相軸の配置方向は、光制御層に入射するs偏光が光反射層により反射される円偏光と同じ向きの円偏光に変換される方向であることが好ましい。例えば、光反射層として右円偏光を反射する光反射層Rを用いる場合、光学フィルムの表側に配置される光制御層として使用される1/4波長板の遅相軸の配置方向は、光制御層に入射するs偏光を右円偏光に変換できるように設定される。このように、光制御層の遅相軸の配置方向を制御することにより、光反射層が有する円偏光の選択反射特性を有効に利用することができる。これにより、光学フィルムに入射するs偏光が有効に反射され、その結果、光学フィルムの防眩効果を高めることができる。
一方、光反射層で反射される円偏光と逆向きの円偏光に変換するように光制御相の遅相軸を配置した場合、光反射層の反射帯域において遮蔽された光が光学フィルムを透過する。そのため、アイウェア着用者は、アイウェア用光学フィルムの透過光を着色された透過光として感じることができる。
(偏光度)
本発明のアイウェア用光学フィルムは、光反射層の中心反射波長付近(反射波長領域)に高い偏光度を有する。偏光度とは、全光強度に対する偏光した成分の光強度の割合であり、偏光度が高いほど、偏光性能が高いことを意味する。光反射層が1層であり、反射帯域が狭い場合には、一般的に用いられる視感度補正された偏光度に換算すると高い数値を示すことはないが、特定の波長にて高い偏光度を有する特徴がある。例えば、光反射層の中心波長が480nmである場合、光学フィルムは480nm近辺に高い偏光度を有する。ゴルフなどで芝目を確認したい場合、緑と青の境界付近である480nm近辺に高い偏光度を有する該アイウェア用光学フィルムを使用することにより、芝目が見易くなるという効果がある。よって、光反射層の中心反射波長が480nmである光反射層を含む本発明に係るアイウェア用光学フィルムは、ゴルフ用サングラスに好適に適用することができる。
また、中心反射波長の異なる光反射層を複数層用いることにより、反射波長帯域が広くなる。このような本発明に係るアイウェア用光学フィルムは、視感度補正された偏光度も高い数値を示し、広範囲の波長帯域において高い偏光性能を示し、高い防眩効果を得ることができる。
<光学積層体>
上記のようにして得られたアイウェア用光学フィルムを2枚の支持体で挟持することによって、本発明に係る光学積層体を得ることができる。図2は、本発明に係る光学積層体の一実施形態を示す。図2に示される光学積層体7は、光制御層2および光反射層1の順で接着剤または粘着剤からなる接着層5を介して積層された本発明に係る光学フィルム6が、さらに、接着層5を介して第1の支持体3と第2の支持体4で挟持されている。すなわち、本発明に係る光学積層体7は、第1の支持体3と、第2の支持体4と、第1の支持体3および第2の支持体4の間に配置された光学フィルム6を備えている。図2では、光学積層体7を構成する各層が接着層5を介して積層されているが、光制御層2、光反射層1、第1の支持体3、および第2の支持体4がそれぞれ直接積層されていてもよい。また、第1の支持体3または第2の支持体4は、光制御層2と光反射層1との間に配置されていてもよい。第1の支持体3または第2の支持体4がこのように配置されることにより、光学積層体としての強度が増す等の利点がある。図2に示される光学積層体をアイウェアに適用した場合、第1の支持体3が光学積層体7に光が入射する側、すなわち光学積層体の「表側」に、第2の支持体4が観察者側、すなわち光学積層体の「裏側」にそれぞれ備えられる。なお、第1の支持体3は、光制御層2としての1/4波長板が兼ねることも可能である。このような場合、光学積層体7は、第1の支持体3が除外された構成であってもよい。
本発明に使用される第1の支持体およびは第2の支持体は、プラスチック素材を用いて作製された基材であることが好ましく、プラスチック素材としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアミド、およびトリアセチルセルロース(TAC)などの樹脂を使用できる。耐衝撃性、耐熱性が要求されるサングラス、ゴーグル等のアイウェアにおいて、支持体には、ポリカーボネートを使用することが好ましく、ビスフェノールAを含む芳香族ポリカーボネートを使用することがより好ましい。各支持体の全光線透過率は、視認性を確保しやすくするため、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは85%以上である。また、本発明に係る光学フィルムの各層を製造する際、その最適加工温度が低い場合には、支持体の素材として、例えば、芳香族ポリカーボネート/PCC組成物(全脂環式ポリエステル組成物)、ガラス転移温度130℃以下のポリアミドなどを使用することが好ましい。また、第1の支持体および第2の支持体を構成するプラスチック素材は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
本発明のアイウェア用光学フィルムに用いられる光反射層および光制御層の積層方法、あるいは、第1および第2の支持体により光学フィルムを挟持する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、各層、支持体を、直接積層することができるが、高い接着力が得られる観点から、各層、支持体は接着層を介して積層することが望ましい。接着層の材料として、ホットメルト型接着剤または硬化型接着剤のいずれも使用可能である。通常、硬化型接着剤としては、アクリル樹脂系材料、ウレタン樹脂系材料、ポリエステル樹脂系材料、メラミン樹脂系材料、エポキシ樹脂系材料、シリコーン系材料等が使用できる。また、接着剤の他に粘着剤の使用も可能であり、粘着剤としては、特に限定されるものではないが、アクリル系、ゴム系等の粘着剤が挙げられる。また、光制御層については、使用される1/4波長板の遅相軸または進相軸がロール状の1/4波長板の長尺方向に対して45゜となっている場合、ロール状の1/4波長板と、同様にロール状の光反射層とをロールツウロールで積層することにより、ロールの長尺方向に対し、遅相軸または進相軸が45゜である1/4波長板を有する光学フィルムを得ることができる。
こうして得られた本発明に係るアイウェア用光学フィルムまたは光学積層体を、光制御層または第1の支持体が、観察者を基準としてアイウェアの外側になるように配置し、次いで、光学フィルムまたは光学積層体をアイウェアに適合する所望の形状に成形し、さらに、フレーム等に固定することで、本発明に係るアイウェア用光学フィルムまたは光学積層体を備えるサングラス、ゴーグル、ヘルメット用バイザー等のアイウェアを得ることができる。例えば、サングラスの場合は、光学積層体を所望の形状に打ち抜き、次いで、曲げ加工を施す。曲げ加工の方法は特に制限はなく、所望とする形状に応じて、光学積層体を球面あるいは非球面の面形状に曲げ加工を施せばよい。曲げ加工品には、さらに樹脂による射出成形が施されていてもよい。これにより、光学積層体の厚みムラによる像の歪みを防止することができ、また、焦点屈折力をもたないレンズにおいても、耐衝撃性、外観、眼精疲労に対して特に優れた作用をもたらすことができる。射出する樹脂は、屈折率差による外観悪化を防止するため、樹脂が接する層と同一の材料であることが好ましい。また、光学積層体の表面には、適宜、ハードコート、反射防止膜等が付与されてもよい。曲げ加工処理または射出成形をした光学積層体を、玉摺り、穴あけ、ネジ締め等によりフレーム等に固定することでサングラスが得られる。
<アイウェア>
本発明に係るアイウェアは、白内障手術後の眩しさ低減用の保護メガネとして用いることができる。白内障手術で眼内レンズ(人口水晶体)を眼の中に挿入した場合、水晶体の濁りが急に取り除かれるため、外部からの光が眼内レンズに大量に入り、より明るく、眩しく感じることがある。また、眼内レンズは、一般に短波長側の光を通すため、白内障手術前よりも青色の光が眼に入りやすい。本発明の光学フィルムを用いたアイウェアは、中心反射波長が400〜500nmの範囲である光反射層を少なくとも1層以上備えることができる。したがって、このような本発明の光学フィルムを適用したアイウェアを、白内障手術後用の保護メガネとして使用することで、青色光を反射し、眩しさを低減することができる。
また、本発明に係るアイウェアは、特定の波長(光反射層の反射帯域)に偏光性能を有する。したがって、路面等の跳ね返り光などに対しても、白内障手術後の眩しさをより低減することができるため、既存の保護メガネよりも優れた特性を示す。さらに、既存の保護メガネでは、眩しさを低減させるためには、500nmより大きい波長の可視光もカットされてしまうため、メガネレンズとしての可視光透過率が低下するという問題があるが、本発明に係る光学フィルムまたは光学積層体を備えるアイウェアは、可視光透過率が低下することなく、眩しさを低減することが可能である。
以下、実施例により、本発明を詳細に例示する。実施例において部は重量部を意味する。なお、本発明は例示する実施例に限定されるものではない。
<コレステリック液晶塗布液の調製>
表1に示す組成を有するコレステリック液晶塗布液の配合例1〜3をそれぞれ調製した。
Figure 0006840734
[実施例1]
<光反射層の作製>
コレステリック液晶塗布液の配合例1を用い、下記の手順にてそれぞれ光反射層を作製した。プラスチックフィルムとしては、ラビング処理が施された下塗り層がない東洋紡績社製PETフィルム(商品名 A4100、厚さ50μm)を使用した。
(1)配合例1の塗布液を、ワイヤーバーを用いて、乾燥後の膜の厚みが1.8μmになるように、PETフィルム上に室温にて塗布し、塗膜を形成した。
(2)得られた塗膜を、150℃にて5分間加熱して溶剤の除去とともにコレステリック液晶相とした。次いで、高圧水銀ランプ(ハンソン東芝ライティング社製:HX4000L)を120W出力、5〜10秒間UV照射し、コレステリック液晶相を固定して、光反射層を作製した。
こうして、右円偏光を反射する光反射層Rを得た。島津製作所社製分光光度計UV−3600を用いて、得られた光反射層Rの反射スペクトルを測定し、選択反射の中心反射波長を求めた。光反射層Rの中心反射波長は480nmであった。
<光制御層の準備>
光制御層として、1/4波長板であるカネカ社製RDフィルム−No140(リタデーション値:140nm、平均厚み:58μm)を用いた。
<光学フィルムの作製>
(1)上記で作製した光反射層と光制御層とをアクリル粘着剤を用いて貼り合わせた。
(2)次いで、光反射層側のPETフィルムを剥した。このとき、光制御層は、s偏光が入射された際、s偏光が右円偏光に変換されるように遅相軸を配置した。こうして、光制御層および光反射層が積層された光学フィルムを作製した。
[実施例2]
配合例1の塗布液に代えて、配合例2の塗布液を用いた点、および、塗布乾燥後の膜厚が1.8μmに代えて2.0μmになるように塗布した点以外は実施例1と同様の操作により、光学フィルムを作製した。
配合例2の塗布液を用いて作製した光反射層は、右円偏光を反射する光反射層Rであった。実施例1と同様に得られた光反射層Rの反射スペクトルを測定し、選択反射の中心反射波長を求めた。光反射層Rの中心反射波長は555nmであった。
[実施例3]
配合例1の塗布液に代えて、配合例3の塗布液を用いた点、および、塗布乾燥後の膜厚が1.8μmに代えて2.0μmになるように塗布した点以外は実施例1と同様の操作により、光学フィルムを作製した。
配合例3の塗布液を用いて作製した光反射層は、右円偏光を反射する光反射層Rであった。実施例1と同様に得られた光反射層Rの反射スペクトルを測定し、選択反射の中心反射波長を求めた。光反射層Rの中心反射波長は620nmであった。
[実施例4]
光反射層として、実施例1〜3で得られた各光反射層Rをアクリル粘着剤を用いて貼り合せ、3層の光反射層Rを用いた点以外は、実施例1と同様の操作により、光学フィルムを得た。なお、光反射層Rを貼り合せた際、PETフィルムは全て剥した。
[比較例1]
実施例1と同様の操作により得た光反射層Rのみを用い、光制御層を含んでいない光学フィルムを作製した。
[比較例2]
実施例2と同様の操作により得た光反射層Rのみを用い、光制御層を含んでいない光学フィルムを作製した。
[比較例3]
実施例3と同様の操作により得た光反射層Rのみを用い、光制御層を含んでいない光学フィルムを作製した。
[比較例4]
実施例4と同様の操作により得た光反射層Rのみを用い、光制御層を含んでいない光学フィルムを作製した。
[比較例5]
市販のオプトメディカル製医療用フィルターレンズ(白内障保護メガネ)LHV26−005−3(ブラウン系NA50)(光学レンズ)を使用した。
[各特性の評価方法]
<光反射層の中心反射波長および最小透過率>
実施例1〜3で作製した光反射層Rの透過率を、島津製作所社製分光光度計UV−3600を用いて測定した。光源はC光源を用いた。得られた透過率のスペクトルデータを図3〜5に示す。光反射層の反射帯域である分光透過率の短波長側および長波長側の透過率75%であるそれぞれの波長の平均値を中心反射波長[nm]とした。また、反射帯域内の透過率の最小値を最小透過率[%]とした。なお、実施例4および比較例4は、3層の光反射層を用いて、光反射層の中心反射波長の算出は行わなかった。
<光学レンズの最小透過率>
比較例5に使用した光学レンズの最小透過率を、島津製作所社製分光光度計UV−3600を用いて測定した。光源はC光源を用いた。尚、比較例5の光学レンズは紫外線吸収剤による紫外線吸収能があるため、420nm未満の波長帯域は比較対象にできない。そのため、測定する波長帯域は420〜780nm間の値とした。下記ブルーライトカット率の評価においても同様である。
<光学フィルムの偏光度>
実施例1〜4、比較例1〜4の光学フィルムの透過率を、島津製作所社製分光光度計UV−3600を用いて測定した。光源はC光源を用いた。得られた透過率を図6〜9に示す。測定方法は絶対偏光法で、偏光度99.99%偏光板を使用した。実施例1〜4においては、偏光度99.99%偏光板を通して発せられたs偏光に対して、光制御層を通過した際に右巻き円偏光に変換される軸方向にてアイウェア用光学フィルムをセットした。このような配置関係の光学フィルムを測定した場合に得られた透過率をTc[%]とした。また、この配置関係の光学フィルムを90゜回転させた位置で測定した場合に得られた透過率をTp[%]とした。比較例1〜4の光学フィルムは、軸方向の規制がないため、セット位置の制限はないが、偏光度99.99%偏光板を通して発せられたs偏光と、光反射層の塗布方向が平行になるよう光学フィルムをセットし、得られた透過率をTc[%]とした。ここで、塗布方向とは、光反射層の作製において、コレステリック液晶塗布液を、ワイヤーバーを用いてPETフィルム上に塗布した方向、すなわち、ワイヤーバーの移動方向を意味する。また、この配置関係の光学フィルムを90°回転させた位置で測定した場合に得られた透過率をTp[%]とした。各実施例、比較例ともに偏光度は以下の式により算出した。
Figure 0006840734
測定範囲の波長帯域における偏光度のうち、最も高い偏光度を示す波長をλmax、その最も高い偏光度をPmaxとした。また、視感度補正された透過率を用いて算出した偏光度をPyとした。これらの偏光度が高い数値であるほど、光学フィルムをアイウェアに適用した際、入射したs偏光が光学フィルムで反射されて装着者に到達する割合が低いため、防眩効果が高いことを意味する。
<光学レンズの偏光度>
同様の方法により、比較例5に使用した光学レンズの透過率を測定した。光学レンズを、入射するs偏光が最も透過されない位置にセットした。このような配置関係の光学レンズを測定した場合に得られた透過率の値をTc[%]とした。また、この配置関係の光学レンズを90度回転させた位置で測定した場合に得られた透過率をTp[%]とした。得られたTc、Tpを、上記式に代入して偏光度を算出した。なお、測定範囲の波長帯域におけるλmax、Pmaxは、光学レンズの紫外線吸収能を考慮し、420〜780nm間の値とした。
<光学フィルムおよびレンズの可視光平均透過率>
上記の光学フィルムおよび光学レンズの偏光度において測定した透過率の数値を用いて、JIS Z 8722:2009に準じて三刺激値であるY値を算出し、該Y値を各光学フィルム、光学レンズの可視光平均透過率[%]とした。
<光学フィルムおよびレンズのブルーライトカット率>
実施例1および比較例5において、ブルーライトカット率を求めた。JIS T 7333:2005 付属書C に記載の、青色光ハザードに準じて、420〜495nmの波長間でのブルーライトカット率を算出した。上記レンズの最小透過率の測定と同様に理由により、420nm未満の波長は比較対象としていない。得られた自然光透過率および偏光透過率のスペクルデータを図10に示す。
実施例1〜4の評価結果を表2に示し、比較例1〜5の評価結果を表3に示す。
Figure 0006840734
Figure 0006840734
実施例1〜4の光学フィルムは、いずれもメタリックな色調を示した。また、表3に示されるように、比較例1〜4の光学フィルムは、視感度補正された偏光度Pyおよび光反射層の中心波長付近の最大偏光度Pmaxが、共に低い値であった。一方、実施例1〜3の光学フィルムは、光反射層の波長帯域が狭いため、表2に示されるように、視感度補正された偏光度Pyは、低い値ではあるものの、いずれも対応する比較例1〜3より高くまた、各実施例において、中心反射波長付近の最大偏光度Pmaxは高い数値である。このことから、本発明に係る光学フィルムは、優れた偏光性能を有し、高い防眩性を示すことがわかる。また、3層の光反射層を備える実施例4の光学フィルムは、広い波長帯域を有しているため、最大偏光度Pmax、視感度補正されたPyともに非常に高い数値であった。このことから、複数の光反射層を備える本発明に係る光学フィルムは、より優れた偏光性能を有し、かつより高い防眩性を示すことがわかる。したがって、上記の結果から、本発明に係る光学フィルムは、直線偏光素子を用いなくとも、防眩性が高く、かつメタリック色調の反射光を示すため、より低いコストでこのような特性を有するアイウェアを実現することができる。
また、表2、3および図10より、実施例1の光学フィルムは、ブルーライトカット率が比較的高く、さらには、比較例5の既存の保護メガネと比較して、可視光平均透過率が高い値を示した。また、実施例1の光学フィルムは、中心反射波長が485nmであることから、反射光が青色の領域で高い偏光性能を有している。そのため、実施例1の光学フィルムは、特定の波長に偏光性能を有することから、路面からの跳ね返り光をカットできる機能をも備えている。このことから、実施例1の光学フィルムを備えるアイウェアは、白内障手術後の保護メガネとして有用であることがわかる。
本発明に係る光学フィルムおよびそれを用いた光学積層体は、直線偏光素子を用いずに、防眩性が高く、かつ、メタリックな色調の反射光を示すアイウェアをより低いコストで実現可能であるため、サングラス、ゴーグル、ヘルメット用バイザーなどのアイウェアの適用に好適である。
1 光反射層
2 光制御層
3 第1の支持体
4 第2の支持体
5 接着層
6 光学フィルム
7 光学積層体

Claims (6)

  1. 光制御層および1層以上の光反射層が、観察者を基準として外側からこの順で積層され、
    前記光反射層が、可視光領域における左円偏光または右円偏光を反射するコレステリック液晶層を含み、かつ前記光制御層が1/4波長板であることを特徴とする光学フィルムを備えるアイウェア
  2. 2以上の光反射層が積層され、かつ、積層された当該2層以上の光反射層がいずれも同じ向きの円偏光を反射する請求項1に記載のアイウェア
  3. 前記光制御層の遅相軸の配置方向が、前記光制御層に入射するs偏光が、前記光反射層により反射される円偏光と同じ向きの円偏光に変換される方向である請求項1または2に記載のアイウェア
  4. 第1の支持体と、第2の支持体と、前記第1の支持体および前記第2の支持体との間に配置された前記光学フィルムとを備える請求項1から3までのいずれか1項に記載のアイウェア
  5. 前記第1の支持体および前記第2の支持体が、プラスチック素材を用いて形成された基材である請求項4に記載のアイウェア
  6. 白内障手術後用の保護メガネである請求項1から5までのいずれか1項に記載のアイウェア。
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