JP6851230B2 - 噴霧熱分解法による微小粒子の製造装置 - Google Patents

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本発明は、噴霧熱分解法による微小粒子の製造装置に関する。
従来の噴霧熱分解法は、超音波霧化装置やノズルを用いて、管状炉などの加熱炉に原料溶液を霧状(ミスト状)に噴霧し、炉内で加熱処理して液滴を乾燥させて、微小粒子や中空粒子を合成し、回収する装置を用いた製造方法である(特許文献1、2)。この方法は、微小粒子を原料投入・加熱処理・回収まで連続で一気通貫生産するため、反応系外からの不純物の混入を回避でき、かつ大量に生産できる利点がある。
管状炉に使用する炉芯管は、加熱する温度や被加熱処理材料の種類により、金属製、石英製、セラミックス製などが使用されている。
金属製や石英製の炉芯管の場合、高温度中で強酸、強塩基性の原料溶液を用いた場合、原料溶液の成分と反応して脆くなったり、腐食が起こり、得られる粒子に不純物として混入することが起きる。不純物の混入を防止するため、高温度中での耐薬品性、耐熱性などから金属製や石英製より、セラミック素材の方が適していて、広く使用されている。
また、噴霧熱分解法では、一つの管状炉で加熱温度を入り口から出口に向けて高くして反応を行うという特徴がある(特許文献3〜7)。
特開昭58−223606号公報 特開平3−33011号公報 特開平5−253469号公報 特開平7−265689号公報 特開平7−267613号公報 特開平11−236607号公報 特開2009−23888号公報
しかし、噴霧熱分解法においては、原料溶液のミストを炉心管に直接噴霧し、加熱、分解と一気に短時間で粒子を生産するため、噴霧口付近の高温となっている炉心管に冷たいミストが接触して、サーマルショックが発生する。また、一つの管状炉で加熱温度を入り口から出口に向けて、高くするため、炉芯管に熱歪みが発生する。サーマルショックや熱歪みのため、セラミックス製の炉心管に亀裂や割れが発生して、耐久性が問題となっていた。
従って、本発明の課題は、炉芯管のサーマルショックや熱歪みによる亀裂、割れを防止し、炉芯管の耐久性を改善し、安定して噴霧熱分解法により微粒子を製造可能とする装置を提供することである。
そこで本発明者は、前記課題を解決すべく種々検討した結果、円筒状の炉芯管として、分割面の角度が特定範囲になるように、長手方向に分割した分割式炉芯管を用いることにより、炉芯管のサーマルショックや熱歪みによる亀裂、割れを防止し、炉芯管の耐久性を改善し、安定して噴霧熱分解法により微粒子が製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、原料溶液を乾燥ゾーン及び加熱ゾーンを有する噴霧熱分解装置に噴霧し、乾燥及び熱分解させる微小粒子の製造装置であって、加熱炉の炉芯管が、長手方向に2以上に直線状に分割され、該分割面は圧着され、該分割面が炉芯管の上端面の弧上接線に対して45度以上70度以下の角度であるセラミック製炉芯管であることを特徴とする熱分解による微小粒子の製造装置を提供するものである。
本発明の噴霧熱分解装置によれば、耐熱性、耐薬品性に優れたセラミック製の炉芯管の亀裂や割れを防止できるため、安定した微小粒子の製造及び不純物の混入がない均一な高品質の微小粒子が高収率で得られる。
2分割の炉芯管と分割面の角度を示す図である。 本発明の熱分解装置の概略図である。 本発明の熱分解装置の加熱炉(2分割)の概略図である。 従来の熱分解装置の加熱炉の概略図である。 3分割の炉芯管の概略図である。 4分割の炉芯管の概略図である。 2分割の炉芯管を2段積み重ねた炉芯管の概略図である。
本発明の熱分解による微粒子の製造装置は、原料溶液を乾燥ゾーン及び加熱ゾーンを有する噴霧熱分解装置に噴霧し、乾燥及び熱分解させる微小粒子の製造装置であって、加熱炉の炉芯管が、長手方向に2以上に直線状に分割され、該分割面は圧着され、該分割面が炉芯管の上端面の弧上接線に対して45度以上70度以下の角度であるセラミック製炉芯管であることを特徴とする。
前記加熱炉の炉芯管は、図1に示すように、長手方向に2以上に分割され、該分割面は圧着されており、該分割面が炉芯管の上端面の弧上接線に対して45度以上70度以下の角度である。
長手方向とは、縦炉の場合は縦方向、横型炉の場合は横方向であり、炉芯管の入り口から出口方向を意味する。分割は、図1のように2以上であればよく、好ましくは2以上12以下、より好ましくは2以上8以下、さらに好ましくは2以上6以下である。12を超えて(例えば15)分割した場合、炉芯管の組立(例えば、縦型炉の場合は立てること、横型炉の場合は積むこと)が困難となり、炉芯管を形成できなくなる。また、噴霧熱分解装置内が減圧となるため、炉芯管がずれて、崩れることがあるため、好ましくない。図5は3分割された炉芯管、図6は4分割された炉芯管である。また、図7のように2分割された炉芯管を積み重ねて炉芯管として使用することもできる。
分割面は、圧着されており、元の管状炉の形状に圧着接合されている。この圧着は、炉芯管の外周に供えられたヒーターの設置で実施されるのが好ましい。この分割面の圧着は、何ら接着剤等を介在させずに単なる圧着が好ましい。
該分割面の角度は、図1のように、炉芯管の上端面の弧接線に対して45度以上70度以下である。45度未満であると炉芯管の分割面に亀裂や欠けなどが発生しやすくなるため、好ましくない。70度を越えると、分割面から減圧されている炉芯管内に空気が吸引され、装置内の圧力が高くなり、微小粒子の回収効率の低下、炉芯管内の堆積などが起こり、生産効率が低下するため好ましくない。また、90度の場合には、炉芯管の亀裂や割れが防止できない。
炉芯管の材質は、ムライト、アルミナ、窒化珪素等のセラミックスを使用することができる。
図2には、炉芯管を2分割した本発明熱分解装置の全体像を示す。図3は、炉芯管を2分割した加熱炉を示す。図4は、従来の炉芯管を備えた加熱炉を示す。
炉芯管の上部には、原料溶液を噴霧するためのノズルを有し、炉芯管の下部には、製造された微粒子の捕集装置を備える。炉芯管の外周部には加熱源であるヒーターを備えている。この炉芯管とヒーターとを併せて加熱炉を構成している。
本発明の微粒子製造装置においては、図2のように、原料溶液を乾燥ゾーン及び加熱ゾーンを有する縦型の噴霧熱分解装置の上部から噴霧し、乾燥及び熱分解させる。すなわち、原料溶液を噴霧熱分解装置の入り口から噴霧し、乾燥させて、前記原料溶液の噴霧液滴を形成し、当該液滴から溶媒を除去する。
前記原料溶液の噴霧には、超音波式の噴霧装置、流体ノズルによる噴霧装置など一般的な液滴を形成する装置を使用することができる。生産性の観点から、流体ノズルによる噴霧装置を使用するのが好ましく、具体的には、2流体ノズルや4流体ノズルで噴霧するのが、粒子径の調整、生産性の点で好ましい。ここで2流体ノズルの方式には、空気と前記溶液とをノズル内部で混合する内部混合方式と、ノズル外部で空気と前記溶液を混合する外部混合方式があるが、いずれも採用できる。
噴霧される液滴の平均粒子径は、ノズル径や空気の圧力によって調整することができ、0.5〜150μmが好ましく、1〜100μmがより好ましく、1〜50μmがさらに好ましい。
原料溶液としては、目的の微小粒子を構成する元素を含有する溶液が挙げられ、目的の微小粒子が無機酸化物微小粒子の場合、無機酸化物微小粒子を構成する元素を含有する溶液が好ましく、水等の溶媒に溶解する化合物がより好ましい。そのような化合物としては、無機塩、金属アルコキシド等が挙げられる。より具体的には、アルミニウム塩、チタン塩、マグネシウム塩、アルミノケイ酸塩、アルミニウムアルコキシド、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。また、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物を溶媒に分散した溶液、アルミニウム酸化物、ケイ素酸化物のゾル溶液も原料溶液として用いることができる。さらに、溶融温度、耐熱性、粒子強度を調整するために他の元素の原料を添加することもできる。また、これらの原料化合物から得られる酸化物としては、無機酸化物、例えば金属酸化物、アルミナ、シリカ、アルミニウムおよびケイ素からなる酸化物などが挙げられ、より具体的には、アルミナ、シリカ、アルミニウムおよびケイ素からなる酸化物、チタン酸化物、マグネシウム酸化物、ジルコニウム酸化物、バリウム酸化物、セリウム酸化物、イットリウム酸化物などが挙げられ、これら酸化物を組み合わせた複合酸化物も挙げられる。
これらの酸化物を構成する元素の原料を溶解あるいは分散する溶媒としては、水及び有機溶媒が挙げられるが、環境への影響、製造コストの点から水が好ましい。
原料溶液中の酸化物を構成する元素の原料濃度は、得られる酸化物粒子の密度、強度等を考慮し、0.01mol/L〜飽和濃度が好ましく、0.1mol/L〜2.0mol/Lがより好ましい。なお、元素の原料濃度を高くすれば、得られる酸化物粒子の粒子径が大きくなるため、粒子径の大きい粒子を得るためには元素濃度を0.3〜1.5mol/Lとするのが好ましい。
噴霧した原料溶液の液滴を加熱炉に設置された炉芯管内にて乾燥及び熱分解を行う。
乾燥工程は、前記原料溶液の噴霧液滴から溶媒を除去する乾燥工程であり、ここでは、噴霧液滴粒子から溶媒が蒸発し、液滴粒子表面に無機塩が析出し、粒子内部に空隙が形成される。この乾燥工程の温度は、用いる原料溶液の噴霧液滴から、溶媒が蒸発する温度であればよいが、乾燥工程で無機塩が析出する必要性から、室温〜600℃の範囲内であって0.1秒から1分程度で当該蒸発及び析出が生じる温度であるのが好ましい。より好ましくは100℃〜600℃であり、さらに好ましくは150℃〜500℃であり、さらに好ましくは150〜450℃である。
次に、乾燥された粒子は、加熱され熱分解される。この熱分解工程は、乾燥された液滴および粒子を熱分解して酸化物粒子を形成する工程であり、ここでは、液滴および粒子表面の無機塩が熱分解および酸化されて酸化物粒子が生成する。この熱分解工程の温度は、前記熱分解および酸化反応が進行する温度であればよいが、熱分解工程で酸化反応が終了する必要性から、150℃〜1200℃が好ましい。また0.1秒〜1分程度で当該酸化反応が終了する温度が好ましく、具体的には、400℃〜1200℃が好ましく、500℃〜1200℃が好ましい。
また、本発明装置においては、微小粒子として中空粒子も製造することができる。中空粒子を製造する場合、酸化物粒子の表面を溶融し、粒子強度の高い中空粒子を得るため、熱分解工程後に、粒子の外殻表面の孔を閉塞させて、さらに溶融工程を行うのが好ましい。溶融工程は、形成された酸化物粒子の表面を溶融する工程であり、酸化物粒子の表面を溶融し、表面に存在する孔を閉塞させる工程である。この溶融工程の温度は、酸化物粒子の表面が溶融する温度であればよいが、溶融工程で溶融により酸化物粒子表面の孔が閉塞する点から600℃以上が好ましい。また、0.1秒〜1分程度で酸化物粒子表面が溶融する点から、700℃以上が好ましく、800℃以上がより好ましく、900℃以上がさらに好ましく、1200℃以上がさらに好ましい。なお、経済性の点から1500℃以下が好ましい。また、溶融温度が600〜1200℃と低い酸化物であれば、熱分解ゾーンと溶融ゾーンの加熱温度を同じにしてもよい。
溶融工程が終了した酸化物中空粒子は、表面の孔が閉塞されていることから外殻に孔がなく、粒子強度の高い酸化物中空粒子となっている。
熱分解工程、更に必要により溶融工程を行った酸化物中空粒子を冷却後回収すれば、目的の酸化物中空粒子が得られる。酸化物中空粒子の回収は、高性能サイクロン粉体回収機やバグフィルターを用いた粉体回収装置を用いることができる。また、酸化物中空粒子の回収にあたっては、フィルターを通過させることにより粒子径の調整をすることができる。
本発明装置により得られる酸化物粒子の好ましい例としては、中空室を区画する殻を有する酸化物中空粒子であって、形状がほぼ球状(平均円形度0.85以上)、平均粒子径が0.5μm〜100μm、前記殻の厚みが4500nm以下のものが挙げられる。
ここで、円形度は、走査型電子顕微鏡写真から粒子の投影面積(A)と周囲長(PM)を測定し、周囲長(PM)に対する真円の面積を(B)とすると、その粒子の円形度はA/Bとして表される。そこで、試料粒子の周囲長(PM)と同一の周囲長を持つ真円の周囲長および面積は、それぞれPM=2πr、B=πr2であるから、B=π×(PM/2π)2となり、この粒子の円形度は、円形度=A/B=A×4π/(PM)2として算出される。100個の粒子について円形度を測定し、その平均値でもって平均円形度とする。なお、本発明の酸化物中空粒子は、各種フィラーとして混合したときの分散性、混合性など点から、平均円形度は、0.85以上、好ましくは0.90以上である。
本発明装置で得られる酸化物中空粒子の平均粒子径は、0.5μm〜100μmであり、好ましくは1μm〜50μmであり、より好ましくは2μm〜30μmであり、さらに好ましくは2μm〜20μmであり、さらに好ましくは2μm〜10μmである。100μmを超える場合は一部が円形度の小さい球となることがあり、好ましくない。なお、平均粒子径の調整は、噴霧に使用する流体ノズルの直径および圧縮空気の圧力の調節によって行うことができる。ここで粒子径は、電子顕微鏡の解析によって測定でき、その平均は、JIS R 1629「ファインセラミックス原料のレーザ回折・散乱法による粒子径分布測定方法」、レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定装置として、例えばマイクロトラック(日機装株式会社製)などによって計算できる。
本発明装置で得られる酸化物中空粒子の粒子径分布(粒度分布)は、せまい程好ましく、粒子の80%以上が平均粒子径の±5.0μmにあるのが好ましく、粒子の80%以上が平均粒子径の±4.5μmにあるのがより好ましく、粒子の80%以上が平均粒子径の±4.0μmにあるのがさらに好ましい。
本発明方法で得られる酸化物中空粒子の殻の厚みは、4500nm以下であり、1〜2000nmが好ましく、10〜500nmがより好ましく、50〜350nmがさらに好ましい。殻の厚みが4500nmを超えると、中空室が十分でなく、熱伝導率が十分に小さい粒子とならない。また、殻の厚みが小さすぎる場合には、粒子の強度が十分でない可能性がある。殻の厚みは透過型電子顕微鏡(TEM)像から測定できる。
本発明の装置によれば、耐熱性、耐薬品性に優れたセラミック製の炉芯管の亀裂や割れを防止できるため、安定した微粒子の製造及び不純物の混入がない均一な高品質の微小粒子が高収率で得ることができる。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
(実施例1)
図1に示す2分割され、接触面が45度のムライト製の炉芯管を組合わせて、図2に示すように加熱炉とした。炉芯管は、加熱炉の上部と下部で固定し、炉芯管同士を密着させ、原料やガスの漏れがないようにした。炉芯管の大きさは、直径220mm、厚み10mm、長さ600mmとした。
ノズルユニットを炉芯管に設置した。次いで蒸留水1リットルに硝酸アルミニウムを0.04mol、オルトケイ酸テトラエチルを0.16mol溶解したアルミニウム及びケイ素の混合水溶液を溶液タンクに投入した。投入された水溶液は送液ポンプにより、2流体ノズルを介してミスト状に噴霧され、乾燥ゾーン(約400℃)、次いで熱分解ゾーン(1000℃)を通過させた。ポンプの吸引を一定とし、装置の圧力計により、炉芯管内の圧力の変化を確認した。
装置の圧力計の変化はなく、炉芯管内の圧力は一定であり、炉芯管が外部の空気を吸引していないことを確認した。
8時間後、噴霧、加熱を停止し、冷却後、炉芯管の状態を確認した。試験後、炉芯管に亀裂や割れなどは確認されなかった。
(実施例2)
2分割され、接触面が70度のムライト製の炉芯管を使用し、以下実施例1と同様に行った。
装置の圧力計の変化はなく、炉芯管内の圧力は一定であり、炉芯管が外部の空気を吸引していないことを確認した。
8時間後、噴霧、加熱を停止し、冷却後、炉芯管の状態を確認した。試験後、炉芯管に亀裂や割れなどは確認されなかった。
(比較例1)
図4に示すように円筒状のムライト製の炉芯管を使用し、以下実施例1と同じとした。
ポンプの吸引を一定にしていたが、装置の圧力計が大きくなり、炉芯管が外部の空気を吸引していることを確認した。
8時間後、噴霧、加熱を停止し、冷却後、炉芯管の状態を確認した。試験後、炉芯管が割れていることを確認した。
(比較例2)
2分割され、接触面が90度のムライト製の炉芯管を使用し、以下実施例1と同様に行った。
ポンプの吸引を一定にしていたが、装置の圧力計が大きくなり、炉芯管が外部の空気を吸引していることを確認した。
8時間後、噴霧、加熱を停止し、冷却後、炉芯管の状態を確認した。試験後、炉芯管に亀裂や割れなどは確認されなかった。

Claims (1)

  1. 原料溶液を乾燥ゾーン及び加熱ゾーンを有する噴霧熱分解装置に噴霧し、乾燥及び熱分解させる微小粒子の製造装置であって、加熱炉の炉芯管が、長手方向に2以上に直線状に分割され、該分割面は圧着され、該分割面が炉芯管の上端面の弧上接線に対して45度以上70度以下の角度であるセラミック製炉芯管であることを特徴とする熱分解による微小粒子の製造装置。
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