JP6852146B2 - ダイカスト用アルミニウム合金およびこれを用いたアルミニウム合金ダイカスト - Google Patents
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Description
このうち、例えば自動車用途においては、車体の軽量化やそれに伴う省燃費を目的に、ボディや足回り部品などへのアルミニウム合金ダイカストの適用が拡大している。このように近年、アルミニウム合金を用いた部品が数多く採用されて来ているが、その一方で、これらの部品の多くは重要保安部品であるため、耐力や延性と言った機械的性質のみならず、必要耐用年数や使用環境などの観点から、長期間の使用に耐え得るだけの耐食性が要求される。このため、既存合金では、かかる部品に要求される機械的特性は充足できるものの、耐食性を満足できない事態が生じ始めている。
この技術によれば、電池作用によってアルミニウム合金を腐食させるCuの含有割合を最大で0.03重量%に抑えているので、高い耐食性を有するダイカスト用アルミニウム合金を提供することができる。
さらに、CuのみならずMgについても事情は同様である。すなわち、合金中のMgの含有割合を上述のように制限した場合、例えばサッシ屑やアルミ缶などのMg含有割合の高い材料で構成されたスクラップ原料を使用するためには、溶かしたスクラップ原料に塩素ガスを吹き込んだり塩素系フラックスを使用してスクラップ溶湯中のMgを塩化マグネシウムとして分離し、再生後合金のMg含有割合が上記範囲内となるように調整しなければならない。しかしながら、スクラップ溶湯からのMgの分離にはこのように塩素が使用されるので排ガス中にダイオキシン類が生成するなど別の問題が生じ得る。したがって、合金中のMgの含有割合を上述のように制限した場合、実質的にはスクラップ原料の使用が難しくなる場合がある。また、Mgはアルミニウム合金に対して0.2%耐力を向上させる効果を有しているが、Mgの含有割合を0.5重量%以下に制限すれば、かかる効果も期待できなくなる。
それゆえに、この発明の主たる課題は、リサイクル原料を使用して経済的且つ持続可能に生産することができるのに加え、耐食性を損なうことなく機械的性質を向上させた自動車の重要保安部品などに好適なダイカスト用アルミニウム合金と、当該合金からなるアルミニウム合金ダイカストとを提供することである。
この発明では、Cuを0.05重量%以上で且つ0.70重量%以下の範囲内で含有させると共にMgを0.50重量%超から1.0重量%以下の範囲内で含有させることができるので、リサイクル原料の使用が可能となるのに加え、引張強さや0.2%耐力と言った機械的性質を向上させることができる。また、耐食性を悪化させる虞のあるCuの含有割合を上記範囲内に抑える一方で、耐食性改善効果のあるCrを0.10重量%以上で且つ0.40重量%以下含有するようにしているので、ダイカスト用アルミニウム合金の耐食性の悪化を防止することができる。
以上のように、本発明では、6種類の元素成分を所定の割合で含有させるだけで、それらの相互的作用によって、鋳造性や機械的性質のみならず、耐食性にも優れたダイカスト用アルミニウム合金のインゴットを経済的に安全且つ簡便に製造することができる。
さらに、Bを1〜50ppm添加することも好ましい。こうすることにより、特にSi量が少ない場合や冷却速度の遅い鋳造方法を用いる場合であってもアルミニウム合金の結晶粒を微細化させることができ、その結果、当該アルミニウム合金の伸びを向上させることができる。
本発明のダイカスト用アルミニウム合金からなるアルミニウム合金ダイカストは、鋳造性よく量産できると共に、引張強さや硬さと言った機械的特性のみならず耐食性にも優れているため、例えば自動車の重要保安部品などの用途に好適である。
本発明のダイカスト用アルミニウム合金(以下、単に「アルミニウム合金」とも云う。)は、重量%で、0.05%≦Cu(銅)≦0.70%、4.0%≦Si(ケイ素)≦11.0%、0.50%<Mg(マグネシウム) ≦1.0%、0.05%≦Fe(鉄)≦0.60%、Mn(マンガン)≦0.8%、0.10%≦Cr(クロム)≦0.40%を含有し、残部がAl(アルミニウム)と不可避不純物とで大略構成されている。以下、各元素の特性について説明する。
アルミニウム合金全体の重量に対するCuの含有割合は、上述したように0.05重量%以上で且つ0.70重量%以下の範囲内であることが好ましい。Cuの含有割合が0.05重量%未満の場合には、上述の機械的性質改善効果を得ることができなくなり、逆に、Cuの含有割合が0.70重量%を超える場合には、耐食性の著しい低下、伸びの低下、比重の増大などの問題が生じるようになるからである。
アルミニウム合金全体の重量に対するSiの含有割合は、上述したように4.0重量%以上で且つ11.0重量%以下の範囲内であることが好ましい。Siの含有割合が4.0重量%未満の場合には、溶湯の流動性を確保することが難しく、一般的に多用されている通常のダイカストでの成形を考えた場合、大型部品への適用の妨げとなり、逆に、Siの含有割合が11.0重量%を超える場合には、合金の伸びが低下するようになるからである。
アルミニウム合金全体の重量に対するMgの含有割合は、上述したように0.50重量%超で且つ1.0重量%以下の範囲であることが好ましい。Mgの含有割合が0.5重量%以下の場合には、上述の効果に加え、熱処理を行うことなく合金の0.2%耐力を確保することが可能となり、逆に、Mgの含有割合が1.0重量%を超える場合には、合金の伸びや耐食性が著しく低下するようになるからである。
アルミニウム合金全体の重量に対するFeの含有割合は、上述したように0.05〜0.60重量%の範囲内であることが好ましい。Feの含有割合が0.05重量%未満の場合には、ダイカスト時の焼き付き防止効果が十分ではなく、逆に、Feの含有割合が0.6重量%より多い場合にも、上記焼き付き防止効果は十分なものになるが、当該合金の靱性が低下すると共に溶解温度が上昇して鋳造性が悪化するようになるからである。
なお、このMnの含有割合の下限については特に限定する必要はないが、上記焼付き防止効果を顕著に発揮させるためには、Mnを0.2重量%以上含有させるのが好ましい。
アルミニウム合金全体の重量に対するCrの含有割合は、上述したように0.10重量%以上で且つ0.40重量%以下の範囲内であることが好ましい。Crの含有割合が0.10重量%未満の場合には、上述の効果を十分に得ることができなくなり、逆に、Crの含有割合が0.40重量%を超える場合には、これ以上添加量を増やしても添加効果が上がらなくなるからである。
アルミニウム合金全体の重量に対するこのTiの含有割合は、0.30重量%以下の範囲内であることが好ましい。Tiの含有割合が0.30重量%を超える場合には、アルミニウム合金の溶解が難しくなり、溶け残りの生じる可能性が出てくるからである。
ここで、アルミニウム合金全体の重量に対する改良処理材の添加割合は、当該改良処理材がNa,SrおよびCaの場合には30〜200ppm、Sbの場合には0.05〜0.20重量%の範囲であることが好ましい。改良処理材の添加割合が30ppm(Sbの場合には0.05重量%)未満の場合には、アルミニウム合金中の共晶Siの粒子を微細化するのが困難となり、逆に、改良処理材の添加割合が200ppm(Sbの場合には0.20重量%)より多い場合には、アルミニウム合金中の共晶Siの粒子は十分に微細化されており、これ以上添加量を増やしても添加効果が上がらなくなるからである。
アルミニウム合金全体の重量に対するBの添加割合は、1〜50ppmの範囲であることが好ましい。Bの添加割合が1ppm未満の場合には、アルミニウム合金中の結晶粒を微細化するのが困難となり、逆に、Bの添加割合が50ppmより多い場合には、アルミニウム合金中の結晶粒は十分に微細化されており、これ以上添加量を増やしても添加効果が上がらなくなるからである。
なお、下記の各種合金における機械的特性(具体的には、引張強さ,伸び,0.2%耐力)は、次の方法で測定した。すなわち、型締力135トンの通常のダイカストマシン(東芝機械(株)社製・DC135EL)を用いて、射出速度1.0m/秒、鋳造圧力60MPaでダイカスト鋳造し、ASTM(American Society for Testing and Material)規格に準拠した丸棒試験片を作製した。そして、鋳放しの状態のかかる丸棒試験片について、(株)島津製作所社製の万能試験機(AG−IS 100kN)を用いて、引張強さ,伸び,0.2%耐力を測定した。
また、各種合金の合金成分は、固体発光分光分析機(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 Thermo Scientific ARL4460)を用いて測定した。
表1は、Cu以外の合金成分が本発明範囲内における或る一定の割合となるように調整すると共に、Cuの含有割合を変化させて製造したダイカスト用アルミニウム合金の成分組成及び各機械的特性(引張強さ,伸び,0.2%耐力)を示したものである。
これに対し、当該合金の伸びは、Cuの含有割合が0.70重量%を超えると著しく低下するような傾向が窺える(図1-2参照)。このため、本発明のダイカスト用アルミニウム合金では、Cuの含有割合を0.05重量%以上で且つ0.70重量%以下の範囲内とするのが好ましい。
なお、表1中の合金1〜3は、本発明範囲内の合金組成、すなわち実施例合金である。
表2は、Mg以外の合金成分が本発明範囲内における或る一定の割合となるように調整すると共に、Mgの含有割合を変化させて製造したダイカスト用アルミニウム合金の成分組成及び各機械的特性(引張強さ,伸び,0.2%耐力)を示したものである。
一方、当該合金の伸びは、Mgの含有割合が増えるに従って漸減し、Mgの含有割合が1.0重量%を超えた辺りから当該合金の伸びが7%を下回るようになる傾向が窺える(図2−2)。このため、本発明のダイカスト用アルミニウム合金では、Mgの含有割合を0.50重量%超で且つ1.0重量%以下の範囲内とするのが好ましい。
なお、表2中の合金6〜8は、本発明範囲内の合金組成、すなわち実施例合金である。
Claims (5)
- 重量%で、0.05%≦Cu≦0.70%、4.0%≦Si≦11.0%、0.50%<Mg≦1.0%、0.05%≦Fe≦0.60%、Mn≦0.80%、0.10%≦Cr≦0.40%、Ti≦0.30%を含有し、残部がAlと不可避不純物とからなり、鋳放し状態での伸びが9.0%以上である、ことを特徴とするダイカスト用アルミニウム合金。
- 請求項1のダイカスト用アルミニウム合金において、
Na,SrおよびCaから選ばれる少なくとも1種を30〜200ppm添加した、ことを特徴とするダイカスト用アルミニウム合金。 - 請求項1又は2のダイカスト用アルミニウム合金において、
Sbを0.05〜0.20重量%添加した、ことを特徴とするダイカスト用アルミニウム合金。 - 請求項1乃至3の何れかのダイカスト用アルミニウム合金において、
Bを1〜50ppm添加した、ことを特徴とするダイカスト用アルミニウム合金。 - 請求項1乃至4の何れかのダイカスト用アルミニウム合金からなることを特徴とするアルミニウム合金ダイカスト。
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