以下に添付図面を参照して、この発明にかかる判定装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。この実施の形態においては、この発明にかかる判定装置を備えた歯垢検出歯ブラシについて説明する。
(歯垢検出歯ブラシの構造)
まず、この発明にかかる判定装置を備えた歯垢検出歯ブラシの構成について説明する。図1は、歯垢検出歯ブラシの構成を示す説明図である。図1において、歯垢検出歯ブラシ100は、本体部(ハンドル)110と、歯ブラシ部120と、によって構成されている。本体部110は、使用者の手によって把持される外装ケース111を備えている。
外装ケース111には、歯垢検出歯ブラシ100の使用者による操作を受け付けるスイッチ111aが設けられている。外装ケース111は、外装ケース111の内側への浸水を防ぐ防水加工が施されている。外装ケース111の内部には、電源112、励起光光源113、同軸光学系114、分光器115、制御回路116、報知装置117などが設けられている。電源112は、歯垢検出歯ブラシ100が備える各部に電気を供給する。電源112は、一次電池であっても二次電池であってもよい。
励起光光源113は、所定波長帯域の励起光を出射する。具体的には、励起光光源113は、395nm〜415nmの励起光を出射する。励起光光源113が出射した励起光は、同軸光学系114に入射される。同軸光学系114は、励起光光源113から入射される励起光を歯ブラシ部120側に導くとともに、歯ブラシ部120側から入射される歯牙の蛍光を分光器115に導く。
分光器115は、同軸光学系114から導かれた蛍光に含まれる特定波長付近の光の強度を検出し、検出した蛍光の強度に応じた信号を制御回路116に出力する。制御回路116は、CPUや各種のメモリおよび信号の入出力端子などを備えて構成されるマイクロコンピュータによって実現することができ、歯垢検出歯ブラシ100が備える各部を駆動制御する。
制御回路116は、たとえば、操作されたスイッチ111aから出力される信号に応じて励起光光源113のON/OFFを制御したり、分光器115から出力された信号に基づいて歯垢量を計算して歯垢量に応じた報知信号(歯垢量を利用者に報知する信号)を報知装置117に出力したりする。
報知装置117は、たとえば、LEDなどの発光素子によって実現することができる。この場合、制御回路116から出力される報知信号に基づくパターンでLEDを点灯あるいは点滅することにより歯垢量を報知する。あるいは、報知装置117は、たとえば、LEDに代えてあるいは加えて、偏心モータによって実現してもよい。この場合、制御回路116から出力される報知信号に基づくパターンで偏心モータを回転させることによって歯垢量を報知することができる。報知装置117は、LEDや偏心モータに代えてあるいは加えて、ブザーなどによって実現してもよい。
歯ブラシ部120は、本体部110に連結されたネック121と、ネック121の先端に設けられた歯ブラシヘッド122と、を備えている。ネック121および歯ブラシヘッド122には、一端が同軸光学系114に接続し、ネック121を介して他端が歯ブラシヘッド122の一面側に位置するように設けられた光導波路123が設けられている。光導波路123は、具体的には、たとえば、光ファイバによって実現することができる。光導波路123の他端には、レンズが設けられていてもよい。
歯ブラシヘッド122は、複数の繊維(毛束)124の一端を支持する。光導波路123は、歯ブラシヘッド122側に位置する他端(以下「センサヘッド」という)123aが、歯ブラシヘッド122が支持する複数の繊維124の間に位置するように配置されている。センサヘッド123aは、歯ブラシヘッド122が支持する複数の繊維124の先端よりも根元側に引っ込んだ位置に配置されている。光導波路123は、同軸光学系114から出射される励起光を、センサヘッド123aから歯垢検出歯ブラシ100の外部に出射する。
たとえば、歯ブラシヘッド122が支持する複数の繊維124を使用者の歯牙に突き当てた状態で使用した場合、センサヘッド123aから歯垢検出歯ブラシ100の外部に出射された励起光は歯牙に照射される。励起光を歯牙に照射すると、歯牙を形成する物質(エナメル質や象牙質のコラーゲンなど)が励起され、歯牙から蛍光が生じる。
歯牙に歯垢が付着している場合、波長405nm(紫)付近の励起光を照射すると、歯垢から波長帯域635nm付近にピークを有する蛍光が生じる。歯垢から生じる蛍光は、歯垢に含まれる細菌の代謝生成物の1つであるプロトポルフィリンIX(略語はPPIX)から生じる。歯垢から生じる蛍光は、波長帯域600nm付近において小さくなる。
歯牙や歯垢から生じた蛍光は、センサヘッド123aから光導波路123に入射される。光導波路123は、センサヘッド123aから入射される蛍光を同軸光学系114に導く。光導波路123においては、同軸光学系114から出射される励起光を歯垢検出歯ブラシ100の外部に出射する励起光の光路と、歯垢検出歯ブラシ100の外部からセンサヘッド123aを介して入射されて同軸光学系114に導かれる歯牙の蛍光の光路とが重複している。
(歯垢検出機構の構成)
つぎに、歯垢検出機構の構成について説明する。図2は、歯垢検出機構の構成を示す説明図である。図2において、歯垢検出機構200は、励起光光源113と、光学機能反射ミラー201と、第1の導波路202と、第2の導波路203と、バンドパスフィルター204と、第1のプラーク蛍光検出器205と、第2のプラーク蛍光検出器206と、歯牙蛍光検出器207と、を備えている。
励起光光源113は、上記のように、制御回路116によってON(点灯)/OFF(消灯)が制御される。光学機能反射ミラー201は、励起光光源113が発光する励起光を反射して第1の導波路202に導く。励起光光源113と光学機能反射ミラー201との間には、ショートパスフィルター(SPF:Short Pass Filter)を設けてもよい。
ショートパスフィルターは、光源から入射された励起光のうち、所定の波長より短い波長の光を透過し、それ以外の光を透過しない。具体的には、たとえば、415nmより短い波長の光を透過し、それ以外の光を透過しないショートパスフィルターを設ける。これにより、所望の波長帯域以外の波長帯域の蛍光が生じることを抑制し、歯垢の検出精度を高めることができる。
第1の導波路202は、光学機能反射ミラー201によって導かれた励起光を、光学機能反射ミラー201とは反対側の端部に位置するセンサヘッド123aから第1の導波路202の外部に出射する。第1の導波路202は、上記の光導波路123によって実現され、具体的には、たとえば、光ファイバによって実現することができる。第1の導波路202において、センサヘッド123aには、集光用のレンズが設けられていてもよい。
第1の導波路202から外部に出射された励起光が照射されることによって歯牙210や歯垢から生じる蛍光は、センサヘッド123aから第1の導波路202に入射する。第1の導波路202は、歯牙210から生じる蛍光を、光学機能反射ミラー201に出射する。光学機能反射ミラー201は、歯牙210から生じる蛍光の波長域を含む特定の波長の光を透過して、第2の導波路203に導く。光学機能反射ミラー201は、たとえば、ダイクロイックミラーによって実現することができる。
第2の光導波路203は、光学機能反射ミラー201を透過した蛍光、すなわち、歯牙210から生じた蛍光を、バンドパスフィルター204を介して第1のプラーク蛍光検出器205、第2のプラーク蛍光検出器206および歯牙蛍光検出器207に導く。第2の光導波路203は、たとえば、光ファイバによって実現することができる。
バンドパスフィルター204は、第1のプラーク蛍光検出器205、第2のプラーク蛍光検出器206および歯牙蛍光検出器207のそれぞれに対応して複数設けられている。各バンドパスフィルター204は、それぞれ、対応する蛍光検出器に応じた特定範囲の波長の光を透過し、他の波長の光を通さない。
第1のプラーク蛍光検出器205に対応して設けられたバンドパスフィルター204(以下「第1のバンドパスフィルター204」という)は、歯垢の蛍光発光のピークを示す波長帯域の光を透過する。具体的には、第1のバンドパスフィルター204は、たとえば、635nm付近の波長帯域の光を透過する。
より具体的には、たとえば、625〜645nmの波長帯域の光を透過する第1のバンドパスフィルター204を用いることができる。第1のバンドパスフィルター204は、歯垢の蛍光発光のピークを示す波長帯域の光を透過するものであればよく、第1のバンドパスフィルター204が透過する光の波長帯域の下限値および上限値は適宜調整することができる。
第2のプラーク蛍光検出器206に対応して設けられたバンドパスフィルター204(以下「第2のバンドパスフィルター204」という)は、第1の波長帯域においてピークを示す歯垢の蛍光発光のピークが小さくなる波長帯域の光を透過する。具体的には、第2のバンドパスフィルター204は、600nm付近の波長帯域の光を透過する。
より具体的には、たとえば、605〜625nmの波長帯域の光を透過する第2のバンドパスフィルター204を用いることができる。第2のバンドパスフィルター204は、歯垢の蛍光発光のピークを示す波長帯域より長波長側の光、具体的には645〜665nm付近の波長帯域の光を透過するものであってもよい。第2のバンドパスフィルター204は、歯垢の蛍光発光が小さくなる波長帯域の光を透過すればよく、第2のバンドパスフィルター204が透過する光の波長帯域の下限値および上限値は適宜調整することができる。
歯牙蛍光検出器207に対応して設けられたバンドパスフィルター204(以下「第3のバンドパスフィルター204」という)は、歯牙210からの蛍光に相当する波長帯域の光を透過する。具体的には、第3のバンドパスフィルター204は、600nmより短波長側の波長帯域の光を透過する。第3のバンドパスフィルター204は、歯牙210から発する蛍光に相当する波長帯域の光を透過すればよく、第3のバンドパスフィルター204が透過する光の波長帯域の下限値および上限値は適宜調整することができる。
第1のプラーク蛍光検出器205、第2のプラーク蛍光検出器206および歯牙蛍光検出器207は、それぞれ、対応するバンドパスフィルター204を透過した蛍光を検出する。第1のプラーク蛍光検出器205、第2のプラーク蛍光検出器206および歯牙蛍光検出器207は、たとえば、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)センサなどのイメージセンサによって実現することができる。
イメージセンサは、受光した光を電荷に変換し、受光量に応じた信号を制御回路116に対して出力する。制御回路116は、第1のプラーク蛍光検出器205、第2のプラーク蛍光検出器206および歯牙蛍光検出器207からそれぞれ出力された信号に基づいて、各蛍光検出器が受光した蛍光の強度を計算し、計算結果に基づいて歯牙210の検出の有無や歯牙210に付着している歯垢(プラーク)211の有無、センサヘッド123aに付着している歯垢(プラーク)212の有無を判断する。
(歯垢検出歯ブラシ100の機能的構成)
つぎに、歯垢検出歯ブラシ100の機能的構成について説明する。図3は、歯垢検出歯ブラシ100の機能的構成を示すブロック図である。図3において、歯垢検出歯ブラシ100の機能は、励起光光源113と、受光部301と、第1の強度検出部302と、第2の強度検出部303と、第3の強度検出部304と、判定部305と、記憶部306と、報知部307と、によって実現することができる。
受光部301は、励起光光源113から出射される励起光が照射される検出対象が発する蛍光を受光する。歯垢検出歯ブラシ100は、人間などの生体の歯牙210を検出対象とし、上記のように、励起光光源113は、波長帯域が395nm〜415nmの励起光を出射する。励起光が照射された歯牙210からは、蛍光が生じる。励起光が照射された歯牙210に歯垢が付着している場合、歯垢からも蛍光が生じる。このため、受光部301は、歯牙210から生じる蛍光と、歯牙210に付着している歯垢211から生じる蛍光と、を受光する。
歯垢検出歯ブラシ100の使用などによって歯牙210から剥離された歯垢がセンサヘッド123aに付着している場合、励起光光源113から出射される励起光は、この歯垢にも照射される。そして、センサヘッド123aに付着している歯垢212からも、歯牙210に付着している歯垢211と同様に、励起光が照射されることにより蛍光が生じる。このため、受光部301は、センサヘッド123aに付着している歯垢212から生じる蛍光も受光する。
この実施の形態においては、センサヘッド123aによって、この発明にかかる受光部301を実現することができる。センサヘッド123aにレンズが設けられている場合、このレンズによって、この発明にかかる受光部301を実現することができる。
第1の強度検出部302は、受光部301によって受光された蛍光に含まれる第1の波長帯域の蛍光の強度を検出する。第1の波長帯域は、歯垢の蛍光発光のピークを示す波長帯域であって、具体的には、たとえば635nm付近の波長帯域とすることができる。第1の強度検出部302は、この発明にかかる第1の強度検出手段を実現し、具体的には、第1のプラーク蛍光検出器205や、第1のプラーク蛍光検出器205から出力される信号に基づいて蛍光の強度を算出する制御回路116などによって実現することができる。
第2の強度検出部303は、受光部301によって受光された蛍光に含まれ、第1の波長帯域とは異なる第2の波長帯域の蛍光の強度を検出する。第2の波長帯域は、第1の波長帯域においてピークを示す歯垢の蛍光発光のピークが小さくなる波長帯域であって、具体的には、600nm付近の波長帯域とすることができる。第2の強度検出部303は、この発明にかかる第2の強度検出手段を実現し、具体的には、第2のプラーク蛍光検出器206や、第2のプラーク蛍光検出器206から出力される信号に基づいて蛍光の強度を算出する制御回路116などによって実現することができる。
第3の強度検出部304は、前記受光部301によって受光された蛍光に含まれ、第3の波長帯域の蛍光の強度を検出する。第3の波長帯域は、励起光が照射された検出対象である歯牙210が発する蛍光の波長帯域であって、第1の波長帯域および第2の波長帯域とは異なる。第3の強度検出部304は、この発明にかかる第3の強度検出手段を実現し、具体的には、歯牙蛍光検出器207や、歯牙蛍光検出器207から出力される信号に基づいて蛍光の強度を算出する制御回路116などによって実現することができる。
判定部305は、第1の強度検出部302によって検出された第1の波長帯域の蛍光の強度と、第2の強度検出部303によって検出された第2の波長帯域の蛍光の強度とに基づいて、受光部301が清浄であるか否かを判定する。判定部305は、たとえば、第1の波長帯域の蛍光の強度と第2の波長帯域の蛍光の強度との差分に基づいて、受光部301が清浄であるか否かを判定する。
第1の波長帯域の蛍光の強度と第2の波長帯域の蛍光の強度との差分は、歯垢のピークの頂点と、当該ピークが小さくなる位置との差分を示す。歯垢のピークの頂点が、ピークが小さくなる位置より高い場合は、差分が0より大きくなり、判定用閾値を超えたとして、判定部305は、励起光が照射された位置に歯垢が付着していると判定し、歯垢のピークの頂点が、ピークが小さくなる位置より低い場合は、当該差分が判定できない判定用閾値以下となり、受光部301が清浄であると判定する。ここで、判定用閾値をゼロとして説明したが、判定用閾値は、強度検出部の検出ノイズによって適宜設定する。
また、判定部305は、第3の波長帯域の蛍光の強度に基づいて、センサヘッド123aに歯垢が付着しているか否かを判断する。判定部305は、第3の波長帯域の蛍光の強度が強度判定用閾値以下であって、第1の波長帯域の蛍光の強度と第2の波長帯域の蛍光の強度との差分が0以下(判定用閾値以下)である場合、受光部301が清浄であると判定する。
判定部305は、第3の強度検出部304によって検出された第3の波長帯域の蛍光の強度に基づいて、第3の波長帯域の蛍光の強度が強度判定用閾値以下である場合、センサヘッド123aから出射された励起光が歯牙210に照射されていない、すなわち、センサヘッド123aが歯牙210に当てられていないと判定する。この場合、第3の波長帯域の蛍光の強度が、ゼロあるいは所定の強度判定用閾値未満である場合に、センサヘッド123aが歯牙210に当たっていないと判定する。
判定部305は、センサヘッド123aが歯牙210に当たっていない状態において、検出された第1の波長帯域の蛍光の強度と第2の波長帯域の蛍光の強度との差分を求める。差分が0以下(判定用閾値以下)である場合、受光部301が清浄であると判定する。一方、判定部305は、センサヘッド123aが歯牙210に当たっていない状態において検出された第1の波長帯域の蛍光の強度と第2の波長帯域の蛍光の強度との差分が、0より大きい(判定用閾値より大きい)場合には、受光部301が清浄ではなく受光部301に歯垢が付着していると判定する。このように、センサヘッド123aが歯牙210に当たっていない状態において、歯垢の有無を判定することにより、受光部301が清浄であるか否かを確実に判定することができる。
記憶部306は、判定部305が、センサヘッド123aが歯牙210に当たっていない状態であるにもかかわらず、センサヘッド123aに歯垢が付着していると判定した場合、第1の波長帯域の蛍光の強度と第2の波長帯域の蛍光の強度との差分を算出して記憶する。記憶部306は、この発明にかかる記憶手段を実現し、具体的には、制御回路116を実現するマイクロコンピュータが備えるメモリによって実現することができる。
判定部305は、第3の波長帯域の蛍光の強度が強度判定用閾値より高い場合、センサヘッド123aが歯牙210に当たっていると判定し、第1の波長帯域の蛍光の強度から第2の波長帯域の蛍光の強度を差し引いた判定対象値と記憶部306に記憶された差分との比較に基づいて、検出対象が清浄であるか否かを判定する。
具体的には、判定部305は、判定対象値が記憶部306によって記憶された差分以下である場合に歯牙210が清浄であると判定し、判定対象値が記憶部306によって記憶された差分より大きい場合に歯牙210が清浄ではなく歯垢が付着していると判定する。このように、センサヘッド123aに歯垢が付着しているために記憶部306に差分が記憶されている場合、センサヘッド123aに付着している歯垢212による影響を除外することにより、実際に歯牙210に付着している歯垢の有無の判定を正しく行なうことができる。
報知部307は、判定部305による判定結果を報知する。報知部307は、この発明にかかる報知手段を実現し、具体的には、報知装置117や、報知装置117に対して報知信号を出力する制御回路116などによって実現することができる。
(歯垢の判定例)
つぎに、歯垢検出歯ブラシ100による歯垢の判定例について説明する。図4〜図9は、歯垢検出歯ブラシ100による歯垢の判定対象となる状態および歯垢の判定例を示すグラフである。図4においては、センサヘッド123aを歯牙210に当てていない状態であり、かつ、センサヘッド123aに歯垢が付着していない状態を示している。
この状態では、図4(a)に示すように、センサヘッド123aから出射される励起光がいずれにも照射されない。このため、歯牙210の蛍光、第1の波長帯域(波長λ1付近)の蛍光および第2の波長帯域(波長λ2付近)の蛍光のいずれの蛍光も検出されない。したがって、歯垢の判定にかかる第1のプラーク蛍光検出器205および第2のプラーク蛍光検出器206の検出結果を示すグラフは、図4(b)に示すように平坦な形状を示す。
図5においては、歯垢が付着していないセンサヘッド123aを、歯垢が付着していない歯牙210に当てた状態を示している。この状態では、図5(a)に示すように、センサヘッド123aから出射される励起光は、歯牙210にのみ照射される。このため、歯牙210の蛍光のみが検出され、歯垢が発する第1の波長帯域(波長λ1付近)における蛍光強度や第2の波長帯域(波長λ2付近)における蛍光強度は、ピークが検出されない。したがって、図5(b)に示すように、グラフは、歯牙210の右肩下がりのなだらかな蛍光強度のみを示す。
図6においては、歯垢が付着していないセンサヘッド123aを、歯垢が付着している歯牙210に当てた状態を示している。この状態では、図6(a)に示すように、センサヘッド123aから出射される励起光は、歯牙210および歯牙210に付着している歯垢211に照射される。このため、図6(b)に示すように、蛍光強度のグラフは、図5(b)で図示した歯牙210の蛍光強度に、歯牙210に付着している歯垢211が発する蛍光の強度が重ね合わされた形状を示す。したがって、第1の波長帯域の波長λ1において、蛍光強度でピークが検出され、第2の波長帯域の波長λ2における蛍光強度では、ピークが検出されない。
図7においては、センサヘッド123aに歯垢が付着している、すなわち、センサヘッド123aが汚れている状態を示している。この状態では、図7(a)に示すように、センサヘッド123aから出射される励起光は、センサヘッド123aに付着している歯垢212にのみ照射される。このため、歯牙210の蛍光は検出されず、センサヘッド123aに付着している歯垢212のみの蛍光強度が検出される。したがって、図7(b)に示すように、グラフは、第1の波長帯域における波長λ1で蛍光強度P1の小さいピークが検出され、第2の波長帯域(波長λ2付近)での蛍光強度は、なだらかである。
歯牙210の有無を判定する第3の波長帯域での蛍光強度が強度判定用閾値以下であるにもかかわらず、歯垢が発する第1の波長帯域における波長λ1に蛍光強度のピークが検出される場合、検出された蛍光は、センサヘッド123aに付着している歯垢212に由来するものと判断できる。歯垢検出歯ブラシ100は、このセンサヘッド123aに付着している歯垢212に由来する蛍光の強度の値を算出し、算出した値を上記の差分としてメモリに記憶する。
図7(b)に示す例において、具体的には、センサヘッド123aに付着している歯垢212が発する第1の波長帯域における波長λ1で検出されたピークの蛍光強度P1から、歯垢の蛍光発光ピークが小さくなる第2の波長帯域における波長λ2の蛍光強度P2を差し引くことによって値P3を求め、歯垢検出歯ブラシ100は、値P3をメモリに記憶する。
図8においては、歯垢212が付着しているセンサヘッド123aを、歯垢が付着していない歯牙210に当てた状態を示している。この状態では、図8(a)に示すように、センサヘッド123aから出射される励起光は、歯牙210とセンサヘッド123aに付着している歯垢212に照射される。このため、図8(b)に示すように、蛍光強度のグラフは、図5(b)で図示した歯牙210の蛍光強度に、図7(b)で図示したセンサヘッド123aに付着している歯垢212が発する蛍光強度が重ね合わされた形状を示す。したがって、第1の波長帯域における波長λ1で蛍光強度でピークが検出され、第2の波長帯域(λ2付近)における蛍光強度では、ピークは検出されず、なだらかである。
ここで、図8(b)に示されるグラフにおいて、図7(b)に図示したセンサヘッド123aに付着している歯垢212に由来する蛍光強度を差し引くことで、センサヘッド123aに付着している歯垢212に影響されることなく、歯牙210に付着している歯垢211の有無を判定することができる。
具体的には、第1の波長帯域における波長λ1の蛍光強度のピーク値から、第2の波長帯域における波長λ2の蛍光強度を差し引いた値を判定対象値Pとする。そして、歯垢検出歯ブラシ100は、この判定対象値Pが値P3以下であるか否かを判定することにより、歯牙210が清浄であるか否かを判定する。図8(b)に示す例においては、判定対象値Pが図7(b)に示した値P3以下であるため歯牙210が清浄であると判定する。
図9においては、歯垢212が付着しているセンサヘッド123aを、歯垢が付着している歯牙210に当てた状態を示している。この状態では、図9(a)に示すように、センサヘッド123aから出射される励起光は、歯牙210と、歯牙210に付着している歯垢211と、センサヘッド123aに付着している歯垢212と、に照射される。
このため、図9(b)に示すように、蛍光強度のグラフは、図5(b)に図示した歯牙210の蛍光強度に、図7(b)で図示したセンサヘッド123aに付着している歯垢212が発する蛍光強度および歯牙210に付着している歯垢211が発する蛍光強度が重ね合わされた形状を示す。したがって、第1の波長帯域における波長λ1で、ピークが検出され、第2の波長帯域における波長λ2では、ピークは検出されず、なだらかである。
ここで、図9(b)に示されるグラフにおいて、図7(b)に図示したセンサヘッド123aに付着している歯垢212に由来する蛍光強度を差し引くことで、センサヘッド123aに付着している歯垢212に影響されることなく、歯牙210に付着している歯垢211の有無を判定することができる。
具体的には、第1の波長帯域における波長λ1の蛍光強度から、第2の波長帯域における波長λ2の蛍光強度を差し引いた値を判定対象値Pとして算出する。そして、歯垢検出歯ブラシ100は、この判定対象値Pが値P3以下であるか否かを判定することにより、歯牙210が清浄であるか否かを判定する。図9(b)に示す例においては、判定対象値Pが図7(b)に示した値P3より大きいため、歯牙210が清浄ではなく歯垢が付着していると判定する。
(歯垢検出歯ブラシ100の処理手順)
つぎに、歯垢検出歯ブラシ100の処理手順について説明する。図10は、歯垢検出歯ブラシ100の処理手順を示すフローチャートである。図10のフローチャートに示す処理は、たとえば、歯垢検出歯ブラシ100が充電器から取り外された場合、所定のスイッチ111aが操作された場合、前回の歯垢検出処理から所定時間が経過した場合、などに開始する。
図10のフローチャートにおいて、まず、励起光光源113を点灯する(ステップS1001)。最初に、センサヘッド123aを歯牙に当てないで以降の操作を進める。第1のプラーク蛍光検出器205、第2のプラーク蛍光検出器206、歯牙蛍光検出器207から出力される信号を取得する(ステップS1002)。つぎに、歯牙蛍光検出器207から出力される信号に基づいて、センサヘッド123aが歯牙210に当てられているか否かを判断する(ステップS1003)。
ここで、センサヘッド123aを歯牙に当てていないので、ステップS1003において、センサヘッド123aが歯牙210に当てられていない場合(ステップS1003:No)へと進む。第1のプラーク蛍光検出器205および第2のプラーク蛍光検出器206から出力される信号に基づいて、歯垢が検出されたか否かを判断する(ステップS1004)。ステップS1004において、歯垢が検出されない場合(ステップS1004:No)、再びステップS1001に戻り、次はセンサヘッド123aを歯牙に当てて、操作を進める。ステップS1004において歯垢が検出されない場合、報知装置117に対して、センサヘッド123aに対する歯垢の付着がないことを示す報知信号を出力してもよい。
ステップS1004において、歯垢が検出された場合(ステップS1004:Yes)、ステップS1005へと移行し、センサヘッド123aに付着している歯垢212が発する第1の波長帯域の蛍光の強度P1から第2の波長帯域の蛍光の強度P2を差し引くことによって得られる値P3を算出する(ステップS1005)。
その後、ステップS1006に移行し、値P3が0より大きいか否かを判定する(ステップS1006)。ここで、値P3が0以下(判定用閾値以下)である場合(ステップS1006:No)は、再びステップS1001に戻り、その後はセンサヘッド123aを歯牙に当てて、操作を進める。
一方、ステップS1006において、値P3が0より大きい(判定用閾値より大きい)場合(ステップS1006:Yes)は、ステップS1005において算出された値P3をメモリに記憶する(ステップS1007)。
その後、報知装置117に対して、センサヘッド123aの汚れを示す報知信号を出力して(ステップS1008)、再びステップS1001に戻る。ステップS1008において出力された報知信号を受け付けた報知装置117は、受け付けた報知信号に基づき、あらかじめ設定された所定のパターンでLEDを点灯あるいは点滅するなどしてセンサヘッド123aの汚れを報知する。ただし、このステップS1008は、行なわなくても構わない。
次に、センサヘッド123aを歯牙に当てて操作を行なう。ステップS1003において、センサヘッド123aが歯牙210に当てているので(ステップS1003:Yes)、第1のプラーク蛍光検出器205および第2のプラーク蛍光検出器206から出力される信号に基づいて、歯垢が検出されたか否かを判断する(ステップS1009)。ステップS1009において、歯垢が検出された場合(ステップS1009:Yes)、メモリに値P3が記憶されているか否かを判断する(ステップS1010)。
ステップS1010において、メモリに値P3が記憶されている場合(ステップS1010:Yes)、判定対象値Pを算出する(ステップS1011)。そして、算出された判定対象値Pと、メモリに記憶されている値P3とに基づいて、判定対象値Pが値P3以下であるか否かを判断する(ステップS1012)。
ステップS1012において、判定対象値Pが値P3以下である場合(ステップS1012:Yes)、ステップS1014に移行し、報知装置117に対して、歯牙210が清浄であることを示す報知信号を出力して一連の処理を終了する。一方、ステップS1012において、判定対象値Pが値P3より大きい場合(ステップS1012:No)、報知装置117に対して、歯牙210の汚れを示す報知信号を出力して(ステップS1013)、一連の処理を終了する。ステップS1013において出力された報知信号を受け付けた報知装置117は、受け付けた報知信号に基づき、あらかじめ設定された所定のパターンでLEDを点灯あるいは点滅するなどして歯牙210の汚れを報知する。
ステップS1009において、歯垢が検出されない場合(ステップS1009:No)、報知装置117に対して、歯牙210が清浄であることを示す報知信号を出力して(ステップS1014)、一連の処理を終了する。ステップS1014において出力された報知信号を受け付けた報知装置117は、受け付けた報知信号に基づき、あらかじめ設定された所定のパターンでLEDを点灯あるいは点滅するなどして歯牙210が清浄であることを報知する。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の判定装置を備える歯垢検出歯ブラシ100は、センサヘッド123aによって受光された蛍光に含まれる第1の波長帯域の蛍光の強度を検出するとともに第2の波長帯域の蛍光の強度を検出する。そして、第1の波長帯域の蛍光の強度と第2の波長帯域の蛍光の強度とに基づいて、センサヘッド123aが清浄であるか否かを判定するようにしたことを特徴としている。
また、歯垢検出歯ブラシ100は、センサヘッド123aによって受光された蛍光に含まれる第3の波長帯域の蛍光の強度を検出し、第3の波長帯域の蛍光の強度が強度判定用閾値以下であって、第1の波長帯域の蛍光の強度と第2の波長帯域の蛍光の強度との差分が0以下(判定用閾値以下)である場合、センサヘッド123aが清浄であると判定することを特徴としている。
また、歯垢検出歯ブラシ100は、第3の波長帯域の蛍光の強度が強度判定用の閾値以下であって、第1の波長帯域の蛍光の強度と第2の波長帯域の蛍光の強度との差分が0より大きい(判定用閾値より大きい)場合、当該差分をメモリに記憶することを特徴としている。
また、歯垢検出歯ブラシ100は、第3の波長帯域の蛍光の強度が強度判定用閾値より高い場合、第1の波長帯域の蛍光の強度から第2の波長帯域の蛍光の強度を差し引いた判定対象値に基づいて、歯牙210が清浄であるか否かを判定することを特徴としている。
また、歯垢検出歯ブラシ100は、判定対象値がメモリに記憶された差分以下である場合に検出対象が清浄であると判定し、判定対象値がメモリに記憶された差分より大きい場合に歯牙210が清浄ではなく歯垢が付着していると判定することを特徴としている。
また、歯垢検出歯ブラシ100は、判定結果を報知する報知装置117を備えたことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の判定装置を備える歯垢検出歯ブラシ100によれば、センサヘッド123aに歯垢が付着していることを判定することができる。また、歯垢検出歯ブラシ100によれば、センサヘッド123aに歯垢が付着していると判定した場合は、センサヘッド123aに歯垢が付着していることを加味して、歯牙210に歯垢が付着しているか否かを判定することができる。
これにより、センサヘッド123aに付着した歯垢を、誤って、歯牙210に付着している歯垢211であると判定することをなくし、歯牙210における歯垢の付着の有無を高精度に判定することができる。また、センサヘッド123aに歯垢が付着していても、センサヘッド123aに付着した歯垢による蛍光強度を差し引いて歯牙210における歯垢の付着の有無を判定することにより、歯牙210における歯垢の付着の有無を高精度に判定することができる。
センサヘッド123aは、精密な部品であり、歯垢が付着してもこの歯垢を擦ったり削ったりして除去することは好ましくない。これに対し、歯垢検出歯ブラシ100によれば、センサヘッド123aに歯垢が付着していても歯牙210における歯垢の付着の有無を高精度に判定することができるため、センサヘッド123aを損傷するおそれがなく、利用者に対して検出精度の高い歯垢検出歯ブラシ100を長期にわたって使用させることができる。