以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下では、作業機の先端のアタッチメントとしてバケット10を備える油圧ショベルを例示するが、バケット以外のアタッチメントを備える油圧ショベルで本発明を適用しても構わない。さらに、複数の被駆動部材(アタッチメント、アーム、ブーム等)を連結して構成され、所定の動作平面上で動作する多関節型の作業機を有するものであれば油圧ショベル以外の作業機械への適用も可能である。
また、本稿では、或る形状を示す用語(例えば、目標面、設計面等)とともに用いられる「上」、「上方」又は「下方」という語の意味に関し、「上」は当該或る形状の「表面」を意味し、「上方」は当該或る形状の「表面より高い位置」を意味し、「下方」は当該或る形状の「表面より低い位置」を意味することとする。また、以下の説明では、同一の構成要素が複数存在する場合、符号(数字)の末尾にアルファベットを付すことがあるが、当該アルファベットを省略して当該複数の構成要素をまとめて表記することがある。例えば、3つのポンプ300a、300b、300cが存在するとき、これらをまとめてポンプ300と表記することがある。
<基本構成>
図1は本発明の実施形態に係る油圧ショベルの構成図であり、図2は本発明の実施形態に係る油圧ショベルの制御コントローラを油圧駆動装置と共に示す図であり、図3は図2中のフロント制御用油圧ユニット160の詳細図である。
図1において、油圧ショベル1は、多関節型のフロント作業機1Aと車体1Bで構成されている。車体1Bは、左右の走行モータ3a,3bにより走行する下部走行体11と、下部走行体11の上に旋回可能に取り付けられた上部旋回体12とからなる。フロント作業機1Aは、垂直方向にそれぞれ回動する複数の被駆動部材(ブーム8、アーム9及びバケット10)を連結して構成されており、フロント作業機1Aのブーム8の基端は上部旋回体12の前部に支持されている。
上部旋回体12に搭載された原動機であるエンジン18は、油圧ポンプ2とパイロットポンプ48を駆動する。油圧ポンプ2はレギュレータ2aによって容量が制御される可変容量型ポンプであり、パイロットポンプ48は固定容量型ポンプである。本実施形態においては、パイロットライン144,145,146,147,148,149の途中にシャトルブロック162が設けられている。操作装置45,46,47から出力された油圧信号が、このシャトルブロック162を介してレギュレータ2aにも入力される。シャトルブロック162の詳細構成は省略するが、油圧信号がシャトルブロック162を介してレギュレータ2aに入力されており、油圧ポンプ2の吐出流量が当該油圧信号に応じて制御される。
パイロットポンプ48の吐出配管であるポンプライン148aはロック弁39を通った後、複数に分岐して操作装置45,46,47及びフロント制御用油圧ユニット160内の各弁に接続している。ロック弁39は本例では電磁切換弁であり、その電磁駆動部は運転室(図1)に配置されたゲートロックレバー(不図示)の位置検出器と電気的に接続している。ゲートロックレバーのポジションは位置検出器で検出され、その位置検出器からロック弁39に対してゲートロックレバーのポジションに応じた信号が入力される。ゲートロックレバーのポジションがロック位置にあればロック弁39が閉じてポンプライン148aが遮断され、ロック解除位置にあればロック弁39が開いてポンプライン148aが開通する。つまり、ポンプライン148aが遮断された状態では操作装置45,46,47による操作が無効化され、旋回や掘削等の動作が禁止される。
ブーム8、アーム9、バケット10及び上部旋回体12はブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7及び旋回油圧モータ4(油圧アクチュエータ)によりそれぞれ駆動される被駆動部材を構成する。これら被駆動部材8,9,10,12への動作指示は、上部旋回体12上の運転室内に搭載された走行右レバー23a、走行左レバー23b、操作右レバー1aおよび操作左レバー1b(これらを操作レバー1、23と総称することがある)のオペレータによる操作に応じて出力される。
運転室内には、走行右レバー23aを有する操作装置47aと、走行左レバー23bを有する操作装置47bと、操作右レバー1aを共有する操作装置45a、46aと、操作左レバー1bを共有する操作装置45b、46bが設置されている。操作装置45,46,47は、油圧パイロット方式であり、パイロットポンプから吐出される圧油をもとに、それぞれオペレータにより操作される操作レバー1、23の操作量(例えば、レバーストローク)と操作方向に応じたパイロット圧(操作圧と称することがある)を発生する。このように発生したパイロット圧は、コントロールバルブユニット20内の対応する流量制御弁15a〜15f(図2参照)の油圧駆動部150a〜155bにパイロットライン144a〜149b(図2参照)を介して供給され、これら流量制御弁15a〜15fを駆動する制御信号として利用される。
油圧ポンプ2から吐出された圧油は、流量制御弁15a、15b、15c、15d、15e、15f(図2参照)を介して走行右油圧モータ3a、走行左油圧モータ3b、旋回油圧モータ4、ブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7に供給される。供給された圧油によってブームシリンダ5、アームシリンダ6、バケットシリンダ7が伸縮することで、ブーム8、アーム9、バケット10がそれぞれ回動し、バケット10の位置及び姿勢が変化する。また、供給された圧油によって旋回油圧モータ4が回転することで、下部走行体11に対して上部旋回体12が旋回する。さらに、供給された圧油によって走行右油圧モータ3a、走行左油圧モータ3bが回転することで、下部走行体11が走行する。
一方、ブーム8、アーム9、バケット10の回動角度α、β、γ(図5参照)を測定可能なように、ブームピンにブーム角度センサ30、アームピンにアーム角度センサ31、バケットリンク13にバケット角度センサ32が取付けられ、上部旋回体12には基準面(例えば水平面)に対する上部旋回体12(車体1B)の前後方向の傾斜角θ(図5参照)を検出する車体傾斜角センサ33が取付けられている。
本実施形態の油圧ショベルには、オペレータの掘削操作を補助する制御システムが備えられている。具体的には、操作装置45b,46aを介して掘削操作(具体的には、アームクラウド、バケットクラウド及びバケットダンプの少なくとも1つの指示)が入力された場合、目標面60(図5参照)と作業機1Aの先端(本実施形態ではバケット10の爪先とする)の位置関係を基に、作業機1Aの先端の位置が目標面60上及びその上方の領域内に保持されるように油圧アクチュエータ5,6,7のうち少なくとも1つを強制的に動作させる制御信号(例えば、ブームシリンダ5を伸ばして強制的にブーム上げ動作を行う)を該当する流量制御弁15a,15b,15cに出力する掘削制御システムが備えられている。本稿ではこの制御を「領域制限制御」または「マシンコントロール」と称することがある。この制御によりバケット10の爪先が目標面60の下方への侵入が防止されるので、オペレータの技量の程度に関わらず目標面60に沿った掘削が可能となる。本実施形態では、領域制限制御に係る制御点を、油圧ショベルのバケット10の爪先(作業機1Aの先端)に設定している。制御点は作業機1Aの先端部分の点であればバケット爪先以外にも変更可能である。例えば、バケット10の底面や、バケットリンク13の最外部も選択可能である。
<スイッチ17,371,393、表示装置53A、音声出力装置53B>
領域制限制御の実行が可能な掘削制御システムは、目標面60と作業機1Aの位置関係が表示可能な表示装置(例えば液晶ディスプレイ)53Aと、操作レバー1a(操作装置)に設けられ、マシンコントロールの有効及び無効を切り替え可能なマシンコントロール状態変更要求スイッチ(第1スイッチ)17と、運転室内に設置され、マシンコントロールの許可及び禁止を択一的に選択可能なマシンコントロール切替スイッチ(第2スイッチ)371と、マシンコントロールの有効無効状態が変更になるタイミングで音声が出力可能な音声出力装置(例えばスピーカ)53Bと、マシンコントロール状態変更要求スイッチ17によってマシンコントロールの有効無効状態が変更になるタイミングで音声出力装置53Bが音を発生するか否かを選択可能な音声通達選択スイッチ(第3スイッチ)393と、領域制限制御が実行可能なコンピュータである制御コントローラ(制御装置)40とを備えている。
図10はマシンコントロール状態変更要求スイッチ(第1スイッチ)17を備えた操作レバー1aの構成図である。マシンコントロール状態変更要求スイッチ17は、ジョイスティック形状の操作レバー1aにおける把持部の背面側に設けられており、例えば操作レバー1aを握るオペレータの人差し指により押下される。マシンコントロール状態変更要求スイッチ17は、押下されている間だけ信号を出力するモーメンタリスイッチであり、その信号の立ち上がりタイミングにおいて「マシンコントロール状態変更要求フラグ」を制御コントローラ40(制御切替判定部373)へ制御1周期分だけ出力する。
図11はマシンコントロール切替スイッチ(第2スイッチ)371の構成図である。マシンコントロール切替スイッチ371はシーソースイッチであり、マシンコントロール(MC)−ON(許可)か、マシンコントロール(MC)−OFF(禁止)のいずれかが選択可能である。マシンコントロール切替スイッチ371は運転室内に備えることができ、例えば、運転室内の運転席の側面にあるアームレストの下部のスイッチパネルに設置できる。スイッチ371はシーソースイッチである必要性は無く、2位置を切り替え可能なものであれば他のものでも構わない。
音声通達選択スイッチ(第3スイッチ)393は、マシンコントロールの有効無効状態が変更になるタイミングで音声出力装置53Bにより音を発生する位置(音声ON位置)と、同タイミングで音声出力装置53Bにより音を発生しない位置(音声OFF位置)のいずれかに切り替え可能である。音声通達選択スイッチ(第3スイッチ)393は、運転室内に備えることができる。音声通達選択スイッチ(第3スイッチ)393はハードウェアとして設置しても良いが、表示装置53Aのメニュー画面から表示装置用の入力装置を介して音声ON位置とOFF位置を切換可能にする等しても良い。
<フロント制御用油圧ユニット160>
図3に示すように、フロント制御用油圧ユニット160は、ブーム8用の操作装置45aのパイロットライン144a、144bに設けられ、操作レバー1aの操作量としてパイロット圧(第1制御信号)を検出する圧力センサ70a、70b(図3参照)と、一次ポート側がポンプライン148aを介してパイロットポンプ48に接続されパイロットポンプ48からのパイロット圧を減圧して出力する電磁比例弁54a(図3参照)と、ブーム8用の操作装置45aのパイロットライン144aと電磁比例弁54aの二次ポート側に接続され、パイロットライン144a内のパイロット圧と電磁比例弁54aから出力される制御圧(第2制御信号)の高圧側を選択し、流量制御弁15aの油圧駆動部150aに導くシャトル弁82a(図3参照)と、ブーム8用の操作装置45aのパイロットライン144bに設置され、制御コントローラ40からの制御信号を基にパイロットライン144b内のパイロット圧(第1制御信号)を低減して出力する電磁比例弁54b(図3参照)を備えている。
また、フロント制御用油圧ユニット160は、アーム9用のパイロットライン145a、145bに設置され、操作レバー1bの操作量としてパイロット圧(第1制御信号)を検出して制御コントローラ40に出力する圧力センサ71a、71b(図3参照)と、パイロットライン145bに設置され、制御コントローラ40からの制御信号を基にパイロット圧(第1制御信号)を低減して出力する電磁比例弁55b(図3参照)と、パイロットライン145aに設置され、制御コントローラ40からの制御信号を基にパイロットライン145a内のパイロット圧(第1制御信号)を低減して出力する電磁比例弁55a(図3参照)が設けられている。
また、フロント制御用油圧ユニット160は、バケット10用のパイロットライン146a、146bには、操作レバー1aの操作量としてパイロット圧(第1制御信号)を検出して制御コントローラ40に出力する圧力センサ72a、72b(図3参照)と、制御コントローラ40からの制御信号を基にパイロット圧(第1制御信号)を低減して出力する電磁比例弁56a、56b(図3参照)と、一次ポート側がパイロットポンプ48に接続されパイロットポンプ48からのパイロット圧を減圧して出力する電磁比例弁56c,56d(図3参照)と、パイロットライン146a、146b内のパイロット圧と電磁比例弁56c,56dから出力される制御圧の高圧側を選択し、流量制御弁15cの油圧駆動部152a,152bに導くシャトル弁83a,83b(図3参照)とがそれぞれ設けられている。なお、図3では、圧力センサ70、71、72と制御コントローラ40との接続線は紙面の都合上省略している。
電磁比例弁54b,55a,55b,56a,56bは、非通電時には開度が最大で、制御コントローラ40からの制御信号である電流を増大させるほど開度は小さくなる。一方、電磁比例弁54a,56c,56dは、非通電時には開度をゼロ、通電時に開度を有し、制御コントローラ40からの電流(制御信号)を増大させるほど開度は大きくなる。このように各電磁比例弁の開度54,55,56は制御コントローラ40からの制御信号に応じたものとなる。
フロント制御用油圧ユニット160の内部のパイロット配管148aにおける電磁比例弁54a,56c,56dの上流には、電磁遮断弁61が備えられている。電磁遮断弁61は非通電時には開度をゼロ、通電時には開度を全開にする。マシンコントロールを実行するときには、制御コントローラ40からの制御指令により電磁遮断弁61は通電し、マシンコントロールを実行しないときには、制御コントローラ40からの制御指令により電磁遮断弁61は非通電となる。
上記のように構成されるフロント制御用油圧ユニット160において、制御コントローラ40から制御信号を出力して電磁遮断弁61が全開の状態で電磁比例弁54a,56c,56dを駆動すると、操作装置45a,46aのオペレータ操作が無い場合にもパイロット圧(第2制御信号)を発生できるので、ブーム上げ動作、ブーム下げ動作、アームクラウド動作、バケットクラウド動作又はバケットダンプ動作を強制的に発生できる。また、これと同様に制御コントローラ40により電磁比例弁54b,55a,55b,56a,56bを駆動すると、操作装置45a,45b,46aのオペレータ操作により発生したパイロット圧(第1制御信号)を減じたパイロット圧(第2制御信号)を発生することができ、ブーム下げ動作、アームクラウド/ダンプ動作、バケットクラウド/ダンプ動作の速度をオペレータ操作よりも強制的に低減できる。
本稿では、流量制御弁15a〜15cに対する制御信号のうち、操作装置45a,45b,46aの操作によって発生したパイロット圧を「第1制御信号」と称することがある。そして、流量制御弁15a〜15cに対する制御信号のうち、制御コントローラ40で電磁比例弁54b,55a,55b,56a,56bを駆動して第1制御信号を補正(低減)して生成したパイロット圧と、制御コントローラ40で電磁比例弁54b,55a,55b,56a,56bを駆動して第1制御信号とは別に新たに生成したパイロット圧を「第2制御信号」と称することがある。なお、同一の流量制御弁15a〜15cにおける一方の油圧駆動部に対して第1制御信号が、他方の油圧駆動部に対して第2制御信号が生成される場合は、第2制御信号を優先的に油圧駆動部に作用させるものとし、第1制御信号を電磁比例弁で遮断し、第2制御信号を当該他方の油圧駆動部に入力する。このように第1制御信号と第2制御信号を定義すると、上記の「領域制限制御」または「マシンコントロール」は、第2制御信号に基づく流量制御弁15a〜15cの制御ということもできる。
<油温センサ590、回転数センサ490>
図3において、パイロット配管148aにおけるロック弁39の下流かつフロント制御用油圧ユニット160の上流の位置には、パイロットポンプ48でタンクから汲み上げられた作動油の温度を検出する油温センサ590が設けられている。また、図2において、エンジン18の出力軸には、エンジン18の回転数を検出する回転数センサ490が設けられている。
<制御コントローラ40>
図4に、制御コントローラ40のハードウェア構成を示す。制御コントローラ40は、入力部91と、プロセッサである中央処理装置(CPU)92と、記憶装置であるリードオンリーメモリ(ROM)93及びランダムアクセスメモリ(RAM)94と、出力部95とを有している。入力部91は、作業機姿勢検出装置50である角度センサ30〜32及び傾斜角センサ33からの信号と、目標面60を設定するための装置である目標面設定装置51からの信号と、マシンコントロール状態変更要求スイッチ(第1スイッチ)17からの信号と、マシンコントロール切替スイッチ(第2スイッチ)371からの信号と、操作装置45a,45b,46aからの操作量を検出する圧力センサ(圧力センサ70,71,72を含む)であるオペレータ操作検出装置52aからの信号と、音声通達選択スイッチ(第3スイッチ)393からの信号と、回転数センサ490及び油温センサ590の信号を入力し、CPU92が演算可能なように変換を行う。ROM93は、後述するフローチャートに係る処理を含め領域制限制御を実行するための制御プログラムと、当該フローチャートの実行に必要な各種情報等が記憶された記録媒体であり、CPU92は、ROM93に記憶された制御プログラムに従って入力部91及びメモリ93、94から取り入れた信号に対して所定の演算処理を行う。出力部95は、CPU92での演算結果に応じた出力用の信号を作成し、その信号を電磁比例弁54〜56、電磁遮断弁61、表示装置53Aまたは音声出力装置53Bに出力することで、油圧アクチュエータ5〜7を駆動・制御したり、車体1B、バケット10及び目標面60等の画像を表示装置53Aの表示画面上に表示させたり、マシンコントロールの有効無効状態が切り替わるタイミングで音声出力装置53Bを介して音声を出力させたりする。
なお、図4の制御コントローラ40は、記憶装置としてROM93及びRAM94という半導体メモリを備えているが、記憶装置であれば特に代替可能であり、例えばハードディスクドライブ等の磁気記憶装置を備えても良い。
図6は、本発明の実施形態に係る制御コントローラ40の機能ブロック図である。制御コントローラ40は、領域制限制御部43と、電磁弁制御部44と、制御切替判定部373と、通達制御部374を備えている。
領域制限制御部43には、作業機姿勢検出装置50、目標面設定装置51及びオペレータ操作検出装置52aが接続されている。
作業機姿勢検出装置50は、ブーム角度センサ30、アーム角度センサ31、バケット角度センサ32、車体傾斜角センサ33、から構成される。
目標面設定装置51は、目標面60に関する情報(各目標面の位置情報や傾斜角度情報を含む)を入力可能なインターフェースである。目標面設定装置51を介した目標面の入力は、オペレータが手動で行っても、ネットワーク等を介して外部から取り込んでも良い。また、目標面設定装置51にはGNSS受信機等の衛星通信アンテナ(図示せず)が接続されている。グローバル座標系(絶対座標系)上に規定された目標面の3次元データを格納した外部端末とショベルがデータ通信可能な場合には、当該衛星通信アンテナにより特定したショベルのグローバル座標を基にショベル位置に対応する目標面を当該外部端末の3次元データ内で探索して取り込むことができる。
オペレータ操作検出装置52aは、オペレータによる操作レバー1a、1b(操作装置45a,45b,46a)の操作によってパイロットライン144,145,146に生じる操作圧を取得する圧力センサ70a,70b,71a,71b,72a,72bから構成される。すなわち、作業機1Aに係る油圧シリンダ5,6,7に対する操作を検出している。
<制御切替判定部373>
制御切替判定部373は、マシンコントロール状態変更要求スイッチ(第1スイッチ)17、マシンコントロール切替スイッチ(第2スイッチ)371、回転数センサ490及び油温センサ590からの出力に基づいて、マシンコントロール(領域制限制御)の有効無効状態の切り替えを行うか否かを判定する処理を実行する部分である。制御切替判定部373は、判定結果に応じた制御指令を領域制限制御部43及び電磁弁制御部44に出力し、判定結果に応じたフラグ(マシンコントロール状態有効変更フラグ及びマシンコントロール状態無効変更フラグ)を通達制御部374に出力する。制御切替判定部373で行われる処理については図14を用いて後述する。
<通達制御部374>
通達制御部374は、制御切替判定部373から出力されるフラグ(マシンコントロール状態有効変更フラグ及びマシンコントロール状態無効変更フラグ)と、音声通達選択スイッチ(第3スイッチ)393からの出力に基づいて、表示装置53A及び音声出力装置53Bを制御する部分である。通達制御部374は、音声出力装置53Bの制御を司る音声制御部374bと、表示装置53Aの制御を司る表示制御部374aを備えている。
音声制御部374bには、音声データが多数格納されている音声ROMが備えられており、音声制御部374bが、制御切替判定部373からフラグ及びスイッチ393からの出力に基づいて所定のプログラムを読み出すとともに、音声出力装置53Bにおける音声出力制御をする。音声制御部374bで行われる処理については図15を用いて後述する。
表示制御部374aには、アイコンを含む表示関連データが多数格納されている表示ROMが備えられており、表示制御部374aが、制御切替判定部373からのフラグに基づいて所定のプログラムを読み出すとともに、表示装置53Aにおける表示制御をする。具体的には、制御切替判定部373からマシンコントロール状態有効変更フラグが入力された場合、表示制御部374aは、図12に示すように表示画面391上にマシンコントロール状態が有効であることを示すアイコン394を表示する。一方、制御切替判定部373からマシンコントロール状態無効変更フラグが入力された場合、表示制御部374aは、図13に示すように表示画面391上でアイコン394を非表示にする。図12及び図13の表示画面391には、目標面60とバケット10の位置関係をオペレータに通知するための、目標面60の縦断面図(バケット10の側面図)と、バケット10の爪先位置における目標面60の横断面図が表示されている。なお、図12及び図13の表示に代えて、マシンコントロール状態が無効であることを示すアイコン(図示せず)を図13の画面391に表示し、当該アイコンを図12の画面391では非表示にしても良い。
<制御切替判定部373で行われる処理>
図14は、制御切替判定部373で行われる一連の処理のフローチャートであり、このフローチャートは、油圧ショベルの電源がONの間、所定の制御周期で繰り返される。図14のフローチャートが開始されると、制御切替判定部373は、まずステップS01にて、マシンコントロール切替スイッチ(第2スイッチ)371がON状態(図11の「MC−ON」の位置に切り替えられている状態)であるか否かを判定する。ON状態である場合、ステップS02に進む。
ステップS02では、マシンコントロール状態変更要求スイッチ(第1スイッチ)17からマシンコントロール状態変更フラグが入力されているか否かを判定する。マシンコントロール状態変更フラグが入力されていると判定された場合にはステップS03に進む。
ステップS03では、制御切替判定部373に備えられた状態ROM内に格納された現在のマシンコントロール状態が有効又は無効であるかを示す情報を読み出し、現時点のマシンコントロール状態が有効か無効であるかを判定する。なお、状態ROMにおける当該情報の初期値(ショベル電源ON時の値と、マシンコントロール切替スイッチ371の位置がMC−OFF時の値)は「無効」とし、以降は後述のステップS06及びS10にて書き換えられる。
ステップS03でマシンコントロール状態が無効であると判定された場合、ステップS04に進む。ステップS04では、回転数センサ490からの入力値を基にエンジン回転数が所定値N1以上であるか否かを判定する。
所定値N1について説明する。図7に示す領域制限制御部43の機能からも明らかであるが、マシンコントロールでは、パイロット圧(オペレータによる操作量)からオペレータ操作によるシリンダ速度を算出し(主に図7のシリンダ速度演算部43dの処理)、それを基に算出したマシンコントロールによる目標シリンダ速度から目標パイロット圧を算出する(主に図7の目標パイロット圧演算部43hの処理)。つまり、マシンコントロールでは、パイロット圧とシリンダ速度の相関関係が利用されるが、両者の関係は油圧ポンプ2の吐出流量に影響するエンジン回転数に依存し変動する。そこで、所定値N1は、その変動によりマシンコントロールの精度や応答性が影響を受けない程度の値に設定する。例えば、所定値N1の値は、マシンコントロールで利用するポンプ吐出流量の設計値を考慮し、当該設計値が達成可能なエンジン回転数の最小値またはそれ以上の任意の値をN1として利用できる。
ステップS04でエンジン回転数が所定値N1以上であると判定された場合、ステップS05に進む。ステップS05では、油温センサ590からの入力値を基に作動油温が所定値T1以上であるか否かを判定する。
所定値T1について説明する。既述の通りマシンコントロールではパイロット圧とシリンダ速度の相関関係が利用されるが、両者の関係は油圧ポンプ2の吐出流量やパイロット圧の応答性に影響する作動油粘度にも依存し変動する。そこで、その変動によりマシンコントロールの精度が影響を受けない程度の作動油粘度の値を作動油温で表し、その作動油温の最小値またはそれ以上の任意の値を所定値T1とする。
ステップS05で作動油温が所定値T1以上であると判定された場合、ステップS06に進む。ステップS06では、制御切替判定部373は、状態ROM内のマシンコントロール状態を無効から「有効」に書き換え、現在のマシンコントロール状態が有効であることを領域制限制御部43に出力し、ステップS07に進む。ステップS07では、制御切替判定部373は「マシンコントロール状態有効変更フラグ」を通達制御部374へ出力する。
一方、ステップS01でマシンコントロール切替スイッチ371がON状態ではない(図11の「MC−OFF」の位置に切り替えられている状態)と判定された場合には、何もせず(ステップS08)、ステップS01に戻る。
ステップS02で、マシンコントロール状態変更要求フラグが入力されていないと判定された場合には、ステップS09に進み、現在のマシンコントロール状態を維持し、ステップS01に戻る。また、ステップS04でエンジン回転数が所定値N1以上ではないと判定された場合、及びステップS05で油温が所定値T1以上ではないと判定された場合にも、ステップS09に進み、現在のマシンコントロール状態を維持する。
ステップS03で現在の状態がマシンコントロール有効と判定された場合には、ステップS10に進む。ステップS10では、制御切替判定部373は、状態ROM内のマシンコントロール状態を有効から「無効」に書き換える。そして、制御切替判定部373は、領域制限制御部43に対して、目標シリンダ速度演算部43gがシリンダ速度演算部43dの演算結果を目標パイロット圧演算部43hに出力するように指令を出す。さらに、制御切替判定部373は、電磁弁制御部44に対して電磁遮断弁61の開度をゼロにするように指令を出して、ステップS11に進む。ステップ11では、制御切替判定部373は「マシンコントロール状態無効変更フラグ」を通達制御部374へ出力し、ステップS01に戻る。
<通達制御部374で行われる処理>
図15は、通達制御部374で行われる一連の処理のフローチャートであり、このフローチャートは、油圧ショベルの電源がONの間、所定の制御周期で繰り返される。図15のフローチャートが開始されると、通達制御部374は、まずステップSA01で、音声通達選択スイッチ(第3スイッチ)393が、マシンコントロールの有効無効状態が変更になるタイミングで音声出力装置53Bにより音を発生する位置(音声ON位置)に切り替えられているか否かを判定する。スイッチ393が音声ON位置にある場合には、ステップSA02に進む。
ステップSA02では、図14のステップS07で出力される「マシンコントロール状態有効変更フラグ」が制御切替判定部373から入力されているか否かを判定する。このフラグが入力されていると判定された場合、ステップSA03に進み、音声制御部374bはマシンコントロール状態有効変更を示す信号(音声)を音声出力装置53Bから出力する。その際の信号の一例としては間欠音がある。このように音声出力装置53Bから間欠音を出力することで、マシンコントロール状態が有効に変化したことをオペレータに確実に認識させることができる。ステップSA03が終了したらステップSA01に戻る。
ステップSA02でマシンコントロール状態有効変更フラグが入力されていないと判定された場合は、ステップSA04へ進む。ステップSA04では、図14のステップS11で出力される「マシンコントロール状態無効変更フラグ」が制御切替判定部373から入力されているか否かを判定する。このフラグが入力されていると判定された場合、ステップSA05へ進み、音声制御部374bはマシンコントロール状態無効変更を示す信号(音声)を音声出力装置53Bから出力する。その際の信号の一例としては連続音がある。このように音声出力装置53Bから連続音を出力することで、マシンコントロール状態が無効に変化したことをオペレータに確実に認識させることができる。ステップSA05が終了したらステップSA01に戻る。
ステップSA04でマシンコントロール状態無効変更フラグが入力されていないと判定された場合、及びステップSA01でスイッチ393が音声ON位置にないと判定された場合には、ステップSA06へ進む。ステップSA06では、音声出力装置53Bから何も出力せず、ステップSA01に戻る。
<領域制限制御部43、電磁弁制御部44>
図7は図6中の領域制限制御部43の機能ブロック図である。領域制限制御部43は、操作量演算部43aと、姿勢演算部43bと、目標面演算部43cと、シリンダ速度演算部43dと、バケット先端速度演算部43eと、目標バケット先端速度演算部43fと、目標シリンダ速度演算部43gと、目標パイロット圧演算部43hを備えている。
操作量演算部43aは、オペレータ操作検出装置52aからの入力を基に操作装置45a,45b,46a(操作レバー1a,1b)の操作量を算出する。圧力センサ70,71,72の検出値から操作装置45a,45b,46aの操作量が算出できる。
なお、圧力センサ70,71,72による操作量の算出は一例に過ぎず、例えば各操作装置45a,45b,46aの操作レバーの回転変位を検出する位置センサ(例えば、ロータリーエンコーダ)で当該操作レバーの操作量を検出しても良い。また、操作量から動作速度を算出する構成に代えて、各油圧シリンダ5,6,7の伸縮量を検出するストロークセンサを取り付け、検出した伸縮量の時間変化を基に各シリンダの動作速度を算出する構成も適用可能である。
姿勢演算部43bは作業機姿勢検出装置50からの情報に基づき、作業機1Aの姿勢およびバケット10の爪先の位置を演算する。作業機1Aの姿勢は図5のショベル座標系上に定義できる。図5のショベル座標系は、上部旋回体12に設定された座標系であり、上部旋回体12に回動可能に支持されているブーム8の基底部を原点とし、上部旋回体12における垂直方向にZ軸、水平方向にX軸を設定した。X軸に対するブーム8の傾斜角をブーム角α、ブーム8に対するアーム9の傾斜角をアーム角β、アームに対するバケット爪先の傾斜角をバケット角γとした。水平面(基準面)に対する車体1B(上部旋回体12)の傾斜角を傾斜角θとした。ブーム角αはブーム角度センサ30により、アーム角βはアーム角度センサ31により、バケット角γはバケット角度センサ32により、傾斜角θは車体傾斜角センサ33により検出される。図5中に規定したようにブーム8、アーム9、バケット10の長さをそれぞれL1,L2,L3とすると、ショベル座標系におけるバケット爪先位置の座標および作業機1Aの姿勢はL1,L2,L3,α,β,γで表現できる。
目標面演算部43cは、目標面設定装置51からの情報に基づき目標面60の位置情報を演算し、これをROM93内に記憶する。本実施形態では、図5に示すように、3次元の目標面を作業機1Aが移動する平面(作業機の動作平面)で切断した断面形状を目標面60(2次元の目標面)として利用する。
シリンダ速度演算部43dは、操作量演算部43aで演算された操作量(第1制御信号)を基に各油圧シリンダ5,6,7の動作速度(シリンダ速度)を演算する。各油圧シリンダ5,6,7の動作速度は、操作量演算部43aで演算された操作量と、流量制御弁15a,15b,15cの特性と、各油圧シリンダ5,6,7の断面積と、油圧ポンプ2の容量(傾転角)と回転数を乗じて得られるポンプ流量(吐出量)等から算出できる。
バケット先端速度演算部43eは、シリンダ速度演算部43dで演算された各油圧シリンダ5,6,7の動作速度と、姿勢演算部43bで演算された作業機1Aの姿勢とを基に、オペレータ操作(第1制御信号)によるバケット先端(爪先)の速度ベクトルBを演算する。バケット先端の速度ベクトルBは、目標面演算部43cから入力される目標面60の情報を基に、目標面60に水平な成分bxと垂直な成分byに分解できる。
目標バケット先端速度演算部43fは、バケット先端(爪先)の目標速度ベクトルTを演算する。そのために、目標バケット先端速度演算部43fは、まず、バケット先端から制御対象の目標面60までの距離D(図5参照)と図8のグラフを基にバケット先端の速度ベクトルの目標面60に垂直な成分の制限値ayを算出する。制限値ayの計算は、図8に示すような制限値ayと距離Dとの関係を定義した関数又はテーブル等の形式で制御コントローラ40のROM93に記憶しておき、この関係を適宜読み出して行う。距離Dは、姿勢演算部43bで演算したバケット10の爪先の位置(座標)と、ROM93に記憶された目標面60を含む直線の距離から算出できる。なお、制限値ayと距離Dとの関係は、距離Dの増加とともに制限値ayが単調減少する特性を有することが好ましいが、図8に示したものに限らない。例えば、距離Dが正の所定値以上または負の所定値以下で制限値ayが個別の所定値に保持されるようにしても良いし、制限値ayと距離Dの関係を曲線で定義しても良い。
次に目標バケット先端速度演算部43fは、バケット先端の速度ベクトルBの目標面60に垂直な成分byを取得し、この垂直成分byと制限値ayの正負と絶対値の大小関係を基に、マシンコントロールによるブーム8の動作で発生すべきバケット先端の速度ベクトルCの目標面60に垂直な成分cyを算出するために必要な式を選択する(式の選択過程については図16を用いて後述する)。そして、その選択した式から垂直成分cyを算出し、その垂直成分cyを発生する際にブームに許容される動作から水平成分cxを算出するとともに、速度ベクトルB,Cと制限値ayから目標速度ベクトルTを算出する。以下では、目標速度ベクトルTにおいて目標面60に垂直な成分をty、水平な成分をtxとし、目標ベクトルTの導出過程についても図16を用いて後述する。
目標シリンダ速度演算部43gは、目標バケット先端速度演算部43fで算出された目標速度ベクトルT(tx,ty)を基に各油圧シリンダ5,6,7の目標速度を演算する。本実施形態では、目標速度ベクトルTを、オペレータ操作による速度ベクトルBと、マシンコントロールによる速度ベクトルCの和で定義しているので、ブームシリンダ5の目標速度は速度ベクトルCから演算できる。これにより、バケット先端の目標速度ベクトルTは、各油圧シリンダ5,6,7を目標速度で動作させたときにバケット先端に表れる速度ベクトルの合成値となる。なお、マシンコントロールによる速度ベクトルCの垂直成分cyがゼロの場合、目標シリンダ速度演算部43gは、バケット先端速度演算部43eで算出したバケット先端の速度ベクトルBを基に各油圧シリンダ5,6,7の目標速度を算出する。
制御切替判定部373にてマシンコントロール状態が「有効」の場合には、目標シリンダ速度演算部43gは上記の演算結果を目標パイロット圧演算部43hに出力する。一方、マシンコントロール状態が「無効」の場合には、制御切替判定部373は、領域制限制御部43に対して、目標シリンダ速度演算部43gがシリンダ速度演算部43dの演算結果を目標パイロット圧演算部43hに出力するように指令を出す。さらに、制御切替判定部373は、電磁弁制御部44に対して電磁遮断弁61の開度をゼロにするように指令を出す。
目標パイロット圧演算部43hは、目標シリンダ速度演算部43gで算出された各シリンダ5,6,7の目標速度を基に各油圧シリンダ5,6,7の流量制御弁15a,15b,15cへの目標パイロット圧を演算する。そして、演算した各油圧シリンダ5,6,7の目標パイロット圧を電磁弁制御部44に出力する。
電磁弁制御部44は、目標パイロット圧演算部43hで算出された各流量制御弁15a,15b,15cへの目標パイロット圧を基に、各電磁比例弁54〜56への指令を演算する。さらに、電磁弁制御部44は、制御切替判定部373にてマシンコントロール状態が「無効」の場合、電磁遮断弁61の開度をゼロにする指令を出力して、パイロットポンプ48からロック弁39を経由した圧油がフロント制御用油圧ユニット160に流入しないようにする。そして、非通電時に開度が全開となる電磁比例弁54b,55a,55b,56a,56bに対しては、非通電を保持して開度を全開する指令を出力し、これによりオペレータ操作によるパイロット圧に介入しないようにする。さらに、非通電時に開度がゼロとなる電磁比例弁54b,55a,55b,56a,56bに対しては、非通電を保持して開度をゼロとする指令を出力し、これによりオペレータ操作なしにフロント作業機1Aが動作しないようにする。一方、制御切替判定部373にてマシンコントロール状態が「有効」の場合には、電磁遮断弁61の開度を全開にする指令を出力する。
なお、オペレータ操作に基づくパイロット圧(第1制御信号)と、目標パイロット圧演算部43hで算出された目標パイロット圧が一致する場合には、該当する電磁比例弁54〜56への電流値(指令値)はゼロとなり、該当する電磁比例弁54〜56の動作は行われない。
<マシンコントロールのフローチャート>
図16は制御コントローラ40で実行される領域制限制御(マシンコントロール)のフローチャートである。制御コントローラ40は操作量演算部43aによりオペレータによる操作が検出されたら図16のフローチャートを開始する。
S410では、シリンダ速度演算部43dは、操作量演算部43aで演算された操作量を基に各油圧シリンダ5,6,7の動作速度(シリンダ速度)を演算する。
S420では、バケット先端速度演算部43eは、シリンダ速度演算部43dで演算された各油圧シリンダ5,6,7の動作速度と、姿勢演算部43bで演算された作業機1Aの姿勢とを基に、オペレータ操作によるバケット先端(爪先)の速度ベクトルBを演算する。
S430では、バケット先端速度演算部43eは、姿勢演算部43bで演算したバケット10の爪先の位置(座標)と、ROM93に記憶された目標面60を含む直線の距離から、バケット先端から制御対象の目標面60までの距離D(図5参照)を算出する。そして、距離Dと図8のグラフを基にバケット先端の速度ベクトルの目標面60に垂直な成分の制限値ayを算出する。
S440では、バケット先端速度演算部43eは、S420で算出したオペレータ操作によるバケット先端の速度ベクトルBにおいて、目標面60に垂直な成分byを取得する。
S450では、目標バケット先端速度演算部43fは、S430で算出した制限値ayが0以上か否かを判定する。なお、図16の右上に示したようにxy座標を設定する。当該xy座標では、x軸は目標面60と平行で図中右方向を正とし、y軸は目標面60に垂直で図中上方向を正とする。図16中の凡例では垂直成分by及び制限値ayは負であり、水平成分bx及び水平成分cx及び垂直成分cyは正である。そして、図8から明らかであるが、制限値ayが0のときは距離Dが0、すなわち爪先が目標面60上に位置する場合であり、制限値ayが正のときは距離Dが負、すなわち爪先が目標面60より下方に位置する場合であり、制限値ayが負のときは距離Dが正、すなわち爪先が目標面60より上方に位置する場合である。S450で制限値ayが0以上と判定された場合(すなわち、爪先が目標面60上またはその下方に位置する場合)にはS460に進み、制限値ayが0未満の場合にはS480に進む。
S460では、目標バケット先端速度演算部43fは、オペレータ操作による爪先の速度ベクトルBの垂直成分byが0以上か否かを判定する。byが正の場合は速度ベクトルBの垂直成分byが上向きであることを示し、byが負の場合は速度ベクトルBの垂直成分byが下向きであることを示す。S460で垂直成分byが0以上と判定された場合(すなわち、垂直成分byが上向きの場合)にはS470に進み、垂直成分byが0未満の場合にはS500に進む。
S470では、目標バケット先端速度演算部43fは、制限値ayと垂直成分byの絶対値を比較し、制限値ayの絶対値が垂直成分byの絶対値以上の場合にはS500に進む。一方、制限値ayの絶対値が垂直成分byの絶対値未満の場合にはS530に進む。
S500では、目標バケット先端速度演算部43fは、マシンコントロールによるブーム8の動作で発生すべきバケット先端の速度ベクトルCの目標面60に垂直な成分cyを算出する式として「cy=ay−by」を選択し、その式とS430の制限値ayとS440の垂直成分byを基に垂直成分cyを算出する。そして、算出した垂直成分cyを出力可能な速度ベクトルCを算出し、その水平成分をcxとする(S510)。
S520では、目標速度ベクトルTを算出する。目標速度ベクトルTの目標面60に垂直な成分をty、水平な成分txとすると、それぞれ「ty=by+cy、tx=bx+cx」と表すことができる。これにS500の式(cy=ay−by)を代入すると目標速度ベクトルTは結局「ty=ay、tx=bx+cx」となる。つまり、S520に至った場合の目標速度ベクトルの垂直成分tyは制限値ayに制限され、マシンコントロールによる強制ブーム上げが発動される。
S480では、目標バケット先端速度演算部43fは、オペレータ操作による爪先の速度ベクトルBの垂直成分byが0以上か否かを判定する。S480で垂直成分byが0以上と判定された場合(すなわち、垂直成分byが上向きの場合)にはS530に進み、垂直成分byが0未満の場合にはS490に進む。
S490では、目標バケット先端速度演算部43fは、制限値ayと垂直成分byの絶対値を比較し、制限値ayの絶対値が垂直成分byの絶対値以上の場合にはS530に進む。一方、制限値ayの絶対値が垂直成分byの絶対値未満の場合にはS500に進む。
S530に至った場合、マシンコントロールでブーム8を動作させる必要が無いので、目標バケット先端速度演算部43fは、速度ベクトルCをゼロとする。この場合、目標速度ベクトルTは、S520で利用した式(ty=by+cy、tx=bx+cx)に基づくと「ty=by、tx=bx」となり、オペレータ操作による速度ベクトルBと一致する(S540)。
S550では、目標シリンダ速度演算部43gは、S520またはS540で決定した目標速度ベクトルT(ty,tx)を基に各油圧シリンダ5,6,7の目標速度を演算する。
S560では、目標パイロット圧演算部43hは、S550で算出された各シリンダ5,6,7の目標速度を基に各油圧シリンダ5,6,7の流量制御弁15a,15b,15cへの目標パイロット圧を演算する。
S590では、目標パイロット圧演算部43hは、各油圧シリンダ5,6,7の流量制御弁15a,15b,15cへの目標パイロット圧を電磁弁制御部44に出力する。電磁弁制御部44は、各油圧シリンダ5,6,7の流量制御弁15a,15b,15cに目標パイロット圧が作用するように電磁比例弁54,55,56を制御し、これにより作業機1Aによる掘削が行われる。S590の処理が終了したら、操作量演算部43aでオペレータによるレバー操作が検出されるまで待機する。
上記の構成では、領域制限制御部43によるマシンコントロールに際して、操作装置45a,45b,46aは、複数の流量制御弁15a,15b,15cの少なくとも1つにオペレータの操作に応じた第1制御信号を出力する。制御コントローラ40(制御装置)の目標パイロット圧演算部43h(制御信号演算部)は、操作装置45a,45b,46aが操作されている間、目標面60上またはその上方にバケット10が位置するように複数の油圧アクチュエータ5,6,7の少なくとも1つを動作させる第2制御信号を演算する。そして、制御コントローラ40(制御装置)は、複数の流量制御弁15a,15b,15cのうち第2制御信号が演算された流量制御弁については第2制御信号を基に制御し、第2制御信号が演算されなかった流量制御弁については第1制御信号を基に制御することでマシンコントロールを発動し、目標面60上またはその上方にバケット10が位置するように作業機1Aを動作させる。図16のフローチャートのマシンコントロールによる水平掘削動作の例を図9に示す。例えば、オペレータが操作装置45bを操作して、アーム9の矢印A方向への引き動作によって水平掘削を行う場合には、バケット10の先端が目標面60に侵入しないように電磁比例弁54cが制御され、ブーム8の上げ動作が自動的に行われる。
なお、図16のフローチャートでは強制ブーム上げを行う場合の例を挙げたが、掘削精度向上のため、マシンコントロールにアーム9の速度を必要に応じて減速する制御を加えても良い。また、バケット10の目標面60に対する角度Bが一定値となり、均し作業が容易となるように、電磁比例弁56dを制御してバケット10が自動で矢印C方向に回動する制御を加えても良い。
<作用・効果>
(1)上記の実施形態では、ブーム8、アーム9及びバケット(作業具)10を有する作業機1Aと、作業機1Aを駆動する複数の油圧アクチュエータ5,6,7と、オペレータの操作に応じて作業機1Aの動作を指示する操作装置45a,45b,46aと、操作装置45a,45b,46aが操作されている間、任意に設定された目標面60上またはその上方にバケット10が位置するように、複数の油圧アクチュエータ5,6,7のうち少なくとも1つを制御する領域制限制御部43を有する制御コントローラ40とを備える油圧ショベル1において、操作レバー1aに設けられ、領域制限制御部43による制御(すなわちマシンコントロール)の有効及び無効を切り替え可能なマシンコントロール状態変更要求スイッチ17(第1スイッチ)と、制御コントローラ40による第2制御信号に基づく複数の流量制御弁15a,15b,15cの制御の有効無効状態がマシンコントロール状態変更要求スイッチ17によって切り替わるタイミングで音を発生する音声出力装置53Bとを備えることとした。
作業中のオペレータは、フロント作業機1A、その中でも特にバケット10を注視することが多く、表示装置53Aを見ることは多くない。そのため、マシンコントロール状態を表示装置53Aのみに表示した場合、作業中のオペレータがマシンコントロール状態を正確に把握することは容易ではない。しかし、上記の構成により、音声出力装置53Bを介してオペレータにマシンコントロール状態が変更されたことを通達することで、オペレータは自身のスイッチ17の操作によりマシンコントロール状態が変更されたことを、表示装置53Aを視認することなく確認することができる。そのためオペレータはフロント作業機1Aから視線を外さずに作業を継続することができ、さらなる作業効率の向上が期待できる。
また、上記の実施形態では、操作レバー1aにマシンコントロール状態変更要求スイッチ17が設けられているため、オペレータによる操作レバー1aの操作中に、意図せずしてスイッチ17を操作してしまい、意図しないマシンコントロール状態の変更が生じる可能性がある。その場合でも、上記の構成により、音声出力装置53Bを介してマシンコントロール状態が変更されたことをオペレータに通達することで、オペレータはマシンコントロール状態が変更されたことを把握できるため、意図しないマシンコントロール状態でフロント作業機1Aが動作することを防止できる。
また、上記の構成では、マシンコントロール状態変更要求スイッチ17を操作レバー1aに設けたので、オペレータは、マシンコントロールによる掘削と通常掘削を併用するような作業において、スイッチ17を押下することで容易かつ迅速にマシンコントロールの有効・無効を選択することができる。
(2)また、上記の実施形態では、上記(1)の構成に加えてさらに、領域制限制御部43による第2制御信号に基づく複数の流量制御弁15a,15b,15cの制御の許可及び禁止を択一的に選択可能なマシンコントロール切替スイッチ(第2スイッチ)371を備え、制御コントローラ40は、領域制限制御部43による複数の流量制御弁15a,15b,15cの制御の許可がマシンコントロール切替スイッチ(第2スイッチ)371により選択されている場合、マシンコントロール状態変更要求スイッチ17(第1スイッチ)のスイッチ操作を受け付けることとした。
このようにマシンコントロール切替スイッチ(第2スイッチ)371を設けると、オペレータがマシンコントロールが不要と判断する場合には、マシンコントロール切替スイッチ(第2スイッチ)371を禁止位置(MC−OFF位置)に切り替えておけば、作業中にマシンコントロール状態変更要求スイッチ17(第1スイッチ)を誤って押下してもマシンコントロールが有効になることを防止できる。すなわち、マシンコントロールを有効にするオペレータの意思をより確実にくみ取ることができる。
(3)また、上記の実施形態では、上記(1)又は(2)の構成に加えてさらに、油圧ショベル1に搭載されたエンジン18(原動機)の回転数を検出する回転数センサ490(回転数検出器)と、複数の油圧アクチュエータ5,6,7に供給される作動油の温度を検出する油温センサ590(油温検出器)とを備え、制御コントローラ40は、エンジン18の回転数と作動油の温度の少なくとも一方が所定値(R1,T1)以上である場合、領域制限制御部43による複数の流量制御弁15a,15b,15cの制御を有効するマシンコントロール状態変更要求スイッチ17(第1スイッチ)のスイッチ操作を受け付けることとした。
このように作業機械を構成すると、マシンコントロールを適切に行える車体状態にあるときのみにマシンコントロールを有効にできるので、エンジン回転数不足や油温不足でマシンコントロールの精度や応答性が低下することを防止できる。
(4)また、上記の実施形態では、上記(1)から(3)のいずれか1つの構成に加えてさらに、領域制限制御部43による複数の流量制御弁15a,15b,15cの制御の有効無効状態がマシンコントロール状態変更要求スイッチ17(第1スイッチ)によって変更になるタイミングで音声出力装置53Bが音を発生するか否かを選択可能な音声通達選択スイッチ393をさらに備えることとした。
このように作業機械を構成すると、スイッチ17の押下の度に音声通知があることをオペレータが煩わしく感じる場合には、その音声通知機能を無効化することができる。
(5)また、上記の実施形態では、上記(1)から(4)のいずれか1つの構成に加えてさらに、領域制限制御部43による複数の流量制御弁15a,15b,15cの制御がマシンコントロール状態変更要求スイッチ17(第1スイッチ)により無効から有効に切り替わった場合と、有効から無効に切り替わった場合とで、音声出力装置53Bが異なる音声を発生することとした。
このように作業機械を構成すると、マシンコントロール状態が有効と無効のどちらに切り替わったのかをオペレータに容易に認識させることができる。
なお、上記の実施形態では、表示装置53Aの画面上にマシンコントロール状態が有効であると表示されるアイコン394を表示させたので、表示装置53Aを見ればマシンコントロール状態が有効であることをオペレータは容易に認識できる。
<付記>
マシンコントロール状態変更要求スイッチ17は、ショベル操作中のオペレータの手の届く範囲であれば図10に示した以外の場所にも設置可能であり、例えば、他方の操作レバー1bの把持部の背面側や、オペレータの親指で押下されることを想定して操作レバー1a(1b)の先端部に設けても良い。
図14では、マシンコントロールの精度確保の観点からステップS04(エンジン回転数のチェック)とS05(作動油温のチェック)をフローチャートに含めたが、いずれか一方又は両者を省略しても音声出力装置53Bによるマシンコントロール状態の切り替えタイミングの認識機能は損なわれない。また、マシンコントロール切替スイッチ371がON状態ではない場合には、ステップS08に代えて、マシンコントロール状態を無効にする際のステップS10及びS11と同じ処理を行っても良い。
図15におけるステップSA03及びステップSA05で出力する音声は上記の例(間欠音・連続音)に限らず、両ステップSA03,SA05で出力される音声が区別可能なものであればどのようなものでも構わない。
上記の領域制限制御部43(目標パイロット圧演算部43h)は、マシンコントロールに際して、任意に設定された目標面60上またはその上方にバケット10が位置するように油圧アクチュエータ5,6,7の少なくとも1つを動作させる目標パイロット圧(第2制御信号)を演算するように構成したが、これ以外の予め定めた設定(例えば、目標面60上に爪先がある場合のバケット10の角度を所定の値に維持する等)に基づいて作業機1Aが動作するように油圧アクチュエータ5,6,7の少なくとも1つを動作させる目標パイロット圧(第2制御信号)を演算するように構成しても良い。
上記の制御コントローラ40に係る各構成や当該各構成の機能及び実行処理等は、それらの一部又は全部をハードウェア(例えば各機能を実行するロジックを集積回路で設計する等)で実現しても良い。また、上記の制御コントローラ40に係る構成は、演算処理装置(例えばCPU)によって読み出し・実行されることで当該制御コントローラ40の構成に係る各機能が実現されるプログラム(ソフトウェア)としてもよい。当該プログラムに係る情報は、例えば、半導体メモリ(フラッシュメモリ、SSD等)、磁気記憶装置(ハードディスクドライブ等)及び記録媒体(磁気ディスク、光ディスク等)等に記憶することができる。