JP6862514B2 - 圧縮空気貯蔵発電装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧縮空気貯蔵発電装置に関する。
変動する不安定な発電出力を平滑化または平準化するための技術の一つとして、圧縮空気貯蔵(CAES:compressed air energy storage)が知られている。この技術を利用したCAES発電装置では、電力を使用して電動機で圧縮機を駆動することにより圧縮空気を生成する。生成された圧縮空気は一時的に貯蔵され、電力が必要なときに、貯蔵された圧縮空気で膨張機(タービン)を作動させて発電機を駆動することにより発電する。
特許文献1では、CAES発電装置において、圧縮機と膨張機を兼用にした圧縮膨張兼用機を使用したものが開示されている。
特表2013−509529号公報
特許文献1では、圧縮膨張兼用機を使用したCAES発電装置において、充電運転と発電運転の別によらずに広範囲の圧力で定格運転を行う方法について言及されていない。
CAES発電装置には広範囲の定格運転能力が求められる。しかし、圧縮膨張兼用機を使用したCAES発電装置では、充電運転(圧縮運転)の効率が発電運転(膨張運転)の効率よりも高いため、広範囲の定格運転を実現することが難しい。具体的には、1kgの圧縮空気を生成するために必要な電力量(比充電電力量)よりも、1kgの圧縮空気から発電可能な電力量(比発電電力量)の方が一般に少ない(以降、比充電電力量ないし比発電電力量のことを単に比電力量ともいう)。従って、定格運転を実現するためには、従来であれば充電運転と発電運転の別に応じた制御が必要であった。また、運転圧力(貯蔵されている圧縮空気の圧力)によっても比電力量は変化するため、従来であれば広範囲の圧力で定格運転を実行するためには運転圧力に応じた制御も必要であった。
本発明は、圧縮膨張兼用機を使用した圧縮空気貯蔵発電装置において、充電運転と発電運転の別によらずに広範囲の圧力で定格運転を実現することを課題とする。
本発明は、
空気を圧縮する圧縮機としての機能および圧縮空気を膨張させる膨張機としての機能を有する圧縮膨張兼用機と、
前記圧縮膨張兼用機と機械的に接続され、前記圧縮膨張兼用機を駆動する電動機としての機能および前記圧縮膨張兼用機によって駆動される発電機としての機能を有する電動発電兼用機と、
前記圧縮膨張兼用機と流体的に接続され、前記圧縮膨張兼用機により生成された圧縮空気を貯蔵する蓄圧部と、
前記圧縮膨張兼用機と前記電動発電兼用機との間に介設され、以下の式の範囲の変速比Rを有する変速部と、
Figure 0006862514
Umax:前記圧縮膨張兼用機の許容最高回転速度(m/s)又はピストン許容周速(m/s)
Np:前記電動発電兼用機の極数
D:前記圧縮膨張兼用機のロータ外径(m)又はクランク回転径(m)
Rmax:最大変速比

を備える、圧縮空気貯蔵発電装置を提供する。
この構成によれば、圧縮膨張兼用機の許容最高回転速度又はピストン許容周速と、電動発電兼用機の極数と、圧縮膨張兼用機のロータ径又はクランク回転径とに基づいて、圧縮膨張兼用機と電動発電兼用機との間の動力伝達比(変速比R)の範囲を規定している。変速比Rの範囲は、比電力量に影響を与える以下の2点から規定されている。第1に充電運転と発電運転の別であり、第2に蓄圧部の充填率である。これらを考慮して広範囲で定格の充電電力量および発電電力量を確保するためには、圧縮膨張兼用機の回転速度を広範囲に変化できる必要がある。これに対し、変速比Rを上記範囲(0.7Rmax≦R≦Rmax)に規定することで、圧縮膨張兼用機の回転速度を必要な範囲で変化させることができる。これにより、広範な運転範囲で定格の充電電力量および発電電力量を確保できる。即ち、充電運転と発電運転の別によらずに広範囲の圧力で定格運転を実現できる。
前記圧縮空気貯蔵発電装置では、前記電動発電兼用機が発電機として機能する発電運転において、前記蓄圧部の充填率が0%のときの前記圧縮膨張兼用機が最高回転速度又はピストン最高周速で駆動するように設定されてもよい。
この構成によれば、発電運転における蓄圧部の充填率が0%の最も比発電電力量が小さくなる場合に圧縮膨張兼用機が最高回転速度又はピストン最高周速で駆動するように設定されている。ここで、充填率が0%とは、発電限界値であり、即ち、蓄圧部における貯蔵圧力が小さく、これ未満の圧力では発電できないか又は許容される効率未満の発電となる貯蔵圧力の状態をいう。従って、当該状態で圧縮膨張兼用機を最高回転速度又はピストン最高周速で駆動することにより、当該状態で可能な限り多くの発電電力量を確保でき、広範囲の充填率で定格の発電電力量を確保できる。
前記最高回転速度又は前記ピストン最高周速は、前記圧縮膨張兼用機の前記許容最高回転速度又は前記ピストン許容周速であってもよい。
この構成によれば、圧縮膨張兼用機の許容最高回転速度又はピストン許容周速を好適に利用した運転が可能となり、広範囲の充填率での定格運転が可能となる。
前記圧縮空気貯蔵発電装置では、前記電動発電兼用機が電動機として機能する充電運転において、前記蓄圧部の充填率が100%のときの前記圧縮膨張兼用機が最低回転速度又はピストン最低周速で駆動するように設定されてもよい。
この構成によれば、充電運転における蓄圧部の充填率が100%の場合に圧縮膨張兼用機が最低回転速度又はピストン最低周速となるように設定されている。ここで、充填率が100%とは、蓄圧限界値であり、即ち、蓄圧部内の圧力が最大許容圧力に達していることをいう。従って、当該状態で圧縮膨張兼用機の回転速度を最低回転速度又はピストン最低周速に設定することにより、広範囲で定格の充電電力量を確保できる。
前記最低回転速度又は前記ピストン最低周速は、前記圧縮膨張兼用機の前記許容最高回転速度又は前記ピストン許容周速の0.4倍以上であってもよい。
この構成によれば、最低回転速度又はピストン最低周速を許容最高回転速度ピストン許容周速の0.4倍以上に設定している。これにより、圧縮膨張兼用機を運転許容温度内で運転できる。詳細には、圧縮膨張兼用機が圧縮機として動作する際、圧縮膨張兼用機の吸気口(低圧口)と吐出口(高圧口)との圧力差によって、一部の圧縮空気は吐出口(高圧口)から吸気口(低圧口)へ逆流する。この逆流する空気の流量はロータの回転速度又はピストン周速によらずほぼ一定であるため、回転速度又はピストン周速が低いほど、大気から吸気する空気に対して逆流する空気の比率が増加する。よって、圧縮膨張兼用機の内部温度は回転速度又はピストン周速が低いほど高温となり、吐出温度も上昇する。従って、圧縮膨張兼用機の内部温度および吐出温度を運転許容温度内に保つためには、最低回転速度又はピストン最低周速を一定以上に保つ必要がある。例えば、そのような最低回転速度又はピストン最低周速は、上記の通り、許容最高回転速度又はピストン許容周速の0.4倍以上である。
前記圧縮膨張兼用機は、スクリュ型であってもよい。
この構成によれば、スクリュロータの回転速度の調整によって、充電電力量および発電電力量を調整できるため、不規則に変動する要求電力(要求される充電電力または発電電力)に応答性良く追従でき、広範な運転範囲を有するCAES発電装置を提供できる。
本発明によれば、圧縮膨張兼用機を使用した圧縮空気貯蔵発電装置において、充電運転と発電運転の別によらずに広範囲の圧力で定格運転を実現できる。
本発明の実施形態に係るCAES発電装置の概略構成図。 CAES発電装置の運転圧力に対する比電力量を示すグラフ。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1を参照して、CAES発電装置1は、再生可能エネルギーを利用して発電する発電設備2から電力を受けて充電運転を行い、電力需要に合わせて発電運転を行う。即ち、CAES発電装置1は、発電設備2の不規則な出力変動を平準化するとともに、電力需要に応じた電力供給を行う。
本実施形態では、再生可能エネルギーを利用して発電する発電設備2として風力発電設備を例示している。ただし、CAES発電装置1が対象とする再生可能エネルギーの種類は、これに限定されず、太陽光、太陽熱、波力、潮力、流水、または潮汐等の自然の力で定常的ないし反復的に補充され、不規則に変動するエネルギーを利用した発電の全てを対象とし得る。さらに言えば、再生可能エネルギー以外にも不規則に稼働する発電設備を有する工場等のように、発電量が変動するものすべてを対象とし得る。
CAES発電装置1は、圧縮膨張兼用機10と、電動発電兼用機20と、蓄圧部30と、制御装置40とを備える。
圧縮膨張兼用機10は、空気を圧縮する圧縮機としての機能および圧縮空気を膨張させる膨張機としての機能を有する。また、圧縮膨張兼用機10は、低圧口11および高圧口12を有する。圧縮膨張兼用機10は、圧縮機として機能するときには低圧口11から空気を吸気し、内部で空気を圧縮し、高圧口12から圧縮空気を吐出する。圧縮膨張兼用機10は、膨張機として機能するときには高圧口12から圧縮空気を給気され、内部で圧縮空気を膨張し、低圧口11から空気を排気する。
本実施形態では、圧縮膨張兼用機10は、スクリュ型である。スクリュ型の圧縮膨張兼用機10は、内部のスクリュロータの回転速度を制御可能であるため、不規則に変動する要求電力(要求される充電電力または発電電力)に応答性良く追従できる。従って、スクリュ型の圧縮膨張兼用機10は、CAES発電装置1の構成要素として好ましい。また、圧縮と膨張でスクリュロータを兼用とし、圧縮と膨張でスクリュロータの回転方向を互いに逆方向とする構成とすることにより、圧縮膨張兼用機10を簡易に構成できる。ただし、圧縮膨張兼用機10は、スクリュ型に限定されず、回転式または往復式のものであればよい。ここでの回転式は、スクリュ型、遠心型、軸流型、またはスクロール型などの全ての種類のものを含む。往復式は、ピストン式またはダイヤフラム式などの全ての種類のものを含む。
圧縮膨張兼用機10には、変速部21を介して電動発電兼用機20が機械的に接続されている。電動発電兼用機20は、圧縮膨張兼用機10を圧縮機として動作させる電動機(モータ)としての機能および膨張機として動作する圧縮膨張兼用機10によって駆動される発電機としての機能を有する。
電動発電兼用機20には、発電設備2が電気的に接続されている。充電運転においては、電動発電兼用機20は、電動機として機能し、発電設備2からの変動する入力電力によって駆動される。
電動発電兼用機20は、不図示の電力系統にも電気的に接続されている。発電運転においては、電動発電兼用機20は、発電機として機能し、発電した出力電力は当該電力系統に送電される。
電動発電兼用機20の動作は、制御装置40によって制御されている。具体的には、電動発電兼用機20にはインバータ22が電気的に接続されている。インバータ22は、制御装置40によって制御されている。従って、制御装置40は、インバータ22によって電動発電兼用機20の回転速度を制御している。
変速部21は、圧縮膨張兼用機10と電動発電兼用機20との間の回転動力の伝達比(変速比)を変更する。変速部21は、例えば変速ギアであり、大小の歯数の違うギアを噛合させることにより、変速比を変更することができる。本実施形態では、変速部21は、以下の式の範囲の変速比Rを有する。なお、本実施形態では、スクリュ型(回転式の一例)の圧縮膨張兼用機10を使用するため、「回転速度」の用語を使用している。代替的には、ピストン式の圧縮膨張兼用機10を使用する場合、「回転速度」を「ピストン周速」と読み替え、かつ、「ロータ外径」を「クランク回転径」と読み替えることで、以下の説明および式を同様に適用できる。
Figure 0006862514
Umax:圧縮膨張兼用機10の許容最高回転速度(m/s)
Np:電動発電兼用機20の極数
D:圧縮膨張兼用機10のロータ外径(雄側スクリュロータの最外径)(m)
Rmax:最大変速比
上記式の導出に関し、最大変速比Rmaxは当該技術分野において既知のものである。変速比Rの最小値を0.7Rmaxとしているのは以下の理由による。変速比Rを実機において検討すると、例えば、2極の電動発電兼用機20において(すなわちNp=2の場合)、回転速度を88[m/S]〜120[m/S]と設定することにより好適な運転を実現できた。このときの変速比Rは2.8〜3.8であって、最大変速比(3.8)に対する最低変速比(2.8)の割合は0.7である。また、他の極数Npの場合にも変速比Rを最大変速比Rmaxの7割以上に規定することで、好適な運転を実現できることを確認できた。
また、圧縮膨張兼用機10には、三方弁31や逆止弁32を介して蓄圧部30が流体的に接続されている。蓄圧部30は、圧縮空気を蓄える部分である。蓄圧部30は、例えば鋼製のタンクであり得る。蓄圧部30の数は特に限定されず、複数個のタンクが設けられてもよい。また、蓄圧部30は必ずしもタンクの態様でなくてもよい。代替的には、密閉した地下空洞のように圧縮空気を貯蔵できるものであり得る。三方弁31を切り替えることにより、圧縮膨張兼用機10から蓄圧部30に圧縮空気を供給するか、または蓄圧部30から圧縮膨張兼用機10に圧縮空気を供給するかを選択できる。また、三方弁31は、流量調整機能を有してもよい。
蓄圧部30には、圧力センサ33が取り付けられている。圧力センサ33によって、蓄圧部30の内部の圧力を測定可能である。従って、圧力センサ33によって、蓄圧部30の充填率を測定可能である。ここで、測定された圧力データは、制御装置40に送られ、後述する制御に使用される。
圧縮膨張兼用機10と蓄圧部30との間には、熱交換器50が介設されている。熱交換器50には熱媒が供給されており、熱交換器50では熱媒と空気との熱交換が行われる。従って、熱交換器50では、必要に応じて空気が熱媒によって加熱または冷却される。
熱交換器50は、高温熱媒タンク51と低温熱媒タンク52に流体的に接続されている。高温熱媒タンク51は相対的に高温の熱媒を貯蔵するタンクであり、低温熱媒タンク52は相対的に低温の熱媒を貯蔵するタンクである。ここで、熱媒の種類は特に限定されないが、例えば、水または油であり得る。
熱交換器50を介して高温熱媒タンク51と低温熱媒タンク52とを流体的に接続する熱媒流路には、熱媒ポンプ53が配置されている。熱媒ポンプ53によって、高温熱媒タンク51から熱交換器50に高温の熱媒を供給でき、また低温熱媒タンク52から熱交換器50に低温の熱媒を供給できる。熱媒ポンプ53によって熱交換器50に供給される熱媒の流量を調整し、熱交換量を調整してもよい。
上記構成を有するCAES発電装置1の運転動作について説明する。
CAES発電装置1が充電運転を行うときには、発電設備2からの入力電力により電動発電兼用機20を電動機として駆動する。電動機として駆動する電動発電兼用機20から変速部21を介して圧縮膨張兼用機10に回転動力が伝達され、電動発電兼用機20によって圧縮膨張兼用機10が圧縮機として駆動される。従って、充電運転では、圧縮膨張兼用機10は、電力を使用して低圧口11から空気を吸気し、吸気した空気を圧縮し、圧縮空気を高圧口12から吐出する。吐出された圧縮空気は、蓄圧部30に貯蔵される。
充電運転では、熱媒ポンプ53によって、低温熱媒タンク52から熱交換器50に低温の熱媒が供給される。熱交換器50では、低温熱媒タンク52から供給された低温の熱媒と、圧縮熱によって昇温した高温の圧縮空気とが熱交換する。これにより、圧縮空気が冷却され、熱媒が加熱される。従って、圧縮空気は、冷却されて降温した状態で蓄圧部30に送られ貯蔵される。一方で、熱媒は、加熱されて昇温した状態で高温熱媒タンク51に送られ貯蔵される。
CAES発電装置1が発電運転を行うときには、蓄圧部30から圧縮膨張兼用機10の高圧口12に圧縮空気が給気される。給気される圧縮空気により圧縮膨張兼用機10が膨張機として駆動し、圧縮膨張兼用機10から変速部21を介して電動発電兼用機20に回転動力が伝達され、圧縮膨張兼用機10によって電動発電兼用機20が発電機として駆動される。従って、発電運転では、蓄圧部30から高圧口12に圧縮空気を給気し、圧縮膨張兼用機10において圧縮空気を膨張させ、膨張した空気を低圧口11から排気する。
発電運転では、熱媒ポンプ53によって、高温熱媒タンク51から熱交換器50に高温の熱媒が供給される。熱交換器50では、高温熱媒タンク51から熱交換器50に供給された高温の熱媒と、蓄圧部30から供給された圧縮空気とが熱交換する。これにより、圧縮空気が加熱され、熱媒が冷却される。従って、圧縮空気は、加熱されて昇温した状態で圧縮膨張兼用機10に送られ膨張される。一方で、熱媒は、冷却されて降温した状態で低温熱媒タンク52に送られ貯蔵される。
図2は、CAES発電装置の運転圧力に対する比電力量を示すグラフである。図2において、横軸は運転圧力を示し、縦軸は比電力量(比充電電力量または比発電電力量)を示している。圧力Pminは、蓄圧部30の充填率が0%のときの圧力、すなわち、この値未満の圧力の空気では発電できないという圧力の下限値を示している。圧力Pmaxは、蓄圧部30の充填率が100%のときの圧力、すなわち、この値より高い圧力の空気を貯蔵できない圧力の上限値を示している。グラフでは、充電運転における比充電電力量SPCを示す曲線と、発電運転における比発電電力量SPGを示す曲線とが描かれている。また、圧力P0,P1,P2は、圧力Pminから圧力Pmaxの間の圧力を示し、この順に大きくなっている圧力である(Pmin<P0<P1<P2<Pmax)。
図2では、充電運転における各圧力Pmin,P1,P2,Pmaxに対応する圧縮膨張兼用機10の回転速度Rc4,Rc1,Rc2,Rc3が添え字としてそれぞれ示されている。同様に、発電運転における各圧力Pmin,P1,P2,Pmaxに対応する圧縮膨張兼用機10の回転速度Rg1,Rg2,Rg3,Rg4が添え字としてそれぞれ示されている。
図2において、比充電電力量SPCが比発電電力量SPGよりも上方に位置することからわかるように、圧縮膨張兼用機の特性上、充電運転に要する比電力量は、発電運転により生じる比電力量よりも高い。本実施形態では、充電運転における圧縮膨張兼用機10の回転速度Rc1〜Rc4を発電運転における圧縮膨張兼用機10の回転速度Rg1〜Rg4よりも小さく設定している(Rc1〜Rc4<Rg1〜Rg4)。これにより、実際の充電電力量と、実際の発電電力量とをほぼ同程度に揃えている。従って、充電運転と発電運転において同じ充電電力量および発電電力量を確保でき、定格運転を実行できる。
また、図2を参照してわかるように、蓄圧部30の充填率(即ち、図2の横軸の運転圧力)に応じて圧縮膨張兼用機10の比電力量が変化する。本実施形態では、蓄圧部30の貯蔵圧力によらずに一定の充電電力量および発電電力量を得るために、圧縮膨張兼用機10の回転速度を蓄圧部30の貯蔵圧力に応じて変更している。
具体的には、例えば、充電運転において、運転圧力がP1,P2,Pmaxのときの回転速度Rc1,Rc2,Rc3がこの順に小さくなるように設定されている(Rc1>Rc2>Rc3)。即ち、比充電電力量SPCが増えるほど、回転速度が小さくなるように設定している。また、例えば、発電運転において、運転圧力Pmin,P1,P2,Pmax(Pmin<P1<P2<Pmax)のときの圧縮膨張兼用機10の回転速度Rg1,Rg2,Rg3,Rg4がこの順に小さくなるように(Rg1>Rg2>Rg3>Rg4)設定されている。即ち、比発電電力量SPGが増えるほど、回転速度が小さくなるように設定している。これにより、蓄圧部30の貯蔵圧力によらずに同じ充電電力量および発電電力量を確保でき、定格運転を実行できる。
なお、図2は、2段型の圧縮膨張兼用機に関するグラフを示している。グラフでは、比充電電力量SPCは、運転圧力に応じて単純増加するものとなっていない。即ち、圧力が圧力P0未満では、運転圧力が低下するほど、比充電電力量SPCは上昇している。これは、圧力P0が低圧段の設計吐出圧力であることを示している。従って、圧力Pminにおける圧縮膨張兼用機10の回転速度Rc4は、圧力P1における回転速度Rc1よりも低く設定されている(Rc4<Rc1)。ただし、本発明は、単段型または複数段型のいずれにも限定されるものではない。
このように圧縮膨張兼用機10の回転速度の調整によって、圧力Pminから圧力Pmaxまで、充電運転と発電運転の別によらずに、定格運転を行うためには、変速部21が前述の範囲(0.7Rmax≦R≦Rmax)の変速比Rを有することが必要である。これにより、必要な回転速度Rg1〜Rg4およびRc1〜Rc4を実現できる。即ち、本実施形態によれば、圧縮膨張兼用機10の許容最高回転速度Umaxと、電動発電兼用機20の極数Npと、圧縮膨張兼用機10のロータ径Dとに基づいて、圧縮膨張兼用機10と電動発電兼用機20との間の動力伝達比(変速比R)の範囲を規定している。変速比Rの範囲は、比電力量に影響を与える以下の2点から規定されている。第1に充電運転と発電運転の別であり、第2に蓄圧部30の充填率である。これらを考慮して広範囲で定格の充電電力量および発電電力量を確保するためには、圧縮膨張兼用機10の回転速度を広範囲に変化させる必要がある。これに対し、変速比Rを上記範囲(0.7Rmax≦R≦Rmax)に規定することで、圧縮膨張兼用機10の回転速度を広範囲に変化させることができ、広範囲で定格の充電電力量および発電電力量を確保できる。
好ましくは、上記運転動作を行うCAES発電装置1に対して、圧縮膨張兼用機10の最高回転速度と最低回転速度の条件を以下のように設定する。
最高回転速度については、発電運転において、蓄圧部30の充填率が0%のとき(即ち圧力Pminのとき)の圧縮膨張兼用機10の回転速度Rg1が最高回転速度となるように設定される。即ち、蓄圧部の充填率が0%の比発電電力量が最も小さくなる場合に圧縮膨張兼用機10の回転速度を最高回転速度に設定する。これにより、可能な限り多くの発電電力量を確保できる。
さらに好ましくは、当該最高回転速度は、圧縮膨張兼用機10の許容最高回転速度となるように設定される。これにより、圧縮膨張兼用機10の許容最高回転速度を好適に利用した運転が可能となり、広範囲の運転圧力(蓄圧部30の充填率)での定格運転が可能となる。
最低回転速度については、充電運転において、蓄圧部30の充填率が100%のとき(即ち圧力Pmaxのとき)の圧縮膨張兼用機10の回転速度が最低回転速度となるように設定される。これにより、広範囲の運転圧力(蓄圧部30の充填率)で定格の充電電力量を確保できる。
さらに好ましくは、当該最低回転速度は、圧縮膨張兼用機10の許容最高回転速度の0.4倍以上となるように設定される。これにより、圧縮膨張兼用機10を運転許容温度内で運転できる。詳細には、圧縮動作では、本来低圧口11から高圧口へ流れる圧縮空気であるが、圧縮膨張兼用機10の低圧口11と高圧口12との圧力差によって、一部の圧縮空気が高圧口12から低圧口11へ逆流する。逆流する空気量はスクリュロータの回転速度によらずほぼ一定であるため、回転速度が小さいほど、大気から吸気する空気に対して逆流する空気の比率が増加する。よって、圧縮膨張兼用機10の内部温度は回転速度が小さいほど高温となり、吐出温度も上昇する。従って、圧縮膨張兼用機10の内部温度および吐出温度を運転許容温度内に保つためには、最低回転速度を一定以上に保つ必要がある。例えば、そのような最低回転速度は、許容最高回転速度の0.4倍以上である。
以上のようにして、圧縮膨張兼用機10を使用したCAES発電装置1において、充電運転と発電運転の別によらずに広範囲の圧力(Pmin〜Pmax)で定格運転を実現することができる。
上記まで、本発明の具体的な実施形態について説明したが、本発明は上記形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
例えば、蓄圧部30の充填率は、上記実施形態に記載されたように圧力Pminにて0%と設定し、圧力Pmaxにて100%と設定するものに限定されない。代替的には、圧力P1を大気圧程度として、圧力P1にて充填率が0%と設定してもよい。同様に、圧力P1からPmaxの間の任意の圧力P2を充填率100%と設定してもよい。これにより、運転範囲は限定されるが(図2の斜線部参照)、当該運転範囲では高い効率での運転を実現できる。
1 圧縮空気貯蔵発電装置(CAES発電装置)
2 発電設備
10 圧縮膨張兼用機
11 低圧口
12 高圧口
20 電動発電兼用機
21 変速部
22 インバータ
30 蓄圧部
31 三方弁
32 逆止弁
33 圧力センサ
40 制御装置
50 熱交換器
51 高温熱媒タンク
52 低温熱媒タンク
53 熱媒ポンプ

Claims (6)

  1. 空気を圧縮する圧縮機としての機能および圧縮空気を膨張させる膨張機としての機能を有する圧縮膨張兼用機と、
    前記圧縮膨張兼用機と機械的に接続され、前記圧縮膨張兼用機を駆動する電動機としての機能および前記圧縮膨張兼用機によって駆動される発電機としての機能を有する電動発電兼用機と、
    前記圧縮膨張兼用機と流体的に接続され、前記圧縮膨張兼用機により生成された圧縮空気を貯蔵する蓄圧部と、
    前記圧縮膨張兼用機と前記電動発電兼用機との間に介設され、以下の式の範囲の変速比Rを有する変速部と、
    Figure 0006862514
    Umax:前記圧縮膨張兼用機の許容最高回転速度(m/s)又はピストン許容周速(m/s)
    Np:前記電動発電兼用機の極数
    D:前記圧縮膨張兼用機のロータ外径(m)又はクランク回転径(m)
    Rmax:最大変速比
    を備える、圧縮空気貯蔵発電装置。
  2. 前記電動発電兼用機が発電機として機能する発電運転において、前記蓄圧部の充填率が0%のときの前記圧縮膨張兼用機が最高回転速度又はピストン最高周速で駆動するように設定されている、請求項1に記載の圧縮空気貯蔵発電装置。
  3. 前記最高回転速度又は前記ピストン最高周速は、前記圧縮膨張兼用機の許容最高回転速度又はピストン許容周速である、請求項2に記載の圧縮空気貯蔵発電装置。
  4. 前記電動発電兼用機が電動機として機能する充電運転において、前記蓄圧部の充填率が100%のときの前記圧縮膨張兼用機が最低回転速度又はピストン最低周速で駆動するように設定されている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の圧縮空気貯蔵発電装置。
  5. 前記最低回転速度又は前記ピストン最低周速は、前記圧縮膨張兼用機の前記許容最高回転速度又は前記ピストン許容周速の0.4倍以上である、請求項4に記載の圧縮空気貯蔵発電装置。
  6. 前記圧縮膨張兼用機は、スクリュ型である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の圧縮空気貯蔵発電装置。
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