JP6864452B2 - 藻類増殖促進用資材 - Google Patents
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Description
また、赤潮が発生することによって、藻場と呼ばれる海草及び海藻等の繁茂する群落が衰退あるいは消失する「磯焼け」と呼ばれる現象が発生して、水棲生物の餌場や住処が減少し、水棲生物の成育環境が悪化するという問題があった。
例えば、特許文献1には、石炭溶融灰または転炉スラグの少なくとも一方が詰め込まれたココナッツ繊維製の袋を海中に沈設しておくことを特徴とする磯焼け修復方法が記載されている。
また、特許文献2には、酸化珪素、酸化カルシウム、及び、酸化アルミニウムを含む塩基度が1.4以下のガラス化した高炉スラグ、酸化第一鉄、酸化カルシウム及び酸化珪素を含有する固体の粉と粒の混合物及び水酸化カルシウム粉からなる混合物に水を添加して、粒子間に水和物を生成させて凝集させた凝集体であることを特徴とする水域向けミネラル供給剤が記載されている。
さらに、特許文献3には、透水性を有する袋材に、二価鉄含有物質と腐植含有物質とが詰め込まれていることを特徴とする水域環境保全材料が記載されている。
また、海域や淡水域等の環境を保全あるいは改善するには、藻類の栄養成分であるケイ酸、カルシウム及び鉄を、長期に亘って安定的に供給することが望ましい。
本発明の目的は、藻類を増殖させるための水のpHが強アルカリ性(例えば、10.0以上)になることを防ぎ、該水中にケイ酸、カルシウム及び鉄を安定的に供給でき、かつ、回収等が不要で、管理が容易な資材を提供することである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[8]を提供するものである。
[1] ケイ酸カルシウム含有材料、腐植物質、鉄化合物および酸化防止剤を含むことを特徴とする藻類増殖促進用資材。
[2] 上記ケイ酸カルシウム含有材料が、トバモライト、ゾノトライト、CSHゲル、フォシャジャイト、ジャイロライト、ヒレブランダイト、およびウォラストナイトからなる群より選ばれる1種以上を含み、かつ、上記腐植物質が、フミン酸、フルボ酸、およびヒューミンからなる群より選ばれる1種以上を含む前記[1]に記載の藻類増殖促進用資材。
[3] 上記鉄化合物が、硫酸鉄、塩化鉄、硝酸鉄、および酢酸鉄からなる群より選ばれる1種以上である前記[1]又は[2]に記載の藻類増殖促進用資材。
[4] 上記酸化防止剤が、アスコルビン酸、グルコース、N−アセチルシステイン、ブチルヒドロキシアニソール、α-トコフェノール、グルタチオン、およびカテキンからなる群より選ばれる1種以上である前記[1]〜[3]のいずれかに記載の藻類増殖促進用資材。
[6] 上記藻類増殖促進用資材が、粉粒状、造粒物、またはペレット状物の形態を有する前記[1]〜[5]のいずれかに記載の藻類増殖促進用資材。
[7] 前記[1]〜[6]のいずれかに記載の藻類増殖促進用資材を用いた藻類の増殖方法であって、上記藻類を増殖させるための水の中に、上記藻類増殖促進用資材を供給して、上記藻類を増殖させることを特徴とする藻類の増殖方法。
[8] 上記藻類が、珪藻である前記[7]に記載の藻類の増殖方法。
また、本発明の藻類増殖促進用資材は、徐々に溶けて最終的には消滅することから、回収や除去が不要であり、管理が容易である。
ケイ酸カルシウム含有材料とは、ケイ酸とカルシウムを含む化合物である。具体的にはトバモライト、ゾノトライト、CSHゲル、フォシャジャイト、ジャイロライト、ヒレブランダイト、及びウォラストナイト等からなる群より選ばれる1種以上を含むものである。
トバモライトとは、結晶性のケイ酸カルシウム水和物であり、Ca5・(Si6O18H2)・4H2O(板状の形態)、Ca5・(Si6O18H2)(板状の形態)、Ca5・(Si6O18H2)・8H2O(繊維状の形態)等の化学組成を有するものである。
ゾノトライトとは、結晶性のケイ酸カルシウム水和物であり、Ca6・(Si6O17)・(OH)2(繊維状の形態)等の化学組成を有するものである。
CSHゲルとは、αCaO・βSiO2・γH2O(ただし、α/β=0.7〜2.3、γ/β=1.2〜2.7である。)の化学組成を有するものである。具体的には、3CaO・2SiO2・3H2Oの化学組成を有するケイ酸カルシウム水和物等が挙げられる。
フォシャジャイトとは、Ca4(SiO3)3(OH)2等の化学組成を有するものである。
ジャイロライトとは、(NaCa2)Ca14(Si23Al)O60(OH)8・14H2O等の化学組成を有するものである。
ヒレブランダイトとは、Ca2SiO3(OH)2等の化学組成を有するものである。
ウォラストナイトとは、CaO・SiO2(繊維状又は柱状の形態)等の化学組成を有するものである。
中でも、入手の容易性および経済性の観点から、トバモライトを主成分とする軽量気泡コンクリート(ALC)を用いることが好ましい。また、廃棄物の利用促進の観点から、軽量気泡コンクリートの製造工程や建設現場で発生する軽量気泡コンクリートの端材を用いることが、より好ましい。
軽量気泡コンクリート中のトバモライトの割合は、軽量気泡コンクリートの内部の空隙部分を除く固相の全体を100体積%として、65〜80体積%である。
軽量気泡コンクリートは、例えば、珪石粉末、セメント、生石灰粉末、発泡剤(例えば、アルミニウム粉末)、水等を含む原料(例えば、これらの混合物からなる硬化体)をオートクレーブ養生することによって得ることができる。
ここで、本明細書中、「粉粒状」とは、粉状の材料(0.1mm未満の粒度を有するもの;粉体)の集合体、粒状の材料(0.1mm以上の粒度を有するもの;粒体)の集合体、または、粉状の材料および粒状の材料を含む集合体の形態を有することを意味する。また、「粉粒状物」とは、粉体の集合体、粒体の集合体、または、粉体および粒体を含む集合体を意味する。さらに、「粒度」とは、粉体または粒体における最大寸法(例えば、断面がだ円である粉体においては、長軸の寸法をいう。)
なお、水溶性SiO2の溶出量が多くなれば、藻類(特に、珪藻)の成育がより安定し、その増殖がより促進される。
ケイ酸カルシウム含有材料の粒度分布は、水溶性SiO2の溶出量を多くする観点から、好ましくは6mm以下の粒度を有する粒体を70質量%以上の割合で含むものであり、より好ましくは5mm以下の粒度を有する粒体を70質量%以上の割合で含むものであり、特に好ましくは4mm以下の粒度を有する粒体を70質量%以上の割合で含むものである。
本明細書中、粒度の値は、篩の目開き寸法に対応する値である。
具体的には、フミン酸、フルボ酸、およびヒューミンからなる群より選ばれる1種以上を含むものである。中でも、藻類の生育性の観点から、フミン酸およびフルボ酸が好ましく、フミン酸がより好ましい。
なお、フミン酸とは、腐植物質を構成する成分の中でも、アルカリに溶け、酸に溶けない成分をいう。フルボ酸とは、腐植物質を構成する成分の中でも、アルカリ及び酸に溶ける成分をいう。ヒューミンとは、腐植物質を構成する成分の中でも、アルカリ及び酸に溶けない成分をいう。
本発明の藻類増殖促進用資材は腐植物質を含むため、水中へのカルシウム、ケイ酸、及び鉄の単位時間当たりの供給量を、長期に亘って安定的に維持することができる。
なお、本明細書中、強アルカリ性とは、pHが10.0以上であり、強酸性とは、pHが3.5未満であるものとする。
また、腐植物質の量が多くなるほど、水中へのカルシウム、ケイ酸、及び鉄の供給量が多くなる傾向にあることから、腐植物質の量を調整することによって、水中へのカルシウム、ケイ酸、及び鉄の供給量を調整することが可能である。
具体的には、本発明で用いる鉄化合物は、硫酸鉄(硫酸第一鉄、硫酸第二鉄)、塩化鉄(塩化第一鉄、塩化第二鉄)、硝酸鉄(硝酸第一鉄、硝酸第二鉄)、酢酸鉄(酢酸第一鉄、酢酸第二鉄)等からなる群より選ばれる1種以上を含むものである。
中でも、藻類の生育性、及び、鉄化合物から水中に溶出した3価の鉄イオン(2価の鉄イオンが酸化してなるものを含む)が、藻類の栄養成分として利用することができない水酸化鉄(III)(Fe(OH)3)となって、水底に沈殿することから、2価の鉄化合物が好ましい。
具体的には、アスコルビン酸(ビタミンC)や、グルコースや、N−アセチルシステインや、ブチルヒドロキシアニソールや、α-トコフェノール(ビタミンE)や、グルタチオンや、カテキン等のポリフェノール等からなる群より選ばれる1種以上を含むものである。
中でも、水中にケイ酸、カルシウム及び鉄を長期に亘って安定的に供給できる観点から、アスコルビン酸、グルコース、N−アセチルシステインが好ましく、アスコルビン酸がより好ましい。
なお、酸化防止剤が立体異性体である場合(例えば、L−アスコルビン酸、D−アスコルビン酸等)、酸化防止剤はL体であってもD体であってもよいが、酸化防止作用の観点から、D体は、L体よりも還元作用が強い点で、本発明において好ましく用いられる。
特に、水中に十分な酸素が存在する場合、上述した酸化及び沈殿は起こりやすくなるが、このような場合であっても、本発明の藻類増殖促進用資材によれば、水中の鉄(2価の鉄イオン、3価の鉄イオン)の単位時間当たりの供給量を、長期に亘って安定的に維持することができる。
また、本発明の藻類増殖促進用資材は、腐植物質と酸化防止剤を含むため、藻類増殖水のpHを好ましくは10.0未満、より好ましくは3.5〜9.5、さらに好ましくは3.7〜9.0、特に好ましくは3.9〜8.6にすることができる。なお、該pHは、長期に亘って藻類増殖水が強アルカリ性になることを防ぐ観点から、本発明の藻類増殖促進用資材を供給後、好ましくは1日以上、より好ましくは2日以上、特に好ましくは6日以上経過した時点の数値である。
中でも、ケイ酸、カルシウムおよび鉄の供給量をより大きくする観点からは、ケイ酸カルシウム含有材料、腐植物質、鉄化合物および酸化防止剤を混合してなる粉粒状の形態が好ましい。
また、ケイ酸カルシウム含有材料、腐植物質、鉄化合物および酸化防止剤が水中において長期間に亘り分離しないようにする観点からは、造粒物の形態又はペレット状物の形態が好ましい。
ケイ酸カルシウム含有材料、腐植物質、鉄化合物および酸化防止剤の混合物を造粒する方法としては、例えば、該混合物と水を混合してペースト状にし、次いで、ペースト状の混合物を造粒した後、乾燥する方法や、該混合物をパンペレタイザー等の造粒機を用いて、散水しながら造粒する方法等が挙げられる。散水しながら造粒する方法において、混合物の添加及び散水を繰り返すことで、得られる造粒物の粒度を調整することができる。また、造粒物の粒度を調整することで、水中におけるケイ酸、カルシウムおよび鉄の供給量を調整し、また、造粒物を水の中に沈降し易くすることができる。
ケイ酸カルシウム含有材料、腐植物質、鉄化合物および酸化防止剤を混合してなる粉粒状の混合物をペレット状物に成形する方法としては、例えば、該混合物、または、該混合物と水を混練してなる混練物を加圧して成形する方法等が挙げられる。
藻類としては、本発明の藻類増殖促進用資材によって、その増殖が促進されるものであればよく、例えば、珪藻が挙げられる。
藻類増殖水としては、特に限定されるものではなく、淡水、汽水および海水のいずれでも良い。また、藻類増殖水とは、上述した淡水等の水を収容した養殖池若しくは養殖槽、または、自然界における海水域若しくは河川域等であって、上記藻類が存在している水をいう。該藻類は、自然に存在するものであっても、人為的に投入されたものであってもよい。
本発明の藻類増殖促進用資材は、好ましくは、藻類が減少した海水域若しくは河川域、または、藻類の少ない養殖池若しくは養殖槽に投入する。
本発明の粉粒状の形態の藻類増殖促進用資材を、そのまま水中に散布する場合、該資材を構成するケイ酸カルシウム含有材料、腐植物質、鉄化合物および酸化防止剤が水中で分離しないようにする観点から、水深の浅い場所に藻類増殖促進用資材を投入することが好ましい。また、該資材を養殖池や養殖槽に投入する場合において、養殖池等に水を入れる前に、あるいは、養殖池等に水を入れ始めた後であってまだ水深が浅いときに、藻類増殖促進用資材を投入することが好ましい。
収容手段における通水性を有する部分は、収容手段の一部分(一領域)でもよいし、全体(全領域)であってもよい。
なお、収容手段の内部または水底に、小さくなった藻類増殖促進用資材が残存していても、時間が経てば自然に消滅するので、除去する必要はない。
[使用材料]
(1)ケイ酸カルシウム含有材料:トバモライトを含む軽量気泡コンクリートを破砕した粒状のもの(以下、「ALC粒状物」ともいう。)、粒度:1〜4mm
(2)腐植物質A:フミン酸(和光純薬工業社製)
(3)鉄化合物:硫酸第一鉄(和光純薬工業社製)
(4)酸化防止剤A:D−アスコルビン酸(関東化学社製)
(5)酸化防止剤B:N−アセチル−L−システイン(東京化成工業社製)
(6)酸化防止剤C:D−グルコース(関東化学社製)
(7)酸化防止剤D:ブチルヒドロキシアニソール(Sigma−Aldrich社製)
上記材料を、表1に示す配合に従って混合して藻類増殖促進用資材を得た。蒸留水330ミリリットルに対して、該資材を1.2g/リットルとなる量で投入した後、振とう機を用いて、70rpmの条件で攪拌して混合し、該資材と蒸留水の混合物を得た。
混合後、3時間、1日、2日、3日、7日、14日経過後の各時点における、混合物のpH、ケイ素(Si)濃度、カルシウム(Ca)濃度、鉄(Fe)濃度を測定した。
なお、ケイ素濃度、カルシウム濃度、鉄濃度は、ICPを用いて測定した。
[実施例2〜4]
上記材料を、表1に示す配合に従って混合して藻類増殖促進用資材を得た。実施例1と同様にして該資材を用いて混合物を得た後、該混合物のpH等を測定した。
藻類増殖促進用資材の代わりにケイ酸カルシウム含有材料を用いる以外は、実施例1と同様にして混合物を得た後、該混合物のpH等を測定した。
[比較例2]
酸化防止剤を使用しない以外は実施例1と同様にして混合物を得た後、該混合物のpH等を測定した。
結果を表2〜5に示す。
また、表3から、本発明の藻類増殖促進用資材を用いた場合(実施例1〜4)と、ケイ酸カルシウム含有材料のみを用いた場合(比較例1)及び酸化防止剤を含まない場合(比較例2)を比較すると、実施例1〜4では、14日経過時におけるカルシウムの濃度は、45.5〜75.3mg/リットルであり、比較例1(18.4mg/リットル)よりも多く、比較例2(48.3mg/リットル)と同様以上であることがわかる。
また、1日経過以降であっても安定的にカルシウムの濃度が大きくなっていることから、長期に亘って安定的に、カルシウムを水中に供給できることがわかる。
特に、実施例1および実施例3において、14日経過時におけるケイ素の濃度は、18.3mg/リットル(実施例1)および17.2mg/リットル(実施例3)であり、比較例1(6.5mg/リットル)、比較例2(12.6mg/リットル)のケイ素の濃度よりも大きいことがわかる。
また、表5から、本発明の藻類増殖促進用資材を用いた場合(実施例1〜4)と比較例2を比較すると、3時間経過時の鉄の濃度は同等であったが、7日経過以降の鉄濃度は、比較例2よりも、実施例1〜4における鉄の濃度の方が大きいことがわかる。
ケイ酸カルシウム含有材料のみを用いた比較例1では、鉄の濃度は0mg/リットルであった。
Claims (4)
- ケイ酸カルシウム含有材料、腐植物質、鉄化合物および酸化防止剤を含み、
上記ケイ酸カルシウム含有材料が、トバモライト、ゾノトライト、CSHゲル、フォシャジャイト、ジャイロライト、ヒレブランダイト、およびウォラストナイトからなる群より選ばれる1種以上を含み、
上記腐植物質が、フミン酸であり、
上記鉄化合物が、硫酸鉄であり、
上記酸化防止剤が、アスコルビン酸、およびN−アセチルシステインからなる群より選ばれる1種以上であり、
上記ケイ酸カルシウム含有材料100質量部に対して、上記腐植物質の量が10〜30質量部、上記鉄化合物の量が10〜30質量部、上記酸化防止剤の量が10〜30質量部であることを特徴とする藻類増殖促進用資材。 - 上記藻類増殖促進用資材が、粉粒状、造粒物、またはペレット状物の形態を有する請求項1に記載の藻類増殖促進用資材。
- 請求項1又は2に記載の藻類増殖促進用資材を用いた藻類の増殖方法であって、上記藻類を増殖させるための水の中に、上記藻類増殖促進用資材を供給して、上記藻類を増殖させることを特徴とする藻類の増殖方法。
- 上記藻類が、珪藻である請求項3に記載の藻類の増殖方法。
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