JP6865935B2 - 災害に強い森づくりを補強する工法 - Google Patents

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Description

本発明は,森林の持つ根系の緊縛力による土砂流出防止機能では抑制できない土砂災害の発生に対して,引っ張り強度の高いネットを同森林の林地に設置することで樹木の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネットの(機械的効果)を組み合わせ,森林に土砂防止機能を軽減させる効果を最大限に発揮させる工法である。
森林内における斜面の土砂流出機能を抑制する手法には,植生導入の為の基盤の整備工である山腹基礎工(のり切工,土留工,排水工)や植物を導入する工法である植生工(播種工,植栽工,植生誘導工),導入した植物を目標として群落に導く為の管理である植生管理工(育成(保育)管理,維持管理,保護管理)等があるが,森林内にある針葉樹などの造林地における樹木の根系の緊縛力を補強できない。
山腹基礎工は,急傾斜地での施工となることから工事費がかかり大面積での実施が難しく,植生工は造林した樹種とは別の種類の植物を導入して斜面の表層の崩壊を抑制するものであり,植生管理工についても間伐等の森林施業によって光環境を改善することで根系の広域な拡大を期待できるが,伐採した樹木まで周辺木の根が伸長するまでの期間に根系に隙間ができることから災害に弱い状態となることが問題となっている。
特開2016−37773号公報
上記特許文献1の発明にあっては,複数の三角波状ワイヤーに直線状が挿通された金網であり,従来の金網よりも強度が高く,サイズの小さい衝突物や棒状の衝突物に対する防護機能にも優れており,例えば台風や竜巻等におり,飛来するあらゆる衝突物から建物や人等を防護することを可能にしたものである。
一方で本発明においては,森林の持つ根系の緊縛力による土砂流出防止機能では抑制できない土砂災害の発生に対して,引っ張り強度の高いネットを同森林の林地に設置することで樹木の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネットの(機械的効果)を組み合わせ,森林に土砂防止機能を軽減させる効果を最大限に発揮させることを可能としたものであることから新規性があり,特許文献1と異なっている。
そこで,本発明では,森林の持つ根系の緊縛力による土砂流出防止機能では抑制できない山腹の上部斜面(0次谷)に発生する崩壊や間伐後で根系の伸長が不十分な状態であることから災害が発生し易い森林,また森林の下流域で林帯幅が十分に形成されていない森林に対して,引っ張り強度の高いネットを同森林の林地に設置することで樹木の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)を組み合わせることで,森林の土砂流出防止機能を軽減させる効果を最大限に発揮させる災害に強い森づくりを補強する工法である。
本発明の第1は,災害に強い森づくりを補強する工法において,崩壊の発生域となり易い山腹上部の谷地形(0次谷)の林分に対して引っ張り強度の高いネットを同森林の林地に設置することで,樹木の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)を組み合わせて樹木の引抜抵抗力を補強することで崩壊の発生を抑制することを可能としたものである。
本発明の第2は,第1の発明に係る災害に強い森づくりを補強する工法において,引っ張り強度の高いネットを山腹中腹部に設置することで,樹木の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)を組み合わせることで崩壊土砂の移動域における土砂流下緩衝林の機能を補強することを可能としたものである。
本発明の第3は,第1の発明に係る災害に強い森づくりを補強する工法において,引っ張り強度の高いネットを山腹下流域の土砂堆積域に設置することで,樹木の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)を組み合わせることで土石流を抑制するのに不十分な林帯幅を補強して森林の崩壊土砂を捕捉する機能を補強することを可能としたものである。
本発明の第4は,第1の発明に係る災害に強い森づくりを補強する工法において,引っ張り強度の高いネットを隣接する樹木と繋ぐことによって単一の樹木の根系の緊縛力を面的に連続的な効果に補強することを可能としたものである。
本発明の第5は,第1の発明に係る災害に強い森づくりを補強する工法において,引っ張り強度の高いネットで現地発生土によって作製した土嚢を積み上げて土留工とすることで樹木間の土砂移動についても抑制することを可能としたものである。
本発明の第6は,第1の発明に係る災害に強い森づくりを補強する工法において,引っ張り強度の高いネットについて,単位体積重量が1kg/m以下であることによって,山腹上部斜面においても容易に運搬可能であることから,樹木の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)を組み合わせて樹木の引抜抵抗力を補強することで崩壊の発生を抑制することを可能としたものである。
本発明の第7は,第1の発明に係る災害に強い森づくりを補強する工法において,引っ張り強度の高いネットについて,素線の引張強度が1,000N/mm以上であることによって,樹木の根系の緊縛力を補強して崩壊の発生し難い山腹斜面とし,樹木の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)を組み合わせて樹木の引抜抵抗力を補強することで崩壊の発生を抑制することを可能としたものである。
本発明の第8は,第1の発明に係る災害に強い森づくりを補強する工法において,引っ張り強度の高いネットを林地に固定する部材については,林地の土層の緩み具合に応じてアンカーピンやロックボルトを利用することで樹木の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)を組み合わせて樹木の引抜抵抗力を補強することで崩壊の発生を抑制することを可能としたものである。
本発明は上記の構成であるから,次の効果がある。森林の持つ根系の緊縛力による土砂流出防止機能では抑制できない山腹の上部斜面(0次谷)に発生する崩壊や間伐後で根系の伸長途中となり災害が発生し易い森林,また森林の下流域で林帯幅が十分に形成されていない森林に対して,引っ張り強度の高いネットを同森林の林地に設置することで樹木の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)を組み合わせることで,森林の土砂防止機能を軽減させる効果を最大限に発揮させる災害に強い森づくりを補強することに効果がある。
本発明の施工形態を示す概略説明図であり,山腹の上部斜面(0次谷)と,山腹中央部および山腹下流域という三つに区分される山腹部分の林地に引っ張り強度の高いネットを設置する場合の代表的な施工形態を示している。 ただし,これらの形態は山腹のそれぞれの部分に限定した施工形態ではなく,山腹と造林の状況に応じて,森林の土砂防止機能を軽減させる効果を最大限に発揮させるよう決定する。 本発明の施工形態を示す概略説明図であり,山腹中央部の縦断面図である。引っ張り強度の高いネットの斜面に沿った長さは,山腹中央部における土砂流下緩衝林の機能を補強する効果が最大限に発揮できるよう,山腹の状況に応じて決定する。 本発明に係る引っ張り強度の高いネットの一部拡大平面図である。
本発明に係る引っ張り強度の高いネットは,素線径aが2mm〜4mmで内接円直径φが65mm〜80mm,網目の横wが83mm〜103mm,縦の網目の縦hが138mm〜180mm,メッキ量115g/m〜150g/mとなるものを利用するものであり,図3に示される。
本発明に係る引っ張り強度の高いネットで覆う土嚢に詰める現地発生土は,火山砕屑物である軽石,スコリア,火山弾や山腹表面にある礫(レキ),砂利,砂,細砂,粘土を利用するものである。
本発明に係る引っ張り強度の高いネットを山腹に固定するアンカーについては,長さ0.5m以上で直径16mm以上のL型異形鉄筋,または直径16mm以上で長さ2m以上のロックボルトを利用するものである。
次に,本発明の実施例を説明する。
本発明の災害に強い森づくりを補強する工法の実施形態及び符号の説明をする。
図1は,本発明の施工形態を示す概略説明図であり,山腹の上部斜面(0次谷)1,山腹中央部2および山腹下流域3という三つに区分される山腹部分の林地に引っ張り強度の高いネットを設置する場合の代表的な施工形態を示している。ただし,これらの形態は山腹のそれぞれの部分に限定した施工形態ではなく,山腹と造林の状況に応じて,森林の土砂防止機能を軽減させる効果を最大限に発揮させるよう決定する。4は樹木,5は引っ張り強度の高いネットであり,材質は硬鋼線であるため引張強度が高いものになっている。また,亜鉛メッキまたは亜鉛アルミ合金メッキを施しているため,対候性にも優れている。
図1及び図2において,6は現地発生土によって作製した土嚢であり,土砂流出が発生した場合にでも,それを山腹下流域3に流下させないよう積み上げておくものであり(図1及び図2では山腹中央部2),さらに,土嚢6の重量で引っ張り強度の高いネット5を地山に押さえ付け,山腹を安定させる効果を有する。
7はロックボルトであり,引っ張り強度の高いネット5を山腹に固定するためのものである。当該ロックボルト7を山腹の起伏に応じて調節する引っ張り強度の高いネット5の上下端およびその他主要の個所に打ち込むことで,地山に引っ張り強度の高いネット5が密着し,崩壊の発生を抑制する効果を有する。8は直径16mm以上のL型異形鉄筋であり,L型を有することで,ハンマー等で地山に打ち込みやすく,引っ張り強度の高いネット5を地山に密着させる役割を果たすものである。
図1において,9は起立する樹木4に巻き付けたリングであり,材質は硬鋼線を可とし,あらかじめ円形に加工された硬鋼線を樹木の直径に応じて現地にて大きさを調整できるリングであり,樹木4の根元に開閉且つ脱着可能に装着するものである。さらに,硬鋼線の巻き数を例えば,3回から12回の間で変えることにより,強度を変えることができる。10は引っ張り強度の高いネットと樹木4に巻き付けたリング9を連結するワイヤーロープ,11は引っ張り強度の高いネット5を連結する接続金具であり,その形状は楕円形に近い多角形のようになっており,硬鋼線を加工して作製されているため,引っ張り強度の高いネット5と同等以上の強度を有する。さらに,立体的に加工されていることで,脱着が容易である。
図2は,山腹の中央部2を示すもので,引張強度の高いネット5の斜面に沿った長さは,山腹の中央部における土砂流下緩衝林の機能を補強する効果が最大限に発揮できるよう,山腹の状況に応じて決定する。
図3は,本発明に係る引っ張り強度の高いネット5の一部を拡大した平面図であり,硬鋼線の素線径aが2mm〜4mmで菱形網目の幅wが83mm〜103mm,菱形網目の縦hが138mm〜180mmでその菱形網目の内接円直径φが65mm〜80mm,メッキ量115g/m〜150g/mとなるものを利用するものである。
「引っ張り強度の高いネット5の設置方法」
引っ張り強度の高いネット5・5同士の連結と樹木4の連結については,以下により行う。
(1) 引っ張り強度の高いネット5は,標準で幅3.8m,長さ30.0mであるので対象となる森林の規模や樹木4の間隔に合わせてワイヤーカッターにより所定の長さに切断する。
(2) 切断された引っ張り強度の高いネット5は,当該引っ張り強度の高いネットと同じ材料で製作されたクリップで縦方向及び横方向に連結する。
(3) 引っ張り強度の高いネット5と樹木4は,当該樹木4に巻きつけたリング9に引っ張り強度の高いネット5と同じ材料で製作されたクリップでネットと接続する方法と樹木に巻きつけたリング9とワイヤーロープ10によりネットと接続する方法がある。
[効果確認試験1]
静岡県駿東郡小山町須走の山腹においてスコリアを土嚢6に詰め込み土留として積み上げ,長さ0.7mで直径が16mmのL型異形鉄筋で引っ張り強度の高いネット5を斜面に固定(面積A=約100m2)することで厳冬期からの凍結・融解による崩壊の発生を抑制できている。なお,ここでいうスコリアとは,軽石状の岩滓をいう。
[効果確認試験2]
静岡県駿東郡小山町須走の山腹において森林の持つ根系の緊縛力による土砂流出防止機能では抑制できないスコリアが厚く堆積した山腹の上部斜面(0次谷)に対して,森林の林内に引っ張り強度の高いネット5を面積でA=約100m設置し,長さ0.7mで直径が16mmのL型異形鉄筋8で固定することで崩壊発生初期の亀裂の発生を抑制できている。
本発明は,森林の持つ根系の緊縛力による土砂流出防止機能では抑制できない山腹の上部斜面(0次谷)に発生する崩壊や間伐後で根系の伸長途中となり災害が発生し易い森林,また森林の下流域で林帯幅が十分に形成されていない森林に対して,引っ張り強度の高いネットを同森林の林地に設置することで樹木の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)を組み合わせることで,森林の土砂防止機能を軽減させる効果を最大限に発揮させる災害に強い森づくりを補強することを可能としたものである。
1…山腹の上部斜面(0次谷)
2…山腹中央部
3…山腹下流域
4…樹木
5…引っ張り強度の高いネット
6…現地発生土によって作製した土嚢
7…ロックボルト
8…L型異形鉄筋
9…樹木に巻き付けるリング
10…ワイヤーロープ
11…引っ張り強度の高いネット同士を連結する接続金具

Claims (7)

  1. 崩壊の発生域となり易い山腹上部の谷地形(0次谷)(1)の林分に対して硬鋼線の素線径が2mm〜4mmで内接円直径が65mm〜80mm,網目の横が83mm〜103mm,縦の網目の縦が138mm〜180mm,メッキ量115g/mとなる引っ張り強度の高いネット(5)を同森林の林地において,樹木にまきつけたリング(9)に引っ張り強度の高いネットと同じ材料で製作されたクリップとロックボルト(7)またはL型異形鉄筋(8)地山に密着して設置するネット(5)と接続するか,樹木(4)に巻き付けたリング(9)とワイヤーロープ(10)により地山に設置するネットと接続して設置することで,樹木(4)の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)(5)を組み合わせ,樹木(4)の引抜抵抗力を補強することで崩壊の発生を抑制することを可能とした災害に強い森づくりを補強する工法。
  2. 引っ張り強度の高いネット(5)を山腹中腹部(2)に設置することで,樹木(4)の土砂流出効果(生物的効果)と,引っ張り強度の高いネット(機械的効果)(5)を組み合わせることで崩壊土砂の移動域における土砂流下緩衝林の機能を補強することを可能とした請求項1記載の災害に強い森づくりを補強する工法。
  3. 引っ張り強度の高いネット(5)を山腹下流域(3)の土砂堆積域に設置することで,樹木(4)の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)(5)を組み合わせることで土石流を抑制するのに不十分な林帯幅を補強して森林の崩壊土砂を捕捉する機能を補強することを可能とした請求項1記載の災害に強い森づくりを補強する工法。
  4. 引っ張り強度の高いネット(5)を隣接する樹木(4)と繋ぐことによって単一の樹木(4)の根系の緊縛力を面的に連続的な効果に補強することを可能とした請求項1記載の災害に強い森づくりを補強する工法。
  5. 引っ張り強度の高いネット(5)について,単位体積重量が1kg/m以下であることによって,山腹上部斜面(1)においても容易に運搬可能であることから,樹木(4)の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)(5)を組み合わせて樹木(4)の引抜抵抗力を補強することで崩壊の発生を抑制することを可能とした請求項1記載の災害に強い森づくりを補強する工法。
  6. 引っ張り強度の高いネット(5)について,素線の引張強度が1,000N/mm以上であることによって,樹木(4)の根系の緊縛力を補強して崩壊の発生し難い山腹斜面とし,樹木(4)の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)(5)を組み合わせて樹木(4)の引抜抵抗力を補強することで崩壊の発生を抑制することを可能とした請求項1記載の災害に強い森づくりを補強する工法。
  7. 引っ張り強度の高いネット(5)を林地に固定する部材については,林地の土層の緩み具合に応じてロックボルト(7)やL型異型鉄筋(8)を利用することで樹木(4)の土砂流出効果(生物的効果)と引っ張り強度の高いネット(機械的効果)(5)を組み合わせて樹木(4)の引抜抵抗力を補強することで崩壊の発生を抑制することを可能とした請求項1記載の災害に強い森づくりを補強する工法。
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