以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図28は、本発明による一実施の形態およびその変形例を説明するための図である。以下の実施の形態およびその変形例では、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクを例にあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクに対し、本発明を適用することができる。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念であり、したがって、例えば「金属板」は、「金属シート」や「金属フィルム」と呼ばれる部材と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の板面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「同等」等の用語や長さや角度並びに物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(蒸着装置)
まず、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する蒸着装置90について、図1を参照して説明する。図1に示すように、蒸着装置90は、蒸着源(例えばるつぼ94)、ヒータ96、及び蒸着マスク装置10を備える。るつぼ94は、有機発光材料などの蒸着材料98を収容する。ヒータ96は、るつぼ94を加熱して蒸着材料98を蒸発させる。蒸着マスク装置10は、るつぼ94と対向するよう配置されている。
(蒸着マスク装置)
以下、蒸着マスク装置10について説明する。図1に示すように、蒸着マスク装置10は、蒸着マスク20と、蒸着マスク20を支持するフレーム15と、を備える。フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように、蒸着マスク20をその長手方向に引っ張った状態で支持する。蒸着マスク装置10は、図1に示すように、蒸着マスク20が、蒸着材料98を付着させる対象物である基板、例えば有機EL基板92に対面するよう、蒸着装置90内に配置される。以下の説明において、蒸着マスク20の面のうち、有機EL基板92側の面を第1面20aと称し、第1面20aの反対側に位置する面を第2面20bと称する。このうち蒸着マスク20の第2面20bにフレーム15が面している。
蒸着マスク装置10は、図1に示すように、有機EL基板92の、蒸着マスク20と反対の側の面に配置された磁石93を備えていてもよい。磁石93を設けることにより、磁力によって蒸着マスク20を磁石93側に引き寄せて、蒸着マスク20を有機EL基板92に密着させることができる。
図3は、蒸着マスク装置10を蒸着マスク20の第1面20a側から見た場合を示す平面図である。図3に示すように、蒸着マスク装置10は、平面視において略矩形状の形状を有する複数の蒸着マスク20を備え、各蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長手方向における一対の端部20eにおいて、フレーム15に固定されている。
蒸着マスク20は、蒸着マスク20を貫通する複数の貫通孔25を含む。るつぼ94から蒸発して蒸着マスク装置10に到達した蒸着材料98は、蒸着マスク20の貫通孔25を通って有機EL基板92に付着する。これによって、蒸着マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98を有機EL基板92の表面に成膜することができる。
図2は、図1の蒸着装置90を用いて製造した有機EL表示装置100を示す断面図である。有機EL表示装置100は、有機EL基板92と、パターン状に設けられた蒸着材料98を含む画素と、を備える。
なお、複数の色によるカラー表示を行いたい場合には、各色に対応する蒸着マスク20が搭載された蒸着装置90をそれぞれ準備し、有機EL基板92を各蒸着装置90に順に投入する。これによって、例えば、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に有機EL基板92に蒸着させることができる。
ところで、蒸着処理は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部で実施される場合がある。この場合、蒸着処理の間、蒸着装置90の内部に保持される蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92も加熱される。この際、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92は、各々の熱膨張係数に基づいた寸法変化の挙動を示すことになる。
この場合、蒸着マスク20やフレーム15と有機EL基板92の熱膨張係数が大きく異なっていると、それらの寸法変化の差異に起因した位置ずれが生じ、この結果、有機EL基板92上に付着する蒸着材料98の寸法精度や位置精度が低下してしまう。
このような課題を解決するため、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数が、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値であることが好ましい。例えば、有機EL基板92としてガラス基板が用いられる場合、蒸着マスク20およびフレーム15の主要な材料として、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。例えば、蒸着マスク20を構成する金属板の材料として、30質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む鉄合金を用いることができる。ニッケルを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、48質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe−Ni系めっき合金などを挙げることができる。
なお蒸着処理の際に、蒸着マスク20、フレーム15および有機EL基板92の温度が高温には達しない場合は、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数を、有機EL基板92の熱膨張係数と同等の値にする必要は特にない。この場合、蒸着マスク20を構成する材料として、上述の鉄合金以外の材料を用いてもよい。例えば、クロムを含む鉄合金など、上述のニッケルを含む鉄合金以外の鉄合金を用いてもよい。クロムを含む鉄合金としては、例えば、いわゆるステンレスと称される鉄合金を用いることができる。また、ニッケルやニッケル−コバルト合金など、鉄合金以外の合金を用いてもよい。
はじめに、図3に示す蒸着マスク20がエッチング処理によって作製されている場合について説明する。
(蒸着マスク)
図3に示すように、本実施の形態において、蒸着マスク20は、金属板21からなり、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。蒸着マスク20は、規則的な配列で貫通孔25が形成された有効領域22と、有効領域22の周囲に設けられた周囲領域23と、を含んでいる。周囲領域23は、有効領域22を支持するための領域であり、基板92へ蒸着されることを意図された蒸着材料98が通過する領域ではない。例えば、有機EL表示装置用の有機発光材料の蒸着に用いられる蒸着マスク20においては、有効領域22は、有機発光材料が蒸着して画素を形成するようになる基板92上の区域、すなわち、作製された有機EL表示装置用基板の表示面をなすようになる基板92上の区域に対面する、蒸着マスク20内の領域のことである。ただし、種々の目的から、周囲領域23に貫通孔や凹部が形成されていてもよい。図3に示された例において、各有効領域22は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。
図3に示された例において、蒸着マスク20の複数の有効領域22は、蒸着マスク20の長手方向と平行な一方向に沿って所定の間隔を空けて一列に配列されている。このような蒸着マスク20は、いわゆるスティック状の蒸着マスクと呼ばれることもある。図示された例では、一つの有効領域22が一つの有機EL表示装置に対応するようになっている。すなわち、図3に示された蒸着マスク装置10(蒸着マスク20)によれば、多面付蒸着が可能となっている。
まず、金属板21に形成された貫通孔25の平面形状の一例について、図3および図4を主に参照して詳述する。
図3に示すように、図示された例において、各有効領域22に形成された複数の貫通孔25の各々は、長手方向を有しており、スリット状に形成されている。各貫通孔25の長手方向は、蒸着マスク20の長手方向(図3において符号が示す上下方向)に沿っている。各有効領域22において、複数の貫通孔25は、貫通孔25の長手方向に直交する方向(図3において符号が示す左右方向)に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されている。
このようにして、本実施の形態では、各貫通孔25の長手方向が同一の方向に向いて、すだれ状に配列されており、複数の有効領域22が、貫通孔25の長手方向に一列に配列されている。
図4に示すように、各貫通孔25は、蒸着マスク20の法線方向Nに沿って見たときに、貫通孔25の長手方向に延びる細長状の有効孔部81と、有効孔部81の当該長手方向の端部から当該長手方向に沿って周囲領域23に向かって先細状に延びる先細孔部82と、を有している。このうち有効孔部81は、有機EL基板92上に付着する蒸着材料98のうち画素として有効に機能する部分に蒸着材料98を付着するための部分である。一方、先細孔部82は、画素として有効に機能する部分に画素を付着させることを意図している部分ではない。
本実施の形態では、先細孔部82は、有効孔部81の両端部(有効孔部81のうちの貫通孔25の長手方向における両端部)に設けられている。一方の先細孔部82は、有効孔部81の一方の端部から、当該長手方向に沿って周囲領域23に向かって延びている。他方の先細孔部82は、有効孔部81他方の端部から、当該長手方向に沿って周囲領域23に向かって延びている。有効孔部81が細長状に延びる方向と、各先細孔部82が先細状に延びる方向は、貫通孔25の長手方向に沿っている。
本実施の形態では、先細孔部82の先端部82a(周囲領域23の側の端部、図4における上側端部)は、丸みを帯びている。すなわち、先細孔部82の先端部82aは、尖らないように湾曲している。図4においては、先細孔部82は、楕円状に形成されている例が示されている。しかしながら、これに限られることはなく、先細孔部82の先端部82aは、貫通孔25の幅方向に延びる直線状に形成されて、直線状に切り落とされたような形状(切頭形状)になっていてもよい。
また、本実施の形態では、有効孔部81の幅をW、先細孔部82における貫通孔25の長手方向の長さをLとしたとき、
L>W/2
を満たしている。すなわち、蒸着マスク20の板面に沿った断面で見たときに、先細孔部82の輪郭形状が、有効孔部81の端部において有効孔部81の幅Wを直径とする円Cによって画定される場合よりも、先細孔部82の長さLが、長くなっている。このことにより、先細孔部82の長さLを長くしている。
ところで、互いに隣り合う貫通孔25の間には、蒸着マスク20の金属板21の材料からなる梁部28が形成されている。この梁部28は、蒸着マスク20の金属板21を構成している。また、梁部28は、蒸着マスク20の長手方向において対向する有効領域22の両縁部のうちの一方から他方(図4において上方から下方)に向かって細長状に延びており、梁部28の両端部(梁部28のうちの貫通孔25の長手方向における両端部)は、金属板21のうちの周囲領域23における部分に連結されている。
梁部28は、蒸着マスク20の法線方向Nに沿って見たときに、貫通孔25の有効孔部81の間に介在された梁部本体28aと、梁部本体28aの両端部に設けられた付け根部28bと、を有している。このうち付け根部28bが、金属板21のうちの周囲領域23における部分に連結されている。この付け根部28bの幅(貫通孔25の長手方向に直交する方向の寸法、図4における横寸法)は、梁部本体28aの幅よりも大きく、かつ周囲領域23に向かって、徐々に大きくなっている。
次に、上述した貫通孔25の断面形状の一例について、図5〜図7を主に参照して更に詳述する。
図5〜図7に示すように、複数の貫通孔25は、蒸着マスク20の法線方向Nに沿った一方の側となる第1面20aから、蒸着マスク20の法線方向Nに沿った他方の側となる第2面20bへ貫通している。図示された例では、後に詳述するように、蒸着マスク20の法線方向Nにおける一方の側となる金属板21の第1面21aに第1凹部30がエッチングによって形成され、蒸着マスク20の法線方向Nにおける他方の側となる金属板21の第2面21bに第2凹部35が形成される。第1凹部30は、第2凹部35に接続され、これによって第2凹部35と第1凹部30とが互いに通じ合うように形成される。貫通孔25は、第2凹部35と、第2凹部35に接続された第1凹部30とによって構成されている。すなわち、貫通孔25の上述した有効孔部81と先細孔部82は、これらの第1凹部30および第2凹部35によって構成されている。
図5〜図7に示すように、蒸着マスク20の第2面20bの側から第1面20aの側へ向けて、蒸着マスク20の法線方向Nに沿った各位置における蒸着マスク20の板面に沿った断面での各第2凹部35の開口面積は、しだいに小さくなっていく。同様に、蒸着マスク20の法線方向Nに沿った各位置における蒸着マスク20の板面に沿った断面での各第1凹部30の開口面積は、蒸着マスク20の第1面20aの側から第2面20bの側へ向けて、しだいに小さくなっていく。
図5〜図7に示すように、第1凹部30の壁面31と、第2凹部35の壁面36とは、周状の接続部41を介して接続されている。接続部41は、蒸着マスク20の法線方向Nに対して傾斜した第1凹部30の壁面31と、蒸着マスク20の法線方向Nに対して傾斜した第2凹部35の壁面36とが合流する張り出し部の稜線によって、画成されている。
そして、接続部41は、蒸着マスク20の平面視において貫通孔25の開口面積が最小になる貫通部42を画成する。
図5〜図7に示すように、蒸着マスク20の法線方向Nに沿った他方の側の面、すなわち、蒸着マスク20の第1面20a上において、隣り合う二つの貫通孔25は、蒸着マスク20の板面に沿って互いから離間している。すなわち、後述する製造方法のように、蒸着マスク20の第1面20aに対応するようになる金属板21の第1面21a側から当該金属板21をエッチングして第1凹部30を作製する場合、隣り合う二つの第1凹部30の間に金属板21の第1面21aが残存するようになる。
同様に、図4、図5および図7に示すように、蒸着マスク20の法線方向Nに沿った一方の側、すなわち、蒸着マスク20の第2面20bの側においても、隣り合う二つの第2凹部35が、蒸着マスク20の板面に沿って互いから離間していてもよい。すなわち、隣り合う二つの第2凹部35の間、言い換えると上述した梁部28に、金属板21の第2面21bが残存していてもよい。以下の説明において、金属板21の第2面21bの有効領域22のうちエッチングされずに残っている部分のことを、トップ部43とも称する。このようなトップ部43が残るように蒸着マスク20を作製することにより、蒸着マスク20に十分な強度を持たせることができる。このことにより、例えば搬送中などに蒸着マスク20が破損してしまうことを抑制することができる。なおトップ部43の幅βが大きすぎると、蒸着工程においてシャドーが発生し、これによって蒸着材料98の利用効率が低下することがある。従って、トップ部43の幅βが過剰に大きくならないように蒸着マスク20が作製されることが好ましい。例えば、トップ部43の幅βが2μm以下であることが好ましい。なおトップ部43の幅βは一般に、蒸着マスク20を切断する方向に応じて変化する。例えば、図5および図7に示すトップ部43の幅βは互いに異なることがある。この場合、いずれの方向で蒸着マスク20を切断した場合にもトップ部43の幅βが2μm以下になるよう、蒸着マスク20が構成されていてもよい。
図1に示すようにして蒸着マスク装置10が蒸着装置90に収容された場合、図5に二点鎖線で示すように、蒸着マスク20の第2面20bが蒸着材料98を保持したるつぼ94側に位置し、蒸着マスク20の第1面20aが基板92に対面する。したがって、蒸着材料98は、次第に開口面積が小さくなっていく第2凹部35を通過して基板92に付着する。図5において第2面20b側から第1面20aへ向かう矢印で示すように、蒸着材料98は、るつぼ94から基板92に向けて基板92の法線方向Nに沿って移動するだけでなく、基板92の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。このとき、蒸着マスク20の厚みが大きいと、斜めに移動する蒸着材料98の多くは、貫通孔25を通って基板92に到達するよりも前に、第2凹部35の壁面36に到達して付着する。従って、蒸着材料98の利用効率を高めるためには、蒸着マスク20の厚みtを小さくし、これによって、第2凹部35の壁面36や第1凹部30の壁面31の高さを小さくすることが好ましいと考えられる。すなわち、蒸着マスク20を構成するための金属板21として、蒸着マスク20の強度を確保できる範囲内で可能な限り厚みtの小さな金属板21を用いることが好ましいと言える。この点を考慮し、本実施の形態において、好ましくは蒸着マスク20の厚みtは、85μm以下に、例えば5〜85μmの範囲内に設定される。なお厚みtは、周囲領域23の厚み、すなわち蒸着マスク20のうち第1凹部30および第2凹部35が形成されていない部分の厚みである。従って厚みtは、金属板21の厚みであると言うこともできる。
図5において、貫通孔25の最小開口面積を持つ部分となる接続部41と、第2凹部35の壁面36の他の任意の位置と、を通過する直線L1が、蒸着マスク20の法線方向Nに対してなす最小角度が、符号θ1で表されている。斜めに移動する蒸着材料98を、壁面36に到達させることなく可能な限り基板92に到達させるためには、角度θ1を大きくすることが有利となる。角度θ1を大きくする上では、蒸着マスク20の厚みtを小さくすることの他にも、上述のトップ部43の幅βを小さくすることも有効である。
図7において、符号αは、金属板21の第1面21aの有効領域22のうちエッチングされずに残っている部分(以下、リブ部とも称する)の幅を表している。リブ部の幅αおよび貫通部42の寸法r
2は、有機EL表示装置の寸法および表示画素数に応じて適宜定められる。表1に、5インチの有機EL表示装置において、表示画素数、および表示画素数に応じて求められるリブ部の幅αおよび貫通部42の寸法r
2の値の一例を示す。
限定はされないが、本実施の形態による蒸着マスク20は、450ppi以上の画素密度の有機EL表示装置を作製する場合に特に有効なものである。以下、図8を参照して、そのような高い画素密度の有機EL表示装置を作製するために求められる蒸着マスク20の寸法の一例について説明する。図8は、図5に示す蒸着マスク20の貫通孔25およびその近傍の領域を拡大して示す断面図である。
図8においては、貫通孔25の形状に関連するパラメータとして、蒸着マスク20の第1面20aから接続部41までの、蒸着マスク20の法線方向Nに沿った方向における距離、すなわち第1凹部30の壁面31の高さが符号r1で表されている。さらに、第1凹部30が第2凹部35に接続する部分における第1凹部30の寸法、すなわち貫通部42の寸法が符号r2で表されている。また図8において、接続部41と、金属板21の第1面21a上における第1凹部30の先端縁と、を結ぶ直線L2が、金属板21の法線方向Nに対して成す角度が、符号θ2で表されている。
450ppi以上の画素密度の有機EL表示装置を作製する場合、貫通部42の寸法r2は、好ましくは10〜60μmの範囲内に設定される。これによって、高い画素密度の有機EL表示装置を作製することができる蒸着マスク20を提供することができる。好ましくは、第1凹部30の壁面31の高さr1は、6μm以下に設定される。
次に、図8に示す上述の角度θ2について説明する。角度θ2は、金属板21の法線方向Nに対して傾斜するとともに接続部41近傍で貫通部42を通過するように飛来した蒸着材料98のうち、基板92に到達することができる蒸着材料98の傾斜角度の最大値に相当する。なぜなら、角度θ2よりも大きな傾斜角度で飛来した蒸着材料98は、基板92に到達するよりも前に第1凹部30の壁面31に付着するからである。従って、角度θ2を小さくすることにより、大きな傾斜角度で飛来して貫通部42を通過した蒸着材料98が基板92に付着することを抑制することができ、これによって、基板92のうち貫通部42に重なる部分よりも外側の部分に蒸着材料98が付着してしまうことを抑制することができる。すなわち、角度θ2を小さくすることは、基板92に付着する蒸着材料98の面積や厚みのばらつきの抑制を導く。このような観点から、例えば貫通孔25は、角度θ2が45度以下になるように形成される。なお図8においては、第1面21aにおける第1凹部30の寸法、すなわち、第1面21aにおける貫通孔25の開口寸法が、接続部41における第1凹部30の寸法r2よりも大きくなっている例を示した。すなわち、角度θ2の値が正の値である例を示した。しかしながら、図示はしないが、接続部41における第1凹部30の寸法r2が、第1面21aにおける第1凹部30の寸法よりも大きくなっていてもよい。すなわち、角度θ2の値は負の値であってもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態とその作用および効果について説明する。
ここでは、はじめに、金属板を用いて蒸着マスクを製造する方法について説明する。その後、得られた蒸着マスクを用いて基板上に蒸着材料を蒸着させる方法について説明する。
(蒸着マスクの製造方法)
まず、長尺金属板64を用いて蒸着マスク20を製造する方法について、主に図9〜図18を参照して説明する。以下に説明する蒸着マスク20の製造方法では、図9に示すように、長尺金属板64が供給され、この長尺金属板64に貫通孔25が形成され、長尺金属板64を切断することによって枚葉状の金属板21からなる蒸着マスク20が得られる。
より具体的には、蒸着マスク20の製造方法、帯状に延びる長尺の金属板64を供給する工程と、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングを長尺の金属板64に施して、長尺金属板64に第1面64aの側から第1凹部30を形成する工程と、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングを長尺金属板64に施して、長尺金属板64に第2面64bの側から第2凹部35を形成する工程と、を含んでいる。そして、長尺金属板64に形成された第1凹部30と第2凹部35とが互いに通じ合うことによって、長尺金属板64に貫通孔25が作製される。図10〜図12および図14〜図18に示された例では、第1凹部30の形成工程が、第2凹部35の形成工程の前に実施され、且つ、第1凹部30の形成工程と第2凹部35の形成工程の間に、作製された第1凹部30を封止する工程が、さらに設けられている。以下において、各工程の詳細を説明する。
図9には、蒸着マスク20を作製するための製造装置60が示されている。図9に示すように、まず、長尺金属板64をコア61に巻き取った巻き体62が準備される。そして、このコア61が回転して巻き体62が巻き出されることにより、図9に示すように帯状に延びる長尺金属板64が供給される。なお、長尺金属板64は、貫通孔25を形成されて枚葉状の金属板21、さらには蒸着マスク20をなすようになる。
供給された長尺金属板64は、搬送ローラー72によって、エッチング装置(エッチング手段)70に搬送される。エッチング装置70によって、図10〜図12および図14〜図18に示された各処理が施される。
まず、図10に示すように、長尺金属板64の第1面64a上および第2面64b上にネガ型の感光性レジスト材料を含むレジスト膜65c、65dを形成する。レジスト膜65c、65dを形成する方法としては、アクリル系光硬化性樹脂などの感光性レジスト材料を含む層が形成されたフィルム、いわゆるドライフィルムを長尺金属板64の第1面64a上および第2面64b上に貼り付ける方法が採用される。なお、液体レジストを長尺金属板64の第1面64a上および第2面64b上にそれぞれ塗布し、その後に必要に応じて焼成を実施することにより、レジスト膜65c、65dを形成してもよい。
次に、レジスト膜65c、65dのうちの除去したい領域に光を透過させないようにした露光マスク68a、68bを準備し、露光マスク68a、68bをそれぞれ図11に示すようにレジスト膜65c、65dに対して所定の位置に配置する。露光マスク68a、68bとしては、例えば、レジスト膜65c、65dのうちの除去したい領域に光を透過させないようにしたフォトマスクが用いられる。露光方式としてプロキシミティ露光方式を採用する場合には、露光マスク68a、68bは微小なギャップを介してレジスト膜65c、65dに対向配置させ、投影露光方式を採用する場合には、露光マスクはレンズやミラーなどの投影光学系の部材を介在させてレジスト膜に対向配置させる。一方、露光方式として密着露光方式を採用する場合には、真空密着によって露光マスク68a、68bをレジスト膜65c、65dに十分に密着させる。なお感光性レジスト材料として、ポジ型のものが用いられてもよい。この場合、露光マスクとして、レジスト膜のうちの除去したい領域に光を透過させるようにした露光マスクが用いられる。
その後、レジスト膜65c、65dを露光マスク68a、68b越しに露光する。さらに、露光されたレジスト膜65c、65dに像を形成するためにレジスト膜65c、65dを現像する(現像工程)。以上のようにして、図12に示すように、長尺金属板64の第1面64a上に第1レジストパターン65aを形成し、長尺金属板64の第2面64b上に第2レジストパターン65bを形成することができる。なお現像工程は、レジスト膜65c、65dの硬度を高めるための、または長尺金属板64に対してレジスト膜65c、65dをより強固に密着させるためのレジスト熱処理工程を含んでいてもよい。レジスト熱処理工程は、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガスなどの不活性ガスの雰囲気において、例えば100〜400℃の範囲内で実施される。
第1レジストパターン65aは、第1凹部30を形成するための複数の第1レジスト孔83を有している。第2レジストパターン65bは、第2凹部35を形成するための複数の第2レジスト孔84を有している。第1レジスト孔83および第2レジスト孔84は、上述した貫通孔25と同様の平面形状を有している。すなわち、図13に示すように、第1レジスト孔83および第2レジスト孔84はそれぞれ、長手方向を有しており、スリット状に形成されている。各レジスト孔83、84の長手方向は、蒸着マスク20の長手方向に沿っている。そして、各レジスト孔83、84は、レジスト孔83、84の長手方向に直交する方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで、すだれ状に配列されている。
より詳細には、各レジスト孔83、84は、蒸着マスク20の法線方向Nに沿って見たときに、レジスト孔83、84の長手方向に延びる細長状の有効レジスト孔部85と、有効レジスト孔部85の当該長手方向の両端部から当該長手方向に沿って周囲領域23に向かって先細状に延びる先細レジスト孔部86と、を有している。このうち、有効レジスト孔部85は、貫通孔25の上述した有効孔部81を形成するための部分であり、先細レジスト孔部86は、貫通孔25の上述した先細孔部82を形成するための部分である。
本実施の形態では、先細レジスト孔部86の先端部86a(周囲領域23の側の端部、図13における上側端部)は、丸みを帯びている。すなわち、先細レジスト孔部86の先端部86aは、尖らないように湾曲している。図13においては、先細レジスト孔部86は、貫通孔25の先細孔部82と同様な楕円状に形成されている。
また、本実施の形態では、有効レジスト孔部85の幅をW’、先細レジスト孔部86における貫通孔25の長手方向の長さをL’としたとき、
L’>W’/2
を満たしている。すなわち、蒸着マスク20の法線方向Nに沿って見たときに、先細レジスト孔部86の輪郭形状が、有効レジスト孔部85の端部において有効レジスト孔部85の幅W’を直径とする円C’によって画定される場合よりも、先細レジスト孔部86の長さL’が、長くなっている。このことにより、先細レジスト孔部86の長さL’を長くしている。
ところで、後述するように、エッチング液による浸食は、長尺金属板64の法線方向N(厚み方向)のみに進むのではなく、長尺金属板64の板面に沿った方向にも進んでいく。このことにより、図13に示すように、第1レジスト孔83は、エッチング時の諸条件を考慮し、形成しようとする第1凹部30の壁面31と第1面20aとの交線によって画定される開口縁31a(言い換えると、第1面20a上における第1凹部30の輪郭)よりもある程度小さい形状とすることが好適である。同様に、第2レジスト孔84は、形成しようとする第2凹部35の壁面36と第2面20bとの交線によって画定される開口縁36a(言い換えると、第2面20b上における第2凹部35の輪郭)よりもある程度小さい形状とすることが好適である。また、図13においては、第1レジスト孔83の先細レジスト孔部86および第2レジスト孔84の先細レジスト孔部86が、湾曲状(より詳細には楕円状)に形成されている例について示しているが、貫通孔25の先細孔部82とは異なる形状で形成されていてもよい。例えば、先細レジスト孔部86は、三角形状や台形形状に形成されていてもよい。
次に、図14に示すように、長尺金属板64の第1面64aのうち第1レジストパターン65aによって覆われていない領域を、第1エッチング液を用いてエッチングする第1面エッチング工程を実施する。例えば、第1エッチング液が、搬送される長尺金属板64の第1面64aに対面する側に配置されたノズルから、第1レジストパターン65aの第1レジスト孔83を介して長尺金属板64の第1面64aに向けて噴射される。この結果、図14に示すように、長尺金属板64のうちの第1レジストパターン65aによって覆われていない領域で、第1エッチング液による浸食が進む。これによって、長尺金属板64の第1面64aに多数の第1凹部30が形成される。第1エッチング液としては、例えば塩化第2鉄溶液および塩酸を含むものが用いられる。なお、第1エッチング液による浸食は、長尺金属板64のうちの第1エッチング液に触れている部分において行われていく。従って、浸食は、長尺金属板64の法線方向N(厚み方向)のみに進むのではなく、長尺金属板64の板面に沿った方向にも進んでいく。
その後、図15に示すように、後の第2面エッチング工程において用いられる第2エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって、第1凹部30および第1レジスト孔83が被覆される。すなわち、第2エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって、第1凹部30および第1レジスト孔83が封止される。図15に示す例において、樹脂69の膜が、形成された第1凹部30および第1レジスト孔83だけでなく、第1面64a(第1レジストパターン65a)も覆うように形成されている。
次に、図16に示すように、長尺金属板64の第2面64bのうち第2レジストパターン65bによって覆われていない領域を、第2エッチング液を用いてエッチングする第2面エッチング工程を実施する。例えば、第2エッチング液が、搬送される長尺金属板64の第2面64bに対面する側に配置されたノズルから、第2レジストパターン65bの第2レジスト孔84を介して長尺金属板64の第2面64bに向けて噴射される。この結果、図16に示すように、長尺金属板64のうちの第2レジストパターン65bによって覆われていない領域で、第2エッチング液による浸食が進む。これによって、長尺金属板64の第2面64bに多数の第2凹部35が形成される。第2面エッチング工程は、第1凹部30と第2凹部35とが互いに通じ合い、これによって貫通孔25が形成されるようになるまで実施される。第2エッチング液としては、上述の第1エッチング液と同様に、例えば塩化第2鉄溶液および塩酸を含むものが用いられる。
なお第2エッチング液による浸食は、長尺金属板64のうちの第2エッチング液に触れている部分において行われていく。従って、浸食は、長尺金属板64の法線方向N(厚み方向)のみに進むのではなく、長尺金属板64の板面に沿った方向にも進んでいく。ここで好ましくは、第2面エッチング工程は、第2レジストパターン65bの隣り合う二つの第2レジスト孔84に対面する位置にそれぞれ形成された二つの第2凹部35が、二つの第2レジスト孔84の間に位置するブリッジ部67aの裏側において合流するよりも前に終了される。これによって、図17に示すように、長尺金属板64の第2面64bに上述のトップ部43を残すことができる。
その後、図18に示すように、長尺金属板64から樹脂69が除去される。樹脂69は、例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、除去することができる。アルカリ系剥離液が用いられる場合、図18に示すように、樹脂69と同時にレジストパターン65a,65bも除去される。なお、樹脂69を除去した後、樹脂69を剥離させるための剥離液とは異なる剥離液を用いて、樹脂69とは別途にレジストパターン65a,65bを除去してもよい。
樹脂69が除去された長尺金属板64は、図9に示すように、搬送ローラー72,72により、切断装置(切断手段)73へ搬送される。なお、この搬送ローラー72,72の回転によって長尺金属板64に作用するテンション(引っ張り応力)を介し、上述した供給コア61が回転させられ、巻き体62から長尺金属板64が供給されるようになっている。
その後、多数の貫通孔25が形成された長尺金属板64が切断装置(切断手段)73によって所定の長さおよび幅に切断され、長尺金属板64が個片化される。このようにして、多数の貫通孔25が形成された枚葉状の金属板21が得られる。
以上のようにして、多数の貫通孔25が形成された金属板21からなる蒸着マスク20が得られる。
(蒸着工程)
次に、得られた蒸着マスク20を用いて基板92上に蒸着材料98を蒸着させる方法について説明する。はじめに図1に示すように、蒸着マスク20の第1面20aを基板92の面に密着させる。この際、磁石93などを用いて、蒸着マスク20の第1面20aを基板92の面に密着させてもよい。また図3に示すように、複数の蒸着マスク20がフレーム15に張設される。より具体的には、蒸着マスク20に、当該蒸着マスク20の長手方向の張力が付与されて、この張力が付与された状態で、蒸着マスク20の端部20eがフレーム15に取り付けられる。この場合付与される張力は、貫通孔25の長手方向に沿うようになる。蒸着マスク20は、フレーム15に、例えばスポット溶接で固定される。このようにして、蒸着マスク20の面が基板92の面に平行になる。
蒸着マスク20を張設した後、蒸着装置90内を真空状態にして、るつぼ94内の蒸着材料98を加熱することにより、蒸着材料98を気化または昇華させる。気化または昇華した蒸着材料98は、蒸着マスク20の貫通孔25の有効孔部81を通って基板92に付着する。この結果、蒸着マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98が基板92の表面に成膜される。この際、蒸着材料98は、貫通孔25のうち有効孔部81だけでなく先細孔部82も通って基板92に付着する。このため、基板92にスリット状の所望のパターンで付着された蒸着材料98の両端部に、先細状のパターンで蒸着材料98が付着する。
このように本実施の形態によれば、スリット状の複数の貫通孔25が、貫通孔25の長手方向に直交する方向に配列されており、貫通孔25が、蒸着マスク20の法線方向Nに沿って見たときに、有効孔部81と、有効孔部81の端部から先細状に延びる先細孔部82と、を有している。このことにより、互いに隣り合う貫通孔25の間に形成された梁部28の付け根部28bの幅を、貫通孔25の長手方向に沿って周囲領域23に向かって徐々に大きくすることができる。このため、付け根部28bの機械的強度を増大させることができる。そして、蒸着マスク20の製造工程や蒸着工程等の取り扱い中に、梁部28の梁部本体28aが変位した場合であっても、付け根部28bが変形することを抑制できる。この結果、スリット状の貫通孔25の変形を防止し、蒸着品質を向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、貫通孔25の先細孔部82は、有効孔部81の両端部に設けられている。このことにより、梁部28の梁部本体28aの両端部に設けられた付け根部28bの機械的強度をそれぞれ増大させることができる。このため、スリット状の貫通孔25の変形をより一層防止でき、蒸着品質をより一層向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、貫通孔25の先細孔部82の先端部82aは、丸みを帯びている。このことにより、梁部28の付け根部28bのうち当該先端部82aの近傍において、蒸着マスク20の取り扱い中に応力が集中することをより一層防止できる。このため、付け根部28bの機械的強度をより一層増大させることができる。
また、本実施の形態によれば、貫通孔25の有効孔部81の幅をW、先細孔部82における貫通孔25の長手方向の長さをLとしたとき、L>W/2が満たされている。このことにより、先細孔部82の長手方向の長さを長くすることができる。このため、梁部28の付け根部28bの長手方向の長さを長くすることができ、蒸着マスク20の取り扱い中に付け根部28bに応力が集中することをより一層防止できる。このため、付け根部28bの機械的強度をより一層増大させることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による蒸着マスクは、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
(有効領域の配置の変形例)
上述の本実施の形態においては、複数の有効領域22が、貫通孔25の長手方向に一列に配列されている例を示した。しかしながら、複数の有効領域22は、例えば図19に示すように、格子状に配列されていてもよい。図19に示す例においては、各有効領域22における貫通孔25の長手方向は、互いに沿っている。すなわち、各有効領域22の貫通孔25の長手方向が同一の方向に向いて、すだれ状に配列されている。なお、図19に示す蒸着マスク20において、張設時に付与される張力が貫通孔25の長手方向に沿うことができれば、貫通孔25の長手方向が、蒸着マスク20の長手方向に沿うことに限られることはない。
(蒸着マスクの製造方法の第1の変形例)
上述の本実施の形態においては、蒸着マスク20がエッチング処理によって製造される例を示した。しかしながら、蒸着マスク20はめっき処理によって製造されてもよい。この場合の蒸着マスク20について、以下に詳細に説明する。
図20及び図21に示すように、蒸着マスク20は、第1面20aを構成する第1金属層32と、第2面20bを構成する第2金属層37と、を備える。第1金属層32には、所定のパターンで第1開口部30’が設けられており、また、第2金属層37には、所定のパターンで第2開口部35’が設けられている。有効領域22においては、第1開口部30’と第2開口部35’とが互いに連通することにより、蒸着マスク20の第1面20aから第2面20bに至る貫通孔25が構成されている。
図20に示すように、第1開口部30’や第2開口部35’によって構成される貫通孔25は、図3及び図4に示す貫通孔25と同様に、長手方向を有しており、スリット状に形成されている。各貫通孔25の長手方向が、蒸着マスク20の長手方向に沿っている。
各有効領域22において、複数の貫通孔25は、貫通孔25の長手方向に直交する方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列され、すだれ状に配列されている。図20に示す貫通孔25は、図3及び図4に示す貫通孔25と同様に、有効孔部81と先細孔部82とを有しており、有効孔部81と先細孔部82は、これらの第1開口部30’および第2開口部35’によって構成されている。また、図3及び図4に示す蒸着マスク20と同様に、図20に示す蒸着マスク20においても、互いに隣り合う貫通孔25の間に、梁部本体28aと付け根部28bとを有する梁部28が形成されている。この梁部28は、第1金属層32と第2金属層37とによって構成されている。
図21において、符号41’は、第1金属層32と第2金属層37とが接続される接続部を表している。また符号S0は、第1金属層32と第2金属層37との接続部41’における貫通孔25の寸法を表している。なお図21においては、第1金属層32と第2金属層37とが接している例を示したが、これに限られることはなく、第1金属層32と第2金属層37との間にその他の層が介在されていてもよい。例えば、第1金属層32と第2金属層37との間に、第1金属層32上における第2金属層37の析出を促進させるための触媒層が設けられていてもよい。
図22は、図21の第1金属層32および第2金属層37の一部を拡大して示す図である。図22に示すように、蒸着マスク20の第2面20bにおける第2金属層37の幅M2は、蒸着マスク20の第1面20aにおける第1金属層32の幅M1よりも小さくなっている。言い換えると、第2面20bにおける貫通孔25(第2開口部35’)の開口寸法S2は、第1面20aにおける貫通孔25(第1開口部30’)の開口寸法S1よりも大きくなっている。以下、このように第1金属層32および第2金属層37を構成することの利点について説明する。
蒸着マスク20の第2面20b側から飛来する蒸着材料98は、貫通孔25の第2開口部35’および第1開口部30’を順に通って有機EL基板92に付着する。有機EL基板92のうち蒸着材料98が付着する領域は、第1面20aにおける貫通孔25の開口寸法S1や開口形状によって主に定められる。ところで、図21および図22において第2面20b側から第1面20aへ向かう矢印L1で示すように、蒸着材料98は、るつぼ94から有機EL基板92に向けて蒸着マスク20の法線方向Nに沿って移動するだけでなく、蒸着マスク20の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動することもある。ここで、仮に第2面20bにおける貫通孔25の開口寸法S2が第1面20aにおける貫通孔25の開口寸法S1と同一であるとすると、蒸着マスク20の法線方向Nに対して大きく傾斜した方向に移動する蒸着材料98の多くは、貫通孔25を通って有機EL基板92に到達するよりも前に、貫通孔25の第2開口部35’の壁面36’に到達して付着してしまう。従って、蒸着材料98の利用効率を高めるためには、第2開口部35’の開口寸法S2を大きくすること、すなわち第2金属層37の幅M2を小さくすることが好ましいと言える。
図21において、第2金属層37の壁面36’及び第1金属層32の壁面31’に接する(端部38を通る)直線L1が、蒸着マスク20の法線方向Nに対してなす最小角度が、符号θ1で表されている。斜めに移動する蒸着材料98を、可能な限り有機EL基板92に到達させるためには、角度θ1を大きくすることが有利となる。例えば、角度θ1を45°以上にすることが好ましい。
角度θ1を大きくする上では、第1金属層32の幅M1に比べて第2金属層37の幅M2を小さくすることが有効である。また、図から明らかなように、角度θ1を大きくする上では、第1金属層32の厚みT1や第2金属層37の厚みT2を小さくすることも有効である。なお、第2金属層37の幅M2、第1金属層32の厚みT1や第2金属層37の厚みT2を過剰に小さくしてしまうと、蒸着マスク20の強度が低下し、このため搬送時や使用時に蒸着マスク20が破損してしまうことが考えられる。例えば、蒸着マスク20をフレーム15に張設する際に蒸着マスク20に加えられる引張り応力によって、蒸着マスク20が破損してしまうことが考えられる。これらの点を考慮すると、第1金属層32および第2金属層37の寸法が以下の範囲に設定されることが好ましいと言える。これによって、上述の角度θ1を例えば45°以上にすることができる。
・第1金属層32の幅M1:5μm以上且つ25μm以下
・第2金属層37の幅M2:2μm以上且つ20μm以下
・蒸着マスク20の厚みT0:5μm以上且つ50μm以下、より好ましくは3μm以上且つ50μm以下、さらに好ましくは3μm以上且つ30μm以下、さらに好ましくは3μm以上且つ25μm以下
・第1金属層32の厚みT1:5μm以下
・第2金属層37の厚みT2:2μm以上且つ50μm以下、より好ましくは3μm以上且つ50μm以下、さらに好ましくは3μm以上且つ30μm以下、さらに好ましくは3μm以上且つ25μm以下
上述の開口寸法S0,S1,S2は、有機EL表示装置の画素密度や上述の角度θ1の所望値などを考慮して、適切に設定される。例えば、400ppi以上の画素密度の有機EL表示装置を作製する場合、接続部41’における貫通孔25の開口寸法S0は、15μm以上且つ60μm以下に設定され得る。また、第1面20aにおける第1開口部30’の開口寸法S1は、10μm以上且つ50μm以下に設定され、第2面20bにおける第2開口部35’の開口寸法S2は、15μm以上且つ60μm以下に設定され得る。
図22に示すように、第1金属層32によって構成される蒸着マスク20の第1面20aには、窪み部34が形成されていてもよい。窪み部34は、めっき処理によって蒸着マスク20を製造する場合に、後述するパターン基板150の導電性パターン152に対応して形成される。窪み部34の深さDは、例えば50nm以上且つ500nm以下である。好ましくは、第1金属層32に形成される窪み部34の外縁34eは、第1金属層32の端部33と接続部41’との間に位置する。
次に、めっき処理によって蒸着マスク20を製造する方法について説明する。
(蒸着マスクの製造方法)
図23乃至図26は、蒸着マスク20の製造方法を説明する図である。
〔パターン基板準備工程〕
まず、図23に示すパターン基板150を準備する。パターン基板150は、絶縁性を有する基材151と、基材151上に形成された導電性パターン152と、を有する。導電性パターン152は、第1金属層32に対応するパターンを有する。 導電性パターン152は、図20に示す有効孔部81と先細孔部82とを有する貫通孔25が形成可能な平面形状を有している。すなわち、導電性パターン152は、図13に示す有効レジスト孔部85と先細レジスト孔部86とを有する第1レジスト孔83および第2レジスト孔84に類似する平面形状を有するように形成される。
絶縁性および適切な強度を有する限りにおいて基材151を構成する材料や基材151の厚みが特に限られることはない。例えば基材151を構成する材料として、ガラスや合成樹脂などを用いることができる。
導電性パターン152を構成する材料としては、金属材料や酸化物導電性材料等の、導電性を有する材料が適宜用いられる。金属材料の例としては、例えばクロムや銅などを挙げることができる。導電性パターン152の厚みは、例えば50nm以上且つ500nm以下である。
なお、蒸着マスク20をパターン基板150から分離させる後述する分離工程を容易化するため、パターン基板150に離型処理を施しておいてもよい。
例えば、まず、パターン基板150の表面の油分を除去する脱脂処理を実施する。例えば、酸性の脱脂液を用いて、パターン基板150の導電性パターン152の表面の油分を除去する。
次に、導電性パターン152の表面を活性化する活性化処理を実施する。例えば、後述する第1めっき処理工程において用いられる第1めっき液に含まれる酸性溶液と同一の酸性溶液を、導電性パターン152の表面に接触させる。例えば、第1めっき液がスルファミン酸ニッケルを含む場合、スルファミン酸を導電性パターン152の表面に接触させる。
次に、導電性パターン152の表面に有機物の膜を形成する有機膜形成処理を実施する。例えば、有機物を含む離型剤を導電性パターン152の表面に接触させる。この際、有機膜の厚みを、有機膜の電気抵抗が、電解めっきによる第1金属層32の析出が有機膜によって阻害されない程度に薄く設定する。離型剤は、硫黄成分を含んでいてもよい。
なお、脱脂処理、活性化処理および有機膜形成処理の後には、パターン基板150を水で洗浄する水洗処理をそれぞれ実施する。
〔第1めっき処理工程〕
次に、導電性パターン152が形成された基材151上に第1めっき液を供給して、導電性パターン152上に第1金属層32を析出させる第1めっき処理工程を実施する。例えば、導電性パターン152が形成された基材151を、第1めっき液が充填されためっき槽に浸す。これによって、図24に示すように、パターン基板150上に、所定のパターンで第1開口部30’が設けられた第1金属層32を得ることができる。
なお、めっき処理の特性上、図24に示すように、第1金属層32は、基材151の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン152と重なる部分だけでなく、導電性パターン152と重ならない部分にも形成され得る。これは、導電性パターン152の端部154と重なる部分に析出した第1金属層32の表面にさらに第1金属層32が析出するためである。この結果、図24に示すように、第1開口部30’の端部33は、基材151の法線方向に沿って見た場合に導電性パターン152と重ならない部分に位置するようになり得る。また、第1金属層32のうち導電性パターン152と接する側の面には、導電性パターン152の厚みに対応する上述の窪み部34が形成される。
図24において、第1金属層32のうち導電性パターン152と重ならない部分(すなわち窪み部34が形成されない部分)の幅が符号wで表されている。幅wは、例えば0.5μm以上且つ5.0μm以下になる。導電性パターン152の寸法は、この幅wを考慮して設定される。
導電性パターン152上に第1金属層32を析出させることができる限りにおいて、第1めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることはない。例えば、第1めっき処理工程は、導電性パターン152に電流を流すことによって導電性パターン152上に第1金属層32を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。若しくは、第1めっき処理工程は、無電解めっき処理工程であってもよい。なお、第1めっき処理工程が無電解めっき処理工程である場合、導電性パターン152上には適切な触媒層が設けられていてもよい。若しくは、導電性パターン152が、触媒層として機能するよう構成されていてもよい。電解めっき処理工程が実施される場合にも、導電性パターン152上に触媒層が設けられていてもよい。
用いられる第1めっき液の成分は、第1金属層32に求められる特性に応じて適宜定められる。例えば第1金属層32が、ニッケルを含む鉄合金によって構成される場合、第1めっき液として、ニッケル化合物を含む溶液と、鉄化合物を含む溶液との混合溶液を用いることができる。例えば、スルファミン酸ニッケルや臭化ニッケルを含む溶液と、スルファミン酸第一鉄を含む溶液との混合溶液を用いることができる。めっき液には、様々な添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、ホウ酸などのpH緩衝剤、サッカリンナトリウなどの一次光沢剤、ブチンジオール、プロパギルアルコール、クマリン、ホルマリン、チオ尿素などの二次光沢剤や、酸化防止剤などが用いられ得る。一次光沢剤は、硫黄成分を含んでいてもよい。
〔レジスト形成工程〕
次に、基材151上および第1金属層32上に、所定の隙間156を空けてレジストパターン155を形成するレジスト形成工程を実施する。図25は、基材151上に形成されたレジストパターン155を示す断面図である。図25に示すように、レジスト形成工程は、第1金属層32の第1開口部30’がレジストパターン155によって覆われるとともに、レジストパターン155の隙間156が第1金属層32上に位置するように実施される。レジストパターン155は、図20に示す有効孔部81と先細孔部82とを有する貫通孔25が形成可能な平面形状を有している。すなわち、レジストパターン155は、図13に示す有効レジスト孔部85と先細レジスト孔部86とを有する第1レジスト孔83および第2レジスト孔84に類似する平面形状を有するように形成される。
以下、レジスト形成工程の一例について説明する。はじめに、基材151上および第1金属層32上にドライフィルムを貼り付けることによって、ネガ型のレジスト膜を形成する。ドライフィルムとは、基材151などの対象物の上にレジスト膜を形成するために対象物に貼り付けられるフィルムのことである。ドライフィルムは、PETなどからなるベースフィルムと、ベースフィルムに積層され、感光性を有する感光層と、を少なくとも含む。感光層は、アクリル系光硬化性樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、スチレン系樹脂などの感光性材料を含む。なお、液体レジストを基材151および第1金属層32上に塗布し、その後に必要に応じて焼成を実施することにより、レジスト膜を形成してもよい。
次に、レジスト膜のうち隙間156となるべき領域に光を透過させないようにした露光マスクを準備し、露光マスクをレジスト膜に対して所定の位置に配置する。露光方式としてプロキシミティ露光方式を採用する場合には、露光マスクは微小なギャップを介してレジスト膜に対向配置させ、投影露光方式を採用する場合には、露光マスクはレンズやミラーなどの投影光学系の部材を介在させてレジスト膜に対向配置させ一方、露光方式として密着露光方式を採用する場合には、真空密着によって露光マスクをレジスト膜に十分に密着させる。その後、レジスト膜を露光マスク越しに露光する。さらに、露光されたレジスト膜に像を形成するためにレジスト膜を現像する。以上のようにして、図25に示すように、第1金属層32上に位置する隙間156が設けられるとともに第1金属層32の第1開口部30’を覆うレジストパターン155を形成することができる。なお、レジストパターン155を基材151および第1金属層32に対してより強固に密着させるため、現像工程の後にレジストパターン155を加熱する熱処理工程を実施してもよい。
なお、レジスト膜として、ポジ型のものが用いられてもよい。この場合、露光マスクとして、レジスト膜のうちの除去したい領域に光を透過させるようにした露光マスクが用いられる。
〔第2めっき処理工程〕
次に、レジストパターン155の隙間156に第2めっき液を供給して、第1金属層32上に第2金属層37を析出させる第2めっき処理工程を実施する。例えば、第1金属層32が形成された基材151を、第2めっき液が充填されためっき槽に浸す。これによって、図26に示すように、第1金属層32上に第2金属層37を形成することができる。
第1金属層32上に第2金属層37を析出させることができる限りにおいて、第2めっき処理工程の具体的な方法が特に限られることとはない。例えば、第2めっき処理工程は、第1金属層32に電流を流すことによって第1金属層32上に第2金属層37を析出させる、いわゆる電解めっき処理工程として実施されてもよい。若しくは、第2めっき処理工程は、無電解めっき処理工程であってもよい。なお第2めっき処理工程が無電解めっき処理工程である場合、第1金属層32上には適切な触媒層が設けられていてもよい。電解めっき処理工程が実施される場合にも、第1金属層32上に触媒層が設けられていてもよい。
第2めっき液としては、上述の第1めっき液と同一のめっき液が用いられてもよい。若しくは、第1めっき液とは異なるめっき液が第2めっき液として用いられてもよい。第1めっき液の組成と第2めっき液の組成とが同一である場合、第1金属層32を構成する金属の組成と、第2金属層37を構成する金属の組成も同一になる。
なお、図26においては、レジストパターン155の上面と第2金属層37の上面とが一致するようになるまで第2めっき処理工程が継続される例を示したが、これに限られることはない。第2金属層37の上面がレジストパターン155の上面よりも下方に位置する状態で、第2めっき処理工程が停止されてもよい。
〔除去工程〕
その後、レジストパターン155を除去する除去工程を実施する。例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、レジストパターン155を基材151、第1金属層32や第2金属層37から剥離させることができる。
〔分離工程〕
次に、第1金属層32および第2金属層37の組み合わせ体を基材151から分離させる分離工程を実施する。これによって、所定のパターンで第1開口部30’が設けられた第1金属層32と、第1開口部30’に連通する第2開口部35’が設けられた第2金属層37と、を備えた蒸着マスク20を得ることができる。
以下、分離工程の一例について詳細に説明する。はじめに、粘着性を有する物質が塗工などによって設けられているフィルムを、基材151上に形成された第1金属層32および第2金属層37の組み合わせ体に貼り付ける。次に、フィルムを引き上げたり巻き取ったりすることにより、フィルムを基材151から引き離し、これによって、第1金属層32および第2金属層37の組み合わせ体をパターン基板150の基材151から分離させる。その後、第1金属層32および第2金属層37の組み合わせ体からフィルムを剥がす。
その他にも、分離工程においては、はじめに、第1金属層32および第2金属層37の組み合わせ体と基材151との間に、分離のきっかけとなる間隙を形成し、次に、この間隙にエアを吹き付け、これによって分離工程を促進してもよい。
なお、粘着性を有する物質としては、UVなどの光を照射されることによって、または加熱されることによって粘着性を喪失する物質を使用してもよい。この場合、第1金属層32および第2金属層37の組み合わせ体を基材151から分離させた後、フィルムに光を照射する工程やフィルムを加熱する工程を実施する。これによって、第1金属層32および第2金属層37の組み合わせ体からフィルムを剥がす工程を容易化することができる。例えば、フィルムと第1金属層32および第2金属層37の組み合わせ体とを可能な限り互いに平行な状態に維持した状態で、フィルムを剥がすことができる。これによって、フィルムを剥がす際に第1金属層32および第2金属層37の組み合わせ体が湾曲することを抑制することができ、このことにより、蒸着マスク20に湾曲などの変形のくせがついてしまうことを抑制することができる。
(蒸着マスクの製造方法の第2の変形例)
上述の本実施の形態においては、蒸着マスク20が、第1金属層32および第2金属層37という、少なくとも2つの金属層を積層させることによって構成される例を示した。
しかしながら、蒸着マスク20は、所定のパターンで複数の貫通孔25が形成された1つの金属層27によって構成されていてもよい。以下、図27〜図29を参照して、蒸着マスク20が1つの金属層27を備える例について説明する。なお、本変形例においては、蒸着マスク20の第1面20aから第2面20bに至る貫通孔25のうち第1面20a上に位置する部分を第1開口部30’と称し、貫通孔25のうち第2面20b上に位置する部分を第2開口部35’と称する。
本変形例による蒸着マスク20を製造する方法について説明する。
まず、所定の導電性パターン152が形成された基材151を準備する。次に図27に示すように、基材151上に、所定の隙間156を空けてレジストパターン155を形成するレジスト形成工程を実施する。好ましくは、レジストパターン155の隙間156を画成するレジストパターン155の側面157の間隔は、基材151から遠ざかるにつれて狭くなっている。すなわち、レジストパターン155が、基材151から遠ざかるにつれてレジストパターン155の幅が広くなる形状、いわゆる逆テーパ形状を有している。
このようなレジストパターン155を形成する方法の一例について説明する。例えば、はじめに、基材151の面のうち導電性パターン152が形成された側の面上に、光硬化性樹脂を含むレジスト膜を設ける。次に、基材151のうちレジスト膜が設けられている側とは反対の側から基材151に入射させた露光光をレジスト膜に照射して、レジスト膜を露光する。その後、レジスト膜を現像する。この場合、露光光の回り込み(回折)に基づいて、図27に示すような逆テーパ形状を有するレジストパターン155を得ることができる。
次に図28に示すように、レジストパターン155の隙間156にめっき液を供給して、導電性パターン152上に金属層27を析出させるめっき処理工程を実施する。その後、上述の除去工程および分離工程を実施することにより、図29に示すように、所定のパターンで貫通孔25が設けられた金属層27を備えた蒸着マスク20を得ることができる。図29に示す符号26は、金属層27の傾斜した壁面を示している。