JP6870236B2 - 微生物固定化担体、及びそれを用いた処理方法 - Google Patents

微生物固定化担体、及びそれを用いた処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂製の基材表面をコーティングすることにより、親水性を向上させ、微生物の付着性能を向上させた水処理に用いる微生物固定化担体に関するものである。
微生物を用いて生活排水や工場廃水等を生物化学的に処理する方法として、さまざまな方法が開発されている。一般的に、処理槽中の微生物量を多くするほど排水処理能力は高くなることが知られている。微生物量を多くする方法として、微生物を媒体に付着させる生物膜処理法がある。このような生物膜処理法は、微生物を付着させる媒体を処理槽に固定させた固定床法と、媒体自体が流動して処理を行う流動床法に分けられる。
流動床法に用いる微生物を固定化する微生物固定化担体として、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリウレタン等の疎水性樹脂の発泡体や異形押出品、更にPVAやPEGのような親水性樹脂の発泡体やゲル等が使用されている。この内、ウレタンやポリエチレン等の疎水性樹脂による微生物固定化担体は、耐久性があり、安価で加工、入手しやすいため、よく使用されている。
これら疎水性樹脂による微生物固定化担体は、処理槽に投入後、処理槽中に沈んでいくまでに長期間かかりやすいため、排水処理システムを立ち上げる時の経費増大の要因になることが知られていた。
そこで、水没性を良くするために、例えば、発泡ウレタンを親水性が高い消泡剤やグリコール類で表面処理する方法(特許文献1,2)が知られているが、処理に用いた薬剤が基材から剥がれて排水に溶出することによって、投入直後のBODが高くなるなどの課題があった。
また、ポリエチレン等に微生物を付着するには長期間かかる場合があり、固定化担体に微生物が付着して安定稼働するまでに長期間を要すると、その間十分な排水量を流せなくなるため、経済的な損失も大きくなる。そこで、処理装置の早期に安定化して稼働させるには、固定化担体に微生物を早期に安定的に付着させる必要があった。
また、微生物固定化担体表面をカチオン性にして付着量を高める方法(特許文献3)があるが、低分子量のカチオン性界面活性剤を用いているため、水との親和性が強いことが原因となり、基材との親和性が不足し、担体表面の改質効果は持続性が低くなるという問題が発生する。
特許公開2008−100185号公報 特許公開2006−346551号公報 特許公開平11−166号公報
本発明の微生物固定化担体は、処理槽内の排水に水没しやすく、また流動性、微生物の付着性を兼ね備えた排水処理能力が高い担体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、親水性と微生物の付着性が高い微生物固定化担体、及びそれを用いた処理方法である。具体的には、疎水性樹脂からなる基材と、疎水性のアルキル鎖を側鎖に有する化合物に、親水性および/またはカチオン性の官能基を有する化合物を含む共重合体とを一体に有した微生物固定化担体である。
本発明は、次の態様を含む。
[1]基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体であって、共重合体(K)は、
(A)アルキル鎖を側鎖に含む(メタ)アクリレートと、
(B)カチオン基を側鎖に有する(メタ)アクリレート、
(C)ノニオン系親水性基を側鎖に有する(メタ)アクリレートを含み、
(A)と((B)+(C))の比率が10/90〜90/10であることを特徴とする微生物固定化担体。
[2](B)と(C)の比率が、5/95〜95/5とする共重合体(K)であることを特徴とする[1]に記載の微生物固定化担体。
[3]共重合体(K)に含まれる(B)のカチオン基が、2級アミン又は3級アミンであることを特徴とする[1]および[2]に記載の微生物固定化担体。
[4]共重合体(K)に含まれる(C)のノニオン系親水基が、エチレンオキシド、及び/またはエチレンオキシドの繰り返し単位を含むことを特徴とする[1]から[3]のうちのいずれか一項に記載の微生物固定化担体。
[5]共重合体(K)に含まれる(A)のアルキル鎖が、炭素数8以上のアルキル鎖であることを特徴とする[1]から[4]のうちのいずれか一項に記載の微生物固定化担体
[6][1]から[5]のうちいずれか一項に記載の微生物固定化担体を用いることを特徴とする排水処理方法。
本発明の微生物固定化担体は、処理槽内の排水中に水没しやすく、また流動性、微生物の付着性を兼ね備えた排水処理能力が高い担体が提供できる。具体的には、担体表面を親水性に修飾することで、処理槽の水に投入した際に、速やかに水没することが可能となった。また、処理槽で発生した気泡が担体付着することなく、担体自体が浮きにくくすることが可能となった。更に、担体の表面がカチオン化されることにより、微生物が付着しやすいという特徴から、本発明の微生物固定化担体を排水処理等の処理槽に用いた際に、微生物が処理層内の排水処理能力が向上し、短期間で排水を処理することが可能となった。従って、初期のランニングコストを低減することが可能となった。
本発明の担体は、基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した微生物固定化用の担体であり、共重合体(K)は、(A)アルキル鎖を側鎖に有する(メタ)アクリレートと、(B)カチオン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートと、(C)ノニオン系親水性基を側鎖に有する(メタ)アクリレートを含む共重合体である。
具体的には、基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体であって、共重合体(K)は、
(A)アルキル鎖を側鎖に含む(メタ)アクリレートと、
(B)カチオン基を側鎖に有する(メタ)アクリレート、
(C)ノニオン系親水性基を側鎖に有する(メタ)アクリレートを含み、
(A)と((B)+(C))の比率が10/90〜90/10である共重合体である。
本発明において基材(Y)の形状は、例えば、中空管状形、球体、円柱形、立方体、直方体、板状、シート形状、発泡体等を挙げることができ、中空管状形としては、断面が円形、楕円形、三角形、四角形以上の多角形、不定形の断面等いかなる形の管状でも構わない。更に、担体の形状としては、これら形状の組み合わせでも良い。
本発明において、基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体とは、基材(Y)を核とし、その核部分の表面全体または一部を共重合体(K)で覆う形態を例示することができる。他にも基材(Y)を例えば板状にして、その全体または一部を共重合体(K)で覆う形態を例示することができる。このように、基材(Y)に共重合体(K)で覆われた形態とすることによって、基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した表面に微生物が付着しやすくなり、微生物固定化担体として使用することが可能となる。
また、本発明において共重合体(K)に含まれる(A)のアルキル鎖を側鎖に有する(メタ)アクリレートは、疎水性であることが望ましい。その理由として、疎水性であることによって、基材(Y)の表面に共重合体(K)が物理的に付着することが可能となるからである。
更に、基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体とするために、物理的に基材(Y)と共重合体(K)の付着性を高くするには、共重合体(K)に含まれる(A)のアルキル鎖を有する(メタ)アクリレートを連続した構成にするのが望ましい。(A)のアルキル鎖が、炭素8以上の直鎖状アルキル鎖であると、微生物固定化担体となる基材(Y)との付着性が高くなり、好ましい。
側鎖が炭素8以上の直鎖状アルキル鎖である(A)のアルキル鎖を側鎖に有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベヘニルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、デシルアクリレート、ヘキシルアクリレート等のアクリル酸エステル、ベヘニルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等のメタクリル酸エステルをあげることができる。
更に本発明のコーティングした微生物固形化担体の処理槽等での使用温度よりも共重合体(K)の融点が低いと、処理槽中での撹拌で剥がれ易くなるため、共重合体(K)の融点、もしくはガラス転移温度は、40℃以上であることが望ましい。共重合体(K)の融点は、側鎖結晶性を有する(A)のアルキル鎖を側鎖に有する(メタ)アクリレートのポリマーの融点に相関することから、融点が40℃以上となる(A)のアルキル鎖を側鎖に有する(メタ)アクリレートを用いるのが好ましく、例えば、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、およびこれらを主成分とする混合物等をあげることができる。
(A)の(メタ)アクリレートは、単一の化合物でもよいし、複数の化合物からなる混合物を用いてもよい。
(B)カチオン基を有する(メタ)アクリレートは、側鎖のカチオン基がカチオン性と親水性を示す。従って、共重合体(A)は、(B)カチオン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートを含有することによって、担体の表面をカチオン性と親水性にすることができる。更に(B)カチオン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートは、単一の化合物でもよいし、複数の化合物からなる混合物でも良い。
また、(B)カチオン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートとしては、例えば1級アミン、2級アミン、3級アミンを側鎖に有する(メタ)アクリレートをあげることができる。 1級アミンを用いる場合には、(B)カチオン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートの1級アミンを側鎖に有する(メタ)アクリレートとして、アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート等をあげることができる。
2級アミンを用いる場合には、(B)カチオン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートの2級アミンを側鎖に有する(メタ)アクリレートとして、例えば、(メチルアミノ)エチルアクリレート、(エチルアミノ)エチルアクリレート(t−ブチルアミノ)エチルアクリレート、(i−プロピルアミノ)エチルアクリレート、(メチルアミノ)エチルメタクリレート、(エチルアミノ)エチルメタクリレート(プロピルアミノ)エチルメタクリレート、(i−プロピルアミノ)エチルメタクリレート、t−(ブチルアミノ)エチルメタクリレート等をあげることができる。
3級アミンを用いる場合には、アミノを側鎖に有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、エチル−3−(N,N−ジメチルアミノ)アクリレート、3−(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、(ジエチルアミノ)プロピルアクリレート、(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、(ジエチルアミノ)プロピルメタクリレート等をあげることができる。
(B)カチオン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートとして、好ましくは、微生物の付着と増殖性のバランスが良好という点から、2級アミンと3級アミンが好ましい。最も好ましくは、t−(ブチルアミノ)エチルメタクリレート、(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、(ジエチルアミノ)エチルアクリレート、(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートは、入手しやすいため好ましい。
(C)ノニオン性親水基を側鎖に有する(メタ)アクリレートとしては、担体表面を高い親水性とすることができる。従って、本発明の基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体を水に投入した時の水没性を良くすることができる。
(C)ノニオン性親水基を側鎖に有する(メタ)アクリレートとして、例えば、側鎖にエチレンオキシドを有する(メタ)アクリレートが好ましく、具体的には、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールメチルエーテルアクリレート、エチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ジエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、エチレングリコールメチルエーテルメタクリレート等をあげることができる。これらの(C)ノニオン性親水基を側鎖に有する(メタ)アクリレートは、単一の化合物でもよいし、複数の化合物からなる混合物でも良い。
また上記の通り、微生物固定化担体である基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体である共重合体(K)を処理槽に投入した際、水没性を良くするためには、共重合体(K)の表面の親水性を高める必要がある。具体的には、共重合体(K)表面の親水性について水中接触角として評価した際に、60度以下にすることが望ましく、50度以下が特に好ましい。その理由として、共重合体(K)の水中接触角が低ければ担体表面の親水性が高くなり、水没性が向上するからである。一方、共重合体(K)表面の水中接触角が60度以上の場合、共重合体(K)表面に気泡が付着して浮いたままになりやすくなり、排水処理能力が低下するので好ましくない。
一般的に排水等にいる微生物表面の電荷はマイナスに帯電しているので、本発明の基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体の表面に微生物の付着性を向上させる目的で、基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体の表面をカチオン性にすることが好ましい。
本発明において、微生物固定化担体である基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体表面のカチオン性を評価する方法として、固体表面のゼータ電位を測定することが挙げられる。具体的に評価する機器として、例えば、大塚電子製のゼータ電位測定機をあげることができる。本発明に用いる担体の基材(Y)表面のゼータ電位をZ0、基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体の表面のゼータ電位Z1とした時、ゼータ電位差ΔZは、ΔZ=Z1−Z0で表すことができる。
本発明において、担体表面の微生物の付着性を高めるためにはΔZは5mV以上が好ましい。ΔZが5mV未満であると、微生物固定化担体の表面の改質効果が少なく、微生物の付着性が低い状態となる。また微生物の種類にもよるが、基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体である共重合体(K)の表面のカチオン量が多く、かつゼータ電位差が高すぎると、微生物の増殖性が低下するため、ΔZは5〜70mVが好ましく、5〜50mVが特に好ましい。例えば、基材(Y)のゼータ電位(Z0)が−10mVの場合、本発明の担体の表面の好ましいゼータ電位(Z1)は−5〜60mVとなり、−5〜40mVが特に好ましくなる。
本発明において共重合体(K)と微生物固定化担体の基材(Y)とは物理的な作用で付着し、共有結合を伴うものではないため、通常のコーティング方法を用いればよい。例えば、ディップコーティング、ドロップキャスト、スピンコーティング、バーコーティング、塗布、浸漬、噴霧等をあげることができ、これらを複合してもよい。また、これらのコーティング処理を行う時、共重合体(K)のコーティング層を安定化させるために加熱しながらコーティングしてもよい。更に、これらの処理の後、基材表面が濡れたままで取り扱いにくい場合は、コーティングした後乾燥させてもよい。
本発明において、基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体は、担体表面の親水性向上とカチオン性を得ること及び、共重合体(K)と基材(Y)の付着性を高めて耐久性を高めるために、共重合体(K)の組成比である(A)/((B)+(C))の比率は、10/90〜90/10が好ましい。また、担体の表面の水中接触角を60度以下にする場合、共重合体(K)の(A)/((B)+(C))は、10/90〜60/40にすることが特に好ましい。その理由として、(B)と(C)の合計比率が大きいと、共重合体(K)に含まれる親水性成分が多くなり、コーティング層を薄くしても、コーティングした微生物固定化担体の表面が容易に親水性となることが挙げられる。
本発明において基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体の表面の親水性とゼータ電位を上記の範囲にするために、共重合体(K)に含まれる(B)のカチオン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートと(C)のノニオン性親水基を側鎖に有する(メタ)アクリレートの組成比(B)/(C)としては、5/99〜95/5が好ましい。また、(B)カチオンを側鎖に有する(メタ)アクリレートが1/100未満の場合、表面処理した担体のカチオン性が不足するので好ましくない。
更に、本発明において共重合体(K)が、(C)のノニオン性親水基を側鎖に有する(メタ)アクリレートを含まない、(A)のアルキル鎖を側鎖に有する(メタ)アクリレートと(B)のカチオン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートからなる共重合体の場合、通常は(B)の成分が多いほど、表面処理した担体表面は親水性を増す。しかし、3級アミンを側鎖に有する(メタ)アクリレート(B)とアルキル鎖を側鎖に有する(メタ)アクリレート(A)からなる共重合体(K)を用いてコーティングすると、コーティング層が薄い場合親水性を示すが、コーティング層が厚い場合、疎水性となる場合があることがある。このような場合、コーティングした担体の表面の親水性とカチオン性のバランスがとりやすくなるので、20/80〜90/10が好ましく、30/70〜60/40が特に好ましい。
本発明において共重合体(K)は、(A)、(B)及び(C)を含む共重合体であって、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれでも構わない。本発明の共重合体(K)は、基材に付着させる必要があるため、(A)の(メタ)アクリレートが連続した部分を有するのが好ましく、それにはブロック共重合体が好ましい。ブロック共重合体として、モノマー構成が異なるポリマーを2つ以上組み合わせた物あれば特に制限はないが、例えば、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体、一部ポリマー構成がランダム構造であるブロック共重合体等をあげることができる。このようなブロック共重合体としては、例えば、(A)を含むブロックと(B)と(C)を含むブロックからなるジブロック共重合体、(A)と(B)と(C)をそれぞれ含むブロックからなるトリブロック共重合体等があげられる。
本発明において共重合体(K)の平均分子量(Mw)としては、5000以上100万以下が好ましく、更に1万以上50万以下が好ましい。共重合体(C)の分子量が大きすぎると共重合体を合成するのが大変になるだけでなく、コーティング液に溶けにくくなり、また、分子量が小さすぎると水への溶解性が高くなって基材への付着性が低下してコーティング層の耐久性が低下するため好ましくない。
本発明において共重合体(K)の重合法としては、例えば、アニオン重合、カチオン重合、ラジカル重合を上げることができ、合成しやすいことからラジカル重合が好ましい。ラジカル重合としてはフリーラジカル重合やリビングラジカル重合をあげることができ、中でも、共重合体(K)の構造や分子量等を調整しやすいことから、リビングラジカル重合が特に好ましい。リビングラジカル重合としては、ATRP法やRAFT法等のような重合方法を用いることができる。
共重合体(K)の(A),(B)及び(C)の組成比によって、膜厚により表面処理後の親水性やカチオン性が変わるので、所望の表面処理後の特性に応じたコーティング層の厚みを選択すればよく、それには、コーティング濃度を変えることでコーティング層の厚みを変えることができる。
本発明の基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体である共重合体(K)のコーティング層の厚みは、1nm以上あれば良く、これ以下であると層が薄すぎてコーティングによる効果が無くなるので好ましくない。更に、5〜1000nmの範囲が好ましく、10〜500nmが特に好ましい。これ以上コーティング層を厚くしたとしても、微生物固定化担体の表面の改質効果が期待できず、不経済となりやすいので、好ましくない。
本発明の担体のコーティングに用いるコーティング液に含まれる共重合体(K)の濃度としては、コーティング方法に適した濃度を用いればよく、例えば、ディップコーティングの場合は0.001〜10wt%、更に0.005〜5wt%が好ましい。共重合体(K)の濃度が高い場合、共重合体の溶解性が低下して安定的にコーティングしにくくなるだけでなく、基材に付着したコーティング層の厚くなり過ぎてコーティングが無駄となるので、好ましくない。また、共重合体(K)の濃度が上記範囲より薄いと、基材表面にコーティング層が薄くなりやすくなり、担体の表面改質効果が得られにくくなるので、好ましくない。
コーティング液には、共重合体(K)以外に、本発明の効果を阻害しない限り、有機溶媒、酸化防止剤、水等を用いることができる。
有機溶媒として、例えば、トルエン、キシレン、n−酢酸ブチル、ヘキサン、アセトン、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等をあげることができ、中でもトルエン、キシレンが共重合体(K)の溶解性が良いので好ましい。
共重合体(K)をこれら溶媒に溶解するときは、溶解性を高めるために適度に加熱してもよい。
本発明において、基材(Y)としては、共重合体(K)の疎水性部分である(A)のアルキル鎖を側鎖に有する(メタ)アクリレートと基材(Y)の付着性が良いことから、疎水性高分子が好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ポリウレタン等をあげることができ、これら中から1種類または2種類以上を用いてもよい。特に共重合体(K)の付着性が良好なことから、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)が特に好ましい。
本発明において、基材(Y)の比重は特に制限はないが、流動床用微生物固定化担体として用いる場合には微生物固定化担体が水面に浮上していると、排水浄化に用いる際に排水との接触が少なくなって浄化効率が低下するので、基材(Y)の比重は0.95〜1.20が好ましい。更に、少ない動力で撹拌して担体を流動、循環させるためには、微生物固定化担体の基材(Y)の比重を、1.00〜1.10が特に好ましい。
本発明において基材(Y)の比重を上記範囲に調整するために、比重が1よりも高い充填剤(E)を適当量添加してもよい。充填剤(E)としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、クレー、雲母、ガラス粒子、ガラス繊維等を挙げることができ、これらの内1種類もしくは2種類以上用いてもよい。これらの中で、炭酸カルシウム、タルクが低コストで入手しやすいことから好ましい。
また、本発明において充填剤(E)の含有量としては、本発明の基材(Y)の比重が上記の範囲になるように調整することが好ましい。具体的には、比重2.7の炭酸カルシウムの場合、本発明の基材(Y)の比重にもよるが樹脂組成物100重量部に対し、好ましくは0〜75重量部、更に好ましくは5〜50重量部含有させればよい。
本発明において発泡体は、連続気泡や独立気泡、発泡倍率も特に制限はなく、流動床用微生物固定化担体として用いる場合、担体の見かけ比重が上記の基材(Y)の比重の範囲を外れなければよく、連続気泡か独立気泡の発泡形態を考慮の上、基材(Y)の真比重と発泡倍率を調整すればよい。
本発明において基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体の大きさとしては、3〜30mmが好ましく、特に3〜10mmが好ましい。担体の大きさがこの範囲から小さすぎると、微生物固定化担体が排水槽等から流出しやすくなるので、好ましくない。逆に大きすぎると流動性の低下や表面積が少なくなるので、排水との接触効率が低下して微生物固定化担体の使用量が多くなる場合があるので好ましくない。
本発明において基材(Y)の成形方法としては、射出成形、押出成形、プレス成形、発泡成形等したものをそのまま使用しても良く、更に担体を所定の大きさに切断や粉砕、融着、接着等の二次加工して使用しても構わない。特に、生産性が高いので、連続成形する押出成形が好ましい。また、基材(Y)を押出成形する場合、例えば、押し出された成形品を冷却用水槽等で冷却し、連続切断機にて所定の大きさに切断して担体とする。さらに、金型から押し出された直後に、例えば、冷却水を噴霧した雰囲気下で連続回転式カッターのような切断機で連続的に冷却、切断することで製造してもよい。
押出成形に使用する押出機としては、通常の単軸押出機、二軸押出機等を用いればよい。また、担体を成形する時に材料の混練を兼ねることも制限はなく、例えば、同方向二軸押出機、単軸押出機等を用いて混練と成形を同時に行えばよい。更に、この場合、前述した混練方法と同様に材料の供給方法は如何なる方法でも制限はないが、材料の供給と分散性等を向上させるために、充填剤等添加する場合マスターバッチにて供給してもよい。
本発明において基材(Y)を押出成形等のような連続式成型方法で作製する場合、基材(Y)が成形機及び切断機等から出てきた時に連続してコーティング処理してもよい。
基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体の表面積を増やす目的で、表面に板状の突起や微細な凹凸を設けることは、微生物の固定量が多くなるばかりでなく、固定した微生物の脱落防止のため特に好ましい。
基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体表面に微細な凹凸を形成する方法として、例えば、押出成形用金型に凹凸をつけて形成する方法、樹脂のメルトフラクチャー現象を発生させて形成する方法、充填剤を添加や発泡して凹凸を形成する方法等をあげることができ、これらを単独で用いてもよいし、複合させて用いてもよい。
また、樹脂のメルトフラクチャー現象を利用することによって、基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体表面に凹凸をつける方法として、例えば、押出成形等におけるシャークスキンやメルトフラクチャー、グロスメルトフラクチャー等の樹脂の成形時の現象を応用するのが好ましい。このような現象を用いるためには、例えば、ポリオレフィン系樹脂(A)を直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のような、分子量分布が狭い樹脂を用いるとシャークスキンが発生しやすいので、好ましい。
本発明において、基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体表面の凹凸の深さとしては、0.01〜2mmが好ましい。これ以上大きな凹凸であると、固定化した微生物の剥離防止効果が小さくなる。
本発明において基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体は、排水等の微生物膜処理方法等に用いることができ、この使用方法としては、処理する液の性状と温度、処理槽の構造等に応じて適当量の微生物固定化担体に処理に適した微生物を適宜付着させて用いればよい。
本発明において基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体に微生物を付着させる方法として、担体を直接排水に投入して自然に微生物が付着させても良いが、事前に処理に適した微生物を増殖させた水槽に本発明の一部または全部の微生物固定化担体を入れて微生物を付着させてから取り出し、処理槽に投入しても構わない。
本発明において、基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体は、担体表面が適度に親水化され、比重が調整されているので処理槽に投入した時の水没性が良好であり、排水が入った処理層に担体を投入すればよい。担体の水没性を高める目的で、投入するときに処理液を適当な方法で撹拌してもよい。
本発明において基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体を用いる排水の浄化方法としては、固定床法と流動床法の如何なる方法でも構わないが、微生物固定化担体の隙間の閉塞が少ないので、流動床法に用いるのが好ましい。
本発明において基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体の保存方法は、コーティングした微生物固定化担体は化学的に安定な物質であり、長期保存安定性がよいため、保管方法に特に制限は無く、乾燥した状態での保存や水等で濡れた状態での保存でも良い。本発明のコーティングした微生物固定化担体は、表面が親水化されて水没性が良いため、事前に水に浸漬させる必要はなく、保管の簡便性と輸送性から乾燥状態での保管が好ましい。
以下に実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明の理解を助けるための例であって本発明はこれらの実施例により何等の制限を受けるものではない。尚、用いた試薬等は断りのない限り市販品を用いた。
(試薬等)
(A)アルキル(メタ)アクリレート
オクタデシルアクリレート(略称ODA)
ヘキサデシルアクリレート(略称HDA)
オクタデシルメタクリレート(略称ODMA)
(B)カチオン基を側鎖に有する(メタ)アクリレート
t−ブチルアミノエチルメタクリレート(略称TBAEMA)
ジメチルアミノエチルアクリレート(略称DMAEA)
(C)ノニオン性親水基を側鎖に有する(メタ)アクリレート
ポリエチレングリコールメタクリレート(略称PEGMA、分子量360)
ポリエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート(略称PEGMEMA、分子量300)
ポリエチレングリコールメチルエーテルアクリレート(略称PEGMEA,分子量480)
重合用連鎖移動剤
4−シアノ−4−[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸 (略称C1)
2−シアノ−2−プロピルドデシルトリチオカルボネート(略称C2)
重合開始剤
アゾビスイソブチロニトリル(略称AIBN)
以上、全ての試薬は和光純薬、もしくはシグマ・アルドリッチ、東京化成から購入した。
(分子量測定)
GPCにて、カラムに東ソー製カラムと標準分子量サンプルにポリスチレンを用いて分子量Mwを測定した。
(融点の測定)
アルミ容器にポリマーを量り取り、示差走査熱量測定(DSC)測定機を用いて融解熱を測定し、融点(Tm)を決定した。
(接触角の測定)
コーティングしたシートを測定用セルに入れ、協和界面科学製接触角測定機を用いて水中での空気との接触角(θ)を測定した。接触角は、純水に浸漬した直後と7日後の値を比較した。なお、水中の接触角は(180−θ)にて表示した。
なお、コーティングしていないPEシートの接触角(180−θ)は85度であった。
(ゼータ電位の測定)
微生物固定化担体の表面のゼータ電位を直接測定できないので、同じ基材と表面処理したシートを用いて測定した。測定機として、大塚電子株式会社製ゼータ電位測定機を用いて、測定用シートを塩化ナトリウム水溶液に浸漬し、1日後にシート表面のゼータ電位を測定した。
なお、コーティングしていないPEシート表面のゼータ電位は、−10mVであった。
(実施例1)
<ODAポリマー(1a)の合成>
反応容器にトルエンを50ml、ODAを16.2g、C1を0.4g、AIBNを0.008gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を65℃、20時間保ちリビングラジカル重合(RAFT重合)させた。反応容器から反応溶液を取出し、THFで希釈後、メタノールで再沈精製を行い、分子量Mw16,000のODAポリマー(1a)を得た。得られたODAポリマー(1a)の融点は51℃であった。
<ODA−TBAEMA−PEGMEMA共重合体(1b)>
反応容器にトルエンを9ml、ODAポリマー(1a)を13.6g、TBAEMAを3.3g、AIBNを0.03gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を65℃、48時間保ち反応させた。加熱減圧下で重合溶媒等を除去した後、TBAEMA−PEGMEMA部分がランダム構造となったODA−TBAEMA−PEGMEMAブロック共重合体(1b)を得た。得られたブロック共重合体(1b)の分子量Mwは19,000、ODA/TBAEMA/PEGMEMAの比率は88/5/7(mol%)、融点は50℃であった。なお、共重合体(1b)の組成比はNMR(核磁気共鳴分光)法にて解析した。
ブロック共重合体(1b)の1wt%トルエン溶液を60℃に加熱して、PEシートを浸漬、室温で乾燥させてディップコートした。ディップコートしたPEシート表面の水中接触角は、1日目で30度、7日目で35度、ゼータ電位は33mV(ΔZ=43mV)であり、耐久性が高いコーティング処理ができた。
(実施例2)
<ODA−DMAEA−PEGMEA共重合体(2b)>
反応容器にトルエンを10ml、実施例1で得られたODAポリマー(1a)を1.3g、DMAEAを1.7g、PEGMEMAを1.9g、AIBNを0.001gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を65℃、48時間保ち反応させた。加熱減圧下で重合溶媒等を除去した後、DMAEA−PEGMEA部分がランダム構造となったODA−DMAEA−PEGMEAブロック共重合体(2b)を得た。得られたブロック共重合体(2b)の分子量Mwは52,000、ODA/DMAEA/PEGMEAの比率は22/58/20(mol%)、融点は51℃であった。
実施例1と同様にして、ブロック共重合体(2b)の0.05wt%トルエン溶液でコーティングしたPEシート表面の水中接触角は、1日目で48度、7日目で49度、ゼータ電位は25mV(ΔZ=35mV)であり、耐久性が高いコーティング処理ができた。
(実施例3)
<ODAポリマー(3a)>
反応容器にトルエンを15ml、ODAを9.7g、C2を0.38g、AIBNを0.04gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、24時間保ち反応させた。反応容器から反応溶液を取出し、THFで希釈後、メタノールで再沈精製を行い、分子量Mw9000のODAポリマー(3a)を得た。得られたODAポリマー(3a)の融点は51℃であった。
<ODA−DMAEA−PEGMEA共重合体(3b)>
反応容器にトルエンを6ml、ODAポリマー(3a)を2.1g、PEGMEAを2.3g、AIBNを0.009gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、24時間保ち反応させた。その後、DMAEAを0.69gとトルエン2ml、AIBNを0.009g同じ反応容器に追加して、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、48時間保ち反応させた。加熱減圧下で重合溶媒等を除去した後、ODA−PEGMEA−DMAEAトリブロック共重合体(3b)を得た。得られたブロック共重合体(3b)の分子量Mwは17,000、ODA/DMAEA/PEGMEMAの比率は45/32/23(mol%)、融点は51℃であった。
実施例1と同様にして、ブロック共重合体(3b)の0.1wt%トルエン溶液でコーティングしたPEシート表面の水中接触角は、1日目で50度、7日目で53度、ゼータ電位は18mV(ΔZ=28mV)であり、耐久性が高いコーティング処理ができた。
(実施例4)
<ODAポリマー(4a)>
反応容器にキシレンを30ml、ODAを19.5g、C2を0.4g、AIBNを0.04gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、24時間保ち反応させた。反応容器から反応溶液を取出し、THFで希釈後、メタノールで再沈精製を行い、分子量Mw16000、融点51℃のODAポリマー(4a)を得た。
<ODA−DMAEA−PEGMEA共重合体(4b)>
反応容器にトルエンを10ml、ODAポリマー(4a)を2.6g、PEGMEAを5.8g、DMAEAを0.35g、AIBNを0.007gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、24時間保ち反応させ、PEGMEAとDMAEAがランダム構造となったODA−PEGMEA−DMAEAジブロック共重合体(4b)を得た。得られたブロック共重合体(4b)の分子量Mwは29,000、ODA/DMAEA/PEGMEAの比率は40/13/47(mol%)、融点は50℃であった。
実施例1と同様にして、ブロック共重合体(4b)の0.5wt%トルエン溶液でコーティングしたPEシート表面の水中接触角は、1日目で36度、7日目で36度、ゼータ電位は10mV(ΔZ=20mV)であり、耐久性が高いコーティング処理ができた。
(実施例5)
<ODA−DMAEA−PEGMEMA共重合体(5b)>
反応容器にトルエンを20ml、実施例4で合成したODAポリマー(4a)を2g、DMAEAを1.7g、PEGMEMAを1g、AIBNを0.009gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、36時間保ち反応させ、DMAEA−PEGMEA部分がランダム構造となったODA−DMAEA−PEGMEMAブロック共重合体(5b)を得た。得られたブロック共重合体(5b)の分子量Mwは47,000、ODA/DMAEA/PEGMEAの比率は30/60/10(mol%)、融点は50℃であった。
実施例1と同様にして、ブロック共重合体(5b)の0.05wt%トルエン溶液でコーティングしたPEシート表面の水中接触角は、1日目で51度、7日目で53度、ゼータ電位は21mV(ΔZ=31mV)であり、耐久性が高いコーティング処理ができた。
(実施例6)
<ODAポリマー(6a)>
反応容器にトルエンを8ml、ODAを5g、C2を0.2g、AIBNを0.02gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、24時間保ち反応させ、分子量Mwが9000、融点が50℃のODAポリマー(6a)を得た。
<ODA−DMAEA−PEGMEA共重合体(6b)>
ODAポリマー(6a)を精製せずに、反応容器にトルエンを12ml、DMAEAを1.7g、PEGMEAを5.8g、AIBNを0.02gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、24時間保ち反応させ、DMAEA−PEGMEA部分がランダム構造となったODA−PEGMEA−DMAEA共重合体(6b)を得た。得られたブロック共重合体(6b)の分子量Mwは28,000、ODA/DMAEA/PEGMEAの比率は46/27/27(mol%)、融点は51℃であった。
実施例1と同様にして、ブロック共重合体(6b)の0.05wt%トルエン溶液でコーティングしたPEシート表面の水中接触角は、1日目で57度、7日目で60度、ゼータ電位は2mV(ΔZ=12mV)であり、耐久性が高いコーティング処理ができた。
(実施例7)
<HDAポリマー(7a)>
反応容器にトルエンを30ml、HDAを18g、C2を0.12g、AIBNを0.01gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を65℃、24時間保ち反応させた。反応容器から反応溶液を取出し、THFで希釈後、メタノールで再沈精製を行い、分子量Mw39,000、融点36℃のHDAポリマー(7a)を得た。
<HDA―DMAEA−PEGMEA共重合体(7b)>
反応容器にトルエンを10ml、ODAポリマー(7a)を1.8g、PEGMEAを3.8g、DMAEAを0.86g、AIBNを0.002gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、24時間保ち反応させ、DMAEA−PEGMEA部分がランダム構造となったHDA−DMAEA−PEGMEA共重合体(7b)を得た。得られたブロック共重合体(7b)の分子量Mwは140,000、HDA/DMAEA/PEGMEAの比率は31/29/40(mol%)、融点は36℃であった。
実施例1と同様にして、ブロック共重合体(7b)の0.05wt%トルエン溶液でコーティングしたPEシート表面の水中接触角は、1日目で48度、7日目で47度、ゼータ電位は13mV(ΔZ=23mV)であり、耐久性が高いコーティング処理ができた。
(実施例8)
<ODMAポリマー(8a)>
反応容器にトルエンを30ml、ODMAを20g、C1を0.1g、AIBNを0.001gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、24時間保ち反応させた。反応容器から反応溶液を取出し、THFで希釈後、メタノールで再沈精製を行い、分子量Mw38000のODMAポリマー(8a)を得た。
<ODMA−TBAEMA−PEGMEMA共重合体(8b)>
反応容器にトルエンを10ml、ODMAポリマー(8a)を3.4g、TBAEMAを0.37g、PEGMEMAを2.4g、AIBNを0.004gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を65℃、24時間保ち反応させ、TABEMAとPEGMEMAがランダム構造となったODMA−TBAEMA−PEGMEMAブロック共重合体(8b)を得た。得られたブロック共重合体(8b)の分子量Mwは92,000、ODMA/TBAEMA/PEGMEMAの比率は58/5/37(mol%)であり、融点はなかった。
実施例1と同様にして、ブロック共重合体(8b)の0.1wt%トルエン溶液でコーティングしたPEシート表面の水中接触角は、1日目で38度、7日目で39度、ゼータ電位は31mV(ΔZ=41mV)であり、耐久性が高いコーティング処理ができた。
(実施例9)
<ODA−DMAEA−PEGMEA共重合体(9b)>
反応容器にトルエンを10ml、ODAポリマー(4a)を2.3g、PEGMEAを4.1g、DMAEAを0.62g、AIBNを0.007gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、48時間保ち反応させ、PEGMEAとDMAEAがランダム構造となったODA−DMAEA−PEGMEジブロック共重合体(9b)を得た。得られたブロック共重合体(9b)の分子量Mwは25,000、ODA/PEGMEA/DMAEAの比率は45/12/43(mol%)、融点は50℃であった。
実施例1と同様にして、ブロック共重合体(9b)の0.1wt%トルエン溶液でコーティングしたPEシート表面の水中接触角は、1日目で37度、7日目で40度、ゼータ電位は9mV(ΔZ=19mV)であり、耐久性が高いコーティング処理ができた。
(実施例10)
<ODAポリマー(10a)>
反応容器にトルエンを30ml、ODAを20g、C2を0.1g、AIBNを0.004gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、24時間保ち反応させた。反応容器から反応溶液を取出し、THFで希釈後、メタノールで再沈精製を行い、分子量Mw49000、融点51℃のODAポリマー(10a)を得た。
<ODA−DMAEA−PEGMEA共重合体(10b)>
反応容器にトルエンを10ml、ODAポリマー(10a)を1.9g、DMAEAを0.3g、PEGMEAを5.7g、AIBNを0.002gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、40時間保ち反応させ、DMAEA−PEGMEA部分がランダム構造となったODA−DMAEA−PEGMEA共重合体(10b)を得た。得られたブロック共重合体(6b)の分子量Mwは160,000、ODA/DMAEA/PEGMEAの比率は39/7/54(mol%)、融点は50℃であった。
実施例1と同様にして、ブロック共重合体(9b)の0.05wt%トルエン溶液でコーティングしたPEシート表面の水中接触角は、1日目で39度、7日目で39度、ゼータ電位は1mV(ΔZ=11mV)であり、耐久性が高いコーティング処理ができた。
(実施例11)
<ODA−DMAEA−PEGMA共重合体(11b)>
反応容器にトルエン15ml、ODAを1.8g、DMAEAを0.89g、PEGMAを5.8gg、AIBNを0.002gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を65℃、8時間保ちラジカル重合させた。反応容器から反応溶液を取出して再沈精製を行い、ODA−DMAEA−PEGMAランダム共重合体(11b)を得た。得られた共重合体の分子量Mwは42,000、ODA/PEGMAの比率は、46/5/49(mol%)、融点は42℃であった。
実施例1と同様にして、ODA−DMAEA−PEGMAランダム共重合体(S1)の0.05wt%トルエン溶液でコーティングしたPEシート表面の水中接触角は、1日目で41度、7日目で48度となり、ゼータ電位は0mV(ΔZ=10mV)であった。
(比較例1)
<ODA−DMAEA共重合体(S1)>
反応容器にトルエンを10ml、ODAポリマー(4a)を1.9g、DMAEAを2.0g、AIBNを0.005gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を60℃、48時間保ち反応させ、ODA−DMAEAジブロック共重合体(S1)を得た。得られたブロック共重合体(S2)の分子量Mwは37,000、ODA/DMAEAの比率は53/47(mol%)、融点は50℃であった。
実施例1と同様にして、ブロック共重合体(S1)の0.05wt%と0.5wt%のトルエン溶液でコーティングし、コーティングの膜厚を電子顕微鏡で測定したところ、コーティング溶液濃度0.05wt%と0.5wt%の膜厚はそれぞれ数十nmと約200〜300nmであった。
0.05wt%のトルエン溶液でコーティングしたPEシート表面の水中接触角は、63度と親水性になり、ゼータ電位は7mVとなった。更に、ブロック共重合体(S1)の0.5wt%のトルエン溶液でコーティングしたPEシート表面のゼータ電位は19mV(ΔZ=29mV)であったが、水中接触角は87度と疎水性となり、コーティングの厚みにより親水性が変化することが判った。
(比較例2)
<TBAEMAポリマー(S2)>
反応容器にトルエン20ml、TBAEMAを6g、AIBNを0.07gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を65℃、3時間保ち反応させ、TBAEMAポリマー(S2)を得た。得られた共重合体の分子量Mwは11,000であり、融点はなかった。
実施例1と同様にして、TBAEMAポリマー(S2)の0.05wt%トルエン溶液でコーティングしたPEシート表面の水中接触角は、1日目で40度、7日目で68度と親水性が低下した。
(比較例3)
<PEGMEMAポリマー(S3)>
反応容器にジオキサン30ml、PEGMEMAを4.5g、C1を0.17g、AIBNを0.004gそれぞれ量り取り、30分間窒素バブリングした後、窒素雰囲気下で反応容器を65℃、12時間保ち反応させ、PEGMEMAポリマー(S3)を得た。得られた共重合体の分子量Mw7,000であり、融点はなかった。
実施例1と同様にして、PEGMEMAポリマー(S3)の0.05wt%トルエン溶液でコーティングしたPEシート表面の水中接触角は、1日目で24度、7日目で75度と親水性が低下した。
(比較例4)
実施例10で作成したODAポリマー(10a)の0.05%トルエン溶液を作成し、実施例1と同様にPEシートをディップコーティングした。コーティングしたPEシートの水中接触角は、1日目で105度、7日目で100度と未処理のPEシートよりも疎水性が高くなった。
(担体の表面処理)
炭酸カルシウムを添加して比重1.05に調整したポリエチレンを押出成形して、内径約4mm、長さ約4mm、肉厚0.5mmの中空円筒形の微生物固定化担体の基材を得た。これに表4に示したトルエン溶液にディップコーティングして表面処理した微生物固定化担体を得た。
(担体の沈降性評価)
1時間以上空気を暴露した水500mlに、コーティングした微生物固定化担体25mlを撹拌しながら入れて、水への水没性と気体の付着性を評価した。
担体の水没性と気体の付着性は、下記の4段階で評価した。
◎:80%以上の担体が沈降した。
○:50〜80%の担体が沈降した。
△:20〜50%の担体が沈降した。
×:80%以上の担体が浮いたままであった。
コーティングしていない微生物固定化担体は、水に投入した時担体表面に空気層ができて、水没し難くなった。また、一旦水中に沈んでも、担体表面に気泡が付着して、水面付近に浮いた担体が多く、撹拌を強くしても浮いたままであった。一方、共重合体2b、共重合体4bと共重合体10bでコーティングした微生物固定化担体は、担体表面が高度に親水化されているので、水に投入した時に用意に水没し、担体表面に一旦気泡が付着し難くなり、浮いた担体は少なくなった。
(微生物の付着性評価)
汚泥を入れた模擬排水に微生物固定化担体を入れて約1か月間ゆっくりと撹拌し続け、微生物の付着状況を評価した。
担体の微生物の付着性は、下記の3段階で評価した。
◎:中空円筒形内部が閉塞するほど微生物が付着。
○:微生物がほぼ均一になるほど担体表面に付着。
×:付着していない部分が半分以上見られる。
コーティングしていない微生物固定化担体の表面には極僅かな量の微生物しか付着しなかったが、カチオン性でアミノ基を有する(メタ)アクリレートとの共重合体2b、共重合体4bと共重合体10bで処理した微生物固定化担体は、投入1か月で中空部分が埋まるほどの微生物が付着し、表面処理の効果を示した。
Figure 0006870236
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Figure 0006870236
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Claims (4)

  1. 基材(Y)と接着する共重合体(K)とを一体に有した担体であって、共重合体(K)は、
    (A)炭素数8以上のアルキル鎖を側鎖に含む(メタ)アクリレートと、
    (B)アミンを側鎖に有する(メタ)アクリレート、
    (C)エチレンオキシド及び/またはエチレンオキシドの繰り返し単位を含むノニオン系親水性基を側鎖に有する(メタ)アクリレートを含み、
    (A)と((B)+(C))の比率が10/90〜90/10であることを特徴とする微生物固定化担体。
  2. (B)と(C)の比率が、5/95〜95/5とする共重合体(K)であることを特徴とする請求項1に記載の微生物固定化担体。
  3. 共重合体(K)に含まれる(B)のアミンが、2級アミン又は3級アミンであることを特徴とする請求項1または2に記載の微生物固定化担体。
  4. 請求項1から3のうちいずれか一項に記載の微生物固定化担体を用いることを特徴とする排水処理方法。
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