以下では、第1発明〜第4発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
[1]第1発明について
第1発明の実施の形態を、図1A〜図8Nを参照して詳細に説明する。
図1Aは、第1発明の一実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの主要部の構成を説明するための図解的な平面図である。図1Bは、図1Aのインクジェットプリントヘッドの主要部の図解的な平面図であって、保護基板が省略された平面図である。図2は、図1AのII-II線に沿う図解的な断面図である。図3は、図1AのIII-III線に沿った切断面のうちの一部を図解的に示す拡大断面図である。図4は、図1Aのインクジェットプリントヘッドの下部電極および圧電体膜のパターン例を示す図解的な平面図である。
図2を参照して、インクジェットプリントヘッド1の構成を概略的に説明する。
インクジェットプリントヘッド1は、アクチュエータ基板2と、ノズル基板3と、保護基板4とを備えている。アクチュエータ基板2の表面には、可動膜形成層10が積層されている。アクチュエータ基板2には、インク流路(インク溜まり)5が形成されている。インク流路5は、この実施形態では、アクチュエータ基板2を貫通して形成されている。インク流路5は、図2に矢印で示すインク流通方向41に沿って細長く延びて形成されている。インク流路5は、インク流通方向41の上流側端部(図2では左端部)のインク流入部6と、インク流入部6に連通する圧力室7(キャビティ)とから構成されている。図2において、インク流入部6と圧力室7との境界を二点鎖線で示すことにする。
ノズル基板3は、たとえばシリコン基板からなる。ノズル基板3は、アクチュエータ基板2の裏面2bに張り合わされている。ノズル基板3は、アクチュエータ基板2および可動膜形成層10とともにインク流路5を区画している。より具体的には、ノズル基板3は、インク流路5の底面部を区画している。ノズル基板3は、圧力室7に臨む凹部3aを有し、凹部3aの底面にインク吐出通路3bが形成されている。インク吐出通路3bは、ノズル基板3を貫通しており、圧力室7とは反対側に吐出口3cを有している。したがって、圧力室7の容積変化が生じると、圧力室7に溜められたインクは、インク吐出通路3bを通り、吐出口3cから吐出される。
可動膜形成層10における圧力室7の天壁部分は、可動膜10Aを構成している。可動膜10A(可動膜形成層10)は、たとえば、アクチュエータ基板2上に形成された酸化シリコン(SiO2)膜からなる。可動膜10A(可動膜形成層10)は、たとえば、アクチュエータ基板2上に形成されるシリコン(Si)膜と、シリコン膜上に形成される酸化シリコン(SiO2)膜と、酸化シリコン膜上に形成される窒化シリコン(SiN)膜との積層膜から構成されていてもよい。この明細書において、可動膜10Aとは、可動膜形成層10のうち圧力室7の天面部を区画している天壁部を意味している。したがって、可動膜形成層10のうち、圧力室7の天壁部以外の部分は、可動膜10Aを構成していない。
可動膜10Aの厚さは、たとえば、0.4μm〜2μmである。可動膜10Aが酸化シリコン膜から構成される場合は、酸化シリコン膜の厚さは1.2μm程度であってもよい。可動膜10Aが、シリコン膜と酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜から構成される場合には、シリコン膜、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜の厚さは、それぞれ0.4μm程度であってもよい。
圧力室7は、可動膜10Aと、アクチュエータ基板2と、ノズル基板3とによって区画されており、この実施形態では、略直方体状に形成されている。圧力室7の長さはたとえば800μm程度、その幅は55μm程度であってもよい。インク流入部6は、圧力室7の長手方向一端部に連通している。
可動膜10Aの表面には、圧電素子9が配置されている。圧電素子9は、可動膜形成層10上に形成された下部電極11と、下部電極11上に形成された圧電体膜12と、圧電体膜12上に形成された上部電極13とを備えている。言い換えれば、圧電素子9は、圧電体膜12を上部電極13および下部電極11で上下から挟むことにより構成されている。
上部電極13は、白金(Pt)の単膜であってもよいし、たとえば、導電性酸化膜(たとえば、IrO2(酸化イリジウム)膜)および金属膜(たとえば、Ir(イリジウム)膜)が積層された積層構造を有していてもよい。上部電極13の厚さは、たとえば、0.2μm程度であってもよい。
圧電体膜12としては、たとえば、ゾルゲル法またはスパッタ法によって形成されたPZT(PbZrxTi1−xO3:チタン酸ジルコン酸鉛)膜を適用することができる。このような圧電体膜12は、金属酸化物結晶の焼結体からなる。圧電体膜12は、上部電極13の下面に接した能動部12Aと、能動部12Aの側部の全周囲から可動膜形成層10の表面に沿って延びた非能動部12Bとを含む。能動部12Aは、上部電極13と平面視で同形状に形成されている。
能動部12Aの厚さは、1μm程度である。非能動部12Bの厚さは、能動部12Aの厚さよりも薄い。非能動部12Bの厚さは、能動部12Aの厚さの1/20以上1/10以下であることが好ましい。可動膜10Aの全体の厚さは、能動部12Aの厚さと同程度か、能動部12Aの厚さの2/3程度とすることが好ましい。
下部電極11は、たとえば、Ti(チタン)膜およびPt(プラチナ)膜を可動膜形成層10側から順に積層した2層構造を有している。この他にも、Au(金)膜、Cr(クロム)層、Ni(ニッケル)層などの単膜で下部電極11を形成することもできる。下部電極11は、圧電体膜12の能動部12Aの下面に接した主電極部11Aと、主電極部11Aの全周囲から可動膜形成層10の表面に沿って延びた延長部11Bとを有している。下部電極11の厚さは、たとえば、0.2μm程度であってもよい。
圧電体膜12の非能動部12B上および圧電素子9上には、水素バリア膜14が形成されている。水素バリア膜14は、たとえば、Al2O3(アルミナ)からなる。水素バリア膜14の厚さは、50nm〜100nm程度である。水素バリア膜14は、圧電体膜12の水素還元による特性劣化を防止するために設けられている。
水素バリア膜14上に、絶縁膜15が積層されている。絶縁膜15は、たとえば、SiO2、低水素のSiN等からなる。絶縁膜15の厚さは、500nm程度である。絶縁膜15上には、上部配線17、下部配線18およびダミー配線19が形成されている。これらの配線17,18,19は、Al(アルミニウム)を含む金属材料からなっていてもよい。これらの配線17,18,19の厚さは、たとえば、1000nm(1μm)程度である。
上部配線17の一端部は、上部電極13の一端部(インク流通方向41の下流側端部)の上方に配置されている。上部配線17と上部電極13との間において、水素バリア膜14および絶縁膜15を連続して貫通するコンタクト孔33が形成されている。上部配線17の一端部は、コンタクト孔33に入り込み、コンタクト孔33内で上部電極13に接続されている。上部配線17は、上部電極13の上方から、圧力室7の外縁を横切って圧力室7の外方に延びている。
下部配線18は、インク流路5のインク流入部6に対して圧力室7とは反対側において、下部電極11の延長部11Bの上方に配置されている。下部配線18と下部電極11の延長部11Bとの間において、水素バリア膜14および絶縁膜15を連続して貫通する複数のコンタクト孔34が形成されている。下部配線18は、コンタクト孔34に入り込み、コンタクト孔34内で下部電極11の延長部11Bに接続されている。
ダミー配線19は、上部配線17および下部配線18のいずれにも、電気的に接続されておらず、電気的に絶縁された配線である。ダミー配線19は、上部配線17および下部配線18を形成する工程と同じ工程で形成される。
絶縁膜15上には、配線17,18,19および絶縁膜15を覆うパッシベーション膜21が形成されている。パッシベーション膜21は、たとえば、SiN(窒化シリコン)からなる。パッシベーション膜21の厚さは、たとえば、800nm程度であってもよい。
パッシベーション膜21には、上部配線17の一部を露出させるパッド開口35が形成されている。パッド開口35は、圧力室7の外方領域に形成されており、たとえば、上部配線17の先端部(上部電極13へのコンタクト部の反対側端部)に形成されている。パッシベーション膜21上には、パッド開口35を覆うパッド42が形成されている。パッド42は、パッド開口35に入り込み、パッド開口35内で上部配線17に接続されている。
インク流路5におけるインク流入部6側の端部に対応する位置に、パッシベーション膜21、絶縁膜15、水素バリア膜14、非能動部12B、下部電極11および可動膜形成層10を貫通するインク供給用貫通孔22が形成されている。非能動部12Bおよび下部電極11には、インク供給用貫通孔22を含み、インク供給用貫通孔22よりも大きな貫通孔23が形成されている。非能動部12Bおよび下部電極11の貫通孔23とインク供給用貫通孔22との隙間には、水素バリア膜14が入り込んでいる。インク供給用貫通孔22は、インク流入部6に連通している。
保護基板4は、たとえば、シリコン基板からなる。保護基板4は、圧電素子9を覆うようにアクチュエータ基板2上に配置されている。保護基板4は、パッシベーション膜21に、接着剤50を介して接合されている。保護基板4は、アクチュエータ基板2の表面2aに対向する対向面51に収容凹所52を有している。収容凹所52内に圧電素子9が収容されている。さらに、保護基板4には、インク供給用貫通孔22に連通するインク供給路53が形成されている。インク供給路53は、保護基板4を貫通している。保護基板4上には、インクを貯留したインクタンク(図示せず)が配置されている。
圧電素子9は、可動膜10Aを挟んで圧力室7に対向する位置に形成されている。すなわち、圧電素子9は、可動膜10Aの圧力室7とは反対側の表面に接するように形成されている。インクタンクからインク供給路53、インク供給用貫通孔22、インク流入部6を通って圧力室7にインクが供給されることによって、圧力室7にインクが充填される。可動膜10Aは、圧力室7の天面部を区画していて、圧力室7に臨んでいる。可動膜10Aは、アクチュエータ基板2における圧力室7の周囲の部分によって支持されており、圧力室7に対向する方向(換言すれば可動膜10Aの厚さ方向)に変形可能な可撓性を有している。
上部配線17および下部配線18は、駆動回路(図示せず)に接続されている。具体的には、上部配線17のパッド42と駆動回路とは、接続金属部材(図示せず)を介して接続されている。後述するように下部配線18にはパッド43(図1A参照)が接続されている。下部配線18のパッド43と駆動回路とは、接続金属部材(図示せず)を介して接続されている。駆動回路から圧電素子9に駆動電圧が印加されると、逆圧電効果によって、圧電体膜12の能動部12Aが変形する。これにより、圧電素子9とともに可動膜10Aが変形し、それによって、圧力室7の容積変化がもたらされ、圧力室7内のインクが加圧される。加圧されたインクは、インク吐出通路3bを通って、吐出口3cから微小液滴となって吐出される。
図1A〜図4を参照して、インクジェットプリントヘッド1の構成についてさらに詳しく説明する。
アクチュエータ基板2には、複数のインク流路5(圧力室7)が互いに平行に延びてストライプ状に形成されている。複数のインク流路5毎に、圧電素子9が配置されている。インク供給用貫通孔22は、複数のインク流路5毎に設けられている。保護基板4の収容凹所52およびインク供給路53は、複数のインク流路5毎に設けられている。
複数のインク流路5は、それらの幅方向に微小な間隔(たとえば30μm〜350μm程度)を開けて等間隔で形成されている。各インク流路5は、インク流通方向41に沿って細長く延びている。インク流路5は、インク供給用貫通孔22に連通するインク流入部6とインク流入部6に連通する圧力室7とからなる。圧力室7は、平面視において、インク流通方向41に沿って細長く延びた長方形形状を有している。つまり、圧力室7の天面部は、インク流通方向41に沿う2つの側縁と、インク流通方向41に直交する方向に沿う2つの端縁とを有している。インク流入部6は、平面視で圧力室7とほぼ同じ幅を有している。インク流入部6における圧力室7とは反対側の端部の内面は、平面視で半円形に形成されている。インク供給用貫通孔22は、平面視において、円形状である(特に図1B参照)。
圧電素子9は、平面視において、圧力室7(可動膜10A)の長手方向に長い矩形形状を有している。圧電素子9の長手方向の長さは、圧力室7(可動膜10A)の長手方向の長さよりも短い。図1Bに示すように、圧電素子9の短手方向に沿う両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ所定間隔を開けて内側に配置されている。また、圧電素子9の短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。圧電素子9の長手方向に沿う両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。
下部電極11は、可動膜形成層10の表面のほぼ全域に形成されている(特に図4参照)。下部電極11は、複数の圧電素子9に対して共用される共通電極である。下部電極11は、圧電素子9を構成する平面視矩形状の主電極部11Aと、主電極部11Aから可動膜形成層10の表面に沿う方向に引き出され、圧力室7の天面部の周縁の外方に延びた延長部11Bとを含んでいる。
主電極部11Aの長手方向の長さは、可動膜10Aの長手方向の長さよりも短い。主電極部11Aの両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ、所定間隔を開けて内側に配置されている。また、主電極部11Aの短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。主電極部11Aの両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。延長部11Bは、下部電極11の全領域のうち主電極部11Aを除いた領域である。
上部電極13は、平面視において、下部電極11の主電極部11Aと同じパターンの矩形状に形成されている。すなわち、上部電極13の長手方向の長さは、可動膜10Aの長手方向の長さよりも短い。上部電極13の両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ、所定間隔を開けて内側に配置されている。また、上部電極13の短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。上部電極13の両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。
圧電体膜12は、平面視において、下部電極11と同じパターンに形成されている(図5参照)。つまり、圧電体膜12は、可動膜形成層10の表面のほぼ全域に形成されている。圧電体膜12は、前述したように、能動部12Aと非能動部12Bとを含む。能動部12Aは、平面視において、上部電極13と同じパターンの矩形状に形成されている。すなわち、能動部12Aの長手方向の長さは、可動膜10Aの長手方向の長さよりも短い。能動部12Aの両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ、所定間隔を開けて内側に配置されている。また、能動部12Aの短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。能動部12Aの両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。能動部12Aの下面は下部電極11の主電極部11Aの上面に接しており、能動部12Aの上面は上部電極13の下面に接している。
非能動部12Bは、平面視において、下部電極11の延長部11Bと同じパターンに形成されている。非能動部12Bは、能動部12Aの側壁の全周囲から圧力室7の周縁を超えて外側に延びている。非能動部12Bの上面は、水素バリア膜14によって覆われている。
この実施形態では、圧電体膜12は、能動部12Aの側部の全周囲から、可動膜形成層10の表面に沿う方向に引き出され、能動部12Aよりも厚さが薄い非能動部12Bを含んでいる。このため、圧電体膜12の外表面に沿って上部電極13と下部電極11とを連絡する経路の長さは、圧電体膜12が非能動部12Bを含んでいない場合に比べて、長くなる。このため、圧電体膜12をエッチングによってパターニングする際に、圧電体膜12の外表面に金属薄膜が形成されたとしても、リークパスが長くなるため、リーク電流の増加を抑制できる。また、圧電体膜12をエッチングによってパターニングする際に、能動部12Aの側面および非能動部12Bの側面に比べて、非能動部12Bの上面には金属薄膜が形成されにくいので、リーク電流の増加を抑制できる。
可動膜10Aにおける可動膜10Aの周縁と圧電素子9の周縁との間の環状領域は、圧電素子9または圧力室7の周囲壁によって拘束されていない領域であり、大きな変形が生じる領域である。つまり、可動膜10Aの周縁部は、大きな変形が生じる領域である。このため、圧電素子9が駆動されると、可動膜10Aの周縁部の内周縁側が圧力室7の厚さ方向(この実施形態では下方)に変位するように可動膜10Aの周縁部が屈曲し、これにより可動膜10Aの周縁部に囲まれた中央部全体が圧力室7の厚さ方向(この実施形態では下方)に変位する。このように、可動膜10Aの周縁部は、大きな変形が生じる領域であるため、クラックが生じやすい。この実施形態では、平面視において、非能動部12Bは、能動部12Aの側面の全周囲から可動膜10Aの周縁を跨いで外方に延びている。つまり、可動膜10Aの周縁部上には、圧電体膜12の非能動部12Bが介在している。このため、可動膜10Aの周縁部にクラックが生じるのを抑制できる。
上部配線17は、圧電素子9の一端部の上面からそれに連なる圧電素子9の端面に沿って延び、さらに圧電体膜12の非能動部12Bの表面に沿って、インク流通方向41に沿う方向に延びている。上部配線17の先端部は、保護基板4のインク流通方向41の下流側端よりも下流側に配置されている。パッシベーション膜21には、上部配線17の先端部表面の中央部を露出させるパッド開口35が形成されている。パッシベーション膜21に、パッド開口35を覆うようにパッド42が設けられている。パッド42は、パッド開口35内で上部配線17に接続されている。
下部配線18は、平面視において、インク流通方向41と直交する方向に長い矩形状の主配線部18Aと、主配線部18Aの一端部からインク流通方向41に沿って延びたリード部18Bとを有している。リード部18Bの先端部は、保護基板4のインク流通方向41の下流側端よりも下流側に配置されている。下部配線18は、複数のコンタクト孔34に入り込み、コンタクト孔34内で下部電極11の延長部11Bに接続されている。パッシベーション膜21には、リード部18Bの先端部表面の中央部を露出させるパッド開口36が形成されている。パッシベーション膜21上に、パッド開口36を覆うようにパッド43が設けられている。パッド43は、パッド開口36内でリード部18Bに接続されている。
図7は、前記インクジェットプリントヘッドのアクチュエータ基板側から見た保護基板の主要部の底面図である。
図1A、図3および図7に示すように、保護基板4の対向面51には、複数の収容凹所52が、インク流通方向41と直交する方向に間隔をおいて平行に形成されている。複数の収容凹所52は、平面視において、複数の圧力室7に対向する位置に配置されている。各収容凹所52に対してインク流通方向41の上流側にインク供給路53が配置されている。各収容凹所52は、平面視において、対応する圧電素子9の上部電極13のパターンよりも少し大きな矩形状に形成されている。そして、各収容凹所52に、対応する圧電素子9が収容されている。
保護基板4のインク供給路53は、平面視において、アクチュエータ基板2側のインク供給用貫通孔22と同じパターンの円形状である。インク供給路53は、平面視でインク供給用貫通孔22に整合している。
ダミー配線19は、平面視において、インク供給路53(インク供給用貫通孔22)を取り囲む円形環状の第1ダミー配線19Aを含んでいる。第1ダミー配線19Aは、アクチュエータ基板2上において、保護基板4の対向面51のインク供給路53の周囲領域に対向する領域に配置されている。第1ダミー配線19Aの幅(第1ダミー配線19Aの内径と外径との差)は、インク供給路53の直径の1/3以上であることが好ましい。第1ダミー配線19Aの上面は平坦である。第1ダミー配線19Aは、保護基板4を支持するとともに保護基板4の対向面との接着性を高める台座20を構成している。
ダミー配線19は、さらに、隣接する圧力室7の間領域の幅中央部と、複数の圧力室群の両外側の圧力室7の外側方とに形成され、インク流通方向41に沿う方向に延びた細長矩形の第2ダミー配線19Bを含む。第2ダミー配線19Bの上面は平坦である。第2ダミー配線19Bは、保護基板4を支持するとともに保護基板4の対向面との接着性を高める台座を構成している。
アクチュエータ基板2に保護基板4を接合する際には、アクチュエータ基板2と保護基板4との接合部に接着剤50が塗布された状態で、保護基板4がアクチュエータ基板2に押圧される。この際、保護基板4の対向面51は、上面が平坦な台座である第1ダミー配線19Aおよび第2ダミー配線19Bに、パッシベーション膜21を介して押し付けられる。このため、保護基板4の対向面51は、第1ダミー配線19Aおよび第2ダミー配線19Bの上面に、パッシベーション膜21および接着剤50を介して、強固に接合される。つまり、保護基板4の対向面51とアクチュエータ基板2との接合部に接着不良が生じにくくなる。
この実施形態では、アクチュエータ基板2側にインク供給路53(インク供給用貫通孔22)を取り囲む円形環状の第1ダミー配線19A(台座20)が設けられているので、保護基板4における収容凹所52とインク供給路53との間の壁部下面とアクチュエータ基板2との間に接合不良が生じるのを抑制できる。これにより、インク供給路53から収容凹所52内へのインク漏れを抑制できる。
図5は、前記インクジェットプリントヘッドの絶縁膜のパターン例を示す図解的な平面図である。図6は、前記インクジェットプリントヘッドのパッシベーション膜のパターン例を示す図解的な平面図である。
この実施形態では、絶縁膜15およびパッシベーション膜21は、アクチュエータ基板2上において、平面視で保護基板4の収容凹所52の外側領域のほぼ全域に形成されている。ただし、この領域において、絶縁膜15には、インク供給用貫通孔22およびコンタクト孔34が形成されている。この領域において、パッシベーション膜21には、インク供給用貫通孔22およびパッド開口35,36が形成されている。
保護基板4の収容凹所52の内側領域においては、絶縁膜15およびパッシベーション膜21は、上部配線17が存在する一端部(上部配線領域)にのみ形成されている。この領域において、パッシベーション膜21は、絶縁膜15上の上部配線17の上面および側面を覆うように形成されている。換言すれば、絶縁膜15およびパッシベーション膜21には、平面視で収容凹所52の内側領域のうち、上部配線領域を除いた領域に、開口37が形成されている。絶縁膜15には、さらに、コンタクト孔33が形成されている。
この実施形態では、平面視で圧力室7の周縁の内側領域において、絶縁膜15およびパッシベーション膜21は、上部配線17の存在する上部配線領域のみに形成されている。したがって、圧電素子9の側面および上面の大部分は絶縁膜15およびパッシベーション膜21によって覆われていない。これにより、圧電素子9の側面および上面の全域が絶縁膜およびパッシベーション膜によって覆われている場合に比べて、可動膜10Aの変位を大きくすることができる。
図8A〜図8Nは、前記インクジェットプリントヘッド1の製造工程の一例を示す断面図であり、図2Aに対応する切断面を示す。
まず、図8Aに示すように、アクチュエータ基板2の表面2aに可動膜形成層10が形成される。ただし、アクチュエータ基板2としては、最終的なアクチュエータ基板2の厚さより厚いものが用いられる。具体的には、アクチュエータ基板2の表面に酸化シリコン膜(たとえば、1.2μm厚)が形成される。可動膜形成層10が、シリコン膜と酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜で構成される場合には、アクチュエータ基板2の表面にシリコン膜(たとえば0.4μm厚)が形成され、シリコン膜上に酸化シリコン膜(たとえば0.4μm厚)が形成され、酸化シリコン膜上に窒化シリコン膜(たとえば0.4μm厚)が形成される。
可動膜形成層10の表面には、たとえば、Al2O3、MgO、ZrO2などの下地酸化膜が形成されてもよい。これらの下地酸化膜は、後に形成される圧電体膜12からの金属原子の抜け出しを防ぐ。金属電子が抜け出すと、圧電体膜12の圧電特性が悪くなるおそれがある。また、抜け出した金属原子が可動膜10Aを構成するシリコン層に混入すると可動膜10Aの耐久性が悪化するおそれがある。
次に、図8Bに示すように、可動膜形成層10の上(前記下地酸化膜が形成されている場合には当該下地酸化膜の上)に、下部電極11の材料層である下部電極膜71が形成される。下部電極膜71は、たとえば、Ti膜(たとえば10nm〜40nm厚)を下層としPt膜(たとえば10nm〜400nm厚)を上層とするPt/Ti積層膜からなる。このような下部電極膜71は、スパッタ法で形成されてもよい。
次に、圧電体膜12の材料膜(圧電体材料膜)72が下部電極膜71上の全面に形成される。具体的には、たとえば、ゾルゲル法によって1μm〜3μm厚の圧電体材料膜72が形成される。このような圧電体材料膜72は、金属酸化物結晶粒の焼結体からなる。
次に、圧電体材料膜72の全面に上部電極13の材料である上部電極膜73が形成される。上部電極膜73は、たとえば、白金(Pt)の単膜であってもよい。上部電極膜73は、たとえば、IrO2膜(たとえば40nm〜160nm厚)を下層とし、Ir膜(たとえば40nm〜160nm厚)を上層とするIr02/Ir積層膜であってもよい。このような上部電極膜73は、スパッタ法で形成されてもよい。
次に、図8C〜図8Eに示すように、上部電極膜73、圧電体材料膜72および下部電極膜71のパターニングが行われる。まず、フォトグラフィによって、上部電極13のパターンのレジストマスクが形成される。そして、図8Cに示すように、このレジストマスクをマスクとして、上部電極膜73がエッチングされることにより、所定パターンの上部電極13が形成される。この後、エッチングを継続してオーバーエッチングを行うことによって、圧電体材料膜72のうち上部電極13から露出している部分が薄膜化される。これにより、圧電体材料膜72のうち上部電極13から露出している部分の厚さが、上部電極13に覆われている部分の厚さの例えば1/10程度にされる。
次に、レジストマスクが剥離された後、フォトグラフィによって、圧電体膜12のパターンのレジストマスクが形成される。そして、図8Dに示すように、このレジストマスクをマスクとして、圧電体材料膜72がエッチングされることにより、所定パターンの圧電体膜12が形成される。これにより、上面が上部電極13の下面に接する能動部12Aと、貫通孔23を有しかつ能動部12Aよりも厚さの薄い非能動部12Bとからなる圧電体膜12が形成される。
この後、同じマスクを用いて、下部電極膜71がエッチングされることにより、図8Eに示すように、圧電体膜12と同じパターンの下部電極11が形成される。これにより、主電極部11Aと、貫通孔23を有する延長部11Bとからなる下部電極11が形成される。このようにして、下部電極11の主電極部11A、圧電体膜12の能動部12Aおよび上部電極13からなる圧電素子9が形成される。
次に、図8Fに示すように、レジストマスクが剥離された後、全面を覆う水素バリア膜14が形成される。水素バリア膜14は、スパッタ法で形成されたAl2O3膜であってもよく、その膜厚は、50nm〜100nmであってもよい。この後、水素バリア膜14上の全面に絶縁膜15が形成される。絶縁膜15は、SiO2膜であってもよく、その膜厚は、200nm〜300nmであってもよい。続いて、絶縁膜15および水素バリア膜14が連続してエッチングされることにより、コンタクト孔33,34が形成される。
次に、図8Gに示すように、コンタクト孔33,34内を含む絶縁膜15上に、スパッタ法によって、上部配線17、下部配線18およびダミー配線19(19A,19B)を構成する配線膜が形成される。この後、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、配線膜がパターニングされることにより、上部配線17、下部配線18およびダミー配線19(19A,19B)が同時に形成される。
次に、図8Hに示すように、絶縁膜15の表面に配線17,18,19を覆うパッシベーション膜21が形成される。パッシベーション膜21は、例えば、SiNからなる。パッシベーション膜21は、例えば、プラズマCVDによって形成される。
次に、フォトグラフィによってパッド開口35,36に対応した開口を有するレジストマスクが形成され、このレジストマスクをマスクとして、パッシベーション膜21がエッチングされる。これにより、図8Iに示すように、パッシベーション膜21に、パッド開口35,36が形成される。レジストマスクが剥離された後に、パッシベーション膜21上にパッド開口35およびパッド開口36を介して、それぞれ上部配線17および下部配線18に接続されるパッド42,43が形成される。
次に、フォトグラフィによって開口37およびインク供給用貫通孔22に対応した開口を有するレジストマスクが形成され、このレジストマスクをマスクとして、パッシベーション膜21および絶縁膜15が連続してエッチングされる。これにより、図8Jに示すように、パッシベーション膜21および絶縁膜15に、開口37およびインク供給用貫通孔22が形成される。
次に、レジストマスクが剥離される。そして、フォトグラフィによってインク供給用貫通孔22に対応した開口を有するレジストマスクが形成され、このレジストマスクをマスクとして、水素バリア膜14および可動膜形成層10がエッチングされる。これにより、図8Kに示すように、水素バリア膜14および可動膜形成層10に、インク供給用貫通孔22が形成される。
次に、図8Lに示すように、保護基板4の対向面51に接着剤50が塗布され、インク供給路53とインク供給用貫通孔22とが一致するように、アクチュエータ基板2に保護基板4が固定される。この際、保護基板4の対向面51は、上面が平坦な台座である第1ダミー配線19Aおよび第2ダミー配線19Bに、パッシベーション膜21を介して押し付けられる。このため、保護基板4の対向面51は、第1ダミー配線19Aおよび第2ダミー配線19Bの上面に、パッシベーション膜21および接着剤50を介して、強固に接合される。
次に、図8Mに示すように、アクチュエータ基板2を薄くするための裏面研削が行われる。アクチュエータ基板2が裏面2bから研磨されることにより、アクチュエータ基板2が薄膜化される。たとえば、初期状態で670μm厚程度のアクチュエータ基板2が、300μm厚程度に薄型化されてもよい。次に、アクチュエータ基板2に対して、アクチュエータ基板2の裏面からエッチング(ドライエッチングまたはウェットエッチング)を行うことによって、インク流路5(インク流入部6および圧力室7)が形成される。
このエッチングの際、可動膜形成層10の表面に形成される下地酸化膜は、圧電体膜12から金属元素(PZTの場合は、Pb,Zr,Ti)が抜け出すことを防止し、圧電体膜12の圧電特性を良好に保つ。また、前述のとおり、可動膜形成層10の表面に形成される下地酸化膜は、可動膜10Aを形成するシリコン層の耐久性の維持に寄与する。
この後、図8Nに示すように、ノズル基板3がアクチュエータ基板2の裏面に張り合わされることにより、インクジェットプリントヘッド1が得られる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の実施形態で実施することもできる。前述の実施形態では、水素バリア膜14の表面の一部に絶縁膜15が形成されているが、水素バリア膜14の表面の全域に絶縁膜15が形成されていてもよい。
また、前述の実施形態では、水素バリア膜14表面の一部に絶縁膜15が形成されているが、絶縁膜15はなくてもよい。
また、前述の実施形態では、圧電体膜の材料としてPZTを例示したが、そのほかにも、チタン酸鉛(PbPO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸ノチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)などに代表される金属酸化物からなる圧電材料が適用されてもよい。
前述の実施形態では、この発明をインクジェットプリントヘッドに適用した場合について説明したが、この発明は、圧電素子を利用した圧電マイクロホン、圧力センサ等にも適用することができる。
[2]第2発明について
特開2013−119182号公報は、圧電素子を利用したインクジェットプリントヘッドを開示している。特開2013−119182号公報のインクジェットプリントヘッドは、圧力室(キャビティ)を有するアクチュエータ基板と、圧力室に対向するようにアクチュエータ基板に支持された可動膜と、可動膜に接合された圧電素子とを備えている。圧電素子は、可動膜側から、下部電極、圧電体膜および上部電極を積層して構成されている。
特開2013−119182号公報に記載された構成では、下部電極は一様な厚さで形成されている。可動膜の変位を大きくするためには、下部電極の厚さは薄いほうが好ましいが、下部電極の厚さを薄くすると、下部電極の抵抗値が高くなる。
第2発明の目的は、下部電極の抵抗値を小さくできるとともに、可動膜の変位を大きくすることができる、圧電素子利用装置およびその製造方法を提供することである。
第2発明は、次のような特徴を有している。
A1.キャビティと、前記キャビティ上に配置されかつ前記キャビティの天面部を区画する可動膜を含む可動膜形成層と、前記可動膜の前記キャビティとは反対側の表面に接して形成され、平面視において前記可動膜よりも前記キャビティの内方に後退した周縁を有する圧電素子とを含み、前記圧電素子は、前記可動膜形成層の前記キャビティとは反対側の表面に形成された下部電極と、前記下部電極に対して前記可動膜形成層とは反対側に配置された上部電極と、前記上部電極と前記下部電極との間に設けられた圧電体膜とを含んでおり、前記下部電極は、前記圧電素子を構成している主電極部と、前記主電極部から前記可動膜形成層の表面に沿う方向に引き出され、前記可動膜の主面に対して法線方向から見た平面視において、前記キャビティの天面部周縁を跨いで前記キャビティの外方に延びた延長部とを含み、前記平面視において、前記主電極部は、前記下部電極における前記キャビティの天面部周縁よりも内側にある内側電極領域に含まれており、前記延長部は、前記内側電極領域に繋がりかつ前記下部電極における前記キャビティの天面部周縁よりも外側にある外側電極領域を含んでおり、前記下部電極は、前記外側電極領域に、前記内側電極領域よりも厚く形成された厚部を有している、圧電体素子利用装置。
下部電極におけるキャビティの天面部周縁よりも内側にある部分(内側電極領域)は、可動膜上に形成されている。このため、下部電極の内側電極領域は、可動膜の変形を妨げるおそれがある。これに対して、下部電極におけるキャビティの天面部周縁よりも外側にある部分(外側電極領域)は、可動膜の変形にほとんど影響を与えない。
この構成では、下部電極は、外側電極領域に厚部を有している。このため、下部電極の全体の厚さが内側電極領域の厚さと同じ厚さである場合に比べて、下部電極全体の電気抵抗を小さくすることができる。このように、下部電極に厚部を設けても、厚部は外側電極領域に形成されているため、可動膜の変形に悪影響を及ぼさない。つまり、この構成によれば、下部電極の抵抗値を小さくできるとともに、可動膜の変位を大きくすることができる。
A2.前記厚部は、前記厚部のみに形成された第1層部と、前記下部電極における前記厚部以外の部分と一体的に形成された第2層部とが積層された2層構造を有しており、前記第1層部の比電気抵抗が前記第2層部に比べて小さい、「A1.」に記載の圧電体素子利用装置。
この構成では、第1層部の比電気抵抗は第2層部の比電気抵抗よりも小さいので、下部電極全体の電気抵抗をより小さくすることができる。
A3.前記下部電極における前記厚部以外の部分の厚さは、前記第2層部の厚さと等しい、「A2.」に記載の圧電体素子利用装置。
A4.前記第1層部の厚さは、前記第2層部の厚さよりも厚い、「A3.」に記載の圧電体素子利用装置。
A5.前記第1層部の厚さは、前記第2層部の厚さの2倍以上5倍以下である、「A4.」に記載の圧電体素子利用装置。
A6.前記第1層部は、Al膜、W膜、Au膜のうちから任意に選択された1つの膜からなり、前記第2層部は、Pt膜、Ti/TiO2膜およびIr膜のうちから任意に選択された1または複数の膜からなる、「A5.」に記載の圧電体素子利用装置。
A7.前記平面視において、一端部が前記上部電極の上面に接続され、他端部が前記圧力室の周縁の外側に引き出された上部配線をさらに含む、「A1.」〜「A6.」のいずれかに記載の圧電体素子利用装置。
A8.前記上部電極および前記圧電体膜の少なくとも側面全域と、前記下部電極の上面とを覆う水素バリア膜と、前記水素バリア膜上に形成され、前記水素バリア膜と前記上部配線との間に配置された絶縁膜とをさらに含み、前記水素バリア膜および前記絶縁膜に、前記上部電極の一部を露出させるコンタクト孔が形成されており、前記上部配線の一端部は、前記コンタクト孔を介して前記上部電極に接続されている、「A7.」に記載の圧電素子利用装置。この構成では、圧電体膜の水素還元による特性劣化を防止することができる。
A9.前記絶縁膜上に形成され、前記配線を被覆するパッシベーション膜をさらに含む、「A8.」に記載の圧電素子利用装置。この構成では、パッシベーション膜によって配線を保護することができる。
A10.前記平面視において、前記キャビティの天面部が一方向に長い矩形状であり、前記主電極部は、平面視において、前記キャビティの天面部の短手方向の幅より短い幅と、前記キャビティの天面部の長手方向の長さより短い長さとを有する前記一方向に長い矩形状であり、その両端縁および両側縁が前記キャビティの天面部の両端縁および両側縁よりも前記キャビティの内方にそれぞれ後退しており、前記延長部は、前記主電極部の周縁から前記キャビティの天面部の周縁を跨いで、当該天面部周縁の外方に延びている、「A1.」〜「A9.」のいずれかに記載の圧電体膜利用装置。
A11.前記キャビティが複数設けられており、これらの複数のキャビティが前記キャビティの短手方向に並んで配置されている、「A10.」に記載の圧電体素子利用装置。
A12.前記厚部は、前記平面視において、隣り合う2つの前記キャビティの間に配置され、前記キャビティの長さ方向に延びた第1厚部を含む、「A11.」に記載の圧電体素子利用装置。
A13.前記厚部は、前記平面視において、複数の前記キャビティの長手方向の一端の外方において、複数の前記キャビティの並び方向に沿う方向に延びた第2厚部を含む、「A11.」に記載の圧電体素子利用装置。
A14.前記厚部は、前記平面視において、隣り合う2つの前記キャビティの間に配置され、前記キャビティの長さ方向に延びた第1厚部と、前記平面視において、複数の前記キャビティの長手方向の一端の外方において、複数の前記キャビティの並び方向に沿う方向に延びた第2厚部とを含む、「A11.」に記載の圧電体素子利用装置。
A15.キャビティが形成されるべき基板上に可動膜形成領域を含む可動膜形成層を形成する工程と、前記可動膜形成層上に、第1下部電極膜を形成する工程と、前記第1下部電極膜をパターニングして、前記可動膜形成層における前記可動膜形成領域以外の領域内に、第1下部電極を形成する工程と、前記可動膜形成層上に、前記第1下部電極を覆う第2下部電極膜を形成する工程と、前記第2下部電極膜上に、圧電体材料膜および上部電極膜を順に形成する工程と、前記上部電極膜、圧電体材料膜および第2下部電極膜を順にパターニングして、上部電極、圧電体膜および第2下部電極を形成することにより、前記第1下部電極と前記第2下部電極とからなる下部電極を形成するとともに、前記第2下部電極と前記上部電極とそれらに挟まれた前記圧電体膜とを含む圧電素子を形成する工程とを含む、圧電素子利用装置の製造方法。
この圧電素子利用装置の製造方法では、下部電極の抵抗値を小さくできるとともに、可動膜の変位を大きくすることができる圧電素子利用装置が得られる。
A16.前記圧電素子を形成する工程の後に、前記可動膜形成層上に、前記圧電素子および前記下部電極を覆う水素バリア膜および絶縁膜を順に形成する工程と、前記上部電極上において、前記水素バリア膜および前記絶縁膜に、前記上部電極の一部を露出させるコンタクト孔を形成する工程と、前記絶縁膜上に、一端部が前記コンタクト孔を介して前記上部電極に接触し、他端部が前記圧電素子の外側に引き出された配線を形成する工程と、前記基板を下方からエッチングすることにより、前記可動膜形成領域に対向するキャビティを形成する工程とをさらに含む、「A15.」に記載の圧電素子利用装置の製造方法。
第2発明の実施の形態を、図9A〜図17Oを参照して詳細に説明する。図9A〜図17O中の符号は、前述の第1発明の説明に使用した図1A〜図8N中の符号とは無関係である。
図9Aは、第2発明の一実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの主要部の構成を説明するための図解的な平面図である。図9Bは、図9Aのインクジェットプリントヘッドの主要部の図解的な平面図であって、保護基板が省略された平面図である。図10は、図9AのX-X線に沿う図解的な断面図である。図11は、図9AのXI-XI線に沿った切断面のうちの一部を図解的に示す拡大断面図である。図12は、図9Aのインクジェットプリントヘッドの下部電極のパターン例を示す図解的な平面図である。図13は、図9Aのインクジェットプリントヘッドの下部電極の厚部(第1下部電極)のパターン例を示す図解的な平面図である。
図10を参照して、インクジェットプリントヘッド1の構成を概略的に説明する。
インクジェットプリントヘッド1は、アクチュエータ基板2と、ノズル基板3と、保護基板4とを備えている。アクチュエータ基板2の表面には、可動膜形成層10が積層されている。アクチュエータ基板2には、インク流路(インク溜まり)5が形成されている。インク流路5は、この実施形態では、アクチュエータ基板2を貫通して形成されている。インク流路5は、図10に矢印で示すインク流通方向41に沿って細長く延びて形成されている。インク流路5は、インク流通方向41の上流側端部(図10では左端部)のインク流入部6と、インク流入部6に連通する圧力室7(キャビティ)とから構成されている。図10において、インク流入部6と圧力室7との境界を二点鎖線で示すことにする。
ノズル基板3は、たとえばシリコン基板からなる。ノズル基板3は、アクチュエータ基板2の裏面2bに張り合わされている。ノズル基板3は、アクチュエータ基板2および可動膜形成層10とともにインク流路5を区画している。より具体的には、ノズル基板3は、インク流路5の底面部を区画している。ノズル基板3は、圧力室7に臨む凹部3aを有し、凹部3aの底面にインク吐出通路3bが形成されている。インク吐出通路3bは、ノズル基板3を貫通しており、圧力室7とは反対側に吐出口3cを有している。したがって、圧力室7の容積変化が生じると、圧力室7に溜められたインクは、インク吐出通路3bを通り、吐出口3cから吐出される。
可動膜形成層10における圧力室7の天壁部分は、可動膜10Aを構成している。可動膜10A(可動膜形成層10)は、たとえば、アクチュエータ基板2上に形成された酸化シリコン(SiO2)膜からなる。可動膜10A(可動膜形成層10)は、たとえば、アクチュエータ基板2上に形成されるシリコン(Si)膜と、シリコン膜上に形成される酸化シリコン(SiO2)膜と、酸化シリコン膜上に形成される窒化シリコン(SiN)膜との積層膜から構成されていてもよい。この明細書において、可動膜10Aとは、可動膜形成層10のうち圧力室7の天面部を区画している天壁部を意味している。したがって、可動膜形成層10のうち、圧力室7の天壁部以外の部分は、可動膜10Aを構成していない。
可動膜10Aの厚さは、たとえば、0.4μm〜2μmである。可動膜10Aが酸化シリコン膜から構成される場合は、酸化シリコン膜の厚さは1.2μm程度であってもよい。可動膜10Aが、シリコン膜と酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜から構成される場合には、シリコン膜、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜の厚さは、それぞれ0.4μm程度であってもよい。
圧力室7は、可動膜10Aと、アクチュエータ基板2と、ノズル基板3とによって区画されており、この実施形態では、略直方体状に形成されている。圧力室7の長さはたとえば800μm程度、その幅は55μm程度であってもよい。インク流入部6は、圧力室7の長手方向一端部に連通している。
可動膜10Aの表面には、圧電素子9が配置されている。圧電素子9は、可動膜形成層10上に形成された下部電極11と、下部電極11上に形成された圧電体膜12と、圧電体膜12上に形成された上部電極13とを備えている。言い換えれば、圧電素子9は、圧電体膜12を上部電極13および下部電極11で上下から挟むことにより構成されている。
上部電極13は、白金(Pt)の単膜であってもよいし、たとえば、導電性酸化膜(たとえば、IrO2(酸化イリジウム)膜)および金属膜(たとえば、Ir(イリジウム)膜)が積層された積層構造を有していてもよい。上部電極13の厚さは、たとえば、0.2μm程度であってもよい。
圧電体膜12としては、たとえば、ゾルゲル法またはスパッタ法によって形成されたPZT(PbZrxTi1−xO3:チタン酸ジルコン酸鉛)膜を適用することができる。このような圧電体膜12は、金属酸化物結晶の焼結体からなる。圧電体膜12は、上部電極13と平面視で同形状に形成されている。圧電体膜12の厚さは、1μm程度である。可動膜10Aの全体の厚さは、圧電体膜12の厚さと同程度か、圧電体膜12の厚さの2/3程度とすることが好ましい。
下部電極11は、圧電体膜12の下面に接した主電極部11Aと、圧電体膜12の外方の領域まで延びた延長部11Bとを有している。下部電極11の主要部の厚さは、たとえば、0.2μm程度であってもよい。
下部電極11の延長部11B上および圧電素子9上には、水素バリア膜14が形成されている。水素バリア膜14は、たとえば、Al2O3(アルミナ)からなる。水素バリア膜14の厚さは、50nm〜100nm程度である。水素バリア膜14は、圧電体膜12の水素還元による特性劣化を防止するために設けられている。
水素バリア膜14上に、絶縁膜15が積層されている。絶縁膜15は、たとえば、SiO2、低水素のSiN等からなる。絶縁膜15の厚さは、500nm程度である。絶縁膜15上には、上部配線17、下部配線18およびダミー配線19が形成されている。これらの配線17,18,19は、Al(アルミニウム)を含む金属材料からなっていてもよい。これらの配線17,18,19の厚さは、たとえば、1000nm(1μm)程度である。
上部配線17の一端部は、上部電極13の一端部(インク流通方向41の下流側端部)の上方に配置されている。上部配線17と上部電極13との間において、水素バリア膜14および絶縁膜15を連続して貫通するコンタクト孔33が形成されている。上部配線17の一端部は、コンタクト孔33に入り込み、コンタクト孔33内で上部電極13に接続されている。上部配線17は、上部電極13の上方から、圧力室7の外縁を横切って圧力室7の外方に延びている。
下部配線18は、インク流路5のインク流入部6に対して圧力室7とは反対側において、下部電極11の延長部11Bの上方に配置されている。下部配線18と下部電極11の延長部11Bとの間において、水素バリア膜14および絶縁膜15を連続して貫通する複数のコンタクト孔34が形成されている。下部配線18は、コンタクト孔34に入り込み、コンタクト孔34内で下部電極11の延長部11Bに接続されている。
ダミー配線19は、上部配線17および下部配線18のいずれにも、電気的に接続されておらず、電気的に絶縁された配線である。ダミー配線19は、上部配線17および下部配線18を形成する工程と同じ工程で形成される。
絶縁膜15上には、配線17,18,19および絶縁膜15を覆うパッシベーション膜21が形成されている。パッシベーション膜21は、たとえば、SiN(窒化シリコン)からなる。パッシベーション膜21の厚さは、たとえば、800nm程度であってもよい。
パッシベーション膜21には、上部配線17の一部を露出させるパッド開口35が形成されている。パッド開口35は、圧力室7の外方領域に形成されており、たとえば、上部配線17の先端部(上部電極13へのコンタクト部の反対側端部)に形成されている。パッシベーション膜21上には、パッド開口35を覆うパッド42が形成されている。パッド42は、パッド開口35に入り込み、パッド開口35内で上部配線17に接続されている。
インク流路5におけるインク流入部6側の端部に対応する位置に、パッシベーション膜21、絶縁膜15、水素バリア膜14、下部電極11および可動膜形成層10を貫通するインク供給用貫通孔22が形成されている。下部電極11には、インク供給用貫通孔22を含み、インク供給用貫通孔22よりも大きな貫通孔23が形成されている。下部電極11の貫通孔23とインク供給用貫通孔22との隙間には、水素バリア膜14が入り込んでいる。インク供給用貫通孔22は、インク流入部6に連通している。
保護基板4は、たとえば、シリコン基板からなる。保護基板4は、圧電素子9を覆うようにアクチュエータ基板2上に配置されている。保護基板4は、パッシベーション膜21に、接着剤50を介して接合されている。保護基板4は、アクチュエータ基板2の表面2aに対向する対向面51に収容凹所52を有している。収容凹所52内に圧電素子9が収容されている。さらに、保護基板4には、インク供給用貫通孔22に連通するインク供給路53が形成されている。インク供給路53は、保護基板4を貫通している。保護基板4上には、インクを貯留したインクタンク(図示せず)が配置されている。
圧電素子9は、可動膜10Aを挟んで圧力室7に対向する位置に形成されている。すなわち、圧電素子9は、可動膜10Aの圧力室7とは反対側の表面に接するように形成されている。インクタンクからインク供給路53、インク供給用貫通孔22、インク流入部6を通って圧力室7にインクが供給されることによって、圧力室7にインクが充填される。可動膜10Aは、圧力室7の天面部を区画していて、圧力室7に臨んでいる。可動膜10Aは、アクチュエータ基板2における圧力室7の周囲の部分によって支持されており、圧力室7に対向する方向(換言すれば可動膜10Aの厚さ方向)に変形可能な可撓性を有している。
上部配線17および下部配線18は、駆動回路(図示せず)に接続されている。具体的には、上部配線17のパッド42と駆動回路とは、接続金属部材(図示せず)を介して接続されている。後述するように下部配線18にはパッド43(図9A参照)が接続されている。下部配線18のパッド43と駆動回路とは、接続金属部材(図示せず)を介して接続されている。駆動回路から圧電素子9に駆動電圧が印加されると、逆圧電効果によって、圧電体膜12が変形する。これにより、圧電素子9とともに可動膜10Aが変形し、それによって、圧力室7の容積変化がもたらされ、圧力室7内のインクが加圧される。加圧されたインクは、インク吐出通路3bを通って、吐出口3cから微小液滴となって吐出される。
図9A〜図13を参照して、インクジェットプリントヘッド1の構成についてさらに詳しく説明する。
アクチュエータ基板2には、複数のインク流路5(圧力室7)が互いに平行に延びてストライプ状に形成されている。複数のインク流路5毎に、圧電素子9が配置されている。インク供給用貫通孔22は、複数のインク流路5毎に設けられている。保護基板4の収容凹所52およびインク供給路53は、複数のインク流路5毎に設けられている。
複数のインク流路5は、それらの幅方向に微小な間隔(たとえば30μm〜350μm程度)を開けて等間隔で形成されている。各インク流路5は、インク流通方向41に沿って細長く延びている。インク流路5は、インク供給用貫通孔22に連通するインク流入部6とインク流入部6に連通する圧力室7とからなる。圧力室7は、平面視において、インク流通方向41に沿って細長く延びた長方形形状を有している。つまり、圧力室7の天面部は、インク流通方向41に沿う2つの側縁と、インク流通方向41に直交する方向に沿う2つの端縁とを有している。インク流入部6は、平面視で圧力室7とほぼ同じ幅を有している。インク流入部6における圧力室7とは反対側の端部の内面は、平面視で半円形に形成されている。インク供給用貫通孔22は、平面視において、円形状である(特に図9B参照)。
圧電素子9は、平面視において、圧力室7(可動膜10A)の長手方向に長い矩形形状を有している。圧電素子9の長手方向の長さは、圧力室7(可動膜10A)の長手方向の長さよりも短い。図9Bに示すように、圧電素子9の短手方向に沿う両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ所定間隔を開けて内側に配置されている。また、圧電素子9の短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。圧電素子9の長手方向に沿う両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。
下部電極11は、可動膜形成層10の表面のほぼ全域に形成されている(特に図12参照)。下部電極11は、複数の圧電素子9に対して共用される共通電極である。下部電極11は、圧電素子9を構成する平面視矩形状の主電極部11Aと、主電極部11Aから可動膜形成層10の表面に沿う方向に引き出され、圧力室7の天面部の周縁の外方に延びた延長部11Bとを含んでいる。
主電極部11Aの長手方向の長さは、可動膜10Aの長手方向の長さよりも短い。主電極部11Aの両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ、所定間隔を開けて内側に配置されている。また、主電極部11Aの短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。主電極部11Aの両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。
延長部11Bは、下部電極11の全領域のうち主電極部11Aを除いた領域である。下部電極11において、平面視で、圧力室7の天面部の周縁の内側にある領域を「内側電極領域」といい、圧力室7の天面部の周縁の外側にある領域を「外側電極領域」という場合がある。
主電極部11Aは、内側電極領域に含まれている。延長部11Bは、内側電極領域のうちの主電極部11A以外の部分と外側電極領域とから構成される。下部電極11の外側電極領域は、内側電極領域の厚さよりも厚い厚部100を有している。図13は、厚部100のパターン例を示している。
図10および図13に示すように、厚部100は、平面視において、複数のインク流路5(圧力室7)のインク流通方向41の上流側端の外方に配置され、複数のインク流路5の並び方向に延びた平面視矩形状の第1厚部100Aを含む。図11および図13に示すように、厚部100は、さらに、平面視において、隣接する圧力室7の間領域の幅中央部と、複数の圧力室群の両外側の圧力室7の外側方とに配置され、圧力室7の長さ方向に延びた平面視矩形状の第2厚部100Bを含む。
この実施形態では、下部電極11は、可動膜形成層10上に形成された厚部形成用の第1下部電極101と、可動膜形成層10上に第1下部電極101を覆うように形成された第2下部電極102とを有している。第1下部電極101は、厚部100のみに形成されている。第2下部電極102は、平面視において、下部電極11の全体的な平面パターンと同じパターンを有している。この実施形態では、各厚部100(100A,100B)は、第1下部電極101からなる第1層部と、第1層部上に積層され、第2下部電極102からなる第2層部とからなる。つまり、第1層部上に積層された第2層部は、下部電極11における厚部100以外の部分(薄部)と一体的に形成されている。
第1下部電極101の厚さ(第1層部の厚さ)は、第2下部電極102の厚さ(第2層部の厚さ)よりも厚い。第1下部電極101の厚さは、第2下部電極102の厚さの2倍以上5倍以下であることが好ましい。第2下部電極102の厚さは、たとえば、0.2μm程度であってもよい。また、第1下部電極101の比電気抵抗(第1層部の比電気抵抗)は、第2下部電極102の比電気抵抗(第2層部の比電気抵抗)よりも小さいことが好ましい。
第1下部電極101は、たとえば、Al膜、W膜、Au膜等の単膜から構成されている。第2下部電極102は、たとえば、Ptの単膜であってもよい。第2下部電極102は、Ti/TiO2膜、Ir膜等から構成されていてもよい。また、第2下部電極102は、たとえば、Pt膜およびTi/TiO2膜の積層膜、Ti/TiO2膜およびIr膜の積層膜から構成されていてもよい。
上部電極13は、平面視において、下部電極11の主電極部11Aと同じパターンの矩形状に形成されている。すなわち、上部電極13の長手方向の長さは、可動膜10Aの長手方向の長さよりも短い。上部電極13の両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ、所定間隔を開けて内側に配置されている。また、上部電極13の短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。上部電極13の両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。
圧電体膜12は、平面視において、上部電極13と同じパターンの矩形状に形成されている。すなわち、圧電体膜12の長手方向の長さは、可動膜10Aの長手方向の長さよりも短い。圧電体膜12の両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ、所定間隔を開けて内側に配置されている。また、圧電体膜12の短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。圧電体膜12の両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。圧電体膜12の下面は下部電極11の主電極部11Aの上面に接しており、圧電体膜12の上面は上部電極13の下面に接している。
上部配線17は、圧電素子9の一端部の上面からそれに連なる圧電素子9の端面に沿って延び、さらに下部電極11の延長部11Bの表面に沿って、インク流通方向41に沿う方向に延びている。上部配線17の先端部は、保護基板4のインク流通方向41の下流側端よりも下流側に配置されている。パッシベーション膜21には、上部配線17の先端部表面の中央部を露出させるパッド開口35が形成されている。パッシベーション膜21上に、パッド開口35を覆うようにパッド42が設けられている。パッド42は、パッド開口35内で上部配線17に接続されている。
下部配線18は、平面視において、インク流通方向41と直交する方向に長い矩形状の主配線部18Aと、主配線部18Aの一端部からインク流通方向41に沿って延びたリード部18Bとを有している。主配線部18Aは、下部電極11の第1厚部100Aの上方に配置されている。リード部18Bの先端部は、保護基板4のインク流通方向41の下流側端よりも下流側に配置されている。下部配線18は、複数のコンタクト孔34に入り込み、コンタクト孔34内で下部電極11の延長部11Bに接続されている。パッシベーション膜21には、リード部18Bの先端部表面の中央部を露出させるパッド開口36が形成されている。パッシベーション膜21上に、パッド開口36を覆うようにパッド43が設けられている。パッド43は、パッド開口36内でリード部18Bに接続されている。
図16は、前記インクジェットプリントヘッドのアクチュエータ基板側から見た保護基板の主要部の底面図である。
図9A、図11および図16に示すように、保護基板4の対向面51には、複数の収容凹所52が、インク流通方向41と直交する方向に間隔をおいて平行に形成されている。複数の収容凹所52は、平面視において、複数の圧力室7に対向する位置に配置されている。各収容凹所52に対してインク流通方向41の上流側にインク供給路53が配置されている。各収容凹所52は、平面視において、対応する圧電素子9の上部電極13のパターンよりも少し大きな矩形状に形成されている。そして、各収容凹所52に、対応する圧電素子9が収容されている。
保護基板4のインク供給路53は、平面視において、アクチュエータ基板2側のインク供給用貫通孔22と同じパターンの円形状である。インク供給路53は、平面視でインク供給用貫通孔22に整合している。
ダミー配線19は、平面視において、インク供給路53(インク供給用貫通孔22)を取り囲む円形環状の第1ダミー配線19Aを含んでいる。第1ダミー配線19Aは、アクチュエータ基板2上において、保護基板4の対向面51のインク供給路53の周囲領域に対向する領域に配置されている。第1ダミー配線19Aの幅(第1ダミー配線19Aの内径と外径との差)は、インク供給路53の直径の1/3以上であることが好ましい。第1ダミー配線19Aの上面は平坦である。第1ダミー配線19Aは、保護基板4を支持するとともに保護基板4の対向面との接着性を高める台座20を構成している。
ダミー配線19は、さらに、隣接する圧力室7の間領域の幅中央部と、複数の圧力室群の両外側の圧力室7の外側方とに形成され、インク流通方向41に沿う方向に延びた細長矩形の第2ダミー配線19Bを含む。各第2ダミー配線19Bは、下部電極11の各第2厚部100Bの上方に配置されている。第2ダミー配線19Bの上面は平坦である。第2ダミー配線19Bは、保護基板4を支持するとともに保護基板4の対向面との接着性を高める台座を構成している。
アクチュエータ基板2に保護基板4を接合する際には、アクチュエータ基板2と保護基板4との接合部に接着剤50が塗布された状態で、保護基板4がアクチュエータ基板2に押圧される。この際、保護基板4の対向面51は、上面が平坦な台座である第1ダミー配線19Aおよび第2ダミー配線19Bに、パッシベーション膜21を介して押し付けられる。このため、保護基板4の対向面51は、第1ダミー配線19Aおよび第2ダミー配線19Bの上面に、パッシベーション膜21および接着剤50を介して、強固に接合される。つまり、保護基板4の対向面51とアクチュエータ基板2との接合部に接着不良が生じにくくなる。
この実施形態では、アクチュエータ基板2側にインク供給路53(インク供給用貫通孔22)を取り囲む円形環状の第1ダミー配線19A(台座20)が設けられているので、保護基板4における収容凹所52とインク供給路53との間の壁部下面とアクチュエータ基板2との間に接合不良が生じるのを抑制できる。これにより、インク供給路53から収容凹所52内へのインク漏れを抑制できる。
図14は、前記インクジェットプリントヘッドの絶縁膜のパターン例を示す図解的な平面図である。図15は、前記インクジェットプリントヘッドの第2水素バリア膜およびパッシベーション膜のパターン例を示す図解的な平面図である。
この実施形態では、絶縁膜15およびパッシベーション膜21は、アクチュエータ基板2上において、平面視で保護基板4の収容凹所52の外側領域のほぼ全域に形成されている。ただし、この領域において、絶縁膜15には、インク供給用貫通孔22およびコンタクト孔34が形成されている。この領域において、パッシベーション膜21には、インク供給用貫通孔22およびパッド開口35,36が形成されている。
保護基板4の収容凹所52の内側領域においては、絶縁膜15およびパッシベーション膜21は、上部配線17が存在する一端部(上部配線領域)にのみ形成されている。この領域において、パッシベーション膜21は、絶縁膜15上の上部配線17の上面および側面を覆うように形成されている。換言すれば、絶縁膜15およびパッシベーション膜21には、平面視で収容凹所52の内側領域のうち、上部配線領域を除いた領域に、開口37が形成されている。絶縁膜15には、さらに、コンタクト孔33が形成されている。
この実施形態では、平面視で圧力室7の周縁の内側領域において、絶縁膜15およびパッシベーション膜21は、上部配線17の存在する上部配線領域のみに形成されている。したがって、圧電素子9の側面および上面の大部分は絶縁膜15およびパッシベーション膜21によって覆われていない。これにより、圧電素子9の側面および上面の全域が絶縁膜およびパッシベーション膜によって覆われている場合に比べて、可動膜10Aの変位を大きくすることができる。
下部電極11における圧力室7の天面部周縁よりも内側にある部分(内側電極領域)は、可動膜10A上に形成されている。このため、下部電極11の内側電極領域は、可動膜10Aの変形を妨げるおそれがある。これに対して、下部電極11における圧力室7の天面部周縁よりも外側にある部分(外側電極領域)は、可動膜10Aの変形にほとんど影響を与えない。
この実施形態では、下部電極11は、外側電極領域に厚部100(100A,100B)を有している。このため、下部電極11の全体の厚さが内側電極領域の厚さと同じ厚さである場合に比べて、下部電極11全体の電気抵抗を小さくすることができる。この実施形態では、厚部100(100A,100B)のみに存在する第1下部電極101(第1層部)の比電気抵抗は、第2下部電極102(第2層部)の比電気抵抗よりも小さいので、下部電極11全体の電気抵抗をより小さくすることができる。このように、下部電極11に厚部100を設けても、厚部100は外側電極領域に形成されているため、可動膜10Aの変形に悪影響を及ぼさない。つまり、この実施形態によれば、下部電極11の抵抗値を小さくできるとともに、可動膜10Aの変位を大きくすることができる。
図17A〜図17Oは、前記インクジェットプリントヘッド1の製造工程の一例を示す断面図であり、図10に対応する切断面を示す。
まず、図17Aに示すように、アクチュエータ基板2の表面2aに可動膜形成層10が形成される。ただし、アクチュエータ基板2としては、最終的なアクチュエータ基板2の厚さより厚いものが用いられる。具体的には、アクチュエータ基板2の表面に酸化シリコン膜(たとえば、1.2μm厚)が形成される。可動膜形成層10が、シリコン膜と酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜で構成される場合には、アクチュエータ基板2の表面にシリコン膜(たとえば0.4μm厚)が形成され、シリコン膜上に酸化シリコン膜(たとえば0.4μm厚)が形成され、酸化シリコン膜上に窒化シリコン膜(たとえば0.4μm厚)が形成される。
可動膜形成層10の表面には、たとえば、Al2O3、MgO、ZrO2などの下地酸化膜が形成されてもよい。これらの下地酸化膜は、後に形成される圧電体膜12からの金属原子の抜け出しを防ぐ。金属電子が抜け出すと、圧電体膜12の圧電特性が悪くなるおそれがある。また、抜け出した金属原子が可動膜10Aを構成するシリコン層に混入すると可動膜10Aの耐久性が悪化するおそれがある。
次に、図17Bに示すように、可動膜形成層10の上(前記下地酸化膜が形成されている場合には当該下地酸化膜の上)に、第1下部電極101の材料層である第1下部電極膜71が形成される。第1下部電極膜71は、たとえば、Al膜(たとえば0.4μm〜1.0μm厚)からなる。このような第1下部電極膜71は、スパッタ法で形成されてもよい。
次に、フォトグラフィによって、第1下部電極101のパターンのレジストマスクが形成される。そして、図17Cに示すように、このレジストマスクをマスクとして、第1下部電極膜71がエッチングされることにより、所定パターンの第1下部電極101が形成される。
次に、図17Dに示すように、可動膜形成層10の上に、第2下部電極102の材料層である第2下部電極膜72が、第1下部電極101を覆うように形成される。第2下部電極膜72は、たとえば、Pt膜(たとえば0.2μm厚)からなる。このような第2下部電極膜72は、スパッタ法で形成されてもよい。
次に、圧電体膜12の材料膜(圧電体材料膜)73が下部電極膜71上の全面に形成される。具体的には、たとえば、ゾルゲル法によって1μm〜3μm厚の圧電体材料膜73が形成される。このような圧電体材料膜73は、金属酸化物結晶粒の焼結体からなる。
次に、圧電体材料膜73の全面に上部電極13の材料である上部電極膜74が形成される。上部電極膜74は、たとえば、白金(Pt)の単膜であってもよい。上部電極膜74は、たとえば、IrO2膜(たとえば40nm〜160nm厚)を下層とし、Ir膜(たとえば40nm〜160nm厚)を上層とするIr02/Ir積層膜であってもよい。このような上部電極膜74は、スパッタ法で形成されてもよい。
次に、図17Eおよび図17Fに示すように、上部電極膜74、圧電体材料膜73および第2下部電極膜72のパターニングが行われる。まず、フォトグラフィによって、上部電極13のパターンのレジストマスクが形成される。そして、図17Eに示すように、このレジストマスクをマスクとして、上部電極膜74および圧電体材料膜73が連続してエッチングされることにより、所定パターンの上部電極13および圧電体膜12が形成される。
次に、レジストマスクが剥離された後、フォトグラフィによって、第2下部電極102のパターンのレジストマスクが形成される。そして、図17Fに示すように、このレジストマスクをマスクとして、第2下部電極膜72がエッチングされることにより、所定パターンの第2下部電極102が形成される。これにより、第1下部電極101と第2下部電極102とからなり、厚部100を有する下部電極11が形成される。下部電極11は、主電極部11Aと、貫通孔23を有する延長部11Bとを含む。このようにして、下部電極11の主電極部11A、圧電体膜12および上部電極13からなる圧電素子9が形成される。
次に、図17Gに示すように、レジストマスクが剥離された後、全面を覆う水素バリア膜14が形成される。水素バリア膜14は、スパッタ法で形成されたAl2O3膜であってもよく、その膜厚は、50nm〜100nmであってもよい。この後、水素バリア膜14上の全面に絶縁膜15が形成される。絶縁膜15は、SiO2膜であってもよく、その膜厚は、200nm〜300nmであってもよい。続いて、絶縁膜15および水素バリア膜14が連続してエッチングされることにより、コンタクト孔33,34が形成される。
次に、図17Hに示すように、コンタクト孔33,34内を含む絶縁膜15上に、スパッタ法によって、上部配線17、下部配線18およびダミー配線19(19A,19B)を構成する配線膜が形成される。この後、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、配線膜がパターニングされることにより、上部配線17、下部配線18およびダミー配線19(19A,19B)が同時に形成される。
次に、図17Iに示すように、絶縁膜15の表面に配線17,18,19を覆うパッシベーション膜21が形成される。パッシベーション膜21は、例えば、SiNからなる。パッシベーション膜21は、例えば、プラズマCVDによって形成される。
次に、フォトグラフィによってパッド開口35,36に対応した開口を有するレジストマスクが形成され、このレジストマスクをマスクとして、パッシベーション膜21がエッチングされる。これにより、図17Jに示すように、パッシベーション膜21にパッド開口35,36が形成される。レジストマスクが剥離された後に、パッシベーション膜21上にパッド開口35およびパッド開口36を介して、それぞれ上部配線17および下部配線18に接続されるパッド42,43が形成される。
次に、フォトグラフィによって開口37およびインク供給用貫通孔22に対応した開口を有するレジストマスクが形成され、このレジストマスクをマスクとして、パッシベーション膜21および絶縁膜15が連続してエッチングされる。これにより、図17Kに示すように、パッシベーション膜21および絶縁膜15に、開口37およびインク供給用貫通孔22が形成される。
次に、レジストマスクが剥離される。そして、フォトグラフィによってインク供給用貫通孔22に対応した開口を有するレジストマスクが形成され、このレジストマスクをマスクとして、水素バリア膜14および可動膜形成層10がエッチングされる。これにより、図17Lに示すように、水素バリア膜14および可動膜形成層10に、インク供給用貫通孔22が形成される。
次に、図17Mに示すように、保護基板4の対向面51に接着剤50が塗布され、インク供給路53とインク供給用貫通孔22とが一致するように、アクチュエータ基板2に保護基板4が固定される。この際、保護基板4の対向面51は、上面が平坦な台座である第1ダミー配線19Aおよび第2ダミー配線19Bに、パッシベーション膜21を介して押し付けられる。このため、保護基板4の対向面51は、第1ダミー配線19Aおよび第2ダミー配線19Bの上面に、パッシベーション膜21および接着剤50を介して、強固に接合される。
次に、図17Nに示すように、アクチュエータ基板2を薄くするための裏面研削が行われる。アクチュエータ基板2が裏面2bから研磨されることにより、アクチュエータ基板2が薄膜化される。たとえば、初期状態で670μm厚程度のアクチュエータ基板2が、300μm厚程度に薄型化されてもよい。次に、アクチュエータ基板2に対して、アクチュエータ基板2の裏面からエッチング(ドライエッチングまたはウェットエッチング)を行うことによって、インク流路5(インク流入部6および圧力室7)が形成される。
このエッチングの際、可動膜形成層10の表面に形成される下地酸化膜は、圧電体膜12から金属元素(PZTの場合は、Pb,Zr,Ti)が抜け出すことを防止し、圧電体膜12の圧電特性を良好に保つ。また、前述のとおり、可動膜形成層10の表面に形成される下地酸化膜は、可動膜10Aを形成するシリコン層の耐久性の維持に寄与する。
この後、図17Oに示すように、ノズル基板3がアクチュエータ基板2の裏面に張り合わされることにより、インクジェットプリントヘッド1が得られる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の実施形態で実施することもできる。前述の実施形態では、第1下部電極101は第2下部電極102の下面側に設けられているが、第1下部電極101は第2下部電極102の上面側に設けられていてもよい。
また、前述の実施形態では、水素バリア膜14の表面の一部に絶縁膜15が形成されているが、水素バリア膜14の表面の全域に絶縁膜15が形成されていてもよい。
また、前述の実施形態では、水素バリア膜14表面の一部に絶縁膜15が形成されているが、絶縁膜15はなくてもよい。
また、前述の実施形態では、圧電体膜の材料としてPZTを例示したが、そのほかにも、チタン酸鉛(PbPO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸ノチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)などに代表される金属酸化物からなる圧電材料が適用されてもよい。
前述の実施形態では、この発明をインクジェットプリントヘッドに適用した場合について説明したが、この発明は、圧電素子を利用した圧電マイクロホン、圧力センサ等にも適用することができる。
[3]第3発明について
特開2015−91668号公報は、インクジェットプリントヘッドを開示している。特開2015−91668号公報のインクジェットプリントヘッドは、インク流路としての圧力室(圧力発生室)を有するアクチュエータ基板(基板)と、アクチュエータ基板上に形成された可動膜(弾性膜)と、可動膜上に設けられた圧電素子とを含んでいる。特開2015−91668号公報のインクジェットプリントヘッドは、さらに、基板の下面に接合されかつ圧力室に連通するノズル開口を有するノズル基板(ノズルプレート)と、アクチュエータ基板の上面に接合されかつ圧電素子を覆う保護基板とを備えている。
アクチュエータ基板には、圧力室と連通する個別インク供給路と、個別インク供給路と連通する共通インク供給路(連通部)とが形成されている。つまり、アクチュエータ基板には、共通インク供給路、個別インク供給路および圧力室を含むインク流路が形成されている。保護基板の下面には、圧電素子を収容する収容凹所(圧電素子保持部)が形成されている。また、保護基板には、平面視で収容凹所と間隔をおいて、アクチュエータ基板の共通インク供給路と連通するインク供給路(リザーバ―部)が形成されている。インクタンクから、保護基板のインク供給路、アクチュエータ基板の共通インク供給路および個別インク供給路を通って、加圧室にインクが供給される。
特開2015−91668号公報に記載されているようなインクジェットプリントヘッドでは、一般的に、保護基板はアクチュエータ基板に接着剤によって接合される。この際、保護基板における収容凹所とインク供給路との間の壁部下面も、アクチュエータ基板に接着剤によって接合される。接着剤に気泡が混入する等の原因によって、保護基板における前記壁部下面とアクチュエータ基板との間に接合不良が生じると、インク供給路から収容凹所内にインクが漏れ出して、圧電素子が破壊されるおそれがある。
第3発明の目的は、保護基板におけるインク供給路と収容凹所との間の壁部下面と、アクチュエータ基板との間に接合不良が生じるのを抑制でき、インク供給路から収容凹所内へのインク漏れを抑制できる、インクジェットプリントヘッドおよびその製造方法を提供することである。
第3発明は、次のような特徴を有している。
B1.圧力室を含むインク流路を有するアクチュエータ基板と、前記圧力室上に配置されかつ前記圧力室の天面部を区画する可動膜を含む可動膜形成層と、前記可動膜上に形成された圧電素子と、前記圧電素子を覆うように前記アクチュエータ基板に接着剤によって接合される保護基板とを含み、前記保護基板は、前記圧電素子を収容する下方開口の収容凹所と、前記可動膜の主面に対して法線方向から見た平面視において前記収容凹所の一端の外方に形成され、前記インク流路の一端部に連通するインク供給路とを有しており、前記アクチュエータ基板には、前記保護基板の下面における前記インク供給路の周囲領域に対向する領域に、前記平面視において、前記インク供給路を取り囲むように配置されかつ上面が平坦な台座が形成されている、インクジェットプリントヘッド。
アクチュエータ基板に保護基板を接合する際には、アクチュエータ基板と保護基板との接合部に接着剤が塗布された状態で、保護基板がアクチュエータ基板に押圧される。この際、保護基板の下面におけるインク供給路の周囲領域に対向する領域は、上面が平坦な台座に押し付けられる。このため、保護基板の下面におけるインク供給路の周囲領域に対向する領域は、台座の上面に接着剤を介して強固に接合される。これにより、保護基板における収容凹所とインク供給路との間の壁部下面とアクチュエータ基板との間に接合不良が生じるのを抑制できる。これにより、インク供給路から収容凹所内へのインク漏れを抑制できる。
B2.前記台座は、前記平面視において前記インク供給路を取り囲む環状の台座を含む、「B1.」に記載のインクジェットプリントヘッド。
この構成では、インク供給路から収容凹所内へのインク漏れをより効果的に抑制できる。
B3.前記台座は、前記平面視において前記インク供給路を取り囲む環状の第1台座と、前記第1台座の周囲に配置された1または複数の第2台座とを含む、「B1.」に記載のインクジェットプリントヘッド。
この構成では、インク供給路から収容凹所内へのインク漏れをより効果的に抑制できる。
B4.前記圧電素子は、前記可動膜上に形成された下部電極と、前記下部電極上に形成された圧電体膜と、前記圧電体膜上に形成された上部電極とを含み、前記平面視において、前記上部電極は、前記可動膜よりも前記圧力室の内方に後退した周縁を有しており、前記平面視において、一端部が前記上部電極の上面に接続され、他端部が前記圧力室の周縁の外側に引き出された上部配線をさらに含み、前記台座は、前記上部配線を形成する工程と同じ工程で作成されるダミー配線から構成されている、「B1.」〜「B3.」のいずれかに記載のインクジェットプリントヘッド。
この構成では、上部電極を形成する工程と同一工程において台座を形成することができるので、製造工程が簡単である。
B5.前記上部電極および前記圧電体膜の少なくとも側面全域と、前記下部電極の上面とを覆う水素バリア膜と、前記水素バリア膜上に形成され、前記水素バリア膜と前記上部配線および前記ダミー配線との間に配置された絶縁膜とをさらに含み、前記水素バリア膜および前記絶縁膜に、前記上部電極の一部を露出させるコンタクト孔が形成されており、前記上部配線の一端部は、前記コンタクト孔を介して前記上部電極に接続されている、「B4.」に記載のインクジェットプリントヘッド。
この構成では、圧電体膜の水素還元による特性劣化を防止することができる。
B6.前記圧電素子は、前記可動膜上に形成された下部電極と、前記下部電極上に形成された圧電体膜と、前記圧電体膜上に形成された上部電極とを含み、前記台座は、前記圧電体膜を形成する工程と同じ工程で作成されるダミー圧電体膜から構成されている、「B1.」〜「B3.」のいずれかに記載のインクジェットプリントヘッド。
この構成では、圧電体膜を形成する工程と同一工程において台座を形成することができるので、製造工程が簡単である。
B7.前記平面視において、前記上部電極は、前記可動膜よりも前記圧力室の内方に後退した周縁を有しており、前記平面視において、一端部が前記上部電極の上面に接続され、他端部が前記圧力室の周縁の外側に引き出された上部配線をさらに含む、「B6.」に記載のインクジェットプリントヘッド。
B8.前記上部電極および前記圧電体膜の少なくとも側面全域と、前記下部電極および前記ダミー圧電体膜の表面とを覆う水素バリア膜と、前記水素バリア膜上に形成され、前記水素バリア膜と前記上部配線との間に配置された絶縁膜とをさらに含み、前記水素バリア膜および前記絶縁膜に、前記上部電極の一部を露出させるコンタクト孔が形成されており、前記上部配線の一端部は、前記コンタクト孔を介して前記上部電極に接続されている、「B7.」に記載のインクジェットプリントヘッド。
この構成では、圧電体膜の水素還元による特性劣化を防止することができる。
B9.前記絶縁膜上に形成され、前記配線を被覆するパッシベーション膜をさらに含む、「B5.」または「B8.」に記載のインクジェットプリントヘッド。
この構成では、パッシベーション膜によって配線を保護することができる。
B10.前記可動膜形成層は、SiO2単膜からなる、「B1.」〜「B9.」のいずれかに記載のインクジェットプリントヘッド。
B11.前記可動膜形成層は、前記基板上に形成されたSi膜と、前記Si膜上に形成されSiO2膜と、前記SiO2膜上に形成されたSiN膜との積層膜からなる、「B1.」〜「B9.」のいずれかに記載のインクジェットプリントヘッド。
B12.前記圧電体膜は、PZT膜からなる、「B4.」または「B6.」に記載のインクジェットプリントヘッド。
B13.前記上部電極は、Pt単膜からなる、「B4.」または「B6.」に記載のインクジェットプリントヘッド。
B14.前記上部電極は、前記圧電体膜上に形成されたIr02膜と、前記Ir02膜上に形成されたIr膜との積層膜からなる、「B4.」または「B6.」に記載のインクジェットプリントヘッド。
B15.前記下部電極は、前記可動膜側に形成されたTi膜と、前記Ti膜上に形成されたPt膜との積層膜からなる、「B4.」または「B6.」に記載のインクジェットプリントヘッド。
B16.アクチュエータ基板上に可動膜形成領域を含む可動膜形成層を形成する工程と、前記可動膜形成層上に、下部電極膜、圧電体材料膜および上部電極膜を形成する工程と、前記上部電極膜、圧電体材料膜および下部電極膜をパターニングして、上部電極、圧電体膜および下部電極を形成することにより、前記下部電極と前記上部電極とそれらに挟まれた前記圧電体膜とを含む圧電素子を形成する工程と、前記可動膜形成層上に、前記圧電素子および前記下部電極を覆う水素バリア膜および絶縁膜を順に形成する工程と、前記上部電極上において、前記水素バリア膜および前記絶縁膜に、前記上部電極の一部を露出させるコンタクト孔を形成する工程と、前記絶縁膜上に配線膜を形成した後、前記配線膜をパターニングすることにより、前記コンタクト孔を介して前記上部電極に接続された上部配線と、ダミー配線からなる台座とを形成する工程と、前記圧電素子を覆うように前記アクチュエータ基板に保護基板を接合する工程と、前記アクチュエータ基板を下方からエッチングすることにより、前記可動膜形成領域に対向する圧力室を含むインク流路を形成する工程を含み、前記保護基板は、前記圧電素子を収容する下方開口の収容凹所と、前記平面視において前記収容凹所の一端の外方に形成され、前記インク流路の一端部に連通するインク供給路とを有しており、前記台座は、前記保護基板の下面における前記インク供給路の周囲領域に対向する領域に、前記可動膜形成層の主面に対して法線方向から見た平面視において、前記インク供給路を取り囲むように配置されている、インクジェットプリントヘッドの製造方法。
このインクジェットプリントヘッドの製造方法では、インク供給路から収容凹所内へのインク漏れを抑制できるインクジェットプリントヘッドが得られる。
B17.アクチュエータ基板上に可動膜形成領域を含む可動膜形成層を形成する工程と、前記可動膜形成層上に、下部電極膜、圧電体材料膜および上部電極膜を形成する工程と、前記上部電極膜、圧電体材料膜および下部電極膜をパターニングして、上部電極、圧電体膜、下部電極および台座形成用ダミー圧電体膜を形成することにより、前記下部電極と前記上部電極とそれらに挟まれた前記主圧電体部とを含む圧電素子とダミー圧電体膜からなる台座とを形成する工程と、前記可動膜形成層上に、前記圧電素子および前記下部電極を覆う水素バリア膜および絶縁膜を順に形成する工程と、前記上部電極上において、前記水素バリア膜および前記絶縁膜に、前記上部電極の一部を露出させるコンタクト孔を形成する工程と、前記絶縁膜上に配線膜を形成した後、配線膜をパターニングすることにより、前記コンタクト孔を介して前記上部電極に接続された上部配線を形成する工程と、前記圧電素子を覆うように前記アクチュエータ基板に保護基板を接合する工程と、前記アクチュエータ基板を下方からエッチングすることにより、前記可動膜形成領域に対向する加圧室を含むインク流路を形成する工程を含み、前記保護基板は、前記圧電素子を収容する下方開口の収容凹所と、前記平面視において前記収容凹所の一端の外方に形成され、前記インク流路の一端部に連通する前記インク供給路とを有しており、前記台座は、前記保護基板の下面における前記インク供給路の周囲領域に対向する領域に、前記可動膜形成層の主面に対して法線方向から見た平面視において、前記インク供給路を取り囲むように配置されている、インクジェットプリントヘッドの製造方法。
このインクジェットプリントヘッドの製造方法では、インク供給路から収容凹所内へのインク漏れを抑制できるインクジェットプリントヘッドが得られる。
第3発明の実施の形態を、図18A〜図30Bを参照して詳細に説明する。図18A〜図30B中の符号は、前述の第1発明の説明に使用した図1A〜図8N中の符号および前述の第2発明の説明に使用した図9A〜図17O中の符号とは無関係である。
図18Aは、第3発明の一実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの主要部の構成を説明するための図解的な平面図である。図18Bは、インクジェットプリントヘッドの主要部の図解的な平面図であって、保護基板が省略された平面図である。図19は、図18AのXIX-XIX線に沿う図解的な断面図である。図20は、図18AのXX-XX線に沿った切断面のうちの一部を図解的に示す拡大断面図である。図21は、図18Aのインクジェットプリントヘッドの下部電極のパターン例を示す図解的な平面図である。
図19を参照して、インクジェットプリントヘッド1の構成を概略的に説明する。
インクジェットプリントヘッド1は、アクチュエータ基板2と、ノズル基板3と、保護基板4とを備えている。アクチュエータ基板2の表面には、可動膜形成層10が積層されている。アクチュエータ基板2には、インク流路(インク溜まり)5が形成されている。インク流路5は、この実施形態では、アクチュエータ基板2を貫通して形成されている。インク流路5は、図19に矢印で示すインク流通方向41に沿って細長く延びて形成されている。インク流路5は、インク流通方向41の上流側端部(図19では左端部)のインク流入部6と、インク流入部6に連通する圧力室7とから構成されている。図19において、インク流入部6と圧力室7との境界を二点鎖線で示すことにする。
ノズル基板3は、たとえばシリコン基板からなる。ノズル基板3は、アクチュエータ基板2の裏面2bに張り合わされている。ノズル基板3は、アクチュエータ基板2および可動膜形成層10とともにインク流路5を区画している。より具体的には、ノズル基板3は、インク流路5の底面部を区画している。ノズル基板3は、圧力室7に臨む凹部3aを有し、凹部3aの底面にインク吐出通路3bが形成されている。インク吐出通路3bは、ノズル基板3を貫通しており、圧力室7とは反対側に吐出口3cを有している。したがって、圧力室7の容積変化が生じると、圧力室7に溜められたインクは、インク吐出通路3bを通り、吐出口3cから吐出される。
可動膜形成層10における圧力室7の天壁部分は、可動膜10Aを構成している。可動膜10A(可動膜形成層10)は、たとえば、アクチュエータ基板2上に形成された酸化シリコン(SiO2)膜からなる。可動膜10A(可動膜形成層10)は、たとえば、アクチュエータ基板2上に形成されるシリコン(Si)膜と、シリコン膜上に形成される酸化シリコン(SiO2)膜と、酸化シリコン膜上に形成される窒化シリコン(SiN)膜との積層膜から構成されていてもよい。この明細書において、可動膜10Aとは、可動膜形成層10のうち圧力室7の天面部を区画している天壁部を意味している。したがって、可動膜形成層10のうち、圧力室7の天壁部以外の部分は、可動膜10Aを構成していない。
可動膜10Aの厚さは、たとえば、0.4μm〜2μmである。可動膜10Aが酸化シリコン膜から構成される場合は、酸化シリコン膜の厚さは1.2μm程度であってもよい。可動膜10Aが、シリコン膜と酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜から構成される場合には、シリコン膜、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜の厚さは、それぞれ0.4μm程度であってもよい。
圧力室7は、可動膜10Aと、アクチュエータ基板2と、ノズル基板3とによって区画されており、この実施形態では、略直方体状に形成されている。圧力室7の長さはたとえば800μm程度、その幅は55μm程度であってもよい。インク流入部6は、圧力室7の長手方向一端部に連通している。
可動膜10Aの表面には、圧電素子9が配置されている。圧電素子9は、可動膜形成層10上に形成された下部電極11と、下部電極11上に形成された圧電体膜12と、圧電体膜12上に形成された上部電極13とを備えている。言い換えれば、圧電素子9は、圧電体膜12を上部電極13および下部電極11で上下から挟むことにより構成されている。
上部電極13は、白金(Pt)の単膜であってもよいし、たとえば、導電性酸化膜(たとえば、IrO2(酸化イリジウム)膜)および金属膜(たとえば、Ir(イリジウム)膜)が積層された積層構造を有していてもよい。上部電極13の厚さは、たとえば、0.2μm程度であってもよい。
圧電体膜12としては、たとえば、ゾルゲル法またはスパッタ法によって形成されたPZT(PbZrxTi1−xO3:チタン酸ジルコン酸鉛)膜を適用することができる。このような圧電体膜12は、金属酸化物結晶の焼結体からなる。圧電体膜12は、上部電極13と平面視で同形状に形成されている。圧電体膜12の厚さは、1μm程度である。可動膜10Aの全体の厚さは、圧電体膜12の厚さと同程度か、圧電体膜12の厚さの2/3程度とすることが好ましい。
下部電極11は、たとえば、Ti(チタン)膜およびPt(プラチナ)膜を可動膜形成層10側から順に積層した2層構造を有している。この他にも、Au(金)膜、Cr(クロム)層、Ni(ニッケル)層などの単膜で下部電極11を形成することもできる。下部電極11は、圧電体膜12の下面に接した主電極部11Aと、圧電体膜12の外方の領域まで延びた延長部11Bとを有している。下部電極11の厚さは、たとえば、0.2μm程度であってもよい。
下部電極11の延長部11B上および圧電素子9上には、水素バリア膜14が形成されている。水素バリア膜14は、たとえば、Al2O3(アルミナ)からなる。水素バリア膜14の厚さは、50nm〜100nm程度である。水素バリア膜14は、圧電体膜12の水素還元による特性劣化を防止するために設けられている。
水素バリア膜14上に、絶縁膜15が積層されている。絶縁膜15は、たとえば、SiO2、低水素のSiN等からなる。絶縁膜15の厚さは、500nm程度である。絶縁膜15上には、上部配線17、下部配線18およびダミー配線19が形成されている。これらの配線17,18,19は、Al(アルミニウム)を含む金属材料からなっていてもよい。これらの配線17,18,19の厚さは、たとえば、1000nm(1μm)程度である。
上部配線17の一端部は、上部電極13の一端部(インク流通方向41の下流側端部)の上方に配置されている。上部配線17と上部電極13との間において、水素バリア膜14および絶縁膜15を連続して貫通するコンタクト孔33が形成されている。上部配線17の一端部は、コンタクト孔33に入り込み、コンタクト孔33内で上部電極13に接続されている。上部配線17は、上部電極13の上方から、圧力室7の外縁を横切って圧力室7の外方に延びている。
下部配線18は、インク流路5のインク流入部6に対して圧力室7とは反対側において、下部電極11の延長部11Bの上方に配置されている。下部配線18と下部電極11の延長部11Bとの間において、水素バリア膜14および絶縁膜15を連続して貫通する複数のコンタクト孔34が形成されている。下部配線18は、コンタクト孔34に入り込み、コンタクト孔34内で下部電極11の延長部11Bに接続されている。
ダミー配線19は、上部配線17および下部配線18のいずれにも、電気的に接続されておらず、電気的に絶縁された配線である。ダミー配線19は、上部配線17および下部配線18を形成する工程と同じ工程で形成される。
絶縁膜15上には、配線17,18,19および絶縁膜15を覆うパッシベーション膜21が形成されている。パッシベーション膜21は、たとえば、SiN(窒化シリコン)からなる。パッシベーション膜21の厚さは、たとえば、800nm程度であってもよい。
パッシベーション膜21には、上部配線17の一部を露出させるパッド開口35が形成されている。パッド開口35は、圧力室7の外方領域に形成されており、たとえば、上部配線17の先端部(上部電極13へのコンタクト部の反対側端部)に形成されている。パッシベーション膜21上には、パッド開口35を覆うパッド42が形成されている。パッド42は、パッド開口35に入り込み、パッド開口35内で上部配線17に接続されている。
インク流路5におけるインク流入部6側の端部に対応する位置に、パッシベーション膜21、絶縁膜15、水素バリア膜14、下部電極11および可動膜形成層10を貫通するインク供給用貫通孔22が形成されている。下部電極11には、インク供給用貫通孔22を含み、インク供給用貫通孔22よりも大きな貫通孔23が形成されている。下部電極11の貫通孔23とインク供給用貫通孔22との隙間には、水素バリア膜14が入り込んでいる。インク供給用貫通孔22は、インク流入部6に連通している。
保護基板4は、たとえば、シリコン基板からなる。保護基板4は、圧電素子9を覆うようにアクチュエータ基板2上に配置されている。保護基板4は、パッシベーション膜21に、接着剤50を介して接合されている。保護基板4は、アクチュエータ基板2の表面2aに対向する対向面51に収容凹所52を有している。収容凹所52内に圧電素子9が収容されている。さらに、保護基板4には、インク供給用貫通孔22に連通するインク供給路53が形成されている。インク供給路53は、保護基板4を貫通している。保護基板4上には、インクを貯留したインクタンク(図示せず)が配置されている。
圧電素子9は、可動膜10Aを挟んで圧力室7に対向する位置に形成されている。すなわち、圧電素子9は、可動膜10Aの圧力室7とは反対側の表面に接するように形成されている。インクタンクからインク供給路53、インク供給用貫通孔22、インク流入部6を通って圧力室7にインクが供給されることによって、圧力室7にインクが充填される。可動膜10Aは、圧力室7の天面部を区画していて、圧力室7に臨んでいる。可動膜10Aは、アクチュエータ基板2における圧力室7の周囲の部分によって支持されており、圧力室7に対向する方向(換言すれば可動膜10Aの厚さ方向)に変形可能な可撓性を有している。
上部配線17および下部配線18は、駆動回路(図示せず)に接続されている。具体的には、上部配線17のパッド42と駆動回路とは、接続金属部材(図示せず)を介して接続されている。後述するように下部配線18にはパッド43(図18A参照)が接続されている。下部配線18のパッド43と駆動回路とは、接続金属部材(図示せず)を介して接続されている。駆動回路から圧電素子9に駆動電圧が印加されると、逆圧電効果によって、圧電体膜12が変形する。これにより、圧電素子9とともに可動膜10Aが変形し、それによって、圧力室7の容積変化がもたらされ、圧力室7内のインクが加圧される。加圧されたインクは、インク吐出通路3bを通って、吐出口3cから微小液滴となって吐出される。
図18A〜図21を参照して、インクジェットプリントヘッド1の構成についてさらに詳しく説明する。
アクチュエータ基板2には、複数のインク流路5(圧力室7)が互いに平行に延びてストライプ状に形成されている。複数のインク流路5毎に、圧電素子9が配置されている。インク供給用貫通孔22は、複数のインク流路5毎に設けられている。保護基板4の収容凹所52およびインク供給路53は、複数のインク流路5毎に設けられている。
複数のインク流路5は、それらの幅方向に微小な間隔(たとえば30μm〜350μm程度)を開けて等間隔で形成されている。各インク流路5は、インク流通方向41に沿って細長く延びている。インク流路5は、インク供給用貫通孔22に連通するインク流入部6とインク流入部6に連通する圧力室7とからなる。圧力室7は、平面視において、インク流通方向41に沿って細長く延びた長方形形状を有している。つまり、圧力室7の天面部は、インク流通方向41に沿う2つの側縁と、インク流通方向41に直交する方向に沿う2つの端縁とを有している。インク流入部6は、平面視で圧力室7とほぼ同じ幅を有している。インク流入部6における圧力室7とは反対側の端部の内面は、平面視で半円形に形成されている。インク供給用貫通孔22は、平面視において、円形状である(特に図18B参照)。
圧電素子9は、平面視において、圧力室7(可動膜10A)の長手方向に長い矩形形状を有している。圧電素子9の長手方向の長さは、圧力室7(可動膜10A)の長手方向の長さよりも短い。図18Bに示すように、圧電素子9の短手方向に沿う両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ所定間隔を開けて内側に配置されている。また、圧電素子9の短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。圧電素子9の長手方向に沿う両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。
下部電極11は、可動膜形成層10の表面のほぼ全域に形成されている(特に図21参照)。下部電極11は、複数の圧電素子9に対して共用される共通電極である。下部電極11は、圧電素子9を構成する平面視矩形状の主電極部11Aと、主電極部11Aから可動膜形成層10の表面に沿う方向に引き出され、圧力室7の天面部の周縁の外方に延びた延長部11Bとを含んでいる。
主電極部11Aの長手方向の長さは、可動膜10Aの長手方向の長さよりも短い。主電極部11Aの両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ、所定間隔を開けて内側に配置されている。また、主電極部11Aの短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。主電極部11Aの両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。延長部11Bは、下部電極11の全領域のうち主電極部11Aを除いた領域である。
上部電極13は、平面視において、下部電極11の主電極部11Aと同じパターンの矩形状に形成されている。すなわち、上部電極13の長手方向の長さは、可動膜10Aの長手方向の長さよりも短い。上部電極13の両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ、所定間隔を開けて内側に配置されている。また、上部電極13の短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。上部電極13の両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。
圧電体膜12は、平面視において、上部電極13と同じパターンの矩形状に形成されている。すなわち、圧電体膜12の長手方向の長さは、可動膜10Aの長手方向の長さよりも短い。圧電体膜12の両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ、所定間隔を開けて内側に配置されている。また、圧電体膜12の短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。圧電体膜12の両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。圧電体膜12の下面は下部電極11の主電極部11Aの上面に接しており、圧電体膜12の上面は上部電極13の下面に接している。
上部配線17は、圧電素子9の一端部の上面からそれに連なる圧電素子9の端面に沿って延び、さらに下部電極11の延長部11Bの表面に沿って、インク流通方向41に沿う方向に延びている。上部配線17の先端部は、保護基板4のインク流通方向41の下流側端よりも下流側に配置されている。パッシベーション膜21には、上部配線17の先端部表面の中央部を露出させるパッド開口35が形成されている。パッシベーション膜21上に、パッド開口35を覆うようにパッド42が設けられている。パッド42は、パッド開口35内で上部配線17に接続されている。
下部配線18は、平面視において、インク流通方向41と直交する方向に長い矩形状の主配線部18Aと、主配線部18Aの一端部からインク流通方向41に沿って延びたリード部18Bとを有している。リード部18Bの先端部は、保護基板4のインク流通方向41の下流側端よりも下流側に配置されている。下部配線18は、複数のコンタクト孔34に入り込み、コンタクト孔34内で下部電極11の延長部11Bに接続されている。パッシベーション膜21には、リード部18Bの先端部表面の中央部を露出させるパッド開口36が形成されている。パッシベーション膜21上に、パッド開口36を覆うようにパッド43が設けられている。パッド43は、パッド開口36内でリード部18Bに接続されている。
図24は、前記インクジェットプリントヘッドのアクチュエータ基板側から見た保護基板の主要部の底面図である。
図18A、図20および図24に示すように、保護基板4の対向面51には、複数の収容凹所52が、インク流通方向41と直交する方向に間隔をおいて平行に形成されている。複数の収容凹所52は、平面視において、複数の圧力室7に対向する位置に配置されている。各収容凹所52に対してインク流通方向41の上流側にインク供給路53が配置されている。各収容凹所52は、平面視において、対応する圧電素子9の上部電極13のパターンよりも少し大きな矩形状に形成されている。そして、各収容凹所52に、対応する圧電素子9が収容されている。
保護基板4のインク供給路53は、平面視において、アクチュエータ基板2側のインク供給用貫通孔22と同じパターンの円形状である。インク供給路53は、平面視でインク供給用貫通孔22に整合している。
ダミー配線19は、平面視において、インク供給路53(インク供給用貫通孔22)を取り囲む円形環状の第1ダミー配線19Aを含んでいる。第1ダミー配線19Aは、アクチュエータ基板2上において、保護基板4の対向面51のインク供給路53の周囲領域に対向する領域に配置されている。第1ダミー配線19Aの幅(第1ダミー配線19Aの内径と外径との差)は、インク供給路53の直径の1/3以上であることが好ましい。第1ダミー配線19Aの上面は平坦である。第1ダミー配線19Aは、保護基板4を支持するとともに保護基板4の対向面との接着性を高める台座20を構成している。
ダミー配線19は、さらに、隣接する圧力室7の間領域の幅中央部と、複数の圧力室群の両外側の圧力室7の外側方とに形成され、インク流通方向41に沿う方向に延びた細長矩形の第2ダミー配線19Bを含む。第2ダミー配線19Bの上面は平坦である。第2ダミー配線19Bは、保護基板4を支持するとともに保護基板4の対向面との接着性を高める台座を構成している。
アクチュエータ基板2に保護基板4を接合する際には、アクチュエータ基板2と保護基板4との接合部に接着剤50が塗布された状態で、保護基板4がアクチュエータ基板2に押圧される。この際、保護基板4の対向面51は、上面が平坦な台座である第1ダミー配線19Aおよび第2ダミー配線19Bに、パッシベーション膜21を介して押し付けられる。このため、保護基板4の対向面51は、第1ダミー配線19Aおよび第2ダミー配線19Bの上面に、パッシベーション膜21および接着剤50を介して、強固に接合される。つまり、保護基板4の対向面51とアクチュエータ基板2との接合部に接着不良が生じにくくなる。
この実施形態では、アクチュエータ基板2側にインク供給路53(インク供給用貫通孔22)を取り囲む円形環状の第1ダミー配線19A(台座20)が設けられているので、保護基板4における収容凹所52とインク供給路53との間の壁部下面とアクチュエータ基板2との間に接合不良が生じるのを抑制できる。これにより、インク供給路53から収容凹所52内へのインク漏れを抑制できる。
図22は、前記インクジェットプリントヘッドの絶縁膜のパターン例を示す図解的な平面図である。図23は、前記インクジェットプリントヘッドのパッシベーション膜のパターン例を示す図解的な平面図である。
この実施形態では、絶縁膜15およびパッシベーション膜21は、アクチュエータ基板2上において、平面視で保護基板4の収容凹所52の外側領域のほぼ全域に形成されている。ただし、この領域において、絶縁膜15には、インク供給用貫通孔22およびコンタクト孔34が形成されている。この領域において、パッシベーション膜21には、インク供給用貫通孔22およびパッド開口35,36が形成されている。
保護基板4の収容凹所52の内側領域においては、絶縁膜15およびパッシベーション膜21は、上部配線17が存在する一端部(上部配線領域)にのみ形成されている。この領域において、パッシベーション膜21は、絶縁膜15上の上部配線17の上面および側面を覆うように形成されている。換言すれば、絶縁膜15およびパッシベーション膜21には、平面視で収容凹所52の内側領域のうち、上部配線領域を除いた領域に、開口37が形成されている。絶縁膜15には、さらに、コンタクト孔33が形成されている。
この実施形態では、平面視で圧力室7の周縁の内側領域において、絶縁膜15およびパッシベーション膜21は、上部配線17の存在する上部配線領域のみに形成されている。したがって、圧電素子9の側面および上面の大部分は絶縁膜15およびパッシベーション膜21によって覆われていない。これにより、圧電素子9の側面および上面の全域が絶縁膜およびパッシベーション膜によって覆われている場合に比べて、可動膜10Aの変位を大きくすることができる。
図25A〜図25Mは、前記インクジェットプリントヘッド1の製造工程の一例を示す断面図であり、図19に対応する切断面を示す。
まず、図25Aに示すように、アクチュエータ基板2の表面2aに可動膜形成層10が形成される。ただし、アクチュエータ基板2としては、最終的なアクチュエータ基板2の厚さより厚いものが用いられる。具体的には、アクチュエータ基板2の表面に酸化シリコン膜(たとえば、1.2μm厚)が形成される。可動膜形成層10が、シリコン膜と酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜で構成される場合には、アクチュエータ基板2の表面にシリコン膜(たとえば0.4μm厚)が形成され、シリコン膜上に酸化シリコン膜(たとえば0.4μm厚)が形成され、酸化シリコン膜上に窒化シリコン膜(たとえば0.4μm厚)が形成される。
可動膜形成層10の表面には、たとえば、Al2O3、MgO、ZrO2などの下地酸化膜が形成されてもよい。これらの下地酸化膜は、後に形成される圧電体膜12からの金属原子の抜け出しを防ぐ。金属電子が抜け出すと、圧電体膜12の圧電特性が悪くなるおそれがある。また、抜け出した金属原子が可動膜10Aを構成するシリコン層に混入すると可動膜10Aの耐久性が悪化するおそれがある。
次に、図25Bに示すように、可動膜形成層10の上(前記下地酸化膜が形成されている場合には当該下地酸化膜の上)に、下部電極11の材料層である下部電極膜71が形成される。下部電極膜71は、たとえば、Ti膜(たとえば10nm〜40nm厚)を下層としPt膜(たとえば10nm〜400nm厚)を上層とするPt/Ti積層膜からなる。このような下部電極膜71は、スパッタ法で形成されてもよい。
次に、圧電体膜12の材料膜(圧電体材料膜)72が下部電極膜71上の全面に形成される。具体的には、たとえば、ゾルゲル法によって1μm〜3μm厚の圧電体材料膜72が形成される。このような圧電体材料膜72は、金属酸化物結晶粒の焼結体からなる。
次に、圧電体材料膜72の全面に上部電極13の材料である上部電極膜73が形成される。上部電極膜73は、たとえば、白金(Pt)の単膜であってもよい。上部電極膜73は、たとえば、IrO2膜(たとえば40nm〜160nm厚)を下層とし、Ir膜(たとえば40nm〜160nm厚)を上層とするIr02/Ir積層膜であってもよい。このような上部電極膜73は、スパッタ法で形成されてもよい。
次に、図25Cおよび図25Dに示すように、上部電極膜73、圧電体材料膜72および下部電極膜71のパターニングが行われる。まず、フォトグラフィによって、上部電極13のパターンのレジストマスクが形成される。そして、図25Cに示すように、このレジストマスクをマスクとして、上部電極膜73および圧電体材料膜72が連続してエッチングされることにより、所定パターンの上部電極13および圧電体膜12が形成される。
次に、レジストマスクが剥離された後、フォトグラフィによって、下部電極11のパターンのレジストマスクが形成される。そして、図25Dに示すように、このレジストマスクをマスクとして、下部電極膜71がエッチングされることにより、所定パターンの下部電極11が形成される。これにより、主電極部11Aと、貫通孔23を有する延長部11Bとからなる下部電極11が形成される。このようにして、下部電極11の主電極部11A、圧電体膜12および上部電極13からなる圧電素子9が形成される。
次に、図25Eに示すように、レジストマスクが剥離された後、全面を覆う水素バリア膜14が形成される。水素バリア膜14は、スパッタ法で形成されたAl2O3膜であってもよく、その膜厚は、50nm〜100nmであってもよい。この後、水素バリア膜14上の全面に絶縁膜15が形成される。絶縁膜15は、SiO2膜であってもよく、その膜厚は、200nm〜300nmであってもよい。続いて、絶縁膜15および水素バリア膜14が連続してエッチングされることにより、コンタクト孔33,34が形成される。
次に、図25Fに示すように、コンタクト孔33,34内を含む絶縁膜15上に、スパッタ法によって、上部配線17、下部配線18およびダミー配線19(19A,19B)を構成する配線膜が形成される。この後、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、配線膜がパターニングされることにより、上部配線17、下部配線18およびダミー配線19(19A,19B)が同時に形成される。
次に、図25Gに示すように、絶縁膜15の表面に配線17,18,19を覆うパッシベーション膜21が形成される。パッシベーション膜21は、例えば、SiNからなる。パッシベーション膜21は、例えば、プラズマCVDによって形成される。
次に、フォトグラフィによってパッド開口35,36に対応した開口を有するレジストマスクが形成され、このレジストマスクをマスクとして、パッシベーション膜21がエッチングされる。これにより、図25Hに示すように、パッシベーション膜21にパッド開口35,36が形成される。レジストマスクが剥離された後に、パッシベーション膜21上にパッド開口35およびパッド開口36を介して、それぞれ上部配線17および下部配線18に接続されるパッド42,43が形成される。
次に、フォトグラフィによって開口37およびインク供給用貫通孔22に対応した開口を有するレジストマスクが形成され、このレジストマスクをマスクとして、パッシベーション膜21および絶縁膜15が連続してエッチングされる。これにより、図25Iに示すように、パッシベーション膜21および絶縁膜15に、開口37およびインク供給用貫通孔22が形成される。
次に、レジストマスクが剥離される。そして、フォトグラフィによってインク供給用貫通孔22に対応した開口を有するレジストマスクが形成され、このレジストマスクをマスクとして、水素バリア膜14および可動膜形成層10がエッチングされる。これにより、図25Jに示すように、水素バリア膜14および可動膜形成層10に、インク供給用貫通孔22が形成される。
次に、図25Kに示すように、保護基板4の対向面51に接着剤50が塗布され、インク供給路53とインク供給用貫通孔22とが一致するように、アクチュエータ基板2に保護基板4が固定される。この際、保護基板4の対向面51は、上面が平坦な台座である第1ダミー配線19Aおよび第2ダミー配線19Bに、パッシベーション膜21を介して押し付けられる。このため、保護基板4の対向面51は、第1ダミー配線19Aおよび第2ダミー配線19Bの上面に、パッシベーション膜21および接着剤50を介して、強固に接合される。
次に、図25Lに示すように、アクチュエータ基板2を薄くするための裏面研削が行われる。アクチュエータ基板2が裏面2bから研磨されることにより、アクチュエータ基板2が薄膜化される。たとえば、初期状態で670μm厚程度のアクチュエータ基板2が、300μm厚程度に薄型化されてもよい。次に、アクチュエータ基板2に対して、アクチュエータ基板2の裏面からエッチング(ドライエッチングまたはウェットエッチング)を行うことによって、インク流路5(インク流入部6および圧力室7)が形成される。
このエッチングの際、可動膜形成層10の表面に形成される下地酸化膜は、圧電体膜12から金属元素(PZTの場合は、Pb,Zr,Ti)が抜け出すことを防止し、圧電体膜12の圧電特性を良好に保つ。また、前述のとおり、可動膜形成層10の表面に形成される下地酸化膜は、可動膜10Aを形成するシリコン層の耐久性の維持に寄与する。
この後、図25Mに示すように、ノズル基板3がアクチュエータ基板2の裏面に張り合わされることにより、インクジェットプリントヘッド1が得られる。
図26Aは、台座の第1変形例を示す部分断面図である。図26Bは、台座の第1変形例を示す部分平面図である。
第1変形例に係る台座20は、平面視において、インク供給路53を取り囲む円形環状の第3ダミー配線部19Cと、第3ダミー配線部19Cを取り囲むように形成された円形環状の第4ダミー配線部19Dとから構成されている。第4ダミー配線部19Dは、第3ダミー配線部19Cから間隔をおいて配置されている。
図27は、台座の第2変形例を示す部分平面図である。
第2変形例に係る台座20は、平面視において、インク供給路53を取り囲む円形環状の第5ダミー配線部19Eと、第5ダミー配線部19Eを取り囲むように形成された4つの第6ダミー配線部19Fとから構成されている。複数の第6ダミー配線部19Fは、平面視で第5ダミー配線部19Eを包含する大きさの正方形の各コーナ部に対応した略三角形状である。各第6ダミー配線部19Fは、第5ダミー配線部19Eから間隔をおいて配置されている。
図28は、台座の第3変形例を示す部分平面図である。
第3変形例に係る台座20は、平面視において、インク供給路53を取り囲む円形環状の第7ダミー配線部19Gと、第7ダミー配線部19Gを取り囲むように形成された4つの第8ダミー配線部19Hとから構成されている。複数の第8ダミー配線部19Hは、平面視で第7ダミー配線部19Gを包含する大きさの正方形の各辺に対応した細長矩形状である。各第8ダミー配線部19Hは、第7ダミー配線部19Gから間隔をおいて配置されている。
図29Aは、台座の第4変形例を示す部分断面図である。図29Bは、台座の第4変形例を示す部分平面図である。
第4変形例に係る台座20は、平面視において、インク供給路53を取り囲む円形環状の第9ダミー配線部19Iと、第9ダミー配線部19Iを取り囲むように形成された円形環状のダミー圧電体膜81とから構成されている。ダミー圧電体膜81は、第9ダミー配線部19Iから間隔をおいて配置されている。ダミー圧電体膜81は、圧電体膜12と同じ材料によって形成されている。ダミー圧電体膜81は、圧電体膜12を形成する工程と同じ工程で形成される。つまり、ダミー圧電体膜81は、圧電体材料膜をパターニングすることによって形成される。台座20は、インク供給路53を取り囲む円形環状のダミー圧電体膜81のみから構成されてもよい。
図30Aは、台座の第5変形例を示す部分断面図である。図30Bは、台座の第5変形例を示す部分平面図である。
第5変形例に係る台座20は、平面視において、インク供給路53を取り囲む円形環状の第1ダミー圧電体膜82と、第1ダミー圧電体膜82を取り囲むように形成された円形環状の第2ダミー圧電体膜83とから構成されている。第2ダミー圧電体膜83は、第1ダミー圧電体膜82から間隔をおいて配置されている。第1ダミー圧電体膜82および第2ダミー圧電体膜83は、圧電体膜12と同じ材料によって形成されている。第1ダミー圧電体膜82および第2ダミー圧電体膜83は、圧電体膜12を形成する工程と同じ工程で形成される。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の実施形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、水素バリア膜14の表面の一部に絶縁膜15が形成されているが、水素バリア膜14の表面の全域に絶縁膜15が形成されていてもよい。
また、前述の実施形態では、水素バリア膜14表面の一部に絶縁膜15が形成されているが、絶縁膜15はなくてもよい。
また、前述の実施形態では、圧電体膜の材料としてPZTを例示したが、そのほかにも、チタン酸鉛(PbPO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸ノチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)などに代表される金属酸化物からなる圧電材料が適用されてもよい。
[4]第4発明について
特開2013−119182号公報は、圧電素子を利用したインクジェットプリントヘッドを開示している。特開2013−119182号公報のインクジェットプリントヘッドは、圧力室(キャビティ)を有するアクチュエータ基板と、圧力室に対向するようにアクチュエータ基板に支持された可動膜と、可動膜に接合された圧電素子とを備えている。圧電素子は、可動膜側から、下部電極、圧電体膜および上部電極を積層して構成されている。圧電素子の上面全域および側面全域は、Al2O3(アルミナ)からなる水素バリア膜によって覆われている。水素バリア膜上にはSi02からなる絶縁膜(層間絶縁膜)が形成され、絶縁膜上にはSiNからなるパッシベーション膜(表面保護膜)が形成されている。
また、圧電素子上において、水素バリア膜および絶縁膜に、上部電極の一部を露出させるコンタクト孔が形成されている。そして、絶縁膜上に、一端部がコンタクト孔を介して上部電極に接続され、他端部が圧電素子の外側に引き出された上部配線が形成されている。
特開2013−119182号公報に記載の構成では、上部電極に接続される上部配線は、次のようにして形成される。つまり、可動膜上に圧電素子を形成した後に、水素バリア膜および絶縁膜を形成し、水素バリア膜および絶縁膜に上部電極の一部を露出させるコンタクト孔を形成する。次に、一端部がコンタクト孔を介して上部電極に接続され、他端部が圧電素子の外側に引き出された上部配線を形成する。
第4発明の目的は、上部配線の形成が容易となる圧電素子利用装置およびその製造方法を提供することである。
第4発明は、次のような特徴を有している。
C1.キャビティと、前記キャビティ上に配置されかつ前記キャビティの天面部を区画する可動膜を含む可動膜形成層と、前記可動膜上に形成され、下部電極と前記下部電極上に形成された圧電体膜と前記圧電体膜上に形成された上部電極とを含む圧電素子と、前記可動膜の主面に対して法線方向から見た平面視において、前記可動膜形成層上における前記キャビティの天面部の周縁の外側領域に形成された第1上部配線とを含み、前記上部電極は、前記圧電素子を構成する主電極部と、前記主電極部から引き出され、前記第1上部配線に接続された第2上部配線としての延長部とを含む、圧電体膜利用装置。
この構成では、可動膜形成層上に下部電極と第1上部配線とを形成した後、可動膜形成層上に圧電素子を形成することによって、第1上部配線と上部電極の延長部(第2部配線)とからなる上部配線を形成することができる。したがって、上部配線の形成が容易となる。
C2.前記平面視において、前記圧電素子は、前記可動膜よりも前記キャビティの内方に後退した周縁を有し、前記圧電体膜は、前記圧電素子を構成している能動部と、前記能動部から引き出され、前記第1上部配線上まで延びた非能動部とを含み、前記上部電極の主電極部は前記能動部上に形成されており、前記上部電極の延長部は、前記非能動部の表面に沿って、前記第1上部配線上まで延びている、「C1.」に記載の圧電体膜利用装置。
この構成では、下部電極と上部電極の延長部(第2上部配線)との間に非能動部が介在しているので、下部電極と上部電極の延長部(第2上部配線)との間の絶縁性が保たれる。
C3.前記平面視において、前記キャビティの天面部が所定の一方向に長い矩形状であり、前記第1上部配線は、前記平面視で、前記キャビティの天面部の一端よりも外方に配置されており、前記圧電素子は、前記平面視において、前記キャビティの天面部の短手方向の幅より短い幅と、前記キャビティの天面部の長手方向の長さより短い長さとを有する前記一方向に長い矩形状であり、その両端縁および両側縁が前記キャビティの天面部の両端縁および両側縁よりも前記キャビティの内方にそれぞれ後退しており、前記圧電体膜は、前記圧電素子を構成している能動部と、前記平面視において、前記能動部の前記第1上部配線側の一端から前記キャビティの天面部の対応する一端を跨いで、前記第1上部配線上まで延びた非能動部とを含み、前記上部電極の主電極部は前記能動部上に形成されており、前記上部電極の延長部は前記非能動部の表面に沿って、前記第1上部配線上まで延びており、前記下部電極は、前記平面視において、前記キャビティの天面部の前記一端の外方において、前記上部電極の延長部の下方に存在しない、「C1.」に記載の圧電素子利用装置。
この構成では、下部電極と上部電極の延長部(第2上部配線)との間の絶縁性がより良好に保たれる。
C4.前記下部電極は、前記圧電素子を構成している主電極部と、前記主電極部から前記振動膜形成層の表面に沿う方向に引き出され、前記平面視において、前記キャビティの天面部周縁を跨いで前記キャビティの外方に延びた延長部とを含み、前記平面視において、前記主電極部は、前記下部電極における前記キャビティの天面部周縁よりも内側にある内側電極領域に含まれており、前記延長部は、前記内側電極領域に繋がりかつ前記下部電極における前記キャビティの天面部周縁よりも外側にある外側電極領域を含んでいる、「C1.」〜「C3.」のいずれかに記載の圧電素子利用装置。
C5.前記上部電極および上記圧電体膜の少なくとも側面全域と、前記第1上部配線の上面と、前記下部電極の上面とを覆う水素バリア膜をさらに含み、前記水素バリア膜には、前記第1上部配線の一部を露出させる第1パッド開口と前記下部電極の外側電極領域の一部を露出させる第2パッド開口が形成されており、前記水素バリア膜上に、前記第1パッド開口を介して前記第1上部配線に接続された上部パッドと前記第2パッド開口を介して前記下部電極の外側電極領域に接続された下部パッドとが形成されている、「C4.」に記載の圧電素子利用装置。
C6.前記上部パッドおよび前記下部パッドは、共にAuからなる、「C5.」に記載の圧電素子利用装置。
C7.前記水素バリア膜には、前記下部電極の外側電極領域の一部を露出させる複数のコンタクト孔が形成されており、前記水素バリア膜上に、前記複数のコンタクト孔を介して前記下部電極の外側電極領域に接続された金属膜が形成されている、「C5.」または「C6.」に記載の圧電素子利用装置。
C8.前記金属膜は、Auからなる、「C7.」に記載の圧電素子利用装置。
C9.前記第1上部配線は、前記下部電極を形成する工程と同一工程で形成される、「C1.」〜「C8.」のいずれかに記載の圧電体膜利用装置。
C10.前記可動膜形成層は、SiO2単膜からなる、「C1.」〜「C9.」のいずれかに記載の圧電素子利用装置。
C11.前記可動膜形成層は、前記基板上に形成されたSi膜と、前記Si膜上に形成されSiO2膜と、前記SiO2膜上に形成されたSiN膜との積層膜からなる、「C1.」〜「C9.」のいずれかに記載の圧電素子利用装置。
C12.前記圧電体膜は、PZT膜からなる、「C1.」〜「C11.」のいずれかに記載の圧電素子利用装置。
C13.前記上部電極は、Pt単膜からなる、「C1.」〜「C12.」のいずれかに記載の圧電素子利用装置。
C14.前記上部電極は、前記圧電体膜上に形成されたIr02膜と、前記Ir02膜上に形成されたIr膜との積層膜からなる、「C1.」〜「C12.」のいずれかに記載の圧電素子利用装置。
C15.前記下部電極は、前記可動膜側に形成されたTi膜と、前記Ti膜上に形成されたPt膜との積層膜からなる、「C1.」〜「C14.」のいずれかに記載の圧電素子利用装置。
C16.キャビティが形成されるべき基板上に可動膜形成領域を含む可動膜形成層を形成する工程と、前記可動膜形成層上に電極・配線膜を形成した後、前記電極・配線膜をパターニングして、下部電極を形成すると同時に前記可動膜形成領域の外側領域に第1上部配線を形成する工程と、前記可動膜形成層上に圧電体材料膜を形成した後、前記圧電体材料膜をパターニングすることにより、所定の中間パターンの圧電体材料膜を形成する工程と、前記可動膜形成層上に上部電極膜を形成した後、前記上部電極膜をパターニングすることにより、主電極部と、前記主電極部から引き出され、前記第1上部配線に接続された第2上部配線としての延長部とを含む上部電極を形成する工程と、前記中間パターンの圧電体材料膜をパターニングして、前記上部電極の主電極部の下面に接する能動部と、前記上部電極の延長部の下面に沿って、前記能動部から前記第1上部配線上まで延びた非能動部とを含む圧電体膜を形成する工程とを含み、前記圧電体膜を形成する工程によって、前記下部電極と前記上部電極の主電極部とそれらに挟まれた前記能動部とを含む圧電素子が形成される、圧電素子利用装置の製造方法。
この圧電素子利用装置の製造方法によれば、上部配線の形成が簡単となる。
C17.前記下部電極は、前記能動部の下面に接した主部電極部と、前記下部電極の主電極部から前記振動膜形成層の表面に沿う方向に引き出され、前記平面視において、前記キャビティの天面部周縁を跨いで前記キャビティの外方に延びた延長部とを含み、前記平面視において、前記主電極部は、前記下部電極における前記キャビティの天面部周縁よりも内側にある内側電極領域に含まれており、前記延長部は、前記内側電極領域に繋がりかつ前記下部電極における前記キャビティの天面部周縁よりも外側にある外側電極領域を含んでいる、「C16.」に記載の圧電素子利用装置の製造方法。
C18.前記圧電体膜を形成する工程の後に、前記可動膜形成層上に、前記圧電素子、前記下部電極および前記第1上部配線を覆う水素バリア膜を形成する工程と、前記水素バリア膜に、前記第1上部配線の一部を露出させる第1パッド開口と前記下部電極の外側電極領域の一部を露出させる第2パッド開口とを形成する工程と、前記水素バリア膜上に、前記第1パッド開口を介して前記第1上部配線に接続された上部パッドと前記第2パッド開口を介して前記下部電極の外側電極領域に接続された下部パッドとを形成する工程とをさらに含む、「C17.」に記載の圧電素子利用装置の製造方法。
第4発明の実施の形態を、図31A〜図40Hを参照して詳細に説明する。図18A〜図30B中の符号は、前述の第1発明の説明に使用した図1A〜図8N中の符号、前述の第2発明の説明に使用した図9A〜図17O中の符号および前述の第3発明の説明に使用したと図18A〜図30Bは無関係である。
図31Aは、第4発明の一実施形態に係るインクジェットプリントヘッドの主要部の構成を説明するための図解的な平面図である。図31Bは、図31Aのインクジェットプリントヘッド1の主要部の図解的な平面図であって、保護基板が省略された平面図である。図32は、図31AのXXXII-XXXII線に沿う図解的な断面図である。図33は、図31AのXXXIII-XXXIII線に沿った切断面のうちの一部を図解的に示す拡大断面図である。図34は、図31Aのインクジェットプリントヘッドの下部電極および第1上部配線のパターン例を示す図解的な平面図である。図35は、図31Aのインクジェットプリントヘッドの圧電体膜のパターン例を示す図解的な平面図である。図36は、図31Aのインクジェットプリントヘッドの上部電極のパターン例を示す図解的な平面図である。
図32を参照して、インクジェットプリントヘッド1の構成を概略的に説明する。
インクジェットプリントヘッド1は、アクチュエータ基板2と、ノズル基板3と、保護基板4とを備えている。アクチュエータ基板2の表面には、可動膜形成層10が積層されている。アクチュエータ基板2には、インク流路(インク溜まり)5が形成されている。インク流路5は、この実施形態では、アクチュエータ基板2を貫通して形成されている。インク流路5は、図32に矢印で示すインク流通方向41に沿って細長く延びて形成されている。インク流路5は、インク流通方向41の上流側端部(図32では左端部)のインク流入部6と、インク流入部6に連通する圧力室7(キャビティ)とから構成されている。図32において、インク流入部6と圧力室7との境界を二点鎖線で示すことにする。
ノズル基板3は、たとえばシリコン基板からなる。ノズル基板3は、アクチュエータ基板2の裏面2bに張り合わされている。ノズル基板3は、アクチュエータ基板2および可動膜形成層10とともにインク流路5を区画している。より具体的には、ノズル基板3は、インク流路5の底面部を区画している。ノズル基板3は、圧力室7に臨む凹部3aを有し、凹部3aの底面にインク吐出通路3bが形成されている。インク吐出通路3bは、ノズル基板3を貫通しており、圧力室7とは反対側に吐出口3cを有している。したがって、圧力室7の容積変化が生じると、圧力室7に溜められたインクは、インク吐出通路3bを通り、吐出口3cから吐出される。
可動膜形成層10における圧力室7の天壁部分は、可動膜10Aを構成している。可動膜10A(可動膜形成層10)は、たとえば、アクチュエータ基板2上に形成された酸化シリコン(SiO2)膜からなる。可動膜10A(可動膜形成層10)は、たとえば、アクチュエータ基板2上に形成されるシリコン(Si)膜と、シリコン膜上に形成される酸化シリコン(SiO2)膜と、酸化シリコン膜上に形成される窒化シリコン(SiN)膜との積層膜から構成されていてもよい。この明細書において、可動膜10Aとは、可動膜形成層10のうち圧力室7の天面部を区画している天壁部を意味している。したがって、可動膜形成層10のうち、圧力室7の天壁部以外の部分は、可動膜10Aを構成していない。
可動膜10Aの厚さは、たとえば、0.4μm〜2μmである。可動膜10Aが酸化シリコン膜から構成される場合は、酸化シリコン膜の厚さは1.2μm程度であってもよい。可動膜10Aが、シリコン膜と酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜から構成される場合には、シリコン膜、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜の厚さは、それぞれ0.4μm程度であってもよい。
圧力室7は、可動膜10Aと、アクチュエータ基板2と、ノズル基板3とによって区画されており、この実施形態では、略直方体状に形成されている。圧力室7の長さはたとえば800μm程度、その幅は55μm程度であってもよい。インク流入部6は、圧力室7の長手方向一端部に連通している。
可動膜形成層10の表面には、圧電素子9と第1上部配線17とが配置されている。圧電素子9は、圧力室7の天壁である可動膜10A上に配置されている。第1上部配線17は、圧力室7に対して、インク流通方向41の下流側に配置されている。
圧電素子9は、可動膜形成層10上に形成された下部電極11と、下部電極11上に形成された圧電体膜12と、圧電体膜12上に形成された上部電極13とを備えている。言い換えれば、圧電素子9は、圧電体膜12を上部電極13および下部電極11で上下から挟むことにより構成されている。圧電素子9は、平面視において、下部電極11と圧電体膜12と上部電極13とが重なり合っている部分から構成されている。
下部電極11は、たとえば、Ti(チタン)膜およびPt(プラチナ)膜を可動膜形成層10側から順に積層した2層構造を有している。この他にも、Au(金)膜、Cr(クロム)層、Ni(ニッケル)層などの単膜で下部電極11を形成することもできる。下部電極11は、圧電素子9を構成する主電極部11Aと、主電極部11Aから可動膜形成層10の表面に沿って延びた延長部11Bとを有している。下部電極11の厚さは、たとえば、0.2μm程度であってもよい。
圧電体膜12としては、たとえば、ゾルゲル法またはスパッタ法によって形成されたPZT(PbZrxTi1−xO3:チタン酸ジルコン酸鉛)膜を適用することができる。このような圧電体膜12は、金属酸化物結晶の焼結体からなる。圧電体膜12は、下部電極11の主電極部11Aの上面に接した能動部12Aと、能動部12Aの周壁の一部から可動膜形成層10の表面に沿って延びた非能動部12Bとを含む。非能動部12Bは、能動部12Aの周壁の一部から圧力室7の周縁の外側まで延びた第1非能動部12Baを含む。圧電体膜12の厚さは、1μm程度である。可動膜10Aの全体の厚さは、圧電体膜12の厚さと同程度か、圧電体膜12の厚さの2/3程度とすることが好ましい。
上部電極13は、白金(Pt)の単膜であってもよいし、たとえば、導電性酸化膜(たとえば、IrO2(酸化イリジウム)膜)および金属膜(たとえば、Ir(イリジウム)膜)が積層された積層構造を有していてもよい。上部電極13の厚さは、たとえば、0.2μm程度であってもよい。上部電極13は、能動部12Aの上面に接した主電極部13Aと、主電極部13Aから第1非能動部12Ba上を通って圧力室7の周縁の外側まで延びた延長部13Bとを含む。延長部13Bの先端部は、第1上部配線17上に延び、第1上部配線17に接続されている。つまり、上部電極13の延長部13Bは、上部電極13の主電極部13Aを第1上部配線17に接続するための第2上部配線を構成している。
可動膜形成層10上には、第1上部配線17、下部電極11、圧電体膜12および上部電極13を覆う水素バリア膜14が形成されている。水素バリア膜14は、たとえば、Al2O3(アルミナ)からなる。水素バリア膜14の厚さは、50nm〜100nm程度である。水素バリア膜14は、圧電体膜12の水素還元による特性劣化を防止するために設けられている。
水素バリア膜14上には、金属膜18、上部パッド42および下部パッド43(図31A参照)が形成されている。金属膜18および下部パッド43は、下部電極11に接続されている。上部パッド42は、第1上部配線17に接続されている。金属膜18、上部パッド42および下部パッド43は、たとえば、金(Au)からなる。金属膜18、上部パッド42および下部パッド43の厚さは、たとえば、1000nm(1μm)程度である。金属膜18は、インク流路5のインク流入部6に対して圧力室7とは反対側において、下部電極11の延長部11Bの上方に配置された平面視矩形状の第1矩形部18Aを含んでいる。第1矩形部18Aと下部電極11の延長部11Bとの間において、水素バリア膜14を貫通する複数のコンタクト孔34が形成されている。第1矩形部18Aは、コンタクト孔34に入り込み、コンタクト孔34内で下部電極11の延長部11Bに接続されている。
水素バリア膜14には、第1上部配線17の一部を露出させるパッド開口35が形成されている。水素バリア膜14上には、パッド開口35を覆う金(Au)製のパッド42が形成されている。パッド42は、パッド開口35に入り込み、パッド開口35内で第1上部配線17に接続されている。
インク流路5におけるインク流入部6側の端部に対応する位置に、水素バリア膜14、圧電体膜12、下部電極11および可動膜形成層10を貫通するインク供給用貫通孔22が形成されている。下部電極11および圧電体膜12には、インク供給用貫通孔22を含み、インク供給用貫通孔22よりも大きな貫通孔23が形成されている。下部電極11および圧電体膜12の貫通孔23とインク供給用貫通孔22との隙間には、水素バリア膜14が入り込んでいる。インク供給用貫通孔22は、インク流入部6に連通している。
保護基板4は、たとえば、シリコン基板からなる。保護基板4は、圧電素子9を覆うようにアクチュエータ基板2上に配置されている。保護基板4は、アクチュエータ基板2に、接着剤50を介して接合されている。保護基板4は、アクチュエータ基板2の表面2aに対向する対向面51に収容凹所52を有している。収容凹所52内に圧電素子9が収容されている。さらに、保護基板4には、インク供給用貫通孔22に連通するインク供給路53が形成されている。インク供給路53は、保護基板4を貫通している。保護基板4上には、インクを貯留したインクタンク(図示せず)が配置されている。
圧電素子9は、可動膜10Aを挟んで圧力室7に対向する位置に形成されている。すなわち、圧電素子9は、可動膜10Aの圧力室7とは反対側の表面に接するように形成されている。インクタンクからインク供給路53、インク供給用貫通孔22、インク流入部6を通って圧力室7にインクが供給されることによって、圧力室7にインクが充填される。可動膜10Aは、圧力室7の天面部を区画していて、圧力室7に臨んでいる。可動膜10Aは、アクチュエータ基板2における圧力室7の周囲の部分によって支持されており、圧力室7に対向する方向(換言すれば可動膜10Aの厚さ方向)に変形可能な可撓性を有している。
第1上部配線17および下部電極11は、駆動回路(図示せず)に接続されている。具体的には、上部配線17のパッド42と駆動回路とは、接続金属部材(図示せず)を介して接続されている。下部電極11のパッド43(図31A参照)と駆動回路とは、接続金属部材(図示せず)を介して接続されている。駆動回路から圧電素子9に駆動電圧が印加されると、逆圧電効果によって、圧電体膜12が変形する。これにより、圧電素子9とともに可動膜10Aが変形し、それによって、圧力室7の容積変化がもたらされ、圧力室7内のインクが加圧される。加圧されたインクは、インク吐出通路3bを通って、吐出口3cから微小液滴となって吐出される。
図31A〜図36を参照して、インクジェットプリントヘッド1の構成についてさらに詳しく説明する。
アクチュエータ基板2には、複数のインク流路5(圧力室7)が互いに平行に延びてストライプ状に形成されている。複数のインク流路5毎に、圧電素子9が配置されている。インク供給用貫通孔22は、複数のインク流路5毎に設けられている。保護基板4の収容凹所52およびインク供給路53は、複数のインク流路5毎に設けられている。
複数のインク流路5は、それらの幅方向に微小な間隔(たとえば30μm〜350μm程度)を開けて等間隔で形成されている。各インク流路5は、インク流通方向41に沿って細長く延びている。インク流路5は、インク供給用貫通孔22に連通するインク流入部6とインク流入部6に連通する圧力室7とからなる。圧力室7は、平面視において、インク流通方向41に沿って細長く延びた長方形形状を有している。つまり、圧力室7の天面部は、インク流通方向41に沿う2つの側縁と、インク流通方向41に直交する方向に沿う2つの端縁とを有している。インク流入部6は、平面視で圧力室7とほぼ同じ幅を有している。インク流入部6における圧力室7とは反対側の端部の内面は、平面視で半円形に形成されている。インク供給用貫通孔22は、平面視において、円形状である(特に図31B参照)。
圧電素子9は、平面視において、圧力室7(可動膜10A)の長手方向に長い矩形形状を有している。圧電素子9の長手方向の長さは、圧力室7(可動膜10A)の長手方向の長さよりも短い。図31Bに示すように、圧電素子9の短手方向に沿う両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ所定間隔を開けて内側に配置されている。また、圧電素子9の短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。圧電素子9の長手方向に沿う両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。
下部電極11は、図34を参照して、可動膜形成層10の表面の主要部のうちのインク流通方向41の下流側の一部分を除いて形成された平面視矩形の本体領域S1と、本体領域S1のインク流通方向41の下流側端の一側部から下流に延びたパッド形成用領域S2とからなる。本体領域S1のインク流通方向41の上流側端はインク流入部6に対して圧力室7と反対側にある。本体領域S1のインク流通方向41の下流側端は、圧力室7のインク流通方向41の下流側端よりも所定間隔dだけ上流側に位置している。
下部電極11は、複数の圧電素子9に対して共用される共通電極である。下部電極11は、圧電素子9を構成する平面視矩形状の主電極部11Aと、主電極部11Aから可動膜形成層10の表面に沿う方向に引き出され、圧力室7の天面部の周縁の外方に延びた延長部11Bとを含んでいる。主電極部11Aの長手方向の長さは、可動膜10Aの長手方向の長さよりも短い。主電極部11Aの両端縁は、可動膜10Aの対応する両端縁に対して、それぞれ、所定間隔を開けて内側に配置されている。また、主電極部11Aの短手方向の幅は、可動膜10Aの短手方向の幅よりも狭い。主電極部11Aの両側縁は、可動膜10Aの対応する両側縁に対して、所定間隔を開けて内側に配置されている。
延長部11Bは、下部電極11の全領域のうち主電極部11Aを除いた領域である。下部電極11において、平面視で、圧力室7の天面部の周縁の内側にある領域を「内側電極領域」といい、圧力室7の天面部の周縁の外側にある領域を「外側電極領域」という場合がある。主電極部11Aは、内側電極領域に含まれている。延長部11Bは、内側電極領域のうちの主電極部11A以外の部分と外側電極領域とから構成される。
図35を参照して、圧電体膜12の能動部12Aは、平面視において、下部電極11の主電極部11Aと同じパターンの矩形状に形成されている。圧電体膜12の非能動部12Bは、図35に示すように、平面視において、能動部12Aのインク流通方向41の下流側端から圧力室7の対応する一端を跨いで外側に延びた第1非能動部12Baを含んでいる。圧電体膜12の非能動部12Bは、平面視において、第1非能動部12Baから延び、保護基板4の対向面51の各収容凹所52を取り囲む領域に形成された第2非能動部12Bbを含む。第2非能動部12Bbには、保護基板4のインク供給路53に対向する位置に、インク供給用貫通孔22が形成されている。さらに、圧電体膜12の非能動部12Bは、平面視において、第2非能動部12Bbのインク流通方向41の下流側端における下部電極11のパッド形成用領域S2側から、保護基板4の対向面51の周縁部を巡るように形成された第3非能動部12Bcを含む。
図32および図36を参照して、上部電極13の主電極部13Aは、平面視において、下部電極11の主電極部11Aと同じパターンの矩形状に形成されている。上部電極13の主電極部13Aは、能動部12Aの上面に形成されている。上部電極13の延長部13Bは、主電極部13Aのインク流通方向41の下流側端から、第1非能動部12Baの上面および端面の表面上を通って、第1上部配線17上まで延びている。上部電極13の延長部13Bと下部電極11との間に第1非能動部12Baが介在しているので、上部電極13の延長部13Bと下部電極11との間の絶縁性が保たれる。
第1上部配線17は、図31Bおよび図34を参照して、圧電素子9毎に、圧電素子9のインク流通方向41の下流側に配置されている。水素バリア膜14には、各第1上部配線17の先端部表面の中央部を露出させるパッド開口35が形成されている。水素バリア膜14上に、パッド開口35を覆うようにパッド42が設けられている。パッド42は、パッド開口35内で第1上部配線17に接続されている。
前述したように、下部電極11の本体領域S1におけるインク流通方向41の下流側端は、圧力室7のインク流通方向41の下流側端から所定間隔dだけ上流側に位置している。したがって、下部電極11は、平面視において、圧力室7の天面部のインク流通方向41の下流側端の外方において、上部電極13の延長部13B(第2上部配線)の下方には存在しない。これにより、上部電極13の延長部13B(第2上部配線)と下部電極11との間の絶縁性がより良好に保たれる。
金属膜18は、平面視において、下部電極11の延長部11Bの外側電極領域上に配置されている。図31Bおよび図32を参照して、具体的には、金属膜18は、インク流路5のインク流入部6に対して圧力室7とは反対側に配置され、インク流通方向41と直交する方向に延びた平面視矩形状の第1矩形部18Aを含む。金属膜18は、さらに、第1矩形部18Aの一端部に接続され、インク流通方向41に沿って延びた平面視矩形状の第2矩形部18Bを含む。第2矩形部18Bと下部電極11の延長部11B(外側電極領域)との間においても、水素バリア膜14を貫通する複数のコンタクト孔34が形成されている。第2矩形部18Bは、これらの複数のコンタクト孔34に入り込み、コンタクト孔34内で下部電極11の延長部11B(外側電極領域)に接続されている。金属膜18は、下部電極11の電気抵抗を低減させるために形成されている。
水素バリア膜14には、下部電極11のパッド形成用領域S2の先端部表面の一部を露出させるパッド開口36(図31B参照)が形成されている。水素バリア膜14上には、パッド開口36を覆うパッド43が形成されている。パッド43は、パッド開口36に入り込み、パッド開口36内で下部電極11のパッド形成用領域S2に接続されている。
図38は、前記インクジェットプリントヘッドのアクチュエータ基板側から見た保護基板の主要部の底面図である。
図33および図38に示すように、保護基板4の対向面51には、複数の収容凹所52が、インク流通方向41と直交する方向に間隔をおいて平行に形成されている。複数の収容凹所52は、平面視において、複数の圧力室7に対向する位置に配置されている。各収容凹所52に対してインク流通方向41の上流側にインク供給路53が配置されている。各収容凹所52は、平面視において、対応する圧電素子9の上部電極13のパターンよりも少し大きな矩形状に形成されている。そして、各収容凹所52に、対応する圧電素子9が収容されている。
保護基板4のインク供給路53は、平面視において、アクチュエータ基板2側のインク供給用貫通孔22と同じパターンの円形状である。インク供給路53は、平面視でインク供給用貫通孔22に整合している。
図37は、前記インクジェットプリントヘッドの水素バリア膜のパターン例を示す図解的な平面図である。
この実施形態では、水素バリア膜14は、アクチュエータ基板2上において、平面視で保護基板4の収容凹所52の外側領域のほぼ全域に形成されている。ただし、この領域において、水素バリア膜14には、インク供給用貫通孔22、コンタクト孔34およびパッド開口35,36が形成されている。
保護基板4の収容凹所52の内側領域においては、上部電極13の主電極部13Aの上面の中央部を除いた露出面全域に第1水素バリア膜14が形成されている。つまり、第1水素バリア膜14には、上部電極13の主電極部13Aの上面中央部に平面視矩形状の開口31が形成されている。換言すれば、上部電極13の主電極部13Aの上面中央部には、第1水素バリア膜14は形成されていない。
図39A〜図39Kは、前記インクジェットプリントヘッド1の製造工程の一例を示す断面図であり、図32に対応する切断面を示す。図40A〜図40Hは、前記インクジェットプリントヘッド1の製造工程の一例を示す平面図であり、図31Aに対応する平面面を示す。
まず、図39Aに示すように、アクチュエータ基板2の表面2aに可動膜形成層10が形成される。ただし、アクチュエータ基板2としては、最終的なアクチュエータ基板2の厚さより厚いものが用いられる。具体的には、アクチュエータ基板2の表面に酸化シリコン膜(たとえば、1.2μm厚)が形成される。可動膜形成層10が、シリコン膜と酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層膜で構成される場合には、アクチュエータ基板2の表面にシリコン膜(たとえば0.4μm厚)が形成され、シリコン膜上に酸化シリコン膜(たとえば0.4μm厚)が形成され、酸化シリコン膜上に窒化シリコン膜(たとえば0.4μm厚)が形成される。
可動膜形成層10の表面には、たとえば、Al2O3、MgO、ZrO2などの下地酸化膜が形成されてもよい。これらの下地酸化膜は、後に形成される圧電体膜12からの金属原子の抜け出しを防ぐ。金属電子が抜け出すと、圧電体膜12の圧電特性が悪くなるおそれがある。また、抜け出した金属原子が可動膜10Aを構成するシリコン層に混入すると可動膜10Aの耐久性が悪化するおそれがある。
次に、可動膜形成層10の上(前記下地酸化膜が形成されている場合には当該下地酸化膜の上)に、下部電極11および上部配線17の材料層である電極・配線膜が形成される。電極・配線膜は、たとえば、Ti膜(たとえば10nm〜40nm厚)を下層としPt膜(たとえば10nm〜400nm厚)を上層とするPt/Ti積層膜からなる。このような電極・配線膜は、スパッタ法で形成されてもよい。この後、フォトグラフィによって、下部電極11および上部配線17のパターンのレジストマスクが形成される。そして、図39Bおよび図40Aに示すように、このレジストマスクをマスクとして、電極・配線膜がエッチングされることにより、所定パターンの下部電極11および所定パターンの上部配線17が形成される。これにより、主電極部11Aと、貫通孔23を有する延長部11Bとからなる下部電極11が形成される。また、複数の上部配線17が形成される。
次に、レジストマスクが剥離された後、全面に圧電体膜12の材料膜(圧電体材料膜)81が形成される。具体的には、たとえば、ゾルゲル法によって1μm〜3μm厚の圧電体材料膜が形成される。このような圧電体材料膜81は、金属酸化物結晶粒の焼結体からなる。この後、フォトグラフィによって、圧電体材料膜81の中間パターンのレジストマスクが形成される。そして、図39Cおよび図40Bに示すように、このレジストマスクをマスクとして、圧電体材料膜81がエッチングされることにより、中間パターンの圧電体材料膜81が形成される。これにより、下部電極11の本体領域S1の全体、下部電極11のパッド形成用領域S2のインク流通方向の上流側端部および上部配線17のインク流通方向の上流側端部を覆う平面視矩形状の圧電体材料膜81が形成される。
次に、レジストマスクが剥離された後、全面に上部電極13の材料である上部電極膜が形成される。上部電極膜は、たとえば、白金(Pt)の単膜であってもよい。上部電極膜は、たとえば、IrO2膜(たとえば40nm〜160nm厚)を下層とし、Ir膜(たとえば40nm〜160nm厚)を上層とするIr02/Ir積層膜であってもよい。このような上部電極膜は、スパッタ法で形成されてもよい。
次に、フォトグラフィによって、上部電極13のパターンのレジストマスクが形成される。そして、図39Dおよび図40C示すように、このレジストマスクをマスクとして、上部電極膜がエッチングされることにより、所定パターンの上部電極13が形成される。これにより、主電極部13Aと延長部13Bとからなる上部電極13が形成される。
次に、レジストマスクが剥離された後、フォトグラフィによって、圧電体膜12のパターンのレジストマスクが形成される。そして、図39Eおよび図40D示すように、このレジストマスクをマスクとして、圧電体材料膜81がエッチングされることにより、所定パターンの圧電体膜12が形成される。これにより、能動部12Aと、貫通孔23を有する非能動部12B(12Ba,12Bb,12Bc)とからなる圧電体膜12が形成される。このようにして、下部電極11の主電極部11A、圧電体膜12の能動部12Aおよび上部電極13の主電極部13Aとからなる圧電素子9が形成される。
次に、図39Fおよび図40Fに示すように、レジストマスクが剥離された後、全面を覆う水素バリア膜14が形成される。水素バリア膜14は、スパッタ法で形成されたAl2O3膜であってもよく、その膜厚は、50nm〜100nmであってもよい。この後、フォトグラフィによってコンタクト孔34およびパッド開口35,36に対応した開口を有するレジストマスクが形成され、このレジストマスクをマスクとして、水素バリア膜14がエッチングされる。これにより、水素バリア膜14に、コンタクト孔34およびパッド開口35,36が形成される。
次に、図39Gおよび図40Fに示すように、コンタクト孔34内およびパッド開口35,36内を含む水素バリア膜14上に、スパッタ法によって、金属膜18、上部パッド42および下部パッド43を構成するAu膜が形成される。この後、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、Au膜がパターニングされることにより、金属膜18、上部パッド42および下部パッド43が同時に形成される。
次に、図39Hおよび図40Gに示すように、フォトグラフィによって開口31およびインク供給用貫通孔22に対応した開口を有するレジストマスクが形成され、このレジストマスクをマスクとして、水素バリア膜14がエッチングされる。これにより水素バリア膜14に、開口31およびインク供給用貫通孔22が形成される。次に、レジストマスクが剥離される。そして、フォトグラフィによってインク供給用貫通孔22に対応した開口を有するレジストマスクが形成され、このレジストマスクをマスクとして、可動膜形成層10がエッチングされる。これにより、可動膜形成層10にインク供給用貫通孔22が形成される。
次に、図39Iおよび図40Hに示すように、保護基板4の対向面51に接着剤50が塗布され、インク供給路53とインク供給用貫通孔22とが一致するように、アクチュエータ基板2に保護基板4が固定される。
次に、図39Jに示すように、アクチュエータ基板2を薄くするための裏面研削が行われる。アクチュエータ基板2が裏面2bから研磨されることにより、アクチュエータ基板2が薄膜化される。たとえば、初期状態で670μm厚程度のアクチュエータ基板2が、300μm厚程度に薄型化されてもよい。次に、アクチュエータ基板2に対して、アクチュエータ基板2の裏面からエッチング(ドライエッチングまたはウェットエッチング)を行うことによって、インク流路5(インク流入部6および圧力室7)が形成される。
このエッチングの際、可動膜形成層10の表面に形成される下地酸化膜は、圧電体膜12から金属元素(PZTの場合は、Pb,Zr,Ti)が抜け出すことを防止し、圧電体膜12の圧電特性を良好に保つ。また、前述のとおり、可動膜形成層10の表面に形成される下地酸化膜は、可動膜10Aを形成するシリコン層の耐久性の維持に寄与する。
この後、図39Kに示すように、ノズル基板3がアクチュエータ基板2の裏面に張り合わされることにより、インクジェットプリントヘッド1が得られる。
この発明の実施形態では、上部電極13は、圧電素子9を構成する主電極部13Aと、主電極部13Aから引き出され、第1上部配線17に接続された第2上部配線としての延長部13Bとを含んでいる。このため、可動膜形成層10上に下部電極11と第1上部配線17とを形成した後、可動膜形成層10上に圧電素子9を形成することによって、第1上部配線17と上部電極13の延長部(第2部配線)13Bとからなる上部配線を形成することができる。したがって、上部配線の形成が容易となる。
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の実施形態で実施することもできる。前述の実施形態では、下部電極11の電気抵抗を低減させるために金属膜18が設けられているが、金属膜18を設けなくてもよい。
また、前述の実施形態では、圧電体膜の材料としてPZTを例示したが、そのほかにも、チタン酸鉛(PbPO3)、ニオブ酸カリウム(KNbO3)、ニオブ酸ノチウム(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)などに代表される金属酸化物からなる圧電材料が適用されてもよい。
前述の実施形態では、この発明をインクジェットプリントヘッドに適用した場合について説明したが、この発明は、圧電素子を利用した圧電マイクロホン、圧力センサ等にも適用することができる。