JP6871045B2 - ろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼およびNiろう付け接合部材 - Google Patents

ろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼およびNiろう付け接合部材 Download PDF

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Description

本発明は、ろう付け接合により組み立てられる部材に使用されるろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼およびNiろう付け接合部材に関する。特に、NiろうおよびCuろうを用いてろう付け接合により組み立てられる部品を対象としており、自動車用としては、EGR(Exhaust Gas Recirculation)クーラ、オイルクーラ、排熱回収器およびフューエルデリバリ系の部品が挙げられる。また、給湯機分野においては、潜熱回収型ガス給湯機の二次熱交換器やCO2冷媒ヒートポンプ式給湯器(通称:エコキュート(登録商標))の熱交換器が挙げられる。
近年、自動車分野においては、環境問題に対する意識の高まりから、排ガス規制がより強化されると共に、炭酸ガス排出抑制に向けた取り組みが進められている。また、バイオエタノールやバイオディーゼル燃料といった燃料面からの取り組みに加え、より一層の軽量化や、EGR、DPF(Diesel Particulate Filter)、尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)システムといった排ガス処理装置を設置するといった取り組みが実施されている。さらに、燃費向上を目的として、排気熱を熱回収する排熱回収器も搭載されはじめている。
このなかで、EGRクーラは、エンジンの排ガスをエンジン冷却水を用いて冷却した後、吸気側に戻して再燃焼させることで燃焼温度を下げ、有毒ガスであるNOxを低減させることを目的としている。また、排熱回収器は、排ガスでエンジン冷却水を加熱してヒータやエンジンの暖機に活用するシステムであり、排気熱再循環システムとも呼ばれる。これにより、ハイブリッド車では、コールドスタートからエンジンストップまでの時間が短縮され、特に冬季において、燃費向上に寄与している。
更に給湯機器分野においても環境対応型の機器の普及に応じて、熱交換器の適用が広がっている。ガス給湯器では、従来そのまま排気していた150〜200℃程度の高温排ガスからの潜熱を回収するために、ステンレス鋼製の二次熱交換器を追加した潜熱回収型ガス給湯器の普及が進んでいる。また電気温水器も従来はヒータを内蔵するタイプであったが、電気エネルギーを1/3以下に低減可能なCO2冷媒ヒートポンプ式給湯器;通称エコキュート(登録商標)への切換が進んでおり、ここにも熱交換器が使用されている。
このような熱交換器は、溶接接合により組み立てられる場合もあるが、熱交換部の構造は複雑なことからろう付け接合により組み立てられる場合が多い。したがって、ろう付け接合により組み立てられる熱交換部の材料には、良好なろう付け性が必要となる。
また熱交換器には、熱効率が要求され良好な熱伝導性が必要であると共に、耐食性と加工性が要求される。耐食性の不足により部材が損傷することは熱交換器の機能を損なうことにつながると共に、加工性の不足は複雑な形状を有する熱交換器部材の製造に悪影響を及ぼす。
熱交換器に用いられる材料は、その耐食性や強度を生かしてSUS304やSUS316Lといったオーステナイト系ステンレス鋼が用いられる場合が多いが、最近では熱膨張係数が小さく、安価なフェライト系ステンレス鋼の使用が増加しつつある。
一方、ろう付け継手に関しても良好な耐食性が求められるが、この点においてNiろうはCuろうに比べ優れるため、耐食性が重要視される用途に好適である。加えて継手部には強度と靭性が求められるが、Cuろうに比べNiろうにより形成されたろう継手部は靭性に劣るという課題がある。
特許文献1には、ステンレス鋼材よりなる熱交換器部品の表面に、無電解メッキによりリン含有ニッケル合金を被覆した後、このリン含有ニッケル皮膜を高温真空中で溶融させてろう材として用いるろう付け工程が開示されている。用いるステンレス鋼の一例としてSUS304が開示されている。
オーステナイト系ステンレス鋼を用いたろう付け接合部材として、特許文献2には、エンジン排気ガス浄化装置の一部であって、排気ガス浄化触媒を担持した金属担体を収容する筒状構造体が開示されている。特許文献3には低圧燃料用コモンレールが開示されている。特許文献2、特許文献3いずれも、その鋼種は開示されていない。同様に、特許文献4にはEGRガス冷却装置の熱交換器用伝熱管が開示され、伝熱管の波形フィン構造体に使用されるオーステナイト系ステンレス鋼としてSUS304、SUS304L、SUS316、SUS316Lが開示されている。
特許文献5には、C:0.080%以下、Si:1.2〜3.0%、Mn:0.4〜2.0%、P:0.03%以下、S:0.003%以下、Ni:6.0〜12.0%、Cr:16.0〜20.0%、Cu:0.2〜3.0%、Mo:0.1〜1.0%、Al:0.002〜0.10%、N:0.030〜0.150%、かつ1.6≦Cu×Si≦4.4と0.16≦2N+Mo≦1.0を満足する耐食性およびろう付け性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼が開示されている。
特許文献6には、C:0.03%以下、Si:1%以下、Mn:1%以下、Cr:10.5〜13.5%、Mo:1.25%以下、Al:0.10%以下、N:0.050%以下と、Ti、Ta、Nbのうち1種以上を含有するろう付け性の良いフェライト系ステンレス鋼が開示されている。
特許文献7には、C:0.03%以下、Si:0.02〜1.5%、Mn:0.02〜1.5%、Cr:10〜22%、Al:0.5%以下、N:0.05%以下、C+N:0.015%以上を含有し、さらにTi−3N≦0.03、10(Ti−3N)+Al≦0.5を満足するろう付け性に優れたフェライト系ステンレス鋼が開示されている。
特許文献8には、NiろうやCuろう付けに供される熱交換器部材として好適なフェライト系ステンレス鋼として、C:0.03%以下、Si:3%以下、Mn:2%以下、P:0.005%以下、S:0.03%以下、Cr:11〜30%、Nb:0.15〜0.8%、N:0.03%以下を含有し、さらにNb−(C×92.9/12+N×92.9/14)≧0.10を満足するフェライト系ステンレス鋼が開示されている。
特許文献9には、C:0.03%以下、Si:0.1超え〜3%、Mn:0.1〜2%、Cr:10〜35%、Nb:0.2〜0.8%、N:0.03%以下を含有し、冷間加工後の加熱によって生成した再結晶粒の面積率が10〜80%である部分再結晶組織を有するろう付け用フェライト系ステンレス鋼材が開示されている。
特許文献10には、C:0.001〜0.1%、Si:1.5超え〜4.0%、Mn:0.05〜4.0%、Cr:10.5〜30%、Ni:35%以下、Ti:0.002〜0.030%および/又はAl:0.002〜0.10%、N:0.001〜0.4%を含有し、Si/(Ti+Al)≧40を満足するろう付け性に優れるステンレス鋼が開示されている。
特許文献11には、粉末状Niろうに、Ni、Cr、Ni−Cr合金、ステンレス鋼のうち選ばれた金属粉末を1〜10%未満添加することで、ぬれ性が良好で、連続した脆化相が生じることなく、クラックの発生を防止することができるNiろう材が開示されている。
特開2004−205059号公報 特開2004−100598号公報 特開2005−171938号公報 特開2008−202846号公報 特開2012−207259号公報 特開昭57−60056号公報 特開2009−174046号公報 特開2009−299182号公報 特開2010−285683号公報 国際公開第2016/152854号 特開平11−114692号公報
熱交換器類に使用される材料が、オーステナイト系ステンレス鋼からフェライト系ステンレス鋼に切り替わるにつれ、フェライト系ステンレス鋼のろう付け性向上の要求が高まっている。ろう付け性について各種ステンレス鋼で比較すると、オーステナイト系ステンレス鋼に比較し、フェライト系ステンレス鋼のろう付け性は良好とはいえない。この点が、EGRクーラや排熱回収器等の熱交換器類へフェライト系を採用する際の問題の一つであった。また、こうした熱交換器類の普及に伴い部品の低価格化が指向されるようになり、安価でろう付け性に優れたフェライト系ステンレス鋼が求められている。さらに、ろう付け性のみならず、耐食性、加工性、Niろう付け継手部の靭性についても良好な特性を有するフェライト系ステンレス鋼が求められている。
本発明は、このような事情に鑑みて提案されたものであり、熱交換器等ろう付け接合により組み立てられる部材に好適に用いることができ、ろう付け性、耐食性、加工性およびNiろう付け継手部の靭性に優れたフェライト系ステンレス鋼およびNiろう付け接合部材を提供することを目的とする。
上記課題を解決することを目的とした本発明の要旨は、以下のとおりである。
〔1〕質量%で、C:0.020%以下、Si:1.0超え〜3.5%、Mn:0.02〜0.80%、Cr:10.5〜15.0%未満、Nb:0.03〜0.60%、Al:0.050%以下、N:0.025%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、30℃の3.5質量%NaCl水溶液中における孔食電位V‘c100が150mV以上であることを特徴とするろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
〔2〕質量%でCr+1.8Siで16%以上を満足することを特徴とする〔1〕に記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
〔3〕カチオン分率でCr≧11%、Si≧1%、Nb≧1%を満足する酸化皮膜を有することを特徴とする〔1〕に記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
〔4〕更に、質量%で、Sn:0.001〜0.5%、Co:0.01〜0.5%、Bi:0.001〜0.01%、B:0.0002〜0.005%のうちいずれか1種又は2種以上からなる第1群、
Ni:0.1〜0.8%、Mo:0.1〜2%、W:0.1〜1%、V:0.05〜0.5%、Cu:0.1〜0.8%、Sb:0.001〜0.5%、Zr:0.001〜0.3%、Ga:0.0001〜0.01%、Ta:0.0001〜0.01%のうちいずれか1種又は2種以上からなる第2群、
Ca:0.0002〜0.005%、Mg:0.0002〜0.005%、REM:0.005〜0.1%のうちいずれか1種又は2種以上からなる第3群のうち、少なくともいずれかの群を含有することを特徴とする〔1〕から〔3〕のいずれか1つに記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
〔5〕NiろうもしくはCuろうを用いてろう付け接合される、ろう付け接合部材用として用いることを特徴とする〔1〕から〔4〕のいずれか1つに記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
〔6〕Niろう付けを行い、ろう付け温度から900℃までの冷却速度を20℃/分以下としたとき、隣接するNiろう付け部のNiリッチ相率が40%以上となることを特徴とする〔1〕から〔4〕のいずれか1つに記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
〔7〕熱交換器用途であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
〔8〕自動車部品であるEGRクーラ、排熱回収器あるいはフューエルデリバリ系の部品の用途であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
〔9〕CO2冷媒ヒートポンプ式給湯器、潜熱回収型給湯器の二次熱交換器あるいはプレート型熱交換器の用途であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
〔10〕〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼をNiろう付けしたNiろう付け接合部材であって、隣接するNiろう付け部のNiリッチ相率が40%以上であることを特徴とするNiろう付け接合部材。
本発明によればろう付け接合により組み立てられる部材用としてろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供することができる。本発明のフェライト系ステンレス鋼は、自動車部品のなかではEGRクーラ、オイルクーラ、排熱回収器およびフューエルデリバリ系の部品等に、また給湯関係の熱交換器としては、ガスでは潜熱回収型給湯器の二次熱交換器に、電気ではエコキュート(登録商標)のプレート型熱交換器等、その他NiろうもしくはCuろうを用いてろう付け接合により組み立てられる部材に好適である。
ろう付け部の評価方法について、ろう付け熱処理前を示す図であり、(A)はA−A矢視断面図、(B)は平面図である。 ろう付け部の評価方法について、ろう付け熱処理後を示す図であり、(A)はA−A矢視断面図、(B)は平面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明は、ろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼に関するものである。ろう付けとしては、NiろうもしくはCuろうを用いたろう付けを対象としており、950〜1200℃において真空中もしくは水素雰囲気中で行われる。このとき、ろう付けの雰囲気の制御や置換用としてアルゴンガスや窒素ガス等が併用される場合がある。ろうが母材にぬれてすきまを充填することにより接合されるのがろう付けである。ろう付け時に母材の表面に酸化皮膜が存在するとろうがぬれにくくなり、ろう付け性を阻害する。
ステンレス鋼の表面には、Crに富む(Fe、Cr)酸化皮膜(不動態皮膜)が形成されており、これにより優れた耐食性を発現している。ぬれ性を確保するにはこの酸化皮膜を除去する必要があり、酸化皮膜を還元するために真空度もしくは露点の低い条件でろう付けされる。具体的には、ろう付け温度において、少なくともCrとCr23とが平衡する真空度もしくは露点よりも低い条件にて実施される。したがって、酸化皮膜が還元されるろう付け雰囲気において、表面にろう付け性に有効な元素を濃化させることができれば、ろう付け性の向上が図れると考えた。その結果、比較的Cr含有量の低いフェライト系ステンレス鋼の場合には1.0%を超えるSiを含有させることが、ろう付け性に有効であることを知見した。鋼中のSi量を増加させるほどろう付け性は向上するが、3.5%を超えるSiを含有させてもその効果は飽和する。Siがろう付け性を向上させる理由については明らかになっていないが、Siにはフェライト系ステンレス鋼とろうとの界面張力を下げる効果があること、SiはNiろうおよびCuろうに固溶しやすい元素であることがろう付け性を向上させた一因と推定している。
次に、耐食性について検討した。本発明で対象とする熱交換器類の外面側は塩害環境にさらされるが、少なくともSUS430LXレベルの塩害耐食性が必要と判断した。そこで、塩害耐食性の序列を簡易的に評価できる手法として孔食電位測定を採用し、Siの影響について検討した。30℃の3.5質量%NaCl水溶液中における孔食電位V‘c100においてSUS430LXレベルとするには飽和KClを内部溶液とするAg/AgClを参照電極に用いた時に150mV以上とした。望ましくは160mV以上、さらに望ましくは170mV以上である。測定はJIS G0577に準拠して行い、電流値が100μA/cmを超える最も貴な電位を孔食電位V‘c100と定義した。
ろう付け熱処理前の鋼素材において、1%を超えるSiを含有する場合には、Cr含有量の増加はもとよりSi含有量の増加によっても孔食電位が向上し、その効果はCrの約1.8倍あることを知見した。そのため、孔食電位150mV以上とするには、Cr+1.8Siで16%以上とすればこの値を満足できる。
このようにSi含有量の増加によって孔食電位が向上した理由を検討するために、X線光電子分光法(XPS)により、ろう付け熱処理前の鋼の表面の不動態皮膜を分析した。表面にはSiの濃化した不動態皮膜が形成されており、不動態皮膜の保護性が向上した結果孔食電位が向上したと考えられた。
前記は素材の耐食性に関してであるが、実用上はろう付けされた状態で使用されるので、ろう付け熱処理後の耐食性も重要である。ろう付け熱処理前の鋼素材と、ろう付け熱処理後の鋼が、ともに、上記孔食電位を満足していると好ましいが、ろう付け熱処理前の素材、あるいは、ろう付け熱処理後の鋼のどちらかのみで孔食電位150mV以上を満足していればよい。
1130℃の窒素を含む50Paの真空雰囲気下で10分間熱処理を行い、前記と同様孔食電位で評価した。その結果、鋼材中のCrおよびSi量がCr+1.8Siで16%以上を満足すると、カチオン分率でCr≧11%、Si≧1%、Nb≧1%を満足する組成を有する酸化皮膜が表面に形成されるとともに、150mV以上、かつ素材と同等以上の孔食電位が得られた。ろう付け熱処理の雰囲気が100Pa以下であれば、後述の本発明〔1〕の成分を含有するとともに、Cr+1.8Si≧16%を満たすときに熱処理前の素材、および熱処理後の鋼の孔食電位を150mV以上とすることができる。ただし、鋼材中のCrおよびSi量がCr+1.8Siで16%未満であっても、ろう付け熱処理条件を工夫することによって、ろう付け熱処理後の鋼の孔食電位を150mV以上とすることができる。具体的には、ろう付け熱処理の雰囲気が100Pa以下であれば、カチオン分率でCr≧11%、Si≧1%、Nb≧1%を満足する組成を有する酸化皮膜が表面に形成され、所定の孔食電位とすることができる。
さらに、加工性のひとつの指標として常温伸びについて検討した。常温伸びだけで加工性を評価できるものではないが、常温伸びとして少なくとも25%は必要と判断した。Cr+4Siで26%以下とすることで常温伸び25%以上が得られたため、Cr+4Siで26%以下とするのが望ましい。
最後に、ろう付け継手部の靭性について述べる。Niろうの場合、ろう付け時にまず母材との境界からNiリッチな初相(以下「Niリッチ相」という。)が晶出したのち、共晶反応によりNiリッチ相とCrリッチ相が晶出して共晶部を形成する。後者の共晶部が脆く破壊の起点になり、ろう付け時に亀裂が生じ、その結果として靭性を低下させやすい。また、ろう付け時に亀裂が生じると、亀裂部が腐食の起点となり耐食性を劣化させる要因となる。そのため、通常はろう付け接合されるすきま部の間隔を狭く制御することでろう付け部の体積を必要最小限として靭性を確保している。しかしながら部品の形状によってはすきま間隔を狭く制御することが難しい場合がある。そこで、発明者らは、初晶のNiリッチ相を増加させることでろう付け部のNiリッチ相率を増加させて、靭性を確保することを考えた。前記のように、SiはNiろうに固溶しやすい元素であるが、特にNiリッチ相に固溶しやすいことをろう付け部の分析結果から知見した。すなわち、母材中のSi含有量を本発明で規定する含有量とすることにより、ろう付け時に母材中のSiがNiろう中に拡散し固溶することでNiリッチ相を増加させて、継手部の靭性向上に寄与させるというものである。ろう付け時に亀裂が生じないような初晶のNiリッチ相率としては40%以上とするのが望ましく、45%以上あることがさらに望ましい。また、Niリッチ相中のSi量としては、0.7×(Niろう材のSi量)+0.5%以上あることが好ましく、0.7×(Niろう材のSi量)+1%以上あることがより好ましい。
本発明は、以上の検討を考慮してなされたろう付け性に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供するものであり、その要旨とするところは、請求の範囲に記載した通りの内容である。
以下、ろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼の各組成を限定した理由について説明する。なお、以下の説明では、特に断らない限り、各成分の%は、質量%を表すものとする。
(C:0.020%以下)
Cは、強度を確保するために有用な元素であるが、過剰の添加は耐粒界腐食性を低下させるため、Cの含有量を0.020%以下とする。好ましくは0.002%以上、0.018%以下である。
(Si:1.0超え〜3.5%)
Siは、本発明において最も重要な元素であり、ろう付け性と耐食性を向上させる。耐酸化性にも効果があり、1.0%を超えて含有させることが必要である。好ましくは1.1%以上、より好ましくは1.2%以上である。しかしながら、過剰な添加は、ろう付け性への効果が飽和すると共に溶接性および加工性を低下させるため、Siの含有量を3.5%以下とする。好ましくは3.2%以下、より好ましくは2.9%以下である。
(Mn:0.02〜0.80%)
Mnは、脱酸元素として有用な元素であり、少なくとも0.02%以上含有させることが必要である。好ましくは、0.05%以上である。しかしながら、過剰に含有させると耐食性を劣化させるので、Mnの含有量を0.80%以下とする。好ましくは0.70%以下、より好ましくは0.60%以下である。
(Cr:10.5〜15.0%未満)
Crは、耐食性を確保する上で基本となる元素である。そのため、Crの含有量として少なくとも10.5%以上必要である。好ましくは11.0%以上、より好ましくは11.5%以上、さらに好ましくは12.5%以上である。Crの含有量を増加させるほど耐食性を向上させることができるが、加工性を低下させるため15.0%未満とした。好ましくは14.8%以下、より好ましくは14.5%以下である。
(Nb:0.03〜0.60%)
Nbは、CおよびNを固定し、溶接部の耐粒界腐食性を向上させる上と共に、高温強度を向上させるので、0.03%以上含有させる。Nb/C+Nで8以上含有させることが好ましく、Nb/C+Nで10以上含有させることがより好ましい。しかしながら、過剰の添加は、溶接性を低下させるため、Nbの含有量の上限を0.60%とした。好ましくは0.50%以下、より好ましくは0.45%以下である。
(Al:0.050%以下)
Alは、脱酸効果等を有するので精練上有用な元素であるが、本発明で最も重要なろう付け性を劣化させるため、その含有量を0.050%以下に制限する必要がある。好ましくは0.002以上、0.03%以下、より好ましくは0.003%以上、0.015%以下である。
(N:0.025%以下)
Nは、強度および耐孔食性に有用な元素であるが、過剰の添加は、耐粒界腐食性を低下させるため、Nの含有量は0.025%以下とする。好ましくは0.002〜0.023%、より好ましくは0.003〜0.020%である。
さらに必要に応じて、以下の成分を含有すると好ましい。
(Sn:0.001〜0.5%)
Snは、ろう付け性を向上させる上で、必要に応じて0.001%以上含有させることができる。Snの添加は耐食性向上にも有効である。より好ましくは0.01%以上、さらに好ましくは0.05%以上である。しかしながら、過剰の添加は製造性や靭性を低下させるので0.5%以下含有させるのが好ましい。より好ましくは0.3%以下、さらに好ましくは0.25%以下である。
(Co:0.01〜0.5%)
Coは、ろう付け性を向上させる上で、必要に応じて0.01%以上含有させることができる。より好ましくは0.03%以上である。過剰の添加はコストアップにつながるため0.5%以下含有させるのが好ましい。より好ましくは0.4%以下である。
(Bi:0.001〜0.01%)
Biは、ろう付け性を向上させる上で、必要に応じて0.001%以上、含有させることができる。より好ましくは0.002%以上である。過剰の添加は製造性を低下させるので0.01%以下含有させるのが好ましい。より好ましくは0.008%以下である。
(B:0.0002〜0.005%)
Bは、ろう付け性を向上させる上で、必要に応じて0.0002%以上含有させることができる。Bの添加は2次加工性の向上にも有効である。より好ましくは0.0004%以上である。しかしながら、過剰の添加は耐粒界腐食性を低下させるので0.005%以下含有させるのが好ましい。より好ましくは0.004%以下である。
(Ni:0.1〜0.8%)
Niは、耐食性を向上させるうえで必要に応じて、0.1%以上、0.8%以下含有させることができる。過剰の添加はコストアップになる。好ましくは、0.2%以上、0.7%以下、より好ましくは0.25%以上、0.6%以下である。
(Mo:0.1〜2%)
Moは、強度および耐食性を向上させる上で、必要に応じて0.1%以上、2%以下含有させることができる。過剰の添加はコストアップになる。好ましくは0.2%以上、1.5%以下、より好ましくは0.3%以上、0.9%以下である。
(W:0.1〜1%)
Wは、強度および耐食性を向上させる上で、必要に応じて0.1%以上、1%以下含有させることができる。過剰の添加はコストアップになる。好ましくは0.2%以上、0.9%以下である。
(V:0.05〜0.5%)
Vは、耐食性を向上させる上で、必要に応じて0.05%以上含有させることができる。過剰の添加は、加工性を劣化させると共に、高価であるためコストアップにつながるので、0.5%以下含有させることが好ましい。
(Cu:0.1〜0.8%)
Cuは、耐食性を向上させる上で、必要に応じて0.1%以上含有させることができる。好ましくは0.2%以上、より好ましくは0.3%以上である。過剰の添加は、加工性を劣化させるので、0.8%以下含有させることが好ましい。好ましくは0.7%以下、より好ましくは0.6%以下である。
(Sb:0.001〜0.5%)
Sbは、耐全面腐食性を向上させる元素であるため、0.001%以上を必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Sb含有量が0.5%を超えるとコストが増加する。そのため、Sb含有量は0.5%以下とする。Sb含有量は0.3%以下であるのが好ましい。上記の効果を安定して得るためには、Sb含有量は0.005%以上であるのが好ましく、0.01%以上であるのがより好ましい。
(Zr:0.001〜0.3%)
Zrは、耐食性を向上させる元素であるため、0.001%以上を必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Zr含有量が0.3%を超えるとコストが増加する。そのため、Zr含有量は0.3%以下とする。Zr含有量は0.2%以下であるのが好ましい。上記の効果を安定して得るためには、Zr含有量は0.01%以上であるのが好ましく、0.02%以上であるのがより好ましい。
(Ga:0.0001〜0.01%)
Gaは、耐食性および耐水素脆化性を向上させる元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Ga含有量が0.01%を超えるとコストが増加する。そのため、Ga含有量は0.01%以下とする。Ga含有量は0.005%以下であるのが好ましい。上記の効果を安定して得るためには、Ga含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0005%以上であるのがより好ましい。
(Ta:0.0001〜0.01%)
Taは、耐食性を向上させる元素であるため、必要に応じて含有させてもよい。しかしながら、Ta含有量が0.01%を超えるとコストが増加する。そのため、Ta含有量は0.01%以下とする。Ta含有量は0.005%以下であるのが好ましい。上記の効果を安定して得るためには、Ta含有量は0.0001%以上であるのが好ましく、0.0005%以上であるのがより好ましい。
(Ca:0.0002〜0.005%)
Caは、脱酸効果等精練上有用な元素であると共に、熱間加工性に有効であるため、必要に応じて0.0002%以上、0.005%以下含有させることができる。好ましくは、0.0005%以上である。また好ましくは0.003%以下である。
(Mg:0.0002〜0.005%以下)
Mgは、脱酸効果等を有するので精練上有用な元素であることから、必要に応じて0.0002%以上、0.005%以下含有させることができる。好ましくは0.0004%以上である。また好ましくは0.002%以下である。
(REM:0.005〜0.1%)
REMは、脱酸効果等を有するので精練上有用な元素であると共に、ろう付け性と耐酸化性にも有用であるため、必要に応じて0.005%以上、0.1%以下含有させることができる。好ましくは0.008%%以上である。また好ましくは0.08%以下である。
なお、不可避的不純物のうち、Pについては、溶接性の観点から0.05%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.04%以下である。また、Sについては、耐食性の観点から0.02%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.01%以下である。
以上説明した各元素の他にも、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。一般的な不純物元素である前述のP、Sを始め、Zn、Pb、Se、H、等は可能な限り低減することが好ましい。一方、これらの元素は、本発明の課題を解決する限度において、その含有割合が制御され、必要に応じて、Zn≦100ppm、Pb≦100ppm、Se≦100ppm、H≦100ppm、の1種以上を含有する。
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、基本的にはステンレス鋼を製造する一般的な工程をとって製造される。例えば、電気炉で上記の化学組成を有する溶鋼とし、AOD炉やVOD炉などで精練して、連続鋳造法又は造塊法で鋼片とした後、熱間圧延−熱延板の焼鈍−酸洗−冷間圧延−仕上げ焼鈍−酸洗の工程を経て製造される。必要に応じて、熱延板の焼鈍を省略してもよいし、冷間圧延−仕上げ焼鈍−酸洗を繰り返し行ってもよい。
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、特にろうが拡がるので、NiろうもしくはCuろうを用いてろう付けすることが好ましい。
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、Niろう付けを行い、ろう付け温度から900℃までの冷却速度を20℃/分以下としたとき、隣接するNiろう付け部のNiリッチ相率が40%以上となることにより、ろう付け後のNiろう付け接合部材の靱性が良好となるので好ましい。
本発明のフェライト系ステンレス鋼は、Niろう、Cuろうによるろう付け性、耐食性、加工性に優れるため、熱交換器、自動車部品であるEGRクーラ、排熱回収器、フューエルデリバリ系の部品、CO2冷媒ヒートポンプ式給湯器、潜熱回収型給湯器の二次熱交換器あるいはプレート型熱交換器の用途に用いられることが好ましい。
本発明のNiろう付け接合部材は、隣接するNiろう付け部のNiリッチ相率が40%以上となることにより、ろう付け後のNiろう付け接合部材の靱性が良好となるので好ましい。
以下、実施例により本発明の効果をより明らかなものとする。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
表1に示す組成のフェライト系ステンレス鋼を180kg真空溶解炉で溶製し、45kg鋼塊に鋳造した後、熱延−熱延板焼鈍−ショット−冷延−仕上焼鈍の工程を経て板厚1mmの冷延鋼板を作製した。熱延板は、素材厚み:50mm、加熱温度:1200℃で板厚5mmまで圧延し空冷することにより作製した。熱延板焼鈍および仕上焼鈍条件は×1分、空冷とした。得られた冷延鋼板から試験片を切り出し、ろう拡がり性評価や孔食電位測定などに供試した。
Figure 0006871045
[孔食電位]
前記冷延鋼板(No.1〜18)、およびこの冷延鋼板に下記ろう拡がり性評価と同じ熱処理を行った板(No.A1〜A18、以下「ろう付け熱処理鋼板」という。)から幅15mm、長さ20mmの試験片を切り出し、エメリー紙にて#600まで湿式研磨した。板の中央部分10mm×10mmが露出するように周囲を樹脂で被覆して測定用の電極とした。これを、30℃の3.5質量%NaCl水溶液中でJIS G0577に準拠して孔食電位(V‘c100:電流値が100μA/cmを超える最も貴な電位)を測定した。なお、参照電極には飽和KClを内部溶液とするAg/AgClを用い、電位の掃引速度は20mV/minとした。試験片数は5とし、得られた孔食電位の平均値で評価した。
[常温引張試験]
前記冷延鋼板(No.1〜18)の圧延方向と平行な方向からJIS 13B引張試験片を採取した後、常温引張試験を行って全伸びを測定した。
[ろう拡がり性]
前記冷延鋼板から幅40mm、長さ40mmの試験片を切り出し、エメリー紙にて#600まで湿式研磨した。有機溶剤を用いて脱脂後、板の中央にNiろう(BNi−5系)およびCuろう(BCu−1)をそれぞれ0.1g載せ、真空炉に入れて1130℃にて10分加熱した。キャリアガスには窒素を用い、No.A1〜No.A16の真空度は約50Pa、No.A1と同一素材であるNo.A17の真空度は約500Pa、No. A18の真空度は約5Paとした。
加熱終了後冷却し、画像解析により熱処理後のろう面積を求めた。得られたろう面積を基に、次の式よりろう拡がり係数を算出した。なお、試験片数は3とし、平均のろう拡がり係数で評価した。
ろう拡がり係数=熱処理後ろう面積/初期ろう面積
[酸化皮膜分析]
ろう拡がり性評価と同じ熱処理を行った板(ろう付け熱処理鋼板)について、X線光電子分光法(XPS)により表面の酸化皮膜を分析した。XPSはアルバック・ファイ社製で、使用X線源にmono−AlKα線を用い、X線ビーム径約200μm、取り出し角45度の条件で実施した。最表面の定量分析結果から、酸化皮膜中のCr、SiおよびNbのカチオン分率を求めた。ここでCr、SiおよびNbのカチオン分率は、酸化物状態のカチオン分率とした。
冷延鋼板(No.1〜18)の孔食電位と全伸びについての結果を表2に示し、ろう付け熱処理鋼板(No.A1〜A18)の孔食電位、ろう拡がり係数、酸化皮膜中のカチオン分率を示した。ここで、本発明におけるろう拡がり係数の達成目標として、Niろうの場合15以上、Cuろうの場合10以上とした。また、全伸びの達成目標は、25%以上とした。
Figure 0006871045
Figure 0006871045
表2より、本発明の範囲内にあるNo.1〜No.14、No.17(冷延鋼板、ただし、表1、2に記載したように、No.1とNo.17は、同一成分、同一特性)は、孔食電位および常温伸び(全伸び)において良好な特性を示している。
表3より、本発明の範囲内にあるNo.A1〜No.A14(ろう付け熱処理鋼板)は、ろう拡がり係数が良好であることから、本発明の範囲内にあるNo.1〜No.14(冷延鋼板)は、ろう付け熱処理した際のろう拡がり性が良好であることが確認できる。さらに、適切なろう付け熱処理条件(真空度約50Paの雰囲気)で熱処理することにより、ろう付け熱処理後の孔食電位も良好であることが確認できる。
表2、3より、Siが本発明範囲の下限以下にあるNo.15(冷延鋼板)、No.A15(ろう付け熱処理鋼板)は、孔食電位が低いことから、耐孔食性に劣ることがわかる。また、No.15(冷延鋼板)は、表3のNo.A15(ろう付け熱処理鋼板)のろう拡がり係数が低いことから、ろう拡がり性に劣ることがわかる。
表2、3より、Siが本発明の上限以上にあるNo.16(冷延鋼板)は、ろう拡がり性およびろう付け加熱前後の耐孔食性は良好であるが常温伸びに劣ることがわかる。
No.17(冷延鋼板)は、Cr+1.8Si≧16%を満足するため素材(冷延鋼板)の段階ではNo.1(冷延鋼板)と同一であるため、孔食電位が本発明を満足する。その一方、ろう付け熱処理条件が不適切な条件(真空度約500Paの雰囲気)であることによりNo.A17(ろう付け熱処理鋼板)では酸化皮膜中のSi、Nbカチオン分率が低下し、その結果、孔食電位が本発明の範囲から外れるため、No.A17(ろう付け熱処理鋼板)は参考例としている。
No.18(冷延鋼板)は、Cr+1.8Si<16%であるため、素材(冷延鋼板)の段階では、孔食電位が本発明の規定よりも劣るので、参考例としているが、一方、No.A18(ろう付け熱処理鋼板)ではろう付け熱処理条件の最適化(真空度約5Paの雰囲気)により酸化皮膜中のCr、Si、Nbカチオン分率が向上した結果、孔食電位が向上しており、ろう付け熱処理後に本発明を満足している。
[ろう付け部の断面観察]
No.1とNo.15の冷延鋼板から幅30mm、長さ50mmの大板1と幅15mm、長さ30mmの小板2を1枚ずつ切り出した。大板1、小板2ともに、エメリー紙を用いて#600まで湿式研磨後、有機溶剤を用いて脱脂した。図1に示すように、大板1と小板2との間に厚さ100μmのステンレス箔3をはさんで重ね、大板1と小板2との間に100μmのすきま4を形成した。この状態で、小板2の長辺にNiろう5(BNi−5系)を5g塗布した。その後、真空炉に入れて1130℃にて10分加熱した。真空度は約50Pa、1130℃から900℃までの冷却速度を20℃/分とした。このうち、No.1については1130℃から900℃までの冷却速度を22℃/分の条件でも行った。熱処理終了後、図2に示すようにろうが濡れ拡がったすきま部断面(図2(A)参照)を観察して、ろう拡がり部6におけるボイドや割れの有無ならびにNiリッチ相率を求めた。ろう拡がり部6には初晶のNiリッチ相と共晶部が存在するが、画像解析により2値化してNiリッチ相率(面積率)を求めた。
断面観察の結果、1130℃から900℃までの冷却速度を20℃/分の時、No.1におけるNiリッチ相率は45%と本発明範囲にあり、ボイドや割れは認められなかった。ボイドや割れが認められないことから、靭性が良好である。一方、No.15におけるNiリッチ相率は37%であり、ボイドや割れが認められた。一方、1130℃から900℃までの冷却速度を22℃/分としたNo.1におけるNiリッチ相率は36%となり、ボイドや割れが認められた。
本発明のろう付け性に優れたフェライト系ステンレス鋼は、自動車部品のEGRクーラや排熱回収器、潜熱回収型給湯器の二次熱交換器やエコキュート(登録商標)のプレート型熱交換器などろう付け接合で組み立てられる熱交換器の素材として好適である。
1 大板
2 小板
3 ステンレス箔
4 すきま
5 Niろう
6 ろう拡がり部

Claims (15)

  1. 質量%で、C:0.020%以下、Si:1.0超え〜3.5%、Mn:0.02〜0.80%、Cr:10.5〜15.0%未満、Nb:0.03〜0.60%、Al:0.050%以下、N:0.025%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、30℃の3.5質量%NaCl水溶液中における孔食電位V‘c100が飽和KClを内部溶液とするAg/AgClを参照電極に用いた時に150mV以上であり、
    カチオン分率でCr≧11%、Si≧1%、Nb≧1%を満足する酸化皮膜を有することを特徴とするろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
    ここでカチオン分率とは、全カチオンに対して、酸化物状態で存在するカチオンの比率(原子%)を意味する。
  2. 質量%でCr+1.8Siで16%以上を満足することを特徴とする請求項1に記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  3. 更に、質量%で、Sn:0.001〜0.5%、Co:0.01〜0.5%、Bi:0.001〜0.01%、B:0.0002〜0.005%のうちいずれか1種又は2種以上からなる第1群、
    Ni:0.1〜0.8%、Mo:0.1〜2%、W:0.1〜1%、V:0.05〜0.5%、Cu:0.1〜0.8%、Sb:0.001〜0.5%、Zr:0.001〜0.3%、Ga:0.0001〜0.01%、Ta:0.0001〜0.01%のうちいずれか1種又は2種以上からなる第2群、
    Ca:0.0002〜0.005%、Mg:0.0002〜0.005%、REM:0.005〜0.1%のうちいずれか1種又は2種以上からなる第3群のうち、少なくともいずれかの群を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  4. NiろうもしくはCuろうを用いてろう付け接合される、ろう付け接合部材用として用いることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のろう付け性と耐食性に
    優れたフェライト系ステンレス鋼。
  5. 質量%で、C:0.020%以下、Si:1.0超え〜3.5%、Mn:0.02〜0.80%、Cr:10.5〜15.0%未満、Nb:0.03〜0.60%、Al:0.050%以下、N:0.025%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、30℃の3.5質量%NaCl水溶液中における孔食電位V‘c100が飽和KClを内部溶液とするAg/AgClを参照電極に用いた時に150mV以上であり、
    Niろう付けを行い、ろう付け温度から900℃までの冷却速度を20℃/分以下としたとき、隣接するNiろう付け部のNiリッチ相率が40%以上となることを特徴とするろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  6. 質量%でCr+1.8Siで16%以上を満足することを特徴とする請求項5に記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  7. カチオン分率でCr≧11%、Si≧1%、Nb≧1%を満足する酸化皮膜を有することを特徴とする請求項5に記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
    ここでカチオン分率とは、全カチオンに対して、酸化物状態で存在するカチオンの比率(原子%)を意味する。
  8. 更に、質量%で、Sn:0.001〜0.5%、Co:0.01〜0.5%、Bi:0.001〜0.01%、B:0.0002〜0.005%のうちいずれか1種又は2種以上からなる第1群、
    Ni:0.1〜0.8%、Mo:0.1〜2%、W:0.1〜1%、V:0.05〜0.5%、Cu:0.1〜0.8%、Sb:0.001〜0.5%、Zr:0.001〜0.3%、Ga:0.0001〜0.01%、Ta:0.0001〜0.01%のうちいずれか1種又は2種以上からなる第2群、
    Ca:0.0002〜0.005%、Mg:0.0002〜0.005%、REM:0.005〜0.1%のうちいずれか1種又は2種以上からなる第3群のうち、少なくともいずれかの群を含有することを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  9. 熱交換器用途であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  10. 自動車部品であるEGRクーラ、排熱回収器あるいはフューエルデリバリ系の部品の用途であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  11. CO2冷媒ヒートポンプ式給湯器、潜熱回収型給湯器の二次熱交換器あるいはプレート
    型熱交換器の用途であることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼。
  12. 質量%で、C:0.020%以下、Si:1.0超え〜3.5%、Mn:0.02〜0.80%、Cr:10.5〜15.0%未満、Nb:0.03〜0.60%、Al:0.050%以下、N:0.025%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる化学組成を有し、30℃の3.5質量%NaCl水溶液中における孔食電位V‘c100が飽和KClを内部溶液とするAg/AgClを参照電極に用いた時に150mV以上であるろう付け性と耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼をNiろう付けしたNiろう付け接合部材であって、隣接するNiろう付け部のNiリッチ相率が40%以上であることを特徴とするNiろう付け接合部材。
  13. 前記フェライト系ステンレス鋼が、質量%でCr+1.8Siで16%以上を満足することを特徴とする請求項12に記載のNiろう付け接合部材。
  14. 前記フェライト系ステンレス鋼が、カチオン分率でCr≧11%、Si≧1%、Nb≧1%を満足する酸化皮膜を有することを特徴とする請求項12に記載のNiろう付け接合部材。
    ここでカチオン分率とは、全カチオンに対して、酸化物状態で存在するカチオンの比率(原子%)を意味する。
  15. 前記フェライト系ステンレス鋼が、更に、質量%で、Sn:0.001〜0.5%、Co:0.01〜0.5%、Bi:0.001〜0.01%、B:0.0002〜0.005%のうちいずれか1種又は2種以上からなる第1群、
    Ni:0.1〜0.8%、Mo:0.1〜2%、W:0.1〜1%、V:0.05〜0.5%、Cu:0.1〜0.8%、Sb:0.001〜0.5%、Zr:0.001〜0.3%、Ga:0.0001〜0.01%、Ta:0.0001〜0.01%のうちいずれか1種又は2種以上からなる第2群、
    Ca:0.0002〜0.005%、Mg:0.0002〜0.005%、REM:0.005〜0.1%のうちいずれか1種又は2種以上からなる第3群のうち、少なくともいずれかの群を含有することを特徴とする請求項12〜請求項14のいずれか1項に記載のNiろう付け接合部材。
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