JP6871638B2 - 肝癌の治療または予防用組成物 - Google Patents
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Description
HCCの主な原因は肝硬変である。肝硬変を引き起こす原因には肝炎ウイルス(HBVまたはHCV)の肝炎、アルコールの摂取および非アルコール性脂肪肝などの種々のものがあり、肝硬変の病歴のみに基づいてHCC患者を治療する戦略を立てるには困難がある。
HCCの発生にはWnt−β−カテニン経路、p53−Rb経路、クロマチン再構築、およびホスファチジルイノシトール 3−キナーゼ(PI3K)−AKTなどの様々な経路が関連していると知られているが(El−Serag HB、Rudolph KL.Hepatocellular carcinoma:epidemiology and molecular carcinogenesis.Gastroenterology.2007;132:2557−76;Schulze K、Imbeaud S、Letouze E、Alexandrov LB、Calderaro J、Rebouissou S、et al.Exome sequencing of hepatocellular carcinomas identifies new mutational signatures and potential therapeutic targets.Nat Genet.2015;47:505−11)、このような研究結果にもかかわらず、初期HCCから進行性HCC(GIIおよびGIII HCC)への進行の主な決定因子は未だに確認されていない。
PI3K阻害剤であるイデラリシブは、米国FDAおよびヨーロッパ医薬品庁において、再発性遅発性非ホジキンB細胞悪性腫瘍の治療剤として承認を受けた薬物である。この阻害剤はp110δのATP−結合部位に結合してPI3K−AKTシグナル伝達経路を不活性化させ、PI3K経路の活性化はクラスI PI3K触媒的アイソタイプ(isotype) p110α、p110β、p110δおよびp110γによって媒介される。造血幹細胞においてp110δは豊富に発現され、PI3K−AKTシグナル伝達が根本的に免疫細胞の増殖および関連のサイトカインおよびケモカインの刺激に寄与している。そこで、今まで、イデラリシブは、細胞生存、特に免疫細胞の死滅に焦点を合わせている。
大韓民国公開特許公報第10−2014−0022836号は、血液悪性腫瘍に対する組み合わせ療法に関するものであり、イデラリシブをリンパ球性白血病の治療に用いることを開示する。イデラリシブが肝癌、特に進行性肝細胞癌においてどのような役割をするかについては知られたことがない。進行性肝細胞癌の特異的治療剤の開発が必要である。
本願による一実現例において、肝細胞癌は、ROSおよびそれにPI3Kアイソタイプ p110δが過発現される肝細胞癌である。
本願による他の実現例において、本願に係る肝細胞癌は進行性肝細胞癌であり、進行性肝細胞癌は当業界で公知の数個の進行段階に応じた肝癌区分方法により決定され、例を挙げればこれらに制限されるものではないが、進行性肝細胞癌はLCSGJ(Liver Cancer Study Group of Japan)の肝細胞癌 TNM(tumor−node−metastasis)を基準にII期以上の肝細胞癌である。または、前記進行性肝細胞癌は、腫瘍分化度に応じた組織学的グレード方法(histological grade of tumor differentiation)であるエドモンドソンシュタイナーグレードシステム(Edmondson Steiner grading system)を基準にグレードII以上の肝細胞癌である。
他の側面において、本願は、化合物 5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノン、その薬学的に許容される塩を含む、インビボまたはインビトロで肝癌細胞または肝癌細胞株においてPI3Kアイソタイプ p110δ発現抑制用キットを提供する。
一実現例において、本願に係るキットが効果のある肝癌細胞はROSレベルが高いものである。
また、他の側面において、本願は、化合物 5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノン、その薬学的に許容される塩を含む、インビボまたはインビトロで肝癌細胞または肝癌細胞株においてROS−PI3K−AKT−TERTシグナル伝達抑制用キットを提供する。
また、他の側面において、本願は、肝癌細胞に5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノン、またはその塩を処理するステップを含む、前記肝癌細胞のPI3Kアイソタイプ p110δ発現の抑制方法に関するものである。
さらに、また他の側面において、本願は、肝癌細胞に5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノン、またはその塩を処理するステップを含む、前記肝癌細胞のROS−PI3K−AKT−TERTシグナル伝達経路を阻害する方法を提供する。
さらに、また他の側面において、本願は、肝細胞癌の治療が必要な対象体に薬学的に有効な量の化合物 5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノンまたはその薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、肝細胞癌の治療方法を提供する。
本願による一実現例において、肝細胞癌は、ROSおよびそれにPI3Kアイソタイプ p110δが過発現される肝細胞癌である。
本願による他の実現例において、本願に係る肝細胞癌は進行性肝細胞癌であり、進行性肝細胞癌は当業界で公知の数個の進行段階に応じた肝癌区分方法により決定され、例を挙げればこれらに制限されるものではないが、進行性肝細胞癌はLCSGJ(Liver Cancer Study Group of Japan)の肝細胞癌 TNM(tumor−node−metastasis)を基準にII期以上の肝細胞癌である。または、前記進行性肝細胞癌は、腫瘍分化度に応じた組織学的グレード方法(histological grade of tumor differentiation)であるエドモンドソンシュタイナーグレードシステム(Edmondson Steiner grading system)を基準にグレードII以上の肝細胞癌である。
したがって、本願は、このような肝細胞癌の発病メカニズムの糾明に基づいた、化合物 5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノン(イデラリシブ)の肝細胞癌の治療に対する新規用途に関するものである。
一様態において、本願は、化合物 5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノン、その薬学的に許容される塩を含む、肝癌の予防および治療用薬学組成物に関するものである。
本願の前記化合物 5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノンはイデラリシブ(idelalisib)とも呼ばれ、本願に参考として含まれた国際公開番号WO2012/152210号に化合物およびその製造方法が記載されている。
PI3K−Akt阻害剤、特に選択的p110δキナーゼ阻害剤である本願に係る化合物が、本願の一実施例において、HCC細胞株であるHuh7細胞およびHep3B細胞の増殖を阻害する(図1AおよびB)と共にTERT(telomerase reverse transcriptase)発現を阻害し、テロメア長が伸長するのを阻害する抗テロメラーゼ効能を有するということを本願で糾明した。
本願の他の実現例において、本願の組成物がROS(Reactive Oxygen Species)によって活性化されるPI3K−AKT−TERTシグナル伝達を抑制することを確認した(図2)。ROSは癌細胞においてPI3K−AKTシグナル伝達経路を過活性化させるが、本願の組成物によって前記経路活性化が阻害される。
また、本願の他の実現例において、本願の組成物がROS−PI3K−AKT−βカテニン−TERT活性化を抑制することを確認した(図3)。本願において、ROSによってPI3K−Aktシグナル伝達が過活性化されると、βカテニンの核内発現が増加してTERT発現が増加し、テロメアが伸長することを確認した(図3C、図4)。
本願で用いられた用語「肝細胞癌」は、アルコールの濫用、ウイルス性肝炎および代償性肝疾患のような危険因子を有する患者で発生する肝組織そのものから発生する原発性悪性腫瘍を称する。肝細胞癌は全体肝癌の90%以上を占め、患者の40〜80%は再発し、大半は再び肝臓に再発するが、肺とリンパ節、腹腔を囲んでいる内側壁と縦隔洞に現れることもあり、このような癌も本願に含まれる。
本発明で用いられた「薬学的に許容される付加塩」は、薬学的に許容される酸付加塩を含む。薬学的に許容可能な塩とは、患者に比較的に非毒性で無害な有効作用を有する濃度として、該塩に起因した副作用が化学式1の塩基化合物の有益な効能を落とさない化学式1の塩基化合物の或る有機または無機付加塩を意味する。例えば、酸は塩酸または臭素酸などのハロゲン酸;硫酸、硝酸およびリン酸などの無機酸;および、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸(すなわち、ブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノ−サリチル酸およびパモ酸などの有機酸を含む。塩基塩の形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩として、例えば、リチウム、ナトリウム、ポタシウム、マグネシウムおよびカルシウム塩などであり、また、ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩のような有機塩基との塩、およびアルギニン、リジンなどのようなアミノ酸との塩を含む。
非経口投与のための剤形には、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁溶剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性オイル、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが用いられることができる。坐剤の基剤としてはウィテップゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロール、ゼラチンなどが用いられることができる。
本願の薬学組成物は薬学的に有効な量をもって投与される。薬学的に有効な量は、本願に係る化合物を一定の投与量で一定期間投与した結果、目的とする効果、すなわち、肝細胞癌の治療または緩和効果をもたらすものである。投与量は、患者の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率および疾患の重症度などに応じてその範囲が様々であるが、有効投与量は、通常、成人(60kg)の場合、一般には前記組成物1〜500mg、好ましくは30〜300mgを1日1回または数回分割して投与することができる。投与量は、既存の薬物の投与量を参考にすることができるが、投与量は、種々の条件に応じて変動可能であるため、前記投与量に加減がありうることは当業者に明らかなことであり、よって、前記投与量は、どの側面においても本発明の範囲を限定するものではない。投与回数は所望の範囲内で1日に1回、または数回に分けて投与してもよく、投与期間も特に限定されない。
上述したように、本願に係る化合物またはそれを含む組成物は、肝細胞癌の治療に効果的に用いられることができる。
したがって、また他の側面において、本願は、薬学的に有効な量の化合物 5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノンまたはその薬学的に許容される塩を肝細胞癌の治療が必要な対象体に投与するステップを含む、肝細胞癌の治療方法に関するものである。
薬学的に有効な量、投与方法、肝細胞癌の種類、治療メカニズムなどは、前述したことを参考にすることができる。
以下では本発明の理解を助けるために実施例を提示する。但し、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるものであって、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
腫瘍試料(Tumor Specimens)
人体組職を用いる全ての実験は、ソウル大学校の臨床試験審査委員会の承認を受けた(SNUIRB No.E1308/001−035)。遺伝子発現の分析のために、84個の外科的切除された冷凍HCC腫瘍組織サンプルおよび非腫瘍肝組織サンプルを分析した。2005年から2009年の間(133個のパラフィン包埋サンプル)および2011年から2013年の間(28個の冷凍組織サンプル)には韓国カトリック大学のソウル聖母病院において、2010年から2013年の間には高麗大学校クロ病院(KU Guro Gene Bank 2013−020)(56個の冷凍組織サンプル)において、各ケースを前向き(prospectively)で且つ持続的に同定した。本発明に用いられたほぼ大半の組織サンプルは、本発明者の従前研究にも用いられた。ソウル聖母病院の133個のパラフィン包埋組織のうち93個のサンプルおよび28個の冷凍組織サンプルのうち19個のサンプルおよびクロ病院の56個の冷凍組織サンプルのうち53個のサンプルが用いられた(Ko E、et al.、Seo HW、Jung ES、Kim BH、Jung G.The TERT promoter SNP rs2853669 decreases E2F1 transcription factor binding and increases mortality and recurrence risks in liver cancer.Oncotarget.2015;Ko E、et al.、Telomerase reverse transcriptase promoter methylation is related to a risk of recurrence in hepatocellular carcinoma.Hepatology.2015)。HCC GI、GII、およびGIIIの各々において、p110δ mRNAレベルの定量化のために用いられた98個のサンプルのうち14個の冷凍組織は、本発明者の他の研究(Lim SO、et al.、Hepatology.2011;53:1352−62.)にも用いられた。腫瘍分化の組織学的グレード(histological grade)は、最高等級を示す腫瘍部位に基づくEdmondson Steiner等級システムにより定義された。
HCC細胞株(Huh7およびHep3B)は、韓国細胞株銀行(KCLB、Seoul、Korea)から得た。THLE−3細胞株(SV40大型T抗原と共に感染させて生産した不死化(immortalized)ヒト肝上皮細胞株)は、ATCC(American Type Culture Collection)から求めた。KCLBおよびATCCは、short tandem repeat analysisとしてDNAフィンガープリンティングを用いて細胞株の認証(authentication)を行った。全ての細胞株は、マイコプラズマ汚染を調査した。10%牛胎児血清(GenDepot、Barker、TX、USA)で補充されたDMEM(Welgene、Gyeongsan−si、Korea)においてhumidified 5% CO2インキュベータ、37℃でHCC細胞株を培養した。ATCCマニュアルに推薦されたとおり、10%牛胎児血清で補充されたBEGM(Lonza)においてhumidified 5% CO2インキュベータ、37℃でTHLE−3を培養した。
培地は毎日交替し、前記細胞は300μmol/L 過酸化水素(H2O2)(SigmaAldrich;H1009)において4日間培養した。幾つかの実験において、前記細胞は、H2O2を添加する前に、5mmol/L N−アセチルシステイン(NAC)(SigmaAldrich;A7250)、25μmol/L イデラリシブ(idelalisib)(LC Laboratoties、Woburn、MA、USA;I−7447)、25μmol/L ペリフォシン(perifosine)(LC Laboratoties、Woburn、MA、USA;P−6522)または30μmol/L GSK3β阻害剤(GSK3β inhibitor XI)(Santa Cruz;sc−204770)(31)で1時間予め処理した。陰性対照群として滅菌蒸留水(pH 7.0)を用いた(mock treatment)。
幾つかの変形をして、既に記載したとおり(Rufer N、et al.、Nat Biotechnol.1998;16:743−7)にFlow FISHを行った。0.1% w/vの牛血清アルブミン(BSA)を含有する冷たいPBS(phosphate−buffered salin)溶液で前記細胞を2回洗浄した。その次に、前記細胞をハイブリダイゼーションバッファ(70%脱イオン化ホルムアミド(Amresco、Solon、OH、USA)、20mmol/L TrisHCl[pH 6.8]、1% BSA、および1nmol/L FAM−labeled テロメアPNA(telomere peptide nucleic acid)プローブ(TelGFAM:TTAGGGTTAGGGTTAGGG)(Panagene、Daejeon、Korea)または1nmol/L FAM−labeled セントロメアPNAプローブ(CentFAM:AAACTAGACAGAAGCATT)(Panagene)に再サスペンションした。ハイブリダイゼーションバッファの体積は、105細胞当たり100μlに調整した。次に、各サンプルを85℃の水槽で10分間培養した。テロメアプローブを室温、雌牛で3時間ハイブリダイゼーションした後、各サンプルを各々の洗浄溶液(洗浄溶液I:70%脱イオン化ホルムアミド、10mM risHCl[pH 6.8]、0.1% BSA、および0.1% ツイン20;洗浄溶液II:0.1% BSAおよび0.1%ツイン20 in PBS)で洗浄し、溶液(0.1% BSA、10μg/mL RNase A、および0.06μg/mLの7−AAD in PBS)内で37℃で1時間培養した。各個別の培養において総15,00020,000核を分析した。G1G0細胞周期段階で全ての核のテロメア蛍光強度は、CELLQUEST softwareを用いたBD FACS Calibur flow cytometer(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ、USA)を用いて測定した。
確立されたImmunoFISHプロトコル(Plentz RR、et al.、Hepatology.2007;45:968−76)を若干変形させて用いた。パラフィン包埋セクションをキシレンで脱パラフィンさせ、エタノール gradientを用いて再水和させた。抗原復旧(retrieval)は、100mmol/L ナトリウムシトレート(pH 6.0)内でマイクロウェーブにおいて10分間沸かして行った。プロテイナーゼK(15μg/mL in PBS[pH 7.4])で37℃で20分間浸透させた後、8−オキソ−dG−特異性抗体(1:100、Abcam、Cambridge、MA、USA;ab62623)をPBS 0.1% Triton X−100内1% BSAdp希釈して室温で一晩中培養した。スライドを洗浄した後、Alexa 647 2次抗体で1時間処理した。4%ホルムアルデヒドを用いてサンプルを固定させた後にエアードライをした。前記サンプルを90℃で6分間変性させた後、雌牛で2時間ハイブリダイゼーションした。ハイブリダイゼーション溶液には、70%ホルムアルデヒドin 2×SSC、5% MgCl2、0.25%ブロッキング試薬(Roche、Basel、Switzerland)、15.4nmol/L of Cy3−ラベルのテロメアPNAプローブ(TelCCy3:CCCTAACCCTAACCCTAA)(Panagene、Daejeon、Korea)、および18.4nmol/LのFAM−ラベルのセントロメアPNAプローブ(CentFAM:AAACTAGACAGAAGCATT)(Panagene)が含まれている。スライドを洗浄した後、DAPIを含有するPBSでリンスし、その後、DAPI封入剤(mounting medium)(Vector Laboratories、Burlingame、CA、USA)で封入した。本発明者は、同時にテロメア染色および8−オキソ−dG染色に対する内部対照群としてセントロメアを染色した。分子ROSマーカーである酸化的DNA付加(adduct) 8−オキソ−2’−デオキシグアノシン(8−オキソ−dG)のレベルは、HCCを含む様々な腫瘍タイプにおいて増加すると報告されている。テロメア蛍光レベルおよび8−オキソ−dG蛍光レベルは、各々、テロメア蛍光強度に対するセントロメア蛍光光度の比、および8−オキソ−dG蛍光強度に対するセントロメア蛍光強度の比をいう。テロメア蛍光強度、セントロメア蛍光強度、および8−オキソ−dG蛍光強度の定量には同一の露出時間が用いられた。腫瘍組織のテロメア蛍光レベルおよび8−オキソ−dG蛍光レベルは、5ランダムフィールドに相応する非腫瘍組織の蛍光レベルを分けて計算した。イメージ分析は、Image−Pro plus 6.0 software(Media Cybernetics、Inc.、Rockville、MD、USA)を用いて行った。
テロメア長は、非放射性の化学蛍光TeloTAGGGテロメア長アッセイ(Roche;Cat.No.12 209 136 001)をマニュアルに従って用いて決定した。GeneJET Genomic DNA Purification Kit(Thermo Scientific;#K0721)を用いてHCC細胞からゲノムDNAを分離した後、4μgのゲノムDNAを20ユニットのHinf 1(Enzynomics)およびRsa 1(Enzynomics)で37℃で16時間ダイジェストした。前記ダイジェストされたDNAを0.8%アガロースゲル電気泳動により分離した後、キャピラリートランスファーを用いて陽電荷ナイロン膜に移した。ブロットされたDNAは、42℃で16時間テロメア反復に特異的なジゴキシゲニン(DIG)−ラベルされたプローブでハイブリダイゼーションした後、アルカリ性ホスファターゼに接合されたDIG−特異的抗体と共に室温で30分間培養した。
細胞から抽出したゲノムDNAを用いて定量的PCR分析を通じて相対的テロメア反復コピーナンバー(T)およびシングルコピーナンバー(S)を決定し、連続してT/S比率を変形させた従来の方法(Cawthon RM.Telomere length measurement by a novel monochrome multiplex quantitative PCR method.Nucleic Acids Res.2009;37:e21)のとおりに計算した。
p110δ発現レベルを可視化するために、p110δ−特異的(1:500、Abcam;ab32401)抗体を用いた。スライドを洗浄してDAPI(Vector Laboratories)を含有する培地を用いて封入した。共焦点顕微鏡(LSM 700;Carl Zeiss、Oberkochen、Germany)を用いてイメージを得た。イメージ分析は、Image−Pro plus 6.0 software(Media Cybernetics、Inc.)を用いて行った。
テロメラーゼ活性を定量的に決定するために、TRAPEZE RT Telomerase Detection Kit(Millipore、Darmstadt、Germany;S7710)を用いてTRAPを行った。マニュアルに従って総タンパク質抽出物(100ng)を各反応に用いた。
NucleoSpin TriPrep Kit(Macherey−Nagel、Duren、Germany;740966.250)を用いて総RNAを分離し、TOPscriptTM RT Drymix(dT18)(Enzynomics、Daejeon、Korea;RT200)を用いてmock−または指示された試薬が処理された細胞の総RNAからcDNAを合成した。TOPrealTM qPCR 2×PreMIX(SYBR Green with high ROX)(Enzynomics、Daejeon、Korea;RT501M)およびABI Prism 7300 thermal cycler(Applied Biosystems、Foster City、CA、USA)を用いてPCRを行った。β−アクチンで遺伝子発現をノーマライズした:TERT(順方向プライマー:GCCTTCAAGAGCCACGTC;逆方向プライマー:CCACGAACTGTCGCATGT)(26)およびβ−Actin(順方向プライマー:GCAAAGACCTGTACGCCAACA;逆方向プライマー:TGCATCCTGTCGGCAATG)。プライマー特異性をチェックするために解離段階を追加した。
総2×105細胞を2×SDSサンプルバッファ(100mmol/L TrisHCl[pH 6.8]、4% SDS、0.2%ブロモフェノールブルー、20%グリセロール、および200mmol/L β−メルカプトエタノール)で5分間沸かしてSDS−PAGEおよびウェスタンブロットをした。TERTを探知するために、細胞を2×SDSサンプルバッファにおいて55℃で15分間培養した。TERT−特異的(1:300、Rockland Immunochemicals、Gilbertsville、PA、USA;600−401−252)、AKT−特異的(1:1000、Cell Signaling Technology;#9272)、phospho−AKT−特異的(1:2000、Cell Signaling Technology;#4060)、GAPDH−特異的(1:2000、Santa Cruz Biotechnology;sc−47724)、またはβ−アクチン−特異的(1:2000、Sigma−Aldrich、St.Louis、MO、USA;A5441)抗体を5%スキムミルクまたは牛血清アルブミンにおいてTBS−ツイン20と共に希釈して一晩中4℃で培養した後に洗浄し、HRP−接合二次抗体(1:1000、Abcam;ab131368またはab131366)において培養した。FUSION−SOLO imager(VilberLourmat、Marne La Vallee、France)を用いて化学蛍光イメージを得た。
従来に記載されたとおり(10) Cell Titer 96 MTS(Promega)を用いて細胞生存力を測定した。ウェル当たりに500−1000細胞をシードして各グラフに記載されたような薬物濃度で96時間処理した。各分析法は少なくとも3回繰り返し行った。データをプロットして、GraphPad softwareを用いてIC50数値を遂行した。Flexstation 3 multimode plate reader(Molecular Devices)を用いて490nmにおいてホルマザン生産の光学密度を測定した。
従来に記載されたとおり(Lim SO、et al.Gastroenterology.2008;135:2128−40、40 e1−8.;Hoffmeyer K、et al.Science.2012;336:1549−54)、幾つかの変形させたChIP(クロマチン免疫沈降)実験を行った。PI3K阻害剤、AKT阻害剤、またはGSK3β阻害剤の存在または不存在下で300μmol/L H2O2処理するかまたは処理せずにHuh7細胞を4日間培養した。室温で20分間徐々に揺しながら、前記細胞を1%パラホルムアルデヒドを用いて固定した。その後、前記細胞を氷で冷たくしたPBSで2回リンスし;400μLのミクロコッカルヌクレアーゼバッファ(50mmol/L TrisHCl[pH8.0]、5mmol/L CaCl、100μg/mL BSA、10mmol/L KCl、およびプロテアーゼ阻害剤カクテル[Roche、Basel、Switzerland;4693159001])に再サスペンションし;2−mm−直径のジルコニウムビーズ(Watson)でディスラプト(disrupt)して;ミクロコッカルヌクレアーゼダイジェスチョンになるようにした(New England Biolabs、Beverly、MA、USA;M0247S)。Chromatin(150μg)を収集して希釈バッファ0.1% NP−40、2mmol/L EDTA、150mmol/L NaCl、20mmol/L TrisHCl[pH 8.0]、プロテアーゼ阻害剤カクテル[Roche]、およびフォスファターゼ阻害剤カクテル[Calbiochem])で希釈した後、2μg切断された鮭精子DNA、10μLの免疫前(preimmune)血清(Santa Cruz Biotechnology;sc−2027)、およびDynabeads Protein G(Life Technologies;1004D)で2時間4℃でプレクリアー(pre−clearing)した。免疫沈降後、20μl Dynabeads Protein Gを添加し、2時間培養を持続した。前記Dynabeadsを各々TSE 1(0.1% SDS、1% Triton X−100、2mmol/L EDTA、20mmol/L TrisHCl、および150mmol/L NaCl)、TSE II(0.1% SDS、1% Triton X−100、2mmol/L EDTA、20mmol/L TrisHCl、および500mmol/L NaCl)、およびバッファIII(0.25mol/L LiCl、1% NP−40、1% deoxycholate、1mmol/L EDTA、および10mmol/L TrisHCl)で10分間連続して洗浄した。前記ビーズは、その後TEバッファで3回洗浄し、1% SDSおよび0.1mol/L NaHCO3を用いて抽出した。ホルムアルデヒド交差結合を逆にするために、前記溶出液を一晩中65℃に加熱した。NucleoSpin DNA clean−up kitを用いてDNA断片を精製した。TERTプロモーター部位に特異的なプライマーを用いてqPCR(ABI 7300;Applied Biosystems、Foster City、CA、USA)でPCR増幅生成物を定量した。TERTイントロンでPCR増幅をノーマライズした。プライマー配列は下記のとおりである:ChIPに対するβ−カテニン相互作用部位(順方向プライマー:TCCCGGGTCCCCGGCCCA;逆方向プライマー:CCTCGCGGTAGTGGCTGCGC)およびChIPに対するTERTイントロン(順方向プライマー:TGAGGGCTGAGAAGGAGTGT;逆方向プライマー:CACGATAGACGACGACCTCA)。既に記録されたβ−カテニン相互作用部位の各面には、20−22bpが添加された。用いられた抗体は下記のとおりである:ウサギポリクローナル抗−β−カテニン(1:200、Abcam、Cambridge、MA、USA;ab6302)、マウスモノクローナル抗−RNAポリメラーゼII(1:50、Covance、Princeton、NJ、USA;MMS−126R)、およびウサギポリクローナル抗−SETD1A(1:100、Novus Biologicals、Littleton、CO、USA;NBP1−81513)。
ソウル大学校動物実験倫理委員会の承認を受けたプロトコルに従って動物実験を行った(Approval number:SNU−130225−6)。マウスを通常の条件(セミ−特定病原菌の不在状態)に置いておき、任意に食べ物と水を提供した。全ての異種移植(xenografting)の研究に5週齢のKSN/Slcヌードマウスを用いた。18gから20gの間の重さのマウスを実験に用いた。異種移植分析法のために、mock処理をした1×105Huh7、300μmol/L H2O2を単独で処理した1×105Huh7、または25μmol/L イデラリシブおよび300μmol/L H2O2の両方を処理した1×105Huh7を洗浄してCa2+or Mg2+のないPBSにおいてハーベストし、連続して0.2mL体積で背中の皮下組織に注入した。腫瘍の二つの垂直直径(最も大きい直径D1、および最も小さい直径D2)のキャリパー(caliper)測定を通じて腫瘍生成物を毎週モニターした。腫瘍の体積はπ×D1×D22/6のものとして計算された。
テロメア長の測定および生存率の統計的有意性は、各々、フィッシャーの正確検定およびログ・ランク検定を用いて評価した。mockおよびROSまたはPI3K−AKT阻害剤の処理の間のテロメア活性およびメッセンジャーRNA発現レベル比較におけるP数値は、両検定を用いて計算した。頻度分布の正常性(normality)は、Shapiro−Willk検定を用いてテストした。統計的分析は、R ソフトウェア(www.r−project.org)またはPrism GraphPad Software version 4.0(GraphPad Software Inc、San Diego、CA、USA)を用いて行った。全ての実験は、独立に少なくとも3回繰り返し行った。有意性の数値は* P<0.05、** P<0.01、および*** P<0.001に合わせた。
選択的p110δキナーゼ阻害剤であるイデラリシブは、PI3K−AKTシグナル伝達をブロックする活性により、慢性リンパ球性白血病患者の治療に用いられてきた(Yang Q、et al.Clin Cancer Res.2015;21:1537−42;Fruman DA、et al.Nat Rev Drug Discov.2014;13:140−56)。p110δが互いに異なるレベルで潜伏している肝細胞におけるイデラリシブの活性を測定するために、本発明者は、3個の肝細胞株を用いて増殖分析を行った。前記肝細胞株には、初期HCC患者から由来し、高レベルのp110δを示すHCC細胞株であるHuh7細胞およびHep3B細胞が含まれ(図1AおよびB)、正常な成人の肝上皮細胞に現れる正常一次細胞から由来し、低レベルのp110δを示す不死化内皮細胞であるTHLE−3細胞株が含まれた(図1C)。
イデラリシブが濃度−依存的方式で二つのHCC細胞株の細胞増殖を阻害するのかについて調査し、その結果、前記細胞株の細胞増殖を阻害した(図1AおよびB)。Huh7およびHep3BのIC50は30μmol/Lより小さく(図1AおよびB)、THLE−3細胞のIC50は200μmol/Lより大きかった(図1C)。細胞増殖の阻害と共に、さらに、本発明者は、二つのHCC細胞株におけるAKTリン酸化阻害を探索した(図1DおよびE)。AKTリン酸化の基底レベル(basal level)は、THLE−3において低く、25μmol/L濃度においてイデラリシブによって減少しなかったが(図1F)、これはAKTシグナル伝達がこれらの細胞において不活性化されることをいう。
また、イデラリシブがHCC細胞においてTERT発現およびテロメア長を減少させるのかについて調査した。イデラリシブは、二つのHCC細胞株においてTERT発現を減少させたが(図1DおよびE)、THLE−3細胞ではそうではなかった(図1F)。TERT発現が減少する結果と一致するように、イデラリシブによってHCC細胞のテロメア長が減少した(図1G−K)。THLE−3細胞においてTERT発現の基底レベルは低く、イデラリシブによってTHLE−3細胞におけるTERT発現またはテロメア長の両方とも減少することはなかった(図1F、LおよびM)。このような結果はPI3K−AKTシグナル伝達が活性化されるとTERT発現が調節され、HCC細胞ではイデラリシブによって阻害されるが、THLE−3細胞ではそうではなかった。これは、PI3K−AKTシグナル伝達が活性化された細胞は、PI3K阻害剤の存在時にTERT発現およびテロメア長が減少するようにする適宜なターゲットになることを意味する。
従来、ROSは癌細胞においてPI3K−AKTシグナル伝達経路を過活性化させることが確認されたが(Brazil DP、et al.Cell.2002;111:293−303;Li VS、et al.Cell.2012;149:1245−56)、ROSがPI3Kアイソタイプを増加させるのか、そのためにPI3K−AKT活性化をもたらすのかについては知られていなかった。PI3Kアイソタイプ p110δ発現がTHLE−3細胞よりはHCC細胞においてより高く(図1および図2A)、p110δ選択的阻害剤であるイデラリシブがHCC細胞においてのみpAKTおよびTERT発現、およびテロメア維持を阻害するため、本発明者は、ROSがHCC細胞においてp110δ発現を増加させるのかについて実験した。クラスI PI3Kアイソタイプ(p110α、p110β、p110δ、およびp110γ)のうち、ROS誘導剤である過酸化水素(H2O2)処理後のHCC細胞においてp110δ発現のみが増加した(図2B)。これは、ROSがp110δ発現の上向き調節を通じてPI3K−AKTシグナル伝達を特に過活性化させることをいう。
次に、ROSがAKT活性化を通じてTERT発現およびテロメア長を増加させるのかについて調査するために、本発明者は、様々な濃度(0−300μmol/L)のH2O2を処理した時、ROSレベルが増加する細胞におけるTERTメッセンジャーRNA(mRNA)およびタンパク質のレベルおよびテロメア長を比較した。H2O2に露出していない対照群のHCC細胞と比較した時、TERT発現およびテロメア長は、300μmol/L H2O2を処理したHCC細胞において増加した(テロメア長は25%−30%増加し、TERT発現は40%−45%増加した;図2CおよびD)。ROSスカベンジャーであるN−アセチルシステイン(NAC)およびH2O2で細胞を同時に処理すれば、HCC細胞においてH2O2−誘導によるTERT発現とテロメア長の増加現象が無くなった(図2CおよびD)。THLE−3細胞では、150μmol/L H2O2に露出されると、大半の細胞(85%)が生存することができなかった。前記濃度において、テロメア長は減少した(図2E)。しかし、TERT発現レベルは変わらず、H2O2処理後のAKTリン酸化レベルの変化がないことと一致した(図2E)。このような結果は、HCC細胞においてAKTリン酸化およびTERT発現を上向き調節することによってROSがテロメアを長くできることをいう。
ROS−誘導PI3K−AKTシグナル伝達の過活性化に対するイデラリシブの効果を研究するために、本発明者は、イデラリシブに露出されたH2O2−処理されたHCC細胞におけるTERT発現、テロメア長およびテロメラーゼ活性を測定した。TERT発現レベルおよびテロメア長は、H2O2を単独で処理したHCC細胞よりイデラリシブ処理後のH2O2−処理されたHCC細胞において顕著に低かった(テロメア長は40−45%減少し、TERT発現は65−70%減少;図2FおよびG)。このような結果は、イデラリシブがROS−誘導PI3K−AKTシグナル伝達の過活性化を阻害することをいう。TERT発現およびテロメア長の結果(図2F−H)と類似するように、イデラリシブは、二つのHCC細胞株においてテロメラーゼ活性を減少させたが(図2IおよびJ)、THLE−3細胞ではそうではない(図2K)。本発明者は、TERT発現、テロメラーゼ活性およびテロメア長においてROS媒介で増加するのがイデラリシブによってほぼ全部阻害されたことを明らかにした(図2F−K)。
本発明者は、TERT転写の間、TERTプロモーターにおいてクロマチン接近性が増加することがβ−カテニンと関わっているのかについて調査した。このために、本発明者は、内因性β−カテニンおよびクロマチン再構築によってTERT転写を促進すると報告されたヒストン・メチルトランスフェラーゼSetD1Aに対する抗体を用いてクロマチン免疫沈降を行った。クロマチン免疫沈降分析法においてPI3KまたはAKT阻害剤を共に処理すれば、H2O2が存在してもHCC細胞においてTERTプロモーターに結合するβ−カテニンおよびSetD1Aが減少した反面(図3AおよびB)、GSK3β阻害剤を共に処理すれば、H2O2処理と関係なくβ−カテニンおよびSetD1A結合が増加した(図3C)。このような結果は、ROSがPI3K−Aktシグナル伝達カスケードの過活性化を通じてβ−カテニンの核発現を増加させることによって、TERTプロモーターへのSetD1Aの募集を促進させることをいう。
次に、イデラリシブがインビボで腫瘍成長を阻害できるのかについて調査した。先ず、H2O2処理後、PI3K−AKTシグナル伝達過活性化されたHCC細胞が注入されたヌードマウスにおいて腫瘍の外観に対する遅延時間(latency time)を調査した。H2O2処理された1×105HCC細胞と共に注入されたヌードマウスにおいて腫瘍発病(tumor development)までかかった遅延時間は28日であった(図3DおよびE)。H2O2処理していない1×105HCC細胞を注入したヌードマウスにおいて腫瘍が現れるのにかかった平均時間は70日であった(図3E)。それに対し、H2O2およびイデラリシブの両方を処理したHCC細胞と共に注入してから70日が過ぎても腫瘍は形成されなかった(図3D)。このような結果は、ROSが腫瘍成長を促進し、腫瘍成長の促進に対するROS作用は、インビボでPI3K阻害剤であるイデラリシブによって阻害されることをいう。
本願では、p110δのmRNAレベルは初期HCC組織から進行性HCC組織(2期以上)まで増加し(図4A)、TERT mRNA発現と陽性的に関わっていることを糾明した(図4B)。これは、同一な一次シグナルがp110δおよびTERT発現が増加する原因となることをいう。p110δのmRNAレベルが高いことが無再発生存率が低いことと関わっているが(図4C)、これは、p110δのmRNAレベルが高く発現されることが高レベルのTERT mRNA、高レベルのROS、または長いテロメア長のようなHCC予後マーカーであることができることをいう。これは、本願の薬学組成物がp110δキナーゼを阻害することでp110δのmRNAが高レベルに発現されるのを遮断することによってHCC腫瘍増殖を阻害できることを示し、特に進行性肝細胞癌の治療に効果的に使用できることを示す。また、ROS−PI3K−AKT−TERTシグナル伝達過活性化を特異的に遮断することによって肝癌を治療するのに有用であることが分かる(図4D)。
本発明で用いられた全ての技術用語は、特に定義しない限り、本発明の関連分野で通常の当業者が一般的に理解するものと同様の意味として用いられる。本明細書に参考文献として記載される全ての刊行物の内容は本発明に導入される。
Claims (4)
- 化合物 5−フルオロ−3−フェニル−2−[(1S)−1−(7H−プリン−6−イルアミノ)プロピル]−4(3H)−キナゾリノン、又はその薬学的に許容される塩を含む、ROSレベルおよびPI3Kアイソタイプ p110δ発現が増加している肝細胞癌の予防または治療用薬学組成物。
- 前記肝細胞癌は進行性肝細胞癌である、請求項1に記載の肝細胞癌の予防または治療用薬学組成物。
- 前記進行性肝細胞癌は、腫瘍分化度に応じた組織学的グレード方法(histological grade of tumor differentiation)であるエドモンドソンシュタイナーグレードシステム(Edmondson Steiner grading system)を基準にグレードII以上の肝細胞癌である、請求項2に記載の肝細胞癌の予防または治療用薬学組成物。
- 前記肝細胞癌の治療は、ROS−PI3K−AKT−TERTシグナル伝達の阻害によるものである、請求項1に記載の薬学組成物。
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