JP6873904B2 - キサンチンオキシダーゼ阻害剤 - Google Patents
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Description
(1)式(I)で表される化合物またはその経口上許容可能な塩を含んでなる、キサンチンオキシダーゼ阻害剤:
(2)テトラピロール含有物分解産物またはその抽出物を含有させて得られたものである、(1)に記載のキサンチンオキシダーゼ阻害剤。
(3)1回の経口摂取量単位の形態である、(1)または(2)に記載の剤。
(4)血中尿酸低下剤である、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の剤。
(5)尿酸の過剰生成または排泄低下に起因する疾患または状態の治療剤である、(1)〜(4)のいずれか一つに記載の剤。
(6)高尿酸血症の治療剤である、(1)〜(5)のいずれかに記載の剤。
(7)組成物である、(1)〜(6)のいずれか一つに記載の剤。
(8)飲食品または医薬品である、(1)〜(7)のいずれか一つに記載の剤。
(9)式(Ia)で表される化合物またはその経口上許容可能な塩:
(11)上記テトラピロール含有物が、赤血球、ヘモグロビン、ヘミン、プロトポルフィリン、ヘマトポルフィリン、ビリルビンおよびクロロフィリンからなる群から選択される少なくとも一つのものである、(10)に記載の方法。
(12)上記テトラピロール含有物の分解が、酸化反応、還元反応および酵素反応からなる群から選択される少なくとも一つの反応により行われる、(10)または(11)に記載の方法。
(13)上記キサンチンオキシダーゼ阻害剤が、式(I)で表される化合物またはその経口上許容可能な塩を含んでなる、(10)に記載の方法:
(14)キサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造における、テトラピロール含有物分解産物またはその抽出物の使用。
(15)前記キサンチンオキシダーゼ阻害剤が、式(I)で表される化合物またはその経口上許容可能な塩を含んでなる、(14)に記載の使用:
(16)前記キサンチンオキシダーゼ阻害剤が、尿酸の過剰生成または排泄低下に起因する疾患または状態の治療剤である、(14)または(15)に記載の使用。
(17)式(I)で表される化合物またはその経口上許容可能な塩の有効量を、それを必要とする対象に摂取させることを含む、尿酸の過剰生成または排泄低下に起因する疾患または状態の治療方法:
(18)キサンチンオキシダーゼ阻害のため、または尿酸の過剰生成もしくは排泄低下に起因する疾患もしくは状態の治療のための、式(I)で表される化合物またはその経口上許容可能な塩:
本発明の剤は、テトラピロール含有物分解産物またはその抽出物を配合していることを一つの特徴としている。
上記精製処理または濃縮処理は、非活性成分を分離、分解または除去し、式(I)の化合物またはその経口上許容可能な塩の含有濃度を上昇させる上で好ましい。また、上記精製処理、濃縮処理または滅菌処理等は、テトラピロール含有物分解産物の色素または臭気を大幅に低減することができる上でも好ましい。
かかる観点から、精製処理に用いる活性炭としては、木粉由来のもので粉末状が好ましく、最頻度細孔径が1〜30nmであるものが好ましい。活性炭の最頻度細孔径は、窒素ガス吸着法により測定することができる。また、用いる活性炭の量は、テトラピロール含有物分解産物もしくはその抽出物または式(I)の化合物もしくはその経口上許容可能な塩の0.1〜20%とすることができ、好ましくは0.4〜1.25%である。活性炭を用いる精製処理の好適な条件としては、pH2〜5に調整した、テトラピロール含有物分解産物もしくはその抽出物または式(I)の化合物もしくはその経口上許容可能な塩に対し活性炭を添加した後に回収し、テトラピロール含有物分解産物もしくはその抽出物または式(I)の化合物もしくはその経口上許容可能な塩の0.3〜60倍量の水で洗浄した後、pH9〜11のアルカリ性緩衝液や0.05〜0.15Mの水酸化ナトリウム溶液で溶出することが好ましい。上記アルカリ性緩衝液または水酸化ナトリウム溶液の量は、テトラピロール含有物分解産物もしくはその抽出物または式(I)の化合物もしくはその経口上許容可能な塩の0.01〜100倍量とすることができ、好ましくは0.1〜10倍量である。また、上記合成吸着樹脂としては、スチレン−ジビニルベンゼン系が好ましく、最頻度細孔径が5〜100nmであるものが好ましい。合成吸着樹脂の最頻度細孔径は、水銀圧入法により測定することができる。また、用いる合成吸着樹脂の量は、テトラピロール含有物分解産物もしくはその抽出物または式(I)の化合物もしくはその経口上許容可能な塩の10倍量量〜1/50量とすることができ、好ましくは等量〜1/10量である。
また、非活性成分の分離もしくは除去、またはテトラピロール含有物分解産物の色素もしくは臭気低減の観点から、精製処理に用いる上記ナノフィルターとしては、分画分子量150〜800とすることができ、好ましくは150〜500である。
また、本発明の剤の製造においては、例えば、凍結乾燥法またはスプレードライ法によってテトラピロール含有物分解産物またはその抽出物を固形化処理または粉末化処理してもよい。
なお、上記各処理は、本発明の効果を妨げない限り、テトラピロール含有物分解産物もしくはその抽出物または式(I)の化合物もしくはその経口上許容可能な塩の製造におけるいずれの段階で行ってもよい。
また、本発明の剤のpHは、特に限定されないが、pH1〜14とすることができ、好ましくはpH3〜11、より好ましくはpH4〜10である。
また、対象における血清尿酸値は、特に限定されないが、尿酸値低減による高尿酸血症の改善を勘案すれば、高レベルであることが好ましい。かかる血清尿酸値は好ましくは7.0mg/dLを超える状態である。
また、本発明の別の態様によれば、対象は健常者であってもよい。
原料として、赤血球パウダーを用いた。上記赤血球パウダーは、ブタの血液を遠心分離することで赤血球を得、該赤血球を噴霧乾燥させることで得られた。
赤血球酵素分解産物の調製はヘム鉄複合物の製造方法(特開平4−013680)を参考に以下のように行った。まず赤血球パウダーにその約7倍量の蒸留水を添加し溶解させた後、水酸化ナトリウムを適宜添加しpH9.5±0.5に調整しながら、微生物由来のエンド型プロテアーゼ(アルカラーゼ)(Novozymes社製)を赤血球パウダーの約10%量添加し、55±1℃で1時間以上酵素反応させた。さらに、上記酵素反応液を分画分子量10000以下の限外濾過膜で処理することで、高分子量の物質を除き、赤血球酵素分解産物を得た。
in vitro XOD阻害活性は、増田等の方法(仁愛女子短期大学研究紀要, 第41号 平成20年)を参考に測定した。具体的には、キサンチンオキシダーゼ(xanthine oxidase:XOD)に、基質としてキサンチンを加えることにより生成する尿酸の変化量より阻害活性を求めた。
まず、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4) 240μLに上記赤血球酵素分解産物10μLを添加した。コントロール(XOD阻害物質無し)としては0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4) 10μLを添加した。次に0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)で溶解した0.24U/mL ウシバターミルク由来XOD(オリエンタル酵母工業製)を50μL添加して撹拌後、1分間静置した。そこに0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)で溶解した0.1mMキサンチン(和光純薬工業製)溶液300μLを添加し、即座に分光光度計(DU7400、Beckman社製)を用い波長295nmについて基質添加後(0分後)および1分後の吸光値を測定した。測定および使用した試液は全て室温のものを用いた。得られた吸光値から0→1分間のΔABSを求め、下記に示す式で試料の阻害活性を算出した。これらの反応は全てセル内で行った。なお、この測定系における0.7mg/mLアロプリノール(和光純薬工業製)(0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.4)に溶解)の阻害活性は99%以上を示した。
式)A:試料ΔABS (0−1min)
B:コントロールΔABS (0−1min)
阻害活性%=100−{A/B×100}
ブタ由来赤血球パウダーの替わりにウシ血液由来ヘモグロビンパウダー(和光純薬工業製)を用い、試験例1と同様の方法でウシ赤血球酵素分解産物を得た。
その結果、54.6%のXOD阻害活性が認められた(表1)。
したがって、赤血球酵素分解産物のXOD阻害活性は生物種固有のものではないと推測された。
ヘモグロビンはヘムとグロビンで構成されているが、ヘムとグロビン以外のタンパク質の混合物を酵素反応させてもXOD阻害活性を示すか確認した。
ここでは、ヘムとしてヘミンを用いた。ヘミン(Kodak社製)とウシ由来アルブミン(和光純薬工業製)を約1:10の割合で混合した後、試験例1と同様の方法でプロテアーゼを添加し反応させ、ヘミンとアルブミンの混合物の酵素反応物を得た。
その結果、23.7%のXOD阻害活性が認められた(表1)。
赤血球酵素分解産物中のXOD阻害物質は、上記検討からヘモグロビンおよびミオグロビンに存在するヘム(ヘミン)の分解産物の可能性が示唆された。
そこで、終濃度10μmol/mLのヘミン(Kodak社製)溶液に対し、終濃度100μmol/mLとなるようにシステイン(Cys)(和光純薬工業製)、グルタチオン(GSH)(和光純薬工業製)またはジチオスレイトール(DTT)(和光純薬工業製)等の還元剤を加え、0.1Mの水酸化ナトリウム(和光純薬工業製)溶液にてpH10に調整後、60℃で一晩反応させ、反応物を得た。
その結果、全ての反応物においてXOD阻害活性を検出することができた(表1)。また、これら反応物の逆相クロマトグラフィー上のXOD阻害活性を有するピークは赤血球酵素分解産物由来のXOD阻害活性を有するピークと溶出位置が重なった。したがって、上記反応物においてXOD阻害活性を示している物質は、赤血球酵素分解産物由来のXOD阻害物質と同一の物質であることが示唆された。
また、鉄を含まないプロトポルフィリン(東京化成工業製)、ヘム(ヘミン)とは別のテトラピロール化合物であるヘマトポルフィリン(Sigma-Aldrich社製)、およびヘムの分解中間体であるビリルビン(東京化成工業製)にシステインを作用させ反応物を得た。具体的には、終濃度10μmol/mLのプロトポルフィリン溶液、終濃度10μmol/mLのヘマトポルフィリンまたは終濃度10μmol/mLのビリルビンに対し終濃度100μmol/mLとなるようにシステイン(Cys)を加え、0.1Mの水酸化ナトリウム溶液にてpH10に調整後、60℃で一晩反応させ、反応物を得た。
さらに、プロトポルフィリンまたはビリルビンとシステインとの反応物に終濃度10μmol/mLとなるように塩化鉄(II)(和光純薬工業製)を添加し、pH10に調整後、60℃で一晩反応させ、塩化鉄(II)添加反応物を得た。
その結果、全ての反応物においてXOD阻害活性を検出することができた(表1)。
また、上記塩化鉄(II)添加反応物に関しても、塩酸を加えてpH4に調整した後、試験例1と同様の方法で、in vitroでXOD阻害活性を測定した。
その結果、塩化鉄(II)添加反応物は塩化鉄(II)を添加していない反応物に比して更にXOD阻害活性を10%程度高めることができた(表1)。このことから、鉄の存在がXOD阻害物質の生成率を高めている可能性が示唆された。
ヘミンと還元剤との反応物ではなく、ヘミンと過酸化水素との反応物(以後、ヘミン−過酸化水素反応物という)においてもXOD阻害活性が検出できるか検討した。
ヘミンと過酸化水素との反応方法は廣田の方法(岡大医短紀要,4:31〜36,1993)を参考にした。具体的には、まず、ヘミン10mg/mL溶液に、28%アンモニア(和光純薬工業製)を1/40量添加しヘミンを溶解した。その溶液を60℃で加熱しながら、その溶液にヘミン溶液の半分量の終濃度15%過酸化水素水(和光純薬工業製)(28%アンモニアを1/33量含む)を少しずつ添加後、60℃で1時間反応させた。反応後室温まで冷却し反応物を得た。
その結果、上記反応物のXOD阻害活性は87.5%を示した(表1)。
植物、植物プランクトンおよび藻類等の光合成を行う生物に関与するテトラピロール化合物であるクロロフィリンと過酸化水素との反応物もXOD阻害活性を検出できるか検討した。
ヘミンに代えて鉄クロロフィリンNa(鉄葉緑素)(日本葉緑素製)を用いる以外は、上記試験例6に記載の、ヘミンと過酸化水素との反応物と同様の調製方法で調製した。
その結果、上記反応物のXOD阻害活性は24.2%を示した(表1)。
赤血球酵素分解産物にXOD阻害活性が確認されたことから、各種クロマトグラフィーを用いてXOD阻害物質の単離を行った。
まず、試験例1で得られた赤血球酵素分解産物をpH4に調整後、5倍量の2−プロパノールを添加しXOD阻害物質を抽出した。この2−プロパノール抽出画分を逆相系樹脂のODS−Aカラム(ワイエムシィ製)に供し、アセトニトリル−トリフルオロ酢酸(TFA)系でグラージェント溶出させた(図2)。その結果、図2で示すように、313nmで検出した矢印で示されるピークの画分に明確なXOD阻害活性を有していた。他のピークではXOD阻害活性は殆ど検出されなかった。さらに、上記阻害活性を有するピーク画分を逆相系のODS−120T(東ソー製)に供し、メタノール−TFA系でグラージェント溶出させた(図3)。その結果、313nmの検出波長で3つのピークが得られた。これらピークに関してXOD阻害活性を測定した結果、最初と二番目のピークの画分でXOD阻害活性が示された。XOD阻害活性が確認されたピーク画分を回収し、313nmの吸光値を約1に調整した溶液とした。上記溶液において、63%のXOD阻害活性を示したピークをP1ピーク、48%のXOD阻害活性を示したピークをP2ピークとした(図3)。P1ピークについて画分を分取し、ODS−120Tにて再精製し、赤血球酵素分解産物から精製したXOD阻害物質P1を得た(以下、赤血球酵素分解産物由来P1という)。また、同様の単離方法で、試験例6のヘミン−過酸化水素反応物からも上記の赤血球酵素分解産物由来P1およびP2と同等の物質を得ることができた(以下、ヘミン−過酸化水素反応物由来P1およびP2という)。ヘミン−過酸化水素反応物由来P1およびP2について分光光度計(DU7400、Beckman社製)により吸収スペクトルを測定した結果、各最大吸収波長は308nmおよび322nm付近で、スペクトルは類似していた(図6−1)。
得られたヘミン−過酸化水素反応物由来P1について、凍結乾燥後、P1濃度が0.7mg/mLとなるように蒸留水に溶解し、試験例1と同様の方法で、in vitroでXOD阻害活性を測定した。
その結果、ヘミン−過酸化水素反応物由来P1の50%阻害濃度(IC50値)は2.45μg/mLであった。(図4)
上述のように、XOD阻害物質は逆相クロマトグラフィーを用いて分取することが可能ではあるが、逆相クロマトグラフィーの後にイオン交換樹脂を用いても分取精製することができた。ODS−120T逆相クロマトグラフィー後に得られたP1について陰イオン交換樹脂GigaCap Q−650M(東ソー製)に50mM Tris−HCl pH9の条件下で吸着させ、塩化ナトリウムのグラージェントによりP1を溶出させ分取することができた(図5)。
試験例8の各種クロマトグラフィーで得られた赤血球酵素分解産物由来P1、へミン−過酸化水素反応物由来P1およびP2についてLC/MS(SynaptG2−S型, Waters社製)による分子量および構造の予測を行った。
その結果、P1およびP2の分子量が推測でき、ヘミン−過酸化水素反応物由来P1と赤血球酵素分解産物由来P1とは、試験例8に示す逆相系ODS−120T(東ソー製)によるピークの溶出時間が一致した上に、LC/MS解析(ネガティブモード)によるP1の分子イオンm/z 224とその他のフラグメントイオンのシグナルがほぼ一致していることが確認された。これらから、赤血球酵素分解産物由来P1とヘミン−過酸化水素反応物由来P1は同一物質であることが確認された(図6−2)。
更にヘミン−過酸化水素反応物由来P1については1H−NMR、13C−NMRおよび差NOE測定による構造解析を行った(AVANCE500型, BRUKER社製)。なお、1H−NMR、13C−NMRで用いた溶媒は重メタノールであった。LC/MS(ネガティブモード)およびNMRの結果から、P1は分子量225であり(図6−2)、ピロール環にメチル基、アルデヒド基、カルボキシル基、プロピオン酸を有する構造であることが分かった。その構造からポルフィリン環構造の一部で構成されていることが確認された(図6−4)。P2については、P1と同じヘミン−過酸化水素反応物由来であり、吸収スペクトルも類似していることから、P2はP1に類似した異性体であることが予測された。
そこで、P2のLC/MSのデータから分子量および構造の推定を行った。先ず、LC/MS(ネガティブモード)の結果よりP2の分子量は209と推定された(図6−2)。また、LC/MS(ポジティブモード)の結果より、P2はイオン化の際 (a)〜(f)にフラグメント化しており、各フラグメントイオンの分子量とフラグメント化された場合の予測構造の分子量が一致した(図6−3)。これらの結果よりP2構造が推定された。P1およびP2構造を下記に示す。
試験例10−1:XOD阻害物質の活性炭による精製法
脱色や脱臭等で使われている食品製造用または医薬品製造用の活性炭を用い、赤血球酵素分解産物からXOD阻害物質を効率良く精製し、XOD阻害物質の含有量を高めた本発明の剤の原料を製造することができた。
まず、pH4に調整した、試験例1の赤血球酵素分解産物に対し、その赤血球酵素分解産物の約1.2%、0.6%または0.48%量の活性炭を添加し、XOD阻害物質を吸着させた後、活性炭を回収した。回収した活性炭を赤血球酵素分解産物と等量の水で洗浄した後、pH9若しくはpH10.5のアルカリ性緩衝液や0.07Mの水酸化ナトリウム溶液で溶出することにより、効果的にXOD阻害物質を精製しP1の濃度を高めることができた。検討に使用した活性炭は、活性炭1(白鷺P)、活性炭2(白鷺A)(以上、最頻度細孔径2.2nm付近、木質由来・水蒸気賦活炭)、活性炭3(FP−3(メーカー仮称))(最頻度細孔径1.7nm付近、ヤシ殻由来・水蒸気賦活炭)、活性炭4(FP−6(メーカー仮称))(最頻度細孔径3.3nm付近、木質由来・塩化亜鉛賦活炭)(以上、日本エンバイロケミカルズ社製)、活性炭5(ダイアホープ6ED(木質由来・塩化亜鉛賦活炭)(カルゴンカーボンジャパン社製))であった。検討の結果、この中で最もXOD阻害物質の吸着能が高かったのは活性炭4で、次いで活性炭5であり、活性炭1および活性炭2は色素の溶出が少なかった。これらの活性炭のうち、活性炭1は赤血球酵素分解産物と等量の50mMトリス−塩酸緩衝液pH9.0でXOD阻害物質を溶出させたところ、XOD阻害の比活性を62.8倍に高めることができた。活性炭4および活性炭2に関しては、赤血球酵素分解産物の1/10量の100mM炭酸ナトリウム緩衝液pH10.5にて溶出させたところ、活性炭2ではXOD阻害の比活性を67.7倍に、活性炭4では75倍に高めることができ、70mM水酸化ナトリウムを用いた活性炭4の場合は、阻害の比活性を約110倍に高めることが可能であった(表2)。なお、表2において、阻害活性収率とは、精製前の赤血球酵素分解産物のXOD阻害率を100%とした場合、精製後のXOD阻害率の比率を示す。活性炭4による精製物は、活性炭2による精製物に比べ色は濃いものの、XOD阻害の比活性は高かった。この活性炭による赤血球酵素分解産物からの精製法は使用する活性炭量が反応液量の1.25%以下と非常に少なくてすみ、溶出に溶媒も不要なため、非常に低コストで低環境負荷の製造法であると考えられた。この活性炭による精製法により得た液は乾燥させ粉末化・可溶化が可能であり、経口剤の原料として利用できる。
赤血球酵素分解産物pH4の乾燥品から、熱エタノールを用いてXOD阻害物質を効率良く抽出することにより、その濃度を高めることができた。
まず、試験例1の赤血球酵素分解産物の乾燥品に対し2〜5倍量の85〜90%のエタノールを添加後、室温または65℃に加熱し、この液を常温に戻すことによって、不必要な固形分を析出させた。遠心分離により固形分を除去し、熱エタノール抽出液とした。
熱エタノール抽出液を乾燥しエタノールを除去した後、XOD阻害活性を測定した。赤血球酵素分解産物の2倍量の90%熱エタノールで抽出した場合、塩分濃度を元の36%程度まで低下させ、XOD阻害比活性を3倍近くに高めることができた(表3)。なお、表3において、塩分残量とは、エタノール抽出前の固形分中の塩分濃度を100%とした場合、抽出後の固形分中の塩分濃度の比率を示す。また、塩分濃度は、乾燥させた熱エタノール抽出液を水に溶解した後、塩分計(LAQUAtwin B−721、堀場製作所社製)にて測定した。熱エタノール抽出により、同時に色素および臭気も低減することができた。この熱エタノール抽出液は粉末化・可溶化が可能であり、経口剤の原料として利用できる。
XOD阻害物質P1、P2は分子量225、209の物質である。その為適切な分画分子量の濾過膜を使用することで、XOD阻害物質を効率良く精製することにより、その濃度を高めることができた。
濾過膜としては、NF膜(ナノフィルター)(室町ケミカル製)4種を用いた。用いたNF膜は、NF膜1(NFX(分画分子量150−300))、NF膜2(NFW(分画分子量300−500))、NF膜3(NFG(分画分子量600−800))、NF膜4(NF270(分画分子量200−400))である。上記NF膜を用い、試験例1のブタ赤血球酵素分解産物をpH4に調整後透過した。
その結果、何れの膜においてもXOD阻害比活性を高めることができ、特にNF膜1で固形分を1%程度まで減らすことができ、XOD阻害比活性を58.7倍高めることができた(表4)。また、何れの膜を用いた場合でも色素・臭気について大幅に低減できた。
このNF濾過膜法により得られた液は粉末化・可溶化が可能であり、経口剤の原料として利用できる。
赤血球酵素分解産物から合成吸着樹脂を用いてXOD阻害物質を効率良く精製することにより、その濃度を高めることができた。
合成吸着樹脂としては、合成吸着樹脂1(ダイアイオンHP20(スチレン−ジビニルベンゼン系、最頻度細孔径58nm))、合成吸着樹脂2(HP20SS(スチレン−ジビニルベンゼン系、最頻度細孔径58nm))、合成吸着樹脂3(SP850(スチレン−ジビニルベンゼン系、最頻度細孔径9nm))、合成吸着樹脂4(HP2MGL(脂肪族エステル系、最頻度細孔径48nm))(三菱化学製)を用いた。まず、試験例1の赤血球酵素分解産物の1/10量の樹脂をpH4に調整した試験例1の赤血球酵素分解産物に添加し、XOD阻害物質を吸着させた。この吸着後、樹脂を樹脂体積の10倍量以上の水で洗浄した後、樹脂体積の10倍量の0.01M 塩酸を含む40%エタノール溶液でXOD阻害物質を溶出した。溶出液を濃縮乾燥させてエタノールを除去した後、再溶解し、阻害活性を測定した。その結果、XOD阻害比活性を9〜14倍に高めることができた(表5)。
また、pH9以上の緩衝液を用いてもXOD阻害物質を溶出させることができた。溶出において上記40%エタノール溶液をトリス−塩酸緩衝液pH9とする以外は上記方法と同様に合成吸着樹脂を用いて精製した場合、XOD阻害比活性を13.6倍に高めることができた(表5)。
合成吸着樹脂を用いた精製法でも塩、色素および臭気を大幅に低減することができた。
合成吸着樹脂により精製された液は粉末化・可溶化が可能であり、経口剤の原料として利用できる。
XOD阻害物質は上記の赤血球酵素分解産物やヘム等の生体有機物の反応物から得るだけでなく、有機合成することができた。
下記に示す合成スキーム(A)〜(F)にてXOD阻害物質P1を合成した。
(A)まず、モノエチルコハク酸(化合物1)7.3gのテトラヒドロフラン溶液にカルボニルジイミダゾール(CDI, 9.7g)を加え1時間撹拌後、塩化マグネシウム(4.8g)、モノエチルマロン酸カリウム(8.5g)を添加し60℃で1時間反応させ、ジエチル 3−オキソヘキサンジオネート(化合物2)を得た。(B)化合物2(52.25g)と酢酸(100mL)の混合物に亜硝酸ナトリウム(17.46g)の水溶液(70mL)を添加した後、ターシャリーブチルアセトアセテート(45.37g)と酢酸(100mL)の混合物と亜鉛末(50g)および酢酸アンモニウム(50g)を添加し50〜70℃で30分反応させ、4−ターシャリーブチル 2−エチル 3−(2−(エトキシカルボニル)エチル)−5−メチル−1H−ピロール−2,4−ジカルボキシレート(化合物3)を得た。(C)化合物3(10g)をN−メチルピロリドン(70mL)に添加し、4−トルエンスルホン酸(p-TSA, 10g)を加え、160℃で3時間反応させ、エチル 3−(2−(エトキシカルボニル)エチル)−5−メチル−1H−ピロール−2−カルボキシレート(化合物4)を得た。(D)化合物4(5.06g)にヨウ化水素酸(50mL)、無水酢酸(50mL)および次亜リン酸(10mL)の溶液にパラホルムアルデヒド(1.2g)を加え25分間反応させ、エチル 3−(2−(エトキシカルボニル)エチル)−4,5−ジメチル−1H−ピロール−2−カルボキシレート(化合物5)を得た。(E)化合物5(15g)のテトラヒドロフラン(536mL)、酢酸(135mL)および水(536mL)の溶液に硝酸セリウム(IV)アンモニウム (CAN, 120g)を加え、室温で2時間反応させ、エチル 3−(2−(エトキシカルボニル)エチル)−5−ホルミル−4−メチル−1H−ピロール−2−カルボキシレート(化合物6)を得た。(F)化合物6(3g)のTHF−H2O (5:1) 115mL溶液に、水酸化リチウム・一水和物(1.78g)を加え、N2存在下、70℃で4時間反応させ合成XOD阻害物質P1 3−(2−カルボキシエチル)−5−ホルミル−4−メチル−1H−ピロール−2−カルボン酸を得た。
試験例11で得られた合成P1(純度95%以上)のXOD阻害活性を測定したところ、阻害活性曲線はヘミン−過酸化水素由来P1と同様の阻害活性挙動を示した(図4)。
合成P1のIC50値は1.56μg/mLでアロプリノールのIC50値42.8μg/mLに比べ約27倍の阻害活性を示した(表6)。
合成P1の高尿酸血症モデルラットにおけるin vivo評価を行った。
具体的には、ラットにオキソン酸カリウムを腹腔内投与することにより、血中尿酸値を上昇させた高尿酸血症モデルラットを用いて血中尿酸の低下効果を試験した。試験では、5週齢の雄ラットに試験開始1時間前、開始1時間後、開始3時間後の3回、オキソン酸カリウムをラットの体重に対し250mg/kgになるように腹腔内投与した(オキソン酸カリウム群)。1回目のオキソン酸カリウム投与の1時間後に試料(合成P1)をラットの体重に対し10mg/kgになるように経口投与した(オキソン酸カリウム+合成P1群)。採血は合成P1投与後、0、0.5、1、2、3、4、6、8、24時間に尾静脈から行った。血清尿酸値は尿酸Cテストワコー(和光純薬工業製)を用いて測定した。オキソン酸カリウム+合成P1群の結果を図10、図11に示す。データは、平均±標準誤差の値である。
その結果、オキソン酸カリウム群は未処理のコントロール群に比べ血中への尿酸の蓄積が認められるが、オキソン酸カリウム+合成P1群は、投与後0.5時間で顕著に血清尿酸値が低下し、投与後4時間までは尿酸の蓄積が殆どなく、投与後8時間までその効果が持続していた(図10)。各測定時間の血清尿酸値について、オキソン酸カリウム+合成P1群は、投与後0.5〜8時間において、オキソン酸カリウム群に比べ有意(投与後1、4、6、8時間:P<0.01、投与後0.5、2、3時間:P<0.05)に血中への尿酸の蓄積を抑制していることが認められた(図10)。この試験における合成P1投与後6時間までの血清尿酸値についてAUC(曲線下面積)を比較した(図11)。オキソン酸カリウム群はコントロール群に比べ有意(P<0.01)に尿酸の蓄積が確認できるが、オキソン酸カリウム+合成P1群は顕著に(P<0.01)尿酸の蓄積を抑制していることが認められた(図11)。
これらの結果より、XOD阻害物質P1は経口投与によって消化管を介しても、生体内において高い効果が得られることが認められた。
Claims (14)
- テトラピロール含有物分解産物またはその抽出物を配合したものである、請求項1に記載のキサンチンオキシダーゼ阻害剤であって、前記テトラピロール含有物が、赤血球、ヘモグロビン、葉緑体、ヘミン、プロトポルフィリン、ヘマトポルフィリン、ビリルビン、クロロフィル、およびクロロフィリンからなる群から選択される少なくとも一つのものである、阻害剤。
- 1回の経口摂取量単位の形態である、請求項1または2に記載の剤。
- 血中尿酸低下剤である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の剤。
- 尿酸の過剰生成または排泄低下に起因する疾患または状態の治療剤である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の剤。
- 高尿酸血症の治療剤である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の剤。
- 組成物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の剤。
- 飲食品または医薬品である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の剤。
- テトラピロール含有物分解産物またはその抽出物を剤中に配合することを特徴とする、キサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造方法であって、
前記テトラピロール含有物が、赤血球、ヘモグロビン、ヘミン、プロトポルフィリン、ヘマトポルフィリン、ビリルビン、およびクロロフィリンからなる群から選択される少なくとも一つのものであり、
前記テトラピロール含有物の分解が、過酸化水素を用いた酸化反応、システイン、グルタチオン、またはジチオスレイトールを用いた還元反応、およびエンド型プロテアーゼを用いた酵素反応からなる群から選択される少なくとも一つの反応により行われるか、あるいは、
前記テトラピロール含有物分解産物またはその抽出物が、式(I)で表される化合物またはその経口上許容可能な塩を含んでなる、方法:
(式中、Rは、OHまたはHである)。 - キサンチンオキシダーゼ阻害剤の製造における、テトラピロール含有物分解産物またはその抽出物の使用であって、
前記テトラピロール含有物が、赤血球、ヘモグロビン、ヘミン、プロトポルフィリン、ヘマトポルフィリン、ビリルビン、およびクロロフィリンからなる群から選択される少なくとも一つのものであり、
前記テトラピロール含有物の分解が、過酸化水素を用いた酸化反応、システイン、グルタチオン、またはジチオスレイトールを用いた還元反応、およびエンド型プロテアーゼを用いた酵素反応からなる群から選択される少なくとも一つの反応により行われるか、あるいは、
前記テトラピロール含有物分解産物またはその抽出物が、式(I)で表される化合物またはその経口上許容可能な塩を含んでなる、使用:
(式中、Rは、OHまたはHである)。 - 前記キサンチンオキシダーゼ阻害剤が、尿酸の過剰生成または排泄低下に起因する疾患または状態の治療剤である、請求項11または12に記載の使用。
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