図2は、本発明の実施形態に係わる伝送品質推定装置が使用される光ネットワークの一例を示す。実施形態に係わる光ネットワーク1においては、波長分割多重光信号(WDM光信号)が伝送される。よって、光ネットワーク1の各ノードには、WDM伝送装置が実装される。WDM伝送装置は、たとえば、光分岐挿入装置(ROADM)により実現される。この場合、各ノード#A〜#FにそれぞれROADMが実装される。
ネットワーク管理システム2は、クライアントから与えられるデマンドに対応する波長パスを設定する。デマンドは、始点ノードおよび終点ノードを指定する情報を含む。よって、ネットワーク管理システム2は、始点ノードと終点ノードとの間に波長パスを設定するための経路を決定する。そして、ネットワーク管理システム2は、始点ノード、終点ノード、および経路上の各ノードに対して、デマンドに対応する波長パスを設定するための指示を与える。なお、ネットワーク管理システム2は、光ネットワーク1において波長パスを管理する管理装置の一例である。
ネットワーク管理システム2は、設定する波長パスの伝送品質を推定する。よって、ネットワーク管理システム2は、波長パスの伝送品質を推定する伝送品質推定装置3を備える。伝送品質推定装置3は、設定する波長パスの伝送品質を推定し、その推定値と所定の閾値とを比較する。そして、波長パスの伝送品質の推定値が閾値よりも悪いときは、ネットワーク管理システム2は、始点ノードと終点ノードとの間の経路上で光信号が再生されるように、波長パスを再設定する。なお、伝送品質推定装置3は、ネットワーク管理システム2の中に実装されてもよいし、ネットワーク管理システム2の外部に設けられてもよい。
伝送品質推定装置3は、波長パスの経路上の各伝送区間の伝送品質を推定し、各伝送区間の伝送品質の推定値に基づいて波長パスの伝送品質を推定する。なお、この例では、伝送品質推定装置3は、伝送品質として光信号対雑音比(OSNR)を推定する。また、以下の記載では、互いに隣接する2つのノードに対応する伝送区間を「スパン」を呼ぶことがある。この場合、例えば、ノード#Aとノード#Bとの間の伝送区間を「スパンAB」と呼び、ノード#Bとノード#Cとの間の伝送区間を「スパンBC」と呼ぶ。
このように、伝送品質推定装置3は、波長パスの経路上の各スパンのOSNRをそれぞれ推定し、各スパンのOSNRの推定値に基づいて波長パスのOSNRを推定する。よって、まず、スパンのOSNRについて簡単に説明する。
スパンは、図2に示すように、互いに隣接するノードおよびそれらの間の光ファイバにより構成される。よって、各スパンを伝搬する光信号は、図3(a)に示すように、光ファイバを通過することで減衰し、ROADMの中の光アンプにより増幅される。Lは、光ファイバによる減衰量を表し、Gは、光アンプのゲインを表す。ここで、スパンの入力光の信号パワーおよび雑音パワーがそれぞれSin、Ninであるものとする。この場合、スパンの出力光は(1)式で表される。
SoutおよびNoutは、それぞれ、出力光の信号パワーおよび雑音パワーを表す。また、OSNRoutは、出力信号のOSNRを表す。Naは、スパン中で発生する雑音パワーを表す。この雑音パワーNaは、スパン中の光アンプにおいて発生するASE雑音等に起因する。
ここで、光信号が1または複数のスパンを伝搬する過程でその光信号の信号パワーを一定のレベルに保持するために、LとGとの積が「1」となるように光アンプが調整されているものとする。この場合、スパンの出力光は(2)式で表される。
スパンの出力光のOSNRoutは、(2)式に示すように、入力雑音パワーNinに依存する。ただし、スパンの伝送特性を表すためには、入力雑音パワーNinの影響が無いことが好ましい。よって、以下の記載では、(2)式において入力雑音パワーNinにゼロを与えることにより得られる値をスパンのOSNRと定義する。すなわち、スパンのOSNRは(3)式で表される。
次に、図3(b)に示す2個の連続するスパン(#1、#2)から構成されるパスのOSNRについて検討する。なお、L1、G1、Na1は、スパン#1における光ファイバによる減衰量、光アンプのゲイン、スパン中で発生するASE雑音等に起因する雑音パワーを表す。L2、G2、Na2は、スパン#2における光ファイバによる減衰量、光アンプのゲイン、スパン中で発生するASE雑音等に起因する雑音パワーを表す。この場合、スパン#2の出力光は(4)式で表される。
ここで、L1とG1との積が「1」となり、且つ、L2とG2との積が「1」とるように各光アンプが調整されているものとする。この場合、スパン#2の出力光は(5)式で表される。
さらに、(5)式において入力雑音パワーNinにゼロを与えると、スパン#1、#2から構成されるパスのOSNRが得られる。すなわち、パスのOSNRは(6)式で表される。
このように、複数の連続するスパンから構成されるパスのOSNRは、各スパンのOSNRの逆数の和に基づいて算出される。よって、伝送品質推定装置3は、要求された波長パスのOSNRを推定するときは、その波長パスの経路上の各スパンのOSNRを取得する。
各スパンのOSNRは、(3)式に示すように、スパン中で発生する雑音パワーに依存する。この雑音パワーは、スパンの距離(光ファイバの長さ)、光ファイバの種別、スパン中に実装される光アンプの特性などに基づいて決まる。よって、この雑音パワーは、既知である。すなわち、各スパンのOSNRは、測定またはシミュレーション等により予め算出することが可能である。
ただし、WDM光ネットワークにおいては、波長パスのOSNRは、光ファイバ中に多重化される波長パスの数に依存する。具体的には、光ファイバ中に多重化される波長パスの数が増加すると、非線形効果およびクロストーク等により、各波長パスの伝送品質が劣化する。このため、各スパンのOSNRは、測定またはシミュレーション等により算出した後、波長多重数を考慮して補正することが好ましい。
ところが、上述したように、WDM光ネットワークの各スパンの将来の波長多重数を予測することは困難である。そこで、伝送品質推定装置3は、WDM光ネットワークのトポロジに基づいて、各スパンの波長多重数を予測する。
図4は、光ネットワークのトポロジと波長多重数との関係を説明する図である。この例では、各ノード間にそれぞれ1本の波長パスが設定されている。具体的には、ノード#A−#B間、ノード#A−#C間、ノード#A−#D間、ノード#A−#E間、ノード#A−#F間、ノード#B−#C間、ノード#B−#D間、ノード#B−#E間、ノード#B−#F間、ノード#C−#D間、ノード#C−#E間、ノード#C−#F間、ノード#D−#E間、ノード#D−#F間、ノード#E−#F間にそれぞれ1本の波長パスが設定されている。
この場合、スパンABおよびスパンEFにおいては、それぞれ5本の波長パスが多重化される。また、スパンBCおよびスパンDEにおいては、それぞれ8本の波長パスが多重化される。さらに、スパンCDにおいては、9本の波長パスが多重化される。すなわち、光ネットワークの中心の近くに配置されるスパンでは、波長多重数が多くなる。一方、光ネットワークの中心から遠く離れた位置に配置されるスパンでは、波長多重数が少なくなる。
したがって、伝送品質推定装置3は、この特性を利用して各スパンの波長多重数を予測する。具体的には、伝送品質推定装置3は、トポロジの媒介中心性を利用して各スパンの波長多重数を予測する。
媒介中心性は、グラフ上の点の重要性を表す指標の1つであり、グラフのトポロジのみに基づいて算出される。具体的には、媒介中心性Cは(7)式で算出される。
一例として、図5に示すグラフにおいて、ノード#4の媒介中心性を計算する。なお、このグラフは、ノード#1〜#4を有する。また、ノード#1−#4間、ノード#2−#4間、ノード#3−#4間がそれぞれ接続されている。
ノード#jとノード#kとの間の最短経路の数は、6本(R12、R13、R14、R23、R24、R34)である。また、ノード#4を通過する最短経路の数は、3本(R12、R13、R23)である。したがって、ノード#4の媒介中心性は、「3/6」である。
本発明の実施形態の伝送品質推定方法では、各スパンの中心性が媒介中心性により表されるように、媒介中心性の定義が拡張される。すなわち、各スパンが光ネットワークの中心にどのくらい近いのかを表す指標として、拡張された媒介中心性が使用される。具体的には、各スパンの中心性C(s)は(8)式で表される。なお、sは、光ネットワーク内のスパンを識別する。
図5に示すグラフにおいて、例えば、ノード#1とノード#4との間のスパンの中心性C(1-4)は、以下のように計算される。即ち、ノード#jとノード#kとの間の最短経路の数は、6本(R12、R13、R14、R23、R24、R34)である。また、ノード#1とノード#4との間のスパンを通過する最短経路の数は、3本(R12、R13、R14)である。よって、このスパンの中心性C(1-4)は、「3/6」である。
なお、デマンドに応じて光ネットワーク上に波長パスを設定する場合、サービスの継続性を高めるためには、冗長パスを設けることが好ましい。この場合、始点ノードと終点ノードとの間に、物理的に異なる複数の経路上にそれぞれ波長パスが設定される。なお、n冗長構成においては、各スパンの中心性C(s)は(9)式で表される。n冗長構成は、始点ノードと終点ノードとの間にn本の波長パスが設定されるネットワークを意味する。
<第1の実施形態>
図6は、第1の実施形態に係わる伝送品質推定装置10の一例を示す。伝送品質推定装置10は、図6に示すように、中心性計算部11、波長多重数予測部12、スパン伝送品質計算部13、伝送品質データベース14、パス計算部15、パス伝送品質計算部16、判定部17を備える。なお、伝送品質推定装置10は、図6に示していない他の機能または要素を備えていてもよい。
中心性計算部11は、ネットワーク構成情報に基づいて各スパンの中心性を計算する。ネットワーク構成情報は、光ネットワークのトポロジを表すトポロジ情報を含む。トポロジ情報は、光ネットワークを構成するノードおよびノード間を接続する光ファイバリンクを表す。そして、ネットワーク構成情報は、例えば、ネットワーク管理者から伝送品質推定装置10に与えられる。また、スパンの中心性は、そのスパンが光ネットワークの中心にどのくらい近いのかを表し、例えば、(8)式により計算される。このように、各スパンの中心性は、デマンド(ここでは、波長パスの設定要求)とは無関係に、光ネットワークのトポロジに基づいて決定される。
なお、光ネットワークが冗長パスを提供する構成においては、中心性計算部11は、パスの冗長度を考慮して各スパンの中心性を計算する。パスの冗長度を表す冗長度情報は、ユーザまたはネットワーク管理者から伝送品質推定装置10に与えられる。この場合、スパンの中心性は、例えば、(9)式により計算される。
波長多重数予測部12は、中心性計算部11により計算される中心性に基づいて、各スパンの波長多重数を予測する。波長多重数は、光ファイバ中に多重化される波長(具体的には、波長パス)の数を表す。
スパン伝送品質計算部13は、ネットワーク構成情報、ペナルティ情報、及び波長多重数予測部12により予測された波長多重数に基づいて、各スパンの伝送品質を計算する。この実施例では、伝送品質として光信号対雑音比(OSNR)が計算される。また、ペナルティ情報は、光ファイバ中に複数の波長パスが多重化されたときに、光信号間で発生する非線形効果およびクロストーク等に起因するOSNRの劣化量を表す。ここで、非線形効果およびクロストークに起因するOSNRの劣化量は、光ファイバ中に多重化される波長パスの数に依存する。すなわち、ペナルティは、波長多重数に依存する。なお、この実施例では、ペナルティ情報は、測定またはシミュレーション等によって波長多重数に対して予め生成されているものとする。なお、ペナルティは、波長多重数および波長配置などに依存するが、この実施例では、説明を簡単にするために、波長多重数に対して一意に算出されるものとする。
スパン伝送品質計算部13は、まず、各スパンについて基本OSNRを計算する。基本OSNRは、例えば、(3)式で計算される。即ち、基本OSNRは、スパン中の光アンプにおいて発生するASE雑音パワー等に基づいて計算される。ASE雑音パワーは、光アンプの特性に依存し、既知であるものとする。なお、各スパンの基本OSNRが予め計算されてメモリに格納されているケースでは、スパン伝送品質計算部13は、各スパンの基本OSNRをメモリから取得する。
続いて、スパン伝送品質計算部13は、各スパンについて、波長多重数予測部12により予測される波長多重数に応じて基本OSNRを補正する。具体的には、各スパンの基本OSNRに、それぞれ、波長多重数予測部12により予測される波長多重数に対応するペナルティが付加される。この結果、各スパンのOSNRの推定値が生成される。そして、スパン伝送品質計算部13による計算結果は、伝送品質情報として伝送品質データベース14に格納される。
図7は、伝送品質データベース14の一例を示す。スパン番号は、光ネットワーク内の各スパンを識別する。基本OSNRは、上述したように、スパン中の光アンプにおいて発生するASE雑音パワー等に基づいて計算される。波長多重数は、上述したように、波長多重数予測部12により予測される。ペナルティは、波長多重数に応じて導出される。OSNR推定値は、波長多重数に対応するペナルティで基本OSNRを補正することで得られる。例えば、OSNR推定値は、基本OSNRに対応するペナルティを付加することで算出される。ただし、基本OSNR、波長多重数、ペナルティは、伝送品質データベース14に格納されなくてもよい。このように、伝送品質データベース14は、光ネットワーク内の各スパンについて、多重化される波長パスの数に対応するOSNR推定値を格納する。
パス計算部15は、与えられたデマンドを満足する波長パスを指定する。デマンドは、始点ノードおよび終点ノード(または、パスの両端のノード)を表す情報を含む。したがって、パス計算部15は、デマンドにより指定される始点ノードと終点ノードとの間の経路および波長チャネルを決定する。経路は、例えば、始点ノードと終点ノードとを接続する経路の中で最も短い経路が選択される。波長チャネルは、例えば、選択された経路上の未使用の波長チャネルの中で最も波長の短いチャネルが選択される。以下の記載では、パス計算部15により指定される波長パスを「目的波長パス」と呼ぶことがある。なお、光ネットワークが冗長パスを提供する構成においては、パス計算部15は、始点ノードと終点ノードとの間で複数の波長パスを指定する。
パス伝送品質計算部16は、目的波長パスが設定される経路を構成する1または複数のスパンを特定する。以下の記載では、目的波長パスが設定される経路を構成するスパンを「目的スパン」と呼ぶことがある。そして、パス伝送品質計算部16は、伝送品質データベース14を参照することにより、各目的スパンのOSNR推定値を取得する。さらに、パス伝送品質計算部16は、各目的スパンのOSNR推定値から目的波長パスのOSNRを推定する。
判定部17は、パス伝送品質計算部16により計算された目的波長パスのOSNR推定値と所定の閾値とを比較する。この閾値は、例えば、光ネットワークが要求する誤り率を満足するように決定される。この場合、閾値は、光ネットワークの設計者または管理者により、測定またはシミュレーション等により予め決定される。そして、判定部17は、目的波長パスのOSNR推定値が閾値よりも高いか否かを判定する。
図8は、第1の実施形態における伝送品質推定方法の事前処理の一例を示すフローチャートである。事前処理は、ネットワーク管理システムがデマンドを受け付ける前に伝送品質推定装置10により実行される。また、事前処理は、伝送品質データベース14を作成する処理を含む。
S1において、中心性計算部11は、ネットワーク構成情報に基づいて各スパンの中心性を計算する。スパンの中心性は、上述したように、そのスパンが光ネットワークの中心にどのくらい近いのかを表す。また、スパンの中心性は、例えば(8)式または(9)式により計算される。
S2において、波長多重数予測部12は、中心性計算部11により計算される中心性に基づいて、各スパンの波長多重数を予測する。波長多重数は、光ファイバ中に多重化される波長(具体的には、波長パス)の数を表す。一例としては、波長多重数予測部12は、(10)式を用いて、スパンsの波長多重数M(s)を予測する。
(10)式において、C(s)は、スパンsについて中心性計算部11により計算された中心性を表す。max{C(s)}は、光ネットワーク内のすべてのスパンについて計算された中心性のなかの最大値を表す。多重化可能な最大波長数は、WDMシステムにおいて光ファイバ中に多重化可能な波長チャネルの数を表す。特に限定されるものではないが、多重化可能な最大波長数は、例えば、88である。
S3〜S6は、各スパンに対してそれぞれ実行される。以下の記載では、S3〜S6の処理が実行されるスパンを「対象スパン」と呼ぶことがある。
S3において、スパン伝送品質計算部13は、対象スパンの基本OSNRを計算または取得する。基本OSNRは、上述したように、スパン中の光アンプにおいて発生するASE雑音パワー等に基づいて計算される。
S4において、スパン伝送品質計算部13は、対象スパンのペナルティを決定する。スパンのペナルティは、光ファイバ中に複数の波長パスが多重化されたときに、光信号間で発生する非線形効果およびクロストークに起因するOSNRの劣化量を表す。ここで、非線形効果およびクロストークに起因するOSNRの劣化量は、光ファイバ中に多重化される波長パスの数に依存する。すなわち、ペナルティは、波長多重数に依存する。よって、スパン伝送品質計算部13は、波長多重数予測部12により予測された波長多重数に応じてペナルティを計算する。なお、波長多重数に対して予めペナルティが計算されてメモリに格納されているときは、スパン伝送品質計算部13は、波長多重数予測部12により予測された波長多重数に対応するペナルティ値をメモリから取得してもよい。
S5において、スパン伝送品質計算部13は、対象スパンの基本OSNRおよびペナルティから対象スパンのOSNRを推定する。具体的には、対象スパンの基本OSNRに対応するペナルティを付加することにより対象スパンのOSNR推定値が得られる。
S6において、スパン伝送品質計算部13は、対象スパンのOSNR推定値を伝送品質データベース14に追加する。したがって、光ネットワーク内のすべてのスパンに対してS3〜S6の処理を実行することにより伝送品質データベース14が作成される。
図9は、第1の実施形態において波長パスの伝送品質を推定する処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、例えば、ネットワーク管理システムにデマンドが与えられたときに実行される。
S11において、伝送品質推定装置10は、ネットワーク管理システムに与えられたデマンドを取得する。S12において、パス計算部15は、デマンドを満足する波長パスを指定する。デマンドは、始点ノードおよび終点ノード(または、パスの両端のノード)を表す情報を含む。したがって、パス計算部15は、デマンドにより指定される始点ノードと終点ノードとの間の経路および波長チャネルを決定する。以下の記載では、パス計算部15により指定される波長パスを「目的波長パス」と呼ぶことがある。
S13において、パス伝送品質計算部16は、目的波長パスが設定される経路を構成する1または複数のスパンを特定する。すなわち、始点ノードと終点ノードとの間の経路を構成するスパンが特定される。以下の記載では、目的波長パスが設定される経路を構成するスパンを「目的スパン」と呼ぶことがある。S14において、パス伝送品質計算部16は、伝送品質データベース14を参照することにより、各目的スパンのOSNR推定値を取得する。
S15において、パス伝送品質計算部16は、各目的スパンのOSNR推定値から目的波長パスのOSNRを計算する。目的波長パスのOSNRは、(11)式により計算される。
(11)式で使用される変数s
dは、目的波長パスが設定される経路上の各スパン(すなわち、各目的スパン)を識別する。OSNR(s
d)は、s
dにより識別される目的スパンのOSNR推定値を表す。このように、目的波長パスのOSNRは、各目的スパンのOSNR推定値の逆数の和の逆数を計算することで得られる。
S16において、判定部17は、目的波長パスのOSNR推定値と所定の閾値とを比較する。この閾値は、例えば、光ネットワークが要求する誤り率を満足するように決定される。そして、目的波長パスのOSNR推定値が閾値以上であれば、伝送品質推定装置10の処理は終了する。一方、目的波長パスのOSNR推定値が閾値よりも低ければ、判定部17は、S17において、目的波長パスを複数の波長パスに分割する。このとき、目的波長パスは、例えば、2つの波長パスに分割される。この場合、2つの波長パスの伝送距離は、互いに大きく異ならないことが好ましい。また、目的波長パスが分割されるノードにおいて光信号が再生されるように、各波長パスが設定される。
例えば、図1に示す光ネットワークにおいて、ROADM#1、#5間を接続する波長パスを表すデマンドが与えられ、この波長パスのOSNR推定値が閾値よりも低いものとする。この場合、判定部17は、ROADM#1、#5間を接続する波長パスを、ROADM#1、#3間を接続する波長パスおよびROADM#3、#5間を接続する波長パスに分割する。また、各波長パスを介して伝送される光信号は、ROADM#3において再生される。
この後、伝送品質推定装置10の処理はS12に戻る。すなわち、各波長パスのOSNR推定値が閾値以上になるまでS12〜S16の処理が繰る返し実行される。
次に、伝送品質データベース14の作成および要求された波長パスの伝送品質の推定の実施例を説明する。なお、この実施例の光ネットワークは、図10に示すように、ノード#A〜#Fを備える。s1〜s8は、スパンを表す。例えば、s1は、ノード#A、#B間のスパンを表し、s2は、ノード#B、#C間のスパンを表す。各スパンに対して付与されている3つの値は、中心性C(s)、波長多重数M(s)、OSNR推定値を表す。
各スパンの中心性は、図8に示すS1において(8)式または(9)式を用いて計算される。図10に示す例では、中心性は、(8)式により計算されている。
各スパンの波長多重数は、図8に示すS2において(10)式により計算される。図10に示す例では、各スパンの中心性C(s)のなかの最大値max{C(s)}は「4/15」である。また、多重化可能な最大波長数は88である。そうすると、各スパンについて計算される波長多重数の予測値は、図10に示す通りである。例えば、スパンs1の波長多重数予測値M(s1)は、以下のように計算される。
M(s1)={(2/15)/(4/15)}×88=44
また、例えば、スパンs2の波長多重数予測値M(s2)は、以下のように計算される。
M(s2)={(4/15)/(4/15)}×88=88
各スパンのOSNR推定値は、図8に示すS3〜S5により計算される。すなわち、基本OSNRは、スパン中の光アンプにおいて発生するASE雑音パワー等に基づいて計算される。また、ペナルティは、波長多重数に基づいて決定される。例えば、スパンs1に対しては、波長多重数が44である状態に対応するペナルティが得られ、スパンs2に対しては、波長多重数が88である状態に対応するペナルティが得られる。さらに、OSNR推定値は、基本OSNRおよび対応するペナルティから計算される。そして、各スパンについて計算されたOSNR推定値は、伝送品質データベース14に格納される。なお、この例では、各スパンのOSNR推定値は、「OSNR(s)」で表記される。例えば、OSNR(1)は、スパンs1のOSNR推定値を表し、OSNR(2)は、スパンs2のOSNR推定値を表す。
ここで、ノード#Aとノード#Cとを接続する波長パスを要求するデマンドが伝送品質推定装置10に与えられるものとする。そして、このデマンドに対して、パス計算部15は、ノード#Aからノード#Bを経由してノード#Cに至る波長パスを指定するものとする。
この場合、この波長パスが設定される経路を構成するスパンとしてスパンs1およびスパンs2が特定される。そうすると、パス伝送品質計算部16は、スパンs1およびスパンs2のOSNR推定値(OSNR(1)、OSNR(2))を伝送品質データベース14から取得する。そして、パス伝送品質計算部16は、取得したOSNR推定値から波長パスのOSNRを計算する。この場合、この波長パスのOSNR推定値は(12)式で計算される。
波長パスのOSNR推定値が閾値よりも小さければ、伝送品質推定装置10は、ノード#Bにおいて光信号が再生されるように波長パスを分割し、分割により得られる各波長パスの伝送品質を推定する。一方、波長パスのOSNR推定値が閾値以上であれば、ネットワーク管理システムは、その波長パスを設定するための指示をノード#A、#B、#Cに与える。この結果、デマンドに対応する波長パスが実際に設定される。
このように、第1の実施形態に係わる伝送品質推定装置10は、光ネットワークのトポロジに基づいて各スパンの波長多重数を予測し、その予測結果を利用して波長パスのOSNRを推定する。よって、全てのスパンにおいて全ての波長チャネルが使用される状態を前提としてOSNRを推定する方法と比べると、第1の実施形態に係わる方法では、波長多重数についての過剰なマージンが除去される。したがって、OSNR推定の精度が向上し、OSNR推定値が実際のOSNRに対して大幅に小さくなることはない。この結果、光ネットワーク上に過剰な数の再生中継器が実装されることはなく、光ネットワークのコストを削減できる。
なお、スパンのペナルティは、すべての波長多重数に対してそれぞれ用意する必要はなく、いくつかの代表値kに対して用意するだけでもよい。例えば、多重化可能な最大波長数は88である場合は、代表値kとして、22、44、66、88が設定される。すなわち、波長多重数が22、44、66、88である状態に対してそれぞれ対応するペナルティ(P22、P44、P66、P88)が用意される。
この場合、スパン伝送品質計算部13は、図8のS4において、波長多重数M(s)を算出した後、M(s)よりも大きい代表値の中で、最も小さい代表値を選択する。たとえば、あるスパンの波長多重数の予測値M(s)が35である場合は、そのスパンの代表値として44が選択される。そうすると、スパン伝送品質計算部13は、S4において、ペナルティP44を取得し、S5において、そのスパンの基本OSNRおよびペナルティP44からそのスパンのOSNRを推定する。この構成によれば、予め用意すべきペナルティ値が少なくなるので、そのための測定またはシミュレーションが簡単になる。
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、光ネットワークのトポロジに基づいて各スパンの波長多重数が予測される。これに対して、第2の実施形態では、光ネットワークのトポロジに基づいて各スパンの波長多重数の初期予測値が計算された後、実際のデマンドに応じてその予測値が更新される。
図11は、第2の実施形態に係わる伝送品質推定装置20の一例を示す。伝送品質推定装置20は、図11に示すように、中心性計算部11、パス計算部15、判定部17、スパン伝送品質計算部21、伝送品質データベース22、補助データベース23、中心性補正部24、収束判定部25、波長多重数予測部26、パス伝送品質計算部27を備える。なお、伝送品質推定装置20は、図11に示していない他の機能または要素を備えていてもよい。
スパン伝送品質計算部21は、ネットワーク構成情報およびペナルティ情報に基づいて、各スパンについて、波長多重数に対応するOSNRを計算する。ネットワーク構成情報は、第1の実施形態と同様に、光ネットワークのトポロジを表すトポロジ情報を含む。ペナルティ情報は、第1の実施形態と同様に、波長多重数に対して、光信号間で発生する非線形効果およびクロストークに起因するOSNRの劣化量を表す。そして、スパン伝送品質計算部21による計算結果は、伝送品質情報として伝送品質データベース22に格納される。
図12は、伝送品質データベース22の一例を示す。伝送品質データベース22には、各スパンに対して、且つ、波長多重数に対して、OSNR推定値が格納される。なお、OSNR推定値は、「OSNR(s,k)」で表記される。sは、光ネットワーク内のスパンを識別する。kは、波長多重数を表す。例えば、OSNR(1,2)は、スパンs1において2本の波長パスが多重化されているときのOSNR推定値を表し、OSNR(1,88)は、スパンs1において88本の波長パスが多重化されているときのOSNR推定値を表す。
中心性計算部11は、第1の実施形態と同様に、ネットワーク構成情報に基づいて各スパンの中心性を計算する。また、光ネットワークが冗長パスを提供する構成においては、中心性計算部11は、パスの冗長度を考慮して各スパンの中心性を計算する。そして、各スパンについて計算された中心性を表す中心性情報は、補助データベース23に格納される。
図13は、補助データベース23の一例を示す。補助データベース23には、各スパンについて、中心性計算部11により計算された中心性C(s)が格納される。なお、中心性補正部24により中心性C(s)が補正されたときには、補正後の値が補助データベース23に格納される。また、すなわち、補助データベース23に格納される中心性C(s)の値は、中心性補正部24により更新され得る。補助データベース23には、各スパンについて、波長多重性の予測値M(s)も格納される。波長多重性の予測値M(s)については後述する。
パス計算部15は、第1の実施形態と同様に、与えられたデマンドを満足する波長パスを指定する。以下の記載では、パス計算部15により指定される波長パスを「目的波長パス」と呼ぶことがある。なお、光ネットワークが冗長パスを提供する構成においては、パス計算部15は、始点ノードと終点ノードとの間に複数の波長パスを設定する。
中心性補正部24は、中心性計算部11により計算された各スパンの中心性を、デマンドに応じて補正する。すなわち、光ネットワークのトポロジに基づいて計算された各スパンの中心性は、デマンドに応じて実際に設定された波長パスに基づいて更新される。なお、中心性補正部24による計算結果は、補助データベース23に格納される。
収束判定部25は、各スパンについて、中心性補正部24により補正された中心性が収束したか判定する。そして、この判定結果は、波長多重数予測部26に与えられる。
波長多重数予測部26は、各スパンについて、補助データベース23に格納されている中心性に基づいて波長多重数を予測する。よって、中心性補正部24により中心性が補正されたときは、波長多重数予測部26は、補正された中心性に基づいて波長多重数を予測する。ただし、伝送品質推定装置20の初期動作時においては、波長多重数は、所定の初期値に設定される。また、補正後の中心性が収束していないと収束判定部25により判定されたときも、波長多重数は、初期値に設定される。波長多重数の初期値は、WDMシステムにおいて設定することができる波長チャネルの数の最大値(すなわち、多重化可能な最大波長数)である。
パス伝送品質計算部27は、目的波長パスが設定される経路を構成する1または複数のスパンを特定する。そして、パス伝送品質計算部27は、特定した各スパンについて、波長多重数に対応するOSNR推定値を伝送品質データベース22から取得する。そして、パス伝送品質計算部27は、伝送品質データベース22から取得した1または複数のOSNR推定値から目的波長パスのOSNRを推定する。
判定部17は、第1の実施形態と同様に、パス伝送品質計算部27により計算された目的波長パスのOSNR推定値と所定の閾値とを比較する。そして、判定部17は、目的波長パスのOSNR推定値が閾値よりも高いか否か判定する。
図14は、第2の実施形態における伝送品質推定方法の事前処理の一例を示すフローチャートである。事前処理は、ネットワーク管理システムがデマンドを受け付ける前に伝送品質推定装置20により実行される。また、事前処理は、伝送品質データベース22を作成する処理を含む。
S21〜S23は、光ネットワーク内のすべてのスパンに対して実行される。以下の記載では、S21〜S23の処理が実行されるスパンを「対象スパン」と呼ぶことがある。
S21において、スパン伝送品質計算部21は、対象スパンの基本OSNRを計算または取得する。基本OSNRは、上述したように、スパン中の光アンプにおいて発生するASE雑音パワー等に基づいて計算される。
S22〜S23は、各波長多重数に対して実行される。例えば、多重化可能な最大波長数が88である場合、S22〜S23は、各スパンに対して、且つ、波長多重数1〜88に対してそれぞれ実行される。
S22において、スパン伝送品質計算部21は、対象スパンの基本OSNRおよび対応するペナルティから対象スパンのOSNRを推定する。具体的には、対象スパンの基本OSNRに波長多重数に対応するペナルティを付加することで、OSNR推定値が計算される。S23において、スパン伝送品質計算部21は、対象スパンのOSNR推定値を伝送品質データベース22に追加する。したがって、光ネットワーク内のすべてのスパンに対してS21〜S23の処理を実行することにより、図12に示す伝送品質データベース22が作成される。
S24において、中心性計算部11は、ネットワーク構成情報に基づいて各スパンの中心性を計算する。スパンの中心性は、上述したように、(8)式または(9)式により計算される。S25において、波長多重数予測部26は、波長多重数の初期予測値を設定する。波長多重数の初期予測値は、この実施例では、「多重化可能な最大波長数(例えば、88)」である。
図15〜図16は、第2の実施形態において波長パスの伝送品質を推定する処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、例えば、ネットワーク管理システムにデマンドが与えられたときに実行される。
S31〜S33は、図9に示すS11〜S13と実施的に同じである。すなわち、S31において、伝送品質推定装置20は、デマンドを取得する。S32において、パス計算部15は、デマンドを満足する波長パスを指定する。以下の記載では、パス計算部15により指定される波長パスを「目的波長パス」と呼ぶことがある。S33において、パス伝送品質計算部27は、目的波長パスが設定される経路を構成する1または複数のスパンを特定する。以下の記載では、目的波長パスが設定される経路を構成するスパンを「目的スパン」と呼ぶことがある。
S34において、波長多重数予測部26は、補助データベース23を参照することにより、各目的スパンの中心性C(s)を取得する。続いて、波長多重数予測部26は、各目的スパンについて、(10)式を利用して中心性C(s)から波長多重数の予測値M(s)を算出する。或いは、各スパンの波長多重数の予測値が補助データベース23に格納されているケースでは、波長多重数予測部26は、各目的スパンの波長多重数の予測値M(s)を補助データベース23から取得してもよい。そして、波長多重数予測部26は、各目的スパンについて算出または取得した波長多重数の予測値M(s)をパス伝送品質計算部27に与える。
S35において、パス伝送品質計算部27は、図12に示す伝送品質データベース22を参照することにより、各目的スパンのOSNR推定値を取得する。このとき、各目的スパンの波長多重数の予測値M(s)を用いて伝送品質データベース22が参照される。例えば、スパンs1の波長多重数の予測値M(s)が88である場合、パス伝送品質計算部27は、伝送品質データベース22から「OSNR(1,88)」を取得する。
S36において、パス伝送品質計算部16は、各目的スパンのOSNR推定値から目的波長パスのOSNRを計算する。目的波長パスのOSNRは、(13)式により計算される。
(13)式で使用される変数s
dは、各目的スパンを識別する。kは、s
dにより識別される目的スパンの波長多重数の予測値を表す。OSNR(s
d,k)は、s
dにより識別される目的スパンにおいて波長多重数がkであるときのOSNR推定値を表す。
S37〜S38は、図9に示すS16〜S17と実質的に同じである。すなわち、S37において、判定部17は、目的波長パスのOSNR推定値と所定の閾値とを比較する。そして、目的波長パスのOSNR推定値が閾値よりも低ければ、判定部17は、S38において、目的波長パスを複数の波長パスに分割する。ただし、目的波長パスのOSNR推定値が閾値以上であれば、伝送品質推定装置20の処理はS41へ進む。
S41において、中心性補正部24は、デマンドカウンタをインクリメントする。デマンドカウンタは、伝送品質推定装置20に与えられたデマンドの数(あるいは、追加されたデマンドの数)をカウントする。
S42において、中心性補正部24は、デマンドカウンタのカウント値が所定数Lの倍数であるか判定する。Lは、正の整数であり、スパンの中心性を更新するインターバルを表す。デマンドカウンタのカウント値がLの倍数であれば、伝送品質推定装置20の処理はS43に進む。一方、カウント値がLの倍数でなければ、伝送品質推定装置20の処理は終了する。
S43において、中心性補正部24は、前回の更新処理の後に追加された波長パスに応じて、各スパンの中心性C(s)を補正する。このとき、中心性C(s)は、(14)式を用いて更新される。
(14)式において、C(s)
newは、更新後の中心性を表す。C(s)
oldは、更新前の中心性を表す。αは、ゼロよりも大きく1よりも小さい実数であり、更新の速度を指定する。
なお、スパンの中心性の初期値は、光ネットワークのトポロジのみに基づいて計算される。この後、スパンの中心性は、光ネットワーク上に実際に設定される波長パスに応じて補正される。
S44〜S45において、収束判定部25は、各スパンについて収束パラメータDを計算する。収束パラメータDは、S43において補正された中心性C(s)の収束の程度を表わす。具体的には、収束パラメータDは、(15)式で計算される。すなわち、収束パラメータDは、更新前の中心性と更新後の中心性の差分の絶対値を表す。
そして、収束判定部25は、収束パラメータDと所定の閾値とを比較することにより、中心性補正部24により補正された中心性C(s)が収束したか否かを判定する。具体的には、収束判定部25は、収束パラメータDが閾値よりも小さいときに、中心性C(s)が収束したと判定する。あるいは、収束判定部25は、信頼性を向上するために、収束パラメータDが複数回連続して閾値よりも小さいときに、中心性C(s)が収束したと判定してもよい。
中心性C(s)が収束した後は、波長多重数予測部26は、S46において、(10)式に従って波長多重数の予測値M(s)を更新する。中心性C(s)が収束していないときは、波長多重数予測部26は、S47において、波長多重数の予測値M(s)として初期値(すなわち、多重化可能な最大波長数)を設定する。そして、S46またはS47において更新された波長多重数の予測値M(s)は、補助データベース23に記録される。波長多重数の新たな予測値M(s)は、伝送品質推定装置20に次のデマンドが与えられたときに、S34において使用される。
このように、第2の実施形態においては、光ネットワークのトポロジに基づいて各スパンの中心性および波長多重数の初期予測値が計算された後、実際のデマンドに応じて各スパンの中心性および予測値が更新される。よって、各スパンの波長多重数の予測の精度が向上し、波長パスの伝送品質の推定精度が向上する。この結果、光ネットワーク上に過剰な数の再生中継器が実装されることはなく、光ネットワークのコストを削減できる。
また、所定数のデマンドがネットワーク管理システムに与えられたときに各スパンの中心性が補正されるので、中心性(および、多長多重数)の再計算の頻度が抑制され、伝送品質推定装置20の負荷が削減される。特に、大規模な光ネットワークにおいては、1本の波長パスが追加されても各スパンの中心性の変化は僅かと考えられるので、この構成による効果は大きい。
さらに、補正された中心性が収束した後に波長多重数が更新されるので、波長パスの伝送品質の推定が安定する。
なお、第1の実施形態と同様に、第2の実施形態においても、すべての波長多重数に対してそれぞれOSNR予測値を用意する必要はない。例えば、波長多重数の代表値として22、44、66、88が設定されるときは、伝送品質データベース22は、波長多重数が22、44、66、88である状態に対してそれぞれ対応するOSNR推定値を格納する。
この場合、パス伝送品質計算部27は、図15のS34〜S35において、波長多重数M(s)を取得した後、M(s)よりも大きい代表値の中で、最も小さい代表値を選択する。たとえば、あるスパンの波長多重数の予測値M(s)が35である場合は、そのスパンの代表値として44が選択される。そうすると、パス伝送品質計算部27は、伝送品質データベース22からOSNR(s,44)を取得する。
<ハードウェア構成>
図17は、伝送品質推定装置のハードウェア構成の一例を示す。伝送品質推定装置は、例えば、図17に示すコンピュータシステム100により実現される。コンピュータシステム100は、CPU101、メモリ102、記憶装置103、読み取り装置104、通信インタフェース106、入出力装置107を備える。CPU101、メモリ102、記憶装置103、読み取り装置104、通信インタフェース106、入出力装置107は、例えば、バス108に接続される。
CPU101は、メモリ102を利用して、図8〜図9または図14〜図16に示すフローチャートの処理を記述した伝送品質推定プログラムを実行する。これにより、上述した伝送品質推定方法が実現される。すなわち、CPU101は、第1の実施形態では、中心性計算部11、波長多重数予測部12、スパン伝送品質計算部13、パス計算部15、パス伝送品質計算部16、判定部17の機能を提供することができる。また、CPU101は、第1の実施形態では、中心性計算部11、パス計算部15、判定部17、スパン伝送品質計算部21、中心性補正部24、収束判定部25、波長多重数予測部26、パス伝送品質計算部27の機能を提供することができる。
メモリ102は、例えば半導体メモリであり、RAM領域およびROM領域を含んで構成される。なお、各フローチャートの処理で使用される変数は、メモリ102に一時的に格納される。記憶装置103は、例えばハードディスク装置であり、上述の伝送品質推定プログラムを格納する。また、記憶装置103は、伝送品質データベース14、22、補助データベース23を提供することができる。なお、記憶装置103は、フラッシュメモリ等の半導体メモリであってもよい。また、記憶装置103は、外部記憶装置であってもよい。
読み取り装置104は、CPU101の指示に従って着脱可能記録媒体105にアクセスする。着脱可能記録媒体105は、例えば、半導体デバイス(USBメモリなど)、磁気的作用により情報が入出力される媒体(磁気ディスク等)、光学的作用により情報が入出力される媒体(CD−ROM、DVD等)などにより実現される。
通信インタフェース106は、CPU101の指示に従ってネットワークを介してデータを送信および受信することができる。すなわち、通信インタフェース106は、ネットワーク上に存在するサーバにアクセスすることができる。入出力装置107は、ユーザにより操作されるキーボード、マウス、タッチパネル等に相当する。また、入出力装置107は、CPU101による処理結果を出力する。
実施形態に係わる伝送品質推定プログラムは、例えば、下記の形態でコンピュータシステム100に与えられる。
(1)記憶装置103に予めインストールされている。
(2)着脱可能記録媒体105により提供される。
(3)ネットワーク上のサーバから提供される。