JP6888677B2 - 油井管用ねじ継手 - Google Patents

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Description

本発明は、油井やガス井の探査や生産に使用されるチュービングおよびケーシングを包含する油井管を接続する油井管用ねじ継手であり、特に加工時間および施工時間を低減させた油井管用ねじ継手に関する。
管用ねじ継手は、油井管など産油産業設備に使用される鋼管の接続に広く使用されている。オイルやガスの探索や生産に使用される鋼管の接続には、従来、API(米国石油協会)規格に規定された標準的な管用ねじ継手が典型的には使用されてきた。
近年、原油や天然ガスの井戸は深井戸化が進み、垂直井から水平井や傾斜井等が増えていることから、掘削および生産環境はより苛酷になっている。また、海洋や極地などの劣悪な環境での井戸の開発が増加していることなどから、耐圧縮性能、耐曲げ性能および外圧シール性能など、管用ねじ継手への要求性能は多様化している。このような要求性能のために、プレミアムジョイントと呼ばれる高性能の特殊な管用ねじ継手を使用することが増加している。
また、井戸開発時の掘削量を低減するためには、井戸をスリムにする必要がある。そのため、プレミアムジョイントの中でも、カップリング部材を介さずに管(パイプともいう)同士を直接接続するインテグラル形式の管用ねじ継手への要求も高まっている。
プレミアムジョイントは、通常、各パイプの管端側に、テーパねじと、メタルタッチシール部を備える。これらは、パイプの一端側に設けられた雄ねじ部であるピンと、パイプの一端側に設けられた上記雄ねじ部に螺合または嵌合する雌ねじ部であるボックスとを構成する各要素である。これらの要素は、継手(管用ねじ継手の意、以下同じ)の締付け時に、雄のテーパねじと雌のテーパねじ、雄のメタルタッチシール部と雌のメタルタッチシール部が、それぞれ対面し合うように設計される。なお、テーパねじは、継手をタイトに固定するために必要である。メタルタッチシール部は、このメタルタッチシール部の領域でボックスとピンとの金属接触によりシール性を確保する。
インテグラル形式の管用ねじ継手(以下、インテグラル継手ともいう)では、上記メタルタッチシール部は、軸方向(管軸方向の意、以下同じ)の一つまたは二つ以上の箇所に設けられる。少なくとも1箇所のメタルタッチシール部は、ピンのテーパねじのピン先端側ねじ端に連接したねじ無し部(以下、ノーズという)の外周面、およびボックスのテーパねじのボックス後端側ねじ端に連接したねじ無し部(以下、ノーズ穴という)の内周面に設けられる。
インテグラル継手の従来技術として、特許文献1に記載されたパイプ用ねじ付き継手1(管ねじ継手)を図2に示す。特許文献1に記載の発明の課題は、適当な剛性を維持し、改良されたシールを設けたパイプ用ねじ付き継手を生産すること、高荷重に対する、特に圧縮荷重に対する継手の構造的抵抗(特性)を改善すること、および上記特性がシール機能に影響しないようにすることである。そして、特許文献1に記載の発明では、上記ボックス3の先端側非ねじ面のメタルタッチシール部からボックス最先端まで突き出た補強セクションを設け、この補強セクションの長さ、あるいはさらに壁厚(肉厚)を規定し、かつ、上記ボックスの補強セクション全長が相対するピン2の後端側のパイプ(素管部)と接触を生じないようにしてある。
特許第5232475号公報
しかしながら、上記の特許文献1に記載の技術では、継手のねじ長さの適正化について言及されていない。生産性と継手の剪断破壊強度を両立するようなねじ長さの適正化については改善の余地があった。
通常、油井管は、継手部(上記雄ねじ部と上記雌ねじ部を総称していう)を有する管を継手部で複数直列に接続して井戸に装入する。この状態では、地上に近い管ほど継手部に相対的に大きな引張負荷が作用する。そのため、油井管用ねじ継手には、疲労破壊や引張破断などの剪断破壊を回避できる強度を有することが重要な継手性能の一つとして要求される。継手部の強度を確保する方法として、継手部のねじ長さをある程度長く設けることが求められる。一般的に、継手部が剪断破壊を回避できる強度を備えるためには、ねじ部の剪断破壊強度が継手部の引張破断強度を超える必要があり、ねじ部剪断応力が継手部の引張応力の1/√3倍以下となるように設計する必要がある。なお、継手部のねじ長さとは、継手部における雄ねじ部と雌ねじ部が嵌め合い状態にある部位の全長を指す。
しかし、剪断破壊強度を確保するために継手部のねじ長さを極端に長くすることは、鋼管(素管)にねじ切削加工あるいは転造加工を施す際に、ねじ長さに比例して加工時間が増加する問題がある。また、ねじを締め付ける際に、ねじを締めつける施工時間が増加する問題もある。よって、生産性の低下や、製造コストの上昇を招く。
本発明は係る問題に鑑み、継手部のねじ長さの適正化を図るとともに、加工時間および施工時間を低減させた油井管用ねじ継手を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した。
上述のように、油井管は、管同士を継手部で複数直列に接続して井戸に装入するため、地上に近い管ほど継手部には大きな引張負荷が作用する。継手部では、ピン破断、ボックス破断などを生じる場合がある。そのため、継手部が剪断破壊を回避できる強度を有することは、重要な継手性能の一つとして要求される。この要求に対し、通常は上記強度を確保するために継手部のねじ長さを長く設計することで対応する。そのため、一般的には安全を見て(考慮して)ねじ長さを過剰に長くした設計となっている。そこで、本発明者らは、継手部のねじ部(雄雌のテーパねじ部分を指す)が剪断破壊されないだけの必要最低限のねじ長さを有するような設計に着眼し、生産性と継手の剪断破壊強度との両立を可能とする油井管用ねじ継手について鋭意検討を行った。
その結果、継手に引張応力を作用させたときに雄雌のテーパねじに作用する剪断応力と継手の危険断面に作用する引張応力の比が所定値以下となるように必要最低限のねじ長さLmin(mm)を規定することにより、ねじ部での剪断破壊を防止できることを知見した。
本発明は上述の知見に基づいてなされたものであり、以下を要旨とするものである。
[1] 鋼管の一端に雄のテーパねじである雄ねじ部が設けられたピンと、
鋼管の一端に前記雄ねじ部と嵌合する雌のテーパねじである雌ねじ部が設けられたボックスとを有し、
前記ピンと前記ボックスとが金属接触して流体をシールする構造を、前記ピンの管端側の外周面側シール部および前記ボックスの管端側の内周面側シール部の少なくとも1箇所に備えるインテグラル式の油井管用ねじ継手であり、
前記雄のテーパねじおよび前記雌のテーパねじのねじ列におけるねじ長さL(mm)の最小値Lmin(mm)が(1)式により定義され、
前記ねじ列におけるねじ長さL(mm)が(2)式を満足する、
油井管用ねじ継手。
min=((t×(D−t))/(α×D/√3))×継手効率 ・・・・(1)
min×1.0≦L≦Lmin×2.5 ・・・・(2)
ここで、t:ボックスおよびピンの未加工部である素管部の管厚(mm)、
D:ボックスおよびピンの未加工部である素管部の管径(mm)、
α:ねじ長さLに対するねじ有効長さの比であり、
ねじ有効長さはボックスまたはピンのうち短い側を選択、
:ボックスまたはピンのうちねじ有効長さが短い側のテーパね
じにおけるねじ谷の平均ねじ径 (mm)、
継手効率:継手部の引張強度/素管部の引張強度、
とする。
なお、本発明において、必要最低限のねじ長さ(Lmin(mm))とは、ねじ部が剪断破壊を回避できる強度を備えるために、設計上必要とされる継手部のねじ長さの最小値(下限値)を指す。
また、継手部のねじ長さ(L(mm))とは、継手部を螺合締結した際に、継手部のうち雄ねじ部と雌ねじ部とが噛み合っている部分(ねじ嵌合部)の長さ(すなわち、雄のテーパねじおよび雌のテーパねじのねじ列におけるねじ長さ)を指す。
また、ねじ有効長さとは、上記ねじ嵌合部において、雄ねじ部および雌ねじ部のねじ山の底面をそれぞれについて合算した部分の軸方向長さの総和であり、雄ねじ部および雌ねじ部についてそれぞれ算出される。
また、ねじ有効長さ比(α)とは、ねじ長さLに対するねじ有効長さの比であり、ねじ有効長さはボックスまたはピンのうち短い側が選択される。
本発明によれば、継手部のねじ長さの適正化を図るとともに、加工時間および施工時間を低減させた油井管用ねじ継手を得ることができる。
図1は、本発明の実施形態の一例を説明する油井管用ねじ継手の管軸方向の断面図であり、ピンとボックスとが締結された部分を示す断面図である。 図2は、従来の油井管用ねじ継手の一例を示す管軸方向の断面図である。
以下、図1を参照して、本発明の油井管用ねじ継手1について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。図1は、本発明の一実施形態を説明する油井管用ねじ継手1の管軸方向の断面図であり、ピン2とボックス3とが締結(嵌合)された部分とその周辺を示す断面図である。なお、図1は、後述する(1)式および(2)式の説明図でもある。
本発明の油井管用ねじ継手1は、鋼管の一端に雄のテーパねじである雄ねじ部4が設けられたピン2と、鋼管の一端に雄ねじ部4と嵌合する雌のテーパねじである雌ねじ部5が設けられたボックス3とを有する。また、ピン2とボックス3が金属接触して流体をシールする構造を、ピン2の管端側の外周面側シール部9およびボックス3の管端側の内周面側シール部10の少なくとも1箇所に備える、インテグラル式の油井管用ねじ継手1である。雄雌のテーパねじのねじ列におけるねじ長さL(mm)の最小値Lmin(mm)は、後述する(1)式により定義され、かつ、ねじ列におけるねじ長さL(mm)は、後述する(2)式を満足する。
まず、本発明の油井管用ねじ継手1の構成について説明する。
図1に示すように、本発明の油井管用ねじ継手1は、ピン2とボックス3により鋼管を接続する。油井管用ねじ継手1は、ピン2とボックス3がねじ結合により結合されたねじ継手(プレミアムジョイント)である。また、油井管用ねじ継手1は、ピン2とボックス3により鋼管同士を直接接続するインテグラル式ねじ継手である。
ピン2には、鋼管の一端に雄のテーパねじである雄ねじ部4が設けられている。ボックス3には、鋼管の一端に雄ねじ部4と嵌合または螺合する雌のテーパねじである雌ねじ部5が設けられている。なお、本発明では、図1に示すように、雄ねじ部4および後述する雄側のノーズ15の周辺を含めた領域をピン2と称する。雌ねじ部5および後述する雌側のノーズ穴16の周辺を含めた領域をボックス3と称する。
油井管用ねじ継手1は、ピン2とボックス3とが金属接触して流体をシールする構造を有する。図1に示す油井管用ねじ継手1の場合には、雄ねじ部4の管端側(図1中、ねじ継手軸αに平行なX軸の正方向側)の外周面側シール部9と、雌ねじ部5の管端側(図1中、X軸の負方向側)の内周面側シール部10の2箇所に、シール構造を有する。
例えば、外周面側シール部9は、継手の締付け時に、ノーズ15(ピン2の先端側のねじ端に連接したねじ無し部)とノーズ穴16(ボックス3の奥端側のねじ端に連接したねじ無し部)のメタルタッチシール部同士が接触して、管内側の流体がテーパねじの領域に進入することを防止するシール面を形成する。
内周面側シール部10は、ピン2の奥端側のねじ端に連接したねじ無し部の外周面(便宜上、ピン奥端側非ねじ面という)、および、ボックス3の先端側のねじ端に連接したねじ無し部の内周面(便宜上、ボックス先端側非ねじ面という)に設けられる。内周面側シール部10は、ねじ継手の締付け時に、ピン奥端側非ねじ面とボックス先端側非ねじ面のシール部同士が接触して、管外側の流体がテーパねじの領域に進入することを防止するシール面を形成する。
その他、油井管用ねじ継手1は、ピン2の先端にショルダ部11を有してもよい。この場合には、図1に示すように、ピン2側のショルダ部11に当接するショルダ部12もボックス3に設けられる。
なお、素管部とは、ボックス3における雌ねじ部5以外の管本体の領域(ボックスの未加工部7)、および、ピン2における雄ねじ部4以外の管本体の領域(ピンの未加工部6)をそれぞれ指す。ピン2およびボックス3の未加工部6、7は、いずれも円筒形状である。
次に、図1を参照して、本発明の油井管用ねじ継手1のねじ列17における、ねじ長さL(mm)とねじ長さの最小値Lmin(mm)の関係について説明する。
本発明の油井管用ねじ継手1は、継手部のねじ部(雄雌のテーパねじ部分を指す)が剪断破壊されない継手強度を有し、さらにその引張強度を満たす必要最低限のねじ長さを有するように設計することが重要である。そのため、本発明では、強度および寸法の制約の観点より、ねじ長さの許容範囲を次のように決定する。
雄雌のテーパねじのねじ列17におけるねじ長さL(mm)の下限値、すなわち最小値Lmin(mm)は、以下の(1)式により定義される。さらに、ねじ列17におけるねじ長さL(mm)は、以下の(2)式を満足する必要がある。
min=((t×(D−t))/(α×D/√3))×継手効率 ・・・・(1)
min×1.0≦L≦Lmin×2.5 ・・・・(2)
ここで、t:ボックスおよびピンの未加工部である素管部の管厚(mm)、
D:ボックスおよびピンの未加工部である素管部の管径(mm)、
α:ねじ長さLに対するねじ有効長さの比であり、
ねじ有効長さはボックスまたはピンのうち短い側を選択
:ボックスまたはピンのうちねじ有効長さが短い側のテーパね
じにおけるねじ谷の平均ねじ径(mm)、
継手効率:継手部の引張強度/素管部の引張強度、
とする。
αはねじ形状のデザインにより決定される。ピンとボックスでねじ底の幅が違うデザインとした場合には、ねじ底の幅が狭い方の形状において有効長さが短くなる。ねじ山の頂部の幅と底部の幅を比較して底部の幅の方が大きいデザイン、例えば台形ねじ、においては、αは大きくなる傾向にある。逆に、ねじ山の頂部の幅と底部の幅を比較して底部の幅の方が小さいデザイン、例えばウェッジねじ、においては、αは小さくなる傾向にある。
ねじ長さL(mm)が、上記(2)式の(Lmin×1.0≦L)を満足しない場合、継手引張強度以下の管軸方向引張負荷により、ねじ部が剪断破壊される可能性がある。好ましくは、Lmin×1.25≦Lとする。一方、ねじ長さL(mm)が、上記(2)式の(L≦Lmin×2.5)を満足しない場合、十分に短いねじ長さの設計とは言えず、本発明の効果である加工性および生産性に優れたねじ継手であるとは言えなくなる。好ましくは、L≦Lmin×2.0とする。
なお、例えば図1に示す油井管用ねじ継手1の場合、ねじ列17とは、ピン2とボックス3のそれぞれに設けられた上記テーパねじの領域を指す。
また、ねじ長さL(mm)とは、後述する通り、ピン2の危険断面14の位置からボックス3の危険断面13の位置までの長さを指す。
また、ねじ長さLの最小値Lmin(mm)とは、上記(1)で定義されるねじ長さLの必要最低限の長さを指す。
また、素管部の管厚t(mm)とは、図1に示すように、ピン未加工部6およびボックス未加工部7(素管部)の管厚を指す。素管部の管径D(mm)とは、ピン未加工部6およびボックス未加工部7(素管部)の管径を指す。D(mm)とは、ボックスまたはピンのうちねじ有効長さが短い側のテーパねじにおけるねじ谷の平均ねじ径を指す。
ここで、必要最低限のねじ長さ(すなわち、ねじ長さの最小値Lmin)を求めるための(1)式について説明する。
継手強度(ねじ継手1の引張強度)は、ピン2およびボックス3の各危険断面13、14(図1を参照)のうち、断面積が小さい部位により決定される。ここで、危険断面とは、継手部の引張負荷状態において最も破断が発生し易い管軸直交断面を指す。
例えば、図1に示す油井管用ねじ継手1の場合、ボックス3の危険断面13として、雌ねじ部5側のねじ列17の領域のうち、第一ねじ山のロードフランク面に位置する断面を採用する。また、ピン2の危険断面14として、雄ねじ部4側のねじ列17の領域のうち、第二ねじ山のロードフランク面に位置する断面を採用する。なお、ロードフランク面とは、管軸方向の引張力に対し負荷のかかる側のフランク面を指す。したがって、図1に示す継手部の場合には、ピン2の危険断面14の断面積のほうがボックス3の危険断面13の断面積より小さいため、継手強度はピン2の危険断面14に基づき決定する。
通常、素管強度(ピン2、ボックス3の各素管部の引張強度)を100%とした場合、インテグラル継手においては危険断面の断面積が素管断面積より必ず小さくなるため、インテグラル継手の継手強度は素管強度に対して100%未満となる。
継手部の最大引張強度(最大引張応力)は、危険断面から算出される継手効率の観点から以下の(3)式を用いて算出できる。
継手部の最大引張応力(MPa)=素管の引張応力(MPa)×継手効率 ・・・(3)
そして、素管の引張応力を基準とした場合、許容されるねじ部の剪断応力は、以下の(4)式を満たす必要がある。
ねじ部の剪断応力比≦((1/√3)/継手効率) ・・・(4)
上記剪断応力比は((1/√3)/継手効率)で表される値以下とすることで剪断破壊を防止することができる。安全を確保する観点より上記式(4)に対して安全率0.8を適用し(すなわち、上記式(4)の右辺に安全率0.8を乗じ)、上記剪断応力比を(0.46/継手効率)以下とすることが望ましい。なお、本発明では式(2)によりねじ長さの上限をLmin×2.5としていることから、上記剪断応力比の下限は安全率0.4を適用した場合と等しくなり、(0.23/継手効率)と算出される。
以上により得られたねじ部の剪断応力と継手部の最大引張応力との関係は、以下の(5)式のように表せる。
(ねじ部の剪断応力/継手部の引張応力)≦1/√3 ・・・(5)
また、(5)式の左辺は、上記式(3)を用いて以下のように変換できる。
左辺=(ねじ部の剪断応力)/(素管部の引張応力/継手効率)
=(引張力/ねじ部有効断面積)/(引張力/素管断面積)×(継手効率)
=(素管断面積/ねじ部有効断面積)×(継手効率)
=(素管断面積/(円周率×ねじ有効長さ×平均ねじ径))×(継手効率)
=((π・t・(D−t))/(π・α×L×D))×継手効率
ゆえに、(5)式は、
((π・t・(D−t))/(π・α×L×D))×継手効率 ≦ (1/√3) ・・・(6)
となる。そして、(6)式の等号を満たす条件がLの最小長さLminであり、Lminについて式を解くことにより上記(1)式が得られる。
なお、インテグラル継手には、上述したように、ピンとボックスのそれぞれにおいて雌雄のテーパねじの領域を管軸方向に二分したものがある。本発明はこのような設計のインテグラル継手にも適用できる。
以上説明したように、本発明によれば、ねじ部が剪断破壊されないだけの必要最低限のねじ長さ(Lmin)を確保した油井管用ねじ継手の設計が可能となる。これにより、鋼管(素管)にねじ切削加工あるいは転造加工を施す加工時間が低減(短縮)され、さらに雄雌テーパねじの締め付けに要する施工時間も低減(短縮)される。その結果、生産性が向上し、製造コストが低減できる優れた設計となり、生産性と継手の剪断破壊強度とを両立することが可能となる。
そして、通常要求されるねじ特性を備えつつ、適切な許容幅をもったねじ長さ(L(mm))を算出できる。このため、従来の一般的なねじ長さより上記ねじ長さ(L(mm))が短くなる分ねじ部が占有する肉厚方向の領域を小さくできるため、ノーズ15の肉厚を確保することが可能となりシールのデザインの自由度を増すことが可能となる。
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
API 5CTの鋼種Q125の外径9−5/8インチ×肉厚0.545インチ(外径244.48mm×肉厚13.84mm)の鋼管端部を加工してなるピンと、これに対応するボックスとからなる油井管用ねじ継手として、3〜5%管端を縮径加工してから外径側を切削して製作されるピンと、5〜8%管端を拡管加工してから内径側を切削して製作されるボックスを製作した。サンプル数は6対とした。ねじ継手の概略図は、図1に示すセミフラッシュねじ継手である。
得られた油井管用ねじ継手(供試継手No.1〜6)を用いて、(1)剪断破壊されるか否かについて、(2)加工性および施工性について、それぞれ評価した。
(1)剪断破壊に関する評価
継手部のねじ部が剪断破壊されるか否かの評価は、危険断面から算出される継手効率に基づく引張負荷を作用させた場合に、ねじ部が剪断破壊されるか否かを判断することにより行った。ここでは、ねじ山接触面としてロードフランクの角度を−5度、スタビングフランク角度を15度とした。
(2)加工性および施工性に関する評価
各供試継手において、ピンおよびボックスの作製に要した加工時間(sec)と、ピンおよびボックスの締結時間(sec)をそれぞれ計測した。加工時間は、ピンとボックスの各所要時間の合計とした。加工性および施工性の評価は、表1に示した供試継手No.6の油井管用ねじ継手における加工時間および締結時間を基準とし、この基準値に対する比率を求めて評価した。求めた比率が1.0未満の場合は加工性、施工性が優れると評価し、求めた比率が1.0以上の場合は加工性、施工性が劣ると評価した。なお、供試継手No.6は、本発明で規定されるねじ長さL(mm)を用いるのではなく、従来の一般的なねじ長さに設計されたものである。
以上により得られた結果を表1に示す。
Figure 0006888677
表1に示すように、本発明例(供試継手No.1〜3)では、いずれもねじ列におけるねじ長さL(mm)が上記(2)式を満足するため、加工性および施工性に優れることがわかった。また、剪断破壊することもなかった。
一方、ねじ長さLが上記(2)式の上限値を超える比較例(供試継手No.4)では、加工時間および締結時間が長くなり、生産性が低下することが分かった。ねじ長さLが上記(2)式の下限値の最小値を下回る比較例(供試継手No.5)では、剪断破壊となり強度不足であることも分かった。
すなわち、本発明によれば、剪断破壊しない範囲で適正なねじ長さLを有する油井管用ねじ継手を設計することにより、ねじ剪断破壊の問題はなく、かつ、加工性および施工時間を低減させた(すなわち、生産性に優れた)油井管用ねじ継手を得ることができる。
1 油井管用ねじ継手
2 ピン
3 ボックス
4 雄ねじ部
5 雌ねじ部
6 ピン未加工部
7 ボックス未加工部
9 外周面側シール部
10 内周面側シール部
11、12 ショルダ部
13、14 危険断面
15 ノーズ
16 ノーズ穴
17 ねじ列
α ねじ継手軸

Claims (1)

  1. 鋼管の一端に雄のテーパねじである雄ねじ部が設けられたピンと、
    鋼管の一端に前記雄ねじ部と嵌合する雌のテーパねじである雌ねじ部が設けられたボックスとを有し、
    前記ピンと前記ボックスとが金属接触して流体をシールする構造を、前記ピンの管端側の外周面側シール部および前記ボックスの管端側の内周面側シール部の少なくとも1箇所に備えるインテグラル式の油井管用ねじ継手であり、
    前記雄のテーパねじおよび前記雌のテーパねじのねじ列における、前記ピンの危険断面の位置から前記ボックスの危険断面の位置までの長さであるねじ長さL(mm)の最小値Lmin(mm)が(1)式により定義され、
    前記ねじ列における、ねじ部が剪断破壊されない前記ねじ長さL(mm)が(2)式を満足する、
    油井管用ねじ継手。
    min=((t×(D−t))/(α×D/√3))×継手効率 ・・・・(1)
    min×1.25≦L≦Lmin×2.5 ・・・・(2)
    ここで、t:ボックスおよびピンの未加工部である素管部の管厚(mm)、
    D:ボックスおよびピンの未加工部である素管部の管径(mm)、
    α:ねじ長さLに対するねじ有効長さの比であり、
    ねじ有効長さはボックスまたはピンのうち短い側を選択、
    :ボックスまたはピンのうちねじ有効長さが短い側のテーパねじにおけるねじ谷の平均ねじ径(mm)、
    継手効率:継手部の引張強度/素管部の引張強度、
    とする。
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