以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には互いに同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
図1は、実施形態に係るX線発生装置を示す縦断面図である。図2は、実施形態に係るX線管を示す縦断面図である。図1,2に示されるように、X線発生装置100は、例えば、被検体の内部構造を観察するX線非破壊検査に用いられる微小焦点X線源である。X線発生装置100は、X線管1、筐体C及び電源部80を備える。
X線管1は、電子銃110及びターゲットTを備えたX線発生部Gを備えている。X線管1は、ターゲットTに対して、電子銃110からの電子ビームBが入射することにより発生し且つ当該ターゲットT自身を透過したX線Xを、X線出射窓30から出射する透過型のX線管である。X線管1は、真空の内部空間Rを有する真空筐体10を備えた、部品交換等が不要な真空封止型のX線管である。
真空筐体10は、略円柱状の外形を呈する。真空筐体10は、金属材料(例えばステンレス鋼)により形成されたヘッド部4と、絶縁性材料(例えばガラス)により形成された絶縁バルブ2と、を備える。ヘッド部4には、X線出射窓30が固定されている。絶縁バルブ2には、電子銃110が固定されている。絶縁バルブ2は、X線管1の管軸に沿って延在する円筒状の外径を有し、X線出射窓30と対向する端部側には、X線出射窓30側に向かって折り返されるようにX線管1の管軸に沿って延在して形成された円筒状の凹部116を有する。
また、絶縁バルブ2は、凹部116のX線出射窓30側の端部の開口を封止するように設けられ、給電等に用いられるステムピンSを備えたステム部115を有する。ステム部(接続部)115は、ステムピンSを介して内部空間Rの所定位置で電子銃110を保持する。つまり、凹部116によって、ヘッド部4と電子銃110との沿面距離を延ばして耐電圧特性を向上させると共に、内部空間R内において電子銃110をターゲットTに近づけて配置することで、電子ビームBを微小焦点化させやすくしている。
電子銃110は、通電によって発熱するフィラメントにより形成されたヒーター111と、ヒーター111によって加熱され電子放出源となるカソード(電子放出部)112と、カソード112から放出される電子の量を制御する第1グリッド電極(電子量制御電極)113と、第1グリッド電極113を通過した電子をターゲットTに向けて集束する円筒状の第2グリッド電極114と、第2グリッド電極114と電気的に接続され、ヒーター111、カソード112、第1グリッド電極113、ステム部115、及び、絶縁バルブ2の凹部116の一部を包囲するカバー電極117を備える。第2グリッド電極114は、電子ビームBを構成する電子を引き出すための電界を形成する引き出し電極としても機能する。第1グリッド電極113は、カソード112と第2グリッド電極114との間に配置されている。カバー電極117は、その一端側から他端側に向かって拡径する傾斜部と、X線管1の管軸に沿って延在する円筒部と、を備えた電極であって、絶縁バルブ2から離間して配置されている。カバー電極117は、その一端側が第2グリッド電極114に固定されると共に、その他端側は、少なくともその円筒部がステム部115(接続部)及び凹部116におけるX線出射窓30側の端部領域を包囲するように延在している。X線管1は、後述の筒部材70の一端側に固定されている。なお、X線管1には、図示しない排気管が付設され、この排気管を介して内部が真空引きされることによって真空封止されている。
X線発生装置100の筐体Cは、筒部材70と、電源部80の一部として後述する絶縁ブロック81を収容する電源部ケース84と、を備える。筒部材70は、金属により形成されており、後述する収容部Hの主体部を構成している。筒部材70は、その両端に開口を有する円筒状を呈し、内部空間Iを有する。筒部材70は、その一端側の開口70aにX線管1の絶縁バルブ2が挿入されている。これにより、筒部材70は、X線管1の少なくとも一部を収容する。より具体的には、筒部材70は、少なくとも、ステム部115及び絶縁バルブ2におけるステム部115を保持する部分を内部空間Iに収容しており、本実施形態においては絶縁バルブ2の全体を収容している。
筒部材70の一端面には、X線管1の取付フランジ3が当接され且つネジ等で固定されている。これにより、X線管1は、筒部材70の開口70aにて固定されつつ、開口70aを封止している。筒部材70の内部空間Iには、液状の電気絶縁性物質である絶縁油71が封入されている。
電源部80は、X線管1に電力を供給する機能を有する。電源部80は、モールドされた固体の絶縁材料、例えば絶縁樹脂であるエポキシ樹脂からなる絶縁ブロック81と、絶縁ブロック81中にモールドされた昇圧部82と、それらを収容し矩形箱状を呈する電源部ケース84と、を有する。昇圧部82は、X線発生装置100の外部から導入した導入電圧を昇圧して生成した昇圧電圧vを、各種条件に基づき、必要に応じて調整することによって高圧電圧Vを発生する。絶縁ブロック81は、昇圧部82を絶縁材料(エポキシ樹脂)により封止する。電源部80(電源部ケース84)には、筒部材70の他端側(X線管1側である一端側とは反対側)が固定されている。これにより、筒部材70の他端側の開口70bが封止され、絶縁油71が筒部材70の内部空間Iに気密に封入される。筒部材70は、絶縁ブロック81におけるステム部115側の一部(少なくとも後述する壁部83)を内部空間Iに収容している。
絶縁ブロック81上には、昇圧部82に電気的に接続された円筒状の金属部材を含む高圧給電部(給電部)90が配置されている。電源部80は、高圧給電部90を介してX線管1に電気的に接続されている。より詳細には、高圧給電部90のX線管1側である一端(後述する先端部90t)側が、X線管1の絶縁バルブ2の凹部116内に挿入されて、ステム部115において真空の内部空間Rから突出するステムピンSと電気的に接続されている。これと共に、高圧給電部90の電源部80側である他端(後述する基端部90b)側が、昇圧部82に電気的に接続された状態で絶縁ブロック81に固定されている。筒部材70は、この高圧給電部90を内部空間Iに収容している。
絶縁ブロック81には、X線管1と同軸の環状の壁部(第2壁部)83が、X線管1及び筒部材70と離間した状態で、筒部材70と電源部80(電源部ケース84)との接続部を高圧給電部90から遮蔽するようにステム部115側に突出するように設けられている。これにより、壁部83は、筒部材70の内部空間Iに配置されて収容される。また、壁部83の内周及び外周は、絶縁ブロック81における高圧給電部90の固定部よりも絶縁ブロック81の内側(昇圧部82側)に窪んだ構造となっている。それにより、絶縁ブロック81において、高圧電圧Vによる高圧電位となる高圧給電部90の固定部から接地電位となる筒部材70及び電源部ケース84までの沿面距離をより大きくし、耐電圧能を向上させている。なお、本実施形態においては、ターゲットT(アノード)を接地電位とし、電源部80からは−10kV〜−500kVの範囲に含まれる昇圧電圧v(本実施形態においては−100kV)を各種条件に基づいて調整したマイナス電圧である高圧電圧Vが高圧給電部90を介してX線管1(電子銃110)に供給される。このように、内部空間Iを備えた筒部材70は、その一端側の開口70aがX線管1により、他端側の開口70bが電源部80(絶縁ブロック81及び電源部ケース84)によって封止されており、その封止された空間に絶縁油71が封入されている。そして、当該空間において、少なくともステム部115を含むX線管1の一部(絶縁バルブ2)、高圧給電部90、及び、電源部80(絶縁ブロック81)の一部(壁部83)を絶縁油71内に収容することで、当該空間が収容部Hとなっている。
X線管1は、真空筐体10と、ターゲット部20と、を備える。なお、本実施形態の説明では、X線管1がX線を出射する方向側を単に「X線出射側」又は「上側」と称する。真空筐体10のX線出射側には、内部空間Rを画成する壁部としてヘッド部4を備える。ヘッド部4は、金属材料(例えばステンレス鋼)により形成され、電位的にX線管1のアノードに相当する。ヘッド部4は、両端に開口を備え、X線Xの出射方向軸と同軸の略円筒状を呈する。ヘッド部4は、電子銃110側の他端側の開口において、出射方向軸と同軸の絶縁バルブ2と連通する(図2参照)。
ターゲット部20は、ヘッド部4に固定されている。ターゲット部20は、真空筐体10(ヘッド部4)の開口部14を封止するように設けられたX線出射窓30と、X線出射窓30の内部空間R側の面に設けられたターゲットTと、を有する。ターゲットTは、電子ビームBの入射によりX線を発生する。ターゲットTとしては、例えばタングステンが用いられている。X線出射窓30は、円板状を呈する。X線出射窓30は、例えばベリリウム又はダイヤモンド等のX線透過性の高い材料で形成されている。
引き続いて、X線発生装置100における高圧給電部90に関する構造について具体的に説明する。図3は、図1に示された高圧給電部を拡大して示す模式的な縦断面図である。図4は、高圧給電部における配線部を示す図である。図4の(a)は側面図であり、図4の(b)は平面図である。図5は、高圧給電部の筒状部材を示す斜視図である。図1,3〜5に示されるように、高圧給電部90は、電源部80の絶縁ブロック81から絶縁バルブ2のステム部115に向かって延び、昇圧部82からの高圧電圧VをX線管1に供給する。なお、高圧給電部90は、昇圧部82からX線管1への電圧供給部材であるとともに、電流供給部材でもある。
上述したように絶縁ブロック81における絶縁バルブ2側の一端部には、壁部(第2壁部)83が形成されている。高圧給電部90の基端部90bは、この壁部83によって規定される凹部83c内に配置され、壁部83によって囲われている。換言すれば、絶縁ブロック81には、高圧給電部90の基端部90bを囲うようにステム部115側に突出する壁部83が形成されている。
一方、上述したように、絶縁バルブ2には、凹部116が設けられている。高圧給電部90の基端部90bと反対側の端部である先端部90tは、この凹部116内に配置され、凹部116を規定する壁部2aに囲われている。換言すれば、絶縁バルブ2には、高圧給電部90のステム部115側の先端部90tを囲うように絶縁ブロック81側に突出する壁部(第1壁部)2aが形成されている。また、壁部2aが構成する領域の内部空間Rには、ステム部115と共に、少なくとも高圧給電部90の先端部90tにおけるステム部115との接続部の周辺、より好ましくは、先端部90tにおける凹部116内に配置された領域の半分程度を囲うようにカバー電極117の他端側が延在している。
絶縁バルブ2の壁部2aの頂部2pと、絶縁ブロック81の壁部83の頂部83pとは、高圧給電部90の延びる方向について、互いに離間している。したがって、高圧給電部90は、先端部90tと基端部90b以外に、高圧給電部90の延びる方向に交差(直交)する方向からみて壁部2a及び壁部83に囲われていない部分を含んでいる。換言すれば、高圧給電部90は、先端部90tと基端部90bとの間の部分であって、壁部2a及び壁部83から露出する中間部90mを含む。基端部90b、中間部90m、及び、先端部90tは、絶縁ブロック81から絶縁バルブ2に向かう方向(以下、「高さ方向」という場合がある)に順に配列されている。
高圧給電部90は、昇圧部82とステム部115とを電気的に接続するための配線部91と、金属材料(例えばステンレス鋼やアルミニウム等)からなり配線部91を包囲する筒状部材92と、を含む。配線部91は、昇圧部82aとステム部115とに電気的に接続される複数(例えば5つ)のケーブル93と、絶縁材料からなりケーブル93を支持する基体部94と、を含む。そして、基体部94は、ケーブル93に沿った柱状部95と、柱状部95におけるステム部115側の端部に設けられた板状部96と、柱状部95におけるステム部115と反対側の端部に設けられた板状部97と、を含む。なお、本実施形態においては、ケーブル93には、ステムピンSを介して、電子銃110の各構成(ヒーター111、カソード112、第1グリッド電極113、第2グリッド電極114(及びカバー電極117))に供給するための高圧電圧Vが供給される。より具体的には、昇圧部82で生成された昇圧電圧vが、昇圧部82に設けられた制御部によって、ヒーター111、カソード112、第1グリッド電極113、第2グリッド電極114(及びカバー電極117)の機能に応じた電圧値となるように、必要に応じて適宜調整された高圧電圧Vとなり、各ケーブル93に供給される。つまり、高圧電圧Vは、昇圧電圧vに基づいた所定の一電圧に限らず、昇圧電圧vを基準として、基準との差が所定範囲Lに含まれる電圧を示す。例えば、昇圧電圧vの絶対値は、10kV以上500kV以下であるのが好ましい。この場合、高圧電圧Vは、昇圧電圧vを基準として、基準との差が昇圧電圧vの4%以下の範囲の電圧であり、かつ、基準との差が含まれる所定範囲Lにおける絶対値の最大値は、25V以上20kV以下であるのが好ましい。より好ましくは、昇圧電圧vの絶対値は、10kV以上300kV以下であり、高圧電圧Vは、昇圧電圧vを基準として、基準との差が昇圧電圧vの2%以下の範囲の電圧であり、かつ、基準との差が含まれる所定範囲Lにおける絶対値の最大値は、50V以上6kV以下である。なお、基準との差が、昇圧電圧vの0%(つまり0V)である場合も含まれるので、高圧電圧Vが、昇圧電圧vと等しい場合も含まれる。この場合、制御部による調整を行うことなく、昇圧電圧vを直接供給してもよい。
柱状部95は、例えば絶縁材料によって円柱状に形成されている。ケーブル93は、所定の撓みを有した状態において柱状部95に沿って延びている。ケーブル93の両端は、板状部96及び板状部97に接続されている。柱状部95は、板状部96及び板状部97の少なくとも一方を回動可能に支持している。したがって、例えば、柱状部95に対して板状部96を回動させることにより、ケーブル93の撓みを調整することができる。また、ケーブル93を柱状部95に巻き付けた状態とすることができるため、ケーブル93が筒状部材92の内壁面に接触することを抑制できる。そのため、筒状部材92とケーブル93との間の耐電圧特性にも好ましい。
板状部96及び板状部97は、例えば絶縁材料によって円板状に形成されており、その直径は、柱状部95の直径よりも大きく、且つ、筒状部材92の内径よりも小さくなっている。板状部96には、板状部96の中心96cから放射状に延びる複数の溝部96gが形成されている。溝部96gは、板状部96の外縁96eから板状部96の中心96cに向かって延び、中心96cに至らずに終端している。これにより、板状部96の外縁部分は、複数の扇型部分96pに分割されている。扇型部分96pのそれぞれには、開口が設けられている。一部の扇型部分の開口は、導電性の端子部材がはめ込まれたり、導電体膜(例えば金属膜)が形成されたりして接続端子96aとされている。接続端子96aには、それぞれ、ケーブル93の一端及びステムピンSが接続される。
これにより、接続端子96aは、ケーブル93とステム部115とを互いに電気的に接続する。上述したように、板状部96における接続端子96aの間の領域には溝部96gが形成され、接続端子96a間の絶縁が確保されている。板状部97は、ケーブル93のそれぞれの他端が接続された状態において絶縁ブロック81上に設けられた図示しない電気的接続部上に配置されることにより、ケーブル93を昇圧部82に電気的に接続している。つまり、配線部91は、X線管1と電源部80とを電気的に接続するソケットとして機能し、板状部96及び板状部97は、それぞれX線管1のステム部115(ステムピンS)及び電源部80の電気的接続部と着脱可能に嵌合する。
筒状部材92は、配線部91を内部に収容することにより配線部91を囲っている。筒状部材92は、例えば昇圧部82に電気的に接続されることにより、高圧電圧Vが印加された電極としても機能している。具体的には、ケーブル93に供給されるいずれかの高圧電圧Vと等しいか、その近傍の高圧電圧Vが印加されており、本実施形態においてはカバー電極117と同電位となるように高圧電圧Vが印加されている。筒状部材92は、円筒状の金属部材であって、高さ方向に沿って略一定の径である定径部92aと、高さ方向に沿って定径部92aから離れるにつれて拡径する拡径部92bと、を含む。定径部92aがステム部115側に位置し、拡径部92bが絶縁ブロック81側に位置する。
筒状部材92は、筒状部材92と同じく、金属材料(例えばステンレス鋼やアルミニウム等)からなる取り付け部材120を介して絶縁ブロック81に取り付けられる。取り付け部材120は、第1外径を有する円筒状の第1部分121と、第1外径よりも大きな第2外径を有する円筒状の第2部分122と、第1部分121から第2部分122に至るように延びる円板状の第3部分123と、からなる。第1外径は、筒状部材92の拡径部92bの内径に応じた径となっており、第1部分121の外面にはねじ山が形成されている。これにより、筒状部材92の拡径部92bが第1部分121に螺合されて固定される。
また、高圧給電部90及び取り付け部材120は、その内部空間全体が絶縁油71で満たされており、配線部91も絶縁油71に浸漬されている。絶縁油71は、例えば筒状部材92と、板状部96、及びステム部115との間の隙間から流入する。そして、収容部H内に空気(気泡)が僅かでも残っていると、耐電圧能の低下を起こしやすいために、絶縁油71で封入する際には、空気の逃げにくい領域、例えば取り付け部材120と絶縁ブロック81との間の領域の空気を排出する必要がある。そのため、第3部分123には、取り付け部材120を絶縁ブロック81に取り付けるためのねじ穴123rに加え、取り付け部材120を絶縁ブロック81に取り付けて絶縁油71で封入するときに空気を逃がすための逃がし穴123hと、が形成されている。そして、筒状部材92の底部92cは、第3部分123に接触せず、第3部分123との間に間隙92sを形成している。このため、逃がし穴123hから逃がされた空気は、当該間隙92sを介して排出され得る。また、ねじ穴123r及び逃がし穴123hは、筒状部材92の拡径部92bの下側(筒状部材92の底部92cと対向する位置)に配置される。これにより、ねじ穴123r及び逃がし穴123hによる電界の乱れが抑制される。
以上説明したように、このX線発生装置100においては、X線管1の真空筐体10(絶縁バルブ2)に、X線管1の電気的な接続に用いられるステム部115が保持されている。このX線管1には、電源部80からステム部115に向かって延びる高圧給電部90によって、高圧電圧Vが供給される。真空筐体10(絶縁バルブ2)には、高圧給電部90の先端部90tを囲うように電源部80(絶縁ブロック81)側に突出する壁部2aが形成されており、電源部80(絶縁ブロック81)には、高圧給電部90の基端部90bを囲うように、絶縁材料からなる壁部83が形成されている。
そして、このX線発生装置100にあっては、高圧給電部90が、その先端部90tと基端部90bとの間において、壁部2aと壁部83とから露出する中間部90mを含む。換言すれば、その中間部90mの分だけ、壁部2aと壁部83とが高さ方向に互いに離間することになる。その結果、壁部2aと壁部83との間の領域において絶縁油71が滞留することが抑制される。よって、絶縁油71による放熱効率を向上可能である。
また、X線発生装置100においては、高圧給電部90は、昇圧部82とステム部115とを電気的に接続するための配線部91と、金属材料からなり配線部91を包囲する筒状部材92と、を含んでいる。このため、筒状部材92によって配線部91が保護される。特に、このように配線部91の保護に供される筒状部材92が金属材料から構成されることにより、例えば筒状部材92が樹脂材料から構成される場合と比較して、絶縁油71による放熱効率をより向上可能である。
また、X線発生装置100においては、筒状部材92には、高圧電圧Vに応じた電圧が印加される。このため、高圧電圧Vが印加される配線部91の周囲の電界を安定化することにより、放電が抑制される。さらに、本実施形態においては、筒状部材92と同電圧(同電位)とされたカバー電極117によって、ステム部115と共に、少なくとも高圧給電部90の先端部90tにおけるステム部115との接続部の周辺が囲われているため、よりステム部115との接続部の周辺の電界を安定化することができる。よって、より放電が抑制される。また、筒状部材92の周囲の絶縁油71に電界を生じさせることにより、絶縁油71の対流を促進して放熱効率をより向上可能である。
また、X線発生装置100においては、配線部91は、昇圧部82とステム部115とに電気的に接続される複数のケーブル93と、絶縁材料からなりケーブル93を支持する基体部94と、を含んでいる。このため、基体部94を用いて、高圧電圧Vの供給経路となるケーブル93を安定的に延在させることができる。
また、X線発生装置100においては、基体部94は、ケーブル93に沿った柱状部95と、柱状部95におけるステム部115側の端部に設けられた板状部96と、を含む。そして、板状部96には、ケーブル93とステム部115とを電気的に接続するための複数の接続端子96aが設けられており、板状部96における接続端子96aの間の領域には溝部96gが形成されている。このため、接続端子96aの間における耐電圧能が向上する。その結果、安定して高圧電圧Vを供給することが可能となる。
さらに、X線発生装置100においては、ステム部115は、電子銃110と電気的に接続され、電子銃110は、電子放出部として機能するカソード112と、カソード112から電子ビームBを構成する電子を引き出すための電界を形成するための引き出し電極としても機能する第2グリッド電極114と、カソード112と第2グリッド電極114との間に配置され、カソード112から引き出される電子の量を制御する電子量制御電極として機能する第1グリッド電極113と、を含んでいる。このように、高圧電圧Vに比べて微少な電圧差(上述した所定範囲L内)による制御を要する引き出し電極及び電子量制御電極を有する電子銃110に対して、安定して高圧電圧Vを供給可能である。
以上の実施形態は、本発明に係るX線発生装置の一実施形態を説明したものである。したがって、本発明に係るX線発生装置は、上述したX線発生装置100に限定されない。本発明に係るX線発生装置は、各請求項の要旨を変更しない範囲において、上述したX線発生装置100を任意に変形したものとすることができる。
例えば、高さ方向における中間部90mの長さは、少なくとも、高圧給電部90の延在する方向(X線管1の管軸方向)に交差(直交)する方向における、高圧給電部90の外壁面と凹部116との間の距離S1よりも大きく、より好ましくは、高圧給電部90の延在擦る方向(X線管1の管軸方向)に交差(直交)する方向における凹部116の径S2の0.5倍以上5倍以下である。
また、壁部83は、絶縁ブロック81と一体であるものに限定されず、壁部83を絶縁ブロック81とは別の絶縁部材によって構成してもよい。また、電源部80に形成される第2壁部としては、壁部83のようにステム部115側に突出した板状構造を立設するような構造に限定されず、例えば、絶縁ブロック81を掘り下げるように形成した凹部の底面に高圧給電部90と電気的接続部とを設けることで、凹部の壁面を第2壁部としてもよい。絶縁ブロック81を構成する絶縁材料は、絶縁樹脂に限らず、例えば、セラミック等の樹脂以外の絶縁材料を用いてもよい。また、高圧電圧Vを供給するのは、電子銃110に限らず、ターゲットTに供給してもよく、透過型のX線管に限らず、反射型のターゲットを用いた反射型X線管を用いてもよい。