JP6900972B2 - シート状の粘着層、積層体およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
これら化粧シートは、例えば、建築物の内外装、建材、家具、家電製品用等の様々な素材に貼り付けて用いられる。表面の鏡面性によって、清潔感、高級感等を演出する意匠性を付与することができる。
このような鏡面性を有する化粧シートとして、ポリエステルフィルムを用いた化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1)。
また、一旦貼り付けた化粧シートを剥離して貼る位置を変更調整した上で再度貼り付けたり、又は、剥離した跡に別の化粧シートを貼り直したりすることが想定される場合には、接着材の代わりに剥離が比較的容易な粘着材(粘着剤とも呼称される)を使用することも可能である。ただし、現実には、従来の粘着材を用いてラミネートする形態の化粧シートは、再剥離して貼り直す等の再利用が意に反して困難であり、例えば、貼り付け時に皺が発生して貼り付けに失敗すると、剥がした化粧シートに変形や破れを生じる為に廃棄したり、素材に再貼り付けを試みる場合は素材表面に残留する粘着材を清掃したりする必要があった。このため、化粧シートを貼り付けるには、特別な設備が必要であったり、熟練した職人が必要であったりして、難易度が高かった。特に、近年では、職人が不足しており、未熟連者や素人では、化粧シートの貼り付け作業において、貼り損ないを頻発していた。
そこで、化粧シートを利用しやすくするために、貼り付けを失敗した場合や貼り換える場合に剥がしてそのまま再度貼り付けを行える、所謂リワーク性を高めることが望まれていた。
図1は、本発明による化粧シートの第1実施形態を示す断面図である。
なお、実写の図6、図7、及び図9から図13を除いて、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張して示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
本明細書において、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、本発明においては、このような使い分けには、技術的な意味はないので、これらの文言は、適宜置き換えて使用することができるし、適宜置き換えても各請求項及び本願明細書の文言は同様に解釈することができるものとする。
また、化粧シートの使用状態において、表側(ポリエステル系樹脂により形成された層121側であって、図1における上側)となる側を表と呼び、その反対側(粘着層13側であって、図1における下側)を裏側と呼ぶこととする。
装飾層11は、基材層111と、印刷層112とを備えている。
(基材層111)
基材層111は、熱可塑性樹脂からなる基材層である。基材層を形成する熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン(線状低密度ポリエチレンを含む)、中密度ポリエチレン(PP)、高密度ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、アイオノマーあるいは、これらの混合物等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、あるいはこれらの混合物等のビニル系;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合体、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体等のアクリル樹脂;ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリスチレン;又はポリイミド等が挙げられる。尚、本願発明明細書に於いて、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸又はメタクリル酸を意味する。また、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートを意味する。
これらのなかから単独で、又は2種以上を選んで混合物として用いることができるが、ポリオレフィン、ポリエステル樹脂が好ましく、なかでも製造後の化粧シートを焼却廃棄処分にする際に有毒な塩素系ガスが発生しないこと、コスト等の観点から、ポリオレフィンがより好ましく、ポリオレフィンのなかでもポリエチレンあるいはポリプロピレンが好ましい。
このような目的で用いられる着色剤は、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、基材層111を有色透明や、有色不透明に着色することができる。一般的には被着体の表面を隠蔽することが必要であるため、有色不透明とすることが好ましい。着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケル−アゾ錯体、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、該基材は基材と各層との層間密着性の強化等を目的として、プライマー層を形成する等の処理を施してもよい。
着色剤としては、特に制限なく、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、ニッケル−アゾ錯体、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、ニッケル、クロム、金、銀、銅、錫、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
印刷層112は、一般的にはグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷、インキジェット印刷のような無版印刷等、周知の印刷方法により形成することができる。絵柄印刷層の模様は、通常の黄色、赤色、青色、及び黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
この印刷層112の厚さは、通常1〜20μm程度であり、1〜10μmが好ましい。
接着層14は、印刷層112と後述するポリエステル系樹脂層121との間に設けられる層であり、接着層14は、樹脂組成物、溶媒、及びその他の添加剤からなる接着塗工剤により形成される。
樹脂組成物としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられる。このうち、ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。樹脂組成物としてポリエステル樹脂を採用することで、基材層111とポリエステル系樹脂層121との接着強度が向上し、本発明の化粧シートの薄膜化を可能とすることができる。樹脂組成物として好ましく採用されるポリエステル樹脂としては、多価カルボン酸及びアルコール成分の各々少なくとも一種を反応させたものが好ましく挙げられる。
硬化剤の使用量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。
また、弾性率は、−0.8〜4MPaの範囲であることが好ましく、1〜3MPaであることがより好ましい。ここで、弾性率は、JIS K6732に準拠し、100%以上の伸びを与えたときの応力を測定した値である。
接着層14は、乾燥後の塗工量が0.1〜20g/m2、好ましくは1〜10g/m2程度になるように塗工される。
表面層12は、ポリエステル系樹脂層121と、表面保護層122とを備えている。なお、表面保護層122は必須というものではない。
(ポリエステル系樹脂層121)
ポリエステル系樹脂層121は、擦り傷等からの印刷層112の保護、化粧シートの表面強度向上、及び塗装感の付与等の観点から、接着層14の上に積層される層である。ポリエステル系樹脂層121を形成するポリエステル樹脂は、製造後の化粧シートを焼却廃棄処分する際に発生する有機ガスの安全性が高いという環境の面でも優位である。
また、ポリエステル系樹脂層121を形成するポリエステル樹脂は、無延伸でも延伸されたものでもよいが、寸法安定性、強度や結晶性、あるいは耐溶剤性等の表面物性を向上させる観点から二軸延伸されたものが好ましい。また、本発明においては鏡面性が重要となるため、化粧シートに優れた鏡面性を付与する観点からも、延伸配向により結晶化した、二軸延伸されたものが好ましい。
また、ポリエステル系樹脂層121を形成するポリエステル樹脂の加熱収縮率は、0〜5%が好ましく、より好ましくは0〜3%である。ここで、加熱収縮率は、JIS C2318に準拠して測定した値である。加熱収縮率が上記範囲内であると、優れた表面物性が得られる。
また、基材層111とポリエステル系樹脂層121との合計厚さは、好ましくは100〜180μmであり、より好ましくは110〜160μmであり、さらに好ましくは120〜140μmである。基材層111とポリエステル系樹脂層121との合計厚さが上記範囲内であれば、優れた加工特性が得られ、かつ加工した際にシート表面にクラック等が発生せず、優れた外観を有する化粧板を得ることができる。
表面保護層122は、本発明の化粧シートに優れた鏡面性と同時に、耐摩擦性、耐擦傷性、耐汚染性、及び耐薬品性等の表面特性を付与するために設けられる層である。
表面保護層122は、その塗膜伸び率が10〜30%であることを要し、10〜25%であることが好ましい。塗膜伸び率が10%未満であると、加工特性が低下し、30%よりも大きいと表面特性の低下を招いてしまう。ここで、該塗膜伸び率は、ポリプロピレン樹脂シート(厚さ:60μm)上に、乾燥後の厚さが5μmとなるように電離放射線硬化性樹脂をグラビア印刷し、電子線を照射して(加圧電圧:175kV,照射線量:30kGy)架橋硬化して製膜したシートについて、JIL K7113−1995に準拠して、測定した伸び率である(2号試験片を使用,試験温度;23℃,試験速度:50mm/min±10%)。表面保護層122は、所定の伸び率を有することで、本発明の化粧シートに優れた加工特性を付与することができる。
表面保護層122の材料として代表的な物は、電離放射線硬化性樹脂組成物、又は熱硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる層であり、電離放射線硬化性樹脂組成物しては、具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー、重合性オリゴマーの中から適宜選択して用いることができる。
加工特性と耐擦傷性とを向上させる観点から、多官能性(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は2以上8以下が好ましく、2以上6以下がより好ましく、2以上4以下がさらに好ましく、2以上3以下がよりさらに好ましい。これらの多官能性(メタ)アクリレートモノマーは、単独で、又は複数種を組み合わせて用いてもよい。また、これら多官能性(メタ)アクリレートモノマー1種以上と後述の(メタ)アクリレートオリゴマー1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマー等がある。
これらの重合性オリゴマーの官能基数は、加工特性と耐擦傷性及び耐候性を向上させる観点から、2以上8以下のものが好ましく、上限としては、6以下がより好ましく、4以下がさらに好ましく、3以下がよりさらに好ましい。
また、これらの重合性オリゴマーの重量平均分子量は、加工特性と耐擦傷性及び耐候性を向上させる観点から、2,500以上7,500以下が好ましく、3,000以上7,000以下がより好ましく、3,500以上6,000以下がさらに好ましい。ここで、重量平均分子量は、GPC分析によって測定され、かつ標準ポリスチレンで換算された平均分子量である。
電離放射線硬化性組成物が紫外線又は可視光線硬化性である場合には、該組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
電離放射線としては、紫外線、可視光線、X線等の電磁波、あるいは電子線、α線、各種イオン線等の荷電粒子線を用いること出来るが、通常は、紫外線又は電子線が用いられる。
表面保護層122の膜厚は、1〜100μm程度の範囲とすることが出来る。
粘着層13は、装飾層11のポリエステル系樹脂層121とは反対側(図1上では、下側となる面であり、これを装飾層11の裏面側とも呼称する)の面に積層されており、壁面等の被着体に対する粘着性を有する層である。粘着層13は、その両面、すなわち、装飾層11に接する側及び剥離性基材シート15に接する側に開口した複数の凹形状13aを備えている。また、粘着層13は、弾性を備えており、複数の凹形状13aがそれぞれ微細な吸盤として作用することから、様々な被着体に対して粘着力(吸着力)を発揮することができる(図2(c)参照)。
さらに、粘着層13の両面に凹形状13aを均等に設けるためには、粘着層13の層厚tは、20μm≦t≦40μmの範囲とすることが望ましい。この点については、後述する。
剥離性基材シート15は、粘着層13の装飾層11とは反対側(図1上では、下側となる面であり、これを粘着層13の裏面側とも呼称する)に積層されている。剥離性基材シート15は、化粧シート1を使用するまでの間の取扱性を考慮して設けられるものであり、化粧シート1の使用時、すなわち被着体の表面に化粧シート1を貼り合せる際に剥離される。剥離性基材シート15としては、従来公知の離型フィルム、セパレート紙、セパレートフィルム、剥離フィルム、剥離紙等の各種形態のものを適宜使用できる。例えば、上質紙、コート紙、含浸紙、プラスチックフィルム等の片面又は両面に離型層を形成したものを用いてもよい。離型層としては、離型性を有する材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は、エマルジョン型、溶剤型又は無溶剤型のいずれもが使用できる。離型層を備えた離型フィルムを用いる場合には、例えば、シリコーン離型タイプのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、未処理PETフィルム、PPフィルム、シリコーン離型タイプの紙等を用いることができる。
また、剥離性基材シート15としては、市販のものを使用してもよく、例えば、片面にシリコーン系剥離剤による易剥離処理が施されている厚さ38μmのポリエステルフィルム(三井化学東セロ株式会社製、商品名:SP−PET−01)等が挙げられる。
なお、本実施形態では、剥離性基材シート15を備える形態を例示したが、使用形態によっては、剥離性基材シート15を省略してもよい。
上述した化粧シート1は、図2(a)に示すように、剥離性基材シート15を備えている。化粧シート1を被着体50に貼り付けるときには、剥離性基材シート15を剥離する(図2(b))。そして、露出した粘着層13を被着体50に貼り付けて、その表面に適度な圧力を加えることにより、粘着層の露出面に多数存在する凹形状13aが弾性変形することにより従来のマイクロ吸盤と同様な作用によって被着体50に対して吸着(粘着)することとなる(図2(c))。
すなわち、凹形状13aの周囲の弾性変形によって、凹形状13aには、変形状態から元の形状に戻ろうとする力が働く。この力により、凹形状13a内の密閉空間が負圧となって、被着体50への吸着作用が生じる。なお、凹形状13a単体での吸着力は、弱いものであるが、多数の凹形状13aが形成されているので、全体としては必要な吸着力を確保できる。また、粘着層13の作製時に、凹形状13aが含まれる量を、例えば、密度をパラメータとして調整すれば、粘着層13の粘着力(吸着力)を調整可能である。
本実施形態の化粧シート1は、例えば図3に示すようにロール1Rの形態に巻いた形態として製造され、流通させることができる。このような形態であれば、貼り付け対象の被着体に合せて必要所定量の化粧シート1を図3に図示の如くロール1Rから巻き出した後、必要な大きさ及び形状にカットして用いることができる。また、流通時に折り曲がってしまうことも防止できる。なお、化粧シート1は、ロール1Rの形態に巻いた形態に限らず、枚葉の形態としてもよい。
斯かるロール1Rは、図3の如く通常、紙管等の巻軸1Sの周囲に化粧シート1を巻き取るが、巻軸1S無しで化粧シート1のみを巻き取る形態も可能である。ロール1Rを構成する化粧シート1は剥離性基材シート15を含む構成とする事も、あるいは剥離性基材シート15を含まない構成とする事もいずれも可能であるが、巻出し時の化粧シート1の円滑な巻出し性、及び表面層12の表面と粘着層13との相互作用による艷等の位相外観変化の防止の為には、剥離性基材シート15を含む形態の化粧シート1を巻き取ってロー1Rの形態とする方が好ましい。
図4は、化粧シート1の製造装置を示す図である。
図5は、化粧シート1の製造方法を説明する図である。
以上のように、本実施形態の化粧シート1の製造では、装飾層11及び表面層12に粘着層13形成時の熱によるダメージを与えることなく、化粧シート1を効率よく製造可能である。なお、化粧シートは、その後、ロール状に巻き取ってもよいし、必要なサイズに裁断されてもよい。
実施例の化粧シート1では、剥離性基材シート15に離型性を備えた2軸延伸PETフィルムを用い、この上に、200μmのクリアランスを有するコンマコータを用いて泡立て工程済みの気泡含有組成物130を塗布した。これを100℃の乾燥路内で1分間乾燥を行って粘着層13を形成し、装飾層11及び表面層12をラミネートして化粧シート1を得た。なお、この場合の粘着層13の密度は、0.58g/cm3であり、厚さ50μmであった。
図6は、実施例の化粧シート1の粘着層13を裏面側(粘着面側)の方向から見て拡大した写真である。
図7は、実施例の化粧シート1の粘着層13の裏面側(粘着面側)近傍部分についてシート面に直交する方向の断面で拡大した図である。
図6及び図7に示すように、粘着層13には、多数の凹形状13aが形成されていることが確認できる。
なお、本明細書中においてシート面とは、各シートにおいて、其のシート全体として見た場合に、シートの平面方向となる面を示すものであるとする。図1においては、装飾層11の表面又は裏面、あるいは、これらの面と平行な任意の面がシート面に相当する。
比較例2として、アクリル樹脂である綜研化学社製:SK2094を用いて泡立て工程無しで塗工して粘着層を作製した化粧シート(アクリル粘着Aタイプとする)を用意した。
比較例3として、アクリル樹脂である綜研化学社製:SK1502Cを用いて泡立て工程無しで塗工して粘着層を作製した化粧シート(アクリル粘着Bタイプとする)を用意した。
図8は、実施例及び比較例の剥離力を示す図である。
図8中の剥離力は、引っ張り試験機を用いて、引っ張り速度300mm/minで180°剥離を行って、そのときの剥離力を測定した結果である。また、剥離力の測定は、貼り付け直後(0.5時間)と、貼り付け後1000時間経過とについて行った。
比較例1は、小片であれば比較的小さな剥離力で剥離できるが、大サイズの場合は剥離にある程度の力が必要であった。また、剥離後には被着体表面に粘着層の残留が見られ、完全な再貼り付けは不可能であった。
比較例2は、大サイズの場合は剥離にある程度の力が必要であり、また、貼り付け直後であれば、剥がすことは可能であるが、1000時間経過後では、剥離力が大幅に上昇してしまっており、手作業では剥離が困難であったり、無理に剥がすと装飾層11及び表面層12が破損したりするおそれがある状態になっていた。
比較例3は、貼り付け直後から剥離力が大きすぎて、手作業では剥離が困難であったり、無理に剥がすと装飾層11及び表面層12が破損したりするおそれがある状態になっていた。
また、比較例2及び比較例3のいずれも、剥離後は、試験用被着体に粘着材が一部残ってしまったり、粘着力の低下があったりして、再貼り付けには適していなかった。
上述したように、本発明において、粘着層13の凹形状13aが、粘着力に大きな影響を与える。凹形状13aが粘着層13の両面に均等に設けられていないと、粘着層の一方の面が他方の面に比べて粘着力(吸着力)が低下、又は、増加してしまうおそれがある。また、凹形状13aが粘着層13の両面に均等に設けられることにより、粘着層13の物理的性質も均質になり、装飾層11と剥離性基材シート、又は、装飾層11と被着体との両者に対する十分な粘着力及び被着体との再剥離性の発現の上でも好ましい。
検証実験として、4種類の粘着層のサンプルを作製し、その両面の凹形状13aをSEMで観察した。サンプルは、以下の4種類である。
サンプル1:粘着層の層厚t=25μm
サンプル2:粘着層の層厚t=30μm
サンプル3:粘着層の層厚t=35μm
サンプル4:粘着層の層厚t≒2000μm
なお、上記サンプルの層厚は、乾燥後の層厚である。また、サンプル1〜3については、コーターを用いてガラス面に発泡処理後の気泡含有組成物を塗工し、100度の乾燥炉を用いて乾燥処理を行なった。サンプル4については、ガラス面への滴下塗布とし、常温下(室温20°C)の自然乾燥とした。なお、サンプル4について乾燥条件を変えたのは、特許文献2における常温乾燥で十分であるとの記載についても検証するためである。また、いずれのサンプルも、発泡処理後の粘着層の密度は、0.4g/cm3とした。
図10は、サンプル2の観察結果を示す図である。
図11は、サンプル3の観察結果を示す図である。
図12は、サンプル4の観察結果を示す図である。
図9から図11のように、粘着層の層厚tを管理し、かつ加熱乾燥したサンプル1からサンプル3については、微細な凹形状13aが両面に均等に形成されていることが確認できた。
これに対して、図12に示す膜厚が厚いと共に常温乾燥したサンプル4では、乾燥面とガラス側面とで凹形状13aの大きさに極端な差異が認められ、特許文献2の図2と同様な結果が得られた。
よって、粘着層13の両面に凹形状13aを均等に設けるためには、粘着層13の層厚tは、20μm≦t≦40μmの範囲とすることが望ましいと判断できる。
装飾層11側の面に開口する凹形状13aの各開口部の直径の平均値をDave 1とし、剥離性基材シート側(装飾層とは反対側)に開口する凹形状13aの各開口部の直径の平均値をDave 2としたときに、
|Dave 1−Dave 2|/Dave 2≦0.5
の関係を満たすことが望ましい。
また、
|Dave 1−Dave 2|/Dave 2≦0.25
の関係を満たすことがさらに望ましい。
これらの関係を満たすことにより、粘着層の両面における粘着力の差異を少なくすることができ、また、装飾層11と剥離性基材シート、又は、装飾層11と被着体との両者に対する十分な粘着力及び被着体との再剥離性を良好に発現させることができる。
なお、各開口部の直径の平均値の求め方としては、上述した手法は、一例であって、実際の粘着層13の形態に応じて、適宜最適化することが望ましい。例えば、極端に直径が大きな開口部や、開口形状が歪んだ開口部等の特異な開口部については、平均値の演算から除外するとよい。また、直径が大きい開口部から順に3個をサンプルとせずに、直径が大きい開口部から順に3個までは除外して、それ以降の大きさの開口部について、平均値の演算のサンプルとしてもよい。また、サンプル数Nも、3個よりも多くして精度を向上してもよい。
なお、平均値を求める際のサンプル数Nの決定については、サンプル数Nに於ける平均値Dave 1(N)及びDave 2(N)の標準偏差σ(Dave 1(N))及びσ(Dave 2(N))がNの増加に対して十分に收束すると判斷される最小のサンプル数として決定すればよい。通常の場合、3≦N≦100程度、好ましくは、10≦N≦30程度とする。
また、粘着層13の粘着力は、凹形状13aの吸着力によるものであるから、リワーク性が高く、貼り付けを失敗したとしても張り直しが容易であり、使い勝手がよい。
さらに、凹形状13aは、微細なサイズであって多数設けられていることから、被着体の表面に多少の凹凸が有ったとしても、粘着力(吸着力)を発揮することができる。
さらにまた、化粧シート1を剥がした後の被着体の表面には、糊残りのような現象は発生しないことから、清掃の必要がなく、そのまま再貼り付けを行うことができ、作業性が良好である。
また、本実施形態の化粧シート1は、加熱することなく粘着層13を形成可能であることから、熱に弱い装飾層11及び表面層を含め、様々な形態の装飾層11及び表面層を利用して化粧シートを構成することが可能である。
(用途)
本実施形態及びその他の各実施形態の化粧シート1は、各種素材の表面の全面又は一部領域の表面に貼り付けて、建築物の壁、床、天井等の表面を化粧する内装材、箪笥、食器棚、机等の家具、扉、襖、廻り縁、腰壁等の建具乃至造作部材、家電製品用の筐体、自動車等の乗物の内装材等の各種用途に用いることができる。
また、素材、すなわち、化粧シート1の被着体としては、木材、樹脂、金屬、陶磁器、硝子、センメント、珪酸カルシウム等各種材料からなる、平板、中空又は中実の柱状体等各種形状形態のものを用いることができる。
図13は、化粧シートの第2実施形態を示す断面図である。
第2実施形態及び後述する第3実施形態は、一部の層構成を省略した他は、第1実施形態と同様な構成をしている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態の化粧シート1Bは、第1実施形態の化粧シート1から装飾層11及び接着層14を省略した形態である。このような形態の場合、例えば、ポリエステル系樹脂層121を着色しておくとよい。
図14は、化粧シートの第3実施形態を示す断面図である。
第3実施形態の化粧シート1Cは、第2実施形態の化粧シート1からさらに表面保護層122を省略した形態である。このような形態の場合、例えば、ポリエステル系樹脂層121の表面を平滑にしておけば、表面保護層122がなくても表面の鏡面性を備えることが可能である。
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
1R ロール
1S 巻軸
11 装飾層
12 表面層
13 粘着層
13a 凹形状
14 接着層
15 剥離性基材シート
50 被着体
111 基材層
112 印刷層
121 ポリエステル系樹脂層
122 表面保護層
130 気泡含有組成物
130CL 液状塗工層
130CS 固化塗工層
Claims (10)
- 第1面および第2面を有するシート状の粘着層であって、
前記粘着層は、前記第1面に開口部を有する第1凹形状を備え、かつ前記第2面に開口部を有する第2凹形状を備え、
前記第1凹形状の開口部の直径の平均値をD ave 1 とし、前記第2凹形状の開口部の直径の平均値をD ave 2 としたときに、
|D ave 1 −D ave 2 |/D ave 2 ≦0.5
の関係を満たす、
シート状の粘着層。 - 前記粘着層の厚さが、20μm以上、40μm以下である、
請求項1に記載のシート状の粘着層。 - 前記第1凹形状の開口部の直径の平均値D ave 1 および前記第2凹形状の開口部の直径の平均値D ave 2 は、1μm以上、300μm以下である、
請求項1または請求項2に記載のシート状の粘着層。 - 前記粘着層の密度が、0.1g/cm 3 以上、0.7g/cm 3 以下である、
請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート状の粘着層。 - |D ave 1 −D ave 2 |/D ave 2 ≦0.25
の関係を満たす、
請求項1から請求項4のいずれかに記載のシート状の粘着層。 - 前記粘着層がアクリル樹脂を有する、
請求項1から請求項5のいずれかに記載のシート状の粘着層。 - 前記粘着層を形成するための液状の樹脂組成物を攪拌することによって、前記樹脂組成物に気泡を含ませる工程と、
前記樹脂組成物を塗工する工程と、
前記樹脂組成物を乾燥させることによって、前記粘着層を形成する工程と、
を備える、
請求項1から請求項6のいずれかに記載のシート状の粘着層の製造方法。 - 前記樹脂組成物を塗工する前記工程で、前記樹脂組成物を、剥離性基材シートに塗工する、
請求項7に記載のシート状の粘着層の製造方法。 - 請求項1から請求項6のいずれかに記載のシート状の粘着層が積層された、積層体。
- 前記粘着層を形成するための液状の樹脂組成物を攪拌することによって、前記樹脂組成物に気泡を含ませる工程と、
前記樹脂組成物を剥離性基材シートに塗工する工程と、
前記樹脂組成物を乾燥させることによって、前記粘着層を形成する工程と、
前記粘着層の剥離性基材シートが存在する面とは反対の面側を、他の層に接触させてラミネートする工程と、
を備える、
請求項9に記載の積層体の製造方法。
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