JP6910041B2 - 炭素繊維複合材料 - Google Patents

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Description

本発明は、界面接着性及び帯電防止特性に優れた炭素繊維複合材料に関する。
近年、金属材料の代替材料として繊維強化プラスチックが注目され、ガラスや炭素繊維を補強材とした複合材料が様々な用途で使用されている。しかし、繊維強化プラスチックでは長繊維を用いて圧縮成形法により成形するのが一般的であるが、圧縮成形法では細かな形状に対応できず、成形性が悪いといった問題があった。
また、炭素繊維の製造には、多くのエネルギーやコストを要するので、リサイクル炭素繊維(RCF)を利用することも行われている。また、廃炭素繊維複合材料は埋め立て処理ができないため、リサイクル炭素繊維を廃炭素繊維複合材料から取り出して有効利用する点は循環社会に対し大きく寄与する。
RCFには、サイジング剤が表面に塗布されている。サイジング剤は、主に、炭素繊維の結束と、炭素繊維と熱硬化性樹脂との複合化とを効率よくするためのものであり、熱可塑性樹脂とは相溶性が低い。よって、サイジング剤は、炭素繊維と熱可塑性樹脂との間における良好な界面接着性が得られないことから、炭素繊維と熱可塑性樹脂との複合材料において、機械的特性の向上は難しいという問題があった。
また、RCFには、その繊維表面に樹脂との界面接着性低下の原因となりうる微細なうねりと表面粗さが存在する。そこで、補強効果を効率よく発現させるために、RCFのアスペクト比を大きくする方策が採られている。しかし、RCFの繊維長が5mm超になると、射出成形や押出成形が困難になり、成形方法および用途を限定する原因となってしまうという問題があった。
また、非極性の熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂等)中に、補強材である極性のセルロース繊維を分散させることは非常に困難である。非極性の熱可塑性樹脂中に極性のセルロース繊維を分散させる相溶化剤として、例えば、特許文献1、2には、ポリプロピレンとセルロース繊維に対し、相溶化剤としてマレイン酸変性ポリプロピレンを混合することにより得られる複合材料が開示されている。しかしながら、相溶化剤としてマレイン酸変性ポリプロピレンを用いた複合材料では、繊維状補強材と樹脂間における界面接着性が十分ではなく、また、十分な導電性が得られない場合があるという問題があった。また、複合材料の前記界面接着性を向上させるためには、マレイン酸変性ポリプロピレンを多量に添加しなければならないが、マレイン酸変性ポリプロピレンの配合量を増大させると、複合材料の導電性が低下してしまうという問題があった。
特開2014−133835号公報 特開2009−019200号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、少量の相溶化剤でも、繊維状補強材と樹脂間における界面接着性が向上して優れた機械的特性が得られ、また、導電性に優れた複合材料を提供することを目的とする。
本発明の態様は、炭素繊維と、熱可塑性樹脂と、前記炭素繊維と前記熱可塑性樹脂の相溶化剤と、を含む炭素繊維複合材料であって、前記相溶化剤が、ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸及びポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩からなる群から選択された少なくとも1つのブロック共重合体である炭素繊維複合材料である。
上記態様では、ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸は、ポリオレフィンである重合体ブロックとポリ(メタ)アクリル酸である重合体ブロックとを有している。ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩は、ポリオレフィンである重合体ブロックとポリ(メタ)アクリル酸の金属塩である重合体ブロックとを有している。なお、ポリオレフィンとは、特定のオレフィン1種またはオレフィン2種以上の共重合体を意味する。
本発明の態様は、前記相溶化剤が、0.5〜10質量%含まれる炭素繊維複合材料である。
本発明の態様は、前記相溶化剤が、トリブロック共重合体である炭素繊維複合材料である。
本発明の態様は、前記ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸が、ポリ(メタ)アクリル酸−ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸、前記ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩が、ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩−ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩である、炭素繊維複合材料である。
本発明の態様は、前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン樹脂である炭素繊維複合材料である。
本発明の態様は、前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンである炭素繊維複合材料である。
本発明の態様は、前記炭素繊維の繊維長が、0.1〜50mmである炭素繊維複合材料である。
本発明の態様によれば、極性を有する炭素繊維と熱可塑性樹脂の相溶化剤として、ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸及びポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩からなる群から選択された少なくとも1つのブロック共重合体を配合することにより、炭素繊維と熱可塑性樹脂間における界面接着性が向上し、結果、優れた機械的特性を有する炭素繊維複合材料が得られる。また、炭素繊維が炭素繊維の表面にサイジング剤が塗布された強い極性を有する炭素繊維であり、熱可塑性樹脂が非極性であっても、上記相溶化剤も配合することにより、非極性の熱可塑性樹脂中における極性の炭素繊維の分散を均一化できるので、前記界面接着性が向上し、結果、優れた機械的特性を有する炭素繊維複合材料が得られる。
また、本発明の態様によれば、上記相溶化剤は少量の配合でも優れた機械的特性を有する炭素繊維複合材料が得られるので、導電性に優れ、帯電防止機能の向上した炭素繊維複合材料を得ることができる。
本発明の態様によれば、相溶化剤が、0.5〜10質量%含まれることにより、界面接着性と導電性とをバランスよく向上させることができる。
本発明の態様によれば、炭素繊維の繊維長が0.1〜50mmであることにより、射出成形や押出成形等による成形性が向上する。
炭素繊維のFE−SEM写真である。 サイジング剤の除去を行っていない炭素繊維の結合エネルギーのグラフである。 サイジング剤の除去を行った炭素繊維の結合エネルギーのグラフである。 マイクロドロップレット(MD)試験における界面せん断強度のグラフである。 フラグメンテーション(FT)試験における界面せん断強度のグラフである。 フラグメンテーション(FT)試験における界面せん断強度のグラフである。 表面抵抗値の測定結果のグラフである。 表面抵抗値の測定結果のグラフである。
次に、本発明の炭素繊維複合材料について、以下に説明する。本発明の炭素繊維複合材料は、(A)炭素繊維と、(B)熱可塑性樹脂と、(C)炭素繊維と熱可塑性樹脂の相溶化剤と、を含む炭素繊維複合材料であって、(C)相溶化剤が、ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸及びポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩からなる群から選択された少なくとも1つのブロック共重合体である。
(A)炭素繊維
炭素繊維は、リサイクル炭素繊維(RCF)でも、リサイクルではない炭素繊維でも使用可能である。炭素繊維の表面にサイジング剤が塗布されている場合には、必要に応じて、サイジング剤除去工程にて、炭素繊維表面におけるサイジング剤の塗布量を低減させておく。サイジング除去工程としては、例えば、炭素繊維を、有機溶剤(例えば、アセトン等)中にて、30〜50℃、10〜30分の超音波処理を行い(必要に応じて、超音波処理は複数回行ってもよい)、その後、アルコール(例えば、エタノール)と蒸留水にて洗浄し、乾燥させる方法が挙げられる。
炭素繊維の繊維長は、特に限定されず、成形品に要求される強度等の特性に応じて、1mm以下から数メートルまで、適宜選択可能である。炭素繊維の繊維長は、例えば、補強剤としての効果と成形性のバランスの点から、0.1〜50mm が好ましく、1.0〜5.0mmが特に好ましい。また、炭素繊維複合材料中における炭素繊維の配合量は、特に限定されないが、その下限値は、機械的強度を確実に得る点から1.0質量部が好ましく、3.0質量%がより好ましく、5.0質量%が特に好ましい。一方で、炭素繊維複合材料中における炭素繊維の配合量の上限値は、優れた成形性を得る点から25質量%が好ましく、15質量%がより好ましく、10質量%が特に好ましい。
(B)熱可塑性樹脂
熱可塑性樹脂は、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル− ブタジエン− スチレン樹脂(ABS)、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂)、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなどが挙げられる。これらのうち、成形性、耐水性、耐油性及び耐溶剤性等に優れる点から、ポリプロピレン樹脂が好ましい。これらの樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
炭素繊維複合材料中における熱可塑性樹脂の配合量は、特に限定されないが、例えば、65〜98.5質量%が好ましく、75〜95質量%が特に好ましい。
(C)炭素繊維と熱可塑性樹脂の相溶化剤(以下、「相溶化剤」ということがある。)
本発明では、相溶化剤として、ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸及びポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩からなる群から選択された少なくとも1つのブロック共重合体が配合されている。前記相溶化剤を配合することで、非極性の熱可塑性樹脂の補強材として、極性を有する炭素繊維が用いられても、非極性の熱可塑性樹脂中における炭素繊維の分散を均一化できるので、炭素繊維と熱可塑性樹脂間における界面接着性が向上し、結果、優れた機械的特性を有する炭素繊維複合材料が得られる。さらに、上記相溶化剤は少量の配合でも優れた機械的特性を有する炭素繊維複合材料が得られるので、導電性に優れた炭素繊維複合材料を得ることができる
ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸
ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸は、ポリオレフィンである重合体ブロックとポリ(メタ)アクリル酸である重合体ブロックとを有している。上記2種のブロック重合体を有する構造であれば、化学構造は、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体等、特に限定されないが、炭素繊維と熱可塑性樹脂間における界面接着性がさらに向上する点からトリブロック共重合体が好ましく、[a]−[b]−[a]構造のトリブロック共重合体が特に好ましい。
[a]の重合体ブロックは、ポリ(メタ)アクリル酸である。[a]の数平均分子量は、特に限定されないが、500〜10000が好ましく、1000〜5000が特に好ましい。[a]の重合体ブロックも、[a]の共重合体ブロックと同様に、ポリ(メタ)アクリル酸である。[a]の数平均分子量は、特に限定されないが、[a]の重合体ブロックと同様に、500〜10000が好ましく、1000〜5000が特に好ましい。
[b]の重合体ブロックは、ポリオレフィンである。ポリオレフィンとして、例えば、ポリプロピレンを挙げることができる。ポリプロピレンには、通称ホモポリプロピレンと呼ばれるイソタクチックポリプロピレン、通称ランダムポリプロピレンと呼ばれるプロピレンと少量(例えば、ランダムポリプロピレン中に10質量%以下)の他のα−オレフィンとのランダム共重合体、通称ブロックポリプロピレンやリアクターブレンドポリプロピレンと呼ばれるプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。また、ポリプロピレンの他、ポリエチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチルペンテン)などのポリオレフィンを挙げることが出来る。[b]の数平均分子量は、特に限定されないが、1000〜200000が好ましく、10000〜50000が特に好ましい。
ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸の製造方法は、例えば、ポリオレフィンの熱分解を制御することにより、熱分解生成物である両末端に二重結合を有するポリオレフィン(テレケリックス)を得、得られた両末端に二重結合を有するポリオレフィンの末端に、原子移動ラジカル重合(ATRP)によりポリ(メタ)アクリル酸を付加させる製造方法を挙げることができる。
ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩
ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩は、ポリオレフィンである重合体ブロックとポリ(メタ)アクリル酸の金属塩である重合体ブロックとを有している。上記2種のブロック重合体を有する構造であれば、化学構造は、ジブロック共重合体、トリブロック共重合体等、特に限定されないが、炭素繊維と熱可塑性樹脂間における界面接着性がさらに向上する点からトリブロック共重合体が好ましく、[a]−[b]−[a]構造のトリブロック共重合体が特に好ましい。
[a]の重合体ブロックは、ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩である。ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩である重合体は、ポリ(メタ)アクリル酸の全てのカルボキシル基について、水素原子が金属イオンで置換されてもよく、ポリ(メタ)アクリル酸の一部のカルボキシル基について、水素原子が金属イオンで置換されてもよい。金属イオン種としては特に限定されないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、亜鉛イオン等を挙げることができる。[a]の数平均分子量は、特に限定されないが、500〜10000が好ましく、1000〜5000が特に好ましい。[a]の重合体ブロックも、[a]の重合体ブロックと同様に、ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩である。[a]の数平均分子量は、特に限定されないが、[a]の重合体ブロックと同様に、500〜10000が好ましく、1000〜5000が特に好ましい。金属イオン種としては特に限定されないが、[a]の重合体ブロックと同様に、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、亜鉛イオン等を挙げることができる。
[b]の重合体ブロックは、ポリオレフィンである。ポリオレフィンとして、例えば、ポリプロピレンを挙げることができる。ポリプロピレンには、通称ホモポリプロピレンと呼ばれるイソタクチックポリプロピレン、通称ランダムポリプロピレンと呼ばれるプロピレンと少量(例えば、ランダムポリプロピレン中に10質量%以下)の他のα−オレフィンとのランダム共重合体、通称ブロックポリプロピレンやリアクターブレンドポリプロピレンと呼ばれるプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体などが挙げられる。また、ポリプロピレンの他、ポリエチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチルペンテン)などのポリオレフィンを挙げることが出来る。[b]の数平均分子量は、特に限定されないが、1000〜200000が好ましく、10000〜50000が特に好ましい。
ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩の製造方法は、例えば、ポリオレフィンの熱分解を制御することにより、熱分解生成物である両末端に二重結合を有するポリオレフィン(テレケリックス)を得、得られた両末端に二重結合を有するポリオレフィンの末端に、原子移動ラジカル重合(ATRP)によりポリ(メタ)アクリル酸を付加させたのち、金属イオンを添加して中和する製造方法を挙げることができる。
炭素繊維複合材料中における相溶化剤の配合割合は、特に限定されないが、その下限値は、炭素繊維の分散性をより均一化することで界面接着性を確実に向上させる点から0.5質量%が好ましく、1.0質量%がより好ましく、2.0質量%が特に好ましい。一方で、炭素繊維複合材料中における相溶化剤の配合割合の上限値は、優れた導電性を得る点から10質量%が好ましく、5.0質量%がより好ましく、4.0質量%が特に好ましい。
また、本発明の炭素繊維複合材料では、上記(A)〜(C)成分に加えて、必要に応じて、他の成分を添加してもよい。他の成分としては、特に限定されず、例えば、フェノール系およびリン系等の酸化防止剤、ステアリン酸系及びオレイン酸系等の滑剤等を挙げることができる。
炭素繊維複合材料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂と炭素繊維と相溶化剤とを所定の割合にて配合後、成型機(例えば、押出機等)を用いて上記配合物を溶解、混練することで製造することができる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
炭素繊維複合材料について
熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン(日本ポリプロピレン(株)製:NOVATEC-PP:FY6,MFR:2.5,Mn:776000)を使用した。炭素繊維として、東レ(株)製:T700/12Kを使用した。炭素繊維表面のサイジング剤は、熱分解処理では酸化孔が生じるため、アセトンにて超音波処理を40℃、20分にて2回行い、その後、エタノールと蒸留水にてリンスし、乾燥させて、炭素繊維表面から取り除いた。炭素繊維のサイジング剤が除去できたことを電界放出形走査電子顕微鏡(Field Emission-Scanning Electron Microscope:FE-SEM)(日本電子(株)製:JSM-7100F)及びX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)(テルモ(株)製:K-ALPHA KA1148)を用いて確認した(図1、2、3参照)。
図1から、サイジング剤の除去後に、縦に細かな線状の凹凸を炭素繊維表面に確認することができた。また、図2、3及び下記表1から、サイジング剤のC−OH結合の減少が確認できた。
Figure 0006910041
なお、表1中、左の表がサイジング剤の除去を行っていない炭素繊維のX線光電子分光の測定結果、右の表がサイジング剤の除去を行った炭素繊維のX線光電子分光の測定結果である。
相溶化剤として、以下のものを使用した。
・無水マレイン化ポリプロピレン(MAPP)(三洋化成(株)製:ユーメックス1010 酸化度52%Mn:42000)。無水マレイン化ポリプロピレンは熱可塑性樹脂と炭素繊維を混練する場合に用いられている従来の相溶化剤である。
・ポリアクリル酸−イソタクチックポリプロピレン―ポリアクリル酸のトリブロック共重合体(iPP−PAA)((株)三栄興業製 Mn:4000−23000−4000)。
・ポリアクリル酸ナトリウム−イソタクチックポリプロプレン―ポリアクリル酸ナトリウムのトリブロック共重合体(iPP−PAA-Na)((株)三栄興業製 Mn:5000−23000−5000)。なお、iPP−PAA-Naは、作製時に金属イオンで中和する際にNaイオンを用いることでNaイオンを添加したものである。
・ポリアクリル酸−ランダムポリプロピレン―ポリアクリル酸のトリブロック共重合体(rPP−PAA)((株)三栄興業製 Mn:2500−17000−2500)。ランダムポリプロピレンは、エチレンを5質量%、プロピレンを95質量%含むランダムコポリマーである。
炭素繊維複合材料の製造方法について
リアクティブプロセッシングによる各種コンポジットの作製
ポリプロピレンと、補強材である炭素繊維(Entry6〜10)と、上記相溶化剤であるMAPP、iPP−PAA、iPP−PAA-Na、rPP−PAAとを、下記表2の配合割合にて二軸押出機(テクノベル(株)製:KZW20TW-45MG-NH、L/D=45 スクリュー径20mm:同方向回転)を用いて射出部190℃、混合180℃、回転数150rpmにて、溶解、混練してストランドを作製し、ストランドペレタイザ(テクノベル(株)製)を用いてペレット状に加工した。なお、表2中、配合量の空欄部は配合なしを意味する。
Figure 0006910041
炭素繊維複合材料における熱可塑性樹脂と炭素繊維の界面接着性評価は、マイクロドロップレット(MD)法とフラグメンテーション(FT)法を用いて行った。
マイクロドロップレット(MD)法
サイジング剤を除去した炭素繊維(直径7μm、繊維長50mm)を金型の中心にはり、該金型の中心に、溶融した上記Entry1〜5の試料を付着させて、サンプルを作製した。熱可塑性樹脂の溶融にはヒートプレート(AS ONE社製:TEMPERATURE CONTROLLER TJA-550)を使用した。各サンプルの溶融温度、溶融時間、樹脂玉成形温度、樹脂玉成形時間の条件を下記表3に示す。
Figure 0006910041
上記のように、炭素繊維にEntry1〜5の試料を付着させて、サンプルである樹脂玉を作製した。試験に用いた樹脂玉の大きさは100μm とした。炭素繊維に付着した樹脂玉をブレードで把持し、炭素繊維を樹脂玉が抜けるまで一方向に引っ張った。界面接着性評価の試験速度は0.06mm/分とした。炭素繊維から樹脂玉が抜けたときの荷重(F)を用いて、式(1)にて界面せん断強度(τ)を算出した。なお、下記界面せん断強度の測定は、東栄産業(株)製の複合材界面特性評価装置HM410 を用いて行った。
τ=F /(πDL) (1)
(式中、D は炭素繊維の直径、L は樹脂玉と炭素繊維とが接する界面の長さを意味する。)
フラグメンテーション(FT)法
ホットプレス機(井元製作所(株)製:IMC-180C型)を用いてEntry1〜5のフィルムを作製した。フィルムとしての成形条件は、各サンプルについて、溶融を180℃で5分、圧縮を50kNで3分とした。フィルムの作製後、Entry1〜5のフィルムについて、サイジング剤の除去処理を行った炭素繊維とサイジング剤の除去処理を行っていない炭素繊維を、それぞれ、直線状に貼り付け、180℃にて1分の溶融、50kNにて1分の圧縮をし、炭素繊維をフィルム中に挟み込んだ。炭素繊維をフィルム中に挟み込んだ試料を、試料打ち抜き機(井元製作所(株)製:IMC-1948型)を用いて所定形状に成形し、サンプルを作製した。
作製したサンプルを引張試験機(SHIMADZU製:オートグラフAG-Xplus)にセットし、引張試験機の前にカメラ(NOW JAPAN製)を設置し、0.5mm/分の速度で引張試験を行い、炭素繊維の破断を観察した。下記式(2)にて炭素繊維臨界繊維長を算出し、下記式(3)にて界面せん断強度(τ)を算出した。せん断繊維測定本数N=4で平均値を採用した。
Figure 0006910041
(式中、Laf:破断長、Lc:炭素繊維臨界破断長μm、D:繊維径 μm、σf:繊維の引張強度MPa、τ:界面せん断強度MPaを意味する。)
マイクロドロップレット(MD)試験の結果を図4に示す。
図4から、相溶化剤を用いなかった比較例1であるEntry1と比較して、相溶化剤としてMAPPを用いた比較例2であるEntry2、相溶化剤としてiPP−PAAを用いた実施例1であるEntry3、相溶化剤としてiPP−PAA-Naを用いた実施例2であるEntry4、相溶化剤としてrPP−PAA を用いた実施例3であるEntry5では、それぞれ、56%、129%、117%、99%の界面せん断強度の向上が確認された。また、比較例2であるEntry2と比較して、実施例1である Entry3、実施例2であるEntry4、実施例3であるEntry5では、それぞれ、46%、38%、27%の界面せん断強度の向上が確認された。よって、MAPPと比較して、iPP−PAA、iPP−PAA-Na、rPP−PAAは、いずれも優れた界面接着性を示した。
フラグメンテーション(FT)試験の結果を図5、6に示す。図5は、サイジング剤の除去処理を行った炭素繊維のFT試験結果、図6はサイジング剤の除去処理を行っていない炭素繊維のFT試験結果である。
図5から、サイジング剤の除去処理を行った炭素繊維について、比較例1であるEntry1と、比較例2であるEntry2、実施例1である Entry3、実施例2であるEntry4、実施例3であるEntry5を比較すると、それぞれ、230%、337%、367%、284%の界面せん断強度の向上が確認された。また、比較例2であるEntry2と、実施例1である Entry3、実施例2であるEntry4、実施例3であるEntry5を比較すると、それぞれ、32%、41%、16%の界面せん断強度の向上が確認された。
図6から、サイジング剤の除去処理を行っていない炭素繊維について、比較例1であるEntry1と、比較例2であるEntry2、実施例1である Entry3、実施例2であるEntry4、実施例3であるEntry5を比較すると、それぞれ、186%、397%、356%、292%の界面せん断強度の向上が確認された。また、比較例2であるEntry2と、実施例1である Entry3、実施例2であるEntry4、実施例3であるEntry5を比較すると、それぞれ、73%、59%、37%の界面せん断強度が確認された。
上記図5、6から、サイジング剤の除去処理を行った炭素繊維でも、サイジング剤の除去処理を行っていない炭素繊維でも、MAPPと比較して、iPP−PAA、iPP−PAA-Na、rPP−PAAは、いずれも優れた界面接着性を示した。
マイクロドロップレット(MD)試験とフラグメンテーション(FT)試験の結果から、サイジング剤中に含まれるC−OH結合と相溶化剤であるiPP−PAA、iPP−PAA-Na、rPP−PAAとが、エステル結合して架橋を形成したことにより、界面せん断強度が向上したと考えられる。サイジング剤の除去処理を実施した炭素繊維においても、C−OH結合の残基と上記各相溶化剤とが架橋を形成したと考えられるため、サイジング剤の除去処理をした炭素繊維、サイジング剤の除去処理をしなかった炭素繊維、どちらにおいても界面接着性が向上したと考えられる。
また、MAPPでは、五員環オキソランが炭素繊維のサイジング剤のC−OH結合とエステル結合することによって、相溶化剤を配合しなかった比較例1と比較して界面せん断強度が向上したと考えられる。しかしながら、MAPPでは、サイジング剤中に含まれるC−OH結合との結合部が1か所のみであり、架橋は点で形成されていると考えられる。これに対し、iPP−PAA、iPP−PAA-Na、rPP−PAAでは、サイジング剤のC−OH結合と両末端にあるアクリル基とで架橋を形成、すなわち、2か所の架橋により、架橋は面で形成されて3次元的な架橋構造となるので、MAPPと比較して、より高い界面接着性を示したと考えられる。
帯電防止特性評価
比較例1であるEntry1、実施例1、2、3であるEntry3、4、5、実施例4、5、6であるEntry8、9、10の各試料について、ホットプレスで180℃、1分で溶融し、厚さ0.4〜0.8mmに成形してシート状とした。サンプルの表面抵抗の測定はJIS K 6911に従い、次のようにして行った。表面抵抗計にハイレスタ−UP(三菱化学(株)製)、プローブはUR−100(三菱化学(株)製)を用いた。装置を起動し抵抗値が安定するまで2時間放置し、1000Vを60秒印可した後、23℃で表面抵抗値を測定した。
表面抵抗値の測定結果を、図7、8に示す。
図7、8から、相溶化剤としてiPP−PAA、iPP−PAA-Na、rPP−PAAを使用した実施例1〜6(Entry3〜5、8〜10)では、相溶化剤を使用しなかった比較例1(Entry1)と比較して、表面抵抗値が低減し、帯電防止特性が得られた。図7、8から、iPP−PAA-Naを相溶化剤として使用した実施例2、5(Entry4、9)では、他の実施例よりも表面抵抗値がさらに低減した。これはNaにより炭素繊維複合材料に極性が生じ、導電性が改善したためと考えられる。
本発明の炭素繊維複合材料では、既存の相溶化剤であるMAPPに代えて、iPP−PAA、iPP−PAA-Na、rPP−PAAを、ポリオレフィンと炭素繊維の複合材料の相溶化剤として使用することで、界面接着性および帯電防止特性得ることができる。よって、機械的特性と帯電防止特性が要求される成形品の分野で、特に、利用価値が高い。

Claims (5)

  1. 炭素繊維と、熱可塑性樹脂と、前記炭素繊維と前記熱可塑性樹脂の相溶化剤と、を含む炭素繊維複合材料であって、
    前記相溶化剤が、ポリ(メタ)アクリル酸−ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸及びポリ(メタ)アクリル酸の金属塩−ポリオレフィン−ポリ(メタ)アクリル酸の金属塩からなる群から選択された少なくとも1つの、[a]−[b]−[a]構造のトリブロック共重合体であり、
    [a]の数平均分子量が500〜10000、[a]の数平均分子量が500〜10000、[b]の数平均分子量が1000〜200000である炭素繊維複合材料。
  2. 前記相溶化剤が、0.5〜10質量%含まれる請求項1に記載の炭素繊維複合材料。
  3. 前記熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン樹脂である請求項1または2に記載の炭素繊維複合材料。
  4. 前記ポリオレフィンが、ポリプロピレンである請求項1乃至のいずれか1項に記載の炭素繊維複合材料。
  5. 前記炭素繊維の繊維長が、0.1〜50mmである請求項1乃至のいずれか1項に記載の炭素繊維複合材料。
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