JP6919218B2 - 防滑性フィルム及び重量物包装用フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、防滑性フィルム及び包装材に関し、詳しくは、滑り性が低く、ヒートシール強度、耐衝撃性、落袋強度及び剛性のバランスに優れる防滑性重量物包装用フィルムに関するものである。
ポリエチレン製のフィルムは、包装用途に多く用いられている。その中で、重量物包装袋は数十キロ単位といった大量の肥料や穀類などの重量物を包装しても破れないことが求められ、通常フィルム厚みを60−200μm程度にして生産されている。この重量物包装袋は、一般的に何段にも高く積まれる為、荷崩れを起こし、滑落する可能性がある。これを防ぐ為、袋表面が適度に滑らない事が求められる。
このような要求を満たす為、袋表面に凹凸を付け、滑落を防止する方法があるが、袋表面に凹凸をつける設備を導入しなければならず、コストアップ、生産性の低下、加工工程の追加や表面形状の検査の必要性等の問題があった。
一方、袋表面に滑落を防止する機能を付与するために、フィルム自体の物性により滑り性を低くする方法がとられる。そのような方法として表面に粘着層を用いた防滑性フィルムが知られている(特許文献1参照)。さらに別の方法として、特殊な添加剤を用いて、防滑性を付与しつつ、フィルムのブロッキングを抑える方法が知られている(特許文献2,3参照)。
特開2016−30804号公報 特開2004−115600号公報 特開2014−216468号公報
しかしながら、特許文献1のように、表面に粘着層を用いた防滑性フィルムを重量物包装袋の用途に使用した場合、重量物による圧力が掛かることや、重量物包装体が高温高湿度下で積み上げられた状態におかれたことにより、防滑層である粘着層どうしが接着してしまう恐れがあり、好ましくない。また特許文献2及び3で用いられるような添加剤は比較的高価であり、フィルムのコストが上がるだけでなく、添加剤のブリードや脱落により、各効果が失われてしまう可能性もある。したがって、特殊な添加剤を使用せず、また、エンボス等の加工も必要ない、材料そのものが防滑性に優れ、さらに、高ヒートシール強度、衝撃強度、落袋強度等の重量物包装用フィルムに必要とされる特性を併せ持つ、包装材に好適な防滑性フィルムが望まれていた。
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点に鑑み、袋表面の滑り性が低く、高剛性、高ヒートシール性、落下時の耐衝撃強度も兼ね備えた滑落防止重量物包装フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、フィルムの少なくとも外側表面層1層に用いる樹脂を特定の物性値の樹脂の組み合わせに限定して制御することにより、フィルム表面の滑り性を低下させ、かつ高剛性、高ヒートシール性、落下時の耐衝撃強度をも発現し、上記課題を解決することができることを見出した。それらの知見に、さらに検討を重ね、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、少なくとも外側表面層が、密度が0.860〜0.910g/cm3、190℃におけるメルトフローレイトが0.1〜10g/10分のメタロセン系触媒によって重合されたポリエチレン系樹脂を、15〜75重量%含む樹脂成分からなり、外側表面層樹脂成分全体としては、密度が0.911〜0.940g/cm3、190℃におけるメルトフローレイトが0.1〜5g/10分であることを特徴とする防滑性フィルムからなることを特徴とする防滑性フィルムが提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記外側表面層同士を接触させて傾斜させ、滑り始めたときの傾斜角が22°〜60°であることを特徴とする防滑性フィルムが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、多層フィルムであることを特徴とする防滑性フィルムが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第3の発明において、少なくとも外側表面層に隣接する層にノルボルネン系単量体とα−オレフィンを共重合したノルボルネン系共重合体(COC)を含むことを特徴とする防滑性フィルムが提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において記載された樹脂組成物を用いてインフレーション成形を行って成形されたインフレーションフィルムである、防滑性フィルムが提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において記載された防滑性フィルムを用いることを特徴とする重量物包装用フィルムが提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の重量物包装用フィルムにおいて、フィルムの厚みが60μm以上であることを特徴とする重量物包装用フィルムが提供される。
本発明の防滑性フィルムの一例の断面を示す概略図である。
以下、本発明の防滑性重量物包装用フィルムについて、各項目を詳細に説明する。
本発明の防滑性重量物包装用フィルムは、防滑性を有する少なくとも外側表面層の樹脂が、密度が0.860〜0.910g/cm3、190℃におけるメルトフローレイトが0.1〜10g/10分のメタロセン系触媒によって重合されたポリエチレン系樹脂を、15〜75重量%含む樹脂成分からなり、樹脂成分全体としては、密度が0.911〜0.940g/cm3、190℃におけるメルトフローレイトが0.1〜5g/10分であることを特徴とする。
本発明の範囲内であれば、フィルムは単層であっても多層であってもよい。ただし、成形性や成形機のモーターへの負荷、フィルムの強度等を考えると多層である事が好ましい。また、表面にのみ防滑性が求められる為、表面の厚みは防滑性が発現する範囲で薄くする事が可能である。さらに、両表面はフィルムのカールを防止するなどの観点から、同じ樹脂組成であることが望ましい。以下、多層フィルムである場合の各層を例示しながら説明する。
1.各層の樹脂
(1)外側表面層(防滑性を有する層)
外側表面層は防滑性を有する層であり、袋状にしたとき表面に露出する層を構成し、またフィルムが単層構造である場合には、フィルムは本層のみからなる。本発明の防滑性重量物包装用フィルムにおける外側表面層となる第1層は、防滑性を付与する為、密度が0.860〜0.910g/cm3、190℃におけるメルトフローレイトが0.1〜10g/10分のメタロセン系触媒によって重合されたポリエチレン系樹脂を、15〜75重量%含む樹脂成分からなり、樹脂成分全体としては、密度が0.911〜0.940g/cm3、190℃におけるメルトフローレイトが0.1〜5g/10分である事が求められる。密度の低い樹脂を添加する事によって、外側表面層に防滑性を付与すると共に、外側表面層を構成する樹脂全体の物性も、重量物包装体用途では重要である。
また、防滑性を付与する樹脂は、好ましくは密度が0.870〜0.910g/cm3、190℃におけるメルトフローレイトが0.2〜7g/10分であり、さらに好ましくは、密度が0.880〜0.910g/cm3、190℃におけるメルトフローレイトが0.3〜5g/10分である。密度が0.870g/cm3より小さいと、袋を段積みした場合のブロッキングが起こる可能性が高まる。また、メルトフローレイトが0.2g/10分より小さいと、押出負荷が大きくなり、加工性が悪化し、メルトフローレイトが7g/10分より大きいと、フィルム物性が低下する恐れがある。
外側表面層に含まれるポリエチレン系樹脂は、メタロセン系触媒によって重合されたものである。メタロセン系触媒を用いることで、ポリエチレン系樹脂の分子量分布を狭くすることができる。メタロセン触媒としては、オレフィン重合に用いられる公知の各種触媒を用いることができる。具体的には、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35006号、特開平3−163088号の各公報などに記載されているメタロセン触媒が例示される。具体的な重合方法としては、触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、又は圧力が200kg/cm(19.6MPa)以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法などが挙げられる。好ましい製造法としては高圧バルク重合が挙げられる。
(2)中間層
防滑性重量物包装用フィルムが多層構造である場合に中間層となる第2層は、重量物包装用途の物性を満たす樹脂であれば特に限定はされない。さらに、重量物包装用途の物性を満たす範囲であれば、他の機能を追加する事もできる。たとえば、環状オレフィン系樹脂を含むポリエチレン系樹脂を中間層とする事で、易引裂性の機能を追加した重量物包装体を提供する事ができる。
(a)環状オレフィン系樹脂
防滑性重量物包装用フィルムの第2層で用いる環状オレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、環状共役ジエン重合体等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体が好ましい。また、ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体(以下、「COP」ともいう。)、ノルボルネン系単量体とエチレン等のα−オレフィンを共重合したノルボルネン系共重合体(以下、「COC」ともいう。)等が挙げられる。また、COP及びCOCの水素添加物も用いることができる。
COCとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンなどの直鎖状モノマーとテトラシクロドデセン、ノルボルネンなどの環状モノマーとから得られた環状オレフィン共重合体が挙げられる。さらに具体的には上記直鎖状モノマーと炭素数が3〜20のモノシクロアルケンやビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)及びこの誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.1.2,5.17,10]−3−ドデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン及びこの誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン及びこの誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン等及びこの誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン及びこの誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン及びこの誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン及びこの誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]−5−ペンタコセン及びこの誘導体等の環状オレフィンとの共重合体からなる環状オレフィン共重合体などが挙げられる。直鎖状モノマー及び環状モノマーは、それぞれ単独でも、2種類以上を併用することもできる。また、このような環状オレフィン共重合体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。また、環状オレフィン系樹脂に、前記COPとCOCを併用することもできる。その場合は、COPとCOCのそれぞれの異なった性能をフィルムに付与することができる。
本発明においては、ポリエチレンに対する分散性の理由により、環状オレフィン系樹脂はCOCであることが好ましい。また、COCとしては、直鎖状モノマーがエチレンである、エチレン・環状オレフィン共重合体であることが好ましい。さらには、環状モノマーは、ノルボルネン等であることが好ましい。
また、本発明においては、エチレン・環状オレフィン共重合体は、エチレン/環状オレフィンの含有割合が重量比で15〜40/85〜60のものであることが好ましい。より好ましくは30〜40/70〜60のものである。エチレンが15重量%未満であると、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性及び製袋適性を悪化させることがあるため好ましくない。一方、エチレンが40重量%以上であると、十分な易引裂性、剛性が得られないことがあるため好ましくない。含有比率がこの範囲にあれば、フィルムの剛性、易引裂性、加工安定性、衝撃強度が向上するため好ましい。
さらにまた、エチレン・環状オレフィン共重合体は、ガラス転移点が60℃以上であることが好ましい。より好ましくは70℃以上のものである。環状オレフィンの含有量が上記範囲を下回る等の要因により、ガラス転移点が前記範囲を下回ると、例えば、芳香成分のバリアー性が低下するようになる、十分な剛性が得られず、高速包装機械適性に劣る等の恐れがある。一方、環状オレフィンの含有量が上記範囲を上回る等の要因により、ガラス転移点が高くなりすぎると、共重合体の溶融成形性やオレフィン系樹脂との接着性が低下する恐れがあり好ましくない。
また、環状オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、5,000〜500,000が好ましく、より好ましくは7,000〜300,000である。
環状オレフィン系樹脂は、防滑性多層フィルム全体を基準として、5〜40重量%含まれることが好ましい。より好ましくは、10〜25重量%である。5重量%より少ないと、十分な易引裂性が得られないので好ましくない。一方、40重量%より多いと、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性及び製袋適性を悪化させるため好ましくない。
環状オレフィン系樹脂として用いることができる市販品として、ノルボルネン系モノマーの開環重合体(COP)としては、例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア(ZEONOR)」等が挙げられ、ノルボルネン系共重合体(COC)としては、例えば、三井化学株式会社製「アペル」、ポリプラスチックス社製「トパス(TOPAS)」等が挙げられる。本発明においては、ノルボルネン系単量体の含有比率が、前述の範囲にあること、加工性等の理由から、TOPASのグレード8007が好ましい。
(3)内層
防滑性重量物包装用フィルムが多層構造である場合に内層となる第3層は、重量物包装用途の物性を満たす樹脂であれば特に限定はされない。しかしながら、外層と内層の密度差が大きいとフィルムがカールしてしまう可能性がある為、外層と内層の密度差が無い、又は小さい方が望ましい。また、外層と内層の粘度差が大きいと、目標の厚み、層比のフィルムが得難くなる為、外層と内層の樹脂は同じ組成である事が望ましい。
(4)高圧法低密度ポリエチレン
本発明において、各層に高圧法低密度ポリエチレン(以下、「LDPE」ともいう。)を添加するとフィルム成形を安定して行うことができる。本発明において用いることができる高圧法低密度ポリエチレンは、ホモのポリエチレンであって、有機過酸化物によりラジカル重合されたものである。LDPEは190℃におけるメルトフローレイトが0.1g/10分〜5g/10分の範囲となるものが好ましいが、本発明においてより好ましくは0.1〜2g/10分である。各層にメルトフローレイトが0.1g/10分未満の高圧法低密度ポリエチレンを用いると、フィルム成形時に穴あきが発生しやすくなり、外観が良好なフィルムが得られない恐れがある。一方、メルトフローレイトが5g/10分を超える場合は、重量物包装用フィルムとしての耐衝撃性、機械的強度等が低下する恐れがある。
なお、本発明において、メルトフローレイトは、JIS K 7210に準拠して測定する値である。
また、高圧法低密度ポリエチレンの密度は0.915〜0.935g/cmの範囲であるものが好ましいが、本発明においてより好ましくは、0.920〜0.930g/cmである。各層へ密度が0.915g/cm未満の高圧法低密度ポリエチレンを用いると、フィルム成形時に穴あきが発生しやすくなり、外観が良好なフィルムが得られない恐れがある。一方、密度が0.935g/cmを超える場合は、ヒートシール性が悪化する恐れがある。なお、本発明において、密度はJIS K 6922−2に基づいて測定する値である。
各層を構成する、高圧法低密度ポリエチレンの含有量は、好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは1〜15重量%の範囲である。
(5)エチレン・α−オレフィン共重合体
本発明において、エチレン・α−オレフィン共重合体(以下、「LLDPE」ともいう。)を各層の樹脂成分として用いると、重量物包装体としての物性をより高い水準で満たす事ができる。エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたもののいずれであってもよいが、190℃におけるメルトフローレイトが0.1g/10分〜3g/10分であることが必要である。より好ましくは、エチレン・α−オレフィン共重合体の190℃におけるメルトフローレイトが0.1〜2.5g/10分であることが望ましく、さらに好ましいのは、エチレン・α−オレフィン共重合体の190℃におけるメルトフローレイトが0.1〜2.0g/10分であることが望ましい。エチレン・α−オレフィン共重合体の190℃におけるメルトフローレイトが低すぎると成形加工性が劣り、一方、メルトフローレイトが高すぎると、耐衝撃性、機械的強度等が低下する恐れがある。
なお、本発明において、メルトフローレイトは、JIS K 7210に準拠して測定する値である。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体の密度は0.900〜0.940g/cmであることが望ましい。好ましくは0.900〜0.935g/cmである。密度が0.900g/cm未満の場合は、剛性が低く、自動製袋機適性が悪化することがある。また、ポリエチレン樹脂組成物の密度が0.940g/cmより高いと、フィルムの強度が低下するため、好ましくない。
なお、本発明において、密度はJIS K 6922−2に基づいて測定する値である。
本発明において用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、具体的には以下のようなものである。すなわち、エチレンと共重合するα−オレフィンは、0.1〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%、特に好ましくは0.5〜5モル%の量で共重合しているものであり、α−オレフィンの種類としては、通常は炭素数3〜8のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1を挙げることができる。
本発明においては、各層に用いるエチレン・α−オレフィンとして、エチレンと1−ヘキセンの共重合体であるエチレン・α−オレフィン共重合体(C6−LLDPE)、エチレンといわゆるHAO(ハイアー・α−オレフィン)と呼ばれる1−ヘキセンもしくは1−オクテン等のC6以上のα−オレフィンとの共重合体であるエチレン・α−オレフィン共重合体(HAO−LLDPE)を用いることが、環状オレフィン共重合体の添加による耐衝撃性低下を防ぐ目的で好ましい。
更に、各層に用いるエチレン・α−オレフィンとして、密度又はMFRの異なる2種以上のエチレン・α−オレフィン共重合体を用いることが、環状オレフィン共重合体の添加による耐衝撃性低下を防ぐ目的で好ましい。
各層を構成するエチレン・α−オレフィン共重合体の含有量(2種以上エチレン・α−オレフィン共重合体を用いる場合はその合計量)は、層を構成する樹脂組成物中、好ましくは20〜89重量%、更に好ましくは25〜85重量%の範囲である。
本発明の特徴の一つとして、外側表面層(第1層)を構成する樹脂組成物が、下記測定法で測定した傾斜角による滑り性が22°以上、60°以下であることを特徴とする。外側表面層の滑り性が低い事で、段積みされた時におこる荷崩れを防止する事ができる。ここで、本発明において「滑り性」とは、材料の滑りにくさを表す指標であり、静摩擦係数の測定における傾斜角(°)によって表される。フィルム、特に防滑層が滑り始めたときの水平面からの傾斜角(°)が大きいほど滑り性が高いことを示す。
本発明において、第1層、第2層及び第3層には、防曇剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、紫外線吸収剤、着色剤等の成分を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。特に、フィルム成形時の加工適性、充填機の包装適性を付与するため、第1層及び第3層にはアンチブロッキング剤、帯電防止剤を適宜添加することが好ましい。これらの添加剤は、当業者に公知のものを、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に制限されることなく用いることができる。
2.防滑性多層重量物包装用フィルム
本発明の易引裂性多層重量物包装用フィルムは、前述したように特定の第1層/特定の第2層/特定の第3層との構成からなるものである。図1に本発明の易引裂性多層重量物包装用フィルムの一例の断面の概略図を示す。1は第1層、2は第2層、3は第3層を示す。
防滑性重量物包装用フィルム全体の厚みとしては、60μm以上のものが好ましい。より好ましくは60μm〜200μmである。多層フィルムの厚みが60μm以上であれば、フィルムに優れた耐衝撃性及び落下強度を発現することができる。
また、本発明の防滑性多層重量物包装用フィルム中の第2層の厚さは、防滑性多層重量物包装用フィルム全体を基準として、20〜70%であることが好ましい。より好ましくは20〜50%である。すなわち、外層/中間層/内層が1:0.5:1の厚さ〜1:4:1程度の厚さをとることができる。中間層が20%より薄いと、十分な易引裂性が得られないので好ましくない。一方、70%より厚いと、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性及び製袋適性を悪化させるため好ましくない。中間層がこの範囲であれば、易引裂性に優れる上に、コスト的に有利であり、易引裂性多層フィルムの透明性、易引裂性、耐ピンホール性が向上するため、好ましい。
本発明の防滑性フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、第1層に用いる高圧法低密度ポリエチレン及びエチレン・α−オレフィン共重合体と、第2層に用いる環状オレフィン系樹脂、高圧法低密度ポリエチレン及びエチレン・α−オレフィン共重合体と、第3層に用いる高圧法低密度ポリエチレン及びエチレン・α−オレフィン共重合体とを、それぞれ別の押出機で加熱融解させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で第1層/第2層/第3層の順で積層した後、インフレーション法等によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。
3.包装材
本発明の防滑性重量物包装用フィルムは防滑性を有し、耐衝撃性に特に優れ、剛性が高く、かつシール強度に優れ、自動製袋機適性に優れている為、特に大量生産に適し、紙袋の内袋やゴミ袋など寸法規格の定まった規格袋や大量の肥料や穀類などの重量物を包装しても破れにくく、段積み時に滑落しにくい、防滑性重量物包装袋などに使用することができる。この用途のため、本発明の防滑性重量物包装用フィルムは、第1層が外層となるよう袋状に成型することが好ましい。
本発明の易引裂性フィルムを用いた包装材には、初期の引裂き強度を弱め、開封性を向上するため、シール部にVノッチ、Iノッチ、ミシン目、微多孔などの任意の引裂き開始部を形成すると好ましい。
以下に、本発明の実施例及び比較例を示す。
1.物性測定法
(1)メルトフローレイト(MFR)
MFRはJIS K 7210に準拠して測定した。
(2)密度
試験温度23℃で、JIS K 6922−2に準拠して測定した。
2.フィルム物性評価方法
(1)滑り性の測定法
室温23℃、湿度50%環境下において、新東科学株式会社製 静摩擦係数測定機TYPE:10を用いて、防滑層同士が接触面となるようにセットし、測定を行った。防滑層が滑り始めたときの水平面からの傾斜角(°)を、滑り性の評価値とした。
3.インフレーションフィルムの成形
以下の成形装置、成形条件によりインフレーションフィルムを成形した。
成形機:3層インフレーションフィルム成形機(株式会社プラコー製)
押出機スクリュー径:50mmφ×2、55mmφ×1
ダイ径:200mmφ
押出量:64kg/hr
ダイリップギャップ:3mm
引取速度:13m/分
ブローアップ比:1.5
成形樹脂温度:220℃
フィルム厚み:130μm
冷却リング:2段式風冷リング
4.使用原料
(1)高圧法低密度ポリエチレン
・LDPE:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックLD、MFR=0.3g/10分、密度=0.923g/cm(樹脂1)
(2)エチレン・α−オレフィン共重合体
・ZN−C6LLDPE:エチレン・α−オレフィン共重合体、MFR=0.5g/10分、密度=0.922g/cmのチーグラー・ナッタ触媒下で重合したエチレン・ヘキセン−1共重合体(樹脂2)
・LLDPE:日本ポリエチレン(株)製、商品名カーネル、MFR=2g/10分、密度=0.907g/cm(樹脂3)
・LLDPE:日本ポリエチレン(株)製、商品名カーネル、MFR=2g/10分、密度=0.880g/cm(樹脂4)
(3)環状オレフィン系樹脂
・COC:ポリプラスチックス(株)製、商品名TOPAS「8007」、ノルボルネン含有量 36mol%(樹脂5)
5.実施例及び比較例
上記記載の樹脂1〜4を用いて、表1記載の配合を有する樹脂(配合1〜7)を得た。ここで、「配合2」は、配合1の樹脂を75重量%、樹脂3を25重量%用いたことを意味する。また、表2に記載の配合で厚み130μm、層比1:2:1のインフレーションフィルムを得た。評価結果を下記表2に示す。
Figure 0006919218
Figure 0006919218
6.評価
以下、本願実施例と比較例の説明を表2に示すデータをもとに説明する。
比較例1は、第1,2,3層共に、配合1の樹脂で構成されており、防滑性を示す指標である傾斜角の値が小さく、フィルム表面が滑りやすい事が示された。
それに対し、実施例1は、第1,2,3層共に、防滑性の効果のある樹脂である配合3の樹脂で構成されており、防滑性を示す指標である傾斜角の値が比較例1に比べて大きく、フィルム表面が滑りにくくなっている事が示された。
実施例2〜5は、第1,3層に防滑性の効果のある樹脂である配合2〜5を、第2層に配合1を用いた層構成である。表面の第1、3層のみが防滑性を有する樹脂配合であれば、フィルムの防滑性を発揮する事が示された。また、防滑性のある樹脂配合の中でも、密度が0.860〜0.910g/cm3の樹脂の添加量が増えるほど、防滑性が大きくなる傾向にある事も示された。
実施例6は、第1,3層に防滑性の効果のある樹脂である配合6を、第2層に配合1を用いた層構成である。実施例2と比較すると、防滑性を有する樹脂層の中の密度が0.860〜0.910g/cm3の樹脂の配合量は同じであるが、密度が小さくなると、防滑性が大きくなる傾向にある事が示された。
実施例7は、第1,3層に防滑性の効果のある樹脂である配合4を、第2層に配合7を用いた層構成である。第2層の中間層にCOCを含む樹脂を用い、フィルムの易引裂性を付与しても、表面の第1、3層が防滑性を有する樹脂配合であれば、フィルムの防滑性を発揮する事が示された。
実施例8は、第1層が配合3の樹脂で構成されており、第2,3層が配合1を用いた層構成である。フィルムの両表面で樹脂の配合が違う為、フィルムのカールの可能性が心配されるものの、片方の表面が防滑性の効果のある樹脂配合である為、フィルムの防滑性を発揮する事が示された。
本発明のポリエチレン系樹脂組成物を含む防滑性重量物包装用フィルムは、米袋や肥料袋等の重量物を収容する包装袋としての品質として必要なシール強度、フィルムの腰、衝撃強度だけではなく、段積み時の滑落防止に寄与することが可能である。
したがって、このような望ましい特性を有する成形製品を経済的に有利に提供することのできる本発明のポリエチレン系樹脂組成物の工業的価値は極めて大きい。
1:外層(防滑性を有する層)
2:中間層
3:内層

Claims (6)

  1. 少なくとも外側表面層が、密度が0.860〜0.910g/cm3、190℃におけるメルトフローレイトが0.1〜10g/10分のメタロセン系触媒によって重合されたポリエチレン系樹脂を、15〜75重量%含む樹脂成分からなり、外側表面層の樹脂成分全体としては、密度が0.911〜0.940g/cm3、190℃におけるメルトフローレイトが0.1〜5g/10分であり、少なくとも外側表面層に隣接する層にノルボルネン系単量体とα−オレフィンを共重合したノルボルネン系共重合体(COC)を含むことを特徴とする防滑性フィルム。
  2. 前記外側表面層同士を接触させて傾斜させ、滑り始めたときの傾斜角が22°〜60°であることを特徴とする請求項1に記載の防滑性フィルム。
  3. 多層フィルムであることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の防滑性フィルム。
  4. インフレーション成形によって成形されたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の防滑性フィルム。
  5. 重量物包装用途に使用されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の防滑性フィルム。
  6. フィルムの厚みが60μm以上であることを特徴とする、請求項に記載の防滑性フィルム。
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