JP6920260B2 - セルロース微細繊維含有物及びその製造方法 - Google Patents
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無機物からなる陽イオンを含む亜リン酸のエステルが導入されているセルロース微細繊維及び凝集剤を含有し、
前記セルロース微細繊維1gに対する前記無機物からなる陽イオンの割合が、0.14mmol以上である、
ことを特徴とするセルロース微細繊維含有物である。
ことを特徴とするセルロース微細繊維含有物の製造方法である。
本形態の無機物からなる陽イオンを含む亜リン酸のエステルが導入されているセルロース微細繊維(以下、単に「セルロース微細繊維」ともいう。)は、セルロース繊維のヒドロキシ基(−OH基)の一部が、下記構造式(1)に示す官能基で置換されて、無機物からなる陽イオンを含む亜リン酸のエステルが導入(修飾、変性)された(エステル化された)ものである。好ましくは、セルロース繊維のヒドロキシ基の一部が、カルバメート基で置換されて、カルバメート(カルバミン酸のエステル)も導入されたものである。
まず、固形分濃度0.01〜0.1質量%のセルロース微細繊維の水分散液100mlをテフロン(登録商標)製メンブレンフィルターでろ過し、エタノール100mlで1回、t−ブタノール20mlで3回溶媒置換する。次に、凍結乾燥し、オスミウムコーティングして試料とする。この試料について、構成する繊維の幅に応じて5000倍、10,000倍又は30,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡SEM画像による観察を行う。この観察においては、観察画像に2本の対角線を引き、更に対角線の交点を通過する直線を任意に3本引く。そして、この3本の直線と交錯する合計100本の繊維の幅を目視で計測する。この計測値の中位径を繊維幅とする。
本形態の製造方法においては、セルロース繊維に、アルカリ金属イオン含有物並びに亜リン酸類及び亜リン酸金属塩類の少なくともいずれか一方からなる添加物(A)を添加し、好ましくは亜リン酸水素ナトリウムを添加し、加熱してセルロース繊維に無機物からなる陽イオンを含む亜リン酸のエステルを導入する。より好ましくは、更に尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる添加物(B)も添加し、加熱してセルロース繊維に無機物からなる陽イオンを含む亜リン酸のエステル及びカルバメートを導入する。この無機物からなる陽イオンを含む亜リン酸のエステル等を導入したセルロース繊維は、洗浄し、解繊してセルロース微細繊維とする。
セルロース繊維としては、例えば、植物由来の繊維(植物繊維)、動物由来の繊維、微生物由来の繊維等を使用することができる。これらの繊維は、必要により、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、セルロース繊維としては、植物繊維を使用するのが好ましく、植物繊維の一種であるパルプ繊維を使用するのがより好ましい。セルロース繊維がパルプ繊維であると、セルロース微細繊維の物性調整が容易である。
アルカリ金属イオン含有物としては、例えば、水酸化物、硫酸金属塩類、硝酸金属塩類、塩化金属塩類、リン酸金属塩類、亜リン酸金属塩類、炭酸金属塩類等を使用することができる。ただし、添加物(A)をも兼ねる亜リン酸金属塩類を使用するのが好ましく、亜リン酸水素ナトリウムを使用するのがより好ましい。なお、アルカリ金属イオン含有物の添加は、前述したとおり、亜リン酸エステルの導入工程だけではなく、例えば、解繊工程、濃縮工程、凝集工程等の各工程や各工程の間(亜リン酸エステルの導入工程前;亜リン酸エステルの導入工程後、解繊工程前;解繊工程後、濃縮工程前など)においても行うことができる。
添加物(A)は、亜リン酸類及び亜リン酸金属塩類の少なくともいずれか一方からなる。添加物(A)としては、例えば、亜リン酸、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸水素アンモニウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸二水素ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、ピロ亜リン酸等の亜リン酸化合物等を使用することができる。これらの亜リン酸類又は亜リン酸金属塩類は、それぞれを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、アルカリ金属イオン含有物をも兼ねる亜リン酸水素ナトリウムを使用するのが好ましい。
添加物(B)は、尿素及び尿素誘導体の少なくともいずれか一方からなる。添加物(B)としては、例えば、尿素、チオ尿素、ビウレット、フェニル尿素、ベンジル尿素、ジメチル尿素、ジエチル尿素、テトラメチル尿素等を使用することができる。これらの尿素又は尿素誘導体は、それぞれを単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。ただし、尿素を使用するのが好ましい。
NH2−CO−NH2 → HN=C=O+NH3 …(1)
Cell−OH+H−N=C=O → Cell−O−C−NH2 …(2)
添加物を添加したセルロース繊維を加熱する際の加熱温度は、好ましくは100〜210℃、より好ましくは100〜200℃、特に好ましくは100〜180℃である。加熱温度が100℃以上であれば、亜リン酸のエステルを導入することができる。ただし、加熱温度が210℃を超えると、セルロースの劣化が急速に進み、着色や粘度低下の原因になるおそれがある。
セルロース繊維に無機物からなる陽イオンを含む亜リン酸のエステル等を導入するに先立って、及び/又は無機物からなる陽イオンを含む亜リン酸のエステル等を導入した後において、セルロース繊維には、必要により、叩解等の前処理を施すことができる。セルロース繊維の解繊に先立って当該パルプ繊維に前処理を施しておくことで、解繊の回数を大幅に減らすことができ、解繊のエネルギーを削減することができる。
アルカリ処理の方法としては、例えば、アルカリ溶液中に、亜リン酸のエステル等を導入したセルロース繊維を浸漬する方法が存在する。
亜リン酸のエステル等を導入したセルロース繊維は、解繊するに先立って、洗浄するのが好ましい。セルロース繊維を清浄することで、副生成物や未反応物を洗い流すことができる。また、この清浄が前処理におけるアルカリ処理に先立つものであれば、当該アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量を減らすことができる。
亜リン酸のエステル等を導入したセルロース繊維は、洗浄後に解繊(微細化処理)する。この解繊によって、パルプ繊維はミクロフィブリル化し、セルロース微細繊維となる。
無機物からなる陽イオンを含む亜リン酸のエステルが導入されているセルロース微細繊維を含有する分散液は、濃縮してセルロース微細繊維含有物とする。本形態においては、セルロース微細繊維を得るにあたってアルカリ金属イオン含有物を添加するものとし、得られたセルロース微細繊維含有物が無機物からなる陽イオンを含むとなっているため、この濃縮は極めて容易となる。
無機物からなる陽イオンを含む亜リン酸のエステルが導入されているセルロース微細繊維を含有する分散液からセルロース微細繊維含有物を得る工程には、セルロース微細繊維は凝集する工程を含んでも良い。この凝集を行う(セルロース微細繊維を凝集させる)凝集剤としては、例えば、アルコール類、金属塩類、酸、カチオン性界面活性剤、カチオン性高分子凝集剤等の中から1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
セルロース微細繊維含有物は、水への再分散を高める再分散剤を含んでも良い。再分散剤を含んでいると、セルロース微細繊維間の水素結合が弱まり、水中での静電気的反発作用や浸透圧効果により、セルロース微細繊維間の分散が促進されることが考えられる。
セルロース微細繊維含有物を、再び水へ分散させるにあたっては、例えば、マグネティックスターラー、アジテーター、プロペラミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、パイプラインミキサー、タービンミキサー、パドルミキサー等の中から1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
セルロース微細繊維含有物は、単に水と混合するのみで、セルロース微細繊維分散液とすることができる。
本形態によるセルロース微細繊維含有物の再分散性を確認する試験を行った。セルロース微細繊維含有物は、濃度が1.0質量%となるように水に再分散させた。詳細は、以下のとおりである。
亜リン酸水素ナトリム・5水和物13gと尿素10.8gと水76.2gとを混合して試薬Aを作製した。作製した試薬A100gと原料パルプ(NBKP:水分98.0質量%)乾燥重量10gとを混合し、105℃で乾燥した。乾燥したパルプを130℃で2時間反応させ、水洗とろ過を2回繰返し、無機物からなる陽イオンを含む亜リン酸のエステルが導入されたセルロース繊維(亜リン酸変性パルプ)を得た。得られた亜リン酸変性パルプは、蒸留水で固形分10質量%となるように希釈して亜リン酸変性パルプスラリー(分散液)を得た。亜リン酸変性パルプスラリーは、PFIミルを用いて9200回転で予備叩解した。予備叩解した亜リン酸変性パルプスラリーは、固形分濃度1%に調整し、高圧ホモジナイザーを用いて解繊処理を2回施し、濃度1.0質量%のセルロース微細繊維の水分散液を得た。この濃度1.0質量%のセルロース微細繊維水分散液は、105℃で6時間乾燥してフィルム状のセルロース微細繊維含有物(乾燥物)とした。セルロース微細繊維含有物の含水率は、9.8質量%であった。
試験例2は、セルロース微細繊維含有物(乾燥物)とする前の予備叩解した解繊前の亜リン酸変性パルプスラリーに水酸化ナトリウムを0.22g添加した以外は、試験例1と同様とした。
試験結果から、ナトリウム量が多くなるにしたがって、再分散性が高くなることが分かった。なお、試験例1及び試験例2の亜リン酸基の置換度(DS)は、いずれも0.14であり、同一である。
Claims (4)
- 無機物からなる陽イオンを含む亜リン酸のエステルが導入されているセルロース微細繊維及び凝集剤を含有し、
前記セルロース微細繊維1gに対する前記無機物からなる陽イオンの割合が、0.14mmol以上である、
ことを特徴とするセルロース微細繊維含有物。 - 前記凝集剤としてアルコール類、金属塩類、カチオン性界面活性剤、及びカチオン性高分子凝集剤の少なくともいずれか1種を含有し、
前記凝集剤の添加量が、前記セルロース微細繊維1kgに対して1〜100,000gである、
請求項1に記載のセルロース微細繊維含有物。 - セルロース繊維に亜リン酸のエステルを導入してから解繊してセルロース微細繊維を含有する分散液を得るものとし、この過程で前記セルロース繊維に対してアルカリ金属イオン含有物を添加するものとし、
前記分散液を濃縮してセルロース微細繊維含有物を得るものとし、
前記分散液から前記セルロース微細繊維含有物を得る工程に前記セルロース微細繊維を凝集する工程を含む、
ことを特徴とするセルロース微細繊維含有物の製造方法。 - 前記凝集を行う凝集剤として酸を使用し、前記酸を添加した際のpHを4.0以下とする、
請求項3に記載のセルロース微細繊維含有物の製造方法。
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