JP6920689B2 - 可視光域で光架橋可能な光応答性ヌクレオチドアナログ - Google Patents

可視光域で光架橋可能な光応答性ヌクレオチドアナログ Download PDF

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Description

本発明は、可視光域の光による光架橋(光クロスリンク)能を有する光応答性ヌクレオチドアナログ(光応答性ヌクレオチド類似化合物)に関する。
分子生物学の分野の基本的な技術に、核酸の連結及び核酸の架橋がある。核酸の連結や架橋は、例えば、ハイブリダイゼーションと組みあわせて、遺伝子の導入や、塩基配列の検出のために使用され、あるいは、例えば、遺伝子発現の阻害に使用される。そのために、核酸の連結及び架橋の技術は、分子生物学の基礎研究だけではなく、例えば、医療分野における診断や治療、あるいは治療薬や診断薬等の開発や製造、工業及び農業分野における酵素や微生物等の開発や製造に使用される極めて重要な技術である。
核酸の光反応技術として、5−シアノビニルデオキシウリジンを使用した光連結技術(特許文献1:特許第3753938号、特許文献2:特許第3753942号)、3−ビニルカルバゾール構造を塩基部位に持つ修飾ヌクレオシドを使用した光架橋技術(特許文献3:特許第4814904号、特許文献4:特許第4940311号)がある。さらに、3−ビニルカルバゾール構造を塩基部位に持つ修飾ヌクレオシドのいわゆる糖部の構造を、鎖状アルキルアミドに置換した化合物を使用した光架橋技術がある(特許文献5:特許第5925383号)。
さらに、最近、核酸の二重鎖形成能を利用した様々なナノ構造体の構築が可能となってきており、ナノテクノロジーの分野においても核酸の連結及び架橋の技術が重要となってきている。例えば、非特許文献1は、核酸の光架橋によってオリゴDNAからなるナノシートに耐熱性を付与する技術を開示している。
特許第3753938号公報 特許第3753942号公報 特許第4814904号公報 特許第4940311号公報 特許第5925383号公報
J.Photopdy.S.Tech.,2014,27,485
核酸の光反応技術の重要性から、核酸の光反応技術に使用可能な新しい化合物が、さらに求められている。本発明の目的は、核酸の光反応技術に使用可能な新しい光反応性化合物、及び該光反応性化合物を使用した光反応性架橋剤を提供することにある。
本発明者は、核酸の光反応技術に使用可能な光反応性架橋剤となる光反応性化合物を鋭意探索してきたところ、核酸塩基の塩基部分に代えてピラノカルバゾール骨格構造を備えて、リボース及びデオキシリボース部分に代えて後述の式Iで表される骨格構造を備えた化合物が、このような核酸の光反応技術に使用可能な光反応性架橋剤となることを見いだして、本発明に到達した。
本発明による光反応性架橋剤は、上記の構造に由来して、従来よりも長波長の光照射によって、例えば可視光域の光照射によって、光架橋反応させることができるという特徴を備える。そのために、DNAや細胞の損傷をできるだけ回避したいという場合に、本発明による光反応性架橋剤は、長波長の光照射によって光架橋可能であるので、特に有利である。
本発明の光反応性化合物は、光照射によって光反応を開始するものであるが、それまで安定していた化合物が、光照射というシグナルに応答して反応を開始するという意味を強調して、光反応性を光応答性ということがある。
したがって、本発明は次の(1)以下を含む。
(1)
次の式Iで表される化合物:
(I)
Figure 0006920689
(ただし、式Iにおいて、
R1は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、フッ化メチル基、エチル基、フッ化エチル基、及びC1〜C3のアルキルスルファニル基からなる群から選択された基であり、
Xは、次の式Is又は式IIsで表される基である:
(Is)
Figure 0006920689
(ただし、式Isにおいて、
R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
naは、1又は2であり、
R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
nbは、0又は1であり、
R31及びR32は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
ncは、0、1、2又は3であり、nc+ndは0〜3の整数であり、
R41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
ndは、0、1、2又は3であって、nc+ndは0〜3の整数であり、
Q1は、
水素原子;
Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基;
からなる群から選択される基であり、
Q2は、
水素原子;
Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
2−シアノエチル−N,N−ジアルキル(C1〜C4)ホスホロアミダイト基、メチルホスホンアミダイト基、エチルホスホンアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基、−PH(=O)OHのTEA塩、−PH(=O)OHのDBU塩、−PH(=S)OHのTEA塩、−PH(=S)OHのDBU塩;
からなる群から選択される基である。)
(IIs)
Figure 0006920689
(ただし、式IIsにおいて、
R51及びR52は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
neは、1、2又は3であり、
R61及びR62は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
nfは、0、1、2又は3であり、
Q1は、
水素原子;
Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基;
からなる群から選択される基であり、
Q2は、
水素原子;
Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
2−シアノエチル−N,N−ジアルキル(C1〜C4)ホスホロアミダイト基、メチルホスホンアミダイト基、エチルホスホンアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基、−PH(=O)OHのTEA塩、−PH(=O)OHのDBU塩、−PH(=S)OHのTEA塩、−PH(=S)OHのDBU塩;
からなる群から選択される基である。))。
(2)
Xが、次の式Itで表される基である、(1)に記載の化合物:
(It)
Figure 0006920689
(ただし、式Itにおいて、
R11及びR12は、それぞれ独立して、式Isにおいて記載した基であり、
R31及びR32は、それぞれ独立して、式Isにおいて記載した基であり、
R41及びR42は、それぞれ独立して、式Isにおいて記載した基であり、
Q1及びQ2は、式Isにおいて記載した基である。)。
(3)
Xが、次の式Iuで表される基である、(1)に記載の化合物:
(Iu)
Figure 0006920689
(ただし、式Iuにおいて、
R42は、式Isにおいて記載した基であり、
Q1及びQ2は、式Isにおいて記載した基である。)。
(4)
R42が、水素原子又はメチル基である、(3)に記載の化合物。
(5)
(1)〜(4)のいずれかに記載の化合物からなる、光反応性架橋剤。
(6)
(1)〜(4)のいずれかに記載の化合物からなる、光反応性修飾核酸製造用試薬。
(7)
(1)〜(4)のいずれかに記載の化合物からなる光反応性架橋剤を使用して、該光反応性架橋剤と、ピリミジン環を有する核酸塩基との間に、光架橋を形成する方法。
(8)
次の式III:
(III)
Figure 0006920689
(ただし、式IIIにおいて、
R1は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、フッ化メチル基、エチル基、フッ化エチル基、及びC1〜C3のアルキルスルファニル基からなる群から選択された基であり、
R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
naは、1又は2である。)
で表される化合物を、次の式IV:
(IV)
Figure 0006920689
(ただし、式IVにおいて、
R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
nbは、0又は1であり、
R31及びR32は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
ncは、0、1、2又は3であり、nc+ndは0〜3の整数であり、
R41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
ndは、0、1、2又は3であって、nc+ndは0〜3の整数であり、
Q1は、
水素原子;
Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基;
からなる群から選択される基であり、
Q2は、
水素原子;
Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
2−シアノエチル−N,N−ジアルキル(C1〜C4)ホスホロアミダイト基、メチルホスホンアミダイト基、エチルホスホンアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基、−PH(=O)OHのTEA塩、−PH(=O)OHのDBU塩、−PH(=S)OHのTEA塩、−PH(=S)OHのDBU塩;
からなる群から選択される基である。)
で表される化合物と脱水縮合させることによって、次の式V:
(V)
Figure 0006920689
(ただし、式Vにおいて、
R1、R11及びR12は、それぞれ独立して、上記式IIIにおいて記載した基であり、
naは、上記式IIIにおいて記載した整数であり、
R21、R22、R31、R32、R41、R42、Q1及びQ2は、それぞれ独立して、上記式IVにおいて記載した基であり、
nb、nc及びndは、それぞれ上記式IVにおいて記載した整数である。)
で表される化合物を製造する方法。
本発明は、核酸の光反応技術に使用可能な光反応性架橋剤となる新規な化合物を提供する。これは、天然の糖構造も塩基構造も備えていない、新規な化学構造によるものである。そして、本発明の化合物によれば、従来の光反応性架橋剤よりも長波長の光照射によって光架橋を形成できることから、光照射による核酸や細胞への悪影響を最小限とすることができる。
図1は化合物5のUV−visスペクトルである。 図2は化合物8のUV−visスペクトルである。 図3aはチミンに対して光架橋させる操作の流れを示す説明図である。 図3bは光照射による生成物のHPLC分析の結果を示す図である。 図3cは光照射時間に伴う架橋率の変化を示すグラフである。 図3dは各波長の光照射による生成物のHPLC分析の結果を示す図である。 図4aはシトシンに対して光架橋させる操作の流れを示す説明図である。 図4bは各光照射時間による生成物のHPLC分析の結果を示す図である。 図5aは光架橋を開裂させる操作の流れを示す説明図である。 図5bは各光照射時間による開裂生成物のHPLC分析の結果を示す図である。 図6aはpc−Sによる光架橋を形成させる操作の流れを示す説明図である。 図6bは光照射による生成物のHPLC分析の結果を示す図である。 図7は各波長での光照射時間(秒)と細胞生存率(%)を対比したグラフである。
具体的な実施の形態をあげて、以下に本発明を詳細に説明する。本発明は、以下にあげる具体的な実施の形態に限定されるものではない。
[化合物の構造]
本発明は、次の式Iで表される化合物にある:
(I)
Figure 0006920689
式Iにおいて、R1は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、フッ化メチル基、エチル基、フッ化エチル基、及びC1〜C3のアルキルスルファニル基からなる群から選択された基である。R1は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、又はエチル基であり、特に好ましくは水素原子である。式Iにおいて、R1は、R1が結合する環の炭素原子に付番された炭素位置として1位、2位、3位、4位のいずれの位置の炭素に結合する水素原子に置換されて結合していてもよいことが示されている。好適な実施の態様において、R1は3位の炭素原子に結合することができる。
式Iにおいて、Xは、以下の式Is又は式IIsで表される基である:
(Is)
Figure 0006920689
式Isにおいて、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基である。R11及びR12は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基であり、特に好ましくは水素原子である。naは、繰り返し単位の数を示す整数であり、1又は2であり、好ましくは1である。R11及びR12は、それぞれの繰り返し単位において独立して、上記の基とすることができる。
式Isにおいて、R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基である。R21及びR22は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基であり、特に好ましくは水素原子である。nbは、繰り返し単位の数を示す整数であり、0又は1であり、好ましくは0である。R21及びR22は、それぞれの繰り返し単位において独立して、上記の基とすることができる。
式Isにおいて、R31及びR32は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基である。R31及びR32は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基であり、特に好ましくは水素原子である。ncは、繰り返し単位の数を示す整数であり、0、1、2又は3であり、好ましくは1である。R31及びR32は、それぞれの繰り返し単位において独立して、上記の基とすることができる。nc+ndは0〜3の整数であり、好ましくは2である。
式Isにおいて、R41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基である。R41及びR42は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基である。ndは、繰り返し単位の数を示す整数であり、0、1、2又は3であり、好ましくは1である。R41及びR42は、それぞれの繰り返し単位において独立して、上記の基とすることができる。
式Isにおいて、Q1は、
水素原子;
Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基;
からなる群から選択される基とすることができる。
式Isにおいて、Q2は、
水素原子;
Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
2−シアノエチル−N,N−ジアルキル(C1〜C4)ホスホロアミダイト基、メチルホスホンアミダイト基、エチルホスホンアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基、−PH(=O)OHのトリエチルアミン塩(以下TEA塩という)、−PH(=O)OHの1.8−diazabicyclo[5.4.0]undec−7−eye塩(以下DBU塩という)、−PH(=S)OHのTEA塩、−PH(=S)OHのDBU塩;
からなる群から選択される基とすることができる。
2−シアノエチル−N,N−ジアルキル(C1〜C4)ホスホロアミダイト基は、次の構造を有しており、
Figure 0006920689
上記ジアルキル基となるR基とR’基は、それぞれC1〜C4のアルキル基とすることができる。このような2−シアノエチル−N,N−ジアルキル(C1〜C4)ホスホロアミダイト基として、例えば、2−シアノエチル−N,N−ジメチルホスホロアミダイト基、2−シアノエチル−N,N−ジエチルホスホロアミダイト基、2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト基をあげることができる。
メチルホスホンアミダイト基は、次の構造を有しており、
Figure 0006920689
上記R基とR’基は、それぞれ水素原子又はC1〜C4のアルキル基とすることができる。
エチルホスホンアミダイト基は、次の構造を有しており、
Figure 0006920689
上記R基とR’基は、それぞれ水素原子又はC1〜C4のアルキル基とすることができる。
オキサザホスホリジン基は、次の構造を有している。
Figure 0006920689
チオホスファイト基は、次の構造を有している。
Figure 0006920689
−PH(=O)OHのTEA塩、−PH(=S)OHのTEA塩は、それぞれのトリエチルアミン(TEA)の塩である。
−PH(=O)OHのDBU塩、−PH(=S)OHのDBU塩は、それぞれのジアザビシクロウンデセン(DBU)の塩である。
好適な実施の態様において、Q1は、水素原子とすることができる。
好適な実施の態様において、Q1は、Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸とすることができる。
好適な実施の態様において、Q1は、上述の保護基とすることができ、好ましくは、ジメトキシトリチル基、トリチル基、モノメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基とすることができ、特に好ましくはジメトキシトリチル基とすることができる。
好適な実施の態様において、Q2は、水素原子とすることができる。
好適な実施の態様において、Q2は、Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸とすることができる。
好適な実施の態様において、Q2は、上述の保護基とすることができ、好ましくは、2−シアノエチル−N,N−ジアルキル(C1〜C4)ホスホロアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基とすることができる。
(IIs)
Figure 0006920689
式IIsにおいて、R51及びR52は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基である。neは、繰り返し単位の数を示す整数であり、1、2又は3である。R51及びR52は、それぞれの繰り返し単位において独立して、上記の基とすることができる。
式IIsにおいて、R61及びR62は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基である。nfは、繰り返し単位の数を示す整数であり、1、2又は3である。R61及びR62は、それぞれの繰り返し単位において独立して、上記の基とすることができる。
式IIsにおいて、Q1は、上記式Isにおいて記載したQ1とすることができる。
式IIsにおいて、Q2は、上記式Isにおいて記載したQ2とすることができる。
好適な実施の態様において、Xは、次の式Itで表される基とすることができる:
(It)
Figure 0006920689
すなわち、好適な実施の態様において、式Isにおいて、naを1、nbを0、ncを1、ndを1とすることができ、式Itの構造とすることができる。
式Itにおいて、R11、R12、R31、R32、R41、R42、Q1、Q2は、それぞれ上記式Isにおいて記載した基とすることができる。
好適な実施の態様において、Xは、次の式Iuで表される基とすることができる:
(Iu)
Figure 0006920689
すなわち、好適な実施の態様において、式Isにおいて、naを1、nbを0、ncを1、ndを1とすることができ、さらに、R11、R12、R31、R32、R41を水素原子とすることができ、式Iuの構造とすることができる。
式Iuにおいて、R42、Q1、Q2は、それぞれ上記式Isにおいて記載した基とすることができる。
[修飾核酸]
好適な実施の態様において、Q1を、Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸として、Q2を、Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸とすることができる。すなわち、上記式Iで表される化合物は、特徴的な構造を備えた光応答性人工ヌクレオチドアナログが配列中に取り込まれた修飾核酸又は修飾オリゴヌクレオチドとすることができる。本発明において、このように調整された光応答性修飾核酸と光応答性修飾オリゴヌクレオチドをまとめて光応答性修飾核酸ということがある。本発明に係る修飾核酸において、特徴的な構造を備えた光応答性人工ヌクレオチドアナログが配列中の末端に位置していてもよく、この場合にはQ1又はQ2のいずれかの側のみがQ1又はQ2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結される修飾ヌクレオチド又は修飾核酸となる。また、上記の核酸に代えてペプチド核酸を用いて、特徴的な構造を備えた光応答性人工ヌクレオチドアナログが配列中に取り込まれた光応答性修飾ペプチド核酸とすることができる。
[化合物の骨格構造]
本発明に係る化合物は、式Iで表される骨格構造を備えており、式Iにおいて天然のヌクレオシド及びヌクレオチドが備えているべきリボースあるいはデオキシリボースによる糖構造を備えていない。さらに、本発明に係る化合物は、式Iにおいて天然のヌクレオシド及びヌクレオチドが備えているべきプリン塩基あるいはピリミジン塩基による塩基構造を備えていない。つまり、本発明に係る化合物は、天然のヌクレオシド及びヌクレオチドとは、構造的に全く類似するように思われない化学構造となっている。それにもかかわらず、本発明に係る化合物は、1本鎖の修飾核酸として形成されると、これと相補的な1本鎖の核酸と二重らせんを形成することができる。そして、ピラノカルバゾール部分が光反応によって架橋を形成することができる。
[ヌクレオシドアナログ]
好適な実施の態様において、Q1及びQ2を、水素原子とすることができる。すなわち、上記式Iで表される化合物は、特徴的な構造を備えた光応答性人工ヌクレオシドアナログ分子とすることができる。
[ヌクレオチドアナログ]
好適な実施の態様において、Q1を、Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基とすることができ、Q2を、水素原子とすることができる。すなわち、上記式Iで表される化合物は、特徴的な構造を備えた光応答性人工ヌクレオチドアナログ分子とすることができる。
[修飾核酸製造用試薬]
好適な実施の態様において、Q1を、上述の保護基とすることができ、Q2を、Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基、Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸、あるいは上述の保護基、とすることができる。すなわち、上記式Iで表される化合物は、光反応性修飾核酸の製造用試薬(合成用試薬)とすることができる。
好適な実施の態様において、Q1を、上述の保護基とすることができ、Q2を、Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基、あるいは上述の保護基、とすることができる。よく知られているように、このような構造を備えた化合物は、核酸合成用のモノマーとして使用することができ、公知のDNA合成装置によって使用可能な試薬とすることができ、例えばホスホロアミダイト法、及びH−ホスホネート法によって使用可能な修飾核酸合成用試薬(修飾核酸合成用モノマー)とすることができる。
また、Q1を、上述の保護基として、Q2を、Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド又は核酸とした構造はいわゆるモノマーとは言えない構造となっており、修飾核酸と言える構造となっている。このような場合には、そこから合成して鎖長を伸長するための製造用試薬(合成用試薬)として使用することができる。
このような光反応性修飾核酸製造用試薬(光反応性修飾核酸合成用試薬)として、次のようなモノマーを例示することができる。
Figure 0006920689
Figure 0006920689
[光反応性架橋剤]
本発明に係る化合物は、ピラノカルバゾール部分が光反応によって架橋を形成することができる。本発明に係る化合物を、1本鎖の修飾核酸として形成すると、これと相補的な1本鎖の核酸と二重らせんを形成することができ、ピラノカルバゾール部分が光反応によって架橋を形成することができ、結果として、二重らせんの一方の鎖からもう一方の鎖へと形成された鎖間の光架橋(光クロスリンク)を形成することができる。すなわち、本発明に係る化合物は、光反応性架橋剤として使用することができる。
[光架橋の形成]
本発明に係る修飾核酸は、これを1本鎖核酸として使用すると、これと相補的な1本鎖核酸とハイブリダイズして二重らせんを形成することができる。二重らせんの形成にあたって、ピラノカルバゾール構造部分に対して、相補鎖中において塩基対を形成すべき位置にある核酸塩基については、特段の制約がなく、自由に選択できる。形成された二重らせんに光照射を行うと、二重らせんを形成する核酸鎖の間に、光反応によって架橋を形成することができる。この光架橋は、配列中でピラノカルバゾール構造部分が核酸塩基として位置する位置から配列中で1塩基分だけ5’末端側に位置する核酸塩基に対して、相補鎖中において塩基対を形成する位置にある核酸塩基と、ピラノカルバゾール構造との間に形成される。言い換えれば、この光架橋は、ピラノカルバゾール構造部分に対して、相補鎖中において塩基対を形成すべき位置にある核酸塩基から、配列中で1塩基分だけ3’末端側に位置する核酸塩基と、ピラノカルバゾール構造との間に形成される。
[光架橋の塩基特異性]
本発明において、ピラノカルバゾール構造が光架橋を形成可能である相手方の塩基は、ピリミジン環を有する塩基である。一方で、ピラノカルバゾール構造は、プリン環を有する塩基とは光架橋を形成しない。すなわち、本発明に係る光架橋性の化合物は、天然の核酸塩基としては、シトシン、ウラシル、及びチミンに対して光架橋を形成し、一方で、グアニン及びアデニンに対しては光架橋を形成しないという、特異性を有している。
[光反応性架橋剤の配列選択性]
本発明に係る光反応性修飾核酸(光架橋性修飾核酸)は、修飾核酸と相補的な塩基配列を有する配列とハイブリダイズさせて二重らせんを形成させた後に、光架橋させることができる。これによって、目的とする特定の配列に対してのみ光クロスリンク反応(光架橋反応)を行わせることができる。すなわち、本発明に係る光反応性架橋剤は、非常に高い塩基配列選択性を、所望に応じて配列設計して、付与することができる。
[光照射の波長]
光架橋のために照射される光の波長は、例えば350〜600nmの範囲、好ましくは400〜600nmの範囲、さらに好ましくは400〜550nmの範囲、さらに好ましくは400〜500nmの範囲、さらに好ましくは400〜450nmの範囲とすることができる。好適な実施の態様において、これらの範囲の波長にある単波長のレーザー光を使用することができる。このように本発明では、可視光域の波長の光照射によって、光架橋を形成することができる。従来の光反応性架橋剤では、これらの範囲よりも短波長の光照射を必要としていた。本発明によれば、従来の光反応性架橋剤よりも長波長の光照射によって光架橋を形成できることから、光照射による核酸や細胞への悪影響を最小限とすることができる点で、有利である。
[光架橋の開裂]
本発明の化合物によれば、光架橋を形成した後に、さらに光照射によって光開裂をすることができる。すなわち、本発明に係る光反応性の化合物は、可逆的な光架橋を可能とするものであり、可逆的な光反応性架橋剤として使用することができる。
この光架橋の可逆性から想起されるように、本発明の化合物による可逆性光反応性架橋剤を使用すれば、特定の塩基配列を有する核酸を、生理的条件下で、分離し、回収し、又は検出することができる。したがって本発明は可逆性光反応性架橋剤を使用して、所望の塩基配列を有する核酸を、分離し、回収し、又は検出する方法にもある。
光開裂のために照射される光の波長は、例えば300〜350nmの範囲、好ましくは300〜340nmの範囲とすることができる。好適な実施の態様において、これらの範囲の波長にある単波長のレーザー光を使用することができる。
[光反応の温度]
好適な実施の態様において、光架橋反応を進行させるためには、一般に0〜50℃、好ましくは0〜40℃、さらに好ましくは0〜30℃、さらに好ましくは0〜20℃、さらに好ましくは0〜10℃、さらに好ましくは0〜5℃の範囲の温度で光照射を行う。光開裂反応を進行させるためには、一般に55〜100℃、好ましくは60〜90℃、さらに好ましくは60〜80℃の範囲の温度で光照射を行う。
[光反応の条件]
本発明による光架橋及び光開裂は、光反応を利用しているために、pH、塩濃度などに特段の制約がなく、核酸類等の生体高分子が安定に存在可能なpH、塩濃度とした溶液中で、光照射によって行うことができる。
[光反応の時間]
本発明による光架橋及び光開裂は、極めて迅速に進行する。例えば、光反応性の化合物として知られるソラレンであれば数時間を要する(350nm光照射)ような場合に、それよりもはるかに長波長の光照射によって、例えばわずか10秒間〜60秒間(400nm光照射)で光反応が進行して光架橋する。すなわち、本発明に係る光架橋剤を使用すれば、例えば1〜120秒間、又は1〜60秒間の光照射によって、光反応を進行させて光架橋を形成させることができる。さらに、本発明による光架橋は、上記の波長及び温度を採用して、例えば1〜120秒間、又は1〜60秒間の光照射によって、光反応を進行させて光架橋を開裂させることができる。
[光応答性人工ヌクレオシドアナログ分子の合成経路]
本発明に係る光応答性人工ヌクレオシドアナログ分子は、例えば、後述するスキーム1に示す合成経路に沿って、合成することができる。このスキーム1では、化合物1を得て、そこから化合物4を合成し、アミンと脱水縮合反応させてアミド結合を形成し、化合物5を得るという手順を含むものとなっている。
[アミンとの脱水縮合によるアミドの形成]
すなわち、スキーム1の合成経路によれば、次の式VI:
(VI)
Figure 0006920689
(ただし、式VIにおいて、R1は、式Iにおいて記載した基である。)
で表される修飾ピラノカルバゾール分子から、次の式III:
(III)
Figure 0006920689
(ただし、式IIIにおいて、
R1は、式VIにおいて記載した基であり、
R11及びR12は、式Isにおいて記載した基であり、
naは、1又は2である。)
で表されるカルボン酸を合成し、これを次の式IV:
(IV)
Figure 0006920689
(ただし、式IVにおいて、
R21、R22、R31、R32、R41及びR42は、式Isにおいて記載した基であり、
nbは、0又は1であり、
ncは、0、1、2又は3であり、nc+ndは0〜3の整数であり、
ndは、0、1、2又は3であって、nc+ndは0〜3の整数であり、
Q1は、
水素原子;
Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基;
からなる群から選択される基であり、
Q2は、
水素原子;
Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
以下から選択される保護基:
2−シアノエチル−N,N−ジアルキル(C1〜C4)ホスホロアミダイト基、メチルホスホンアミダイト基、エチルホスホンアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基、−PH(=O)OHのTEA塩、−PH(=O)OHのDBU塩、−PH(=S)OHのTEA塩、−PH(=S)OHのDBU塩;
からなる群から選択される基である。)
で表されるアミンと脱水縮合反応させることによって、次の式V:
(V)
Figure 0006920689
(ただし、式Vにおいて、
R1、R11及びR12は、それぞれ独立して、上記式IIIにおいて記載した基であり、
naは、上記式IIIにおいて記載した整数であり、
R21、R22、R31、R32、R41、R42、Q1及びQ2は、それぞれ独立して、上記式IVにおいて記載した基であり、
nb、nc及びndは、それぞれ上記式IVにおいて記載した整数である。)
で表される化合物を製造することができる。
好適な実施の態様において、上記式IVで表される化合物として、次の式VIIで表される化合物を使用することができる:
(VII)
Figure 0006920689
(ただし、式VIIにおいて、
R21、R22、R31、R32、R41及びR42は、式Isにおいて記載した基であり、
nbは、0又は1であり、
ncは、0、1、2又は3であり、nc+ndは0〜3の整数であり、
ndは、0、1、2又は3であって、nc+ndは0〜3の整数である。)
上記式IVで表される化合物として、次の式VIIで表される化合物を使用する場合には、上記式Vで表される化合物は、次の式VIIIで表される化合物とすることができる:
(VIII)
Figure 0006920689
(ただし、式VIIIにおいて、
R1は、式IIIにおいて記載した基であり、
R11及びR12は、式IIIにおいて記載した基であり、
naは、1又は2であり、
R21、R22、R31、R32、R41及びR42は、式VIIにおいて記載した基であり、
nbは、0又は1であり、
ncは、0、1、2又は3であり、nc+ndは0〜3の整数であり、
ndは、0、1、2又は3であって、nc+ndは0〜3の整数である。)
好適な実施の態様において、上記式IIIのカルボン酸として、次の式IIIa:
(IIIa)
Figure 0006920689
(ただし、式IIIaにおいて、R1は、式IIIにおいて記載した基である。)
で表されるカルボン酸を使用することができる。
好適な実施の態様において、上記式VIIのアミンとして、次の式VIIaで表されるアミンを使用することができる:
(VIIa)
Figure 0006920689
(ただし、式VIIaにおいて、R42は式VIIにおいて記載した基であり、好ましくは、R42は水素原子又はメチル基とすることができる。)
上記式IIIのカルボン酸として式IIIaのカルボン酸が使用されて、上記式VIIのアミンとして式VIIaのアミンが使用される場合には、上記式VIIIの化合物は、次の式VIIIaの化合物とすることができる:
(VIIIa)
Figure 0006920689
(ただし、式VIIIaにおいて、
R1は、式IIIaにおいて記載した基であり、
R42は、式VIIaにおいて記載した基であり、好ましくは、R42は水素原子又はメチル基とすることができる。)
上述のように、アミンとの脱水縮合によるアミドの形成によって、式V、式VIII、式VIIIaの化合物を合成することができる。スキーム1の合成経路は、これらの式において、Q1とQ2が水素原子である場合を例示して、説明したものとなっているが、Q1とQ2が水素原子以外である場合であっても、アミンとの脱水縮合によるアミドの形成によって式Vの化合物を製造することができる。
上述した本発明に係る合成経路は、ステップが少なく、簡便であり、高い総収率を期待できる点で、優れたものとなっている。さらに、従来の光架橋剤の合成法と対比すると、合成経路中には、塩化水素による活性化のステップなど、操作に注意と熟練を要するステップを含んでいないという点で、有利なものとなっている。すなわち、従来の光反応性の修飾ヌクレオシド分子の合成においては、その構造中にデオキシリボースまたはリボースを備えているために、上記本発明の合成経路と比較すると、合成経路中のステップは多く、複雑であり、総収率は低い。従来型の光反応性の修飾ヌクレオシド分子の合成においては、その構造中にデオキシリボースまたはリボースを備えているために、糖の水酸基の保護と活性化のために、塩化水素による活性化のステップなど、操作に注意と熟練を要するステップを含むものとなっている。したがって、本発明に係る化合物は、上記合成の簡便さと総収率の高さの点でも、優れたものである。また、本発明は、上記の優れた合成方法(製造方法)にもある。
[修飾核酸合成用モノマー及び修飾核酸の合成]
上記の合成経路によって得られる光応答性人工ヌクレオシドアナログ分子(式VIII、式VIIIaの化合物)を用いて、後述するスキーム1に記載の手法、あるいは当業者に公知の手法を使用して、本発明に係る修飾核酸を得るための合成用モノマー(製造用試薬)を得ることができる。本発明に係る修飾核酸の合成用モノマーの構造は上述した通りであり、これを、ホスホロアミダイト法、及びH−ホスホネート法等の公知の手法によって核酸合成試薬として使用すれば、光応答性人工ヌクレオシドアナログ分子(式VIII、式VIIIaの化合物)が配列中に取り込まれた核酸又はオリゴヌクレオチド(本発明に係る修飾核酸)あるいはペプチド核酸を得ることができる。このように、本発明に係る修飾核酸合成モノマーは、ホスホロアミダイト法、及びH−ホスホネート法等の公知の手法において核酸合成試薬として使用できる点で、優れたものである。
以下に実施例をあげて、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下に例示する実施例に限定されるものではない。
[pc−Dホスホロアミダイトの合成]
次のスキーム1に示す6段階の合成経路に沿って、D−トレオニノール構造を有する光応答性人工ヌクレオシドアナログ分子(化合物5)(ヌクレオシドアナログ、あるいは光反応性素子ということがある)を合成し、さらに修飾核酸合成用モノマー(化合物7)の合成を行った。
スキーム1:
Figure 0006920689
(1)化合物2の合成
非特許文献(Synthesis of fused pyranocarbazolones with biological interest, A.Vronteli et al., Commemorative Issue in Honor of Prof. Michael Orfanopoulos on the occasion of his outstanding contributions to organic synthetic chemistry,Volume2015,Issue3,pp.111−123)に従い、2−ヒドロキシカルバゾール(化合物1)からピラノカルバゾール(化合物2)を合成した。
(2)化合物3の合成
化合物2(4.7g)と水酸化ナトリウム(2.4g)を仕込んだフラスコにアセトニトリル(1000ml)を仕込み、室温で1時間撹拌したのち、ブロモ酢酸エチル(6.67g)を滴下し、さらに室温で1時間撹拌した。残留している水酸化ナトリウムをヌッチェ型ろ過器で吸引ろ過により除去し、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた化合物3(固体)を次工程にそのまま用いた。得られた化合物を用いてNMR測定を実施し、各ピークの帰属を決定し、化合物の構造を確認した。
1H−NMR(300MHz,CDCL3):8.14−7.21(m,6H,ArH)、7.88(d,1H,O=C−CH=CH)、6.34(d,1H,O=C−CH=CH)、4.99(s,2H,CH2CO)、4.24(q,2H,CH3CH2)、1.27(t,3H,CH3
(3)化合物4の合成
先の工程で得られた化合物3をTHF(1000ml)に溶解させた。水酸化ナトリウム(0.9g)を水(50ml)に溶解した水溶液を、先のTHF溶液へ滴下し、室温で3時間撹拌した。反応終了後、反応液を希塩酸で中和してpH6〜7にした。反応液をロータリーエバポレーターで濃縮し、酢酸エチルを用いた分液操作により有機相へ目的物を抽出した。有機層をロータリーエバポレーターで濃縮し、化合物4(固体)を得た。得られた化合物4をそのまま次工程に用いた。得られた化合物を用いてNMR測定を実施し、各ピークの帰属を決定し、化合物の構造を確認した。
1H−NMR(300MHz,DMSO):8.48−7.30(m,6H,Ar−H)、8.18(d,1H,O=C−CH=CH)、6.35(d,1H,O=C−CH=CH)、5.30(s,2H,CH2CO)
(4)化合物5(トレオニノール骨格型ピラノカルバゾールヌクレオシドアナログ:pc−D)の合成
前工程で得られた化合物4、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(2.7g)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(3.8g)、D−トレオニノール(2.1g)をフラスコに仕込み、窒素置換後にDMF(100ml)に溶解させ、室温で2時間撹拌した。反応混合物を撹拌しながら、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加した。生成した沈殿物をガラスフィルター付ろ過器で吸引ろ過した。沈殿物を蒸留水およびヘキサンで洗浄後、乾燥させて化合物5(固体)を得た。得られた化合物5のUV−visスペクトルを分光光度計により測定し(図1)、250〜400nmに現れた特徴的な吸収ピークから、ピラノカルバゾール構造を有することを確認した。また、得られた化合物を用いてNMR測定を実施し、各ピークの帰属を決定し、化合物の構造を確認した。
1H−NMR(300MHz,DMSO):8.48−7.29(m,6H,Ar−H)、8.19(d,1H,O=C−CH=CH)、8.03(d,1H,NHCO)、6.34(d,1H,O=C−CH=CH)、5.17(s,2H,CH2CO)、4.75(br,1H,CH2OH)、4.68(br,1H,CHOH)、3.91(br,1H,NHCH)、3.64(m,1H,CH2OH)、3.51(m,1H,CH2OH)、1.03(d,3H,CH3
(5)化合物6の合成
化合物5(4.6g)、4−ジメチルアミノピリジン(0.3g)をフラスコに仕込み、窒素置換後にピリジン(55ml)を加え、氷水浴中で冷却しながら溶解させた。4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(8.3g)を添加し、氷水浴中で1時間撹拌し反応させた。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し化合物6を得た。得られた化合物を用いてNMR測定を実施し、各ピークの帰属を決定し、化合物の構造を確認した。
1H−NMR(300MHz,CDCL3):8.13−7.03(m,11H,Ar−H)、7.85(d,1H,O=C−CH=CH)、6.95−6.69(m,8H,MeO−Ar−H)、6.33(d,1H,O=C−CH=CH)、6.29(d,1H,NHCO)、4.96(s,2H,CH2CO)、3.88(m,1H,NCH)、3.88(m,1H,CHOH)、3.77(s,6H,OCH3)、3.25−3.12(m,2H,CH2−ODMTr)、2.52(m,1H,CHOH)、0.93(d,3H,CH3
(6)化合物7(pc−Dホスホロアミダイト)の合成
化合物6(7.2g)、5−ベンジルチオ−1H−テトラゾール(0.2g)をフラスコに仕込み、窒素置換後に、アセトニトリル(160ml)を加え、氷水浴中で溶解させた。2−シアノエチルN,N,N’,N’−テトライソプロピルホスホロアミダイト(5.3g)を加え、室温で2時間撹拌した。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、濃縮物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し化合物7を得た。得られた化合物を用いてNMR測定を実施し、各ピークの帰属を決定し、化合物の構造を確認した。
1H−NMR(600MHz,CDCL3):8.12−7.18(m,11H,Ar−H)、7.86(d,1H,O=C−CH=CH)、7.12−6.71(m,8H,MeO−Ar−H)、6.34(d,1H,O=C−CH=CH)、5.87(d,1H,NHCO)、4.93(s,2H,CH2CO)、4.22(m,1H,CHOP)、4.12(q,2H,NC−CH2−CH2)、4.07(m,1H,NHCH)、3.77(s,6H,OCH3)、3.00(m,2H,CH2O−DMTr)、2.10−2.00(m,2H,N−CH−(CH32)、1.26(t,2H,NC−CH2)、1.06−0.43(m,12H,N−CH−(CH32)、0.93(d,3H,CH3
[光反応性素子(pc−D)を含むオリゴDNAの合成]
一般的なシアノエチルホスホロアミダイト法に従い、DNA自動合成機により光反応性素子(核酸光反応性素子ということがある)を含むオリゴDNAを合成した。化合物7の固相縮合反応のみ反応時間を999秒に設定した。トリチリルモニターによる化合物7のカップリング収率は98%以上であった。28質量%アンモニア水溶液を用いた固相からの切出し・脱保護を行った後、逆相HPLCによる精製を行い目的の核酸光反応性素子を含むオリゴDNA(5’−TGCAXCCGT−3’、Xは核酸光反応性素子(pc−D))を得た。オリゴDNAの同定はMALDI−TOF MS解析により行った。([(M+H)+];Calcd.2827.80,Found 2828.94)
DNA配列を一部変更してDNA自動合成機に入力した以外は上記と同様の操作で、核酸光反応性素子を含むオリゴDNA(5’−TGCGXCCGT−3’、Xは核酸光反応性素子(pc−D))を得た。
[pc−Sホスホロアミダイトおよびpc−S含有DNAの合成]
上記合成したpc−Dにおいてトレオニノールをセリノール(2−アミノ−1,3−プロパンジオール)に変えた構造に相当する光応答性人工ヌクレオシドアナログ(化合物8)(pc−S)を、次のスキーム2に示す6段階の合成経路(化合物4まではpc−Dと同様)に沿って合成した。さらに修飾核酸合成用モノマー(化合物10)の合成を行った。
スキーム2:
Figure 0006920689
(1)化合物8(セリノール骨格型ピラノカルバゾールヌクレオシドアナログ:pc−S)の合成
D−トレオニノールをセリノールへ変更して化合物5を合成する方法と同様の操作を行い、化合物8を合成した。得られた化合物8のUV−visスペクトルを分光光度計により測定し(図2)、250〜400nmに現れた特徴的な吸収ピークから、ピラノカルバゾール構造を有することを確認した。また、得られた化合物を用いてNMR測定を実施し、各ピークの帰属を決定し、化合物の構造を確認した。
1H−NMR(300MHz,DMSO):8.54−7.26(m,6H,Ar−H),8.21(d,1H,O=C−CH=CH),8.03(d,1H,NHCO),6.34(d,1H,O=C−CH=CH),5.11(s,2H,CH2CO),4.73(br,2H,CH2OH),3.75(br,1H,NHCH),3.43(m,4H,CH2OH)
(2)化合物9および化合物10(pc−Sホスホロアミダイト)の合成
化合物9および化合物10(pc−Sホスホロアミダイト)の合成を、スキーム1の化合物6および化合物7を合成する方法と同様の方法で実施した。
[光反応性素子(pc−S)を含むオリゴDNAの合成]
化合物10を用いて、pc−Dホスホロアミダイトと同様の操作により、核酸光反応性素子を含むオリゴDNA(5’−TGCAXCCGT−3’、Xは核酸光反応性素子(pc−S))を得た。
[pc−Dの光反応性の評価]
前記pc−Dを含むオリゴDNA[以下、ODN(Y・pc−D)という、YはA(アデニン)またはG(グアニン)]と、相補的オリゴDNA[以下、ODN(Z)という、ZはT(チミン)またはC(シトシン)]の等量混合液(5μM in 50mM Na−Cacodylate buffer(pH7.4),100mM NaCl)に内部標準としてデオキシウリジン(25μM)を添加し、4℃にて光照射(400nm、9500mW/cm2)を行った。この溶液をHPLC(溶離液:アセトニトリル/50mMギ酸アンモニウム、1〜20%アセトニトリル/10min、流速:0.2mL/min)により分析することで、光反応性を評価した。
(1)チミンを対象とした光架橋反応
図3aは、この操作の流れを示す説明図である。光架橋対象がチミン(T)となるODN(A・pc−D)(5’−TGCAXCCGT−3’)には、配列中のXの位置に、本発明に係るヌクレオシドアナログ(pc−D)が、改良型光反応性素子として導入されている。
図3bはODN(A・pc−D)と相補的オリゴDNAであるODN(T)(5’−ACGGGTGCA−3’)を使用して、U−VIX製のUV−LED照射装置(OmniCure(登録商標)LX405S)を用いて400nmの光を照射した後に、HPLCによって分析した結果を示す図である。縦軸方向に並べられたチャートはそれぞれ光照射時間(0秒、1秒、5秒、10秒、30秒)に対応しており、横軸は保持時間(分)を示す。光照射前(0秒)の時点で存在していたODN(A・pc−D)およびODN(T)のピークが光照射によって減少し、同時にODN(A・pc−D)とODN(T)とが架橋した光2量体(ODN(pc−D/T))のピークが出現した。光照射時間の増加に伴い、(ODN(pc−D/T))のピーク面積が増大しており、光架橋反応が進行していることを確認した。図3cは、光照射時間に伴う架橋率の変化をグラフにしたものである。図3cの横軸は光照射時間(秒)、縦軸は転化率(%)である。この転化率、すなわち単量体から二量体へと変化した割合は、完全に二量体と変化した場合を転化率100%とした。本発明に係るヌクレオシドアナログ、すなわちODN(A・pc−D)は、照射10秒後に94%という高い転化率を示し、1時間後にはほぼ100%架橋した。
図3dは同じくODN(A・pc−D)とODN(T)を使用して、日本分光株式会社製のCRM−FD型照射分光器を用いて、450、500、550nmの光を1時間照射した場合のHPLC分析結果である。それぞれの転化率は、450nmで86%、500nmで70%、550nmで38%であった。
(2)シトシンを対象とした光架橋反応
ODN(A・pc−D)と同様の操作で、C(シトシン)が光架橋対象となるpc−D含有オリゴDNA(5’−TGCGXCCGT−3’、以下、ODN(G・pc−D)という)と、相補的オリゴDNA(5’−ACGGGCGCA−3’)、以下、ODN(C)という)を用いた光架橋反応を行った(図4a)。400nmの光を30秒間照射した結果、光架橋による転化率は71%であった(図4b)。
[pc−Dの光架橋体の光開裂反応]
ODN(A・pc−D)およびODN(T)の混合溶液の光照射(400nm,60秒間)によって調製した光2量体ODN(pc−D/T)溶液を60℃で加温し、15Wのトランスイルミネーターを用いて312nm光を、0分、5分、30分間照射した(図5a)。光照射により、ODN(pc−D/T)のピークが減少し、もとのODN(A・pc−D)およびODN(T)のピークが出現した。照射30分後には、ODN(pc−D/T)のピークは消滅し、転化率100%であった(図5b)。
[pc−Sの光反応性の評価]
ODN(A・pc−D)と同様の操作で、T(チミン)が光架橋対象となるpc−S含有オリゴDNA(5’−TGCGXCCGT−3’、以下、ODN(A・pc−S)という)と、相補的オリゴDNAであるODN(T)を用いた光架橋反応を行った(図6a)。
図6bは、U−VIX製のUV−LED照射装置(OmniCure(登録商標)LX405S)を用いて400nmの光を照射60秒間した後に、HPLCによって分析した結果である。縦軸方向に並べられたチャートはそれぞれ光照射時間(0秒、60秒)に対応しており、横軸は保持時間(分)を示す。光照射前(0秒)の時点で存在していたODN(A・pc−S)とODN(T)のピークが光照射によって減少し、同時に光2量体(ODN(pc−S/T))のピークが出現した。
[照射光波長の細胞への影響の検討]
長波長の光照射が、短波長の光照射と比較して、細胞へのダメージが少ないことを検討するために、以下の実験を行った。
96穴プレートに5×105cell/mlの細胞(GFP−HeLa細胞、ヒト子宮頸癌由来株)を100μL分注し、CO2インキュベータで48時間培養した。その後、366nm、400nm、又は450nmの波長の光で光照射を行った後、Cell counting kitを10μLずつ入れ、CO2インキュベータで4時間呈色した後、マイクロプレートリーダを用い、450nmの吸光度を測定し、細胞生存率を算出した。この結果を、図7にまとめて示す。
[結果]
図7は、各波長での光照射時間(秒)と細胞生存率(%)を対比したグラフである。この結果から、366nmの光照射では数秒の光照射でも細胞生存率が大きく低下しているのに対して、400nm、450nmでは、数十秒光照射を行ってもほとんど細胞生存率が低下していない。すなわち、このことからもピラノカルバゾールが細胞毒性の少ない長波長の光で操作可能であることが明らかとなった。
本発明は、核酸の光反応技術に使用可能な光反応性架橋剤となる新規な化合物を提供する。本発明は産業上有用な発明である。

Claims (7)

  1. 次の式Iで表される化合物:
    (I)

    Figure 0006920689

    (ただし、式Iにおいて、
    R1は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、フッ化メチル基、エチル基、フッ化エチル基、及びC1〜C3のアルキルスルファニル基からなる群から選択された基であり、
    Xは、次の式Itで表される基である:
    (It)

    Figure 0006920689






    (ただし、式Itにおいて、
    R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり
    R31及びR32は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり
    R41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり
    Q1は、
    水素原子;
    Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
    Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
    以下から選択される保護基:
    トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基;
    からなる群から選択される基であり、
    Q2は、
    水素原子;
    Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
    Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
    以下から選択される保護基:
    2−シアノエチル−N,N−ジアルキル(C1〜C4)ホスホロアミダイト基、メチルホスホンアミダイト基、エチルホスホンアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基、−PH(=O)OHのTEA塩、−PH(=O)OHのDBU塩、−PH(=S)OHのTEA塩、−PH(=S)OHのDBU塩;
    からなる群から選択される基である。))。
  2. Xが、次の式Iuで表される基である、請求項1に記載の化合物:
    (Iu)
    Figure 0006920689

    (ただし、式Iuにおいて、
    R42は、式Itにおいて記載した基であり、
    Q1及びQ2は、式Itにおいて記載した基である。)。
  3. R42が、水素原子又はメチル基である、請求項2に記載の化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の化合物からなる、光反応性架橋剤。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の化合物からなる、光反応性修飾核酸製造用試薬。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の化合物からなる光反応性架橋剤を使用して、該光反応性架橋剤と、ピリミジン環を有する核酸塩基との間に、光架橋を形成する方法。
  7. 次の式III:
    (III)

    Figure 0006920689

    (ただし、式IIIにおいて、
    R1は、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、フッ化メチル基、エチル基、フッ化エチル基、及びC1〜C3のアルキルスルファニル基からなる群から選択された基であり、
    R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
    naは、1又は2である。)
    で表される化合物を、次の式IV:
    (IV)

    Figure 0006920689

    (ただし、式IVにおいて、
    R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
    nbは、0又は1であり、
    R31及びR32は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
    ncは、0、1、2又は3であり、nc+ndは0〜3の整数であり、
    R41及びR42は、それぞれ独立して、水素原子、C1〜C3のアルキル基、及びC1〜C3のアルコキシ基からなる群から選択された基であり、
    ndは、0、1、2又は3であって、nc+ndは0〜3の整数であり、
    Q1は、
    水素原子;
    Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
    Q1に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
    以下から選択される保護基:
    トリチル基、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基、トリメトキシトリチル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基;
    からなる群から選択される基であり、
    Q2は、
    水素原子;
    Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基;
    Q2に結合するOと一体となって形成されるリン酸基によって形成されるリン酸ジエステル結合を介して連結されるヌクレオチド、核酸又はペプチド核酸; 及び
    以下から選択される保護基:
    2−シアノエチル−N,N−ジアルキル(C1〜C4)ホスホロアミダイト基、メチルホスホンアミダイト基、エチルホスホンアミダイト基、オキサザホスホリジン基、チオホスファイト基、−PH(=O)OHのTEA塩、−PH(=O)OHのDBU塩、−PH(=S)OHのTEA塩、−PH(=S)OHのDBU塩;
    からなる群から選択される基である。)
    で表される化合物と脱水縮合させることによって、次の式V:
    (V)

    Figure 0006920689

    (ただし、式Vにおいて、
    R1、R11及びR12は、それぞれ独立して、上記式IIIにおいて記載した基であり、
    naは、上記式IIIにおいて記載した整数であり、
    R21、R22、R31、R32、R41、R42、Q1及びQ2は、それぞれ独立して、上記式IVにおいて記載した基であり、
    nb、nc及びndは、それぞれ上記式IVにおいて記載した整数である。)
    で表される化合物を製造する方法。
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