JP6923155B2 - リポソームの製造方法およびマルチラメラリポソーム - Google Patents

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本発明は、スフィンゴリン脂質を含むリポソームの製造方法およびマルチラメラリポソームに関する。
リポソームは、脂質二分子膜からなる閉鎖小胞体である。細胞モデルとして使用されるほか、閉鎖空間に医薬品などを封入した薬物送達システム(Drug Delivery System:DDS)等へ応用されている。リポソームの製造方法として、例えば、リン脂質とコレステロールとを含むクロロホルム溶液をフラスコに仕込み、溶媒のみを除去してフラスコ内壁に脂質膜を形成し、リン酸や乳酸などの緩衝液を加えてリン脂質の転移温度以上に加温し、撹拌装置で水和および分散させる方法がある(非特許文献1)。当該方法によれば、多層リポソームを生成させることができ、この多層リポソームに超音波を照射すると百数十ナノメートルの単層リポソームが生成するという。
一方、有機溶媒に代えて超臨界二酸化炭素を使用する方法もある。圧力容器内で40〜65℃、10〜30MPaの条件下、超臨界二酸化炭素とリポソーム膜構成成分、医薬化合物、および製剤助剤とを混合し反応させるものである。圧力容器内を減圧して二酸化炭素を除去すると、前記医薬化合物が内包されたリポソームの水性分散液を得ることができるという(特許文献1)。前記製剤助剤として、トロメタモールなどの緩衝剤、キレート剤、無機塩類、薬理的活性物質、浸透圧調節剤、安定化剤、抗酸化剤、粘度調節剤、保存剤などが記載されている。実施例では、リポソーム原料としてジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC)を用い、トロメタモールとEDTANa−Caとを併用してリポソームを製造している。なお、リポソーム製造後に整粒操作を行い、平均粒径が0.26〜0.30μmの多層リポソームを得ている。
また、水溶性もしくは親水性物質又は物質の混合物の封入のためのリポソームの製造方法もある(特許文献2)。水、リン脂質および助剤を臨界圧力及び臨界温度より高い二酸化炭素及び極性有機溶媒と反応させるものである。実施例では、リン脂質〔1−n−ヘキサデカノイル−2−(9−シス−オクタデセノイル)−3−sn−ホスファチジルコリン(POPC)〕とコレステロールとを使用し、POPC:コレステロールのモル比が3:1のリポソームを製造している。
更に、超臨界状態または臨界点以上の温度もしくは圧力条件下の二酸化炭素とリン脂質または糖脂質の均一混合流体中に、封入物質を含む水相を加えることを特徴とする封入物質を内包したリポソームの製造方法もある(特許文献3)。リン脂質と超臨界二酸化炭素との均一混合物にエタノールなどの助溶媒を併用し、難溶性の封入物質の溶解度を増加させるものである。この方法によれば、直径50nm〜800nmの単層ラメラリポソームを製造することができる。なお、超臨界二酸化炭素法を使用する方法は、超臨界状態でリポソームが形成されるのではなく、減圧により溶解度が急激に低下し、微粒子状に析出するリン脂質に水溶液を混合することによりリポソームが製造される、という。実施例では、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、水添大豆レシチン(HSPC)、水添卵黄レシチン、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)を用いて、単層リポソームを製造している。
一方、卵黄由来フォスファチジルコリンを溶解したクロロホルム溶液を試験管に仕込み、溶媒のみを除去して試験管内壁に脂質膜を形成し、この試験管にガラスビーズと緩衝液とを加えた後に、20〜50kHzの低周波超音波と、500kHz〜20MHzの高周波超音波とを照射するリポソームの製造方法もある(特許文献4)。単に超音波を照射しただけではリポソーム内包物の損傷や、溶液温度の上昇による原料の分解・変性するなどの問題が生じるが、原料に20〜50kHzの低周波超音を照射してキャビテーションによる微細化を行い、次いでキャビテーション損傷の少ない条件下でリポソーム粒径をナノレベルまで極微細化・均一化する500kHz〜20MHzの高周波超音波照射を併用すると、数十nmから150nmの大きさにおいて粒径分布の狭い、異物混入のない高品質のリポソームを調製することができるという。
特開2006−298844号公報 特開平06−315624号公報 特許第4296341号公報 特開2007−7625号公報
秋吉一成、辻井薫監修;奥直人、久保井亮一、宝谷紘一編、「リポソーム応用の新展開:人工細胞の開発に向けて」、エヌ・ティー・エス発行、2005年6月発行、ページ33,34 吉村哲郎、「新規リポソーム作製技術の開発と医療への応用」、[online]、[平成29年3月14日]、インターネット〈URL:http://www.nisri.jp/dor/report/2009/yoshimura.pdf〉
しかしながら、上記非特許文献1記載や特許文献2記載の方法は、リン脂質と共にコレステロールを併用するものである。コレステロールはリポソームの脂質二分子膜の構成成分として使用され、コレステロールを含まないリポソームは得られていない。
また、特許文献1記載の方法は超臨界二酸化炭素を使用して多層リポソームを製造する方法である。リン脂質と共にトロメタモールやキレート剤などの製剤助剤を併用する必要がある。従って、製剤助剤を使用せず、多層リポソームを製造する方法の開発が望まれる。
特許文献3記載の方法も特許文献1と同様に超臨界二酸化炭素を使用するものであるが、実施例では、単層リポソームのみを製造している。超臨界二酸化炭素を使用し、かつ同じリン脂質を膜構成成分として使用して多層リポソームを製造する特許文献1と比較すると、特許文献1はリン脂質と共にコレステロールを併用して多層リポソームを調製するのに対し、特許文献3ではコレステロールを使用せず、単層リポソームのみを調製している。したがって、コレステロールを使用せず、マルチラメラリポソームを製造する方法の開発が望まれる。
上記特許文献1〜4は、いずれもリン脂質としてグリセロリン脂質を使用するものであり、スフィンゴリン脂質を膜構成成分とするリポソームを製造するものではない。リポソームは、DDSなどに応用されるが、グリセロリン脂質とスフィンゴリン脂質とは生体内での代謝も相違する。したがって、スフィンゴリン脂質を主たる構成成分とするリポソームの製造方法の開発が望まれる。
更に、特許文献4記載の方法は、予め有機溶媒を使用してリン脂質膜を調製した後に2段階に超音波を照射するものである。有機溶媒を使用するため、製造環境および製品の安全性に影響する場合があり、複数回の超音波照射の工程も複雑である。したがって、有機溶媒を使用せず、より簡便にスフィンゴリン脂質を含むリポソームの製造方法の開発が望まれる。
上記現状に鑑み本発明は、コレステロールや助剤などを使用せずにスフィンゴリン脂質のリポソームを製造する方法を提供することを目的とする。
更に本発明は、スフィンゴリン脂質を構成成分とするマルチラメラリポソームを提供することを目的とする。
本発明者らは、スフィンゴリン脂質と臨界状態の二酸化炭素との混合物に特定の周波数の波動を照射して反応させたところ、二酸化炭素除去後に得られるリポソーム懸濁液にマルチラメラリポソームが含まれることを見出し、本発明を完成させた。なお、スフィンゴリン脂質と共にグリセロリン脂質やステロール類を併用することもできる。
すなわち本発明は、高圧反応器に、水系溶媒に分散したスフィンゴリン脂質を収納し、温度30〜70℃、圧力0.1〜50MPaの二酸化炭素を封入し、かつ周波数10〜500kHzの波動を照射して反応させることを特徴とする、リポソームの製造方法を提供するものである。
また本発明は、前記水系溶媒には、前記スフィンゴリン脂質と共にグリセロリン脂質および/またはステロール類が分散されることを特徴とする、前記リポソームの製造方法を提供するものである。
また本発明は、前記スフィンゴリン脂質は、スフィンゴミエリンであることを特徴とする、前記リポソームの製造方法を提供するものである。
また本発明は、前記二酸化炭素を温度40〜60℃、圧力10〜30MPaとし、周波数20〜100kHzの波動を照射させ、マルチラメラリポソームを製造することを特徴とする、前記リポソームの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記マルチラメラリポソームは、スフィンゴリン脂質で構成され、粒径が30〜150nmであることを特徴とする、前記リポソームの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記マルチラメラリポソームは、スフィンゴミエリンと共にグリセロリン脂質および/またはステロール類とを含む、前記リポソームの製造方法を提供するものである。
また本発明は、スフィンゴリン脂質のみから構成され、粒径が30〜150nmのマルチラメラリポソームを提供するものである。
本発明によれば、有機溶媒や製剤助剤、ステロール類を使用せずに、スフィンゴリン脂質を含むリポソームを製造することができる。
また、スフィンゴリン脂質を含むマルチラメラリポソームが提供される。
実施例1で調製したリポソーム懸濁液の電子顕微鏡像である。 実施例2で調製したリポソーム懸濁液の電子顕微鏡像である。 実施例3で調製したリポソーム懸濁液の電子顕微鏡像である。 実施例5で調製したリポソーム懸濁液の電子顕微鏡像である。 実施例6で調製したリポソーム懸濁液の電子顕微鏡像である。 実施例7で調製したリポソーム懸濁液の電子顕微鏡像である。 実施例13で調製したリポソーム懸濁液の電子顕微鏡像である。 実施例14で調製したリポソーム懸濁液の電子顕微鏡像である。 実施例15で調製したリポソーム懸濁液の電子顕微鏡像である。 図10(A)は実施例16で調製したリポソーム懸濁液の光学顕微鏡像、図10(B)は同電子顕微鏡像である。
本発明の第一は、高圧反応器に、水系溶媒に分散したスフィンゴリン脂質を収納し、温度30〜70℃、圧力0.1〜50MPaの二酸化炭素を封入し、かつ周波数10〜500kHzの波動を照射して反応させることを特徴とする、リポソームの製造方法である。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法は、スフィンゴリン脂質をリポソームの構成成分として含むことを特徴とする。後記する実施例に示すように、ステロール類、緩衝液やキレート剤等の助剤、エタノールやクロロホルムなどの有機溶媒を使用することなく、スフィンゴリン脂質のみからなるリポソームを製造できることが判明したからである。スフィンゴリン脂質としては、スフィンゴイドに脂肪酸が酸アミド結合したセラミドを含み、更に、リン酸および塩基が結合した化合物である。例えば、スフィンゴミエリン、セラミドホスリルエタノールアミン、セラミドホスリルグリセロール、セラミドホスリルグリセロールホスファート、1,2−ジミリストイルアミド−1,2−デオキシホスファチジルコリンなどがある。
本発明の製造方法は、ステロール類を使用せずにリポソームを製造できる点に特徴があるが、前記スフィンゴリン脂質と共にステロール類を併用するものであってもよい。ステロール類としては、コレステロール、ジヒドロコレステロール、コレステロールエステル、フィトステロール、シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール、コレスタノール、ラノステロールなどがある。また1−O−ステロールグルコシド、1−O−ステロールマルトシドまたは1−O−ステロールガラクトシドなどのステロール誘導体であってもよい。
また、ステロール類に代えて、またはステロール類と共にグリセロリン脂質を併用するものであってもよい。グリセロリン脂質としては、例えばホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ジミリストイルホスファチジルコリン、カルジオピン、卵黄レシチン、水添卵黄レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン、水素添加大豆ホスファチジルコリン等がある。
リポソーム構成成分におけるスフィンゴリン脂質の割合は、50〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%である。グリセロリン脂質およびステロール類を併用することができ、これらを併用する場合の配合量は、これらの合計がリポソーム構成成分の50質量%を越えず、それぞれ50質量%未満、より好ましくは0〜30質量%、特に好ましくは0〜20質量%である。
本発明では、水系溶媒に分散したスフィンゴリン脂質を使用する。これに所定条件の二酸化炭素を混合し特定周波数の波動照射を照射すると、有機溶媒や助剤等を使用せずにリポソームを製造できる点に特徴がある。水系溶媒に分散したスフィンゴリン脂質を使用することで、リポソームに前記水系溶媒が封入されたリポソームが製造される。したがって、水系溶媒としては、精製水、蒸留水、純水などの水が好適である。水系溶媒に他の成分の添加は不要である。
一方、任意の化合物Aが封入されたリポソームを製造することもできる。この場合には、水等に成分Aを溶解または分散したものを水系溶媒として使用することができる。この際、成分Aの溶解助剤として緩衝液、キレート、アルコールなどの有機溶媒などを含ませることができる。
スフィンゴリン脂質、グリセロリン脂質、ステロール類などのリポソーム構成成分は常温で固体である。これを水に分散させるには、例えばリポソーム構成成分と水系溶媒とを仕込んだ容器をバス型ソニーケーターのバス部に収納してソニーケーションし、リポソーム構成成分を微細化すればよい。有機溶媒を使用することなく、水中にリポソーム構成成分を分散させることができる。なお、リポソーム構成成分の添加量は、水100質量部に対して0.001〜10質量部であり、好ましくは0.01〜1質量部である。
リポソーム構成成分が分散された水系溶媒を、高圧反応器に収納する。次いで、同反応器に温度30〜70℃、好ましくは30〜60℃、より好ましくは40〜60℃、特に好ましくは50〜60℃、圧力0.1〜50MPa、好ましくは0.1〜30MPa、より好ましくは1〜30MPaとなるように二酸化炭素を供給する。
次いで、この混合物に周波数10〜500kHz、より好ましくは10〜300kHz、特に好ましくは20〜100kHzの波動を照射する。波動照射後に二酸化炭素を減圧除去すると、得られる懸濁液中にリポソームが形成される。非特許文献2に記載するように、MLV(multi lameller vesicle;多重層リポソーム)に超音波処理を行うと百数十ナノメートルの粒子径の小さいSUV(small unilameller vesicle;小さな一枚膜リポソーム)となる。しかしながら本発明では、超臨界状態の二酸化炭素にスフィンゴリン脂質を混合し、更に所定の波動を照射すると、その機序は不明であるが、スフィンゴリン脂質からなるマルチラメラリポソームが製造されることが判明した。反応時間、すなわち波動照射時間は、10分以上であれば特に制限はない。例えば10分〜5時間、好ましくは30分から2時間である。なお、本発明の方法は、スフィンゴリン脂質のみでリポソームが構成される点に特徴があり、製造されるリポソームはマルチラメラリポソームに限定されず、ユニラメラリポソームを含むものであってもよい。
本発明では、上記範囲で温度、圧力、周波数、反応時間を調整することで、層構成や平均粒径を調整することができる。例えば、後記する実施例に示すように、温度40〜60℃、圧力10〜30MPa、周波数20〜100kHz、好ましくは20〜50kHzの照射により、主としてマルチラメラリポソームを生成することができる。上記温度範囲で圧力15MPaで反応させる場合は、温度40〜60℃の範囲で粒子径が略均一のマルチラメラリポソームを製造することができる。また、温度40℃よりも高温で反応させると、マルチラメラリポソームの分離性を向上させることができる。また、28〜45kHzの超音波照射により、温度40〜60℃の範囲で、より多層のマルチラメラリポソームを製造することができる。
なお、リポソームは脂質二分子膜から構成される。本明細書において、ユニラメラリポソームとは、1層の脂質二分子膜で構成されるリポソームを意味し、マルチラメラリポソームとは、2以上の脂質二分子膜で構成されるリポソームを意味するものとする。
本発明の製造方法で製造されるリポソームは、ステロール類などの膜成分を使用せずに、マルチラメラ構造を形成する。従来は、マルチラメラリポソームの調製には、ステロール類などの膜成分を併用する必要があり(特許文献1参照)、リン脂質のみのマルチラメラリポソームやその製造方法は知られていない。しかしながら、本発明においてステロール類その他の併用を排除するものではなく、リポソーム構成成分として、ステロール類やグリセロリン脂質を併用することもできる。
本発明で製造されるリポソームはスフィンゴリン脂質を必須の成分とする。リポソームの大きさは、原理的には水和水などを含んだリン脂質分子の形態に基づく自発曲率に依存し、形成に至る調製環境に影響され、例えば、温和な条件の静置水和法では、巨大な単層リポソーム(GUV:Giant Unilamellar Vesicle)となり、ボルテックス処理のような渦流下ではマルチラメラリポソームとなり、超音波処理では平均粒径が200nm以下のユニラメラリポソームとなる(非特許文献2)。しかしながら本発明によれば、後記する実施例に示すように、スフィンゴリン脂質のみからなるマルチラメラリポソームを製造することができる。なお、粒度分布測定装置で測定した平均分子量から換算した場合の平均粒径は1,000nm超であったが、電子顕微鏡像に基づく算出によればマルチラメラリポソームの粒径は5〜200nmであった。ただし、本発明で製造できるリポソームはマルチラメラリポソームに限定されない。また、層構成によらず、GUVなどの平均粒径が大きいリポソームは、生体膜の研究材料として使用することができる。
本発明の第二は、スフィンゴリン脂質で構成されるマルチラメラリポソームである。このリポソームは、本発明の第一の方法で製造することができる。ただし、製造方法はこれに限定されるものではない。
本発明のマルチラメラリポソームの粒径は、医療用のリポソーム製剤として好適な5〜200nmである。リポソームを生体内の標的部位に送達させるために、血管透過性を利用するという方法がある。癌組織や炎症部位などの血管新生が活発な血管壁では透過性が亢進しているため、正常組織では通過困難な数10〜200nmの粒子が透過することができる。本発明のマルチラメラリポソームの粒径は、好ましくは30〜150nm、より好ましくは50〜120nmである。この粒径のマルチラメラリポソームは、癌組織や炎症部位に到達することができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。
(実施例1)
スフィンゴミエリンを精製水に濃度0.1wt%となるように投入し、超音波洗浄機(株式会社エスエヌディUSM)で10分間撹拌した。その3mlを、高圧反応器に仕込み、二酸化炭素を、温度40℃で、圧力10MPaとなるように封入した。更に、28kHzの超音波を照射し、60分間反応させた。反応終了後に、二酸化炭素を減圧除去し、リポソーム懸濁液を回収した。
反応時間60分で得た前記リポソーム懸濁液を蒸留水で10倍に希釈し、カーボン支持膜つき400メッシュCuグリッドで、室温または80℃にて分散し2%リンタングステン酸、室温または80℃でネガティブ染色法による電子染色を行った。電子顕微鏡像を図1に示す。複数の層で構成されるマルチラメラリポソームが含まれていた。
(実施例2〜15)
温度、圧力、超音波条件を表1に変更した以外は実施例1に準じてリポソーム懸濁液を回収した。また、粒度分布測定装置(Shimadzu SALD−2200)を用いて平均分子量を測定しリポソームの平均粒径に換算した。結果を表1に示す。表中「−」は、未測定を意味する。また、リポソーム懸濁液に含まれるリポソームの電子顕微鏡像を図2〜9に示す。
(実施例16)
温度を50℃、圧力を20MPaとなるように封入し、超音波照射に代えて1,500rpmで60分間撹拌した以外は、実施例1と同様に操作してリポソーム懸濁液を得た。リポソーム懸濁液を構成するリポソームは、マルチラメラリポソームであった。粒度分布測定装置を用いて測定した平均分子量から得られたリポソームの平均粒径を換算したところ、3,421±392nmであった。リポソーム懸濁液の光学顕微鏡像を図10(A)に、電子顕微鏡像を図10(B)に示す。
Figure 0006923155
(結果)
(1)高圧反応器に、水系溶媒に分散したスフィンゴリン脂質を収納し、温度40〜60℃、圧力10〜30MPaで反応させると、いずれの条件でもマルチラメラリポソームが生成することが判明した。
(2)実施例2、実施例6および実施例14の結果を示す図2、図5、図8の電子顕微鏡像に示すように、温度40〜60℃の範囲で圧力15MPaで反応させる場合に、マルチラメラリポソームの粒径が均一になる傾向が観察された。
(3)実施例1、実施例5および実施例13の結果を示す図1、図4、図7の電子顕微鏡像に示すように、圧力10MPaで反応させた場合は、温度40℃よりも50℃、60℃の方が、マルチラメラリポソームの分離性に優れた。
(4)実施例7、実施例8、実施例11の結果によれば超音波の照射時間に依存し、実施例3、実施例7、実施例15の結果によれば反応温度に依存した。温度50℃、圧力20MPa、超音波28kHzの場合には、照射時間が60分の場合に平均粒径が最も短径となり、圧力20MPa、超音波28kHzの場合には、温度50℃の場合に平均粒径が最も短径となった。
(5)実施例7と実施例16の結果を示す図6と図10(B)との比較に示されるように、温度50℃、圧力20MPaの場合、超音波処理または撹拌処理に依存して層厚が異なり、28kHzの超音波を照射した方がより多層となる傾向が観察された。

Claims (7)

  1. 高圧反応器に、水系溶媒に分散したスフィンゴリン脂質を収納し、温度30〜70℃、圧力0.1〜50MPaの二酸化炭素を封入し、かつ周波数10〜500kHzの波動を照射して反応させることを特徴とする、リポソームの製造方法。
  2. 前記水系溶媒には、前記スフィンゴリン脂質と共にグリセロリン脂質および/またはステロール類が分散されることを特徴とする、請求項1記載のリポソームの製造方法。
  3. 前記スフィンゴリン脂質は、スフィンゴミエリンであることを特徴とする、請求項1または2記載のリポソームの製造方法。
  4. 前記二酸化炭素を温度40〜60℃、圧力10〜30MPaとし、周波数20〜100kHzの波動を照射させ、マルチラメラリポソームを製造することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のリポソームの製造方法。
  5. 前記マルチラメラリポソームは、スフィンゴリン脂質で構成され、粒径が30〜150nmであることを特徴とする、請求項4に記載のリポソームの製造方法
  6. 前記マルチラメラリポソームは、スフィンゴミエリンと共にグリセロリン脂質および/またはステロール類とを含む、請求項5記載のリポソームの製造方法
  7. スフィンゴリン脂質のみから構成され、粒径が30〜150nmのマルチラメラリポソーム。
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