JP6941449B2 - 樹脂シートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂シートの製造方法に関し、詳しくはチェッカーガラスの代替品として使用可能な、格子状の模様を有する樹脂シートの製造方法に関する。
チェッカーガラスはワッフルガラスやモザイクガラスとも呼ばれ、意匠性に優れレトロ感を有することからアンティーク調の室内ドアや家具などに使用されている。チェッカーガラスの格子模様は、一方の表面に一の方向に延びる溝を等間隔で賦形して、蒲鉾状の凸形模様とし、他方の表面に、該一方の表面の溝と直交する方向に延びる溝を等間隔で賦形して、蒲鉾状の凸形模様とすることにより形成され、表面から見ると表裏の蒲鉾状の凸形模様が重なって全体として格子模様として見えるものである。
該チェッカーガラスは、通常、ロールアウト法により製造される。ロールアウト法においては、図7に示すように、上下2本の彫刻ロール21a、21bの間に直接熔解したガラス22を通すことによりチェッカーガラスが形成される。格子状の模様は、上下2本の彫刻ロールの内、一方のロールにはロールの周方向に連続する多数の凹溝を形成し、他方のロールにはロールの幅方向に連続する多数の凹溝を形成し、熔解したガラスを上下2本の彫刻ロール21a、21bで圧延させることにより、賦形される。
チェッカーガラスは意匠性には優れているが、ガラス製なので、軽量性に欠けるという問題、衝撃により割れ易く、破損時に破片で怪我をする危険性があるという問題がある。これに対して、熱可塑性樹脂は、軽量性や耐衝撃性に優れ、加工性にも優れるという特徴からガラスの代替材料として利用できる材料である。しかし、チェッカーガラスの製造方法をそのまま樹脂製のチェッカーシートの製造に適用することはできない。
即ち、ガラスの場合、熔解後、低温度のロールに接触することによりガラスが急冷されてガラスの粘度が急激に上がるため、反りや歪みの小さな板ガラスを得ることができる。しかし、この手法をそのまま樹脂シートの製造に適用しようとすると、熱可塑性樹脂は温度低下に対する粘度の上昇が緩やかであるため、ロールを通過した後も樹脂が柔軟な状態にあるので、板の反りや柄のゆがみが発生してしまう。この問題を解決し、チェッカーガラスの代替品として使用可能な樹脂板の製造が可能な方法としては、Tダイ押出と賦形ロールを組み合わせた樹脂シートの製造技術が考えられる。具体的には、液晶ディスプレイ用導光板や光拡散板に用いられるマイクロプリズムシートに関する製造技術の応用が考えられる。この分野に属する技術であって、両面賦形がなされた樹脂シートの製造に利用可能な先行技術としては、特許文献1や特許文献2に開示された技術がある。
特許文献1には、Tダイを通じて溶融樹脂をシート状に押出し、押出された直後のシート状物の外表面を、赤外線ヒーターの照射光をTダイのダイリップ先端の表面に設けた反射部材で反射させつつ、空中で照射加熱させた後に、第1の冷却成形ロールと第2のエンボス形状付与用冷却成形ロールとで加圧ニップして形状転写させ、エンボス形状が賦形されたシート状物を第2のエンボス形状付与用冷却成形ロールに沿わせて引取りながら冷却し、更に第3の冷却成形ロールに沿わせて引取りながら冷却することにより、シートの総厚みTに対して目標とする形状高さHが相対的に低くてピッチが微細なエンボス形状を高い賦形率で、且つ、形状転写精度良く、連続的に賦形することができるという熱可塑性樹脂シートの製造技術が開示されている。
特許文献2には、ダイから溶融樹脂をシート状に押出し、鏡面の第1ロールとエンボス形状が形成された第2ロール間で圧延してエンボス模様を賦形した後、第3ロールにより表面に複数の凹凸形状を賦型する凹凸パターン付熱可塑性樹脂シートの製造方法において、第1ロール、第2ロール、第3ロールの温度を特定範囲に設定し、かつ、第3ロールの周速度を特定範囲に制御することにより、本来の設計性能を充分に発揮する微細な凹凸形状付熱可塑性樹脂シートを効率よく製造することが出来るという熱可塑性樹脂シートの製造技術が開示されている。
特開2008−80496号公報 特開2011−73429号公報
上記特許文献1、特許文献2に開示された液晶ディスプレイ用導光板や光拡散板に用いられるマイクロプリズムシートに関する製造技術をそのままチェッカーシートの製造に応用した場合、横溝により賦形された格子模様の横方向の直線性が悪すぎるか、賦形された柄の高さが溝の深さに対して小さすぎる(賦形率が低すぎる)というどちらかの問題が発生し、横溝により賦形された格子模様の直線性と賦形率の両者を共に満たすことが困難であった。
上記問題に鑑みて、本発明は、押出されたシート状物のロール賦形により、チェッカーガラスの代替品として使用可能な、溝形状の賦形率及び格子模様の直線性を両立した格子模様が賦形された樹脂シートの製造方法を提供する事を目的とする。
本発明によれば、以下に示す樹脂シートが提供される。
[1] 溶融させた熱可塑性樹脂をシート状に押出し、押出されたシート状物を引き取りつつ、該シート状物の両表面に成形ロールの表面形状を転写させる、樹脂シートの製造方法において、
該樹脂シートの厚みが3mm以上であり、
該成形ロールは、ロールの周方向に連続する多数の凹溝を有する縦溝ロールと、ロールの幅方向に連続する多数の凹溝を有する横溝ロールとからなり、
該成形ロールの凹溝の溝深さが1000μm以下であり、
押出されたシート状物を一方の成形ロールに先に接触、又は両方の成形ロールにほぼ同時に接触させ、該シート状物が最初に成形ロールと接触した点を起点として、シート状物が最初に接触した成形ロールがロール回転方向に90°(0°を含む。)回転するまでの間に、シート状物を横溝ロールと縦溝ロールとで挟圧することによりシート状物の一方の表面に横溝ロールの表面形状を転写させると共にシート状物の他方の表面に縦溝ロールの表面形状を転写させ、更にシート状物を横溝ロールに抱き角90°以上抱かせて引き取ることを特徴とする樹脂シートの製造方法。
[2] 前記樹脂シートの厚みがmm以上10mm以下であることを特徴とする前記1に記載の樹脂シートの製造方法。
[3] 前記成形ロールの凹溝の溝深さが300μm以上であることを特徴とする前記1又は2に記載の樹脂シートの製造方法。
[4] 前記成形ロールの直径が100〜1000mmであることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
[5] 前記成形ロールの凹溝間の山部の先端から0.05mm下の山部の幅が0.3〜3mmであることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
[6] 前記シート状物を横溝ロールと縦溝ロールとで挟圧することにより、シート状物に成形ロールの表面形状を転写する際の線圧を5N/cm以上とすることを特徴とする前記1〜5のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
[7] 前記熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂又はアクリル系樹脂であることを特徴とする前記1〜6のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。

本発明方法によれば、押出された熱可塑性樹脂シート状物のロール賦形において、特定配置の成形ロールを用いて、押出されたシート状物に特定位置で縦溝の形状及び横溝の形状を賦形することにより、チェッカーガラスの代替品として使用可能な、溝形状の賦形率及び格子模様の直線性の両者に優れた樹脂製チェッカーシートを製造することができる。
図1は、本発明方法を実施可能な装置の例を示す模式図である。 図2(a)は、縦溝ロールの例を示す模式図であり、図2(b)は、横溝ロールの例を示す模式図である。 図3は、ロール表面に形成された凹溝の模式図である。 図4は、本発明方法を実施可能な装置の他の例を示す模式図である。 図5は、本発明方法を実施可能な装置の更に他の例を示す模式図である。 図6は、図1における、シート状物を横溝ロールと縦溝ロールとで挟圧する部分の拡大図である。 図7は、チェッカーガラスを製造するロールアウト法の模式図である。
以下、本発明の樹脂シートの製造方法について図面を用いて詳細に説明する。
本発明における格子模様の形成方法は、熱可塑性樹脂を押出機に供給して溶融混練した後に、シート状に押出し、押出されたシート状物をロールの周方向に連続する多数の凹溝を有する縦溝ロールと、ロールの幅方向に連続する多数の凹溝を有する横溝ロールとからなる成形ロールで引き取りつつ、該シート状物の両表面に成形ロールの表面形状を転写させる方法である。本発明においては、縦溝ロールにより、シート状物の一方の面に縦方向に沿う蒲鉾状凸部(以下、縦柄ともいう。)が多数賦形され、横溝ロールにより、シート状物の他方の面に横方向に沿う蒲鉾状凸部(以下、横柄ともいう。)が多数賦形される。
本発明において、多数の凹溝とは、少なくとも3以上の凹溝をいい、好ましくは30〜100の凹溝をいう。
本発明方法においては、次の(1)〜(2)の工程を経ることにより格子模様が賦形される。
(1)押出されたシート状物を縦溝ロールと横溝ロールのどちらかの成形ロールに先に接触、又は両方の成形ロールにほぼ同時に接触させ、該シート状物が最初に成形ロールと接触した点を起点として、シート状物が最初に接触した成形ロールがロール回転方向90°(0°を含む。)回転するまでの間に、該シート状物を横溝ロールと縦溝ロールとで挟圧する。挟圧することによりシート状物の一方の表面に横溝ロールの表面形状を転写させると共に、シート状物の他方の表面に縦溝ロールの表面形状を転写させる。
(2)更にシート状物を横溝ロールと縦溝ロールとで挟圧した点を起点として、シート状物を横溝ロールに抱き角90°以上抱かせて引き取る。
工程(1)において、押出された直後の十分に加熱された状態のシート状物を特定位置で挟圧することにより、横溝ロールの表面形状を樹脂シートに転写させて横柄を賦形し、同時に縦溝ロールの表面形状を樹脂シートに転写させて縦柄を賦形するので、十分な高さを有する横柄と縦柄を賦形することができる。
工程(2)において、シート状物の横柄が賦形された面を横溝ロールに抱かせて冷却するので、形成された横柄の変形を抑えることができる。
本発明の樹脂シートの製造方法は、例えば図1に示す装置を用いることにより好適に実施することができる。以下、図1に示す装置を用いて本発明方法を実施する場合について詳しく説明する。
図1に示す装置においては、第1ロール1、第2ロール2及び第3ロール3の3本のロールが順に各ロールの回転軸1b、2b、3bが同一の高さとなるように水平に並べて設けられている。第1ロール1は、周方向に連続する多数の凹溝1aが形成された縦溝ロールであり、第2ロール2は、ロールの幅方向に連続する多数の凹溝2aが形成された横溝ロールであり、第3ロール3は冷却用の鏡面ロールであり、3本のロールの直径は同一である。図2(a)に縦溝ロール(第1ロール)の模式図を、図2(b)に横溝ロール(第2ロール)の模式図を、図3にロール表面に形成された溝の模式図を示す。
なお、図1において、1は第1ロールを、1aは縦溝を、1bは第1ロールの回転軸を、2は第2ロールを、2aは横溝を、2bは第2ロールの回転軸を、3は第3ロール3を、3bは第3ロールの回転軸を、4はTダイを、5は押出機を、6はシート状物を、7はバンクを、9はシート状物が最初に成形ロールと接触した点を、10はシート状物を横溝ロールと縦溝ロールとで挟圧した点をそれぞれ示す(以下の図において同様である。)。また、図2(a)において、8aは縦溝の山部を、図2(b)において、8bは横溝の山部を、図3において、8は山部の総称をそれぞれ示す。
図1に示す態様の装置を用いる方法においては、熱可塑性樹脂を押出機に供給して溶融混練した後に、熱可塑性樹脂をTダイ4から下方にシート状に押出し、押出されたシート状物6を第1ロール1及び第2ロール2の2本のロールの間隙を通過させて挟圧することにより、第1ロールと第2ロールのそれぞれのロールの表面形状を転写し、さらに第2ロール2に沿わせて引取り、さらに第3ロール3に沿わせて引取ることにより樹脂シートが製造される。
シート状物を構成する熱可塑性樹脂の溶融温度(押出温度)は、シート状物を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)に対して、Tg+80℃〜Tg+170℃であることが好ましく、Tg+90℃〜Tg+160℃であることがより好ましく、Tg+100℃〜Tg+150℃であることがさらに好ましい。溶融温度が上記範囲であれば、熱可塑性樹脂が充分に溶融混練され、また、ロール成形に適切な粘度範囲とすることができることから好ましい。例えば、シート状物を構成する熱可塑性樹脂が103℃のガラス転移温度を有するメチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂の場合、押出樹脂温度が、183℃以上273℃以下の範囲であることが好ましく、193℃以上263℃以下の範囲であることがより好ましく、203℃以上253℃以下の範囲であることがさらに好ましい。
上記ガラス転移温度は、JIS K7121(1987)に記載の「一定の熱処理を行った後、ガラス転移温度を測定する場合」(試験片の状態調節における加熱速度と冷却速度は、いずれも10℃/分とする。)を採用し、熱流束示差走査熱量測定装置(以下、DSC装置という。)を使用し、加熱速度10℃/分で得られるDSC曲線に基づいて測定される中間点ガラス転移温度を本発明におけるガラス転移温度とする。
図1に示すような、第1ロールの回転軸と第2ロールの回転軸が同一高さに位置する装置を用いる方法においては、まず、押出されたシート状物6を、一方の成形ロール、即ち第1ロール又は第2ロールのどちらかに先に接触させるか、又は両方の成形ロール、即ち第1ロールと第2ロールにほぼ同時に接触させる。この場合、シート状物6を第1ロールに先に接触させることもできれば、第2ロールに先に接触させることもできれば、第1ロールと第2ロールに同時に接触させることもできる。シート状物6を成形ロールに接触させてから、図1、図6に示すように、樹脂溜7、いわゆるバンク7を作ると均一厚みの樹脂シートの製造が容易になることから好ましい。但し、図1においては、第1ロール側にバンク7を作っているが、第2ロール側に作ることもできる。バンクは、樹脂の吐出量を調整することにより形成することができる。また、バンクは、上記樹脂の吐出量を調整した上で、Tダイからシート状物を押出して最初に接触するロールと対向するロール側に形成される。よって、第1ロール側にバンクを形成する場合には、樹脂の吐出量を調整して、必要があればロールの位置を移動させ、最初に第2ロール側にシート状物を接触させればよい。
格子模様の形成は、シート状物6を、成形ロールに接触させ、次にシート状物6を第1ロール1(縦溝ロール)と第2ロール2(横溝ロール)とで挟圧することにより、シート状物6の第2ロール側の表面に横柄(横溝ロールの表面形状)を転写させ、同時にシート状物6の第1ロール側の表面に縦柄(縦溝ロールの表面形状)を転写させることにより、行われる。上記操作によって得られた樹脂シートは、一方の面に縦柄、他方の面に横柄が形成され、表面から見ると表裏の縦柄と横柄が重なり、チェッカーガラス調の格子模様として見えるものとなる。
第1ロール1と第2ロール2によるシート状物6の挟圧は次のように行うことを要する。シート状物が最初に成形ロールと接触した点を起点として、シート状物が最初に接触した成形ロールがロール回転方向に90°(0°を含む。)回転するまでの間に、シート状物を横溝ロールと縦溝ロールとで挟圧する。図1に示す態様の装置の場合、第1ロール1の回転軸1aと第2ロール2の回転軸2aとが同一高さに位置しているので、シート状物6が第1ロール1、又は第2ロール2に接触、又は第1ロール1と第2ロール2にほぼ同時に接触してから、シート状物6が最初に接触したロールがロール回転方向に最初に接触した点を起点として0〜10°回転するまでの間に行われる。このように、シート状物6が最初に接触したロールが、接触した点9を起点としてロール回転周方向に10°回転するまでの間に挟圧するとシート状物6が冷却されすぎるということがないので、所望される高さの柄を容易に賦形できる。なお、図6のように第1ロールにバンク7が形成される場合、シート状物6が最初に第1ロールと接触した点9は、第1ロールに接触している最も上方となる点とする。
これに対し、図4に示すように、第1ロール1の回転軸1bが第2ロール2の回転軸2bより上方に位置する場合、シート状物6が最初に第1ロールと接触した点9を起点として、第1ロールがロール回転周方向に90°回転するまでの間に、シート状物6を第2ロール2と第1ロール1とで挟圧することを要する。第1ロール1が回転周方向に90°超回転してから挟圧すると、シート状物6が冷却されすぎて所望される高さの柄を賦形できないおそれがある。かかる観点から、第1ロールがロール回転周方向に80°回転するまでの間に挟圧することが好ましく、より好ましくは60°、更に好ましくは30°、特に好ましくは10°である。
また、図5に示すように、第1ロール1の回転軸1bが第2ロール2の回転軸2bより下方に位置する場合、シート状物6が最初に第2ロールと接触した点9を起点として、第2ロールがロール回転周方向に90°回転するまでの間に、該シート状物を第2ロール2と第1ロール1とで挟圧することを要する。第2ロール2が回転周方向に90°超回転してから挟圧すると、シート状物6が冷却されすぎて所望される高さの柄を賦形できないおそれがある。かかる観点から、第2ロールがロール回転周方向に80°回転するまでの間に挟圧することが好ましく、より好ましくは60°、更に好ましくは30 °、特に好ましくは10°である。
本発明方法においては、前記したように、シート状物を第2ロール(横溝ロール)と第1ロール(縦溝ロール)とで挟圧することにより、縦溝ロールと横溝ロールとからなる成形ロールの表面形状がシート状物に転写される。この場合、樹脂シートに対する挟圧による線圧を5N/cm以上とすることが好ましい。該線圧が上記を満足すると、所望のチェッカーシートの柄高さを得易くなる。かかる観点から、該線圧は20N/cm以上とすることがより好ましく、更に好ましくは50N/cm以上である。なお、該線圧の上限は概ね400N/cmであることが好ましく、より好ましくは300N/cmである。
なお、線圧とは、1対のロールを押し当てた時のロール長さ方向1cmあたりの力(N)を意味し、シート状物を第1ロール(縦溝ロール)と第2ロール(横溝ロール)とで挟むときの圧力により決まる。
Tダイ4より吐出されたシート状物6は、成形ロール(縦溝ロール、横溝ロール)間に挟み、所定の方向に引き取ると共に冷却されることで、シート状物の一方の表面に横溝ロールの表面形状が転写されると共にシート状物の他方の表面に縦溝ロールの表面形状が転写される。
上記シート状物6は各ロールに接触することにより冷却される。従って、成形ロールのいずれかまたは全ての成形ロールを冷却ロールとするとよい。また成形ロールの後工程にさらにロールを用いる場合には、それらのロールも冷却ロールとすることが好ましい。各ロールの冷却機構は特に限定されないが、例えばロールを内筒と外筒との二重構造とし、これらの間に冷却溶媒を流通させることでロール表面を冷却するものが例示される。
成形ロール(第1ロール、第2ロール)の温度は、熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)に対して、Tg−70℃〜Tg+20℃が好ましく、Tg−60℃〜Tg+10℃がより好ましく、Tg−50℃〜Tg+0℃がさらに好ましい。ロールの表面温度が上記範囲であれば、良好な溝形状の賦形率及び格子模様の直線性を両立したチェッカーシートを製造することが容易となる。例えば、シート状物を構成する熱可塑性樹脂が103℃のガラス転移温度を有するメチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂の場合、ロール表面温度を33〜123℃とすることが好ましく、43〜113℃とすることがより好ましく、53〜103℃とすることがさらに好ましい。
本発明方法においては、シート状物を横溝ロールと縦溝ロールとで挟圧した後、更に図1、図4、図5に示すように、挟圧した点10を起点として、シート状物6を第2ロール2(横溝ロール)に抱き角90°以上抱かせて引き取ることを要する。該抱き角が90°未満になると、シート状物6の横柄が形成された面の冷却が不十分となり、横柄の変形を小さく抑えることができなくなり、横柄の直線性が失われるおそれがある。かかる観点から、該抱き角を100°以上として引き取ることが好ましく、より好ましくは120°以上である。該抱き角の上限は180°が好ましく、より好ましくは150°である。該抱き角は、第2ロールと第3ロールとのロール軸の高さを変更することやロール間距離を変更することにより調整することができる。なお、挟圧した点10は、第1ロールの回転軸と第2ロールの回転軸とを直線で結んだ線上に存在する。
シート状物6を第2ロール2に抱かせて引き取った後、シート状物が第2ロールから離れる点におけるシート状物6の第1ロールと接触した面側の表面温度は、シート状物を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)に対して、Tg+45℃〜Tg+85℃であることが好ましく、Tg+50℃〜Tg+80℃であることがより好ましく、Tg+60℃〜Tg+70℃であることがさらに好ましい。シート状物が第2ロールから離れる点における温度が上記範囲であれば、シート状物が第1ロールと第2ロールにより適切に冷却されることによりシート状物の一方の表面に横溝ロールの表面形状が転写されると共にシート状物の他方の表面に縦溝ロールの表面形状が転写され、シート状物の柄高さを好適な値にすることができる。例えば、シート状物を構成する熱可塑性樹脂が103℃のガラス転移温度を有するメチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂の場合、押出樹脂温度が、148℃以上188℃以下の範囲であることが好ましく、153℃以上183℃以下の範囲であることがより好ましく、163℃以上173℃以下の範囲であることがさらに好ましい。上記シート状物6の表面温度の測定は、非接触型赤外線放射温度計などによって測定することができる。
第3ロール3は冷却を目的とする鏡面ロールであり、第2ロール2と第3ロール3とでシート状物を挟圧する必要はないので、第3ロール3は第2ロール2と離して設置することが好ましい。具体的には第2ロールのロール表面と、第3ロールのロール表面との距離が30〜300mmとなるようにすることが好ましい。
引き取り速度は、0.1〜10m/minが好ましく、0.2〜5m/minがより好ましい。引き取り速度が上記範囲であれば、シート状物にロールの縦溝と横溝を好適に賦形しやすくなる。
本発明方法において用いられる熱可塑性樹脂としては、JIS K7361(1997年)に記載された「透明プラスチック」に該当する樹脂が好適に用いられる。熱可塑性樹脂としては、具体的には、スチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、カーボネート系樹脂、熱可塑性エステル樹脂、環状オレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、本発明において使用される「透明プラスチック」に該当する樹脂としては、厚み2mmの平滑な表面を持つ平らな板に成形して測定される全光線透過率(JIS K7136(2000年)による。)が65%以上、かつ曇り度の指標であるヘーズ(JIS K7136(2000年)による。)が15%以下であるものが好ましい。さらに透明性に優れているという観点からは、本発明に使用される熱可塑性樹脂の全光線透過率は75%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましく、ヘーズは12%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下が更に好ましく、3%以下が最も好ましい。一般に、同種類の熱可塑性樹脂であっても、厚みが厚くなるほど全光線透過率が小さくなると共にヘーズが大きくなる。なお、熱可塑性樹脂を2種以上併用する場合には混合樹脂の全光線透過率とヘーズが上記範囲を満たすようにすることが好ましい。
上記スチレン系樹脂は、スチレンの重合体、スチレンに基づく単位が50モル%を超え、その他のコモノマーに基づく単位が50モル%未満のスチレン共重合体、およびこれらの2以上の混合物である。スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、スチレンに基づく単位が50モル%を超えるメタクリル酸メチル−スチレン共重合体、スチレン−ジエンブロック共重合体等が挙げられる。
上記プロピレン樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、プロピレン成分とその他の重合性モノマー成分との共重合体、上記プロピレン(共)重合体とその他の重合体との混合物等が挙げられる。具体的には、プロピレン単独重合体(h−PP)、プロピレン−エチレンランダム共重合体やプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体(r−PP)などが例示される。なお、上記ポリプロピレン樹脂は、プロピレンに基づく単位又はプロピレン成分含有量が50モル%を超え、好ましくは70モル%以上であり、特に好ましくは80モル%以上である。
上記アクリル樹脂は、アクリル酸アルキルエステルおよび/もしくはメタクリル酸アルキルエステル(これらを総称して以下、(メタ)アクリル酸エステルということもある。)の単独重合体もしくは(メタ)アクリル酸エステル同士の共重合体、または(メタ)アクリル酸エステルに基づく単位が50モル%を超え、他のコモノマーに基づく単位が50モル%未満である(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、およびこれらの2以上の混合物等である。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタアクリル酸とを含む概念であり、これら一方又は両方を意味する。
上記(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体又は共重合体としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合体、またはメタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体等が例示される。これらのうち、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体、またはメタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体が好ましく、ポリメタクリル酸メチルがより好ましい。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、メタクリル酸メチル−スチレン−ブチレン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−スチレン共重合体、またはメタクリル酸メチル−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体等が例示される。これらのうち、メタクリル酸メチル−スチレン−ブチレン共重合体、またはメタクリル酸メチル−スチレン共重合体が好ましい。
上記カーボネート樹脂としては、例えば、ビスフェノールA(4,4'−ジヒドロキシジフェニル−2,2−プロパン)ポリカーボネート、ビスフェノールF(4,4'−ジヒドロキシジフェニル−2,2−メタン)ポリカーボネート、ビスフェノールS(4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン)ポリカーボネート、または2,2−ビス(4−ジヒドロキシヘキシル)プロパン)ポリカーボネートなどが例示される。これらのうち特に光学グレードのポリカーボネート樹脂が好ましい。
上記熱可塑性エステル樹脂としては、芳香環含有ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレート)および脂肪族ポリエステル(例えばポリブチレンアジペート、ポリエチレンアジペートおよびポリ−ε−カプロラクトン)が挙げられる。ポリエチレンテレフタレートとしては、透明性に優れるアモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)が好ましく使用される。
上記環状オレフィン樹脂としては、環状オレフィンの単独重合体、環状オレフィン同士の共重合体、または環状オレフィンとエチレンやα−オレフィンとの共重合体、およびこれらの2以上の混合物等である。環状オレフィン系ポリマーとしては、例えば、三井化学株式会社の商品名「アペル」もしくは「トーパス」、または日本ゼオン株式会社の商品名「ゼオネックス」もしくは「ゼオノア」等が挙げられる。
本発明方法に用いられる上記熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよく2種以上を併用して用いても良いが、単独で用いることが好ましい。なお、本発明の製造方法により得られる樹脂シートにおいて、格子模様が現れるためには、裏面に賦形された柄が表面に透けて見えることを要する。そのため、樹脂シートの透明性を維持する観点から、上記熱可塑性樹脂を2種以上混合して使用する場合、または上記熱可塑性樹脂に本発明の目的を阻害しない範囲内で他の熱可塑性樹脂を混合して使用する場合は、使用する各熱可塑性樹脂の屈折率が近似しているか等しいものが好ましい。
上記熱可塑性樹脂の中では、透明性、加工性、およびコストの面から、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、およびカーボネート樹脂から選択されるいずれかの樹脂であることが好ましく、スチレン系樹脂又はアクリル系樹脂のいずれかがより好ましい。
本発明方法においては、透明性が損なわれない限り、熱可塑性樹脂に各種添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、たとえば、酸化防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、難燃剤、金属不活性剤、顔料、染料等を挙げることができる。
本発明方法に用いる押出機5としては、単軸タイプ、二軸タイプ、二軸以上の多軸タイプの何れを用いてもよい。重合時のオリゴマーや成形時に発生する低分子化合物および成形機内に溶存している酸素・水分等を取り除く為にベントを設けることが好ましい。尚、ベントの真空度としては500ヘクトパスカル以下が好ましく、より好ましくは200ヘクトパスカル以下である。なお、厚み精度や微細な凹凸形状の賦形の観点から溶融混練した材料を定量的に吐出する為にギアポンプを設けることが好ましい。熱可塑性樹脂シート表面に紫外線吸収や帯電防止等機能を付与することを目的として多層化する場合には多層の押出装置を設けることができる。多層化に際しては、フィードブロック方式およびマルチマニホールド方式の何れを用いてもよい。なお、マルチマニホールドダイとは、内部に複数のマニホールドを有し、各マニホールドから押出される溶融樹脂を積層した状態で合流させダイより吐出させることが可能なTダイである。また上記マルチマニホールドを使用する替りに、特開昭55−117639号方向に記載されているような、各押出機とTダイとの間に取り付けられ各押出機から押出された溶融樹脂を積層合流させて多層構造化させるフィードブロックと呼ばれる装置を用いることもできる。Tダイとしては、チョークバー方式を用いることが、連続生産時における安定性を確保する上で好ましい。
本発明方法において、前記樹脂シートの厚みは2mm以上10mm以下であることが好ましい。該厚みが上記範囲であれば、耐衝撃性が低下するおそれや樹脂シートがたわむおそれが無く、ロール成形し易く加工性に優れることから好ましい。耐衝撃性とたわみ防止の観点からは、前記樹脂シートの厚みが3mm以上であることがより好ましく、3.5mm以上であることがさらに好ましい。一方、加工性の観点からは、前記樹脂シートの厚みが8mm以下であることがより好ましく、6mm以下であることがさらに好ましい。なお、樹脂シートの厚みは、ノギス等によって測定される樹脂シートの断面における最大厚みとする。
前記成形ロールの凹溝の溝深さHは300μm以上であることが好ましい。該溝深さHが上記を満足すると、転写された柄の高さが充分なものとなって格子模様が鮮やかな樹脂シートとなり好ましい。上記観点から凹溝の溝深さHは500μm以上であることがより好ましい。一方、溝深さの賦形のし易さから該溝深さHの上限は1000μmであることが好ましく、800μmであることがより好ましい。なお、前記成形ロールの凹溝の溝深さHは、縦溝ロールと横溝ロールの両方の溝深さを意味する。前記成形ロールの凹溝の溝深さHの測定は、以下の方法により測定することができる。まず、シリコーン樹脂で成形ロールの凹溝の型取りを行い、型の断面をマイクロスコープ等により拡大して撮影を行い拡大写真を得る。次に、得られた拡大写真について、ロールの山部8の先端に対応する点と、隣り合うロールの山部8の先端に対応する点とを直線で結ぶ。そして、拡大倍率を考慮した上で、ロールの山部8の先端に対応する点と隣り合うロールの山部8の先端に対応する点との間の凹溝の溝深さが最も深くなる点から前記直線に直角に交わる線分の長さを成形ロールの凹溝の溝深さHとする。
前記成形ロールの直径は100〜1000mmであることが好ましい。該直径の下限が上記を満足すると、ロールの冷却能力が低下するおそれが抑制され、生産性が低下するおそれがなく好ましい。一方、該直径の上限が上記を満足すると、ロールの溝加工が容易となり、樹脂シートの製造における作業性にも優れることから好ましい。かかる観点から、該直径は140〜700mmであることがより好ましく、更に好ましくは160〜500mmである。
第1ロール、第2ロール、第3ロールそれぞれの直径は、同じであることが樹脂シートを製造し易いので好ましいが、異なる直径にすることもできる。
本発明方法においては、樹脂シートに賦形された柄が鮮明に見えることが好ましい。そのためには、成形ロールに形成された凹溝間の境界の山部において、山部の先端から0.05mm下の山部の幅が0.3〜3mmであることが好ましい。該幅が上記範囲を満足すると、金型の山部の強度が低下して割れ、欠けなどが生じるおそれがなく、また、凹溝が不鮮明になるおそれがないことから好ましい。かかる観点から、山部の幅が0.4〜2.5mmであることがより好ましく、さらに好ましくは0.5〜2mmである。上記山部の先端から0.05mm下の山部の幅は、以下の方法により測定することができる。まず、シリコーン樹脂でロールの型取りを行い、型の断面をマイクロスコープ等により拡大して撮影した拡大写真を得る。次に、得られた拡大写真における、任意の成形ロールの凹溝について、溝深さが最も深くなる点と、隣り合う溝深さが最も深くなる点とを直線Aで結び、前記凹溝と隣り合う凹溝との境界の山部の先端から前記直線Aに直角に交わる直線Bを引く。そして、拡大倍率を考慮した上で、山部の先端から0.05mm下の位置について前記直線Aと平行となる山部の幅を測定することによって求めることができる。
また、横溝ロールと縦溝ロールが有する凹溝のピッチP(山部と山部の間隔)は、5〜30mmが好ましい。上記範囲を満足すると、成形ロールの凹溝を樹脂シートに賦形しやすく、チェッカーガラスの代替品として好適に用いることができることから好ましい。上記観点から凹溝のピッチPは、8〜25mmであることがより好ましく、10〜20mmであることがさらに好ましい。なお、チェッカーガラスの代替として製造する場合には、製造時における押出方向へのシートの伸びを考慮し、縦溝のピッチを横溝のピッチより10〜30%大きくすることが好ましい。また、チェッカーガラスの代替として製造する場合には、横溝ロールと縦溝ロールそれぞれにおけるピッチPが一定であることが好ましい。ピッチPは、シリコーン樹脂で成形ロールの凹溝8の型取りを行い、型の断面をマイクロスコープ等により拡大して撮影を行い、得られた拡大写真を用いて、山部と山部の間隔を測定することによって求めることができる。
所望される柄高さが樹脂シートに形成されているか否かは、賦形率により評価される。賦形率は60%以上が好ましく、より好ましくは65%以上である。賦形率が上記を満足すると、格子模様が明瞭となり優れた美観の樹脂シートが得られやすい。
樹脂シートの賦形率は、樹脂シートの柄高さとロール溝深さを測定し、測定値を下記(1)式に代入することにより求められる。
樹脂シートの柄高さは、以下の方法により求められる。シートの断面をマイクロスコープ等により撮影し拡大写真を得る。次に、得られた拡大写真について、シート断面の任意の蒲鉾形状の両端の谷部の最も深い点同士を直線Aで結び、蒲鉾形状の頂点から下に向かって直線Aに直交する直線Bを引く。そして、拡大倍率を考慮した上で、直線Bにおける蒲鉾形状の山部の頂点から直線Aとの交点までの長さを測定することによって求めることができる。
ロールの溝深さは、上記の方法により測定することができる。
賦形率[%]=(樹脂シートの柄高さ[μm]÷ロールの溝深さ[μm])×100
・・・(1)
樹脂シートの格子模様の直線性は、横柄のズレを測定することにより評価される。チェッカーガラスの代替品として樹脂製のチェッカーシートを使用するには、300mm×300mmの樹脂シートの試験片において、横溝のズレの大きさが2mm以下であることが好ましい。
横柄のズレは次のように測定される。上記試験片の横柄の一方の端部の1箇所を任意に定め、更に等間隔で3箇所を定め、定めた合計4箇所それぞれにつき、一方の端部から他方の端部まで押出方向に直交する直線を引き、その直線と実際の横柄との最大差を測定し、4箇所における測定値の最大値を横柄のズレとする。
次に、本発明について実施例、比較例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものでない。
実施例1
内径65mmの単軸押出機にリップ幅(w)300mmのTダイ(Tダイのリップ間隙=5.0mm、リップ部の平行ランド長=5.0mm)を取付けた押出装置を用いた。
第1ロール(縦溝ロール)、第2ロール(横溝ロール)、第3ロール(鏡面ロール)はこの順で、図1に示すように、各ロールの回転軸が同一高さになるように配置した。3本のロールの直径は全て195mm、幅は全て700mmであり、材質は鉄製であり、ロール内部にオイル温調のための流路を設けた。
第1ロール(縦溝ロール)には凹溝の溝深さH500μm、山部の先端から0.05mm下の山部の幅が1.84mm、ピッチP15mmの縦溝を形成し、第2ロール(横溝ロール)には凹溝の溝深さH500μm、山部の先端から0.05mm下の山部の幅が0.66mm、ピッチ15mmの横溝を形成した。
第3ロールは、第2ロールのロール表面と、第3ロールのロール表面との距離が65mmとなるように配置した。
凹溝の溝深さ、山部の先端から0.05mm下の山部の幅、ピッチPは、縦溝ロール横溝ロールのそれぞれについて、上記した方法による測定を無作為に5点行い、その算術平均値を採用した。
原料は新日鉄住金化学株式会社製のエスチレンMS樹脂(メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂)「MS−600」(ガラス転移温度Tg=103℃、全光線透過率90%、ヘーズ=2.0、屈折率1.53)を使用した。
押出樹脂温度を250℃とし、吐出量45kg/hでTダイより樹脂をシート状に押出し、押出されたシート状物を第2ロールに接触させて第1ロール側にバンクを形成し、さらに第1ロールと第2ロールで挟圧して、シート状物の第1ロール側に縦溝を、第2ロール側に横溝を賦形し、さらに第2ロール、続けて第3ロールに沿わせて引取り、樹脂シートを得た。引取り速度は0.6m/minとし、シート幅300mm、シート厚み4mmの樹脂シートを得た。ロール温度は3台のオイル温調ポンプを用いて別々の温度調整を行った(第1ロール60℃、第2ロール70℃、第3ロール75℃)。シート状物が第2ロールから離れる点におけるシート状物の第1ロールに接触した面側の表面温度は、168℃であった。
第2ロールと第1ロールによる挟圧は、シート状物を第2ロールに接触させた点を起点として、第2ロールがロール回転方向に10°回転するまでの間に行った。また、シート状物の冷却は、シート状物を挟圧した点を起点として、シート状物を第2ロールに抱き角150°として引き取ることにより行った。
[比較例1]
比較例1においては、第1ロールを横溝ロール、第2ロールを縦溝ロールに変更した以外、実施例1と同様に樹脂シートを製造した。
[比較例2]
比較例2においては、第1ロール1を鏡面ロールとし、第2ロール2を横溝ロールとし、第3ロール3を縦溝ロールに変更し、第2ロールと第3ロールで挟圧した以外、実施例1と同様に樹脂シートを製造した。
[比較例3]
比較例3においては、第1ロール1を鏡面ロールとし、第2ロール2を縦溝ロールとし、第3ロール3を横溝ロールに変更し、第2ロールと第3ロールで挟圧した以外、比較例2と同様に樹脂シートを製造した。
実施例1および比較例1〜3で得られた格子模様の樹脂シートについて賦形性と横柄の直線性を測定し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 0006941449
<賦形性>
樹脂シートの柄高さは、以下のようにして求めた。得られた樹脂シートから縦(ロール周方向に相当)300mm、横(ロール幅方向に相当)300mmの試験片を切り出し、該試験片の断面をマイクロスコープにより撮影し拡大写真を得た。得られた拡大写真について、シート断面の任意の蒲鉾形状の両端の谷部の最も深い点同士を直線Aで結び、該直線Aと平行な直線であって蒲鉾形状の山部と点接触となる点を蒲鉾形状の頂点と定め、蒲鉾形状の頂点から樹脂シートの厚み方向における下方向に向かって直線Aと交わる直線Bを引いた。そして、拡大倍率を考慮した上で、直線Bにおける蒲鉾形状の頂点から直線Aとの交点までの長さを測定することにより樹脂シートの柄高さを求めた。上記操作を縦柄、横柄のそれぞれについて無作為に4点ずつ測定し、その測定値を算術平均した値を縦柄、横柄のそれぞれの柄高さとした。ロールの溝深さHは、上記した方法による測定を縦溝ロール、横溝ロールについてそれぞれ4点等間隔に行い、算術平均した値をロールの溝高さとした。上記のようにして求めた樹脂シートの柄高さと、ロールの溝高さを以下の(1)式に代入することにより樹脂シートの縦柄、横柄それぞれの賦形率を求め、以下の評価基準で賦形性を評価した。
賦形率[%]=(樹脂シートの柄高さ[μm]÷ロールの溝深さ[μm])×100
・・・(1)
賦形性の評価基準
○:賦形率が60%以上である。
×:賦形率が60%未満
<横柄の直線性>
横柄のズレは、300mm×300mmの試験片の横柄の一方の端部の1箇所を任意に定め、更に60mm間隔で3箇所を定め、定めた合計4箇所それぞれにつき、一方の端部から他方の端部まで押出方向に直交する直線を引き、その直線と実際の横柄との最大差を測定し、4箇所における測定値の最大値を横柄のズレとした。
下記の基準で直線性を評価した。
○:横柄のズレが2mm以下である。
×:横柄のズレが2mm超である。
1 第1ロール
1a 縦溝
1b 第1ロールの回転軸
2 第2ロール
2a 横溝
2b 第2ロールの回転軸
3 第3ロール
3b 第3ロールの回転軸
4 Tダイ
5 押出機
6 シート状物
7 バンク
8a 縦溝の山部
8b 横溝の山部
8 溝の山部の総称
9 シート状物が最初に成形ロールと接触した点
10 シート状物を横溝ロールと縦溝ロールとで挟圧した点
P ピッチ
H 溝深さ

Claims (7)

  1. 溶融させた熱可塑性樹脂をシート状に押出し、押出されたシート状物を引き取りつつ、該シート状物の両表面に成形ロールの表面形状を転写させる、樹脂シートの製造方法において、
    該樹脂シートの厚みが3mm以上であり、
    該成形ロールは、ロールの周方向に連続する多数の凹溝を有する縦溝ロールと、ロールの幅方向に連続する多数の凹溝を有する横溝ロールとからなり、
    該成形ロールの凹溝の溝深さが1000μm以下であり、
    押出されたシート状物を一方の成形ロールに先に接触、又は両方の成形ロールにほぼ同時に接触させ、該シート状物が最初に成形ロールと接触した点を起点として、シート状物が最初に接触した成形ロールがロール回転方向に90°(0°を含む。)回転するまでの間に、シート状物を横溝ロールと縦溝ロールとで挟圧することによりシート状物の一方の表面に横溝ロールの表面形状を転写させると共にシート状物の他方の表面に縦溝ロールの表面形状を転写させ、更にシート状物を横溝ロールに抱き角90°以上抱かせて引き取ることを特徴とする樹脂シートの製造方法。
  2. 前記樹脂シートの厚みがmm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂シートの製造方法。
  3. 前記成形ロールの凹溝の溝深さが300μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂シートの製造方法。
  4. 前記成形ロールの直径が100〜1000mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
  5. 前記成形ロールの凹溝間の山部の先端から0.05mm下の山部の幅が0.3〜3mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
  6. 前記シート状物を横溝ロールと縦溝ロールとで挟圧することにより、シート状物に成形ロールの表面形状を転写する際の線圧を5N/cm以上とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
  7. 前記熱可塑性樹脂が、スチレン系樹脂又はアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂シートの製造方法。
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