JP6987601B2 - 誘導加熱装置 - Google Patents

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Description

本発明は円筒状の被加熱体を誘導加熱する装置に関するものである。
電子写真装置に搭載される電子写真感光体(以下、感光ドラムとも記載する)は円筒状の金属製の基層の上に感光層が形成されたものが一般的である。また、上記感光層の表面に保護層を形成し、電子線照射と加熱とにより保護層を硬化させることで、感光ドラムの耐久性を向上させる方法が知られている。このとき、保護層の硬度ばらつきを小さくする目的で、感光ドラムを均一に加熱できる加熱装置が求められている。
感光ドラムの加熱には熱風加熱、光加熱、誘導加熱を用いた方法が試みられてきた。特に、短時間で加熱できるために、誘導加熱を用いた方法が有効である。誘導加熱とは、磁界が導電性材料を横切って変化したとき、導電性材料の表面付近に渦電流が発生し、そのジュール発熱により被加熱体を加熱する加熱方法である。このとき、導電性材料に流れる渦電流により、磁界の変化を妨げるような磁界が生成される。誘導加熱では導電性材料のみが加熱され、非導電性材料であれば磁界発生領域内にあっても加熱されないという特徴がある。
また、被加熱体の発熱量は被加熱体の比透磁率によって異なる。被加熱体が鉄やニッケルなどの比透磁率が高い材料(強磁性体)であれば、少しの磁界の変化でも多くの渦電流が発生し、発熱量が大きくなる。逆に、被加熱体がアルミや銅などの比透磁率が低い材料(非磁性体)であれば、渦電流の発生量が少なく、強磁性体に比べて発熱量は小さくなる。さらに、円筒状の被加熱体の発熱量は被加熱体の外径によっても異なる。被加熱体の外径が大きいほど、多くの渦電流が発生し、発熱量が大きくなる。
感光ドラムのように長さを有する円筒状の被加熱体を加熱するためには、スパイラル形状の誘導加熱コイルがよく用いられる。また、長さや径の異なる複数種類の被加熱体を共通の誘導加熱コイルで加熱する場合には、誘導加熱コイルにより発生する磁界発生領域と一番長い被加熱体の長さとが合致するような誘導加熱コイルを用いるのが一般的である。しかし上記の誘導加熱コイルを用いて長さの短い被加熱体を加熱した場合、被加熱体の端部が他の部分に比べて過剰に発熱してしまうという問題がある。これは被加熱体の端部において、被加熱体外面の表面付近と、被加熱体端面の表面付近の両方に渦電流が発生することで、他の部分よりも端部の発熱量が大きくなるためであり、この現象はエッジ効果と呼ばれる。
被加熱体の長さより長い磁界発生領域を有する誘導加熱コイルを用いて、被加熱体を均一に加熱する手段が特許文献1に開示されている。特許文献1では、被加熱体の端部に誘導加熱により発熱する導電性の補助基材を配置することで被加熱体の端部近傍の磁束密度を小さくし、端部の過剰な発熱を防止している。さらに補助基材と被加熱体との距離を微動させることで被加熱体の端部の温度を微調整可能にしている。
特開2005‐63753号公報
特許文献1に記載の誘導加熱装置では導電性の補助基材の外径と被加熱体の外径が異なる場合には被加熱体に温度ムラが発生してしまうという課題がある。補助基材の外径が被加熱体の外径より大きい場合には、補助基材に被加熱体より多くの渦電流が流れ、被加熱体の端部近傍の磁束密度が小さくなりすぎる。その結果、被加熱体の端部の温度が低くなってしまう。一方、補助基材の外径が被加熱体の外径より小さい場合には被加熱体の端部近傍の磁束密度が大きくなりすぎ、被加熱体の端部の温度が高くなってしまう。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、導電性の補助基材の外径と被加熱体の外径とが異なる場合であっても、誘導加熱コイルや把持機構を交換することなく、被加熱体を均一に加熱することが可能な誘導加熱装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様によれば、
円筒状の被加熱体が内部に配置される誘導加熱コイルと、該誘導加熱コイルの内部に配置され、該誘導加熱コイルによって渦電流を発生し発熱する補助基材と、を具備する誘導加熱装置であって、
該誘導加熱コイルの内部に該被加熱体が配置されたときに、該被加熱体と該補助基材との間に介在して、該被加熱体を支持する把持部材をさらに具備し、
該把持部材は、
少なくとも該被加熱体との接触部が非導電性材料で構成されており、
該誘導加熱装置は、
第1の被加熱体と、該第1の被加熱体よりも大きい外径を有する第2の被加熱体と、を択一的に支持可能であり、かつ、
該第1の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときの該第1の被加熱体の一端と該補助基材との距離が、該第2の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときの該第2の被加熱体の一端と該補助基材との距離よりも、長くなるように該被加熱体を支持するものである誘導加熱装置が提供される。
また、本発明の他の態様によれば、
円筒状の被加熱体が内部に配置される誘導加熱コイルと、該誘導加熱コイルの内部に配置され、該誘導加熱コイルによって渦電流を発生し発熱する補助基材と、を具備する誘導加熱装置であって、
該誘導加熱コイルの内部に該被加熱体が配置されたときに、該被加熱体を支持する把持部材と、
該把持部材に対する該補助基材の位置を調整する位置調整手段と、をさらに具備し、
該把持部材は、少なくとも該被加熱体との接触部は非導電性材料で構成されており、
該誘導加熱装置は、第1の被加熱体と、該第1の被加熱体よりも大きい外径を有する第2の被加熱体と、を択一的に支持可能であり、かつ
該位置調整手段は、
該第1の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときの該第1の被加熱体の一端と該補助基材との距離が、該第2の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときの該第2の被加熱体の一端と該補助基材との距離よりも、長くなるように、該把持部材に対する該補助基材の位置を調整する誘導加熱装置が提供される。
本発明によれば、導電性の補助基材の外径と被加熱体の外径とが異なる場合であっても、誘導加熱コイルや補助基材や把持機構を交換することなく、被加熱体を均一に加熱することが可能な誘導加熱装置を提供することが可能となる。
本発明の誘導加熱装置の装置概要を示す図である。 本発明の原理を説明するための模式図である。 本発明の実施例1に係る把持部材の断面図である。 本発明の実施例2に係る把持部材の図であって、(a)は断面図、(b)は底面図である。 本発明の実施例3に係る誘導加熱装置の構成の概要を示す図である。 従来技術に係る誘導加熱装置の構成の概要を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1は、本発明の誘導加熱装置の装置概要を示す図である。
スパイラル形状の誘導加熱コイル100は、コイル支持部材101により固定され、台座102に取り付けられている。誘導加熱コイル100は整合機103を介して高周波電源104に接続されている。高周波電源104は制御部115に接続されており、制御部115からの出力指令に応じた高周波電流を誘導加熱コイル100に流すことで、誘導加熱コイル内部に配置した被加熱体120を加熱することができる。
補助基材111a、111bは軸受部112a、112bに保持され、昇降機構114a、114bに取り付けられている。
昇降機構114a、114bは制御部115に接続されており、制御部からの位置移動指令に応じて動作可能である。
誘導加熱コイル100の内部に被加熱体120を配置する際には、補助基材111a、111bに接続された把持部材110a、110bで被加熱体120を挟むことで被加熱体120を接触把持可能である。把持部材110aは被加熱体120と補助基材111aとの間に介在し、把持部材110bは被加熱体120と補助基材111bとの間に介在する。
把持部材110a、110bの少なくとも一方は回転機構113に接続されており、把持した被加熱体120を回転可能な構造になっている。図1に示す例では、把持部材110aは補助基材111aと共に回転機構113によって回転される。そして、被加熱体120、把持部材110b及び補助基材111bは、補助基材111aによって回転される。
誘導加熱コイル100と被加熱体120の回転軸は図示しない調整機構により略同軸に調整可能である。
図2は本発明の原理を説明するための模式図である。
誘導加熱コイル100の長さ(図2中のL)は、誘導加熱コイル100に高周波電流を流すことによって被加熱体120だけでなく、補助基材111a、111bにも渦電流が発生する範囲の長さである。
補助基材111a、111bは導電性材料で構成されている。補助基材111a、111bに渦電流が流れ、誘導加熱コイル100が生成した磁界を弱める向きに磁界を生成することで、被加熱体120の端部近傍の磁束密度を調整し、端部の過剰な発熱を防止することが可能である。被加熱体120の端部近傍とは、被加熱体120の上端部の近傍(把持部材110aに近い端部の近傍)及び被加熱体120の下端部の近傍(把持部材110bに近い端部の近傍)を意味する。
把持部材110a、110bは、少なくとも被加熱体120との接触部は非導電性材料で構成されている。これは誘導加熱コイル100および補助基材111a、111bによって生成された磁界に影響を与えないためである。
補助基材111a、111bは円柱状または円筒状の形状であり、被加熱体120の外径と同径または、被加熱体120の外径より大きな外径を有している。つまり、本発明に係る誘導加熱装置の補助基材111a、111bは、最大の外径を有する被加熱体の外径以上の外径を有する。これは、本発明に係る誘導加熱装置を用いて加熱される被加熱体の中で最大の外径を有する被加熱体を加熱する場合でも、被加熱体120の端部の温度が高くならないようにするためである。
誘導加熱装置は、被加熱体120の外径に応じて、補助基材111a、111bと被加熱体の一端との距離を調整する手段を有している。かかる調整手段を用いて補助基材111a、111bと被加熱体の一端との距離を、事前に加熱実験を行い被加熱体の外径ごとに求めた最適値に調整する。「補助基材111a、111bと被加熱体の一端との距離」とは、「補助基材111aの下端と被加熱体の上端との距離」及び「補助基材111bの上端と被加熱体の下端との距離」を意味する。補助基材111a、111bの外径に対し被加熱体120の外径が小さい場合に、補助基材111a、111bと被加熱体120の一端との距離を長くすることで、外径の小さな被加熱体を加熱する場合でも端部近傍の温度が低くならないようにするためである。
被加熱体の外径に応じて、補助基材と被加熱体との距離を調整する手段の一例としては、図3及び図4に示すように、把持部材110a、110bの断面形状が補助基材111a、111bから離れるに従って縮径する構成があげられる。
図3及び図4に示す把持部材はいずれも、第1の被加熱体と、第1の被加熱体よりも大きい外径を有する第2の被加熱体と、を支持可能である。
また、図3及び図4に示す把持部材はいずれも、
第1の被加熱体が誘導加熱コイルの内部に配置されたときの第1の被加熱体の一端と補助基材との距離が、第2の被加熱体が誘導加熱コイルの内部に配置されたときの第2の被加熱体の一端と補助基材との距離よりも、長くなるように被加熱体を支持する。
なお、図3及び図4に記載の数値は後述する実施例で用いられた際のサイズを示すものであり、これらの数値は本発明の技術的範囲をなんら制限するものではない。
図3に示すような把持部材は、把持部材の断面の形状を段階的に加工等する必要がないため、把持部材の作製が簡易になる。
また、図4に示すような把持部材は、被加熱体の端面及び内周面の一部を接触把持することができ、図3に示すような把持部材と比較して、被加熱体と把持部材との接触面積を大きくすることができる。そのため、把持部材を繰り返し使用しても、把持部材が摩耗しにくい。その結果、把持部材の摩耗によって生じる「被加熱体の一端と補助基材との距離が短くなるという変動」を抑制することができる。
上記のように、把持部材が「被加熱体の一端と補助基材との距離」を調整する機能を兼ね備えてもよく、また、下記のように、把持部材から独立した別の手段が「被加熱体の一端と補助基材との距離」を調整する機能を有するとしてもよい。
「被加熱体の一端と補助基材との距離」を調整する機能を把持部材から独立した別の手段が有する場合、誘導加熱装置は、
円筒状の被加熱体が内部に配置される誘導加熱コイルと、
誘導加熱コイルの内部に配置され、誘導加熱コイルによって渦電流を発生し発熱する補助基材と、
誘導加熱コイルの内部に被加熱体が配置されたときに、被加熱体を支持する把持部材と、
把持部材に対する補助基材の位置を調整する位置調整手段と、を具備する。
把持部材は、少なくとも被加熱体との接触部が非導電性材料で構成されている。
誘導加熱装置は、第1の被加熱体と、第1の被加熱体よりも大きい外径を有する第2の被加熱体とを支持可能である。
位置調整手段は、以下のように把持部材に対する補助基材の位置を調整する。
「第1の被加熱体が誘導加熱コイルの内部に配置されたときの第1の被加熱体の一端と補助基材との距離」が「第2の被加熱体が誘導加熱コイルの内部に配置されたときの第2の被加熱体の一端と補助基材との距離」よりも、長くなる。
図5に基づいて、上記のような誘導加熱装置の一例を説明する。
図5に示す誘導加熱装置は、把持部材110a、110bの位置に対する補助基材111a、111bの端部の位置を調整する位置調整手段130a、130bを有する。このような構成とした場合、被加熱体120の外径に応じて把持部材110a、110bの位置に対する補助基材111a、111bの端部の位置を調整することで、補助基材111a、111bと被加熱体120の一端との距離を調整可能である。
図5に示す位置調整手段130は、補助基材と把持部材との距離を調整可能なものであればよい。例えば、
1)誘電過熱コイルの下方の空間において、把持部材によって上下から被加熱体を挟み込むことによって、被加熱体を把持し、
2)被加熱体を把持した状態のまま、把持部材110a、110bを上昇させることによって被加熱体の長手方向の中心と誘電過熱コイルの長手方向の中心とが略一致する位置に被加熱体を上昇させ、
3)その後に把持部材110a、110bの位置は維持したままの状態で、補助基材111aを所定量だけ上昇させ、かつ補助基材111bを所定量だけ下降させて、把持部材と補助基材との間隔及び被加熱体と補助基材との間隔を所定量に調整する。
このような位置調整手段を用いることによって、被加熱体の内径にかかわらず被加熱体の一端と補助基材との距離を調整できる。つまり、被加熱体の長さや外径に加え厚さが変わったとしても、誘導加熱コイルや把持機構を交換することなく、被加熱体を均一に加熱することが可能である。
誘導加熱装置は、
第1の被加熱体の外径と、第1の距離とを関連付けて蓄積し、
第2の被加熱体の外径と、第2の距離とを関連付けて蓄積する、蓄積部をさらに具備することが好ましい。
第2の被加熱体の外径は、第1の被加熱体の外径よりも大きい。
第1の距離は、第2の距離よりも長い。
そして、位置調整手段は、第1の被加熱体が誘導加熱コイルの内部に配置されたときは、蓄積部から第1の被加熱体の外径に関連付けられた第1の距離を受け取る。そして、被加熱体の一端と補助基材との距離が、第1の距離となるように、把持部材に対する補助基材の位置を調整する。
また、位置調整手段は、第2の被加熱体が誘導加熱コイルの内部に配置されたときは、蓄積部から第2の被加熱体の外径に関連付けられた第2の距離を受け取る。そして、被加熱体の一端と補助基材との距離が、第2の距離となるように、把持部材に対する補助基材の位置を調整する。
誘導加熱コイルの内部に配置された被加熱体が、第1の被加熱体か第2の被加熱体かは
誘導加熱装置の操作者が判断してもよく、また
被加熱体の外径を測定する外径測定手段をさらに設け、かかる外径測定手段が測定した被加熱体の外径の値に基づいて判断するとしてもよい。
端部近傍の磁束密度の調整を安定して行うためには、補助基材111a、111bは被加熱体120と同程度の比透磁率を有する材料で構成されることが好ましい。また、補助基材111a、111bの形状が円筒状である場合、補助基材111a、111bの厚さは補助基材111a、111bの表皮深さの5倍以上であることが好ましい。この「補助基材の厚さ」とは、{(補助基材の外径−補助基材の内径)/2}である。また、「表皮深さ」とは「ある物質に入射した電磁界が1/e(≒1/2.718)に減衰する深さ」である。
被加熱体120および補助基材111a、111bが誘導加熱によって加熱されると、把持部材110a、110bも熱伝導によって昇温する。把持部材110a、110bの加熱前の温度が変動すると、被加熱体120から把持部材110a、110bへの伝熱量が変動してしまい、被加熱体120を均一に加熱することの妨げとなる。そのため、把持部材110a、110bまたは補助基材111a、111bは冷却機構を有し、加熱前の温度を一定にすることが好ましい。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〈実施例1〉
図1に示す誘導加熱装置を用いて加熱試験を行った。
本実施例で使用した被加熱体120の外径、内径及び長さを表1に示す。表1に示すように、本実施例で使用した被加熱体120は外径、内径及び長さが異なる三種類の感光ドラムである。
被加熱体120の基層はアルミニウム合金で構成され、比透磁率はおよそ1.0である。被加熱体120の最外層には膜厚5.0μm程度の保護層が形成されている。
誘導加熱コイル100は線形8mmの銅管を曲げてスパイラル形状にしたものを使用した。誘導加熱コイル100の全長(図2中のL)は450mm、外径(図2中のD)は88mmで巻き数は23ターンとした。銅管内部には冷却水を供給し、冷却を行った。誘導加熱コイル100はベークライトで構成されたコイル支持部材101に固定した。誘導加熱コイル100は整合機103を介して高周波電源104に接続した。また、図示しない放射温度計により被加熱体120の長手中央位置の温度を測定し、制御部115に入力することでフィードバック制御による加熱が可能な構成とした。
補助基材111a、111bは被加熱体120の基層と同材料であるアルミニウム合金で構成され、外径は30mmの円柱形状とした。これは最大の外径を有する被加熱体120の外径と略同径である。また補助基材111a、111bには冷却水を供給し、冷却を行った。
把持部材110a、110bはPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)で構成され、補助基材111a、111bに取り付けられた。把持部材110a、110bの被加熱体120との接触部は図3に示すような補助基材111a、111bから離れるに従って縮径するテーパー形状とした。把持部材110a、110bが被加熱体120を接触把持するとき、被加熱体120の一端と補助基材111a、111bとの距離は事前に加熱実験を行い求めた表1の値になるようにした。また、把持部材110a、110bは、冷却している補助基材111a、111bからの熱伝導により冷却を行った。
Figure 0006987601
補助基材111a、111bは軸受部112a、112bに保持され、昇降機構114a、114bに取り付けた。昇降機構114a、114bは単軸ロボットとコントローラーによって構成され、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)により構成される制御部115に接続し、制御部115からの位置移動指令に応じて各動作の位置座標に移動可能とした。誘導加熱コイル100の内部に被加熱体120を配置する際には、補助基材111a、111bに接続された把持部材110a、110bで被加熱体120を挟むことで被加熱体120を接触把持した。また、把持部材110a、110bの少なくとも一方は回転機構113に接続されており、把持した被加熱体120を回転可能な構造とした。
次に実施例1で行った加熱実験の手順について説明する。
まず、昇降機構114bを下降させた状態で被加熱体120を把持部材111bの上方に載置した。その後、昇降機構114aを下降させて、把持部材110aと把持部材110bとで被加熱体120を上下から挟み込むことで被加熱体120を接触把持した。このとき、昇降機構114aと軸受部112aの間に、ばねを有する図示しない押圧機構を設けることで、被加熱体120の長さがばらついたとしても把持部材110a、110bは被加熱体120を10〜20Nの力で挟み込める構造にした。
次に、把持部材110aと把持部材110bとで上下から被加熱体120を挟み込んだ状態のまま昇降機構114a、114bを上昇させることで、図1に示すように、被加熱体120を誘導加熱コイル100の内部に配置した。その際に、被加熱体120の長手方向の中心と誘導加熱コイル100の長手方向の中心とが一致するように昇降機構114a、114bの位置を調整した。
次に、回転機構113により、把持した被加熱体120を回転数およそ100rpmで回転させた。把持部材110a、110bと被加熱体120とは10〜20Nの力で押圧されているため滑ることなく、把持部材110a、110bと被加熱体120とは同じ速度で回転することができる。加熱時に被加熱体120を回転させるのは、被加熱体の周方向の温度ムラを防止するためである。
次に、高周波電源104により、誘導加熱コイル100に高周波電流を流し、被加熱体120を加熱した。加熱の制御はフィードバック制御とし、初期温度である23℃から目標温度である125℃まで10秒で加熱できるような設定とした。加熱終了時の被加熱体120の下部(被加熱体120の下端から10mm上方の位置)、中央部(被加熱体120の長手中央位置)、上部(被加熱体120の上端から10mm下方の位置)の温度を測定し、温度差を評価した。測定にはサーモビューアを使用し、感光ドラムの保護層の表面の温度を測定した。
加熱終了後に、被加熱体120の回転を停止させ、把持部材110aと把持部材110bとで上下から被加熱体120を挟み込んだ状態のまま昇降機構114a、114bを下降させることで被加熱体120を誘導加熱コイル100の外部に移動させた。その後、昇降機構114bを上昇させず、昇降機構114aのみを上昇させて、把持部材110aを被加熱物120の上端から離し、把持部材110bから被加熱物120を取りはずした。
表2に、上記の条件で加熱および加熱後の被加熱体温度を測定した結果を示す。表1に示した外径と長さの異なるいずれの被加熱体120においても、被加熱体120の端部における過剰な発熱は抑制でき、下部温度、中央部温度、及び上部温度における最高温度と最低温度との温度差も2℃以下であった。
Figure 0006987601
〈実施例2〉
実施例1と同様の加熱試験を、図4に示すような補助基材111a、111bから離れるに従って段階的に縮径する形状の把持部材110a、110bを用いて行った。把持部材110a、110b以外は実施例1と同じ条件である。
本実施例で使用した把持部材110a、110bは被加熱体120と嵌合する構造になっている。そして、把持部材110aと把持部材110bとで上下から挟み込んで被加熱体120を把持したときに、被加熱体120と把持部材110a、110bとを略同軸にすることが可能である。
表3に、上記の条件で加熱および加熱後の被加熱体温度を測定した結果を示す。実施例1と同様の結果が得られ、表1に示した外径と長さの異なるいずれの被加熱体120においても、被加熱体120の端部における過剰な発熱は抑制でき、下部温度、中央部温度、及び上部温度における最高温度と最低温度との温度差も2℃以下であった。
Figure 0006987601
〈実施例3〉
実施例1と同様の加熱試験を、図5に示す誘導加熱装置を用いて行った。
図5に示す誘導加熱装置では把持部材110a、110bの被加熱体120との接触面の形状は平面とし、厚みは1.0mmとした。把持部材110a、110bは位置調整手段130a、130bに取り付けられ、位置調整手段130a、130bはロボシリンダーとコントローラーによって構成され、制御部115に接続された。また、制御部115には情報蓄積部210を接続し、情報蓄積部210には事前に測定した被加熱体120の外径に応じた位置移動情報を格納した。これにより制御部115が被加熱体120の外径に応じた位置移動指令を位置調整手段130a、130bに出すことで、補助基材111a、111bと被加熱体120の一端との距離が表1の値になるように位置調整手段130a、130bを動作可能とした。
補助基材111a、111bは軸受部112a、112bに保持され、昇降機構114a、114bに取り付けられた。昇降機構114a、114bは単軸ロボットとコントローラーによって構成され、制御部115に接続され、制御部115からの位置移動指令に応じて各動作の際に所定の位置座標に移動可能とした。
ロボシリンダーも単軸ロボットも、ボールネジ、リニアガイド及びACサーボモーターを有する高精度電動アクチュエータである。
誘導加熱コイル100の内部に被加熱体120を配置する際には、補助基材111a、111bに接続された把持部材110a、110bで上下から被加熱体120を挟むことで被加熱体120を接触把持した。また、把持部材110a、110bの少なくとも一方は回転機構113に接続されており、回転機構113によって回転される。図5に示す例では、把持部材110aは回転機構113によって回転される。そして、被加熱体120及び把持部材110bは、把持部材110aによって回転される。
表4に、上記の条件で加熱および加熱後の被加熱体温度を測定した結果を示す。実施例1と同様の結果が得られ、表1に示した外径と長さの異なるいずれの被加熱体120においても、被加熱体120の端部における過剰な発熱は抑制でき、下部温度、中央部温度、及び上部温度における最高温度と最低温度との温度差も2℃以下であった。
Figure 0006987601
〈比較例〉
図6に示す誘導加熱装置を用いて、実施例1と同様の加熱試験を行った。
図6に示す誘導加熱装置では把持部材110a、110bの被加熱体120との接触面の形状は平面とし、厚みは1.0mmとした。そして被加熱体120の外径に関わらず、被加熱体120の一端と補助基材111a、111bとの距離を1.0mmとして加熱を行った。把持部材110a、110b以外は実施例1と同じ条件とした。
表5に、上記の条件で加熱および加熱後の被加熱体温度を測定した結果を示す。外径30mmの被加熱体120では、補助基材111a、111bの外径30mmと被加熱体120の外径とが略同径である。このため、被加熱体120の端部における過剰な発熱は抑制でき、下部温度、中央部温度、及び上部温度における最高温度と最低温度との温度差も2℃以下であった。
しかし、被加熱体120の外径が補助基材111a、111bの外径より小さい外径24mmの被加熱体120では、下部温度と上部温度との温度差は1℃であったが、下部温度が中央部温度より20℃低くなった。これは、補助基材111a、111bに被加熱体120より多くの渦電流が流れ、被加熱体120の端部近傍の磁束密度が小さくなりすぎたためだと考えられる。
また、被加熱体120の外径が補助基材111a、111bの外径よりさらに小さい外径20mmの被加熱体120では、下部温度と上部温度との温度差は1℃であったが、下部温度が中央部温度より26℃低くなった。これも、補助基材111a、111bに被加熱体120より多くの渦電流が流れ、被加熱体120の端部近傍の磁束密度が小さくなりすぎたためだと考えられる。
Figure 0006987601
100 誘導加熱コイル
101 コイル支持部材
102 コイル台座
103 整合器
104 高周波電源
110 把持部材
111 補助基材
112 軸受部
113 回転機構
114 昇降機構
115 制御部
120 被加熱物
130 位置調整手段
210 情報蓄積部

Claims (6)

  1. 円筒状の被加熱体が内部に配置される誘導加熱コイルと、該誘導加熱コイルの内部に配置され、該誘導加熱コイルによって渦電流を発生し発熱する補助基材と、を具備する誘導加熱装置であって、
    該誘導加熱コイルの内部に該被加熱体が配置されたときに、該被加熱体と該補助基材との間に介在して、該被加熱体を支持する把持部材をさらに具備し、
    該把持部材は、
    少なくとも該被加熱体との接触部が非導電性材料で構成されており、
    該誘導加熱装置は、
    第1の被加熱体と、該第1の被加熱体よりも大きい外径を有する第2の被加熱体と、を択一的に支持可能であり、かつ、
    該第1の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときの該第1の被加熱体の一端と該補助基材との距離が、該第2の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときの該第2の被加熱体の一端と該補助基材との距離よりも、長くなるように該被加熱体を支持するものであることを特徴とする誘導加熱装置。
  2. 前記把持部材は、その断面形状が、前記補助基材から離れるに従って縮径するテーパー形状を有する請求項1に記載の誘導加熱装置。
  3. 前記把持部材は、その断面形状が、前記補助基材から離れるに従って段階的に縮径する形状を有する請求項1に記載の誘導加熱装置。
  4. 円筒状の被加熱体が内部に配置される誘導加熱コイルと、該誘導加熱コイルの内部に配置され、該誘導加熱コイルによって渦電流を発生し発熱する補助基材と、を具備する誘導加熱装置であって、
    該誘導加熱コイルの内部に該被加熱体が配置されたときに、該被加熱体を支持する把持部材と、
    該把持部材に対する該補助基材の位置を調整する位置調整手段と、をさらに具備し、
    該把持部材は、少なくとも該被加熱体との接触部は非導電性材料で構成されており、
    該誘導加熱装置は、第1の被加熱体と、該第1の被加熱体よりも大きい外径を有する第2の被加熱体と、を択一的に支持可能であり、かつ
    該位置調整手段は、
    該第1の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときの該第1の被加熱体の一端と該補助基材との距離が、該第2の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときの該第2の被加熱体の一端と該補助基材との距離よりも、長くなるように、該把持部材に対する該補助基材の位置を調整することを特徴とする誘導加熱装置。
  5. 前記第1の被加熱体の外径と、第1の距離とを関連付けて蓄積し、
    前記第2の被加熱体の外径と、第2の距離とを関連付けて蓄積する蓄積部をさらに具備し、
    該第1の距離は該第2の距離よりも長く、
    前記位置調整手段は、
    該第1の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときは、前記被加熱体の一端と前記補助基材との距離が、該第1の距離となるように、該把持部材に対する該補助基材の位置を調整し、
    該第2の被加熱体が該誘導加熱コイルの内部に配置されたときは、前記被加熱体の一端と前記補助基材との距離が、該第2の距離となるように、該把持部材に対する該補助基材の位置を調整する、請求項4に記載の誘導加熱装置。
  6. 被加熱体の外径を測定する外径測定手段をさらに具備し、
    前記位置調整手段は、該被加熱体の一端と前記補助基材との距離が、該外径測定手段が測定した該被加熱体の外径の値に関連付けて前記蓄積部に蓄積されている第1の距離又は第2の距離となるように、前記把持部材に対する該補助基材の位置を調整する、請求項5に記載の誘導加熱装置。
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