JP7002196B2 - 六方晶窒化ホウ素粉末及び化粧料 - Google Patents
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(2)医薬部外品原料規格2006に準拠して測定される溶出ホウ素が20mg/L以下であることを特徴とする(1)に記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
(3)(1)または(2)に記載の六方晶窒化ホウ素粉末を含む化粧料。
本発明の一側面に係る六方晶窒化ホウ素粉末は、アスペクト比(長径/厚さ)が20を超え、かつ平均粒子径が3~20μm、比表面積が1~10m2/g、黒鉛化指数が2.0以下である。
アスペクト比はある粒子の最も長い箇所(長径)と短い箇所(短径)の比率((長径)/(短径))で表わされる。六方晶窒化ホウ素はいわゆる「鱗片形状」の粒子であり、最も短い箇所(短径)は鱗片粒子の厚さで表すことができる。よって本発明の六方晶窒化ホウ素粉末におけるアスペクト比は、(長径)/(厚さ)で示すこととする。アスペクト比は20を超える必要があり、望ましくは21~30、更に好ましくは24~28である。アスペクト比が20以下では、長径が小さいため隠ぺい力が不十分となる、もしくは厚さが大きいため塗り伸び性が不十分となる。
窒化ホウ素粉末をプレス成型し、樹脂包埋後に断面ミリング加工を行うことで、窒化ホウ素粒子の断面を得た。プレス成型により窒化ホウ素粒子が一方向に配向した状態が得られ、粒子傾きによる測定誤差を抑えられる。この断面を走査型電子顕微鏡、例えば「JSM-6010LA」(日本電子社製)にて撮影し、得られた粒子像を画像解析ソフトウェア、例えば「Mac-View」(マウンテック社製)に取り込む。
次いで、得られた写真から粒子の長辺(=長径)と短辺(=厚さ)を測定し長辺短辺比(長辺/短辺)を算出し、粒子100個に対する測定結果を得た。
得られた長径短径比より累積分布を作成し、累積相対度数の95%に相当する長径/厚さを求め、これをアスペクト比とした。
本発明の六方晶窒化ホウ素の平均粒子径は3~20μm、好ましくは5~15μm、更に好ましくは6~12μmである。平均粒子径が3μm未満では、塗り伸び性及び隠ぺい力が不十分となる。平均粒子径が20μmを超えると塗り伸び性や隠ぺい力には問題がないが、外観上のぎらつきが強くなったりするため、化粧料原料としては好ましくなくなる。なお本発明における平均粒子径は、レーザー回折散乱法による粒度分布測定において、体積基準の累積粒度分布の累積値50%の粒子径である。一般に平均粒子径は測定条件により変わる可能性があり、本発明では、六方晶窒化ホウ素粉末60mgを、15gの0.2質量%ヘキサメタリン酸水溶液に加え、ホモジナイザーにより300Wの出力で180秒間分散処理させた後の分散液を用いて、粒度分布測定機により計測した値である。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の比表面積は1~10m2/g、好ましくは1~5m2/g、更に好ましくは2~3m2/gである。比表面積が1m2/g未満では粒子径が大きくなり、塗り伸び性や隠ぺい力には問題がないが、外観上のぎらつきが強くなったりするため、化粧料原料としては好ましくなくなる。比表面積が10を超えると、塗り伸び性及び隠ぺい力が不十分となる上に、後述の溶出ホウ素量が20mg/Lを超えてしまう。比表面積は、一般に市販されているガス吸着現象を利用した測定装置を用い、BET1点法により算出された値を用いることができる。
六方晶窒化ホウ素粉末は、黒鉛と類似の結晶構造を有しており、粉末X線回折測定を利用し、黒鉛と同様の方法で、その黒鉛化指数を算出することができる。即ち、黒鉛化指数は、X線回折スペクトルの(100)面に由来するピークの面積S1、(101)面に由来するピークの面積S2、及び(102)面に由来するピークの面積S3の各値を、(数1)に代入することによって算出できることが示され(J.Thomas,et.al,J.Am.Chem.Soc.84,4619(1962))ており、これを六方晶窒化ホウ素に適用したものである。
溶出ホウ素は肌への刺激性を示すため、所定量に低減する必要がある。溶出ホウ素は医薬部外品原料規格2006に準拠した方法で行い、その値は20mg/L以下である必要がある。なお好ましい値は15mg/L以下、更に好ましくは10mg/L以下である。溶出ホウ素が20mg/Lを超えると、肌への刺激性を示す恐れがある。
本発明に係る六方晶窒化ホウ素粉末のタップ密度は0.5g/cm3以下、好ましくは0.3g/cm3以下、更に好ましくは0.25g/cm3以下である。本発明でいうタップ密度とは、タップ密度測定器(例:ホソカワミクロン社製、パウダーテスターPT-E型)を用い、100cm3の専用容器に六方晶窒化ホウ素粉末を仮充填してから、タッピングタイム180秒、タッピング回数180回、タップリフト18mmの条件で容器をタッピングして衝撃で固めた後、容器上部の余分な六方晶窒化ホウ素粉末をブレードで擦りきり、数2の式に測定した各質量値を代入することにより求めたものである。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法の例としては、ホウ素を含む化合物の粉末及び窒素を含む化合物の粉末(以下、ホウ素を含む化合物と窒素を含む化合物とを併せて出発原料ということもある)の合計100質量部と、0.9質量部以上20質量部以下のアルカリ金属化合物など、焼成時における出発原料の六方晶窒化ホウ素への変換を促進する焼結助剤の粉末と、本発明の目的を逸脱しない範囲において、必要に応じて出発原料や焼結助剤以外の、単体や化合物を含む混合粉末を、窒素、ヘリウム、アルゴン、アンモニア等の不活性雰囲気下で焼成して、粗六方晶窒化ホウ素となし、これを洗浄液で洗浄することによる不純物除去処理を加えてから乾燥する工程を含む製造方法が挙げられる。
本発明は別の一側面において、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末を含む化粧料である。化粧料の一例を示せば、ファンデーション(パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション)、フェイスパウダー、ポイントメイク、アイシャドー、アイライナー、マニュキュア、口紅、頬紅、マスカラであるが、中でもファンデーション、アイシャドーに本発明の六方晶窒化ホウ素粉末が特に良く適合する。本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の化粧料への好適な添加量は0.1質量%以上70質量%以下である。
<実施例1>
ホウ酸粉末(関東化学社製、純度99.8質量%以上)100g、及びメラミン粉末(和光純薬社製、純度99.0質量%以上)90gの各出発原料をそれぞれ秤量し、アルミナ製乳鉢を用いて10分間混合した。作製した粉末混合物を恒温恒湿機(ADVANTEC社製、AGX-225)に入れ、80℃、相対湿度95%で1時間加湿し、その後、120℃で1時間乾燥した。
これを六方晶窒化ホウ素製の容器(容積約500cm3)に入れ、炉室内容積が約16000cm3の電気炉(東海高熱工業社製、TV-200)内に配し、炉室内への窒素ガス流量を16L(25℃における体積)/分として、10℃/分の割合で室温から昇温し、1000℃で2時間保持したのち、加熱を止めて自然冷却させ、温度が100℃以下まで下がった時点で電気炉を開放した。
得られた焼成品100gに、炭酸ナトリウム(和光純薬社製、純度99.5質量%以上)を3g秤量し、アルミナ製乳鉢を用いて10分間混合した。さらに上述の電気炉内に配し、炉室内への窒素ガス流量を16L(25℃における体積)/分として、10℃/分の割合で昇温し、焼成温度の最高値である1700℃まで到達させてから4時間温度を保持した。その後、加熱を止めて自然冷却させ、温度が100℃以下まで下がった時点で電気炉を開放して、粗六方晶窒化ホウ素(粉砕前)を回収した。これをアルミナ製乳鉢で3分間粉砕し、粗六方晶窒化ホウ素の粉末となした。
さらに該粗六方晶窒化ホウ素の粉末中に含まれる不純物を除くため、5質量%希硝酸500gあたり30gの割合で該粉末を投入し、室温で60分攪拌した後、吸引ろ過により固液分離し、ろ液が中性になるまで水(電気伝導度1mS/m)を入れ替えて洗浄した。洗浄後の粉末は乾燥機で120℃で3時間一旦乾燥した後、実施例1の六方晶窒化ホウ素粉末を得た。
実施例1で作製した六方晶窒化ホウ素粉末をプレス成型し、樹脂包埋後に断面ミリング加工を行うことで、窒化ホウ素粒子の断面を得た。この断面を走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM-6010LA)にて倍率5000倍で撮影し、得られた粒子像を画像解析ソフトウェア(マウンテック社製、Mac-View)に取り込んだ。次いで、得られた写真から粒子の長辺(=長径)と短辺(=短径)を測定し長辺短辺比(長辺/短辺)を算出し、粒子100個に対する測定結果を得た。得られた長径短径比より累積分布を作成し、累積相対度数の95%に相当する長径短径比の値を求め、これをアスペクト比とした。
実施例1で作製した六方晶窒化ホウ素粉末の分散液を上述した方法で作製し、粒度分布測定機(日機装社製、MT3300EX型)で六方晶窒化ホウ素粉末の平均粒子径を測定した。水の屈折率には1.33を用い、窒化ホウ素粉末の屈折率は1.80として、一回当たりの測定時間は30秒とした。
実施例1で作製した六方晶窒化ホウ素粉末の比表面積を、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス社製、カンターソーブ)を用いて、BET1点法により測定した。なお測定に際しては、試料1gを300℃、15分間乾燥脱気してから測定に供した。
実施例1で作製した六方晶窒化ホウ素粉末の黒鉛化指数を、高出力粉末X線回折装置(ブルカー・エイエックスエス社製、D8ADVANCE Super Speed)を用いて測定した。六方晶窒化ホウ素粉末を100kNでプレス成形し、10×15×3mmのサンプルを被検体とし、X線源はCuKα線を用い、管電圧は45kV、管電流は360mAの条件とした。
実施例1で作製した六方晶窒化ホウ素粉末の、製造直後、及び長期保管後の水に溶出するホウ素の量は、基本的に「外原規2006」に基づく方法で抽出し、ICP発光分光分析装置で測定した。
即ち、製造直後の六方晶窒化ホウ素粉末2.5gをフッ素系樹脂製ビーカーにとり、エタノール10mLを加えてよくかき混ぜ、更に水40mLを加えてよくかき混ぜた後、フッ素系樹脂製時計皿をのせ、50℃で1時間加温した。冷却後、該ビーカーの内容物をろ過したろ液と、少量の水による残留物の洗液とを合わせた回収液を採取した。
該回収液を、孔径0.22μmのメンブレンフィルターでろ過して「石英」製ビーカーにとり、この中に硫酸(47.5質量%)2mL を加えた。さらにホットプレート上で10分間煮沸し、冷後、この液をポリエチレン製メスフラスコに入れ、更にビーカーを少量の水で洗い、この水洗液も当該ポリエチレン製メスフラスコに移し、さらに水を追加して正確に100mL とし、これを試料溶液とした。試料溶液のホウ素量をICP発光分光分析装置 (島津製作所製、ICPE-9000)で測定した。
実施例1で作製した六方晶窒化ホウ素粉末のタップ密度は、タップ密度測定器(ホソカワミクロン社製、パウダーテスター PT-E型)を用いて測定した。即ち、100cm3の専用容器に六方晶窒化ホウ素粉末を仮充填してから、タッピングタイム180秒、タッピング回数180回、タップリフト18mmの条件で容器をタッピングして衝撃で固めた後に余剰分を擦りきりして測定した、擦りきり後の容器含む全体質量を基に算出した値である。
実施例1で作製した六方晶窒化ホウ素粉末にタルク(ヤマグチマイカ製「EX-15」)、顔料(ヤマグチマイカ製「LY-S」)、マイカ(三信鉱工製「セリサイトFSN」)、流動パラフィン(カネダ製「ハイコールM-352」)を用いて、化粧料(ファンデーション)を作製した。配合量を以下に示す。
(成分) (配合量(質量%))
窒化ホウ素 35.0
タルク 8.0
顔料 8.0
マイカ 35.0
流動パラフィン 14.0
この化粧料について10名の被験者に1ヶ月間使用してもらい、次の評価基準にて評価。
○:塗り伸び良好(3点)
△:塗り伸び普通(2点)
×:塗り伸び不良(1点)
全被験者の評価結果の平均値を求めた。また使用した被験者が気になった点をその他に記載した。なお気になった点がないものについては横線(-)とした。
JIS K 5101-4:2004 顔料試験方法-第4部:隠ぺい力-隠ぺい率試験紙法に準拠して、実施例1で作製した六方晶窒化ホウ素粉末50gを流動パラフィン100gに分散させた後、隠ぺい率試験紙に塗布した。測色色差計(日本電色工業製「ZE 6000」)を用いて、隠ぺい率試験紙の白色部と黒色部との明度比から隠ぺい率を求めた。
実施例1の焼結助剤の出発原料に対する質量割合、焼成温度の最高値、焼成時間を変更して、実施例2~6、比較例1~6の六方晶窒化ホウ素粉末を作製した。
焼結助剤を添加しなかった以外は、実施例1と同じ条件で行い、比較例7の六方晶窒化ホウ素粉末を作製した。
焼結助剤に炭酸カルシウム(関東化学社製、純度99.5質量%以上)を用いた以外は、実施例1又は実施例3と同じ条件で行い、それぞれ比較例8、比較例9の六方晶窒化ホウ素粉末を作製した。
Claims (4)
- アスペクト比(長径/厚さ)が20を超え、かつ平均粒子径が3~20μm、比表面積が1~10m2/g、一次粒子の粉末X線回折法による黒鉛化指数(Graphitization Index)が2.0以下、タップ密度が0.5g/cm3以下であることを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末。
- 前記黒鉛化指数が1.3以下であり、前記平均粒子径が6~18.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
- 医薬部外品原料規格2006に準拠して測定される溶出ホウ素が20mg/L以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の六方晶窒化ホウ素粉末を含む化粧料。
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