JP7005906B2 - 多層樹脂シート、多層樹脂シートの製造方法、多層樹脂シート硬化物、多層樹脂シート積層体、及び多層樹脂シート積層体硬化物 - Google Patents
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Description
<1> 樹脂組成物層と、前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に積層された導電粘着層とを有する、多層樹脂シート。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において各成分の含有率は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において各成分の粒径は、各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、特に断らない限り、当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本明細書において「主面」との語は、層又はシートの厚み方向に対応する2つの面の一方又は両方を示す。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本実施形態の多層樹脂シートは、樹脂組成物層と、樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に積層された導電粘着層とを有する。本実施形態の多層樹脂シートは、必要に応じて、金属層等の他の層を有していてもよい。
なお、導電粘着層の端部輪郭線と樹脂組成物層の端部輪郭線との距離とは、導電粘着層の端部輪郭線上の特定の点を設定したとき、その特定の点と樹脂組成物層の端部輪郭線上の点との間の距離の最小値を意味する。
図2に示す多層樹脂シート10Aでは、樹脂組成物層12の両方の主面に導電粘着層11が積層されており、いずれの導電粘着層11も、端部が樹脂組成物層12の端部よりも内側に位置している。
図3に示す多層樹脂シート10Bでは、樹脂組成物層12の一方の主面に導電粘着層11が積層されており、導電粘着層11の端部が樹脂組成物層12の端部よりも内側に位置している。また、樹脂組成物層12の他方の主面には金属層13が積層されている。
その一方で、沿面距離が長くなると、導電粘着層の主面の面積が小さくなり、熱抵抗が増大する傾向にある。沿面距離は、熱抵抗の観点からは、例えば、最大値が3mm以下であることが好ましく、2.5mm以下であることがより好ましく、2mm以下であることが更に好ましい。
樹脂組成物層は、マトリックス樹脂の少なくとも1種を含有し、必要に応じて、硬化剤、フィラー、及びその他の添加剤を含有していてもよい。
マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましく、熱硬化性樹脂を含有することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。
なお、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量装置(DSC)を用いて測定することができる。
樹脂組成物層は、硬化剤を含有していてもよい。硬化剤としては、ノボラック樹脂、芳香族アミン系硬化剤、脂肪族アミン系硬化剤、メルカプタン系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。これらの硬化剤の中でも、絶縁性及び熱伝導性の観点から、ノボラック樹脂が好ましい。
なお、本明細書において、数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、以下の方法に従い測定する。
-GPC測定-
特定ノボラック樹脂をテトラヒドロフラン(液体クロマトグラフ用)に溶解し、ポリテトラフルオロエチレン製フィルタ(倉敷紡績株式会社、HPLC前処理用、クロマトディスク、型番:13N、孔径:0.45μm)を通して不溶分を除去する。GPC〔ポンプ:L6200 Pump(株式会社日立製作所)、検出器:示差屈折率検出器L3300 RI Monitor(株式会社日立製作所)、カラム:TSKgel-G5000HXL及びTSKgel-G2000HXL(計2本)(いずれも東ソー株式会社)を直列に繋いだもの、カラム温度:30℃、溶離液:テトラヒドロフラン、流速:1.0mL/分、標準物質:ポリスチレン〕を用い、分子量測定で数平均分子量を測定する。
硬化剤が特定ノボラック樹脂を構成するフェノール化合物を含む場合、特定ノボラック樹脂とフェノール化合物との合計に対するフェノール化合物の割合は、例えば、5質量%~60質量%であることが好ましく、10質量%~55質量%であることがより好ましく、15質量%~50質量%であることが更に好ましい。
また、硬化剤の含有量は、マトリックス樹脂に対して当量基準で、0.8~1.2であることが好ましく、0.9~1.1であることがより好ましい。ここで、当量とは反応当量を意味する。マトリックス樹脂がエポキシ基を有する場合、硬化剤としてのノボラック樹脂の当量は、エポキシ基1個に対しフェノール性水酸基1個が反応するものとして計算され、硬化剤としてのアミンの当量は、エポキシ基1個に対しアミノ基の活性水素1個が反応するものとして計算され、硬化剤としての酸無水物の無水酸当量は、エポキシ基1個に対し酸無水物基1個が反応するものとして計算される。
樹脂組成物層は、フィラーを含有していてもよい。フィラーとしては、絶縁性のフィラーが好ましく、具体的には、体積抵抗率が1010Ω・m以上であるフィラーが好ましい。フィラーとしては、アルミナ、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、炭化ケイ素等の粒子が挙げられる。フィラーとしては、熱伝導性の観点から、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、及び炭化ケイ素からなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含有することが好ましく、絶縁性及び熱伝導性を両立する観点から、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、及び結晶性シリカからなる群より選択される少なくとも1種の粒子を含有することがより好ましい。また、体積抵抗率の測定方法としては、それぞれの素材の板状試験片を用いて、JIS K 7194:1994に記載の4端子法にて測定した。この値は物質固有の値であり、形状には依存しないため、粒子状のフィラーであっても板状試験片で測定した値を採用することができる。
樹脂組成物層は、上記成分に加えて、必要に応じてその他の添加剤を含有していてもよい。その他の添加剤としては、硬化触媒、シランカップリング剤、分散剤、相溶化剤、可塑剤、レベリング剤等が挙げられる。
樹脂組成物層は、硬化触媒を含有していてもよい。硬化触媒としては、イミダゾール、トリフェニルホスフィン、これらの化合物に側鎖を導入した誘導体等が挙げられる。これらの硬化触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物層は、シランカップリング剤を含有していてもよい。シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(エポキシプロピルトリメトキシシラン)、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-アニリノプロピルトリエトキシシラン、3-(N,N-ジメチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジブチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(N-メチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-(N-エチル)アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジメチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(N,N-ジエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(N,N-ジブチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(N-メチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、3-(N-エチル)アニリノプロピルトリエトキシシラン、3-(N,N-ジメチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N,N-ジエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N,N-ジブチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N-メチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N-エチル)アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N-(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
樹脂組成物層の平均厚みは、絶縁性及び熱伝導性に応じて適宜選択することができる。樹脂組成物層の平均厚みは、例えば、60μm~260μmであることが好ましく、75μm~240μmであることがより好ましく、90μm~220μmであることが更に好ましい。樹脂組成物層の平均厚みが60μm以上であると、絶縁性がより向上する傾向にあり、樹脂組成物層の平均厚みが260μm以下であると、熱抵抗がより小さくなる傾向にある。
なお、樹脂組成物層の平均厚みは、マイクロメーター(例えば、株式会社ミツトヨ、マイクロメーター IP65)を用いて、9点の厚みを測定し、その算術平均値として算出することができる。
樹脂組成物層の形成方法は特に制限されない。例えば、樹脂組成物を用いて、所望の平均厚みの樹脂組成物層を形成することができる。樹脂組成物は、撹拌器、らいかい器、3本ロール、プラネタリーミキサー、ニーダー、混練機等の装置を適宜組み合わせて、マトリックス樹脂、及び必要に応じて硬化剤、フィラー等を一括又は分割して混合、溶解、解粒混練、又は分散することにより調製することができる。樹脂組成物は、マトリックス樹脂、フィラー等を溶解又は分散するため、必要に応じて有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、シクロヘキサノール等のアルコール溶剤;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド溶剤などが挙げられる。
なお、本明細書においては、樹脂組成物を用いて樹脂組成物層を形成し、必要に応じて乾燥処理を行った状態をAステージと称し、Aステージの樹脂組成物層を更に加熱加圧処理して得られる樹脂組成物層をBステージと称する場合がある。Aステージ及びBステージについては、JIS K6900:1994の規定を参照するものとする。
なお、樹脂組成物層をBステージにすることで、Aステージよりも絶縁厚みが小さくなるため、これを考慮して樹脂組成物層の厚みを設計することが好ましい。
導電粘着層は、導電性及び粘着性を有する層であり、例えば、マトリックス樹脂及びフィラーを含有する。導電粘着層は、必要に応じて硬化剤等を含有していてもよい。
マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂からなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニルスルホン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等が挙げられる。
導電粘着層は、硬化剤を含有していてもよい。硬化剤は、マトリックス樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。導電粘着層が、マトリックス樹脂として分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンを含有する場合、硬化剤としては、分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。
フィラーとしては、導電性のフィラーが好ましく、具体的には、体積抵抗率が102Ω・m以下であるフィラーが好ましい。フィラーとしては、アセチレンブラック、天然黒鉛、人工黒鉛、膨張黒鉛等の黒鉛、銀、銅、ニッケル、酸化亜鉛などの粒子が挙げられる。フィラーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
膨張黒鉛は、例えば、天然黒鉛、人工黒鉛等の原料黒鉛を酸性物質及び酸化剤を含む溶液中に浸漬して黒鉛層間化合物を生成させ、この黒鉛層間化合物を加熱して黒鉛結晶のc軸方向を膨張させることにより作製することができる。得られた膨張黒鉛をロール、プレス等で加圧してシート状に成形し、膨張黒鉛シートを作製した後、この膨張黒鉛シートを粉砕し、必要に応じて分級することにより、膨張黒鉛粒子を得ることができる。
なお、フィラーの体積平均粒径は、樹脂組成物層のフィラーと同様にして測定することができる。
導電粘着層の平均厚みは、密着性及び熱伝導性に応じて適宜選択することができる。導電粘着層の平均厚みは、例えば、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることが更に好ましい。導電粘着層の平均厚みの下限値は特に制限されず、例えば、2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましい。導電粘着層の平均厚みが30μm以下であると、密着性がより向上し、また、熱抵抗がより小さくなる傾向にある。一方、導電粘着層の平均厚みが2μm以上であると、粒径の大きなフィラーが適用可能となり、熱伝導性がより向上する傾向にある。
なお、導電粘着層の平均厚みは、樹脂組成物層と同様にして測定することができる。
導電粘着層の形成方法は特に制限されない。例えば、導電粘着層形成用組成物を用いて、所望の平均厚みの導電粘着層を形成することができる。導電粘着層形成用組成物は、撹拌器、らいかい器、3本ロール、プラネタリーミキサー、ニーダー、混練機等の装置を適宜組み合わせて、マトリックス樹脂、及び必要に応じてフィラー等を一括又は分割して混合、溶解、解粒混練、又は分散することにより調製することができる。導電粘着層形成用組成物は、マトリックス樹脂、フィラー等を溶解又は分散するため、必要に応じて有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤としては、トルエン等が挙げられる。
本実施形態の多層樹脂シートは、樹脂組成物層及び導電粘着層以外に、金属箔、金属板、金属メッシュ等の金属層を有していてもよい。金属層の数及び積層の順序は特に制限されない。但し、被着体との密着性のため、導電粘着層は最外層であることが好ましい。
金属層は、エッチング処理、機械加工、及びめっき処理からなる群より選択される少なくとも1種の形状加工が施されたものであってもよい。これらの加工により、金属層の表面に凹凸又は針状突起を形成することができ、熱伝導性がより向上する傾向にある。
本実施形態の多層樹脂シートの主面は、平坦性に優れることが好ましい。多層樹脂シートの主面が平坦性に優れることで、絶縁性及び熱伝導性がより向上する傾向にある。より具体的に、本実施形態の多層樹脂シートの主面は、面積基準の凹み率が2%以下であることが好ましい。
なお、面積基準の凹み率は、デジタルマイクロスコープ(例えば、株式会社キーエンス、VHX-5000型)を用いて測定可能である。デジタルマイクロスコープを用いて多層樹脂シートの表面を観察し、通常光での測定に加えて、同軸落射及び偏光を組み合わせた測定を行うことにより、凸凹を強調した画像を撮影する。そして、得られた画像の明暗から、全体面積に対する暗所の面積の割合を算出し、凹み率とする。なお、ボイド部分は偏光解消されずに暗所となるため、暗所の面積がボイドの面積に相当する。
本実施形態の多層樹脂シートの製造方法は、樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に導電粘着層を積層して多層樹脂シートを得る積層工程を有する。本実施形態の多層樹脂シートの製造方法は、必要に応じて、他の工程を有していてもよい。
樹脂組成物層と導電粘着層との積層方法は特に制限されず、層同士の界面にボイドが生じ難い方法が好ましい。例えば、樹脂組成物層のシートと導電粘着層のシートとを積層し、ラミネート処理、平面プレス処理、ロールプレス処理等によって貼り合わせてもよい。また、樹脂組成物層上に導電粘着層形成用組成物を塗工し、導電粘着層を形成してもよい。あるいは、導電粘着層上に樹脂組成物を塗工し、樹脂組成物層を形成してもよい。
なお、積層工程では、樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側において、導電粘着層の端部が樹脂組成物層の端部よりも内側に位置するように、樹脂組成物層と導電粘着層とを積層することが好ましい。
本実施形態の多層樹脂シートの製造方法は、積層工程後の多層樹脂シートを加熱加圧する加熱加圧工程を更に有することが好ましい。積層工程後の多層樹脂シートを加熱加圧することにより、絶縁性がより向上する傾向にある。
加熱加圧条件としては、例えば、加熱温度40℃~200℃、圧力0.1MPa~100MPa、及び処理時間0.3分間~30分間の条件が挙げられる。
加熱加圧処理は、常圧下及び減圧下のいずれで行ってもよく、減圧下で行うことが好ましい。減圧条件は、例えば、30000Pa以下であることが好ましく、10000Pa以下であることがより好ましい。
本実施形態の多層樹脂シート硬化物は、前述した本実施形態の多層樹脂シートの硬化物である。本実施形態の多層樹脂シートの樹脂組成物層及び導電粘着層が熱硬化性樹脂を含有する場合、多層樹脂シートを熱処理することで、多層樹脂シート硬化物を製造することができる。
多層樹脂シート硬化物を製造する際の熱処理条件は、多層樹脂シートの構成に応じて適宜選択することができる。熱処理条件は、例えば、120℃~250℃で1分間~300分間の条件が挙げられる。その際、熱処理温度を変えて多段階で熱処理を行ってもよい。
本実施形態の多層樹脂シート積層体は、前述した本実施形態の多層樹脂シートと、多層樹脂シートの少なくとも一方の主面上に配置される被着体と、を有する。多層樹脂シート積層体は、必要に応じてその他の部材を更に有していてもよい。被着体としては、特に制限されず、半導体装置、ヒートシンク等が挙げられる。本実施形態の多層樹脂シート積層体は、被着体として、半導体装置を有することが好ましい。
多層樹脂シート10Cでは、樹脂組成物層12の両方の主面に導電粘着層11が積層されており、パワー半導体装置20側の導電粘着層11の端部が、樹脂組成物層12の端部よりも内側に位置している。
パワー半導体装置20では、パワー半導体素子21が、はんだ層(図示無し)を介して放熱板22に接続されている。放熱板22は、配線部材を介してリードフレーム23と接続されている。パワー半導体素子21の周囲は、封止樹脂24で封止されている。
図4に示す多層樹脂シート積層体100では、パワー半導体素子21を含む発熱体が、多層樹脂シート10Cを介して放熱部材であるヒートシンク30と接触していることで、効率よく放熱が行われる。
多層樹脂シート10Dでは、樹脂組成物層12のヒートシンク30側の主面に導電粘着層11が積層されており、導電粘着層11の端部が、樹脂組成物層12の端部よりも内側に位置している。
図5に示す多層樹脂シート積層体110では、パワー半導体素子21を含む発熱体が、多層樹脂シート10Dを介して放熱部材であるヒートシンク30と接触していることで、効率よく放熱が行われる。
多層樹脂シート10Eでは、樹脂組成物層12のパワー半導体装置20側の主面に導電粘着層11が積層されており、導電粘着層11の端部が、樹脂組成物層12の端部よりも内側に位置している。樹脂組成物層12の他方の主面には金属層13が積層されている。
図6に示す多層樹脂シート積層体120では、パワー半導体素子21を含む発熱体が、多層樹脂シート10E及びグリース40を介して放熱部材であるヒートシンク30と接触していることで、効率よく放熱が行われる。
図7に示す樹脂シート積層体200では、パワー半導体素子21を含む発熱体が、樹脂シート50を介して放熱部材であるヒートシンク30と接触していることで、放熱が行われる。樹脂シート積層体200は、応力を緩和する層が樹脂シート50のみであるため、熱応力が掛かりやすい構成になっているといえる。
本実施形態の多層樹脂シート積層体硬化物は、前述した本実施形態の多層樹脂シート硬化物と、多層樹脂シート硬化物の少なくとも一方の主面上に配置される被着体と、を有する。多層樹脂シート積層体硬化物は、必要に応じてその他の部材を更に有していてもよい。
本実施形態の多層樹脂シート積層体が有する多層樹脂シートの樹脂組成物層及び導電粘着層が熱硬化性樹脂を含有する場合、多層樹脂シート積層体を熱処理することで、多層樹脂シート積層体硬化物を製造することができる。
多層樹脂シート積層体硬化物を製造する際の熱処理条件は、多層樹脂シートの構成に応じて適宜選択することができる。熱処理条件としては、例えば、120℃~250℃で1分間~300分間の条件が挙げられる。その際、熱処理温度を変えて多段階で熱処理を行ってもよい。
(フィラー)
・AA-18:アルミナ粒子、製品名:AA-18、住友化学株式会社、体積平均粒径:18μm、体積抵抗率:>1014Ω・m
・AA-3:アルミナ粒子、製品名:AA-3、住友化学株式会社、体積平均粒径:3μm、体積抵抗率:>1014Ω・m
・AA-04:アルミナ粒子、製品名:AA-04、住友化学株式会社、体積平均粒径:0.4μm、体積抵抗率:>1014Ω・m
・HP:窒化ホウ素粒子、製品名:HP40、水島合金鉄株式会社、体積平均粒径:45μm、体積抵抗率:>1014Ω・m
・BIS-A/F:ビスフェノールA/F混合型エポキシ樹脂、型番:ZX-1059、新日鐵住金株式会社、25℃で液体
・フェノキシ樹脂:ビフェニル型フェノキシ樹脂、型番:YX8100BH30、三菱化学株式会社、固形分量:30%
・CRN:カテコールレゾルシノールノボラック樹脂、数平均分子量:425
・TPP:トリフェニルホスフィン(硬化触媒)、和光純薬工業株式会社
・EPT:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)、製品名:KBM-403、信越化学工業株式会社
・CHN:シクロヘキサノン、和光純薬工業株式会社、1級
・PETフィルム:製品名:A70、帝人デュポンフィルム株式会社、平均厚み:50μm、片面離型処理済み
(フィラー)
・CP:膨張黒鉛粒子、平均粒径:6μm、体積抵抗率:10Ω・m~102Ω・m
・SiR:シリコーン樹脂、製品名:エラストジルRT604A、旭化成ワッカーシリコーン株式会社、Tg:-50℃
・SiRC:シリコーン樹脂の硬化剤、製品名:エラストジルRT604B、旭化成ワッカーシリコーン株式会社
・TOL:トルエン(和光純薬工業株式会社、1級)
・銅箔:製品名:CF-T9D-SV、福田金属箔粉工業株式会社、平均厚み:35μm
窒素雰囲気下でセパラブルフラスコに、フェノール化合物のモノマーとしてレゾルシノール105g、カテコール5g、触媒としてシュウ酸0.11g(対モノマー比0.1%)、及び溶剤としてメタノール15gをそれぞれ量り取った後、内容物を撹拌し、40℃以下になるように油浴で冷却しながらホルマリン30gを加えた。2時間撹拌した後、油浴の温度を100℃にして、加温しながら水及びメタノールを減圧留去した。水及びメタノールが留出しなくなったことを確認した後、CHNをノボラック樹脂の含有率が35%となるように加えて、カテコールレゾルシノールノボラック樹脂(CRN)を得た。
アルミナ粒子(AA-04、AA-3、及びAA-18)をそれぞれ9.55部と、窒化ホウ素粒子(HP)を37.0部と、エポキシ樹脂の硬化剤としてCRNを4.93部と、カップリング剤を0.066部と、CHNを38部とを混合した。均一になったことを確認した後、フェノキシ樹脂を6.62部と、BIS-A/Fを6.70部と、TPPを0.15部とを更に加えて混合した後、3時間~40時間ボールミル粉砕を行って、樹脂組成物を得た。
実施例1で得られた多層樹脂シート1を50mm角に切断したPETフィルムで挟み、熱プレス装置(熱板70℃、圧力10MPa、処理時間5分間)を用いて加熱加圧処理して平坦化した後、PETフィルムを剥離することで、多層樹脂シート2を得た。得られた多層樹脂シート2の平均厚みは136μmであり、樹脂組成物層の平均厚みは96μm、導電粘着層の平均厚みはいずれも20μmであった。
片面が粗面化処理された銅箔を支持体とし、テーブルコーター(テスター産業株式会社)を用いて、銅箔の粗化面上に実施例1と同じ樹脂組成物を塗工した。100℃のボックス型オーブンで5分間乾燥させ、銅箔上にAステージ状態の樹脂組成物層が形成されたAステージシートを形成した。このAステージシートを真空プレス機にて温度150℃、圧力20MPa、8分間の条件でプレスすることで、樹脂シート3を得た。得られた樹脂シート3の平均厚みは137μmであり、樹脂組成物層の平均厚みは102μm、銅箔の平均厚みは35μmであった。
実施例3で得られた多層樹脂シート3を50mm角に切断したPETフィルムで挟み、熱プレス装置(熱板70℃、圧力10MPa、処理時間5分間)を用いて加熱加圧処理して平坦化することで、多層樹脂シート4を得た。得られた多層樹脂シート4の平均厚みは153μmであり、樹脂組成物層の平均厚みは98μm、導電粘着層の平均厚みは20μm、銅箔の平均厚みは35μmであった。
片面が離型処理されたPETフィルムを支持体とし、テーブルコーター(テスター産業株式会社)を用いて、PETフィルムの離型処理面上に実施例1と同じ樹脂組成物を塗工した。100℃のボックス型オーブンで5分間乾燥させ、PETフィルム上にAステージ状態の樹脂組成物層が形成されたAステージシートを形成した。このAステージシートを真空プレス機にて温度150℃、圧力15MPa、8分間の条件でプレスすることで、樹脂シートC1を得た。得られた樹脂シートC1の平均厚みは150μmであり、樹脂組成物層の平均厚みは100μm、PETフィルムの平均厚みは50μmであった。
比較例1で得られた樹脂シートC1のPETフィルムを剥離し、50mm角に切断したPETフィルムで挟み、熱プレス装置(熱板70℃、圧力10MPa、処理時間5分間)を用いて加熱加圧処理して平坦化した後、PETフィルムを剥離することで、樹脂シートC2を得た。得られた樹脂シートC2の平均厚みは96μmであった。
(凹み率の測定)
デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス、VHX-5000型)を用いて、実施例1~4で得られた多層樹脂シート1~4の導電粘着層(多層樹脂シート1及び2については任意に選択した一方の導電粘着層)の表面を観察した。同様に、比較例1及び2で得られた樹脂シートC1及びC2の表面(任意に選択した一方の表面)を観察した。このとき、通常光での測定に加えて、同軸落射及び偏光を組み合わせた測定を行うことにより、凸凹を強調した画像を撮影した。そして、得られた画像の明暗から、全体面積に対する暗所の面積の割合を算出し、凹み率とした。なお、ボイド部分は偏光解消されずに暗所となるため、暗所の面積がボイドの面積に相当する。
実施例1及び2で得られた多層樹脂シート1及び2の両面、比較例1及び2で得られた樹脂シートC1及びC2の両面、並びに実施例3及び4で得られた多層樹脂シート3及び4の導電粘着層側の片面に、30mm×40mmに切断した銅箔(福田金属箔粉工業株式会社、製品名:CF-T9D-SV、平均厚み:18μm)を、常温(25℃)にて0.5MPaの圧力で密着させた。そして、銅箔が密着した箇所から10mm角に切り出すことで評価用基板を作製した。得られた評価用基板を、シリコーングリース(信越化学工業株式会社、製品名:X-22-7868-2D)を介して熱抵抗測定装置(ヤマヨ試験器有限会社、型番:YST-901S)に貼り付け、1MPaの荷重で装置に密着させた。入力電力を13W、評価用基板の温度を50℃、水温を30℃として、評価用基板の両面の温度差ΔTを測定し、下式にて熱抵抗値を測定した。
熱抵抗値(℃/W)=ΔT/(電力量)
実施例1及び2で得られた多層樹脂シート1及び2の両面、比較例1及び2で得られた樹脂シートC1及びC2の両面、並びに実施例3及び4で得られた多層樹脂シート3及び4の導電粘着層側の片面に、30mm×40mmに切断した銅箔(福田金属箔粉工業株式会社、製品名:CF-T9D-SV、平均厚み:18μm)を、常温(25℃)にて0.5MPaの圧力で密着させ、評価用基板を作製した。そして、絶縁破壊試験装置(ヤマヨ試験器有限会社、型番:YST-243-100RHO)を用い、銅箔間に電圧を印加することで、絶縁破壊電圧を測定した。測定条件としては、昇圧方法として、2kVから0.5kVずつ昇圧することとし、それぞれの電圧を15秒間保持した。測定温度は23℃±2℃とし、フロリナート中にて測定を行った。
Claims (13)
- 樹脂組成物層と、前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に積層された導電粘着層とを有し、
前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側において、前記導電粘着層の端部が前記樹脂組成物層の端部よりも内側に位置し、
前記導電粘着層が、フィラーとして、体積平均粒径が30μm以下、体積抵抗率が10 2 Ω・m以下である黒鉛粒子を3~80質量%含有し、
前記導電粘着層の平均厚みが、30μm以下であり、
前記導電粘着層がマトリックス樹脂としてシリコーン樹脂を含み、
前記樹脂組成物層がAステージ又はBステージである、多層樹脂シート。 - 樹脂組成物層と、前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に積層された導電粘着層とを有し、
前記樹脂組成物層の平均厚みが60μm~260μmであり、
前記導電粘着層が、フィラーとして、体積平均粒径が30μm以下、体積抵抗率が10 2 Ω・m以下である黒鉛粒子を3~80質量%含有し、
前記導電粘着層の平均厚みが、30μm以下であり、
前記導電粘着層がマトリックス樹脂としてシリコーン樹脂を含み、
前記樹脂組成物層がAステージ又はBステージである、多層樹脂シート。 - 樹脂組成物層と、前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に積層された導電粘着層とを有し、
前記樹脂組成物層がフィラーを含有し、
前記導電粘着層が、フィラーとして、体積平均粒径が30μm以下、体積抵抗率が10 2 Ω・m以下である黒鉛粒子を3~80質量%含有し、
前記導電粘着層の平均厚みが、30μm以下であり、
前記導電粘着層がマトリックス樹脂としてシリコーン樹脂を含み、
前記樹脂組成物層がAステージ又はBステージである、多層樹脂シート。
多層樹脂シート。 - 前記樹脂組成物層に含有されるフィラーの体積抵抗率が1010Ω・m以上である、請求項3に記載の多層樹脂シート。
- 樹脂組成物層と、前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に積層された導電粘着層とを有し、
前記樹脂組成物層が熱硬化性樹脂を含有し、
前記導電粘着層がフィラーを含有し、
前記導電粘着層が、フィラーとして、体積平均粒径が30μm以下、体積抵抗率が10 2 Ω・m以下である黒鉛粒子を3~80質量%含有し、
前記導電粘着層の平均厚みが、30μm以下であり、
前記導電粘着層がマトリックス樹脂としてシリコーン樹脂を含み、
前記樹脂組成物層がAステージ又はBステージである、多層樹脂シート。 - 前記樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に積層された金属層を更に有する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の多層樹脂シート。
- 樹脂組成物層の少なくとも一方の主面側に導電粘着層を積層して多層樹脂シートを得る積層工程を有する、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の多層樹脂シートの製造方法。
- 前記積層工程後の多層樹脂シートを加熱加圧する加熱加圧工程を更に有する、請求項7に記載の多層樹脂シートの製造方法。
- 請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の多層樹脂シートの硬化物である、多層樹脂シート硬化物。
- 請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の多層樹脂シートと、前記多層樹脂シートの少なくとも一方の主面上に配置される被着体と、を有する、多層樹脂シート積層体。
- 前記被着体が半導体装置を含む、請求項10に記載の多層樹脂シート積層体。
- 請求項9に記載の多層樹脂シート硬化物と、前記多層樹脂シート硬化物の少なくとも一方の主面上に配置される被着体と、を有する、多層樹脂シート積層体硬化物。
- 前記被着体が半導体装置を含む、請求項12に記載の多層樹脂シート積層体硬化物。
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