(セグメント1)
以下、本発明を適用したセグメント1を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明を適用したセグメント1は、図1に示すように、トンネルの軸方向X(トンネル軸方向)及び周方向W(トンネル周方向)に沿って複数組み合わされ、主にシールドトンネル7を地中9に構築するためのものである。
シールドトンネル7は、複数のセグメント1をリング状に相互に連結させて形成されたセグメントリング71を、軸方向Xに沿って複数連結させることで構築される。このため、シールドトンネル7には、軸方向Xに沿って連結された複数のセグメントリング71によって、トンネルの地山側Aと内空側Iとが形成される。これにより、シールドトンネル7は、トンネルの地山側Aからの土圧や水圧に対して、複数のセグメントリング71を抵抗させるものとすることができ、トンネルの内空側Iに内側空間Sを確保することが可能となる。
セグメントリング71は、例えば軸方向Xに沿ってテーパー状のキーセグメント1kを含む複数のセグメント1を用いて形成される。キーセグメント1kは、連結された複数のセグメント1をリング状に完結するために用いられ、一対のセグメント1の間に連結することで、セグメントリング71が形成される。
セグメントリング71は、シールドマシン70を用いて地中9を軸方向Xに沿って掘削し、シールドマシン70の後方(坑口側D)において複数のセグメント1を周方向Wに沿って連結することで形成される。従って、シールドマシン70に最も近いセグメントリング71の切羽側Cの端面21は、作業者によって目視できる状態となっている。上述したシールドマシン70を用いた掘削と、セグメントリング71の形成とを繰り返すことで、シールドトンネル7が構築される。
本発明を適用したセグメント1は、図2に示すように、本体部2と、セグメント継手3と、抜け出し防止装置4とを備える。
本体部2は、周方向Wに延在し、周方向Wと交わり軸方向Xに延在する一対の端面21と、軸方向Xと交わり周方向Wに延在する一対の側面22と、法線方向Y(トンネル法線方向)と交わり軸方向X及び周方向Wと平行な面を有する一対の面20とで構成される6面を備える。本体部2は、例えば軸方向Xの幅が200mm~2,500mm程度であり、トンネルの法線方向Yの厚さが150mm~700mm程度である。
セグメント継手3は、端面21に配置されるほか、例えば側面22に配置されてもよい。即ち、セグメント継手3は、例えば端面21、並びに切羽側C及び坑口側Dの側面22の少なくとも何れかに配置される。セグメント継手3は、一対のセグメント1a、1bを周方向Wに沿って連結するために用いられる。セグメント継手3は、雄側連結部31及び雌側連結部32の少なくとも何れかを有する。なお、一対のセグメント1a、1bがボルトとナットで連結される場合は、ボルトが雄側連結部31、ナットが雌側連結部32となる。
雄側連結部31及び雌側連結部32は、周方向Wに沿って本体部2を連結する。雄側連結部31及び雌側連結部32は、一方を他方に挿入することで、周方向Wに隣接する一方のセグメント1aの端面21と、他方のセグメント1bの端面21とを当接させ、一方のセグメント1aの本体部2と、他方のセグメント1bの本体部2とを連結するためのものである。例えば、一方のセグメント1aに設けられた雌側連結部32に、他方のセグメント1bに設けられた雄側連結部31を軸方向Xに挿入し嵌合させることで(図2の一点鎖線矢印)、一対のセグメント1a、1bを連結させることができる。
例えば、セグメント1の一方の端面21に雄側連結部31が設けられ、他方の端面21に雌側連結部32が設けられるほか、両方の端面21に雄側連結部31のみ、又は雌側連結部32のみが設けられてもよい。なお、雄側連結部31及び雌側連結部32の設けられる数は任意である。
雄側連結部31は、雌側連結部32と嵌合する一端を有する。雄側連結部31は、例えば一端が本体部2から突出し、他端が本体部2に埋設される。一端は、例えば他端よりも厚く、軸方向Xに延びる柱状又は円柱状である。
雌側連結部32は、雄側連結部31の一端と嵌合する形状を有する。雌側連結部32は、例えば本体部2に埋設され、本体部2に形成され雄側連結部31の一端が挿入できる溝部23に連接する。この場合、雄側連結部31は、溝部23を介して雌側連結部32と嵌合される。なお、溝部23は、図2に示すように、軸方向Xに沿って延在するほか、例えば法線方向Yに沿って延在してもよい。雌側連結部32は、例えば軸方向Xに延在する筒状であり、軸方向Xに延在するスリットを有する。
抜け出し防止装置4は、側面22に設けられる。抜け出し防止装置4は、連結された一対のセグメント1a、1bのセグメント継手3の抜け出しを防止するために用いられる。抜け出し防止装置4は、雄側抑止部41及び雌側抑止部42の少なくとも何れかを有する。
なお、図14に示すように、抜け出し防止装置4は、例えば少なくとも軸方向Xにおける切羽側Cの側面22に設けられる。抜け出し防止装置4が切羽側Cの側面22にのみ設けられる場合、セグメント1が抜け出そうとする際において、図15に示すように、セグメント1の継手に設ける組立用の微小な隙間に伴うセグメント1の回転が、セグメント1の本体の坑口側D端部を回転中心として発生する。これは、坑口側Dには組立済みのセグメント1が既に配置されており、切羽側C端部を回転中心として坑口側D端部が開く方向の回転は、これらのセグメント1により拘束されるためである。
このとき、図16に示すように、抜け出し防止装置4の雄側抑止部41と雌側抑止部42とが競ることで抜け出しをより強固に抑止するが、競りによる抜け出し防止力Fは競りによる反力Pの余弦成分となる(F=P×cosφ)。この回転角φは、図16(a)に示すように、回転角φ=tan-1(a/B)(aは、雄側抑止部41と雌側抑止部42とが競るまでの隙間を示し、Bは、セグメント1の幅を示す)で算出される。即ち回転角φは、セグメント幅Bに反比例するものである。このことから、図16(b)に示すように、セグメント幅Bが小さいほど回転角φは大きくなるため、競りによる抜け出し防止力F1は小さくなる。これに対し、図16(c)に示すように、セグメント幅Bが大きいほど回転角φは小さくなることから、競りによる抜け出し防止力F2は大きくなる。
図17は、セグメント幅Bを横軸に示し、縦軸に一般的なセグメント幅Bの上限である2,500mmのときの競りによる抜け出し防止力Fを100%としたときの各セグメント幅Bにおける競りによる抜け出し防止力Fの比率を示したものである。図17に示すように、セグメント幅Bが250mm未満になると競りによる抜け出し防止力Fが大きく減少するため、競りによる抜け出し防止効果を発揮し、工事の安全性をより確実に確保するためには、セグメント幅Bは250mm以上2,500mm以下とすることで本発明の効果が大きく発揮される。
雄側抑止部41及び雌側抑止部42は、切羽側C及び坑口側Dの少なくとも何れかの側面22に、セグメント継手3を挿入する向きに対して反対の向きに、雄側連結部31が雌側連結部32から抜け出すことを防止するためのものである。ここで、「挿入する向き」とは、軸方向X又は法線方向Yにおいて、一方のセグメント1aに他方のセグメント1bを連結するときにおける挿入直前の位置から挿入直後までの向きを示す。例えば図2の場合、他方のセグメント1bが一点鎖線矢印の示す向きに挿入されるため、「挿入する向き」は、軸方向Xにおける切羽側Cから坑口側Dを示す。このとき、「挿入する向きに対して反対の向き」は、軸方向Xにおける坑口側Dから切羽側Cを示す。このため、雄側抑止部41及び雌側抑止部42は、本体部2における坑口側Dから切羽側Cの向きにおける抜け出しを抑止する。なお、例えば「挿入する向き」は、法線方向Yにおける内空側Iから地山側Aを示してもよい。このとき、「挿入する向きに対して反対の向き」は、法線方向Yにおける地山側Aから内空側Iを示す。この場合、雄側抑止部41及び雌側抑止部42は、本体部2における地山側Aから内空側Iの向きにおける抜け出しを抑止する。
例えば、一方のセグメント1aに設けられた雌側抑止部42に、他方のセグメント1bに設けられた雄側抑止部41を係合させることで、セグメント1bの本体部2の挿入向きに対して反対の向きにおける抜け出しを抑止することができる。特に、抜け出し防止装置4を側面22に配置することで、セグメント1の回転等を強固に抑制することができる。
例えば、セグメント1の一方の側面22において、周方向Wの一端部に雄側抑止部41が設けられ、他端部に雌側抑止部42が設けられるほか、両端部に雄側抑止部41のみ、又は雌側抑止部42のみが設けられてもよい。雄側抑止部41及び雌側抑止部42の設けられる数は任意である。
雄側抑止部41は、雌側抑止部42と係合する端部41aを有する。雄側抑止部41は、例えば端部41aが本体部2から突出し、他端が本体部2に埋設される。雄側抑止部41は、例えばL字状又はT字状に形成されてもよい。なお、図2に示すように、端部41aが周方向Wに沿って突出する場合、他端が側面22に埋設されるため、雄側抑止部41は側面22に設けられる。また、雄側抑止部41の他端が側面22に埋設されず、側面22と同一平面上に設けられて周方向Wに突出する場合においても、雄側抑止部41は側面22に設けられる。
雌側抑止部42は、雄側抑止部41と係合する支持部42aを有する。雌側抑止部42は、例えば側面22に形成された溝状であり、溝内に支持部42aが設けられる。雌側抑止部42は、例えば図2のように、周方向Wに沿って側面22から端面21まで延在する溝状でもよい。
本発明を適用したセグメント1には、例えば図3に示すように、少なくとも一対の端面21及び一対の側面22に鋼材5が配置されてもよい。
鋼材5は、本体部2に設けられた雄側連結部31及び雌側連結部32の周辺を切り欠いた状態で設けられるほか、例えば雄側連結部31及び雌側連結部32の少なくとも何れかが、溶接接合等により鋼材5に固定されてもよい。
鋼材5は、本体部2に設けられた雄側抑止部41及び雌側抑止部42の周辺を切り欠いた状態で設けられるほか、例えば雄側抑止部41及び雌側抑止部42の少なくとも何れかが、溶接接合等により鋼材5に固定されてもよい。
鋼材5は、例えば図4に示すように、フランジ5fを有してもよい。フランジ5fは、例えば側面22に配置される鋼材5における法線方向Yの両端部に形成され、軸方向Xに延在する。
本発明を適用したセグメント1は、例えば側面22に配置されたリング継手8を備える。リング継手8は、一対のセグメント1を軸方向Xに沿って連結するために用いられる。
リング継手8は、雄側継手81と、雌側継手82とを有する。雄側継手81及び雌側継手82は、互いに嵌合する形状を有する。例えば、坑口側Dのセグメント1(セグメントリング71)の側面22に設けられた雌側継手82に、切羽側Cのセグメント1の側面22に設けられた雄側継手81を嵌合させることで、軸方向Xに沿った一対のセグメント1を連結させることができる。
雄側継手81は、一端が本体部2から突出し、他端が本体部2に埋設されるほか、例えば他端が溶接接合等により鋼材5に固定されてもよい。雌側継手82は、本体部2に埋設されるほか、例えば溶接接合等により鋼材5に固定されてもよい。
本発明を適用したセグメント1として、上述したセグメント1a、1b(Aピース)のほか、例えば図5に示すように、キーセグメント1k、及びキーセグメント1kと連結されるセグメント1c、1d(Bピース、Cピース)が用いられてもよい。
セグメント1a、1bの両端面21は、軸方向Xに沿って略平行に形成される。これに対し、キーセグメント1kは、軸方向Xに沿ってテーパー状に形成され、キーセグメント1kの両端面21が、軸方向Xに沿って傾斜を有する。また、セグメント1c、1dにおいて、セグメント1a、1bと連結される一方の端面21は、軸方向Xに沿って略平行に形成され、キーセグメント1kと連結される他方の端面21は、軸方向Xに沿って傾斜を有する。
抜け出し防止装置4は、例えば少なくともキーセグメント1kに配置される。キーセグメント1kの両端面21は、軸方向Xに沿って傾斜している。すなわち、キーセグメント1kは、セグメント1c、1dと連結したあとに、トンネルに土水圧が作用することで発生するトンネル周方向軸力が、キーセグメント1kの軸方向Xに沿って傾斜した端面21において、キーセグメント1kの抜け出し方向となる軸方向Xの分力を生み出すことになり、特に大きな抜け出し力が作用することで滑動し、抜け出す可能性が高い。このため、キーセグメント1kの側面22に抜け出し防止装置4を配置することで、キーセグメント1kの本体部2の挿入向きに対して反対の向きにおける抜け出しを抑止することができる。
図18は、キーセグメント1kに作用するトンネル周方向軸力で無次元化した抜け出し力Pと、キーセグメント1kの端面21の傾斜角度θとの関係を表したものである。なお、この関係は、くさびの計算式を用いて導かれ、抜け出し力Pは、トンネル周方向軸力N、傾斜角度θ及び端面21の摩擦係数μにより求められる。シールド工事用標準セグメント(平成13年7月 社団法人日本下水道協会)によれば、一般的な鋼材と鋼材間の摩擦係数は0.3、コンクリートとコンクリート間の摩擦係数は0.5とされており、摩擦係数が十分に大きい場合は、傾斜角度θが小さい領域では抜け出し力Pよりも摩擦力Fが大きいため、抜け出しは発生しない。しかし、通常、キーセグメント1kの組立時においては、端面21には潤滑剤が塗布され、摩擦係数μが通常の1/10程度になることも報告されている。その場合、図18に示すように、キーセグメント1kの傾斜角度θが2度以上の範囲では抜け出し力Pが発生し得る。そのため、特に傾斜角度θが2度以上に設定されるキーセグメント1kに対して抜け出し防止装置4を配置することで、工事の安全性を確実に確保することができる。なお、図5では、キーセグメント1kの側面22に雄側抑止部41が設けられているが、雌側抑止部42が設けられてもよい。
<抜け出し防止装置4の一例>
抜け出し防止装置4は、例えば図6(a)の矢印に示すように、溝状の雌側抑止部42内に雄側抑止部41を移動させることにより、一対のセグメント1a、1bの抜け出しを防止する。なお、図6(a)では、セグメント1bを軸方向Xに沿って移動させる例を示すが、例えばセグメント1bを法線方向Yに沿って移動させるようにしてもよい。
雄側抑止部41の端部41aは、例えば法線方向Yの両側に拡幅された部分を有する。端部41aとして、例えば雄側抑止部41と一体に形成された鋼材等が用いられる。
雌側抑止部42の支持部42aは、例えば溝状の雌側抑止部42における法線方向Yの側面に少なくとも1つ(図6では2つ)設けられる。支持部42aとして、例えばバネ等の弾性体に固定された鋼材等が用いられる。
例えば図6(a)の矢印方向(挿入向き)にセグメント1bを移動させた場合、図6(b)に示すように、端部41aは支持部42aと係合する。これにより、セグメント1bの各本体部2の挿入向きに対して反対の向きにおける抜け出しを抑止することができる。
例えば端部41aにおける法線方向Yの高さにおいて、先端側の高さh1は、基端側(側面22側)の高さh2よりも小さい。また、雌側抑止部42における法線方向Yの両側面に設けられた一対の支持部42aの間の距離において、側面22側の高さh3は、底面側の高さh4よりも大きい。この場合、例えば高さh1が高さh3よりも小さく形成されることで、雄側抑止部41を雌側抑止部42に挿入し易くなり、セグメント1bの移動を円滑に行うことができる。また、例えば高さh2が高さh4よりも大きく形成されることで、雄側抑止部41を雌側抑止部42と係合させ易くなり、セグメント1bの本体部2の挿入向きに対して反対の向きにおける抜け出しを容易に抑止することができる。
端部41aは、例えば周方向Wから見て、基端側から先端側に沿って端部の高さが減少するテーパー状に形成される。また、支持部42aは、例えば周方向Wから見て、底面側から側面22側に沿って支持部42aの間隔が拡大するテーパー状に形成される。これにより、セグメント1bの移動をより円滑に行うことができるとともに、セグメント1bの本体部2の挿入向きに対して反対の向きにおける抜け出しを容易に抑止することができる。
<抜け出し防止装置4の第1変形例>
次に、抜け出し防止装置4の第1変形例について説明する。上述した抜け出し防止装置4と、第1変形例との違いは、雄側抑止部41と雌側抑止部42との係合する位置が異なる点である。なお、上述した内容と同様の構成については、説明を省略する。
雄側抑止部41は、例えば図7に示すように、端部41aの代わりに端面41bを、雌側抑止部42と係合(接着及び粘着を含む)させてもよい。この場合、雌側抑止部42は、例えば底面に設けられた支持部42bにより、端面41bを係合させる。支持部42bとして、例えば接着性若しくは粘着性を有する粘弾性体、又は、マジックテープ(登録商標)等の面状に着脱可能な面ファスナーが用いられる。
例えば図7(b)の矢印方向(挿入向き)にセグメント1bを移動させた場合、図7(c)に示すように、端面41bは支持部42bと係合する。これにより、セグメント1bの本体部2の挿入向きに対して反対の向きにおける抜け出しを抑止することができる。
なお、例えば支持部42bとして一対の脱着部を有する面ファスナーが用いられる場合、例えば支持部42bの一方の脱着部を予め端面41bと係合させた状態で、溝状の雌側抑止部42内に雄側抑止部41を移動させてもよい。この場合においても、雌側抑止部42の底面に他方の脱着部を設けることで、一対の脱着部が当接して固定され、セグメント1bの本体部2の挿入向きに対して反対の向きにおける抜け出しを抑止することができる。
抜け出し防止装置4は、例えば図8に示すように、法線方向Yに沿ってセグメント継手3と近接して配置されてもよい。すなわち、セグメント継手3は、側面22に配置される。この場合、一対のセグメント1a、1bを連結するとき、セグメント継手3の嵌合状態を作業者等が容易に目視確認できる。また、一対のセグメント1a、1bを連結するとき、セグメント継手3の雄側連結部31が、連結先のセグメント1aに接触して損傷を受ける可能性を極めて低くすることができる。
抜け出し防止装置4は、例えば図9に示すように、セグメント継手3と一体に形成されてもよい。雄側抑止部41の端面41bは、雄側連結部31における軸方向Xの坑口側Dの面に設けられる。雌側抑止部42の支持部42bは、溝状に形成された雌側連結部32の底面に設けられる。
例えば図9(b)の矢印方向(挿入向き)にセグメント1bを移動させた場合、図9(c)に示すように、雄側連結部31は雌側連結部32と嵌合するとともに、端面41bは支持部42bと係合する。これにより、セグメント1bの本体部2の挿入向きに対して反対の向きにおける抜け出しを抑止することができる。また、セグメント継手3と抜け出し防止装置4とが別体に形成される場合に比べて、雄側連結部31と雌側連結部32との嵌合、及び、雄側抑止部41と雌側抑止部42との係合を容易に実施することができる。これにより、一対のセグメント1a、1bの連結に費やす時間を削減することが可能となる。
<抜け出し防止装置4の第2変形例>
次に、抜け出し防止装置4の第2変形例について説明する。上述した抜け出し防止装置4と、第2変形例との違いは、雌側抑止部42を有しない点である。このとき、抜け出し防止装置4は、側面22に配置される鋼材5又は鋼製のセグメント継手3に固定される。なお、上述した内容と同様の構成については、説明を省略する。
抜け出し防止装置4は、例えば図10に示すように、雄側抑止部41のみを有してもよい。雄側抑止部41は、セグメント1aの側面22に配置される鋼材5上に設けられる。雄側抑止部41は、例えば鋼材5に固定されたねじ付きスタッド等の軸部材に取り付けられた抑止部材41cを有する。抑止部材41cとして、例えば鋼板等が用いられる。抑止部材41cは、例えば軸部材に螺合され、軸方向Xを軸として回転させることができる。
抑止部材41cは、例えば図10(a)の矢印に示す方向に回転し、突出部32aと一体に設けられた接合部32bからなる雌側連結部32の突出部32aが抑止部材41cと鋼材5との間に挟まれる。これにより、雄側抑止部41は、雌側連結部32と係合する。
接合部32bは、雄側抑止部41が設けられたセグメント1aと連結されるセグメント1b側に設けられ、セグメント1bの側面22に配置される鋼材5に固定される。雌側連結部32は、周方向Wに沿って接合部32bから突出部32aまで延在する。
雄側連結部31は、雄側抑止部41が設けられたセグメント1a側に設けられ、セグメント1aの側面22に配置される鋼材5に固定され、軸方向Xに突出する。例えば図10(b)の軸方向Xにおける上方から下方の向き(挿入向き)にセグメント1bを移動させた場合、雄側連結部31は、雌側連結部32の突出部32a側の軸方向Xに形成された孔32hと嵌合する。これにより、一対のセグメント1a、1bが連結される。
この場合においても、雄側抑止部41は、雌側連結部32と係合することで、セグメント1bの本体部2の挿入向きに対して反対の向きにおける抜け出しを抑止することができる。また、雌側抑止部42を形成する必要が無いため、セグメント1の製造工程数を減少させることが可能となる。
<抜け出し防止装置4の第3変形例>
次に、抜け出し防止装置4の第3変形例について説明する。上述した抜け出し防止装置4の第2変形例と、第3変形例との違いは、雄側抑止部41が一対のセグメント1a、1bを連結したあとに設けられる点である。なお、上述した内容と同様の構成については、説明を省略する。
抜け出し防止装置4は、例えば図11に示すように、一対のセグメント1a、1bを連結したあとに配置され、雄側抑止部41のみを有してもよい。雄側抑止部41は、突出部材41dを有し、突出部材41dとして鋼材等が用いられる。突出部材41dは、例えば図11(d)に示すように、平板の主面と直角方向(図11(d)では軸方向X)に突出する挿通部41e及び当接部41fを有する。挿通部41eは、例えば一対の当接部41fの間に設けられる円柱状部材で、挿通部41e及び当接部41fは平板部材である。
例えば図11(b)の軸方向Xにおける上方から下方の向き(挿入向き)にセグメント1bを移動させた場合、雄側連結部31と、雌側連結部32に形成された孔32hとが嵌合する。これにより、一対のセグメント1a、1bが連結される。この状態で、図11(c)、図11(d)に示すように、挿通部41eが、雄側連結部31の軸方向Xに形成された孔31hに挿通される。このとき、雌側連結部32の突出部32aは、当接部41fと鋼材5との間に挟まれる。これにより、雄側抑止部41は、雌側連結部32と係合する。
この場合においても、雄側抑止部41は、雌側連結部32と係合することで、セグメント1bの本体部2の挿入向きに対して反対の向きにおける抜け出しを抑止することができる。また、雌側抑止部42を形成する必要が無いため、セグメント1の製造工程数を減少させることが可能となる。
<抜け出し防止装置4の第4変形例>
次に、抜け出し防止装置4の第4変形例について説明する。上述した抜け出し防止装置4と、第4変形例との違いは、抜け出し防止装置4が報知部6に近接して設けられる点である。なお、上述した内容と同様の構成については、説明を省略する。
抜け出し防止装置4は、例えば図12に示すように、抜け出し防止装置4の係合状態を判定し、作業者等に報知する報知部6に近接して設けられる。報知部6は、例えば雌側抑止部42内に設けられる。
報知部6は、例えばセンサ部と、制御部と、出力部とを有する。センサ部は、抜け出し防止装置4の係合状態を信号化する。センサ部として、例えば図13に示す接触式センサのほか、電磁波を利用した非接触式センサ等が用いられる。制御部は、センサ部からの信号に基づいて抜け出し防止装置4の係合状態を判定する。出力部は、判定結果を作業者等に報知する。出力部は、例えば無線通信等を介して判定結果を送信し、作業者等の通信端末に判定結果を報知するほか、例えば電気的に接続されたLED等を点灯させ、作業者等に報知してもよい。
報知部6は、例えば図13(a)に示すように、雌側抑止部42の支持部42aと接して設けられてもよい。例えば図13(a)の矢印方向(挿入向き)にセグメント1bを移動させた場合、図13(b)に示すように、報知部6は、雄側抑止部41と雌側抑止部42とに挟まれる。これにより、報知部6は、雄側抑止部41と雌側抑止部42とが係合したと判定し、作業者等に報知する。
本発明を適用したセグメント1によれば、抜け出し防止装置4は、本体部2の側面22に設けられ、セグメント継手3を挿入する向きに対して反対の向きに雄側連結部31が雌側連結部32から抜け出すことを抑止するための雄側抑止部41及び雌側抑止部42の少なくとも一方を備える。このため、抜け出し力によってセグメント1の回転等が発生した場合においても、抜け出し防止装置4が端面21に設けられた場合に比べて回転に抵抗する偶力間の距離を長くとることが可能となり、セグメント1の回転等を強固に抑制することができる。これは、セグメント1の組立にはセグメント1の継手に微小な隙間を設ける必要があるため、セグメント1が抜け出そうとする際には、片側が目開きすることになり、セグメント1が回転する形で抜け出すことになる。その隙間が最も大きくなる側面22に抜け出し防止装置4を設けることによって、競りによる抜け出し抑止効果が大きく現れる。これにより、セグメント1の抜け出しを確実に防止することが可能となり、工事の安全性の向上を実現することができる。
また、本発明を適用したセグメント1によれば、抜け出し防止装置4は、本体部2の側面22に設けられる。本体部2の端面21に抜け出し防止装置4を設ける場合では、連結作業の間、一対のセグメント1の端面21同士の距離が小さく損傷するおそれがある。それに対して、抜け出し防止装置4を側面22に設けることにより、一対のセグメント1を連結するとき、連結する端面21から抜け出し防止装置4を離しておくことができるので、連結先のセグメント1に接触して損傷を受ける可能性を極めて低くすることができる。これにより、一対のセグメント1が連結した後、抜け出し防止装置4を確実に作動させることが可能となり、工事の安全性を向上させることが可能となる。
また、本発明を適用したセグメント1によれば、本体部2の備える6面のうち、少なくとも一対の端面21及び一対の側面22に、鋼材5が配置される。このため、本体部2に作用する抜け出し防止装置4の反力に対し、鋼材5の拘束効果によるコンクリートの補強効果が得られ、より強固にセグメント1の抜け出しを防止することができる。これにより、工事の安全性をさらに向上させることが可能となる。また、一対のセグメント1を連結するとき、本体部2が連結先の抜け出し防止装置4に接触して損傷を受けることを防ぐことができる。これにより、セグメント1の耐久性を向上させることが可能となる。
また、本発明を適用したセグメント1によれば、抜け出し防止装置4は、側面22に配置される鋼材5又は鋼製のセグメント継手3に固定される。このため、抜け出し防止装置4の反力が鋼材5に作用し、より強固にセグメント1の抜け出しを防止することができる。これにより、工事の安全性をさらに向上させることが可能となる。
また、本発明を適用したセグメント1によれば、抜け出し防止装置4は、少なくとも軸方向Xにおける切羽側Cの側面22に設けられる。このため、一対のセグメント1を連結するとき、切羽側Cのセグメントリング71の側面22は未だ組み立てていない隣のセグメントリング71が無いため、抜け出し防止装置4の係合状態を作業者等が容易に目視確認できる。また、一対のセグメント1を連結するとき、切羽側Cの抜け出し防止装置4は連結先のセグメント1の端面21に近接することがないため、抜け出し防止装置4が連結先のセグメント1に接触して損傷を受ける可能性をさらに低下することができ、一対のセグメント1が連結した後、抜け出し防止装置4を確実に作動させることが可能となる。これにより、工事の安全性をさらに向上させることが可能となる。
また、本発明を適用したセグメント1によれば、セグメント継手3は、切羽側C及び坑口側Dの側面22に配置される。このため、一対のセグメント1を連結するとき、セグメント継手3の嵌合状態を作業者等が容易に目視確認できる。これにより、工事の安全性をさらに向上させることが可能となる。また、一対のセグメント1を連結するとき、セグメント継手3が連結先のセグメント1に接触して損傷を受ける可能性を極めて低くすることができる。これにより、セグメント継手3の耐久性を向上させることが可能となる。
また、本発明を適用したセグメント1によれば、特に第4変形例における抜け出し防止装置4は、報知部6に近接して設けられる。このため、一対のセグメント1を連結するとき、セグメント1から離れた場所に待機する作業者等が、抜け出し防止装置4の係合状態を容易に確認できる。これにより、工事の安全性をさらに向上させることが可能となる。
また、本発明を適用したセグメント1によれば、抜け出し防止装置4は、少なくともキーセグメント1kに設けられる。キーセグメント1kでは、トンネルに土水圧が作用することで発生するトンネル周方向軸力が、キーセグメント1kの軸方向Xに傾斜した端面21において、キーセグメント1kの抜け出し方向となるトンネル軸方向分力を生み出すことになり、特に大きな抜け出し力が発生しやすい。一方、抜け出し防止装置4が軸方向Xに傾斜したテーパー状の端面21に設けられた場合に比べて、抜け出し防止装置4の反力が直角かつ単純に本体部2へ作用する。これらにより、より大きな抜け出し力に対してより強固にセグメント1の抜け出しを防止することが可能となり、工事の安全性を大きく向上させることが可能となる。また、キーセグメント1kの挿入時には、キーセグメント1kの両端面21が連結先のセグメント1に極めて近接するため、抜け出し防止装置4が端面21に設けられた場合に比べて、抜け出し防止装置4が連結先のセグメント1に接触して損傷を受ける可能性を飛躍的に低くすることが可能となり、工事の安全性を大きく向上させることが可能となる。また、例えば抜け出し防止装置4をキーセグメント1kのみに設けることで、工事の安全性を向上させたうえで、材料費の削減が可能となる。
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、上述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。