JP7007666B2 - 発光体及び発光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発光体及び発光体の製造方法に関する。
シンチレータ等の発光体は、ガンマ線、X線、α線、β線、中性子線等を検出するフォトン検出器或いは放射線検出器に用いられる。これら検出器は、陽電子放射断層撮影(PET)装置やX線CT等の医療画像装置、高エネルギー物理用の各種放射線計測装置、資源探査装置等への幅広い応用が期待される。
これら検出器に用いられる発光体の一例として、例えば特許文献1に示すガーネット構造を有する発光体が開示されている。
特許文献1には、Ce3+の4f5d準位からの発光を用いたガーネット構造を持つ発光体及びその製法が開示されている。発光体は、一般式CexRE3-xM5+yO12+3y/2(但し、0.0001≦x≦0.3、0≦y≦0.5或いは0≦y≦-0.5、MはAl、Lu、Ga、Scから選ばれた1種又は2種以上、及びREはLa、Pr、Gd、Tb、Yb、Y、Luから選ばれた1種または2種以上である)で表されるガーネット構造を有する。またその発光体の製法として、チョクラルスキー(CZ:Czochralski)法やEFG(Edge-defined Film-fed. Growth)法が開示されている。
また、これらの発光体を高エネルギー物理検出器用途に使用する際、特性として20放射長が望まれている事が、例えば非特許文献1に開示されている。
国際公開第2015/166999号
M. Niiyama、「Hadron physics with GeV photons at SPring-8/LEPS II」、2014、EPJ Web of Conferences 73、08001、p.3
しかしCZ法では原料の融液に対する結晶化率が低く、発光体の量産には適さなかった。更に、融液中の対流による原子の拡散で、結晶成長が進行するに伴い高濃度の融液が残り、成長形成される発光体の結晶組成に変動が生じていた。例えば、発光中心元素となるCeの偏析係数は0.05~0.3程度と小さく、結晶成長に従いCe濃度が上昇し、結晶引き上げ方向で発光量の変動が生じて、発光体の歩留まり低下を招いていた。
また前記20放射長と云う特性を有する発光体を、EFG法に於いて如何にして作製するかと云う具体的な技術内容の開示は無く、未だ実現されてもいない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、長手方向に亘って均一な発光量で発光させることが可能となり、20放射長と云う特性を実現出来る発光体とその製造方法を提供する。
前記課題は、以下の本発明により解決される。即ち本発明の発光体の製造方法は、坩堝をMo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種で形成し、スリットを有すると共に、幅方向が平行に配置されたダイを坩堝に収容し、雰囲気ガスにアルゴンガスを用い、カーボン製のヒータと断熱材を用いると共に、断熱材で、坩堝とヒータとダイを取り囲み、坩堝に発光体の原料を投入してヒータで加熱し、発光体の原料を坩堝内で溶融して融液を用意し、スリットを介してスリット上部に融液溜まりを形成し、そのスリット上部の融液に種結晶を接触させて種結晶を引き上げることで、単結晶から成り、主面と280mm以上の長手方向の寸法を有し、Mo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種の原子を、5000ppm以下(但し0ppmは含まない)含有している発光体を成長させる事を特徴とする。
本発明の発光体の製造方法の一実施形態は、組成式が(Ce,Mg)xR3-xM5O12(但し、0.0001≦x≦0.3、RはLa, Pr, Gd, Tb, Yb, Y, Luから選ばれた1種以上、MはAl, Lu, Ga, Scから選ばれた1種以上である)で表されるガーネット構造を発光体が有し、Ce又はMgの少なくとも1種が長手方向に分布している事が好ましい。
本発明に係る発光体及び発光体の製造方法に依れば、発光体をその長手方向に亘って、均一な発光量で発光させる事が出来る。従って、20放射長の特性を実現する事が可能となる。
更に、本発明では発光体の組成式を(Ce,Mg)xR3-xM5O12(但し、0.0001≦x≦0.3、RはLa, Pr, Gd, Tb, Yb, Y, Luから選ばれた1種以上、MはAl, Lu, Ga, Scから選ばれた1種以上である)とし、EFG法で成長させる事でCe又はMgの少なくとも1種を発光体の長手方向に分布させると共に、発光体の製造時に使用する坩堝の形成材料をMo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種とし、それら形成材料の原子を5000ppm以下(但し0ppmは含まない)で発光体に含有させる。このような組成や原子含有量の設定により、均一な発光量で発光して20放射長の特性が実現可能な発光体を、EFG法により製造する事が出来る。
本発明の実施形態及び実施例に係る発光体を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施形態及び実施例に係る、EFG法による発光体の製造装置を概略して模式的に示す構成図である。 (a)本発明の実施形態及び実施例に係る、ダイの一例を模式的に示す平面図である。(b)同図(a)の正面図である。(c)同図(a)の側面図である。 本発明の実施形態及び実施例に係る種結晶の一例を示す説明図である。 本発明の実施形態及び実施例における、種結晶と仕切り板との位置関係を模式的に示す斜視図である。 (a)本発明の実施形態及び実施例における、種結晶と仕切り板との位置関係を模式的に示す正面図である。(b)本発明の実施形態及び実施例における、種結晶の一部を溶融する様子を示す正面図である。 本発明の実施形態及び実施例において、発光体が成長する様子を模式的に示す斜視図である。 EFG法により得られる、本発明の実施形態及び実施例に係る複数の発光体を部分的且つ模式的に示す斜視図である。
本実施の形態の第一の特徴は、単結晶から成り、長手方向の寸法を有し、その寸法が280mm以上である発光体としたことである。
第二の特徴は、組成式が(Ce,Mg)xR3-xM5O12(但し、0.0001≦x≦0.3、RはLa, Pr, Gd, Tb, Yb, Y, Luから選ばれた1種以上、MはAl, Lu, Ga, Scから選ばれた1種以上である)で表されるガーネット構造を有し、Ce又はMgの少なくとも1種が、長手方向に分布している発光体としたことである。
第三の特徴は、Mo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種の原子を、5000ppm以下(但し0ppmは含まない)含有している発光体としたことである。
第四の特徴は、坩堝をMo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種で形成し、スリットを有すると共に、幅方向が平行に配置されたダイを坩堝に収容し、雰囲気ガスにアルゴンガスを用い、カーボン製のヒータと断熱材を用いると共に、断熱材で、坩堝とヒータとダイを取り囲み、坩堝に発光体の原料を投入してヒータで加熱し、発光体の原料を坩堝内で溶融して融液を用意し、スリットを介してスリット上部に融液溜まりを形成し、そのスリット上部の融液に種結晶を接触させて種結晶を引き上げることで、単結晶から成り、主面と280mm以上の長手方向の寸法を有し、Mo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種の原子を、5000ppm以下(但し0ppmは含まない)含有している発光体を成長させる発光体の製造方法としたことである。
第五の特徴は、組成式が(Ce,Mg)xR3-xM5O12(但し、0.0001≦x≦0.3、RはLa, Pr, Gd, Tb, Yb, Y, Luから選ばれた1種以上、MはAl, Lu, Ga, Scから選ばれた1種以上である)で表されるガーネット構造を発光体が有し、Ce又はMgの少なくとも1種が、長手方向に分布している発光体の製造方法としたことである。
これらの発光体及び発光体の製造方法に依れば、発光体をその長手方向に亘って均一な発光量で発光させる事が出来る。従って、20放射長の特性を実現する事が可能となる。
なお本発明において均一な発光量とは、発光体の長手方向の全長に亘る発光量の変動が±10%の範囲内の状態を指す。
の特徴は、発光体がAs-grown単結晶である発光体及び発光体の製造方法としたことである。
これらの発光体及び発光体の製造方法に依れば、長手方向に280mm以上の寸法を有するように発光体を結晶成長させると共に、研削または研磨などの表面加工を施す必要が無いので、発光体の表面加工の工程削減が達成出来る。更に、発光体に於ける研削代又は研磨代が不要となるので、原料に対する結晶化率の向上と、量産性への適応、及び発光体の歩留まり向上が可能となる。
なお本発明においてAs-grown単結晶とは、結晶成長された状態のままで研削または研磨などの表面加工が施こされていない単結晶を指す。
以下、図1を参照して本実施形態に係る発光体を説明する。本発明における発光体2は、図1に示すように長手方向(長さL方向)の寸法を有し、平面方向の形状が長方形であり、具体的な寸法として幅Wが10mm程度、厚さTが2mm程度、前記長手方向の寸法である長さLが280mm以上のサイズの単結晶から成る。幅Wが10mm程度及び厚さT=2mm程度が、放射線検出器用として汎用性が高く、結晶成長後の研磨代を皆無とする事が出来るため、望ましい。なお長さLの上限値は特に無く、任意に設定可能であるが、放射線検出器用途の場合、放射線のエネルギーが高ければ高いほど必要な長さは長くなる。例えば8GeVの放射線を吸収する場合20放射長で280mm程度が目安となる。
本発明の実施の形態の発光体2は、組成式が(Ce,Mg)xR3-xM5O12(但し、0.0001≦x≦0.3、RはLa, Pr, Gd, Tb, Yb, Y, Luから選ばれた1種以上、MはAl, Lu, Ga, Scから選ばれた1種以上である)で表されるガーネット構造を有する。更に、Ce又はMgの少なくとも1種が、長手方向に分布している。
更に発光体2は、Mo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種の原子を、5000ppm以下(但し0ppmは含まない)含有している。
このような組成や原子含有量の設定により、254nm~365nmの紫外線領域の光が照射された時に、発光体2はCe3+の4f5d準位からの発光が可能となる。更に発光体2は、前記組成や原子含有量の設定により、発光体2をその長手方向に亘って、均一な発光量で発光させる事が出来る。
更に、長さLを280mm以上に長大化して設定しても、その長さLに亘って20放射長の特性を実現する事が出来る。
なお本発明において、均一な発光量とは、発光体2の長手方向の全長(長さL)に亘る発光量の変動が±10%の範囲内である状態を指す。この状態となるように、Ce又はMgの1種又は2種と、5000ppm以下(但し0ppmは含まない)のMo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種の原子とを、長手方向に亘って分布させる。
Mo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種の原子の含有量が5000ppmを超えたり、Ce又はMgと、Mo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種の原子の長手方向の分布が偏って長さLに亘る発光量の変動が±10%の範囲未満又は範囲を超えると、280mm以上と云う長大な長さLに亘って均一な発光量が得られなくなる。従って、20放射長の特性も実現不可能となる。
更に発光体2は、As-grown単結晶である事が好ましい。As-grown単結晶とは、結晶成長された状態のままで研削または研磨などの表面加工が施こされていない単結晶を指す。発光体2をAs-grown単結晶で形成する事により、長手方向に280mm以上の寸法を有するように結晶成長させた発光体2に、研削または研磨などの表面加工を施す必要が無いので、発光体2の表面加工の工程削減が達成出来る。更に、発光体2に於ける研削代又は研磨代が不要となるので、原料に対する結晶化率の向上と、量産性への適応、及び発光体2の歩留まり向上が可能となる。また発光体2は、所望の主面2aを有する
発光体2が使用される放射線検査装置としては、資源探査用検出器、高エネルギー物理用検出器、環境放射能検出器、ガンマカメラや医用画像処理装置等が挙げられる。医用画像処理装置の例としては、陽電子放射断層撮影(PET)装置、X線CT、SPECT、PEM装置などの用途が好適である。PETの態様としては、二次元型、三次元型、タイム・オブ・フライト(TOF)型、深さ検出(DOI)型が好ましい。更に、これらを組み合わせて使用しても構わない。また、発光体2は大型ハドロン衝突型加速器や熱量計にも使用可能である。
次に、本発明の実施形態に係る発光体2の製造装置について、図2から図8を参照しながら説明する。なお、前記発光体2の説明と重複する箇所や内容に関しては、説明を簡略化又は省略する。
図2に示すように、発光体の製造装置1は、発光体2を育成する育成容器3と、育成した発光体2を引き上げる引き上げ容器4とから構成され、EFG法により発光体2を育成成長する。
育成容器3は、坩堝5、坩堝駆動部6、ヒータ7、電極8、ダイ9、及び断熱材10を備える。坩堝5はMo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種以上で形成する。これら材料の中でもMoがCr等の不純物をICP分析レベル以下まで低減出来る為、好ましい。この坩堝5の中で原料を溶融する。坩堝駆動部6は、坩堝5をその鉛直方向を軸として回転させる。ヒータ7は坩堝5を加熱する。また、電極8はヒータ7を通電する。ダイ9は坩堝5内に設置され、発光体2を引き上げる際の融液21の液面形状を決定する。また断熱材10は、坩堝5とヒータ7とダイ9を取り囲んでいる。ヒータ7及び断熱材10は、共にカーボン製とする。
更に育成容器3は、雰囲気ガス導入口11と排気口12を備える。雰囲気ガス導入口11は、雰囲気ガスとしてアルゴンガスを育成容器3内に導入するための導入口であり、坩堝5やヒータ7、及びダイ9の酸化消耗を防止する。一方、排気口12は育成容器3内を排気するために備えられる。
引き上げ容器4は、シャフト13、シャフト駆動部14、ゲートバルブ15、及び基板出入口16を備え、種結晶17から育成成長した複数の平板形状の発光体2を引き上げる。シャフト13は種結晶17を保持する。またシャフト駆動部14は、シャフト13を坩堝5に向けて昇降させると共に、その昇降方向を軸としてシャフト13を回転させる。ゲートバルブ15は育成容器3と引き上げ容器4とを仕切る。また基板出入口16は、種結晶17を出し入れする。
なお製造装置1は図示されない制御部も有しており、この制御部により坩堝駆動部6及びシャフト駆動部14の回転を制御する。
ダイ9はMo製であり、図3に示すように多数の仕切り板18を有する。図3ではダイの一例として、仕切り板18が30枚であり、ダイ9が15個形成されている場合を示している。仕切り板18は同一の平板形状を有し、微小間隙(スリット)19を形成するように互いに平行に配置されて、1つのダイ9を形成している。スリット19は、ダイ9のほぼ全幅に亘って設けられる。また複数のダイ9は同一形状を有すると共に、その幅方向が互いに平行となるように所定の間隔で並列に配置されているため、複数のスリット19が設けられることとなる。各仕切り板18の上部は斜面30が形成されており、互いの斜面30が外側に向くように配置されることで開口部20が形成されている。またスリット19は融液21を毛細管現象によって、各ダイ9の下端から開口部20に上昇させる役割を有している。
ダイ9の幅WDは、前記発光体2の幅Wに合わせて設定される。本実施形態ではW値よりWD=10mmと設定する。スリットの幅TSは、発光体2の厚さT以下に設定する
坩堝5内に投入される原料は、坩堝5の温度上昇に基づいて溶融(原料メルト)し、融液21となる。原料は、発光体2の組成式で表される原子を含む化合物である。出発原料として、酸化物原料が使用可能であるが、発光体2をシンチレータ用単結晶として使用する場合、99.99%以上(4N以上)の高純度原料を用いることが特に好ましい。製造の際には、これらの出発原料を、融液21形成時に目的組成となるように秤量、混合したものを用いる。これらの原料は、目的とする組成以外の不純物が極力少ない(例えば1ppm以下)ものが特に好ましい。
この融液21の一部は、ダイ9のスリット19に侵入し、前記のように毛細管現象に基づいてスリット19内を上昇し開口部20から露出して、開口部20で融液溜まり22(図6(b)参照)が形成される。EFG法では、融液溜まり22で形成される融液面の形状に従って、発光体2が成長する。図3に示したダイ9では、融液面の形状は細長い長方形となるので、平板形状の発光体2が製造される。
次に、種結晶17について説明する。図2、図4~図6に示すように本実施形態では、種結晶17としては、発光体2の組成と同等ないしは近いものを使用することが好ましい。具体的には、組成式が(Ce,Mg)xR3-xM5O12(但し、0.0001≦x≦0.3、RはLa, Pr, Gd, Tb, Yb, Y, Luから選ばれた1種以上、MはAl, Lu, Ga, Scから選ばれた1種以上である)で表されるガーネット構造を有し、Ce又はMgの少なくとも1種を含む単結晶を種結晶17とする。
種結晶17としては、平板形状の基板を用いる。更に、種結晶17の平面方向とダイ9の幅方向は、互いに90°の角度で以て直交となるように、種結晶17が配置される。また、種結晶17と発光体2も90°の角度で以て直交するので、図2では発光体2の側面を示している。種結晶17の平面方向と仕切り板18の幅方向との位置関係を垂直にする(種結晶17を仕切り板18と交叉させる)ことにより、融液21と種結晶17との接触面積を最小にすることが可能となる。従って、種結晶17の接触部分が融液21と馴染み易くなり、発光体2での結晶欠陥の発生が低減又は解消される。
また種結晶17は、基板保持具に確実に固定出来る基板形状とする。
次に、前記製造装置1を使用した発光体2の製造方法を説明する。最初に発光体2の原料粉末(純度99.99%)をダイ9が収納された坩堝5に所定量投入して充填する。
続いて、坩堝5やヒータ7若しくはダイ9を酸化消耗させないために、育成容器3内をアルゴンガスで置換し、酸素濃度を所定値以下とする。
次に、ヒータ7で加熱して坩堝5を所定の温度とし、原料粉末を溶融する。発光体2の原料の融点は2000℃以上(2150℃程度)なので、坩堝5の加熱温度はその融点以上の温度に設定する。加熱後しばらくすると原料粉末が溶融して、融液21が用意される。更に融液21の一部はダイ9のスリット19を毛細管現象により上昇してダイ9の表面に達し、スリット19上部に融液溜まり22が形成される。
次に図5及び図6に示すように、スリット19上部の融液溜まり22の幅方向に対して垂直な角度に種結晶17を保持しつつ降下させ、種結晶17を融液溜まり22の融液面に接触させる。なお、種結晶17は、予め基板出入口16から引き上げ容器4内に導入しておく。図5ではスリット19や開口部20の見易さを優先するため、融液21と融液溜まり22の図示を省略している。
図5は、種結晶17と仕切り板18との位置関係を示した図である。前記の通り、種結晶17の平面方向を仕切り板18の幅方向と直交させることにより、種結晶17と融液21との接触面積を小さくすることが可能となる。従って、種結晶17の接触部分が融液21となじみ、育成成長される発光体2に結晶欠陥が生じにくくなる。よって、発光体2の歩留まりを向上させることが出来る。
種結晶17を融液面に接触させる際に、種結晶17の下部を仕切り板18の上部に接触させて溶融しても良い。図6(b)は、種結晶17の一部を溶融する様子を示した図である。このように種結晶17の一部を溶融することで、種結晶17と融液21との温度差を速やかに解消ことができ、発光体2での結晶欠陥の発生を更に低減することが可能となる。
続いてシャフト13により基板保持具を所定の上昇速度で引き上げて、種結晶17の引き上げを開始し、図7に示すように発光体2を形成する。図7は発光体2が成長する様子を示した説明図である。以上によりダイ9の幅WD(即ち、発光体2の幅W)で以て発光体2を成長させ、発光体2を所定の速度で所定の長さ(長さL)まで引き上げて、平板形状の発光体2を得る。
この後、得られた発光体2を冷却し、ゲートバルブ15を空け、引き上げ容器4側に移動して、基板出入口16から取り出す。得られた平板形状の発光体2の外観を図8に示す。
なお、発光体2は、図2、図5~図8に示すように共通の種結晶17から同時に複数結晶成長させることが、一枚当たりの発光体2の製造コストを下げることが可能となり好ましい。同時に複数の発光体2を製造する際は、複数のダイ9を坩堝5に収容すると共に、各ダイ9の各々の幅方向を平行に配置する。種結晶17を引き上げることで、所望の主面2aと長手方向の寸法Lを有し、複数の発光体2をAs-grown単結晶として作製することが可能となる。
種結晶17、及び仕切り板18を含めたダイ9は、精密に位置決めする必要がある。よって図2に示したように製造装置1は、ダイ9を設置する坩堝5を回転する坩堝駆動部6、及びその回転を制御する制御部(図示せず)が設けられている。またシャフト13に関しても、シャフト13を回転するシャフト駆動部14、及びその回転を制御する制御部(図示せず)が設けられている。即ち、ダイ9に対する種結晶17の位置決めは、制御部によりシャフト13又は坩堝5を回転させて調整する。
なお、種結晶17の結晶面28を任意に設定することで、発光体2の主面2aの面方向も任意に変更することが可能となる。
発光体2の引き上げ速度は、種結晶17の引き上げ開始による結晶成長開示時から、所望の長さLで以て結晶成長が終了するまでの間、一定に設定することが幅W/厚さTの変動比が抑えられるので好ましい。
本発明では、坩堝5の形成材料をMo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種とする事で、EFG法による発光体2の引き上げ成長を行いながら、坩堝5から融液21を介してそのまま発光体2にMo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種の原子を含有させる事が出来る。但し、含有量は前記の通り5000ppm以下(但し0ppmは含まない)とする必要がある。
そこで本発明では、雰囲気ガスにアルゴンガスを用いると共に、ヒータ7と断熱材10を共にカーボン製とした。このような構成により、育成容器3内の雰囲気が還元性となり、雰囲気と坩堝5形成材料との反応が抑えられ、発光体2への坩堝5形成材料の含有量も抑制可能となる事を、本出願人は検証の末、見出した。本発明ではEFG法を採用しているので、融液21は毛細管現象によりスリット19を介して各ダイ9の下端から開口部20まで上昇される。本発明では更に雰囲気と坩堝5形成材料との反応を抑えた状態で、スリット19を介して薄く融液21を上昇して供給しているので、融液溜まり22を常に均一な組成と濃度で形成する事が可能となる。よって、融液溜まり22からの引き上げ成長により、5000ppm以下と云う含有量と、長さLに亘る均一な発光量の形成が実現可能となった。更にCe又はMgに関しても、融液溜まり22の均一な組成と濃度形成により、前記長手方向での均一な発光量の形成が図れる。
その検証過程に於いて雰囲気ガスを窒素雰囲気としたEFG法により検証も行った。しかしこの場合は例えばMoと窒素が反応してしまい、その反応により発光体2への坩堝5形成材料の含有が促進された。その結果、発光体2へのMo含有量が5000ppmを超えてしまい、20放射長の特性が実現出来なかった。
更に、発光体2の組成式を(Ce,Mg)xR3-xM5O12(但し、0.0001≦x≦0.3、RはLa, Pr, Gd, Tb, Yb, Y, Luから選ばれた1種以上、MはAl, Lu, Ga, Scから選ばれた1種以上である)とし、EFG法で成長させる事でCe又はMgの少なくとも1種を発光体2の長手方向に分布させると共に、発光体2の製造時に使用する坩堝5の形成材料をMo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種とし、それら形成材料の原子を5000ppm以下(但し0ppmは含まない)で発光体2に含有させる。このような組成や原子含有量の設定により、均一な発光量で発光して20放射長の特性が実現可能な発光体2を、EFG法により製造する事が出来る。
更に、前記組成や原子含有量の設定により、発光体2は発光量60000フォトン/MeV未満の特性も実現する事が可能となる。
なお本発明は、前述の実施形態に限定するものでは無く、その技術的思想の範囲から逸脱しない範囲の構成による変更が可能である。
以下に本発明に係る各実施例を説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
以下、本発明に係る実施例1及び実施例2の発光体とその製造方法を説明する。本実施例に係る発光体の製造装置として、図2に示すEFG法による製造装置1を用いた。坩堝5の形成材料はMo製とし、雰囲気ガスにアルゴンガスを用いると共に、ヒータ7と断熱材10を共にカーボン製とした。
引き上げ成長させる発光体は単結晶でその組成式は、実施例1と実施例2で共にCe0.05Lu2.95Al5O12とし、EFG法で引き上げ成長させる事でCeを発光体の長手方向(長さL方向)に亘って分布させた。
発光体は、図1に示すように長手方向の寸法を有し、平面方向の形状を長方形とした。幅Wは実施例1が10mmに設定すると共に、実施例2は8mmとした。厚さTは実施例1が2mmに設定すると共に、実施例2は8mmとした。更に長さLは、2つの実施例で共に280mmに設定した。
引き上げた成長させた後の発光体には、何れも研削または研磨などの表面加工は施さず、As-grown単結晶とし、Mo含有量を測定した。Mo含有量の測定は、ICP-AESにより行った。その結果、実施例1は221ppm、実施例2は13ppmであった。
一方比較例1及び比較例2として、図2に示すEFG法による製造装置1を用いて、発光体を作製した。2つの比較例が前記各実施例と異なる点は、雰囲気ガスを窒素雰囲気とした点のみであり、その他では比較例1は実施例1と同一とし、比較例2は実施例2と同一とした。引き上げた成長させた発光体のMo含有量を測定した結果、比較例1は5005ppm、比較例2は5011ppmであった。
各実施例1、2及び各比較例1、2の発光体に、共に254nm~365nmの紫外線領域の光を照射して、20放射長の特性の実現有無を確認した。その結果、実施例1及び2では20放射長が達成されている事が確認された。一方、比較例1及び2では20放射長が達成されていない事が確認された。
次に、本発明に係る実施例3の発光体とその製造方法を説明する。実施例3に係る発光体の製造装置として、図2に示すEFG法による製造装置1を用いた。坩堝5の形成材料はMo製とし、雰囲気ガスにアルゴンガスを用いると共に、ヒータ7と断熱材10を共にカーボン製とした。
引き上げ成長させる発光体は単結晶でその組成式は、Mg0.0006Ce0.0294Lu2.97Al5O12とし、EFG法で引き上げ成長させる事でMgとCeを発光体の長手方向(長さL方向)に亘って分布させた。
発光体は、図1に示すように長手方向の寸法を有し、平面方向の形状を長方形とした。幅Wは10mm、厚さTは2mm、長さLは300mmに設定した。
引き上げた成長させた後の発光体には、研削または研磨などの表面加工は施さず、As-grown単結晶とした。
一方比較例3として、CZ(Czochralski)法により単結晶から成る発光体を作製した。比較例3が実施例3と異なる点は、発光体の作製方法がEFG法かCZ法かという点であり、発光体の組成式や幅W,厚さT,長さLは同一とした。
実施例3及び比較例3の発光体に、共に254nm~365nmの紫外線領域の光を照射して、長さLに亘る発光量(フォトン/MeV)の変動を確認した。同時に、長さLに亘るCe濃度(mol%)及びMg濃度(mol%)の変動もICP-AESにより確認した。
その結果、どちらの発光体も長さL=300mmに亘って、発光量60000フォトン/MeV未満の特性を有する事が確認された。しかしながら、比較例3では、発光体端部からL=10mm部分での発光量30000フォトン/MeV、L=100mm部分での発光量27000フォトン/MeV、L=200mm部分での発光量15000フォトン/MeV、L=300mm部分での発光量9000フォトン/MeVであった。以上の結果から、比較例3では発光体の長手方向の全長に亘る発光量の変動が±10%の範囲内に収まらず、長手方向に亘って均一な発光量が実現できていない事が確認された。
一方、実施例3では発光体端部からL=10mm部分での発光量30500フォトン/MeV、L=100mm部分での発光量30200フォトン/MeV、L=200mm部分での発光量29500フォトン/MeV、L=300mm部分での発光量30400フォトン/MeVであった。以上の結果から、実施例3では発光体の長手方向の全長に亘る発光量の変動が±10%の範囲内に収まっており、長手方向に亘って均一な発光量が実現できている事が確認された。
また、実施例3に於けるCe濃度及びMg濃度の変動は、発光体端部からL=10mm部分でCe濃度0.99mol%,Mg濃度0.022mol%、L=100mm部分でCe濃度1.00mol%,Mg濃度0.022mol%、L=200mm部分でCe濃度1.01mol%,Mg濃度0.022mol%、L=300mm部分でCe濃度1.01mol%,Mg濃度0.022mol%であった。
一方、比較例3に於けるCe濃度及びMg濃度の変動は、発光体端部からL=10mm部分でCe濃度0.12mol%,Mg濃度0.002mol%、L=100mm部分でCe濃度0.24mol%,Mg濃度0.005mol%、L=200mm部分でCe濃度0.68mol%,Mg濃度0.009mol%、L=300mm部分でCe濃度2.20mol%,Mg濃度0.029mol%であった。
以上の結果から、長手方向に亘るCe濃度の変動値及びMg濃度の変動値は、共に比較例3の方が実施例3よりも大きい事が確認された。
1 発光体の製造装置
2 発光体
2a 主面
3 育成容器
4 引き上げ容器
5 坩堝
6 坩堝駆動部
7 ヒータ
8 電極
9 ダイ
10 断熱材
11 雰囲気ガス導入口
12 排気口
13 シャフト
14 シャフト駆動部
15 ゲートバルブ
16 基板出入口
17 種結晶
18 仕切り板
19 スリット
20 開口部
21 融液
22 融液溜まり
28 結晶面
30 斜面
L 発光体の長さ
W 発光体の幅
T 発光体の厚さ
TS スリットの幅
WD ダイの幅

Claims (3)

  1. 坩堝をMo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種で形成し、
    スリットを有すると共に、幅方向が平行に配置されたダイを坩堝に収容し、
    雰囲気ガスにアルゴンガスを用い、カーボン製のヒータと断熱材を用いると共に、断熱材で、坩堝とヒータとダイを取り囲み、
    坩堝に発光体の原料を投入してヒータで加熱し、発光体の原料を坩堝内で溶融して融液を用意し、
    スリットを介してスリット上部に融液溜まりを形成し、
    そのスリット上部の融液に種結晶を接触させて種結晶を引き上げることで、単結晶から成り、主面と280mm以上の長手方向の寸法を有し、Mo、W、Ir、Re、Ru、Pt、Rhの少なくとも1種の原子を、5000ppm以下(但し0ppmは含まない)含有している発光体を成長させる発光体の製造方法。
  2. 組成式が(Ce,Mg) x R 3-x M 5 O 12 (但し、0.0001≦x≦0.3、RはLa, Pr, Gd, Tb, Yb, Y, Luから選ばれた1種以上、MはAl, Lu, Ga, Scから選ばれた1種以上である)で表されるガーネット構造を前記発光体が有し、
    Ce又はMgの少なくとも1種が前記長手方向に分布している請求項1に記載の発光体の製造方法。
  3. 前記発光体がAs-grown単結晶である請求項1又は2の何れかに記載の発光体の製造方法。
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