JP7008250B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents

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Description

本発明は、被加熱物を誘導加熱する誘導加熱調理器に関し、特に銅やアルミニウムなどの非磁性材料であり、低抵抗材料の被加熱物を誘導加熱することができる誘導加熱調理器に関する。
誘導加熱調理器においては、被加熱物を誘導加熱するための加熱コイル、加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路、およびインバータ回路を制御する制御部などが設けられている。これらの構成部品においては、誘導加熱動作において構成部品における損失により発熱し、部品温度が上昇する。特に、加熱コイル、インバータ回路に設けられたスイッチング素子、コンデンサなどの発熱部品は、損失が大きく、高温度となるため、確実に耐熱温度以下となるように駆動制御する必要がある。
従来の誘導加熱調理器においては、発熱部品の温度を検出して、その検出した温度に基づいて加熱コイルの出力を低減する構成を有していた(例えば、特許文献1参照)。
2004-158278号公報
誘導加熱調理器は、加熱コイルに対してインバータから数十kHzの電流を流すことにより高周波磁気が発生し、加熱コイルと磁気結合した被加熱物である調理鍋に誘導する渦電流が流れて、鍋自体発熱する構成である。非磁性材料は、鉄などの磁性材料に比べて透磁率が非常に小さく、また銅やアルミニウムは低抵抗である。このような材料の調理鍋を誘導加熱するためには、加熱コイルに流れる電流が大きくなり、高い周波数の電流を流す必要があった。この結果、誘導加熱調理器においては、発熱部品に対して冷却機構を設けて冷却すると共に、部品温度を検出して耐熱温度を越えないように出力制御する構成を有していた。
特許文献1において開示された誘導加熱調理器は、構成部品の検出温度に基づいて当該構成部品の耐熱温度以下に駆動制御する構成である。このように温度検出に基づいて出力制御する構成では、検出温度が周囲温度の影響を受けている可能性が高く、検出温度が高い信頼性を有するものではなかった。また、温度センサーにおいては、部品温度に対する応答性が悪いという課題を有している。このため、調理器としての安全性を高めるためには、検出温度に基づく出力制御において耐熱温度との間に余裕を持って行う必要があった。また、検出温度に基づく制御において、急激な温度変化の場合でも部品の安全性を確保するためには、部品の耐熱温度に比べてさらに低い温度を上限温度に設定して出力制御を行う必要があった。
本発明は、各種の被加熱物である負荷に応じて適切に加熱出力を調整して、構成部品の耐熱温度以下に確実に維持することができると共に、構成部品に対する温度管理を適切に行い、安全性、信頼性および効率性の高い誘導加熱調理器の提供を目的とする。
本発明の一態様の誘導加熱調理器は、
高周波電流が流れて被加熱物を誘導加熱する加熱コイルと、
前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路と、
前記インバータ回路を駆動制御する制御部と、を備え、
被加熱物に応じて変化する前記加熱コイルの電気的特性に応じて、前記加熱コイルにおける加熱出力が段階的に制御されると共に、各段階の継続時間が制御されるよう構成されている。
本発明の誘導加熱調理器は、各種の被加熱物である負荷に応じて適切に加熱出力を調整して構成部品に対する温度管理を適切に行い、構成部品の耐熱温度以下に確実に保持し、所望の火力を維持することができ、安全性、信頼性および効率性の高い調理器具となる。
本発明に係る実施形態1の誘導加熱調理器の構成を示すブロック図 各種の被加熱物を加熱コイルに載置して行った実験結果を示すグラフ 各種の「非磁性金属鍋」が載置された加熱コイルに関する電気的特性を測定した実験結果を示すグラフ 実施の形態1の誘導加熱装置における誘導加熱動作を示すフローチャート 実施の形態1の誘導加熱装置におけるパワーダウン処理を示すフローチャート 実施の形態1の誘導加熱装置におけるパワーダウン処理を示すフローチャート 実施の形態1の誘導加熱装置における第1パワーダウン動作テーブルを示す図 実施の形態1の誘導加熱装置における第2パワーダウン動作テーブルを示す図 実施の形態1の誘導加熱調理器において、パワーダウン処理およびパワー調整処理における周期、加熱出力、コイル温度、およびコンデンサ温度の推移を示すグラフ
以下、本発明の誘導加熱調理器に係る実施形態として添付の図面を参照しながら説明する。なお、本発明の誘導加熱調理器は、以下の実施形態に記載した誘導加熱調理器の構成に限定されるものではなく、以下の実施形態において説明する技術的思想と同等の技術的思想に基づいて、誘導加熱を用いた各種装置の構成にも適用可能である。
先ず始めに、本発明の誘導加熱調理器における各種態様を例示する。
本発明に係る第1の態様の誘導加熱調理器は、
高周波電流が流れて被加熱物を誘導加熱する加熱コイル、
前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路、および
前記インバータ回路を駆動制御する制御部、を備え、
被加熱物に応じて変化する前記加熱コイルの電気的特性に応じて、前記加熱コイルにおける加熱出力が段階的に制御されると共に、各段階の継続時間が制御されるよう構成されている。このように構成された第1の態様の誘導加熱調理器は、各種の被加熱物に応じて適切に加熱出力を調整して構成部品の耐熱温度以下に確実に保持し、所望の火力を維持することができる。
本発明に係る第2の態様の誘導加熱調理器は、前記の第1の態様における前記制御部が、被加熱物に応じて変化する前記加熱コイルのインダクタンスに応じて、前記加熱コイルにおける加熱出力を段階的に制御すると共に、各段階の継続時間を制御するよう構成されてもよい。
本発明に係る第3の態様の誘導加熱調理器は、前記の第1の態様または第2の態様における前記制御部が、被加熱物に応じて変化する前記加熱コイルの抵抗成分に応じて、前記加熱コイルにおける加熱出力を段階的に制御すると共に、各段階の継続時間を制御するよう構成されてもよい。
本発明に係る第4の態様の誘導加熱調理器は、前記の第1の態様において、被加熱物に対する誘導加熱において前記加熱コイルに流れるコイル電流を検知するコイル電流検知部を備え、
前記制御部が、前記コイル電流検知部で検知されたコイル電流に基づいて、前記加熱コイルにおける加熱出力を段階的に制御すると共に、各段階の継続時間を制御するよう構成されてもよい。
本発明に係る第5の態様の誘導加熱調理器は、前記の第1の態様または第4の態様において、被加熱物に対する誘導加熱において前記加熱コイルに流れるコイル電流の周期を検知する周期検知部を備え、
前記制御部は、前記周期検知部で検知された周期に基づいて、前記加熱コイルにおける加熱出力を段階的に制御するよう構成されてもよい。
本発明に係る第6の態様の誘導加熱調理器は、前記の第1の態様から第5の態様のいずれかの態様において、前記制御部が、被加熱物がアルミニウムまたは銅を含む非磁性金属で構成されているとき、前記加熱コイルの電気的特性に応じて、前記加熱コイルにおける加熱出力を段階的に制御し、各段階の継続時間を制御するよう構成されてもよい。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。また、図面においては、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。
なお、以下で説明する実施形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施形態において示される数値、形状、構成、ステップ、およびステップの順序などは、一例を示すものであり、本発明を限定するものではない。以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
(実施形態1)
図1は、本発明に係る実施形態1の誘導加熱調理器の構成を示すブロック図である。図1に示すように、実施形態1の誘導加熱調理器は、交流電源1からの交流を整流する整流回路2と、チョークコイルとコンデンサを含む平滑回路3と、例えばIGBTなどのスイッチング素子を含むインバータ回路4と、インバータ回路4からの高周波電流が供給されて、磁気結合した被加熱物10に対して誘導加熱する加熱コイル5と、を備えている。また、実施形態1の誘導加熱調理器においては、加熱コイル5に流れるコイル電流を検知するコイル電流検知部6、加熱コイル5に流れるコイル電流の周期を検知する周期検知部7、インバータ回路4に流れるコイル電流などを検知して、加熱コイル5上のトッププレートに配置された被加熱物10の種別を判定する鍋種判定部8、およびコイル電流検知部6と周期検知部7と鍋種判定部8などからの各種情報に基づいてインバータ回路4のスイッチング素子を駆動制御する制御部9が設けられている。
なお、実施の形態1においては、上記の構成以外に、誘導加熱調理器において一般的に設けられている構成、例えば各種検出手段(例えば温度検出、位置検出)や、ユーザが設定操作するための操作手段などが設けられている。また、加熱コイルを含む誘導加熱手段としては、1組に限定されるものではなく、複数組を設けた構成としてもよい。本発明の誘導加熱調理器においては、他の加熱手段として抵抗加熱手段、例えばラジエントヒータ、ハロゲンヒータなどを設けた構成としてもよく、シーズヒータなどを用いたオーブンを備えた構成としてもよい。
実施の形態1の誘導加熱調理器において、誘導加熱が開始されると、制御部9はインバータ回路4に制御信号を出力して、インバータ回路4のスイッチング素子を駆動する。インバータ回路4のスイッチング素子が駆動されることにより、加熱コイル5に高周波電流が供給される。加熱コイル5に高周波電流が供給されると、加熱コイル5からの高周波磁気により、加熱コイル5の直上のトッププレートに配置された被加熱物10(例えば、鉄鍋、ステンレス鍋、銅鍋、アルミ鍋などの各種調理金属鍋)が誘導加熱される。以下の説明においては、加熱コイル5に流れる低い周波数(例えば、約20kHz)の高周波電流で誘導加熱が行われる鉄鍋、ステンレス鍋などを「磁性金属鍋」と称し、加熱コイル5に流れる高い周波数(例えば、約90kHz)の高周波電流で誘導加熱が行われる銅鍋またはアルミ鍋などを「非磁性金属鍋」と称する。
実施の形態1の誘導加熱調理器は、誘導加熱の初期段階において、トッププレートの所定の加熱位置に載置された被加熱物10である調理鍋の種類を判定する。誘導加熱調理器に設けられた鍋種判定部8は、誘導加熱の開始直後の一定期間の間に鍋種判定処理を行う。鍋種判定処理は、誘導加熱の初期段階においてインバータ回路4に流れる電流、素子間電圧などに基づいて、誘導加熱可能な調理鍋か否か、そして誘導加熱可能であれば「磁性金属鍋」であるか「非磁性金属鍋」であるかを判定する。鍋種判定部8において判定した結果、誘導加熱可能な調理鍋であれば、制御部9はインバータ回路4に対する制御信号を出力する。その結果、実施の形態1の誘導加熱調理器においては、インバータ回路4から所望の高周波電流が加熱コイル5に供給されて、加熱コイル5上のトッププレートに配置された被加熱物10に対する誘導加熱が実行される。
一般的に、誘導加熱調理器においては、加熱コイルに対してインバータ回路から数十kHzの電流を流すことにより、高周波磁気を発生させて、加熱コイルと磁気結合した金属鍋に渦電流が流れて、金属鍋自体が発熱する構成である。特に「非磁性金属鍋」は、鉄などの「磁性金属鍋」に比べて透磁率が小さく、また銅やアルミニウムは低抵抗である。このような「非磁性金属鍋」を誘導加熱するためには、加熱コイルに流れる電流が大きくなり、高い周波数の電流を流す必要がある。この結果、従来の誘導加熱調理器においては、発熱部品に対する冷却機構を設けると共に、検出した部品温度に基づいて出力制御を行っていた。
本発明に係る実施の形態1の誘導加熱装置においては、銅鍋やアルミ鍋などの「非磁性金属鍋」を誘導加熱する場合において、後述するパワーダウン処理を行う構成を有している。このパワーダウン処理は、部品温度に基づくものではなく、負荷となる被加熱物10の材質、形状、および加熱コイル5に対する配置(位置ずれ)などの状態に応じて適切に出力調整する構成である。
誘導加熱装置における消費電力Pは、被加熱物10である調理鍋の材質などで決まる表皮抵抗Rsに比例し、且つ磁界Hの2乗に比例する。表皮抵抗Rsは調理鍋の抵抗率ρと調理鍋の透磁率μと加熱コイル5に流れるコイル電流の周波数とを乗算した値の平方根に比例し、また磁界Hは加熱コイル5のターン数(巻き数)Nと、加熱コイル5に流れる電流Iに比例する。このため、消費電力Pは、以下の式(1)で表すことができる。
Figure 0007008250000001
式(1)から、銅鍋、アルミ鍋などの「非磁性金属鍋」は鉄鍋などの「磁性金属鍋」に比べて透磁率が小さいため、同じ電力を得るためには加熱コイル5に流れる電流(コイル電流)の周波数を高く設定するか、コイル電流の電流値を大きくする必要がある。実施の形態1の誘導加熱装置においては、鍋種判定部8において被加熱物10が「非磁性金属鍋」であると判定された場合には、「磁性金属鍋」に比べて高い駆動周波数(例えば、90kHz)に設定している。
一般的な共振回路において、加熱コイル(L)と共振コンデンサ(C)における共振周波数(f)は、次式(2)で与えられる。
Figure 0007008250000002
実施の形態1の誘導加熱装置においては、加熱コイル5の直上にトッププレートを介して被加熱物(「非磁性金属鍋」または「磁性金属鍋」)10が載置されており、加熱コイル5と被加熱物10が磁気結合された状態である。従って、誘導加熱装置における誘導加熱時の共振周波数としては、加熱コイル5上の被加熱物10の影響を受けている。
発明者は、誘導加熱対象となる各種の被加熱物10、例えば、鍋底の直径が大、中、小と異なる形状を有する鉄鍋、銅鍋、およびアルミ鍋、そして鍋底の反り具合が異なるなどの各種の調理鍋を加熱コイル5上に配置して、被加熱物10が磁気結合された加熱コイル5に関する電気的特性を調べる実験を行った。電気的特性としては、インダクタンス(Ls[μH])と抵抗成分(Rs[Ω])とを測定した。
図2は、各種の被加熱物(「非磁性金属鍋」または「磁性金属鍋」)10を加熱コイル5の直上に配置して磁気結合状態で行った実験の結果を示すグラフである。この実験においては、被加熱物10として市場に流通している各種の調理鍋に対して行っており、用途が異なる各種の形態の調理鍋や、材質、形状および厚みが異なる調理鍋を用いた。図2において、横軸がインダクタンス(Ls[μH])を示し、縦軸が抵抗成分(Rs[Ω])を示す。図2のグラフにおいて、符号Aで示す斜線領域は、各種の「非磁性金属鍋」が加熱コイル5の直上に配置された場合において、測定値が表れた領域である。また、符号Bで示す斜線領域は、「磁性金属鍋」が加熱コイル5の直上に配置された場合において、測定値が表れた領域である。なお、図2に示した実験においては、加熱コイル5に「磁性金属鍋」を誘導加熱するときの周波数(例えば、23kHz)の信号を供給して電気的特性を測定した。
図3は、各種の「非磁性金属鍋」が配置されて、磁気結合された加熱コイルに対して「非磁性金属鍋」を誘導加熱するときの周波数(例えば、90kHz)の信号を供給して電気的特性を測定した実験結果を示すグラフである。「非磁性金属鍋」が磁気結合した加熱コイルのインダクタンスと抵抗成分とを測定した結果、材質、形状などが異なる各種の「非磁性金属鍋」において、一定の傾向があることが理解できた。図3のグラフに示すように、一般的な銅鍋とアルミ鍋とを単純に比較した場合、電気的特性の抵抗成分[Ω]に関しては銅鍋の方が低くなっている。また、鍋底の直径のみを比較した場合、直径の小さい方が電気的特性のインダクタンス[μH]が大きくなっている。さらに、鍋底の反りに関しては、反りの大きい方がインダクタンス[μH]が大きくなり、且つ抵抗成分[Ω]が小さくなる傾向があった。但し、上記の傾向は原則的なものであり、材質、形状の他に、製造方法、鍋の厚み、用途の違いによる形状および構成の違いなどの要因により電気的特性は変化する。
図3に示すグラフにおいて、インダクタンスが大きくなれば加熱コイル5に流れるコイル電流周波数の周期は大きくなる。また、抵抗成分が小さくなればコイル電流が大きくなる。従って、一般的に、被加熱物10として「非磁性金属鍋」の銅鍋が加熱コイル5上に配置された場合には、アルミ鍋が配置された場合と比較してコイル電流が大きくなる。また、被加熱物10の鍋底の直径が小さい場合には、鍋底の直径が大きいものと比較してコイル電流周波数の周期が大きくなる。
上記のように加熱コイル5上に配置され、磁気結合した被加熱物10により加熱コイル5に関する電気的特性が大きく異なっている。実施の形態1の誘導加熱調理器においては、このような加熱コイル5における電気的特性の変化に基づいて、鍋種判定処理を行うと共に、構成部品(加熱コイル5、スイッチング素子など)を耐熱温度以下に確実に保持しつつ所望の火力を維持することができる後述するパワーダウン処理を行っている。
図4は、実施の形態1の誘導加熱装置において実行される誘導加熱動作を示すフローチャートである。ユーザが被加熱物10である調理鍋をトッププレート上の所定位置に載置して、火力、加熱時間などを設定し、調理開始の操作を行ったとき、誘導加熱動作が開始される。ステップ101においては、前述の鍋種判定処理が実行される。鍋種判定処理においては、インバータ回路4に流れる電流、素子間電圧などに基づいて、誘導加熱可能な調理鍋か、および誘導加熱可能な調理鍋であれば、調理鍋が「磁性金属鍋」であるか「非磁性金属鍋」であるかの鍋種判定を行う。
ステップ102においては、鍋種判定処理の検知結果に基づいて、被加熱物10が「非磁性金属鍋」か、「磁性金属鍋」かを判定する。被加熱物10が「磁性金属鍋」であれば、ステップ104において、制御部9はインバータ回路4を「磁性金属鍋」のための駆動周波数にて駆動し、加熱コイル5に第1コイル電流周波数F1の電流が流れて被加熱物10が誘導加熱される。
一方、被加熱物10が「非磁性金属鍋」であれば、ステップ103において、制御部9はインバータ回路4を「非磁性金属鍋」のための駆動周波数にて駆動し、加熱コイル5に第2コイル電流周波数F2の電流が流れて被加熱物10が誘導加熱される。「非磁性金属鍋」を誘導加熱するための第2コイル電流周波数F2は、「磁性金属鍋」を誘導加熱するための第1コイル電流周波数F1より高い周波数であり、例えば、第2コイル電流周波数F2が60kHz~90kHzの範囲であり、第1コイル電流周波数F1が20kHz~30kHzの範囲である(F2>F1)。
ステップ103において誘導加熱を開始した後は、構成部品(加熱コイル5、スイッチング素子など)を耐熱温度以下に確実に保持しつつ所望の火力を維持するための「パワーダウン処理」が行われる(ステップ105)。なお、被加熱物10が「非磁性金属鍋」の場合は、「磁性金属鍋」の場合に比べて加熱コイル5に流れる電流が大きいので、加熱コイル5の温度の上昇も大きくなる。このため、実施の形態1の誘導加熱装置においては、鍋種判定処理の後は第1加熱出力で誘導加熱して、加熱コイルの温度上昇に対し、後述するパワーダウン処理を行う構成としている。また、加熱開始後、しばらくは低火力に設定して、鍋の中に調理物や油の量が少ない場合における鍋の温度上昇が大きいことを検知する、空焼き検知を行う構成にしてもよい。
(パワーダウン処理)
図5Aおよび図5Bは、実施の形態1の誘導加熱装置におけるパワーダウン処理を示すフローチャートである。実施の形態1の誘導加熱装置において、被加熱物10に対する加熱コイル5による誘導加熱動作が開始されると、パワーダウン処理が開始される。
パワーダウン処理が開始すると、被加熱物10と磁気結合された加熱コイル5に流れるコイル電流の周期(CYC)が検知される(ステップ201)。また、加熱開始からの所定時間が経過した後のコイル電流(IL)が検知される(ステップ202、203)。加熱開始直後の電流はふらつきがあるため、一定の時間が経過してコイル電流(IL)が安定したときに検知される。なお、コイル電流(IL)の検知は、常時行われており、所定期間、例えば30秒の間のコイル電流の平均値を用いてもよい。
検知された周期(CYC)およびコイル電流(IL)に基づき、非磁性金属鍋用の第1パワーダウン動作テーブルTa1が用いられて第1段階のパワーダウン処理が行われる。図6Aは、第1パワーダウン動作テーブルTa1を示す図である。なお、図6Aにおいて、「a1」、「b1」、および「c1」は周期(CYC)の具体的な数値を示すものであり、「A1」、「B1」、「C1」、「D1」はコイル電流(IL)の具体的な数値を示すものである。これらの数値は、「a1」<「b1」<「c1」、および「A1」<「B1」<「C1」<「D1」の関係を有する。
図6Aに示すように、検知された周期(CYC)が、周期条件として4つに分けられた第1周期ゾーン、第2周期ゾーン、第3周期ゾーン、第4周期ゾーンのいずれの周期ゾーンに該当するかが判定される。また、該当する周期ゾーンにおいて、検知されたコイル電流(IL)が5つに分けられた電流ゾーンのいずれの電流ゾーンに該当するかが判定されて、加熱出力を低減する時間(第1パワーダウン時間PD1)が決定される(ステップ204)。図6Aに示した第1パワーダウン動作テーブルTa1における、周期条件の4分割、コイル電流条件の5分割、および加熱開始からのパワーダウン時間の具体的な数値は、例示であり、本発明はこの例示に限定されるものではなく、適宜所望のパワーダウン時間となるように所望の数に分割されて、構成部品の耐熱温度を確実に維持できる適切なパワーダウン処理が行われる構成である。
ステップ205においては、決定された第1パワーダウン時間PD1が経過したか否かが判定される。第1パワーダウン時間PD1が経過していなければ、ステップ201に戻り、コイル電流の周期(CYC)を検知する。パワーダウン処理においては、誘導加熱中に被加熱物10である調理鍋をずらす、所謂「鍋ずらし」が生じていないかを判定するために、常時、周期(CYC)が検知されて該当する周期ゾーンの確認が行われる。
第1パワーダウン時間PD1が経過していれば、第1加熱出力から第2加熱出力へ出力を低下させる処理が行われる(ステップ207)。例えば、第1パワーダウン時間PD1の経過後、2600W(第1加熱出力)から2000W(第2加熱出力)に加熱出力を低下させる。上記のステップ201からステップ206が、第1段階のパワーダウン処理となる。
次に行われる第2段階のパワーダウン処理においても、第1段階のパワーダウン処理と同様の処理が行われる。即ち、コイル電流の周期(CYC)が検知され(ステップ207)、コイル電流(IL)が検知される(ステップ208)。
ステップ209においては、検知された周期(CYC)およびコイル電流(IL)に基づき、非磁性金属鍋用の第2パワーダウン動作テーブルTa2が用いられて第2段階のパワーダウン処理が行われる。図6Bは、第2パワーダウン動作テーブルTa2を示す図である。なお、図6Bにおいて、「a2」、「b2」、および「c2」は周期(CYC)の具体的な数値を示すものであり、「A2」、「B2」、「C2」、「D2」、「E2」、「F2」、および「G2」はコイル電流(IL)の具体的な数値を示すものである。これらの数値は、「a2」<「b2」<「c2」、および「A2」<「B2」<「C2」<「D2」<「E2」<「F2」<「G2」の関係を有する。
第2段階のパワーダウン処理は、第1段階のパワーダウン処理と同様に、図6Bに示す第2パワーダウン動作テーブルTa2が用いられて、加熱出力を低減する時間(第2パワーダウン時間PD2)が決定される(ステップ209)。図6Bに示した第2パワーダウン動作テーブルTa2においても、図6Aに示した第1パワーダウン動作テーブルTa1と同様に、周期条件の4分割、コイル電流条件の8分割、および加熱開始からのパワーダウン時間の具体的な数値は、例示であり、本発明はこの例示に限定されるものではなく、適宜設定される。
第2パワーダウン動作テーブルTa2を用いて決定された第2パワーダウン時間PD2が経過していれば、第2加熱出力から第3加熱出力へ出力を低下させる(図5Bのステップ211参照)。例えば、第2パワーダウン時間PD2(加熱開始から最大で10分)が経過したとき、2000W(第2加熱出力)から1800W(第3加熱出力)に加熱出力を低下させる。図5Aおよび図5Bに示したフローチャートにおけるステップ207からステップ211が、第2段階のパワーダウン処理となる。
第2段階のパワーダウン処理が完了した後は、当該誘導加熱調理器における加熱コイル5の立ち上がり動作が完了し、設定された火力に到達したとして、通常のパワー調整処理が実行される。パワー調整処理においては、ステップ212において検出されたコイル電流(IL)がパワーダウン閾値を越えていれば所定パワー(例えば、100W)だけ下げるように加熱出力のパワーダウン調整が行われる。一方、検出されたコイル電流(IL)がパワーアップ閾値を下回っていれば所定パワー(例えば、100W)だけ上げるように、加熱出力のパワーアップ調整が行われる(図5Bのステップ213参照)。
上記のように、誘導加熱動作において所定温度に維持されるパワー調整処理が実行されている状況で加熱終了の指令が生じたとき、例えば、ユーザが設定した調理時間が終了したとき、またはユーザが当該加熱調理を終了させる操作を行ったとき、当該誘導加熱動作は終了する。
上記の誘導加熱動作におけるパワーダウン処理およびパワー調整処理において用いられるコイル電流(IL)としては、所定期間(例えば、30秒の期間)の間に検出された電流値の平均値を用いてもよい。また、コイル電流(IL)としては、加熱出力が大きく変わった直後は電流がふらつくため、加熱出力の変更直後から所定期間(例えば、5秒)のコイル電流を検知対象から外してもよい。
図7は、実施の形態1の誘導加熱調理器において、第1段階と第2段階のパワーダウン処理、およびパワー調整処理における周期(CYC)、加熱出力(消費電力)、コイル温度、およびコンデンサ温度の推移を示すグラフである。図7に示すように、インバータ回路4から電流が供給される加熱コイル5およびコンデンサの温度は、それぞれの耐熱温度以下に維持されると共に、耐熱温度までの温度差を構成部品の安全性を確保できる温度限界近くの温度帯に維持することが可能となる。
なお、実施の形態1の誘導加熱調理器において、制御部9は、被加熱物10がアルミニウムまたは銅を含む低抵抗であり、透磁率が小さい金属であるとき、加熱コイル5の電気的特性に応じて、加熱コイル5における加熱出力を段階的に制御し、各段階の継続時間を制御するよう構成した例で説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、変形例の誘導加熱調理器としては、被加熱物10が鉄またはステンレスを含む高抵抗金属であり、透磁率が大きい被加熱物(鍋)10の場合であっても、被加熱物10の形状(寸法)、若しくは加熱コイルに対する被加熱物10の配置(位置ずれ)により構成部品温度が高くなる場合には、実施の形態1において説明したパワーダウン処理と同様の処理を行う構成としてもよい。
上記のように、実施の形態1の誘導加熱調理器は、負荷である被加熱物10が載置されたトッププレートの直下の加熱コイル5に流れるコイル電流の周期と電流値、即ち被加熱物10が磁気結合した加熱コイルの電気的特性に応じて、加熱開始からの加熱出力に対するパワーダウン処理を段階的に行い、各段階における加熱出力の継続時間を制御している。このようにパワーダウン処理を段階的に行い、各段階における加熱出力の継続時間を制御することにより、誘導加熱動作において、加熱コイルやコンデンサなどの構成部品に対する温度管理を適切に行うことが可能となる。
本発明の誘導加熱調理器は、実施の形態1において説明したように、負荷である被加熱物が磁気結合した加熱コイルの電気的特性(例えば、抵抗成分、インダクタンスを含む)に応じて加熱開始からの加熱出力を段階的に制御する構成であると共に、各段階の継続時間に関しても被加熱物が磁気結合した加熱コイルの電気的特性に応じて制御する構成を有している。このように本発明の誘導加熱調理器においては、加熱開始からの加熱出力を負荷に応じて段階的に制御し、且つ各段階の加熱出力の継続時間を制御する構成を有している。この結果、本発明の誘導加熱調理器は、誘導加熱動作において、インバータ回路からの電流が入力される加熱コイルやコンデンサなどの構成部品に対する温度管理を適切に行うことが可能となり、安全性、信頼性および効率性の高い調理器具を構築することができる。
本発明をある程度の詳細さをもって実施形態において説明したが、この構成は例示であり、実施形態の開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものである。本発明においては、実施形態および変形例における要素の置換、組合せ、および順序の変更は請求された本発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
本発明の誘導加熱調理器は、安全性、信頼性および効率性の高い調理器具を構築することができため、市場価値が高い調理器具となる。
1 交流電源
2 整流回路
3 平滑回路
4 インバータ回路
5 加熱コイル
6 コイル電流検知部
7 周期検知部
8 鍋種判定部
9 制御部
10 被加熱物

Claims (6)

  1. 高周波電流が流れて被加熱物を誘導加熱する加熱コイル、
    前記加熱コイルに高周波電流を供給するインバータ回路、および
    前記インバータ回路を駆動制御する制御部、を備えた誘導加熱調理器であって、
    被加熱物に応じて変化する前記加熱コイルの電気的特性に応じて、前記加熱コイルにおける加熱出力が段階的に制御されると共に、各段階の継続時間が制御されるよう構成された誘導加熱調理器。
  2. 前記制御部は、被加熱物に応じて変化する前記加熱コイルのインダクタンスに応じて、前記加熱コイルにおける加熱出力を段階的に制御すると共に、各段階の継続時間を制御するよう構成された、請求項1に記載の誘導加熱調理器。
  3. 前記制御部は、被加熱物に応じて変化する前記加熱コイルの抵抗成分に応じて、前記加熱コイルにおける加熱出力を段階的に制御すると共に、各段階の継続時間を制御するよう構成された、請求項1または2に記載の誘導加熱調理器。
  4. 被加熱物に対する誘導加熱において前記加熱コイルに流れるコイル電流を検知するコイル電流検知部を備え、
    前記制御部は、前記コイル電流検知部で検知されたコイル電流に基づいて、前記加熱コイルにおける加熱出力を段階的に制御すると共に、各段階の継続時間を制御するよう構成された、請求項1に記載の誘導加熱調理器。
  5. 被加熱物に対する誘導加熱において前記加熱コイルに流れるコイル電流の周期を検知する周期検知部を備え、
    前記制御部は、前記周期検知部で検知された周期に基づいて、前記加熱コイルにおける加熱出力を段階的に制御するよう構成された、請求項1または4に記載の誘導加熱調理器。
  6. 前記制御部は、被加熱物がアルミニウムまたは銅を含む非磁性金属で構成されているとき、前記加熱コイルの電気的特性に応じて、前記加熱コイルにおける加熱出力を段階的に制御し、各段階の継続時間を制御するよう構成された、請求項1から5のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
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