JP7017780B2 - ロジウム回収方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、本発明者らは、該沈殿物について、単結晶X線測定、粉末X線測定、熱重量分析、XPS測定等を行うことにより、1つのロジウム塩化物アニオンに対して、6つのアンモニウムカチオンが取り囲み、さらに3つの塩化物アニオンを含むことで全体の電荷をキャンセルさせた複合体となっていることを見出した。
上記発見に基づき、本発明者らは、上記複合体を形成するのに必要十分な量のアミンと、さらに上記複合体を溶解できる有機溶媒を用いることにより、新たな方法によりロジウムを回収可能であることを見出し、以下の発明を完成させた。
本発明は、少なくも1種の所定のアミン化合物を含有するロジウム回収剤を用いて、ロジウムを含む混合物からロジウムを回収する方法であって、所定のロジウム回収剤および有機溶媒を用いることで、所定の複合体を形成させて、該複合体を有機溶媒に回収する方法である。本発明の回収方法は、工程毎に記載すれば、例えば、添加工程、混合工程、ロジウム回収工程に分けることができるので、以下、その順に説明する。
添加工程においては、ロジウム回収剤、ロジウムを含有する混合物、および、有機溶媒を塩酸に添加する。
なお、本発明は、所定のロジウム回収剤と有機溶媒とを用いて、ロジウムを含む塩酸溶液からロジウムを回収する点に特徴があり、該特徴に影響しないそれ以外の部分を適宜変更した形態も発明の範囲に含む。例えば、ロジウムを含む混合物を塩酸に添加しないで、当初から、ロジウムが溶解した塩酸溶液に対して、ロジウム回収剤および有機溶媒を添加するような形態も、ここでいう添加に含む。
本発明にて使用するロジウム回収剤は、芳香族第一級アミン化合物、または、脂肪族第一級アミン化合物から選ばれる少なくとも一つのアミン化合物を含有する。
芳香族第一級アミン化合物は、下記式(2)で示される化合物であることが好ましい。
混合物には少なくともロジウムが含まれており、さらにその他の金属や貴金属が含まれていてもよい。本発明者らの知見によれば、混合物中にロジウム以外の貴金属として、パラジウム及び白金から選ばれる少なくとも一つが含まれていたとしても、本開示のロジウム回収剤によってロジウムを優先的に回収できる。例えば、混合物として、自動車排気ガス浄化用触媒そのものを適用することができる。
本発明において使用する有機溶媒としては、後に説明する複合体を溶解可能であれば、特に限定されずに種々のものを使用可能である。また、有機溶媒は二種以上を混合して使用してもよい。有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、キシレンを挙げることができ、また、これらの混合物を用いてもよい。また、有機溶媒としては、水と完全に相溶する溶媒は使用できない。
本発明において使用する塩酸の濃度は、ロジウムの抽出率の観点から、下限が2.0mol/L以上が好ましく、3.0mol/L以上がより好ましく、4.0mol/L以上がさらに好ましく、5.0mol/L以上が特に好ましい。また、本発明の方法では、高濃度の塩酸中であっても、下記の複合体が有機溶媒(好ましくは塩素系有機溶媒)に溶解できるため、塩酸濃度の上限は特に限定されないが、実用上は、12.0mol/L以下が好ましく、10mol/L以下がより好ましく、9.0mol/L以下がさらに好ましく、8.0mol/L以下が特に好ましい。
また、高いロジウム選択性を発揮する観点からは、塩酸の濃度を2.5mol/L以上とすることが好ましい。また、本発明において、ロジウム回収剤は、濃度2.0mol/L未満の塩酸においては、ロジウムだけでなく他の貴金属元素をも回収してしまう。
混合工程においては、上記したロジウム回収剤、ロジウムを含む混合物、有機溶媒、および、塩酸を混合して、アミン化合物とロジウム塩化物との複合体を形成する。
混合は、振とう、または、攪拌により行うことができる。振とう条件や、攪拌条件については、特に限定されず、溶媒抽出においてこれまで採用されてきた条件を適宜採用可能である。振とう、攪拌時間としては、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、10分以上がさらに好ましい。なお、上限は特に限定されないが、概ね60分以上となると、攪拌の効果が見られないことから、効率の点から、60分以下とすることが好ましい。
本発明のロジウムの回収方法において形成される、アミン化合物とロジウム塩化物との複合体の構造は以下の通りである。
式(1)の複合体においては、3価のロジウム塩化物アニオンに対して、6つのアンモニウムカチオンと、3つの塩化物アニオンが複合体化している。
式(1)において、Zは、上記したアミン化合物の残基を表している。よって、アミン化合物が芳香族第一級アミン化合物の場合は、Zは、「X-Ph-」を表し、アミン化合物が脂肪族第一級アミン化合物の場合は、Zは「Y-」を表す。
上記した混合工程において形成した有機溶媒に溶解した複合体を回収して、所定の精製操作ののち、ロジウムを回収することができる。精製操作は、特に限定されないが、例えば、塩基性水溶液でロジウムのみ抽出する方法や複合体を燃焼させる方法などが挙げられる。
ロジウムを100ppm含む6mol/L塩酸溶液に4-ヘキシルアニリンをロジウムとのモル比(NH2/Rh)が30となるように添加し、3時間振とうさせた。生成した沈殿をろ過により回収し、2mol/L塩酸水で洗浄した。得られた沈殿を室温で減圧乾燥させた後、粉末X線回折測定(図2)、XPS測定(図3)および熱重量分析(図4)を行った。また,この沈殿を1mol/L塩酸水に溶解させ,長期間放置することで単結晶を作製した。得られた単結晶について単結晶X線回折測定を行った(図1)。
以上すべての解析結果より、沈殿物は、[RhCl6]3-と6つのアミンからなる複合体であることが明らかとなった。
アミン化合物として4-ヘキシルアニリンに替えて、アニリン、4-ブチルアニリン、4-ヘキシロキシアニリン、4-フェノキシアニリン、n-オクチルアミンを用いて実施例1と同様の操作で実験を行い、沈殿を得た。得られた沈殿について熱重量分析を行った。結果を表1に示す。
ロジウムを100ppm含む6mol/L塩酸溶液3mLに4-ブチルアニリンをロジウムとのモル比(NH2/Rh)が、それぞれ3、6、9および30となるように添加し、さらにクロロホルム0.75mLを加えて30分間振とうさせた。水層を回収し,当該水溶液に含まれるロジウムの濃度をICPにて分析することで、有機層に移動したロジウムの割合(ロジウム抽出率)を算出した。結果を図5に示す。また、モル比6の結果は表2にも示した。
モル比(NH2/Rh)が6以上であれば、50%超の高い抽出率を示すことが分かった。
アミン化合物として4-ブチルアニリンに替えて、4-ヘキシルアニリン、4-デシルアニリン、4-ブトキシアニリン、4-オクチロキシアニリン、n-オクチルアミン、n-ドデシルアミンを用いて実施例1と同様の操作で実験を行い、ロジウム抽出率を算出した。結果を表2に示す。
アミン化合物として4-ブチルアニリンに替えて、4-ヘキシルアニリンを用い、有機溶媒としてクロロホルムに替えて、ジクロロメタン、トルエンを用いて実施例1と同様の操作で実験を行い、ロジウム抽出率を算出した。結果を表3に示した。
パラジウム,白金及びロジウムをそれぞれ100ppmずつ含む6mol/L塩酸3mLに4-ヘキシルアニリンをロジウムとのモル比(NH2/Rh)が6となるように添加し、さらにクロロホルム0.75mLを加えて30分間振とうさせた。水層を回収し、当該水溶液に含まれるパラジウム、白金及びロジウムの濃度をICPにて分析することで、有機層に移動した金属の割合(金属抽出率)を算出した。結果を図6に示した。
図6に示したように、Rhを選択的に抽出することができた。なお、それぞれの抽出率は、Pdが0%、Ptが1%、Rhが70%であった。
ロジウムを100ppm含む6mol/L塩酸溶液3mLに4-ブチルアニリンをロジウムとのモル比(NH2/Rh)がそれぞれ、3、6、9、12、15、20、30となるように添加し、3時間振とう後、沈殿を遠心分離により分離させた。上澄み液を回収し,当該水溶液に含まれるロジウムの濃度をICPにて分析することで、沈殿に含まれるロジウムの割合(ロジウム沈殿率)を算出した。結果を図7に示す。また、モル比6の結果を表4に示す。
モル比(NH2/Rh)が9以下だと、Rh抽出率はほぼゼロであり、また、モル比を15としても抽出率が50%程度であった。
アミン化合物として4-ブチルアニリンに替えて、4-ブトキシアニリン、n-オクチルアミンを用い,比較例1と同様の操作で実験を行い,ロジウム沈殿率を算出した。結果を表4に示す。
ロジウムを100ppm含む1~8mol/L塩酸溶液3mLに4-ヘキシルアニリンをロジウムとのモル比(NH2/Rh)が12となるように添加し、さらにクロロホルム0.75mLを加えて30分間振とうさせた。水層を回収し、当該水溶液に含まれるロジウムの濃度をICPにて分析することで、有機層に移動したロジウムの割合(ロジウム抽出率)を算出した。結果を図8に示す。
ロジウムを100ppm含む6mol/L塩酸溶液3mLに4-ヘキシルアニリンをロジウムとのモル比(NH2/Rh)が12となるように添加し、さらにクロロホルム0.75mLを加えて、それぞれ1分、5分、10分、20分、30分、60分間振とうさせた。水層を回収し,当該水溶液に含まれるロジウムの濃度をICPにて分析することで、有機層に移動したロジウムの割合(ロジウム抽出率)を算出した。結果を図9に示す。
Claims (6)
- 前記アミン化合物のアミノ基と前記混合物中のロジウムとのモル比(NH2/Rh)が、6以上20以下である、請求項1に記載のロジウムの回収方法。
- 前記有機溶媒が、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、キシレンの何れか一種または二種以上の混合物である、請求項1または2に記載のロジウムの回収方法。
- 前記塩酸の濃度が、2mol/L以上12mol/L以下である、請求項1~5のいずれかに記載のロジウムの回収方法。
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