JP7020976B2 - 非水電解液一次電池およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、金属リチウムまたはリチウム合金を含有する負極を有し、信頼性に優れた非水電解液一次電池と、その製造方法に関するものである。
現在、非水電解液を有するリチウム一次電池やリチウムイオン二次電池などの非水電解液電池は、携帯機器の電源のほか、タイヤ内部の圧力センサーの電源のように、高温に曝され、かつ大きな振動を受ける用途など、種々の分野で適用されているが、その用途の広がりを受けて、各種の特性の向上を図ることが試みられている。
金属リチウムや、リチウム-アルミニウム合金などのリチウム合金を負極活物質とする非水電解液電池、特にコイン形のリチウム一次電池では、イオン伝導度が高く優れた放電特性を実現することのできるLiClO、LiN(CFSOなどを電解質とする非水電解液が一般に用いられており、また、円筒形のリチウム一次電池では、LiCFSOなどを電解質とする非水電解液が一般に用いられている。
しかしながら、電池を高温で貯蔵した場合は、電解液と電極との反応が生じてしまい、電池の膨れなどの問題が発生するため、電池を高温環境下で使用する用途などでは、電解液と電極との反応を抑制する対策が求められている。
これに対し、正極または負極の表面に被膜を形成することにより、電解液との反応を抑制し、高温貯蔵時の電池の膨れを抑制することのできる添加剤として、プロパンスルトンなどのイオウ系化合物が知られている(特許文献1)。
しかし、電池の膨れ抑制に充分な効果を生じるように、前記イオウ系化合物を一定以上の添加量で電解液に含有させた場合、電極表面に形成される被膜が放電反応を阻害してしまい、電池の内部抵抗を上昇させてしまうため、高温貯蔵後に放電特性が低下してしまうという問題が生じやすくなる。
一方、特許文献2には、リチウムビスオキサレートボレート〔LiB(C〕とLiBFとを、モル比で2:8~5:5の範囲で含有する非水電解液を用いることにより、高温で正極活物質中から電解液に遊離する水分により生じる内部抵抗の上昇や、電解液の分解による内圧の上昇を防ぎ、低温でも高温でも優れた特性の得られる電池を構成できることが開示されている。
特開2004-47413号公報 特開2006-269173号公報
しかしながら、加熱滅菌などを必要とする医療用途や、高温環境が想定される宇宙用途など、電池の更なる高温耐性が要求される用途もあり、高温環境下で長時間耐え得るように、非水電解液電池の耐熱性を更に向上させる技術開発が求められている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、金属リチウムまたはリチウム合金を有する負極を備えた非水電解液一次電池において、高温での貯蔵性を改善し、信頼性を高めることと、前記非水電解液一次電池の製造方法の提供とを目的とする。
前記目的を達成し得た本発明の非水電解液一次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解液を備え、前記負極は、金属リチウムまたはリチウム合金を含み、前記非水電解液は、LiClO、LiCFSO、LiCSO、LiN(FSOおよびLiN(CFSOより選択される少なくとも1種のリチウム塩Aと、LiPF、LiBF、LiAsFおよびLiSbFより選択される少なくとも1種のリチウム塩Bと、LiB(Cとを含有しており、前記非水電解液での前記リチウム塩Aと前記リチウム塩Bとの合計を100mol%としたときの前記リチウム塩Bの割合が20mol%より多く、前記非水電解液における前記リチウム塩Aの含有量が0.3~1.2mol/lであり、前記非水電解液におけるLiB(Cの含有量が0.1~2質量%であることを特徴とするものである。
また、本発明の製造方法は、負極、正極、セパレータおよび非水電解液を含む非水電解液一次電池を製造する方法であって、前記非水電解液に、LiClO、LiCFSO、LiCSO、LiN(FSOおよびLiN(CFSOより選択される少なくとも1種のリチウム塩Aと、LiPF、LiBF、LiAsFおよびLiSbFより選択される少なくとも1種のリチウム塩Bと、LiB(Cとを含有させ、前記非水電解液での前記リチウム塩Aと前記リチウム塩Bとの合計を100mol%としたときの前記リチウム塩Bの割合を20mol%より多くし、前記非水電解液における前記リチウム塩Aの含有量を0.3~1.2mol/lとし、前記非水電解液におけるLiB(Cの含有量を0.1~2質量%とすることを特徴とする。
本発明によれば、高温貯蔵時の電池の膨れおよび内部抵抗の上昇を抑制可能で、信頼性に優れた非水電解液一次電池と、その製造方法とを提供することができる。
本発明の非水電解液一次電池の一例を模式的に表す断面図である。 実施例1~4および比較例1~3の非水電解液一次電池の貯蔵時間に対する膨れの変化を表すグラフである。 実施例1~4および比較例1~3の非水電解液一次電池の貯蔵時間に対するCCVの変化を表すグラフである。 実施例3~8および比較例1の非水電解液一次電池の貯蔵時間に対する膨れの変化を表すグラフである。 実施例3~8および比較例1の非水電解液一次電池の貯蔵時間に対するCCVの変化を表すグラフである。 実施例3~8および比較例1の非水電解液一次電池の高温多湿環境下での貯蔵時間に対するCCVの変化を表すグラフである。
本発明の非水電解液一次電池は、リチウム塩を例えば有機溶媒に溶解してなる非水電解液を使用する。そして、前記非水電解液は、LiClO、LiCFSO、LiCSO、LiN(FSOおよびLiN(CFSOより選択される少なくとも1種のリチウム塩Aと、LiPF、LiBF、LiAsFおよびLiSbFより選択される少なくとも1種のリチウム塩Bと、LiB(Cとを含有している。
リチウム塩Aは、非水電解液において、リチウムイオン伝導性を確保するための電解質塩として機能するものである。また、リチウム塩Aは、非水電解液に使用可能な電解質塩の中でも耐熱性に優れるため、このリチウム塩Aを含有する非水電解液を使用することで、例えば非水電解液一次電池の高温貯蔵特性(高温貯蔵時および高温貯蔵を経た電池の信頼性)を高めることができる。
一方、リチウム塩Bは、通常、非水電解液にリチウムイオン伝導性を確保するための電解質塩として使用されているが、本発明の非水電解液一次電池においては、このように作用することに加えて、LiB(Cと共に負極が有する金属リチウムまたはリチウム合金と接することにより、非水電解液と負極との反応を抑制する保護被膜を負極表面に形成する。この保護被膜は、例えば110℃以上の高温環境でも有効に作用するため、電池が高温環境下に置かれた場合においても、非水電解液と負極表面との反応を十分に抑えることから、非水電解液成分の分解に伴うガス発生や、放電に関与しない副生成物が生じることによる内部抵抗の上昇を良好に抑制できる。
このように、本発明の非水電解液一次電池では、リチウム塩Aによる前記の作用と、リチウム塩BおよびLiB(Cによる前記の作用を相乗的に機能させることで、高温貯蔵時の電池の膨れおよび内部抵抗の上昇を抑制して、高い信頼性の確保を可能としている。
また、負極活物質としてリチウム合金が用いられる場合、リチウム合金を形成するための合金元素(例えばアルミニウム)を電池内でリチウムと反応させてリチウム合金を形成することが一般的である。この場合、一般に粒子または膜の形状で使用される合金元素がリチウムと合金化する際に、体積膨張して微粉化するため、振動などの影響によって活物質が負極から脱離して短絡などの問題が生じやすくなる。
しかし、本発明の非水電解液一次電池では、リチウム塩BおよびLiB(Cを、それぞれ特定の量で含有する非水電解液を用いることによって負極表面に形成される保護被膜が、リチウムと合金元素との電気化学的な反応を抑え、リチウム合金の形成に伴う多量の微粉末の生成を抑制するため、リチウム合金の微粉末が負極から脱離することによって生じ得る短絡などの問題を防止できると推測される。
よって、不織布セパレータのように、空隙のサイズが比較的大きく、電極から脱落した活物質の微粉末が空隙を通過しやすいセパレータを用いた場合であっても、負極活物質の微粉化に伴う短絡が生じ難く、耐振動性に優れた非水電解液一次電池を構成できると考えられる。
非水電解液一次電池に係る非水電解液に使用し得る有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート;1,2-ジメトキシエタン(DME)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、メトキシエトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトラヒドロフランなどのエーテル;γ-ブチロラクトンなどの環状エステル;ニトリル;などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、前記のカーボネートとエーテルとを併用することが好ましい。
非水電解液溶媒として、カーボネートとエーテルとを併用する場合には、全溶媒中のカーボネートとエーテルとの量比(混合比)は、体積比で、カーボネート:エーテル=30:70~70:30とすることが好ましい。
また、非水電解液溶媒にはニトリルを使用することも好ましい。ニトリルは低粘度であり、かつ高誘電率であることから、これを非水電解液溶媒として用いることで、非水電解液一次電池の負荷特性をより高めることができる。
ニトリルの具体例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、アクリロニトリルなどのモノニトリル;マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、1,4-ジシアノヘプタン、1,5-ジシアノペンタン、1,6-ジシアノヘキサン、1,7-ジシアノヘプタン、2,6-ジシアノヘプタン、1,8-ジシアノオクタン、2,7-ジシアノオクタン、1,9-ジシアノノナン、2,8-ジシアノノナン、1,10-ジシアノデカン、1,6-ジシアノデカン、2,4-ジメチルグルタロニトリルなどのジニトリル;ベンゾニトリルなどの環状ニトリル;メトキシアセトニトリルなどのアルコキシ置換ニトリル;などが挙げられる。これらの中でも、アセトニトリルが特に好ましい。
非水電解液溶媒にニトリルを使用する場合、非水電解液溶媒全量中のニトリルの含有量は、ニトリルの使用による前記の効果をより良好に確保する観点から、5体積%以上であることが好ましく、8体積%以上であることがより好ましい。ただし、ニトリルは負極のリチウムとの反応性が高いため、ニトリルの使用量をある程度制限して、これらの間での過剰な反応を抑制することが好ましい。よって、非水電解液溶媒全量中のニトリルの含有量は、20体積%以下であることが好ましく、17体積%以下であることがより好ましい。
非水電解液におけるリチウム塩Aの含有量は、良好なリチウムイオン伝導性を確保する観点から、0.3mol/l以上であり、0.4mol/l以上であることが好ましく、1.2mol/l以下であり、1.0mol/l以下であることが好ましい。
また、非水電解液でのリチウム塩Aとリチウム塩Bとの合計を100mol%としたときのリチウム塩Bの割合は、リチウム塩Bによる前記の効果を良好に確保する観点から、20mol%以上より多く、25mol%以上であることが好ましく、30mol%以上であることがより好ましい。ただし、非水電解液でのリチウム塩Aとリチウム塩Bとの合計中のリチウム塩Bの割合が多すぎると、負極表面に形成される保護被膜が厚くなりすぎて、却って電池の内部抵抗が増大し、電池特性が低下してしまう虞がある。よって、電池特性を良好にする観点から、非水電解液でのリチウム塩Aとリチウム塩Bとの合計を100mol%としたときのリチウム塩Bの割合は、70mol%以下であることが好ましく、50mol%以下であることがより好ましい。
また、非水電解液には、リチウム塩Aおよびリチウム塩B以外のリチウム塩(非水電解液電池用の非水電解液に通常使用されているリチウム塩など)を含有させてもよいが、この場合、非水電解液中のリチウム塩の総量を、1.5mol/l以下とすることが好ましい。
更に、非水電解液中におけるLiB(Cの含有量は、LiB(Cによる前記の効果を良好に確保する観点から、0.1質量%以上であり、0.3質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水電解液中のLiB(Cの量が多すぎると、却って電池の内部抵抗が増大し、電池特性が低下してしまう虞がある。よって、電池特性を良好にする観点から、非水電解液中におけるLiB(Cの含有量は、2質量%以下であり、1.5質量%以下であることが好ましい。
また、非水電解液には、スルトン化合物を含有させることが好ましい。スルトン化合物は、正極表面にも被膜を形成して正極における非水電解液の分解およびガス発生を抑制することができると考えられ、リチウム塩BおよびLiB(Cと共存させることにより、高温貯蔵における電池の膨れなどをより一層抑制することができ、非水電解液一次電池の信頼性の更なる改善も可能となる。
スルトン化合物としては、環内に不飽和結合を持たない化合物と、環内に不飽和結合を有する化合物とに分類され、それぞれ、電解液への溶解性などの点から、5員環~7員環の化合物が好ましく用いられ、5員環構造を有するものがより好ましく用いられる。
前記環内に不飽和結合を持たない化合物としては、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトンなどが例示され、1,3-プロパンスルトンが好ましく用いられる。
前記環内に不飽和結合を有する化合物としては、下記一般式(1)で表される5員環構造を有するものが例示される。
Figure 0007020976000001
前記一般式(1)中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、フッ素、または炭素数が1~12で、その一部または全部の水素がフッ素で置換されていてもよい炭化水素基である。
前記一般式(1)で表される化合物の中でも、R、R、RおよびRは、それぞれ水素、フッ素、または炭素数が1~3で、その一部または全部の水素がフッ素で置換されていてもよい炭化水素基であるものが好ましく、1,3-プロペンスルトン(PRS)がより好ましい。
スルトン化合物の前記効果を良好に確保する観点から、非水電解液におけるスルトン化合物の含有量は、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。ただし、非水電解液中のスルトン化合物の量が多すぎると、電池の内部抵抗が増大して放電特性が低下する虞がある。よって、放電特性の低下を抑える観点から、非水電解液におけるスルトン化合物の含有量は、3質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがより好ましい。
更に、非水電解液には、必要に応じて、LiB(Cやスルトン化合物以外の添加剤を添加させることもできる。このような添加剤としては、リン酸トリス(トリメチルシリル)などのリン酸化合物;ホウ酸トリス(トリメチルシリル)などのホウ酸化合物;無水マレイン酸、無水フタル酸などの酸無水物;などが挙げられる。
特に、非水電解液の添加剤として、下記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物を含有させることが好ましい。
Figure 0007020976000002
前記一般式(2)中、XはSi、GeまたはSnであり、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基または炭素数6~10のアリール基を表し、その水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。
前記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物を非水電解液に含有させることにより、高温環境下における電池の特性劣化をより一層抑制することができる。
また、水分との反応によりフッ酸を生じさせやすいリチウム塩Bを含有する非水電解液を用いた電池が、高温でかつ多湿環境下に長時間置かれた場合、封止のゆるみにより、あるいはガスケットを構成する樹脂内部を水分が透過することにより、電池内に水分が浸入して非水電解液と反応し、電池の特性を劣化させやすくなる。しかし、非水電解液に前記リン酸化合物またはホウ酸化合物を含有させることにより、前記の特性劣化を抑制することができ、高温でかつ多湿環境下における貯蔵特性に優れた電池を構成することができる。
前記一般式(2)において、XはSi、GeまたはSnであるが、前記リン酸化合物としては、XがSiであるリン酸シリルエステルが好ましく用いられ、前記ホウ酸化合物としては、XがSiであるホウ酸シリルエステルが好ましく用いられる。
また、前記一般式(2)において、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基または炭素数6~10のアリール基であるが、メチル基またはエチル基がより好ましい。また、R、RおよびRは、その水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。そして、前記一般式(2)で表される基としては、トリメチルシリル基が特に好ましい。
前記リン酸化合物においては、リン酸が有する水素原子のうちの1つのみが前記一般式(2)で表される基で置換されていてもよく、リン酸が有する水素原子のうちの2つが前記一般式(2)で表される基で置換されていてもよく、リン酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(2)で表される基で置換されていてもよいが、リン酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(2)で表される基で置換されていることが、より好ましい。
このような前記リン酸化合物としては、例えば、リン酸モノ(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス(トリメチルシリル)、リン酸ジエチルトリメチルシリル、リン酸ジフェニル(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリエチルシリル)、リン酸トリス(ビニルジメチルシリル)、リン酸トリス(トリイソプロピルシリル)、リン酸トリス(ジメチルエチルシリル)、リン酸トリス(メチルジエチルシリル)、リン酸トリス(ブチルジメチルシリル)、リン酸トリス(ビニルジメチルシリル)、リン酸トリス(トリフェニルシリル)などを挙げることができ、リン酸モノ(トリメチルシリル)、リン酸ジ(トリメチルシリル)、リン酸トリス(トリメチルシリル)、リン酸ジメチルトリメチルシリル、リン酸メチルビス(トリメチルシリル)が好ましく、リン酸トリス(トリメチルシリル)が、特に好ましい。
また、前記ホウ酸化合物においては、ホウ酸が有する水素原子のうちの1つのみが前記一般式(2)で表される基で置換されていてもよく、ホウ酸が有する水素原子のうちの2つが前記一般式(2)で表される基で置換されていてもよく、ホウ酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(2)で表される基で置換されていてもよいが、ホウ酸が有する水素原子の3つ全てが前記一般式(2)で表される基で置換されていることが、より好ましい。
このような前記ホウ酸化合物としては、例えば、ホウ酸モノ(トリメチルシリル)、ホウ酸ジ(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸ジメチルトリメチルシリル、ホウ酸メチルビス(トリメチルシリル)、ホウ酸ジエチルトリメチルシリル、ホウ酸ジフェニル(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリエチルシリル)、ホウ酸トリス(ビニルジメチルシリル)ホウ酸トリス(トリイソプロピルシリル)、ホウ酸トリス(ジメチルエチルシリル)、ホウ酸トリス(メチルジエチルシリル)、ホウ酸トリス(ブチルジメチルシリル)、ホウ酸トリス(ビニルジメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリフェニルシリル)などを挙げることができ、ホウ酸モノ(トリメチルシリル)、ホウ酸ジ(トリメチルシリル)、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)、ホウ酸ジメチルトリメチルシリル、ホウ酸メチルビス(トリメチルシリル)が好ましく、ホウ酸トリス(トリメチルシリル)が、特に好ましい。
非水電解液中の、前記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物の含有量(両者を含有する場合はその合計量)は、その使用による前記の効果をより良好に確保する観点から、0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることが特に好ましく、1質量%以上であることが最も好ましい。一方、その含有量が多くなりすぎると、前記化合物に起因して負極表面に形成される被膜の厚みが増大し、これにより抵抗が大きくなり負荷特性が低下する虞があることから、非水電解液中の、前記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物の含有量(両者を含有する場合はその合計量)は、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、2.5質量%以下であることが最も好ましい。
なお、前記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物の含有量は、リチウム塩Bの含有量に応じて調整することが好ましく、前記リン酸化合物または前記ホウ酸化合物の非水電解液中の含有量(両者を含有する場合はその合計量)は、リチウム塩Bの含有量に対し、モル比で、0.1以上であることが好ましく、0.2以上であることがより好ましく、また、負荷特性の低下を防ぐために、モル比で、0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましい。
また、非水電解液には、公知のゲル化剤を添加してゲル状としたもの(ゲル状電解質)を用いることもできる。
非水電解液一次電池に係る負極は、金属リチウムまたはリチウム合金を含有するものである。金属リチウムを含有する負極としては、金属リチウム箔をそのまま使用できるほか、金属リチウム箔を集電体の片面または両面に圧着した構造のものを使用することもできる。
また、リチウム合金を含有する負極としては、リチウム合金箔をそのまま使用できるほか、リチウム合金箔を集電体の片面または両面に圧着した構造のものを使用することもできる。
更に、リチウム合金を含有する負極の場合、金属リチウム箔などで構成されるリチウム層(リチウムを含む層)の表面にリチウム合金を形成するための合金元素を含む層を圧着するなどして積層した積層体を使用し、この積層体を電池内で非水電解液と接触させることで、前記リチウム層の表面にリチウム合金を形成させて負極とすることもできる。このような負極の場合、リチウム層の片面のみに合金元素を含む層を有する積層体を用いてもよく、リチウム層の両面に合金元素を含む層を有する積層体を用いてもよい。前記積層体は、例えば、金属リチウム箔と合金元素で構成された箔とを圧着することで形成することができる。
また、電池内でリチウム合金を形成して負極とする場合にも集電体を使用することができ、例えば、負極集電体の片面にリチウム層を有し、かつリチウム層の負極集電体とは反対側の面に合金元素を含む層を有する積層体を用いてもよく、負極集電体の両面にリチウム層を有し、かつ各リチウム層の負極集電体とは反対側の面に合金元素を含む層を有する積層体を用いてもよい。負極集電体とリチウム層(金属リチウム箔)とは、圧着などにより積層すればよい。
リチウム合金を形成するための合金元素としては、アルミニウム、鉛、ビスマス、インジウム、ガリウムなどが挙げられるが、アルミニウムが好ましい。
負極とするための前記積層体に係る前記合金元素を含む層には、例えば、これらの合金元素で構成された箔などが使用できる。前記合金元素を含む層の厚みは、1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、20μm以下であることが好ましく、12μm以下であることがより好ましい。
負極とするための前記積層体に係るリチウム層には、例えば、金属リチウム箔などを用いることができる。リチウム層の厚みは、0.1~1.5mmであることが好ましい。また、金属リチウムを含有する負極とする場合のリチウム層(その形成に使用する金属リチウム箔)の厚みも、0.1~1.5mmであることが好ましい。
負極集電体としては、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼を素材とするものが挙げられ、その形態としては、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタル、金属発泡体、箔(板)などが例示できる。集電体の厚みは、例えば、5~100μmであることが好ましい。このような集電体の表面には、カーボンペーストや銀ペーストなどのペースト状導電材を塗布しておくことも望ましい。
非水電解液一次電池に係る正極には、例えば、正極活物質、導電助剤、バインダなどを含有する合剤(正極合剤)をペレット状などに成形した成形体や、前記正極合剤からなる層(正極合剤層)を集電体の片面または両面に有する構造のものを使用することができる。
正極活物質としては、二酸化マンガン、リチウム含有マンガン酸化物〔例えば、LiMnや、二酸化マンガンと同じ結晶構造(β型、γ型、あるいはβ型とγ型が混在する構造など)を有し、Liの含有量が3.5質量%以下、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である複合酸化物など〕、LiTi5/3(4/3≦a<7/3)などのリチウム含有複合酸化物;バナジウム酸化物;ニオブ酸化物;チタン酸化物;二硫化鉄などの硫化物;フッ化黒鉛;などが挙げられる。
また、正極合剤に係る導電助剤としては、例えば、鱗片状黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラックなどが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、正極合剤に係るバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、六フッ化プロピレンの重合体などのフッ素樹脂などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
正極は、正極合剤の成形体の場合には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを混合して調製した正極合剤を所定の形状に加圧成形することで製造することができる。
また、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを水またはN-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの有機溶媒に分散させて正極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し(バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体上に塗布し乾燥し、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
ただし、正極は、前記の各方法で製造されたものに限定されず、他の方法で製造したものであってもよい。
正極に係る正極合剤中の組成としては、正極活物質の量が80~90質量%であることが好ましく、導電助剤の含有量が1.5~10質量%であることが好ましく、バインダの含有量が0.3~10質量%であることが好ましい。
正極合剤の成形体の場合、その厚みは、0.15~4mmであることが好ましい。他方、正極合剤層と集電体とを有する形態の正極の場合、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、30~300μmであることが好ましい
正極に集電体を用いる場合には、その集電体としては、例えば、SUS316、SUS430、SUS444などのステンレス鋼を素材とするものが挙げられ、その形態としては、平織り金網、エキスパンドメタル、ラス網、パンチングメタル、金属発泡体、箔(板)などが例示できる。集電体の厚みは、例えば、0.05~0.2mmであることが好ましい。このような集電体の表面には、カーボンペーストや銀ペーストなどのペースト状導電材を塗布しておくことも望ましい。
非水電解液一次電池において、集電体を有する負極(または負極用の積層体)と集電体を有する正極とを使用する場合は、セパレータを介して積層した積層体(積層電極体)や、この積層体を渦巻状に巻回した巻回体(巻回電極体)、更にこの巻回体を横断面が扁平状となるように成形した扁平状巻回体(扁平状巻回電極体)の形で使用することができる。また、正極合剤の成形体からなる正極と、集電体を有しない負極(または負極用の積層体)とを使用する場合は、これらの間にセパレータを介在させつつ扁平形の電池ケース内に収容して使用することができる。
セパレータには不織布や微多孔膜(微多孔性フィルム)が使用されるが、その素材としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィンが使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、セルロースなども使用することができる。不織布や微多孔膜の素材は、前記例示のもののうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。また、セパレータとなる不織布や微多孔膜は、前記例示の素材で構成された単層構造のもののほか、例えば、異なる素材で構成された複数枚の不織布や微多孔膜を積層した積層構造のものを用いることもできる。
セパレータの厚みは、電池のエネルギー密度の低下を抑制する観点から、例えば、500μm以下とすればよく、450μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。ただし、セパレータが薄すぎると、短絡を防止する機能が低下する虞があることから、その厚みは、不織布を用いる場合は、例えば、30μm以上とすればよく、100μm以上であることが好ましく、150μm以上であることがより好ましい。また、微多孔膜を用いる場合は、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましい。
非水電解液一次電池の形態については特に制限はなく、扁平形(コイン形、ボタン形を含む)、ラミネート形、筒形〔円筒形、角形(角筒形)〕など、種々の形態とすることが可能である。また、負極、正極、セパレータおよび非水電解液を内部に収容する外装体(電池ケース)としては、開口を有する金属製の缶(外装缶)と蓋(封口缶)を組み合わせて用いたり、金属ラミネートフィルムを用いたりすることができる。
具体的には、外装缶と封口缶とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口缶とを溶接して封口したりすることにより、扁平形や筒形の電池を作製することができ、2枚の金属ラミネートフィルムを重ねるか、1枚の金属ラミネートフィルムを折り曲げ、周囲を貼り合わせて封口することにより、ラミネート形の電池を作製することができる。
なお、カシメ封口を行う形態の外装体を使用する場合、外装缶と封口缶との間に介在させるガスケットの素材には、PP、ナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で特に高度な耐熱性が要求される場合には、PFAなどのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PEE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、PPS、PEEKなどの融点または熱分解温度が200℃以上の耐熱樹脂を使用することもできる。また、電池が耐熱性を要求される用途に適用される場合、その封口には、ガラスハーメチックシールを利用することもできる。
本発明の非水電解液一次電池は、高温環境下での信頼性に優れていることから、こうした特性を生かして、タイヤ内部の圧力センサーの電源用途などの自動車用途のように、特に高温に曝されやすい用途に好適に用い得るほか、従来から知られている非水電解液一次電池が採用されている各種用途と同じ用途にも適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
<正極の作製>
正極活物質である二酸化マンガンと、導電助剤であるカーボンブラックと、バインダであるPTFEとを、93:3:4の質量比で混合して調製した正極合剤を成形して、直径16mm、厚み1.8mmの正極(正極合剤成形体)を得た。
<負極用積層体の作製>
厚みが0.6mmのリチウム箔の片面に、厚みが0.01μmのアルミニウム箔を圧着し、これを直径16mmの円形に打ち抜いて、負極用積層体を得た。
<非水電解液の調製>
PCとDMEとを、41.8:51.2の質量比で混合した混合溶媒に、LiClO(リチウム塩A)およびLiPF(リチウム塩B)を、それぞれ0.49mol/l、0.21mol/lの濃度で溶解させ、更に1質量%(0.05mol/l)となる量のLiB(C〔LiBOB〕と2質量%となる量の1,3-プロパンスルトン(PS)とを添加して、非水電解液を調製した。この非水電解液におけるLiClOとLiPFとの合計中のLiPFの割合は30.0mol%であった。
<電池の組み立て>
前記の正極と負極用積層体と非水電解液とを使用し、セパレータにPPS製の不織布(厚み170μm)を使用して、図1に示す構造で、直径20mm、高さ3.2mmの非水電解液一次電池を組み立てた。
図1は、実施例1の非水電解液一次電池を模式的に表す縦断面図であり、実施例1の非水電解液一次電池1では、正極2が、ステンレス鋼を素材とする外装缶5の内側に収容され、その上にセパレータ4を介して負極3が配置されている。また、負極3は、リチウム層(リチウム箔)側の面で封口缶6の内面に圧着されている。なお、図1では図示していないが、負極3のセパレータ4側の表面には、リチウム-アルミニウム合金が形成されている。更に、電池1の内部には非水電解液(図示しない)が注入されている。
非水電解液一次電池1において、外装缶5は正極端子を兼ねており、封口缶6は負極端子を兼ねている。そして、封口缶6は、外装缶5の開口部に、PPS製の絶縁ガスケット7を介して嵌合しており、外装缶5の開口端部が内方に締め付けられ、これにより絶縁ガスケット7が封口缶6に当接することで、外装缶5の開口部が封口されて電池内部が密閉構造となっている。すなわち、非水電解液一次電池1は、外装缶5と封口缶6と、これらの間に介在する絶縁ガスケット7とで形成され、密閉された電池ケース内に、正極2、セパレータ4および負極3を積層した電極体と、非水電解液とが収容されている。
(実施例2)
LiPFの濃度を0.35mol/lに変更した以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液一次電池を作製した。この非水電解液におけるLiClOとLiPFとの合計中のLiPFの割合は41.7mol%であった。
(実施例3)
リチウム塩BをLiPFからLiBFに変更し、その濃度を0.34mol/lとした以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液一次電池を作製した。この非水電解液におけるLiClOとLiBFとの合計中のLiBFの割合は41.0mol%であった。
(実施例4)
LiBFの濃度を0.56mol/lに変更した以外は実施例3と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液一次電池を作製した。この非水電解液におけるLiClOとLiBFとの合計中のLiBFの割合は53.3mol%であった。
(比較例1)
LiPFを添加しなかった以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液一次電池を作製した。
(比較例2)
LiPFの濃度を0.07mol/lに変更した以外は実施例1と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液一次電池を作製した。この非水電解液におけるLiClOとLiPFとの合計中のLiPFの割合は12.5mol%であった
(比較例3)
LiBFの濃度を0.11mol/lに変更した以外は実施例3と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液一次電池を作製した。この非水電解液におけるLiClOとLiBFとの合計中のLiBFの割合は18.3mol%であった。
(比較例4)
LiBOBの含有量を3質量%(0.15mol/l)とした以外は、実施例2と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例2と同様にして非水電解液一次電池を作製した。
<高温環境下での信頼性評価>
実施例1~4および比較例1~3の非水電解液一次電池をそれぞれ2つに分け、一方に15kΩの抵抗を接続して、正極容量に対する放電深度が60%になるまで放電を行った。もう一方の放電を行っていない実施例および比較例の電池(DOD:0%の電池)と、放電深度を60%とした実施例および比較例の電池(DOD:60%の電池)とを、140℃に調整した恒温槽内に入れ、表2に示す時間ごとに各電池の高さを測定し、電池製造直後の高さ(3.2mm)からの変化量(電池膨れ量)を求めた。ただし、測定した電池膨れ量が1mmを超えていた場合は、それ以降の貯蔵時間での測定を行わなかった。
<高温貯蔵後の電池特性評価>
実施例1~4および比較例1~3の非水電解液一次電池について、下記の条件で、DOD:0%の場合と、DOD:60%との場合とで高温貯蔵後の電池特性の評価を行った。また、比較例4の非水電解液一次電池については、DOD:0%の場合の高温貯蔵後の電池特性の評価を行った。
各電池を140℃に調整した恒温槽内に入れ、表3および表4に示す時間ごとに取り出し、放冷後に20℃の環境下で100Ωの抵抗を接続して放電させ、放電開始から0.3秒後の電池の閉回路電圧(CCV)を測定した。ただし、測定したCCVが0Vに近い値となった場合は、それ以降の貯蔵時間での測定を行わなかった。
実施例1~4および比較例1~4の非水電解液一次電池に係る非水電解液の構成を表1に示し、前記の各評価結果を表2~表4に示す。また、DOD:60%の電池の評価結果については、電池の貯蔵時間に対する電池の膨れの変化およびCCVの変化を、それぞれ図2および図3に示している。なお、表1における「リチウム塩Bの割合」とは、リチウム塩Aとリチウム塩Bとの合計中のリチウム塩Bの割合を意味している(後記の表5においても同様である)。また、表2および表4における「―」は、前記の理由で測定を行わなかったことを意味している(後記の表6および表8においても同様である)。
Figure 0007020976000003
Figure 0007020976000004
Figure 0007020976000005
Figure 0007020976000006
表1~表4、図2および図3に示す通り、リチウム塩A、リチウム塩BおよびLiB(Cを適正な量で使用した非水電解液を用いた実施例1~4の非水電解液一次電池は、放電深度が0%、60%のいずれの状態においても、140℃の高温環境下において長時間にわたり、電池の膨れおよび内部抵抗の上昇が抑制されており、高い信頼性を有していた。
これに対し、およびリチウム塩Aとリチウム塩Bとの合計中のリチウム塩Bの割合が20mol%以下となる非水電解液を用いた比較例2、3の電池は、リチウム塩Bを使用していない非水電解液を用いた比較例1の電池に比べ、高温貯蔵後の電池特性が改善されたものの、前記実施例の電池に比べて電池の膨れを抑制する効果が低く、また、放電深度が60%の状態において、内部抵抗の上昇を充分に抑制できなかった。
また、図3に示した実施例1および実施例2の電池の結果、並びに実施例3および実施例4の電池の結果より明らかなように、少なくとも放電深度が60%の状態では、リチウム塩Bの割合が多くなると内部抵抗が上昇してCCVが低下するため、リチウム塩Aとリチウム塩Bとの合計中のリチウム塩Bの割合は70mol%以下とすることが好ましい。
また、表3に示した実施例2および比較例4の電池の結果から、LiB(Cの含有量を2質量%より多くした場合には、内部抵抗が高くなり負荷特性が低下することが分かる。
(実施例5)
PCとDMEとを、41.8:51.2の質量比で混合した混合溶媒に、LiClO(リチウム塩A)およびLiBF(リチウム塩B)を、それぞれ0.49mol/lおよび0.21mol/lの濃度で溶解させ、更に1質量%(0.05mol/l)となる量のLiBOBと2質量%となる量のPSと1.5質量%(0.05mol/l)となる量のリン酸トリス(トリメチルシリル)(TMSP)とを添加して、非水電解液を調製した。また、この非水電解液を用いた以外は実施例1と同様にして非水電解液一次電池を作製した。この非水電解液におけるLiClOとLiBFとの合計中のLiBFの割合は41.0mol%であった。また、LiBFの含有量に対するTMSPの含有量は、モル比で0.15であった。
(実施例6)
LiBFの濃度を0.56mol/lに変更した以外は実施例5と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例5と同様にして非水電解液一次電池を作製した。この非水電解液におけるLiClOとLiBFとの合計中のLiBFの割合は53.3mol%であった。また、LiBFの含有量に対するTMSPの含有量は、モル比で0.09であった。
(実施例7)
TMSPの添加量を3質量%(0.1mol/l)に変更した以外は実施例5と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例5と同様にして非水電解液一次電池を作製した。この非水電解液におけるLiClOとLiBFとの合計中のLiBFの割合は41.0mol%であった。また、LiBFの含有量に対するTMSPの含有量は、モル比で0.29であった。
(実施例8)
TMSPの添加量を3質量%(0.1mol/l)に変更した以外は実施例6と同様にして非水電解液を調製し、この非水電解液を用いた以外は実施例6と同様にして非水電解液一次電池を作製した。この非水電解液におけるLiClOとLiBFとの合計中のLiBFの割合は53.3mol%であった。また、LiBFの含有量に対するTMSPの含有量は、モル比で0.18であった。
実施例5~8の非水電解液一次電池に対し、前記と同様にして、「高温環境下での信頼性評価」および「高温貯蔵後の電池特性評価」をそれぞれ実施した。
実施例5~8の非水電解液一次電池に係る非水電解液の構成を表5に示し、前記の各評価結果を表6~表8に示す。なお、表5~表8には、実施例3、4および比較例1の非水電解液一次電池に係る非水電解液の構成、並びに評価結果を併記する。また、DOD:60%の電池の評価結果については、電池の貯蔵時間に対する電池の膨れの変化およびCCVの変化を、それぞれ図4および図5に示している。
Figure 0007020976000007
Figure 0007020976000008
Figure 0007020976000009
Figure 0007020976000010
表5~8、図4および図5に示す通り、TMSPを添加した実施例5~8の電池では、実施例3および4の電池と同様に、長時間にわたり電池の膨れを抑制することができた。 また、TMSPを添加することにより、内部抵抗の上昇によるCCVの低下をより一層抑制することができた。
<高温多湿環境での貯蔵後の電池特性評価>
実施例3~8および比較例1の非水電解液一次電池(DOD:0%)について、下記の条件で、高温多湿環境下での貯蔵後の電池特性の評価を行った。
各電池を80℃で相対湿度90%に調整した恒温槽内に入れ、表9に示す時間ごとに取り出し、放冷後に20℃の環境下で100Ωの抵抗を接続して放電させ、放電開始から0.3秒後の電池の閉回路電圧(CCV)を測定した。これらの評価結果を表9および図6に示す。
Figure 0007020976000011
表9および図6に示す通り、LiBF(リチウム塩B)を添加した実施例3および実施例4の電池は、高温多湿環境で貯蔵されたことにより、電池内に侵入した水分とLiBFとの反応を生じ、そのため比較例1の電池に比べて内部抵抗が上昇してCCVが低下する結果となった。一方、TMSPを添加した実施例5~8の電池では、前記の問題を防ぎ、高温多湿環境での貯蔵においても、長時間にわたり優れた電池特性を維持することができた。特に、TMSPの含有量を、LiBFの含有量に対しモル比で、0.1以上とした実施例5、実施例7および実施例8の電池において、より優れた貯蔵性を実現することができた。
1 非水電解液一次電池
2 正極
3 負極
4 セパレータ
5 外装缶
6 封口缶
7 絶縁ガスケット

Claims (10)

  1. 正極、負極、セパレータおよび非水電解液を有する非水電解液一次電池であって、
    前記負極は、金属リチウムまたはリチウム合金を含み、
    前記非水電解液は、LiClO、LiCFSO、LiCSO、LiN(FSOおよびLiN(CFSOより選択される少なくとも1種のリチウム塩Aと、LiPF、LiBF、LiAsFおよびLiSbFより選択される少なくとも1種のリチウム塩Bと、LiB(Cとを含有しており、
    前記非水電解液での前記リチウム塩Aと前記リチウム塩Bとの合計を100mol%としたときの前記リチウム塩Bの割合が20mol%より多く、
    前記非水電解液における前記リチウム塩Aの含有量が0.3~1.2mol/lであり、
    前記非水電解液におけるLiB(Cの含有量が0.1~2質量%であることを特徴とする非水電解液一次電池。
  2. 前記非水電解液での前記リチウム塩Aと前記リチウム塩Bとの合計を100mol%としたときの前記リチウム塩Bの割合が70mol%以下である請求項1に記載の非水電解液一次電池。
  3. 前記非水電解液は、スルトン化合物を更に含有している請求項1または2に記載の非水電解液一次電池。
  4. 前記非水電解液における前記スルトン化合物の含有量が0.5~3質量%である請求項3に記載の非水電解液一次電池。
  5. 前記非水電解液は、下記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物を更に含有している請求項1~4のいずれかに記載の非水電解液一次電池。
    Figure 0007020976000012
    〔前記一般式(2)中、XはSi、GeまたはSnであり、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基または炭素数6~10のアリール基を表し、その水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。〕
  6. 前記リン酸化合物または前記ホウ酸化合物の含有量が0.1~5質量%である請求項5に記載の非水電解液一次電池。
  7. 前記リン酸化合物または前記ホウ酸化合物の含有量が、前記リチウム塩Bの含有量に対し、モル比で0.1以上である請求項5または6に記載の非水電解液一次電池。
  8. 外装缶、封口缶およびそれらの間に介在するガスケットからなる電池容器を備え、
    前記ガスケットが、融点または熱分解温度が200℃以上の耐熱樹脂により構成されている請求項1~7のいずれかに記載の非水電解液一次電池。
  9. 負極、正極、セパレータおよび非水電解液を含む非水電解液一次電池を製造する方法であって、
    前記負極に、金属リチウムまたはリチウム合金を用い、
    前記非水電解液に、LiClO、LiCFSO、LiCSO、LiN(FSOおよびLiN(CFSOより選択される少なくとも1種のリチウム塩Aと、LiPF、LiBF、LiAsFおよびLiSbFより選択される少なくとも1種のリチウム塩Bと、LiB(Cとを含有させ、
    前記非水電解液での前記リチウム塩Aと前記リチウム塩Bとの合計を100mol%としたときの前記リチウム塩Bの割合を20mol%より多くし、
    前記非水電解液における前記リチウム塩Aの含有量を0.3~1.2mol/lとし、
    前記非水電解液におけるLiB(Cの含有量を0.1~2質量%とすることを特徴とする非水電解液一次電池の製造方法。
  10. 前記非水電解液に、下記一般式(2)で表される基を分子内に有するリン酸化合物またはホウ酸化合物を更に含有させる請求項9に記載の非水電解液一次電池の製造方法。
    Figure 0007020976000013
    〔前記一般式(2)中、XはSi、GeまたはSnであり、R、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基または炭素数6~10のアリール基を表し、その水素原子の一部または全部がフッ素で置換されていてもよい。〕
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